JP2008108469A - 導体層付き絶縁層基材の製造方法及びそれにより得られる導体層付き絶縁層基材 - Google Patents

導体層付き絶縁層基材の製造方法及びそれにより得られる導体層付き絶縁層基材 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁膜との密着性に優れ、絶縁膜との界面における凹凸が小さい導体層有する積層体を簡易な方法で製造しうる導体層付き絶縁層基材の製造方法、及び、該製造方法により得られた導体層付き絶縁層基材を提供する。
【解決手段】(a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(b)絶縁層と相互作用を形成しうる化学活性点発生層を形成する工程と、該(b)化学活性点発生層表面に(c)化学活性点発生層および導体層と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、該(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物に導電性材料などを付与し、(d)導体層を形成する工程を有する導体層付き絶縁層基材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板などの製造に適する導体層付き絶縁層基材及びその製造方法に関し、詳細には、電子材料分野で使用される高密度配線を有するプリント配線板などの製造に好適な、導体層と絶縁性基板との密着性に優れる導体層付き絶縁層基材及びその簡易な製造方法に関する。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等も小型化かつ高密度化が進んでいる。このプリント配線板等の高密度化への対応としては、高精細で安定な配線の実現やビルドアップ多層配線板の採用などの方法が種々検討されている。更に微細なビアにより電気的絶縁層間を接続されたビルドアップ法により配線層を積層してなる製品も出されている。
これら微細配線の形成にあたっては、従来の導電性パターン特にプリント配線板の分野で有用な金属パターン形成方法として「サブトラクティブ法」と「セミアディティブ法」が知られている。サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この手法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。
一方セミアディティブ法は電気的絶縁層の表面に何らかの方法で給電層を設け、この給電層の上に活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、給電層に電気を流して電気めっきを行い、非レジスト存在部に金属配線を形成したのち、非金属配線部の給電層をエッチング処理して金属パターンを形成する方法である。この手法で形成される給電層はめっき法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。めっき法で給電層を形成する場合はサブストラクティブ法と同様に基板と給電層との密着性を持たせるために電気的絶縁層の表面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。一方スパッタリング法、蒸着法により給電層を設けるためには大掛かりな真空設備が必要であるために多層基板には不向きであった。
上記のように基板もしくは電気的絶縁層を介して配線パターンを積層して形成する場合には電気的絶縁層と配線パターンの密着性が問題となる。たとえば電気的絶縁層に電解めっきにより金属層を形成する場合、その密着性は電気めっきの給電層となる層と絶縁層との密着性によることになるが、電気的絶縁層の表面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させる方法では、配線が細く、配線間が狭くなるほど配線形状に影響を与えない程度に凹凸も小さくせざるを得ず十分な密着をだすことができないという問題があった。
この問題を解決する為に、例えば基板表面にラジカル重合性化合物をグラフトして表面改質を行うことで、基板の凹凸を最小限にとどめ、かつ、基板の処理工程を簡易にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、この方法では、高価な装置(γ線発生装置、電子線発生装置)が必要であった。また、使用される基板は通常の市販のプラスチック基板を使用しているため、グラフトポリマーが、そこに導電性素材を強固に付着させる程、十分には生成されず、基板と導電性層との密着が実用上の強度に達していないという問題があった。
また、導電性層形成の一手段として、高分子末端が基板表面に固定化された表面グラフトポリマーを用いて金のナノ粒子を一段階で集積させる方法が報告されている(例えば、非特許文献1、2参照。)。この方法は、ガラス表面に作成されたポリアクリルアミドブラシを、負荷電を有する金ナノ粒子の低PH(約6.5)の分散液に一晩浸漬し、その結果、正に荷電したアミド基(−NH )と負に荷電したナノ粒子との静電的な相互作用により三次元的にナノ粒子が集積したフィルムを形成するものである。しかしながら、ここに記載の条件では、荷電ポリマーと荷電粒子との静電力による粒子集積現象において、実用上満足できる程度の相互作用が形成されず、実用上はさらなる導電性素材密着性向上が望まれている。
更に、このような表面グラフトポリマー生成にあたっては、基板表面にグラフトポリマーの原料となる成分を接触させながらエネルギー付与をする工程を必要とし、均一な接触、特に、多層プリント配線板を作製する場合に、複数回実施されるこの工程の均一性の維持が困難であるという問題があった。
特開昭58−196238号明細書 Liz−Marzan,L.Mら著、「J.Phys.Chem.」、第99巻、P15120(1995年) Carignano,M.A.ら著「Mol.Phys.」、第100巻、P2993(2002年)
上記従来の技術的問題点を考慮してなされた本発明の目的は、絶縁膜との密着性に優れ、絶縁膜との界面における凹凸が小さい導体層を備えた積層体を、簡易な方法で製造しうる導体層付き絶縁層基材の製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、前記製造方法により得られた絶縁膜との密着性に優れ、絶縁膜との界面における凹凸が小さい導体層を有する導体層付き絶縁層基材を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、次のような構成を備えることにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> (a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(b)該絶縁層と相互作用を形成しうる化学活性点発生層を形成する工程と、該(b)化学活性点発生層表面に(c)該化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、該(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物に導電性材料又はその前駆体を付与し、(d)導体層を形成する工程を有する導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<2> (a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(c−2)該絶縁層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、該(c−2)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物に導電性材料又はその前駆体を付与し、(d)導体層を形成する工程を有する導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<3> 前記(d)導体層が、無電解めっきにより形成された金属層を含み、導体層の少なくとも1層が銅を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<4> 前記(d)導体層が無電解めっきにより形成された金属層を給電層とする電気めっきにより形成される1層以上の金属層含み、導体層の少なくとも1層が銅を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<5> 