JP2009006698A - 両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び両面金属膜付きフィルム - Google Patents

両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び両面金属膜付きフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】異なる機能を有する金属膜を有し、用途選択性に優れた両面金属膜付きフィルムを簡便に作製しうる両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び該製造方法により得られた両面金属膜付きフィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法は、(A)樹脂フィルムの一方の面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する工程と、(B)樹脂フィルムの他方の面に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を1層以上形成する工程と、(C)該イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを吸着させる工程と、(D)該金属イオンを還元した後、めっきを行い、めっき金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び両面金属膜付きフィルムに関し、より詳細には、電子材料分野で使用される高密度配線を有するフレキシブルプリント配線板を作製する際に用いられる両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び該製造方法で得られた両面金属膜付きフィルムに関する。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等も小型化かつ高密度化が進んでいる。
その中で、絶縁性樹脂フィルムの片面又は両面に金属膜が形成されている銅張積層板(CCL)は、液晶画面に画像を表示するための駆動用半導体を実装するための基板や、屈曲性を要求される稼動部に用いられる基板を作製するために汎用されている。近年、液晶画面表示用ドライバーICチップを実装する手法としてCOF[チップオンフィルム]が注目されてきている。COFは従来の実装法の主流であったTCP(テープキャリアーパッケージ)に比べ、ファインピッチ実装が可能であるとともに、ドライバーICの小型化、及びコストダウンを図ることができると言われている。近年、COFにおいて、最近の液晶表示画面の高精細化、液晶駆動用ICの小型化等に伴い、電子回路の高精細化、ファインピッチ化が強く求められるようになってきた。
これらファインピッチ配線の形成にあたっては、従来の導電性パターン、特に、プリント配線板の分野で有用な金属パターンの形成方法として、「サブトラクティブ法」と「セミアディティブ法」が知られている。
サブトラクティブ法とは、銅張積層板の絶縁性樹脂フィルム上に形成された金属膜に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。サブトラクティブ法に用いられる銅張積層板は、金属箔上に樹脂ワニス層を設け、樹脂ワニスを固めたものや、絶縁性樹脂フィルム上に熱可塑性の層を設け、金属箔をラミネートしたもの、若しくは絶縁性樹脂フィルムの表面に何らかの方法で給電層を設け、給電層に電気を流して電気めっきを行うことによって作製される。この手法で形成される給電層はめっき法、スパッタリング法、蒸着法や薄い金属箔をラミネートしたりする方法などが用いられている。
一方、セミアディティブ法は、絶縁性樹脂フィルムの表面に何らかの方法で給電層を設け、この給電層の上に活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、給電層に電気を流して電気めっきを行い、非レジスト存在部に金属配線を形成した後、非金属配線部の給電層をエッチング処理して金属パターンを形成する方法である。この手法で形成される給電層はめっき法、スパッタリング法、蒸着法や薄い金属箔をラミネートしたりする方法などが用いられている。この方法にも既に金属膜が形成されている銅張積層板が好適に用いられる。
上記のサブトラクティブ法やセミアディティブ法に用いられる銅張積層板としては、ポリイミドフィルムにプラズマ処理を行い、次いでシランカップリング処理を行い、触媒を吸着させた後、無電解めっき、及び電気めっきを行うことで作製されるフレキシブルプリント配線板用積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。この積層体は、プラズマ処理及びシランカップリング処理により、特別な接着層を必要とせず、また、ポリイミドフィルムの表面を特に粗面化処理する必要もなく、ポリイミドフィルムとの密着性に優れた金属膜を有する。
また、逆スパッタリング処理法やイオンガン処理法を用いポリイミド中に金属を埋め込み、この埋め込まれた金属をシード層として用いめっきすることにより得られた積層板も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−54357号公報 特開2007−12865号公報
フレキシブルプリント配線板を使用する電子機器(携帯電話など)においては、多くの情報量を必要とする伝送路と、制御信号などの比較的情報量の少なくてよい伝送路が存在している。情報量の多い伝送路は、当然、回路・配線の微細化や細線化が必要であり、それに伴う金属層/樹脂層の密着改良などの技術が必要であるが、情報量の少ない伝送路においては、上記の微細配線のための技術は必要がない。つまり、情報量の少ない伝送路については、太い金属配線とし、より信頼性の高い電気配線を用いることが好ましい。
そこで、回路や配線を形成するために用いられる銅張積層板としては、必ずしも、高精細な微細配線を形成するだけの機能のみではなく、用途や求められる機能に応じたものが求められているのが現状である。
以上のことから、本発明の目的は、異なる機能を有する金属膜を有し、用途選択性に優れた両面金属膜付きフィルムを簡便に作製しうる両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び該製造方法により得られた両面金属膜付きフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
即ち、本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法は、(A)樹脂フィルムの一方の面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する工程と、(B)樹脂フィルムの他方の面に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を1層以上形成する工程と、(C)該イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを吸着させる工程と、(D)該金属イオンを還元した後、めっきを行い、めっき金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明において、(E)前記樹脂フィルムにビアを形成する工程と、(F)該ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する工程と、を更に有することが好ましい。
なお、本発明における(B)工程、及び(E)工程において、金属イオン吸着能を有する樹脂膜が、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂を含むことが好ましい態様である。
前記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂において、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーに由来するユニットが、該樹脂中に50モル%〜95モル%含んでなることが好ましく、また、この非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーが、非解離性官能基としてアルキルシアノ基を有することがより好ましい。
更に、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂が、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい態様である。
Figure 2009006698
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
また、前記(B)工程、又は、前記(F)工程において、樹脂フィルムに、エネルギー線により重合し、且つ、金属イオン吸着能を有するモノマー、オリゴマー、又は重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギー線を照射する方法が用いられることが好ましい態様である。
本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法においては、前記金属イオンが、Cr、Ag、Ti、Zn、Au、Cu、及びPdからなる群より選ばれることが好ましい。
本発明において、(G)樹脂フィルムと金属イオン吸着能を有する樹脂膜との間に、該樹脂フィルム及び該樹脂膜と相互作用を形成する密着補助層を形成する工程を、更に有することが好ましい。
また、この密着補助層が、重合開始剤を固形分で0.1質量%〜50質量%含んでいることが好ましい。
更に、本発明において、(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の厚み、又は、(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の厚みと、(G)工程で形成される密着補助層の厚みとの総計が、0.01μm〜10μmであることが好ましい。
本発明において、(A)工程で形成される金属膜の厚みと、(D)工程で形成されるめっき金属膜の厚みと、が異なることが好ましい態様である。
また、本発明において、(B)工程で金属イオン吸着能を有する樹脂膜が形成される樹脂フィルムの表面、(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の表面、又は(G)工程で形成される密着補助層の表面の表面粗さRzが0.5μm以下であることが好ましい態様である。
また、本発明の両面金属膜付きフィルムは、本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法により得られたものである。
本発明によれば、異なる機能を有する金属膜を、異なる手法で形成することによって、用途選択性に優れた両面金属膜付きフィルムを簡便に作製しうる両面金属膜付きフィルムの製造方法、及び該製造方法により得られた両面金属膜付きフィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<両面金属膜付きフィルムの製造方法>
本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法は、(A)樹脂フィルムの一方の面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する工程と、(B)樹脂フィルムの他方の面に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を1層以上形成する工程と、(C)該イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを吸着させる工程と、(D)該金属イオンを還元した後、めっきを行い、めっき金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法の各工程について説明する。
〔(A)工程〕
(A)工程では、樹脂フィルム(以下、「基材」と称する場合がある。)の片面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する。
まず、キャスティング法、メタライジング法、及びラミネート法について、それぞれ説明する。
(キャスティング法)
キャスティング法とは、金属膜上に樹脂ワニス層を設け、この樹脂ワニスを固めることで、樹脂フィルムを形成しつつ金属膜と接合する方法である。
ここで用いられる金属膜としては、銅箔、銀箔、金箔、チタン箔、ニッケル箔、スズ箔、はんだ箔、亜鉛箔、白金箔、クロム膜、並びにこれらの合金箔等が用いられ、それぞれの金属によって好適な用途が存在するが、電気配線用途においては伝導抵抗が小さいという点から、銅箔を用いることが好ましい。
また、樹脂ワニス層を構成する樹脂としては、後述する樹脂フィルム(基材)を構成する樹脂として挙げられた各種の樹脂が用いられるが、中でも、樹脂の中でも特に高い熱的、機械的、化学的性質を持つ点から、ポリイミドを用いることが好ましい。
以下、金属膜として銅箔を、また、樹脂ワニス層を構成する樹脂としてポリイミドを用いたキャスティング法を一例として挙げ、詳細に説明する。
まず、例えば、特開2006−391147号公報、特公平7−40626号公報、日立化成テクニカルレポートNo.38(2002−1)、「最新ポリイミド 基礎と応用」(NTS INC.)第一編及び第四編等に記載のポリイミド前駆体を含有する組成物(塗布液)を調製する。
このポリイミド前駆体組成物を、所望のポリイミドフィルム(本発明における樹脂フィルム)厚になるような厚さで銅箔表面に塗布し、加熱することにより、溶媒を除去すると共に、ポリイミド前駆体をポリイミドへと転化させる。
ここで、加熱条件としては、ポリイミド前駆体をポリイミドへと転化させることができれば特に制限はなく、ポリイミド前駆体に応じて、適宜、決定すればよい。例えば、下記(1)又は(2)の加熱条件を適用することができる。
