JP2009010336A - 配線パターン形成方法、配線パターン、及び配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板との密着性及び配線間における絶縁信頼性に優れた配線パターンを形成しうる方法等の提供。
【解決手段】(a1)基板上にめっき触媒などと相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程、(a2)ポリマー層にめっき触媒等を付与する工程、(a3)無電解めっき液を用いてめっき触媒等の還元及び無電解めっき処理を施し無電解めっき層を形成する工程、(a4)(a4-1)無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後にサブトラクティブ法を用いて配線を形成するか、(a4-2)無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する、工程、及び(a5)配線パターンを有する基板に対し樹脂エッチングを施す工程、を含むことを特徴とする配線パターン形成方法等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、配線パターン形成方法、配線パターン、及び配線基板に関し、特に、金属配線板、プリント配線板として有用な、配線パターン形成方法、配線パターン、及び配線基板に関する。
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。従来の配線パターン形成方法としては、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などが知られている。
サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして配線パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この方法により得られる配線パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と配線を構成する金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属膜の基板界面部における凹凸に起因して、電気配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた配線パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
セミアディティブ法とは、基板上にめっき等により薄くCr等の下地金属層を形成し、該下地金属層上にレジストパターンを形成し、続いて、レジストパターン以外の領域の下地金属層上にめっきによりCu等の金属層を形成した後、レジストパターンを除去することにより金属パターンを形成し、更に、該金属パターンをマスクとして下地金属層をエッチングし、レジストパターン以外の領域に金属パターンを形成する方法ある。この手法は、エッチングレスの手法であるために細線パターンの形成が容易であり、めっきにより必要な部分にのみ金属を析出させるため環境、価格面でも有効である。しかしながら、この方法によっても、基板と金属膜との密着性を持たせるために、基板表面を凹凸処理する必要があり、その結果、出来上がる配線パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。
フルアディティブ法とは、基板上にレジストパターンを形成し、レジストパターン以外の領域をめっきにより金属を析出させ、その後にレジストパターンを除去する方法である。この方法も、エッチングレスの手法であるために細線パターンの形成が容易であるが、セミアディティブ法と同様の問題点を有していた。
配線パターンを構成する金属膜と基板との密着性の問題を解決するための一つの方策として、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を適用することが挙げられる(例えば、非特許文献1参照。)。これにより、基板の表面を粗面化することなく、基板と配線パターンを構成する金属膜との密着性を改良させることができる。
しかしながら、上記方法により生成させるグラフトポリマーは極性基を有することから、配線パターンの形成態様や配線パターンを有する基板の適用態様の如何によっては、基板上に露出した当該グラフトポリマーの存在が配線間の絶縁信頼性などに影響することが懸念される。
微細配線の形成における配線間の絶縁信頼性向上を目的として、例えば、下地樹脂絶縁層と、その上に配置された配線層と、それらの上に配置された樹脂絶縁層と、を有するプリント配線板において、配線粗化工程後、前期樹脂絶縁層を積層する前に、配線間に露出する下地樹脂絶縁層をエッチングして除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法によれば、配線間の不純物が除去されるが、めっき工程前に下地樹脂絶縁層の粗化工程が必須であるため、表面粗さ(Ra)が少なくとも0.5μm以上となる。従って、このような方法よりライン/スペースが20μm以下の如き、微細配線を形成した場合、配線の密着力が低下し、歩留まりが悪化するという問題がある。
また、樹脂表面の溝(アンカー部分)が深いため、配線間に付着した所望されない金属が溝に入り込んだ場合、完全に除去使用とするとエッチング時間が長くなる。その結果、そのような厳しい条件のエッチング処理により、配線の細りや配線形状・幅の公差増大を招くことになり、そのような観点から、この方法は高精細な配線の形成には適さないものであった。
また、絶縁基板上に回路を形成する配線板において、絶縁基板上にパラジウムの吸着層を設け、導体層を形成、エッチングにより導体回路を形成したあと、絶縁基板の表面を過マンガン酸処理により、絶縁基板の一部とともに前記吸着層に含まれた所望されない金属元素を除去する方法が記載されている。ここでは、樹脂エッチングの手段として、プラズマ処理、オゾン処理等も使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
ここで用いられる絶縁層は、エポキシ樹脂等を含んで構成され、その上に吸着層を設けるというものであり、製造方法に関する詳細な開示はないが、その特性上、粗化処理を行なわない場合には、密着力が著しく低いため微細配線の形成は困難であり、この材料に表面粗面化を行った場合には、前記と同様の問題が生じる懸念がある。
特に、微細配線が必要とされるプリント配線板では、配線間の距離が短くなるため、配線(金属パターン)間における高い絶縁性が必要となることから、配線間の絶縁信頼性については、より一層の向上が要求されているのが現状である。
Advanced Materials 2000年 20号 pp.1481−1494 特許第3754217号公報 特許第2760952号公報
本発明は、従来における諸問題に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、例えば、ライン/スペースが20μm以下の如き微細配線を形成する際に、基板との密着性及び配線間における絶縁信頼性に優れた配線パターンを形成しうる配線パターン形成方法、該配線パターン形成方法により得られた微細な配線を備える配線パターン、及び該配線パターンを備えてなる微細な配線を有し、信頼性の高い配線基板を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1>(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程、(a2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(a3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する工程、(a4)(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する工程又は(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する工程、及び(a5)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング(ケミカルエッチング)処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、
を有することを特徴とする配線パターン形成方法。
<2> 前記めっき触媒又はその前駆体が、銅、銀、及びパラジウムからなる群より選ばれる金属、該金属を含む金属化合物または金属コロイドであることを特徴とする請求項1に記載の配線パターン形成方法。
<3> 前記(a4)工程の終了後であって、前記(a5)工程におけるドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す前又は施した後の基板に対し、(a6)該基板を2価以上の金属イオンを含有する水溶液に浸漬するか、又は、該基板に2価以上の金属イオンを含有する水溶液をスプレーする工程を行うことを特徴とする<1>又は<2>に記載の配線パターン形成方法。
<4> 前記金属イオンが、Zn、Ca、Ni、Al、Fe、及びCuからなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする<3>に記載の配線パターン形成方法。
<5> (b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程、(b2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(b3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、前記基板上にパターン状の無電解めっき層を含んでなる配線パターンを形成する工程、及び(b4)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、を含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
<6> 前記(b3)工程後に、更に、電解めっきを行う工程を有することを特徴とする<5>に記載の配線パターン形成方法。
<7> 前記めっき触媒又はその前駆体が、銅、銀、及びパラジウムからなる群より選ばれる金属、該金属を含む金属化合物または金属コロイドであることを特徴とする<5>に記載の配線パターン形成方法。
<8> 前記ドライエッチング処理が、プラズマ処理、又は、オゾン処理である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
<9> 前記プラズマ処理が、減圧プラズマ処理、又は大気圧下で行なう大気プラズマ処理であり、当該処理において、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンの中から選ばれる不活性ガス、O、CF、C、N、CO、SF、CHF、少なくともO、N、F又はClを含む反応性ガスからなる群から選択されるいずれか1種類以上のガスを用いることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
<10> 前記ウェットエッチング処理が、過マンガン酸処理、クロム酸処理、ポリイミドエッチング、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム処理から選択される処理である<1>〜<9>のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
<11> <1>〜<10>のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法により得られた配線パターン。
<12> <11>に記載の配線パターンを備えてなる配線基板。
<13> <11>に記載の配線パターンを備えてなるフレキシブル配線基板。
本発明における「基板」とは、ポリマーがその表面に直接化学結合しうるものを指し、例えば、樹脂フィルム上に直接ポリマーを直接化学結合させる場合には、該樹脂フィルム自体を指し、樹脂フィルムなどの基材表面に重合開始層などの中間層を設け、その表面にポリマーを直接化学結合させる場合には、フィルム基材上に中間層を備えたものを指す。
また、以下においては、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を、適宜「相互作用性基」と称する。
本発明においては、ポリマーを用いためっき法により、金属層と樹脂層間が平滑かつ強密着となり、その密着耐久性が高い。その結果、微細配線の形成時において、基板の表面凹凸に起因して乗じる歩留まりの低下や配線形状の不良が抑制され、公差の小さい微細配線が形成でき、この傾向は、ライン/スペースが20μm以下のような微細パターンにおいてその効果が著しいといえる。
また、配線形成後に配線間のポリマー層を樹脂エッチング処理により除去することにより、配線間の金属残渣も同時に除去することができ、また、樹脂エッチング処理による金属層と樹脂絶縁層間の密着性低下も生じないことから、絶縁信頼性の極めて高い高精細配線を提供できる。
本発明によれば、例えば、ライン/スペースが20μm以下の如き微細配線を形成する際に、基板との密着性及び配線間における絶縁信頼性に優れた配線パターンを形成しうる配線パターン形成方法、該配線パターン形成方法により得られた微細な配線を備える配線パターン、及び該配線パターンを備えてなる微細な配線を有し、信頼性の高い配線基板を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明の金属膜形成方法について説明する。
本発明の配線パターン形成方法の第1の態様は、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程、(a2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(a3)無電解めっき液を用いて、前記金属イオン又は金属塩の還元、及び無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する工程、(a4)(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する工程又は(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する工程、及び(a5)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、を有することを特徴とする。
以下の説明では、第1の態様の配線パターン形成方法を「配線パターン形成方法(1)」と称する場合がある。
本発明の配線パターン形成方法の第2の態様は、(b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程、(b2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(b3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、前記基板上にパターン状の無電解めっき層を含んでなる配線パターンを形成する工程、及び(b4)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、を有することを特徴とする。
以下の説明では、第2の態様の配線パターン形成方法を「配線パターン形成方法(2)」と称する場合がある。
本発明の配線パターン形成方法(1)〜(2)では、基板上に、該基板と直接結合してなるグラフトポリマーからなるポリマー層を介して配線パターンを形成した後、該配線パターンを有する基板に対してドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施すことが特徴である。かかる樹脂エッチング処理により、配線パターン形成後の基板上において、配線間に露出して残存しているポリマー層、配線間に付着している有機物などの夾雑物等の配線パターンの絶縁信頼性に影響しうる要因を効果的に除去できることから、配線パターンの絶縁信頼性が著しく向上するものと考えられる。また、本発明により得られた配線パターンの配線部分(金属部分)における基板表面は、前記ポリマー層の形成により表面改質されたことで基板界面の凹凸が最小限に留められ、且つ、金属部分の基板界面が、基板に直接結合しているグラフトポリマーとのハイブリッド状態であるため、形成された配線パターンと基板との密着性が高いものと考えられる。このような条件が相俟って、例えば、ライン/スペース(L/S)が20μm以下といったような微細な配線が平滑な基板表面に形成され、形成された配線の金属層は密着性及びその耐久性に優れるものとなる。
以下、配線パターン形成方法(1)〜(2)について詳細に説明する。
[配線パターン形成方法(1)]
配線パターン形成方法(1)は、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程、(a2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(a3)無電解めっき液を用いて、前記金属イオン又は金属塩の還元、及び無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する工程、(a4)(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する工程又は(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する工程、及び(a5)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、を有する。
〔(a1)工程〕
(a1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける。
(a1)工程は、(a1−1)基材上に重合開始剤を含有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層が形成された基板上に、相互作用性基を有し且つ該基材と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程であることが好ましい。
また、上記(a1−2)工程は、前記重合開始層が形成された基板上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
(表面グラフト)
基板上におけるポリマー層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
高分子化合物鎖の末端が直接に化学的に結合されたポリマー層を作製するための手段としてはこれらの他、高分子化合物鎖の末端にトリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により形成することもできる。より多くの表面グラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法が好ましい。
〔基板〕
本発明における基板は、その表面に、相互作用性基を有する高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合する機能を有する表面を示すものであり、基材自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また該基材上に別途中間層を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
また、相互作用性基を有する高分子化合物鎖の末端が幹高分子化合物を介して化学的に結合された表面を作製するための手段としては、基板表面の官能基とカップリング反応し得る官能基及び相互作用性基を有する高分子化合物を合成し、この高分子化合物と基板表面の官能基とのカップリング反応により、当該表面を形成する方法がある。他の方法としては、基板表面がラジカル種を発生する性質を有する場合には、重合性基と相互作用性基とを有する高分子化合物を合成し、この高分子化合物を基板界面に塗布し、ラジカル種を発生させ、基板表面と高分子化合物とを重合反応させて、当該表面を形成する方法がある。
本発明においては、上記のごとく、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させるが、グラフトポリマーの生成に際しては、基板上に、重合開始剤を含有する重合開始層を形成すること〔(a−1)工程〕、或いは、後述する密着補助層を形成することが、活性点を効率よく発生させ、より多くの表面グラフトポリマーを生成させるという観点から好ましい。
(重合開始層)
重合開始層は、重合性化合物と重合開始剤とを含む層として形成することが好ましい。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合開始層に用いられる重合性化合物は、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により表面グラフトポリマーを生成するものであれば特に制限はなく、多官能モノマー等を用いてもよいが、特に好ましくは、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーを用いる態様である。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、例えば、特開2007−154306公報の段落番号〔0043〕から〔0044〕に記載されており、これらに代表される公知の重合開始剤を目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、反応性の観点からはラジカル重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
