明 細 書
表面金属膜材料とその作製方法、金属パターン材料とその作製方法、ポ リマー層形成用組成物、二トリル基含有ポリマーとその合成方法、二トリル基含有 ポリマーを用いた組成物、及び積層体
技術分野
[0001] 本発明は、表面金属膜材料の作製方法、表面金属膜材料、金属パターン材料の 作製方法、金属パターン材料、及びポリマー層形成用組成物に関する。また本発明 は、二トリル基及び重合性基を含有する新規ポリマー、その合成方法、該ポリマーを 含有する組成物、及び該組成物を用いてなる積層体に関する。
背景技術
[0002] 従来、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、 電子部品や半導体素子に広く用いられている。
力、かる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用さ れる。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の 照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジス ト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジス トを剥離する方法である。
[0003] この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることに より生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。その ため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用 する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理 するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属 膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であ るという問題点があった。
[0004] この問題を解決するため、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開 始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有 する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を行うことで、基板の表面を粗
面化することなぐ基板と金属膜との密着性を改良させる方法が提案されている(例え ば、非特許文献 1参照)。し力もながら、この方法によれば、グラフトポリマーが極性基 を有することから、温度や湿度変化により水分の吸収や脱離が生じ易ぐその結果、 形成された金属膜や基板が変形してしまうとレ、う問題を有して!/、た。
また、この方法を利用して得られた金属パターンを金属配線基板の配線として使用 する際には、基板界面部分に極性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分ゃィォ ン等を保持しやすくなるため、温'湿度依存性や配線間の耐イオンマイグレーション 性や、形状の変化に懸念があった。特に、プリント配線板などの微細配線に適用した 際には、配線 (金属パターン)間における高い絶縁性が必要であり、配線間の絶縁信 頼性のより一層の向上が要求されているのが現状である。
[0005] 光硬化性樹脂組成物は、その優れた特徴から、上記のような表面処理用途の材料 としてのみならず、レジスト材料、印刷版用材料、コーティング材料、光造形用材料な どにも使用されてレ、る。光硬化性樹脂組成物の中でもラジカル重合で硬化する材料 としては、一般的に、バインダー、多官能モノマー、光重合開始剤から構成される。こ の際に、光硬化感度を向上させる手法として、重合性基を有するバインダーを用いる 方法がある。
[0006] 一方、表面処理材料、特に、めっき膜を形成するための表面処理材料は、めっき触 媒を吸着させる機能が必要となる。一般的に、めっき触媒に対する吸着性基としては 、カルボン酸基、水酸基、エーテル基などが知られているが、これらの官能基は親水 性が高ぐ水分やイオン等を保持しやすくなるため、形成されためつき膜の温 ·湿度 依存性や、形状の変化に影響を与えるといった懸念があった。
この懸念に対し、めっき触媒に対する吸着性と疎水性を両立する官能基としてシァ ノ基 (二トリル基)を用いる方法が考えられて!/、る。
[0007] そのようなシァノ基と重合性基とを有するポリマーとしては、以下のモノマーを用い てァニオン重合で合成されたものが知られている(例えば、特許文献 1参照)。
CH =C (CN) COOR1OOCCH = CH (R1は低級アルキレン基)
2 2
この合成方法では、ァニオン重合が微量の水分で進行してしまい、ハンドリングが 難しいという問題点がある。
[0008] また、例えば、特許文献 2には、以下のマクロモノマーの記載がある c
[0009] [化 1]
[0010] しかし、上記マクロモノマーではポリマー中の重合性基が少なぐ硬化性(重合性) が低いこと、また、ポリマー分子内のシァノ基の含率も低いため、めっき触媒に対する 吸着性に懸念があった。
特許文献 1 :特開平 11 106372号公報
特許文献 2:特開 2004— 176025号公報
非特許文献 1 : Advanced Materials 2000年 20号 1481— 1494
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものである。
即ち、本発明は、金属膜の密着性に優れ、湿度変化による密着力の変動が少ない 表面金属膜材料、及びその作製方法を提供する。
また、本発明は、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン 材料、及びその作製方法を提供する。
更に、本発明は、吸水性が低ぐ疎水性が高ぐ更に、めっき触媒又はその前駆体 に対する吸着性に優れたポリマー層を形成し得るポリマー層形成用組成物を提供す 更に、本発明は、めっき触媒等の金属に対して十分な吸着性を有し、更に、重合性 にも優れた新規ポリマー、それを用いた組成物、及び積層体を提供する。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、第 1の表面金属膜材料の作製方法として、(al)基板上に、めっき触媒 又はその前駆体と相互作用を形成する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合
したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー層にめっき触媒 又はその前駆体を付与する工程と、 (a3)該めっき触媒又はその前駆体に対してめつ きを行う工程と、を有し、前記ポリマー層が下記 1〜4の条件の全てを満たすことを特 徴とする、当該方法を提供する。
条件 1 : 25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 01〜; 10質量% 条件 2 : 25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 05〜20質量% 条件 3 : 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率が 0. ;!〜 30質量%
条件 4 : 25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置 後の表面接触角が 50〜 150度
[0013] 本発明において、前記ポリマー層が下記;!'〜 4 'の条件の全てを満たすことが好ま しい。
条件 1 ' : 25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 0;!〜 5質量% 条件 2' : 25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 05〜; 10質量% 条件 3' : 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の飽和吸水率が 0. ;!〜 20質量% 条件 4' : 25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 しを滴下し、 15秒静 置後の表面接触角が 55〜150度
[0014] 更に、本発明における(al)工程は、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互 作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させること により行われることが好まし!/、。
また、(al)工程が、(al— 1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可 能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(al— 2)該重 合開始層に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基、及び重合 性基を有するポリマーを直接化学結合させると、を含むことも好ましレ、態様である。
[0015] 本発明において、前記めつき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基、 及び重合性基を有するポリマーが、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2) で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
[0016] [化 2]
[0017] 上記式(1)及び式(2)中、!^〜 は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無 置換のアルキル基を表し、 X、 Y及び Zは、各々独立に、単結合、又は置換もしくは無 置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、 L1及び L2は、 各々独立に、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0018] また、本発明において、前記めつき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官 能基、及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が 20000以上であることが 好ましい態様である。
[0019] 本発明の第 2の表面金属膜材料の作製方法は、(al ' )基板上に、シァノ基を有し、 且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、 (a 2)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該めっき触媒 又はその前駆体に対してめつきを行う工程と、を有することを特徴とする。
また、(al ' )工程は、基板上に、シァノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化 学結合させることにより行われるが好ましい態様である。
更に、(al ' )工程が、(al— 1 ' )基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始 可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、 (al - 2 ' ) 該重合開始層に、シァノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させると 、を含むことも好ましい態様である。
加えて、前記シァノ基及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が 20000 以上であることが好ましレ、態様である。
[0020] 本発明において、(a3)工程では、無電解めつきが行われることが好ましぐ該無電 解めつきの後に、更に電気めつきが行われることがより好ましい。
また、本発明における(a2)工程で用いられるめっき触媒はパラジウムであることが 好ましい。
[0021] 本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法は、(al")樹脂フィルムの両面に対し て、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基を有し、且つ、該基板 と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー 層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該めっき触媒又はその前 駆体に対してめつきを行う工程と、を有し、前記ポリマー層が下記;!〜 4の条件の全て を満たすことを特徴とする。
条件 1 : 25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 01〜; 10質量% 条件 2 : 25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 05〜20質量% 条件 3 : 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率が 0. ;!〜 30質量% 条件 4 : 25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置 後の表面接触角が 50〜 150度
つまり、本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法によれば、(al")工程により、 基板として樹脂フィルムを用い、その両面にポリマー層を形成し、更に、(a2)工程、 及び (a3)工程を行うことで、両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ること ができる。
なお、前記(al ")工程、前記(a2)工程、及び前記(a3)工程は、各工程毎に、前記 樹脂フィルムの両面に対して同時に行われることが好ましい。
[0022] 本発明の表面金属膜材料は、本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られ たものである。
[0023] また、本発明の第 1のポリマー層形成用組成物は、シァノ基及び重合性基を有する ポリマーと、該ポリマーを溶解しうる溶剤と、を含有し、本発明の表面金属膜材料の作 製方法に用いられることを特徴とする。
本発明の第 2のポリマー層形成用組成物は、 O (CH ) O (nは;!〜 5の整
2 n
数)で表される構造、及び重合性基を有するポリマーと、該ポリマーを溶解しうる溶剤 と、を含有し、本発明の表面金属膜材料の作製方法に用いられることを特徴とする。
[0024] 本発明の金属パターン材料の作製方法は、(a4)本発明の表面金属膜材料の作製 方法により得られた表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程 を有することを特徴とする。
つまり、金属パターン材料の作製方法は、前述の表面金属膜材料の作製方法にお ける(al)、 (a2)、 (a3)工程を行った後、形成されためつき膜をパターン状にエツチン グする工程〔(a4)工程〕を行うものである。
[0025] また、本発明の金属パターン材料は、本発明の金属パターン材料の作製方法によ り得られたものである。
[0026] また、本発明は、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるュニッ トを含むことを特徴とするポリマーを提供する。
[0027] [化 3]
式(1)及び式(2)中、!^〜 は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換 のアルキル基を表し、 X、 Y及び Zは、各々独立に、単結合、置換もしくは無置換の二 価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、 L1及び L2は、各々独立
に、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0029] 本発明のポリマーにおいて、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表され るユニットであることが好ましレ、。
[0030] [化 4]
式 ( 3 )
[0031] 式(3)中、 R1及び R2は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキ ル基を表し、 Zは、単結合、置換もしくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド 基、又はエーテル基を表し、 Wは、酸素原子、又は NR(Rは、水素原子、又はアルキ ル基を表す。)を表し、 L1は、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0032] 更に、本発明のポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式 (4)で 表されるユニットであることが好ましレ、。
[0033] [化 5]
[0034] 式 (4)中、 R1及び R2は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキ ル基を表し、 V及び Wは、各々独立に、酸素原子、又は NR(Rは、水素原子、又はァ ルキル基を表す。)を表し、 L1は、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0035] 前記式 (4)における Wが酸素原子であることが好ましい態様である。
また、前記式(1)、式(3)、又は式 (4)における L1がウレタン結合又はウレァ結合を 有する二価の有機基であることが好ましレ、。
更に、前記式(1)、式(3)、又は式 (4)における L1が総炭素数 1〜9である二価の有 機基であることがより好ましレ、。
[0036] 本発明のポリマーにおいて、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表され るユニットであることが好ましレ、。
[0037] [化 6]
[0038] 式(5)中、 R5は、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、 Uは、酸 素原子、又は NR' (R'は、水素原子、又はアルキル基を表す。)を表し、 L2は、置換 もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0039] 前記式(5)における L2中のシァノ基との連結部位力 直鎖、分岐、又は環状のアル キレン基を有する二価の有機基であることが好ましぐ該シァノ基との連結部位に、直 鎖、分岐、又は環状のアルキレン基を有する二価の有機基が、総炭素数;!〜 10であ ることがより好ましい。
また、前記式(5)における L5中のシァノ基との連結部位力 芳香族基を有する二価 の有機基であることが好ましぐ該シァノ基との連結部位に、芳香族基を有する二価 の有機基が、総炭素数 6〜; 15であることがより好ましい。
[0040] 本発明の新規ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式 (4)における L1がゥ レタン結合を有する二価の有機基であることが好ましい態様である。
また、この新規ポリマーは、重量平均分子量が 2万以上であることが好ましい。
[0041] 本発明の新規ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式 (4)における L1がゥ レタン結合を有する二価の有機基であるポリマーの合成方法(本発明のポリマーの合 成方法)について説明する。
本発明のポリマーの合成方法は、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有 するポリマー、及び、イソシァネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロ
キシル基に該イソシァネート基を付加させることにより L1中のウレタン結合を形成する ことを特徴とする。
[0042] 本発明のポリマーの合成方法では、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーが、下 記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートを 用いて合成されたものであることが好ましレ、。
(1)ヒドロキシノレ基含有 (メタ)アタリレートと、該ヒドロキシノレ基含有 (メタ)アタリレートを 合成する際に副生する 2官能アタリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(2)得られた水溶液に、水と分離する第 1の有機溶剤を加えた後、該第 1の有機溶剤 と前記 2官能アタリレートとを含む層を水層から分離する工程
(3)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートよりも水溶解性の高!/、化 合物を溶解する工程
(4)前記水層に第 2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレート を抽出した後、濃縮する工程
[0043] 更に、前記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有 (メタ)ァ タリレートを含む単離物力 その全質量中に前記 2官能アタリレートを 0質量%以上 0
. 10質量%以下の範囲で含むことが好ましい態様である。
[0044] また、本発明のポリマーの合成方法において、用いられる溶媒は、 SP値 (沖津法に より算出)が 20〜23MPa1/2であることが好ましぐエステル系溶媒であることがより好 ましぐジアセテート系溶媒であることが更に好ましい。
[0045] 本発明の組成物は、本発明のポリマーと、ケトン系溶剤又は二トリル系溶剤と、を含 有することを特徴とし、特に、その組成物中のポリマーの濃度力 2質量%〜50質量
%であることが好ましい。
また、本発明の積層体は、本発明の組成物を樹脂基材上に塗布してなることを特 徴とする。
発明の効果
[0046] 本発明によれば、金属膜の密着性に優れ、湿度変化による密着力の変動が少ない 表面金属膜材料、及びその作製方法を提供することができる。
また、本発明によれば、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パ
ターン材料、及びその作製方法を提供することができる。
また、本発明によれば、吸水性が低ぐ疎水性が高ぐ更に、めっき触媒又はその 前駆体に対する吸着性に優れたポリマー層を形成し得るポリマー層形成用組成物を 提供すること力でさる。
更に、本発明によれば、めっき触媒等の金属に対して十分な吸着性を有し、更に、 重合性にも優れた新規ポリマー、その合成方法、該新規ポリマーを用いた組成物、 及び積層体を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0047] 以下、本発明を詳細に説明する。
表面金属膜材料の作製方法、金属パターン材料の作製方法
本発明の第 1の金属膜付基板の作製方法は、(al)基板上に、めっき触媒又はそ の前駆体と相互作用を形成する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポ リマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー層にめっき触媒又はそ の前駆体を付与する工程と、 (a3)該めっき触媒又はその前駆体に対してめつきを行 う工程と、を有し、前記ポリマー層が下記 1〜4の条件の全てを満たすことを特徴とす 条件 1 : 25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 01〜; 10質量% 条件 2 : 25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 05〜20質量% 条件 3 : 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率が 0. ;!〜 30質量% 条件 4 : 25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置 後の表面接触角が 50〜 150度
[0048] また、本発明の第 2の表面金属膜材料の作製方法は、(al ' )基板上に、シァノ基を 有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程 と、(a2)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該めつ き触媒又はその前駆体に対してめつきを行う工程と、を有することを特徴とする。
[0049] 本発明の金属パターン材料の作製方法は、(a4)本発明の表面金属膜材料の作製 方法により得られた表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程 を有することを特徴とする。
つまり、金属パターン材料の作製方法は、前述の表面金属膜材料の作製方法にお ける(al)又は(al ' )、 (a2)、 (a3)工程を行った後、形成されためつき膜をパターン 状にエッチングする工程〔(a4)工程〕を行うものである。
[0050] 本発明の第 1の表面金属膜材料の作製方法、及び金属パターン材料の作製方法 において、上記 4つの条件を満たすポリマー層は、高温高湿下であっても吸水性が 低ぐまた、疎水性が高いものである。また、本発明の第 2の表面金属膜材料の作製 方法で形成されるポリマー層も、高温高湿下であっても吸水性が低ぐまた、疎水性 が高いものである。
また、基板に結合したポリマーからなるポリマー層にめっき触媒等を付与した後、こ れを用いてめっきを行うことでポリマー層との密着性に優れた金属膜を得ることができ これらの点から、得られた表面金属膜材料は、基板との密着性に優れた金属膜を 有し、更に、ポリマー層が湿度変化に応じて変化することがないため、湿度変化によ る密着力の変動が少ないものとなる。このような表面金属膜材料は、後述の金属バタ ーン材料の作製方法等に適用されて、電気配線用材料として用いられる他にも、電 磁波防止膜、シールド材料等に用いることができる。
また、金属パターン材料の作製方法であれば、(a4)工程にて、基板全面に形成さ れためつき膜をパターン状にエッチングして金属パターンを得ることで、該金属バタ 一ンの非形成領域にこのポリマー層が露出した状態が形成されても、この露出した部 分は吸水することがなぐこれに起因する絶縁性の低下が起こらない。その結果、本 発明の金属パターン材料の作製方法において形成された金属パターン材料は、金 属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れたものとなる。
[0051] 以下、本発明の第 1の表面金属膜材料の作製方法における 1〜4の各条件につい て説明する。
条件 1〜3における飽和吸水率及び吸水率は、以下の方法にて測定することができ まず、基板を減圧乾燥機内に放置し、基板内に含まれる水分を除去した後、条件 1 、 2の場合は、所望の温度及び湿度に設定された恒温恒湿槽内に放置し、条件 3の
場合は、 100°C煮沸水入りのウォーターバスに 1時間浸漬し、質量変化の測定によつ て飽和吸水率及び吸水率を測定する。ここで、条件 1、 2における飽和吸水率は、質 量が 24時間経過後も変化しなくなった時の吸水率を示している。別途、予め質量変 化が既知である前記基板上にポリマー層を形成した積層体についても、同様の操作 により積層体の飽和吸水率及び吸水率を測定することにより、基板の吸水率と積層 体の吸水率との差分によりポリマー層の吸水率を測定することができる。また、ポリマ 一層を基板上に付与せずに、シャーレなどを用いて、ポリマー層を構成するポリマー の単独膜を作製し、得られたポリマー単独膜を、上記の方法によって直接吸水率を 測定してもよい。
[0052] 条件 4における接触角は、以下の方法にて測定することができる。
まず、基板上にポリマー層を形成した積層体を準備し、 25°C_50%相対湿度に設 定された恒温恒湿槽内で保管する。保管されたサンプルを、 25°C— 50%相対湿度 に調整された測定室内にて、表面接触角接触角測定装置(商品名: OCA20、 Data physics社製)を用いて、基板 (ポリマー層)上に 5 Lの蒸留水をシリンジから自動滴 下し、基板断面方向の画像を CCDカメラによってパソコンに取り込み、画像解析によ り基板 (ポリマー層)上の水滴の接触角度を数値計算する。
[0053] また、本発明においては、(al)工程で得られたポリマー層が、下記;!'〜 4'の条件 の全てを満たすことが好ましレ、態様である。
条件 1 ' : 25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 0;!〜 5質量% 条件 2' : 25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率が 0. 05〜; 10質量% 条件 3' : 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率が 0. ;!〜 20質量% 条件 4' : 25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 しを滴下し、 15秒静 置後の表面接触角が 55〜150度
[0054] ここで、上記 1〜4 (好ましくは;!'〜 4' )の条件を全て満たすポリマー層を得るため には、このポリマー層を構成するポリマーとして、吸水性が低いものや、疎水性のもの (親水性が低いもの)を用いる方法や、ポリマー層中に、吸水性を低下させる物質や 、疎水性を向上させるような物質を添加する方法、更には、ポリマー層を形成した後、 該ポリマー層を形成するポリマー分子を疎水化する反応性物質を含む溶液などに浸
漬させて、ポリマーとその反応性物質を反応させて疎水化するなど方法が挙げられる
1S 吸水性や疎水性の制御の容易性の観点から、ポリマー層を構成するポリマーとし て、吸水性が低いものや、疎水性のもの(親水性が低いもの)を用いる方法を用いる ことが好ましい。
[0055] まず、本発明の第 1の表面金属膜材料の作製方法における(al)〜(a3)の各工程 、及び、本発明の第 2の表面金属膜材料の作製方法における(al ' )〜(a3)の各ェ 程について説明する。
[0056] (al)工程
本発明の第 1の表面金属膜材料の作製方法における(al)工程では、基板上に、 めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基(以下、単に、「相互作用 性基」と称する場合がある。)を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーから なるポリマー層を形成する。
このポリマー層は、前記 1〜4の条件を全て満たすことを要する。
[0057] (al)工程は、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基 、及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われることが好ま しい。
また、(al)工程が、(al— 1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可 能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(al— 2)該重 合開始層に、相互作用性基を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマ 一からなるポリマー層を形成する工程であることも好ましい態様である。
また、上記 (al— 2)工程は、前記重合開始層上に、重合性基及び相互作用性基を 有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全 体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好 ましい。
[0058] 表面グラフト
基板上におけるポリマー層の形成には、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段 を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによつて重合 を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト (接ぎ木)重合体を合成する方法で
ある。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面ダラ フト重合と呼ばれる。
