JP2009158855A - プリント配線板の製造方法及びそれに用いる洗浄液 - Google Patents

プリント配線板の製造方法及びそれに用いる洗浄液 Download PDF

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Abstract

【課題】配線間における絶縁信頼性、耐マイグレーションに優れたプリント配線板の製造方法及びその方法に用いる洗浄液を提供する。
【解決手段】基板上に樹脂層と導体パターンとを有するプリント配線板の製造方法であって、(a)基板上の樹脂層表面に導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、(b)導体パターンを形成してなるプリント配線板を、有機酸、含窒素化合物、及び、金属イオンの還元剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を除去する洗浄工程と、を有するプリント配線板の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板の製造方法、及び、それに用いるプリント配線板における導体パターン形成後に残存する金属残渣を効果的に除去しうる洗浄液に関する。
従来、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、エッチング時に生成する金属残渣がプリント配線板の導体パターン間に残存し、配線間の樹脂層の絶縁性を低下させる懸念があった。
配線パターンを構成する金属膜と基板との密着性の問題を解決するための一つの方策として、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を適用することが挙げられる(例えば、非特許文献1参照。)。これにより、基板の表面を粗面化することなく、基板と配線パターンを構成する金属膜との密着性を改良させることができる。
しかしながら、上記方法により生成させるグラフトポリマーは極性基を有することから、配線パターンの形成態様や配線パターンを有する基板の適用態様の如何によっては、基板上に露出した当該グラフトポリマーの存在が配線間の絶縁信頼性などに影響することが懸念される。
特に、プリント配線版などの微細配線では、配線間の距離が短くなるため、配線(金属パターン)間における高い絶縁性が必要となることから、配線間の絶縁信頼性については、より一層の向上が要求されているのが現状である。
プリント配線板の洗浄方法としては、サブトラクティブ法などで金属層のパターニングを行った後、レジスト剥離後のレジスト残渣を除去するため、有機酸を含有する洗浄液で処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、レジスト残渣の除去には有効であるが、配線形成後の配線間残渣除去を十分に除去することができず、配線間の絶縁性の低下に起因する耐マイグレーション性が不十分であった。
Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494 特開2002−180095公報
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、基板表面に形成された配線を有するプリント配線板において、製造工程に起因して配線間に残存する金属残渣を効果的に除去することで配線間の絶縁性の低下に起因するマイグレーションを抑制しうるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、前記本発明のプリント配線板の製造方法に用いられる、製造工程に起因して配線間に残存する金属残渣を効果的に除去することができ、配線間の耐マイグレーション性を向上しうるプリント配線板の製造工程に用いられる洗浄液を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出し本発明を完成した。
<1> 基板上に樹脂層と導体パターンとを有するプリント配線板の製造方法であって、(a)基板上の樹脂層表面に導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、(b)導体パターンを形成してなるプリント配線板を、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、及び、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を除去する洗浄工程と、を有するプリント配線板の製造方法。
<2> 前記(a)導体パターン形成工程が、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を含有する樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、(a2)該樹脂層に、めっき触媒又はその前駆体を付与するめっき触媒付与工程と、(a3)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属層を形成するめっき工程と、(a4)該めっきにより形成された金属層により導体パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする<1>記載のプリント配線板の製造方法。
<3> 前記(a1)樹脂層形成工程で用いられる樹脂組成物が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び、重合性基を有する化合物を含有することを特徴とする<2>記載のプリント配線板の製造方法。
<4> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基が、窒素を含む官能基であることを特徴とする<2>又は<3>記載のプリント配線板の製造方法。
<5> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基が、シアノ基であることを特徴とする<2>〜<4>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<6> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基、及び、重合性基を有する化合物が、下記式(1)で表されるユニット、及び、一般式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
Figure 2009158855
(上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
<7> 前記めっき触媒又はその前駆体が、金属イオン、金属塩、又は金属コロイドであり、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiから選ばれる金属元素を含んで構成される<2>〜<6>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<8> 前記(b)洗浄工程が、(b1)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b2)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、を順次有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<9> 前記(b)洗浄工程が、(b’1)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b’2)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、を順次有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<10> 前記遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物が、クエン酸、しゅう酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒席酸、プロピオン酸、及び、マレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする<1>〜<9>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<11> 遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物が、アセトニトリル、アジポニトリル、アクリロニトリル、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ベンゾイミダゾリノン、ベンゾトリアゾール、トリアゾール2−ピロリドン、及び、インドールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<12> 前記ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物が、アミノボラン、ジメチルアミノボラン、ホルムアルデヒド、リン酸水素金属塩、及び、硫酸ヒドロキシアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
<13> <1>〜<12>に記載の(b)洗浄工程に用いられる、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、及び、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有するプリント配線板の洗浄液。
本発明における「基板」とは、ポリマーがその表面に直接化学結合しうるものを指し、例えば、樹脂フィルム上に直接ポリマーを直接化学結合させる場合には、該樹脂フィルム自体を指し、樹脂フィルムなどの基材表面に重合開始層などの中間層を設け、その表面にポリマーを直接化学結合させる場合には、フィルム基材上に中間層を備えたものを指す。
また、金属イオン、金属塩、或いは金属コロイドなどのめっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を、以下、適宜「相互作用性基」と称する。
本発明によれば、基板表面に配線を有するプリント配線板において、製造工程に起因して配線間に残存する金属残渣を効果的に除去することで配線間の絶縁性の低下に起因するマイグレーションを抑制しうるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
また、前記本発明のプリント配線板の製造方法に用いられる、製造工程に起因して配線間に残存する金属残渣を効果的に除去することができ、配線間の耐マイグレーション性を向上しうるプリント配線板の製造工程に用いられる洗浄液を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプリント配線板の製造方法は、基板上に樹脂層と導体パターンとを有するプリント配線板の製造方法であって、(a)基板上の樹脂層表面に導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、(b)導体パターンを形成してなるプリント配線板を、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、及び、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を除去する洗浄工程と、を有することを特徴とする。
一般に、基板表面に金属層を強固に吸着させるための樹脂層を有するプリント配線板では、金属層パターニング時の金属残渣やめっきを行う際に用いられるめっき触媒又はその前駆体などの金属化合物が樹脂層の表面のみならず、深部にまで存在し、通常の表面洗浄では除去しがたい。本発明の製造方法によれば、このような導体パターン形成後の基板表面樹脂層における金属残渣を効果的に除去することができる。
以下、本発明の製造方法について、工程順に説明する。本発明の製造方法は、基板上に、樹脂層と導体パターンが順次形成されたプリント配線板に係るものである。
本発明における第1の工程は、(a)基板上の樹脂層表面に導体パターンを形成する導体パターン形成工程である。ここで、基板上の樹脂層表面における導体パターン形成方法には、特に制限はなく、基板上の樹脂層表面全面に形成された金属膜(導体膜)をパターニングする方法、金属との吸着性に優れる樹脂層を基板表面にパターン状に形成し、そこに金属層を形成する方法のいずれでもよい。
また、導体パターンを構成するための金属層の形成方法は、めっき法、CVD法、PVD法などいずれであってもよいが、導体パターン形成後の金属残渣除去の困難性の観点から、樹脂層の深部にめっき触媒が残存しやすいめっき法により金属膜が形成されたプリント配線板に適用して本発明の効果が著しいといえる。
以下、本発明の好ましい態様であるめっき法による金属膜形成工程を採用した(a)導体パターン形成工程について説明する。
(a)導体パターン形成工程は、好ましくは以下の(a1)〜(a4)工程を含む。
(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を含有する樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程。
(a2)該樹脂層に、めっき触媒又はその前駆体を付与するめっき触媒付与工程。
(a3)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属層を形成するめっき工程。
(a4)該めっきにより形成された金属層により導体パターンを形成する工程。
本発明のプリント配線基板の製造方法では、基板上に、該基板と直接結合してなるグラフトポリマーからなる樹脂層を介して導体パターンを形成した後、該導体パターンを有する基板に対して特定の洗浄液で洗浄処理を施すことが特徴である。かかる洗浄工程により、導体パターン形成後の基板上において、配線間に残存している金属残渣等の導体パターンの絶縁信頼性に影響しうる要因を効果的に除去できることから、導体パターンの絶縁信頼性が著しく向上し、マイグレーションが抑制されるものと考えられる。また、本発明により得られた導体パターンの配線部分〔金属層(導体膜)形成部分〕における基板表面は、前記樹脂層の形成により表面改質されたことで基板界面の凹凸が最小限に留められ、且つ、金属部分の基板界面が、基板に直接結合しているグラフトポリマーとのハイブリッド状態であるため、形成された導体パターンと基板との密着性が高いものと考えられる。
以下、(a1)〜(a4)の各工程について詳細に説明する。
〔(a1)工程〕
本発明の製造方法における(a1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基(以下、単に、「相互作用性基」と称する場合がある。)を有する化合物を含有する樹脂組成物により樹脂層を形成する。
(a1)工程は、(a1−1)基材上に重合開始剤を含有する重合開始層或いは密着補助層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層或いは密着補助層が形成された基板上に、相互作用性基及び重合性基を有する化合物を基板に直接化学結合させて樹脂層を設ける工程であることが好ましい。
また、上記(a1−2)工程は、前記重合開始層或いは密着補助層が形成された基板上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該化合物を直接化学結合させて樹脂層を形成する工程であることが好ましい。
(表面グラフト)
基板上における樹脂層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
高分子化合物鎖の末端が直接に化学的に結合された樹脂層を作製するための手段としてはこれらの他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により形成することもできる。より多くの表面グラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法が好ましい。
〔基板〕