また、重合開始剤としては、以下に詳述する光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。
−光カチオン重合開始剤−
光カチオン重合開始剤とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、特開2006−274052公報の段落番号〔0043〕〜〔0092〕に記載されているものを使用することができる。
−光ラジカル重合開始剤−
光ラジカル重合開始剤は、低分子であっても高分子であってもよい。
低分子の光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することができる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども、光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子光ラジカル重合開始剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号、特開2007−146103公報の段落番号〔0094〕〜〔0107〕、特願2006−264706号明細書、Photochemistry&Photobiology,Vol.5,p46(1999)等に記載の、活性カルボニル基、トリクロロメチルトリアジン、チオキサントンを側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
なお、光ラジカル重合開始剤としては、グラフト重合性の観点から、高分子型の光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。この高分子型の光ラジカル重合開始剤の重量平均分子量としては、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。また、重量平均分子量の上限値としては、溶解性の点から100000が好ましい。
また、重合開始層に含有される重合性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、高分子型の光ラジカル重合開始剤が該エポキシ樹脂を兼ねていてもよい。このような高分子型の光ラジカル重合開始剤としては、特開2007−146103公報の段落番号〔0094〕〜〔0107〕に記載の化合物や、以下に示す(26)〜(30)で表される化合物を好適に用いることができる。ここで、(26)〜(30)中、x、yは、モル分率を表し、x+y=100(x≠0、y≠0)である。
Figure 2009010336
Figure 2009010336
上記した光ラジカル重合開始剤を用いる場合、その含有量は、グラフト重合性、それに起因する密着強度の低下を抑制する点、硬化物のTg低下を抑制する点、硬化物の誘電率が高くなるといった熱特性、電気特性上の問題を防止する点から、全固形分に対して、0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306号公報段落番号〔0045〕に記載されている溶剤を使用することができる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合開始層を基板上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1g/m2〜20g/m2が好ましく、更に、1g/m2〜15g/m2が好ましい。
本発明において重合開始層を形成する場合には、上記のように、基材表面に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜して形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、グラフト化を達成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するグラフト化反応に用いる光源を用いることができる。引き続き行われるグラフト化反応において、エネルギー付与により実施される重合開始層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点からは、重合開始層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
(密着補助層)
本発明においては、重合開始層に代えて密着補助層を設けることも可能である。
例えば、後述する基材が、多層積層板、ビルドアップ基板、若しくはフレキシブル基板の材料として用いられてきた公知の絶縁樹脂からなる場合には、該基材との密着性の観点から、密着補助層を形成する際に用いられる樹脂組成物として、絶縁樹脂組成物が用いられることが好ましい。
以下、基材が絶縁樹脂の場合に好適な絶縁樹脂組成物から形成される密着補助層の態様について説明する。
密着補助層を形成する際に用いられる絶縁樹脂組成物は、基材を構成する電気的絶縁性の樹脂と同じものを含んでいてもよく、異なっていてもよいが、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的が近いものを使用することが好ましい。具体的には、例えば、基材を構成する絶縁樹脂と同じ種類の絶縁樹脂を使用することが密着の点で好ましい。
また、これ以外の成分として、密着補助層の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。
なお、本発明における絶縁樹脂とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂を意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
また、密着補助層に用いられる絶縁樹脂としては、めっき触媒受容性の感光性樹脂組成物と相互作用を形成し得る活性点を発生させる骨格を有する樹脂を用いることもできる。例えば、特開2005−307140号公報の段落番号〔0018〕〜〔0078〕に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドが用いられる。
更に、密着補助層には、層内での架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に、多官能のものを用いることが好ましい。その他、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に対し、その一部を、メタクリル酸やアクリル酸等を用いて、(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における密着補助層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、種々の化合物を添加することができる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
また、本発明における密着補助層には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この密着補助層には、必要に応じて、一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。
また、更にこの密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、主成分となる樹脂に対して、0〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜80質量%の範囲で添加される。密着補助層と隣接する基材とが、熱や電気に対して同じ若しくは近い物性値を示す場合には、これら添加物は必ずしも添加する必要はない。添加物を、樹脂に対して200質量%を超える範囲で用いる場合には、樹脂自体が本来有する強度などの特性が低下する懸念がある。
密着補助層には、前述のように、感光性樹脂組成物と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)が用いられることが好ましい。この活性点を発生させるためには、何らかのエネルギーを付与すればよく、好ましくは、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気、等が用いられる。更に、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解することで活性点を発生させてもよい。
活性種の例としては、前述した重合開始層中に添加される熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている。ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。この手段により、密着補助層は前述の重合開始層と同様の機能を有することになる。
本発明における密着補助層の厚みは、一般に、0.1μm〜10μmの範囲であり、0.2μm〜5μmの範囲であることが好ましい。
上記密着補助層を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0045〕に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。上記例示溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
密着補助層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、0.1〜15g/mがより好ましく、0.1〜2g/mが更に好ましい。
本発明においては、上記のように、基材上に上記の密着補助層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて密着補助層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、密着補助層上にグラフトポリマーが生成した後に密着補助層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
密着補助層は樹脂フィルム(基材)の片面(ポリマー層が形成される面)に、塗布法、転写法、印刷法などの公知の層形成方法を適用して形成される。
なお、転写法を適用する場合には、特定重合性化合物を含有する感光性樹脂組成物からなる層と、密着補助層との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基材の表面に転写してもよい。
また、密着補助層は基板上に形成後、何らかのエネルギーを与えて硬化処理工程をおこなってもよい。与えるエネルギーとしては、光、熱、圧力、電子線などが挙げられるが、本実施形態においては熱又は光が一般的であり、熱の場合は、100℃〜300℃の熱を5分〜120分加えることが好ましい。また、加熱硬化の条件は、樹脂フィルム(基材)の材料の種類、密着補助層を構成する樹脂組成物の種類等で異なり、これらの素材の硬化温度にもよるが、120〜220℃で20分〜120分の範囲で選択されることが好ましい。
この硬化処理工程は密着補助層の形成後すぐにおこなってもよく、密着補助層形成後に5〜10分程度の予備硬化処理を行っておけば、密着補助層形成後に行われる他のすべてのそれぞれの工程を行ったあとに実施してもよい。
密着補助層の形成後、その表面に形成されるポリマー層との密着性向上の目的で、乾式及び/又は湿式法により表面を粗化してもよい。乾式粗化法としては、バフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方、湿式粗化法としては、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。
更に、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の密着補助層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の密着補助層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
本発明においては、グラフトポリマーからなるポリマー層の下層として、上記重合開始層或いは密着補助層を設けることが可能であり、密着補助層を設けることが好ましい。
(基材)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、ポリエステルフィルム又はポリイミドフィルムが好ましい。
また、本発明により得られる配線パターンは、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を基板として用いることが好ましい。
絶縁樹脂としては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成される基板が好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物またはリン化合物をさらに含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
また、その他の絶縁樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂、もしくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂が挙げられる。このような樹脂については、例えば、天羽悟ら著,「Journal of Applied Polymer Science」第92巻、p1252−1258(2004年)に詳細に記載されている。
さらに、クラレ製の「ベクスター」などの名称で市販品としても入手可能な液晶性ポリマーやポリ4フッ化エチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂なども好ましく挙げられる。
これらの樹脂のうち、フッ素樹脂(PTFE)は高分子材料の中で最も高周波特性に優れる。ただし、Tgが低い熱可塑性樹脂であるために熱に対する寸法安定性に乏しく,機械的強度なども熱硬化性樹脂材料に比べて劣る。また形成性や加工性にも劣るという問題がある。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂などとのアロイ化を行なって用いることもできる。例えば、PPEとエポキシ樹脂、トリアリルイソシアネートとのアロイ化樹脂、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化樹脂としても使用することができる。
エポキシ樹脂はそのままでは誘電特性が不充分であるが、かさ高い骨格の導入などで改善が図られており、このようにそれぞれの樹脂の特性を生かし、その欠点を補うような構造の導入、変性などを行った樹脂が好ましく用いられる。
例えば、シアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、「電子技術」 2002年第9号 p35に記載されており、これらの記載もまた、このような絶縁樹脂を選択する上で参照することができる。
本発明により得られる配線パターンを、半導体パッケージ、各種電気配線用途等に適用する場合、大容量データを高速に処理するという観点で、信号の遅延と減衰とを抑制するためには、基板の誘電率及び誘電正接のそれぞれを、低くすることが有効である。低誘電正接材料については、「エレクトロニクス実装学会誌」第7巻、第5号、p397(2004年)に詳細に記載されている通りであり、特に低誘電正接特性を有する絶縁材料を採用することが高速化の観点から好ましい。
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法を用いて測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、さらにそれらの変性樹脂も含まれる。
本発明の配線パターン形成方法に適用される基材表面の凹凸は500nm以下が好ましく、好ましくは200nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。
また、基材の表面におけるRz(10点平均粗さ)としては、500nm以下であり、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。なお、Rzの測定方法としては、JIS B0601に準じて「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と最小から5番目までの谷底の平均値との差」として測定した。
(グラフトポリマーの生成)
(a1)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、基板を直接光グラフト重合する方法を用いることができる。
本発明においては、重合開始層が形成された基板上に、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)を有し且つ該基材と直接化学結合するグラフトポリマーを導入する態様〔(a1−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層が形成された基材上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基材表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を重合開始層が形成された基材表面接触させながら、当該基材表面に生成する活性種により接結合させるものである。
上記接触は、基材を、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層を基板表面に、塗布法により形成してもよい。
<基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法>
本発明においては、グラフトポリマーの生成に適用しうるカップリング反応としては、いかなる反応も使用できる。基板表面の官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基との具体的な組み合わせとしては、(−COOH、アミン)、(−COOH、アジリジン)、(−COOH、イソシアネート)、(−COOH,エポキシ)、(−NH2,イソシアネート)、(−NH2,アルデヒド類)、(−OH、アルコール)、(−OH、ハロゲン化化合物)、(−OH、アミン)、(−OH、酸無水物)の組み合わせが挙げられる。高反応性という観点からは、(−OH、多価イソシアネート)、(−OH、エポキシ)が特に好ましい組み合わせである。
<基板を直接光グラフト重合する方法>
(相互作用性基を有し且つ光グラフト重合するモノマー)
本発明において、基板を直接光グラフト重合する方法により、グラフトポリマーを生成させて樹脂層を形成する場合に用いられる、相互作用性基を有し且つ基板と直接化学結合する化合物としては、以下のモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(相互作用性基を有し且つ基板と直接化学結合するグラフトポリマー)
相互作用性基を有し且つ該基板と直接化学結合するグラフトポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーから生成するポリマーが挙げられる。また、相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマー、即ち、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを用いることがより好ましい。この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
このように、本発明において、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーが好適に用いられるのは以下の理由による。即ち、モノマーを使用しグラフト重合を行う際の作業性を考慮すると、モノマー溶液に浸漬する方法では大量生産が難しい。また、モノマー溶液を塗布する方法では、光照射までに基材上に、モノマー溶液を均一に保持するのは大変困難である。さらに、モノマー溶液を塗布後に、フィルム等によりカバーする方法も知られてはいるが、均一にカバーすることは困難であり、カバーする作業が必要など、作業が煩雑になる。それに対して、ポリマーを使用する場合は、塗布後、固体となるため、均一に製膜が可能であり、大量生産も容易であるからである。
上記ポリマーを合成するための相互作用性基を有するモノマーとしては、以下のモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
また、本発明においては、マクロモノマーも使用することができる。本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本態様で用いられるマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
本発明においては、このようなめっき触媒又はその前駆体の受容性の硬化物層を形成しうる感光性樹脂組成物を基板上に塗布することで、ポリマー層を形成する。
感光性樹脂組成物は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基と重合性基とを有する化合物を含有する。以下、感光性樹脂組成物について説明する。
−感光性樹脂組成物−
