JP2007133258A - プリント配線板用積層体、及び、それを用いたプリント配線板の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、少なくとも(A)反応性の高分子前駆体層、(B)絶縁性樹脂組成物層及び、(C)露光により分解する化合物を含有する反応性高分子組成物層を有することを特徴とするプリント配線板用に好適な積層体である。(A)高分子前駆体層には、重合性化合物を、(B)絶縁膜には重合開始剤を、それぞれ含有することが好ましい。この積層体の表面にグラフトポリマーを生成させた後、そこに導電性層を設けることで、プリント配線板を得ることができる。
【選択図】なし
Description
微細配線の形成にあたっては、従来の導電性パターン特にプリント配線板の分野で有用な金属パターン形成方法として「サブトラクティブ法」が知られている。サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この手法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。
また、導電体表面の平滑化は、高密度化にも大きく貢献する。従来のビルトアッププリント配線板では、剥離強度を確保するために粗面化処理を行っていたが、この数ミクロンの凹凸が、さらなる微細配線化の妨げになっているのが現状である。
従って、半導体デバイスに有用なプリント配線板の形成といった観点からも、平滑な絶縁基板上に、細密で、且つ、密着性の高い金属パターンを形成する手段が熱望されている。
これをうけて、本願出願人は、基板に直接結合しなるグラフトポリマーにより形成した微細なパターンに金属粒子を付着させてなる金属パターンの形成方法を提案した(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、露光精度に従った所望の微細なパターンが形成することができる。しかしながら、実用上の観点から、金属パターンの線幅方向の精度を維持しながら、金属層の厚みを増加させるなどの手段により、さらなる導電性の向上が切望されているのが現状である。
また、本発明の別の目的は、前記本発明のプリント配線板用積層体を用いた、基板上に、絶縁膜との密着性に優れた高精細の配線を有するプリント配線板の作製方法を提供することにある。
即ち、本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> 支持体上に、露光により反応性の活性種を生成しうる絶縁性樹脂組成物層と、該絶縁性樹脂組成物層と反応して高分子化合物を形成しうる化合物を含有する反応性の高分子前駆体層と、露光により分解する化合物を含有する反応性高分子組成物層とを有することを特徴とする積層体。
<2> 支持体上に、絶縁性樹脂組成物層と、反応性の高分子前駆体層と、反応性高分子組成物層とを順次有することを特徴とする<1>に記載のプリント配線板作製用積層体。
<3> 支持体上に、反応性高分子組成物層と、反応性の高分子前駆体層と、絶縁性樹脂組成物層と、を順次有することを特徴とする<1>に記載のプリント配線板作製用積層体。
<5> 前記反応性の高分子前駆体層が、重合性二重結合を有する化合物を含有することを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
<6> 前記高分子組成物層が、光分解性の高分子化合物を含有するメッキレジスト層であることを特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
<8> 前記絶縁性樹脂組成物層における反応性の活性種を生成しうる露光波長と、前記高分子組成物層における光分解性の高分子化合物を分解しうる露光波長とが互いに異なるものであって、まず、第1の波長の露光により、反応性高分子組成物層において露光領域を分解させ、その後、別の波長の露光により、絶縁性樹脂組成物層と反応性の高分子前駆体層との反応による高分子化合物を生成させることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
<10> 前記無電解メッキを行って回路パターンを形成する工程の後に、さらに、未反応の反応性の高分子前駆体層と、反応性高分子組成物層とを除去する工程を有することを特徴とする<9>記載のプリント配線板の作製方法。
本発明のプリント配線板用積層体は、基板など任意の固体表面に該積層体を密着させる積層工程、導電層を形成しようとする領域を露光し、絶縁膜上にグラフトポリマーを生成させるグラフトポリマー形成工程、光分解性のレジスト層の露光領域を分解させるレジストのパターニング工程を有し、更に、グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒前駆体を付着させ、その後、電気メッキを実施して導電層を形成する導電層形成工程を経ることによって最終的なプリント配線板ができる。
ここで、グラフトポリマー形成に用いられる露光波長と、反応性高分子組成物層を分解させる露光波長とが同一の場合には、メッキレジストになりうる反応性高分子組成物層のパターニングと、パターン状のグラフトポリマー生成を同時に行うことができる。
また、本発明の方法によれば、グラフトポリマーの生成領域表面はメッキレジストが存在せず、グラフトポリマーの未生成領域にはメッキレジストが存在することになる。このため、グラフトポリマーに無電解メッキ触媒やその前駆体を付着させ、無電解メッキを実施すると、グラフトポリマーの未生成領域においては、メッキレジストの存在によりメッキ膜の形成が阻害されるため、無電解メッキによるメッキ膜はレジストの存在しない厚み方向にのみ選択的に成長することになり、形成される導電膜は十分な厚みを有するものであっても、横方向への金属膜の成長が阻害され、高精細な回路を形成することができる。
導電性層の形成後、未反応の高分子組成物層、及び、高分子前駆体層を除去することも可能である。除去は、現像など公知の方法で行うことができる。
また、前記本発明のプリント配線板用積層体を用いることで、基板上に、絶縁膜との密着性に優れた高精細の配線を有するプリント配線板の作製方法を提供することができる。
本発明により得られたプリント配線板は、高周波特性に優れた微細な配線パターンを有しており、多層配線基板にも好適に用いうる。
本明細書においては、「(A)反応性の高分子前駆体層」を「(A)層」もしくは「高分子前駆体層」と、「(B)絶縁性樹脂組成物層」を「(B)層」もしくは「絶縁膜」と、「(C)露光により分解する化合物を含有する反応性高分子組成物層」を「(C)層」もしくは「光分解性層」と、それぞれ称することがある。
なお、支持体と、その上に形成された前記(A)層、(B)層及び(C)層を備えた積層体が有する各種の機能を使用時まで保護するため、積層体の表面に保護層を設けることが好ましい。
これら(A)反応性の高分子前駆体層、(B)絶縁性樹脂組成物層、及び、(C)露光により分解する化合物を含有する反応性高分子組成物層の形成順は任意であり、例えば、支持体上に、(B)層、(A)層、(C)層を順次有するものであっても、支持体上に、まず、(C)層を有し、その上に(A)層、(B)層を順次有するものであってもよい。