本発明における基板は、その表面に、相互作用性基を有する高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合する機能を有する表面を示すものであり、基材自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また該基材上に別途中間層を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
また、相互作用性基を有する高分子化合物鎖の末端が幹高分子化合物を介して化学的に結合された表面を作製するための手段としては、基板表面の官能基とカップリング反応し得る官能基及び相互作用性基を有する高分子化合物を合成し、この高分子化合物と基板表面の官能基とのカップリング反応により、当該表面を形成する方法がある。他の方法としては、基板表面がラジカル種を発生する性質を有する場合には、重合性基と相互作用性基とを有する高分子化合物を合成し、この高分子化合物を基板界面に塗布し、ラジカル種を発生させ、基板表面と高分子化合物とを重合反応させて、当該表面を形成する方法がある。
本発明においては、上記のごとく、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させるが、グラフトポリマーの生成に際しては、基板上に、重合開始剤を含有する重合開始層或いは密着補助層を形成すること〔(a−1)工程〕が、活性点を効率よく発生させ、より多くの表面グラフトポリマーを生成させるという観点から好ましい。
重合開始層は、重合性化合物と重合開始剤とを含む層として形成することが好ましい。
密着補助層としては、基板、及び感光性樹脂組成物との密着性が良好な樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。また、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)や、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる部位と、基材と相互作用し化学的な結合を形成しうる部位とを有する化合物を添加していてもよい。
(重合開始層)
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合開始層に用いられる重合性化合物は、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により表面グラフトポリマーを生成するものであれば特に制限はなく、多官能モノマー等を用いてもよいが、特に好ましくは、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーを用いる態様である。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、例えば、特開2007−154306公報の段落番号〔0043〕から〔0044〕に記載されており、これらに代表される公知の重合開始剤を目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、反応性の観点からはラジカル重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
また、重合開始剤としては、以下に詳述する光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。
−光カチオン重合開始剤−
光カチオン重合開始剤とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、特開2006−274052公報の段落番号〔0043〕〜〔0092〕に記載されているものを使用することができる。
−光ラジカル重合開始剤−
光ラジカル重合開始剤は、低分子であっても高分子であってもよい。
低分子の光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することができる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども、光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子光ラジカル重合開始剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号、特開2007−146103公報の段落番号〔0094〕〜〔0107〕、特願2006−264706号明細書、Photochemistry&Photobiology,Vol.5,p46(1999)等に記載の、活性カルボニル基、トリクロロメチルトリアジン、チオキサントンを側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
なお、光ラジカル重合開始剤としては、グラフト重合性の観点から、高分子型の光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。この高分子型の光ラジカル重合開始剤の重量平均分子量としては、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。また、重量平均分子量の上限値としては、溶解性の点から100000が好ましい。
また、重合開始層に含有される重合性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、高分子型の光ラジカル重合開始剤が該エポキシ樹脂を兼ねていてもよい。このような高分子型の光ラジカル重合開始剤としては、特開2007−146103公報の段落番号〔0094〕〜〔0107〕に記載の化合物や、以下に示す(26)〜(30)で表される化合物を好適に用いることができる。ここで、(26)〜(30)中、x、yは、モル分率を表し、x+y=100(x≠0、y≠0)である。
Figure 2009158855
Figure 2009158855
上記した光ラジカル重合開始剤を用いる場合、その含有量は、グラフト重合性、それに起因する密着強度の低下を抑制する点、硬化物のTg低下を抑制する点、硬化物の誘電率が高くなるといった熱特性、電気特性上の問題を防止する点から、全固形分に対して、0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306号公報段落番号〔0045〕に記載されている溶剤を使用することができる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合開始層を基板上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1g/m2〜20g/m2が好ましく、更に、1g/m2〜15g/m2が好ましい。
本発明において重合開始層を形成する場合には、上記のように、基材表面に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜して形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、グラフト化を達成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するグラフト化反応に用いる光源を用いることができる。引き続き行われるグラフト化反応において、エネルギー付与により実施される重合開始層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点からは、重合開始層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
(密着補助層)
本発明における密着補助層としては、例えば、基材が、多層積層板、ビルドアップ基板、若しくはフレキシブル基板の材料として用いられてきた公知の絶縁樹脂からなる場合には、該基材との密着性の観点から、密着補助層を形成する際に用いられる樹脂組成物としても、絶縁樹脂組成物が用いられることが好ましい。
以下、基材が絶縁樹脂からなり、密着補助層が絶縁樹脂組成物から形成される態様について説明する。
密着補助層を形成する際に用いられる絶縁樹脂組成物は、基材を構成する電気的絶縁性の樹脂と同じものを含んでいてもよく、異なっていてもよいが、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的が近いものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、基材を構成する絶縁樹脂と同じ種類の絶縁樹脂を使用することが密着の点で好ましい。
また、これ以外の成分として、密着補助層の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。
なお、本発明における絶縁樹脂とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂を意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
また、密着補助層に用いられる絶縁樹脂としては、めっき触媒受容性の感光性樹脂組成物と相互作用を形成し得る活性点を発生させる骨格を有する樹脂を用いることもできる。例えば、特開2005−307140号公報の段落番号〔0018〕〜〔0078〕に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドが用いられる。
更に、密着補助層には、層内での架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に、多官能のものを用いることが好ましい。その他、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に対し、その一部を、メタクリル酸やアクリル酸等を用いて、(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における密着補助層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、種々の化合物を添加することができる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
また、本発明における密着補助層には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この密着補助層には、必要に応じて、一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。
また、更にこの密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、主成分となる樹脂に対して、0〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜80質量%の範囲で添加される。密着補助層と隣接する基材とが、熱や電気に対して同じ若しくは近い物性値を示す場合には、これら添加物は必ずしも添加する必要はない。添加物を、樹脂に対して200質量%を超える範囲で用いる場合には、樹脂自体が本来有する強度などの特性が低下する懸念がある。
密着補助層には、前述のように、前記感光性樹脂組成物と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)が用いられることが好ましい。この活性点を発生させるためには、何らかのエネルギーを付与すればよく、好ましくは、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気、等が用いられる。更に、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解することで活性点を発生させてもよい。
活性種の例としては、前述した樹脂フィルム(基材)中に添加される熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている。ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。この手段により、密着補助層は前述の重合開始層と同様の機能を有することになる。
本発明における密着補助層の厚みは、一般に、0.1μm〜10μmの範囲であり、0.2μm〜5μmの範囲であることが好ましい。
上記密着補助層を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0045〕に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。上記例示溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
密着補助層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、0.1〜15g/mがより好ましく、0.1〜2g/mが更に好ましい。
本発明においては、上記のように、基材上に上記の密着補助層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて密着補助層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、密着補助層上にグラフトポリマーが生成した後に密着補助層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
密着補助層は樹脂フィルム(基材)の片面(感光性樹脂組成物塗膜が形成される面)に、塗布法、転写法、印刷法などの公知の層形成方法を適用して形成される。
なお、転写法を適用する場合には、特定重合性化合物を含有する感光性樹脂組成物からなる層と、密着補助層との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基材の表面に転写してもよい。
また、密着補助層は基板上に形成後、何らかのエネルギーを与えて硬化処理工程をおこなってもよい。与えるエネルギーとしては、光、熱、圧力、電子線などが挙げられるが、本実施形態においては熱又は光が一般的であり、熱の場合は、100℃〜300℃の熱を5分〜120分加えることが好ましい。また、加熱硬化の条件は、樹脂フィルム(基材)の材料の種類、密着補助層を構成する樹脂組成物の種類等で異なり、これらの素材の硬化温度にもよるが、120〜220℃で20分〜120分の範囲で選択されることが好ましい。
この硬化処理工程は密着補助層の形成後すぐにおこなってもよく、密着補助層形成後に5〜10分程度の予備硬化処理を行っておけば、密着補助層形成後に行われる他のすべてのそれぞれの工程を行ったあとに実施してもよい。
密着補助層の形成後、その表面に形成される感光性樹脂組成物により形成される表面疎水性硬化物層との密着性向上の目的で、乾式及び/又は湿式法により表面を粗化してもよい。乾式粗化法としては、バフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方、湿式粗化法としては、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。
更に、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の密着補助層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の密着補助層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(基材)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、ポリエステルフィルム又はポリイミドフィルムが好ましい。
また、本発明の方法により得られるプリント配線基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を基板として用いることが好ましい。
絶縁樹脂としては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成される基板が好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物またはリン化合物をさらに含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