前記(b)化学活性点発生層と、(c)該化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層との厚みの合計が0.2μm以上10μm以下であることを特徴とする<1>に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<6> 前記(c)化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層又は前記(c−2)絶縁層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程の後に、エネルギーを付与して(b)化学活性点発生層と(c)反応性高分子化合物含有層又は(a)絶縁層と(c−2)反応性高分子化合物含有層の間に結合をつくるエネルギー付与工程を有する<1>乃至<5>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<7> 前記(c)化学活性点発生層及び導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層又は(c−2)絶縁層及び導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層が、重量平均分子量1000〜300000の高分子化合物を50重量%以上含み、この高分子化合物がエネルギー付与により(b)化学活性点発生層又は(a)絶縁層に含まれる成分と化学結合を形成しうる化合物であることを特徴とする<1>乃至<6>に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<8> 前記エネルギー付与工程が、波長160nm〜450nmの光を照射する工程である<6>に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<9> 前記(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層が、波長160nm〜450nmの光照射により活性点を生成する物質を含有することを特徴とする<6>乃至<8>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<10> 前記エネルギー付与工程が、0.05mJ/cm以上10000mJ/cm以下のエネルギーを付与する工程であることを特徴とする<6>乃至<9>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<11> 前記(b)化学活性点発生層、(c)反応性高分子化合物含有層、及び(a)絶縁層の少なくとも1つが、プレス法、転写法、塗布法、印刷法及びインクジェット法から選択される方法により形成されることを特徴とする<1>乃至<10>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<12> 前記(b)化学活性点発生層、(c)反応性高分子化合物含有層、及び(a)絶縁層のうち少なくとも2層が、プレス法、転写法、又は塗布法により、複数層同時に形成されることを特徴とする<1>乃至<11>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<13> (b)化学活性点発生層形成工程又は(a)絶縁層形成工程の後に、エネルギーを付与して形成された層をキュアする工程を有することを特徴とする<1>乃至<12>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
<14> <1>乃至<13>のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法により得られた導体層付き絶縁層基材。
本発明において、前記(c)化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層と(c−2)絶縁層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層とは、そこに含まれる化合物が、(d)導体層形成の材料である導電性材料などのシードを付着しうる官能基と、隣接する(b)化学活性点発生層或いは(a)(化学活性点発生能を有する)絶縁層に含まれる成分から発生する活性種と相互作用を形成し、化学的に結合しうる官能基とを有する高分子化合物を含んでなる、実質的に同一の機能を有する層であり、本明細書中では、単に「(c)反応性高分子化合物含有層」と称することがある。
ここで、(a)絶縁層の形成工程と(b)化学活性点発生層の形成工程とは同時であってもよく、(a)絶縁層の形成工程の後、(b)化学活性点発生層の形成工程がなされてもよい。また、(a)絶縁層の形成工程、もしくは(b)化学活性点発生層の形成工程と(c)反応性高分子化合物含有層の形成工程とは、同時であってもよく、(a)絶縁層の形成工程、及び、(b)化学活性点発生層の形成工程の後で(c)反応性高分子化合物含有層の形成工程がなされてもよい。
また、(c)反応性高分子化合物含有層の形成工程終了後に、めっき処理により(d)導体層を形成する工程が実施されてもよい。
本発明の導体層付き絶縁層基材は、絶縁層との密着性に優れた導体層が、平面性に優れた絶縁性基材上に形成されてなり、その応用範囲は広い。
本発明の導体層付き絶縁層基材の製造方法によれば、金属導体パターンなどの形成に有用な導体層付き絶縁層基材を簡易な方法で製造することができる。
ここで、(a)絶縁層基材表面全面に(c)反応性高分子化合物含有層を形成し、エネルギー付与(露光)を全面に行うことにより、プリント配線板などの形成に有用な銅張り積層板に代表される絶縁膜表面の全面にわたって導体層を有する積層体となり、このようにして得られた本発明の導体層付き絶縁層基材は、サブストラクティブ法による配線基板の材料として使用することも可能である。
本発明によれば、絶縁膜との密着性に優れ、絶縁膜との界面における凹凸が小さい導体層有する積層体を簡易な方法で製造しうる導体層付き絶縁層基材の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、前記製造方法により得られた絶縁膜との密着性に優れ、絶縁膜との界面における凹凸が小さい導体層を有する導体層付き絶縁層基材を提供することができる。
本発明の導体層付き絶縁層基材は、絶縁膜との密着性に優れた導体層を有することから、高精細の配線を有する多層配線基板などの配線基板や、プリント配線基板を回路として備えた種々の電子機器、電気機器の製造に有用である。
本発明における導体膜は、平面性が良好であり、高周波特性に優れるという利点をも有するものである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の導体層付き絶縁層基材は、(a)絶縁層の片面もしくは両面の表面に、該絶縁層および導体層との相互作用のある反応性高分子化合物含有層と相互作用を形成しうる(b)化学活性点発生層、該化学活性点発生層および導体層と相互作用を形成しうる(c)反応性高分子化合物含有層、及び(d)導体層の順で積層されることで構成される。
また、(a)絶縁層自体が、直接(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用を形成しうる化学活性点発生能を有している(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層であれば、前記(b)化学活性点発生層は特に必要ではなく、(a)絶縁層が、直接(c)反応性高分子化合物含有層と接触して形成され、両者がエネルギー付与により直接結合するものであってもよい。
本発明に係る導体層付き絶縁層基材の製造方法の詳細としては、(I)(a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(b)該絶縁層と相互作用を形成しうる化学活性点発生層を形成する工程と、(II)、該(b)化学活性点発生層表面に(c)該化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、(II)該反応性高分子化合物含有層と該化学活性点発生層との間に相互作用を形成させ、これらを密着させる工程(エネルギー付与工程)、(IV)該(c)反応性高分子化合物含有層の高分子化合物に導電性材料或いはその前駆体を付与する工程、(V)該(c)反応性高分子化合物含有層に付与した導電性材料或いはその前駆体を利用してめっきを施し、(d)導体層を形成する工程、及び、所望により(VI)(d)導体層形成後に加熱処理する工程を、必要に応じて順不同で経ることを特徴とする。
