JP2011230531A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 演算負荷を高めずに精度良く誘起電圧を計算して電気角を推定する。
【解決手段】 簡易誘起電圧演算部111は、モータ20のインダクタンスLによる電圧成分(L・dI/dt)を含めない簡易誘起電圧e’を計算する。補正ゲイン設定部113は、補正ゲインマップを参照して、q軸指令電流Iq*が大きくなるほど小さくなる補正ゲインKLを設定する。誘起電圧補正部114は、簡易誘起電圧e’に補正ゲインKLを乗算して誘起電圧eを求める。これにより、微分演算処理を行わずに精度良く誘起電圧を計算することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、永久磁石同期モータのセンサレス制御に関する。
従来から、電動パワーステアリング装置は、運転者のハンドル操作をアシストする電動モータと、運転者が操舵ハンドルに入力した操舵トルクに応じた目標アシストトルクを設定して電動モータを駆動制御する電子制御ユニット(以下、ECUと呼ぶ)を備えている。電動モータとしてブラシレスDCモータを使用した電動パワーステアリング装置も一般化されている。ブラシレスDCモータは、インバータのスイッチング制御によりU相,V相,W相への通電が行われる。従って、ブラシレスDCモータを使用する場合には、回転子の電気角を検出するための回転角センサが設けられる。
回転角センサが故障した場合には、モータの制御が不能となる。そこで、回転角センサが故障した場合には、モータで発生する誘起電圧(逆起電力)に基づいて電気角を推定し、この推定した電気角(推定電気角)を使ってモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置が知られている。このように推定電気角を使ったモータの制御は、センサレス制御と呼ばれている。
センサレス制御においては、モータで発生する誘起電圧と角速度とが比例関係を有することを利用して、誘起電圧からモータ角速度を算出する。そして、センサレス制御の演算周期とモータ角速度とから、1周期あたりにモータが回転した角度を求め、1周期前の電気角にこの回転角度をモータ回転方向に加算することで現時点の電気角、つまり、推定電気角を算出する。こうしたセンサレス制御については、例えば、特許文献1に提案されている。
特開2008−87756号公報
ところが、モータで発生する誘起電圧には、モータコイルのインダクタンスLによる電圧分(L・dI/dt)が含まれ、誘起電圧の計算に微分演算が必要となり、マイクロコンピュータの演算負担が高くなってしまう。かといって、インダクタンスLによる電圧分を無視した簡易計算にすれば、マイクロコンピュータの演算負担は軽くなるものの、電気角の推定精度が低下してしまう。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、演算負荷を高めずに精度良く誘起電圧を計算して電気角を推定することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、永久磁石同期モータ(20)で発生する誘起電圧を演算し、その演算値である演算誘起電圧に基づいて前記モータの電気角を推定する電気角推定手段(110)を備え、前記推定した電気角である推定電気角に基づいて前記モータを駆動制御するモータ制御装置において、
前記電気角推定手段(110)は、前記モータのインダクタンスによる電圧成分を含めない簡易誘起電圧を演算により求める簡易誘起電圧演算手段(111)と、前記簡易誘起電圧の誤差を補償するための補正ゲインとモータ電流との対応関係を記憶した補正ゲイン記憶手段(112)と、前記モータの駆動制御時におけるモータ電流に基づいて、前記補正ゲイン記憶手段から前記モータ電流に対応する前記補正ゲインを取得する補正ゲイン取得手段(113)と、前記補正ゲイン取得手段(113)により取得した補正ゲインを用いて前記簡易誘起電圧の誤差を補償する誤差補償手段(114)とを備えたことにある。
本発明のモータ制御装置は、永久磁石同期モータを駆動制御するものであり、その駆動制御にあたって必要となる電気角を電気角推定手段により推定する。電気角は、永久磁石同期モータで発生する誘起電圧に基づいて推定することができる。例えば、モータで発生する誘起電圧を所定時間毎に計算して求め、この誘起電圧からモータの推定角速度を計算する。そして、この推定角速度でモータが所定時間当たりに回転する量を電気角加算量として計算し、所定時間前の推定電気角に電気角加算量をモータ回転方向に加算することで推定電気角を算出するとよい。こうした演算処理は、マイクロコンピュータにより実施することができる。
モータで発生する誘起電圧は、モータに流れる電流と、モータに印加される電圧とから計算することができるが、その計算式には、モータのインダクタンスLによる電圧成分(L・dI/dt)が含まれるため、電流の微分演算が必要となる。このため、電気角推定手段の演算負担が大きくなってしまう。そこで、本発明においては、電流の微分演算を行わずに電気角を推定するために、簡易誘起電圧演算手段と、補正ゲイン記憶手段と、補正ゲイン取得手段と、誤差補償手段とを備えている。