感光性樹脂組成物には、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させうるめっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する官能基(以下、このような官能基を、適宜、「相互作用性基」と称する)及び重合性基を有する化合物(以下、適宜、特定重合性化合物と称する)を含有する。
本発明における相互作用性基と重合性基とを有する化合物としては、重合性基及び相互作用性基を有すると共に、吸水性が低く、更に、疎水性の高い化合物を用いることが好ましい。
そのような観点からは、特定重合性化合物における相互作用性基としては非解離性官能基であることが好ましく、非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。
このような官能基は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、この官能基を有する重合性化合物により形成された樹脂塗膜は、アルカリ現像液等の浸透し難い疎水性の塗膜を形成することが可能になる。
特定重合性化合物が有する重合性基は、エネルギー付与により、重合性基及び相互作用性基を有する化合物同士、又は、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と基板とが結合する官能基であり、具体的には、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキセタン基、エポキシ基、イソシアネート基、活性水素を含む官能基、アゾ化合物における活性基などが挙げられる。
特定ポリマーが有する相互作用性基としては、具体的には、金属イオンと配位結合による相互作用形成可能な基であることが好ましく、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などが好ましく、具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、フォスフィン基などの含リン官能基、塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基、及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基はポリマー層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且つ、ポリマー層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、後述する金属層付き基板の製造方法において、塗膜を形成し、めっき触媒等を吸着させる際に、感光性樹脂組成物の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒やその前駆体との間で配位結合性の相互作用できるようになる。以上のことから、シアノ基を有するめっき触媒受容性の塗膜は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用をするという、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる相互作用性基と重合性基とを有する重合性化合物は、モノマー、マクロモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいが、被膜形成性と、膜厚や硬化物としての物性制御の容易性の観点から、重合性基を多数有するマクロモノマーやポリマーであることが好ましい。
本発明に用いうる特定重合性化合物としては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
前記重合性基及び相互作用性基を有する化合物を得る際に用いられる相互作用性基を有するモノマーとしては、前記記載の非解離性官能基を有するモノマーであればいかなるモノマーも使用可能であるが、例えば、具体的には、以下に示すものが挙げられる。
これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
Figure 2009010336
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重合性基及び相互作用性基を有する化合物において、相互作用性基を有するモノマーに由来するユニットは、めっき触媒又はその前駆体との相互作用形成性の観点から、重合性基及び相互作用性基を有する重合性化合物中に、50〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、吸水性を低下させるため、また、疎水性を向上させるために、上記相互作用性基を有するモノマー以外に他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。中でも、無置換アルキルのアクリル系モノマーが好ましい。具体的には、ターシャリーブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどが好ましく使用できる。
このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
以下、本発明において好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009010336
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また、本発明に用いうる重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)表されるユニット、及び、一般式(2)で表されるユニットを含む共重合体(以下、適宜、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)も挙げられる。
Figure 2009010336
上記一般式(1)及び一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、各々独立して、単結合、又は置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、各々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、又はヒドロキシ基、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、又はヒドロキシ基、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基の有機基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2009010336
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、各々独立して、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を表す。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記一般式(1)で表されるユニットが、下記一般式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009010336
上記一般式(3)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、又は置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、窒素原子、又は酸素原子、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
一般式(3)におけるR及びRは、前記一般式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(3)におけるZは、前記一般式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、一般式(3)におけるLも、前記一般式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記一般式(3)で表されるユニットが、下記一般式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009010336
一般式(4)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、各々独立して、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
一般式(4)におけるR及びRは、前記一般式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(4)におけるLは、前記一般式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記一般式(3)及び一般式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記一般式(3)及び一般式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明のシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記一般式(2)で表されるユニットが、下記一般式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2009010336
上記一般式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
一般式(5)におけるRは、前記一般式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、一般式(5)におけるLは、前記一般式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、一般式(5)においては、Lが、シアノ基との連結部位に、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、一般式(5)におけるLが、シアノ基との連結部位に、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーは、前記一般式(1)〜一般式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が知られているが、反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合とで、その合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2009010336
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)とを反応させ、重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2009010336
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2009010336
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2009010336
Figure 2009010336
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2009010336
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2009010336

本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーにおいて、前記式(1)、式(3)、又は式(4)におけるLがウレタン結合を有する二価の有機基である構造の場合には、下記の合成方法(以下、合成方法Aと称する。)で合成することが好ましい。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ここで、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーとしては、上記1−2)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと、以下に示す挙げるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、の共重合体が好ましい。 ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、前記水酸基含有のモノマーとして例示した(メタ)アクリレートを挙げることができる。
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
上述のような側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーの中でも、高分子量体のポリマーを合成する観点から、原料として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートを除去した原料を用いて合成したポリマーを使用することもできる。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの精製方法としては、蒸留、カラム精製が好ましい。更に好ましくは、下記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いて合成されたものであることが好ましい。
(I)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(II)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(III)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(IV)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(I)の工程において用いられる混合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する不純物である2官能アクリレートと、を含んでおり、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの一般的な市販品に相当する。
前記(I)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
前記(II)の工程では、(I)の工程で得られた水溶液に対し、水と分離する第1の有機溶剤を加える。ここで用いられる、第1の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
前記(III)の工程では、(II)の工程で油層と分離された水層に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
前記(IV)の工程では、水層に第2の有機溶剤を加えて、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(IV)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
前記(I)〜(IV)の工程を順次経ることで得られたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む単離物は、その全質量中に2官能アクリレートを0.1質量%以下の範囲で含むことが好ましい。つまり、前記(I)〜(IV)の工程を経ることで、混合物から不純物である2官能アクリレートが除去され、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが精製される。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
前記(I)の工程において用いられるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、前述の合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーを合成する際に用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして挙げられたものを用いることができる。中でも、イソシアネートへの反応性の観点から、第1級水酸基を有するモノマーが好ましく、更には、ポリマーの単位重量当たりの重合性基比率を高める観点から、分子量が100〜250のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
また、合成方法Aに用いられるイソシアネート基と重合性基とを有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)、2−メタクリルオキシイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
また、合成方法Aに用いられる溶媒としては、SP値(沖津法により算出)が20〜23MPa1/2であるものが好ましく、具体的には、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、1,2,3−トリアセトキシ−プロパン、シクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセチルアセトン、アセトフェノン、トリアセチン、1,4−ジオキサン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
以上のようにして合成された本発明のシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、共重合成分全体に対し1〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明のシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーの分子量(Mw)は、3000〜20万が好ましく、更に好ましくは4000〜10万である。
本発明のシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2009010336
Figure 2009010336
Figure 2009010336
Figure 2009010336
Figure 2009010336
Figure 2009010336
Figure 2009010336
ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2009010336
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、重合性基と相互作用性基の他に、形成されためっき触媒又はその前駆体を受容しうる層が本発明の効果を損なわない範囲であれば極性基を有していてもよい。
極性基を有していることによって、後述の工程により金属膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場合には、ポリマー層と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる。
前述のように、本発明におけるポリマー層を形成するためには、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する感光性樹脂組成物、即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物と、これらの化合物を溶解しうる溶剤と、を含有する組成物(好ましくは、シアノ基又は−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造、及び重合性基を有するポリマーと、これら化合物を溶解しうる溶剤と、を含有する感光性樹脂組成物)を用いることが好ましい。
前記特定重合性化合物がポリマーである場合の重量平均分子量としては、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上30万以下である。特に、重合感度の観点から、重量平均分子量は、20000以上であることが好ましい。また、重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
特定重合性化合物(例えば、シアノ基含有重合性化合物)の含有量は、感光性樹脂組成物に対して、固形分換算で2質量%〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは 5質量%〜20質量%の範囲である。
<溶剤>
ポリマー層を形成すための塗布液組成物には、前記特定重合性化合物に加え、溶剤を用いることができる。
本発明に使用しうる溶剤は、組成物の主成分である、重合性基及び相互作用性基を有する化合物が溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
この中でも、特定重合性化合物として、シアノ基含有重合性ポリマーを用いる場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い容易性の観点から、沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物を、基板上に塗布する場合、基板や重合開始層の吸溶媒率が5〜25%となる溶剤を選択することができる。この吸溶媒率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の質量の変化から求めることができる。
