JP5311864B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータを駆動制御するモータ制御装置に関し、特に、1シャント電流検出方式を採用したモータ制御装置に関する。
モータに三相交流電力を供給してモータをベクトル制御するためには、U相、V相及びW相の3相の内、2相分の相電流(例えばU相電流及びV相電流)を検出する必要がある。2相分の相電流を検出するために、通常、2つの電流センサ(カレントトランス等)が用いられるが、2つの電流センサの使用はモータを組み込んだシステム全体のコストアップを招く。
このため、従来より、インバータと直流電源間の母線電流(直流電流)を1つの電流センサにて検出し、その検出した母線電流から2相分の相電流を検出する方式が提案されている。この方式は、1シャント電流検出方式(シングルシャント電流検出方式)とも呼ばれており、この方式の基本原理は、例えば下記特許文献1に記載されている。
図19に、1シャント電流検出方式を採用した従来のモータ駆動システムの全体ブロック図を示す。インバータ(PWMインバータ)902は、上アームと下アームを備えたハーフブリッジ回路を3相分備え、制御部903から与えられた三相電圧指令値に従って各アームをスイッチングさせることにより、直流電源904からの直流電圧を三相交流電圧に変換する。該三相交流電圧は三相永久磁石同期式のモータ901に供給され、モータ901が駆動制御される。
インバータ902内の各下アームと直流電源904とを結ぶ線路を母線MLという。電流センサ905は、母線MLに流れる母線電流を表す信号を制御部903に伝達する。制御部903は、電流センサ905の出力信号を適切なタイミングでサンプリングすることにより、電圧レベルが最大となる相(最大相)の相電流と最小となる相(最小相)の相電流、即ち、2相分の相電流を検出する。
各相の電圧レベルが互いに十分離れている場合は、上述の処理によって2相分の相電流を検出することができるのであるが、電圧の最大相と中間相が接近すると或いは電圧の最小相と中間相が接近すると2相分の相電流を検出できなくなる。尚、この2相分の相電流が検出できなくなることについての説明を含む1シャント電流検出方式の説明は、図3〜図5を参照しつつ後にも行われる。
これに鑑み、1シャント電流検出方式において、2相分の相電流が実測不能となる期間には、3相のゲート信号に基づいてインバータ内の各アームに対するPWM信号のパルス幅を補正するという手法が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
この補正にも対応する、一般的な電圧指令値(パルス幅)の補正例を図20に示す。図20において、横軸は時間を表し、920u、920v及び920wは、U相、V相及びW相の電圧レベルを表している。各相の電圧レベルは各相に対する電圧指令値(パルス幅)に従うため、両者は等価と考えることができる。図20に示す如く、電圧の「最大相と中間相」及び「最小相と中間相」が所定間隔以下に接近しないように、各相の電圧指令値(パルス幅)が補正される。これにより、安定的に2相分の相電流を検出することが可能となる。しかしながら、電圧指令値(パルス幅)を補正することによって、図20に示す如く各相電圧が歪むため、騒音や振動が大きくなるという欠点を有している。
このため、電圧指令値(パルス幅)を補正することなく、2相分の相電流が実測不能となる期間に対応する技術が求められている。
例えば、2相分の相電流を実測不能な期間において、過去の3相電流をdq変換することによって得たd軸q軸電流を3相に再度逆変換することにより、3相電流を推定する手法が提案されている(例えば下記特許文献3参照)。しかしながら、この手法では、複雑な計算が必要となる。また、2相分の相電流を実測不能な期間においてベクトル制御を実行するためには、過去の3相電流から電圧指令値を算出するという演算処理が必要となる。この演算処理の過程で演算誤差が混入してしまう。
また、PWMインバータのキャリア周波数を変更可能としておき、2相分の相電流を実測可能とするために、必要に応じてキャリア周波数を低減する手法も提案されている(例えば、下記特許文献4〜6を参照)。しかしながら、キャリア周波数を変更するためには、高性能のマイクロコンピュータを利用した煩雑な処理が必要となる。更に、キャリア周波数を低減させれば、制御周期が遅くなる、騒音が大きくなるといったデメリットも生じる。
特許第2712470号公報 特開2003−189670号公報 特開2004−64903号公報 特開2005−45848号公報 特開2003−224982号公報 特開2004−104977号公報 比田、他2名,「最大トルク制御軸に基づく永久磁石同期モータの位置センサレスベクトル制御」,平成18年電気学会産業応用部門大会講演論文集,電気学会産業応用部門,平成18年8月,p.385−388(I−385〜I−388)
そこで本発明は、1シャント電流検出方式を採用した場合において、簡素な処理にて相電流を実測不能な期間に対応可能なモータ制御装置及びモータ駆動システムを提供することを目的とする。
本発明に係るモータ制御装置は、三相式のモータを駆動するインバータと直流電源との間に流れる電流から、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、 前記モータ電流に基づいて前記モータへの印加電圧の目標となる電圧指令値を作成して出力する電圧指令値作成手段と、前記電圧指令値作成手段から出力された過去の前記電圧指令値を保持する電圧指令値保持手段と、前記モータのU相、V相及びW相電圧の内の2相間電圧差から特定期間を設定する特定期間設定手段と、を備え、前記特定期間外においては、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値に基づいて前記インバータを介して前記モータを制御する一方、前記特定期間内においては、前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて前記インバータを介して前記モータを制御することを特徴とする。
これによれば、電圧指令値を保持するという簡素な処理にて、相電流を実測不能な期間に対応することが可能となる。
具体的には例えば、前記特定期間設定手段は、前記2相間電圧差が所定の閾値以下である期間を前記特定期間に含める。
また具体的には例えば、前記インバータは、直列接続された2つのスイッチング素子を三相分備えて、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値又は前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて各スイッチング素子をスイッチング制御することにより前記モータを駆動し、前記インバータと前記直流電源との間に流れる前記電流を被測定電流と呼んだ場合、前記モータ電流検出手段は、前記被測定電流に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換することによって前記被測定電流を検出して、その被測定電流から前記モータ電流を検出し、前記閾値は、各スイッチング素子がスイッチングした時に発生する前記被測定電流の振動の減衰時間に応じて、予め設定される。
また具体的には例えば、前記インバータと前記直流電源との間に流れる前記電流を被測定電流と呼んだ場合、前記モータ電流検出手段は、前記被測定電流に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換することによって前記被測定電流を検出して、その被測定電流から前記モータ電流を検出し、前記閾値は、前記アナログ信号を前記デジタル信号に変換する時に必要となる時間に応じて、予め設定される。
また具体的には例えば、前記インバータは、直列接続された2つのスイッチング素子を三相分備えて、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値又は前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて各スイッチング素子をスイッチング制御することにより前記モータを駆動し、前記閾値は、各スイッチング素子のスイッチング遅れ時間に応じて、予め設定される。
また具体的には例えば、前記電圧指令値保持手段は、前記特定期間前に前記電圧指令値作成手段から出力された前記電圧指令値を保持する。
また具体的には例えば、前記電圧指令値は、前記モータの回転子の回転に伴って回転する回転座標上における2相の電圧指令値である。
そして例えば、当該モータ制御装置は、前記特定期間内において、前記モータの回転子位置に応じて前記U相、V相及びW相電圧の夫々を変化させる。
これにより、相電圧の電圧波形を滑らかにすることができる。
具体的には例えば、当該モータ制御装置は、前記モータの回転子位置を推定する推定手段と、前記電圧指令値作成手段から出力される或いは前記電圧指令値保持手段に保持されている前記2相の電圧指令値を、推定された前記回転子位置に基づいて3相電圧指令値に変換する座標変換手段と、を更に備えて、前記3相電圧指令値に従って前記モータを制御し、前記推定手段は、前記特定期間外では、前記モータ電流に基づいて前記回転子位置を推定し、前記特定期間内では、前記モータ電流に基づく前記回転子位置の推定を停止し、その特定期間前に推定した前記回転子位置を基準にしつつ、前記特定期間前における前記回転子位置の変化状態に基づいて或いは前記特定期間前における前記モータの回転速度情報に基づいて前記特定期間内の前記回転子位置を推定する。
