JP5719177B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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この発明は、操向ハンドルの操作に際し、運転者の操舵を補助する力(操舵アシスト力)をモータから付与する電動パワーステアリング装置に関する。
操向ハンドルの操作を軽快に行うことを可能にするため、運転者の操舵を補助する力(操舵アシスト力)をモータから付与する電動パワーステアリング装置が知られている(特許文献1、特許文献2及び特許文献3)。
特許文献1では、モータの3相それぞれについて電流を検出し([0021])、電流が流れているか否かを判定することにより、異常が発生した相(異常相)の発生の有無を判定する([0022])。そして、異常相が発生した場合、異常相以外の正常な相を対象としてインバータのスイッチング素子を制御する(要約及び請求項1、3参照)。
また、特許文献2では、3相のうち2相の電流(U相電流及びW相電流)を検出し、これら2相の電流から残りの1相の電流を算出してその後のインバータ制御に用いる(図2、[0023])。同様に、特許文献3では、3相のうち2相の電流(U相電流及びV相電流)を検出し、これら2相の電流から残りの1相の電流を算出してその後のインバータ制御に用いる(図2、[0012]、[0018])。
国際公開第2005/091488号 特開2009−090817号公報 特開2006−256542号公報
上記のように、特許文献1では3相それぞれについて電流を検出することで異常相を特定している。しかし、特許文献2や特許文献3のように3相のうち2相の電流を検出する構成では、いずれかの相に断線等の異常が発生した場合、異常相を特定することが困難である。
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、3相のうち2相の電流を検出する場合であっても、異常相を特定することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
この発明に係る電動パワーステアリング装置は、モータに3相の交流電力を供給するインバータと、前記3相に流れる電流を励磁電流成分であるd軸電流と、トルク電流成分であるq軸電流とのd−q座標電流に変換する電流座標変換手段と、前記モータに印加される3相電圧を、d軸電圧及びq軸電圧に変換する電圧座標変換手段と、前記モータの回転角度を検出する回転角度検出手段とを備え、前記q軸電圧が印加されているにも関わらず、前記q軸電流が第1閾値以下である基準電気角を算出し、前記基準電気角に基づいて異常相を判定することを特徴とする。
この発明によれば、q軸電圧が印加されているにも関わらず、q軸電流が第1閾値以下である基準電気角を算出し、前記基準電気角に基づいて異常相を判定する。このため、例えば、相が正常に動作しているのであれば取りえない値(例えば、ゼロ又はその近傍の値)を第1閾値として設定すれば、電流センサを2相についてのみ設け、残りの1相に設けない構成であっても、異常相の検出が可能となる。
前記d軸電圧が発生している状態において、前記d軸電圧及び前記q軸電圧より補正電気角を算出し、前記基準電気角と前記補正電気角に基づいて異常相を判定してもよい。これにより、d軸電圧の発生によってq軸電流が第1閾値以下となる電気角が基準電気角からずれている場合であっても、d軸電圧の影響を考慮して基準電気角を補正することが可能となる。このため、異常相の判定を高精度に行うことが可能となる。
前記電動パワーステアリング装置は、さらに、前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、前記回転速度が第2閾値以下のときに異常相を判定してもよい。これにより、例えば、モータによる逆起電力が異常相の特定の精度に悪影響を及ぼす回転速度(その近傍値を含む)を第2閾値として設定すれば、特定の精度が確保される場合にのみ異常相の特定を行うことで、誤検出を防止することが可能となる。
この発明によれば、q軸電圧が印加されているにも関わらず、q軸電流が第1閾値以下である基準電気角を算出し、前記基準電気角に基づいて異常相を判定する。このため、例えば、相が正常に動作しているのであれば取りえない値(例えば、ゼロ又はその近傍の値)を第1閾値として設定すれば、電流センサを2相についてのみ設け、残りの1相に設けない構成であっても、異常相の検出が可能となる。
この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 前記電動パワーステアリング装置の一部についての回路構成図である。 電子制御装置(ECU)への入力及び出力並びにECUの内部構成及び機能を示す図である。 本実施形態におけるECUの処理の全体を示すフローチャートである。 通常時通電制御におけるECUの機能的なブロック図である。 通常時通電制御における各相のトルクと、操舵アシストトルクと、各相の電流との波形の一例を示す図である。 ECUによる異常判定処理のフローチャートである。 U相に異常が発生している状態でd軸電圧がゼロのときにおけるV相電流とW相電流の波形の一例を示す図である。 U相に異常が発生している状態でd軸電圧がゼロでないときにおけるV相電流とW相電流の波形の一例を示す図である。 d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqと補正電気角との関係を示す説明図である。 ECUによる異常相特定処理のフローチャートである。 異常発生時通電制御におけるECUの機能的なブロック図である。 ゲイン設定部の機能ブロック図である。 U相に異常が発生した場合の異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の一例を示す図である。 