(1)50℃〜150℃で5分〜180分間乾燥した後、窒素気流下200℃〜500℃で20分〜300分間加熱処理
(2)100℃〜400℃、好ましくは200℃〜300℃で加熱
このキャスティング法では、ポリイミド前駆体組成物の塗布量を調整することで、得られるポリイミドフィルムの厚みが決定されることから、所望の塗布量にあわせ、組成物の粘度を調整すればよい。
また、コーティング方法としては、塗膜が均一に形成される用に、バーコーター、ドクターブレード等が用いられることが好ましい。
また、加熱によりポリイミド前駆体をポリイミドに転化する際、加熱と同時に1kg/cm〜1000kg/cm、好ましくは1kg/cm〜50kg/cmの圧力をかけることも好ましい。加圧することにより銅箔とポリイミドフィルムとの密着性を更に強くすることができる。
なお、本発明におけるキャスティング法としては、特開2006−391147号公報、特公平7−40626号公報、特開平5−306366号公報、特開2002−172637号公報等に記載の方法を適用することができる。
このキャスティング法では、上述のように、ポリイミド前駆体組成物の塗布量を調整することで、樹脂フィルム(基材)の厚みの制御が可能であり、また、ポリイミド前駆体組成物が塗布される銅箔の厚みを選択することで、金属膜の厚みが決定される。
この方法で用いられる金属膜の厚みは、特に限定されないが、ファインパターン化の点から、3μm〜35μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、その中でも特に3μm〜9μmであることが好ましい。
また、この方法で形成される樹脂フィルムの厚みは、樹脂フィルムの機械的強度、寸法安定性、及びファインパターン化、並びに工程上の取り扱い性を両立させるという点で、厚みが5μm〜50μm、特に5μm〜40μm、その中でも5μm〜25μmであることが好ましい。
(メタライジング法)
メタライジング法とは、樹脂フィルム表面に何らかの方法により薄膜の給電層(下地金属層)を設け、該給電層に電気を流して電気めっきを行い、樹脂フィルム上に金属膜を形成する方法である。
ここで、薄膜の給電層は、電気めっきを行う際の電極として機能すればよく、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、真空蒸着法、CVD法等のドライプロセスにて形成されることが好ましい。給電層は、前記特許文献1に記載のように、無電解めっきを行うことによって形成されてもよい。
また、給電層を構成する金属としては、Cr、Ag、Ti、Zn、Au、Sn、Pd及びCuからなる群より選ばれることが好ましい。
また、電気めっきにより形成される金属膜は、銅膜、銀膜、金膜、チタン膜、ニッケル膜、錫膜、はんだ膜、亜鉛膜、白金膜、クロム膜及びこれらの合金膜であることが好ましく、中でも、電気配線用途においては伝導抵抗が小さいという点から、銅膜であることがより好ましい。
このような金属膜を形成する際に用いられるめっき浴としては、例えば、銅の場合は、シアン化銅浴、ピロリン酸銅浴、硼フッ化銅浴、硫酸浴等が用いられ、銀の場合は、シアン化銀めっき浴等が用いられ、金の場合は、シアン化第一金めっき浴、シアン化第2金めっき浴、亜硫酸金めっき浴等が用いられ、ニッケルの場合は、スルファミン酸浴、ワット浴等が用いられ、錫の場合は、カリウム浴、ナトリウム浴、硫酸浴、硼フッ酸浴等が用いられ、亜鉛の場合は、硫酸浴、シアン浴、ジンケート浴、塩化亜鉛浴等が用いられ、白金の場合は、塩化物浴とジアミノ亜硝酸浴、クロムの場合は、Sargent浴、フッ化物浴、3価クロム浴等が用いられる。
なお、本発明におけるメタライジング法としては、特開2006−159631号公報、「『界面現象の真の理解』により高強度・高密着力を実現する最新 『異種材料』の接着・接合 トラブル対策 事例集」第五節(技術情報協会編:2006年4月27日出版)、「先端実装技術の動向」第六章6.3.2(東レリサーチセンター編:2007年1月発刊)等に記載の方法を適用することができる。
このメタライジング法では、電気めっきの処理条件を調整することで、金属膜の厚みが制御される。
この方法で形成される金属膜の厚みは、特に限定されないが、ファインパターン化の点から、3μm〜35μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、その中でも特に3μm〜9μmであることが好ましい。
更に、金属膜との密着性とファインパターン化の観点から、樹脂フィルムにおいて、この方法で金属膜が形成される面のJIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzは5μm以下、特に2μm以下であるものが好ましい。
(ラミネート法)
ラミネート法とは、樹脂フィルム上に接着層を設けた後、金属膜をラミネートし、樹脂フィルム上に金属膜を形成する方法である。
なお、樹脂フィルムが熱圧着可能なものである場合には、接着層を設ける必要はない。また、樹脂粉末を用い、この粉末と金属膜を熱圧着することで、樹脂フィルムを形成しつつ、その形成された樹脂フィルムと金属膜とを接合する態様であってもよい。
ここで用いられる金属膜としては、銅箔、銀箔、金箔、チタン箔、ニッケル箔、スズ箔、はんだ箔、亜鉛箔、白金箔、クロム膜、並びにこれらの合金箔等が用いられ、それぞれの金属によって好適な用途が存在するが、電気配線用途においては伝導抵抗が小さいという点から、銅箔を用いることが好ましい。
また、接着層は、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤を用いて形成されるが、中でも、高信頼性、耐熱性の点から、ポリイミド系接着剤を用いることが好ましい。
以下、ラミネート法にてポリイミドフィルム上に銅箔を形成する態様を一例として挙げ、詳細に説明する。
ポリイミドフィルム上に銅箔を接合する際に、ポリイミドのフィルム又は粉末を用いる場合には、該フィルム又は粉末を銅箔上に置き、1kg/cm〜1000kg/cmの圧力、50℃〜400℃の温度で圧着し、100℃〜400℃の温度でキュアさせる方法が用いられる。
なお、本発明におけるラミネート法としては、特公平7−40626号公報、特開2005−336425号公報、特開2006−52389号公報、特開2006−27067号公報、特開2006−306973号公報、特開2007−39511号公報等に記載の方法を適用することができる。
このラミネート法で用いられる金属膜の厚みは、特に限定されないが、ファインパターン化の点から、3μm〜35μmであることが好ましく、3μm〜12μmであることがより好ましく、その中でも特に3μm〜9μmであることが好ましい。
更に、金属膜との密着性とファインパターン化の観点から、樹脂フィルムにおいて、この方法で金属膜が形成される面のJIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzは5μm以下、特に2μm以下であるものが好ましい。
(樹脂フィルム(基材))
本工程で用いられる基材(樹脂フィルム)としては、通常電子基板に使われる、ガラスエポキシ、ポリエステル、ポリイミド、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアラミド、紙、液晶ポリマー等をフィルム状に成形してなるものを用いることができる。
また、このような基材を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、液晶樹脂、ポリエステル樹脂、PEN、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアセチレン等、フィルムに成型できる樹脂であればいずれも使用することができる。
なお、本発明で得られた両面金属膜付きフィルムを、例えば、フレキシブルプリント基板の形成に用いる場合には、通常、該フレキシブルプリント基板に用いられるポリイミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムを用いることが好ましい。
これらの基材は、均一、且つ、平滑な表面を有するフィルムに成形してもよいし、また、上層となる密着補助層や金属イオン吸着能を有する樹脂膜との密着性向上を目的とし、フィルム成形後に、微細な凸凹をつけるための研磨工程を行ってもよい。
ここで、基材表面の研磨工程には、バフ研磨、ベルト研磨、パミス研磨等の機械研磨が用いられる。更に、これら機械研磨に代えて化学研磨や化学機械研磨、電解研磨等をおこなってもよい。また、基材表面に活性基を発生させるプラズマ処理やコロナ処理、UV処理、オゾン処理、火炎処理や表面を化学的に分解活性化させる処理を併用してもよい。
なお、ポリイミドフィルムの場合は、ヒドラジンやN−メチルピロリドン、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液のような極性有機溶剤や、強アルカリで表面処理されてもよい。
なお、基材において、後述する(B)工程にて金属イオン吸着能を有する樹脂膜が形成される面は、形成される金属膜の物性を向上させる観点から、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzが5μm以下であるものが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。基材の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、平滑性が高い状態であれば、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
また、基材の厚みとしては3μm〜500μmのものを用いるのが、フィルムとして屈曲的に用いる場合には好ましく、より好ましくは5μm〜300μmの範囲であり、7μm〜200μmの範囲であることが更に好ましい。
本発明における基材は、後述する(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜との密着性を向上させるために、該樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を有することが好ましい。具体的には、基材形成時に予め金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種を添加してもよいし、基材を構成する樹脂の分子内に活性点を発生させる骨格を含んでいてもよい。このように、活性点を発生させる骨格を有する樹脂としては、例えば、特開2005−307140号公報に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドが用いられる。
なお、基材が、エネルギー付与により、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成する活性点を生成しうる場合は、特に、活性種を添加しなくてもよい。
この活性点を発生させるためには、何らかのエネルギーを付与すればよく、好ましくは、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気等が用いられる。なお、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解することで活性点を発生させてもよい。
活性種の例としては、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのような過酸化物開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
また、光重合開始剤としては、低分子でもよく、高分子でもよく、一般に公知のものが使用される。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン、及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用できる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子の光重合開始剤としては特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
基材に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、固形分で0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、1.0質量%〜30.0質量%であることがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、密着性の観点から高分子の光重合開始剤が好ましい。
また、活性点を発生する感度を高める目的で、光重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が挙げられる。
以上のようにして、所望の樹脂フィルム(基材)の片面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する。
なお、本工程はどのタイミングで行ってもよいが、製造性の観点から、後述する(B)〜(D)工程の前、或いは、(B)〜(D)工程を経て、めっき金属膜が形成された後に行うことが好ましい。
なお、本工程において、キャスティング法や、樹脂粉末によるラミネート法を用いる場合には、樹脂フィルムが金属膜との接合時に形成されるため、後述する(B)工程の前に、本工程が行われる。
なお、本発明においては、樹脂フィルムの片面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により形成された金属膜が設けられている市販品を用いてもよい。
本発明において用いられる市販品としては、例えば、NIKAFLEX、PYRALUX(ニッカン工業株式会社製)、エスパネックス(新日鐵化学株式会社製)、TLF−970、TLF−521(京セラケミカル株式会社製)、FELIOS(松下電工株式会社)が挙げられる。
