JP2003333882A - 多相モータ用制御装置 - Google Patents

多相モータ用制御装置

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JP2003333882A
JP2003333882A JP2002138800A JP2002138800A JP2003333882A JP 2003333882 A JP2003333882 A JP 2003333882A JP 2002138800 A JP2002138800 A JP 2002138800A JP 2002138800 A JP2002138800 A JP 2002138800A JP 2003333882 A JP2003333882 A JP 2003333882A
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JP2002138800A
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Shuji Fujita
修司 藤田
Atsuo Sakai
厚夫 酒井
Toshihiro Takahashi
俊博 高橋
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Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
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Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、多相モータ用制御装置に関し、多
相モータの駆動中においてもその各相に流れる電流量を
目標電流量に一致させるフィードバック制御を精度よく
行うことを目的とする。 【解決手段】 電流検出回路40〜44を用いて三相交
流ブラシレスモータ24の各相に流れる電流量iu,i
v,iwをそれぞれ検出する。それらの検出電流量i
u,iv,iwの和itotalを算出する。その算出した
和itotalを3等分した量をオフセット補正量として検
出電流量iu,iv,iwからそれぞれ差し引くことに
より電流ゼロ点のオフセット補正を行う。そして、オフ
セット補正された結果得られる各相の電流量iut,i
vt,iwtと目標アシスト電流量との偏差に基づい
て、各相に流れる電流量を目標アシスト電流量に一致さ
せる電流フィードバック制御を実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2相以上の多相モ
ータの制御装置に係り、特に、モータの各相に流れる電
流量をそれぞれ目標電流量に一致させるフィードバック
制御を実行する多相モータ用制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平11−1803
20号公報に開示される如く、三相交流モータの各相に
流れる電流をそれぞれ検出する電流検出装置を備え、各
相の電流を目標電流に一致させるフィードバック制御を
実行する多相モータ用制御装置が知られている。一般
に、温度変化や経時変化等に起因して電流検出装置の特
性は変動し、電流検出装置により検出される各相の電流
のゼロ点はオフセットする。この点、電流ゼロ点がオフ
セットした状態でその検出電流がフィードバック制御に
用いられると、トルクリップルが発生し、モータ出力軸
に振動が発生してしまう。
【0003】そこで、かかる不都合を防止すべく、上記
の多相モータ用制御装置においては、各相の目標電流量
が所定時間継続してゼロである際に、電流検出装置を用
いて検出される各相の電流値をゼロとなるようにオフセ
ット補正する。そして、そのオフセット補正された結果
得られる各相の電流値を基準にしてフィードバック制御
を実行する。このため、上記従来の装置によれば、モー
タの出力トルクを精度よく制御することができ、モータ
各相の電流ゼロ点のオフセットに起因するトルクリップ
ルの発生を防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置においては、モータ各相の電流ゼロ点の補正
は、上述の如く目標電流量が所定時間継続してゼロであ
る場合にのみ行われるため、モータ各相の電流ゼロ点の
補正を行う時期は著しく制限される。従って、上記従来
の装置では、モータ各相の電流ゼロ点の補正を行うこと
なく電流のフィードバック制御を行う時期が多く、この
点、各相の電流フィードバック制御を常に精度よく行う
ことは困難である。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、多相モータの駆動中においてもその各相に流れ
る電流量を目標電流量に一致させるフィードバック制御
を精度よく行うことが可能な多相モータ用制御装置を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、N(≧2)相モータの各相に流れる電
流量をそれぞれ目標電流量に一致させるフィードバック
制御を実行する多相モータ用制御装置であって、前記N
相モータの各相に流れる電流量をそれぞれ検出する各相
電流量検出手段と、前記各相電流量検出手段により検出
される各相に流れる電流量の和を算出する和電流算出手
段と、前記各相電流量検出手段により検出される各相の
電流量をそれぞれ、前記和電流算出手段により算出され
る前記和をN等分した量だけオフセット補正する電流量
補正手段と、前記電流量補正手段によりオフセット補正
された結果得られる各相の電流量に基づいて前記フィー
ドバック制御を実行するフィードバック制御手段と、を
備える多相モータ用制御装置により達成される。
【0007】ここで、同時刻にN相モータの各相に実際
に流れる電流量の和は、モータの駆動状態にかかわらず
ゼロである。すなわち、各相電流量検出手段により検出
される各相の電流量の和がゼロでない場合には、何れか
の検出手段の電流ゼロ点に温度変化等に起因するオフセ
ットが生じていると判断できる。
【0008】本発明において、各相電流量検出手段によ
り検出されるN(≧2)相モータの各相の電流量はそれ
ぞれ、それらの和をN等分した量だけオフセット補正さ
れる。そして、目標電流量へのフィードバック制御は、
そのオフセット補正された結果得られる各相の電流量を
用いて行われる。この場合には、モータ各相の電流ゼロ