V相に異常が発生した場合の異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の一例を示す図である。 W相に異常が発生した場合の異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の一例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第1変形例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第2変形例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第3変形例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第4変形例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第5変形例を示す図である。 異常発生時通電制御におけるモータの電気角と各相の出力電圧との関係の第6変形例を示す図である。
I.一実施形態
A.構成の説明
1.電動パワーステアリング装置10の全体
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置10(以下「パワーステアリング装置10」とも称する。)の概略構成図である。図2は、パワーステアリング装置10の一部についての回路構成図である。
図1に示すように、パワーステアリング装置10は、操向ハンドル12(ステアリングホイール)と、ステアリングシャフト14と、ラック軸16と、タイロッド18と、転舵輪としての左右の前輪20とを有する。ステアリングシャフト14、ラック軸16及びタイロッド18は、操向ハンドル12に対する運転者の操舵動作を前輪20に直接伝えるマニュアル操舵系を構成する。
また、図1及び図2に示すように、パワーステアリング装置10は、モータ22と、ウォームギア24と、ウォームホイールギア26と、トルクセンサ28と、車速センサ30と、舵角センサ32と、バッテリ34と、インバータ36と、電流センサ38、40と、レゾルバ42と、電圧センサ44、46、48と、電子制御装置50(以下「ECU50」という。)とを有する。モータ22、ウォームギア24及びウォームホイールギア26は、運転者の操舵を補助する力(操舵アシスト力)を生成するアシスト駆動系を構成する。また、トルクセンサ28、車速センサ30、舵角センサ32、インバータ36、電流センサ38、40、レゾルバ42、電圧センサ44、46、48及びECU50は、アシスト駆動系を制御するアシスト制御系を構成する。以下では、アシスト駆動系、アシスト制御系及びバッテリ34を合わせて転舵アシスト系とも称する。
2.マニュアル操舵系
ステアリングシャフト14は、操向ハンドル12に一体結合されたメインステアリングシャフト52と、ラック&ピニオン機構のピニオン56が設けられたピニオン軸54と、メインステアリングシャフト52及びピニオン軸54を連結するユニバーサルジョイント58とを備える。
ピニオン軸54はその上部、中間部、下部を軸受60a、60b、60cによって支持されており、ピニオン56はピニオン軸54の下端部に設けられている。ピニオン56は、車幅方向に往復動可能なラック軸16のラック歯62に噛合する。
従って、運転者が操向ハンドル12を操作することによって生じた操舵トルクTr(回転力)は、メインステアリングシャフト52及びユニバーサルジョイント58を介してピニオン軸54に伝達される。そして、ピニオン軸54のピニオン56及びラック軸16のラック歯62により操舵トルクTrが推力に変換され、ラック軸16が車幅方向に変位する。ラック軸16の変位に伴ってタイロッド18が前輪20を転舵させることで、車両の向きを変えることができる。
3.転舵アシスト系
(1)アシスト駆動系
モータ22は、ウォームギア24及びウォームホイールギア26を介してラック軸16に連結されている。すなわち、モータ22の出力軸22aは、ウォームギア24に連結されている。また、ウォームギア24と噛合するウォームホイールギア26はピニオン軸54に形成され、ピニオン軸54はラック軸16に連結されている。
モータ22は、3相交流ブラシレス式であり、ECU50に制御されるインバータ36を介してバッテリ34から電力が供給される。そして、当該電力に応じた駆動力(操舵アシスト力)を生成する。当該駆動力は、出力軸22a、ウォームギア24及びピニオン軸54(ウォームホイールギア26及びピニオン56)を介してラック軸16に伝達される。これにより、運転者の操舵を補助する。
(2)アシスト制御系
(a)フィードフォワード系センサ類
トルクセンサ28は、ピニオン軸54の中間部の軸受60bと上部の軸受60aとの間に設けられ、磁歪に起因する磁気特性の変化に基づいて操舵トルクTrを検出し、ECU50に出力する。
車速センサ30は、車速V[km/h]を検出し、ECU50に出力する。舵角センサ32は、操向ハンドル12の舵角θs[度]を検出し、ECU50に出力する。
操舵トルクTr、車速V及び舵角θsは、ECU50においてフィードフォワード制御に用いられる。
(b)インバータ36
インバータ36は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、バッテリ34からの直流を3相の交流に変換してモータ22に供給する。
図2に示すように、インバータ36は、3相の相アーム70u、70v、70wを有する。U相アーム70uは、上スイッチング素子74u(以下「上SW素子74u」という。)及びダイオード76uを有する上アーム素子72uと、下スイッチング素子80u(以下「下SW素子80u」という。)及びダイオード82uとを有する下アーム素子78uとで構成される。