[0059] 本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれ も使用すること力できる。例えば、新高分子実験学 10、高分子学会編、 1994年、共 立出版 (株)発行、 pl35には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照 射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、 NTS (株)、竹内監修、 19 99. 2発行、 p203、 p695には、 γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記 載されている。
光グラフト重合法の具体的方法の例としては、特開昭 63— 92658号公報、特開平 10— 296895号公報及び特開平 11— 119413号公報に記載の方法が挙げられる
〇
[0060] 本発明の表面金属膜材料の作製方法におけるポリマー層を形成する際には、上記 の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソ シァネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これ と基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用する ことあでさる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフ ト重合法、特に、 UV光による光グラフト重合法を用いてポリマー層を形成することが 好ましい。
[0061] 基板
本発明の表面金属膜材料の作製方法における「基板」とは、その表面が、めっき触 媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーが直接化学結合 した状態を形成しうる機能を有するものであり、基材自体がこのような表面特性を有し て基板を構成するものであってもよぐまた、基材上に別途中間層(例えば、後述する 重合開始層)を設け、該中間層がこのような特性を有して基板を構成するものであつ てもよい。
[0062] 基材、基板
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましぐその例
には、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミ ネートされた紙、金属板 (例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム( 例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セノレ ロース、酢酸セノレロース、硝酸セノレロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン 、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビュルァセタール、ポリイミド、 エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフエ二レンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラ フルォロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラス チックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂、又は ポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官 能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有している場合 には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
[0063] 本発明における基板として、特開 2005— 281350号公報の段落番号 [0028]〜[ 0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることも できる。
[0064] また、本発明の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料は、 半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に 用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板を用いることが好ましい。具 体的には、絶縁性樹脂からなる基板、又は、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有す る基板を用いることが好ましレ、。
[0065] 絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性 樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主成分たる樹脂に加え、 目 的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目 的で、多官能のアタリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性 を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもで きる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程 度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でなレ、もの
であっても、 目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
[0066] 絶縁性樹脂は、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよ!/、 。具体的には、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ポリ イミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフイン系樹脂、イソシァネ ート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノポラック型エポキシ樹脂、ビスフエノー ル A型エポキシ樹脂、ビスフエノール F型エポキシ樹脂、フエノールノポラック型ェポ キシ樹脂、アルキルフエノールノポラック型エポキシ樹脂、ビフエノール F型エポキシ 樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジェン型エポキシ樹脂、フエノール 類とフエノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグ リシジルイソシァヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用 いてもよぐ 2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフイン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、 ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロォレフイン系樹脂、これらの 樹脂の共重合体等が挙げられる。
[0067] 熱可塑性樹脂としては、例えば、フエノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスル フォン、ポリフエ二レンスルフォン、ポリフエ二レンサルファイド、ポリフエニルエーテノレ、 ポリエーテルイミド等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、 1 , 2—ビス(ビュルフエ二レン)ェタン樹脂(1 , 2 -Bis (vinylphenyl) ethane)、若しくはこれとポリフエ二レンエーテル樹脂との変性 樹脂(天羽悟ら、 Journal of Applied Polymer Science VoL92, 1252-1258(2004)に記載 )、液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベタスターなど)、フッ素樹脂(PTFE)な どが挙げられる。
[0068] 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよ!/、し、 2種以上併用 してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる 。例えば、ポリフエ二レンエーテル (PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性 が低いため、熱硬化性樹脂などとのァロイ化が行われている。たとえば、 PPEとェポ キシ、トリアリルイソシァネートとのァロイ化、或いは重合性官能基を導入した PPE樹
脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのァロイ化として使用される。またシァネートエステル は熱硬化性の中ではもつとも誘電特性の優れる樹脂である力 それ単独で使用され ることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として 使用される。これらの詳細に関しては、 "電子技術" 2002/9号、 P35に記載されて いる。また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂及び/又はフエノール樹脂を含み、 熱可塑性樹脂としてフエノキシ樹脂及び/又はポリエーテルスルフォン (PES)を含 むものも誘電特性を改善するために使用される。
[0069] 絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物 のようなもの、具体的には、アタリレート、メタタリレート化合物を含有していてもよぐ 特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として、 熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、ポ リイミド樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い 、樹脂の一部を (メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもょレ、。
[0070] 本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、 難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコン ポジット (複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては 、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フエノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジ ン樹脂、フッ素樹脂、ポリフエ二レンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
[0071] 更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用レ、 られる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸力 ルシゥムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋べンゾグアナミン樹脂、架橋 アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。中でも、充 填材としてはシリカを用いることが好ましレ、。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付 与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種 又は二種以上添加してもよレ、。
[0072] これらの材料を絶縁性樹脂組成物に添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、 1 〜200質量%の範囲で添加されることが好ましぐより好ましくは 10〜80質量%の範
囲で添加される。この添加量が、 1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する 効果がなぐまた、 200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低 下する。
[0073] このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、 1GHzにおける誘電率(比 誘電率)が 3. 5以下である絶縁性樹脂からなる基板である力、、又は、該絶縁性樹脂 力もなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、 1GHzにおける誘電 正接が 0. 01以下である絶縁性樹脂からなる基板である力、、又は、該絶縁性樹脂か らなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、 「第 18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、 2004年、 pi 89、に記載 の方法に基づき、空洞共振器摂動法 (例えば、極薄シート用 ε r、 tan δ測定器、キ 一コム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択 することも有用である。誘電率が 3. 5以下であり、誘電正接が 0. 01以下の絶縁性樹 脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフエ二レンエーテル樹脂、 シァネートエステル樹脂、ビス(ビスフエ二レン)ェタン樹脂などが挙げられ、更にそれ らの変性樹脂も含まれる。
[0074] 本発明に用いられる基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を 考慮すると、表面凹凸が 500nm以下であることが好ましぐより好ましくは lOOnm以 下、更に好ましくは 50nm以下、最も好ましくは 20nm以下である。この基板の表面凹 凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなる ほど、得られた金属パターン材料を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気 損失が少なくなり好ましい。
[0075] 本発明においては、基板が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)で あれば、その両面に(al)工程を施すことで、樹脂フィルムの両面にポリマー層を形 成すること力 Sできる(本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法における(al")ェ 程)。
このように樹脂フィルム(基板)の両面にポリマー層が形成された場合には、更に、
後述する(a2)工程、及び (a3)工程を行うことで、両面に金属膜が形成された表面金 属膜材料を得ることができる。
[0076] 本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを 生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、基 材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層 を形成した基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく 発生させ、より多くのグラフトポリマーを生成させることができる。
以下、本発明における重合開始層について説明する。なお、基材が板状物であれ ば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
[0077] 重合開始層
本発明における重合開始層としては、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、 重合性化合物と重合開始剤とを含む層、重合開始可能な官能基を有する層が挙げ られる。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布な どの方法で基材表面に設け、加熱又は光照射により硬膜することで、形成することが できる。
[0078] 本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好 であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するもので あれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重 合性基を有する疎水性ポリマーと、重合開始剤とを混合したものが用いることができ
[0079] このような分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブ タジェン、ポリイソプレン、ポリペンタジェンなどのジェン系単独重合体、ァリル (メタ) アタリレー卜、 2—ァリルォキシェチルメタクリレー卜などのァリル基含有モノマーの単 独重合体;
ブタジエン、イソプレン、ペンタジェンなどのジェン系単量体又はァリル基含有モノ マーを構成単位として含む、スチレン、 (メタ)アクリル酸エステル、 (メタ)アタリロニトリ ルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、 高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素 炭素二重結合を有する線状高分子又は
3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「( メタ)アクリル」と表記することがある。
これらの重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で 10〜; 100質量%の範 囲が好ましぐ 10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
[0080] 重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始 剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光 線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合 開始剤、光重合開始剤などを、 目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中 でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開 始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、これを含む重合開始 層から表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなぐ例えば、ラジカノレ 重合開始剤、ァニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが 、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ま しぐ更に、ラジカル重合開始剤が好ましい。
[0081] そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、 p tert ブチルトリクロ口 ァセトフエノン、 2, 2 'ージエトキシァセトフエノン、 2—ヒドロキシー2—メチノレー 1ーフ ェニルプロパン一 1—オンの如きァセトフエノン類;ベンゾフエノン(4, 4,一ビスジメチ ノレアミノべンゾフエノン、 2—クロ口チォキサントン、 2—メチルチオキサントン、 2—ェチ ノレチォキサントン、 2—イソプロピルチォキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベン ゾインメチノレエーテノレ、ベンゾインイソプロピノレエーテノレ、ベンゾインイソプ、チノレエ一 テノレの如きべンゾインエーテノレ類;ペンジノレジメチノレケターノレ、ヒドロキシシクロへキ シルフェニルケトンの如きべンジルケタール類;トリフエニルスルホニゥムクロライド、ト リフエニノレスノレホニゥムペンタフノレオロフォスフェートなどのスノレホニゥム塩、ジフエ二 ノレョードニゥムクロライド、ジフエ二ルョードニゥムサルフェートなどのョードニゥム塩な
どが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で 0. ;!〜 70質量%の範囲が好ま しぐ;!〜 40質量%の範囲が特に好ましい。
[0082] 上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分 が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、 沸点が高すぎない溶媒が好ましぐ具体的には、沸点 40°C〜150°C程度のものを選 択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルェチルケトン、シクロへキサン、酢酸ェチル、テトラヒド 口フラン、トノレエン、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノ ェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノメ チルエーテル、プロピレングリコールモノェチルエーテル、ァセチルアセトン、シクロ へキサノン、メタノール、エタノール、 1ーメトキシー2—プロパノール、 3—メトキシプロ ノ ノ一ノレ、ジエチレング!;コーノレモノメチノレエーテノレ、ジエチレング!;コーノレモノェチ ノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジェチノレ エーテノレ、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレアセテート、プロピレングリコーノレ モノェチルエーテルアセテート、 3—メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。 これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の 固形分の濃度は、 2〜50質量%が適当である。
[0083] 重合開始層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及 び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといつた観点からは、乾燥後の質量で、 0. ;!〜 20g/m2力 S好ましく、 0. ;!〜 15g/m2がより好ましぐ 0. ;!〜 2g/m2が更に好ま しい。
[0084] 本発明においては、上記のように、基材上に上記の重合開始層形成用の組成物を 塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合開始層を形成する 1S この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱に より乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬 化が予め行なわれるので、重合開始層上にグラフトポリマーが生成した後に重合開 始層ごと脱落するとレ、つた事態を効果的に抑制し得るため好まし!/、。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適 正の点からは、温度が 100°C以下、乾燥時間は 30分以内が好ましぐ乾燥温度 40 〜80°C、乾燥時間 10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
[0085] 加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するグラフトポリマーの生成反応 に用いる光源を用いることができる。引き続き行われるグラフトポリマー生成工程にお いて、エネルギー付与により発生する重合開始層の活性点と、グラフトポリマーの生 成を阻害しなレ、とレ、う観点からは、重合開始層中に存在する重合開始剤が重合性化 合物を硬化する際にラジカル重合しても、完全に消費しない程度に光照射することが 好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なる力 一般的には 30分以 内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存 率が 80%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が 1%以上であることが、 挙げられる。
[0086] また、上記の重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層以外に、特開 2 004— 161995公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用 いた重合開始層も好ましい。このポリマーは、具体的には、側鎖に重合開始能を有 する官能基 (重合開始基)及び架橋性基を有するポリマー(以下、重合開始ポリマー と称する。)であり、このポリマーにより、ポリマー鎖に結合した重合開始基を有し、か つ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成するこ と力 Sできる。
このようにして形成される重合開始層も、本願の重合開始層として好適である。
[0087] ここで用いられる重合開始ポリマーは、特開 2004— 161995号公報の段落番号〔
001;!〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。重合開始ポリマーの特に好ましいもの の具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
本発明における重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層は、上述の重合開始ポ リマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基材上に塗布などに より配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架 橋反応が進行することにより、重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応によ る固定化には、重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併 用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。重合開始ポリマーの自己縮合反
応を使用する方法の例としては、架橋性基が NCOである場合、熱をかけることに より自己縮合反応が進行する性質を利用する方法が挙げられる。この自己縮合反応 が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
[0091] また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハ ンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋 性基,架橋剤) = ( COOH,多価ァミン)、 (-COOH,多価アジリジン)、 (-COO H,多価イソシァネート)、 (-COOH,多価エポキシ)、 (-NH ,多価イソシァネート
2
)、 (-NH , アルデヒド類)、 (-NCO,多価ァミン)、 (-NCO,多価イソシァネート)
2
、 (-NCO,多価アルコール)、 (-NCO,多価エポキシ)、 (-OH,多価アルコー ル)、 (-OH,多価ハロゲン化化合物)、 (-OH,多価ァミン)、 (-OH,酸無水物) 力 S挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可 能であるという点で、(官能基,架橋剤) = ( OH,多価イソシァネート)力 更に好ま しい組み合わせである。
[0092] 本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
[0094] このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の重合開始ポリマーを含有する 塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、
強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記の exl.で示される脱 水反応や ex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成され る。これらの反応における温度条件としては、 50°C以上 300°C以下が好ましぐ更に 好ましくは 80°C以上 200°C以下である。
[化 10] e x l . —OH + 一 OH → 0-
0
— COOH + — NH2 tl
-NCO + -NH,
N H
N H
N H
[0096] また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、重合開始ポリマー中に導入されている 架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合 反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して 0. 0;!〜 50当量である こと力好ましく、 0. 01〜; 10当量であることがより好ましぐ 0. 5〜3当量であることが 更に好ましい。
[0097] また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の重合開始ポリマーが溶解 するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が 高すぎない溶媒が好ましぐ具体的には、沸点 40°C〜150°C程度のものを選択すれ ばよい。
具体的には、アセトン、メチルェチルケトン、シクロへキサン、酢酸ェチル、テトラヒド 口フラン、トノレエン、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノ ェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノメ チルエーテル、プロピレングリコールモノェチルエーテル、ァセチルアセトン、シクロ へキサノン、メタノール、エタノール、 1ーメトキシー2—プロパノール、 3—メトキシプロ
ノ ノ一ノレ、ジエチレング!;コーノレモノメチノレエーテノレ、ジエチレング!;コーノレモノェチ ノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレジェチノレ エーテノレ、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレアセテート、プロピレングリコーノレ モノェチルエーテルアセテート、 3—メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。 これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の 固形分の濃度は、 2〜50質量%が適当である。
[0098] 重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層の塗布量は、表面グラフト重合の開始 能や、膜性の観点から、乾燥後の質量で、 0. ;!〜 20g/m2が好ましぐ更に、;!〜 15 g/m2が好ましい。
[0099] 更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基 板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて 、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有さ せる重合開始剤としては、特に制限はなぐ例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合 開始剤 (ラジカル重合開始剤、ァユオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開 平 9 77891号、特開平 10— 45927号に記載の活性カルボ二ル基を側鎖に有する 高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有する ポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中 に固形分で 0. ;!〜 50質量%程度であることが好ましぐ 1. 0-30. 0質量%程度で あることがより好ましい。