〔(G)工程〕
本発明においては、後述する(B)工程において形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜と、樹脂フィルム(基材)との密着性を向上させるために、密着補助層を設けることが好ましい。
つまり、本発明においては、(G)工程、即ち、基材と金属イオン吸着能を有する樹脂膜との間に、該基材及び該樹脂膜と相互作用を形成する密着補助層を形成する工程を、更に有することが好ましい。
ここで、密着補助層としては、基材との密着性が良好な樹脂組成物、及び金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)を用いて形成されることが好ましい。なお、樹脂組成物を構成する樹脂が、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる部位を有する場合には、活性種(化合物)を別途添加する必要はない。
本発明における密着補助層としては、例えば、基材が、多層積層板、ビルドアップ基板、若しくはフレキシブル基板の材料として用いられてきた公知の絶縁樹脂からなる場合には、該基材との密着性の観点から、密着補助層を形成する際に用いられる樹脂組成物としても、絶縁樹脂組成物が用いられることが好ましい。
以下、基材が絶縁樹脂からなり、密着補助層が絶縁樹脂組成物から形成される態様について説明する。
密着補助層を形成する際に用いられる絶縁樹脂組成物は、基材を構成する電気的絶縁性の樹脂と同じものを含んでいてもよく、異なっていてもよい。しかしながら、電気的絶縁層として機能する基材との密着性をより向上させるため、また、密着補助層形成後、配線形成後等に行われるアニール処理や半田リフロー処理などの熱履歴時に、互いに異なる樹脂を用いると熱的特性の相違により熱応力がかかることを防止するために、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的が近いものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、基材を構成する絶縁樹脂と同じ種類の絶縁樹脂を使用することが密着の点で好ましい。
また、密着補助層は、絶縁樹脂組成物に加えて、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)をはじめ、基材と相互作用し化学的な結合を形成しうる化合物などを含んでもよい。なお、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる部位と、基材と相互作用し化学的な結合を形成しうる部位とを有する化合物を用いてもよい。
また、これ以外の成分として、密着補助層の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。
なお、本発明における絶縁樹脂とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂を意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。また、その他の熱可塑性樹脂としては、(1)1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252−1258(2004)に記載)、(2)液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、(3)フッ素樹脂(PTFE)などがある。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。例えば、PPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、或いは、重合性官能基を導入したPPE樹脂とその他の熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。また、シアネートエステルは熱硬化性の中では最も誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、“電子技術”2002/9号、P35に記載されている。
また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂及び/又はポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
また、密着補助層に用いられる絶縁樹脂としては、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる骨格を有する樹脂を用いることもできる。例えば、特開2005−307140号公報の段落番号〔0018〕〜〔0078〕に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドが用いられる。
更に、密着補助層には、層内での架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に、多官能のものを用いることが好ましい。その他、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に対し、その一部を、メタクリル酸やアクリル酸等を用いて、(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における密着補助層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、種々の化合物を添加することができる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
また、本発明における密着補助層には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この密着補助層には、必要に応じて、一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。
また、更にこの密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、主成分となる樹脂に対して、0質量%〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0質量%〜80質量%の範囲で添加される。密着補助層と隣接する基材とが、熱や電気に対して同じ若しくは近い物性値を示す場合には、これら添加物は必ずしも添加する必要はない。添加物を、樹脂に対して200質量%を超える範囲で用いる場合には、樹脂自体が本来有する強度などの特性が低下する懸念がある。
密着補助層には、前述のように、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)が用いられることが好ましい。この活性点を発生させるためには、何らかのエネルギーを付与すればよく、好ましくは、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気、等が用いられる。更に、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解することで活性点を発生させてもよい。
活性種の例としては、前述した樹脂フィルム(基材)中に添加される熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、1.0質量%〜30質量%であることがより好ましい。
本発明における密着補助層の厚みは、一般に、0.1μm〜10μmの範囲であり、0.2μm〜5μmの範囲であることが好ましい。密着補助層を設ける場合、厚みが上記一般的な範囲であれば、隣接する基材や金属イオン吸着能を有する樹脂膜との十分な密着強度が得られ、また、一般の接着剤を用いるのに比較して薄層でありながら、その接着剤による層と同様の密着性が達成される。その結果、全体の厚みが薄く、且つ、密着性に優れた両面金属膜付きフィルムを得ることができる。
また、本発明における密着補助層の表面は、形成されるめっき金属膜の物性を向上させる観点から、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzが3μm以下であるものが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。密着補助層の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、平滑性が高い状態であれば、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
密着補助層は樹脂フィルム(基材)の片面(金属イオン吸着能を有する樹脂膜が形成される面)に、塗布法、転写法、印刷法などの公知の層形成方法を適用して形成される。
なお、転写法を適用する場合には、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際に用いられる特定重合性化合物含有層(後述)と、密着補助層との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基材の表面に転写してもよい。
密着補助層を転写法により形成する工程について述べれば、まず、密着補助層形成に用いる各成分を適切な溶媒に溶解する、又は、互いに相溶させて溶液状にした塗布液、若しくは、ワニス状組成物を準備し、これを適切な仮支持体上に、塗布、乾燥して密着補助層形成用転写フィルムを形成し、その後、これを基材上に積層して密着補助層のみを基材表面に転写し、仮支持体を剥離することによって形成できる。このとき、密着補助層をフィルム化することで、層の厚さ精度が高くなり、取り扱い性や位置合わせ精度も向上するため、密着補助層の形成に、この転写法が好適に使用される。
塗布液やワニス状組成物の調製に用いられる溶媒としては、一般的な有機溶媒が使用される。有機溶媒は親水性の溶媒、疎水性の溶媒いずれも使用することができるが、密着補助層を形成する熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒が有用である。
具体的には、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。
また、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等も使用できる。
更に、通常溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の芳香族炭化水素の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
塗布液又はワニス状組成物に用いられる溶剤の配合量は、塗布液又はワニス状組成物の粘度と作業性、塗工性、及び乾燥時間と作業効率の観点から、塗布液又はワニス状組成物100質量部に対して、5質量部以上、2000質量部以下であることが好ましく、10質量部〜900質量部であることがより好ましい。
また、組成物の塗布性、作業性、乾燥時間などの観点から組成物の粘度は好ましくは5cps〜5000cps、より好ましくは10cps〜2000cps、更に好ましくは10cps〜1000cpsであることが好ましい。
ワニス状組成物に調製する方法としては、ミキサー、ビーズミル、パールミル、ニーダー、三本ロールなどの公知の方法を用いて調製できる。各種の配合成分は全てを同時に添加してもよいし、添加順序を適宜設定してもよいし、また、必要に応じて、一部の配合成分を予め予備混練してから添加してもよい。
塗布液又はワニス状組成物の仮支持体上への塗布は常法により行われ、例えば、ブレードコート法、ロッドコート法、スクイズコート法、リバースロールコート法、トランスファコールコート法、スピンコート法、バーコート法、エアーナイフ法、グラビア印刷法、スプレーコート法、など公知の塗布方法が挙げられる。
また、溶剤の除去方法は特に限定されないが、溶媒の蒸発により行なうことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が考えられる。中でも、生産効率、取り扱い性の点から加熱して蒸発することが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発することが更に好ましい。
例えば、次に述べる仮支持体の片面に塗布液又はワニス状組成物を塗工し、80℃〜200℃で0.5分から10分間加熱乾燥させて溶剤を除去することにより、半硬化状でべたつきのない状態の密着補助層形成用転写フィルムとすることが好ましい。
前記仮支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。
仮支持体の厚みとしては2μm〜200μmが一般的であるが、5μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが更に好ましい。仮支持体が厚すぎると、この密着補助層形成用転写フィルムを用いて実際に転写を行う際にハンドリング性等に問題がでることがある。
なお、仮支持体を構成するシート表面には、マット処理、コロナ処理のほか、離型処理がほどこしてあってもよい。更に保護層を形成することもある。保護層を形成する基材としては、仮支持体に用いたものと同じ素材のものを用いても、異なった素材のものを用いてもよい。好適に使用されるものとしては、前記仮支持体と同様、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。
保護層(保護フィルム)の厚みとしては2μm〜150μmが一般的であるが5μm〜70μmがより好ましく、10μm〜50μmが更に好ましい。また、保護フィルムの厚みと支持ベースフィルムの厚みはどちらかが他方よりも厚くなってもよい。
保護フィルムにはマット処理、エンボス加工の他、離型処理が施してあってもよい。