点の補正をモータの駆動状態にかかわらず常に行うこと
ができる。従って、本発明によれば、多相モータの駆動
中においてもフィードバック制御を精度よく行うことが
できる。
【0009】尚、検出される各相の電流量の和のゼロか
らのオフセットが電気的なノイズ等に起因して短期間だ
け過大に生じた際、かかる過大なオフセットに基づいて
各相の電流量がオフセット補正されるものとすると、そ
の補正量が不必要に多くなり、各相の電流ゼロ点の補正
が適正に行われず、フィードバック制御の精度が低下す
る。
【0010】従って、請求項2に記載する如く、請求項
1記載の多相モータ用制御装置において、前記和電流算
出手段は、前記各相電流量検出手段により検出される各
相に流れる電流量の和の所定期間における平均値を算出
すると共に、前記電流量補正手段は、前記各相電流量検
出手段により検出される各相の電流量をそれぞれ、前記
和電流算出手段により算出される前記和の平均値をN等
分した量だけオフセット補正することとすれば、過大な
オフセットが短期間だけ生じても補正量が不必要に多く
なるのを抑制することができ、フィードバック制御の精
度向上を図ることができる。
【0011】また、検出される各相の電流量の、それら
の和をN等分した量分のオフセット補正がそれぞれ短期
間で完了するものとすると、モータに急激なトルク変動
が生じ得る。
【0012】従って、請求項3に記載する如く、請求項
1又は2記載の多相モータ用制御装置において、前記電
流量補正手段は、所定時間ごとに所定電流量ずつ補正処
理を行うこととすれば、オフセット補正に起因するモー
タの急激なトルク変動の発生を防止することができる。
【0013】尚、電流量補正手段が所定電流量ずつ所定
時間をかけて補正処理を行う場合には、その過程におい
ても各相電流量検出手段による各相の電流量の和はゼロ
とならない。このため、電流量補正手段によるオフセッ
ト補正の過程において更に別のオフセット補正が行われ
るものとすると、二重にオフセット補正が行われること
となり、モータ各相の電流ゼロ点の補正が適正に行われ
ないものとなる。
【0014】従って、請求項4に記載する如く、請求項
3記載の多相モータ用制御装置において、前記電流量補
正手段による前記オフセット補正が行われている過程に
おいては別のオフセット補正が行われるのを禁止する別
補正禁止手段を備えることとすれば、その過程において
重ねて別のオフセット補正を行わないので、フィードバ
ック制御の精度低下を防止することができる。
【0015】ところで、上記の如く、同時刻にN相モー
タの各相に実際に流れる電流量の和はモータの駆動状態
にかかわらずゼロであるが、各相の電流量の検出タイミ
ングが互いにずれる状況下、N相モータの回転速度やト
ルクが小さい場合には、検出タイミングのずれに起因す
る検出電流量の誤差が過大となることはなく、その影響
が小さく抑制される一方、N相モータの回転速度やトル
クが大きい場合には、上記の誤差が過大となり、検出タ
イミングのずれによる影響が大きくなる。このため、検
出される各相の電流量が互いにほぼ同一の回転角度位置
におけるものである状態が形成されない場合には、その
和の精度が著しく低下し、オフセット補正が適正に行わ
れず、フィードバック制御の精度が低下することとな
る。
【0016】従って、請求項5に記載する如く、請求項
1又は2記載の多相モータ用制御装置において、前記電
流量補正手段は、前記各相電流量検出手段により検出さ
れる各相の電流量が互いに前記N相モータのほぼ同一の
回転角度位置におけるものである状態が形成されない状
況下においては補正処理を行わないこととすれば、検出
タイミングのずれに起因して各相の検出電流量の和の精
度が著しく低下することはなく、フィードバック制御の
精度低下を防止することができる。
【0017】また、各相の一補正当たりの補正量若しく
は通算の補正量又は各相の電流量の和が大きい場合に
は、モータの急激なトルク変動が生ずるおそれがあり、
或いは、電流ゼロ点のオフセットが温度変化や経時変化
等に起因して生じたものではなく、電流量検出手段自体
の異常等に起因して生じたものであると判断できる。
【0018】従って、請求項6に記載する如く、請求項
1又は2記載の多相モータ用制御装置において、前記電
流量補正手段は、各相の一補正当たりの補正量若しくは
通算の補正量又は前記和電流算出手段により算出される
前記和が所定値以下にある状況下において補正処理を行
うこととすれば、上記のパラメータが所定値を超える状
況下においてはオフセット補正を行わないので、フィー
ドバック制御の精度低下を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
多相モータ用制御装置を備えるシステムの構成図を示
す。本実施例のシステムは、車両に搭載される電動パワ
ーステアリング装置(以下、単にステアリング装置と称
す)10のシステムである。ステアリング装置10は、
ラック&ピニオン式のステアリング装置であり、車両乗
員が車両を操舵させるために操作するステアリングホイ
ール(図示せず)に接続するステアリングシャフト12
と、ステアリングシャフト12に設けられたピニオン1
4と、ピニオン14に係合するラック16と、を備えて
いる。ラック16の両端には、ボールジョイント、タイ
ロッド、及びナックルアームを介して操舵用車輪(図示
せず)が連結されている。
【0020】上記の構成において、ステアリングホイー
ルが操作されると、それに伴ってピニオン14が回転
し、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位す
る。ラック16が車幅方向に沿って変位すると、タイロ
ッド及びナックルアームが動作し、車輪が転舵される。
すなわち、ステアリング装置10は、ピニオン14の回
転運動をラック16の長手方向の直進運動に変換するこ
とで、車両乗員によるステアリング操作により車輪を転
舵させる機能を有している。
【0021】ステアリング装置10は、また、ステアリ
ングシャフト12に配設されたトルクセンサ20を備え
ている。トルクセンサ20は、車両乗員によるステアリ
ング操作によりステアリングシャフト12に加わる操舵
トルクTに応じた信号を出力する。トルクセンサ20の
出力信号は、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)
22に供給される。ECU22は、トルクセンサ20の
出力信号に基づいてステアリングシャフト12に加わる