簡易誘起電圧演算手段は、モータのインダクタンスによる電圧成分を含めない簡易誘起電圧を演算により求める。簡易誘起電圧演算手段で演算された簡易誘起電圧には、インダクタンスによる電圧成分だけ誤差が生じる。この誤差は、モータ電流とモータ角速度とに応じて変化する。また、モータで発生する誘起電圧はモータ角速度に比例することから、インダクタンスによる電圧成分を含めない簡易誘起電圧と実際の誘起電圧との比は、モータ電流と相関関係を有することになる。そこで、補正ゲイン記憶手段は、この簡易誘起電圧の誤差を補償するための補正ゲインとモータ電流との対応関係を記憶している。補正ゲイン取得手段は、モータの駆動制御時におけるモータ電流に基づいて、補正ゲイン記憶手段からモータ電流に対応する補正ゲインを取得する。そして、誤差補償手段が、補正ゲイン取得手段により取得した補正ゲインを用いて簡易誘起電圧の誤差を補償する。
従って、電流の微分演算を行わなくても精度良く誘起電圧を推定することができる。この結果、マイクロコンピュータの演算負荷を高めずに精度良く電気角を推定することができる。また、マイクロコンピュータに高い演算処理能力を必要としなく、低コストにて実施することができる。尚、補正ゲイン記憶手段は、補正ゲインとモータ電流との対応関係をマップあるいは計算式にて記憶しておくとよい。また、モータ電流としては、モータを駆動制御するためのモータ指令電流であってもよいし、実際にモータに流れた実電流であってもよい。
本発明の他の特徴は、前記補正ゲイン記憶手段(112)は、前記モータ電流が大きくなるほど小さくなる値に設定される補正ゲイン(KL)を記憶し、前記誤差補償手段(134)は、前記簡易誘起電圧に前記補正ゲインを乗じた値を前記演算誘起電圧とすることにある。
実際の誘起電圧(e)に対する簡易誘起電圧(e’)の比(e’/e)は、モータ電流が大きくなるほど大きくなる。そこで、本発明においては、モータ電流が大きくなるほど小さくなる値に設定される補正ゲイン(KL)を記憶しており、簡易誘起電圧に補正ゲインを乗じた値を演算誘起電圧として求める。従って、簡易誘起電圧の誤差を簡単に補償することができる。尚、補正ゲインは、1以下の正の値である。
本発明の他の特徴は、車両のステアリング機構に設けられて操舵アシストトルクを出力する永久磁石同期モータ(20)を駆動制御するモータ制御装置(100)であることにある。
この場合、操舵ハンドルからステアリングシャフトに入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(21)と、前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクが大きくなるほど前記操舵アシストトルクが大きくなるようにモータ指令電流を演算するモータ指令電流演算手段(101)と、前記モータの電気角を検出するための回転角センサ(22)と、前記回転角センサの異常を検出するためのセンサ異常検出手段(131)と、前記モータ指令電流演算手段により演算されたモータ指令電流にしたがって、前記回転角センサの異常が検出されていないときには前記回転角センサにより検出された電気角を用いて前記モータを駆動制御し、前記回転角センサの異常が検出されているときには前記電気角推定手段により算出された推定電気角を用いて前記モータを駆動制御する(132)とよい。
本発明においては、車両の電動パワーステアリング装置の電気アクチュエータとして永久磁石同期モータを備えており、この永久磁石同期モータを駆動制御する。モータ制御装置は、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクが大きくなるほど操舵アシストトルクが大きくなるようにモータ指令電流を演算し、モータに流れる電流がモータ指令電流に追従するようにモータの通電を制御する。この場合、回転角センサにより検出された電気角を用いて、モータに流す電流の位相を制御する。回転角センサに異常が発生したときには、そのままモータを駆動制御することができなくなる。そこで、回転角センサの異常を検出するためのセンサ異常検出手段を備え、回転角センサの異常が検出されたときには、推定電気角を用いてモータを駆動制御する。
操舵アシストの制御に加えて、電気角の推定演算処理を行おうとすると、マイクロコンピュータの演算負担が大きくなってしまう。そこで、本発明においては、微分演算処理の要らない簡易誘起電圧と、予め記憶された補正ゲインとを用いて推定電気角を演算するため、演算負担が少なくてすむ。この結果、低コストにて、操舵アシスト制御にセンサレス制御を適切に組み込むことが可能となる。
本発明の他の特徴は、前記補正ゲイン記憶手段は、前記補正ゲイン(KL)と前記モータ指令電流(Iq*)との対応関係を記憶し、前記補正ゲイン取得手段は、前記モータ指令電流に基づいて、前記補正ゲイン記憶手段から前記モータ指令電流に対応する前記補正ゲインを取得することにある。
本発明においては、モータ電流として、モータ指令電流を用いる。従って、補正ゲイン記憶手段には、補正ゲインとモータ指令電流との対応関係が記憶されており、補正ゲイン取得手段が、モータ指令電流に基づいて、モータ指令電流に対応する補正ゲインを取得する。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件を前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 アシストECUのマイクロコンピュータの処理を表す機能ブロック図である。 電気角推定部の処理を表す機能ブロック図である。 アシストマップを表すグラフである。 誘起電圧の計算説明に用いるモータの回路図である。 簡易誘起電圧の誤差特性を表すグラフである。 モータ電流に応じて変化する実誘起電圧に対する簡易誘起電圧の比を表すグラフである。 補償ゲインマップを表すグラフである。 変形例としての電気角推定部の処理を表す機能ブロック図である。 変形例としての電気角推定部の処理を表す機能ブロック図である。