また、その他の絶縁樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂、もしくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂が挙げられる。このような樹脂については、例えば、天羽悟ら著,「Journal of Applied Polymer Science」第92巻、p1252−1258(2004年)に詳細に記載されている。
さらに、クラレ製の「ベクスター」などの名称で市販品としても入手可能な液晶性ポリマーやポリ4フッ化エチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂なども好ましく挙げられる。
これらの樹脂のうち、フッ素樹脂(PTFE)は高分子材料の中で最も高周波特性に優れる。ただし、Tgが低い熱可塑性樹脂であるために熱に対する寸法安定性に乏しく,機械的強度なども熱硬化性樹脂材料に比べて劣る。また形成性や加工性にも劣るという問題がある。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂などとのアロイ化を行なって用いることもできる。例えば、PPEとエポキシ樹脂、トリアリルイソシアネートとのアロイ化樹脂、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化樹脂としても使用することができる。
エポキシ樹脂はそのままでは誘電特性が不充分であるが、かさ高い骨格の導入などで改善が図られており、このようにそれぞれの樹脂の特性を生かし、その欠点を補うような構造の導入、変性などを行った樹脂が好ましく用いられる。
例えば、シアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、「電子技術」 2002年第9号 p35に記載されており、これらの記載もまた、このような絶縁樹脂を選択する上で参照することができる。
本発明本発明の方法により得られるプリント配線基板を、半導体パッケージ、各種電気配線用途等に適用する場合、大容量データを高速に処理するという観点で、信号の遅延と減衰とを抑制するためには、基板の誘電率及び誘電正接のそれぞれを、低くすることが有効である。低誘電正接材料については、「エレクトロニクス実装学会誌」第7巻、第5号、p397(2004年)に詳細に記載されている通りであり、特に低誘電正接特性を有する絶縁材料を採用することが高速化の観点から好ましい。
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法を用いて測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、さらにそれらの変性樹脂も含まれる。
本発明のプリント配線基板の製造方法に適用される基材表面の凹凸は500nm以下が好ましく、好ましくは200nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。
また、基材の表面におけるRz(10点平均粗さ)としては、500nm以下であり、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。なお、Rzの測定方法としては、JIS B0601に準じて「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と最小から5番目までの谷底の平均値との差」として測定した。
(グラフトポリマーの生成)
(a1)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、基板を直接光グラフト重合する方法を用いることができる。
本発明においては、重合開始層が形成された基板上に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)を有し且つ該基材と直接化学結合するグラフトポリマーを導入する態様〔(a1−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層が形成された基材上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基材表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を重合開始層が形成された基材表面接触させながら、当該基材表面に生成する活性種により接結合させるものである。
上記接触は、基材を、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層を基板表面に、塗布法により形成してもよい。
<基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法>
本発明においては、グラフトポリマーの生成に適用しうるカップリング反応としては、いかなる反応も使用できる。基板表面の官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基との具体的な組み合わせとしては、(−COOH、アミン)、(−COOH、アジリジン)、(−COOH、イソシアネート)、(−COOH,エポキシ)、(−NH2,イソシアネート)、(−NH2,アルデヒド類)、(−OH、アルコール)、(−OH、ハロゲン化化合物)、(−OH、アミン)、(−OH、酸無水物)の組み合わせが挙げられる。高反応性という観点からは、(−OH、多価イソシアネート)、(−OH、エポキシ)が特に好ましい組み合わせである。
<基板を直接光グラフト重合する方法>
(相互作用性基を有し且つ光グラフト重合するモノマー)
本発明において、基板を直接光グラフト重合する方法により、グラフトポリマーを生成させて樹脂層を形成する場合に用いられる、相互作用性基を有し且つ基板と直接化学結合する化合物としては、以下のモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(相互作用性基を有し且つ基板と直接化学結合するグラフトポリマー)
相互作用性基を有し且つ該基板と直接化学結合するグラフトポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーから生成するポリマーが挙げられる。また、相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマー、即ち、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを用いることがより好ましい。この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
このように、本発明において、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーが好適に用いられるのは以下の理由による。即ち、モノマーを使用しグラフト重合を行う際の作業性を考慮すると、モノマー溶液に浸漬する方法では大量生産が難しい。また、モノマー溶液を塗布する方法では、光照射までに基材上に、モノマー溶液を均一に保持するのは大変困難である。さらに、モノマー溶液を塗布後に、フィルム等によりカバーする方法も知られてはいるが、均一にカバーすることは困難であり、カバーする作業が必要など、作業が煩雑になる。それに対して、ポリマーを使用する場合は、塗布後、固体となるため、均一に製膜が可能であり、大量生産も容易であるからである。
上記ポリマーを合成するための相互作用性基を有するモノマーとしては、以下のモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
また、本発明においては、マクロモノマーも使用することができる。本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本態様で用いられるマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
また、本発明に用いうる重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、例えば、下記式(1)表されるユニット、及び、式(2)で表されるユニットを含む共重合体(以下、適宜、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)も挙げられる。
Figure 2009158855
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009158855
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される2価の有機基であり、好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009158855
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009158855
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、酸素原子、又はNR(Rは、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009158855
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、酸素原子、又はNR’(R’は、水素原子、又はアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、L中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーを合成する際の重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009158855
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009158855
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009158855
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009158855
Figure 2009158855
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、以下に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009158855
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーと、をラジカル重合することにより合成される。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、安息香酸ビニル、東亞合成製のアロニクスM−5300、M−5400、M−5600、三菱レーション製のアクリルエステルPA、HH、共栄社化学製のライトアクリレート HOA−HH、中村化学製のNKエステルSA、A−SAなどが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシメチル)−(メタ)アクリレートのメチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、1−メチル−2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルフタル酸、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH=CRCOOCHCH[OC(=O)C10OH
(R=H又はMe、n=1〜5)
エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学製のサイクロマーA、Mなどが使用できる。
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009158855
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の二重結合導入のための反応性基を有するモノマーの一つとして挙げられている水酸基含有のモノマーと同種のものを使用することができる。
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することもできる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの精製方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いて合成されたものであることが好ましい。
(I)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(II)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(III)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(IV)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(I)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(I)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(II)の工程では、(I)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(III)の工程では、(II)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(IV)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(IV)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(I)〜(IV)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(I)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20〜23MPa1/2であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセチルアセトン、アセトフェノン、トリアセチン、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテールスルホン骨格、ポリアリレート骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外のシアノ基及び重合性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009158855
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ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009158855
前述のように、本発明におけるポリマー層を形成するためには、シアノ基及び重合性基を有するポリマー等のシアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する液状組成物、即ち、シアノ基及び重合性基を有する化合物と、該化合物を溶解しうる溶剤と、を含有する組成物(好ましくは、シアノ基及び重合性基を有するポリマーと、該ポリマーを溶解しうる溶剤と、を含有する本発明のポリマー層形成用組成物)を用いることが好ましい。
なお、シアノ基及び重合性基を有する化合物(例えば、シアノ基含有重合性ポリマー)の組成物中の含有量は、組成物全体に対して、2質量%〜50質量%であることが好ましい。
上記組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である、シアノ基及び重合性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