[0100] グラフトポリマーの生成
(al)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如ぐ基板表面に 存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基との カップリング反応を利用する方法や、光グラフト重合法を用いることができる。
本発明においては、基材上に重合開始層が形成された基板を用い、該重合開始 層上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基 (相互作用性基) を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成 する態様〔(al— 2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層上に、重合性基
及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することによ り、前記基板表面全体 (重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させ る態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物 を、重合開始層表面に接触させながら、当該重合開始層表面に生成する活性種に より直接結合させるものである。
[0101] 上記接触は、重合開始層が形成された基板を、重合性基及び相互作用性基を有 する化合物を含有する液状の組成物(本発明のポリマー層形成用組成物)中に浸漬 することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重 合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物(本発明のポリマー層 形成用組成物)からなる層を基板表面(重合開始層表面)に、塗布法により形成する ことが好ましい。
なお、本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法における(al")工程のように、 樹脂フィルムの両面に対してポリマー層を形成する場合にも、ポリマー層を両面同時 に形成し易いとレ、つた観点から、塗布法を用いることが好まし!/、。
[0102] 本発明において、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させる場合に 用いられる、重合性基及び相互作用性基を有する化合物について説明する。
本発明における重合性基及び相互作用性基を有する化合物としては、生成したグ ラフトポリマーからなるポリマー層が、前記;!〜 4の条件を全て満たすように、重合性 基及び相互作用性基を有すると共に、吸水性が低ぐ更に、疎水性の高い化合物を 用いることが好ましい。
この化合物における相互作用性基としては非解離性官能基であることが好ましぐ 非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。 このような官能基は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する機能はあつ ても、解離性の極性基 (親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではな いため、この官能基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層は、前記;!〜 4の条 件を満たすことが可能になる。
[0103] 本発明における重合性基は、エネルギー付与により、重合性基及び相互作用性基 を有する化合物同士、又は、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と基板とが
結合する官能基であり、具体的には、ビュル基、ビュルォキシ基、ァリル基、アタリ口 ィル基、メタクリロイル基、ォキセタン基、エポキシ基、イソシァネート基、活性水素を 含む官能基、ァゾ化合物における活性基などが挙げられる。
[0104] 本発明における相互作用性基としては、具体的には、金属イオンと配位形成可能 な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などが好ましぐ具体的には、ィ ミド基、ピリジン基、 3級のアミノ基、アンモニゥム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジ ン環構造を含む基、イソシァヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、ァゾ基、ジァゾ 基、アジド基、シァノ基、シァネート基 (R— O CN)などの含窒素官能基、エーテル 基、カルボニル基、エステル基、 N ォキシド構造を含む基、 S ォキシド構造を含 む基、 N ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チォエーテル基、チォキシ 基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシィミン構造を含む基、ス ルホキシュゥム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官 能基、フォスフィン基などの含リン官能基、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基、 及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係に より非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレァ基、チォゥレア基を用いて あよい。
中でも、極性が高ぐめっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基はり具 体的には、 O (CH ) O (nは 1〜5の整数)で表される構造)、又はシァノ基
2 n
が特に好ましぐシァノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
[0105] 一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向である力 シァノ基はポリマー 層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且 つ、ポリマー層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、後述する(a 2)工程において、ポリマー層の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シァノ基が溶媒 和されてシァノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。 以上のことから、シァノ基を有するポリマー層は低吸湿でありながら、めっき触媒とは よく相互作用をする、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好 ましい。これは、芳香族シァノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等へ
の吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの 芳香環が結合してレ、なレ、ため、めっき触媒等への吸着性の点で好まし!/、。
[0106] 本発明において、重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、モノマー、マク 口モノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよぐ中でも、ポリマー層の形成性と、制 御の容易性の観点から、ポリマー(重合性基及び相互作用性基を有するポリマー)を 用いることが好ましい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモ ノマーを用いて得られるホモポリマーゃコポリマーに、重合性基として、ビュル基、ァ リル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入した ポリマーであることが好ましぐこの重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、 少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有 するものが好ましい。
[0107] 前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際に用いられる相互作用 性基を有するモノマーとしては、前記記載の非解離性官能基を有するモノマーであ ればいかなるモノマーも使用可能であるが、例えば、具体的には、以下に示すものが 挙げられる。
これらは 1種を単独で使用してもよい、 2種以上を併用してもよい。
[0108] [化 11]
[0109] [化 12]
CN
\广¾へ
ο b レ〜
[0110] 重合性基及び相互作用性基を有するポリマーにおいて、相互作用性基を有するモ ノマーに由来するユニットは、めっき触媒又はその前駆体との相互作用形成性の観 点から、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー中に、 50〜95モル%の範囲 で含有されること力好ましく、 40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
[0111] また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、吸水性を低下 させるため、また、疎水性を向上させるために、上記相互作用性基を有するモノマー 以外に他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマ 一を用いてよぐジェン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。中でも、無 置換アルキルのアクリル系モノマーが好ましい。具体的には、ターシャリーブチルァク リレート、 2—ェチルへキシルアタリレート、ブチルアタリレート、シクロへキシルアタリレ
ート、ベンジルメタタリレートなどが好ましく使用できる。
[0112] このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成でき 合成方法としては、 i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマー とを共重合する方法、 ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有する モノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、 iii) 相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結 合を導入 (重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点 から、 ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共 重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、 iii)相互作用性基を 有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法 である。
[0113] 重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基 を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマー を用いること力 Sできる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、 2種以上を併用して あよい。
[0114] 相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては 、ァリル (メタ)アタリレート、 2—ァリルォキシェチルメタタリレートなどが挙げられる。 また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては 2—(3 クロロー 1 ォキソプロボ キシ)ェチルメタクリレー卜、 2 (3—ブロモー 1 ォキソプロポキシ)ェチルメタクリレ ート、などが挙げられる。
[0115] 更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれ らの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入 するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシ ジル(メタ)アタリレート、ァリルグリシジルエーテル、 2—イソシアナトェチル(メタ)ァク リレートなどがある。
[0116] 以下、本発明において好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有するポリ マーの具体例を示す力 S、本発明はこれに限定されるものではない。
[0117] [化 13]
0入。 X^NH:、 ζ 、γ
1 、 Ό
[0120] 本発明の一態様である表面金属膜材料の作製方法において用いられる、重合性 基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基としてシァノ基を有す るポリマー(以下、「シァノ基含有重合性ポリマー」と称する。)が好ましい。
[0121] 本発明におけるシァノ基含有重合性ポリマー等の重合性基及び相互作用性基を 有する化合物は、重合性基と相互作用性基の他に、極性基を有していてもよい。 特に、本発明に従う表面金属膜材料を作製する場合には、形成されたポリマー層 が前記 1〜4の条件の全てを満たす範囲であれば、該ポリマーが極性基を有している ことによって、後述の工程により金属膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場 合には、ポリマー層と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる
〇
[0122] 前述のように、本発明におけるポリマー層を形成するためには、重合性基及び相互 作用性基を有するポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有 する液状組成物、即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と、該化合物を 溶解しうる溶剤と、を含有する組成物(好ましくは、シァノ基又は O (CH ) O
2 n 一(nは 1〜5の整数)で表される構造、及び重合性基を有するポリマーと、該ポリマー
を溶解しうる溶剤と、を含有する本発明のポリマー層形成用組成物)を用いることが 好ましい。
なお、重合性基及び相互作用性基を有する化合物 (例えば、シァノ基含有重合性 ポリマー)の組成物中の含有量は、組成物全体に対して、 2質量%〜50質量%であ ることが好ましい。
[0123] 上記組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である、重合性基及び相互作用 性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性 剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレン グリコーノレ、グリセリン、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテノレの如きァノレコーノレ系 溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルェチルケトン、シクロへキサノンの如きケトン系 溶剤、ホノレムアミド、ジメチルァセトアミド、 N—メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、ァ セトニトリル、プロピロ二トリルの如き二トリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸ェチルの如き エステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジェチルカーボネートの如きカーボネート系 溶剤などが挙げられる。
この中でも、シァノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系 、ケトン系、二トリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましぐ具体的には、アセトン、 ジメチルァセトアミド、メチルェチルケトン、シクロへキサノン、ァセトニトリル、プロピオ 二トリル、 N—メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シァノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い 安さから沸点が 50〜; 150°Cの溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用し てもよいし、混合して使用してもよい。
[0124] また、本発明にお!/、て、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組 成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の吸溶媒率が 5 〜25%となる溶剤を選択することができる。この吸溶媒率は、基板や、重合開始層を 形成した基材を溶剤中に浸漬し、 1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求 めること力 Sでさる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重
合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の膨潤率が 10〜45%となる溶剤 を選択してもよい。この膨潤率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に 浸漬し、 1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
[0125] 必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであ ればよぐそのような界面活性剤としては、例えば、 n—ドデシルベンゼンスルホン酸 ナトリウムの如きァニオン性界面活性剤や、 n—ドデシルトリメチルアンモニゥムクロラ イドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノユルフェノールエーテル(巿 販品としては、例えば、ェマルゲン 910、花王 (株)製などが挙げられる)、ポリオキシ エチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン 20」な どが挙げられる)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤 等が挙げられる。
[0126] また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一 般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類 (ジメチルエステル、ジェチルエステ ノレ、ジブチルエステル、ジー 2—ェチルへキシルエステル、ジノルマルォクチルエス テノレ、ジィソノニノレエステノレ、ジノニノレエステノレ、ジイソデシノレエステノレ、ブチノレべンジ ノレエステル)、アジピン酸エステル類(ジォクチルエステル、ジイソノニルエステノレ)、 ァゼラインサンジォクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジォクチル エステル)リン酸トリクレシル、ァセチルクェン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリ ット酸トリオクチル、塩素化パラフィンゃジメチルァセトアミド、 N—メチルピロリドンのよ うな高沸点溶媒も使用することができる。
[0127] 重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じ て、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキ ノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、 2, 5—ビス(1 , 1 , 3, 3—テトラメチルブチ ノレ)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、 p—メトキシフエノール、フエノールなどのフ ェノール類、ベンゾキノン類、 TEMPO (2, 2, 6, 6—テトラメチルー 1ーピペリジニロ キシ フリーラジカル)、 4ーヒドロキシ TEMPOなどのフリーラジカル類、フエノチアジ ン類、 N—ニトロソフエニルヒドロキシァミン、そのアルミニウム塩などのニトロソァミン類 、カテコール類を使用することができる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に 応じて、重合開始層の硬化を進めるために、硬化剤及び/又は硬化促進剤を添カロ すること力 Sできる。硬化剤及び硬化促進剤としては、公知のものを用いることができる 。具体的には、硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミ ン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フエノール、フエノールノポラック、ポリメ ルカブタン、活性水素を 2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン 、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジェチレ ントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジェチルァミノプロピル ァミン、ポリアミドアミン、メンセンジァミン、イソホロンジァミン、 N アミノエチノレビペラ ジン、 3, 9 ビス(3 ァミノプロピル)一 2, 4, 8, 10 テトラオキシスピロ(5, 5)ゥン デカンァダクト、ビス(4—ァミノ一 3—メチルシクロへキシル)メタン、ビス(4—アミノシ クロへキシノレ)メタン、 m—キシレンジァミン、ジアミノジフエニルメタン、 m—フエ二レン ジァミン、ジアミノジフエニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フ タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水 フタル酸、メチルへキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コ ハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフエノンテトラカルボン酸 無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロへキセンテトラ力 ルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フエノールノポラック、 キシリレンノボラック、ビス Aノボラック、トリフエニルメタンノボラック、ビフエニルノボラッ ク、ジシクロペンタジェンフエノーノレノボラック、テノレペンフエノーノレノボラック、ポリメノレ カフ。タン、ポリサノレフアイド、 2, 4, 6 トリス(ジメチノレ ミノメチノレ)フエノーノレ、 2, 4, 6 -トリス(ジメチルアミノメチル)フエノール—トリ 2 ェチルへキシル酸塩、ベンジ ノレジメチルァミン、 2—(ジメチルアミノメチノレ)フエノール 2—メチルイミダゾール、 2— ェチルー 4ーメチルイミダゾール 2 ゥンデシルイミダゾール、 2 ヘプタデシルイミダ ゾール、 2—フエ二ルイミダゾール、 1一べンジルー 2—メチルイミダゾール、 1ーシァ ノエチルー 2 メチルイミダゾール、 2, 4 ジアミノー 6—(2 メチルイミダゾリルー(1 ) )—ェチル S トリァジン、 BFモノェチルアミン錯体、ノレイス酸錯体、有機酸ヒドラジ
ド、ジァミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、ァミン イミド化合物、芳香族ジァゾニゥム塩、ジァリルョードニゥム塩、トリアリルスルホニゥム 塩、トリァリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
[0129] これらの硬化剤及び/又は硬化促進剤は、溶液の塗布性、基板やめつき膜との密 着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の 0〜50質量%程度まで添 カロすること力 S好ましい。また、硬化剤及び/又は硬化促進剤は重合開始層に添加し てもよく、その場合は、重合開始層に添加した量とポリマー層中に添加した総和量で 上記範囲を満たすことが好ましレ、。
[0130] また、更に、ゴム成分(ί列えば、 carboxyl terminated butadiene acrylonitrile (CTBN ) )、難燃化剤 (例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡 剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。また、これらの添加剤は必要 に応じて重合開始層に添加してもよい。
[0131] これらの重合性基及び相互作用性基を有する化合物と各種の添加剤とを適宜混 合した組成物を用いることで、形成されたポリマー層の物性、例えば、熱膨張係数、 ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最 適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、よ り高い方が好ましい。
得られたポリマー層は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐 久性を測定することができる。例えば、熱分解に関しては、 200°C環境に 1時間曝し た場合の質量減少が 20%以下であると、十分に熱耐久性を有していると評価できる
[0132] 重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を接触させる場合 には、その塗布量は、めっき触媒又はその前駆体との充分な相互作用形成性の観 点からは、固形分換算で、 0.;!〜 10g/m2が好ましぐ特に 0. 5〜5g/m2が好まし い。
なお、基板上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物 を塗布し、乾燥させて、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する層を 形成する場合、塗布と乾燥との間に、 20〜40°Cで 0. 5〜2時間放置させて、残存す
る溶剤を除去してもよい。
[0133] エネルギーの付与
基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射 を用いる方法が挙げられる。該方法の例としては、 UVランプ、可視光線などによる光 照射、ホットプレートなどを用いた加熱等が挙げられる。該方法に用いる光源としては 、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンァ ーク灯、等が挙げられる。放射線の例としては、電子線、 X線、イオンビーム、遠赤外 線などが挙げられる。また、 g線、 i線、 Deep— UV光、高密度エネルギービーム(レ 一ザ一ビーム)も使用可能である。
一般的に用いられる具体的な態様の例としては、熱記録ヘッド等による直接画像様 記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光 や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間は、 目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源に より異なる力 通常、 10秒〜 5時間の間である。
[0134] なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を 容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、 10 mj/ cm〜 5000mj/cmの範囲であることが好ましぐより好ましくは、 50mj/cm2
〜3000mj/cm2の範囲である。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物として、平均分子量 2万以上、 重合度 200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が 容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
[0135] 以上説明した(al)工程により、基板上には、相互作用性基を有するグラフトポリマ 一からなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成すること力 Sできる。
[0136] 得られたポリマー層力 例えば、 pH12のアルカリ性溶液に添加し、 1時間攪拌した ときの重合性基部位の分解が 50%以下である場合は、該ポリマー層に対して高アル カリ性溶液による洗浄を行うことができる。
[0137] (al ' )工程
本発明の第 2の表面金属膜材料の作製方法における(al, )工程では、基板上に、
シァノ基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形 成する。
本工程は、前述の(al)工程における重合性基及び相互作用性基を有する化合物 として、重合性基及びシァノ基を有する化合物を用いる以外は、(al)工程に記載の 方法と同様の方法が用いられ、また、好ましい態様も同様である。
この(al ' )工程により、基板上には、シァノ基を有するグラフトポリマーからなるポリ マー層(グラフトポリマー層)を形成すること力 Sできる。
[0138] 本工程で得られたポリマー層を構成するポリマーは、めっき触媒又はその前駆体と 相互作用を形成する官能基としてシァノ基を有する。このシァノ基は、前述の通り、極 性が高ぐめっき触媒等への吸着能が高いが、解離性の極性基 (親水性基)のように 高い吸水性、親水性を有するものではないため、このシァノ基有するグラフトポリマー からなるポリマー層は、吸水性が低ぐ且つ、疎水性が高いものとなる。
[0139] (a2)工程
(a2)工程では、上記(al)又は(al ' )工程において形成されたポリマー層に、めつ き触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、ポリマー層を構成するダラ フトポリマーが有する相互作用性基 (シァノ基)が、その機能に応じて、付与されため つき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒又はその前駆体としては、後述する(a3)めっき工程における、 めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒又はそ の前駆体は、 (a3)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒又はその前駆体は、無電解め つき触媒又はその前駆体であることが好ましい。
[0140] 無電解めつき触媒
本発明にお!/、て用いられる無電解めつき触媒は、無電解めつき時の活性核となるも のであれば、如何なるものも用いること力 Sできる。その例としては、自己触媒還元反応 の触媒能を有する金属(Nはりイオン化傾向の低い無電解めつきできる金属として知 られるもの)などが挙げられる。具体例としては、 Pd、 Ag、 Cu、 Ni、 Al、 Fe、 Coなど 力 S挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましい。特に、配位可能な官能基の
種類数、触媒能の高さから、 Pdが好ましい。
この無電解めつき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは
、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中にお!、て、 金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで 使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
