JP2009256777A - 表面金属膜材料の作製方法及びそれにより得られる表面金属膜材料 - Google Patents

表面金属膜材料の作製方法及びそれにより得られる表面金属膜材料 Download PDF

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Abstract

【課題】金属膜の密着性に優れ、湿度変化による密着力の変動が少なく、且つ、耐熱衝撃性に優れた表面金属膜材料、及びその作製方法を提供する。
【解決手段】(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、(a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属膜を形成する工程と、を有し、前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする表面金属膜材料の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面金属膜材料の作製方法、及び、表面金属膜材料に関し、詳細には、耐熱衝撃性に優れた表面金属膜材料の作製方法、及び、表面金属膜材料に関する。
従来、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理することが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決するため、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を行うことで、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
さらに、このような技術の改良として、基材と結合してなるポリマー層を用いて支持体上に密着性に優れた導電性膜を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの方法によれば、グラフトポリマーが極性基を有することから、温度や湿度変化により水分の吸収や脱離が生じ易く、その結果、形成された金属膜や基板が変形してしまうという問題を有していた。
また、この方法を利用して得られた金属パターンを金属配線基板の配線として使用する際には、基板界面部分に極性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分やイオン等を保持しやすくなるため、温・湿度依存性や配線間の耐イオンマイグレーション性や、形状の変化に懸念があった。
金属膜と基板との密着性向上の他の手段として、低温硬化性で、露光及びアルカリ現像によりパターニングすることができる、プリント配線板のソルダーレジストやビルドアップ基板やチップ実装基板用の層間絶縁膜に適するエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この樹脂組成物は、低温で長時間加熱することで、硬化率80〜95%とすることを特徴とするが、金属膜との密着性になお改良の余地があり、また、硬化樹脂の組成が多成分系であるため、硬化率の熱物性への寄与が不明確である等の問題があった。
特に、プリント配線板などの微細配線に適用した際には、配線(金属パターン)間における高い絶縁性が必要であり、また、微細配線の場合には、温度によるサイズ変動や変形の影響を受けやすくなるため、配線間の絶縁信頼性及び基板の耐熱衝撃性の、より一層の向上が要求されているのが現状である。
Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
特開2006−282878公報 特開2003−26762公報
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、金属膜の密着性に優れ、湿度変化による密着力の変動が少なく、且つ、耐熱衝撃性に優れた表面金属膜材料、及びその作製方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
即ち、本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法は、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、(a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って表面に金属膜を形成する工程と、を有し、 前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする。
本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法の好ましい態様は以下に示すとおりである。
前記(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程が、下記(a2−1)〜(a2−3)から選択される工程であることを特徴とする請求項1に記載の表面金属膜材料の作製方法。
(a2−1)加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
(a2−2)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光することで重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
(a2−3)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光し、その後、加熱温度160℃〜200℃で、加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、のいずれかであることが好ましい。
また、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程が、ポリマーをパターン状に形成する工程であって、該(a1)工程に引き続き、(a1−1)ポリマー層の形成に寄与しなかった未反応成分を除去する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程とを、この順に実施することが好ましい。
(a1)工程は、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーを、エネルギーを付与することで直接化学結合させることにより行われることを特徴とすること、(a1−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを、エネルギーを付与することで直接化学結合させる工程と、を含むことが好ましい。
本発明において、前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーが、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい態様である。
Figure 2009256777
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
また、本発明において、前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が20000以上であることが好ましい態様である。
本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法は、(a1’)基板上に、シアノ基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基消費率を5%〜60%とする工程と、(a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属膜を形成する工程と、を有し、
前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする。
また、(a1’)工程は、基板上に、シアノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われるが好ましい態様である。
更に、(a1’)工程が、(a1’−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1’−2)該重合開始層に、シアノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させると、を含むことも好ましい態様である。
加えて、前記シアノ基及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が20000以上であることが好ましい態様である。
本発明において、(a3)工程では、無電解めっきが行われることが好ましく、該無電解めっきの後に、更に電気めっきが行われることがより好ましい。
また、本発明における(a3)工程で用いられるめっき触媒はパラジウムであることが好ましい。
本発明の表面金属膜材料は、上記本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られたものである。
本発明によれば、金属膜の密着性に優れ、湿度変化による密着力の変動が少なく、且つ、耐熱衝撃性に優れた表面金属膜材料、及びその作製方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られた表面金属材料は、該金属層をパターン状に形成した場合、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<表面金属膜材料の作製方法>
本発明の第1の金属膜付基板の作製方法は、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)エネルギーを付与してポリマー層中の重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、(a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属膜を形成する工程と、を有し、前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする。