各工程は必要であれば順次おこなっても同時におこなってもよいし、不要であれば省くことができるが、(a)絶縁層の形成工程と同時もしくは後の工程で(I)(b)化学活性点発生層の形成工程がなされること、(a)絶縁層の形成工程もしくは(I)(b)化学活性点発生層の形成工程と同時もしくは後の工程で(II)(c)反応性高分子化合物含有層の形成工程がなされること、(II)(c)反応性高分子化合物含有層の形成工程より後の工程で(V)めっきにより(d)導体層を形成する工程がなされることを特徴としている。
以下では各層の構成要素および各工程について詳細に述べる。
(基材)
本発明で基材として用いられるのは、電気的絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層である。ここで絶縁層は、他の基板、例えば、ガラスエポキシや金属、ポリエステル、ポリイミド、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアラミド、紙、ガラスクロス、ガラス不織布、液晶ポリマー等の基材からなる基板、樹脂としてのフェノール樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等を用いて形成された基板、シリコーン基板、セラミック基板などの表面に形成されていてもよく、このような形態も本発明の絶縁層基材に包含されるものとする。
また一般にフイルム支持体として用いうるベースフイルム(基材)である、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどの絶縁性の樹脂フイルムシートのような形態も本発明の絶縁層基材に包含されるものとする。
<(a)絶縁層>
本発明において、基材として用いられる絶縁層の形成には、主に従来の多層積層板、ビルドアップ基板、もしくはフレキシブル基板として用いられてきた公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。
例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、もしくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。そのほかの熱可塑性樹脂としては、(1)1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)もしくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252−1258(2004)に記載)。(2)液晶性ポリマー、具体的にはクラレ製のベクスター など。(3)フッ素樹脂(PTFE)、などがある。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。たとえばPPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。またシアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては電子技術 2002/9号 P35 に記載されている。また熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂および/またはポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物のようなもの、具体的にはアクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として熱硬化性樹脂、もしくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種または二種以上配合してもよい。
また、更にこの絶縁性樹脂組成物には必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種または二種以上添加してもよい。
これらの材料を添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下する。
本発明の導体層付き絶縁層基材は、(a)絶縁層、(b)化学活性点発生層、(c)反応性高分子化合物含有層、及び、(d)導体層を順次積層してなる積層構造を有するものであるが、(a)絶縁層と(c)反応性高分子化合物含有層とを密着させるために直接相互作用させたい場合は、(a)絶縁層にエネルギー付与時に(c)反応性高分子化合物含有層との間で相互作用を形成しうる活性点を発生させる化合物を添加して、(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層を形成すればよい。この場合、(b)化学活性点発生層は特に必要ではない。なお、この(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層は、化学活性点発生能を有する絶縁樹脂材料を用いる、絶縁樹脂材料に化学活性点発生能を有する化合物を含有させるなどして得られるものであり、本発明の(a)絶縁層に包含され、以下、これらを併せて単に「(a)絶縁層」と称する場合がある。
(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層に含まれうる、(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用を形成しうる活性点を発生させる化合物の例としては、熱重合開始剤、光重合開始剤のいずれも使用することができる。熱重合開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリルなどのような過酸化物開始剤、およびアゾ系開始剤などを使用することができる。また光重合開始剤としては後述するような公知のものが使用され、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。また、エネルギー付与により(a)絶縁層自体が、(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用する活性点を生成しうる材料からなる(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層である場合は、特別にこれらの活性種を発生しうる化合物を添加しなくてもよい。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジンおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。また、感度を高める目的で光ラジカル重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
高分子光ラジカル発生剤(高分子光重合開始剤)としては、例えば、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
絶縁樹脂中に含有させる重合開始剤の量は、使用する表面グラフト材料の用途に応じて選択されるが、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
本発明における絶縁層の厚みは、一般に、1μm〜10mmの範囲であり、10μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
形成される導電層の物性を向上させる観点からは、絶縁樹脂からなる絶縁膜は、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した平均粗さ(Rz)が3μm以下であるものを用いることが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。基板の表面平滑性が上記値の範囲内、即ち、実質的に凹凸がない状態であれば、回路が極めて微細な(例えば、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路パターン)プリント配線板を製造する際に、好適に用いられる。