[0141] 無電解めつき触媒前駆体
本工程において用いられる無電解めつき触媒前駆体としては、化学反応により無電 解めつき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上 記無電解めつき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めつき触 媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めつき触媒である 0価金属にな る。無電解めつき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解 めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により 0価金属に変化させて無電解めつき触 媒としてもよいし、無電解めつき触媒前駆体のまま無電解めつき浴に浸漬し、無電解 めっき浴中の還元剤により金属(無電解めつき触媒)に変化させてもよい。
[0142] 実際には、無電解めつき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてポリマー層上 に付与する。使用される金属塩には、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰ィ オン)とに解離されるものであれば特に制限はない。具体例としては、 M (NO ) 、 M
3 n
Cln、 M (SO )、 M (PO ) (Mは、 n価の金属原子を表す)などが挙げられる。
2/n 4 3/n 4
金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具 体例としては、例えば、 Agイオン、 Cuイオン、 A1イオン、 Niイオン、 Coイオン、 Feィ オン、 Pdイオンが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましい。特に、配位 可能な官能基の種類数、及び触媒能の点で、 Pdイオンが好ましい。
[0143] 無電解めつき触媒である金属、或いは、無電解めつき前駆体である金属塩をポリマ 一層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、或いは、金 属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液 又は溶液をポリマー層上に塗布する力、、或いは、その分散液又は溶液中にポリマー 層が形成された基板を浸漬すればょレ、。
また、(al)又は(al ' )工程において、表面グラフト重合法を用いる場合、基板上に
、重合性基及び相互作用性基 (シァノ基)を有する化合物を含有する組成物を接触 させるが、この組成物中に、無電解めつき触媒又はその前駆体を添加する方法を用 いてもよい。重合性基及び相互作用性基 (シァノ基)を有する化合物と、無電解めつ き触媒又はその前駆体と、を含有する組成物を、基板上に接触させて、表面グラフト 重合法を適用することにより、相互作用性基 (シァノ基)を有し、且つ、基板と直接化 学結合したポリマーと、めっき触媒又はその前駆体と、を含有するポリマー層を形成 すること力 Sできる。なお、この方法を用いれば、本発明における(al)又は(al ' )工程 と(a2)工程とが 1工程で行えることになる。
[0144] なお、本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法における(al")工程を経ること で、樹脂フィルムの両面に対してポリマー層が形成されている場合には、その両面の ポリマー層に対して同時に無電解めつき触媒又はその前駆体を接触させるために、 上記の浸漬法を用いることが好ましレ、。
[0145] 上記のように無電解めつき触媒又はその前駆体を接触させることで、ポリマー層中 の相互作用性基 (シァノ基)に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作 用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めつき触 媒又はその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の 金属濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、 0. 00;!〜 50質量%の範囲であること が好ましぐ 0. 005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間と しては、 30秒〜 24時間程度であることが好ましぐ 1分〜 1時間程度であることがより 好ましい。
[0146] その他の触媒
本発明において、後述の(a3)工程において、ポリマー層に対して、無電解めつきを 行わず直接電気めつきを行うために用いられる触媒としては、 0価金属を使用するこ とができる。この 0価金属の例としては、 Pd、 Ag、 Cu、 Ni、 Al、 Fe、 Coなどが挙げら れる。中でも、多座配位可能なものが好ましい。特に、相互作用性基 (シァノ基)に対 する吸着(付着)性、触媒能の高さから、 Pd、 Ag、 Cuが好ましい。
[0147] 以上説明した(a2)工程を経ることで、ポリマー層中の相互作用性基 (シァノ基)とめ
つき触媒又はその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
[0148] (a3)工程
(a3)工程では、無電解めつき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し 、めっきを行うことで、めっき膜が形成される。形成されためつき膜は、優れた導電性 、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めつき、電気めつき等が挙げられ 、前記(a2)工程において、ポリマー層との間に相互作用を形成しためっき触媒又は その前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し、 電気めつきを行ってもょレ、し、無電解めつきを行ってもょレ、。
中でも、本発明においては、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性及 び密着性向上の点から、無電解めつきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめ つき層を得るために、無電解めつきの後に、更に電気めつきを行うことがより好ましい 態様である。
以下、本工程にぉレ、て好適に行われるめっきにつ!/、て説明する。
[0149] 無電解めつき
無電解めつきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶力、した溶液を用いて、 化学反応によって金属を析出させる操作のことをレ、う。
本工程における無電解めつきは、例えば、無電解めつき触媒が付与された基板を、 水洗して余分な無電解めつき触媒 (金属)を除去した後、無電解めつき浴に浸漬して 行なう。使用される無電解めつき浴としては一般的に知られている無電解めつき浴を 使用すること力でさる。
また、無電解めつき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めつき触媒前駆体が ポリマー層に吸着又は含浸した状態で無電解めつき浴に浸漬する場合には、基板を 水洗して余分な前駆体 (金属塩など)を除去した後、無電解めつき浴中へ浸漬される 。この場合には、無電解めつき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き 続き無電解めつきが行われる。ここで使用される無電解めつき浴としても、上記同様、 一般的に知られている無電解めつき浴を使用することができる。
なお、無電解めつき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めつき液を用いる態 様とは別に、触媒活性化液 (還元液)を準備し、無電解めつき前の別工程として行うこ とも可能である。触媒活性化液は、無電解めつき触媒前駆体(主に金属イオン)を 0 価金属に還元できる還元剤を溶解した液であり、液全体に対する該前駆体の濃度が
0. 1質量%〜50質量%の範囲にあることが一般的であり、 1 %〜30%の範囲にある ことが好ましい。使用可能な還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチノレ ァミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤が 挙げられる。
[0150] 一般的な無電解めつき浴の組成としては、溶剤の他に、 1.めっき用の金属イオン、 2.還元剤、 3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれてい る。このめつき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含ま れていてもよい。
[0151] このめつき浴に用いられる溶剤には、吸水性が低ぐ疎水性の高いポリマー層(前 記 1〜4の条件を全て満たすポリマー層)に対して、親和性の高い有機溶剤を含有さ せること力 S好ましい。有機溶剤の種類の選択や、含有量は、ポリマー層の物性に応じ て調製すればよい。特に、ポリマー層の条件 1における飽和吸水率が大きければ大 きいほど、有機溶剤の含有率を小さくすることが好ましい。具体的には、以下の通りで ある。
即ち、条件 1における飽和吸水率が 0. 01 -0. 5質量%の場合、めっき浴の全溶 剤中の有機溶剤の含有量は 20〜80質量%であることが好ましぐ同飽和吸水率が 0 . 5〜5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は 10〜80質量% であること力 S好ましく、同飽和吸水率が 5〜; 10質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の 有機溶剤の含有量は 0〜60質量%であることが好ましぐ同飽和吸水率が 10〜20 質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は 0〜45質量%であるこ とが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その 点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアル コール類が好ましく用いられる。
[0152] 無電解めつき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パ ラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ま しい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解め つきの浴には、銅塩として CuSO、還元剤として HCOH、添加剤として銅イオンの安
4
定剤である EDTAやロッシエル塩などのキレート剤、トリアルカノールァミンなどが含 まれている。また、 CoNiPの無電解めつきに使用されるめつき浴には、その金属塩と して硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマ ロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジ ゥムの無電解めつき浴には、金属イオンとして(Pd (NH ) ) C1、還元剤として NH、
3 4 2 3
H NNH、安定化剤として EDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分
2 2
以外の成分が入ってレ、てもよレ、。
[0153] このようにして形成される無電解めつきによるめつき膜の膜厚は、めっき浴の金属ィ オン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御すること 力できる。導電性の観点からは、該膜厚は 0. 5 m以上であることが好ましぐ 3 ^ 111 以上であることがより好ましレ、。
また、めっき浴への浸漬時間は、 1分〜 6時間程度であることが好ましぐ 1分〜 3時 間程度であることがより好ましレ、。
[0154] 以上のようにして得られた無電解めつきによるめつき膜は、走査型電子顕微鏡(sea nning electron microscope: SEM)による断面観察により、ポリマー層中に無電解め つき触媒やめつき金属からなる微粒子が高密度で分散していること、また更にポリマ 一層上にめっき金属が析出していることが確認された。基板とめっき膜との界面は、 ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金 属又はめつき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が 500nm以下)であっても、密 着性が良好となる。
[0155] 電気めつき
本工程におレ、ては、(a2)工程にお!/、て付与されためつき触媒又はその前駆体が 電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層
に対して、電気めつきを行うことができる。
また、前述の無電解めつきの後、形成されためつき膜を電極とし、更に、電気めつき を行ってもよ!/、。これにより基板との密着性に優れた無電解めつき膜をベースとして、 そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無 電解めつきの後に、電気めつきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうる ため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
[0156] 本発明における電気めつきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる 。なお、本工程の電気めつきに用いられる金属の例としては、銅、クロム、鉛、ニッケ ノレ、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられる。導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく 、銅がより好ましい。
[0157] 電気めつきにより得られる金属膜の膜厚は、用途に応じて異なるものであり、めっき 浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールする ことができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点 から、 0. 5 m以上であることが好ましぐ 3 m以上であることがより好ましい。
[0158] 本発明において、前述のめっき触媒、めっき触媒前駆体に由来する金属や金属塩 、及び/又は、無電解めつきにより、ポリマー層中に析出した金属が、該層中でフラク タル状の微細構造体として形成されていることによって、金属膜とポリマー層との密着 性を更に向上させることができる。
ポリマー層中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき 、ポリマー層の最表面から深さ 0. 5〃mまでの領域に占める金属の割合が 5〜50面 積%であり、ポリマー層と金属界面の算術平均粗さ Ra (ISO 4288 ( 1996) )が 0. 05 μ m〜0. 5 mである場合に、更に強い密着力が発現される。
[0159] 表面金属膜材料
本発明の表面金属膜材料の作製方法の各工程を経ることで、本発明の表面金属 膜材料を得ること力できる。なお、本発明の第 3の表面金属膜材料の作製方法を適 用すれば、両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料は、高温高 湿下であっても、金属膜の密着力の変動が少ないといった効果を有する。この表面
金属膜材料は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、 2層 CCL (Copper Clad La minate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
[0160] 本発明の金属パターン材料の作製方法は、(al)〜(a3)の工程を経て得られた本 発明の表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を有する。 この(a4)エッチング工程につ!/、て以下に説明する。
[0161] (a4)工程
(a4)工程では、上記 (a3)工程で形成されためつき膜 (金属膜)をパターン状にエツ チングする。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためつき膜の不要部分を エッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一 般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
[0162] サブトラクティブ法とは、形成されためつき膜上にドライフィルムレジスト層を設けパ ターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジス トパターンをマスクとしてエッチング液でめっき膜を除去し、金属パターンを形成する 方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型 、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線 基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドラ ィエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、装置など が簡便であることから、湿式エッチングが好ましい。使用可能なエッチング液の例とし ては、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液が挙げられる。
[0163] また、セミアディティブ法とは、形成されためつき膜上にドライフィルムレジスト層を設 け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィ ルムレジソトパターンをマスクとして電気めつきを行い、ドライフィルムレジソトパターン を除去した後にクイックエッチングを実施し、めっき膜をパターン状に除去することに より、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等の 材料としては、サブトラクティブ法におけると同様の材料が使用できる。また、電気め つき手法としては前記記載の手法が使用できる。
[0164] 以上の(al)〜(a4)工程を経ることにより、所望の金属パターンを有する金属パタ
ーン材料が作製される。
一方、(al)又は(al, )の工程で得られるポリマー層をパターン状に形成し、パター ン状のポリマー層に対し(a2)、及び(a3)工程を行うことで、金属パターン材料を作
(al)又は(al ' )の工程で得られるポリマー層をパターン状に形成する方法としては 、具体的には、ポリマー層を形成する際に付与されるエネルギーをパターン状とすれ ばよく、また、エネルギーを付与しない部分を現像で除去することでパターン状のポリ マー層を形成することができる。
なお、現像方法としては、重合性基及び相互作用性基 (シァノ基)を有する化合物 などのポリマー層を形成するために用いられる材料を溶解しうる溶剤に浸漬すること で行われる。浸漬する時間は 1分〜 30分の範囲にあることが好ましい。
また、(al)又は(al ' )のポリマー層は、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを 用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で直接パターユングした後、エネルギ 一付与し、その後、現像することで形成してもよい。
ノ ターン形成したポリマー層上にめっき膜を形成するための(a2)、及び (a3)工程 は、前述の方法と同じである。
[0166] 金属パターン材料
本発明の金属パターン材料は、前述の本発明の金属パターン材料の作製方法に より得られたものである。
得られた金属パターン材料を構成するポリマー層は、前述のように、吸水性が低ぐ 疎水性が高いため、このポリマー層の露出部(金属パターンの非形成領域)は、絶縁 信頼性に優れる。
[0167] 本発明の金属パターン材料は、表面の凹凸差が 500nm以下はり好ましくは 100η m以下)の基板上の全面又は局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが 好ましい。また、基板と金属パターンとの密着性が 0. 2kN/m以上であることが好ま しい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属パターンとの密着性に優れる ことを特徴とする。
[0168] なお、基板表面の凹凸差は、基板を基板表面に対して垂直に切断し、その断面を
SEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、 ISO 4287 (1997)に準じて測定した基板表面の Rz、即ち、「指定面に おける、最大から 5番目までの山頂の Zデータの平均値と、最小から 5番目までの谷 底の平均値との差」が、 500nm以下であることが好ましい。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜 (金属パターン)の表面に、銅板 (厚 さ: 0. lmm)をエポキシ系接着剤(商品名:ァラルダイト、チバガイギー製)で接着し、 140°Cで 4時間乾燥した後、 JIS C 6481 (IEC 60249-1 (1982)に準拠する公知のプ リント配線板用銅張積層板試験方法)に基づき 90度剥離実験を行うか、又は、金属 膜自体の端部を直接剥ぎ取り、 JIS C 6481に基づき 90度剥離実験を行って得られ たィ直である。
[0169] 本発明の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料は、例え ば、半導体チップ、各種電気配線板、 FPC (Flexible Print Circuit)、 COF (Chip On Film)、 TAB (Tape Automated Bonding)、アンテナ、多層配泉基板、マザ一ボード、 等の種々の用途に適用することができる。
[0170] 新規ポリマー
本発明の一態様として提供される新規ポリマーは、下記式(1)で表されるユニット、 及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体である。該新規ポリマーは、本 発明の一態様である表面金属膜材料の作製方法において用いられる前記のシァノ 基含有重合性ポリマーの好適な例の一つである。以下、該新規ポリマーを、適宜、「 二トリル基含有重合性ポリマー」と称して、詳細に説明する。
[0171] [化 16]
2卜
[0172] 上記式(1)及び式(2)中、!^〜 は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無 置換のアルキル基を表し、 X、 Y及び Zは、各々独立に、単結合、置換もしくは無置換 の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、 L1及び L2は、各々 独立に、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0173] 1〜!^が、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基とし ては、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基 としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された 、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、 R1としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換 されたメチル基が好ましい。
R2としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換された メチル基が好ましい。
R3としては、水素原子が好ましい。
R4としては、水素原子が好ましい。
R5としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換された メチル基が好ましい。
[0174] X、 Y及び Zが、置換もしくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基とし ては、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化
水素基が挙げられる。
置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピ レン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原 子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフエニル基、若しくは 、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフエ二 ル基が好ましい。
中でも、一(CH ) — (nは 1〜3の整数)が好ましぐ更に好ましくは一 CH—である
2 n 2
〇
[0175] L1は、ウレタン結合又はウレァ結合を有する二価の有機基であることが好ましぐゥ レタン結合を有する二価の有機基であることがより好ましぐ中でも、総炭素数;!〜 9 であるものが好ましい。なお、ここで、 L1の総炭素数とは、 L1で表される置換もしくは 無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
より具体的には、 L1の構造は、下記式(1 1)、又は、式(1 2)で表される構造で あることが好ましい。
式 ( 1 1 ) 式 ( 1— 2 )
[0177] 上記式(1 1)及び式(1 2)中、 及び Rbは、各々独立に、炭素原子、水素原子 、及び酸素原子からなる群より選択される 2つ以上の原子を用いて形成される 2価の 有機基であり、好ましい例としては、置換もしくは無置換の、メチレン基、エチレン基、 プロピレン基、又はブチレン基、エチレンォキシド基、ジエチレンォキシド基、トリェチ レンォキシド基、テトラエチレンォキシド基、ジプロピレンォキシド基、トリプロピレンォ キシド基、テトラプロピレンォキシド基が挙げられる。
[0178] また、 L2は、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組
み合わせた基であることが好まし!/、。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基 は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレァ基を介していてもよ い。中でも、 L2は総炭素数が 1〜; 15であることが好ましぐ特に無置換であることが好 ましい。なお、ここで、 L2の総炭素数とは、 L2で表される置換もしくは無置換の二価の 有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フエ二レン基 、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で 置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
[0179] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーの好ましい例としては、前記式(1)で表さ れるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであるものが挙げられる。
[0180] [化 18]
式 (3 )
[0181] 上記式(3)中、 R1及び R2は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の アルキル基を表し、 Zは、単結合、置換もしくは無置換の二価の有機基、エステル基 、アミド基、又はエーテル基を表し、 Wは、酸素原子、又は NR (Rは、水素原子、又は アルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数 1〜5の無置換のアルキル基 である。)を表し、 L1は、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0182] 式(3)における R1及び R2は、前記式(1)における R1及び R2と同義であり、好ましい 例も同様である。
[0183] 式(3)における Zは、前記式(1)における Zと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)における L1も、前記式(1)における L1と同義であり、好ましい例も同様 である。
[0184] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが
、下記式 (4)で表されるユニットであることが好まし!/、。
[0185] [化 19]
[0186] 式 (4)中、 R1及び R2は、各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキ ル基を表し、 V及び Wは、各々独立に、酸素原子、又は NR(Rは、水素原子、又はァ ルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数 1〜5の無置換のアルキル基で ある。)を表し、 L1は、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0187] 式 (4)における R1及び R2は、前記式(1)における R1及び R2と同義であり、好ましい 例も同様である。
[0188] 式 (4)における L1は、前記式(1)における L1と同義であり、好ましい例も同様である
〇
[0189] 前記式(3)及び式 (4)において、 Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、 L1は、無置換のアルキレン基、或いは、ウレ タン結合又はウレァ結合を有する二価の有機基が好ましぐウレタン結合を有する二 価の有機基がより好ましぐこれら中でも、総炭素数 1〜9であるものが特に好ましい。
[0190] また、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるュニ
ット力 下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい
[0191] [化 20]
式 ( 5 )
[0192] 上記式(5)中、 R5は、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、 U は、酸素原子、又は NR' (ここで R'は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましく は、水素原子、又は炭素数 1 5の無置換のアルキル基である)を表し、を表し、 L2は 、置換もしくは無置換の二価の有機基を表す。
[0193] 式(5)における R5は、前記式(1)における R1及び R2と同義であり、水素原子である ことが好ましい。
[0194] また、式(5)における L2は、前記式(1)における L2と同義であり、直鎖、分岐、若しく は環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好まし い。
特に、式(5)においては、 L2中のシァノ基との連結部位力 直鎖、分岐、若しくは環 状のアルキレン基を有する二価の有機基であるものが挙げられ、中でも、この二価の 有機基が総炭素数 1〜; 10であるものがより好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)における L2中のシァノ基との連結部位が、 芳香族基を有する二価の有機基であるものが挙げられ、中でも、該二価の有機基が 、総炭素数 6〜; 15であるものがより好ましい。
[0195] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニット を含んで構成されるものであり、重合性基と二トリル基とを側鎖に有するポリマーであ
この二トリル基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