以下、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により転舵輪を転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動するためのモータ駆動回路30と、電動モータ20の作動を制御する電子制御装置100とを主要部として備えている。以下、電子制御装置100をアシストECU100と呼ぶ。アシストECU100は、本発明のモータ制御装置に相当する。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FWL,FWRを転舵するための機構で、操舵ハンドル11を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備える。このステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左右前輪FWL,FWRのナックル(図示略)が操舵可能に接続されている。左右前輪FWL,FWRは、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。
ラックバー14には、電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20は、本発明の永久磁石同期モータに相当するものであり、本実施形態においては、その代表例である3相ブラシレスDCモータが用いられる。電動モータ20(以下、単にモータ20と呼ぶ)の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FWL,FWRに転舵力を付与して操舵操作をアシストする。ボールねじ機構16は、減速機および回転−直線変換器として機能するもので、モータ20の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ21が設けられる。操舵トルクセンサ21は、例えば、ステアリングシャフト12の中間部に介装されたトーションバー(図示略)の捩れ角度をレゾルバ等により検出し、この捩れ角に基づいてステアリングシャフト12に働いた操舵トルクTrを検出する。操舵トルクTrは、正負の値により操舵ハンドル11の操作方向が識別される。本実施形態においては、操舵ハンドル11の右方向への操舵時における操舵トルクTrを正の値で、操舵ハンドル11の左方向への操舵時における操舵トルクTrを負の値で示す。尚、本実施形態においては、トーションバーの捩れ角度をレゾルバにより検出するが、エンコーダ等の他の回転角センサにより検出することもできる。
モータ20には、回転角センサ22が設けられる。この回転角センサ22は、モータ20内に組み込まれ、モータ20の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を出力するもので、例えば、レゾルバにより構成される。回転角センサ22は、モータ20の回転角θmを表す検出信号をアシストECU100に出力する。アシストECU100は、この回転角θmからモータ20の電気角θeを検出する。尚、モータ20の電気角θeは、回転角センサ22により検出された電気角と、後述する推定により求めた電気角との2種類あるため、両者を区別する必要がある場合には、回転角センサ22により検出された電気角を実電気角θeaと呼び、推定により求めた電気角を推定電気角θebと呼ぶ。また、本実施形態においては、回転角センサ22としてレゾルバを使用しているが、エンコーダ等の他の回転角センサを用いることもできる。
モータ駆動回路30は、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなる6個のスイッチング素子31〜36により3相インバータ回路を構成したものである。具体的には、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32とを直列接続した回路と、第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34とを直列接続した回路と、第5スイッチング素子35と第6スイッチング素子36とを直列接続した回路とを並列接続し、各直列回路における2つのスイッチング素子間(31−32,33−34,35−36)からモータ20への電力供給ライン37を引き出した構成を採用している。
モータ駆動回路30には、モータ20に流れる電流を検出する電流センサ38が設けられる。この電流センサ38は、各相(U相,V相,W相)ごとに流れる電流をそれぞれ検出し、その検出した電流値Iu,Iv,Iwに対応した検出信号をアシストECU100に出力する。以下、この測定された3相の電流値をモータ相電流Iuvwと総称する。また、モータ駆動回路30には、モータ20の端子電圧を検出する電圧センサ39が設けられる。電圧センサ39は、各相(U相,V相,W相)の端子電圧をそれぞれ検出し、その検出した電圧値Vu,Vv,Vwに対応した検出信号をアシストECU100に出力する。以下、この測定された3相の端子電圧をモータ端子電圧Vuvwと総称する。