また、シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物には、必要に応じて、ポリマー層の効果を早めるために、硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加することができる。例えば、重合開始層にエポキシ化合物が含まれる場合の硬化剤及び/又は硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BFモノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
これらの硬化剤及び/又は効果促進剤は、溶液の塗布性、基板やめっき膜との密着性などの観点から、溶剤を除去した残りの不揮発成分の0〜50質量%程度まで添加することが好ましい。
また、シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物には、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レべリング剤、カップリング剤などを添加してもよい。
これらのシアノ基及び重合性基を有する化合物と各種の添加剤とを適宜混合した組成物を用いることで、形成されたポリマー層の物性、例えば、熱膨張係数、ガラス転移温度、ヤング率、ポアソン比、破断応力、降伏応力、熱分解温度などを最適に設定することができる。特に、破断応力、降伏応力、熱分解温度については、より高い方が好ましい。
得られたポリマー層は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができる。
シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を接触させる場合には、組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により相互作用性基含有組成物塗布層を形成する場合の塗布量は、めっき触媒又はその前駆体との充分な相互作用形成性の観点からは、固形分換算で、0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
なお、基材表面に、シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する組成物を塗布し、乾燥させて、シアノ基及び重合性基を有する化合物を含有する層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
(エネルギー付与)
基材表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
以上説明した(a1)工程により、基材上に相互作用性基を有するポリマーからなる樹脂層(グラフト樹脂層)を形成することができる。
〔(a2)工程〕
(a2)工程では、前記(a1)工程において形成された樹脂層における相互作用性基を有する化合物に、めっき触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、樹脂層を構成するグラフトポリマーが有する相互作用性基が、その機能に応じて、付与された金属イオン、金属塩、金属コロイドなどから選択されるめっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
以下、本発明においてめっき触媒又はその前駆体として機能する金属イオン、金属塩、金属コロイドについて説明する。
(金属イオン又は金属塩)
金属塩としては、樹脂層に付与するために適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。
本発明における金属イオン又は金属塩としては、還元された金属の酸化されにくさから、電子材料に好ましいという観点からは、銅、銀、金、ニッケル、及びCrからなる群より選ばれる金属のイオン又は塩であることが好ましい。
(金属イオン及び金属塩の付与方法)
金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、樹脂層を構成するグラフトポリマーを形成している化合物によって、適宜、選択することができる。また、グラフトポリマーは、金属イオン等の付着の観点からは、親水性基を有することが好ましい。
具体的な金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、(i)グラフトポリマーが相互作用性基として、イオン性基(極性基)を有する場合、そのグラフトポリマーのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法、(ii)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合、そのグラフトポリマーに、金属塩又は金属塩を含有する溶液を含浸させる方法、(iii)親水性グラフトポリマーに、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、そのグラフトポリマーに金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法、の何れかの方法を適宜選択して用いることができる。特に、(iii)の方法によれば、グラフトポリマーの性質が特に問われないため、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
金属イオン又は金属塩を樹脂層に付与する際、(i)グラフトポリマーがイオン性基を有し、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる場合には、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、樹脂層が形成された基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中に樹脂層が形成された基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩を樹脂層に付与する際、(ii)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合は、上記の金属塩を微粒子状にして直接付着させる、又は金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製し、その分散液を、樹脂層が形成された基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中に樹脂層が形成された基板を浸漬すればよい。また、グラフトポリマーが親水性化合物からなる場合、グラフトポリマーは高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマーに含浸させることができる。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(iii)親水性グラフトポリマーよりなる樹脂層を有するガラス基板を、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、その樹脂層に金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法を用いる場合には、上記の金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製するか、又は上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を調製し、その分散液又は溶液を、樹脂層を有する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中に樹脂層を有する基板を浸漬すればよい。かかる方法においても、上述と同様に、親水性グラフトポリマーが有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をその親水性グラフトポリマーに含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
−グラフトポリマーが有する官能基の極性と金属イオン又は金属塩との関係−
グラフトポリマーが負の電荷を有する官能基をもつものであれば、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体(金属膜や金属微粒子)が析出する領域が形成される。
−親水性化合物結合タイプの親水性基の極性と金属イオン又は金属塩との関係−
グラフトポリマーが先に詳述したように親水性の官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する場合は、選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(例えば、配線など)が形成される。
一方、グラフトポリマー鎖が特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基を有する場合は、選択的に正の電荷を有するようになり、ここに金属塩を含有する溶液、又は金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(配線)が形成される。
これらの金属イオンは、親水性表面の親水性基に付与(吸着)し得る最大量、結合されることが耐久性の点で好ましい。
金属イオンを親水性基に付与する方法としては、金属イオン又は金属塩を溶解又は分散させた液を支持体表面に塗布する方法、及び、これらの溶液又は分散液中に支持体表面を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の金属イオンを供給し、親水性基との間に充分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液と支持体表面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
前記金属イオン又は金属塩は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
本工程で形成される導電性層は、SEM、AFMによる表面観察、断面観察より、表面グラフト膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していることが確認される。形成される金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
(金属コロイド)
(a2)工程において、めっき触媒又はその前駆体として用いられる金属コロイドは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。
本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属をグラフトポリマー上(相互作用性領域)に固定する手法としては、一般に、荷電を調節した金属コロイドが用いられるが、この金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、上記金属の金属イオンを還元することにより作製することができる。ここで使用する界面活性剤により荷電が変わり、表面にグラフト法により形成されたパターン状の樹脂層における相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に吸着させることができる。
(金属コロイドの付与方法)
金属コロイドを樹脂層に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーが存在する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーを有する基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記パターン部の相互作用基には、金属イオンがイオン−イオン、又は、双極性−イオン相互作用を利用して吸着することができる。これら吸着を十分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
〔(a3)工程〕
(a3)工程では、無電解めっき液を用いて、上記(a2)工程において樹脂層に付与した金属イオン又は金属塩の還元、及び無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する。具体的には、本工程において、前記樹脂層に無電解めっき液を付与し、前記金属イオン又は金属塩を金属に還元すると同時に該金属を無電解めっき触媒として無電解めっきを行なうことにより、無電解めっき層を形成する。
<無電解めっき>
無電解めっきとは、めっきさせたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
(a3)工程における無電解めっき液の付与は、例えば、前記(a2)工程において、樹脂層に金属イオン又は金属塩を付与した後、水洗して余分な金属塩等を除去し、めっきされる金属イオンと表面電荷調節剤とを含有する無電解めっき浴に浸漬して行なうことが好ましい。無電解めっき浴として使用しうる表面荷電調節剤以外の成分としては、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっきされる金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれ、本工程においては、さらに4.表面荷電調節剤を含有してもよい。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、これらの中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて、還元剤、添加物を用いてもよい。例えば、銅の無電解めっき浴は、銅塩としてCu(SO42、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含んでもよい。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴であれば、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムを含んでもよい。また、パラジウムの無電解めっき浴であれば、金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAを含んでもよい。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっき層の厚みは、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっき層(金属膜)は、SEMによる断面観察により、樹脂層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更に樹脂層上にめっき金属が析出していることが確認できる。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
〔(a4)工程〕
(a4)工程では、(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて導体パターンを形成する工程を実施するか、又は、(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて導体パターンを形成する工程を実施する。
<(a4−1)工程>
(a4−1)工程は、(a3)工程で形成された無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後、該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて導体パターンを形成する。(a4−1)工程は、例えば以下のごとく実施する。
即ち、先ず、(a3)工程で形成された無電解めっき層をベースに電解めっきを行い、該無電解めっき層上に任意の厚みを有する金属膜を形成する。次いで、該金属膜上にパターン状のレジスト層を形成する。レジスト層の非形成領域における金属膜を除去した後、レジスト層を剥離する。以上により導体パターンが形成される。
−電解めっき−