また例えば、当該モータ制御装置は、位置センサを用いて前記モータの回転子位置を検出する位置検出手段と、前記電圧指令値作成手段から出力される或いは前記電圧指令値保持手段に保持されている前記2相の電圧指令値を、検出された前記回転子位置に基づいて3相電圧指令値に変換する座標変換手段と、を更に備えて、前記3相電圧指令値に従って前記モータを制御するようにしてもよい。
上記の如く構成すれば、回転子位置を推定する場合でも、回転子位置を検出する場合でも、相電圧の電圧波形を滑らかにすることができる。
本発明に係るモータ制御装置は、三相式のモータと、前記モータを駆動するインバータと、前記インバータを制御することにより前記モータを制御する上記のモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、1シャント電流検出方式を採用した場合において、簡素な処理にて相電流を実測不能な期間可能なモータ制御装置及びモータ駆動システムを提供することができる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。後に第1〜第4実施例を説明するが、まず、各実施例に共通する事項又は各実施例にて参照される事項について説明する。
[全体構成及び1シャント電流検出方式]
本発明の実施の形態に係るモータ駆動システムの全体的構成を説明しつつ、該モータ駆動システムに採用される1シャント電流検出方式を説明する。図1は、このモータ駆動システムの全体概略構成図である。
図1のモータ駆動システムは、三相永久磁石同期モータ1(以下、単に「モータ1」と記す)と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2(以下、単に「インバータ2」という)と、モータ制御装置としての制御部3と、直流電源4と、電流センサ5と、を備える。直流電源4は、負出力端子4bを低電圧側として、正出力端子4aと負出力端子4bとの間に直流電圧を出力する。
モータ1は、永久磁石が設けられた回転子6と、U相、V相及びW相の電機子巻線(固定子巻線)7u、7v及び7wが設けられた固定子7と、を備えている。電機子巻線7u、7v及び7wは、中性点14を中心にY結線されている。電機子巻線7u、7v及び7wにおいて、中性点14の反対側の非結線端は、夫々、端子12u、12v及び12wに接続されている。
インバータ2は、U相用のハーフブリッジ回路、V相用のハーフブリッジ回路及びW相用のハーフブリッジ回路を備える。これらの3つのハーフブリッジ回路によって、モータ1を駆動するためのスイッチング回路が形成される。各ハーフブリッジ回路は、直列接続された一対のスイッチング素子を有する。各ハーフブリッジ回路において、一対のスイッチング素子は、直流電源4の正出力端子4aと負出力端子4bとの間に直列接続され、各ハーフブリッジ回路に直流電源4からの直流電圧が印加される。
U相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8u(以下、上アーム8uとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9u(以下、下アーム9uとも呼ぶ)から成る。V相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8v(以下、上アーム8vとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9v(以下、下アーム9vとも呼ぶ)から成る。W相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8w(以下、上アーム8wとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9w(以下、下アーム9wとも呼ぶ)から成る。また、スイッチング素子8u、8v、8w、9u、9v及び9wには、夫々、並列に、直流電源4の低電圧側から高電圧側に向かう方向を順方向としてダイオード10u、10v、10w、11u、11v及び11wが接続されている。各ダイオードは、フリーホイールダイオードとして機能する。
直接接続された上アーム8uと下アーム9uの接続点、直接接続された上アーム8vと下アーム9vの接続点、直接接続された上アーム8wと下アーム9wの接続点は、夫々、端子12u、12v及び12wに接続される。尚、図1では、各スイッチング素子として電界効果トランジスタが示されているが、それらをIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などに置き換えることもできる。
インバータ2は、制御部3から与えられた三相電圧指令値に基づいて各相に対するPWM信号(パルス幅変調信号)を生成し、該PWM信号をインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に与えることで、各スイッチング素子をスイッチング動作させる。制御部3からインバータ2に供給される三相電圧指令値は、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から構成され、vu *、vv *及びvw *によって、夫々、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの電圧レベル(電圧値)が表される。そして、インバータ2は、vu *、vv *及びvw *に基づいて、各スイッチング素子のオン(導通)又はオフ(非導通)を制御する。
同一の相の上アームと下アームが同時にオンとなるのを防ぐためのデッドタイムを無視すると、各ハーフブリッジ回路において、上アームがオンである時は下アームはオフであり、上アームがオフである時は下アームはオンである。以下、特に記述無き限り、上記デッドタイムを無視して考えるものとする。
インバータ2に印加されている直流電源4からの直流電圧は、インバータ2内の各スイッチング素子のスイッチング動作によって、例えば、PWM変調(パルス幅変調)された三相交流電圧に変換される。該三相交流電圧がモータ1に印加されることによって、各電機子巻線(7u、7v及び7w)に、三相交流電圧に応じた電流が流れてモータ1が駆動される。
電流センサ5は、インバータ2の母線MLに流れる電流(以下、「母線電流」という)を検出する。母線電流は直流成分を有するため、それを直流電流と解釈することもできる。インバータ2において、下アーム9u、9v及び9wの低電圧側は共通結線されて直流電源4の負出力端子4bに接続される。下アーム9u、9v及び9wの低電圧側が共通結線される配線が母線MLであり、電流センサ5は、母線MLに直列に介在している。電流センサ5は、検出した母線電流(検出電流)の電流値を表す信号を制御部3に伝達する。制御部3は、電流センサ5の出力信号等を参照しつつ上記三相電圧指令値を生成及び出力する。尚、電流センサ5は、例えば、シャント抵抗又はカレントトランス等である。また、下アーム9u、9v及び9wの低電圧側と負出力端子4bとを接続する配線(母線ML)にではなく、上アーム8u、8v及び8wの高電圧側と正出力端子4aとを接続する配線に電流センサ5を設けるようにしてもよい。
ここで、図2〜図6を用いて、母線電流と各相の電機子巻線に流れる相電流との関係等について説明する。図1の電機子巻線7u、7v及び7wに流れる電流を、夫々、U相電流、V相電流及びW相電流と呼び、それらの夫々を(或いはそれらを総称して)相電流と呼ぶ。また、相電流において、端子12u、12v又は12wから中性点14に流れ込む方向の電流の極性を正とし、中性点14から流れ出す方向の電流の極性を負とする。
図2は、モータ1に印加される三相交流電圧の典型的な例を示す。図2において、100u、100v及び100wは、夫々、モータ1に印加されるべきU相電圧、V相電圧及びW相電圧の波形を表す。U相電圧、V相電圧及びW相電圧の夫々を(或いはそれらを総称して)相電圧と呼ぶ。モータ1に正弦波状の電流を流す場合、インバータ2の出力電圧は正弦波状とされる。
図2に示す如く、U相電圧、V相電圧及びW相電圧の間の電圧レベルの高低関係は、時間の経過と共に変化していく。この高低関係は三相電圧指令値によって定まり、インバータ2は三相電圧指令値に従って各相に対する通電パターンを決定する。図3に、この通電パターンを表として示す。図3の左側から第1列目〜第3列目に通電パターンを表す。第4列目については後述する。
通電パターンには、
U、V及びW相の下アームが全てオンの通電パターン「LLL」と、
W相の上アームがオン且つU及びV相の下アームがオンの通電パターン「LLH」と、
V相の上アームがオン且つU及びW相の下アームがオンの通電パターン「LHL」と、
V及びW相の上アームがオン且つU相の下アームがオンの通電パターン「LHH」と、
U相の上アームがオン且つV及びW相の下アームがオンの通電パターン「HLL」と、
U及びW相の上アームがオン且つV相の下アームがオンの通電パターン「HLH」と、
U及びV相の上アームがオン且つW相の下アームがオンの通電パターン「HHL」と、
U、V及びW相の上アームが全てオンの通電パターン「HHH」と、
がある(上アーム及び下アームの符号(8u等)を省略して記載)。
図4に、3相変調を行う場合における、各相電圧の電圧レベルとキャリア信号との関係、並びに、その関係に応じたPWM信号及び母線電流の波形を示す。各相電圧の電圧レベルの高低関係は様々に変化するが、説明の具体化のため、図4は、図2に示す或るタイミング101に着目している。即ち、図4は、U相電圧の電圧レベルが最大であって且つW相電圧の電圧レベルが最小である場合を示している。電圧レベルが最大の相を「最大相」、電圧レベルが最小の相を「最小相」、電圧レベルが最大でも最小でもない相を「中間相」と呼ぶ。図4に示す状態では、最大相、中間相及び最小相は、夫々、U相、V相及びW相となっている。図4において、符号CSは各相電圧の電圧レベルと比較されるキャリア信号を表す。キャリア信号は周期的な三角波信号となっており、その信号の周期をキャリア周期という。尚、キャリア周期は、図2に示す三相交流電圧の周期よりも遥かに短いため、仮に図4に示すキャリア信号の三角波を図2上で表すと、その三角波は1本の線となって見える。