(絶縁層の形成)
絶縁層は、それ自体がフィルム状に形成され、基材となるが、所望により他の基材の片面、もしくは両面の表面に形成されていてもよい。フィルム状に成形する方法は、公知の方法、例えば、後述する転写法におけるフィルム状の形成方法を適用できる。所望により他の基材表面に(a)絶縁層を形成して基材とする場合には、塗布法、転写法、もしくは印刷により(a)絶縁層を形成することができる。
(1.転写法)
絶縁層を転写により形成する場合は、あらかじめ電気的絶縁層を形成する前記の成分を適切な溶媒に溶解、もしくはワニス状にすることにより、塗工性を向上させるように調製された塗布液を、支持体上に塗布、乾燥することで絶縁層形成用フィルムを形成し、これを転写することによって(a)絶縁層基材を形成できる。また、他の基材を用いない場合には、このフィルム自体が(a)導電層基材となる。
絶縁層形成用フィルムは、フィルム状に予め成形されるため、転写する場合にも、厚さ精度が高く、取り扱い性、位置合わせ精度等が向上され、各種電子部品用の絶縁層形成用フィルムや層間接着フィルム等として好適に使用できる。
フィルム成形に使用しうる溶媒としては、一般的な有機溶媒が使用される。有機溶媒は親水性の溶媒、疎水性の溶媒いずれも使用することができるが、絶縁性樹脂組成物層を形成する熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒が有用である。具体的にはメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。更にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等も使用できる。更に通常溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の芳香族炭化水素の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる
塗布液、もしくはワニス化のための溶剤の配合量は絶縁性樹脂組成物100重量部に対して、塗布液、もしくはワニスの粘度と作業性、塗工性、および乾燥時間と作業効率の観点から5重量部以上、2000重量部以下であることが好ましく、10〜900重量部であることがより好ましい。また、組成物の塗布性、作業性、乾燥時間などの観点から組成物の年度は好ましくは5〜5000cps、より好ましくは10〜2000cps、更に好ましくは10〜1000cpsであることが好ましい。
樹脂組成物のワニスを調製する方法としては、ミキサー、ビーズミル、パールミル、ニーダー、三本ロールなどの公知の方法を用いて調製できる。各種の配合成分は全てを同時に添加してもよいし、添加順序を適宜設定してもよいし、また、必要に応じて、一部の配合成分を予め予備混練してから添加してもよい。
フィルム化のための支持体上への塗布は常法により行われ、例えば、ブレードコート法、ロッドコート法、スクイズコート法、リバースロールコート法、トランスファコールコート法、スピンコート法、バーコート法、エアーナイフ法、グラビア印刷法、スプレーコート法、など公知の塗布方法が挙げられる。
溶剤の除去方法は特に限定されないが、溶媒の蒸発により行なうことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が考えられる。中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱して蒸発することが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発することが更に好ましい。例えば次に述べる支持体の片面に塗工し、80℃〜200℃で0.5分から10分間加熱乾燥させて溶剤を除去することにより、半硬化状のべたつきのない状態のない状態のフィルムとすることが好ましい。
支持体に用いうるベースフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。支持体の厚みとしては2〜200μmが一般的であるが、5〜50μmがより好ましく、10〜30μmが更に好ましい。支持体として用いられるシートが厚すぎると、この積層体を用いて実際に配線を形成する際、特に、この積層体を所定の基板上、或いは、配線上にラミネートする際のハンドリング性等に問題がでることがある。
なお、支持体を構成するシート表面にはマット処理、コロナ処理のほか、離型処理がほどこしてあっても良い。更に保護層を形成することもある。保護層を形成する樹脂フィルムとしては、支持体に用いたものと同じ素材のものを用いても、異なった素材のものを用いても良い。好適に使用されるものとしては、前記支持体と同様、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂シートや、離型紙など、表面接着性を制御した加工紙、銅箔、アルミ箔のごとき金属箔などが挙げられる。
保護層(保護フィルム)の厚みとしては2〜150μmが一般的であるが5〜70μmがより好ましく、10〜50μmが更に好ましい。また、保護フィルムの厚みと支持ベースフィルムの厚みはどちらかが他方よりも厚くなっても良い。
保護フィルムにはマット処理、エンボス加工の他、離型処理が施してあっても良い。
支持体の幅を、絶縁膜、或いは高分子前駆体層の幅よりも5mm程度長くすることで、他の層とのラミネートを行う場合に、ラミネート部の樹脂付着を防止することができ、また、使用時の支持ベースフィルムの剥離が容易になるなどの利点が得られる。
ラミネートは減圧下、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよく、片面づつラミネートしても両面同時にラミネートしてもよいが、両面同時にラミネートするのが好ましい。上記の如きラミネート条件は、本発明における常温固形の絶縁樹脂層を構成する組成物の熱時溶融粘度、厚さにより異なるが、一般的に圧着温度が70〜200℃、圧着圧力が1〜10kgf/cmであって、20mmHg以下の減圧下で積層するのが好ましい。
ラミネート後の樹脂組成物の表面平滑性は支持ベースフィルムが厚いほど優れるものの、熱エネルギー効率からは不利となるので、支持ベースフィルムは導体厚±20μmであることが好ましい。ラミネート後は室温付近にまで冷却してから支持ベースフィルムを剥離する。
ラミネートで転写する場合には温度80℃〜250℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜200℃が好ましく更に好ましくは110℃〜180℃であることが好ましい。また、かける圧力は0.5〜3MPaが好ましく、更に好ましくは0.7〜2MPaが好ましい。また、圧力をかける時間としては10秒から1時間が好ましく、更に好ましくは15秒から30分が好ましい。また、ラミネートでの密着を向上させるために真空ラミを行うのが好ましく、更には微細配線を形成する場合はクリーンルーム内でラミネート化合を行うのが好ましい。
(2.塗布法・印刷法)
電気的絶縁層を塗布または印刷で設ける場合は、前記電気的絶縁層を形成する塗布液を、所望により基材の片面、もしくは両面の表面に塗布または印刷を所定の厚みになるまで繰り返すことによってもうけてもよい。
塗布は前記支持体上に塗布した場合と同様に常法により行われ、例えば、ブレードコート法、ロッドコート法、スクイズコート法、リバースロールコート法、トランスファコールコート法、スピンコート法、バーコート法、エアーナイフ法、グラビア印刷法、スプレーコート法、ディスペンサー法など公知の塗布方法が挙げられる。また、印刷で行う場合は通常のグラビア印刷のほか、インクジェット法などの方法で印刷することもできる。
また、(a)絶縁層基材は成形後、或いは任意の基材表面に形成した後、何らかのエネルギーを与えて硬化処理工程をおこなってもよい。与えるエネルギーとしては光、熱、圧力、電子線などがあげられるが今回の実施形態においては熱または光が一般的であり、熱の場合は100℃〜300℃の熱を10分〜120分加えることができる。加熱硬化の条件は内層回路基板の材料の種類、プリント配線板用積層体を構成する樹脂組成物の種類、等で異なり、これらの形成素材の硬化温度にもよるが、更に好ましくは120〜220℃で20分〜120分の範囲で選択される。
この硬化処理工程は電気的絶縁膜形成後すぐにおこなっても、後のいろいろな工程を行ったあと行ってもよい。
<(b)化学活性点発生層>