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電解めっきに用いられるめっき浴は、金属膜の平滑性、展伸性、導電性など電子回路として用いる場合の特性を改良するという観点から、添加剤を含むことが好ましい。
電解気めっきにおける添加剤としては、市販の電気めっき用添加剤を用いることができる。具体的な添加剤としては、例えば、ヤヌスグリーンB(JGB)、SPS(スルホプロピルチオレート)、ポリエチレングリコール、各種の界面活性剤などが挙げられる。また、これらの混合物として各めっき液メーカーから上市されているものとしては、メルテックス(株)製のカパーグリームシリーズ、奥野製薬工業製トップルチナシリーズ、荏原ユージライト(株)製キューブライトシリーズ、等を用いることができる。得られる金属膜の力学特性等に応じたものを選択すればよい。
添加剤の種類及びその添加量の具体的な態様については、めっき速度、電解めっき時の電流密度、形成される金属膜の内部応力などの諸特性を考慮して適宜調整することができる。具体的には、添加剤の薬品濃度として、0.1mg/L〜1.0g/L、市販の電気めっき液の場合は、1ml/Lから50ml/L(各メーカーのカタログによる)を添加すればよい。
電解めっきは、通電開始時からの電気量が通電終了時迄に要する電気量の1/10〜1/4に達する迄の間、電流密度0.1mA/cm〜3mA/cmで行うことが好ましい。電解めっきを、通電当初から一定期間小さな電流密度で行うことで、比較的表面抵抗の高い基板上に、均一に金属被膜を形成できると同時に、ゆっくりと金属膜が成長することで、緻密で電気伝導度に優れ電子回路に適した金属膜を形成することができる。
上記範囲の電流密度で電解めっきを行う期間は、形成される金属膜の性状・用途等に応じて、通電開始時からの電気量が通電終了時迄に要する電気量の1/10〜1/4に達する迄の間で適宜設定される。また、電流密度の大きさも上記範囲において、形成される金属膜の用途・性状等に応じて適宜設定される。
電解めっきは、上記範囲の小さな電流密度で所定の期間行った後、更に、電流密度を増加して行われることが好ましい。電流密度の増加の度合いは、適宜設定しうるが、通常、通電開始の電流密度の2〜20倍、好ましくは3〜5倍程度である。
電流密度の増加態様については、特に制限はなく、線形状の増加、ステップ状の増加、指数関数的増加等の態様を採ることができる。めっき被膜の均一性の観点からは、線形状に電流密度を増加させることが好ましい。
電解めっきにより形成される金属膜の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、導電性の観点からは、該金属膜の膜厚は、0.3μm以上であることが好ましく、
3μm以上であることがより好ましい。膜厚の上限は特に限定されないが、10μm程度である。
また、電解めっきにより形成される金属膜の表面抵抗率は、1×10−1Ω/□以下であることが好ましく、好ましくは1×10−2Ω/□以下である。
なお、本明細書における表面抵抗率は、ダイアインスツルメント(株)製、抵抗率計・ロレスタEP・MCP−T360型を用い、4端子4探針法、定電流印加方式により、測定した値を採用した。
−レジスト層の形成−
レジスト層は、感光性レジストを用いて形成することができる。使用する感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが使用できる。
感光性レジストとしては、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストを使用することができる。これらはそれぞれ特徴がある。即ち、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は、乾式で用いることができるので取り扱いが簡便である。2.液状レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用する感光性レジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。
上記の各感光性レジストを用いる場合、金属膜上へのレジストの配置は以下のごとく行う。
1.感光性ドライフィルム
感光性ドライフィルムは、一般的にポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしており、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する。
感光性ドライフィルムレジストは、その処方、製膜方法、積層方法については、本願出願人が先に提案した特願2005−103677明細書、段落番号〔0192〕乃至〔0372〕に詳細に記載され、これらの記載は本発明にも同様に適用することができる。
2.液状レジスト
塗布方法はスプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートがある。両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートが両面同時にコート可能であり、好ましい。
液状レジストについては、本願出願人が先に提案した特開2007−10785号公報(特願2005−188722明細書)段落番号〔0199〕乃至〔0219〕に詳細に記載され、これらの記載は本発明にも適用することができる。
3.ED(電着)レジスト
EDレジストは感光性レジストを微細な粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものであり、粒子が電荷を帯びているので、導体層に電圧を与えると電気泳動により、導体層上にレジストが析出し、導体上でコロイドは相互に結合し膜状になる、塗布することができる。
次いで、パターン露光及び現像を行う。
パターン露光は、レジスト膜を金属膜上部に設けてなる基材をマスクフィルムまたは乾板と密着させて、使用しているレジストの感光領域の光で露光する。フィルムを用いる場合には真空の焼き枠で密着させ露光をする。露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。パターン幅を100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。
現像は、光硬化型のネガレジストならば未露光部を、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすもであれ何を使用してもよいが、主には有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、環境負荷低減の観点からは、アルカリ性水溶液を使用することも好ましい。
−レジスト層の非形成領域における金属膜の除去−
レジスト層の非形成領域における金属膜の除去は、例えば、30〜40wt%の塩化第二鉄と、3%以下の少量の塩酸とを用いて、該金属膜を酸化させ溶解除去することにより行なうことができる。但し、レジスト層の非形成領域における金属膜の除去はこれに限定されるものではなく、この他にも、硫酸等の強酸を用いる方法など、銅等の金属膜を酸化させ溶解除去できる方法であれば用いることができる。
−レジスト膜の剥離−
レジスト層の剥離は、剥離液をスプレーして行うことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的にはレジストを膨潤させる溶剤、又は、溶液をスプレーにより拭きつけ、レジストを膨潤させて剥離する。
<(a4−2)工程>
(a4−2)工程は、(a3)工程において形成された無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて導体パターンを形成する。(a4−2)工程は、例えば以下のごとく実施する。
即ち、先ず、(a3)工程で形成された無電解めっき層上に、パターン状のレジスト層を形成する。次いで、電解めっきを行い、レジスト層の非存在領域における無電解めっき層上に任意の厚みを有するパターン状の金属膜を形成した後、レジスト層を剥離する。さらに、レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層を除去する。以上により導体パターンが形成される。
−レジスト層の形成−
レジスト層の形成は、(a4−1)工程においてサブトラクティブ法を用いて導体パターンを形成する場合におけるレジスト層の形成と同様にして行うことができる。
−電解めっき−
電解めっきは、(a4−1)工程と同様にして行うことができる。
なお、(a4)工程として、(a4−2)工程が適用される場合には、電解めっきの前には、レジスト現像における残渣や、無電解めっき層の表面に形成される場合のある酸化被膜を除去するための脱脂洗浄処理を行うことが好ましい。
脱脂洗浄処理には、蒸留水、希薄な酸、希薄な酸化剤水溶液を用いることができ、希薄な酸性の酸化剤水溶液が好ましく用いられる。酸としては、塩酸、硫酸、酸化剤としては過酸化水素や過硫酸アンモニウムを用いることができる。酸化剤の濃度は、0.01質量%〜1質量%が好ましい。脱脂洗浄処理は、室温から50℃の温度で、1〜30分の処理であることが好ましい。
−レジスト層の剥離−
レジスト層の剥離は、(a4−1)工程におけるレジスト層の剥離と同様にして行うことができる。
−レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層の除去−
レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層の除去は、当該めっき膜を溶解除去することで行われる。かかる溶解除去は、金属塩の溶解を促進するためのキレート剤、金属を酸化してイオン化するための酸化剤、金属を溶解するための酸、などを含む水溶液を導電層除去液として用い、基板を除去液に浸漬、あるいは除去液を基板にスプレーして行うことができる。
キレート剤としては、EDTA、NTA、リン酸などの市販の金属キレート剤が挙げられる。酸化剤としては、過酸化水素、過酸(次亜塩素酸、過硫酸、など)が挙げられ、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられる。本発明においては、これらの酸化剤、キレート剤、酸を組み合わせて用いることが好ましい。
また、前記(a1)工程において、相互作用性基を有する樹脂層をパターン状に形成し、その後、(a2)〜(a3)工程を行うことで、金属層(導体膜)が樹脂層の形成領域のみにパターン状に形成され、このような方法によっても導体パターンを形成することができる。
以下、(a’1)樹脂層をパターン状に設ける工程について説明する。
〔(a’1)工程〕
(a’1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と少なくともその方末端が直接化学結合するポリマーからなる樹脂層をパターン状に設ける。
基板上に、樹脂層をパターン状に設ける方法としては、以下に示すパターン形成態様(1)〜(3)の各態様が挙げられる。
<パターン形成態様(1)>
パターン形成態様(1)は、前記(a1)工程で説明した手段に準じるものであり、(a1)工程では、基板の全面にエネルギー付与を行って樹脂層を形成したが、本態様では、樹脂層の形成においてパターン状にエネルギー付与を行い、樹脂層をエネルギー付与両域のみにパターン状に形成するものである(以下、このような表面を「パターン状樹脂層」と称することがある)。
本態様に適用される、基板(基材及び基材上に形成しうる中間層)、樹脂層を構成する各要素に関する事項、等の詳細については、前記(a1)工程で説明した事項を、同様に適用することができる。
〔パターン(画像)の形成〕
パターン形成態様(1)におけるパターンの形成に用いられるエネルギー付与の方法には特に制限はなく、基板表面に活性点を生じさせ、相互作用性基を有する化合物と結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
パターン形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
画像様の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
このようにエネルギー付与を行うことで基板表面に発生した活性点と、重合性基及び相互作用性基を有する化合物とが重合して、運動性の高いグラフト鎖からなるグラフトパターンが形成される。また、好ましい態様として、末端及び側鎖に重合性基を有する化合物を用いることで、基板と結合したグラフト鎖の側鎖の重合性基に更に、グラフト鎖が結合することで、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成され、グラフトの形成密度、運動性ともに飛躍的に向上し、無電解めっき触媒またはその前駆体とのさらなる高い相互作用が発現するものである。
<パターン形成態様(2)>
パターン形成態様(2)は、特開2006−228951号公報段落番号[0019]〜[0063]に記載の化合物、基材などを使用し、熱、酸又は輻射線により、金属イオン又は金属塩と相互作用する官能基へと変化する、もしくは、その効果を失う官能基(極性変換基)を有する高分子化合物を、基板表面全面に直接結合させた後、パターン状に熱、酸又は輻射線の付与を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。この詳細は上記公報に記載され、ここに記載の態様を本発明にも適用することができる。
〔パターン(画像)の形成〕
パターン形成態様(2)におけるパターンの形成は、光などの輻射線の照射或いは加熱により行われる。また、光照射の一態様として、前記光熱変換物質を併用するタイプであれば、赤外線領域のレーザー光等の走査露光による加熱により、パターンを形成することも可能である。
パターン形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
700nm以下の光に感応する極性変換基を用いた場合には、パターン形成層内において、極性変換を生起させる、即ち、前述の極性変換基を分解、開環或いは二量化させて、親疎水性を変化させることの可能なものであれば、いずれの光照射の手段も使用できる。例えば、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射を使用することが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等が挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザー露光により極性変換を生起させる方法が好ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザー、Arレーザー、He/Neレーザー、He/Cdレーザー、Krレーザー等の気体レーザー、液体(色素)レーザー、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザー等の固体レーザー、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザー等の半導体レーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、XeFレーザー、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。
<パターン形成態様(3)>
パターン形成態様(3)は、基板上に、光熱変換物質及びバインダーを含有する感光層(以下、パターン形成態様(3)に係るこのような感光層を「アブレーション層」と称することがある)と、該感光層表面全面に、相互作用性基を有する高分子化合物が直接結合してなる層とを設け、画像様に輻射線の照射を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。
〔感光層(アブレーション層)〕
パターン形成態様(3)におけるアブレーション層は、活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点において基板上に設けられる重合開始能を発現する層と同様の機能を有する。
このようなアブレーション層は、後述する光熱変換物質とバインダーとを含有することを要し、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