図5(a)〜(d)をも参照して相電流と母線電流との関係について説明する。図5は、図4の各タイミングにおける、電機子巻線周辺の等価回路である。
各キャリア周期の開始タイミング、即ちキャリア信号が最低レベルにあるタイミングをT0と呼ぶ。タイミングT0において、各相の上アーム(8u、8v及び8w)はオンとされる。この場合、図5(a)に示す如く、短絡回路が形成されて直流電源4への電流の出入りがない状態となるため、母線電流はゼロとなる。
インバータ2は、vu *、vv *及びvw *を参照して各相電圧の電圧レベルとキャリア信号を比較する。そして、キャリア信号のレベル(電圧レベル)の上昇過程において、最小相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT1に至ると、最小相の下アームがオンとされ、図5(b)に示す如く、最小相の電流が母線電流として流れる。図4に示す例の場合、タイミングT1から後述のタイミングT2に至るまでの間は、W相の下アーム9wがオンとなるため、W相電流(極性は負)が母線電流として流れる。
更にキャリア信号のレベルが上昇して中間相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT2に至ると、最大相の上アームがオン且つ中間相及び最小相の下アームがオンとなって、図5(c)に示す如く、最大相の電流が母線電流として流れる。図4に示す例の場合、タイミングT2から後述のタイミングT3に至るまでの間は、U相の上アーム8uがオン且つV相及びW相の下アーム9v及び9wがオンとなるため、U相電流(極性は正)が母線電流として流れる。
更にキャリア信号のレベルが上昇して最大相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT3に至ると、全ての相の下アームがオンとなって、図5(d)に示す如く、短絡回路が形成されて直流電源4への電流の出入りがない状態となるため、母線電流はゼロとなる。
タイミングT3と後述するタイミングT4の中間タイミングにおいて、キャリア信号が最大レベルに達した後、キャリア信号のレベルは下降していく。キャリア信号のレベルの下降過程では、図5(d)、(c)、(b)及び(a)に示す状態が、この順番で訪れる。即ち、キャリア信号のレベルの下降過程において、最大相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT4、中間相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT5、最小相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT6、次のキャリア周期の開始タイミングをT7とすると、タイミングT4−T5間、タイミングT5−T6間、タイミングT6−T7間は、夫々、タイミングT2−T3間、タイミングT1−T2間、タイミングT0−T1間と同じ通電パターンとなる。
従って例えば、タイミングT1−T2間或いはT5−T6間で母線電流を検出すれば、母線電流から最小相の電流を検出することができ、タイミングT2−T3間或いはT4−T5間で母線電流を検出すれば、母線電流から最大相の電流を検出することができる。そして、中間相の電流は、三相電流の総和が0になることを利用して計算で得ることができる。図3の表の第4列目には、各通電パターンにおいて母線電流として流れる電流の相を、電流極性付きで示している。例えば、図3の表の8行目に対応する通電パターン「HHL」においては、母線電流としてW相電流(極性は負)が流れる。
尚、キャリア周期からタイミングT1とT6との間の期間を除いた期間は最小相に対するPWM信号のパルス幅を表し、キャリア周期からタイミングT2とT5との間の期間を除いた期間は中間相に対するPWM信号のパルス幅を表し、キャリア周期からタイミングT3とT4との間の期間を除いた期間は最大相に対するPWM信号のパルス幅を表す。
U相が最大相且つW相が最小相の場合を例に挙げたが、最大相、中間相及び最小相の組み合わせは、6通りある。図6に、この組み合わせを表として示す。U相電圧、V相電圧及びW相電圧を、夫々、vu、vv及びvwで表した場合において、
u>vv>vw、が成立する状態を第1モード、
v>vu>vw、が成立する状態を第2モード、
v>vw>vu、が成立する状態を第3モード、
w>vv>vu、が成立する状態を第4モード、
w>vu>vv、が成立する状態を第5モード、
u>vw>vv、が成立する状態を第6モード、
と呼ぶ。図4及び図5に示した例は、第1モードに対応している。また、図6には、各モードにおいて検出される電流の相も示されている。
U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *は、具体的には、夫々、カウンタの設定値CntU、CntV及びCntWとして表される。相電圧が高いほど、大きな設定値が与えられる。例えば、第1モードにおいては、CntU>CntV>CntW、が成立する。
制御部3に設けられたカウンタ(不図示)は、キャリア周期ごとに、タイミングT0を基準としてカウント値を0からアップカウントする。そして、そのカウント値がCntWに達した時点でW相の上アーム8wがオンの状態から下アーム9wがオンの状態に切り替えられ、そのカウント値がCntVに達した時点でV相の上アーム8vがオンの状態から下アーム9vがオンの状態に切り替えられ、そのカウント値がCntUに達した時点でU相の上アーム8uがオンの状態から下アーム9uがオンの状態に切り替えられる。キャリア信号が最大レベルに達した後は、カウント値はダウンカウントされ、逆の切り替え動作が行われる。
従って、第1モードにおいては、上記のカウンタ値がCntWに達した時点がタイミングT1に対応し、CntVに達した時点がタイミングT2に対応し、CntUに達した時点がタイミングT3に対応することになる。このため、第1モードにおいては、カウンタ値がアップカウントされている状態で、カウンタ値がCntWより大きく且つCntVより小さいタイミングに電流センサ5の出力信号をサンプリングすることにより母線電流として流れるW相電流(極性は負)を検出することができ、カウンタ値がCntVより大きく且つCntUより小さいタイミングに電流センサ5の出力信号をサンプリングすることにより、母線電流として流れるU相電流(極性は正)を検出することができる。
同様に考えて、図6に示す如く、第2モードにおいては、上記のカウンタ値がCntWに達した時点がタイミングT1に対応し、CntUに達した時点がタイミングT2に対応し、CntVに達した時点がタイミングT3に対応することになる。このため、第2モードにおいては、カウンタ値がアップカウントされている状態で、カウンタ値がCntWより大きく且つCntUより小さいタイミングの母線電流からW相電流(極性は負)を検出することができ、カウンタ値がCntUより大きく且つCntVより小さいタイミングの母線電流からV相電流(極性は正)を検出することができる。第3〜第6モードについても同様である。
また、タイミングT1−T2間の、最小相の相電流を検出するサンプリングタイミング(例えば、タイミングT1とT2の中間タイミング)をST1にて表し、タイミングT2−T3間の、最大相の相電流を検出するサンプリングタイミング(例えば、タイミングT2とT3の中間タイミング)をST2にて表す。
尚、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)としてのカウンタの設定値CntU、CnuV及びCntWによって、各相に対するPWM信号のパルス幅(及びデューティ)は特定される。
上述の原理に基づき母線電流から各相電流を検出することができるのであるが、実際の母線電流の電流波形は、図7の符号102の如くリンギングを含んでいる。また、電流センサ5のアナログ出力信号をA/D変換する際のサンプリング時間遅れ等も存在する。これらを考慮すると、3相の相電圧の内、任意の2相の相電圧間の電圧差が所定の下限閾値VLIM以下である時は、2相分の相電流を実測できない。
3相の相電圧の内、任意の2相の相電圧間の電圧差を以下「2相間電圧差」と呼び、2相分の相電流を実測できない期間を以下「実測不能期間」と呼ぶ。2相間電圧差には、U相電圧とV相電圧との電圧差と、V相電圧とW相電圧との電圧差と、W相電圧とU相電圧との電圧差とがあるが、以下の説明における「2相間電圧差」とは、それらの3つの電圧差の内の最小の電圧差を指すものとする。
具体的には、3相の相電圧の内、任意の2相についてのパルス幅差の半分が、次式(A)で示す時間Tmin以下である時、2相関電圧差が下限閾値VLIM以下となって、2相分の相電流を実測できなくなる。図4(又は図7)に示す例の場合、タイミングT1−T2間又はT2−T3間の時間がTmin以下である時、2相関電圧差が下限閾値VLIM以下となる。三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)によってPWM信号のパルス幅は特定されるため、三相電圧指令値から現時点が実測不能期間に属するか否かを判断可能である。
min=Td+Trig+Tsmpl+(Tpower_on−Tpower_off) ・・・(A)