また、本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法は、(a1’)基板上に、シアノ基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、(a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする。
本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料は、表面のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を実施することにより、金属パターン材料を作製することもできる。
つまり、金属パターン材料の作製方法は、前述の表面金属膜材料の作製方法における(a1)又は(a1’)、(a2)、(a3)工程を行った後、形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程〔(a4)工程〕を行うものである。
なお、材料の物性によっては、(a2)工程に先立って、(a3)工程を実施しても、同様の効果が得られる。
本発明の第1及び第2の表面金属膜材料の作製方法において形成されるポリマー層は、高温高湿下であっても吸水性が低く、また、疎水性が高いものである。
また、基板に結合したポリマーからなるポリマー層にめっき触媒等を付与した後、これを用いてめっきを行うことでポリマー層との密着性に優れた金属膜を得ることができる。
これらの点から、得られた表面金属膜材料は、基板との密着性に優れた金属膜を有し、更に、ポリマー層が湿度変化に応じて変化することがないため、湿度変化による密着力の変動が少なく、また、重合性基の残存量が所定の範囲に制御され、ポリマー層の熱膨張係数が低く抑えられるために、熱による変形が生じ難く、また、繰り返し加熱、冷却を受ける条件下であっても、耐熱衝撃性に優れたものとなる。このような表面金属膜材料は、後述の金属パターン材料の作製方法等に適用されて、電気配線用材料として用いられる他にも、電磁波防止膜、シールド材料等に用いることができる。
なお、前記本発明の製造方法により得られた表面金属膜材料は、基板と金属膜との密着性に寄与する特定ポリマー層中に残存する重合性基の残存率を5%〜60%、好ましくは、15%〜60%、より好ましくは15%〜40%の範囲に制御している。残存率をこの範囲とすることにより、密着性と、耐熱衝撃性に優れることになり、具体的には、得られたポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下となり、より好ましくは100ppm以下の物性を達成しうる。重合性基の残存率が60%を超えると、密着性の低下が見られる。また、重合性基の残存率を5%未満としても大きな効果の向上は見られず、また、これを5%未満とするためには多大なエネルギー付与を必要とするなど反応条件を厳しくすることを要するため、却ってポリマー層の物性を低下させる懸念があり好ましくない。
(熱膨張係数の測定)
本発明における熱膨張係数の測定は、ティーエイインスツルメンツ社製Q400型TMAを用い、フィルム・ファイバープローブを使用して測定した値を用いている。測定は、昇温速度5℃/min. to 160℃、5℃/min. to −60℃、5℃/min. to 160℃で繰り返し昇降温させ、最後の昇温での寸法変化より熱膨張係数を求めた。
また、金属パターンを形成する場合には、後述する(a4)工程を実施すればよい。この方法により得られた金属パターンにおいては、該金属パターンの非形成領域にこのポリマー層が露出した状態が形成されても、この露出した部分は吸水することがなく、これに起因する絶縁性の低下が起こらない。その結果、本発明の金属パターン材料の作製方法において形成された金属パターン材料は、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れたものとなる。
以下、本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法において形成されたポリマー膜は、好ましくは以下の2つの条件を満たす。
条件1:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜10質量%
条件2:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜20質量%
これらの条件について説明する。
条件1及び2における飽和吸水率及び吸水率は、以下の方法にて測定することができる。
まず、基板を減圧乾燥機内に放置し、基板内に含まれる水分を除去した後、条件1、2の場合は、所望の温度及び湿度に設定された恒温恒湿槽内に放置し、条件3の場合は、100℃煮沸水入りのウォーターバスに1時間浸漬し、質量変化の測定によって飽和吸水率及び吸水率を測定する。ここで、条件1、2における飽和吸水率は、質量が24時間経過後も変化しなくなった時の吸水率を示している。別途、予め質量変化が既知である前記基板上にポリマー層を形成した積層体についても、同様の操作により積層体の飽和吸水率及び吸水率を測定することにより、基板の吸水率と積層体の吸水率との差分によりポリマー層の吸水率を測定することができる。また、ポリマー層を基板上に付与せずに、シャーレなどを用いて、ポリマー層を構成するポリマーの単独膜を作製し、得られたポリマー単独膜を、上記の方法によって直接吸水率を測定してもよい。
また、本発明においては、(a1)工程で得られたポリマー層が、下記1’及び2’の条件を満たすことが好ましい態様である。
条件1’:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜5質量%
条件2’:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜10質量%
ここで、上記1及び2(好ましくは1’及び2’)の条件を全て満たすポリマー層を得るためには、このポリマー層を構成するポリマーとして、吸水性が低いものや、疎水性のもの(親水性が低いもの)を用いる方法や、ポリマー層中に、吸水性を低下させる物質や、疎水性を向上させるような物質を添加する方法、更には、ポリマー層を形成した後、該ポリマー層を形成するポリマー分子を疎水化する反応性物質を含む溶液などに浸漬させて、ポリマーとその反応性物質を反応させて疎水化するなど方法が挙げられるが、吸水性や疎水性の制御の容易性の観点から、ポリマー層を構成するポリマーとして、吸水性が低いものや、疎水性のもの(親水性が低いもの)を用いる方法を用いることが好ましい。
また、ポリマー層の形成後に、さらに(a2)工程においてエネルギー付与により、層中に残存する重合性基の残存率を5%〜60%の範囲に制御することにより、得られる表面金属膜材料は耐熱衝撃性に優れたものとなる。
まず、本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法における(a1)〜(a3)の各工程、及び、本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法における(a1’)〜(a3)の各工程について説明する。
〔(a1)工程〕
本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法における(a1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(以下、単に、「相互作用性基」と称する場合がある。)を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
このポリマー層は、前記1及び2の条件を全て満たすことを要する。
(a1)工程は、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われることが好ましい。
また、(a1)工程が、(a1−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層に、相互作用性基を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程であることも好ましい態様である。
また、上記(a1−2)工程は、前記重合開始層上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
(表面グラフト)
基板上におけるポリマー層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
本発明におけるポリマー層を形成する際には、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法、特に、UV光による光グラフト重合法を用いてポリマー層を形成することが好ましい。
〔基板〕
本発明における「基板」とは、その表面が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有するものであり、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また、該基材上に別途中間層(例えば、後述する重合開始層)を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
(基材、基板)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有している場合には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
本発明における基板として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
また、本発明の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、又は、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いることが好ましい。