本態様においては、照射されたレーザー光等の輻射線が、光熱変換物質に吸収され熱に変換して感光層のアブレーションを起こし、これによりアブレーション層が除去(溶融、分解、揮発、燃焼、等)されることに伴って、後述する相互作用性層をも除去されることによって、相互作用性領域が基板表面に選択的に形成されるものである。
また、本態様においては、アブレーション層中に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として重合性化合物と重合開始剤とを添加し、該アブレーション層を重合開始能を発現する層として形成することが、アブレーション層表面に活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点から好ましい。
前記アブレーション層を、重合開始能を発現する層として形成するには、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜すればよい。
以下に、前記アブレーション層に含有され得る成分について説明する。
(バインダー)
パターン形成態様(3)におけるバインダーは、塗膜性、膜強度、及びアブレーションの効果を高める目的で使用されるものであり、光熱変換物質との相溶性、或いは、光熱変換物質の分散性を考慮して適宜選択される。
前記バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等の不飽和酸と、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレン等との共重合体;ポリメチルメタクリレートに代表されるメタクリル酸アルキルやアクリル酸アルキルの重合体;(メタ)アクリル酸アルキルとアクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン等との共重合体;アクリロニトリルと塩化ビニルや塩化ビニリデンとの共重合体;側鎖にカルボキシル基を有するセルロース変性物;ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン;フェノール、o−、m−、p−クレゾール、及び/又はキシレノールとアルデヒド、アセトン等との縮合反応で得られるノボラック樹脂;エピクロロヒドリンとビスフェノールAとのポリエーテル;可溶性ナイロン;ポリ塩化ビニリデン;塩素化ポリオレフィン;塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体;酢酸ビニルの重合体;アクリロニトリルとスチレンとの共重合体;アクリロニトリルとブタジエン及びスチレンとの共重合体;ポリビニルアルキルエーテル;ポリビニルアルキルケトン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレートイソフタレート;アセチルセルロース;アセチルプロピオキシセルロース;アセチルブトキシセルロース;ニトロセルロース;セルロイド;ポリビニルブチラール;エポキシ樹脂;メラミン樹脂;フォルマリン樹脂等が用いられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
前記バインダーのアブレーション層中における含有量は、全アブレーション層固形分中、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%が更に好ましい。
(重合性化合物)
前記バインダーと併用して用いられる重合性化合物としては、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、後述する重合性基及び相互作用性基を有する化合物が付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
前記重合性化合物としては、前記バインダーがこれを兼ねていてもよいし、前記バインダーとは異なる化合物であってもよい。
具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが好適に挙げられる。
前記重合性化合物をバインダー中に添加する場合の含有量は、全アブレーション層固形分中、5〜95質量%の範囲が好ましく、20〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、パターン形成態様(1)の重合開始能を有する層で用いた重合開始剤をそのまま使用することができる。
重合開始剤の含有量は、アブレーション層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
(光熱変換物質)
パターン形成態様(3)における光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質であれば全て使用でき、より詳細には、前記パターン形成態様(1)に記載されている光熱変換物質と同様の染料及び顔料を用いることができる。
用いられる染料又は顔料は、感度および光熱変換物質含有層の膜強度の観点からは、アブレーション層全固形分の0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10質量%の割合で使用することができる。
(その他の添加剤)
本態様において、アブレーション効果を向上させる目的で、ニトロセルロースをアブレーション層中に更に含有させることが好ましい。ニトロセルロースは、近赤外レーザー光を光吸収剤が吸収し発生した熱により分解し、効率よく低分子のガスを発生することにより、アブレーション層の除去を促進する。
〔アブレーション層の形成〕
アブレーション層は、前記成分を適当な溶媒に溶かし、基版上に塗布することで設けることができる。なお、アブレーション層を塗布する際に用いる溶媒は、光熱変換物質、バインダー等の上記各成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
アブレーション層を基板上に形成する場合の塗布量としては、乾燥後の質量で、0.05〜10g/m2が好ましく、0.3〜5g/m2がより好ましい。
パターン形成態様(3)においては、基板表面上に前記アブレーション層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させてアブレーション層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、アブレーション層上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物をグラフトした後、アブレーション層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制しうるため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、パターン形成態様(1)における光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥しうる条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するパターン形成に用いる光源を用いることができる。該光照射は、引き続き行われるグラフトパターンの形成と、エネルギー付与により実施されるアブレーション層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点からは、アブレーション層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度にすることが好ましい。光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
〔相互作用性層〕
パターン形成態様(3)においては、前記アブレーション層上に、相互作用性基を有する高分子化合物が直接化学的に結合されてなる相互作用性層が形成される。また、本態様には、グラフトポリマーがアブレーション層表面上に直接結合したもの、アブレーション層表面上に配置された幹高分子化合物を介して結合したもののいずれも包含される。
本態様におけるグラフトポリマーの特徴は、ポリマーの末端がアブレーション層表面に結合しており、相互作用性を発現するポリマー部分の運動性が制限されることなく、高い運動性を保持できるという特徴を有する。このため、無電解めっき触媒またはその前駆体との優れた相互作用性が発現されるものと考えられる。
このようなグラフトポリマー鎖の分子量は、Mw500〜500万の範囲であり、好ましい分子量はMw1000〜100万の範囲であり、更に好ましくはMw2000〜100万の範囲である。
なお、本態様においては、グラフトポリマー鎖が直接アブレーション層表面に結合しているものを「表面グラフト」と称する。「表面グラフト」の形成方法としては、前記した「表面グラフト重合」の形成方法を使用することができる。
(重合性基及び相互作用性基を有する化合物)
本態様に好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有する化合物としては、前記パターン形成態様(2)において用いた重合性基及び相互作用性基を有する化合物と同じものを用いることができる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物に使用する溶剤、添加剤、等も同様のものを用いることができる。
〔基板〕
パターン形成態様(3)に使用される基板は、寸度的に安定な板状物であって、表面凹凸が500nm以下であるものが好ましく、具体的には、先に、導体パターン形成方法(1)の(a1)工程において挙げた基板、それを構成する基材、中間層なども同様のもの挙げることができる。
〔パターン(画像)の形成〕
本態様におけるパターン形成機構では、画像様に輻射線の照射を行うことによりアブレーションが生じ、相互作用性表面が形成された感光層が除去されることにより相互作用性を有しない基板が露出し、相互作用性領域(パターン)が形成される。
パターンの形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザー露光によりアブレーションを生じさせる方法が好ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザー、Arレーザー、He/Neレーザー、He/Cdレーザー、Krレーザー等の気体レーザー、液体(色素)レーザー、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザー等の固体レーザー、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザー等の半導体レーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、XeFレーザー、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。中でも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
このようにして(a’1)工程で形成したパターン状の樹脂層に、めっき触媒又はその前駆体を付与する(a2)工程、めっきを行う(a3)工程を、前記したのと同様に行うことで、導体パターンが形成される。本態様では、(a’1)工程、(a2)工程、及び(a3)工程を順次行うことで、導体膜がパターン状に形成されるため、前記態様における金属膜のパターニング工程、即ち(a4)工程は実施されない。
〔(b)工程〕
このようにして形成された導体パターンを有する基板を洗浄工程に付す。
(b)工程では、(a1)〜(a4)工程又は(a’1)〜(a3)工程により形成された導体パターンを有するプリント配線板を、有機酸、含窒素化合物、及び、金属イオンの還元剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を除去する洗浄処理を施す。
洗浄液には、(A)有機酸、(B)含窒素化合物、(C)金属イオンの還元剤、から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する。通常、溶媒としては水を主成分とする。
洗浄処理は、前記(A)〜(C)から選ばれる1種以上の化合物を有する洗浄液を用いて行うが、その適用手段としては、例えば、導体パターンが形成された基板を洗浄液に一定時間浸漬する方法、基板の導体パターン形成面に洗浄液を吹き付ける方法、無担ベルト上に配置した基板を、洗浄液が入った液攪拌された洗浄液浴中を搬送しつつ浸漬する方法、洗浄液をスプレー噴射する方法などが挙げられるが、異物を除去するという観点からは、洗浄液をスプレー噴射する方法が好ましい。
基板を洗浄液に浸漬することにより行う場合、洗浄液の温度としては、10℃〜80℃が好ましく、25℃〜60℃がより好ましい。また、浸漬時間は30秒〜60分が好ましく、3分〜30分がより好ましい。
基板に洗浄液をスプレーすることにより行う場合、洗浄液の温度としては、10℃〜80℃が好ましく、25℃〜70℃がより好ましい。また、洗浄液と基板との接触時間、即ち、基板1枚あたりに洗浄液を連続してスプレーする時間は10秒〜20分が好ましく、30秒〜10分がより好ましい。
洗浄液の流量或いはスプレー圧については、流量は基板1mあたり、500〜10000cm/min程度であり、スプレー圧は、0.1〜0.5Mpa程度であることが好ましい。
洗浄工程は、目的に応じて、1種類の洗浄液を用いた1工程であってもよく、互いに異なる2種の洗浄液を用いた2工程であってもよい。
前記(b)洗浄工程を2工程で行う場合、(b1)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b2)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、を順次施す方法、及び、(b’1)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b’2)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、を順次施す方法が挙げられる。
1種類の洗浄液を用いて1工程で行う洗浄工程は、洗浄対象が、ソルダーレジストなど上層が未貼付のプリント配線板であって主として基板表面に存在するCu,Pdなどの金属残渣を除去する場合に有用である。
この工程では、導体パターン形成後の基板に適用する洗浄液の温度は10〜80℃の範囲であることが好ましく、25〜50℃であることがより好ましい。
洗浄液の適用方法としては、以下に挙げる方法が用いられ、以下に挙げる装置を用いて適用することも可能である。
まず、本発明の方法に使用する洗浄液を調製する。
洗浄液の調製は、溶媒としての純水に、以下に詳述する有効成分、例えば、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物を添加し、25℃〜80℃程度の、有効成分の溶解性や被洗浄不純物の種類などを考慮して設定した温度、例えば、50℃の温度条件で攪拌溶解することにより行われる。
次に洗浄を行うが、洗浄は上記した洗浄液を満たした洗浄液浴に浸漬する方法、該洗浄液をスプレーなどにより、被洗浄体に吹き付ける方法などが挙げられる。
(浸漬による洗浄方法)
洗浄液が入った洗浄液浴を、液温度を25℃〜80℃の目的に応じた温度に維持しながら、適度に液循環させ、被洗浄体である基板を5分間程度浸漬して洗浄液と十分に接触させて洗浄を行う。その後、純水による洗浄を5分間程度行なって洗浄液の成分を除去する。
(スプレー噴射による洗浄方法)
次に、スプレー噴射による洗浄方法の代表的な例を挙げて説明する。
この方法で用いられる洗浄装置は、無端ベルトによる基板搬送、基板に対し垂直に液噴射できるノズル・アレイ、及び、洗浄後にさらに純水洗浄を行うための部材から構成される。送り速度を0.3m/分前後に調製した無端ベルト上に被洗浄体である基板を配置して搬送し、その表面にノズル、アレイから洗浄液を噴射する。ノズルから噴射される洗浄液のスプレー圧は0.2MPa程度に設定して、基板表面の洗浄を行なう。洗浄時のスプレー時間は、5分間程度が好ましい。洗浄液をスプレーした後の基板を純水にてさらに5分間程度洗浄する。
スプレーする洗浄液の液温度は目的に応じ、25〜80℃程度の範囲内で適宜調整される。
いずれの場合でも、リンス処理に相当する純水による洗浄工程では、液温は、25℃〜50℃であることが好ましい。
〔洗浄液〕