[0196] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、 ラジカル重合、カチオン重合、ァニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラ ジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、 1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と 側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、 2)ポリマー主鎖を形成す る重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成 方法が異なる。
[0197] 1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異 なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異な る場合は、 1 1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重 合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、 1 2)ポリマー主鎖形成がラジカ ル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態 様と、がある。
[0198] 1 1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重 合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される 重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以 下の化合物が挙げられる。
[0199] ·重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーと しては、ビュル (メタ)アタリレート、ァリル (メタ)アタリレート、 4— (メタ)アタリロイルブタ ンビュルエーテル、 2 (メタ)アタリロイルェタンビュルエーテル、 3 (メタ)アタリロイ ノレプロノ ンビニノレエーテノレ、 (メタ)アタリロイ口キシジエチレングリコーノレビニノレエー テノレ、 (メタ)アタリロイロキシトリエチレングリコーノレビニノレエーテノレ、 (メタ)アタリロイノレ 1stテルピオネール、 1— (メタ)アタリロイ口キシ一 2—メチル 2—プロペン、 1— (メタ )アタリロイ口キシ一 3 メチル 3 ブテン、 3 メチレン一 2— (メタ)アタリロイロキシ
アタリレート、 2—(ブロモメチル)アクリル酸ビュル、 2 - ァリル等が挙げられる。
[0200] '二トリル基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる二トリル基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーと しては、 2 シァノエチルビュルエーテル、シァノメチルビュルエーテル、 3 シァノプ 口ピルビュルエーテル、 4—シァノブチルビュルエーテル、 1— (p シァノフエノキシ) 2—ビニロキシーェタン、 1一(o シァノフエノキシ)ー2—ビニロキシーェタン、 1 (m シァノフエノキシ)一 2 ビニロキシーェタン、 1一 (p シァノフエノキシ)一 3— ビニロキシ一プロパン、 1— (p シァノフエノキシ) 4—ビニロキシ一ブタン、 o シ ァノベンジルビュルエーテル、 m シァノベンジルビュルエーテル、 p シァノベンジ ルビニルエーテル、ァリルシアニド、ァリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げら れる。
[0201] [化 21]
[0202] 重合方法としては、実験化学講座「高分子化学」 2章 4 (ρ74)に記載の方法や、「 高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章 (ρ195)に記載の一般的なカチオン重合 法が使用できる。なお、カチオン重合において用いることができる開始剤の例として は、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体 酸、ハロゲンが挙げられる。この中でも、ハロゲン化金属と有機金属化合物が、活性
が大きく高分子量が合成可能な開始剤であることから好ましい。
具体例としては、 3フッ化ホウ素、 3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チ タン、四塩化スズ、臭化スズ、 5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タ ングステン、塩化鉄、ジクロロェチルアルミニウム、クロロジェチルアルミニウム、ジクロ ロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル 亜鉛、メチルダリニアが挙げられる。
[0203] 1 2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重 合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される 重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下 の化合物が挙げられる。
[0204] ·重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
上記 1 1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノ マーと同じものを用いることができる。
[0205] ·二トリル基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる二トリル基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーの 例としては、シァノメチル (メタ)アタリレート、 2 シァノエチル (メタ)アタリレート、 3 - チル(メタ)アタリレート、 4ーシァノブチル(メタ)アタリレート、 5—シァノペンチル(メタ) アタリレート、 6—シァノへキシル(メタ)アタリレート、 7—シァノへキシル(メタ)アタリレ ート、 8 シァノへキシル(メタ)アタリレート、 2 シァノエチルー(3 (ブロモメチル) アクリルレート)、 2 シァノエチルー(3—(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、 p シァ ノフエニル(メタ)アタリレート、 o シァノフエニル(メタ)アタリレート、 m シァノフエ二 ノレ(メタ)アタリレート、 5 (メタ)アタリロイルー 2 カルボ二トリローノルボルネン、 6— (メタ)アタリロイル― 2—カルボ二トリ口―ノルボルネン、 1―シァノ— 1— (メタ)アタリ口 ィル一シクロへキサン、 1 , 1—ジメチルー 1—シァノ (メタ)アタリレート、 1—ジメチ ルー 1ーェチルー 1ーシァノー (メタ)アタリレート、 o シァノベンジル(メタ)アタリレー
シァノシクロへプチルアタリレート、 2 シァノフエニルアタリレート、 3 シァノフエニル アタリレート、シァノ酢酸ビュル、 1 シァノ 1ーシクロプロパンカルボン酸ビュル、シ ァノ酢酸ァリル、 1 シァノ 1ーシクロプロパンカルボン酸ァリル、 N, N—ジシァノメ チル (メタ)アクリルアミド、 N シァノフエニル (メタ)アクリルアミド、ァリルシアノメチル エーテル、ァリルー o—シァノエチルエーテル、ァリルー m シァノベンジルエーテル 、ァリル p シァノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シァ ノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
[0206] 重合方法としては、実験化学講座「高分子化学」 2章 2 (p34)に記載の方法や、「 高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章 (pl25)に記載の一般的なラジカル重合 法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、 100°C以上の加熱が必要な高 温開始剤、 40〜100°Cの加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス 開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さか ら、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤の例としては、過酸化べンゾィル、過酸化ラウロイル、ペルォキソ 2硫酸 塩、ァゾビスイソブチロニトリル、ァゾビル一 2, 4 ジメチルバレロニトリルが挙げられ
[0207] 2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが 同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同 一の場合は、 2 1)両者がカチオン重合の態様と、 2— 2)両者がラジカル重合であ る態様と、がある。
[0208] 2— 1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、二トリル基を有するモノマーとして、前記 1— 1)の 態様で挙げた二トリル基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを 用いること力 Sでさる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、二トリル基を有するポリマーを予め合 成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「
反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導 入する方法を用いることが好ましレヽ。
[0209] なお、二トリル基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示 すような反応性基を有することが好ましレ、。
また、二トリル基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み 合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせの例としては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能 基) = (カルボキシル基、カルボキシル基)、 (カルボキシル基、エポキシ基)、 (カルボ キシル基、イソシァネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、力 ルポキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシァネート基)、(水酸基、ハロ ゲン化ベンジル)(イソシァネート基、水酸基)、(イソシァネート基、カルキシル基)等 を挙げること力 Sでさる。
[0210] ここで、反応性化合物の具体例としては、ァリルアルコール、 4ーヒドロキシブタンビ ニノレエーテノレ、 2—ヒドロキシエタンビニノレエーテノレ、 3—ヒドロキシプロパンビニノレエ ーテノレ、ヒドロキシトリエチレングリコーノレビニノレエーテノレ、 1stテノレピオネーノレ、 2—メ チルー 2—プロペノール、 3—メチルー 3—ブテノール、 3—メチレンー2—ヒドロキシ —ノルボルナン、 p— (クロロメチル)スチレンを挙げることができる。
[0211] 2— 2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、 i)二トリル基を有するモノ マーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、 ii)二トリル基を有するモノマ 一と二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二 重結合を導入する方法、 iii)二トリル基を有するポリマーと重合性基を有するモノマー とを反応させ、二重結合を導入 (重合性基を導入する)方法が挙げられる。合成適性 の観点から好ましいのは、 ii)二トリル基を有するモノマーと二重結合前駆体を有する モノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、 iii) 二トリル基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導 入する方法である。
[0212] 前記 i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、ァリル (メタ)ァ
タリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
[0213] [化 22]
[0214] 前記 ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記 式 ωで表される化合物などが挙げられる。
[0215] [化 23]
[0216] 上記式 (a)中、 Aは重合性基を有する有機団、 R1〜! Tは、各々独立に、水素原子 又は 1価の有機基、 B及び Cは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱 離反応とは、塩基の作用により Cが引き抜かれ、 Bが脱離するものである。 Bはァニォ ンとして、 Cはカチオンとして脱離するものが好まし!/、。
式 (a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
[0217] [化 24]
[8IZ0]
StSOLO/LOOZdT/lDd 99 S 0S0/800Z: OAV
[0219] また、前記
下記に示すように、 B、 Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、 塩基の作用により Cを引き抜き、 Bが脱離する反応を使用する。
[0220] [化 26]
[0221] 上記の脱離反応において用いられる塩基の好ましい例としては、アルカリ金属類の 水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が挙げ られる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、 水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ ゥム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素 ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルァミン 、卜リエチノレ ミン、ジェチノレメチノレ ミン、卜リフ"チノレ ミン、卜リイソフ"チノレ ミン、卜リ へキシルァミン、トリオクチノレアミン、 N, N ジメチルシクロへキシルァミン、 N, N— ジェチノレシクロへキシノレアミン、 N メチノレジシクロへキシノレアミン、 N ェチノレジシク 口へキシルァミン、ピロリジン、 1 メチルピロリジン、 2, 5—ジメチルピロリジン、ピペリ ジン、 1ーメチノレビペリジン、 2, 2, 6, 6—テトラメチノレビペリジン、ピぺラジン、 1 , 4
ジメチノレビペラジン、キヌタリジン、 1 , 4ージァザビシクロ [2, 2, 2] オクタン、へキ サメチレンテトラミン、モノレホリン、 4ーメチノレモノレホリン、ピリジン、ピコリン、 4 ジメチ ノレアミノビリジン、ノレチジン、 1 , 8 ジァザビシクロ〔5, 4, 0〕 7 ゥンデセン(DBU )、 N, N'—ジシクロへキシルカルポジイミド(DCC)、ジイソプロピルェチルァミン、 S chiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウ ムメトキシド、ナトリウムェトキシド、カリウム t ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩 基は、 1種或いは 2種以上の混合であってもよい。
[0222] また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒の例と しては、エチレンジクロリド、シクロへキサノン、メチルェチルケトン、アセトン、メタノー ノレ、エタノーノレ、プロノ ノーノレ、ブタノーノレ、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、 エチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、 2—メトキシェチノレアセテート、 1ーメトキシ 2—プロパノール、 1ーメトキシー2—プロピルアセテート、 N, N ジメチルホルム アミド、 N, N ジメチルァセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸ェチル、乳 酸メチル、乳酸ェチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは 2種以上混 合してもよい。
[0223] 使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基 (B、 Cで表される脱離基)の量に 対して、当量以下であってもよぐまた、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基 を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加すること も好ましい形態である。
[0224] 前記 iii)の合成方法において用いられる二トリル基を有するポリマーは、上記 1 2) の態様で挙げた二トリル基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重 結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成 される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーの例としては、反応性基として力 ルポキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシァネート基を有するモノマーが挙げ られる。
[0225] カルボキシル基含有のモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、ィタコン酸、安息香 酸ビュル;東亞合成製のァロニタス M— 5300、 M— 5400、 M— 5600 (全て商品名
);三菱レーシヨン製のアクリルエステル PA、 HH (全て商品名);共栄社化学製のライ トアタリレート HOA—HH (全て商品名);中村化学製の NKエステル SA、 A— SA( 全て商品名)などが挙げられる。
水酸基含有のモノマーの例としては、 2 ヒドロキシェチル(メタ)アタリレート、 4 ヒ ドロキシブチル(メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、 2—ヒドロ キシブチル(メタ)アタリレート、 1 - (メタ)アタリロイル一 3—ヒドロキシ一ァダマンタン、 ヒドロキシメチル (メタ)アクリルアミド、 2- (ヒドロキシメチル) (メタ)アタリレート、 2- (ヒドロキシメチル) (メタ)アタリレートのメチルエステル、 3 クロロー 2 ヒドロキシ プロピル(メタ)アタリレート、 3, 5—ジヒドロキシペンチル(メタ)アタリレート、 1ーヒドロ キシメチルー 4 (メタ)アタリロイルメチルーシクロへキサン、 2 ヒドロキシー3 フエ
2 アタリロイロキシェチルー 2—ヒドロキシェチルフタル酸、 1ーメチルー 2—アタリ口 ドロキシー 3—クロ口プロピルフタル酸;東亞合成(株)製のァロニタス M— 554、 M— 154、 M— 555、 M— 155、 M— 158 (全て商品名);日本油脂(株)製のブレンマー PE— 200、 PE— 350、 PP— 500、 PP— 800、 PP— 1000、 70PEP— 350B、 55P ET800 (全て商品名);及び、以下の構造を有するラタトン変性アタリレートが挙げら れる。
CH =CRCOOCH CH [OC ( = 0) C H ] OH
2 2 2 5 10 n
(R=H又はメチル基、 n= l〜5)
[0226] エポキシ基を有するモノマーの例としては、グリシジル(メタ)アタリレート、ダイセル 化学製のサイクロマー A、 M (共に商品名)などが挙げられる。
イソシァネート基を有するモノマーの例としては、昭和電工製の力レンズ AOI、 MOI (共に商品名)が挙げられる。
なお、 iii)の合成方法において用いられる二トリル基を有するポリマーは、更に第 3 の共重合成分を含んでレ、てもよレ、。
[0227] 前記 iii)の合成方法にお!/、て、二トリル基を有するポリマーと反応させる重合性基を 有するモノマーは、二トリル基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なる。
以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基) = (カルボキシル基、カルボキシ ル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシァネート基)、(カル ボキシル基、ハロゲン化べンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ 基)、(水酸基、イソシァネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシァネート基 、水酸基)、(イソシァネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等 を挙げること力 Sでさる。
具体例としては以下のモノマーが挙げられる。
[0228] [化 27]
[0229] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式 (4) における L1がウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、以下に示 す合成方法 (本発明のポリマーの合成方法)で合成することが好まし!/、。
本発明のポリマーの合成方法は、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有 するポリマー、及び、イソシァネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロ キシル基に該イソシァネート基を付加させることにより L1中のウレタン結合を形成する ことを特徴とする。
[0230] ここで、本発明のポリマーの合成方法に用いられる側鎖にヒドロキシル基を有する ポリマーの好ましい例としては、上記 1— 2)の態様で挙げた二トリル基含有ユニット形
成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有 (メタ)ァク リレートと、の共重合体が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アタリレートの例としては、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリ ート、 2 ヒドロキシブチル(メタ)アタリレート、 1— (メタ)アタリロイル一 3 ヒドロキシ一 ァダマンタン、ヒドロキシメチノレ (メタ)アタリノレアミド、 2— (ヒドロキシメチル) (メタ)ァ タリレート、 2 (ヒドロキシメチル) (メタ)アタリレートのメチルエステル、 3 クロロー 2 ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、 3, 5 ジヒドロキシペンチル(メタ)アタリレ ート、 1ーヒドロキシメチノレー 4 (メタ)アタリロイノレメチノレーシクロへキサン、 2—ヒドロ キシー3 フエノキシプロピル(メタ)アタリレート、 1ーメチルー 2—アタリロイロキシプロ ピルフタル酸、 2—アタリロイロキシェチルー 2—ヒドロキシェチルフタル酸、 1ーメチノレ 2—アタリロイロキシェチルー 2—ヒドロキシプロピルフタル酸、 2—アタリロイロキシ ェチルー 2 ヒドロキシ 3 クロ口プロピルフタル酸;東亞合成(株)製のァロニタス M— 554、 M— 154、 M— 555、 M— 155、 M— 158 (全て商品名);日本油脂(株) 製のブレンマー PE— 200、 PE— 350、 PP— 500、 PP— 800、 PP— 1000、 70PEP 350B、 55PET800 (全て商品名);及び以下の構造を有するラタトン変性アタリレ ートが挙げられる。
CH =CRCOOCH CH [OC ( = 0) C H ] OH
2 2 2 5 10 n
(R=H又はメチル基、 n= l〜5)
なお、本発明のポリマーの合成方法に用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポ リマーは、更に第 3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマ 一を合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有 (メタ)アタリレートを合成する際 に副生する 2官能アタリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用するこ とが好ましい。精製の方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、 下記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレート を用いて合成されたものであることが好ましレ、。
(1)ヒドロキシノレ基含有 (メタ)アタリレートと、該ヒドロキシノレ基含有 (メタ)アタリレートを
合成する際に副生する 2官能アタリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(2)得られた水溶液に、水と分離する第 1の有機溶剤を加えた後、該第 1の有機溶剤 と前記 2官能アタリレートとを含む層を水層から分離する工程
(3)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートよりも水溶解性の高!/、化 合物を溶解する工程
(4)前記水層に第 2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレート を抽出した後、濃縮する工程
[0232] 前記(1)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレー トと、該ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートを合成する際に副生する不純物である 2 官能アタリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートの一般的な 市販品に相当する。
前記(1)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
[0233] 前記(2)の工程では、(1)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第 1の有 機溶剤を加える。ここで用いられる、第 1の有機溶剤の例としては、酢酸ェチル、ジェ チルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液 (水層)から、この第 1の有機溶剤と 2官能アタリレートとを含む層(油 層)を分離する。
[0234] 前記(3)の工程では、(2)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有( メタ)アタリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートよりも水溶解性の高!/、化合物 の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム 、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
[0235] 前記 (4)の工程では、水層に第 2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有 (メタ)ァ タリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第 2の有機溶剤の例としては、酢酸ェチル、ジェチルエーテル、 ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第 2の有機溶剤は、前述の第 1の有機溶剤 と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(4)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が
用いられる。
[0236] 前記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレ ートを含む単離物は、その全質量中に 2官能アタリレートを 0. 1質量%以下の範囲で 含むことが好ましい。つまり、前記(1)〜(4)の工程を経ることで、混合物から不純物 である 2官能アタリレートが除去され、ヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートが精製さ れる。
2官能アタリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に 0. 05質量 %以下であり、少なければ少なレ、ほどよレ、。
このように精製されたヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートを用いることで、不純物 である 2官能アタリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量 力 S20000以上の二トリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
[0237] 前記(1)の工程において用いられるヒドロキシ基含有 (メタ)アタリレートとしては、前 述の本発明のポリマーの合成方法に用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマ 一を合成する際に用いられるヒドロキシル基含有 (メタ)アタリレートとして挙げられたも のを用いること力 Sできる。中でも、イソシァネートへの反応性の観点から、第 1級水酸 基を有するモノマーが好ましぐ更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率 を高める観点から、分子量が 100〜250のヒドロキシ基含有 (メタ)アタリレートが好ま しい。
[0238] また、本発明のポリマーの合成方法に用いられるイソシァネート基と重合性基とを有 する化合物としては、 2—アタリロイルォキシェチルイソシァネート(商品名:力レンズ A OI、昭和電工(株)製)、 2—メタクリルォキシイソシァネート(商品名:力レンズ MOI、 昭和電工 (株)製)等が挙げられる。
[0239] また、本発明のポリマーの合成方法に用いられる溶媒としては、 SP値 (沖津法によ り算出)が 20〜23MPa1/2であるものが好ましぐ具体的には、エチレングリコールジ アセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ァ セト酢酸メチル、ァセト酢酸ェチル、 1 , 2, 3—トリァセトキシ—プロパン、シクロへキサ ノン、 2—(1ーシクロへキセニノレ)シクロへキサノン、プロピオ二トリル、 N—メチルピロ リドン、ジメチルァセトアミド、ァセチルアセトン、ァセトフエノン、トリァセチン、 1 , 4ージ
ォキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく 、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジァ セテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒の SP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」 2 9 (3) (1993) )によって算出したものである。具体的には、 SP値は以下の式で計算さ れるものである。なお、 A Fは文献記載の値である。
[0240] 以上のようにして合成された本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、共重合成 分全体に対し、重合性基含有ユニット、二トリル基含有ユニットの割合が以下の範囲 であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し 5〜50mol%で含まれるこ と力 S好ましく、更に好ましくは 5〜40mol%である。 5mol%以下では反応性(硬化性 、重合性)が落ち、 50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。 また、二トリル基含有ユニットは、めっき触媒等に対する吸着性の観点から、共重合 成分全体に対し 5〜95mol%の範囲で含まれることが好ましぐ 10〜95mol%の範 囲で含まれることが更に好ましい。