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)、若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252-1258(2004)に記載)、液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、フッ素樹脂(PTFE)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。たとえば、PPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、或いは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。またシアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、“電子技術”2002/9号、P35に記載されている。また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂及び/又はポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物のようなもの、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。中でも、充填材としてはシリカを用いることが好ましい。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を絶縁性樹脂組成物に添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下する。
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
本発明に用いられる基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、表面凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。この基板の表面凹凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属パターン材料を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
本発明においては、基板が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であれば、その両面に(a1)工程を施すことで、樹脂フィルムの両面にポリマー層を形成することができる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面にポリマー層が形成された場合には、更に、後述する(a2)工程、及び(a3)工程を行うことで、両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層を形成した基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく発生させ、より多くのグラフトポリマーを生成させることができる。
以下、本発明における重合開始層について説明する。なお、基材が板状物であれば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
(重合開始層)
本発明における重合開始層としては、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、重合性化合物と重合開始剤とを含む層、重合開始可能な官能基を有する層が挙げられる。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面に設け、加熱又は光照射により硬膜することで、形成することができる。
本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーと、重合開始剤とを混合したものが用いることができる。
このような分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
これらの重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で10〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを、目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、これを含む重合開始層から表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、更に、ラジカル重合開始剤が好ましい。
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類;トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロフォスフェートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムサルフェートなどのヨードニウム塩などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合開始層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、0.1〜15g/mがより好ましく、0.1〜2g/mが更に好ましい。
本発明においては、上記のように、基材上に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合開始層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、重合開始層上にグラフトポリマーが生成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するグラフトポリマーの生成反応に用いる光源を用いることができる。引き続き行われるグラフトポリマー生成工程において、エネルギー付与により発生する重合開始層の活性点と、グラフトポリマーの生成を阻害しないという観点からは、重合開始層中に存在する重合開始剤が重合性化合物を硬化する際にラジカル重合しても、完全に消費しない程度に光照射することが好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が80%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
また、上記の重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層以外に、特開2004−161995公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用いた重合開始層も好ましい。このポリマーは、具体的には、側鎖に重合開始能を有する官能基(重合開始基)及び架橋性基を有するポリマー(以下、重合開始ポリマーと称する。)であり、このポリマーにより、ポリマー鎖に結合した重合開始基を有し、かつ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。
このようにして形成される重合開始層も、本願の重合開始層として好適である。
ここで用いられる重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009256777

Figure 2009256777
−重合開始層の成膜−
本発明における重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層は、上述の重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基材上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH,多価イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 2009256777
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
Figure 2009256777
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層の塗布量は、表面グラフト重合の開始能や、膜性の観点から、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(グラフトポリマーの生成)
(a1)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、光グラフト重合法を用いることができる。
本発明においては、基材上に重合開始層が形成された基板を用い、該重合開始層上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する態様〔(a1−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、重合開始層表面に接触させながら、当該重合開始層表面に生成する活性種により直接結合させるものである。
上記接触は、重合開始層が形成された基板を、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物(本発明のポリマー層形成用組成物)中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物(本発明のポリマー層形成用組成物)からなる層を基板表面(重合開始層表面)に、塗布法により形成することが好ましい。
なお、本発明の第3の表面金属膜材料の作製方法における(a1”)工程のように、樹脂フィルムの両面に対してポリマー層を形成する場合にも、ポリマー層を両面同時に形成し易いといった観点から、塗布法を用いることが好ましい。