ここで、Tdは予め設定されたデッドタイムであり、Trigは母線電流のリンギングが収束するまでの時間であり、Tsmplは電流センサ5のアナログ出力信号をA/D変換する際のサンプリング時間遅れであり、Tpower_offは上アーム又は下アームのオフ遅れ時間であり、Tpower_onは上アーム又は下アームのオン遅れ時間である。時間Tminは、モータ駆動システムの設計段階で予め設定される。
rig等について更に説明を加えておく。インバータ2は、3相分の上アーム及び下アームのオン/オフをスイッチングすることにより、モータ1にモータ電流を供給してモータ1を駆動するが、このスイッチングの際に、母線電流の電流波形に高周波の振動が現れる。この振動は、一般的にリンギングと呼ばれる。この電流波形の振動は、時間の経過と共に減衰していくが、十分に振動が減衰して母線電流の電流波形が安定するまでに必要な時間(減衰時間)が時間Trigである。時間Trigは、電流波形の実測等を介してモータ駆動システムの設計段階で予め設定される。
また、制御部3は、電流センサ5のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(不図示)を備え、そのデジタル信号より母線電流の電流値を検出する。このA/D変換器は、例えば、後述のモータ電流再現部21(図9参照)内に設けられる。A/D変換器に、或る特定の電圧値を有するアナログ信号をサンプリングさせて、その特定の電圧値を正確に表すデジタル信号を出力させるためには、一定期間、A/D変換器に与えるアナログ信号を該特定の電圧値に保ち続ける必要がある。この一定期間の長さがTsmplである。この一定期間の長さ(即ち、時間Tsmpl)は、A/D変換器の電気的特性にて定まる固有の時間長さであって、モータ駆動システムの設計段階で予め設定される。
オフ遅れ時間とオン遅れ時間について説明する。説明の具体化のため、各スイッチング素子(8u、8v、8w、9u、9v及び9w)が電界効果トランジスタ(FET)である場合を考える。FETがオンである状態において、そのFETをオフとするためのオフ信号をFETのゲートに与えたとする。このオフ信号をゲートに与えた時点から起算して、オフ遅れ時間が経過するとFETは完全にオフとなり、オフ遅れ時間が経過していない時点においてFETの状態はオンの状態又はオンからオフへの遷移状態となる。同様に、FETがオフである状態において、そのFETをオンとするためのオン信号をFETのゲートに与えたとする。このオン信号をゲートに与えた時点から起算して、オン遅れ時間が経過するとFETは完全にオンとなり、オン遅れ時間が経過していない時点においてFETの状態はオフの状態又はオフからオンへの遷移状態となる。オフ時間遅れTpower_offとオン遅れ時間Tpower_onは、各スイッチング素子(8u等)の電気的特性にて規定され、時間Tminの設定に考慮される。オフ時間遅れ及びオン遅れ時間を、総称して、スイッチング時間遅れと呼ぶことができる。
モータ駆動システムの設計段階において、Td、Trig、Tsmpl、Tpower_off及びTpower_onを定めることによりTminを一意に定める。Tminとインバータ2にて採用されるキャリア周波数(キャリア信号の周波数)から、2相分の相電流を実測するために必要な2相間電圧差の最小値は、一意に定まる。この最小値が下限閾値VLIMである。下限閾値VLIMも、モータ駆動システム(制御部3)の設計段階において予め定められ、現時点が実測不能期間(又は後述の保持期間)内であるか否かの判断に利用される。
本実施形態に係るモータ駆動システムでは、実測不能期間において、回転座標上における電圧指令値を過去の電圧指令値に保持する機能を有する。
[状態量等の定義]
この保持に関する手法を詳説する前に、各種の状態量(状態変数)の説明及び定義等を行う。図8は、モータ1の解析モデル図である。図8には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸(以下、それらを、単に、U相軸、V相軸及びW相軸とも呼ぶ)が示されている。6aは、モータ1の回転子6に設けられた永久磁石である。永久磁石6aが作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石6aが作る磁束の方向をd軸にとり、d軸に対応する制御上の回転軸をγ軸とする。また、図示していないが、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとり、γ軸から電気角で90度進んだ位相にδ軸をとる。d軸とq軸を総称してdq軸と呼び、dq軸を座標軸とする座標をdq座標と呼ぶ。γ軸とδ軸を総称してγδ軸と呼び、γδ軸を座標軸とする座標をγδ座標と呼ぶ。
dq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸も回転しており、その回転速度をωeで表す。また、ある瞬間の回転しているdq軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の位相(角度)をθにより表す。同様に、ある瞬間の回転しているγδ軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たγ軸の位相(角度)をθeにより表す。そうすると、d軸とγ軸との軸誤差Δθは、Δθ=θ―θeで表される。θ又はθeにて表される位相(角度)は、電気角における位相(角度)であり、それらを、一般的に呼ばれるように回転子位置と呼ぶ。ω又はωeにて表される回転速度は、電気角における角速度である。
また、インバータ2からモータ1に印加される全体のモータ電圧をVaにて表し、インバータ2からモータ1に供給される全体のモータ電流をIaにて表す。そして、
モータ電圧Vaのγ軸成分、δ軸成分、d軸成分及びq軸成分を、それぞれγ軸電圧vγ、δ軸電圧vδ、d軸電圧vd及びq軸電圧vqで表し、
モータ電流Iaのγ軸成分及びδ軸成分を、それぞれγ軸電流iγ及びδ軸電流iδで表す。
γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδに対する指令値を、夫々、γ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*にて表す。vγ*及びvδ*は、夫々、vγ及びvδが追従すべき電圧(電圧値)を表す。
γ軸電流iγ及びδ軸電流iδに対する指令値を、夫々、γ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*にて表す。iγ*及びiδ*は、夫々、iγ及びiδが追従すべき電流(電流値)を表す。
<<第1実施例>>
図1に示されるモータ駆動システムの第1実施例について説明する。図9は、第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図9に示す如く、制御部3は、符号21〜28で参照される各部位を備えている。モータ駆動システムを構成する各部位は、必要に応じてモータ駆動システム内で生成される値の全てを自由に利用可能となっている。
モータ電流再現部21は、座標変換器27から出力される三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に基づいて最小相の相電流を検出するサンプリングタイミングST1及び最大相の相電流を検出するサンプリングタイミングST2を特定し(図6参照)、各サンプリングタイミングST1及びST2にて電流センサ5からのアナログ出力信号をサンプリングしてA/D変換することにより、モータ電流Iaを再現する。具体的には、U相電流iu及びV相電流ivを再現し、それらを座標変換器22に送る。この際、必要であれば、U相電流iu、V相電流iv及びW相電流iwの総和が0であることを利用する。尚、電流に関して「再現する」とは「検出する」と同義である。従って、モータ電流再現部は、モータ電流検出部とも読み替えることができる。
座標変換器22は、位置・速度推定器28(以下、単に推定器28という)から与えられる回転子位置(推定回転子位置)θeに基づいてU相電流iu及びV相電流ivをγδ軸上に座標変換することによりγ軸電流iγ及びδ軸電流iδを算出して出力する。
速度制御部23は、制御部3の内部又は外部に設けられた回転速度指令値発生部(不図示)から与えられる回転速度指令値ω*と推定器28から与えられる回転速度(推定回転速度)ωeを参照し、比例積分制御などを用いることによって、速度誤差(ω*−ωe)がゼロに収束するようにγ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*を算出して出力する。
電流制御部24は、速度制御部23にて算出されたiγ*及びiδ*と座標変換器22からのiγ及びiδを参照し、比例積分制御などを用いることによって、電流誤差(iγ*−iγ)及び(iδ*−iδ)がゼロに収束するようにγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*を算出して出力する。
制御部3を形成する各部位は、所定の更新周期にて自身が算出及び出力する指令値(iγ*、iδ*、vγ*、vδ*、vu *、vv *及びvw *を含む)又は状態量(iu、iv、iγ、iδ、θe及びωeを含む)を更新する。
保持期間設定部25は、座標変換器27から出力される三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に基づいて、2相間電圧差が上記の下限閾値VLIM以下であるか否かを判断し、その判断結果に基づいて保持期間を定める。保持期間設定部25は、2相間電圧差が下限閾値VLIM以下となっている期間(即ち、実測不能期間)の全てを保持期間内に含めるようにする。例えば、保持期間を、2相間電圧差が下限閾値VLIM以下となっている期間と一致させる。