操舵トルクTを検出する。
【0022】ステアリング装置10は、また、ラック1
6に係合する例えば三相交流ブラシレスモータ(以下、
単にモータと称す)24を備えている。モータ24は、
ラック16を覆う車体側のハウジングに固定されたステ
ータ26と、ラック16に係合しそのラック16を囲む
筒状の部材であり、ハウジングにベアリングを介して回
転可能に支持されたロータ28と、を有している。ステ
ータ26は、コイルとコアとにより構成されている。ロ
ータ28には、マグネットが取り付けられている。ステ
ータ26の励磁によりロータ28が回転すると、ラック
16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。すなわ
ち、ステアリング装置10において、モータ24は、そ
の回転駆動によりラック16を車幅方向に沿って変位さ
せるトルクを発生する。
【0023】モータ24のU相,V相,W相の各相には
それぞれ、ECU22が接続されている。ECU22
は、バッテリ30を電源としてモータ24の各相にそれ
ぞれ電力を供給する駆動回路32を有している。駆動回
路32は、各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッ
チング素子を有している。駆動回路32の各パワースイ
ッチング素子は、ECU22によりPWM駆動され、モ
ータ24に電圧を印加する。
【0024】ステアリング装置10は、モータ24を用
いて車両乗員によるステアリング操作の負担を軽減させ
るべく、車両乗員が車輪を転舵させる際に必要なトルク
をアシストする車速感応型のパワーステアリング装置で
ある。ECU22には、車速センサ34が接続されてい
る。車速センサ34は、車両の速度に応じた周期でパル
ス信号を出力する。ECU22は、車速センサ34の出
力信号に基づいて車速SPDを検出する。上述の如く、
ECU22は、トルクセンサ20を用いてステアリング
シャフト12に加わる操舵トルクTを検出する。ECU
22は、アシスト電流演算部36を有している。アシス
ト電流演算部36は、トルクセンサ20による操舵トル
クTと車速センサ34による車速SPDとの関係に基づ
いてラック16に付与すべきアシスト力を演算し、その
アシスト力がラック16に付与されるようにモータ24
を駆動するために必要な目標アシスト電流量を演算す
る。
【0025】ECU22は、駆動回路32とモータ24
のU相,V相,W相との間の各電流経路に対応して設け
られた電流検出回路40,42,44を有している。電
流検出回路40〜44はそれぞれ、自己に対応する電流
経路を流れる電流量、すなわち、駆動回路32からモー
タ24の各相に流れる電流量iu,iv,iwに応じた
信号を出力する。尚、本実施例において、駆動回路32
からモータ24へ流れる電流の向きを正の電流値とし、
逆向きを負の電流値とする。
【0026】ECU22は、モータ24の制御方式の簡
素化を図るべく、三相交流の電流,電圧を2軸直流で表
すdq変換を行う三相−二相変換回路46を有してい
る。ステアリング装置10は、モータ24に配設された
回転角センサ48を備えている。回転角センサ48は、
モータ24のロータ28のステータ26に対する回転角
度位置δに応じた信号を出力する。電流検出回路40〜
44の各出力信号および回転角センサ48の出力信号は
共に、三相−二相変換回路46に供給されている。三相
−二相変換回路46は、電流検出回路40〜44の各出
力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従った
q軸電流Iqおよびd軸電流Idに応じた信号を出力す
る。
【0027】アシスト電流演算部36および三相−二相
変換回路46には、電流フィードバック演算部50が接
続されている。アシスト電流演算部36の出力信号およ
び三相−二相変換回路46の出力信号は共に、電流フィ
ードバック演算部50に供給されている。ECU22
は、モータ24の各相に流れる電流量が目標アシスト電
流量に一致するようにモータ24をフィードバック制御
する。電流フィードバック演算部50は、三相−二相変
換回路46によるq軸電流Iqおよびd軸電流Idをアシ
スト電流演算部36による目標のq軸電流およびd軸電
流と比較することにより、それらの偏差に基づいて2軸
の電流指令値を演算する。
【0028】電流フィードバック演算部50には、2軸
直流を三相の交流電圧,電流で表すdq逆変換を行う二
相−三相変換回路52が接続されている。電流フィード
バック演算部50による2軸の電流指令値および上記の
回転角センサ48の出力信号は共に、二相−三相変換回
路52に供給されている。二相−三相変換回路52は、
電流フィードバック演算部50の出力信号に基づいてロ
ータ28の回転角度位置δに従った三相交流電流に応じ
た信号を出力する。
【0029】二相−三相変換回路52には、PWM指令
部54が接続されている。二相−三相変換回路52の出
力信号は、PWM指令部54に供給されている。PWM
指令部54は、二相−三相変換回路52の出力信号に基
づいて駆動回路32の各パワースイッチング素子をPW
M駆動し、モータ24の各相に目標のアシスト電流が流
れるようにモータ24への電圧印加を指令する。
【0030】上記の構成において、車両乗員によりステ
アリングホイールが操作されると、その操舵トルクTに
応じたアシスト力がラック16に付与されるようにモー
タ24が駆動する。具体的には、モータ24の駆動は、
操舵トルクTが大きいほど大きなアシスト力が発生する
ように行われる。また、このアシスト力は、車両の車速
SPDに応じた値である。従って、本実施例のステアリ
ング装置10によれば、モータ24を用いて車両乗員に
よるステアリング操作の負担を軽減することができる。
【0031】ところで、ECU22の有する電流検出回
路40〜44は、一般に、温度変化や経時変化等に起因
してその特性が変動するものである。すなわち、電流検
出回路40〜44を用いて検出される各相の電流のゼロ
点はオフセットする。この点、ゼロ点にオフセットが生
じている電流を用いてモータ24のフィードバック制御
が実行されると、トルクリップルが生じ、モータ24の
出力軸に振動が生じ、車両乗員のステアリング操作に対
する操舵フィーリングが低下することとなる。
【0032】そこで、本実施例のシステムは、後述する
手法を用いて各相の電流ゼロ点のオフセットを補正する
ことにより上記した不都合を防止する点に特徴を有して