また、仮支持体の幅を、基材の幅よりも5mm程度長くすることで、該基材に対しラミネートを行う場合に、ラミネート部の樹脂付着を防止することができ、また、使用時の仮支持体の剥離が容易になるなどの利点が得られる。
密着補助層形成用転写フィルムを用いたラミネートは、減圧下で行われ、その方式は、バッチ式であってもロール状の密着補助層形成用転写フィルムを用いた連続式であってもよい。
上記の如きラミネート条件は、密着補助層を構成する組成物の熱時溶融粘度、厚さと基材の厚みにより異なるが、一般的に圧着温度が70℃〜200℃、圧着圧力が1kgf/cm〜10kgf/cmであって、20mmHg以下の減圧下で積層するのが好ましい。
また、ラミネート後の樹脂組成物の表面平滑性は仮支持体が厚いほど優れるものの、その厚みが、5μm以上200μm以下であることが好ましい。5μm未満であると、仮支持体としての強度が不十分で、ハンドリング時に割れやしわなどを生じる場合があり、また、200μmを超えると、材料コストの上昇を生じる場合がある。ラミネート後は室温付近にまで冷却してから仮支持体を剥離する。
ラミネートで転写する場合には、温度80℃〜250℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜200℃が好ましく更に好ましくは110℃〜180℃であることが好ましい。また、かける圧力は0.5MPa〜3MPaが好ましく、更に好ましくは0.7MPa〜2MPaが好ましい。また、圧力をかける時間としては10秒から1時間が好ましく、更に好ましくは15秒から30分が好ましい。また、ラミネートでの密着を向上させるために真空ラミなど、減圧下で行うのが好ましい。また、本発明における両面金属膜付きフィルムを微細配線の形成に用いる場合には、その素材となる本発明の導電性物質吸着性基材はクリーンルーム内でラミネートを行うのが好ましい。
密着補助層を樹脂フィルム(基材)の上に塗布(印刷)で設ける場合は、前述の転写法で用いたような塗布液、又はワニス状組成物を基材の片面に塗布又は印刷する方法が用いられる。なお、この塗布(印刷)は所定の厚みになるまで繰り返すことも可能である。
また、塗布で密着補助層を設ける場合、密着補助層と後述する金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際に用いられる特定重合性化合物含有層(後述)とを2層同時に塗布してもよい。
この塗布には、常法が用いられ、例えば、ブレードコート法、ロッドコート法、スクイズコート法、リバースロールコート法、トランスファコールコート法、スピンコート法、バーコート法、エアーナイフ法、グラビア印刷法、スプレーコート法、ディスペンサー法、ディップ法など公知の塗布方法が挙げられる。また、印刷で行う場合は、通常のグラビア印刷のほか、インクジェット法などの方法で印刷することもできる。また、基材に塗布した後、基材と密着補助層、若しくは密着補助層どうしの接着を防ぐために十分乾燥させることをすることが好ましい。
また、密着補助層は基板上に形成後、何らかのエネルギーを与えて硬化処理工程をおこなってもよい。与えるエネルギーとしては、光、熱、圧力、電子線などが挙げられるが、本実施形態においては熱又は光が一般的であり、熱の場合は、100℃〜300℃の熱を5分〜120分加えることが好ましい。また、加熱硬化の条件は、樹脂フィルム(基材)の材料の種類、密着補助層を構成する樹脂組成物の種類等で異なり、これらの素材の硬化温度にもよるが、120℃〜220℃で20分〜120分の範囲で選択されることが好ましい。
この硬化処理工程は密着補助層の形成後すぐにおこなってもよく、密着補助層形成後に5分〜10分程度の予備硬化処理を行っておけば、密着補助層形成後に行われる他のすべてのそれぞれの工程を行ったあとに実施してもよい。
密着補助層の形成後、その表面に形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜、或いは、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際に用いられる特定重合性化合物含有層との密着性向上の目的で、乾式及び/又は湿式法により表面を粗化してもよい。乾式粗化法としては、バフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方、湿式粗化法としては、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。
〔(B)工程〕
本工程では、基材の片面に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を1層以上形成する。
ここで、金属イオン吸着能を有する樹脂膜は、基材に、エネルギー線により重合し、且つ、金属イオン吸着能を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマー(以下、適宜、「特定重合性化合物」と称する。)について説明する。)を接触させた後、エネルギー線を照射する方法を用いて形成されることが好ましい。
特に、基材が金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させうるものである場合や、前述の(G)工程において密着補助層が形成されている場合には、エネルギー線が照射されることで活性点が発生し、この活性点を起点として金属イオン吸着能を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマー(特定重合性化合物)が反応することにより、基材又は密着補助層と化学結合してなる金属イオン吸着能を有する樹脂膜が形成される。
(表面グラフト)
本発明において、基材又は密着補助層と化学結合してなる金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際には、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いることが好ましい。
グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
また、基材又は密着補助層と化学結合してなる金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際には、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、オキセタン基、エポキシ基、活性水素を含む官能基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、基材又は密着補助層と化学結合するポリマーがより多く生成する観点から、光グラフト重合法を用いて樹脂膜を形成することが好ましい。
本発明においては、この特定重合性化合物を基材(又は密着補助層)に接触させた後、エネルギー線を付与することにより、基材(又は密着補助層)に特定重合性化合物が重合してなる樹脂を直接化学結合させる態様が好ましい。
上記の接触は、基材、又は密着補助層が形成された基材を、特定重合性化合物を含有する液状組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、特定重合性化合物を主成分とする塗布膜又は層を基材、又は密着補助層が形成された基材に塗布法により形成してもよい。
ここで、エネルギー線により重合し、且つ、金属イオン吸着能を有するモノマー又はオリゴマー(以下、適宜、「特定重合性化合物」と称する。)について説明する。
この特定重合性化合物は、エネルギー線により重合し、特定重合性化合物同士、又は、特定重合性化合物と基材(又は密着補助層)とが結合するために、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を含む官能基や、下記反応性官能基を有することが好ましい。以下、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を含む官能基、及び下記反応性官能基を、総じて、「重合性基」と称する場合がある。
このラジカル重合可能な不飽和二重結合を含む官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、などが挙げられる。このうち、アクリロイル基、メタクリロイル基は反応性が高く、良好な結果が得られる。
また、特定重合性化合物はラジカル重合可能な不飽和二重結合を含む官能基以外の反応性官能基を有していてもよく、具体的には、オキセタン基、エポキシ基、イソシアネート基、活性水素を含む官能基、アゾ化合物における活性基、架橋剤と併用することで反応する官能基などが挙げられる。
また、本発明における特定重合性化合物は、金属イオン吸着能を示す部位を有する。この金属イオン吸着能を示す部位としては、極性基(親水性基)や、多座配位を形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などの非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)が挙げられる。特に、本工程で形成される樹脂膜の吸水性、吸湿性を低減するためには、金属イオン吸着能を示す部位としての非解離性官能基を用いることが好ましい。
前記極性基としては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有する官能基、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基が挙げられる。これらは解離基の対イオンの形で金属イオンと吸着する。
また、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の極性基も用いることもできる。
その他、イミノ基、1〜2級のアミノ基、アミド基、ウレタン基、水酸基(フェノールも含む)、チオール基などを用いることもできる。
また、前記非解離性官能基としては、具体的には、多座配位を形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などが好ましく、具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、フォスフィン基などの含リン官能基、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基、及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
また、本発明における非解離性官能基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
本発明において、特定重合性化合物は、モノマー、マクロモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態あってもよく、中でも、重合後の樹脂膜が一定の高次構造体を安定に形成できるという観点から、予め、ある程度の高分子量体であることが好ましいため、ポリマーを用いることが好ましい。
特定重合性化合物の一つである、極性基及び重合性基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、特定重合性化合物の一つである、極性基及び重合性基を有するポリマーとしては、前記極性基及び重合性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーが好ましく用いられる。この極性基及び重合性基を有するポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
極性基及び重合性基を有するポリマーにおいて、極性基及び重合性基を有するモノマーに由来するユニットは、金属イオン吸着性の観点から、該ポリマー中に、50モル%〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、60モル%〜90モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
極性基及び重合性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)極性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)極性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)極性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)極性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)極性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
極性基及び重合性基を有するポリマーの合成に用いられる、極性基を有するモノマーとしては、上記の極性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、極性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
また、本発明においては、特定重合性化合物としてマクロモノマーも使用することができる。本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本態様で用いられる極性基及び重合性基を有するマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
また、本発明における特定重合性化合物の一つである、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーとしては、具体的には以下のモノマーが使用できる。これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
Figure 2009006698
Figure 2009006698