同様に、V相アーム70vは、上スイッチング素子74v(以下「上SW素子74v」という。)及びダイオード76vを有する上アーム素子72vと、下スイッチング素子80v(以下「下SW素子80v」という。)及びダイオード82vを有する下アーム素子78vとで構成される。W相アーム70wは、上スイッチング素子74w(以下「上SW素子74w」という。)とダイオード76wを有する上アーム素子72wと、下スイッチング素子80w(以下「下SW素子80w」という。)とダイオード82wを有する下アーム素子78wとで構成される。
上SW素子74u、74v、74wと下SW素子80u、80v、80wには、例えば、MOSFET又はIGBTが採用される。
なお、以下では、各相アーム70u、70v、70wを相アーム70と総称し、各上アーム素子72u、72v、72wを上アーム素子72と総称し、各下アーム素子78u、78v、78wを下アーム素子78と総称し、各上SW素子74u、74v、74wを上SW素子74と総称し、各下SW素子80u、80v、80wを下SW素子80と総称する。
各相アーム70において、上アーム素子72と下アーム素子78の中点84u、84v、84wは、モータ22の巻線86u、86v、86wに連結されている。以下では、巻線86u、86v、86wを巻線86と総称する。
各上SW素子74及び各下SW素子80は、電力ECU50からの駆動信号UH、VH、WH、UL、VL、WLにより駆動される。
(c)フィードバック系センサ類
電流センサ38は、モータ22の巻線86uにおけるU相の電流(U相電流Iu)を検出し、ECU50に出力する。同様に、電流センサ40は、巻線86wにおけるW相の電流(W相電流Iw)を検出し、ECU50に出力する。なお、電流センサ38、40は、モータ22の3相のうちの2つの相を検出するものであれば、U相とW相の組合せ以外の電流を検出するものであってもよい。
レゾルバ42は、モータ22の図示しない出力軸又は外ロータの回転角度である電気角θを検出する。
電圧センサ44は、U相アーム70uの中点84uにおける電圧(以下「U相電圧Vu」という。)を検出し、ECU50に出力する。電圧センサ46は、V相アーム70vの中点84vにおける電圧(以下「V相電圧Vv」という。)を検出し、ECU50に出力する。電圧センサ48は、W相アーム70wの中点84wにおける電圧(以下「W相電圧Vw」という。)を検出し、ECU50に出力する。
(d)ECU50
図3には、ECU50への入力及び出力並びにECU50の内部構成及び機能が示されている。ECU50は、各センサからの出力値に基づき、モータ22の出力を制御する。
図1及び図3に示すように、ECU50は、ハードウェアの構成として、入出力部90と、演算部92と、記憶部94とを有する。図3に示すように、ECU50の演算部92は、異常判定機能100と、異常相特定機能102と、通電制御機能104とを有する。このうち通電制御機能104は、さらに、通常時通電制御機能106と、異常発生時通電制御機能108とを含む。これらの機能は、記憶部94に記憶されたプログラムを実行することにより実現される(詳細は後述する。)。
(3)バッテリ34
バッテリ34は、低電圧(本実施形態では12ボルト)を出力可能な蓄電装置であり、例えば、鉛蓄電池等の2次電池を利用することができる。
B.ECU50の処理及び機能
1.全体の流れ
図4は、本実施形態におけるECU50の処理の全体を示すフローチャートである。ステップS1において、ECU50は、通常時通電制御機能106を用いて通常時通電制御を実行する。通常時通電制御では、インバータ36の3つの相アーム70(図2)を用いてモータ22の出力を制御する(詳細は後述する。)。
ステップS2において、ECU50は、レゾルバ42からの電気角θに基づいてモータ22の回転速度ω[度/sec]を算出する。
ステップS3において、ECU50は、ステップS2で算出した回転速度ωが閾値TH_ω以下であるか否かを判定する。閾値TH_ωは、ステップS4における異常判定処理を行うか否かを判定するための閾値である。より具体的には、閾値TH_ωは、前記異常判定処理の精度が不十分になるほどモータ22が過度の逆起電力を生じさせているか否かを判定するための閾値であり、記憶部94に記憶されている。
回転速度ωが閾値TH_ω以下でない場合(S3:NO)、ステップS1に戻る。回転速度ωが閾値TH_ω以下である場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU50は、異常判定機能100を用いて異常判定処理を実行する。ステップS4の異常判定処理の結果、異常が発生していない場合(S5:NO)、ステップS1に戻る。
ステップS4の異常判定処理の結果、異常が発生している場合(S5:YES)、ステップS6において、ECU50は、異常相特定処理を実行する。そして、ECU50は、前記異常相特定処理の結果に基づいて、ステップS7において、異常発生時通電制御を実行する(詳細は後述する。)。
2.通常時通電制御(通常時通電制御機能106)
図5は、通常時通電制御におけるECU50の機能的なブロック図である。図5に示すように、通常時通電制御におけるECU50は、トルク指令値算出部110と、位相補償部112と、3相−dq変換部114と、q軸電流目標値算出部116と、第1減算器118と、q軸PI制御部120と、d軸電流目標値設定部122と、第2減算器124と、d軸PI制御部126と、dq−3相変換部128と、PWM制御部130とを有する。これらの構成要素を用いてインバータ36の制御が行われる。なお、インバータ36の制御系としては、基本的に、特許文献2や特許文献3に記載のものを用いることが可能であり、本実施形態において省略されている構成要素についても付加的に適用可能である。