ここで、本発明に係る洗浄処理に用いられる洗浄液について説明する。
洗浄液は、前記(A)〜(C)から選ばれる1種以上の化合物を水、或いは、水と水性溶剤との混合溶媒に添加し、均一に溶解或いは分散したものが挙げられる。
(A)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物(以下、適宜、特定カルボキシ基含有化合物と称する)は、分子内にカルボキシ基を1つ以上含む化合物であり、具体的には、例えば、クエン酸、しゅう酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、プロピオン酸、及び、マレイン酸などが挙げられ、なかでも、分子量の当たりのカルボキシル基量の観点から、クエン酸、蟻酸、リンゴ酸、マレイン酸が好ましい。
(A)特定カルボキシ基含有化合物は、遷移金属と配位結合が可能なことから、遷移金属の微粒子およびイオンの除去に有用であり、そのような不純物の除去に好ましく用いられる。
(A)特定カルボキシ基含有化合物は、洗浄液に1種含まれていてもよく、2種以上を併用することもできる。また、以下に詳述する(B)特定含窒素化合物と併用することもできる。
(A)特定カルボキシ基含有化合物の洗浄液に対する含有量は、1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、2〜10質量%の範囲にあることが更に好ましい。
また、後述する(B)特定含窒素化合物と併用する場合、(A)成分と(B)成分との含有比率は10:90〜90:10の範囲にあることが好ましい。また、(A)成分と(B)成分との総量は、1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、3〜10質量%の範囲にあることが更に好ましい。
ここで、溶媒、分散媒として用いる溶剤(分散媒)は環境・コスト・入手のしやすさの観点から、水、或いは水と水性溶剤との混合物が好ましい。不純物はできるだけ少ない方がよく、そのような観点からは、イオン交換水、純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
本発明に係る洗浄液は、前記(A)成分と溶媒(分散媒)を含んで構成されるが、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りおいて他の成分、例えば、界面活性剤などを含んでいてもよい。
洗浄剤に用いられる(B)遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物(以下、適宜、特定含窒素化合物と称する)としては、分子内に少なくとも1つの窒素原子を含み、且つ、遷移金属に配位結合可能な部分構造を有する化合物であれば、特に制限はないが、シアノ基を有する水に可溶な有機低分子化合物、ヘテロ原子として窒素原子を含む水に可溶な含窒素複素環化合物、などが好ましく挙げられる。
シアノ基を有する有機化合物としては、飽和或いは不飽和炭化水素にシアノ基が置換されたアセトニトリル、アジポニトリル、アクリロニトリル、アミノアセトニトリルなどが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、5員環〜6員環の環構造に窒素原子が2〜3個含まれる複素環化合物、或いは、そのような含窒素複素環と脂環或いは芳香環とが縮合してなる含窒素縮合複素環化合物などが挙げられる。含窒素複素環化合物は、さらに、カルボキシル基、アミノ基などの置換基を有するものであってもよい。
含窒素複素環化合物としては、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ベンゾイミダゾリノン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール2−ピロリドン、インドールなどが挙げられる。
これらのなかでも、分子量100程度の化合物が好ましく用いられ、具体的には、イミダゾール、トリアゾールなどが分子量当りの窒素原子数の観点から好ましい。
(B)特定含窒素化合物は、遷移金属と配位結合することから、遷移金属の微粒子またはイオンの除去に好ましく用いられる。
(B)特定含窒素化合物は、洗浄液に1種含まれていてもよく、2種以上を併用することもできる。また、前述の如く(A)特定カルボキシ基含有化合物と併用することもできる。
(B)特定含窒素化合物の洗浄液に対する含有量は、1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、3〜10質量%の範囲にあることが更に好ましい。
ここで、溶媒、分散媒として用いるなる溶剤(分散媒)は、(A)特定カルボキシ基含有化合物の説明において述べたものと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
洗浄液は、前記(B)成分と溶媒(分散媒)を含んで構成されるが、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りおいて、(A)成分や界面活性剤など他の成分を含んでいてもよいことも、前述の通りである。
本発明の洗浄剤に用いられる他の有効成分として、(C)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物(以下、適宜、特定金属イオン還元剤と称する)が挙げられる。本発明における(C)特定金属イオン還元剤とは、金属の結晶化剤としての機能を有するボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であり、結晶化(凝集体)することにより、金属原子は樹脂と相互作用する機会が減少するため、(C)成分を含有する洗浄剤は、イオン状態で存在する遷移金属残渣の除去に有用である。
(C)金属イオンの還元剤としては、例えば、アミノボラン、ジメチルアミノボランなどの金属イオンを還元可能なボラン化合物、次亜リン酸などの金属イオンを還元可能なリン化合物、ホルムアルデヒドなどの金属イオンを還元可能なアルデヒド化合物、硫酸ヒドロキシアミンなどが挙げられ、還元力の観点から、アミノボラン、ジメチルアミノボランが好ましい。
(C)特定金属イオン還元剤は、洗浄液に1種含まれていてもよく、2種以上を併用することもできる。
なお、(C)成分は還元能を有するため、前記(A)特定カルボキシル基含有化合物における一部化合物の如き有機酸と併用するとその効果が著しく低下する。このため、(C)成分と(A)成分と併用することは好ましくない。
また、(B)特定含窒素化合物との併用は問題ない。
(C)金属イオンの還元剤の洗浄液に対する含有量は、1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、3〜10質量%の範囲にあることが更に好ましい。
ここで、溶媒、分散媒として用いるなる溶剤(分散媒)は、(A)カルボキシ基を有する化合物の説明において述べたものと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
洗浄液は、前記(C)成分と溶媒(分散媒)を含んで構成されるが、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りおいて他の成分を含んでいてもよい。(C)成分と併用しうる化合物としては、界面活性剤などが挙げられる。
洗浄液の調整は、水などの溶媒に、前記(A)〜(C)から選択される1種以上の化合物を添加し、攪拌、混合して均一に溶解、分散させて行われる。この調整には攪拌に加え、超音波を印加して溶解、分散させる手段をとることもできる。
調整は通常室温20〜25℃で行われるが、25〜40℃に加温しつつ調整することもできる。
次に、2工程の洗浄工程について説明する。
洗浄対象の導体パターンを有する基板の表面樹脂層に、0価金属が多く残存している場合には、(b1)(A)特定カルボキシル基含有化合物及び(B)特定窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b2)(C)特定金属イオン還元剤を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程とを順次行うことが好ましい。
この2工程に使用される洗浄液の調製方法は前記と同様である。
(b1)第1の洗浄工程における洗浄温度は25〜60℃、好ましくは50℃前後である。また、洗浄方法は、上述したものと同様である。(b1)工程における洗浄液の調製方法としては、例えば、(A)成分と(B)成分とを所定の比率、例えば、50:50として双方を純水に添加し、50℃程度に加温しながら攪拌溶解して、(A)成分と(B)成分との総量が5〜10質量%となるような洗浄液を調製する方法が挙げられる。
また、(b2)第2の洗浄工程における洗浄温度は25℃の常温近傍温度であることが好ましい。洗浄温度以外の洗浄方法は上述したのと同様である。(b2)工程における洗浄液の調製方法としては、例えば、(C)成分を純水に添加し、常温にて攪拌溶解して、(C)成分の濃度が5〜10質量%となるような洗浄液を調製する方法が挙げられる。
このようにして順次、異なる洗浄液で順次洗浄することで、残渣の除去をより効果的に行いうるという利点を有する。
洗浄対象の導体パターンを有する基板上に、金属イオンの状態の残渣が多く残存している場合には、前記(b)洗浄工程が、(b’1)(C)特定金属イオン還元剤を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、(b’2)(A)特定カルボキシル基含有化合物及び(B)特定含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、を順次行うことが好ましい。
(b’1)第1の洗浄工程における洗浄温度は25℃の常温近傍温度であることが好ましい。洗浄温度以外の洗浄方法は上述したのと同様である。(b’1)工程における洗浄液の調製方法としては、例えば、(C)成分を純水に添加し、常温にて攪拌溶解して、(C)成分の濃度が5〜10質量%となるような洗浄液を調製する方法が挙げられる。
また、(b’2)第2の洗浄工程における洗浄温度は25〜60℃、好ましくは50℃前後である。また、洗浄方法は、上述したものと同様である。(b’2)工程における洗浄液の調製方法としては、例えば、(A)成分と(B)成分とを所定の比率、例えば、50:50として双方を純水に添加し、50℃程度に加温しながら白飯溶解して、(A)成分と(B)成分との総量が5〜10質量%となるような洗浄液を調製する方法が挙げられる。
このようにして先の態様とは逆の順で、異なる洗浄液で洗浄することで、金属残渣の存在状態を考慮した残渣除去を効率的に行なうことができるという利点を有する。
前記1工程或いは2工程の洗浄処理のいずれの場合でも、(b)洗浄工程においては、前記(A)〜(C)成分から選択される有効成分を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を主とする各種残渣を除去する工程を完了した後、蒸留水、イオン交換水などで水洗する工程、さらに、乾燥する工程を行ってもよい。
乾燥工程は、好ましくはクリーンオーブン中で、100〜140℃の温度範囲で行うことができる。なお、引き続き、下記(c)基板に2価以上の金属イオンを含有する水溶液をスプレーする工程を実施する場合、水洗及び乾燥は(c)工程の終了後に行うことが好ましい。
本発明により得られるプリント配線板上の導体パターンは、表面の凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下の基板上の全面又は局所的に金属膜を設けたものであることが好ましい。また、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
より詳細には、本発明により得られる導体パターンの金属領域(以下、単に「金属膜」と総称する場合がある。)は、表面の凹凸が500nm以下、好ましくは100nm以下の基板上に、相互作用性を有し、該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなる樹脂層を設け、該樹脂層に金属イオン又は金属塩を付与した後、還元して金属を析出させた後、或いは、該樹脂層に金属コロイドを付与した後、電気めっきを行うことで形成されたものであり、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。
なお、表面の凹凸は、基板または形成後の金属膜を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、JIS B0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることを要する。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JISC6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JISC6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
一般的な金属膜においては、基板表面の凹凸、即ち、金属膜との界面の凹凸を500nm以下とすることで、高周波特性に優れた金属膜を得ることができる。ところが、従来の金属膜は、基板表面の凹凸を減らすと、基板と金属膜との密着性が低下してしまうため、やむを得ず基板表面を種々の方法により粗面化し、その上に金属膜を設けるといった手法が取られていた。そのため、従来の金属膜における界面の凹凸は、1000nm以上であることが一般的であった。
しかし、本発明の方法により得られる導体パターンを構成する金属膜は、基板表面の凹凸が小さいものを用いても、基板に直接化学結合しているポリマーとのハイブリッド状態であるため、得られる金属膜(無機成分)と樹脂層(有機成分)との界面における凹凸が小さく、且つ、優れた密着性を維持しうるものとなった。
本発明により得られる金属膜は、表面の凹凸が500nm以下の基板を選択することが好ましいが、表面の凹凸に関しては、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。下限値には特に制限はないが、製造の容易性などの実用上の観点からは5nm程度であると考えられる。なお、本発明により得られる金属膜を金属配線として用いる場合、表面凹凸が小さくなるほど、金属配線を形成する金属と有機材料との界面の凹凸が小さくなり、高周波送電時の電気損失が少なくなり、好ましい。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下で選択される。
このような平滑な基板は、樹脂基板など、それ自体が平滑なものを選択してもよく、また、表面凹凸が比較的大きなものでは、前記した中間層を設けて、表面凹凸を好ましい範囲に調製することも可能である。
また、本発明により得られる金属膜は、基板と金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.3kN/m以上、特に好ましくは0.7kN/m以上である。ここで、上記密着性の数値に上限はないが、常識的な範囲から言えば、0.2〜2.0kN/m程度である。なお、従来の金属パターンにおける基板と金属膜との密着性は、0.2〜3.0kN/m程度が一般的な値である。このことを考慮すれば、本発明の金属膜が実用上充分な密着性を有していることが分かる。
このように、本発明の方法により得られたプリント配線板は、基板と金属膜との密着性を維持しながら、基板側の界面における凹凸を最小限に留めることが可能となった。
更に、本発明の方法により得られたプリント配線板は、導体パターンの形成後に、特定洗浄液による洗浄処理が施されたことにより、基板と配線(導体膜)との密着性のみならず、導体パターン間に残存する金属残渣が効果的に除去され、配線間の絶縁信頼性、態膜グレーション性に優れた導体パターン、すなわち、配線を有する。従って、かかる配線を備えた本発明の方法により得られたプリント配線板は、配線の高密度化、ファインピッチ化、高周波化への優れた適性を有するものでり、各種の金属配線板、プリント配線板、多層配線基板等として有用である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(基板の作製)
<下地絶縁基板の作製>