また、特定重合性化合物の一つである、非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーとしては、前記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーが好ましく用いられる。この非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーにおいて、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーに由来するユニットは、金属イオン吸着性の観点から、該ポリマー中に、50モル%〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、60モル%〜90モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、吸水性を低下させるため、また、疎水性を向上させるために、上記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマー以外に他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。
このような非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、I)非解離性官能基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、II)非解離性官能基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、III)非解離性官能基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、II)非解離性官能基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、III)非解離性官能基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーの合成に用いられる、非解離性官能基を有するモノマーとしては、上記の非解離性官能基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。このモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非解離性官能基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、非解離性官能基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
以下、本発明において好適に用いられる非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
次に、本発明における特定重合性化合物として最も好ましいシアノ基及び重合性基を有するポリマー(以下、適宜、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)について説明する。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
Figure 2009006698
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009006698
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される2価の有機基であり、好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009006698
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009006698
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009006698
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、酸素原子、又はNR’(R’は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(2)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、L中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009006698
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009006698
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009006698
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009006698
Figure 2009006698
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009006698
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーション製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学製のライトアクリレート HOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、Mなどが使用できる。
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009006698
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することもできる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの精製の方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
(I)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(II)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(III)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(IV)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(I)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(I)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(II)の工程では、(I)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(III)の工程では、(II)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(IV)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(IV)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(I)〜(IV)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(I)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20MPa1/2〜23MPa1/2であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセチルアセトン、アセトフェノン、トリアセチン、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5mol%〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5mol%〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5mol%〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10mol%〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテールスルホン骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外の特定重合性化合物に関しても好適な範囲である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
Figure 2009006698
ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009006698
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーなどの特定重合性化合物は、重合性基と金属イオン吸着能を示す部位の他に、形成された樹脂膜の吸水性を高めない程度の範囲であれば、極性基を有していてもよい。極性基を有していることによって、後述の工程によりめっき金属膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場合には、樹脂膜と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる。
本発明における特定重合性化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である特定重合性化合物(モノマーやポリマー)などが溶解可能ならば特に制限はない。また、溶剤には、更に、界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50℃〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
また、本発明において、特定重合性化合物を含有する組成物を、基材又は密着補助層上に塗布する場合、基材や密着補助層の吸溶媒率が5%〜25%となる溶剤を選択することができる。この吸溶媒率は、基材や、密着補助層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求めることができる。
また、特定重合性化合物を含有する組成物を、基材又は密着補助層上に塗布する場合、基材や密着補助層の膨潤率が10%〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基材や、密着補助層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
必要に応じて組成物に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、前記組成物には、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
特定重合性化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
また、特定重合性化合物を含有する組成物には、必要に応じて、密着補助層の硬化を進めるために、硬化剤、及び/又は、硬化促進剤を添加することができる。例えば、密着補助層にエポキシ化合物が含まれる場合の硬化剤、及び/又は、硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BFモノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
これらの硬化剤及び/又は効果促進剤は、溶液の塗布性、基板やめっき膜との密着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の0質量%〜50質量%程度まで添加することが好ましい。また、硬化剤及び/又は硬化促進剤は密着補助層に添加してもよく、その場合は、密着補助層に添加した量と樹脂膜中に添加した総和量で上記範囲を満たすことが好ましい。
また、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。また、これらの添加剤は必要に応じて密着補助層に添加してもよい。
これらの特定重合性化合物と各種の添加剤を適宜混合した組成物を用いることで、形成された樹脂膜の物性、例えば、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、より高い方が好ましい。
得られた樹脂膜は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができ、例えば、熱分解に関しては、200℃環境に1時間曝した場合の質量減少が20%以下であると、十分に熱耐久性を有していると評価できる。
特定重合性化合物を含有する液状組成物を接触させる場合には、その塗布量は、金属イオン吸着性の観点からは、固形分換算で、0.1g/m〜10g/mが好ましく、特に0.5g/m〜5g/mが好ましい。
なお、基板上に、特定重合性化合物を含有する液状組成物を塗布し、乾燥させて、特定重合性化合物含有層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、20℃〜40℃で0.5時間〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギーの付与)
本発明におけるエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、500mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