トルク指令値算出部110は、トルクセンサ28からの操舵トルクTrと車速センサ30からの車速Vに基づいて第1トルク指令値Tr_c1を算出する。位相補償部112は、第1トルク指令値Tr_c1に位相補償処理を行って第2トルク指令値Tr_c2を算出する。
3相−dq変換部114は、電流センサ38からのU相電流Iuと、電流センサ40からのW相電流Iwと、レゾルバ42からの電気角θとを用いて3相−dq変換を行い、d軸方向の電流成分(界磁電流成分)としてのd軸電流Idと、q軸方向の電流成分(トルク電流成分)としてのq軸電流Iqとを算出する。そして、3相−dq変換部114は、q軸電流Iqを第1減算器118に出力し、d軸電流Idを第2減算器124に出力する。
なお、3相−dq変換は、U相電流Iuと、W相電流Iwと、これらから求められるV相電流Iw(=−Iu−Iw)との組を、電気角θに応じた変換行列によりd軸電流Idとq軸電流Iqとの組に変換する処理である。
q軸電流目標値算出部116は、位相補償部112からの第2トルク指令値Tr_c2と、車速センサ30からの車速Vと、舵角センサ32からの舵角θsと、レゾルバ42からの電気角θとに基づいて、q軸電流Iqの目標値であるq軸電流目標値Iq_tを算出する。q軸電流目標値算出部116では、例えば、基準アシスト制御と、イナーシャ制御と、ダンパ制御とを組み合わせてq軸電流目標値Iq_tを算出する。基準アシスト制御、イナーシャ制御及びダンパ制御については、例えば、特許文献2、特許文献3又は特開2009−214711号公報に記載のものを用いることができる。このd軸電流目標値Id_tは、第2トルク指令値Tr_c2のトルクをモータ22の出力軸22aに発生させるためのd軸電流及びq軸電流のフィードフォワード指令値としての意味を持つ。
第1減算器118は、q軸電流目標値Iq_tとq軸電流Iqとの偏差(=Iq_t−Iq)(以下「q軸電流偏差ΔIq」という。)を算出してq軸PI制御部120に出力する。q軸PI制御部120は、q軸電流偏差ΔIqをゼロに近づけるように、フィードバック制御としてのPI制御(比例・積分制御)により、q軸電圧の目標値であるq軸電圧目標値Vq_tを演算し、dq−3相変換部128に出力する。
d軸電流目標値設定部122は、モータ22の巻線86を磁石とするのに必要なd軸電流Idの目標値(以下「d軸電流目標値Id_t」)を設定し、第2減算器124に出力する。
第2減算器124は、d軸電流目標値Id_tとd軸電流Idとの偏差(=Id_t−Id)(以下「d軸電流偏差ΔId」という。)を算出してd軸PI制御部126に出力する。d軸PI制御部126は、d軸電流偏差ΔIdをゼロに近づけるように、フィードバック制御としてのPI制御(比例・積分制御)により、d軸電圧の目標値であるd軸電圧目標値Vd_tを演算し、dq−3相変換部128に出力する。
dq−3相変換部128は、q軸PI制御部120からのq軸電圧目標値Vq_tと、d軸PI制御部126からのd軸電圧目標値Vd_tと、レゾルバ42からの電気角θとを用いてdq−3相変換を行い、U相、V相、W相の相電圧目標値Vu_t、Vv_t、Vw_tを算出し、PWM制御部130に出力する。なお、dq−3相変換は、d軸電圧目標値Vd_t及びq軸電圧目標値Vq_tの組を、電気角θに応じた変換行列により相電圧目標値Vu_t、Vv_t、Vw_tの組に変換する処理である。
PWM制御部130は、これらの相電圧目標値Vu_t、Vv_t、Vw_tに応じて、パルス幅変調(PWM)制御によりインバータ36を介してモータ22の各相の巻線86を通電する。PWM制御部130は、インバータ36の各上SW素子74及び各下SW素子80のオンオフを制御することで、各相の巻線86を通電する。
より具体的には、PWM制御部130は、スイッチング周期毎に各相アーム70への駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを生成する。ここで、1スイッチング周期全体におけるデューティ値DUTを100%とすると、下SW素子80のデューティ値DUT2は、100%から上SW素子74へのデューティ値DUT1を引いたものとして演算され、さらに、上SW素子74及び下SW素子80それぞれのデューティ値DUT1、DUT2にデッドタイムdtを反映させたものが、実際に出力される駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLとなる。
上記のような通常時通電制御を用いると、通常時通電制御における各相が発生させるトルク(以下「U相トルクTr_u」、「V相トルクTr_v」、「W相トルクTr_w」という。)と、その合計としてのモータ22が出力するトルク(以下「モータトルクTr_m」という。)と、各相における電流(以下「U相電流Iu」、「V相電流Iv」、「W相電流Iw」という。)として、例えば、図6に示す波形を得ることができる。
3.異常判定処理(異常判定機能100)
図7は、ECU50による異常判定処理(異常判定機能100)のフローチャート(図4のS4の詳細)である。ステップS11において、ECU50は、d軸電圧Vdとq軸電圧Vqを演算により求める。具体的には、ECU50は、電圧センサ44からのU相電圧Vuと、電圧センサ46からのV相電圧Vvと、電圧センサ48からのW相電圧Vwとを電気角θを用いて3相−dq変換し、d軸電圧Vdとq軸電圧Vqを求める。
ステップS12において、ECU50は、ステップS11で求めたq軸電圧Vqが閾値TH_Vqを上回っているか否かを判定する。閾値TH_Vqは、q軸電圧Vqが出力されているか否かを判定するための閾値である。
q軸電圧Vqが閾値TH_Vqを上回っていない場合(S12:NO)、ステップS13において、ECU50は、異常が発生していないと判定し、図4の処理に戻る。q軸電圧Vqが閾値TH_Vqを上回っている場合(S12:YES)、ステップS14に進む。