いる。以下、図2乃至図4を参照して、本実施例の特徴
部について説明する。
【0033】図2は、本実施例のシステムが備える駆動
回路32およびモータ24の具体的な構成を表した図を
示す。また、図3は、モータ24のロータ28の回転角
度位置δと各相に流れる電流量iu,iv,iwとの関
係を表した図を示す。本実施例のシステムにおいては、
モータ24は上記の如く三相交流ブラシレスモータであ
るので、モータ24の3つのステータコイルが電気角1
20°間隔で配置される。この点、図2及び図3に示す
如く、同時刻、すなわち、同一の回転角度位置δにおい
てはU相,V相,W相に流れる電流量の和は次式(1)
に示す如くゼロである。この電流量の和がゼロとなる状
態は、回転角度位置δにかかわらず不変である。
【0034】 iu+iv+iw=0 ・・・(1) 従って、電流検出回路40〜44を用いて同時刻に実際
に検出される各相の電流量(以下、これらの電流量を検
出電流量iu,iv,iwと称す)の和がゼロでない場
合には、何れかの電流検出回路40〜44による電流量
のゼロ点にオフセットが生じていると判断できる。
【0035】本実施例においては、まず、電流検出回路
40〜44を用いて同時刻に検出される検出電流量i
u,iv,iwの和itotalが算出される。その結果、
その検出電流量の和itotalがゼロでない場合には、何
れかの電流検出回路40〜44による電流量のゼロ点に
オフセットが生じているとして、それらの検出電流量i
u,iv,iwがそれぞれオフセット補正される。具体
的には、次式(2)〜(4)に示す如く、上記の検出電
流量の和itotalをモータ24の相の数(=“3”)だ
け等分した量を差し引くことによりオフセット補正され
る。この際、オフセット補正された結果得られる各相の
電流量は、検出電流量の和itotalが正値である場合に
は負側に補正されたものとなり、また、検出電流量の和
totalが負値である場合には正側に補正されたものと
なる。そして、そのオフセット補正された結果得られる
電流量iut,ivt,iwtがそれぞれ各相に流れる
電流量としてECU22における演算に用いられる。
【0036】 iut=iu−itotal/3 ・・・(2 ) ivt=iv−itotal/3 ・・・(3 ) iwt=iw−itotal/3 ・・・(4 ) かかる構成においては、少なくとも何れか一の電流検出
回路40〜44による電流量のゼロ点にオフセットが生
じた場合にも、ECU22における演算に用いられる各
相の電流量iut,ivt,iwtの和がゼロとなり、
そのオフセットが電流検出回路40〜44による電流量
の全体としてキャンセルされる。このため、本実施例に
よれば、ゼロ点にオフセットが生じている電流検出回路
40〜44の検出電流を用いてモータ24のフィードバ
ック制御が実行されることはなく、かかる電流ゼロ点の
オフセットに起因してトルクリップル及びモータ出力軸
の振動が生ずることは回避される。
【0037】また、上記の如く、各相に流れる電流量の
和がゼロとなる状態は、回転角度位置δにかかわらず不
変である。この点、本実施例の如きオフセット補正は、
モータ24が初期位置から回転する駆動状態にあっても
常に行うことが可能である。従って、本実施例によれ
ば、モータ24の回転駆動中においても、電流ゼロ点の
オフセット補正を実行することができる。このため、モ
ータ24の回転駆動中においても、モータ24の各相に
流れる電流を目標アシスト電流に一致させる電流フィー
ドバック制御を精度よく行うことができ、その結果、温
度変化や経時変化等による電流ゼロ点のオフセットに起
因するトルクリップル及びモータ出力軸の振動を回避す
ることができ、車両乗員のステアリング操作に対する操
舵フィーリングの低下を抑制することが可能となる。
【0038】図4は、上記の機能を実現すべく、本実施
例においてECU22が実行する制御ルーチンの一例の
フローチャートを示す。図4に示すルーチンは、所定時
間(例えば5ms)ごとに繰り返し起動されるルーチン
である。図4に示すルーチンが起動されると、まずステ
ップ100の処理が実行される。
【0039】ステップ100では、電流検出回路40〜
44によるモータ各相の電流ゼロ点のオフセットを補正
するための補正許可フラグがオンであるか否かが判別さ
れる。この補正許可フラグは、後のステップ104の処
理が行われることによりオンとされる。本ステップ10
0の処理の結果、補正許可フラグがオンでないと判別さ
れた場合には、次にステップ102の処理が実行され
る。
【0040】ステップ102では、前回のオフセット補
正が完了してから所定時間Tが経過したか否かが判別さ
れる。尚、所定時間Tは、オフセット補正が重ねて行わ
れることがないように、予め0秒以上の例えば10秒に
設定されている。その結果、否定判定がなされた場合
は、オフセット補正が完了しておらずその補正が継続し
ている、或いは、前回のオフセット補正は完了したがそ
の完了から未だ所定時間Tが経過していないと判断でき
るので、再び上記ステップ100の処理が実行される。
一方、肯定判定がなされた場合は、次にステップ104
の処理が実行される。
【0041】ステップ104では、上記した補正許可フ
ラグをオンにセットする処理が実行される。本ステップ
104の処理が終了すると、以後、上記ステップ100
において補正許可フラグがオンであると判別され、次に
ステップ106の処理が実行される。ステップ106で
は、電流検出回路40〜44を用いて同時刻に検出され
る検出電流量iu,iv,iwの和itotalを算出する
処理が実行される。
【0042】ステップ108では、上記ステップ106
で算出された和itotalが所定値Aを超えるか否かが判
別される。尚、所定値Aは、電流検出回路40〜44の
検出異常等に起因する電流オフセットではなく、温度変
化や経時変化等の特性変化に起因したものであると判断
できる最大の各相の電流オフセットの和である。ito
tal>Aが成立する場合は、何れかの電流検出回路40
〜44に電流検出異常が生じていると判断でき、電流ゼ
ロ点のオフセット補正を行うことよりも、かかるシステ
ム異常の発生を車両乗員に知らせることの方が適切であ
る。従って、かかる判別がなされた場合は、上記ステッ
プ100の処理が再び実行される。一方、itotal>A
が成立しないと判別された場合は、次にステップ110
の処理が実行される。
【0043】ステップ110では、電流検出回路40〜
44を用いて検出される検出電流iu,iv,iwの和