なお、本発明において「順次有する」とは、支持体上にこれらの層が、記載された順に存在することを指すが、所望により設けられるその他の層、例えば、接着剤層、クッション層などの存在を否定するものではない。
以下、本発明のプリント配線板の形成に有用な積層体を構成する各層について順次説明する。
反応性の高分子前駆体層には、少なくとも一種の高分子前駆体を含有する。ここでいう高分子前駆体とは、露光などのエネルギー付与によりグラフトポリマーを生成させうる化合物(重合性化合物)、或いは、エネルギー付与により隣接する層との間で架橋構造などを形成し、両者の密着性を向上しうる化合物などを指す。このような重合性、或いは架橋構造可能な化合物は、さらに、後述するような導電性材料を付着させうる部分構造である導電性素材と相互作用可能な官能基を有するものであってもよく、機能性の官能基をさらに有するこのような化合物もまた高分子前駆体に包含される。これらの高分子前駆体が反応することにより生成される高分子化合物(以下、適宜、グラフトポリマーと称する)は、無電解メッキ触媒等を付着させるものであることから、前記高分子前駆体は、重合反応あるいは架橋構造形成可能であって、且つ、絶縁性樹脂組成物層への結合に必要な部分構造、例えば、「ラジカル重合可能な不飽和二重結合」などと、後述する無電解メッキ触媒等をグラフトポリマーに付着させるために必要な「無電解メッキ触媒等と相互作用可能な官能基」の双方を有する化合物を用いることが好ましい。
前記したような高分子前駆体のなかでも代表的なものとして、重合反応可能な重合性化合物を挙げることができる。重合性化合物は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物である。
「ラジカル重合可能な不飽和二重結合」を含む官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、などが挙げられる。このうち、アクリロイル基、メタクリロイル基は反応性が高く、良好な結果が得られる。
ラジカル重合可能な不飽和化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、例えば、アクリレート基,メタクリレート基,ビニル基を有するモノマー、マクロマー、重合性不飽和基を有するオリゴマー、ポリマーなどを使用することができる。
また、高分子前駆体の他の態様としては、分子内に反応性の活性基、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、アゾ基に代表されるような、反応性の活性基を有するオリゴマーもしくはポリマー化合物、或いは、架橋剤と架橋性化合物との組合せなどが挙げられる。
無電解メッキ触媒と相互作用可能な官能基とは、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有する官能基、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基が挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の極性基も用いることもできる。
無電解メッキ触媒と親和性を有する他の官能基としては、親水性基などが挙げられる。
本発明において用いうる親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。
例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライドなどを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
本発明において用い得るマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
本発明で用い得る親水性マクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルステレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらの親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
重合性不飽和基を有する親水性ポリマーとは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入されたラジカル重合性基含有親水性ポリマーを指す。このラジカル重合性基含有親水性ポリマーは、重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方に重合性基を有することが好ましい。以下、重合性基を(主鎖末端及び/又は側鎖に)有する親水性ポリマーを、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーと称する。
上記(a)や(b)の方法において、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーの合成に用いられる親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基及びエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げられる。
また、(c)の方法で用いられる親水性ポリマーとしては、これらの親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが用いられる。
一方、重合性化合物として親水性モノマーを用いた場合には、(A)反応性の高分子前駆体層には、安定した塗膜を形成するために、バインダーなどを用いることが好ましく、或いは、液状組成物からなる低粘度の塗膜を以下に詳述する保護層で被覆して(A)層の安定化を図ることが好ましい。
上記の如く、製造性の観点からは、重合性化合物としてマクロモノマーやポリマーを用い、これらの溶液を、例えばエポキシ樹脂などからなる絶縁膜表面に塗布・乾燥させて(A)反応性の高分子前駆体層を形成することが最も好ましい。
これら重合性化合物に代表される高分子前駆体は、(A)層を構成する全固形分中、5〜100質量%程度含有されることが好ましく30〜100質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(A)高分子前駆体層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記重合性化合物に加え、目的に応じて、例えば、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などの種々の化合物を含有することができる。
(バインダー)
バインダーは、ラジカル重合性基含有親水性化合物と共に(A)高分子前駆体層形成するために使用され、膜性を改良するのに有用である。前記重合性基化合物が単独で層を形成しうる場合には、特に必要ではないが、粘度の低いモノマーを重合性化合物として使用するためには層形成性向上の観点から、含有することが好ましい。この目的のためのバインダーとしては重合性基含有親水性化合物と混合し、かつ皮膜を形成するものであれば特に限定しないが、分子量500以上、かつ水溶性のオリゴマー、ポリマーが好ましい。
これらのポリマーとしてはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、などの(メタ)アクリレート系ポリマー、セスロース系ポリマー、などの合成高分子のほかに、ゼラチン、でんぷん、アラビアゴム、糖などの天然の親水性高分子を使用することができる。
バインダーを併用する場合、含有量としては、固形分換算で0〜95質量%であることが好ましく、0〜70質量%の範囲であることがさらに好ましい。
これらの化合物は、(A)反応性の高分子前駆体層の被膜形成の際の塗布面状性向上、或いは、被膜に柔軟性を与え,フィルム状態で折り曲げた場合になどの際におけるクラック発生抑制などのために使用される。可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤としては一般に使用される公知の材料が使用される。
(A)反応性の高分子前駆体層は、前記した成分を適切な溶媒に溶解して調製された塗布液を、支持体上、或いは、後述する(B)絶縁膜上に塗布、乾燥することで形成される。
溶媒としては、水,および有機溶媒が使用される。有機溶媒は親水性の溶媒,疎水性の溶媒いずれも使用することができるが、とくに水に親和性の高い溶媒が有用である。具体的にはメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。
塗布液の固形分濃度は、0.1/80質量%であることが好ましい。
塗布は常法により行われ、例えば、ブレードコート法、ロッドコート法、スクイズコート法、リバースロールコート法、トランスファコールコート法、スピンコート法、バーコート法、エアーナイフ法、グラビア印刷法、スプレーコート法、など公知の塗布方法が挙げられる。
高分子前駆体層形成後、露光などのエネルギー付与により生成するグラフトポリマー層の厚みは0.1μm〜0.7μmの範囲であることが好ましく、従って、高分子前駆体層の厚みを、10μmを超えるほどに厚くしても、グラフトポリマー形成に関与しない材料が多くなり、コストアップにつながるのみならず、露光光源が深部まで到達しがたくなり、不要なグラフトポリマー前駆体材料の除去が困難になるなどの多くの問題点をもたらす。
本発明における絶縁性樹脂組成物層の形成は、従来の多層積層板,ビルドアップ基板,もしくはフレキシブル基板として用いられてきた公知の絶縁性の樹脂を用いることができる。これらの樹脂は熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂,もしくはそれらの樹脂混合体からなる。本発明ではこれらの樹脂をそのまま使用することができるが、近傍に設けられる(A)反応性の高分子前駆体層とのグラフト反応を容易に行わせるという観点からは、これらの絶縁樹脂に光重合性開始剤を含有したものを用いることが好ましい。またグラフト反応性もしくは絶縁体層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーが添加されても良い。またこれ以外の成分として絶縁体層の強度を高めるもしくは電気特性を改良するために無機,もしくは有機の粒子を添加しても良い。なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
以下、本発明に使用しうる絶縁性樹脂組成物層に用いられる各成分について順に説明する。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
本発明における(B)絶縁性樹脂組成物層を構成するエポキシ樹脂は(a)エポキシ基を1分子中に2個以上を有するエポキシ化合物と(b)エポキシ基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物との反応物からなる。(b)における官能基としてはカルボキシル基、水酸基、アミノ基、チオール基などの官能基から選ばれる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物にはエポキシ樹脂の硬化剤が含まれていてもよい。たとえば、多官能フェノール類、アミンルイ、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物などがあるが、高分子前駆体層との化学反応を阻害しないものを用いることが好ましい。また、本発明の絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を配合してもよい。代表的な硬化促進剤としては、第3級アミン、イミダゾール類、第4級アンモニウム塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。たとえばPPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。またシアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては電子技術 2002/9号 P35 に記載されている。また熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂および/またはポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
また絶縁膜の中には用途の目的に応じて必要な化合物を添加することができる。このような化合物としてはラジカル重合性の二重結合を有する化合物がある。ラジカル重合性の二重結合を有する化合物とはアクリレート、もしくはメタアクリレート化合物である。本発明に用いうるアクリレート化合物〔(メタ)アクリレート〕は、分子内にエチレン性不飽和基であるアクリロイル基を有するものであれば、特に制限はないが、硬化性、形成された中間層の硬度、強度向上の観点からは、多官能モノマーであることが好ましい。
これらの絶縁性樹脂は、絶縁性樹脂組成物層を形成する組成物中、固形分換算で、5〜100質量%であることが好ましい。
本発明で(B)絶縁性樹脂組成物層に用いうる重合開始剤は熱重合開始剤、光重合開始剤、いずれも使用することができる。熱重合開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリルなどのような過酸化物開始剤、およびアゾ系開始剤などを使用することができる。また光重合開始剤としては低分子でも良く、高分子でも良く、一般に公知のものが使用される。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジンおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。また、感度を高める目的で光ラジカル重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