ステップS14において、ECU50は、q軸電流Iqがゼロであるか否かを判定する。これにより、q軸電流Iqが発生しているか否かを判定することができる。当該判定の代わりに、q軸電流Iqの絶対値についての正の閾値を設け、q軸電流Iqが当該閾値以下であるか否かを判定することで、q軸電圧Vqに対応するq軸電流Iqの発生の有無を判定することもできる。
q軸電流Iqがゼロでない場合(S14:NO)、ステップS13に進む。q軸電流Iqがゼロである場合(S14:YES)、q軸電圧Vqが出力されているにもかかわらず、q軸電流Iqが流れていないこととなる。この場合、いずれかの相(相アーム70)について電流が発生しない異常(例えば、電力線又はPWM制御部130から各SW素子74、80までの信号線の断線)が発生しているといえる。そこで、ECU50は、ステップS15において、q軸電流Iqがゼロとなった時の電気角θ(以下「異常発生時電気角θ1」)を記憶し、ステップS16において、異常の発生を特定する(この時点では、異常が発生している相までは特定されていない。)。
4.異常相特定処理(異常相特定機能102)
(1)測定原理
本実施形態の異常相特定処理は、いずれかの相に断線等の異常が発生していると、当該相に固有の電気角θにおいてモータ22に電流が流れないことに着目して異常相を特定するものである。
具体的には、d軸電圧Vdが出力されていない状態でU相に異常が発生している場合(Vd=0)、モータ22に電流が流れない電気角θは、90°と270°になる。d軸電圧Vdが出力されていない状態でV相に異常が発生している場合、モータ22に電流が流れない電気角θは、30°と210°になる。d軸電圧Vdが出力されていない状態でW相に異常が発生している場合、モータ22に電流が流れない電気角θは、150°と330°になる。以下では、d軸電圧Vdが出力されていない状態で、異常相に対応してモータ22に電流が流れない電気角θを基準電気角θb1という。
また、d軸電圧Vdが出力されている場合(Vd≠0)、各相のモータ端子電圧がずれるため、モータ22に電流が流れない電気角θは、基準電気角θb1からずれる。U相に異常が発生している状態でd軸電圧Vdがゼロのとき、V相電流IvとW相電流Iwは、例えば、図8のようになる。一方、U相に異常が発生している状態でd軸電圧Vdがゼロでないとき、V相電流IvとW相電流Iwは、例えば、図9のようになる。
そこで、本実施形態では、d軸電圧Vdが出力されているにもかかわらず、q軸電流Iqがゼロになる場合、その時点の電気角θ(以下「異常発生時電気角θ1」という。)を記憶すると共に、基準電気角θb1からのずれ量(以下「補正電気角θc」という。)を特定する。そして、基準電気角θb1を補正電気角θcで補正した後の電気角θ(補正後基準電気角θb2)が異常発生時電気角θ1と一致するか否かに基づいて、判定対象となっている相に異常が発生しているか否かを判定する。
(2)補正電気角θcの特定方法
d軸電圧Vdがゼロでない場合、補正電気角θcは、d軸電圧Vdとq軸電圧Vqの合成ベクトルの位相として示すことができる(図10参照)。従って、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqと、補正電気角θcとの関係を予めマップ化しておくことで補正電気角θcを特定することができる。
(3)異常相特定処理の流れ
図11は、ECU50による異常相特定処理(異常相特定機能102)のフローチャート(図4のS6の詳細)である。ステップS21において、ECU50は、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqに基づいて補正電気角θcを特定する(図10参照)。
ステップS22において、ECU50は、各相の補正後基準電気角θb2を算出する。すなわち、U相の基準電気角θb1は90°及び270°であるため、補正後基準電気角θb2は、90°−θcと270°−θcである。V相の基準電気角θb1は30°及び210°であるため、補正後基準電気角θb2は、30°−θcと210°−θcである。W相の基準電気角θb1は150°及び330°であるため、補正後基準電気角θb2は、150°−θcと330°−θcである。以下では、説明の容易化のため、U相の2つの補正後基準電気角θb2を「補正後基準電気角θu1、θu2」といい、V相の2つの補正後基準電気角θb2を「補正後基準電気角θv1、θv2」といい、W相の2つの補正後基準電気角θb2を「補正後基準電気角θw1、θw2」という。
ステップS23において、ECU50は、異常発生時電気角θ1がU相の補正後基準電気角θu1、θu2のいずれかであるか否かを判定する。異常発生時電気角θ1がU相の補正後基準電気角θu1、θu2のいずれかである場合(S23:YES)、断線等の異常が発生しているのはU相であることがわかる。そこで、ステップS24において、ECU50は、U相に異常が発生していると特定する。異常発生時電気角θ1がU相の補正後基準電気角θu1、θu2のいずれでもない場合(S23:NO)、ステップS25に進む。
ステップS25において、ECU50は、異常発生時電気角θ1がV相の補正後基準電気角θv1、θv2のいずれかであるか否かを判定する。異常発生時電気角θ1がV相の補正後基準電気角θv1、θv2のいずれかである場合(S25:YES)、断線等の異常が発生しているのはV相であることがわかる。そこで、ステップS26において、ECU50は、V相に異常が発生していると特定する。異常発生時電気角θ1がV相の補正後基準電気角θv1、θv2のいずれでもない場合(S25:NO)、ステップS27に進む。