本発明において、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させる場合に用いられる、重合性基及び相互作用性基を有する化合物について説明する。
本発明における重合性基及び相互作用性基を有する化合物としては、生成したグラフトポリマーからなるポリマー層が、前記1〜4の条件を全て満たすように、重合性基及び相互作用性基を有すると共に、吸水性が低く、更に、疎水性の高い化合物を用いることが好ましい。
この化合物における相互作用性基としては多座配位を形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などの非解離性官能基が挙げられる。非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。
このような官能基は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、この官能基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層は、前記1〜4の条件を満たすことが可能になる。
本発明における重合性基は、エネルギー付与により、重合性基及び相互作用性基を有する化合物同士、又は、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と基板とが結合する官能基であり、具体的には、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキセタン基、エポキシ基、イソシアネート基、活性水素を含む官能基、アゾ化合物における活性基などが挙げられる。
特定ポリマーが有する相互作用性基としては、金属イオンと配位結合による相互作用形成可能な基であることを要し、先に述べたように、金属イオンと配位形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などの非解離性官能基が好ましく、具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン基構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、水酸基、カーボネート基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チオフェン基、チオール基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、ホスフォート基、ホスフォロアミド基、フォスフィン基などの含リン官能基、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基、及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。更には、例えば、シクロデキストリンや、クラウンエーテルなどの包接能を有する化合物に由来する官能基であってもよい。
なかでも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基はポリマー層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且つ、ポリマー層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、後述する(a2)工程において、ポリマー層の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。以上のことから、シアノ基を有するポリマー層は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用をする、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
本発明において、重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、モノマー、マクロモノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよく、中でも、ポリマー層の形成性と、制御の容易性の観点から、ポリマー(重合性基及び相互作用性基を有するポリマー)を用いることが好ましい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際に用いられる相互作用性基を有するモノマーとしては、前記記載の非解離性官能基を有するモノマーであればいかなるモノマーも使用可能であるが、例えば、具体的には、以下に示すものが挙げられる。
これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
Figure 2009256777
Figure 2009256777
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーにおいて、相互作用性基を有するモノマーに由来するユニットは、めっき触媒又はその前駆体との相互作用形成性の観点から、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー中に、50〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、吸水性を低下させるため、また、疎水性を向上させるために、上記相互作用性基を有するモノマー以外に他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。中でも、無置換アルキルのアクリル系モノマーが好ましい。具体的には、ターシャリーブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどが好ましく使用できる。
このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
以下、本発明において好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009256777
Figure 2009256777
Figure 2009256777
本発明において、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基としてシアノ基を有するポリマー(以下、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)が好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
Figure 2009256777
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009256777
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される2価の有機基であり、好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009256777
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009256777
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009256777
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、酸素原子、又はNR’(R’は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、L中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009256777
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノへキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘプチル(メタ)アクリレート、8−シアノオクチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(2−(ブロモメチル)アクリレート)、2−シアノエチル−(2−(ヒドロキシメチル)アクリレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノメチル−(メタ)アクリレート、1−メチル−1−エチル−1−シアノメチル−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009256777
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009256777
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009256777
Figure 2009256777
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009256777
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーション製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学製のライトアクリレート HOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(2−ヒドロキシエチル)−(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、Mなどが使用できる。
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009256777
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH (R=H又はMe、n=1〜5)