モータ駆動回路30の各スイッチング素子31〜36は、それぞれゲートがアシストECU100に接続され、アシストECU100から出力されるPWM制御信号によりデューティ比が制御される。これによりモータ20の駆動電圧が目標電圧に調整される。
アシストECU100は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成される。アシストECU100は、操舵トルクセンサ21、回転角センサ22、電流センサ38、電圧センサ39、および、車速を検出する車速センサ25を接続し、操舵トルクTr、回転角θm、モータ相電流Iu,Iv,Iw、モータ端子電圧Vu,Vv,Vw、車速vを表す検出信号を入力する。そして、入力した検出信号に基づいて、運転者の操舵操作に応じた最適な操舵アシストトルク(以下、単にアシストトルクと呼ぶ)が得られるようにモータ20に流す指令電流を演算し、その指令電流が流れるようにモータ駆動回路30の各スイッチング素子31〜36のデューティ比を制御する。
次に、電動パワーステアリング装置の電源供給系統について説明する。電動パワーステアリング装置は、車載電源装置80から電源供給される。車載電源装置80は、定格出力電圧12Vの一般的な車載用のバッテリ81と、エンジンの回転により発電する定格出力電圧14Vのオルタネータ82とを並列接続して構成される。車載電源装置80には、電源供給元ライン83と接地ライン84が接続される。電源供給元ライン83は、制御系電源ライン85と駆動系電源ライン86とに分岐する。制御系電源ライン85は、アシストECU100に電源供給するための電源ラインとして機能する。駆動系電源ライン86は、モータ駆動回路30とアシストECU100との両方に電源供給する電源ラインとして機能する。
制御系電源ライン85には、イグニッションスイッチ87が接続される。駆動系電源ライン86には、主電源リレー88が接続される。この主電源リレー88は、アシストECU100からの制御信号によりオンしてモータ20への電力供給回路を形成するものである。制御系電源ライン85は、アシストECU100の電源+端子に接続されるが、連結ライン90を介して、主電源リレー88よりも負荷側となる駆動系電源ライン86にも接続される。また、制御系電源ライン85には、イグニッションスイッチ87よりも負荷側(アシストECU100側)にダイオード89がアノードを車載電源装置80側に向けて設けられる。連結ライン90には、ダイオード91がアノードを駆動系電源ライン86側に向けて設けられる。従って、連結ライン90を介して駆動系電源ライン86から制御系電源ライン85には電源供給できるが、制御系電源ライン85から駆動系電源ライン86には電源供給できないような回路構成となっている。駆動系電源ライン86および接地ライン84は、モータ駆動回路30の電源入力部に接続される。また、接地ライン84は、アシストECU100の接地端子にも接続される。
次に、アシストECU100が行うモータ20の制御について説明する。アシストECU100は、モータ20の回転子に設けられた永久磁石の磁界が貫く方向にd軸、d軸に直交する方向(d軸に対して電気角がπ/2だけ進んだ方向)にq軸を定めたd−q座標を用いた電流ベクトル制御によってモータ20の回転を制御する。電気角θeは、U相コイルを貫く軸とd軸との回転角となる。電流ベクトルのd軸成分をd軸電流と呼び、q軸成分をq軸電流と呼ぶ。q軸電流は、q軸方向に磁界が発生するように作用する。従って、q軸電流は、モータトルクを発生させる。一方、d軸電流は、d軸方向に磁界を発生させるため、モータトルクを発生できず、弱め界磁制御に使用される。アシストECU100は、最大のモータトルク効率を得るために、電流ベクトルがq軸上を移動するように電流位相を制御する(d軸電流をゼロ)。
アシストECU100は、こうした電流ベクトル制御を行うにあたって、電気角θeを検出することによりd−q座標を定める。この電気角θeは、回転角センサ22により検出される回転角信号から求められるが、回転角センサ22が故障した場合には、電気角θeを求めることができない。そこで、アシストECU100は、回転角センサ22が故障した場合には、後述する処理により推定電気角θebを算出し、その推定電気角θebを使って電流ベクトル制御を行う。推定電気角θebを使って行うモータ制御をセンサレス制御と呼ぶ。
次に、アシストECU100の機能について図2を用いて説明する。図2は、アシストECU100のマイクロコンピュータのプログラム制御により処理される機能を表す機能ブロック図である。アシストECU100は、アシスト電流指令部101を備えている。アシスト電流指令部101は、図4に示すように、操舵トルクTrと車速vとに応じて目標アシストトルクT*を設定するためのアシストマップを記憶している。アシスト電流指令部101は、操舵トルクセンサ21から出力される操舵トルクTr及び車速センサ25から出力される車速vを入力して、このアシストマップを参照することにより目標アシストトルクT*を計算する。この場合、目標アシストトルクT*は、操舵トルクTrの増加にしたがって増加するとともに車速vの増加にしたがって減少する。尚、図4は、右方向の操舵時におけるアシストマップであって、左方向の操舵時におけるアシストマップは、右方向のものに対して操舵トルクTrと目標アシストトルクT*の符号をそれぞれ反対(つまり負)にしたものとなる。アシスト電流指令部101は、計算した目標アシストトルクT*をトルク定数で除算することにより、d−q座標におけるq軸指令電流Iq*を算出する。また、アシスト電流指令部101は、d軸指令電流Id*をゼロ(Id*=0)に設定する。