ガラスエポキシ基板(商品名:FR−4、松下電工(株)製)上に、味の素ファインテクノ(株)製のエポキシ系絶縁膜(GX−13、45μm)を、0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件で、真空ラミネーターを用いて加熱及び加圧して接着することにより、電気的絶縁層を形成した。その後、170℃/1時間の加熱処理を行ない、該電気的絶縁膜の熱硬化を行なった。
<中間層の形成>
上記において形成された電気的絶縁層の上に、中間層形成用塗布液組成物として、下記組成の絶縁性組成物を厚さ1.5μmになるようにスピンコート法で塗布し、その後、140℃で30分乾燥して中間層(重合開始層)を形成した。
−開始剤を含有した中間層形成塗布液の調製−
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)25質量部(以下、配合量は全て質量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30部を、エチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8部、微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤0.5部を添加し、さらにこの混合物の中に下記の方法で合成した重合開始基を有するポリマーPを10部添加し、中間層形成用塗布液を作製した。
−重合開始基を有するポリマーPの合成−
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
電気的絶縁層及び中間層形成後の基板に対して、更に、180℃で30分間硬化処理を実施した。
(樹脂層の形成)
<樹脂層形成用塗布液の塗布及び乾燥>
次に、樹脂層形成用塗布液として、下記組成の樹脂層形成用液状組成物を調製し、前記中間層の上に、厚さ1.5μmになるようにスピンコート法で塗布し、その後、80℃〜120℃で乾燥して樹脂層(密着補助層)を形成した。
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを32g得た。
(塗布溶液の調製)
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーA:10.5質量部、アセトン73.3質量部、メタノール33.9質量部、及びN,Nジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布溶液を、前記基板Aの重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。
その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板A2を得た。
[めっき触媒の付与]
アセトン100gに硝酸パラジウム0.05gを添加し、常温にて30分攪拌。得られた硝酸パラジウム分散液の粗大粒子を除去するために、0.75μmPTFEフィルター(Advatec社製)にてこれを除去。平均粒径6.8nmの硝酸パラジウム溶液を得た。なお、粒径測定はナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)社製)にて測定した。
ポリマー層を有する基板A2を、前述の硝酸パラジウム溶液に20分間浸漬した後、アセトンに3分間浸漬し、さらに蒸留水に3分浸漬し、洗浄を行なった。
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、26℃で10分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは約0.2μmであった。無電解めっき液は、スルカップPGT(上村工業(株)製;スルカップPGT−A液、B液、C液)を下記のように順次使用し、調液した。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 79.2vol%
・スルカップPGT−A液(上村工業(株)製) 9.0vol%
・スルカップPGT−B液(上村工業(株)製) 6.0vol%
・スルカップPGT−C液(上村工業(株)製) 3.5vol%
・ホルマリン液(和光純薬(株)社製 特級品) 2.3vol%
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.6(25℃)に調整した。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを18分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは10μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・蒸留水 500g
[レジスト・パターンの形成]
電解めっき後の基板に対し170℃/1時間の熱処理を行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製;RY3315、膜厚15μm)をラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた基板に、サブトラクティブ法にてJPCA−ET01に定めるL/S=75μm/75μmの櫛型配線(JPCA−BU01−2007準拠、パターンFB)が形成できるガラスマスクを密着させ、レジストを中心波長405nmの露光機にて70mJの光エネルギーを照射した。露光後の基板に、NaHCO水溶液を2kg/mのスプレー圧で付与し、現像を行なった。その後、基板の水洗・乾燥を行い、銅めっき膜上に、レジスト・パターンを形成した。
[銅めっき層のエッチング、レジストの剥離]
上記によりレジスト・パターンを形成した基板を、FeCl/HCl水溶液(温度40℃)に浸漬することによりエッチングを行い、レジスト・パターンの非形成領域に存在する銅めっき層を除去した。その後、NaOH4%水溶液を2kg/mのスプレー圧で基板上に付与することで、レジスト・パターンを膨順剥離した。前述の櫛型配線板を得た。
[導体パターン形成後の洗浄工程]
得られた櫛型配線板を、洗浄液として、超音波を加えて調整したアセトニトリル10%水溶液を用い、洗浄液(50℃)中に3分間浸漬した。その後、基板を蒸留水にて水洗し、クリーン・オーブンにて105℃/1時間乾燥した。
[ソルダーレジストの貼付け]
ソルダーレジスト(PFR800;日立化成社製)を90℃、0.2MPaの条件で真空ラミネートし、中心波長365nmの露光機にて420mJの光エネルギーを照射した。このとき、図1に示すはんだ用パット部は射光テープでマスクした。次いで、基板を80℃/10分間の加熱処理を施した後、NaHCO10%水溶液を、スプレー圧2kg/mで基板表面に付与することで現像し、乾燥した。
その後、再度、中心波長365nmの露光機にて1000mJの光エネルギーを、基板に対し照射した。最後に150℃/1hrの加熱処理を行ない、ソルダーレジストに被覆されたプリント配線基板を得た。
〔実施例2〕
実施例1の[導体パターン形成後の洗浄工程]において用いた洗浄液を、超音波を加えたクエン酸10%水溶液(50℃)に代えた他は同様に行ない、ソルダーレジストに被覆されたプリント配線基板を得た。
〔実施例3〕
実施例1の[導体パターン形成後の洗浄工程]において用いた洗浄液を、ジメチルアミノボラン10%水溶液(25℃)に代えた他は実施例1と同様に行い、ソルダーレジストに被覆されたプリント配線基板を得た。
〔実施例4〕
実施例1において[導体パターン形成後の洗浄工程]に代えて、超音波を加えたクエン酸10%水溶液(25℃)+アセトニトリル10%水溶液(25℃)に3分間浸漬し、基板を水洗する第1の洗浄工程と、ジメチルアミノボラン10%水溶液(25℃)に3分間浸漬し、その後、水洗する第2の差洗浄工程を行い、その後基板を蒸留水にて水洗し、クリーン・オーブンにて120℃/3時間乾燥した。その他の工程は、実施例1と同様に行ない、ソルダーレジストに被覆されたプリント配線基板を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、導体パターン形成後に、[導体パターン形成後の洗浄工程]を行わなかった他は、実施例1と同様にしてソルダーレジストを貼付し、ソルダーレジストに被覆されたプリント配線基板を得た。
[基板の評価]
(配線間の金属残渣)
櫛型配線の金属残渣量の定量は次のようにして行なった。
まず、(1)エッチング液の浸透性により残渣量が異なることから、まず、櫛型配線重ね代部分の配線間、および基板内の1cm程度の配線の存在しない部分の表層(数μm)元素比率をSEM−EDX(日立ハイテク社製;S−3400NX)にて測定した。
次いで、(2)実施例1の方法でめっきした基板(5cm角)を、FeCl/HCl水溶液(温度40℃)に浸漬することによりエッチングを行い、基板全体の銅めっきを除去した。この基板を用い、ICP−MASSによってCu、Pdの定量を行った。全面エッチング品と、前述の1cm程度の配線の存在しない領域のCu、Pd残渣量はほぼ同等と見なせることから、以下のような志貴を用いて金属残渣量を評価した。
A:櫛型配線重ね代部分の配線間のCu、Pd残渣量
B:櫛型配線重ね代部分の配線間のCu、Pd比率
C:基板内の1cm程度の配線の存在しない部分のCu、Pd比率
D:ICP−MASSにて測定した全面エッチング品のCu、Pd量
これらの値により、A≒B/C×D (式)を用い、櫛型配線重ね代部分の配線間のCu、Pd残渣量を見積もった。金属残渣量[mg/m]を下記表1に示す。
(耐マイグレーション性)
JPCA規格 プリント配線板環境試験方法JPCA−ET01(通則)およびET07(高温・高湿・定常不飽和加圧水蒸気試験)に基づいて行なった。イオンマイグレーション試験は、エスペック社製のイオンマイグレーション評価システム(AMI)およびHASTチャンバーEHS−211(MD)を使用し、HASTチャンバー内の環境を125℃、85%RH、2atmに設定。試験時間は200時間とし、ストレス電圧は25Vとした。櫛型配線は各5本試験を行ない、抵抗値が1×10[Ω]を下回ったものを絶縁不良と判定した。結果を下記表1に示す。
Figure 2009158855
上記表1の結果より、本発明の製造方法により得られたプリント配線板は、配線間の金属残渣の量が少なく、耐マイグレーション性に優れることがわかる。また、実施例1〜3と実施例4との対比により、2段階の洗浄を行うことで金属残渣をより効率よく除去しうることがわかる。
実施例で作製した配線パターンを示す概略図である。

Claims (13)

  1. 基板上に樹脂層と導体パターンとを有するプリント配線板の製造方法であって、
    (a)基板上の樹脂層表面に導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、
    (b)導体パターンを形成してなるプリント配線板を、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、及び、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄し、金属残渣を除去する洗浄工程と、
    を有するプリント配線板の製造方法。
  2. 前記(a)導体パターン形成工程が、
    (a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を含有する樹脂組成物により樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
    (a2)該樹脂層に、めっき触媒又はその前駆体を付与するめっき触媒付与工程と、
    (a3)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行って金属層を形成するめっき工程と、
    (a4)該めっきにより形成された金属層により導体パターンを形成する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 前記(a1)樹脂層形成工程で用いられる樹脂組成物が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び、重合性基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基が、窒素を含む官能基であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基が、シアノ基であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基、及び、重合性基を有する化合物が、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
    Figure 2009158855
    (上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。)
  7. 前記めっき触媒又はその前駆体が、金属イオン、金属塩、又は金属コロイドであり、Pd、Ag、Cu、Cr、Pt、Rh、Sn、及びNiから選ばれる金属元素を含んで構成される請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 前記(b)洗浄工程が、(b1)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、
    (b2)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、
    を順次有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 前記(b)洗浄工程が、(b’1)ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物を含有する洗浄液で洗浄する第1の洗浄工程と、
    (b’2)遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、及び、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する洗浄液で洗浄する第2の洗浄工程と、
    を順次有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  10. 前記遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物が、クエン酸、しゅう酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、プロピオン酸、及び、マレイン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  11. 前記遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物が、アセトニトリル、アジポニトリル、アクリロニトリル、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ベンゾイミダゾリノン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール2−ピロリドン、及び、インドールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  12. 前記ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物が、アミノボラン、ジメチルアミノボラン、ホルムアルデヒド、次亜リン酸、及び、硫酸ヒドロキシアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  13. 請求項1から請求項12に記載の(b)洗浄工程に用いられる、遷移金属に配位結合することが可能なカルボキシル基を有する化合物、遷移金属に配位結合することが可能な含窒素化合物、及び、ボラン化合物、アルデヒド化合物、リン化合物、又は、ヒドラジン化合物であって金属イオンを還元可能な化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有するプリント配線板の洗浄液。
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