また、特定重合性化合物として、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
以上説明した(B)工程により、基材又は密着補助層上に、金属イオン吸着能を有するグラフトポリマーが生成して、該グラフトポリマーからなる樹脂膜が形成される。
形成された樹脂膜の厚みは、金属配線の電気特性に影響を及ぼしにくく、且つ、コストアップを抑制する点から極力薄い方が好ましく、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。
なお、樹脂膜が密着補助層上に形成される場合には、密着補助層と樹脂層との総計が上記の範囲であることが好ましい。
得られた樹脂膜が、例えば、pH12のアルカリ性溶液に添加し、1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が50%以下である場合は、該樹脂膜に対して高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
〔(C)工程〕
本工程では、(B)工程において形成された金属イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを吸着させる。
ここで用いられる金属イオンとしては、具体的には、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、及び触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
これらの金属イオンを、金属イオン吸着能を有する樹脂膜に付与する方法としては、金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液を樹脂膜上に塗布するか、或いは、その溶液中に樹脂膜が形成された基材を浸漬すればよい。
なお、前記(B)工程において、基材上に、特定重合性化合物を含有する組成物を接触させる場合、この組成物中に、金属イオンを添加する方法を用いてもよい。なお、この方法を用いれば、本発明における(B)工程と(C)工程とが1工程で行えることになる。
本工程において、金属イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを接触させることで、樹脂膜中の金属イオン吸着能を有する官能基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、溶液や組成物中の金属イオン濃度は、0.01質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
〔(D)工程〕
本工程では、樹脂膜中に吸着された金属イオンを還元した後、めっきを行い、めっき金属膜を形成する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、金属イオンが還元されて析出した金属の量、密度により、選択することができる。
中でも、本発明においては、樹脂膜中に有機−無機ハイブリッド構造が形成し易く、めっき金属膜の密着性を向上させることができる点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき金属膜を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
ここで、金属イオンの還元方法について説明する。
なお、金属イオンの還元に用いられる還元剤としては、特に限定されず、水素化ホウ素ナトリウム(テトラヒドロホウ素酸塩)、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸、ヒドラジンなどが用いられる。
上記のような還元剤は、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオンが銀イオンである場合には、テトラヒドロホウ素酸ナトリウム、ホルムアルデヒドが、パラジウムイオンである場合には、ヒドラジン、ホルムアルデヒドが、好適なものとして挙げられる。
上記還元剤の付与方法としては、例えば、金属イオンが吸着した樹脂膜を、水洗して余分な金属イオンを除去した後、該樹脂膜を備えた基材をイオン交換水などの水中に浸漬し、そこに還元剤を添加する方法、この樹脂膜上に所定の濃度の還元剤溶液を直接塗布或いは滴下する方法等が挙げられる。
また、還元剤の付与量としては、金属イオンに対して、等量以上の過剰量用いるのが好ましく、10倍当量以上であることが更に好ましい。
この還元処理は、還元剤をめっき浴に添加することで、めっき処理と同時に行われてもよい。
この還元処理により、金属イオンが析出して金属粒子が得られる。つまり、還元処理後の樹脂膜中には金属粒子が存在することになる。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、金属粒子が存在する樹脂膜を有する基材を、水洗して余分な金属イオンや金属粒子を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては、後述するような、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
このめっき浴に用いられる溶剤には、樹脂膜に対して、親和性の高い有機溶剤を含有させることが好ましい。有機溶剤の種類の選択や、含有量は、樹脂膜の物性に応じて調整すればよい。特に、樹脂膜の飽和吸水率が大きければ大きいほど、有機溶剤の含有率を小さくすることが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可溶な溶媒が好ましく、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、ニッケル、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
本発明において、めっき金属膜の表面平滑性を高める観点から、無電解めっき浴として、めっき時の内部応力が少し引っ張り側に働くものを用いることが好ましい態様である。具体的には、特に、無電解めっき膜厚0μm〜2μmの領域で、内部応力の範囲としては、圧縮方向に力が大きいものをマイナス側とした際、−300〜+500MPaの浴を用いるのが好ましく、−100〜+350MPaの浴を用いるのがより好ましく、−50〜+250MPaの浴を用いるものが更に好ましい。
内部応力がマイナス側で大きすぎると、金属膜にブツやフクレといった故障が発生しやすい。一方、内部応力がプラス側で大きすぎると金属膜の割れなどの故障が発生しやすくなる。
上記範囲の応力を有する無電解めっき浴の好ましい例としては、市販のめっき浴として、スルカップPGT(上村工業、無電解銅めっき液)、ATSアドカッパーIW(奥野製薬、無電解銅めっき液)、エンプレートNI426(メルテックス、無電解Ni液)、メルプレートNI2250(メルテックス、無電解Ni液)などが挙げられる。なお、無電解めっき浴は、これに限定されるのではなく、上記の応力範囲に入るめっき浴であれば市販のものを全て使用できる。また、他の市販のめっき浴や圧縮応力の高いめっき浴に対し、異種金属や、リン、更には、有機物等の添加剤を添加すること、また、析出速度やめっき核の生成速度、めっき核の密度などをコントロールすることにより、上記の応力範囲に調整した無電解めっき浴を使用してもよい。
無電解めっき浴の応力の測定方法としては、ガラスバルブ法、薄片のたわみを測定する方法、ひずみゲージ法、X線測定法、電子回折法、光学法などが知られており、薄片のたわみを測定する方法としては、更に、Ragid Flat−Strip法、ストリップコントラクトメーター法、スパイラルコントラクトメーター法などが知られている。
本発明において、無電解めっき浴の応力を測定する方法としては、どの方法で測定してもよいが、例えば、以下の方法が用いることができる。
即ち、応力計として山本鍍金試験器社製ひずみゲージ式精密応力計を用い、センサーを貼り付けた試験片に、通常基板にめっきする場合と同じ条件でめっきを行い抵抗変化率を測定することにより、無電解めっき浴の応力を求めることができる。
このようにして形成される無電解めっきによるめっき金属膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。但し、電気めっきのための給電層として金属膜を形成する場合はこの限りではなく、0.1μm以上の金属膜が形成されれば十分である。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、樹脂膜中に金属イオンが還元して析出した金属粒子がぎっしりと分散しており、更に樹脂膜上にめっき金属が析出していることが確認された。樹脂フィルム(基材)とめっき金属膜との界面は、樹脂膜と金属粒子とのハイブリッド状態であるため、基材(有機成分)と無機物(金属粒子)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
(電気めっき)
本工程おいては、前述の還元処理において析出した金属粒子が密集して電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与された樹脂膜に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
本発明において、(D)工程で形成されためっき金属膜は、その物性を向上させる観点から、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzが5μm以下であることが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。金属膜の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、平滑性が高い状態であれば、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
また、本発明において、前述のめっき触媒、めっき触媒前駆体に由来する金属や金属塩、及び/又は、無電解めっきにより、樹脂膜中に析出した金属が、該膜中でフラクタル状の微細構造体として形成されていることによって、金属膜と樹脂膜との密着性を更に向上させることができる。
樹脂膜中に存在する金属量は、基材断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、樹脂膜の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5面積%〜50面積%であり、樹脂膜と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmである場合に、更に強い密着力が発現される。
本発明により得られた両面金属膜付きフィルムが、配線の形成に用いられる場合には、樹脂フィルム(基材)には、その両面に設けられた金属膜間を接続するためのビアが設けられていてもよい。
このようにビア(貫通孔)を有する基材を用いた両面金属膜付きフィルムを製造するためには、本発明では、(E)樹脂フィルムにビアを形成する工程と、(F)該ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する工程と、を更に有することが好ましい。
〔(E)工程〕
本工程では、樹脂フィルム(基材)にビアを形成する。
このビアの形成には、ドリル加工が一般的に用いられるが、微細加工の際には、レーザ加工等でビア穴を形成する方法を適用することもできる。
本工程に用いるレーザとしては、発振波長が紫外光領域から赤外光領域までのいずれかの波長であっても用いることができる。なお、ここで上記紫外光領域とは50〜400nmの範囲の波長領域をいい、赤外光領域とは750nm〜1mmの範囲の波長領域をいう。用い得るレーザとしては、紫外線レーザ、炭酸ガスレーザなどが挙げられる。
前記紫外線レーザとしては、発光波長領域が、通常、180nm〜380nm、好ましくは200nm〜380nm、より好ましくは300nm〜380nmである。紫外線レーザを得るためのレーザの例として、Ar、N、ArF、KrF、XeCL、XeF、He−Cd、He−Neなどの気体レーザ;YAG、NdYAG、Ndガラス、アレキサンドライトなどの固体レーザ;有機溶剤に溶かした色素を用いる色素レーザなどが挙げられる。特に、高出力エネルギー発振が可能で、長寿命で、レーザ装置を安価に維持可能なYAGレーザ、NdYAGレーザが好適である。紫外線領域の発振波長として、これらレーザの高調波が好適に用いられる。レーザ高調波は、例えばYAGレーザなどで1.06μmのレーザ光(基本波)を発振させ、このレーザ光を、光路方向に所定の間隔をもって並列する二つの非線形結晶(LBO結晶)に通すことによって、波長0.53μmのSHG光を経て、波長0.355μmのTHG光(紫外線)に変換することによって得られる。このような高調波を得るための装置としては、特開平11−342485号公報などに開示されているレーザ加工機が挙げられる。レーザは、連続的に又は断続的に照射することができるが、単パルスで断続的に照射する方が、クラック発生が防止できるので好ましい。
単パルス照射における照射回数(ショット数)は、通常5回〜500回、好ましくは10回〜100回である。照射回数が増えると加工時間が長くなり、クラックも発生しやすい傾向になる。パルス周期は、通常3kHz〜8kHz、好ましくは4kHz〜5kHzである。炭酸ガスレーザは分子レーザであり、電力からレーザ光に変換する効率が10%以上であり、発振波長は10.6μmで数十kWもの大出力を発生させることができる。通常、20mJ〜40mJ程度のエネルギーを有し、約10−4秒〜10−8秒程度の短パルスで実施する。ビア形成に必要なパルスのショット数は、通常、約5ショット〜1000ショット程度である。形成されるビアは、スルーホール及びブラインドビアホールとして利用される。