電圧指令値保持部26は、保持期間設定部25の制御の下、電流制御部24から出力された所定タイミングのvγ*及びvδ*を保持し、保持期間外においては電流制御部24が現在出力しているvγ*及びvδ*をそのまま座標変換器27に出力し、保持期間内においては自身が保持しているvγ*及びvδ*を座標変換器27に出力する。尚、保持期間外でも、電圧指令値保持部26が所定タイミングのvγ*及びvδ*を保持していることもある(その保持値は座標変換部27に与えられない)。従って、保持期間は、電圧指令値保持部26が所定タイミングのvγ*及びvδ*を保持している期間に関連するものの、その期間に完全に一致するとは限らない(但し、一致する場合もある)。「保持期間」と「電圧指令値保持部26が所定タイミングのvγ*及びvδ*を保持している期間」との混同を明確に排除するために、本実施形態の記載中の「保持期間」を「特定期間」に呼びかえることも可能である。
座標変換器27は、推定器28から出力される回転子位置θeに基づいて電圧指令値保持部26から与えられたvγ*及びvδ*を三相の固定座標軸上に座標変換することにより、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を算出して出力する。
推定器28は、座標変換器22からのiγ及びiδ並びに電流制御部24からのvγ*及びvδ*の内の全部又は一部を用いて、比例積分制御などを行うことにより、d軸とγ軸との間の軸誤差Δθ(図8参照)がゼロに収束するように回転子位置θe及び回転速度ωeを推定する。回転子位置θe及び回転速度ωeの推定手法として古くから様々な手法が提案されており、推定器28は公知の何れの手法をも採用可能である。例えば、特許第3411878号公報に記載の手法を用いればよい。推定器28によって推定された回転子位置θeは座標変換器22及び27に出力され、推定器28によって推定された回転速度ωeは速度制御部23に出力される。
インバータ2は、座標変換器27からの三相電圧指令値に従ってインバータ2内の各アームのスイッチングを制御することにより、制御部3で生成された指令値(iγ*及びiδ*等)に応じたモータ電流Iaをモータ1に供給してモータ1を駆動する。
2相間電圧差に着目した、制御部3の概略的な動作手順を図10に示す。制御部3は、2相間電圧差が小さくなっている期間を保持期間として定め、例えば、保持期間においては保持期間の直前のvγ*及びvδ*を用いて位置センサレスベクトル制御を実施する。一方、保持期間外においては、検出したiu及びivに基づいてvγ*及びvδ*を算出し、算出したvγ*及びvδ*に基づいて位置センサレスベクトル制御を実施する。
図11を参照し、1つの保持期間に着目して、その保持期間前後の制御部3の動作について更に詳細に説明する。図11は、横軸を時間にとり、vγ*、vδ*、θe、ωe、iu、iv、iγ及びiδの移り変わりを表しており、U相電圧が最大相であって且つV相電圧が中間相である状態からU相電圧が中間相であって且つV相電圧が最大相である状態に遷移する区間に対応している。vγ*、vδ*、θe、ωe、iu、iv、iγ及びiδを所定の更新周期にて値が更新される離散値と捉え、更新タイミングtにおけるvγ*、vδ*、θe、ωe、iu、iv、iγ及びiδを夫々vγ*[t]、vδ*[t]、θe[t]、ωe[t]、iu[t]、iv[t]、iγ[t]及びiδ[t]と表す。同様に、更新タイミングtにおけるω*、iγ*、iδ*、vu *、vv *及びvw *を夫々ω*[t]、iγ*[t]、iδ*[t]、vu *[t]、vv *[t]及びvw *[t]で表す。尚、更新タイミングとは、一瞬の時点を意味するものではなく、演算時間等を考慮した或る程度の幅を有する時間概念である。更新タイミングtと次の更新タイミング(t+1)との間の期間長さは上記の更新周期に相当する。
u[t]及びiv[t]並びにθe[t−1]に基づいてiγ[t]及びiδ[t]が算出され、iγ[t]及びiδ[t]並びにvγ*[t−1]及びvδ*[t−1]に基づいてθe[t]及びωe[t]が算出され、ω*[t]及びωe[t]に基づいてiγ*[t]及びiδ*[t]が算出される。電流制御部24は、iγ*[t]及びiδ*[t]並びにiγ[t]及びiδ[t]に基づいてvγ*[t]及びvδ*[t]を算出する。座標変換器27は、θe[t]と与えられたvγ*[t]及びvδ*[t]に基づいてvu *[t]、vv *[t]及びvw *[t]を算出する。
今、更新タイミングt以前は保持期間に含まれておらず、vu *[t]、vv *[t]及びvw *[t]に基づいて、保持期間設定部25が更新タイミング(t+1)以降を保持期間に含めると判断したとする。そして、更新タイミング(t+k)に至った時点で着目した保持期間が終了すると判断された場合を考える。つまり、更新タイミング(t+1)〜(t+k)までが1つの保持期間に含まれ、更新タイミング(t+k+1)以降は該保持期間に含まれないものとする。ここで、kは2以上の整数である。
この場合、更新タイミングtにおいては、電流センサ5を用いた実測によってiu[t]及びiv[t]が算出されてiγ[t]及びiδ[t]も算出され、続いて、θe[t]及びωe[t]も算出される。そして、速度制御部23によるiγ*[t]及びiδ*[t]の算出の後、電流制御部24にて算出されたvγ*[t]及びvδ*[t]がそのまま電圧指令値保持部26を介して座標変換器27に与えられ、座標変換器27は、そのvγ*[t]及びvδ*[t]に従ってvu *[t]、vv *[t]及びvw *[t]を算出する。
保持期間内においては、電流センサ5の出力信号はサンプリングされず、iu、iv、iγ及びiδは算出されない。但し、保持期間においても、電流センサ5の出力信号のサンプリングを行うようにしても構わない(そのサンプリング値に応じてiu等の算出が行われないだけである)。
保持期間内において、推定器28は、iγ及びiδに基づくθe及びωeの推定を一時的に停止する。そして、更新タイミングt以前のθeの変化状態に応じて或いは更新タイミングt以前の回転速度情報に応じて、保持期間内におけるθeが変化するように保持期間内におけるθeを推定する。更新タイミングt以前の回転速度情報とは、ωe[t]又はω*[t]である。定常状態において、ωe[t]とω*[t]は殆ど一致している。尚、ωe[t]は更新タイミングt以前のθeの単位時間当たり変化量より算出されるため、「ωe[t]に応じて保持期間内におけるθeを推定すること」と「更新タイミングt以前のθeの変化状態に応じて保持期間内におけるθeを推定すること」とは等価である言え、前者と後者は同じ結果を導く。
具体的には例えば、θe[t]を基準にし、保持期間内において回転子6がωe[t]又はω*[t]の回転速度で回転し続けるものと仮定して保持期間内におけるθe(即ち、θe[t+1]〜θe[t+k])を推定する。従って、保持期間内におけるωe(即ち、ωe[t+1]〜ωe[t+k])はωe[t]と同じとされる。保持期間内に推定された回転子位置及び回転速度(θe[t+1]及びωe[t+1]等)は、座標変換器27及び速度制御部23に出力される。定常状態において、回転子は一定の割合で回転し続けるため、上記のように保持期間内のθe及びωeを推定しても実害は少ない。
電圧指令値保持部26は、保持期間の直前に電流制御部24から出力されたvγ*及びvδ*を保持する。即ち、vγ*[t]及びvδ*[t]を保持し、これを保持期間内において継続的に出力する。従って、更新タイミング(t+1)〜(t+k)において座標変換器27に与えられるvγ*及びvδ*(即ち、vγ*[t+1]〜vγ*[t+k]及びvδ*[t+1]〜vδ*[t+k])は、保持期間の直前に電流制御部24から出力されたvγ*[t]及びvδ*[t]と同じとなる。
保持期間が終了した後は、保持期間開始前と同様の動作を復帰させる。即ち、保持期間が終了した後に訪れる更新タイミング(t+k+1)においては、電流センサ5を用いた実測によってiu[t+k+1]及びiv[t+k+1]が算出されてiγ[t+k+1]及びiδ[t+k+1]も算出され、続いて、θe[t+k]及びωe[t+k]との連続性を考慮しつつθe[t+k+1]及びωe[t+k+1]も算出される。そして、速度制御部23によるiγ*[t+k+1]及びiδ*[t+k+1]の算出の後、iγ[t+k+1]及びiδ[t+k+1]並びにiγ*[t+k+1]及びiδ*[t+k+1]を用いて電流制御部24にて算出されたvγ*[t+k+1]及びvδ*[t+k+1]が、そのまま電圧指令値保持部26を介して座標変換器27に与えられ、座標変換器27は、そのvγ*[t+k+1]及びvδ*[t+k+1]に従ってvu *[t+k+1]、vv *[t+k+1]及びvw *[t+k+1]を算出する。更新タイミング(t+k+2)以降についても同様である。
上述の保持を実施した場合の電圧波形を、図12に示す。図12において、横軸は時間であり、符合103はU相電圧vuの電圧波形を表し、符合104はvδ*の波形を表し、符合105はvγ*の波形を表す。波線106及び107で囲まれた各領域内に保持期間が存在するが、U相電圧vuは歪みのない滑らかな電圧となっていることが分かる。つまり、パルス幅を補正する方法(図20参照)のように電圧の歪み(電圧指令の不連続)が発生することがないので、モータ1の滑らかな駆動が可能となる。定常状態において回転子は一定の割合で回転し続けるため、上記のように保持期間内のθeを推定すれば、各相電圧の電圧波形は略理想的な電圧波形となる。このため、モータ駆動システム及びこれを備えた冷蔵庫用圧縮機や空気調和機(特に例えば、車載用空気調和機)における振動や騒音を低く抑えることができる。