このように計算されたq軸指令電流Iq*とd軸指令電流Id*は、フィードバック制御部102に出力される。フィードバック制御部102は、q軸指令電流Iq*からq軸実電流Iqを減算した偏差ΔIqを算出し、この偏差ΔIqを使った比例積分制御によりq軸実電流Iqがq軸指令電流Iq*に追従するようにq軸指令電圧Vq*を計算する。同様に、d軸指令電流Id*からd軸実電流Idを減算した偏差ΔIdを算出し、この偏差ΔIdを使った比例積分制御によりd軸実電流Idがd軸指令電流Id*に追従するようにd軸指令電圧Vd*を計算する。
q軸実電流Iqおよびd軸実電流Idは、モータ20のコイルに実際に流れた3相電流の検出値Iu,Iv,Iwをd−q座標の2相電流に変換したものである。この3相電流Iu,Iv,Iwからd−q座標の2相電流Id,Iqへの変換は、3相/2相座標変換部103によって行われる。3相/2相座標変換部103は、電気角選択部132から出力される電気角θeを入力し、その電気角θeに基づいて、電流センサ38により検出した3相電流Iu,Iv,Iwをd−q座標の2相電流Id,Iqに変換する。
3相座標からd−q座標に変換する変換行列Cは次式(1)にて表される。
Figure 2011230531
尚、電気角選択部132は、後述するが、回転角センサ22の異常が検出されていないときは、モータ20の実電気角θeaを電気角θeとして出力し、回転角センサ22の異常が検出されているときは、モータ20の推定電気角θebを電気角θeとして出力する。
フィードバック制御部102により算出されたq軸指令電圧Vq*とd軸指令電圧Vd*は、2相/3相座標変換部105に出力される。2相/3相座標変換部105は、電気角選択部132から出力される電気角θeに基づいて、q軸指令電圧Vq*とd軸指令電圧Vd*を3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に変換して、その変換した3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*をPWM信号発生部106に出力する。PWM信号発生部106は、3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に対応したPWM制御信号をモータ駆動回路30のスイッチング素子31〜36に出力する。これによりモータ20が駆動され、目標アシストトルクT*に追従したアシストトルクがステアリング機構10に付与される。
回転角センサ22から出力される回転検出信号は、実電気角変換部130とセンサ異常検出部131とに出力される。実電気角変換部130は、回転角センサ22により出力される回転検出信号からモータ20の実電気角θeaを算出し、算出した実電気角θeaを電気角選択部132に出力する。センサ異常検出部131は、回転角センサ22から出力される回転検出信号に基づいて、回転角センサ22の異常を検出する。回転角センサ22としてレゾルバを採用した場合には、レゾルバ内の検出用コイルや励磁用コイルが断線したり絶縁不良を起こしたりすることが考えられる。そこで、センサ異常検出部131は、検出用コイルの出力信号の振幅を監視し、その振幅が予め設定した許容範囲から外れた場合には、センサ異常と判定する。また、検出用コイルは、出力信号がπ/2だけ位相がずれるように一対設けられるため、2つの出力信号を比較して異常を検出することもできる。例えば、一方の検出用コイルから正弦波信号が出力されているときに、他方の検出用コイルから一定値信号が出力されているときなど、2つの出力信号の組み合わせが矛盾するケースにおいても異常であると判定することができる。センサ異常検出部131は、このようにして回転角センサ22の異常の有無を判定し、異常の有無を表すセンサ異常判定信号Fを出力する。センサ異常検出部131は、例えば、異常有りと判定した場合には、センサ異常判定信号Fを「1」に設定し、異常無しと判定した場合にはセンサ異常判定信号Fを「0」に設定する。
回転角センサ22に異常が発生した場合には、電気角を検出できなくなるため、電流ベクトル制御にてモータ20を駆動できなくなる。そこで、アシストECU100には、回転角センサ22の異常時においてもモータ20の回転制御を継続できるように、電気角を推定する電気角推定部110を備えている。電気角推定部110は、センサ異常判定信号(F=1)を入力すると作動を開始する。電気角推定部110は、マイクロコンピュータのプログラム制御により実施される機能に着目すると、図3に示すように、簡易誘起電圧演算部111と、補正ゲインマップ記憶部112と、補正ゲイン設定部113と、誘起電圧補正部114と、推定角速度演算部115と、電気角加算量演算部116と、回転方向推定部117と、推定電気角演算部118とから構成される。