totalの、所定期間(例えば100ms等の一定時間
やその和の算出が20回行われる期間)中における平均
値i^totalを算出する処理が実行される。尚、この平均
i^totalを算出する過程において検出電流iu,iv,
iwの和itotalが上記ステップ108の条件を満たさ
なくなった場合には、再び上記ステップ100の処理を
実行することとしてもよい。
【0044】ステップ112では、検出電流iu,i
v,iwの電流ゼロ点のオフセット補正量として、上記
ステップ110で算出された平均値i^totalを3等分し
た量(=i^total/3)を算出する処理が実行される。
ステップ114では、補正許可フラグをオフにリセット
する処理が実行される。
【0045】ステップ116では、上記ステップ112
で算出されたオフセット補正量i^t otal/3のオフセッ
ト補正を実現すべく、一定時間(例えば5ms等)ごと
に一定電流量(例えば0.01A等)ずつ検出電流i
u,iv,iwについての補正を行う処理が実行され
る。そして、ステップ118では、上記ステップ116
の補正処理の結果、一定電流量ずつの補正による通算の
補正がオフセット補正量i^total/3に達することによ
りオフセット補正が完了したか否かが判別される。その
結果、オフセット補正が未だ完了していないと判別され
る場合には、再び上記ステップ116の処理が実行され
る。一方、オフセット補正が完了したと判別される場合
には、今回のルーチンは終了される。
【0046】上記図4に示すルーチンによれば、電流検
出回路40〜44による電流量のゼロ点にオフセットが
生じている場合、それらの各検出電流iu,iv,iw
からそれぞれ、それらの和itotalの所定期間中におけ
る平均値i^totalを3等分した量だけ差し引くことによ
りオフセット補正を行うことができる。かかる構成にお
いて、電流量のゼロ点に生じていたオフセットは、3つ
の検出電流iu,iv,iwに均等に振り分けられ、以
後、ECU22における演算に用いられる各相の電流
は、電流検出回路40〜44を用いて検出された検出電
流iu,iv,iwをオフセット補正することにより和
がゼロとなる電流量iut,ivt,iwtとなるの
で、上記のオフセットは電流検出回路40〜44による
電流量の全体としてキャンセルされる。
【0047】また、上記の如く、モータ24の各相に流
れる電流量の和がゼロとなる状態は、回転角度位置δに
かかわらず不変である。この点、上記図4に示すオフセ
ット補正処理は、モータ24の回転駆動中においても常
に行うことが可能である。従って、本実施例において
は、モータ24の回転駆動中にかかわらず常に電流ゼロ
点のオフセット補正を実行する機会は確保される。
【0048】このため、本実施例によれば、モータ24
の初期位置からの回転駆動時においても、電流検出回路
40〜44による検出電流iu,iv,iwをオフセッ
ト補正した結果得られる各相の電流量iut,ivt,
iwtと、目標アシスト電流量との偏差に基づいて、各
相に流れる電流量を目標アシスト電流量に一致させる電
流フィードバック制御を精度よく行うことが可能となっ
ている。これにより、温度変化や経時変化等による電流
ゼロ点のオフセットに起因するトルクリップル及びそれ
に伴うモータ出力軸の振動は回避され、車両乗員のステ
アリング操作に対する操舵フィーリングの低下は抑制さ
れる。
【0049】尚、電流ゼロ点のオフセットは、電流検出
回路40〜44等の温度変化や経時変化以外に、それら
の検出異常等に起因して過大に生ずる場合、或いは、他
の要因により短期間で微小に変化する場合がある。かか
る場合、過大なオフセット或いは微小変動するオフセッ
トに基づいて各相の電流量についてのオフセット補正が
行われるものとすると、電流検出回路40〜44等の温
度変化や経時変化による正確なオフセットに基づいて適
正に電流ゼロ点の補正が行われず、その補正量が不必要
に多くなる等、電流フィードバック制御の精度が低下し
てしまう。
【0050】本実施例においては、各相の電流量につい
てのオフセット補正の補正量が、電流検出回路40〜4
4を用いて検出される検出電流iu,iv,iwの一回
だけの和itotalに基づいて設定されることはなく、そ
の和itotalの所定期間中における平均値i^totalに基
づいてi^total/3に設定される。このため、本実施例
によれば、電流検出回路40〜44による電流ゼロ点の
オフセット量を、検出異常等に起因する過大なオフセッ
トあるいは短期間での微小変動によるオフセットが生じ
てもそのオフセットをなますことによりある程度正確に
把握することができ、電流ゼロ点のオフセット補正を適
正に行うことができる。これにより、オフセット補正に
よる補正量が不必要に多くなるのを抑制することがで
き、電流フィードバック制御の精度向上を図ることが可
能となっている。
【0051】また、電流検出回路40〜44による検出
電流iu,iv,iwについての補正量i^total/3の
オフセット補正が短期間で完了するものとすると、EC
U22における演算に用いられる各相の電流量が急激に
変動し、電流指令値の変動が著しくなる。この場合に
は、モータ24に発生させるトルクが急激に変動し、車
両乗員がステアリング操作について違和感を生ずる。
【0052】本実施例においては、電流検出回路40〜
44による検出電流iu,iv,iwについての各オフ
セット補正が一定時間(例えば5ms等)ごとに一定電
流量(例えば0.01A等)ずつ行われ、所定の期間を
かけて補正量i^total/3のオフセット補正が実現され
る。このため、本実施例によれば、オフセット補正の短
期間での完了に起因する、ECU22における演算に用
いられる各相の電流量の急激な変動の発生を防止するこ
とができ、これにより、モータ24の急激なトルク変動
を防止でき、車両乗員の操舵についての違和感を抑制す
ることが可能となっている。
【0053】尚、このように補正量i^total/3のオフ
セット補正が所定の期間をかけて行われる場合には、そ
の補正が完了するまでの過程においても必ず電流検出回
路40〜44を用いて検出される検出電流iu,iv,
iwの和itotalはゼロに一致しない。このため、モー
タ各相の電流ゼロ点のオフセット補正の過程において更
に別のオフセット補正が行われるものとすると、重ねて
オフセット補正が行われることとなり、その補正が適正
に行われないこととなる。
【0054】本実施例においては、図4に示す如く、補