また、上記特許文献3に記載されたような従来手法では、実測不能期間において、過去の3相電流をdq変換することによって得たd軸q軸電流を3相に再度逆変換するといった複雑な計算が必要となるが、本実施例では、このような複雑な計算は不要となる。また、本実施形態における記号を当てはめて考えた場合、この従来手法では、実測不能期間において、過去のiγ及びiδに基づき速度制御部及び電流制御部がiγ*、iδ*、vγ*及びvδ*を算出するという演算処理が必要となる。この演算処理の過程で意図せず演算誤差が混入してしまう。一方、本実施例によれば、このような演算誤差が混入することがないため、モータ1をより高精度にベクトル制御することが可能である。更に、保持期間において速度制御部23及び電流制御部24の演算処理を休止することができるため、制御処理時間の短縮も期待できる。
また、本実施例では、上記特許文献4〜6に記載の手法のようにキャリア周波数(キャリア信号の周波数)を変更する必要がない。キャリア周波数を変更可能とするためには、高性能のマイクロコンピュータを利用した煩雑な処理が必要となる。また、キャリア周波数を低減させれば、制御周期が遅くなる、騒音が大きくなるといったデメリットが生じるが、本実施例では、このようなデメリットはない。
また、保持期間においては、電流センサ5の出力信号をサンプリングする必要もサンプリングタイミングを計算する必要もないため、処理の高速化を図ることも可能である。
尚、上述の例においては、電圧指令値保持部26が、保持期間の直前に電流制御部24から出力されたvγ*及びvδ*、即ちvγ*[t]及びvδ*[t]を保持し、これを保持期間内において継続的に出力するとした。但し、電圧指令値保持部26が保持して保持期間内に出力する電圧指令値が、vγ*[t]及びvδ*[t]である必要は必ずしもない。例えば、電圧指令値保持部26は、保持期間前に電流制御部24から出力されたvγ*[t−j]及びvδ*[t−j]を保持し、これを保持期間内において継続的に出力するようにすればよい。ここで、jは1以上の整数とされるが、本来的に電流センサ5の実測値に基づいてvγ*及びvδ*を算出した方が良いのでjはなるだけ小さい値の方が良く、究極的には上述してきた例のようにj=0が望ましい。
まとめると、電圧指令値保持部26は、着目した保持期間から見て過去に電流制御部24から出力されたvγ*及びvδ*、即ちvγ*[t−j]及びvδ*[t−j]を保持し、これを当該保持期間内において継続的に出力する(ここで、jは0以上の整数値であって、例えば予め固定値として設定される)。より具体的には、保持期間外から保持期間内に遷移する境界時点を基準とした、当該保持期間前の所定タイミングにおける電流制御部24の出力値vγ*[t−j]及びvδ*[t−j]を保持し、これを当該保持期間内において継続的に出力する。この場合、更新タイミング(t+1)〜(t+k)において座標変換器27に与えられるvγ*及びvδ*(即ち、vγ*[t+1]〜vγ*[t+k]及びvδ*[t+1]〜vδ*[t+k])は、電流制御部24から出力されたvγ*[t−j]及びvδ*[t−j]と同じとなる。
[保持期間の設定手法]
保持期間設定部25による保持期間の設定手法について説明を加えておく。設定手法として、第1及び第2設定手法を例示する。保持期間設定部25は、第1又は第2設定手法を採用可能である。
第1設定手法を説明する。第1設定手法では、保持期間設定部25は、現時点が保持期間外であるか保持期間内であるかに拘らず、常に三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に基づき2相間電圧差が上記の下限閾値VLIM以下であるか否かを判断する。そして、2相間電圧差が下限閾値VLIM以下となっている期間を保持期間内に含めるようにする。
第2設定手法を説明する。第2設定手法では、保持期間設定部25は、保持期間外において三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に基づき2相間電圧差が下限閾値VLIM以下であるか否かを判断する。そして、2相間電圧差が下限閾値VLIMよりも大きい状態から下限閾値VLIM以下となる状態へ遷移するタイミング(又は該タイミングの少し前のタイミング)を、保持期間の開始時点とする。
そして、保持期間の長さを、保持期間の開始時点における回転速度情報(ωe又はω*)に基づいて設定する。定常状態において回転子は一定の割合で回転し続けるため、回転速度情報に基づけば、どれだけ時間が経過した時点で再び2相間電圧差が下限閾値VLIMよりも大きくなるかを推定可能だからである。保持期間の開始時点と保持期間の長さが定まれば、自動的に保持期間の終了時点も定まる。
尚、2相間電圧差が下限閾値VLIMよりも大きくなっている期間が、若干量、保持期間に含まれることになったとしても、図12のような電圧波形が得られるので問題は少ない。これは、第1及び第2設定手法の双方に当てはまることであり、また、後述の第2実施例における第3設定手法にも当てはまる。
<<第2実施例>>
第1実施例において、保持期間の設定手法として第1及び第2設定手法を例示したが、これらに代えて第3設定手法を利用することも可能である。第3設定手法を利用する実施例として第2実施例を例示する。第2実施例は、保持期間の設定手法が第1実施例と異なるだけであり、その他の点において第1及び第2実施例は同様である。従って、保持期間の設定手法にのみ着目して説明を行う。
まず、第3設定手法に関連する軸の定義や数式の導出を行う。
図13に、固定軸であるU相軸、V相軸及びW相軸と、回転軸であるd軸及びq軸と、電圧ベクトルと、の関係を表す空間ベクトル図を示す。符号110が付されたベクトルは、電圧ベクトルである。q軸から見た電圧ベクトル110の位相をεにて表す。U相軸を基準とした電圧ベクトル110の位相は、(θ+ε+π/2)にて表される。
電圧ベクトル110は、モータ1に印加される電圧をベクトルとして捉えたものであり、例えばγδ座標に着目した場合、電圧ベクトル110のγ軸成分及びδ軸成分は、それぞれvγ及びvδである。実際には、モータ駆動システム内においてγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*が算出され、vγ*及びvδ*によって電圧ベクトル110が表される。このため、電圧ベクトルは、電圧指令ベクトルとも読み替えられる。
U相軸近傍、V相軸近傍及びW相軸近傍のハッチングが施されたアスタリスク状の領域111は、2相分の相電流が検出できない領域を表している。例えば、V相電圧とW相電圧が近くて2相分の相電流が検出できない場合、電圧ベクトル110はU相軸近傍に位置することになり、U相電圧とW相電圧が近くて2相分の相電流が検出できない場合、電圧ベクトル110はV相軸近傍に位置することになる。
このように、2相分の相電流が検出不可能な領域111は、U相軸を基準として電気角で60度ごとに存在し、電圧ベクトル110が、その領域111に位置すると2相分の相電流が検出できない。従って、着目したタイミングにおける電圧ベクトル(電圧指令ベクトル)が領域111内にあるか否かを判断すれば、そのタイミングを保持期間に含めるべきか否かを判断可能である。
この判断を実行するべく、今、2相分の相電流を検出不可能な領域111の特性に着目して、電気角60度ごとにステップ的に回転する座標を考える。この座標を、ab座標と呼ぶ(尚、dq座標やγδ座標は連続的に回転する座標である)。ab座標は、互いに直交するa軸とb軸を座標軸としている。図14に、a軸がとり得る6つの軸を示す。a軸は、電圧ベクトル110の位相(θ+ε+π/2)に応じて、a1軸〜a6軸の何れかとなる。a1軸、a3軸及びa5軸は、それぞれU相軸、V相軸及びW相軸に一致し、a2軸、a4軸及びa6軸は、それぞれa1軸とa3軸の中間軸、a3軸とa5軸の中間軸及びa5軸とa1軸の中間軸である。尚、符号131が付された円については後述する。
電圧ベクトル110が、符号121が付された範囲に位置する場合、即ち、
11π/6≦(θ+ε+π/2)<0、又は、0≦(θ+ε+π/2)<π/6、が成立する場合、a軸はa1軸となり、
電圧ベクトル110が、符号122が付された範囲に位置する場合、即ち、
π/6≦(θ+ε+π/2)<π/2、が成立する場合、a軸はa2軸となり
電圧ベクトル110が、符号123が付された範囲に位置する場合、即ち、
π/2≦(θ+ε+π/2)<5π/6、が成立する場合、a軸はa3軸となり
電圧ベクトル110が、符号124が付された範囲に位置する場合、即ち、
5π/6≦(θ+ε+π/2)<7π/6、が成立する場合、a軸はa4軸となり
電圧ベクトル110が、符号125が付された範囲に位置する場合、即ち、
7π/6≦(θ+ε+π/2)<3π/2、が成立する場合、a軸はa5軸となり
電圧ベクトル110が、符号126が付された範囲に位置する場合、即ち、
3π/2≦(θ+ε+π/2)<11π/6、が成立する場合、a軸はa6軸となる。
例えば、電圧ベクトル110が図14に示す位置にある場合、a軸はa4軸となる。
このように、a軸は、電圧ベクトルの回転に伴って、60度ごとにステップ的に回転し、b軸も、a軸と直交しつつa軸と共に60度ごとにステップ的に回転する。a軸及びb軸は60度ごとに量子化されて60度ごとに回転する座標軸である、とも表現できる。このため、a軸は、常に、2相分の相電流を検出不可能な領域の中心に位置することになる。
ab座標に関連する式について説明する。a1軸〜a6軸の内、電圧ベクトル110が最も近い軸の位相は、U相軸を基準として、「(n+2)π/3」にて表される。ここで、nは、(θ+ε)をπ/3で割った時に得られる商である。便宜上、図15に示す如く、θを、上記の位相(n+2)π/3と、その位相(n+2)π/3とθとの差分位相θDと、に分解する。これらの位相の関係は、式(1−1)及び式(1−2)にて表される。