本発明で用いられる化学活性点発生層は、前記(a)絶縁層基材と密着できる絶縁樹脂組成物、および次のエネルギー付与工程により後述する(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用し化学的な結合を形成する活性点を発生させて(c)反応性高分子化合物含有層と密着することができる化合物を含む。
絶縁樹脂組成物は電気的絶縁層を形成する化合物と異なっていても同じでもよいが、電気的絶縁層との密着性を向上させるためと、層形成後、配線形成後等に行われるアニール処理や半田リフロー処理などの熱履歴時の応力がかかることを防止する目的で少なくとも1種以上は電気的絶縁層を形成する化合物と同じものを使用することが好ましく、加えてガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的に近いものを使用することが好ましい。
エネルギー付与工程により(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用を形成して化学的な結合を形成する活性点を発生させて(c)反応性高分子化合物含有層と密着することができる化合物を含む以外は(a)電気的絶縁層と同じ構成にしてもよい。
エネルギー付与により(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物と相互作用を形成し化学的な結合を形成する活性点を発生させうる化合物の例としては、熱重合開始剤、光重合開始剤、いずれも使用することができる。
これらの例として前記(a)絶縁層の項で述べたものを使用することができる。また、エネルギー付与により(b)化学活性点発生層が(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用を形成する活性点を生成しうる場合には、特別にこれらの活性種を添加しなくてもよい。
(b)化学活性点発生層には、さらに、熱処理時に応力を緩和させることができるゴム、SBRラテックスのような物質を添加することもできる。また、(b)化学活性点発生層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記化合物に加え、目的に応じて、例えば、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などの種々の化合物を含有することができる。
(b)化学活性点発生層の厚みとしては、0.1〜10μm程度が好ましく、0.3〜7μmが更に好ましく、0.5〜5μmが更に好ましい。この膜厚の範囲において、十分な密着強度が達成され、効率的な相互作用形成が行われる。
(b)化学活性点発生層の形成方法としては前記(a)絶縁層と同様に塗布、転写、印刷などの方法により形成することができる。また、塗布で(b)化学活性点発生層を設ける場合、(a)電気的絶縁層と同時に塗布しても、更に(a)電気的絶縁層と(c)反応性高分子化合物含有層と3層同時に塗布しても、(a)絶縁層形成後、逐次塗布して形成してもよい。同様に転写で形成する場合は支持体上に(b)化学活性点発生層、(a)絶縁層の2層構成の転写フイルム、もしくは(c)反応性高分子化合物含有層、(b)化学活性点発生層、(a)絶縁層の3層構成の転写フイルムを作製し、ラミネート法によって一度に転写してもよい。また、塗布溶剤としては前記(a)絶縁層の塗布の際使用したような溶剤がすべて使用できる。
また、(b)化学活性点発生層を形成する組成物の粘度も前記電気的絶縁層を形成する際用いた範囲が好ましい。塗布の方法としては前記電気的絶縁層を形成するところで述べた一般的な方法を使用することができる。また、印刷で形成する場合は印刷で行う場合は通常のグラビア印刷のほか、インクジェット法などの方法で印刷することもできる。印刷法やインクジェット法などの方法で電気的絶縁膜の上に印刷する場合は後の工程で導体をつけたくない部分には印刷をせずに作成することもできる。
また、(b)化学活性点発生層形成後、何らかのエネルギーを与えて硬化処理工程をおこなってもよい。与えるエネルギーとしては光、熱、圧力、電子線などがあげられるが今回の実施形態においては熱または光が一般的であり、熱の場合は100℃〜300℃の熱を10分〜120分加えることができる。この硬化処理工程は(b)化学活性点発生層形成後すぐにおこなっても、後のいろいろな工程を行ったあと行ってもよい。
更に必要に応じて(a)絶縁層基材形成後、もしくは(b)化学活性点発生層形成後乾式及び/又は湿式法により表面を粗化してもよい。乾式粗化法としてはバフ、サンドブラスト、等の機械的研磨やプラズマエッチング等が挙げられる。一方、湿式粗化法としては過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸、等の酸化剤や、強塩基や樹脂膨潤溶剤を用いる方法等の化学薬品処理が挙げられる。本発明においては必ずしも十分な粗化は必要ではない。
<(c)反応性高分子化合物含有層>
本発明における(c)反応性高分子化合物含有層は、(d)導体層を設けるための、導電性材料やその前駆体、めっき触媒などの、導体層形成のシードとなる物質を付与できる官能基をもつ高分子化合物を含有し、かつ、(a)絶縁層(詳細には、(a−2)化学活性点発生能を有する絶縁層)、もしくは(b)化学活性点発生層にエネルギー付与する際に発生する活性点と化学結合を作りうる反応性の官能基を持つ化合物を含有する。なお、一つの高分子化合物が、シードとなる物質を付与しうる官能基と結合を形成しうる官能基の双方を有するものを用いることも好ましい。(c)層に含まれる高分子化合物としては、具体的には、露光などのエネルギー付与によりグラフトポリマーを生成させうる化合物(重合性化合物)、或いは、エネルギー付与により隣接する層との間で架橋構造などを形成し、両者の密着性を向上しうる化合物などの反応性化合物が挙げられ、これら反応性化合物により生成される高分子化合物は、導電性素材を付着させるものであることから、前記反応性は、重合反応あるいは架橋構造形成可能であって、且つ、絶縁性樹脂組成物層への結合に必要な部分構造、例えば、「ラジカル重合可能な不飽和二重結合」などと、後述する導電性素材をグラフトポリマーに付着させるために必要な「導電性素材と相互作用可能な官能基」の双方を有する化合物を用いることが好ましい。
反応性化合物のなかでも代表的なものとして、重合反応可能な重合性化合物を挙げることができる。重合性化合物は、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物である。
「ラジカル重合可能な不飽和二重結合」を含む官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、などが挙げられる。このうち、アクリロイル基、メタクリロイル基は反応性が高く、良好な結果が得られる。
ラジカル重合可能な不飽和化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、例えば、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基を有するモノマー、マクロマー、重合性不飽和基を有するオリゴマー、ポリマーなどを使用することができる。
また、反応性化合物の他の態様としては、分子内に反応性の活性基、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、アゾ化合物における活性基などを有するオリゴマーもしくはポリマー化合物、或いは、架橋剤と架橋性化合物との組合せなどが挙げられる。
反応性化合物としては上記官能基をもち、かつ重量平均分子量が1000以上のものを使用することがより好ましく、更に好ましくは2000以上のものを使用することが好ましく、更にこのましくは3000以上のものを使用することが好ましい。また、重量平均分子量は30万以下が好ましく、より好ましくは20万以下であり、15万以下であることがさらに好ましい。重合平均分子量がこの範囲において、(c)反応性高分子化合物含有層を形成した際、反応性化合物が(b)化学活性点発生層に拡散したり、蒸散したりする事態が抑制され、均一な露光が可能となる。さらに、活性点に対する反応性に優れ、(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層との十分な密着が達成される。