[0241] なお、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、二トリル基含有ユニット、重合性 基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成す るために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、い 力、なるモノマーも使用することができる。
[0242] ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、 100%導 入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第 3のュ ニッ卜となる可倉 生あある。
上記の、二トリル基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外の他のユニットを形成 するために用いられるモノマーの具体例としては、ラジカル重合でポリマー主鎖を形 成する場合は、ェチル (メタ)アタリレート、ブチル (メタ)アタリレート、へキシル (メタ)ァ タリレート、 2—ェチルへキシル(メタ)アタリレート、シクロへキシル(メタ)アタリレート、
ベンジル (メタ)アタリレート、ステアリル (メタ)アタリレートなどの無置換 (メタ)アクリル 酸エステノレ類、 2, 2, 2 トリフノレ才ロェチノレ(メタ)アタリレート、 3, 3, 3 トリフノレ才ロ プロピル(メタ)アタリレート、 2—クロ口ェチル(メタ)アタリレートなどのハロゲン置換(メ タ)アクリル酸エステル類、 2— (メタ)アクリルロイロキシェチルトリメチルアンモニゥム クロライドなどのアンモニゥム基置換 (メタ)アクリル酸エステル類、ブチル (メタ)アタリ タ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビュル安息香酸、 p—ビュル ベンジルアンモニゥムクロライドなどのスチレン類、 N ビュルカルバゾール、酢酸ビ ニル、 N ビュルァセトアミド、 N ビュル力プロラタタムなどのビュル化合物類や、そ の他にジメチルアミノエチル (メタ)アタリレート、ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレー ト、 2—ェチルチオ—ェチル (メタ)アタリレート、 (メタ)アクリル酸、 2—ヒドロキシェチ ル (メタ)アタリレートなどが挙げられる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
[0243] カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、ェチルビュルエーテル、ブチルビ ニノレエーテノレ、イソブチノレビニノレエーテノレ、シクロへキシノレビニノレエーテノレ、ェチレ ングリコーノレビニノレエーテノレ、ジ(エチレングリコーノレ)ビニノレエーテノレ、 1 , 4 ブタン ジォーノレビニノレエーテノレ、 2—クロロェチノレビニノレエーテノレ、 2—ェチノレへキシノレビ ニノレエーテノレ、酢酸ビニノレ、 2—ビニノレオキシテトラヒドロピラン、ビニノレべンゾエート 、ビュルブチレートなどのビュルエーテル類、スチレン、 p クロロスチレン、 p メトキ シスチレンなどのスチレン類、ァリルアルコール、 4ーヒドロキシー 1ーブテンなどの末 端エチレン類を使用することができる。
[0244] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、 1000以上 70万以 下が好ましぐ 2000以上 20万以下であることが更に好ましい。特に、重合感度の観 点から、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、 20000以上 であることが好ましい。
また、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーの重合度としては、 10量体以上のも のを使用することが好ましぐ 20量体以上のものであることが更に好ましい。また、 70 00量体以下が好ましぐ 3000量体以下がより好ましぐ 2000量体以下が更に好まし
く、 1000量体以下が特に好ましい。
[0245] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定さ れるものではない。
なお、これ 3000〜 100000の範囲で ある。
[0246] [化 28] マ
[0247] [化 29]
~2) 態様で得られたポリマ-
CN: t-2-10 1-2-Π
- 1 ) 態様で得られたポリマ一
— 一
]
— 2)態様で得られたポリマー
:;ノ へ 、 CN
Me
- 、 ' 、、 ノ 20 、 SO
CN び 、0 O f σ r j
2-2-17
-2) 態様で得られたポリマ- N
4]
2 - 2 態様で得 マ一
[0253] ここで、例えば、前記具体例の化合物 2— 2— 11は、アクリル酸と 2—シァノエチル アタリレートを、例えば、 N—メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば 、ァゾイソブチロニトリル (AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメ タクリレートをべンジノレトリェチルアンモニゥムクロライドのような触媒を用い、ターシャ リーブチルノヽイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで 合成すること力でさる。
また、例えば、前記具体例の化合物 2— 2— 19は、以下のモノマーと、 p—シァノベ ンジルアタリレートを、 N、 N—ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、ァゾィ ソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリェチル ァミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
[0254] [化 35]
[0255] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、例えば、 pH12のアルカリ性溶液に添 加し、 1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が 50%以下である場合は、該ポリ マーに対して高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
[0256] 本発明の新規ポリマーの使用態様
本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、二トリル基を有するユニットと、重合性 基を有するユニットとの共重合体であるため、ユニットの比を変化させることで、めっき 触媒等の金属に対する吸着性と、重合性 (反応性)と、を制御すること力 Sできる。 このような本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、光硬化性樹脂組成物の他、 成型材料、コーティング材料、表面改質材料、基板用材料として電子分野、機械分 野、食品分野、建築分野、自動車分野において用いることができる。
[0257] 種々の用途の中でも、疎水性であるにも関わらず、めっき触媒に対する吸着性と重 合性に優れる点から、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、めっき膜を形成す るための表面処理材料として用いられることが好ましい。
例えば、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーを、表面グラフト重合法などを用い 、所望の基材上に直接化学結合させることで、基材との密着性が高ぐめっき触媒に 対する吸着性に優れ、更に、吸水性の少ないポリマー層を形成することができる。こ のポリマー層上にめっき触媒を付与し、その後、めっき処理を施すことで形成された めっき膜は、ポリマー層との密着性が優れるといった効果と共に、ポリマー層が水分 やイオン等を保持し難いため、温'湿度依存性や、形状の変化が見られないといった 効果も有する。
特に、このめつき膜が形成された基材を、電気配線等の製造に用いる際には、配線 間の絶縁信頼性に優れるといった効果も奏する。
なお、めっき膜が形成された基材には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又は PET樹 脂を含有する樹脂基材を用いることが好ましレ、。
[0258] なお、本発明の二トリル基含有重合性ポリマーは、他の成分 (例えば、溶剤)と混合 して組成物として使用すること力 Sできる。その場合、本発明の二トリル基含有重合性ポ リマーの含有量は、該組成物の全重量に対して 2質量%〜50質量%の範囲にあるこ
と力 S好ましく、 5質量%〜30質量%の範囲にあることがより好ましい。
[0259] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーを含有する組成物に使用する溶剤は、該 ポリマーが溶解可能ならば特に制限はない。また、溶剤には、更に、界面活性剤を添 加してもよい。
使用できる溶剤の具体例は、前記重合性基及び相互作用性基を有する化合物(例 えば、シァノ基含有重合性ポリマー)の組成物において使用可能な溶剤の具体例と 同様であり、その好適な具体例もまた同様である。また、本発明の二トリル基含有重 合性ポリマーを含有する組成物を塗布用途に適用する場合の各種条件 (例えば、組 成物の温度、各成分の濃度、添加物などの条件)も、前記シァノ基含有重合性ポリマ 一を含有する組成物を塗布する場合の各種条件と同様である。
[0260] 本発明の二トリル基含有重合性ポリマーを含有する組成物を用いて積層体を形成 する際に用いられる基材としては、寸度的に安定な板状物が好ましぐ必要な可撓性 、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用でき、使用目的に応じて適宜選択 される。
具体的には、例えば、ポリイミド樹脂、ビスマレインイミド樹脂、ポリフエ二レンォキサ イド樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフルォロエチレン樹脂などを成型し たものや、シリコーン基板、紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板(例えば、ァ ノレミニゥム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくは プラスチックフイノレム等を挙げることカできる。
なお、前述のように、基材上に二トリル基含有重合性ポリマーを用いてめっき膜を形 成し、このめつき膜をプリント配線板の作製に適用する場合には、基材として絶縁性 樹脂からなるものを用いることが好ましレ、。
実施例
[0261] 以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも のではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
[0262] 実施例 1 1
基板の作製
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ
系絶縁膜 GX— 13 (商品名、膜厚: 45 111)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターに より 0. 2MPaの圧力で 100°C〜110°Cの条件により接着して、基材を得た。
ついで、基材の上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ 3ミ クロンになるようにスピンコート法で塗布し、 30°Cにて 1時間放置して溶剤を除去した 後、 140°Cで 30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
[0263] 重合開始剤を含有する絶縁性組成物
ビスフエノール A型エポキシ樹脂(エポキシ当量: 185、油化シェルエポキシ (株)製 、商品名:ェピコート 828) 20質量部、クレゾールノポラック型エポキシ樹脂(エポキシ 当量 215、大日本インキ化学工業 (株)製、商品名:ェピクロン N— 673) 45質量部、 フエノールノポラック樹脂(フエノール性水酸基当量 105、大日本インキ化学工業 (株 )製、商品名:フエノライト) 30質量部を、ェチルジグリコールアセテート 20部、及びソ ルベントナフサ 20部に、攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前 記ェピコート 828とビスフエノール Sとからなるフエノキシ樹脂のシクロへキサノンヮニ ス(油化シェルエポキシ (株)製、商品名: YL6747H30、不揮発分 30質量%、重量 平均分子量 47000) 30質量部、 2—フエ二ルー 4, 5—ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾ 一ノレ 0. 8質量部、微粉砕シリカ 2質量部、シリコン系消泡剤 0. 5質量部を添加し、更 にこの混合物中に、下記の方法で合成した重合開始ポリマー Pを 10部添加し、重合 開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
[0264] 重合開始ポリマー Pの合成
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG) 30gを 加え 75度に加熱した。そこに、 [2— (Acryloyloxy) ethyl] (4 -benzoylbenzyl) di methyl ammonium bromide8. igと、 2— HydroxyethylmetJ aacrylate9. 9 gと、 isopropylmethaacrylatel 3. 5gと、ジメチノレー 2, 2, 一ァゾビス(2—メチルプ 口ピオネート) 0· 43gと、 MFG30gと、の溶液を 2· 5時間かけて滴下した。その後、 反応温度を 80度に上げ、更に 2時間反応させ、重合開始基を有するポリマー Pを得 た。
[0265] 上記のような重合開始層が形成された後、 180°Cで 30分間硬化処理を実施した。
これにより、基板 A1を得た。この基板 A1の表面凹凸(Rz)は 0. 2〃mであった。
[0266] ポリマー層の形成
重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Aの合成
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Aを合成し た。
1000mlの三口フラスコに、 N, N—ジメチルァセトアミド 35gを入れ、窒素気流下、 75°Cまで加熱した。そこへ、 2—ヒドロキシェチルアタリレート(市販品、東京化成製) 6. 60g、 2—シァノエチルアタリレート 28· 4g、ァゾビスイソ酪酸メチル(商品名: V— 601、和光純薬製) 0· 65gの N, N—ジメチノレアセトアミド 35g溶 ί夜を、 2. 5日寺間力、け て滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温まで 、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 29g、ジブチルチンジラ ゥレート 0. 29g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 18. 56g、 N, N—ジメチ ルァセトアミド 19gを加え、 55°C、 4時間反応を行った。その後、反応液にメタノール を 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、酢酸ェチル:へキサン = 1 : 1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー A (重量平均分子量 1. 5万)を 32g得た。
[0267] 塗布溶液の調製
重合性基及び相互作用性基を有するポリマー A: 10. 5質量部、アセトン 73. 3質 量部、メタノール 33. 9質量部、及び N, Nジメチルァセトアミド 4. 8質量部を混合攪 拌し、塗布溶液を調製した。
[0268] グラフトポリマーの生成
調製された塗布溶液を、前記基板 A1の重合開始層上に、厚さ 1 μ mになるように、 スピンコート法により塗布し、 80°Cにて 30分乾燥した後、三永電機製の UV露光機( 商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM— 501MD)を用い、 1. 5mW/cm2の照射パ ヮー(ゥシォ電機製の紫外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受光センサー(商 品名: UVD— S254)により測定)にて、 660秒間照射させて、基板 A1の重合開始層 の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は 990mJであった。
[0269] その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を 5分間浸
漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板 A2を得た。
[0270] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 2質量%
•25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 4質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 7. 5質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 70. 3度
[0271] めっき触媒の付与
ポリマー層を有する基板 A2を、硝酸パラジウムの 1 %アセトン溶液に、 30分間浸漬 した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、 1 %ジメチルポラン一水/メタノール (水/メタノール = 1/3)混合溶液を 触媒活性化液 (還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板 A2を 15 分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[0272] 無電解めつき
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板 A2に対し、下 記組成の無電解めつき浴を用い、 60°Cで 5分間、無電解めつきを行った。得られた 無電解銅めつき膜の厚みは 0· 3 mであった。
[0273] 無電解めつき浴の組成
•蒸留水 859g
•メタノーノレ 850g
'硫酸銅 18. lg
'エチレンジァミン四酢酸.2ナトリウム塩 54. Og
•ポリオキシエチレングリコール(分子量 1000) 0. 18g
•2, 2,ビビリジノレ 1 · 8mg
•10%エチレンジァミン水溶液 7. lg
以上の組成のめっき浴の pHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で 12. 5 (60°C)に調整 した。
[0274] 電気めつき
続いて、無電解銅めつき膜を給電層として、下記組成の電気銅めつき浴を用い、 3
A/dm2の条件で、電気めつきを 20分間行った。得られた電気銅めつき膜の厚みは
18 / mであつに。
[0275] 電気めつき浴の組成
'硫酸銅 38g
'硫酸 95g
•塩酸 lmL
•カッパーグリーム PCM (商品名、メルテックス(株)製) 3mL
•水 500g
[0276] 密着性評価
得られためっき膜に対して、引張試験機((株)エー'アンド '·デー製、商品名: RTM 100)を用いて、 5mm幅について、引張強度 10mm/minにて、 90° ピール強度 の測定を行ったところ、 0. 7kN/mmであった。
[0277] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
得られためっき膜表面に、金属パターン (配線パターン)として残すべき領域にエツ チングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、 FeCl /HC1からなるエツ
3
チング液により除去した。その後、エッチングレジストを 3%NaOH液からなるアルカリ 剥離液にて除去し、ライン'アンド 'スペース = 100 μ m/100 μ mの線間絶縁信頼 性を測定するための櫛形配線 (金属パターン材料)を形成した。
この櫛形配線を、 HAST試験機(商品名: AMI— 150S— 25、 ESPEC製)にて、 1 25°C— 85%相対湿度(未飽和)、印加電圧 10V、 2気圧下で 200時間放置させた所 、配線間の絶縁不良は見られな力 た。
[0278] 実施例 1 2
実施例 1 1で作製した、重合開始層が形成された基板 A1を用い、以下のようにし
て表面金属膜材料を作製した。
[0279] ポリマー層の形成
重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Bの合成
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Bを合成し た。
1000mlの三口フラスコに、 N, N—ジメチルァセトアミド 42gを入れ、窒素気流下、 75°Cまで加熱した。そこへ、 2—ヒドロキシェチルアタリレート(市販品、東京化成製) 5. 6g、アタリノレ酸 2—(2—ェ卜キシェ卜キシ)ェチノレ 36. lg、 V— 601 (前述) 0. 55g の N—ジメチルァセトアミド 42g溶液を、 2. 5時間かけて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。 上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 24g、ジブチルチンジラ ゥレート 0. 30g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 15. 5g、 N, N—ジメチル ァセトアミド 16gを加え、 55°C、 4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを 3 . lg加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、蒸留水で再沈を行い、固形物 を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー B (重量平均分子量 1. 7 万)を 30g得た。
[0280] 塗布溶液の調整
重合性基及び相互作用性基を有するポリマー B : 7. 9質量部、イソプロパノール 73 . 3質量部、メタノール 33. 9質量部、及び N, Nジメチルァセトアミド 4. 8質量部を混 合攪拌し、塗布溶液を調製した。
[0281] グラフトポリマーの生成
調製された塗布溶液を、スピンコートにて前記基板 A1の重合開始層上に、厚さ 1 μ mになるように、スピンコート法により塗布し、 80°Cにて 30分乾燥した後、三永電機製 の UV露光機(商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM— 501MD)を用い、 1. 5mW /cm2の照射パワー(ゥシォ電機製の紫外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受 光センサー(商品名: UVD— S254)により測定))にて、 660秒間照射させて、基板 A1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は 990 mjであった。
[0282] その後、攪拌した状態のメタノール中にグラフトポリマーが生成された基板を 5分間 浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板 A3を得た。
[0283] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
• 25°C - 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 0. 8質量%
• 25°C— 95 %相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 0質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 5. 5質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 83. 9度
[0284] 続いて、このポリマー層を有する基板 A3に対して、実施例 1 1と同様の方法で、 めっき触媒の付与、無電解めつき、及び電気めつきを行った。
[0285] 密着性評価
得られためっき膜に対して、引張試験機((株)エー'アンド '·デー製、商品名: RTM 100)を用いて、 5mm幅について、引張強度 10mm/minにて、 90° ピール強度 の測定を行ったところ、 0. 67kN/mmであった。
[0286] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
得られためっき膜表面に、金属パターン (配線パターン)として残すべき領域にエツ チングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、 FeCl /HC1からなるエツ
3
チング液により除去した。その後、エッチングレジストを 3%NaOH液からなるアルカリ 剥離液にて除去し、ライン'アンド 'スペース = 100 μ m/100 μ mの線間絶縁信頼 性を測定するための櫛形配線 (金属パターン材料)を形成した。
この櫛形配線を、 ESPEC製 HAST試験機(商品名: AMI— 150S— 25)にて、 12 5°C— 85%相対湿度(未飽和)、印加電圧 10V、 2気圧下で 200時間放置させた所、 配線間の絶縁不良は見られな力、つた。
[0287] 実施例 1 3
基板の作製
ポリイミドフィルム(商品名:カプトン 500H、東レデュポン社製)からなる基材上に、 下記の重合開始層塗布液を、ロッドバー 18番を用いて塗布し、 110°Cで 10分乾燥- 架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は 9. 3 111であった。このようにして得 られた基板を基板 B1とした。得られた基板 B1の表面凹凸(Rz)は 0. 3 mであった
〇
[0288] 重合開始層塗布液
•前記重合開始ポリマー P 0. 4g
•TDI (トリレン 2, 4 ジイソシァネート) 0. 16g
-メチルェチルケトン(MEK) 1. 6g
[0289] ポリマー層の形成
塗布溶液の調製
前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマー A: 10. 5質量部、メチルェチル ケトン(ΜΕΚ) 73· 3質量部、メタノーノレ 33. 9質量部、及び Ν, Νジメチルァセトアミド 4. 8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
[0290] グラフトポリマーの生成
調製された塗布溶液を、前記基板 B1の重合開始層上に、実施例 1 1と同様の方 法でスピンコートした後、乾燥し、 UV露光機(商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM 501MD、三永電機製)を用い、 1. 5mW/cm2の照射パワー(ゥシォ電機製の紫 外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受光センサー(商品名: UVD— S254)に より測定))にて、 800秒間照射させて、基板 B1の重合開始層の全面にグラフトポリマ 一を生成させた。ここで、積算露光量は 1200mJであった。
[0291] その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を 5分間浸 漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板 B2を得た。
[0292] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 4質量%
• 25°C— 95 %相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 9質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 7. 8質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 72. 6度
[0293] 続いて、このポリマー層を有する基板 B2に対して、実施例 1 1と同様の方法で、 めっき触媒の付与、無電解めつき、及び電気めつきを行った。
[0294] 密着性評価
得られためっき膜に対して、実施例 1— 1と同様の手法で密着性を評価したところ、
90° ピール強度は 0· 68kN/mmであった。
[0295] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、めっき膜を有する基板について、実施例 1 1と同様の 手法で、櫛型配線 (金属パターン材料)を形成して絶縁信頼性試験を行ったところ、 配線間の絶縁不良は見られな力、つた。
[0296] 実施例 1 4
基板の作製
25 mの厚みを有するカプトン EN (商品名、東レ ·デュポン (株)製)を基材とした。 この基材の 25°C— 50%相対湿度下での飽和吸水率は、 1. 0質量%であった。 この基材 (樹脂フィルム)の両面に、下記組成の重合開始能を有する絶縁樹脂組成 物をディップ法を用いて塗布し、 100°Cにて 5分間乾燥後、 250°Cで 30分間加熱し て重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。なお、重合開始層の 25°C— 50 %相対湿度下での飽和吸水率は、 1. 2質量%であった。
得られた基板を基板 C1とした。この基板 C1の表面凹凸を(Ra)を ISO 4288 (1996) の Raに基づき、サーフコム 3000A (商品名、東京精密(株)製)を用いて測定した所 、 0. 1 μ mであつに。
[0297] 重合開始能を含有する絶縁性組成物
ポリイミド前駆体 (ポリアミック酸)の合成
窒素下にて、 N メチルピロリドン(30ml)中に 4, 4 'ージァミノフエニルエーテル(5 . 75g : 28. 7mmol)を溶解させ、室温にて約 30分間攪拌した。この溶液に 3, 3 '、4
, 4"一べンゾフエノンテトラカルボン酸二無水物(9. 25g : 28. 7mmol)を 0°Cにて加 え 5時間攪拌した。反応液を再沈し、重合開始能を含有するポリイミド前駆体 (ポリア ミック酸)を得た。 GPC (Gel Permeation Chromatography)による分子量(Mw)は 2· 8 万であった。また、更に1 H— NMR、 FT— IRによりその構造を確認した。
得られたポリイミド前駆体を N, N—ジメチルァセトアミド(DMAc、和光純薬 (株)社 製)に溶かし、 10質量%の溶液とした。
[0298] ポリマー層の形成
塗布溶液の調製
前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマー A: 10. 5質量部、メチルェチル ケトン(ΜΕΚ) 73· 3質量部、メタノーノレ 33. 9質量部、及び Ν, Ν—ジメチルァセトァ ミド 4. 8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
[0299] グラフトポリマーの生成
調製された塗布溶液を、ディップ法を用いて前記基板 C1の両面の重合開始層上 に、厚さ 1 mになるように塗布し、 80°Cにて 30分乾燥した後、三永電機製の UV露 光機(商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM— 501MD)を用い、 1. 5mW/cm2の 照射パワー(ゥシォ電機製の紫外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受光センサ 一(商品名: UVD— S254)により測定))にて、 660秒間照射させて、基板 C1の重合 開始層にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は 990mJであった。