正許可フラグに従って電流検出回路40〜44による検
出電流iu,iv,iwの和itotalが算出され、オフ
セット補正が行われる。そして、この補正許可フラグ
は、前回のオフセット補正が完了した後にオンにセット
される。すなわち、本実施例において、電流検出回路4
0〜44による電流ゼロ点のオフセット補正は、前回の
オフセット補正が完了した後に実行される。このため、
本実施例によれば、一のオフセット補正が行われている
過程においては、検出電流iu,iv,iwの和i
totalを算出し、重ねて別のオフセット補正を行う事態
は生じないので、電流検出回路40〜44による電流ゼ
ロ点のオフセット補正を適正に行うことができ、電流フ
ィードバック制御の精度低下を防止することが可能とな
っている。
【0055】更に、本実施例において、電流ゼロ点のオ
フセット補正は、電流検出回路40〜44による検出電
流iu,iv,iwの和itotalが所定値A以上である
場合には行われず、その和itotalが所定値A以下であ
る状況下においてのみ行われる。ここで、所定値Aは、
上記の如く、電流検出回路40〜44の検出異常等に起
因する電流オフセットではなく、温度変化や経時変化等
の特性変化に起因したものであると判断できる最大の各
相の電流オフセットの和である。従って、電流ゼロ点の
オフセット補正は、電流検出回路40〜44の温度変化
や経時変化等の特性変化に起因する微小なオフセットが
生じている場合にのみ行われ、何れかの電流検出回路4
0〜44に電流検出異常が生じていると判断できる場合
には行われない。
【0056】電流検出回路40〜44の電流検出異常時
には、オフセット補正を行うことにより電流フィードバ
ック制御の実行を継続するよりも、システム異常として
車両乗員に知らせることが適切である。すなわち、電流
検出異常時にオフセット補正により電流フィードバック
制御の実行が継続されると、車両乗員による操舵トルク
Tに応じた適切なラック16へのアシスト力を演算する
ことが困難となり、電流フィードバック制御の精度が低
下してしまう。この点、本実施例においては、上記の如
く、電流検出回路40〜44の電流検出異常時にオフセ
ット補正を行わないので、電流フィードバック制御の精
度低下が生ずる事態を防止することが可能となってい
る。
【0057】尚、上記の実施例においては、モータ24
が特許請求の範囲に記載した「N相モータ」に、電流検
出回路40〜44が特許請求の範囲に記載した「各相電
流量検出手段」に、それぞれ相当していると共に、EC
U22が、上記図4に示すルーチン中ステップ106の
処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した
「和電流算出手段」が、上記ステップ110、112、
及び116の処理を実行することにより特許請求の範囲
に記載した「電流量補正手段」が、オフセット補正され
た結果得られるモータ24の各相の電流量iut,iv
t,iwtと目標アシスト電流量との関係に基づいて各
相に流れる電流量を目標アシスト電流量に一致させる電
流フィードバック制御を実行することにより特許請求の
範囲に記載した「フィードバック制御手段」が、上記ス
テップ102の処理を実行することにより特許請求の範
囲に記載した「別補正禁止手段」が、それぞれ実現され
ている。
【0058】ところで、上記の実施例においては、電流
ゼロ点のオフセット補正を行う対象モータを三相のモー
タ24としているが、三相に限らず、二相および四相以
上の多相のモータに適用することも可能である。また、
電流ゼロ点のオフセット補正を行う対象モータをブラシ
レスのモータ24としているが、ブラシレスに限らず、
ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0059】また、上記の実施例においては、車両の搭
載する電動パワーステアリング装置10に用いるモータ
24について電流ゼロ点のオフセット補正を行うことと
しているが、モータ各相に流れる電流量を目標電流量に
一致させる電流フィードバック制御を行い、電流ゼロ点
のオフセット補正を行うモータであれば上記の電動パワ
ーステアリングに限定されるものではなく、他のモータ
に適用することも可能である。
【0060】また、上記の実施例においては、電流ゼロ
点のオフセット補正を、電流検出回路40〜44による
検出電流iu,iv,iwの和itotalが所定値A以下
である状況、すなわち、一オフセット補正当たりの補正
量が所定値以下である状況下において行うこととしてい
るが、2回目以降のオフセット補正においては、そのオ
フセット補正による更なる補正量が所定値以下である状
況下において行うこととしてもよいし、また、1回目か
らの通算の補正量が所定値以下である状況下において行
うこととしてもよい。更に、初期オフセット値を含めた
全体の補正量が所定値以下である状況下において行うこ
ととしてもよい。かかる構成においても、電流フィード
バック制御の精度低下を防止することが可能となる。
【0061】更に、上記の実施例においては、車両乗員
によるステアリング操作に伴う操舵速度や三相−二相変
換後のq軸電流指令値,q軸電流Iq,d軸電流Idに関
係なく、電流検出回路40〜44による電流量のゼロ点
のオフセット補正を行うこととしているが、これらのパ
ラメータに応じてオフセット補正の実行可否を決定する
こととしてもよい。以下、図5を参照して、この変形例
について説明する。
【0062】上記の如く、同時刻にモータ24の各相に
実際に流れ得る電流量の和はモータ24の駆動状態にか
かわらずゼロであるので、電流検出回路40〜44によ
る電流量の各検出タイミングが完全に一致する場合に
は、それらの検出電流量の和は確実にゼロとなる。しか
しながら、電流検出回路40〜44による検出タイミン
グが完全に一致することは困難である。
【0063】この点、電流検出回路40〜44による検
出タイミングが互いにずれる状況下、モータ24が比較
的低速で回転する場合には、その検出タイミングのずれ
の間にモータ24が回転する回転量は少ないため、検出
電流量の誤差が過大となることはなく、その影響が小さ
く抑制される一方で、モータ24が比較的高速で回転す
る場合には、その検出タイミングのずれの間におけるモ
ータ24の回転量は大きいため、検出電流量の誤差が過
大となり、検出タイミングのずれによる影響が大きくな
る。
【0064】検出電流量の誤差が過大になると、モータ