このよう高分子化合物は、その反応性基により、部分的に(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層と化学結合を形成することにより十分な密着性を達成するが、通常の重合性モノマーや架橋性モノマーを塗布して形成する反応性高分子化合物含有層に比較し、隣接する層との結合点が少なく、反応性の高分子化合物自体の運動性がある程度維持されることから、導電性材料を付与しうる官能基が効率よく、多量に導電性材料類を付着させうるという利点を有する。
また、(c)反応性高分子化合物含有層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記反応性化合物に加え、目的に応じて、例えば、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などの種々の化合物を含有することができる。反応性化合物は(c)反応性高分子化合物含有層が形成されて、エネルギー付与がなされる前の状態で50重量%以上が好ましく、より好ましくは60重量%以上が好ましく、よりこのましくは70重量%以上が好ましい。50重量%以下の場合、活性点に対する反応が損なわれ本発明の効果を損なう結果となる。
反応性化合物は、さらに、導電性材料を付着させうる部分構造である導電性素材と相互作用可能な官能基を有することが必要である。
導電性素材と相互作用可能な官能基とは、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有する官能基、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基が挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の極性基も用いることもできる。
また、この反応性高分子化合物は電気信頼性の観点から、形成された反応性高分子化合物層自体を疎水的としうる化合物であることが好ましい。この場合、「疎水的」とは、例えば、この反応性高分子化合物を単独でフイルム状に成形し、23℃50%RHの条件下で測定した平衡含水率などで表すことができる。この平衡含水率は20%以下が好ましく、より好ましくは7%以下であり、5%以下がさらに好ましい。
また、これらの反応性化合物は導体層形成時には親水性であっても導体層形成後、もしくは最終的な導体層付き絶縁基板材料、もしくは最終的なプリント配線板にしあげられるまでに何らかの操作(例えば後架橋反応や、疎水化反応)により疎水的になればそれでもよい。
この反応性高分子化合物は、配線パターン形成時のエッチング工程や配線パターン形成後に除去したり不活性化したりすることもでき、そのような工程により最終的に配線の非形成領域で除去される態様で用いられる場合などには、必ずしもこの化合物が疎水的である必要はない。
(c)反応性高分子化合物含有層の厚みとしては0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜3μmが更に好ましく、0.5〜2μmが更に好ましい。(c)反応性高分子化合物含有層の厚みをこの範囲とすることで、十分な密着強度が達成され、且つ、当該層の適正な強度が実現する。
(c)反応性高分子化合物含有層の形成方法としては前記電気的絶縁層と同様に塗布、転写、印刷などの方法により形成することができる。また、塗布で(c)反応性高分子化合物含有層を設ける場合、(b)化学活性点発生層と同時に重層塗布しても、(a)電気的絶縁層と(b)化学活性点発生層とともに3層同時に塗布しても、(a)絶縁層形成後もしくは(b)化学活性点発生層形成後、逐次で塗布して形成してもよい。同様に転写で形成する場合は支持体上に(c)反応性高分子化合物含有層、(b)化学活性点発生層の2層構成の転写フイルム、もしくは(c)反応性高分子化合物含有層、(b)化学活性点発生層、(a)絶縁層の3層構成の転写フイルムを作成し、ラミネート法によって一度に転写してもよい。
塗布の方法としては前記(a)絶縁層形成の説明で述べた一般的な方法を使用することができる。
塗布に使用できる溶剤は水もしくは有機溶剤が使用され、具体的には、水、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒が好ましい。更にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等も使用できる。更に通常溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の芳香族炭化水素の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、(a)電気的絶縁層、もしくは(b)化学活性点発生層の表面を平滑にたもつため、(a)電気的絶縁層もしくは(b)化学活性点発生層を溶解しにくい溶剤、もしくはこれらの層に含まれる活性種を抽出しにくい溶剤の組み合わせが好ましい。
また、塗布液の粘度は好ましくは1〜2000cps、より好ましくは3〜1000cps、より好ましくは5〜700cpsに調整される方が、より精密に膜厚を制御できるという点で好ましい。
印刷法により層形成する場合は印刷で行う場合は通常のグラビア印刷のほか、インクジェット法などの方法で印刷することもできる。
本発明では(c)反応性高分子化合物含有層は(a)絶縁層もしくは(b)化学活性点発生層に発生した活性点と何らかの相互作用をさせて密着させることができる。この相互作用の例としては、分子間相互作用、イオン結合、化学結合、相溶構造の形成などが考えられるが、中でも化学結合を利用するものが、密着強度が高く好ましい。
(エネルギー付与)
(a)絶縁層もしくは(b)化学活性点発生層に活性点を発生させる方法としては、光、電磁波、電子線、放射線などのエネルギー線照射や熱エネルギー、圧力エネルギーの付与などが考えられる。具体的な例としては紫外光照射や赤外線照射、プラズマ照射、コロナ放電、X線照射、アルファ線照射、ガンマ線照射、イオンビーム照射などが挙げられる。
なかでもエネルギー線照射や熱エネルギーが活性点を発生させる方法として好ましく、更に好ましくは紫外光などの照射が簡便な装置でエネルギーを与える方法が挙げられる。また、(a)絶縁層や(b)化学活性点発生層に特別な活性種生成化合物を混合しなくても、短波の紫外光や電子線照射、プラズマ照射などで高エネルギーを与えてやれば活性点を発生させてやることが可能である。更には、より活性点を発生させやすくするために、これらエネルギー照射時にオゾンなど各種のガス雰囲気下で行なったり、逆に真空化で行なってもよい。更にはこれらのエネルギー付与を2〜3種複合的に組み合わせた方法を用いてもよい。
また、エネルギー照射としては光のようなエネルギーを(c)反応性高分子化合物含有層の側から与えてやっても、反対の基板側から与えてやっても、また、熱エネルギーのように全体を加熱することで与えてやってもよいが、下層に既に電気配線のあるような場合に光エネルギーを与える場合には(c)反応性高分子化合物含有層の上部より与えることが好ましい。
また、(c)反応性高分子化合物含有層と(a)絶縁層が積層されている、(c)反応性高分子化合物含有層と(b)化学活性点発生層が積層されている、もしくは、(c)反応性高分子化合物含有層と(b)化学活性点発生層と(a)絶縁層とが積層されている、如き転写シートを、任意の基材に転写してこれらの層を形成する場合は、転写したあとでエネルギーを与えても転写する前にエネルギーを与えてもよく、転写する前に光エネルギーを付与する場合は保護フイルム側から与えても、支持体側からあたえてもよい。
また、与えるエネルギー量としては、活性点が発生し、(c)反応性高分子化合物含有層と相互作用し化学結合を形成する量を適宜与えることができる。こうして(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層と(c)反応性高分子化合物含有層と密着させることができる。このような態様の具体例としては、(b)化学活性点発生層に活性点を発生させるラジカル発生剤を混合しておき、(c)反応性高分子化合物含有層にラジカル重合可能な不飽和二重結合と導電性素材と相互作用可能な官能基とを併せ持つ反応性化合物を含ませることにより、エネルギー照射時に(b)化学活性点発生層の表面に活性点としてラジカルが発生し(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる反応性化合物がグラフトとして化学結合をつくるような例が挙げられる。