[0300] その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を 5分間浸 漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、厚み 0. 8 mのポリマー層を両面に有する基板 C2を得た。
[0301] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 2質量%
•25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 4質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 7. 5質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表
面接触角: 70. 3度
[0302] めっき触媒の付与
ポリマー層を有する基板 C2を、硝酸パラジウムの 1 %アセトン溶液に、 30分間浸漬 した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、 1 %ジメチルポラン一水/メタノール (水/メタノール = 1/3)混合溶液に 、ポリマー層を有する基板 B2を 15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[0303] 無電解めつき
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板 C2に対し、上 記実施例 1 1と同じ無電解めつき浴を用い、 60°Cで 5分間、無電解めつきを行った 。得られた両面の無電解銅めつき膜の厚みはいずれも 0· 3 mであった。
[0304] 電気めつき
続いて、無電解銅めつき膜を給電層として、上記実施例 1 1と同じ組成の電気銅 めっき浴を用い、 3A/dm2の条件で、電気めつきを 20分間行った。得られた両面の 電気銅めつき膜の厚みはいずれも 18 mであった。
[0305] 密着性評価
得られためっき膜に対して、実施例 1 1と同様に、 5mm幅について、引張強度 10 mm/minにて、 90° ピール強度の測定を行ったところ、 0. 68kN/mであった。
[0306] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、めっき膜を有する基板について、実施例 1 1と同様の 方法を用いて櫛型配線 (金属パターン)を形成した。
その後、この櫛型配線を用いて、実施例 1 1と同様の方法で、絶縁信頼性試験を 行ったところ、配線間の絶縁不良は見られなかった。
[0307] 実施例 1 5
実施例 1 1にお!/、て、ポリマー層を形成する際に用いた重合性基及び相互作用 性基を有するポリマー Aを、以下の方法で合成された重合性基及び相互作用性基を 有するポリマー Cに代え、更に、露光条件を、 10mW/cm2の照射パワーで 100秒 間照射することに変更した以外は、実施例 1—1と同様にして、ポリマー層を形成した 。ここで、積算露光量は lOOOmJであった。
これにより、ポリマー層を有する基板 A4を得た。
なお、ポリマー層を形成する際に、積算露光量を 500mJにした場合であっても、同 様のポリマー層が形成することが分力、つた。
[0308] 重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Cの合成
ヒドロキシェチルアタリレートの市販品(東京化成(株)製) 200mLを水 600mLに溶 解した。得られた水溶液に酢酸ェチル 400mLを加え、油層を分離した。次に、塩化 ナトリウム(和光純薬 (株)製) 100gを水層に溶解させ、その後、酢酸ェチル 200mL を用いて 2回抽出を行った。その後、抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 p—メ トキシハイドロキノンを 0. 04g添カロし、酢酸ェチルを適度に減圧留去させた。減圧留 去後に、 NMRで確認すると酢酸ェチルが 6. 5質量%残存していた。
また、液体クロマトグラフィー(HPLC)にてヒドロキシェチルアタリレートの市販品中 の 2官能アタリレートの含有量を測定すると 0. 28質量%であったが、上記のように精 製したものを測定すると、 2官能アタリレートの含有量は検出限界以下であった。
[0309] 500mLの 3つ口フラスコに N—メチルピロリドンを 20mL、上述の方法で精製された ヒドロキシェチノレアタリレート 2. 32g、シァノエチノレアタリレート 10. Olgを人れ、 75°C に昇温し、その中に、 V— 601 (前述):0. 23g、及び N—メチルピロリドン 5mLの混 合液を 1時間かけて滴下した。滴下終了後 1時間後に、 80°Cに昇温し 1時間反応さ せた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 29g、ジブチルチンジラ ゥレート 0. 29g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 18. 56g、及び N—メチル ピロリドン(SP値: 22. 94MPa1/2) 19gを加え、 55°C、 6時間反応を行った。その後、 反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、水で再 沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Cを 25g 得た。
[0310] 構造の同定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Cを重 DMSO (ジメチルス ルホキシド)に溶解させ、 300MHzの NMR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて 測定を行った。シァノ基含有ユニットに相当するピークが 4. 3-4. 05ppm(2H分)、
2. 9-2. 8ppm(2H分)、 2· 5— 1· 3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性 基含有ユニットに相当するピークが 7· 2-7. 3ppm(lH分)、 6· 4— 6· 3ppm(lH 分)、 6. 2-6. lppm(lH分)、 6. 0— 5. 9ppm(lH分)、 4. 3— 4. 05ppm(6H分 )、 3. 3-3. 2ppm(2H分)、 2. 5-1. 3ppm(3H分) ίこフ、、ロード こ観察され、重合 性基含有ユニット:シァノ基含有ユニット = 20: 80 (mol比)であることが分力、つた。
[0311] 分子量の測定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Cをテトラヒドロフラン (THF )に溶解させ、高速 GPC (商品名、 HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の 測定を行った。その結果、 23. 75分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 220 00(Mw/Mn = 2. 1)であることが分かった。
[0312] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 3質量%
• 25°C— 95 %相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 5質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 8. 3質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5^Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 71. 6度
[0313] 続いて、このポリマー層を有する基板 A4に対して、実施例 1 1と同様の方法で、 めっき触媒の付与、無電解めつき、及び電気めつきを行った。更に、 170°Cで 30分 の後加熱を行った。
[0314] 密着性評価
得られためっき膜に対して、実施例 1— 1と同様の手法で密着性を評価したところ、
90° ピーノレ強度は 0· 75kN/mmであった。
[0315] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、めっき膜を有する基板について、実施例 1 1と同様の 手法で、櫛型配線 (金属パターン材料)を形成して絶縁信頼性試験を行ったところ、 配線間の絶縁不良は見られな力、つた。
[0316] 実施例 1 6
実施例 1 1にお!/、て、ポリマー層を形成する際に用いた重合性基及び相互作用 性基を有するポリマー Aを、以下の方法で合成された重合性基及び相互作用性基を 有するポリマー Dに代え、更に、露光条件を、 10mW/cm2の照射パワーで 100秒 間照射することに変更した以外は、実施例 1—1と同様にして、ポリマー層を形成した 。ここで、積算露光量は lOOOmJであった。
これにより、ポリマー層を有する基板 A5を得た。
なお、ポリマー層を形成する際に、積算露光量を 500mJにした場合であっても、同 様のポリマー層が形成することが分力、つた。
[0317] 重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Dの合成
500mLの 3つ口フラスコにエチレングリコールジアセテートを l lmL入れ、 75°Cに 昇温し、その中に、実施例 1—5に記載の方法で精製されたヒドロキシェチルアタリレ 一卜 1. 39g、シァノエチルアタリレー卜 6. OOg、 V— 601 (前述): 0. 1382g、及びェ チレングリコールジアセテート l lmLの混合液を 2. 5時間かけて滴下した。滴下終了 後、 80°Cに昇温し 3時間反応させた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 06g、無機ビスマス系ゥ レタン化架橋触媒(商品名:ネオスタン U— 600、 日東化成製) 0. 13g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 3· 84g、及びエチレングリコールジアセテート(SP値:2 0. 79MPa1/2) 3. 8gをカロえ、 55。C、 6時間反応を行った。
その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了 後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリ マー Dを 3g得た。
[0318] 構造の同定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Dを重 DMSO (ジメチルス ルホキシド)に溶解させ、 300MHzの NMR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて 測定を行った。二トリル基含有ユニットに相当するピークが 4· 3-4. 05ppm(2H分) 、 2. 9- 2. 8ppm(2H分)、 2. 5- 1. 3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性 基含有ユニットに相当するピークが 7· 2- 7. 3ppm (lH分)、 6· 4— 6· 3ppm (lH
分)、 6. 2 - 6. lppm ( lH分)、 6. 0— 5. 9ppm ( lH分)、 4. 3— 4. 05ppm (6H分 )、 3. 3 - 3. 2ppm (2H分)、 2. 5 - 1. 3ppm (3H分) ίこフ、、ロード こ観察され、重合 性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 21: 79 (mol比)である事が分力、つた。
[0319] 分子量の測定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Dを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。そ の結果、 23· 75分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 84000 (Mw/Mn = 2. 9)であることが分かった。
[0320] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 2質量%
• 25°C— 95 %相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 6質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 7. 7質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 70. 8度
[0321] 続いて、このポリマー層を有する基板 A5に対して、実施例 1 1と同様の方法で、 めっき触媒の付与、無電解めつき、及び電気めつきを行った。更に、 170°Cで 30分 の後加熱を行った。
[0322] 密着性評価
得られためっき膜に対して、実施例 1— 1と同様の手法で密着性を評価したところ、 90° ピーノレ強度は 0· 76kN/mmであった。
[0323] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、めっき膜を有する基板について、実施例 1 1と同様の 手法で、櫛型配線 (金属パターン材料)を形成して絶縁信頼性試験を行ったところ、 配線間の絶縁不良は見られな力、つた。
[0324] 実施例 1 7
実施例 1 1にお!/、て、ポリマー層を形成する際に用いた重合性基及び相互作用
性基を有するポリマー Aを、以下の方法で合成された重合性基及び相互作用性基を 有するポリマー Eに代え、更に、露光条件を、 10mW/cm2の照射パワーで 100秒 間照射することに変更した以外は、実施例 1—1と同様にして、ポリマー層を形成した 。ここで、積算露光量は lOOOmJであった。
これにより、ポリマー層を有する基板 A6を得た。
なお、ポリマー層を形成する際に、積算露光量を 500mJにした場合であっても、同 様のポリマー層が形成することが分力、つた。
[0325] 重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Eの合成
500mLの 3つ口フラスコにエチレングリコールジアセテートを 10mL入れ、 80°Cに 昇温し、その中に、実施例 1—5に記載の方法で精製されたヒドロキシェチルアタリレ ート 3. 72g、シァノエチルアタリレート 16. 01g、 V— 601 (前述): 0. 3684g、及びェ チレングリコールジアセテート 10mLの混合液を 4時間かけて滴下した。滴下終了後 、更に 3時間反応させた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 16g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 32g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 9· 6g、及びエチレング リコールジアセテート(SP値:20· 79MPa1/2) 9. 6gを加え、 55°C、 6時間反応を行 つた。その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応 終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有する ポリマー Eを 18g得た。
[0326] 構造の同定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Eを実施例 1 2と同様にし て NMR測定を行ったところ、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 23 : 7 7 (mol比)であることが分かった。
[0327] 分子量の測定
合成した重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Eを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。そ の結果、 23· 75分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 66000 (Mw/Mn = 2. 8)であることが分かった。
[0328] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りで ある。
•25°C— 50%相対湿度環境下における飽和吸水率: 1. 2質量%
•25°C— 95%相対湿度環境下における飽和吸水率: 3. 4質量%
• 100°C煮沸水に 1時間浸漬した後の吸水率: 8. 1質量%
•25°C— 50%相対湿度環境下において、蒸留水 5 ^ Lを滴下し、 15秒静置後の表 面接触角: 70. 0度
[0329] 続いて、このポリマー層を有する基板 A6に対して、実施例 1 1と同様の方法で、 めっき触媒の付与、無電解めつき、及び電気めつきを行った。更に、 170°Cで 30分 の後加熱を行った。
[0330] 密着性評価
得られためっき膜に対して、実施例 1— 1と同様の手法で密着性を評価したところ、 90° ピーノレ強度は 0· 76kN/mmであった。
[0331] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、めっき膜を有する基板について、実施例 1 1と同様の 手法で、櫛型配線 (金属パターン材料)を形成して絶縁信頼性試験を行ったところ、 配線間の絶縁不良は見られな力、つた。
[0332] 実施例 1 8
実施例 1 1で作製した、重合開始層が形成された基板 A1を用い、以下のようにし て金属パターン材料を作製した。
[0333] ポリマー層の形成
実施例 1—1と同様に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー Aを用いた塗 布溶液を調製した。
[0334] グラフトポリマーのパターン形成
調製された塗布溶液を、スピンコートにて前記基板 A1の重合開始層上に、厚さ 1 μ mになるように、スピンコート法により塗布し、 80°Cにて 5分乾燥した後、三永電機製 の UV露光機(商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM— 501MD)を用い、 10mW/
cm2の照射パワー(ゥシォ電機製の紫外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受光 センサー(商品名: UVD— S254)により測定))にて、 100秒間照射した。その際に、 塗布溶液を塗布乾燥した基板 A1上に、幅 5mm、長さ 50mmのパターンが 0. lmm 間隔で並んだマスク A、又は、ライン'アンド 'スペース = 100 ^ 111/ 100 ^ mくし型配 線のマスク Bを置いて露光することで、基板 A1の重合開始層上に対してパターン状 にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は lOOOmJであった。
[0335] その後、攪拌した状態のァセトニトリル中にグラフトポリマーが生成された基板を 5分 間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、幅 5mm、長さ 50mmのパターン形状で、厚み 0· 5 mのポリマー層を 有する基板 A7 (マスク Aを用いたもの)、 A8 (マスク Bを用いたもの)を得た。
[0336] ポリマー層の物性測定
得られたポリマー層の各物性は実施例 1 1と同様であった。
[0337] めっき触媒の付与
ポリマー層を有する基板 A7を、硝酸パラジウムの 0. 1重量%アセトン溶液に、 30 分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
[0338] 無電解めつき
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板 A7に対し、下 記組成の無電解めつき浴を用い、 60°Cで 15分間、無電解めつきを行った。得られた 無電解銅めつき膜の厚みは 0· 50 mであった。
[0339] 無電解めつき浴の組成
,蒸留水 1700g
'硫酸銅 18. lg
'エチレンジァミン四酢酸.2ナトリウム塩 54. Og
•ポリオキシエチレングリコール(分子量 1000) 0. 18g
.2, 2 'ビビリジノレ ―. 8mg
• 10%エチレンジァミン水溶液 7. lg
以上の組成のめっき浴の pHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で 12. 5 (60°C)に調整
した。
[0340] 電気めつき
続いて、無電解銅めつき膜を給電層として、実施例 1—1と同様の方法で、基板 A7 には厚み 18 m、基板 A8には厚み 10 μ mの電気銅めつき膜となるように電気めつ きを行った。
電気めつき終了後、 100°Cで 30分、 170°Cで 1時間ベータを行った。
[0341] 密着性評価
上記のようにして得られた、基板 A7の金属パターンめっき膜に対して、引張試験機 ( (株)ェ一.アンド 'デー製、 RTM—100)を用いて、引張強度 10mm/minにて、 9 0° ピール強度の測定を行ったところ、 0. 65kN/mmであった。
[0342] 絶縁信頼性試験
上記のようにして得られた、基板 A8の金属パターンについて、実施例 1 1の方法 に準じた手法で、絶縁信頼性試験を行ったところ、配線間(金属パターン間)の絶縁 不良は見られなかった。
[0343] 実施例 2— 1
合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Aの合成
1000mlの三口フラスコに、 N メチルピロリドン 35gを入れ、窒素気流下、 75°Cま で加熱した。そこへ、 2 ヒドロキシェチルアタリレート(市販品、東京化成製) 6. 60g 、 2 シァノエチノレアタリレート 28· 4g、及び V— 601 (前述) 0· 65gの N メチノレピロ リドン 35g溶液を、 2. 5時間かけて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3 時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 29g、ジブチルチンジラ ゥレート 0. 29g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 18. 56g、及び N メチル ピロリドン 19gを加え、 55°C、 6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り 出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Aを 25g得た。
[0344] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Aを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N
MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 3-4. 05ppm (2H分)、 2. 9— 2. 8ppm (2H分)、 2. 5— 1. 3 ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 2 - 7. 3ppm (lH分)、 6. 4— 6. 3ppm (lH分)、 6. 2— 6. lppm (lH分)、 6. 0— 5 . 9ppm (lH分)、 4. 3— 4. 05ppm (6H分)、 3. 3— 3. 2ppm (2H分)、 2. 5— 1. 3 ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 23 : 77 (mol比)であることが分かった。
[0345] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Aを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 23. 7 5分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 5300 (Mw/Mn= l . 54)であるこ とが分力、つた。
[0346] 二トリル基含有重合性ポリマー Aの使用態様
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層としてエポキシ系絶縁膜(商品名: GX— 1 3、味の素ファインテクノ社製、膜厚: 45 m)を、加熱、加圧して、真空ラミネーター により 0. 2MPaの圧力で 100°C〜110°Cの条件により接着して、基材 Aを得た。 ついで、基材 Aの上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ 3 ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、 30°Cにて 1時間放置して溶剤を除去し た後、 140°Cで 30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
[0347] 重合開始剤を含有する絶縁性組成物
液状ビスフエノール A型エポキシ樹脂(エポキシ当量 176、ジャパンエポキシレジン( 株)製、商品名:ェピコート 825) 5g、トリァジン構造含有フエノールノポラック樹脂の MEKワニス(大日本インキ化学工業 (株)製、商品名:フエノライト LA— 7052、不揮 発分: 62%、不揮発分のフエノール性水酸基当量: 120) 2g、フエノキシ樹脂 MEKヮ ニス (東都化成 (株)製、商品名: YP— 50EK35、不揮発分:35%) 10. 7g、重合開 始剤として 2—ヒドロキシー4,一(2—ヒドロキシエトキシ)ー2—メチルプロピオフエノン 2. 3g、 MEK5. 3g、 2—ュチノレー 4ーメチノレイミダゾ、一ノレ 0. 053gを混合し、 WL て完全に溶解させて重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
[0348] 上記のような重合開始層が形成された後、 180°Cで 30分間硬化処理を実施した。 これにより、基板 A1を得た。この基板 A1の表面凹凸(Rz)は 0. 2〃mであった。
[0349] 塗布溶液の調製
前述の合成例で得られた本発明の二トリル基含有重合性ポリマー A: 10. 5質量部 、アセトン 73. 3質量部、メタノール 33. 9質量部、及び N, Nジメチルァセトアミド 4. 8 質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
[0350] 露光
調製された塗布溶液を、前記基板 A1の重合開始層上に、厚さ 1 μ mになるように、 スピンコート法により塗布し、 80°Cにて 30分乾燥した後、三永電機製の UV露光機( 商品名: UVF— 502S、ランプ: UXM— 501MD)を用い、 1. 5mW/cm2の照射パ ヮー(ゥシォ電機製の紫外線積算光量計(商品名: UIT150)及び受光センサー(商 品名: UVD— S254)により測定))にて、 660秒間照射させて、基板 A1の重合開始 層の全面で、二トリル基含有重合性ポリマー Aを反応させた。
[0351] その後、攪拌した状態のアセトン中に光硬化層が形成された基板を 5分間浸漬し、 続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板 A2を得た。
[0352] めっき触媒の付与
ポリマー層を有する基板 A2を、 Pdの 1 %アセトン溶液に、 30分間浸漬した後、ァセ トンに浸漬して洗浄した。
続いて、 1 %ジメチルポラン一水/メタノール (水/メタノール = 1/3)混合溶液を 触媒活性化液 (還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板 A2を 15 分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[0353] 無電解めつき
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板 A2に対し、下 記組成の無電解めつき浴を用い、 60°Cで 5分間、無電解めつきを行った。得られた 無電解銅めつき膜の厚みは 0· 3 mであった。
[0354] 無電解めつき浴の組成
•蒸留水 859g
•メタノーノレ 850g
'硫酸銅 18. lg
'エチレンジァミン四酢酸.2ナトリウム塩 54. Og
•ポリオキシエチレングリコール(分子量 1000) 0. 18g
•2, 2 'ビビリジノレ ―. 8mg
• 10%エチレンジァミン水溶液 7. lg
以上の組成のめっき浴の pHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で 12. 5 (60°C)に調整 した。
電気めつき
続いて、無電解銅めつき膜を給電層として、下記組成の電気銅めつき浴を用い、 3 A/dm2の条件で、電気めつきを 20分間行った。その後、 120°C、 1時間、ベーク処 理を行った。得られた電気銅めつき膜の厚みは 18 mであった。
[0356] 電気めつき浴の組成
'硫酸銅 38g
'硫酸 95g
•塩酸 lmL
•カッパーグリーム PCM (商品名、メルテックス(株)製) 3mL
•水 500g
[0357] 金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験
得られためっき膜表面に、金属パターン (配線パターン)として残すべき領域にエツ チングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、 FeCl /HC1からなるエツ
3
チング液により除去した。その後、エッチングレジストを 3%NaOH液からなるアルカリ 剥離液にて除去し、ソルダーレジストでカバーして、ライン'アンド 'スペース = 100〃 m/10011 mの線間絶縁信頼性を測定するための櫛形配線 (金属パターン材料)を 形成した。
この櫛形配線を、 £3?£じ製^1八3丁試験機(八^[1 1503— 25)にて、 125°C— 8 5%相対湿度(未飽和)、印加電圧 10V、 2気圧下で 200時間放置させた所、配線間
の絶縁不良は見られなかった。
[0358] 実施例 2— 2
合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Bの合成
ヒドロキシェチルアタリレート(市販品、東京化成製) 200mLを水 600mLに溶解し た。得られた水溶液に酢酸ェチル 400mLを加え、油層を分離した。次に、塩化ナトリ ゥム(和光純薬 (株)製) lOOgを水層に溶解させ、その後、酢酸ェチル 200mLを用い て 2回抽出を行った。その後、抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 p—メトキシ ノ、イドロキノンを 0. 04g添カロし、酢酸ェチルを適度に減圧留去させた。減圧留去後 に、 NMRで確認すると酢酸ェチルが 6. 5質量%残存していた。
また、ガスクロマトグラフィー(GC)にてヒドロキシェチルアタリレートの市販品中の 2 官能アタリレートの含有量を測定すると 0. 28質量%であったが、上記のように精製し たものを測定すると、 2官能アタリレートの含有量は検出限界以下であった。
[0359] 500mLの 3つ口フラスコに N—メチルピロリドンを 20mL、上述の方法で精製された ヒドロキシェチノレアタリレート 2. 32g、シァノエチノレアタリレート 10. Olgを人れ、 75°C に昇温し、その中に、 V— 601 (前述):0. 23g、及び N—メチルピロリドン 5mLの混 合液を 1時間かけて滴下した。滴下終了後 1時間後に、 80°Cに昇温し 1時間反応さ せた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 29g、ジブチルチンジラ ゥレート 0. 29g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 18. 56g、及び N—メチル ピロリドン 19gを加え、 55°C、 6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り 出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Bを 25g得た。
[0360] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Bを重 DMSO (ジメチルスルホキシド)に溶 解させ、 300MHzの NMR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二 トリル基含有ユニットに相当するピークが 4· 3-4. 05ppm (2H分)、 2· 9— 2· 8pp m (2H分)、 2. 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット に相当するピークが 7. 2- 7. 3ppm (lH分)、 6. 4— 6· 3ppm (lH分)、 6. 2— 6.