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することが好ましい。精製の方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いて合成されたものであることが好ましい。
(1)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(2)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(3)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(4)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(1)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(1)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(2)の工程では、(1)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(3)の工程では、(2)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(4)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(4)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(1)〜(4)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(1)〜(4)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(1)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20〜23MPa1/2であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセチルアセトン、アセトフェノン、トリアセチン、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテルスルホン骨格、ポリアリール骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外の重合性基及び相互作用性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009256777
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ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009256777
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、重合性基と相互作用性基の他に、形成されたポリマー層が前記1〜4の条件の全てを満たす範囲であれば、極性基を有していてもよい。
極性基を有していることによって、後述の工程により金属膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場合には、ポリマー層と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる。
前述のように、本発明におけるポリマー層を形成するためには、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状組成物、即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と、該化合物を溶解しうる溶剤と、を含有する組成物(好ましくは、シアノ基又は−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造、及び重合性基を有するポリマーと、該ポリマーを溶解しうる溶剤と、を含有する本発明のポリマー層形成用組成物)を用いることが好ましい。
なお、重合性基及び相互作用性基を有する化合物(例えば、シアノ基含有重合性ポリマー)の組成物中の含有量は、組成物全体に対して、2質量%〜50質量%であることが好ましい。
上記組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である、重合性基及び相互作用性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
また、本発明において、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の吸溶媒率が5〜25%となる溶剤を選択することができる。この吸溶媒率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求めることができる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、基板や重合開始層上に塗布する場合、基板や重合開始層の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合開始層の硬化を進めるために、硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加することができる。例えば、重合開始層にエポキシ化合物が含まれる場合の硬化剤及び/又は硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BFモノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
これらの硬化剤及び/又は効果促進剤は、溶液の塗布性、基板やめっき膜との密着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の0〜50質量%程度まで添加することが好ましい。また、硬化剤及び/又は硬化促進剤は重合開始層に添加してもよく、その場合は、重合開始層に添加した量とポリマー層中に添加した総和量で上記範囲を満たすことが好ましい。
また、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。また、これらの添加剤は必要に応じて重合開始層に添加してもよい。
これらの重合性基及び相互作用性基を有する化合物と各種の添加剤とを適宜混合した組成物を用いることで、形成されたポリマー層の物性、例えば、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、より高い方が好ましい。
得られたポリマー層は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができ、例えば、熱分解に関しては、200℃環境に1時間曝した場合の質量減少が20%以下であると、十分に熱耐久性を有していると評価できる。
重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を接触させる場合には、その塗布量は、めっき触媒又はその前駆体との充分な相互作用形成性の観点からは、固形分換算で、0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
なお、基板上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を塗布し、乾燥させて、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギーの付与)
グラフトポリマー生成時における基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、10mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、50mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲である。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物として、平均分子量2万以上、重合度200量体以上のポリマーを使用すると、低エネルギーの露光でグラフト重合が容易に進行するため、生成したグラフトポリマーの分解を更に抑制することができる。
以上説明した(a1)工程により、基板上には、相互作用性基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成することができる。
得られたポリマー層が、例えば、pH12のアルカリ性溶液に添加し、1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が50%以下である場合は、該ポリマー層に対して高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
〔(a1’)工程〕
本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法における(a1’)工程では、基板上に、シアノ基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
本工程は、前述の(a1)工程における重合性基及び相互作用性基を有する化合物として、重合性基及びシアノ基を有する化合物を用いる以外は、(a1)工程に記載の方法と同様の方法が用いられ、また、好ましい態様も同様である。
この(a1’)工程により、基板上には、シアノ基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成することができる。
本工程で得られたポリマー層を構成するポリマーは、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基としてシアノ基を有する。このシアノ基は、前述の通り、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いが、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、このシアノ基有するグラフトポリマーからなるポリマー層は、吸水性が低く、且つ、疎水性が高いものとなる。