また、感光性樹脂組成物を、基板上に塗布する場合、基板の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基板や、重合開始層を形成した基材を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
なお、感光性樹脂組成物を溶剤で希釈し、塗布による膜形成を行う場合、塗布液中の固形分の含有量(重量%)によって形成した膜厚を制御することが可能である。好適な濃度としては、前記特定重合性化合物およびその他固形分添加物の総量で1〜50重量%の範囲にて溶剤に希釈するのが好ましく、特に1μm以下の薄膜を形成する場合は1〜20重量%の範囲にて溶剤に希釈して膜形成を行うことが好ましい。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により相互作用性基含有組成物塗布層を形成する場合の塗布量は、金属イオン等との充分な相互作用性、及び、均一な塗布膜とを得る観点からは、固形分換算で0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.5g/m2〜5g/m2が好ましい。
(エネルギー付与)
基材表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
以上説明した(a1)工程により、基材上に相互作用性基を有するポリマーからなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成することができる。
〔(a2)工程〕
(a2)工程では、前記(a1)工程において形成されたポリマー層に、めっき触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、ポリマー層を構成するグラフトポリマーが有する相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。本発明におけるめっき触媒又はその前駆体としては、金属イオン又は金属塩、金属コロイドが挙げられる。これらについて順次説明する。
((a)無電解めっき触媒)
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、ものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
((b)無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてめっき触媒受容性の硬化物層上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、及び触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
((c)その他の触媒)
本発明において、後述するめっき工程において、めっき触媒を付与しためっき触媒受容性の硬化物層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、特に、相互作用性基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
(有機溶剤)
めっき触媒又はその前駆体を含有する液(めっき触媒液)には、有機溶剤を含有することができる。この有機溶剤を含有することで、ポリマー層に対する浸透性が向上し、相互作用性基に効率よくめっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
めっき触媒液の調製に用いられる溶剤としては、ポリマー層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、めっき触媒液の主たる溶媒(分散媒)として一般に水が用いられることから、水溶性の有機溶剤、即ち、水と任意の比率で均一に溶解しうる有機溶剤であることが好ましい。但し、一般的に「非水性」の有機溶剤であっても、水を主成分とする限りは後述する溶剤含有量範囲で溶解する場合は、水溶性の有機溶剤だけに限定されず、「非水性」の有機溶剤も使用することができる。
実施形態においては、具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル,エチレングリコールジアセテート,シクロヘキサノン,アセチルアセトン,アセトフェノン,2−(1−シクロヘキセニル),プロピレングリコールジアセテート,トリアセチン,ジエチレングリコールジアセテート,ジオキサン,N−メチルピロリドン,ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。特に前記めっき触媒またはその前駆体、および前記疎水性硬化物層との相溶性の観点ではアセトン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブが好ましい。
また、その他の併用可能な溶剤としては、ダイアセトンアルコール、γブチロラクトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン、n−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。なお、上記した例示溶媒に含まれる非水溶性の溶剤については、水への溶解限界までの混入であれば許容される。例えば、ジメチルカーボネートの場合は12.5%まで、トリアセチンの場合は7.2%まで、シクロヘキサノンの場合は9%まで水との混合が可能である。
溶剤の含有量は、めっき触媒液全量に対して0.5〜40質量%が好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。
めっき触媒液には、めっき触媒又はその前駆体及び主たる溶剤である水に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。
他の添加剤としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、膨潤剤(ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル類等の有機化合物など)や、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、双性、ノニオン性および低分子性または高分子性など)などが挙げられる。
以下、めっき触媒又はその前駆体の各成分について、より詳細に述べる。
(金属イオン又は金属塩)
まず、金属イオン又は金属塩について説明する。
金属塩としては、ポリマー層に付与するために適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。
本発明における金属イオン又は金属塩としては、還元された金属の酸化されにくさから、電子材料に好ましいという観点からは、銅、銀、金、ニッケル、及びCrからなる群より選ばれる金属のイオン又は塩であることが好ましい。
(金属イオン及び金属塩の付与方法)
金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、ポリマー層を構成するグラフトポリマーを形成している化合物によって、適宜、選択することができる。また、グラフトポリマーは、金属イオン等の付着の観点からは、親水性基を有することが好ましい。
具体的な金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、(i)グラフトポリマーが相互作用性基として、イオン性基(極性基)を有する場合、そのグラフトポリマーのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法、(ii)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合、そのグラフトポリマーに、金属塩又は金属塩を含有する溶液を含浸させる方法、(iii)親水性グラフトポリマーに、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、そのグラフトポリマーに金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法、の何れかの方法を適宜選択して用いることができる。特に、(iii)の方法によれば、グラフトポリマーの性質が特に問われないため、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
金属イオン又は金属塩をポリマー層に付与する際、(i)グラフトポリマーがイオン性基を有し、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる場合には、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、ポリマー層が形成された基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をポリマー層に付与する際、(ii)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合は、上記の金属塩を微粒子状にして直接付着させる、又は金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製し、その分散液を、ポリマー層が形成された基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。また、グラフトポリマーが親水性化合物からなる場合、グラフトポリマーは高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマーに含浸させることができる。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(iii)親水性グラフトポリマーよりなるポリマー層を有するガラス基板を、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、そのポリマー層に金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法を用いる場合には、上記の金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製するか、又は上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を調製し、その分散液又は溶液を、ポリマー層を有する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にポリマー層を有する基板を浸漬すればよい。かかる方法においても、上述と同様に、親水性グラフトポリマーが有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をその親水性グラフトポリマーに含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
−グラフトポリマーが有する官能基の極性と金属イオン又は金属塩との関係−
グラフトポリマーが負の電荷を有する官能基をもつものであれば、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体(金属膜や金属微粒子)が析出する領域が形成される。
−親水性化合物結合タイプの親水性基の極性と金属イオン又は金属塩との関係−
グラフトポリマーが先に詳述したように親水性の官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する場合は、選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(例えば、配線など)が形成される。
一方、グラフトポリマー鎖が特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基を有する場合は、選択的に正の電荷を有するようになり、ここに金属塩を含有する溶液、又は金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(配線)が形成される。
これらの金属イオンは、親水性表面の親水性基に付与(吸着)し得る最大量、結合されることが耐久性の点で好ましい。
金属イオンを親水性基に付与する方法としては、金属イオン又は金属塩を溶解又は分散させた液を支持体表面に塗布する方法、及び、これらの溶液又は分散液中に支持体表面を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の金属イオンを供給し、親水性基との間に充分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液と支持体表面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
前記金属イオン又は金属塩は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
本工程で形成される導電性層は、SEM、AFMによる表面観察、断面観察より、表面グラフト膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していることが確認される。形成される金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
(金属コロイド)
(a2)工程においてめっき触媒又はその前駆体として適用される金属コロイドは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属をグラフトポリマー上(相互作用性領域)に固定する手法としては、一般に、荷電を調節した金属コロイドが用いられるが、この金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、上記金属の金属イオンを還元することにより作製することができる。ここで使用する界面活性剤により荷電が変わり、グラフトパターン上の相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に吸着させることができる。
(金属コロイドの付与方法)
金属コロイドをグラフトポリマー上に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーが存在する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーを有する基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記パターン部の相互作用基には、金属イオンがイオン−イオン、又は、双極性−イオン相互作用を利用して吸着することができる。これら吸着を十分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
〔(a3)工程〕
(a3)工程では、無電解めっき液を用いて、上記(a2)工程においてポリマー層に付与しためっき触媒又はその前駆体に対して、無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する。具体的には、本工程において、前記ポリマー層に無電解めっき液を付与し、前記金属イオン又は金属塩を金属に還元すると同時に該金属を無電解めっき触媒として無電解めっきを行なうことにより、無電解めっき層を形成するか、或いは、金属コロイドを無電解めっき触媒として無電解めっきを行なう。
<無電解めっき>
無電解めっきとは、めっきさせたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
(a3)工程における無電解めっき液の付与は、例えば、前記(a2)工程において、ポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、水洗して余分な金属塩等を除去し、めっきされる金属イオンと表面電荷調節剤とを含有する無電解めっき浴に浸漬して行なうことが好ましい。無電解めっき浴として使用しうる表面荷電調節剤以外の成分としては、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっきされる金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれ、本工程においては、さらに4.表面荷電調節剤を含有してもよい。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、これらの中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて、還元剤、添加物を用いてもよい。例えば、銅の無電解めっき浴は、銅塩としてCu(SO42、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含んでもよい。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴であれば、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムを含んでもよい。また、パラジウムの無電解めっき浴であれば、金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAを含んでもよい。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される無電解めっき層の厚みは、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られた無電解めっき層(金属膜)は、SEMによる断面観察により、ポリマー層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更にポリマー層上にめっき金属が析出していることが確認できる。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
〔(a4)工程〕
(a4)工程では、(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する工程を実施するか、又は、(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する工程を実施する。
<(a4−1)工程>
(a4−1)工程は、(a3)工程で形成された無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後、該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する。(a4−1)工程は、例えば以下のごとく実施する。
即ち、先ず、(a3)工程で形成された無電解めっき層をベースに電解めっきを行い、該無電解めっき層上に任意の厚みを有する金属膜を形成する。次いで、該金属膜上にパターン状のレジスト層を形成する。レジスト層の非形成領域における金属膜を除去した後、レジスト層を剥離する。以上により配線パターンが形成される。
−電解めっき−
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電解めっきに用いられるめっき浴は、金属膜の平滑性、展伸性、導電性など電子回路として用いる場合の特性を改良するという観点から、添加剤を含むことが好ましい。
電解気めっきにおける添加剤としては、市販の電気めっき用添加剤を用いることができる。具体的な添加剤としては、例えば、ヤヌスグリーンB(JGB)、SPS(スルホプロピルチオレート)、ポリエチレングリコール、各種の界面活性剤などが挙げられる。また、これらの混合物として各めっき液メーカーから上市されているものとしては、メルテックス(株)製のカパーグリームシリーズ、奥野製薬工業製トップルチナシリーズ、荏原ユージライト(株)製キューブライトシリーズ、等を用いることができる。得られる金属膜の力学特性等に応じたものを選択すればよい。
添加剤の種類及びその添加量の具体的な態様については、めっき速度、電解めっき時の電流密度、形成される金属膜の内部応力などの諸特性を考慮して適宜調整することができる。具体的には、添加剤の薬品濃度として、0.1mg/L〜1.0g/L、市販の電気めっき液の場合は、1ml/Lから50ml/L(各メーカーのカタログによる)を添加すればよい。
電解めっきは、通電開始時からの電気量が通電終了時迄に要する電気量の1/10〜1/4に達する迄の間、電流密度0.1mA/cm〜3mA/cmで行うことが好ましい。電解めっきを、通電当初から一定期間小さな電流密度で行うことで、比較的表面抵抗の高い基板上に、均一に金属被膜を形成できると同時に、ゆっくりと金属膜が成長することで、緻密で電気伝導度に優れ電子回路に適した金属膜を形成することができる。
上記範囲の電流密度で電解めっきを行う期間は、形成される金属膜の性状・用途等に応じて、通電開始時からの電気量が通電終了時迄に要する電気量の1/10〜1/4に達する迄の間で適宜設定される。また、電流密度の大きさも上記範囲において、形成される金属膜の用途・性状等に応じて適宜設定される。
電解めっきは、上記範囲の小さな電流密度で所定の期間行った後、更に、電流密度を増加して行われることが好ましい。電流密度の増加の度合いは、適宜設定しうるが、通常、通電開始の電流密度の2〜20倍、好ましくは3〜5倍程度である。