高分子光ラジカル発生剤としては特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
絶縁樹脂中に含有させる重合開始剤の量は、使用する表面グラフト材料の用途に応じて選択されるが、一般的には、絶縁体層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
本発明における(B)層には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種または二種以上配合してもよい。
また、更にこの絶縁性樹脂組成物には必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種または二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下し、更には、グラフト重合反応も進行しなくなる。
本発明における(B)絶縁膜の厚みは、一般に、1μm〜200μmの範囲であり、10μm〜150μmの範囲であることが好ましい。
形成される導電性層の物性を向上させる観点からは、絶縁樹脂からなる絶縁膜は、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した平均粗さ(Rz)が3μm以下であるものを用いることが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。基板の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、実質的に凹凸がない状態であれば、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
また、同様の観点から、本発明の積層体を用いて基板上に配線を形成する場合、用いられる基板の平滑性も上記範囲にあることが好ましい。
(B)層は前記した成分を適切な溶媒に溶解、もしくはワニス状にすることにより、塗工性を向上させるように調製された塗布液を、支持体上、或いは、前述した(A)高分子前駆体層に塗布、乾燥することで絶縁膜形成用フィルムが形成される。絶縁膜形成用フィルムはフィルム化することで厚さ精度が高く、取り扱い性や位置合わせ精度等が向上され、各種電子部品用の絶縁フィルム、接着フィルム等として好適に使用できる。
溶媒としては、一般的な有機溶媒が使用される。有機溶媒は親水性の溶媒,疎水性の溶媒いずれも使用することができるが、絶縁性樹脂組成物層を形成する熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および反応後それらの樹脂を形成する高分子前駆体を溶解させる溶媒が有用である。具体的にはメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、などのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。更にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等も使用できる。
樹脂組成物のワニスを調製する方法としては、ミキサー、ビーズミル、パールミル、ニーダー、三本ロールなどの公知の方法を用いて調製できる。各種の配合成分は全てを同時に添加してもよいし、添加順序を適宜設定してもよいし、また、必要に応じて、一部の配合成分を予め予備混練してから添加してもよい。
溶剤の除去方法は特に限定されないが、溶媒の蒸発により行なうことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が考えられる。中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱して蒸発することが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発することが更に好ましい。例えば次に述べる支持体の片面に塗工し、80℃〜200℃で0.5分から10分間加熱乾燥させて溶剤を除去することにより、半硬化状のべたつきのない状態のない状態のフィルムとすることが好ましい。
(C)層は、光分解性の高分子化合物を含有し、露光により当該領域が除去される層であって、ポジ型のメッキレジスト層として有用である。
(C)層は、光照射により容易に分解して酸を発生させる光酸発生剤と、酸分解性基を有することによりアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、光酸発生剤から生成される酸の作用により該酸分解性基が分解し、アルカリ可溶性となる樹脂とを含有する感光性組成物からなる層、或いは、光酸発生剤と、アルカリ可溶性樹脂と、このアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解性を阻止する作用を有し、且つ酸の作用により該アルカリ溶解性阻止能を低下もしくは消失するか又は上記アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解性を促進させる作用を有する化合物とを含有する感光性組成物からなる層であることが好ましい。
本発明において(C)層に用いうる光酸発生剤としては、公知のものを制限なく挙げることができる。
例えば、 S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S.Bal etal, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3-140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C.Necker etal, Macromolecules, 17, 2468(1984) 、C. S. Wen etal, Teh, Proc.Conf. Rad. Curing ASIA, p.478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello etal, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150848号、特開平2-296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello etal, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello etal. J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Wattetal, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivelloetal, Polymer Bull.,14, 279(1985) 、J. V. Crivello etal, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello etal, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979) 、欧州特許第370,693 号、米国特許3,902,114 号,欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、