ビアの底部分の内径(d1)と孔の入り口(表面)部分の内径(d0)との比率(孔径比:d1/d0×100[%])は、通常40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上である。また、d0は10μm〜250μmの範囲が好ましく、20μm〜80μmの範囲がより好ましい。この孔径比が大きいものは、導通不良を起こし難く信頼性が高い。
本工程が行われるタイミングは特に限定されず、樹脂フィルム(基材)単独の状態でも、基材上に密着補助層、特定重合性化合物含有層、樹脂膜、金属膜、金属めっき膜などが形成された後の状態でも行うことができる。
但し、後述の(F)工程において、樹脂フィルム(基材)に形成されたビアの側面(内周)に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成し、その後、前述の(C)工程、及び(D)工程を行うことで、基材の片面にめっき金属膜が形成されるのと同時に、ビアの内部にも密着性に優れた金属膜を形成することができる。この点から、本工程は、樹脂フィルム(基材)単独に対して行うか、基材に前述の(A)工程により金属膜が形成された後に行うか、基材に金属膜と樹脂膜が形成された後に行うことが好ましい。特に、製造性の観点からは、前述の(A)工程により金属膜が形成された基材に対し、本工程が行われることが好ましい。
なお、ビアの内部に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を設けずとも、めっきによる金属膜を形成することは可能であるが、よりよい密着性を確保するためには、めっき処理の前に、通常行われるコンディショニング処理や触媒付与処理を行うことが好ましい。
また、本発明においては、形成されたビアに残存するスミアを除去するデスミア工程を行ってもよい。これは必要に応じて、ビア穴部の表面を乾式及び/又は湿式法により粗化する。乾式粗化法としては、バフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方湿式粗化法としては、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。デスミア工程は絶縁膜にシードを利用して無電解めっきを行い給電層となる金属膜を形成した後に行うこともできる。この工程では膨潤工程、エッチング工程、中和工程などが含まれる。例えば有機溶剤系の膨潤液を用いた60℃5分間の膨潤工程、過マンガン酸ナトリム系のエッチング液を用いた80℃10分間のエッチング工程、硫酸計の中和液を用いて40℃5分間の中和工程などが代表的な例である。
デスミアを行わない場合は樹脂フィルム(基材)を溶解、若しくは膨潤させる溶剤で洗浄するのも有効である。
〔(F)工程〕
本工程では、前述の(E)工程で形成されたビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する。
この工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜は、前述の(C)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜と同様であり、好ましい例も同様である。
本発明において、ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成するためには、例えば、以下に示す方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
第1の方法としては、まず、前記(A)工程、前記(E)工程、及び前記(B)工程をこの順に行った後、該(B)工程で形成された金属イオン吸着能を有する樹脂膜上に保護層を設け、その後、ビア部の保護層を除去し、このビアを有する基材を、特定重合性化合物を含有する液状組成物中に浸漬させる。その後、ビアを有する基材を引き上げ、散乱型の露光方式を用い、ビアの側面に対して露光を行うことにより、ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成することができる。
第2の方法としては、まず、前記(A)工程、前記(E)工程、及び前記(B)工程をこの順に行った後、上記のように保護層を設けずにビアの内部のみに特定重合性化合物を含有する液状組成物を充填させる。その後、過剰液を除去し、次いで、散乱型の露光方式を用い、ビアの側面に対して露光を行うことにより、ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成することができる。
第3の方法としては、まず、前記(A)工程、及び前記(E)工程をこの順に行った後、ビアを有する基材を、特定重合性化合物を含有する液状組成物中に浸漬させる。その後、ビアを有する基材を引き上げ、散乱型の露光方式を用い、基材の片面、及びビアの側面に対して露光を行うことにより、基材の片面、及びビアの側面に同時に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成することができる。
第4の方法としては、まず、前記(A)工程、及び前記(E)工程をこの順に行った後、ビア部以外の基材表面に保護層を設け、上記第1〜第3のいずれかの方法を適用し、特定重合性化合物を含有する液状組成物をビアに接触させ、露光を行うことで、ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する。その後、保護層が除去されて、前述の(B)工程へと供されることになる。
前記第3の方法のように、基材の片面とビア側面とに同時に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する態様以外では、基材の片面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する際に平行型の露光方式を使うことができるため、ファインパターンの形成や金属イオン吸着能を有する樹脂膜自体のパターンニングが可能となる。
〔保護層形成工程〕
本発明において、(A)工程で形成される金属膜、及び(D)工程で形成されるめっき金属膜の表面には、保護層が設けられてもよい。
この保護層としては、ドライフィルムレジスト、カバーレイ、ソルダーレジストなどが用いられる。
保護層の厚みは、5μm〜200μmが好ましい。5μm未満ではフィルムが切れやすいため取扱いにくく、一方耐折性を満たすには200μmを越えるフィルムは適さない。特に好ましくは10μm〜50μmである。
本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法により得られた両面金属膜付きフィルム(本発明の両面金属膜付きフィルム)は、片面はキャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により形成された金属膜を有し、また、片面が金属イオン吸着能を有する樹脂膜をアンカーとして用いて形成されためっき金属膜を有する。
このめっき金属膜は、表面平滑性の高い基材に対し優れた密着性を示すものである。そのため、基材の表面凹凸に影響を受けず、密着性に優れた高精細(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下)な配線を形成することができる。
一方、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により形成された金属膜は、密着性の向上のために、基材の表面凹凸を0.5μm〜5μmの範囲とするが、この凹凸表面であっても、ライン/スペースの値が50/50μm程度の配線は十分に形成することができる。
以上のように、本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法によれば、様々なライン/スペースの配線を形成することが可能な金属膜を、簡便に作製することができる。また、両面の金属膜の厚みを異ならせることも容易であり、これらの結果、用途選択性が拡がるといった効果を有するものである。
また、フレキシブルプリント配線板を使用する電子機器(携帯電話など)においては、多くの情報量を必要とする伝送路と、制御信号などの比較的情報量の少なくてよい伝送路が存在している。情報量の多い伝送路は、当然、回路・配線の微細化や細線化が必要であり、それに伴う金属層/樹脂層の密着改良などの技術が必要であるが、情報量の少ない伝送路においては、上記の微細配線のための技術は必要がない。つまり、情報量の少ない伝送路については、太い金属配線とし、より信頼性の高い電気配線を用いることが好ましい。
本発明では、一方の面に、既に公知の成熟した方式によって銅膜などの金属膜を形成する方法を適用し、更に、他方の面に、平滑な面に対しても密着性に優れためっき膜を形成する方法を適用することで両面金属膜付きフィルムを得ることができる。この両面金属膜付きフィルムは、上記のように、情報量の多い伝送路、及び情報量の少ない伝送路の両方が要求される用途に対しては、両面ともに微細配線を形成するための金属膜を形成した両面金属膜付きフィルムと同等の電気的性能を、生産性良く、安価に且つより高い信頼性を具備して実現することができる。
<配線(金属パターン)の形成>
本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法により得られた両面金属膜付きフィルム(本発明の両面金属膜付きフィルム)は、両面の金属膜がそれぞれ公知の方法にてパターニングすることで配線(金属パターン)とすることができる。
即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては、如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが、装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
なお、このサブトラクティブ法が適用される金属膜の膜厚としては、5μm以上であることが好ましく、5μm〜30μmの範囲であることがより好ましい。
また、セミアディティブ法とは、形成された金属膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電気メッキを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっきの手法としては前記記載の手法が使用できる。
なお、このセミアディティブ法が適用される金属膜の膜厚としては、エッチング処理を短時間で行えるように、0.3μm〜3μmの範囲であることが好ましい。
以上の工程を経ることにより、所望の金属パターン(配線)が形成される。
なお、上記の方法により形成された金属パターンに対し、更に、電気めっき、無電解めっきを行ってもよい。
本発明においては、金属パターン形成後、金属膜の非形成領域に残存する樹脂層を不活性化する工程を行ってもよい。不活性化を行うことにより、イオンマイグレーションなどの故障を未然に防ぐこともできる。不活性化の方法としては、樹脂層とある種のイオン化合物を反応させて、不溶の塩構造を形成してしまう方法、イオン吸着能を有する部位(特に、極性基)を、絶縁性、疎水性の基に化学的に改質する方法などが挙げられる。
更には、得られた金属パターンを配線に適用する際、該金属パターンの上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性を上げるために、これらの層と化学結合をつくりうる官能基に改質してもよい。
更には、金属パターン形成後、金属膜の非形成領域に残存する樹脂層を除去する工程を入れてもよい。除去の方法としては、例えば、粗面化処理に用いられるデスミア工程を用いてもよい。デスミア工程は、アルカリ性過マンガン酸を用いる方法が知られている。この工程には、膨潤工程、エッチング工程、中和工程などが含まれる。
この処理を行うことにより、得られた金属パターンを配線に適用する際、該金属パターンの上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性を上げることができる。 また、配線形成時は粗面化していないため、高精細な配線パターンが形成できる。
また、形成された金属パターンが銅である場合には、公知の銅面処理を行ってもよい。処理法としては、黒色酸化処理法、酸化銅還元法、銅粗面化法、粗面化無電解銅めっき法などを適用することができる。これらを行うことにより、得られた金属パターンを配線に適用する際、該金属パターンの上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性を上げることができる。
また、形成された金属パターンは、表面の酸化を防止するために防錆処理を行うことも可能である。
更に、金属パターンが形成された基材を、電気的絶縁層を介して積層することで、多層配線基板を作製することができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
〔実施例1〕
膜厚25μmのポリイミドフィルムの片面に35μmの銅膜が形成されたNIKAFLEX(型番F−50VC2:ニッカン工業株式会社製)を用意した。なお、この銅膜はラミネート法で形成されたものであり、接着層は13μmである。
この銅膜上に、富士フイルム社製ドライフィルムレジストRE3001Aを用いて、保護層を形成した。
[密着補助層の形成]
−ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の合成−
窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中に4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(5.75g:28.7mmol)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。