ここで、モータ20で発生する誘起電圧の計算方法について説明する。図5に示すように、モータ20のU相の誘起電圧をeu、V相の誘起電圧をev、W相の誘起電圧をewとすると、誘起電圧eu,ev,ewは次式(2),(3),(4)にて求められる。
eu=Vu−Iu・R−L・(dIu/dt)−Vm ・・・(2)
ev=Vv−Iv・R−L・(dIv/dt)−Vm ・・・(3)
ew=Vw−Iw・R−L・(dIw/dt)−Vm ・・・(4)
ここで、Rは各相のコイルの巻線抵抗、Lは各相のコイルのインダクタンス、Vmは中点電圧である。中点電圧Vmは、Vm=(Vu+Vv+Vw)/3として計算することができる。
誘起電圧の計算式(2)、(3)、(4)には、インダクタンスLによる電圧成分を表す微分項が含まれる。このため、この計算式を用いて演算する場合には、マイクロコンピュータの演算負担が大きくなる。そこで、簡易誘起電圧演算部111は、微分項を除いた次式(5)、(6)、(7)にて3相の誘起電圧を簡易計算する。この場合、簡易誘起電圧演算部111は、電圧センサ39から出力されるモータ端子電圧Vu,Vv,Vwを表す検出信号と、電流センサ38から出力されるモータ相電流Iu,Iv,Iwを表す検出信号とを入力して計算する。
eu=Vu−Iu・R−Vm ・・・(5)
ev=Vv−Iv・R−Vm ・・・(6)
ew=Vw−Iw・R−Vm ・・・(7)
簡易誘起電圧演算部111は、次式(8)により、3相の誘起電圧eu,ev,ewを2相のd−q座標系における誘起電圧ed,eqに変換し、次式(9)により、モータ20の誘起電圧e’を求める。以下、微分項を除いて計算した誘起電圧e’を簡易誘起電圧e’と呼ぶ。
Figure 2011230531
Figure 2011230531
簡易誘起電圧演算部111は、簡易誘起電圧e’の演算結果を誘起電圧補正部114に出力する。尚、式(8)における電気角θeは、現時点において推定されている電気角となる。つまり、後述するように所定の短い周期で繰り返し計算される推定電気角θebの最新値が使用される。
誘起電圧補正部114は、簡易誘起電圧演算部111により演算された簡易誘起電圧e’と補正ゲイン設定部113により設定された補正ゲインKLとを入力し、簡易誘起電圧e’に補正ゲインKLを乗じることにより、補正した誘起電圧eを演算する(e=KL・e’)。
補正ゲイン設定部113は、アシスト電流指令部101からq軸指令電流Iq*を入力するとともに、補正ゲインマップ記憶部112に記憶されている補正ゲインマップを参照して、q軸指令電流Iq*に応じた補正ゲインKLを設定し、補正ゲインKLを誘起電圧補正部114に出力する。補正ゲインマップ記憶部112は、図8に示すように、q軸指令電流Iq*と補正ゲインKLとの対応関係を設定した補正ゲインマップを記憶している。q軸指令電流Iq*は、本発明のモータ電流、あるいは、モータ指令電流に相当する。
ここで補正ゲインKLの設定について説明する。上記のように簡易計算式を用いてモータ20の誘起電圧(簡易誘起電圧)を演算した場合、図6に示すように、簡易誘起電圧には、モータ20の角速度および電流値に応じた誤差Δeが発生する。図6は、代表的なモータ電流値ごとに、モータ角速度に対応する誘起電圧の誤差(簡易誘起電圧−実誘起電圧)をプロットした特性図である。
誘起電圧は、基本的にモータ角速度に比例するという特性を有する。従って、実誘起電圧に対する簡易誘起電圧の比を求めた場合、その比(簡易誘起電圧/実誘起電圧)は、図7に示すように、モータ電流に応じた値となり、モータ電流が大きくなるほど大きくなる。このため、簡易誘起電圧とモータ電流とが分かれば、実誘起電圧に相当する誘起電圧を求めることができる。つまり、図7に示した特性に基づいて、モータ電流に応じた誘起電圧比(簡易誘起電圧/実誘起電圧)の逆数を、簡易誘起電圧に乗じることで実誘起電圧に相当する誘起電圧を求めることができる。
そこで、本実施形態においては、図8に示ように、モータ電流に応じた誘起電圧比の逆数を補正ゲインKLとして設定した補正ゲインマップを予め作成して補正ゲインマップ記憶部112に記憶しておく。この補正ゲインマップにおいては、補正ゲインKLは、1以下の正の値であって、モータ電流が大きくなるほど小さくなる値に設定される。この場合、補正ゲイン設定部113は、補正ゲインマップにおけるモータ電流としてq軸指令電流Iq*を用いて、補正ゲインマップからq軸指令電流Iq*に対応した補正ゲインKLを設定する。
従って、誘起電圧補正部114により演算された誘起電圧e、つまり、簡易誘起電圧e’に補正ゲインKLを乗算した誘起電圧e(=KL・e’)は、簡易演算により生じる誤差が補償されて、実誘起電圧に近い値となる。誘起電圧補正部114により演算された誘起電圧eは、推定角速度演算部115に出力される。
推定角速度演算部115は、モータ20で発生する誘起電圧eとモータ角速度とが比例関係を有することを利用して、モータ角速度ωを次式(10)により推定する。
ω=e/Ke ・・・(10)
Keは、モータ20の角速度と誘起電圧との関係を表すモータ誘起電圧定数〔V/(rad/s)〕である。以下、推定されたモータ角速度ωを推定角速度ωと呼ぶ。