(a)少なくとも1つのオルトカルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドアセタールからなる群から選ばれるものを含み、その化合物が重合性を有することができ、上記の群が主鎖中の架橋要素として、または側方置換基として生じ得るような化合物、
(b)主鎖中に反復アセタールおよびケタール群から選ばれるものを含むオリゴマー性化合物または重合体化合物、
(c)少なくとも一種のエノールエステルまたはN−アシルアミノカーボネート群を含む化合物、
(d)β−ケトエステルまたはβ−ケトアミドの環状アセタールまたはケタール、
(f)シリルエノールエーテル群を含む化合物、
(g)アルデヒドまたはケトン成分が、現像剤に対して0.1〜100g/リットルの溶解性を有するモノアセタールまたはモノケタール、
(h)第三級アルコール系のエーテル、並びに、
(i)第三級アリル位またはベンジル位アルコールのカルボン酸エステルおよび炭酸エステル。
これらの酸分解性基で保護された化合物の(C)層における含有量は、該組成物の全固形分に対して、通常1〜60質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
また、アルカリ可溶性バインダーの(C)層における含有量としては、該組成物の全固形分に対して10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
(C)層を形成するには、全規格成分を適切な溶剤に溶解して塗布することも可能であり、また、予め、反応性高分子組成物層をフィルム状に製膜してラミネートすることも可能である。
(C)層の形成に用いる溶剤として好ましいものは、上記高分子化合物と本発明の光酸発生剤からなる成分が充分に溶解し、かつその溶液がスピンコート法などの方法で均一な塗布膜が形成可能な有機溶媒であればいかなる溶媒でもよい。また、単独でも2種類以上を混合して用いても良い。
具体的には、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ターシャル−ブチルアルコール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸2−メトキシブチル、酢酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、などが挙げられるが、もちろんこれらだけに限定されるものではない。
(C)層の膜厚は、塗布法により形成される場合でも、ラミネート法により形成される場合でも、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
露光手段としては、ArFエキシマレーザーステッパー露光など、露光波長が150nm〜450nmの範囲に含まれるものであればいずれの露光手段を適用してもよく、特に好ましい露光手段としては、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーのようなステッパー露光可能な露光手段、低圧水銀灯、高圧水銀灯のようなUV発生装置、蛍光灯ランプ、レーザー、LED等上記波長の範囲に発光波長や輝線のある光源を用いた露光手段などが挙げられる。
この露光波長を、前記(B)層のグラフトポリマー形成波長と同じ範囲とすることで、パターン状のメッキレジストの形成と、メッキ触媒などを付着させうるパターン状のグラフトポリマーの形成を同時に行うことができる。
使用される有機溶媒、有機化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、3−メチル−2−シクロペンタノンなどのケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのアルコール類、そのほか、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤が挙げられる。また、使用されるアルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類や、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、などの有機アミン類、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、トルエチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アンモニウム塩などを含む水溶液、または有機溶剤、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
本発明のプリント配線板用積層体は、ベースフィルムとなる支持体と、所望により設けられる後述する保護層との間に少なくとも前記(A)層、(B)層及び(C)層を有してなる。支持体は、本発明の積層体を所定の基板上などに接触させ、プリント配線板の形成に使用するまでの間の積層体のベースとして使用される。
支持体に用いうるベースフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。
なお、支持体を構成するシート表面にはマット処理、コロナ処理のほか、離型処理がほどこしてあっても良い。
支持体の幅を、絶縁膜、或いは高分子前駆体層の幅よりも5mm程度長くすることで、他の層とのラミネートを行う場合に、ラミネート部の樹脂付着を防止することができ、また、使用時の支持ベースフィルムの剥離が容易になるなどの利点が得られる。
本発明のプリント配線板用積層体を形成する際、支持体と隣接して形成される他の層との密着性を向上させるために、もしくは、ラミネート時のクッション性を良くして密着性を向上するために、支持体となるベースフィルム表面に、所定の有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを塗布後、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させて常温固形の樹脂組成物とし、接着剤層、もしくはクッション層を作製することができる。
ここで、樹脂ワニスの塗布に用いられる有機溶剤としては、通常溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
保護層を形成する樹脂フィルムとしては、支持体に用いたものと同じ素材のものを用いても、異なった素材のものを用いても良い。好適に使用されるものとしては、前記支持体と同様、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。
保護層(保護フィルム)の厚みとしては2〜150μmが一般的であるが5〜70μmがより好ましく、10〜50μmが更に好ましい。また、保護フィルムの厚みと支持ベースフィルムの厚みはどちらかが他方よりも厚くなっても良い。