各相の検出電流量にオフセットは生じていないにもかか
わらず実際に検出される電流量の和がゼロにならない可
能性が高くなり、電流ゼロ点のオフセット補正が精度よ
く適正に行われず、フィードバック制御の精度が低下す
る事態が生じ得る。従って、電流検出回路40〜44に
よる電流量の各検出タイミングが互いにずれる状況下に
おいてモータ24の回転速度又はトルクが大きい場合に
は、それらの検出電流の和を算出せず、電流ゼロ点のオ
フセット補正を禁止することが適切である。そこで、本
変形例においては、モータ24の回転速度又はトルクが
大きくなる場合には、電流ゼロ点のオフセット補正を禁
止することとしている。
【0065】図5は、上記の機能を実現すべく、本変形
例において、ECU22が実行する制御ルーチンの一例
のフローチャートを示す。図5に示すルーチンは、所定
時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。尚、図
5において、上記図4に示すルーチン中のステップと同
一の処理を実行するステップについては、同一の符号を
付してその説明を省略する。すなわち、図5に示すルー
チンにおいては、ステップ100で補正許可フラグがオ
ンであると判別された場合は、次にステップ150の処
理が実行される。
【0066】ステップ150では、ステアリング操作に
伴う操舵速度θが所定速度θ0以下であるか否かが判別
される。尚、操舵速度θは、例えば回転角センサ48を
用いて検出されるロータ28の回転角度位置δの単位時
間当たりの変化であっても、また、ステアリングシャフ
ト12に配設されたセンサを用いて検出される該ステア
リングシャフト12の回転速度であってもよく、ステア
リングシャフト12の何れか一方の回転方向を正値と
し、他方を負値とする値である。また、所定速度θ0
は、モータ各相の電流量の検出タイミングに所定のずれ
が生じていても、検出される電流量がほぼ同一の回転角
度位置におけるものであって検出電流量にその検出タイ
ミングずれに起因する誤差が生じないと判断できるステ
アリング操作に伴う操舵速度の最大値である。
【0067】その結果、|θ|≦θ0が成立しない場合
には、操舵速度が比較的大きく、モータ各相の電流量の
検出タイミングのずれに起因して検出電流量に大きな誤
差が生ずると判断できる。この場合には、例えば実際に
は同一の回転角度位置における検出電流iu,iv,i
wの和itotalはゼロであるにもかかわらず、検出され
る電流量の和itotalはゼロにならない事態が生ずる可
能性がある。かかる事態が生じているにもかかわらずオ
フセット補正が行われると、誤ったオフセット補正が行
われることとなる。従って、かかる判別がなされた場合
は、再び上記ステップ100の処理が実行される。一
方、|θ|≦θ0が成立する場合には、操舵速度が比較
的小さく、モータ各相の電流量の検出タイミングのずれ
に起因して検出電流量に大きな誤差が生ずることはな
く、電流検出を精度よく行うことができ、上記した不都
合は生じない。従って、かかる判別がなされた場合は、
次にステップ152の処理が実行される。
【0068】ステップ152では、三相−二相変換回路
46によるdq変換後の電流フィードバック演算部50
によるq軸の電流指令値が所定指令値Iq0 *以下である
か否かが判別される。尚、所定指令値Iq0 *は、モータ
各相の電流量の検出タイミングに所定のずれが生じてい
ても、検出される電流量がほぼ同一の回転角度位置にお
けるものであって検出電流量にその検出タイミングずれ
に起因する誤差が生じないと判断できるq軸電流指令値
の最大値である。その結果、|q軸電流指令値|≦Iq0
*が成立しないと判別された場合は、再び上記ステップ
100の処理が実行される。一方、|q軸電流指令値|
≦Iq0 *が成立すると判別された場合は、次にステップ
154の処理が実行される。
【0069】ステップ154では、三相−二相変換回路
46によるq軸電流Iqが所定値Iq 0以下であるか否か
が判別される。尚、所定値Iq0は、モータ各相の電流量
の検出タイミングに所定のずれが生じていても、検出さ
れる電流量がほぼ同一の回転角度位置におけるものであ
って検出電流量にその検出タイミングずれに起因する誤
差が生じないと判断できるq軸電流の最大値である。そ
の結果、|q軸電流I q|≦Iq0が成立しないと判別さ
れた場合は、再び上記ステップ100の処理が実行され
る。一方、|q軸電流Iq|≦Iq0が成立すると判別さ
れた場合は、次にステップ156の処理が実行される。
【0070】ステップ156では、三相−二相変換回路
46によるd軸電流Idが所定値Id 0以下であるか否か
が判別される。尚、所定値Id0は、モータ各相の電流量
の検出タイミングに所定のずれが生じていても、検出さ
れる電流量がほぼ同一の回転角度位置におけるものであ
って検出電流量にその検出タイミングずれに起因する誤
差が生じないと判断できるd軸電流の最大値である。そ
の結果、|d軸電流I d|≦Id0が成立しないと判別さ
れた場合は、再び上記ステップ100の処理が実行され
る。一方、|d軸電流Id|≦Id0が成立すると判別さ
れた場合は、次に上記したステップ106以降の処理が
実行される。
【0071】上記図5に示すルーチンによれば、電流ゼ
ロ点のオフセット補正を、操舵速度が比較的小さい等、
モータ各相の電流量の検出タイミングに所定のずれが生
じていても、検出される電流量がほぼ同一の回転角度位
置におけるものであって、検出電流量にその検出タイミ
ングずれに起因する大きな誤差が生じない状況下におい
ては許容することができる。一方、操舵速度が比較的大
きい等、電流検出タイミングのずれに起因して検出電流
量がほぼ同一の回転角度位置におけるものである状態が
形成されず、検出電流量に大きな誤差が生ずる状況下に
おいては禁止することができる。
【0072】モータ24の各相に流れる電流量の和がゼ
ロとなる状態は、その電流量が互いに同一タイミングの
ものであれば常に実現される一方、検出タイミングが互
いにずれたものであれば常に実現されるとは限らない。
従って、電流検出回路40〜44によるモータ各相の電
流量の検出タイミングが互いにずれる状況下においてモ
ータ24の回転速度又はトルクが大きい場合に、それら
の検出電流iu,iv,iwに基づいて電流ゼロ点のオ
フセット補正が行われるものとすると、例えば実際には
同時刻における検出電流iu,iv,iwの和itotal
はゼロであるにもかかわらず検出される電流量の和i