〔(a2)工程〕
(a2)工程では、上記(a1)又は(a1’)工程において形成されたポリマー層中に残存する重合性基の残存率を制御する。残存率の制御は、エネルギー付与することで、ポリマー層を構成するグラフトポリマー中においてポリマーの形成や基材との結合に寄与しなかった重合性基を反応させ、残存する重合性基の残存率を5%〜60%に制御する工程であり、これにより、本発明の製造方法により得られた表面金属膜材料は耐熱衝撃性に優れたものとなる。
本発明の作用は明確ではないが、エネルギーを付与することで重合性基を消費させ、ポリマー主鎖間に架橋構造を導入することで、ポリマー主鎖間の運動性が抑制され、ポリマー層におけるガラス転移温度(Tg)が向上し、且つ、線膨張係数が低下するものと考えられる。その結果、作製された金属膜は、熱衝撃試験においてヒートサイクル試験を行っても金属膜の剥がれやクラックなどの発生が抑制されるものと考えている。
本発明における重合性基の残存率は以下のように測定することができる。
顕微赤外反射用ミラーに、ポリマーの12.5質量%アセトン溶液をスピンコート法にて塗布する。スピンコーターは、まず250rpmで5秒間、次に500rpmで20秒間回転させた。その後、80℃で10分間乾燥し、乾燥膜を測定サンプルとした。
このようにして得られたポリマー膜のサンプルを用いて、FT−IRにて反射法にて(a2)工程実施の前後、即ち、所定のエネルギーを付与する前と後とのスペクトルを測定し、残存率の定量を行った。残存率は、二重結合のC−H面外変角振動の吸収スペクトル(810cm−1)のピーク面積を用いて以下の式により算出した。ただし、エネルギー付与前のピーク面積を残存率100%とした。
Figure 2009256777

このように測定した重合性基の残存率は5%〜60%であることを要し、15〜60%の範囲であることがより好ましく、15%〜40%がさらに好ましい。
(a2)工程では、エネルギー付与により残存する重合性基の割合を制御する。その具体的な方法としては、以下のような工程が挙げられる。
(a2−1)加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
(a2−2)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光することで重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
(a2−3)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光し、その後、加熱温度160℃〜200℃で、加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程。なお、(a2−3)工程においては、残存率の調整は、加熱、露光の条件を上記範囲内において、それぞれ適宜調整しつつ、2工程で残存率を制御すればよい。
エネルギー付与に関しては、上記のように、(a2)工程での残存率制御は加熱には限られず、後露光による重合性基残存率の制御や、これらの組合せでもよく、露光と加熱を併用する場合には、加熱後に露光してもよく、露光後に加熱してもよい。
加熱によるエネルギー付与では、加熱炉、恒温器、ホットプレート等による加熱が可能である。
付与されるエネルギー量は加熱温度と加熱時間により制御される。
重合性基の反応性と反応速度の観点から、加熱温度は140℃〜250℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは、加熱温度は160℃〜200℃の範囲であることが好ましい。また、加熱時間は5分〜5時間が好ましく、より好ましくは、加熱時間は35分〜3時間である。
露光によるエネルギー付与では、UVランプ、可視光線などによる光照射が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などが挙げられる。
付与されるエネルギー量は露光エネルギーと露光時間により制限される。露光エネルギーと露光時間は用いる光源により異なるが、重合性基の反応性と反応速度の観点から、露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましく、また、露光時間は5秒〜90分の範囲であることが好ましく、より好ましくは、露光エネルギー10mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲であり、露光時間は10秒〜60分であることが好ましい。
重合性基の残存率の変化は、エネルギー付与方法により大きく異なるため、重合性基の残存率の制御は、グラフトポリマー前駆体層を形成するポリマー含有組成物を用いて、予備実験を行い、エネルギー付与と重合性基の残存率減少の関連を検知した後、(a2)工程を行い、グラフトポリマー形成後の重合性基の残存率を所望の範囲に制御する手段をとることが好ましい。
〔(a3)工程〕
(a3)工程では、上記(a1)又は(a1’)工程において形成され、(a2)工程で残存する重合性基を所定の量に制御されたポリマー層に、めっき触媒又はその前駆体を付与し、その後、めっきを施す。本工程においては、まず(a3−1)ポリマー層を構成するグラフトポリマーが有する相互作用性基(シアノ基)が、その機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒又はその前駆体としては、後述する(a3−2)めっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒又はその前駆体は、(a3−2)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒又はその前駆体は、無電解めっき触媒又はその前駆体であることが好ましい。
(無電解めっき触媒)
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、ものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてポリマー層上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、及び触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
無電解めっき触媒である金属、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩をポリマー層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液又は溶液をポリマー層上に塗布するか、或いは、その分散液又は溶液中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。
なお、本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法において、樹脂フィルムの両面に対してポリマー層が形成されている場合には、その両面のポリマー層に対して同時に無電解めっき触媒又はその前駆体を接触させるために、上記の浸漬法を用いることが好ましい。
上記のように無電解めっき触媒又はその前駆体を接触させることで、ポリマー層中の相互作用性基(シアノ基)に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
(その他の触媒)
本発明において、後述の(a3)工程において、ポリマー層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、特に、相互作用性基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
以上説明した(a2)工程を経ることで、ポリマー層中の相互作用性基(シアノ基)とめっき触媒又はその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
なお、ポリマー層に触媒を吸着させた後、及び後述する無電解めっき工程の後、の少なくとも、いずれかのタイミングで、後加熱処理を施してもよい。後加熱処理は、通常、加熱温度160℃〜200℃、加熱時間30分〜90分の条件で行われる。
(a3−2)工程
(a3−2)工程では、無電解めっき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し、めっきを行うことで、めっき膜が形成される。形成されためっき膜は、優れた導電性、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、前記(a3−1)工程において、ポリマー層との間に相互作用を形成しためっき触媒又はその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がポリマー層に吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
このめっき浴に用いられる溶剤には、吸水性が低く、疎水性の高いポリマー層(前記1〜4の条件を全て満たすポリマー層)に対して、親和性の高い有機溶剤を含有させることが好ましい。有機溶剤の種類の選択や、含有量は、ポリマー層の物性に応じて調製すればよい。特に、ポリマー層の条件1における飽和吸水率が大きければ大きいほど、有機溶剤の含有率を小さくすることが好ましい。具体的には、以下の通りである。