推定角速度演算部115は、演算結果である推定角速度ωを電気角加算量演算部116に出力する。電気角推定部110は、マイクロコンピュータにより所定の短い演算周期にて各種の演算処理を行う。従って、推定角速度ωと演算周期とから、1演算周期の間にモータ20の回転子が回転した電気角を求めることができる。そこで、電気角加算量演算部116は、1演算周期の間にモータ20の回転子が回転した電気角を電気角加算量Δθとして計算する。
この場合、電気角を加算する方向、つまり、モータ20の回転方向を判別する必要があるため、電気角加算量演算部116は、回転方向推定部117からモータ20の回転方向を表す情報を入力する。回転方向推定部117は、操舵トルクセンサ21により検出される操舵トルクTrの向きをモータ20の回転方向とみなして、操舵トルクTrの向き(符号)を表す情報として出力する。
電気角加算量Δθは次式(11)により算出される。
Δθ=Kf・sign(Tr)・ω ・・・(11)
ここでKfは、モータ角速度(rad/s)から1演算周期のあいだにモータ20の回転子が回転する電気角(rad)を求めるための定数であり、演算周期(s)に相当する。また、sign(Tr)は、操舵トルクTrの符号(ステアリングシャフト12に働くトルクの方向)を表し、操舵トルクTrが正の値またはゼロであればsign(Tr)=1、操舵トルクTrが負の値であればsign(Tr)=−1となる。
電気角加算量演算部116は、演算結果である電気角加算量Δθを推定電気角演算部118に出力する。推定電気角演算部118は、1周期前の演算タイミングで算出した推定電気角θeb(n-1)を記憶しており、この推定電気角θeb(n-1)に電気角加算量Δθを加算することにより現在の推定電気角θeb(n)を算出する。推定電気角θeb(n)は、次式(12)にて表される。
θeb(n)=θeb(n-1)+Δθ ・・・(12)
この場合、推定電気角θeb(n-1)の初期値は、センサ異常検出部131により回転角センサ22の異常が検出される直前の値としている。推定電気角演算部118は、回転角センサ22の異常が検出されていない時から、実電気角変換部130が出力する実電気角θeaを入力して記憶更新し、センサ異常検出部131の出力するセンサ異常判定信号Fが回転角センサ22の異常を表す「1」に切り替わったことを検出すると、異常検出直前の実電気角θeaを推定電気角θeb(n-1)に設定して、上述した推定電気角θeb(n)の演算を開始する。また、その後は、算出した推定電気角θeb(n)を次の演算周期における式(12)での推定電気角θeb(n-1)として使用するため、推定電気角θeb(n)を推定電気角θeb(n-1)として逐次記憶更新する。以下、推定電気角θeb(n)を単に推定電気角θebと呼ぶ。
推定電気角演算部118は、算出した推定電気角θebを電気角選択部132に出力する。電気角選択部132は、実電気角θeaと推定電気角θebとを入力し、センサ異常検出部131からセンサ異常判定信号Fを読み込んで、センサ異常判定信号Fが回転角センサ22が異常であることを表す「1」である場合には推定電気角θebを選択する。また、センサ異常判定信号Fが回転角センサ22が正常であることを表す「0」である場合には実電気角θeaを選択する。電気角選択部132は、選択した実電気角θeaまたは推定電気角θebを電気角θeとして出力する。
電気角θeは、3相/2相座標変換部104,2相/3相座標変換部105に出力され、上述した座標変換演算に用いられる。従って、アシストECU100は、回転角センサ22の異常が検出されているときは、推定電気角により定義されるd−q座標を使って電流ベクトル制御を行う。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、モータ20のインダクタンスLによる電圧分を含めない簡易誘起電圧e’を計算するとともに、モータ電流と補正ゲインとの関係を記憶した補正ゲインマップを参照して簡易誘起電圧e’を補正して誘起電圧誤差を補償する。従って、アシストECU100のマイクロコンピュータの演算負担の軽減と、電気角の推定精度確保とを両立することができる。このため、回転角センサ22の異常時においても、良好にモータ20を駆動制御することができる。また、マイクロコンピュータに高い演算処理能力を必要としなく、低コストにて実施することができる。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、簡易誘起電圧e’に補正ゲインKLを乗じて誘起電圧eを計算したが、図9に示すように、補正ゲインKLを推定角速度演算部115に入力し、推定角速度ωの計算時に補正ゲインKLを乗じるようにしても実質的に実施形態と同一である。この場合、モータ角速度ωは、次式(13)により計算される。
ω=KL・e’/Ke ・・・(13)
また、図10に示すように、補正ゲインKLを電気角加算量演算部116に入力し、電気角加算量Δθの計算時に補正ゲインKLを乗じるようにしても実質的に実施形態と同一である。この場合、電気角加算量Δθは次式(14)により計算される。
Δθ=KL・Kf・sign(Tr)・ω ・・・(14)
また、本実施形態においては、モータ電流と補正ゲインとの対応関係を補正ゲインマップという形態で記憶しているが、補正ゲインマップに代えて、モータ電流に応じて変化する補正ゲインKLを定義した関数を記憶しておき、その関数を用いて補正ゲインKLを計算するようにしてもよい。