totalがゼロにならない事態が生じ、その結果、誤って
オフセット補正が行われ、電流フィードバック制御の精
度が低下する。
【0073】本変形例においては、電流ゼロ点のオフセ
ット補正は、上記の如く、モータ24の回転速度又はト
ルクが大きい場合には禁止される。このため、本変形例
によれば、モータ各相の電流量の検出タイミングにずれ
が生じる場合にも、電流検出回路40〜44を用いて検
出される電流に生じているゼロ点オフセットの把握を精
度よく行うことができ、これにより、誤ったオフセット
補正が行われるのを回避することができ、電流フィード
バック制御の精度低下を防止することが可能となる。
【0074】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、多相モータの駆動中においてもフィードバック制御
を精度よく行うことができる。
【0075】請求項2記載の発明によれば、過大なオフ
セットが短期間だけ生じても補正量が不必要に多くなる
のを抑制することができ、フィードバック制御の精度向
上を図ることができる。
【0076】請求項3記載の発明によれば、オフセット
補正に起因するモータの急激なトルク変動の発生を防止
することができる。
【0077】請求項4記載の発明によれば、一のオフセ
ット補正が行われている過程において重ねて別のオフセ
ット補正を行わないので、各相の電流フィードバック制
御の精度低下を防止することができる。
【0078】また、請求項5及び6記載の発明によれ
ば、適切な状況下でオフセット補正を行うので、各相の
電流フィードバック制御の精度低下を防止することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である多相モータ用制御装置
を備えるシステムの構成図である。
【図2】本実施例のシステムが備える駆動回路およびモ
ータの具体的な構成を表した図である。
【図3】モータのロータの回転角度位置δと各相に流れ
る電流量iu,iv,iwとの関係を表した図である。
【図4】本実施例において、検出電流のオフセット補正
を行うべく実行される制御ルーチンのフローチャートで
ある。
【図5】本発明の変形例において、検出電流のオフセッ
ト補正を行うべく実行される制御ルーチンのフローチャ
ートである。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置 22 電子制御ユニット(ECU) 24 三相交流ブラシレスモータ(モータ) 40,42,44 電流検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 113:00 B62D 119:00 119:00 H02P 6/02 351H (72)発明者 酒井 厚夫 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 高橋 俊博 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC02 DA03 DA15 DA23 DA64 DC33 DD02 DD10 DD17 EC23 GG01 3D033 CA02 CA03 CA13 CA18 CA20 CA21 5H560 AA10 BB04 BB12 DA00 DC03 DC12 EB01 EC01 GG04 JJ19 RR03 SS02 TT01 TT15 UA05 XA02 XA12 XA13 5H575 AA17 BB06 DD06 DD10 GG04 JJ03 JJ05 JJ18 KK06 LL22 LL31 MM16 PP01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N(≧2)相モータの各相に流れる電流
    量をそれぞれ目標電流量に一致させるフィードバック制
    御を実行する多相モータ用制御装置であって、 前記N相モータの各相に流れる電流量をそれぞれ検出す
    る各相電流量検出手段と、 前記各相電流量検出手段により検出される各相に流れる
    電流量の和を算出する和電流算出手段と、 前記各相電流量検出手段により検出される各相の電流量
    をそれぞれ、前記和電流算出手段により算出される前記
    和をN等分した量だけオフセット補正する電流量補正手
    段と、 前記電流量補正手段によりオフセット補正された結果得
    られる各相の電流量に基づいて前記フィードバック制御
    を実行するフィードバック制御手段と、 を備えることを特徴とする多相モータ用制御装置。
  2. 【請求項2】 前記和電流算出手段は、前記各相電流量
    検出手段により検出される各相に流れる電流量の和の所
    定期間における平均値を算出すると共に、前記電流量補
    正手段は、前記各相電流量検出手段により検出される各
    相の電流量をそれぞれ、前記和電流算出手段により算出
    される前記和の平均値をN等分した量だけオフセット補
    正することを特徴とする請求項1記載の多相モータ用制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記電流量補正手段は、所定時間ごとに
    所定電流量ずつ補正処理を行うことを特徴とする請求項
    1又は2記載の多相モータ用制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電流量補正手段による前記オフセッ
    ト補正が行われている過程においては別のオフセット補
    正が行われるのを禁止する別補正禁止手段を備えること
    を特徴とする請求項3記載の多相モータ用制御装置。
  5. 【請求項5】 前記電流量補正手段は、前記各相電流量
    検出手段により検出される各相の電流量が互いに前記N
    相モータのほぼ同一の回転角度位置におけるものである
    状態が形成されない状況下においては補正処理を行わな
    いことを特徴とする請求項1又は2記載の多相モータ用
    制御装置。
  6. 【請求項6】 前記電流量補正手段は、各相の一補正当
    たりの補正量若しくは通算の補正量又は前記和電流算出
    手段により算出される前記和が所定値以下にある状況下
    において補正処理を行うことを特徴とする請求項1又は
    2記載の多相モータ用制御装置。
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