ステップS27において、ECU50は、異常発生時電気角θ1がW相の補正後基準電気角θw1、θw2のいずれかであるか否かを判定する。異常発生時電気角θ1がW相の補正後基準電気角θw1、θw2のいずれかである場合(S27:YES)、断線等の異常が発生しているのはW相であることがわかる。そこで、ステップS28において、ECU50は、W相に異常が発生していると特定する。異常発生時電気角θ1がW相の補正後基準電気角θw1、θw2のいずれでもない場合(S27:NO)、異常が発生している相(異常相)を特定することができない。このような場合としては、例えば、2つの相に異常が発生し、電流が流れないことが考えられる。この場合、ステップS29において、ECU50は、異常相が特定できないと判定する。この場合、ECU50が有するフェールセーフ機能により、モータ22を停止する。
なお、図11の処理では、異常発生時電気角θ1が、各相の補正後基準電気角θb2と一致するか否かを判断したが、測定誤差等を考慮した処理が可能であることはいうまでもない。例えば、U相の補正後基準電気角θu1を挟む2つの閾値で定義される領域を設定し、異常発生時電気角θ1が当該領域内にあれば、断線等の異常が発生しているのはU相であると判定することが可能である。
5.異常発生時通電制御(異常発生時通電制御機能108)
(1)全体
図12は、異常発生時通電制御におけるECU50の機能的なブロック図である。以下では、図5と同じ構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように、異常発生時通電制御におけるECU50は、トルク指令値算出部110と、位相補償部112と、ゲイン設定部140と、異常相特定機能102と、基準電圧算出部142と、回転速度算出部144と、補正電圧算出部146と、第1加算器148と、第2加算器150と、第3加算器152と、PWM制御部130とを有する。これらの構成要素を用いてインバータ36の制御が行われる。
(2)トルク指令値算出部110及び位相補償部112
通常時通電制御と同様、トルク指令値算出部110は、トルクセンサ28からの操舵トルクTrと車速センサ30からの車速Vに基づいて第1トルク指令値Tr_c1を算出する。位相補償部112は、第1トルク指令値Tr_c1に位相補償処理を行って第2トルク指令値Tr_c2を算出する。
(3)ゲイン設定部140
図13は、ゲイン設定部140の機能ブロック図である。ゲイン設定部140は、第2トルク指令値Tr_c2と車速Vとに基づいてゲインGphを算出する。図13に示すように、ゲイン設定部140は、絶対値変換部160と、2相通電用の出力電圧テーブル162と、2相通電用の車速ゲインテーブル164と、第1乗算器166と、レートリミット処理部168と、サイン変換器170と、第2乗算器172とを有する。
絶対値変換部160は、第2トルク指令値Tr_c2の絶対値を算出して出力する。2相通電用の出力電圧テーブル162は、第2トルク指令値Tr_c2の絶対値に応じた出力電圧Voutを出力する。出力電圧Voutは、第2トルク指令値Tr_c2に応じたモータ22の出力を設定するものである。
2相通電用の車速ゲインテーブル164は、車速Vに応じたレシオR1を出力する。レシオR1は、例えば、車速Vが高いとき、モータ22の出力を小さくして、操向ハンドル12を切り過ぎることを防止すること等のために用いられる。第1乗算器166は、出力電圧VoutとレシオR1の積Vout×R1を算出して出力する。積Vout×R1は、運転者による操舵トルクTrに車速Vを反映した値となる。
レートリミット処理部168は、積Vout×R1の前回値と今回値の偏差ΔDの絶対値が正の閾値TH_ΔDを超えないように調整する。すなわち、偏差ΔDの絶対値が、閾値TH_ΔD以下である場合、偏差ΔDをそのまま更新値P1として出力する。偏差ΔDが閾値TH_ΔDより大きい正の値である場合、閾値TH_ΔDを更新値P1として出力する。偏差ΔDが閾値TH_ΔDにマイナス1を掛けた値より小さい場合(ΔD<−TH_ΔD)、閾値TH_ΔDにマイナス1を掛けた値を更新値P1として出力する。
サイン変換器170は、第2トルク指令値Tr_c2が正のときには1を出力し、第2トルク指令値Tr_c2が負のときには−1を出力する。サイン変換器170を用いることにより操舵方向を左右で区別することが可能となる。
第2乗算器172は、更新値P1とサイン変換器170からの出力値(−1又は1)との積をゲインGphとして出力する。
(4)基準電圧算出部142
図12に戻り、基準電圧算出部142は、ゲインGphと電気角θと異常相特定機能102の特定結果(いずれの相に異常が発生しているか)とに基づいて各相の基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseを算出する。
具体的には、U相に異常が発生している場合、次の式(1)〜(6)を用いて基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseを算出する。基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseは、運転者の操舵動作に応じて設定した相電圧ゲインである。
(a)0°≦Φ<180°の場合
Vu_base=0 (1)
Vv_base=Gph×(1−0.5sinΦ) (2)
Vw_base=−Gph×(1−0.5sinΦ) (3)
(b)180°≦Φ<360°の場合
Vu_base=0 (4)
Vv_base=Gph×(−1−0.5sinΦ) (5)
Vw_base=−Gph×(−1−0.5sinΦ) (6)
なお、上記式(1)〜(6)では、Φは、電気角θと270°の和として定義される(Φ=θ+270)。但し、0°≦Φ<360°とする。これにより、各基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseは、例えば、図14のようになる。U相に異常が発生している場合、通常時通電制御(3相通電制御)であれば、電気角θが90°及び270°のとき、モータ22の操舵アシスト力が発生しなくなる。しかし、異常発生時通電制御では、図14のように、電気角θが90°及び270°の近傍において、基準電圧Vv_base、Vw_baseを大きくする。これにより、電気角θが90°及び270°のときにモータ22の操舵アシスト力が発生しなくなることの影響を軽減することが可能となる。