熱もしくは光などの輻射線の照射によりエネルギー付与が行われる場合には、熱としてヒーター、赤外線による加熱が使用される。また光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、LED等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
本発明の場合、エネルギーの付与方法としては上記方法のうち、特に波長160nm〜450nmの紫外光から可視光の領域の光エネルギーを用いることが特に好ましい。波長160nmより短いのものを用いる場合はオゾンの発生や人体に照射された場合悪影響を与えるが多くなるため、光のもれや排気を考慮した大掛かりな装置が必要になる。一方波長が450nmより大きい場合は可視光領域になり十分な活性点を発生させるためにはより長時間エネルギー照射が必要となり実用的ではない。
本発明に用いられる波長160nm〜450nmの紫外光から可視光の領域の光エネルギーを発生させる光源としては、該波長域を含む光を発光するものであればどれも使用することができるが、特に、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀ランプ、エキシマランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、アルゴンレーザー、ヘリウム−カドミウムレーザー、アルゴン−フッ素レーザーなどのエキシマUVレーザー、YAGレーザーや半導体レーザー、蛍光灯、タングステン灯などが好ましい。出力としては25W〜1000W程度のものが市販されている。
照射方法としては前記のように(c)反応性高分子化合物含有層と電気的絶縁層が重層されている態様、(c)反応性高分子化合物含有層と(b)化学活性点発生層が重層されている、もしくは(c)反応性高分子化合物含有層と(b)化学活性点発生層と電気的絶縁層が重層されている転写シートをもとの基板もしくは配線の形成してある基板に転写してこれらの層を形成する場合は、転写したあとで露光しても転写する前に転写後に露光してもよく、転写する前に光エネルギーを付与する場合は保護フイルム側から与えても、支持体側からあたえてもよい。
露光装置としては散乱光露光装置でも平行光露光装置でも、投影型露光装置でもよく、更にはレーザーをつかったダイレクトイメージャーのような装置でもよい。
更に露光時に照射面が真空になるようにする、あるいは基板のそりなどを防ぐために石英板やガラス板の上から露光してもよい。
本発明においては、通常は全面にエネルギーを付与することにより全面に(c)反応性高分子化合物含有層を密着させ、全面にシードをつけることにより、導体層を全面に形成して導体層付き絶縁層基材を得る。
また、更に導体層付絶縁層基材で配線パターン形成時に導体層を形成したくない領域、たとえばビアのような部分にはエネルギーを与えないようにする、たとえば光照射時にマスクを介して照射することにより任意に(c)反応性高分子化合物含有層と(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層との密着のための結合を形成しないようにすることも可能である。この場合は平行光露光装置や投影型露光装置を用いる方がより微細な加工ができるので好ましい。
露光量はランプの強度、ランプと基板の距離、ランプと間にマスクなどをはさむか、および、露光時間、および発光波長の分布などにより異なるが、露光面での前記波長域での露光エネルギーの総和で0.05mj/cm以上10000mj/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mj/cm以上6000mj/cm以下が好ましく更にこのましくは0.5mj/cm以上4000mj/cm以下が好ましい。これらエネルギーを与えることにより(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層に特別に活性点発生物質がなくても活性点を発生させることができるが、(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層に活性点発生化合物を添加することにより、より少ないエネルギーで活性点を発生できるので好ましい。
露光エネルギーが上記範囲において、(b)化学活性点発生層と(c)反応性高分子化合物含有層との間に十分な結合が形成され、(c)反応性高分子化合物含有層の密着形成がなされるとともに、(c)反応性高分子化合物含有層の内部などにおける所望されない重合、架橋反応が抑制され、その後の工程である現像工程や、めっき触媒付与工程において、現像液や触媒液の浸透が抑制されるといった事態も防止しうる。さらに、この露光量の範囲では、エネルギー付与における生産性も良好であり、実用上も好ましい範囲であるといえる。
また、露光方法としては連続的に露光エネルギーを与えても、パルス的に高エネルギーの露光を数回与えるような与え方をしてもよいが、低エネルギーを長時間与えても活性点を発生させる活性化エネルギーより低い場合は活性点が発生しにくいので効率的ではないので、活性点が発生するエネルギー以上を一定時間以上与えることが好ましい。活性点が発生するエネルギーは(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層に含まれる活性点発生化合物および、(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層を形成する化合物による。
また、更に密着反応を促進するために、露光と同時に、もしくは露光後に加熱処理しても良い。加熱温度としては40℃〜170℃の温度で3秒から60分間加熱することが好ましい。
こうして(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層と(c)反応性高分子化合物含有層と密着させることができるが、このような例としては(b)化学活性点発生層に活性点を発生させるラジカル発生剤を混合しておき、(c)反応性高分子化合物含有層にラジカル重合可能な不飽和二重結合と導電性素材と相互作用可能な官能基とを併せ持つ反応性化合物を含ませることにより、エネルギー照射時に(b)化学活性点発生層の表面に活性点としてラジカルが発生し(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる反応性化合物がグラフトとして化学結合をつくるような例が挙げられる。
熱もしくは光などの輻射線の照射によりエネルギー付与が行われる場合には、熱としてヒーター、赤外線による加熱が使用される。また光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、LED等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
また、本発明の製造方法では、エネルギーを付与して(c)反応性高分子化合物含有層を(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層に密着させたあと、密着に寄与しない未反応の(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる各成分や、(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層と結合をつくりえなかった(c)反応性高分子化合物含有層形成用組成物を除去する工程(現像工程)を行うことができる。
これは一般的には(c)反応性高分子化合物含有層を溶解させることができ、且つ、(a)絶縁層や(b)化学活性点発生層を溶解させないような溶剤で行われる。具体的には、水、アルカリ性現像液、有機溶剤系現像液などが用いられる。この現像方法としては前記溶剤につけて攪拌する方法やシャワーなどの圧力洗浄などの方法などがとられることが多い。
また、(c)反応性高分子化合物含有層を形成し、前記エネルギー照射によって(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層と密着させた後、上記方法で余分な(c)反応性高分子化合物含有層を除去し、更に(c)反応性高分子化合物含有層とシード化合物との密着性を向上させるために、プラズマ処理、紫外線処理などを併用してもよい。
<(d)導体層の形成>