lppm (lH分)、 6. 0- 5. 9ppm (lH分)、 4. 3— 4. 05ppm (6H分)、 3. 3— 3. 2p pm (2H分)、 2. 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット :二トリル基含有ユニット = 20: 80 (mol比)であることが分かった。
[0361] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Bを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 23. 75 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 22000 (Mw/Mn = 2· 1)であること が分かった。
[0362] 二トリル基含有重合性ポリマー Bの使用態様
上記のようにして合成された二トリル基含有重合性ポリマー Bを用いた以外は、すべ て実施例 2— 1と同様にして組成物を調製し、これを用いて積層体を形成し、櫛形配 線 (金属パターン材料)を作製した。
得られた櫛形配線について、実施例 2—1と同様にして実験したところ、配線間の 絶縁不良は見られなかった。
[0363] 実施例 2— 3
合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Cの合成
500mLの 3つ口フラスコにエチレングリコールジアセテートを l lmL入れ、 75°Cに 昇温し、その中に、実施例 2— 2に記載の方法で精製されたヒドロキシェチルアタリレ 一卜 1. 39g、シァノエチルアタリレー卜 6. 00g、 V— 601 (前述): 0. 1382g、及びェ チレングリコールジアセテート l lmLの混合液を 2. 5時間かけて滴下した。滴下終了 後、 80°Cに昇温し 3時間反応させた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 06g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 13g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 3· 84g、エチレングリコ ールジアセテート(SP値: 20. 79MPa1/2) 3. 8gを加え、 55°C、 6時間反応を行った
〇
その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了 後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー C を 3g得た。
[0364] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Cを重 DMSO (ジメチルスルホキシド)に溶 解させ、 300MHzの NMR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二 トリル基含有ユニットに相当するピークが 4· 3-4. 05ppm (2H分)、 2· 9— 2· 8pp m (2H分)、 2. 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット に相当するピークが 7. 2- 7. 3ppm (lH分)、 6. 4— 6· 3ppm (lH分)、 6. 2— 6. lppm (lH分)、 6. 0- 5. 9ppm (lH分)、 4. 3— 4. 05ppm (6H分)、 3. 3— 3. 2p pm (2H分)、 2. 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット :二トリル基含有ユニット = 21: 79 (mol比)であることが分かった。
[0365] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Cを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 23. 75 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 84000 (Mw/Mn = 2· 9)であること が分かった。
[0366] 二トリル基含有重合性ポリマー Cの使用態様
上記のようにして合成された二トリル基含有重合性ポリマー Cを用いた以外は、すべ て実施例 2— 1と同様にして組成物を調製し、これを用いて積層体を形成し、櫛形配 線 (金属パターン材料)を作製した。
得られた櫛形配線について、実施例 2—1と同様にして実験したところ、配線間の 絶縁不良は見られなかった。
[0367] 実施例 2— 4
合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Dの合成
500mLの 3つ口フラスコにジエチレングリコールジアセテートを 30mL入れ、 75°C に昇温し、その中に、実施例 2— 2に記載の方法で精製されたヒドロキシェチルアタリ レー卜 3. 72g、シァノエチルアタリレー卜 16. 01g、 V— 601 (前述): 0. 0737g、及び ジエチレングリコールジアセテート 30mLの混合液を 2. 5時間かけて滴下した。滴下 終了後、 80°Cに昇温し 3時間反応させた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 16g、ネオスタン U— 6
00 (前述) 0. 32g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 9· 6g、及びジエチレン グリコールジアセテート(SP値: 20· 75MPa1/2) 9. 6gを加え、 55。C、 6時間反応を 行った。その後、反応液にメタノールを 3. 6g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反 応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリ マー Dを 18g得た。
[0368] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Dを実施例 2— 2と同様にして NMR測定を 行ったところ、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 23: 77 (mol比)であ ることが分かった。
[0369] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Dを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 23. 75 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 93000 (Mw/Mn = 3· 2)であること が分かった。
[0370] 二トリル基含有重合性ポリマー Dの使用態様
上記のようにして合成された二トリル基含有重合性ポリマー Dを用いた以外は、す ベて実施例 2— 1と同様にして組成物を調製し、これを用いて積層体を形成し、櫛形 配線 (金属パターン材料)を作製した。
得られた櫛形配線について、実施例 2—1と同様にして実験したところ、配線間の 絶縁不良は見られなかった。
[0371] 実施例 2— 5〜2— 13
実施例 2— 5〜2— 13として、以下に示す合成例にて、本発明の二トリル基含有重 合性ポリマー E〜Mを合成した。
[0372] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Eの合成
300mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールジアセテート 29gを入れ、窒素気流 下、 75°Cまで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒ ドロキシェチノレアタリレート 3. 72g、 2—シァノエチノレアタリレート 16. Olg、及び V— 601 (前述) 0· 1842gのジエチレングリコーノレジアセテート 30g溶 ί夜を、 2· 5日寺 力、
けて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温ま で、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 16g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 31gを加え、力レンズ MOI (商品名、昭和電工(株)製) 10. 28gを、ジ エチレングリコールジアセテート(SP値: 20. 75MPa1/2) 10. 28gに溶解させ反応 溶液に加え、 55°C、 6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを 2. 05g加え 、更に 1. 5時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本 発明の二トリル基含有重合性ポリマー Eを 18g得た。
[0373] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Eを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 3-4. 0ppm (2H分)、 2. 9— 2. 75ppm (2H分)、 2. 5— 1. 3 ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 4 - 7. Oppm (lH分)、 6. 1— 6. Oppm (lH分)、 5. 7— 5. 6ppm (lH分)、 4. 3— 4 . 0ppm (6H分)、 3. 4— 3. 2ppm (2H分)、 2. 5— 1. 3ppm (3H分)、 1. 9— 1. 8p pm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 22: 78 (mol比)であることが分かった。
[0374] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Eを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 20. 1 1分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 78000 (Mw/Mn = 3· 11)であるこ とが分力、つた。
[0375] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Fの合成
1000mlの三口フラスコに、 N, N—ジメチルァセトアミド 35gを入れ、窒素気流下、 75°Cまで加熱した。そこへ、下記構造のモノマー 10· 25g、 2—シァノエチルアタリレ ート 24. 82g、及び V— 601 (前述) 0. 5710gの N, N—ジメチルァセトアミド 35g溶 液を、 2. 5時間かけて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した 。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、氷冷下、 4—ヒドロキシテンポ 0. 427g、トリェチルァミン 12. 5 4g、及び N, N—ジメチノレアセトアミド 315· 6gをカロ免、室温、 4日寺間反応を fiつた。 反応終了後、イソプロピルアルコール:へキサン = 1 : 3で再沈を行い、固形物を取り 出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Fを 24g得た。
[0376] [化 36]
[0377] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Fを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 3-4. 05ppm (2H分)、 2. 9— 2. 8ppm (2H分)、 2. 5— 1. 3 ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 2 - 7. 3ppm (lH分)、 6. 4— 6. 3ppm (lH分)、 6. 2— 6. lppm (lH分)、 6. 0— 5 • 9ppm (lH分)、 4· 4-4. 05ppm (4H分)、 2· 5- 1. 3ppm (3H分) ίこフ、、ロード、 ίこ 観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 23: 77 (mol比)であるこ とが分力、つた。
[0378] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Fを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 22. 4 7分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 12000 (Mw/Mn= l . 78)であるこ とが分力、つた。
[0379] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Gの合成
500mlの三口フラスコに、 N, N—ジメチルァセトアミド 40gを入れ、窒素気流下、 7 5。Cまでカロ熱した。そこへ、 クリノレ酸 5. 04g、 2—シ ノエチノレ クリレー卜 35. 03g 、及び V— 601 (前述) 0. 8059gの N, N—ジメチノレアセトアミド 40g溶 ί夜を、 2. 5日寺 間かけて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室
温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、室温下、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 04g、トリェチ ルベンジルアンモニゥムクロライド 3· 19g、サイクロマー A (前述) 25· 52gをカロえ、 10 0°C、 5時間反応を行った。反応終了後、酢酸ェチル:へキサン = 2 : 3で再沈を行い 、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Gを 30g得た。
[0380] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Gを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 4— 4. 2ppm (2H分)、 3. 0— 2. 8ppm (2H分)、 2. 6— 1. 3p pm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 6 - 7. 5ppm (lH分)、 6. 5— 6. 3ppm (lH分)、 6. 3— 6. lppm (lH分)、 6. 0— 5 . 8ppm (lH分)、 4. 9— 4. 7 (1H分)、 4. 2— 4. 0 (2H分)、 4. 0— 3. 7 (1H分)、 2 . 7- 1. 3ppm (10H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含 有ユニット = 35: 65 (mol比)であることが分かった。
[0381] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Gを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 22. 2 3分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 23000 (Mw/Mn = 2· 17)であるこ とが分力、つた。
[0382] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Hの合成
300mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールジアセテート 21gを入れ、窒素気流 下、 75°Cまで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒ ドロキシュチノレ タリレート 2· 69g、 p—シ ノベンジノレ タリレート 17· 37g、及び V — 601 (前述) 0· 0534gのジエチレングリコールジアセテート 20g溶液を、 2· 5時間 力、けて滴下した。滴下終了後、 2時間攪拌した後 80°Cまで加熱し、更に 2時間撹拌し た。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 12g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 23g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 7· 09g、及びジェチレ
ングリコールジァセテート(SP値: 20. 75MPa1/2) 27. 09gをカロえ、 55。C、 6時間反 応を行った。その後、反応液にメタノールを 1. 48g加え、更に 1. 5時間反応を行った 。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性 ポリマー Hを 21 g得た。
[0383] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Hを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 8 - 7. 65ppm (2H分)、 7. 5— 7. 3ppm (2H分)、 5. 2— 4. 9 ppm (2H分)、 2· 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ュニッ 卜に申目当するピーク力 7. 4- 7. Oppm (lH分)、 6. 4- 6. 2ppm(lH分)、 6. 2- 6 . Oppm (lH分)、 6. 0- 5. 8ppm (lH分)、 4. 2— 3. 9ppm (6H分)、 3. 4— 3. 2p pm (2H分)、 2. 5- 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット :二トリル基含有ユニット = 23: 77 (mol比)であることが分かった。
[0384] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Hを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 19. 8 5分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 149000 (Mw/Mn = 4. 46)である ことが分力、つた。
[0385] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Iの合成
300mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールジアセテート 20gを入れ、窒素気流 下、 75°Cまで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒ ドロキシェチノレメタタリレート 3. 77g、 2—シァノエチノレメタタリレート 16. 15g、及び V — 601 (前述) 0· 0668gのジエチレングリコールジアセテート 20g溶液を、 2· 5時間 力、けて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温 まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 15g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 29g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 8· 82g、及びジェチレ ングリコールジァセテート(SP値: 20. 75MPa1/2) 27. 82gをカロえ、 55。C、 6時間反
応を行った。その後、反応液にメタノールを 1. 86g加え、更に 1. 5時間反応を行った 。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性 ポリマー Iを 10g得た。
[0386] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Iを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの NM R (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに相 当するピーク力 25-4. 0ppm (2H分)、 2. 95— 2. 8ppm (2H分)、 2. 1— 0. 5p pm (5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 4 - 7. 0ppm (lH分)、 6. 5— 6. 3ppm (lH分)、 6. 3— 6. 0ppm (lH分)、 6. 0— 5 . 8ppm (lH分)、 4. 2— 3. 9ppm (6H分)、 3. 5— 3. 3ppm (2H分)、 2. 1— 0. 5p pm (5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 24: 76 (mol比)であることが分かった。
[0387] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Iを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 18. 52 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 238000 (Mw/Mn = 2· 56)であるこ とが分かった。
[0388] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Jの合成
300mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールジアセテート 33gを入れ、窒素気流 下、 75°Cまで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒ ドロキシェチノレメタタリレート 4. 16g、 2—シァノエチノレメタタリレート 17. 80g、及び V — 601 (前述) 0· 1842gのジエチレングリコールジアセテート 33g溶液を、 2· 5時間 力、けて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温 まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 16g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 32g、力レンズ MOI (商品名、昭和電工(株)製) 10· 66g、及びジェチ レングリコールジアセテート(SP値: 20· 75MPa1/2) 10. 66gを加え、 55。C、 6時間 反応を行った。その後、反応液にメタノールを 2. 05g加え、更に 1. 5時間反応を行
つた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重 合性ポリマー Jを 20g得た。
[0389] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Jを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの NM R (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに相 当するピーク力 2- 3. 95ppm (2H分)、 2. 9— 2. 75ppm (2H分)、 2. 1— 0. 6p pm (5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 4 - 7. Oppm (lH分)、 6. 1— 6. Oppm (lH分)、 5. 7— 5. 6ppm (lH分)、 4. 2— 3 • 95ppm (6H分)、 3. 35— 3· 2ppm (2H分)、 2. 1— 0· 6ppm (8H分)にブロード、 に観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 24 : 76 (mol比)である ことが分力、つた。
[0390] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Jを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 19. 90 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 90000 (Mw/Mn = 2· 45)であるこ とが分力、つた。
[0391] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Kの合成
300mlの三口フラスコに、 N—メチルー 2—ピロリドン 5gを入れ、窒素気流下、 75°C まで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒドロキシェ チノレアタリレート 0. 53g、 2, 2—ジェチノレー 4ーシァノーェチノレアタリレート 3. 85g、 V— 601 (前述) 0· 0530gの Ν—メチノレー 2—ピロリドン 4g溶 ί夜を、 2· 5日寺間力、けて 滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温まで、 反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 02g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 05g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 1 · 53g、及び N—メチ ルー 2—ピロリドン(SP値: 22. 94MPa1/2) l . 53gをカロえ、 55。C、 6時間反応を行つ た。その後、反応液にメタノールを 0. 29g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終 了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー
Kを lg得た。
[0392] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Kを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二トリル基含有ユニットに 相当するピーク力 9- 3. 65ppm (2H分)、 2. 5— 2. 3ppm (2H分)、 1. 7— 1. 4 ppm (2H分)、 1. 4- 1. lppm (4H分)、 0. 9— 0. 6ppm(6H分)、 2. 5— 1. 3ppm (3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが 7. 4- 7. Oppm (lH分)、 6. 4- 6. 3ppm (lH分)、 6. 3— 6. lppm(lH分)、 6. 0— 5. 9 (1 H分)、 4. 2-4. 0ppm(6H分)、 3. 4— 3. 2ppm(2H分)、 2. 0— 1. 3ppm (3H分 )にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:二トリル基含有ユニット = 25: 75 (m ol比)であることが分力、つた。
[0393] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Kを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名 : HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 23. 0 7分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 6900 (Mw/Mn= l . 45)であるこ とが分力、つた。
[0394] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Lの合成
300mlの三口フラスコに、 N—メチルー 2—ピロリドン 25gを入れ、窒素気流下、 75 °Cまで加熱した。そこへ、実施例 2— 2と同様の手法により精製を行った 2—ヒドロキシ ュチノレ クリレート 3. 17g、 2—シ ノュチノレ クリレート 15. 37g、 クリ π二トリノレ 6. 52g、 V— 601 (前述) 0. 6286gの N—メチノレ一 2—ピロリドン 25g溶 ί夜を、 2. 5日寺 力、けて滴下した。滴下終了後、 80°Cまで加熱し、更に 3時間撹拌した。その後、室温 まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0. 14g、ネオスタン U— 6 00 (前述) 0. 28g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 8· 54g、及び N—メチ ルー 2—ピロリドン(SP値: 22· 94MPa1/2) 8. 54gを加え、 55。C、 6時間反応を行つ た。その後、反応液にメタノールを 1. 75g加え、更に 1. 5時間反応を行った。反応終 了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー
Lを 18g得た。
[0395] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Lを重 DMSOに溶解させ、 300MHzの N MR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。シァノエチルアタリレート ュュッ卜に申目当するピーク力 4.3-4.0ppm(2H分)、 3.0— 2.8ppm(2H分)、 2. 7-1.4ppm(3H分)にブロードに観察され、アクリロニトリルユニットに相当するピー クが 2.7-1.4ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当す るピーク力 S7.4— 7.0ppm(lH分)、 6.4— 6.3ppm(lH分)、 6.3— 6. lppm(l H分)、 6.0-5.9(1H分)、 4.2— 4.0ppm(6H分)、 3.3— 3.2ppm(2H分)、 2 .7-1.4ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:シァノエチル アタリレートユニット:アタリロニトリノレユニット = 12: 47 :41 (mol比)であることが分かつ た。
[0396] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Lを、 THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 24.18 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw=4700(Mw/Mn=l.69)であること が分かった。
[0397] 合成例:本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Mの合成
500mLの 3つ口フラスコにジメチルカーボネートを 10mL入れ、 65°Cに昇温し、そ の中に、実施例 2— 2に記載の方法で精製されたヒドロキシェチルアタリレート 3· 72g 、シァノエチノレアタリレート 16· 01g、V— 65:0.3974g、及びジメチルカーボネート 10mLの混合液を 2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、ジメチルカーボネートを 2 5mL加え、さらに 65°Cで 3時間反応させた。反応終了後、ジメチルカーボネートを 14 mL足した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン 0.15g、ネオスタン U— 6 00(前述) 0.38g、力レンズ AOI (商品名、昭和電工(株)製) 11· 6g、ジメチルカ一 ボネート(SP値: 22· 9MPa1/2)ll.6gを加え、 55°C、 6時間反応を行った。その後 、反応液にメタノールを 1.9g加え、更に 1.5時間反応を行った。反応終了後、水で
再沈を行い、固形物を取り出し、本発明の二トリル基含有重合性ポリマー Mを 12g得 た。
[0398] 構造の同定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Mを重 DMSO (ジメチルスルホキシド)に溶 解させ、 300MHzの NMR (商品名: AV— 300、ブルカー製)にて測定を行った。二 トリル基含有ユニットに相当するピークが 4· 3-4.05ppm(2H分)、 2· 9— 2· 8pp m(2H分)、 2.5-1.3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット に相当するピークが 7.2-7.3ppm(lH分)、 6.4— 6· 3ppm(lH分)、 6.2— 6. lppm(lH分)、 6.0-5.9ppm(lH分)、 4.3— 4.05ppm(6H分)、 3.3— 3.2p pm(2H分)、 2.5-1.3ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット :二トリル基含有ユニット = 25: 75 (mol比)である事が分かった。
[0399] 分子量の測定
合成した二トリル基含有重合性ポリマー Mを THFに溶解させ、高速 GPC (商品名: HLC— 8220GPC、東ソー製)を用いて分子量の測定を行った。その結果、 20.40 分にピークが現れ、ポリスチレン換算で Mw= 83000 (Mw/Mn = 2· 6)であること が分かった。