電流密度の増加態様については、特に制限はなく、線形状の増加、ステップ状の増加、指数関数的増加等の態様を採ることができる。めっき被膜の均一性の観点からは、線形状に電流密度を増加させることが好ましい。
電解めっきにより形成される金属膜の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、導電性の観点からは、該金属膜の膜厚は、0.3μm以上であることが好ましく、
3μm以上であることがより好ましい。膜厚の上限は特に限定されないが、10μm程度である。
また、電解めっきにより形成される金属膜の表面抵抗率は、1×10−1Ω/□以下であることが好ましく、好ましくは1×10−2Ω/□以下である。
なお、本明細書における表面抵抗率は、ダイアインスツルメント(株)製、抵抗率計・ロレスタEP・MCP−T360型を用い、4端子4探針法、定電流印加方式により、測定した値を採用した。
−レジスト層の形成−
レジスト層は、感光性レジストを用いて形成することができる。使用する感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが使用できる。
感光性レジストとしては、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストを使用することができる。これらはそれぞれ特徴がある。即ち、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は、乾式で用いることができるので取り扱いが簡便である。2.液状レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストは、レジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用する感光性レジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。
上記の各感光性レジストを用いる場合、金属膜上へのレジストの配置は以下のごとく行う。
1.感光性ドライフィルム
感光性ドライフィルムは、一般的にポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしており、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する。
感光性ドライフィルムレジストは、その処方、製膜方法、積層方法については、本願出願人が先に提案した特願2005−103677明細書、段落番号〔0192〕乃至〔0372〕に詳細に記載され、これらの記載は本発明にも同様に適用することができる。
2.液状レジスト
塗布方法はスプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートがある。両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートが両面同時にコート可能であり、好ましい。
液状レジストについては、本願出願人が先に提案した特願2005−188722明細書、段落番号〔0199〕乃至〔0219〕に詳細に記載され、これらの記載は本発明にも適用することができる。
3.ED(電着)レジスト
EDレジストは感光性レジストを微細な粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものであり、粒子が電荷を帯びているので、導体層に電圧を与えると電気泳動により、導体層上にレジストが析出し、導体上でコロイドは相互に結合し膜状になる、塗布することができる。
次いで、パターン露光及び現像を行う。
パターン露光は、レジスト膜を金属膜上部に設けてなる基材をマスクフィルムまたは乾板と密着させて、使用しているレジストの感光領域の光で露光する。フィルムを用いる場合には真空の焼き枠で密着させ露光をする。露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。パターン幅を100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。
現像は、光硬化型のネガレジストならば未露光部を、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすもであれ何を使用してもよいが、主には有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、環境負荷低減の観点からは、アルカリ性水溶液を使用することも好ましい。
−レジスト層の非形成領域における金属膜の除去−
レジスト層の非形成領域における金属膜の除去は、例えば、30〜40wt%の塩化第二鉄と、3%以下の少量の塩酸とを用いて、該金属膜を酸化させ溶解除去することにより行なうことができる。但し、レジスト層の非形成領域における金属膜の除去はこれに限定されるものではなく、この他にも、硫酸等の強酸を用いる方法など、銅等の金属膜を酸化させ溶解除去できる方法であれば用いることができる。
−レジスト膜の剥離−
レジスト層の剥離は、剥離液をスプレーして行うことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的にはレジストを膨潤させる溶剤、又は、溶液をスプレーにより拭きつけ、レジストを膨潤させて剥離する。
<(a4−2)工程>
(a4−2)工程は、(a3)工程において形成された無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する。(a4−2)工程は、例えば以下のごとく実施する。
即ち、先ず、(a3)工程で形成された無電解めっき層上に、パターン状のレジスト層を形成する。次いで、電解めっきを行い、レジスト層の非存在領域における無電解めっき層上に任意の厚みを有するパターン状の金属膜を形成した後、レジスト層を剥離する。さらに、レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層を除去する。以上により配線パターンが形成される。
−レジスト層の形成−
レジスト層の形成は、(a4−1)工程においてサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する場合におけるレジスト層の形成と同様にして行うことができる。
−電解めっき−
電解めっきは、(a4−1)工程と同様にして行うことができる。
なお、(a4)工程として、(a4−2)工程が適用される場合には、電解めっきの前には、レジスト現像における残渣や、無電解めっき層の表面に形成される場合のある酸化被膜を除去するための脱脂洗浄処理を行うことが好ましい。
脱脂洗浄処理には、蒸留水、希薄な酸、希薄な酸化剤水溶液を用いることができ、希薄な酸性の酸化剤水溶液が好ましく用いられる。酸としては、塩酸、硫酸、酸化剤としては過酸化水素や過硫酸アンモニウムを用いることができる。酸化剤の濃度は、0.01質量%〜1質量%が好ましい。脱脂洗浄処理は、室温から50℃の温度で、1〜30分の処理であることが好ましい。
−レジスト層の剥離−
レジスト層の剥離は、(a4−1)工程におけるレジスト層の剥離と同様にして行うことができる。
−レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層の除去−
レジスト層で保護されていた領域に存在する無電解めっき層の除去は、当該めっき膜を溶解除去することで行われる。かかる溶解除去は、金属塩の溶解を促進するためのキレート剤、金属を酸化してイオン化するための酸化剤、金属を溶解するための酸、などを含む水溶液を導電層除去液として用い、基板を除去液に浸漬、あるいは除去液を基板にスプレーして行うことができる。
キレート剤としては、EDTA、NTA、リン酸などの市販の金属キレート剤が挙げられる。酸化剤としては、過酸化水素、過酸(次亜塩素酸、過硫酸、など)が挙げられ、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられる。本発明においては、これらの酸化剤、キレート剤、酸を組み合わせて用いることが好ましい。
〔(a5)工程〕
(a5)工程では、(a4)工程で形成された配線パターンを有する基板に対し樹脂エッチング処理を施す。樹脂エッチング処理は、ドライエッチング処理及びウェットエッチング(ケミカルエッチングとも称する)処理から選択される少なくとも1種であればよい。
ドライエッチング処理としては、プラズマエッチング処理、又は、オゾンエッチング処理のいずれであってもよい。また、ウエットエッチング処理としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム水溶液や、水酸化ナトリウムのような強アルカリ水溶液処理など、公知のウエットエッチング処理を任意に選択して行うことができる。
なお、プラズマエッチング処理としては、減圧プラズマ処理、又は大気圧下で行なう大気プラズマ処理であり、当該処理において、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンの中から選ばれる不活性ガス、O、CF、C、N、CO、SF、CHF、少なくともO、N、F又はClを含む反応性ガスからなる群から選択されるいずれか1種類以上のガスを用いることができる。
以下、本発明に最適なプラズマエッチング処理を例に挙げて説明するが、ここで適用されるエッチング処理は、前記したいずれの処理であっても、本発明の効果を奏する。
(a5)工程におけるエッチング処理の一例であるプラズマエッチング処理について詳細に述べれば、(a4)工程の終了後の配線パターンが形成された基板を、プラズマ処理装置のチャンバ内に収納し、該チャンバ内にプラズマを発生させて、イオンやラジカルと呼ばれる中性粒子を基板表面に衝突させることにより行われる。
本工程においては、(a4)工程において形成された配線自体がエッチングレジストとして機能するため、プラズマエッチング処理により、配線間に露出して残存するポリマー層や、配線間に付着している有機物などの夾雑物を効果的に除去することができる。このような形成された配線による効果はウエットエッチング処理においても同様である。なお、このような観点からは、形成された配線に影響を与えることのない処理条件により、プラズマエッチング処理を行うことが好ましい。
プラズマの発生法としては、減圧プラズマ法、大気プラズマ法のいずれも適用することができるが。汎用される減圧プラズマ法が好適に用いられる。
プラズマエッチング処理を施す際の雰囲気圧としては、エッチング速度の観点の観点から、100Pa以下であることが好ましく、10Pa以下であることがより好ましい。
なお、大気圧プラズマを用いる場合であれば、減圧の必要がないため、インライン処理が可能といった利点であり、これにより生産効率の向上が期待できる。
なお、大気圧プラズマを用いる場合であれば、減圧の必要がないため、インライン処理が可能といった利点であり、これにより生産効率の向上が期待できる。
プラズマエッチング処理に用いられるガスとしては、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンの中から選ばれる不活性ガス、O、CF、C、N、CO、SF、CHF、少なくともO、N、F又はClを含む反応性ガスからなる群から選択されるいずれか1種類以上のガスを用いることができ、これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。使用するガスは、例えば、処理後の基板表面状態(新疎水状態など)への影響、処理速度や基板温度の制御などの各種の条件に応じて適宜選定できる。
プラズマエッチング処理に用いられるガス種は、特に制限されるものではない。
例えば、処理速度の観点からは、酸素ガス、アルゴンガス、CF、及び、酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスが好ましく、アルゴンガス、酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスがより好ましい。
また、プラズマガスとして酸素ガスを使用する場合に関しては、該酸素ガスは処理表面に水酸基を生成させうることから、例えば、配線基板上にエポキシ樹脂等を主成分とするソルダーレジストを配置して、基板表面とソルダーレジストとを熱重合させるような場合において、基板表面とソルダーレジストとの密着性を向上させることができる。
また、プラズマガスとしてCF系ガスを使用する場合に関しては、該CF系ガスは処理表面の疎水性を向上させうることができることから、例えば、配線基板を積層してなる積層基板を形成する場合おいて、基板間の界面からの水分等の侵入を効果的に防止しうるなど、配線間の絶縁信頼性をより向上させることもできる。
(a5)工程においては、特に、エッチング速度、すなわちプラズマ発生量の点から、プラズマエッチング処理を施す際の雰囲気圧が100Pa以下であり、当該処理において、酸素ガス、アルゴンガス、CFガス、及びCガスからなる群から選択されるいずれか1種類以上のガスを用いることが好ましい。
〔(a6)工程〕
本発明においては、前記(a4)工程の終了後であって、前記(a5)工程におけるプラズマエッチング処理を施す前又は施した後の基板に対し、該基板を2価以上の金属イオンを含有する水溶液に浸漬するか、又は、該基板に2価以上の金属イオンを含有する水溶液をスプレーする工程を行ってもよい〔(a6)工程〕。
(a4)工程における配線パターンの形成過程では、レジスト剥離などで、NaOHや、NaHCO等のアルカリ処理が用いられることから、Naのようなイオン化傾向の高い軽元素が基板上に残存することがある。基板上におけるイオン化傾向の高い軽元素の残存は、配線パターンの絶縁信頼性を低下させるため好ましくない。
(a6)工程を実施することにより、配線パターン形成後の基板上に残存するNaイオンなどのを、イオン化傾向の低い多価イオンと置き換えて除去することができることから、配線間の絶縁信頼性をより向上させることができる。
(a6)工程における2価以上の金属イオンとしては、イオン化傾向の点から、Zn、Al、Fe、Ni、Pb、Cu、及びSnからなる群より選ばれる金属のイオンであることが好ましく、Zn、Al、及びCuのイオンがより好ましい。
2価以上の金属イオンを含有する水溶液中における該金属イオンの濃度としては、0.1%〜10%が好ましく、1%〜5%がより好ましい。
(a6)工程を、基板を2価以上の金属イオンを含有する水溶液に浸漬することにより行う場合、水溶液の温度としては、5℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましい。また、浸漬時間は10秒〜60分が好ましく、1分〜20分がより好ましい。
(a6)工程を、基板に2価以上の金属イオンを含有する水溶液をスプレーすることにより行う場合、水溶液の温度としては、5℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましい。また、浸漬時間は、5秒〜20分が好ましく、30秒〜10分がより好ましい。また、流量・スプレー圧については大きく限定されないが、基板1mあたり、1000cm/min程度、スプレー圧としては、0.2〜0.5Mpa程度が好ましい。
[配線パターン形成方法(2)]
配線パターン形成方法(2)は、(b1)基板上に、金属イオン又は金属塩と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程、(b2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、(b3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、前記基板上にパターン状の無電解めっき層を含んでなる配線パターンを形成する工程、及び(b4)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、を含む。
〔(b1)工程〕
(b1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける。
(b1)工程において、基板上に、グラフトパターンを設ける方法としては、以下に示すパターン形成態様(1)〜(3)の各態様が挙げられる。
<パターン形成態様(1)>
パターン形成態様(1)は、金属膜形成方法(1)の(a1)工程で説明した手段に準じるものであり、金属膜形成方法(1)では、基板の全面にエネルギー付与を行いポリマー層を形成したが、本態様では、ポリマー層の形成においてパターン状にエネルギー付与を行い、ポリマー層をパターン状に形成するものである(以下、このような表面を「パターン形成層」と称することがある)。
本態様に適用される、基板(基材及び基材上に形成しうる中間層)、ポリマー層を構成する各要素に関する事項、等の詳細については、前記金属膜形成方法(1)の(a1)工程で説明した事項を、同様に適用することができる。
〔パターン(画像)の形成〕
パターン形成態様(1)におけるパターンの形成に用いられるエネルギー付与の方法には特に制限はなく、基板表面に活性点を生じさせ、相互作用性基を有する化合物と結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
パターン形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
画像様の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
このようにエネルギー付与を行うことで基板表面に発生した活性点と、重合性基及び相互作用性基を有する化合物とが重合して、運動性の高いグラフト鎖からなるグラフトパターンが形成される。また、好ましい態様として、末端及び側鎖に重合性基を有する化合物を用いることで、基板と結合したグラフト鎖の側鎖の重合性基に更に、グラフト鎖が結合することで、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成され、グラフトの形成密度、運動性ともに飛躍的に向上し、無電解めっき触媒またはその前駆体とのさらなる高い相互作用が発現するものである。
<パターン形成態様(2)>
パターン形成態様(2)は、熱、酸又は輻射線により、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基へと変化する、もしくは、その効果を失う官能基(極性変換基)を有する高分子化合物を、基板表面全面に直接結合させた後、パターン状に熱、酸又は輻射線の付与を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。
本態様は、パターン形成態様(1)に準じるものであり、パターン形成態様(1)では、相互作用性基を有する化合物を基板表面にパターン状に直接結合させて、パターン形成層(ポリマー層)を形成するが、本態様では、極性変換基を有する化合物を用いて、基板表面の全面にポリマー層を形成した後、パターン状に熱、酸又は輻射線の付与を行い、エネルギーが付与された領域の極性変換基を、相互作用性基へ変化、もしくは、その効果を失わせることにより、相互作用性基を有するポリマーからなるパターン状のポリマー層(パターン形成層)を形成するものである。
本態様に用いられる、極性変換基について説明する。本態様における極性変換基は、(A)熱又は酸により極性が変化するタイプと、(B)輻射線(光)により極性が変化するタイプと、がある。
なお、本発明において「無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基」とは、後述する無電解めっき触媒またはその前駆体が付着しうる官能基であれば特に制限はないが、一般的には親水性基が挙げられる。
〔(A)熱又は酸により極性が変化する官能基〕
まず、(A)熱又は酸により極性が変化する官能基について説明する。
(A)熱又は酸により極性が変化するタイプの官能基としては、熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基と、熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
((A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基)
(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の公知の官能基を挙げることができる。
これらの官能基の有用な例は、特開平10−282672号公報に記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macromolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
また、角岡正弘著、「表面」vol.133(1995),pp.374記載のイミノスルホネート基、角岡正弘著、Polymer preprints,Japan vol.46(1997),pp.2045記載のβケトンスルホン酸エステル類、山岡亜夫著、特開昭63−257750号のニトロベンジルスルホネート化合物も挙げることができるが、これらの官能基に限定される訳ではない。
これらのうち、特に優れているものは、特開2001−117223公報記載の、一般式(1)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基、3級のカルボン酸エステル基、及び、一般式(2)で表されるアルコキシアルキルエステル基が挙げられ、中でも、一般式(1)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基が最も好ましい。以下、特に好ましい官能基の具体例を示す。
Figure 2009010336
((A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基)