保護フィルムにはマット処理、エンボス加工の他、離型処理が施してあっても良い。
本発明のプリント配線板用積層体の作製方法としては、前記支持体上に、まず、絶縁樹脂中に重合開始剤を含有してなる(B)絶縁性樹脂組成物層を設け、その後、(A)高分子前駆体層を形成し、さらに、(C)光分解性化合物を含有する反応性高分子組成物層を形成し、該(C)光分解性層を保護層で被覆するか、或いは、支持体上に、(C)光分解性層を形成し、次に、(A)高分子前駆体層を形成し、さらに、(B)絶縁膜を形成し、(B)層の表面を保護層で被覆することで形成される。また、支持体と(A)高分子前駆体層との間、或いは、(A)高分子前駆体層と(B)絶縁膜との間には、接着層を設けてもよい。
このようにして本発明のプリント配線板用積層体が得られる。
その理由は明確ではないが、絶縁樹脂層に重合開始剤を加えることで表面グラフトの密度が増大し、より無電解メッキ触媒等層との相互作用が高まりその結果として密着が向上したと考えることができるものと考えられる。
また、この技術はポリイミドやエポキシ樹脂などのような電子材料分野で有用な一般的な絶縁樹脂に対しても適用できる幅広い技術である。
次に、本発明のプリント配線板用積層体を用いた多層プリント配線板の製造法について図面を参照しながら説明する。
図1(A)〜(F)は、本発明のプリント配線板用積層体を用いて、所望の内装回路基板表面にパターン状に導電層を形成する工程を示す概略断面図である。
図1(A)は、本発明の積層体10を示す。この積層体10は、支持体12表面に、(C)光分解性層14を形成し、次に、(A)高分子前駆体層16を形成し、さらに、(B)絶縁膜18を形成してなり、その表面に保護層20を有する。この積層体10をパターン加工された内層回路基板22にはりあわせるに際しては、図1(B)に示すように、保護フィルム20を除去後、反転させて、絶縁性樹脂組成物層18を内層回路基板22側に位置させ、図1(C)に示すように、両者を密着させて支持体(ベースフィルム)12側から常温固形の光分解性層14、高分子前駆体層16、絶縁性樹脂組成物層(絶縁膜)18の積層体を加圧、加熱しながらラミネートする。ここでは、図示しないが、ラミネート時の樹脂流れが内層回路の導体厚以上であって、かつ内層回路のスルーホール深さの半分及び/又は表面ビアホール深さ以上である条件でラミネートすることにより、内層回路パターンの被覆とスルーホール及び/又は表面ビアホール内の樹脂充填を同時に一括して行うことができる。
その後、未反応の(A)高分子前駆体層及び(C)光分解性層を除去することで、図(E)に示すように、(C)層14が分解除去された領域のみにグラフトポリマー24が生成するため、そこに無電解メッキ触媒26を付着させ、その後、無電解メッキを行うことで、メッキ膜28は、グラフトポリマー24生成領域で、メッキレジスト〔(C)層〕14の存在しない領域において選択的に成長するため、メッキレジスト〔(C)層〕14を除去すると、図1(F)に示すような高精細で且つ厚みも十分な配線28を有するプリント配線板或いは、プリント配線板形成用の導電性層28を有する積層体を得ることができる。
本発明におけるグラフトポリマーの形成及び(C)層の分解は、熱もしくは光などの輻射線の照射により行われる。熱としてヒーター、赤外線による加熱が使用される。また光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
(A)層のポリマーの生成、および(C)層の分解に用いられる光の波長としては、同じ場合は、どの波長を用いても良いが、好ましくは150nm〜450nmの領域のものを用いることが好ましい。これより長い波長を用いると細線再現性が悪化する可能性がある。また、(A)層のポリマーの生成と(C)層の分解波長が異なる場合は、波長は同じく150nm〜450nmの領域のものを用いることが好ましいが、(C)層の分解波長の方により短波な波長領域を用いる方が、細線再現性という観点で好ましい。またこの場合、(C)層の分解により(A)層のポリマー生成波長が透過するようになることが好ましい。
露光により溶解する光溶解型のポジレジストは、露光部を溶かすことが可能な溶剤により現像される。ここで用いる溶剤には、特に制限はないが、主には有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、近年は環境負荷低減からアルカリ性水溶液が使用されている。
本発明においては、絶縁膜表面に形成されたグラフトポリマーに無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与し、無電解メッキを行うことで導電性層をパターン状に形成するが、さらに導電性を上げるために、電気メッキなどの方法を付け加えても良い。
本発明においては、グラフトポリマーの未生成領域はメッキレジストの機能を有する(C)層で被覆されているため、無電解メッキ、或いは、引き続き実施される電気メッキにより形成される導電膜は、メッキレジストの存在しない領域のみで選択的に成長するため、厚みが十分であっても高解像度の導電膜が形成される。
以下、この工程を詳細に説明する。
本工程においては、上記表面グラフト工程で生成したグラフトポリマーに、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。
〔無電解メッキ触媒〕
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、ググラフトポリマーが有する相互作用性基(極性基)と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解メッキ触媒)を付着させることができる。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、前記(b)工程において基板へ付与した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
本工程では、無電解メッキ触媒等付与工程より、無電解メッキ触媒等が付与された絶縁性樹脂組成物層に対して、無電解メッキを行うことで、導電性膜(金属膜)が形成される。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトポリマーに高密度の導電性膜(金属膜)が形成される。形成された導電性膜(金属膜)は、優れた導電性、密着性を有する。
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、前記無電解メッキ触媒等付与工程で得られた、無電解メッキ触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体が付与された基板を、無電解メッキ触媒前駆体がグラフトポリマーに付着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCu(SO4)2、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