即ち、条件1における飽和吸水率が0.01〜0.5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は20〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が0.5〜5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は10〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が5〜10質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜60%であることが好ましく、同飽和吸水率が10〜20質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜45%であることが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっきによるめっき膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、ポリマー層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更にポリマー層上にめっき金属が析出していることが確認された。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
(電気めっき)
本工程おいては、(a3−1)工程において付与されためっき触媒又はその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
本発明において、前述のめっき触媒、めっき触媒前駆体に由来する金属や金属塩、及び/又は、無電解めっきにより、ポリマー層中に析出した金属が、該層中でフラクタル状の微細構造体として形成されていることによって、金属膜とポリマー層との密着性を更に向上させることができる。
ポリマー層中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、ポリマー層の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5〜50面積%であり、ポリマー層と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmである場合に、更に強い密着力が発現される。
<表面金属膜材料>
本発明の表面金属膜材料の作製方法の各工程を経ることで、本発明の表面金属膜材料を得ることができる。なお、本発明の表面金属膜材料の作製方法を適用すれば、両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料は、高温高湿下であっても、金属膜の密着力の変動が少なく、耐熱衝撃性に優れるといった効果を有する。この表面金属膜材料は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
本発明の金属パターン材料の作製方法は、(a1)〜(a3)の工程を経て得られた本発明の表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を有する。
この(a4)エッチング工程について以下に説明する。
〔(a4)工程〕
(a4)工程では、上記(a3)工程で形成されためっき膜(金属膜)をパターン状にエッチングする。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液でめっき膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
また、セミアディティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、めっき膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては前記記載の手法が使用できる。
以上の(a1)〜(a4)工程を経ることにより、所望の金属パターンを有する金属パターン材料が作製される。
一方、(a1)又は(a1’)の工程で得られるポリマー層をパターン状に形成し、パ
ターン状のポリマー層に対し(a2)工程を行って重合性基の残存率を所定の範囲とし、さらに、(a3)工程を行うことで、金属パターン材料を作製することもできる(フルアディティブ工法)。
(a1)又は(a1’)の工程で得られるポリマー層をパターン状に形成する方法としては、具体的には、ポリマー層を形成する際に付与されるエネルギーをパターン状とすればよく、また、エネルギーを付与しない部分を現像で除去することでパターン状のポリマー層を形成することができる。
なお、現像方法としては、重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有する化合物などのポリマー層を形成するために用いられる材料を溶解しうる溶剤に浸漬することで行われる。浸漬する時間は1分〜30分が好ましい。
また、(a1)又は(a1’)のポリマー層は、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で直接パターニングした後、エネルギー付与し、その後、現像することで形成してもよい。
パターン形成したポリマー層上にめっき膜を形成するための(a2)、及び(a3)工程は、前述の方法と同じである。
<金属パターンの作製方法>
本発明の表面金属膜材料における金属膜をパターン状に形成することで、金属パターン材料を得ることもできる。
得られた金属パターン材料を構成するポリマー層は、前述のように、耐熱衝撃性に優れるために、金属配線などの寸法安定性に優れ、且つ、繰り返し熱刺激を受けても剥離や変形の懸念がなく、さらに、吸水性が低く、疎水性が高いため、このポリマー層の露出部(金属パターンの非形成領域)は、絶縁信頼性に優れる。
金属パターン材料は、表面の凹凸が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板上の全面又は局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが好ましい。また、基板と金属パターンとの密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属パターンとの密着性に優れることを特徴とする。
なお、基板表面の凹凸は、基板を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、JIS B 0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることが好ましい。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜(金属パターン)の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた金属膜をパターニングしてなる金属パターン材料は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーA(下記構造:重量平均分子量3.0万)を32g得た。
Figure 2009256777

(所定の重合性基の残存率を決定するための予備試験)
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの50質量%アセトン溶液をPET基板上に膜厚約50μmとなるように塗布した後、室温で30分間、80℃で10分間乾燥した。作製した膜に、三永電気製のUV露光機(型番:UVF―502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、14mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、30秒間照射し、光硬化膜を作製した。ここで、積算露光量は、420mJであった。
その後、PET上から膜を剥離し、膜を200℃で10分、30分、70分、180分後加熱することで重合性基残存率の異なるサンプル膜を調製した。
(重合性基の残存率測定)
得られた重合性基残存率の異なるサンプル膜を用いて、FT−IRにて(a2)工程実施の前後、即ち、所定のエネルギーを付与する前と後とのスペクトルを測定し、残存率の定量を行った。残存率は、二重結合のC−H面外変角振動の吸収スペクトル(810cm−1)のピーク面積を用いて以下の式により算出した。ただし、エネルギー付与前のピーク面積を残存率100%とした。
Figure 2009256777

ここで、加熱条件による重合性基の残存率を求めた。結果を表1に示す。
その後、重合性基残存率の異なる各サンプル膜を用いて、熱応力歪み測定(TMA)を行うことで、重合性基残存率ごとの線膨張係数を得た。
〔実施例1〜3、比較例1〕
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材を得た。
次いで、基材の上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、140℃で30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成し、重合開始層を有する基材A1を得た。
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45質量部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30質量部を、エチレングリコールジアセテート20部、及びソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSとからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量4.7万)30質量部、2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し、重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
上記のような重合開始層が形成された後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Rz)は0.2μmであった。
[ポリマー層の形成(a1)工程]
(塗布溶液の調製)