本発明において、(A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基としては、公知の官能基、例えば、特開平10−296895号及び米国特許第6,190,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができる。具体的なものとして、(メタ)アクリロルオキシアルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。また、特開2001−117223公報記載の一般式(3)で示されるカルボン酸基及びカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、これらの例示に特に限定されるものではない。以下、特に好ましい官能基の具体例を示す。
Figure 2009010336
本発明における極性変換基を有する高分子化合物は、上記のような官能基を有するモノマー1種の単独重合体であっても、2種以上の共重合体であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限り、他のモノマーとの共重合体であってもよい。
(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
Figure 2009010336
(A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
Figure 2009010336
(光熱変換物質)
上述の極性変換基を有する高分子化合物を用いたパターン形成材料の表面にグラフトパターンを形成する際、付与するエネルギーがIRレーザーなどの光エネルギーであれば、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物質を、パターン形成材料のどこかに含有させておくことが好ましい。光熱変換物質を含有させておく部分としては、例えば、パターン形成層、中間層、基材のいずれでもよく、更には、中間層と基材との間に光熱変換物質層を設け、そこに添加してもよい。
用い得る光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等が挙げられる。特に好ましいのは、エネルギー付与に使用する赤外線レーザーの露光波長である760nmから1200nmに極大吸収波長を有する染料、顔料又は金属微粒子である。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別の染料の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これらの染料又は顔料は、感度および光熱変換物質含有層の膜強度の観点から、光熱変換物質含有層全固形分の0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10質量%の割合で使用することができる。
(酸発生物質)
上述の極性変換基を有する高分子化合物を用いたパターン形成材料の表面にグラフトパターンを形成する際、極性変換させるために酸を付与するためには、酸発生物質を、パターン形成材料のどこかに含有させておくことが好ましい。酸発生物質を含有させておく部分としては、例えば、パターン形成層、中間層、基材のいずれに添加してもよい。
酸発生物質としては、熱若しくは光により酸を発生する化合物であり、一般的には、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物及びそれらの混合物等を挙げることができ、これらを適宜選択して使用することができる。
例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al.,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、特開平3−140140号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書等に記載のホスホニウム塩、特開平2−150848号公報、特開平2−296514号公報等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al.,Polymer J.17,73(1985)、米国特許第3,902,114号明細書、欧州特許第233,567号明細書、同297,443号明細書、同297,442号明細書、米国特許第4,933,377号明細書、同4,491,628号明細書、同5,041,358号明細書、同4,760,013号明細書、同4,734,444号明細書、同2,833,827号明細書、独国特許第2,904,626号明細書、同3,604,580号明細書、同3,604,581号明細書等に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello et al.,Macromolecules,10(6),1307(1977)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478,Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、特開昭63−298339号公報等に記載の有機ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase et al.,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、特開昭60−198538号公報、特開昭53−133022号公報等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、特開昭64−18143号公報、特開平2−245756号公報、特開平3−140109号公報等に記載のイミノスルホネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号公報等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
これらの酸発生物質は、感度及び酸発生物質含有層の膜強度の観点から、酸発生物質含有層全固形分の0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の割合で使用することができる。
〔(B)光により極性が変化する官能基〕
極性が変化する官能基の中でも、700nm以下の光照射により、その極性を変化させるものがある。このような(B)光により極性が変化する官能基(極性変換基:700nm以下の光に感応する極性変換基)は、赤外線などの長波長露光や熱によらず、所定の波長の光照射により直接に、分解、開環或いは二量化反応が生じることで、高感度で極性が変化することを特徴とする。以下、700nm以下の光照射により、極性が変化する官能基について説明する。
(B)光により極性が変化するタイプの官能基についても、(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基と、(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
((B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基)
(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、例えば、特開2003−222972公報に記載の一般式(1)〜(4)、及び、(7)〜(9)で表される官能基を用いることができる。
((B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基)
(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基としては、例えば、ビスピリジニオエチレン基が挙げられる。
〔基板〕
パターン形成態様(2)に用いられる基板は、極性変換基を有する高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合した表面グラフト層と該高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合できるような基板表面を有するものである。先に述べたように、基板の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材表面に設けたものを基板として用いてもよい。
(基板表面)
このような基板表面は、前記表面グラフト層をグラフト合成して設けるのに適した特性を有していれば、無機層、有機層のいずれでもよい。また、本態様においては、薄層の高分子化合物からなるパターン形成層により親疎水性の変化を発現するため、表面の極性は問題ではなく、親水性であっても、また、疎水性であってもよい。
中間層においては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法により本態様の薄層ポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができるが、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
このような中間層は、前記した基材を兼ねていてもよく、また必要に応じて基材上に設けられた中間層であってもかまわない。
本態様で、基板の表面凹凸が500nm以下となるようにするためには、基板が樹脂フィルムなどの基板のみからなる場合には基材即ち基板自体の表面の、或いは、基材表面に中間層を設けて基板とする場合にはその中間層表面の、表面凹凸が500nm以下となるよう調製されることが好ましい。基板の表面凹凸が500nm以下となるようにするためには、材料としての平滑性に優れた樹脂基材を選択するとともに、中間層を形成する場合、中間層の膜厚均一性が高いものを形成すればよい。
〔重合開始能を発現する層〕
パターン形成態様(2)においては、上記基板表面に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤を添加し、中間層(基板)表面として重合開始能を発現する層を形成することが、活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点から好ましい。
重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性層と称する)は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
パターン形成態様(2)に適用される重合開始能を発現する層としては、配線パターン形成方法(1)の(a1)工程で説明した、重合開始層に関する事項を同様に適用することができる。
(基材)
パターン形成態様(2)に適用される基材としては、配線パターン形成方法(1)の(a1)工程で説明した事項を同様に適用することができる。
〔パターン(画像)の形成〕
パターン形成態様(2)におけるパターンの形成は、光などの輻射線の照射或いは加熱により行われる。また、光照射の一態様として、前記光熱変換物質を併用するタイプであれば、赤外線領域のレーザー光等の走査露光による加熱により、パターンを形成することも可能である。
パターン形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
700nm以下の光に感応する極性変換基を用いた場合には、パターン形成層内において、極性変換を生起させる、即ち、前述の極性変換基を分解、開環或いは二量化させて、親疎水性を変化させることの可能なものであれば、いずれの光照射の手段も使用できる。例えば、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射を使用することが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等が挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザー露光により極性変換を生起させる方法が好ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザー、Arレーザー、He/Neレーザー、He/Cdレーザー、Krレーザー等の気体レーザー、液体(色素)レーザー、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザー等の固体レーザー、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザー等の半導体レーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、XeFレーザー、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。
<パターン形成態様(3)>
パターン形成態様(3)は、基板上に、光熱変換物質及びバインダーを含有する感光層(以下、パターン形成態様(3)に係るこのような感光層を「アブレーション層」と称することがある)と、該感光層表面全面に、相互作用性基を有する高分子化合物が直接結合してなる層とを設け、画像様に輻射線の照射を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。
〔感光層(アブレーション層)〕
パターン形成態様(3)におけるアブレーション層は、活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点において基板上に設けられる重合開始能を発現する層と同様の機能を有する。
このようなアブレーション層は、後述する光熱変換物質とバインダーとを含有することを要し、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
本態様においては、照射されたレーザー光等の輻射線が、光熱変換物質に吸収され熱に変換して感光層のアブレーションを起こし、これによりアブレーション層が除去(溶融、分解、揮発、燃焼、等)されることに伴って、後述する相互作用性層をも除去されることによって、相互作用性領域が基板表面に選択的に形成されるものである。
また、本態様においては、アブレーション層中に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として重合性化合物と重合開始剤とを添加し、該アブレーション層を重合開始能を発現する層として形成することが、アブレーション層表面に活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点から好ましい。
前記アブレーション層を、重合開始能を発現する層として形成するには、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜すればよい。
以下に、前記アブレーション層に含有され得る成分について説明する。
(バインダー)
パターン形成態様(3)におけるバインダーは、塗膜性、膜強度、及びアブレーションの効果を高める目的で使用されるものであり、光熱変換物質との相溶性、或いは、光熱変換物質の分散性を考慮して適宜選択される。
前記バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等の不飽和酸と、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレン等との共重合体;ポリメチルメタクリレートに代表されるメタクリル酸アルキルやアクリル酸アルキルの重合体;(メタ)アクリル酸アルキルとアクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン等との共重合体;アクリロニトリルと塩化ビニルや塩化ビニリデンとの共重合体;側鎖にカルボキシル基を有するセルロース変性物;ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン;フェノール、o−、m−、p−クレゾール、及び/又はキシレノールとアルデヒド、アセトン等との縮合反応で得られるノボラック樹脂;エピクロロヒドリンとビスフェノールAとのポリエーテル;可溶性ナイロン;ポリ塩化ビニリデン;塩素化ポリオレフィン;塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体;酢酸ビニルの重合体;アクリロニトリルとスチレンとの共重合体;アクリロニトリルとブタジエン及びスチレンとの共重合体;ポリビニルアルキルエーテル;ポリビニルアルキルケトン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレートイソフタレート;アセチルセルロース;アセチルプロピオキシセルロース;アセチルブトキシセルロース;ニトロセルロース;セルロイド;ポリビニルブチラール;エポキシ樹脂;メラミン樹脂;フォルマリン樹脂等が用いられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
前記バインダーのアブレーション層中における含有量は、全アブレーション層固形分中、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%が更に好ましい。
(重合性化合物)
前記バインダーと併用して用いられる重合性化合物としては、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、後述する重合性基及び相互作用性基を有する化合物が付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
前記重合性化合物としては、前記バインダーがこれを兼ねていてもよいし、前記バインダーとは異なる化合物であってもよい。
具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが好適に挙げられる。
前記重合性化合物をバインダー中に添加する場合の含有量は、全アブレーション層固形分中、5〜95質量%の範囲が好ましく、20〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、パターン形成態様(1)の重合開始能を有する層で用いた重合開始剤をそのまま使用することができる。
重合開始剤の含有量は、アブレーション層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
(光熱変換物質)
パターン形成態様(3)における光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質であれば全て使用でき、より詳細には、前記パターン形成態様(1)に記載されている光熱変換物質と同様の染料及び顔料を用いることができる。
用いられる染料又は顔料は、感度および光熱変換物質含有層の膜強度の観点からは、アブレーション層全固形分の0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10質量%の割合で使用することができる。
(その他の添加剤)
本態様において、アブレーション効果を向上させる目的で、ニトロセルロースをアブレーション層中に更に含有させることが好ましい。ニトロセルロースは、近赤外レーザー光を光吸収剤が吸収し発生した熱により分解し、効率よく低分子のガスを発生することにより、アブレーション層の除去を促進する。
〔アブレーション層の形成〕
アブレーション層は、前記成分を適当な溶媒に溶かし、基版上に塗布することで設けることができる。なお、アブレーション層を塗布する際に用いる溶媒は、光熱変換物質、バインダー等の上記各成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
アブレーション層を基板上に形成する場合の塗布量としては、乾燥後の質量で、0.05〜10g/m2が好ましく、0.3〜5g/m2がより好ましい。
パターン形成態様(3)においては、基板表面上に前記アブレーション層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させてアブレーション層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、アブレーション層上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物をグラフトした後、アブレーション層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制しうるため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、パターン形成態様(1)における光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥しうる条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するパターン形成に用いる光源を用いることができる。該光照射は、引き続き行われるグラフトパターンの形成と、エネルギー付与により実施されるアブレーション層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点からは、アブレーション層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度にすることが好ましい。光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
〔相互作用性層〕
パターン形成態様(3)においては、前記アブレーション層上に、相互作用性基を有する高分子化合物が直接化学的に結合されてなる相互作用性層が形成される。また、本態様には、グラフトポリマーがアブレーション層表面上に直接結合したもの、アブレーション層表面上に配置された幹高分子化合物を介して結合したもののいずれも包含される。