V相に異常が発生している場合、次の式(7)〜(12)を用いて基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseを算出する。
(c)0°≦Φ<180°の場合
Vv_base=0 (7)
Vw_base=Gph×(1−0.5sinΦ) (8)
Vu_base=−Gph×(1−0.5sinΦ) (9)
(d)180°≦Φ<360°の場合
Vv_base=0 (10)
Vw_base=Gph×(−1−0.5sinΦ) (11)
Vu_base=−Gph×(−1−0.5sinΦ) (12)
なお、上記式(7)〜(12)では、Φは、電気角θと150°の和として定義される(Φ=θ+150)。但し、0°≦Φ<360°とする。これにより、各基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseは、例えば、図15のようになる。V相に異常が発生している場合、通常時通電制御(3相通電制御)であれば、電気角θが30°及び210°のとき、モータ22の操舵アシスト力が発生しなくなる。しかし、異常発生時通電制御では、図15のように、電気角θが30°及び210°の近傍において、基準電圧Vw_base、Vu_baseを大きくする。これにより、電気角θが30°及び210°のときにモータ22の操舵アシスト力が発生しなくなることの影響を軽減することが可能となる。
W相に異常が発生している場合、次の式(13)〜(18)を用いて基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseを算出する。
(e)0°≦Φ<180°の場合
Vw_base=0 (13)
Vu_base=Gph×(1−0.5sinΦ) (14)
Vv_base=−Gph×(1−0.5sinΦ) (15)
(f)180°≦Φ<360°の場合
Vw_base=0 (16)
Vu_base=Gph×(−1−0.5sinΦ) (17)
Vv_base=−Gph×(−1−0.5sinΦ) (18)
なお、上記式(13)〜(18)では、Φは、電気角θと30°の和として定義される(Φ=θ+30)。但し、0°≦Φ<360°とする。これにより、各基準電圧Vu_base、Vv_base、Vw_baseは、例えば、図16のようになる。W相に異常が発生している場合、通常時通電制御(3相通電制御)であれば、電気角θが150°及び330°のとき、モータ22の操舵アシスト力が発生しなくなる。しかし、異常発生時通電制御では、図16のように、電気角θが150°及び330°の近傍において、基準電圧Vu_base、Vv_baseを大きくする。これにより、電気角θが150°及び330°のときにモータ22の操舵アシスト力が発生しなくなることの影響を軽減することが可能となる。
(5)回転速度算出部144
図12の回転速度算出部144は、レゾルバ42からの電気角θに基づいてモータ22の回転速度ωを算出する。
(6)補正電圧算出部146
補正電圧算出部146は、電気角θと回転速度ωと異常相特定機能102の特定結果(いずれの相に異常が発生しているか)とに基づいて各相の補正電圧Vu_emf、Vv_emf、Vw_emfを算出する。各補正電圧Vu_emf、Vv_emf、Vw_emfは、モータ22による誘起電圧を相殺するためのものである。
具体的には、U相に異常が発生している場合、次の式(19)〜(21)を用いて補正電圧Vu_emf、Vv_emf、Vw_emfを算出する。
Vu_emf=0 (19)
Vv_emf=−(√3/2)Ke×ω×sinΦ (20)
Vw_emf=(√3/2)Ke×ω×sinΦ (21)
なお、上記式(19)〜(21)では、Φは、電気角θと270°の和として定義される(Φ=θ+270)。但し、0°≦Φ<360°とする。また、Keは、1相の誘起電圧定数である。「√3/2」は、誘起電圧を3相成分から2相成分に変換する際の係数である。
V相に異常が発生している場合、次の式(22)〜(24)を用いて補正電圧Vu_emf、Vv_emf、Vw_emfを算出する。
Vv_emf=0 (22)
Vw_emf=−(√3/2)Ke×ω×sinΦ (23)
Vu_emf=(√3/2)Ke×ω×sinΦ (24)
なお、上記式(22)〜(24)では、Φは、電気角θと150°の和として定義される(Φ=θ+150)。但し、0°≦Φ<360°とする。
W相に異常が発生している場合、次の式(25)〜(27)を用いて補正電圧Vu_emf、Vv_emf、Vw_emfを算出する。
Vw_emf=0 (25)
Vu_emf=−(√3/2)Ke×ω×sinΦ (26)
Vv_emf=(√3/2)Ke×ω×sinΦ (27)
なお、上記式(25)〜(27)では、Φは、電気角θと30°の和として定義される(Φ=θ+30)。但し、0°≦Φ<360°とする。
(7)第1加算器148、第2加算器150及び第3加算器152
図12の第1加算器148は、U相の基準電圧Vu_baseと補正電圧Vu_emfとの和をU相電圧目標値Vu_tとして出力する。第2加算器150は、V相の基準電圧Vv_baseと補正電圧Vv_emfとの和をV相電圧目標値Vv_tとして出力する。第3加算器152は、W相の基準電圧Vw_baseと補正電圧Vw_emfとの和をW相電圧目標値Vw_tとして出力する。
(8)PWM制御部130