Figure 0005311864
dq座標を差分位相θDだけ座標変換することにより、電圧ベクトル110をab座標上における電圧ベクトルとして捉える。ab座標上で考え、電圧ベクトル110のa軸成分及びb軸成分をa軸電圧va及びb軸電圧vbとすると、d軸電圧vd及びq軸電圧vqとa軸電圧va及びb軸電圧vbは、下記式(1−3)の座標変換式を満たす。
Figure 0005311864
差分位相θDは、以下のように算出できる。下記式(1−4)を用いて算出されるεに合致するn(即ち、(θ+ε)をπ/3で割った時に得られる商)を、θを参照して求める。その求めたnとθを上記式(1−2)に代入すれば、差分位相θDが得られる。
Figure 0005311864
a軸は常に2相分の相電流を検出不可能な領域の中心に位置することになるため、dq座標上の電圧ベクトルをab座標上に変換し、そのab座標上に変換された電圧ベクトルのa軸成分及びb軸成分を参照すれば、電圧ベクトル(電圧指令ベクトル)が領域111内にあるか否かを判断可能である。また、電圧ベクトル110が円131の内部に含まれる状態は、三相の相電圧が互いに接近している状態に対応しており、この状態においても2相分の相電流は検出できない。
図16に、第2実施例に係る保持期間設定部25aの内部ブロック図を示す。第2実施例では、図9の保持期間設定部25の代わりに保持期間設定部25aが用いられる。保持期間設定部25aは、座標回転部41及び判定部42を備える。保持期間設定部25aでは、上記式(1−1)〜(1−4)等におけるvd及びvq並びにθとして、夫々、電圧指令値保持部26から出力されるvγ*及びvδ*並びに推定器28から出力されるθeが用いられる。
座標回転部41は、推定器28から出力されるθeを用いて電圧指令値保持部26から出力されるvγ*及びvδ*に対して式(1−3)に従う座標変換を行い、a軸電圧va及びb軸電圧vbを求める。式(1−3)の差分位相θDの算出の際、式(1−4)を利用した上述の手法が用いられる。
判定部42は、座標回転部41にて求められたa軸電圧va及びb軸電圧vbに基づき、2相間電圧差に関する判定処理を行う。具体的には、b軸電圧vbの大きさ(絶対値)が所定の閾値Δ(但し、Δ>0)より小さいか否かを判断する。即ち、下記式(1−5)が成立するか否かを判断する(閾値Δの意義については図17を参照)。更に、a軸電圧vaが下記式(1−6)を満たすか否かも判断する。
Figure 0005311864
b軸電圧vbはa軸(a1〜a6軸;図14参照)の直交電圧成分であるため、式(1−5)が成立する場合、vγ*及びvδ*によって表される電圧指令ベクトルの終点は、2相分の相電流が検出不可能な領域111内に位置することになる(図17参照)。式(1−6)が成立する場合、vγ*及びvδ*によって表される電圧指令ベクトルの終点は、図14(又は図17)の円131内に位置することになる。従って、判定部42は、式(1−5)及び(1−6)の内の少なくとも一方が成立する場合、2相間電圧差が上記の下限閾値VLIM以下となっていると判断し、式(1−5)及び(1−6)の双方が不成立の場合、2相間電圧差が下限閾値VLIMよりも大きくなっていると判断する。
そして、保持期間設定部25aは、2相間電圧差が下限閾値VLIM以下となっている期間が保持期間内に含まれるように、保持期間を設定する。第2実施例では、保持期間設定部25aにて設定された保持期間に従って、モータ駆動システム内の各部位(電圧指令値保持部26や推定器28等)が動作する。
第2実施例のように保持期間を設定するようにしても、第1実施例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
<<第3実施例>>
第1又は第2実施例に係るモータ駆動システムでは、d軸とγ軸との間の軸誤差Δθをゼロに収束させるベクトル制御、即ち、γ軸をd軸に追従させるベクトル制御を実施しているが、γ軸をd軸と異なる軸に追従させるベクトル制御を実施するようにしてもよい。第1又は第2実施例に対するこの変形例を、第3実施例とする。例えば、上記非特許文献1及び特開2007−259686号公報に記載されているようなdm軸を定義し、γ軸をdm軸に追従させるベクトル制御を実施するようにしてもよい。
dm軸は、qm軸から電気角で90度遅れた軸である。qm軸とは、最大トルク制御を実現する際にモータ1に供給されるべき電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸である。モータ1に供給されるべき電流ベクトルとは、モータ1に供給されるべき電流をベクトルにて表現したものを指す。また、最大トルク制御を実現する際にモータ1に供給されるべき電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸よりも更に位相が進んだ回転軸をqm軸とするようにしてもよい。
γ軸をdm軸に追従させるベクトル制御を実施する場合、例えば、以下のように処理すればよい。保持期間外では、図9の推定器28が、座標変換器22からのiγ及びiδ並びに電流制御部24からのvγ*及びvδ*の内の全部又は一部を用いてdm軸とγ軸との間の軸誤差Δθmを推定し、比例積分制御を用いて軸誤差Δθmがゼロに収束するように回転子位置θe及び回転速度ωeを推定する。保持期間内における動作は、第1又は第2実施例におけるそれと同様である。
<<第4実施例>>
第1〜第3実施例に係るモータ駆動システムは、回転子位置を検出するための位置センサを用いない位置センサレスベクトル制御を行っている。しかしながら、第1〜第3実施例に記載された技術は、位置センサを設けた場合にも有益である。位置センサを設けたモータ駆動システムを本発明の第4実施例とする。第1〜第3実施例に記載した事項は、矛盾なき限り、第4実施例にも適用可能である。
説明の具体化のため、第1実施例に係る図9のモータ駆動システムに位置センサ及び位置検出部を追加した構成を説明する。この構成を有するモータ駆動システムのブロック図を図18に示す。このモータ駆動システムは、θeとωeが位置センサの出力信号に基づいて検出される点及びそれに伴って推定器28が不要となる点を除いて、図9のモータ駆動システムと同様である。
位置センサ51は、例えばホール素子またはレゾルバから成り、回転子6の永久磁石6aの磁極位置を特定するための信号(即ち、角度θを特定するための信号)を出力する。位置検出部52は、位置センサ51の出力信号から、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の位相を検出する。検出された位相(回転子位置)がθeとして取り扱われる。位置検出部52によって検出された回転子位置θeは、理想的には図8のθと完全に一致し、それは座標変換器22及び27に与えられる。また、θeを微分器53にて微分することによってωeが得られ、ωeは速度制御部23に与えられる。
そして、第1実施例と同様、電圧指令値保持部26は、電流制御部24から出力された所定タイミングのvγ*及びvδ*を保持し、保持期間外においては電流制御部24が現在出力しているvγ*及びvδ*をそのまま座標変換器27に出力し、保持期間内においては自身が保持しているvγ*及びvδ*を座標変換器27に出力する。位置センサ51を用いるため、現時点が保持期間内に属するか否かに拘らず、常に回転子位置θeが検出される。従って、座標変換器27は、常に位置センサ51の出力信号に基づく回転子位置θeに基づいて電圧指令値保持部26から与えられたvγ*及びvδ*を三相の固定座標軸上へ座標変換し、これによって三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を算出して出力する。
第4実施例のようにモータ駆動システムを構成しても、当然、第1実施例と同様の効果(相電圧の電圧波形が滑らかとなる等)が得られる。
<<変形等>>
上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈4を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
インバータ2にて3相変調を用いる場合を取り扱ったが、本発明は変調方式に依存しない。例えば、インバータ2にて2相変調を行う場合、通電パターンは、図3に示した3相変調のそれと異なってくる。2相変調では、最小相の下アームが常にオンとされるため、図4におけるタイミングT0−T1間及びT6−T7間に対応する通電パターンが存在しない。しかしながら、結局、タイミングT1−T2間及びT2−T3間に対応する通電パターンにて母線電流を検出するようにすれば、最大相及び最小相の電流を検出できることに変わりはない。
[注釈2]
上述の各種の指令値(iγ*、iδ*、vγ*及びvδ*など)や状態量(iγ、iδなど)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、制御3内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈3]
図1等に示される制御部3の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いて制御部3を実現する場合、制御部3の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、制御部3を形成することも可能である。
[注釈4]
本明細書では、記述の簡略化上、記号(iγなど)のみの表記によって、その記号に対応する状態量などを表現している場合もある。即ち、本明細書では、例えば、「iγ」と「γ軸電流iγ」は同じものを指す。