上記無電解メッキ工程を行った後、導電膜の特性向上を目的として電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を有してもよい。
本工程では、前記無電解メッキ工程における無電解メッキの後、この工程により形成された金属膜(導電性膜)を電極とし、さらに電気メッキを行うことができる。これにより絶縁性樹脂組成物層との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本態様により得られた無電解メッキ触媒等を種々の応用に適用するのに好適である。
本態様における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
本発明の製造方法により得られた銅張り積層板などの導線性材料を用いて、例えば、公知のエッチング処理などにより、従来の技術では困難であった20ミクロン以下の微細で、且つ密着強度の高い銅配線の形成が可能となる。
次に、本発明のプリント配線板用積層体を用いた多層プリント配線板の製造法について一例を挙げて説明する。
発明の積層体をパターン加工された内層回路基板にはりあわせるに際しては、保護フィルムを除去後、支持体(ベースフィルム)側から常温固形の高分子前駆体層付絶縁性樹脂組成物層(絶縁膜)を加圧、加熱しながらラミネートする。ラミネート時の樹脂流れが内層回路の導体厚以上であって、かつ内層回路のスルーホール深さの半分及び/又は表面ビアホール深さ以上である条件でラミネートすることにより、内層回路パターンの被覆とスルーホール及び/又は表面ビアホール内の樹脂充填を同時に一括して行うことができる。
なお、内層回路基板としては、ガラスエポキシや金属、ポリエステル、ポリイミド、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアラミド、紙、ガラスクロス、ガラス不織布、液晶ポリマー等の基材を用い、樹脂としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、等を樹脂として用いた基板を使用することができ、回路表面は予め粗化処理されてあっても、処理されてなくても良い。
プリント配線板用積層体を内層回路基板上にラミネートした後、必要により熱硬化させた樹脂組成物の更にその上に配線パターンを形成させ、加熱硬化の条件は内層回路基板の材料の種類、プリント配線板用積層体を構成する樹脂組成物の種類、等で異なり、これらの形成素材の硬化温度にもよるが、120〜220℃で20分〜120分の範囲で選択される。
絶縁膜上に固定されたグラフトポリマーにメッキ触媒をつけるために、メッキ触媒液(例えば硝酸銀水溶液や錫−パラジウムコロイド溶液)に浸漬する。無電解メッキ触媒としては、パラジウム。金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、錫などの金属美粉末、及び/又はこれらのハロゲン化物、酸化物、水酸化物、硫化物、過酸化物、アミン塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。また、これらを各種の無機成分に吸着させたものでも良い。この際の無機成分としてはコロイダルシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、雲母等の既述のものの他、アルミナ、カーボンのような微粉末であればどのようなものでも良い。また、この際の微粉末の大きさとしては平均粒子径が0.1〜50μmであるのが好ましい。
このように導体層が形成された後、必要に応じて120〜220℃で20分〜120分アニール処理をすることにより、熱硬化性樹脂の硬化が進行し、導電性層のピール強度を更に向上させることもできる。
最後に、不要になった(C)メッキレジスト層を除去することができる。
本発明のプリント配線板用積層体を使用した場合、得られるプリント配線板は表面平滑性に優れるので、上記の如き製造法を複数繰り返し、ビルドアップ層を多段に積層して多層プリント配線板を製造することもできる。
〔実施例1〕
(合成例:二重結合を有するポリマーP−1の合成)
ポリアクリル酸(平均分子量 25000、和光純薬工業)60gとハイドロキノン(和光純薬工業)1.38g(0.0125mol)を、冷却管を設置した1lの三口フラスコに入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、和光純薬工業)700gを加えて室温で撹拌し、均一な溶液とした。その溶液を撹拌しながら、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工)64.6g(0.416mol)を滴下した。続いて、DMAc30gに懸濁させたジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(東京化成工業)0.79g(1.25×10−3mol)を滴下した。撹拌しながら65度のウォーターバスで加熱した。5時間後に加熱を止め、室温まで自然冷却した。この反応液の酸価は7.105mmol/g、固形分は11.83%だった。
〔実施例1〕
(反応性高分子組成物積層体の作製)
支持体として厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、それぞれ表面処理や前処理を行うことなく、下記反応性高分子組成物1を膜厚10μmになるようにロッドバーで塗布し、120℃で5分間乾燥することにより(C)反応性高分子組成物層を設けた。
・エチルラクテート 77部
・下記バインダーP−2 18.0部
・光酸発生剤PAG−1 4.5部
・フッ素系界面活性剤(F−475、大日本インキ化学工業(株)製) 0.5部
前記、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に(C)反応性高分子組成物層を設けた反応性高分子組成物フイルムの反応性高分子組成物の上に、重合性化合物としてのアクリル基と相互作用性基としてのカルボキシル基とを有するポリマー(側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー:P−1、前述する合成例により得る)を含む下記組成の液状組成物1をロッドバー#6で塗布し、100℃で1分間乾燥することによりグラフトポリマー前駆体層を設けた。高分子前駆体層の膜厚は0.2〜1.5μmの範囲になるように調製した。
(重合性化合物含有の液状組成物1)
・側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部(以下、配合量は全て質量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30部をエチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30部と2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8部、さらに微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤0.5部を添加しエポキシ樹脂ワニスを作製した。