通常時通電制御と同様、PWM制御部130は、相電圧指令値Vu_t、Vv_t、Vw_tに応じて、パルス幅変調(PWM)制御によりインバータ36を介してモータ22の各相の巻線86を通電する。PWM制御部130は、インバータ36の各SW素子74、80のオンオフを制御することで、各相の巻線86を通電する。
C.本実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、q軸電圧Vqが印加されているにも関わらず、q軸電流Iqの絶対値が閾値TH_Iq以下である補正後基準電気角θb2を算出し、補正後基準電気角θb2に基づいて異常相を判定する。このため、相電流検出用に2つの電流センサ38、40しか有さない構成であっても、異常相の検出が可能となる。
本実施形態によれば、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqより補正電気角θcを特定し、基準電気角θb1と補正電気角θcに基づいて異常相を判定する。これにより、d軸電圧Vdの発生によってq軸電流Iqの絶対値が閾値TH_Iq以下となる電気角θが基準電気角θb1からずれている場合であっても、d軸電圧Vdの影響を考慮して基準電気角θb1を補正することが可能となる。このため、異常相の判定を高精度に行うことが可能となる。
本実施形態では、モータ22の回転速度ωが閾値TH_ω以下のときに異常判定処理を行った。これにより、モータ22による逆起電力が異常相の特定の精度に悪影響を及ぼす場合、特定の精度が確保される場合にのみ異常相の特定を行うことで、誤検出を防止することが可能となる。
II.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
A.異常相の特定
上記実施形態では、いずれかの相に異常が発生しているか否かを判定するための判断基準として、q軸電流Iqがゼロであることを用いた(図7のS14)。しかしながら、これに限らず、ゼロ近傍の正の閾値及び負の閾値を設け、この間にq軸電流Iqが入っていることを判断基準としてもよい。或いは、q軸電流Iqの絶対値が、ゼロ近傍の正の閾値以下であることを判断基準とすることもできる。
上記実施形態では、基準電気角θb1に補正電気角θcを反映した補正後基準電気角θb2を用いて異常相を判定したが、d軸電圧Vdが発生していない場合のみについて判定を限定し、基準電気角θb1を用いて異常相を判定することも可能である。
B.異常発生時通電制御における各値の出力の例
図17〜図22は、異常発生時通電制御におけるモータ22の電気角θと各相の出力電圧との関係の第1変形例〜第6変形例を示す。換言すると、図17〜図22の例では、ゲイン設定部140における処理の変形例を示している。なお、図17〜図22ではいずれもW相が断線した場合を前提としている。
図17は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて台形波で出力した例である。
図18は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて「(1−0.5sinθ)」の波形で出力した例である。
図19は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて「1/cos(θ−60°)」の波形で出力した例である。但し、通常時通電制御における最大電圧の1.5倍より大きくなる電圧についてはリミット制御を行っている。
図20は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて「1/cos(θ−60°)」の波形で出力した例である。但し、通常時通電制御における最大電圧の2倍より大きくなる電圧についてはリミット制御を行っている。
図21は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて「1/cos(θ−60°)」の波形で出力した例である。但し、通常時通電制御における最大電圧の3倍より大きくなる電圧についてはリミット制御を行っている。
図22は、U相電圧Vu及びV相電圧Vvを、電気角θ、第2トルク指令値Tr_c2及び車速Vに応じて「1/cos(θ−60°)」の波形で出力した例である。
C.モータ22の回転速度ωの利用
上記実施形態では、回転速度ωと閾値TH_ωとを比較し、回転速度ωが閾値TH_ω以下であるときのみ異常判定処理を行った(図4)。しかしながら、回転速度ωと閾値TH_ωとを比較しない構成も可能である。
10…電動パワーステアリング装置 22…モータ
36…インバータ
42…レゾルバ(回転角度検出手段)
50…ECU(電流座標変換手段、電圧座標変換手段、回転速度検出手段)

Claims (2)

  1. モータに3相の交流電力を供給するインバータと、
    前記3相に流れる電流を励磁電流成分であるd軸電流と、トルク電流成分であるq軸電流とのd−q座標電流に変換する電流座標変換手段と、
    前記モータに印加される3相電圧を、d軸電圧及びq軸電圧に変換する電圧座標変換手段と、
    前記モータの回転角度を検出する回転角度検出手段と
    を備え、
    前記q軸電圧が印加されているにも関わらず、前記q軸電流が第1閾値以下である基準電気角を算出し、
    前記基準電気角に基づいて異常相を判定し、
    前記d軸電圧が発生している状態において、
    前記d軸電圧及び前記q軸電圧より補正電気角を算出し、
    前記基準電気角と前記補正電気角に基づいて異常相を判定する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    前記回転速度が第2閾値以下のときに異常相を判定する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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