本態様におけるグラフトポリマーの特徴は、ポリマーの末端がアブレーション層表面に結合しており、相互作用性を発現するポリマー部分の運動性が制限されることなく、高い運動性を保持できるという特徴を有する。このため、無電解めっき触媒またはその前駆体との優れた相互作用性が発現されるものと考えられる。
このようなグラフトポリマー鎖の分子量は、Mw500〜500万の範囲であり、好ましい分子量はMw1000〜100万の範囲であり、更に好ましくはMw2000〜100万の範囲である。
なお、本態様においては、グラフトポリマー鎖が直接アブレーション層表面に結合しているものを「表面グラフト」と称する。「表面グラフト」の形成方法としては、前記した「表面グラフト重合」の形成方法を使用することができる。
(重合性基及び相互作用性基を有する化合物)
本態様に好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有する化合物としては、前記パターン形成態様(2)において用いた重合性基及び相互作用性基を有する化合物と同じものを用いることができる。
また、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物に使用する溶剤、添加剤、等も同様のものを用いることができる。
〔基板〕
パターン形成態様(3)に使用される基板は、寸度的に安定な板状物であって、表面凹凸が500nm以下であるものが好ましく、具体的には、先に、配線パターン形成方法(1)の(a1)工程において挙げた基板、それを構成する基材、中間層なども同様のもの挙げることができる。
〔パターン(画像)の形成〕
本態様におけるパターン形成機構では、画像様に輻射線の照射を行うことによりアブレーションが生じ、相互作用性表面が形成された感光層が除去されることにより相互作用性を有しない基板が露出し、相互作用性領域(パターン)が形成される。
パターンの形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザー露光によりアブレーションを生じさせる方法が好ましい。レーザーとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザー、Arレーザー、He/Neレーザー、He/Cdレーザー、Krレーザー等の気体レーザー、液体(色素)レーザー、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザー等の固体レーザー、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザー等の半導体レーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、XeFレーザー、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。中でも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
〔(b2)工程〕
(b2)工程では、(b1)工程で形成したパターン状のポリマー層に、めっき触媒又はその前駆体を付与する。
(b2)工程におけるめっき触媒又はその前駆体付与の詳細は、配線パターン形成方法(1)における(a2)工程と同様であり、好ましい態様も同様である。
〔(b3)工程〕
(b3)工程では、電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対して無電解めっき処理を施し、前記基板上にパターン状の無電解めっき層を含んでなる配線パターンを形成する。(b3)工程における、金属イオン又は金属塩の還元、及び無電解めっき処理、或いは、金属コロイドに対する無電解めっき処理の詳細は、配線パターン形成方法(1)における(a3)工程と同様であり、好ましい態様も同様である。
−電解めっきを行う工程−
配線パターン形成方法(2)においては、(b3)工程で形成された無電解めっき層のみにより配線パターンを形成しうるが、(b3)工程後に、更に電解めっきを行う工程を実施してもよい。該電解めっきは、無電解めっきにより形成された無電解めっき層を電極として行われる。電解めっきの詳細は、配線パターン形成方法(1)における(a4)工程の説明にて記載した電解めっきと同一であり、好ましい態様も同様である。
電解めっきを更に行うことにより、無電解めっきにより得られた、基板との密着性に優れた無電解めっき層(金属膜)をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ配線パターンを容易に形成しうる。すなわち、この工程を付加することにより、配線パターンを目的に応じた厚みに容易に形成することができ、配線パターン形成方法(3)において得られた配線パターンを種々の応用に適用するのに好適となる。
〔(b4)工程〕
(b4)工程では、(b3)工程で形成された配線パターンを有する基板に対し樹脂エッチング処理を施す。(b4)工程における樹脂エッチング処理の詳細は、配線パターン形成方法(1)における(a5)工程における樹脂エッチング処理と同一であり、好ましい態様も同様である。
[配線パターン、及び配線基板]
本発明の配線パターンは、上述した本発明の配線パターン形成方法(1)、又は、(2)により得られたものである。また、本発明の配線基板は、本発明の配線パターンを備えてなるものである。
本発明の配線パターンは、表面の凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下の基板上の全面又は局所的に金属膜を設けたものであることが好ましい。また、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
より詳細には、本発明により得られる配線パターンの金属領域(以下、単に「金属膜」と総称する場合がある。)は、表面の凹凸が500nm以下、好ましくは100nm以下の基板上に、相互作用性を有し、該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設け、該ポリマー層に金属イオン又は金属塩を付与した後、還元して金属を析出させた後、或いは、該ポリマー層に金属コロイドを付与した後、電気めっきを行うことで形成されたものであり、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。
なお、表面の凹凸は、基板または形成後の金属膜を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、JIS B0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることを要する。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JISC6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JISC6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
一般的な金属膜においては、基板表面の凹凸、即ち、金属膜との界面の凹凸を500nm以下とすることで、高周波特性に優れた金属膜を得ることができる。ところが、従来の金属膜は、基板表面の凹凸を減らすと、基板と金属膜との密着性が低下してしまうため、やむを得ず基板表面を種々の方法により粗面化し、その上に金属膜を設けるといった手法が取られていた。そのため、従来の金属膜における界面の凹凸は、1000nm以上であることが一般的であった。
しかし、本発明により得られる金属膜は、基板表面の凹凸が小さいものを用いても、基板に直接化学結合しているグラフトポリマーとのハイブリッド状態であるため、得られる金属膜(無機成分)とポリマー層(有機成分)との界面における凹凸が小さく、且つ、優れた密着性を維持しうるものとなった。
本発明により得られる金属膜は、表面の凹凸が500nm以下の基板を選択することが好ましいが、表面の凹凸に関しては、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下である。下限値には特に制限はないが、製造の容易性などの実用上の観点からは5nm程度であると考えられる。なお、本発明により得られる金属膜を金属配線として用いる場合、表面凹凸が小さくなるほど、金属配線を形成する金属と有機材料との界面の凹凸が小さくなり、高周波送電時の電気損失が少なくなり、好ましい。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下で選択される。
このような平滑な基板は、樹脂基板など、それ自体が平滑なものを選択してもよく、また、表面凹凸が比較的大きなものでは、前記した中間層を設けて、表面凹凸を好ましい範囲に調製することも可能である。
また、本発明により得られる金属膜は、基板と金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.3kN/m以上、特に好ましくは0.7kN/m以上である。ここで、上記密着性の数値に上限はないが、常識的な範囲から言えば、0.2〜2.0kN/m程度である。なお、従来の金属パターンにおける基板と金属膜との密着性は、0.2〜3.0kN/m程度が一般的な値である。このことを考慮すれば、本発明の金属膜が実用上充分な密着性を有していることが分かる。
このように、本発明の配線パターンは、基板と金属膜との密着性を維持しながら、基板側の界面における凹凸を最小限に留めることが可能となった。
更に、本発明の配線パターンは、配線パターンの形成に際して、樹脂エッチング処理が施されたことにより、金属膜と基板との優れた密着性と共に、配線間の絶縁信頼性にも優れた配線パターンである。従って、かかる配線パターンを備えた本発明の配線基板は、配線の高密度化、ファインピッチ化、高周波化への優れた適性を有するものであり、各種の金属配線板、プリント配線板、多層配線基板等として有用である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例においては「質量部」を「部」と表記することがある。
[実施例1]
(基板の作製)
<下地絶縁基板の作製>
ガラスエポキシ基板(商品名:FR−4、松下電工(株)製)上に、味の素ファインテクノ(株)製のエポキシ系絶縁膜(GX−13、45μm)を、0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件で、真空ラミネーターを用いて加熱及び加圧して接着することにより、電気的絶縁層を形成した。その後、170℃/1時間の加熱処理を行ない、該電気的絶縁膜の熱硬化を行なった。
<中間層の形成>
上記において形成された電気的絶縁層の上に、中間層形成用塗布液組成物として、下記組成の絶縁性組成物を厚さ1.5μmになるようにスピンコート法で塗布し、その後、140℃で30分乾燥して中間層(中間接着層)を形成した。
−開始剤を含有した中間層形成塗布液の調製−
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)25質量部(以下、配合量は全て質量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30部を、エチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8部、微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤0.5部を添加し、さらにこの混合物の中に下記の方法で合成した重合開始基を有するポリマーPを10部添加し、中間層形成用塗布液を作製した。
−重合開始基を有するポリマーPの合成−
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
電気的絶縁層及び中間層形成後の基板に対して、更に、180℃で30分間硬化処理を実施した。このようにして基板上に中間層(重合開始能を有する層)を備える基板A1を作製した。
(ポリマー層の形成)
<ポリマー層形成用塗布液の塗布及び乾燥>
次に、ポリマー層形成用塗布液として、下記組成のポリマー層形成用液状組成物を調製し、前記中間層の上に、厚さ1.5μmになるようにスピンコート法で塗布し、その後、80℃〜120℃で乾燥してポリマー層(密着補助層)を形成し、ポリマー層を備える基板A2を得た。
−ポリマー層形成用液状組成物−
・下記により合成した側鎖に重合性基を持つポリマー(P−1) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
−二重結合を有するポリマーP−1の合成−
ポリアクリル酸(平均分子量25000、和光純薬工業)60gとハイドロキノン(和光純薬工業)1.38g(0.0125mol)を、冷却管を設置した1lの三口フラスコに入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、和光純薬工業)700gを加えて室温で撹拌し、均一な溶液とした。その溶液を撹拌しながら、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工)64.6g(0.416mol)を滴下した。続いて、DMAc30gに懸濁させたジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(東京化成工業)0.79g(1.25×10−3mol)を滴下した。撹拌しながら65℃のウォーターバスで加熱した。5時間後に加熱を止め、室温まで自然冷却した。この反応液の酸価は7.105mmol/g、固形分は11.83%だった。
反応液300gをビーカーにとり、氷バスで5度まで冷却した。その反応液を撹拌しながら、4規定の水酸化ナトリウム水溶液41.2mlを約1時間で滴下した。滴下中の反応溶液の温度は5〜11℃だった。滴下後に反応液を室温で10分撹拌し、吸引濾過で固形分を取り除き褐色の溶液を得た。その溶液を酢酸エチル3リットルで再沈し、析出した固体を濾取した。その固体をアセトン3リットルで終夜リスラリーした。固体を濾別後、10時間真空乾燥して薄い褐色の粉末状のポリマーP−1を得た。
このポリマー1gを水2gとアセトニトリル1gの混合溶媒に溶かしたときのpHは5.56で粘度は5.74×10−3Pa・sであった。(粘度の測定は、東機産業社製、RE80型粘度系で28℃で測定、ローター30XR14使用した)。また、ポリマーP−1のGPCによる分子量は30000であった。
<露光、洗浄>
ポリマー層を中間層上に形成した後、ポリマー層の側より、活性点を発生させ密着させるエネルギーとして波長254nmの紫外光を、露光機[紫外線照射装置、UVX−02516S1LP01、ウシオ電機(株)製)を用い、室温で2分間全面露光した。全面露光後、中間層と相互作用しなかった不要なポリマー層形成用塗布液を1%重曹液で充分洗浄し、除去した。
(めっき触媒(金属塩)の付与)
ポリマー層が形成された基板を、硝酸銀0.1質量%の水溶液に10分間浸漬し、蒸留水で洗浄した。このときの銀イオンの吸着量をICP発光分析装置((株)島津製作所製)にて調べたところ、0.35g/mであった。
(無電解めっき)
めっき触媒(金属塩)の付与後の基板を、下記組成の無電解めっき浴に7時間浸漬し、無電解銅めっき層を形成した。この無電解めっき層の厚みは約0.4μmであった。
−無電解めっき浴成分−
・硫酸銅 0.35g
・酒石酸NaK 1.75g
・水酸化ナトリウム 0.75g
・ホルムアルデヒド 0.25g
・水 47.8g
(配線パターン形成)
<電解めっき>
上記により無電解銅めっき層が形成された基板を、下記の電気銅めっき浴に浸漬し、電流密度3A/dmのもと、約20分間、電解めっきを行った。電解めっき後の銅めっき層(金属膜)厚みは、およそ18μmであった。
−電解めっき浴成分−
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3.5mL
・水 500g
<レジスト・パターンの形成>
電解めっき後の基板に対し170℃/1時間の熱処理を行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製のRY3315、膜厚30μm)をラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた基板に、、サブトラクティブ法にてL/S=40μm/40μmの櫛型パターンが形成できるガラスマスクを密着させ、レジストの感光領域の光で露光した。露光後の基板に、NaHCO水溶液を2kg/mのスプレー圧で付与し、現像した。その後、基板の水洗・乾燥を行い、銅めっき層(金属膜)上に、レジスト・パターンを形成した。
<銅めっき層のエッチング、レジストの剥離>
上記によりレジスト・パターンを形成した基板を、FeCl/HCl水溶液(温度37℃)に浸漬することによりエッチングを行い、レジスト・パターンの非形成領域に存在する銅めっき層を除去した。その後、NaOH4%水溶液を2kg/mのスプレー圧で基板上に付与することで、レジスト・パターンを膨順剥離した。
形成された配線パターンの概要を図1に示す。
(プラズマエッチング処理)
上記により得られた配線パターンを有する基板を、プラズマエッチング装置((株)SAMCO製、平行平板型プラズマ処理装置、PC−1000)のチャンバ内に、配線パターン形成面がプラズマ照射面に向き合うよう配線基板を設置した。チャンバ内を4×10−1Pa(3×10−3Torr)まで減圧し、酸素雰囲気下にて10分間、プラズマ処理を行った。処理後の基板表面をSEM像により断面観察したところ、配線間のポリマー層(密着補助層)が除去されていることが確認された。
(ソルダーレジストの貼り付け)
プラズマ処理後の基板に対し、ソルダーレジスト(PFR800;日立化成社製)を110℃,0.2MPaの条件で真空ラミネートし、中心波長365nmの露光機にて420mJの光エネルギーを照射した。このとき、図1に示すはんだ用パット部は射光テープでマスクした。次いで、基板を80℃/10分間の加熱処理を施した後、NaHCO10%水溶液を、スプレー圧2kg/mで基板表面に付与することで現像し、乾燥した。その後、再度、中心波長365nmの露光機にて1000mJの光エネルギーを、基板に対し照射した。最後、に150℃/1hrの加熱処理を行ない、ソルダーレジストに被覆された配線基板を得た。
[実施例2]
実施例1のプラズマエッチング処理において、ガス雰囲気を酸素からアルゴンに変更した以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。
[実施例3]
実施例1のプラズマエッチング処理において、ガス雰囲気を酸素からCFに変更した以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。
[実施例4]
実施例1のプラズマエッチング処理において、ガス雰囲気を酸素から酸素/アルゴン=1:1(モル比率)に変更した以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。
[実施例5]
実施例1におけるプラズマエッチング処理を行った後、ソルダーレジストの貼り付け前における配線パターンを有する基板を、硝酸アルミニウム1%水溶液に120秒浸し、乾燥した以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。
[実施例6]
実施例1におけるプラズマエッチング処理を行った後、ソルダーレジストの貼り付け前における配線パターンを有する基板を、硝酸亜鉛1%水溶液に120秒浸し、乾燥したした以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。
[実施例7]
実施例1のめっき触媒(金属塩)の付与において、ポリマー層が形成された基板を、硝酸パラジウム0.01質量%の水溶液に10分間浸漬し、蒸留水で洗浄した以外は、実施例1同様にして配線基板を得た。なお、パラジウムイオンの吸着量をICP発光分析装置((株)島津製作所製)にて調べたところ、0.28g/mであった。
[比較例1]
実施例1において、下地絶縁基板の作製後、中間層の形成及びポリマー層の形成の各工程を実施せず、下地絶縁基板に過マンガン酸カリウムによる粗化処理を行い、その後、一般的に市販されている、アクチベーター及びアクセラレーターの工程を経て、それ以降は実施例1と同様にして配線基板を得た。
〔評価〕
まず、本発明の配線パターン形成方法により形成される配線パターンと基板との密着性を評価すべく、以下の剥離強度試験1及び剥離強度試験2を行った。
<剥離強度試験>
剥離強度試験は、JIS C 6481−1996に記載の90°引き剥がし試験に基づいて行なった。
剥離強度試験を行うサンプルとしては、実施例1〜7、及び比較例1の配線パターン形成において、図1に示す配線パターンではなく、図2に示すようなパターンを形成したもの(絶縁基板上に巾1cmの短冊状の銅めっき層を形成したもの)を用いた。
なお、本評価を行うサンプルには、ソルダーレジストの貼り付けは行なわない。
結果を表1に示す。
更に、各実施例及び比較例により得られた配線基板について、以下の表面粗さRzの評価を行った。
<表面粗さRz>
実施例1〜7、比較例1〜2にて作製した配線基板について、配線部(銅めっき層)と下層絶縁基板(密着補助層)間界面の断面構造写真を取るために、Dual−Beam FIB装置(FEI製、Dual Beam Nova200 Nanolab、加速電圧30kV)を用いてサンプル加工し、配線部と樹脂界面との断面を露出させた。その断面を集束イオンビーム装置(セイコーインスツルメンツ社製、SMI9200)にて観察した。観察結果を、画像データとして取得し、JIS B O601−1994で規定される十点平均粗さを算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009010336