また、本明細書及び図面において下記の点に留意すべきである。図面において、所謂下付き文字として表現されているγ及びδ等は、明細書において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このγ及びδ等の下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
Figure 0005311864
本発明は、モータを用いるあらゆる電気機器に好適である。例えば、モータの回転によって駆動する電気自動車や、冷蔵庫用圧縮機、空気調和機(特に例えば、車載用空気調和機)に好適である。
本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの全体概略構成図である。 図1のモータに印加される三相交流電圧の典型的な例を示す図である。 図1のモータに対する通電パターンと、各通電パターンと母線電流との関係を表として示した図である。 図1のモータにおける各相電圧の電圧レベルとキャリア信号との関係、並びに、その関係に応じたPWM信号及び母線電流の波形を示す図である。 図4の各タイミングにおける、図1の電機子巻線周辺の等価回路図である。 図1のモータにおける各相電圧の高低関係の組み合わせ(モード)及び各組み合わせにおいて検出される電流の相を、表として示した図である。 図4に、実際に観測される母線電流の波形を追加した図である。 図1のモータの解析モデル図である。 本発明の第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。 図9の制御部の概略的な動作手順を表すフローチャートである。 図9の制御部内で生成される各指令値及び各状態量の移り変わりを表す図である。 図9のモータ駆動システムで観測される電圧波形を示す図である。 本発明の第2実施例に係り、固定軸であるU相軸、V相軸及びW相軸と、回転軸であるd軸及びq軸と、電圧ベクトルと、の関係を表す空間ベクトル図である。 本発明の第2実施例にて定義されるa軸を説明するための図である。 図14のa軸との関係を考慮して回転子の位相(θ)を分解した様子を示す図である。 本発明の第2実施例に係る保持期間設定部の内部ブロック図である。 本発明の第2実施例に係る保持期間設定部にて参照される閾値(Δ)を、空間ベクトル図上で表した図である。 本発明の第4実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。 1シャント電流検出方式を採用した、従来のモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。 従来技術に係り、1シャント電流検出方式を採用した場合における電圧指令(パルス幅)の補正例を示す図である。
符号の説明
1 モータ
2 インバータ
3 制御部
4 直流電源
5 電流センサ
6 回転子
7 固定子
7u、7v、7w 電機子巻線
21 モータ電流再現部
24 電流制御部
25 保持期間設定部
26 電圧指令値保持部
28 位置・速度推定器
51 位置センサ
52 位置検出部

Claims (11)

  1. 三相式のモータを駆動するインバータと直流電源との間に流れる電流から、前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、
    前記モータ電流に基づいて前記モータへの印加電圧の目標となる電圧指令値を作成して出力する電圧指令値作成手段と、
    前記電圧指令値作成手段から出力された過去の前記電圧指令値を保持する電圧指令値保持手段と、
    前記モータのU相、V相及びW相電圧の内の2相間電圧差から特定期間を設定する特定期間設定手段と、を備え、
    前記特定期間外においては、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値に基づいて前記インバータを介して前記モータを制御する一方、前記特定期間内においては、前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて前記インバータを介して前記モータを制御し、
    前記特定期間設定手段は、前記モータ電流検出手段が、前記モータ電流を形成する3相電流の内、2相分の相電流を検出できない検出不能期間を、前記特定期間に含める
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記特定期間設定手段は、前記2相間電圧差が所定の閾値以下である期間を、前記検出不能期間として前記特定期間に含める
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記インバータは、直列接続された2つのスイッチング素子を三相分備えて、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値又は前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて各スイッチング素子をスイッチング制御することにより前記モータを駆動し、
    前記インバータと前記直流電源との間に流れる前記電流を被測定電流と呼んだ場合、
    前記モータ電流検出手段は、前記被測定電流に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換することによって前記被測定電流を検出して、その被測定電流から前記モータ電流を検出し、
    前記閾値は、各スイッチング素子がスイッチングした時に発生する前記被測定電流の振動の減衰時間に応じて、予め設定される
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記インバータと前記直流電源との間に流れる前記電流を被測定電流と呼んだ場合、
    前記モータ電流検出手段は、前記被測定電流に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換することによって前記被測定電流を検出して、その被測定電流から前記モータ電流を検出し、
    前記閾値は、前記アナログ信号を前記デジタル信号に変換する時に必要となる時間に応じて、予め設定される
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記インバータは、直列接続された2つのスイッチング素子を三相分備えて、前記電圧指令値作成手段から出力される前記電圧指令値又は前記電圧指令値保持手段に保持されている前記電圧指令値に基づいて各スイッチング素子をスイッチング制御することにより前記モータを駆動し、
    前記閾値は、各スイッチング素子のスイッチング遅れ時間に応じて、予め設定される
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  6. 前記電圧指令値保持手段は、前記特定期間前に前記電圧指令値作成手段から出力された前記電圧指令値を保持する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のモータ制御装置。
  7. 前記電圧指令値は、前記モータの回転子の回転に伴って回転する回転座標上における2相の電圧指令値である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のモータ制御装置。
  8. 当該モータ制御装置は、前記特定期間内において、前記モータの回転子位置に応じて前記U相、V相及びW相電圧の夫々を変化させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載のモータ制御装置。
  9. 当該モータ制御装置は、
    前記モータの回転子位置を推定する推定手段と、
    前記電圧指令値作成手段から出力される或いは前記電圧指令値保持手段に保持されている前記2相の電圧指令値を、推定された前記回転子位置に基づいて3相電圧指令値に変換する座標変換手段と、を更に備えて、
    前記3相電圧指令値に従って前記モータを制御し、
    前記推定手段は、
    前記特定期間外では、前記モータ電流に基づいて前記回転子位置を推定し、
    前記特定期間内では、前記モータ電流に基づく前記回転子位置の推定を停止し、その特定期間前に推定した前記回転子位置を基準にしつつ、前記特定期間前における前記回転子位置の変化状態に基づいて或いは前記特定期間前における前記モータの回転速度情報に基づいて前記特定期間内の前記回転子位置を推定する
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  10. 当該モータ制御装置は、
    位置センサを用いて前記モータの回転子位置を検出する位置検出手段と、
    前記電圧指令値作成手段から出力される或いは前記電圧指令値保持手段に保持されている前記2相の電圧指令値を、検出された前記回転子位置に基づいて3相電圧指令値に変換する座標変換手段と、を更に備えて、
    前記3相電圧指令値に従って前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  11. 三相式のモータと、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを制御することにより前記モータを制御する請求項1〜請求項10の何れかに記載のモータ制御装置と、を備えた
    ことを特徴とするモータ駆動システム。
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