また、本実施形態では、操舵トルクセンサ21により検出される操舵トルクTrの方向をモータ20の回転方向とみなして推定電気角を演算するが、操舵角センサ等、モータ20の回転方向を検出できるセンサを備えている場合には、そのセンサの検出値を使ってモータ20の回転方向を推定するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、推定電気角の初期値θeb(n-1)として、回転角センサ22の異常が検出される直前の実電気角θeaの値を用いているが、それに代えて固定値など任意の値を用いても良い。これは、初期の推定電気角が実電気角と相違していても、モータ20が回転しているうちに、電流ベクトルの方向に永久磁石が引き寄せられて同期するからである。
また、本実施形態においては、モータ20の発生するトルクをラックバー14に付与するラックアシスト式の電動パワーステアリング装置について説明したが、モータ20の発生するトルクをステアリングシャフト12に付与するコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
また、本実施形態においては、電動パワーステアリング装置のモータを制御対象としているが、制御対象は、必ずしも、電動パワーステアリング装置のモータに限るものではない。
10…ステアリング機構、11…操舵ハンドル、20…電動モータ、21…操舵トルクセンサ、22…回転角センサ、25…車速センサ、30…モータ駆動回路、38…電流センサ、39…電圧センサ、100…電子制御装置(アシストECU)、101…アシスト電流指令部、102…フィードバック制御部、103…3相/2相座標変換部、105…2相/3相座標変換部、106…PWM制御信号発生部、110…電気角推定部、111…簡易誘起電圧演算部、112…補正ゲインマップ記憶部、113…補正ゲイン設定部、114…誘起電圧補正部、115…推定角速度演算部、116…電気角加算量演算部、117…回転方向推定部、118…推定電気角演算部、130…実電気角変換部、131…センサ異常検出部、132…電気角選択部、e…誘起電圧、e’…簡易誘起電圧、KL…補正ゲイン、θeb…推定電気角、θea…実電気角。

Claims (5)

  1. 永久磁石同期モータで発生する誘起電圧を演算し、その演算値である演算誘起電圧に基づいて前記モータの電気角を推定する電気角推定手段を備え、前記推定した電気角である推定電気角に基づいて前記モータを駆動制御するモータ制御装置において、
    前記電気角推定手段は、
    前記モータのインダクタンスによる電圧成分を含めない簡易誘起電圧を演算により求める簡易誘起電圧演算手段と、
    前記簡易誘起電圧の誤差を補償するための補正ゲインとモータ電流との対応関係を記憶した補正ゲイン記憶手段と、
    前記モータの駆動制御時におけるモータ電流に基づいて、前記補正ゲイン記憶手段から前記モータ電流に対応する前記補正ゲインを取得する補正ゲイン取得手段と、
    前記補正ゲイン取得手段により取得した補正ゲインを用いて前記簡易誘起電圧の誤差を補償する誤差補償手段と
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記補正ゲイン記憶手段は、前記モータ電流が大きくなるほど小さくなる値に設定される補正ゲインを記憶し、
    前記誤差補償手段は、前記簡易誘起電圧に前記補正ゲインを乗じた値を前記演算誘起電圧とすることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 車両のステアリング機構に設けられて操舵アシストトルクを出力する永久磁石同期モータを駆動制御するモータ制御装置であることを特徴とする請求項1または2記載のモータ制御装置。
  4. 操舵ハンドルからステアリングシャフトに入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
    前記操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクが大きくなるほど前記操舵アシストトルクが大きくなるようにモータ指令電流を演算するモータ指令電流演算手段と、
    前記モータの電気角を検出するための回転角センサと、
    前記回転角センサの異常を検出するためのセンサ異常検出手段と、
    前記モータ指令電流演算手段により演算されたモータ指令電流にしたがって、前記回転角センサの異常が検出されていないときには前記回転角センサにより検出された電気角を用いて前記モータを駆動制御し、前記回転角センサの異常が検出されているときには前記電気角推定手段により算出された推定電気角を用いて前記モータを駆動制御することを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。
  5. 前記補正ゲイン記憶手段は、前記補正ゲインと前記モータ指令電流との対応関係を記憶し、
    前記補正ゲイン取得手段は、前記モータ指令電流に基づいて、前記補正ゲイン記憶手段から前記モータ指令電流に対応する前記補正ゲインを取得することを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
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