剥離強度試験の結果に示されるように、1cm巾で形成された銅めっき層の剥離強度は、本発明により形成された場合と比較例とで同等であった。即ち、比較例1のように表面粗さが大きく、従来技術のように粗化する方法と同等の剥離強度を得られることがわかる。
以上の結果から、実施例1〜7で実施した本発明の配線パターン形成方法は、比較例1の如く、従来の粗面化による配線パターン形成方法と同様に、微細配線の密着性が高く、また、表面粗さの低さから高周波適正が高い配線パターンが形成できるものと判断できる。したがって、実施例で得られた配線基板は、高精細化・高周波化に対する適正が高く、バランスのとれた配線基板であると言える。
[実施例8]
(基板の作製)
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材を得た。
ついで、基材の上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、140℃で30分乾燥して中間層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45質量部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30質量部を、エチルジグリコールアセテート20部、及びソルベントナフサ20部に、攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSとからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30質量部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し、更にこの混合物中に、
前記方法で合成した重合開始ポリマーPを10部添加し、重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
(重合開始ポリマーPの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
上記のような重合開始層が形成された後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板B1を得た。この基板B1の表面凹凸(Rz)は0.2μmであった。
<ポリマー層形成用塗布液の塗布及び乾燥>
[ポリマー層の形成]
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーP−2の合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを合成した。1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーA(重量平均分子量1.5万)を32g得た。
(塗布溶液の調製)
・重合性基及び相互作用性基を有するポリマーP−2 10.5質量部
・アセトン 73.3質量部
・メタノール 33.9質量部
・N,Nジメチルアセトアミド 4.8質量部
上記塗布液の成分を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布溶液を、前記基板B1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、600秒間照射させて、基板B1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は900mJであった。
その後、攪拌した状態のアセトン中にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。これにより、ポリマー層を有する基板B2を得た。
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板B2を、硝酸パラジウムの1%アセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。続いて、1%ジメチルボラン−水/メタノール(水/メタノール=1/3)混合溶液を触媒活性化液(還元液)として用い、この溶液中に、ポリマー層を有する基板B2を15分浸漬させた後、アセトンに浸漬し洗浄を行った。
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板B2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で12分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.8μmであった。
−無電解めっき浴の組成−
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
[レジスト・パターンの形成]
無電解めっき後の基板に対し、170℃/1時間の熱処理を窒素雰囲気下で行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(富士フイルム(株)製 RE3001A)をラミネートした。LS=15μm、30μm、50μmそれぞれの櫛型パターンが形成できるガラスマスクを密着させ、中心波長365nmの露光機にて40mJ/cm露光した。露光後の基板に、NaHCO水溶液を1.8kg/mのスプレー圧で付与し、現像した。その後、基板の水洗・乾燥を行い、無電解銅めっき層上に、レジスト・パターンを形成した。
[脱脂処理]
メルプレートPC−316(メルテックス(株)製)を225.8g所定の濃度に水490gに希釈、40℃、3分間浸漬し、脱脂処理を行なった。
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、0.5A/dmの条件で、電気めっきを12分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは8±0.5μmであった。
−電気めっき浴の組成−
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・蒸留水 500g
[レジスト・パターンの剥離]
NaOH4%水溶液を30℃、1.5kg/mのスプレー条件で100秒間付与し、レジスト・パターンを膨順剥離した。
[マイクロエッチング]
配線間に存在する無電解めっき層を除去するために、下記組成のエッチング液を25℃、1.7kg/mのスプレー条件で90秒間付与し、無電解銅のエッチングを行なった。
・硫酸 1ml
・蒸留水 999g
・メルプレートAD−331(メルテックス(株)製) 150g
以上にして、L/S=20μm/20μmの櫛型パターンを形成した。形成された配線パターンの概要を図1に示す。
[樹脂エッチング]
上記により得られた配線パターンを有する基板を、実施例1と同様の条件でプラズマエッチング処理を行った。処理後の基板表面をSEM像により断面観察したところ、配線間のポリマー層(密着補助層)が除去されていることが確認された。
[ソルダーレジストの貼り付け]
プラズマ処理後の基板に対し、実施例1と同様にしてソルダーレジストに被覆された配線基板を得た。
[銅張板の作成]
この実施例8において、[レジスト・パターンの形成]、[レジスト・パターンの剥離]、[マイクロエッチング]を省き、[樹脂エッチング]、[ソルダーレジストの貼り付け]の工程を省き、[電気めっき]における条件を1.3A/dmとして、電気めっきを10分間行う、全面に銅めっき膜を形成した。得られた銅めっき膜の厚みは8±0.5μmであった。
その後、170℃/1時間の熱処理を窒素雰囲気下で行ない、銅張り板を得た。
[実施例9]
実施例8のプラズマエッチング処理において、ガス雰囲気を酸素から酸素/CF=9:1に変更した以外は、実施例8と同様にして配線基板、及び銅張り板を得た。
[実施例10]
実施例8のプラズマエッチング処理において、ガス雰囲気を酸素から酸素/アルゴン=1:1(モル比率)に変更した以外は、実施例8と同様にして配線基板、及び銅張り板を得た。
[実施例11]
実施例8の[樹脂エッチング]において、形成された配線基板をコンディショナー液に80℃、30秒浸漬した。
続いて、80℃のデスミア液に150rpmで液攪拌された状態で、1分間浸漬した。
その後、基板を50℃蒸留水に3分間し、さらに50℃中和液に、5分浸漬し。最後に50℃蒸留水にて5分間洗浄した。
コンディショナー液、デスミア液、中和液の液組成を以下に示す。
<コンディショナー液>
・蒸留水 175g
・サーキュボジット211(ロームアンドハース製) 50g
・キュボジットZ(ロームアンドハース製) 25g
<デスミア液>
・蒸留水 80g
・コンセントレート・コンパクトCP(アトテック・ジャパン(株)製) 160g
・水酸化ナトリウム(和光純薬特級) 10g
<中和液>
・蒸留水 216.25g
・濃硫酸8.75g
・リダクションソリューション セキュリガントP−500
(アトテック・ジャパン(株)製) 25g
その他は実施例8と同様にして配線基板を得た。
[実施例12]
実施例8の[ポリマー層の形成]から[めっき触媒の付与]を次のようにして行なった。その他は実施例8と同様にして配線基板を得た。
<ポリマー層形成用塗布液の塗布及び乾燥>
[ポリマー層の形成]
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーP−3の合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25000、和光純薬工業)60gとハイドロキノン(和光純薬工業)1.38g(0.0125mol)を、冷却管を設置した1lの三口フラスコに入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、和光純薬工業)700gを加えて室温で撹拌し、均一な溶液とした。その溶液を撹拌しながら、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工)64.6g(0.416mol)を滴下した。続いて、DMAc30gに懸濁させたジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(東京化成工業)0.79g(1.25×10−3mol)を滴下した。撹拌しながら65℃のウォーターバスで加熱した。5時間後に加熱を止め、室温まで自然冷却した。この反応液の酸価は7.105mmol/g、固形分は11.83%だった。
反応液300gをビーカーにとり、氷バスで5度まで冷却した。その反応液を撹拌しながら、4規定の水酸化ナトリウム水溶液41.2mlを約1時間で滴下した。滴下中の反応溶液の温度は5〜11℃だった。滴下後に反応液を室温で10分撹拌し、吸引濾過で固形分を取り除き褐色の溶液を得た。その溶液を酢酸エチル3リットルで再沈し、析出した固体を濾取した。その固体をアセトン3リットルで終夜リスラリーした。固体を濾別後、10時間真空乾燥して薄い褐色の粉末状のポリマーP−3を得た。
−塗布溶液の調製−
・重合性基及び相互作用性基を有するポリマーP−3 10.5質量部
・メタノール 59.5質量部
・蒸留水 30.0質量部
上記塗布液成分を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
(グラフトポリマーの生成)
調製された塗布溶液を、前記基板B1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、1200秒間照射させて、基板B1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。ここで、積算露光量は1800mJであった。
その後、攪拌した状態の1%重曹液にグラフトポリマーが生成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。これにより、ポリマー層を有する基板B3を得た。
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板B3を、硝酸銀0.1質量%の水溶液に10分間浸漬し、蒸留水で洗浄した。
[実施例13]
実施例12において、プラズマエッチング処理を行った後、ソルダーレジストの貼り付け前における配線パターンを有する基板を、硝酸亜鉛1%水溶液に120秒浸し、乾燥したした以外は、実施例8と同様にして配線基板、及び銅張り板を得た。
[実施例14]
(基板の作製)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン製、カプトンH、フイルム厚み25μm)を基材とし、その他は実施例8の[銅張板の作成]と同様にして行ない、片面フレキシブル銅張板を得た。銅めっき膜の厚みは8±0.5μmであった。
[比較例2]
実施例8において、プラズマエッチング処理を行なわなかった以外は、実施例8と同様にして配線基板、及び銅張り板を得た。
[比較例3]
実施例8において、下地絶縁基板の作製後、中間層の形成及びポリマー層の形成の各工程を実施せず、下地絶縁基板の粗化処理として、実施例11に記載の樹脂エッチングを行なった。樹脂エッチングは、デスミア液への浸漬時間を1分間から15分に変更した以外は同様とした。
その後、一般的に市販されている、アクチベーター及びアクセラレーターの工程を経て、それ以降は実施例8と同様にして配線基板、及び銅張り板を得た。
[比較例4]
市販のスパッタめっき品 (東レ加工製、メタロイヤル、片面品CCL、PI厚25μm、銅厚8μm品)を用意した。
〔評価〕
実施例8から実施例14、比較例2から比較例4の[銅張り板]を用いて、剥離強度試験、およびその保存性を確認するために、剥離強度の経時安定性を評価した。
さらに、実施例8から実施例13、比較例2から比較例4の櫛型パターンを用いて、絶縁信頼性試験及び配線の歩留まり率を評価した。
櫛型パターンは、JPCA−BU01−2007を参考に下図1のようにした。
櫛型重ね代部のL/Sは、L/S=15μm/15μm、30μm/30μm、50μm/50μmの3種類とし、各5本ずつ準備した。
<絶縁信頼性試験(高温高湿バイアス試験)>
絶縁信頼性試験は、エレクトロケミカルマイグレーション評価装置((株)Espec社製、エレクトロケミカルマイグレーション装置AMI及び高温高湿槽プラチナスPR−3K)を用いて行った。試験条件は、バイアス電圧30V、温湿度環境は85℃、85%RH、加湿水には抵抗値13MΩの蒸留水を使用し、1000時間まで評価を行なった。尚、故障判定は櫛型配線の抵抗値が1MΩを下回った時点で、不良が生じたものとした。
<配線の歩留まり率>
歩留まり率は、実施例に記載の樹脂エッチング、およびソルダーレジストの貼付前に評価を行なった。
それぞれのL/Sの櫛型配線(各5本;配線本数は計100本)に対して、光学顕微鏡にて配線の浮き(剥れ)や断線を調べ、これら不良比率を評価した。
表2に評価結果を記す。比較例2については、LS=30μ以下で歩留まり率が悪くなるが、LS=15μmでは配線の歩留まり率が著しく低いため、絶縁信頼性試験を実施できなかった。また、LS=30μmでも完全に剥れ等のない櫛型配線はなかったが、剥れ・断線の少ないものを2本選択。剥れ・断線が生じた配線を除去した状態でソルダーレジストを貼付し、絶縁信頼性試験を行なった。
<剥離強度の経時安定性>
剥離強度試験の経時安定性を行うサンプルとしては、配線パターン形成において、図1に示す配線パターンではなく、図3に示すような配線箇所のL/Sが、40μm/40μmで配線部の長さが5cmのスリット状のパターンを形成したものを用いた。
なお、本評価を行うサンプルには、ソルダーレジストの貼り付けは行なわない。
剥離強度試験(高温時)は、JIS C 6481−1996に記載の90°引き剥がし試験に基づいて行なった。
その後、150℃,300hrの条件で経時後、同様の試験を行った。その結果を表2に示す〔表中には、剥離強度(高温後)と記載〕、作製直後と高温経時後の剥離強度を比較し、強度低下が認められないものを剥離強度の経時安定性が高いと評価する。
Figure 2009010336
表2に記載の如く、本発明の製造方法により得られた実施例8〜13は微細領域での歩留まり率がよく、絶縁不良、剥離強度の劣化が生じないことが分かった。
他方、比較例3は、LS30以下で絶縁不良が生じ、また、比較例4では、絶縁不良は生じなかったが、LS30以下で剥離・断線が多く生じた。比較例5は、高温保管中の剥離強度低下が顕著であった。
実施例で作製した配線パターンを示す概略図である。 剥離強度試験1で用いたサンプルにおけるパターンの形成態様を示す図である。 剥離強度試験2で用いたサンプルにおけるパターンの形成態様を示す図である。 実施例8〜13、比較例3〜4で作製した配線パターンの形成態様を示す図である。

Claims (13)

  1. (a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層を設ける工程、
    (a2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、
    (a3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、無電解めっき層を形成する工程、
    (a4)(a4−1)前記無電解めっき層を有する基板に対し電解めっき処理を施して電解めっき層を形成した後に該電解めっき層を有する基板に対してサブトラクティブ法を用いて配線パターンを形成する工程又は(a4−2)前記無電解めっき層を有する基板に対しセミアディティブ法を用いて配線パターンを形成する工程、及び
    (a5)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング(ケミカルエッチング)処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、
    を有することを特徴とする配線パターン形成方法。
  2. 前記めっき触媒又はその前駆体が、銅、銀、及びパラジウムからなる群より選ばれる金属、該金属を含む金属化合物または金属コロイドであることを特徴とする請求項1に記載の配線パターン形成方法。
  3. 前記(a4)工程の終了後であって、前記(a5)工程におけるドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す前又は施した後の基板に対し、(a6)該基板を2価以上の金属イオンを含有する水溶液に浸漬するか、又は、該基板に2価以上の金属イオンを含有する水溶液をスプレーする工程を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線パターン形成方法。
  4. 前記金属イオンが、Zn、Ca、Ni、Al、Fe、及びCuからなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項3に記載の配線パターン形成方法。
  5. (b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するグラフトポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程、
    (b2)前記ポリマー層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程、
    (b3)無電解めっき液を用いて、前記めっき触媒又はその前駆体に対し、無電解めっき処理を施し、前記基板上にパターン状の無電解めっき層を含んでなる配線パターンを形成する工程、及び
    (b4)前記配線パターンを有する基板に対しドライエッチング処理及びウェットエッチング処理から選択される少なくとも1種の樹脂エッチング処理を施す工程、
    を含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
  6. 前記(b3)工程後に、更に、電解めっきを行う工程を有することを特徴とする請求項5に記載の配線パターン形成方法。
  7. 前記めっき触媒又はその前駆体が、銅、銀、及びパラジウムからなる群より選ばれる金属、該金属を含む金属化合物または金属コロイドであることを特徴とする請求項5に記載の配線パターン形成方法。
  8. 前記ドライエッチング処理が、プラズマ処理、又は、オゾン処理である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
  9. 前記プラズマ処理が、減圧プラズマ処理、又は大気圧下で行なう大気プラズマ処理であり、当該処理において、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンの中から選ばれる不活性ガス、O、CF、C、N、CO、SF、CHF、少なくともO、N、F又はClを含む反応性ガスからなる群から選択されるいずれか1種類以上のガスを用いることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
  10. 前記ウェットエッチング処理が、過マンガン酸処理、クロム酸処理、ポリイミドエッチング、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム処理から選択される処理である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法により得られた配線パターン。
  12. 請求項11に記載の配線パターンを備えてなる配線基板。
  13. 請求項11に記載の配線パターンを備えてなるフレキシブル配線基板。
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