(重合開始ポリマーPの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
(1)基板上へのプリント配線板用積層体の適用
上記で得られたプリント配線板用積層体フィルム1を用い、配線を形成しようとする基板(パターン加工されたガラスエポキシ内層回路基板(導体厚18μm))上に、前記プリント配線板用積層体フィルムを、保護層を剥離して基板と絶縁膜とが積層するように配置し、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により密着させた。
(2)露光(メッキレジスト及びグラフトポリマーの形成)
次に、積層体1の支持体を剥離し、下記の方法にてパターン状に露光し、洗浄処理を行い、絶縁性樹脂組成物層の上にパターン状にグラフトポリマーが形成され、グラフトポリマーの未成性領域が(C)層で被覆されている表面グラフト材料を得た。
露光は、露光機:紫外線照射装置(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)を用い、導電層を作成したい部分に光があたるように、室温で1分間露光した。露光後、純水で充分洗浄した。この露光により、露光領域の(C)層の分解と(A)層における(B)絶縁膜と結合したグラフトポリマーの生成が同時に行われる。また、別途、密着強度を測定するためのサンプルとして、露光機にて全面に光照射を同様に行い、露光後、純水で充分洗浄した。この露光により、全面の(C)層の分解と(A)層における(B)絶縁膜と結合したグラフトポリマーの生成が同時に行われる。
(3)無電解メッキ触媒等の付着とその確認
前記のようにして得られた本発明の積層体により得られた表面グラフトパターン材料1に、無電解メッキ触媒を付与し、無電解メッキを行うことで、実施例1の配線板を得た。
また、別途、密着強度を測定するために、同様に全面に光照射を行なったサンプルに無電解メッキ触媒を付与し、無電解メッキ、電気メッキを行うことで、密着測定用のサンプルを得た。
(無電解めっき、電解めっき工程の実施)
表面グラフトパターン材料1を、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に120分間浸漬し、実施例1の導電性パターン材料を作製した。また、全面光照射したサンプルは硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に20分間浸漬した後、下記組成の電気メッキ浴にて20分間電気メッキし、密着測定用のサンプルを得た。
<無電解メッキ浴成分>
・硫酸銅 0.3g
・酒石酸NaK 1.7g
・水酸化ナトリウム 0.7g
・ホルムアルデヒド 0.2g
・水 48g
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
(表面凹凸)
得られた導電性材料の表面凹凸を、ナノピクス(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)にて測定した。
表面凹凸 Rz=50nm
(金属膜厚の測定)
DFMカンチレバー使用にて測定した。
(密着強度評価)
金属膜を形成した導電性材料表面に銅板(厚さ:50μm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C6481に基づき90度剥離実験を行った。剥離装置は島津製作所製 引っ張り試験機AGS−Jを使用した。結果は0.8kN/mであった。
12 支持体
14 光分解性層
16 高分子前駆体層
18 絶縁性樹脂組成物層
20 保護層
22 内層回路基板
Claims (10)
- 支持体上に、露光により反応性の活性種を生成しうる絶縁性樹脂組成物層と、該絶縁性樹脂組成物層と反応して高分子化合物を形成しうる化合物を含有する反応性の高分子前駆体層と、露光により分解する化合物を含有する反応性高分子組成物層とを有することを特徴とする積層体。
- 支持体上に、絶縁性樹脂組成物層と、反応性の高分子前駆体層と、反応性高分子組成物層とを順次有することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 支持体上に、反応性高分子組成物層と、反応性の高分子前駆体層と、絶縁性樹脂組成物層と、を順次有することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 前記積層体の最上層の表面に保護フィルムを有し、支持体又は保護フィルムを剥離して、露出した層を基板にラミネートして用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 前記反応性の高分子前駆体層が、重合性二重結合を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 前記高分子組成物層が、光分解性の高分子化合物を含有するメッキレジスト層であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 前記絶縁性樹脂組成物層における反応性の活性種を生成しうる露光波長と、前記高分子組成物層における光分解性の高分子化合物を分解しうる露光波長が同じであり、該波長の露光により、絶縁性樹脂組成物層と反応性の高分子前駆体層との反応による高分子の生成と、反応性高分子組成物層における分解とが同時に生起、進行することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 前記絶縁性樹脂組成物層における反応性の活性種を生成しうる露光波長と、前記高分子組成物層における光分解性の高分子化合物を分解しうる露光波長とが互いに異なるものであって、まず、第1の波長の露光により、反応性高分子組成物層において露光領域を分解させ、その後、別の波長の露光により、絶縁性樹脂組成物層と反応性の高分子前駆体層との反応による高分子化合物を生成させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板作製用積層体。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の積層体を用いて、基板上に絶縁性樹脂組成物層と、反応性の高分子前駆体層と、反応性高分子組成物層がこの順に位置するように積層する工程と、露光により絶縁性樹脂組成物層と直接結合する高分子化合物を生成させて高分子生成領域を形成する工程と、該高分子生成領域に無電解メッキ触媒もしくはその前駆体を付着させる工程と、無電解メッキを行って回路パターンを形成する工程とを有することを特徴とするプリント配線板の作製方法。
- 前記無電解メッキを行って回路パターンを形成する工程の後に、さらに、未反応の反応性の高分子前駆体層と、反応性高分子組成物層とを除去する工程を有することを特徴とする請求項9記載のプリント配線板の作製方法。
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