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーA:10.5質量部、アセトン73.3質量部、メタノール33.9質量部、及びN,Nジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布溶液を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、280秒間照射させて、基板A1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は420mJ/cmであった。また、この時の重合性基残存率は、90%であった。
その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板A2を得た。
(ポリマー層の物性測定)
得られたポリマー層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りである。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.2質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.4質量%
[エネルギー付与によるポリマー層中の重合性基の残存率の調整:(a2)工程]
ポリマー層を有する基板A2を、予備実験で予め決定された条件を検討し、本発明の規定する重合性基の残存率となる200℃で30分、70分、180分加熱したものをそれぞれ実施例1、2及び3とし、200℃で、10分加熱したものを比較例1とした。
また、後加熱を行わないサンプルを対照例とした。
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板A2に後加熱処理を行い、所定の重合性基残存率に調整した各サンプルを、硝酸パラジウムの1%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
続いて、1%ジメチルボラン−水/メタノール(水/メタノール=1/3)混合溶液を触媒活性化液(還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板A2を15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で5分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行った。
○:0.5kN/m以上
×:0.5kN/m未満
(熱膨張係数の測定)
熱膨張係数の測定は、ティーエイインスツルメンツ社製Q400型TMAを用い、フィルム・ファイバープローブを使用した。測定は、昇温速度5℃/min. to 160℃、5℃/min. to −60℃、5℃/min. to 160℃で繰り返し昇降温させ、最後の昇温での寸法変化より熱膨張係数を求めた。
(耐熱衝撃性評価)
得られた金属膜をソルダーレジストで保護した後、「100℃1時間」→「−10℃1時間」のヒートサイクル試験を50回行った。試験後の各サンプルを目視にて観察し、銅金属膜の剥がれやクラックの有無を観察した。
○:剥がれ、クラックなし
×:剥がれ、クラックあり
結果を下記表1に示す。
Figure 2009256777
なお、対照例、比較例1など重合性基残存率の大きいサンプルは、Tg付近での熱膨張率の変化が不明瞭であり、変曲点を求めることは困難であったため、膜Tg及び熱膨張係数αは測定できなかった。
表1に明らかなように、ポリマー層形成後、ポリマー層に含まれる重合性基の残存率を所定の量に制御する工程を含む、本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料は、金属膜と基板との密着性が良好であり、形成された金属膜との密着に寄与するポリマー層は、膜のTgがポリマー単独のTgと比較して向上し、それに伴って熱膨張係数が低下しており、基板との密着性及び耐熱衝撃性に優れたものであることが確認された。

Claims (15)

  1. (a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    (a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、
    (a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って表面に金属膜を形成する工程と、を有し、
    前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする表面金属膜材料の作製方法。
  2. 前記(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程が、下記(a2−1)〜(a2−3)から選択される工程であることを特徴とする請求項1に記載の表面金属膜材料の作製方法。
    (a2−1)加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
    (a2−2)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光することで重合性基の残存率を5%〜60%とする工程、
    (a2−3)露光エネルギー5mJ/cm〜5000mJ/cmで、光照射時間5秒〜90分の条件で露光し、その後、加熱温度160℃〜200℃で、加熱温度140℃〜250℃で、加熱時間5分〜5時間の条件で加熱することで、重合性基の残存率を5%〜60%とする工程。
  3. (a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程が、ポリマーをパターン状に形成する工程であって、該(a1)工程に引き続き、(a1−1)ポリマー層の形成に寄与しなかった未反応成分を除去する工程と、(a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程とを、この順に実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  4. 前記(a1)工程が、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーを、エネルギーを付与することで直接化学結合させることにより行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  5. 前記(a1)工程が、(a1−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを、エネルギーを付与することで直接化学結合させる工程と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  6. 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーが、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の表面金属膜材料の作製方法。
    Figure 2009256777


    (上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
  7. 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が20000以上であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  8. (a1’)基板上に、シアノ基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    (a2)エネルギーを付与して重合性基の残存率を5%〜60%とする工程と、
    (a3)該ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与し、該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属膜を形成する工程と、を有し、
    前記金属膜を形成してなるポリマー層の熱膨張係数(α)が120ppm以下であることを特徴とする表面金属膜材料の作製方法。
  9. 前記(a1’)工程が、基板上に、シアノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われることを特徴とする請求項8に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  10. 前記(a1’)工程が、(a1’−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1’−2)該重合開始層に、シアノ基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させると、を含むことを特徴とする請求項9に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  11. 前記シアノ基及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が20000以上であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  12. 前記(a2)工程では、無電解めっきが行われることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  13. 前記無電解めっきの後に、更に電気めっきが行われることを特徴とする請求項12に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  14. 前記めっき触媒がパラジウムであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011213782A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Fujifilm Corp ポリマー溶液の製造方法、ポリマーの精製方法

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