この溶液に3,3’,4,4’’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(9.25g:28.7mmol)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈してポリイミド前駆体を得た。GPCによる分子量(Mw)は2.8万であった。また。更に、H−NMR、FT−IRによりその構造を確認した。
上記手法で合成したポリアミック酸をDMAc(和光純薬(株)社製)に溶かし20質量%の溶液とした。
この溶液を、上記ポリイミドフィルムの銅膜が形成されていない面に、スピンコータ(300rpmで5秒回転後、1500回転で25秒回転)を用いて塗布した後、100℃で5分間乾燥し、250℃で30分間加熱して固化させ、厚さ1μmの密着補助層を形成した。
この密着補助層が形成された基板を基板A1とした。この基板AB1の密着補助層の表面凹凸(Rz)は0.3μmであった。
−非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーAの合成−
下記のようにして、非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーAを合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーAを32g得た。
(塗布液の調製)
非解離性官能基及び重合性基を有するポリマーA:10.5質量部、アセトン73.3質量部、メタノール33.9質量部、及びN,Nジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布液を、スピンコートにて前記基板A1の密着補助層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の密着補助層の全面にグラフトポリマーを生成させた。
その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
ここで、以上のようにして得られた樹脂膜(グラフトポリマーからなる樹脂膜)の膜厚は、0.5μmであった。
これにより、樹脂膜を有する基板A2を得た。
[金属イオンの付与、及び金属イオンの還元]
樹脂膜を有する基板A2を、Pdの1%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、1%ジメチルボラン−水/メタノール(水/メタノール=1/3)混合溶液を触媒活性化液(還元液)として用い、この溶液中に、樹脂膜を有する基板A2を15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[無電解めっき]
金属イオンを還元して得られた金属粒子を含む樹脂膜を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で5分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
(電気メッキ浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
<密着性評価>
得られためっき金属膜に対して、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.7kN/mであった。
また、ポリイミドフィルムの片面に形成されていた銅膜の密着性の強度も同様の方法で測定したところ、0.9kN/mであった。
[金属パターンの形成]
得られためっき金属膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ライン・アンド・スペース=10μm/10μmの微細配線(金属パターン)を形成した。形成された微細配線を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)で観察したところ、厚み18μmの銅微細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。
また、一方、予め形成されていた35μmの銅膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ライン・アンド・スペース=100μm/100μmの配線(金属パターン)を形成した。形成された微細配線を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)で観察したところ、厚み35μmの銅細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。
〔実施例2〕
(密着補助層の形成)
実施例1と同じ、保護層が形成された銅膜付きポリイミドフィルムを用意した。
次に、jER806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン製)11.9質量部、LA7052(フェノライト、硬化剤:大日本インキ化学工業)4.7質量部、YP50−35EK(フェノキシ樹脂、東都化成製)21.7質量部、シクロヘキサノン61.6質量部、及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1質量部を混合した混合溶液を、ろ布(メッシュ#200)にて濾過し、塗布液を調製した。
この塗布液を、上記銅膜付きポリイミドフィルムの銅膜が形成されていない面上にスピンコータ(300rpmで5秒回転後、1500rpmで25秒回転)にて塗布し、その後、170℃で60分間乾燥して硬化させた。硬化した密着補助層の厚みは1.3μmであった。
この密着補助層が形成された基板を基板B1とした。この基板B1の密着補助層の表面凹凸(Rz)は0.3μmであった。
この基板B1に対して、実施例1と同様の方法で、[金属イオン吸着能を有する樹脂膜の形成]、[金属イオンの付与、及び金属イオンの還元]、[無電解めっき]、及び[電気めっき]を行った。
なお、[金属イオン吸着能を有する樹脂膜の形成]で得られた樹脂膜(グラフトポリマーからなる樹脂膜)の膜厚は、0.5μmであった。
<密着性評価>
得られためっき金属膜に対して、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.7kN/mであった。
また、ポリイミドフィルムの片面に形成されていた銅膜の密着性の強度も同様の方法で測定したところ、0.9kN/mであった。
[金属パターンの形成]
得られためっき金属膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ライン・アンド・スペース=10μm/10μmの微細配線(金属パターン)を形成した。形成された微細配線を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)で観察したところ、厚み18μmの銅微細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。
また、一方、予め形成されていた35μmの銅膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ライン・アンド・スペース=100μm/100μmの配線(金属パターン)を形成した。形成された微細配線を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700(キーエンス株式会社製)で観察したところ、厚み35μmの銅細配線が欠陥なく形成できていることを確認した。
〔実施例3〕
実施例1における[無電解めっき]を、以下の方法に代えた以外は実施例1と同様にして、両面金属膜付きフィルムを作製した。
[無電解めっき]
上村工業(株)製のスルカップPGTを用い、下記の建浴条件の浴を無電解めっき浴として使用した。
この無電解めっき浴の温度26℃とし、10分間無電解めっきを行った。
Figure 2009006698
なお、無電解めっき浴の温度を26℃、pHを水酸化ナトリウム及び硫酸で12.6に調整し、これを用いて10分間無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.2μmであった。
得られた無電解銅めっき膜の表面を、顕微鏡(オリンパス社製BX−51を用いて倍率100倍)にて観察したところ、フクレ(めっき平面からの突起物)が100cm当たり6個確認された。
なお、実施例1及び実施例2についても、無電解めっき後に得られた無電解銅めっき膜の表面を上記と同様の方法で観察したところ、フクレが、実施例1では100cm当たり24個、実施例2では28個確認された。
このように、本発明の両面金属膜付きフィルムの製造方法に、内部応力の範囲が−300〜+500MPaの範囲にある無電解めっき浴(上村工業社製スルカップPGT)を用いることで、形成された無電解銅めっき膜の表面平滑性が向上することが分かる。
なお、実施例1及び実施例2において確認されたフクレの数は、電気銅めっき膜の存在もあり、実用上問題のない程度である。
実施例3のように、フクレが抑制され、高い表面平滑性を有するめっき金属膜が得られると、25μm以下の微細配線を作製した場合、その微細配線の性能低下(配線がフクレ周辺で隣の配線とくっついて導通してしまったり、逆にフクレの部分で断線したりする故障)を抑制することができるため、好ましい。

Claims (14)

  1. (A)樹脂フィルムの一方の面に、キャスティング法、メタライジング法、又はラミネート法により金属膜を形成する工程と、
    (B)樹脂フィルムの他方の面に、金属イオン吸着能を有する樹脂膜を1層以上形成する工程と、
    (C)該イオン吸着能を有する樹脂膜に金属イオンを吸着させる工程と、
    (D)該金属イオンを還元した後、めっきを行い、めっき金属膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  2. 更に、
    (E)前記樹脂フィルムにビアを形成する工程と、
    (F)該ビアの側面に金属イオン吸着能を有する樹脂膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  3. 前記(B)工程、及び前記(E)工程において、金属イオン吸着能を有する樹脂膜が、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  4. 前記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂において、非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーに由来するユニットが、該樹脂中に50モル%〜95モル%含んでなることを特徴とする請求項3に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  5. 前記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーが、該非解離性官能基としてアルキルシアノ基を有することを特徴とする請求項4に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  6. 前記非解離性官能基及び重合性基を有するモノマーを用いて形成される樹脂が、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
    Figure 2009006698
    (上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
  7. 前記(B)工程、又は、前記(F)工程において、樹脂フィルムに、エネルギー線により重合し、且つ、金属イオン吸着能を有するモノマー、オリゴマー、又は重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギー線を照射する方法が用いられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  8. 前記金属イオンが、Cr、Ag、Ti、Zn、Au、Pd、及びCuからなる群より選ばれること特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  9. (G)樹脂フィルムと金属イオン吸着能を有する樹脂膜との間に、該樹脂フィルム及び該樹脂膜と相互作用を形成する密着補助層を形成する工程を、更に有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  10. 前記密着補助層が、重合開始剤を固形分で0.1質量%〜50質量%含んでいることを特徴とする請求項9に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  11. 前記(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の厚み、又は、前記(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の厚みと、前記(G)工程で形成される密着補助層の厚みとの総計が、0.01μm〜10μmであること特徴とする請求項9又は請求項10に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  12. 前記(A)工程で形成される金属膜の厚みと、前記(D)工程で形成されるめっき金属膜の厚みと、が異なることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  13. 前記(B)工程で金属イオン吸着能を有する樹脂膜が形成される樹脂フィルムの表面、前記(B)工程で形成される金属イオン吸着能を有する樹脂膜の表面、又は前記(G)工程で形成される密着補助層の表面の表面粗さRzが0.5μm以下であることを特徴とする請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の両面金属膜付きフィルムの製造方法により得られた両面金属膜付きフィルム。
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