導電性材料からなる(d)導体層は、(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物の官能基に導電性材料を付与する前処理となるシード(導電性材料あるいはその前駆体など)を付与し、その後、シード自体を導体層に変換する方法、シードをベースとして無電解めっきや電気めっきを行う方法などにより形成することができる。
本発明の(c)反応性高分子化合物含有層にシードを付与する工程としては、例えば(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる導電性素材と相互作用可能な官能基と相互作用しうる金属からなるイオンを還元し、その金属をめっき触媒として利用して無電解めっきを行う方法、直接還元された金属膜を利用する方法、金属コロイドや金属ナノ粒子、導電性微粒子を相互作用させる方法などが知られている。
金属イオン又は金属塩を付与し、その後、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程を実施する方法としては、具体的には、導電性素材と相互作用可能な官能基である(1)極性基(イオン性基)を有する化合物からなるグラフトポリマーに金属イオンを吸着させる方法、(2)ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾールなどのように導電性素材と相互作用可能な官能基で金属塩に対し親和性の高い含窒素、含イオウポリマーからなるグラフトポリマーに、金属塩、又は、金属塩を含有する溶液を含浸させる方法がある。(3)(b)化学活性点発生層と密着した(c)反応性高分子化合物含有層に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与し、無電解めっきを行う工程においては、無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する(c)反応性高分子化合物含有層を生成させ、該(c)反応性高分子化合物含有層に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与した後、無電解めっきを行って金属薄膜を形成する方法をとる。
本工程に用い得る導電性微粒子としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、公知の導電性素材からなる微粒子を任意に選択して用いることができる。例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Crなどの金属微粒子、In、SnO、ZnO、CdO、TiO、CdIn、CdSnO、ZnSnO、In−ZnOなどの酸化物半導体微粒子、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた微粒子、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物微粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物微粒子、LaBなどの導電性ホウ化物微粒子、また、有機材料としては導電性高分子微粒子などが好適なものとして挙げられる。導電性微粒子の粒径は0.1nmから1000nmの範囲であることが好ましく、1nmから100nmの範囲であることがさらに好ましい。粒径が0.1nmよりも小さくなると、微粒子同士の表面が連続的に接触してもたらされる導電性が低下する傾向がある。また、1000nmよりも大きくなると、極性変換された官能基と相互作用して結合する接触面積が小さくなるため親水性表面と粒子との密着が低下し、導電性領域の強度が劣化する傾向がある。また、1000nmよりも大きくなると、官能基と相互作用して結合する接触面積が小さくなるため粒子との密着が低下する傾向がある。
本工程において、金属塩としては、グラフトポリマー生成領域に付与するために適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、導電膜としてはAgが、磁性膜としてはCoが好ましく用いられる。
本工程において用いられる無電解めっき触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、(c)反応性高分子化合物含有層が有する相互作用性基(例えば、極性基など)と相互作用させることで、(c)反応性高分子化合物含有層に金属コロイド(無電解めっき触媒)を付着させることができる。
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解めっき触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、基板へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
本発明における導電性微粒子や金属イオン、金属塩、無電解めっき触媒、無電解めっき触媒前駆体の付与方法としては上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、(c)反応性高分子化合物含有層に塗布するか、或いは、その溶液中に(c)反応性高分子化合物含有層まで形成済みの基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、官能基には、金属イオンが吸着することができる。
これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
本発明の例としては電気的絶縁層上に固定された(c)反応性高分子化合物含有層にめっき触媒をつけるために、めっき触媒液(例えば硝酸銀水溶液や錫−パラジウムコロイド溶液)に基板を浸漬する。無電解めっき触媒としては、パラジウム。金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、錫などの金属美粉末、及び/又はこれらのハロゲン化物、酸化物、水酸化物、硫化物、過酸化物、アミン塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。また、これらを各種の無機成分に吸着させたものでも良い。この際の無機成分としてはコロイダルシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、雲母等の既述のものの他、アルミナ、カーボンのような微粉末であればどのようなものでも良い。また、この際の微粉末の大きさとしては平均粒子径が0.1〜50μmであるのが好ましい。
前記導電性微粒子や金属イオン、金属塩、無電解めっき触媒、無電解めっき触媒前駆体は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
更にめっき触媒液に浸漬した後、余分なめっき触媒液を洗浄により除去する。
本工程において、(c)反応性高分子化合物含有層に吸着又は含浸して存在する金属塩、或いは、金属イオンを還元し、金属(微粒子)膜を成膜するために用いられる還元剤としては、用いた金属塩化合物を還元し、金属を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウムが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。上記還元剤の添加方法としては、例えば、(c)反応性高分子化合物含有層が存在する電気的絶縁層表面に金属イオンや金属塩を付与させた後、水洗して余分な金属塩、金属イオンを除去した後、該表面を備えた密着補助層付電気的絶縁層をイオン交換水などの水中に浸漬し、そこに還元剤を添加する方法、該密着補助層付絶縁性樹脂層表面上に所定の濃度の還元剤水溶液を直接塗布或いは滴下する方法等が挙げられる。また、還元剤の添加量としては、金属イオンに対して、等量以上の過剰量用いるのが好ましく、10倍当量以上であることが更に好ましい。
前記密着補助層に付与したシード層が十分な導電性を示す場合はこのまま電気めっきを行って導体層を形成してもよいが、金属イオンや無電解めっき触媒をつけただけでは十分な導電性が得られない場合があり、その場合は更に無電解めっき触媒を利用して無電解めっきを行う。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。無電解めっきはソフトエッチング、酸洗浄を行った後おこなってもよい。更に一般的に市販されている、アクチベーター、アクセラレーターの工程を経ておこなってもよい。
本工程における無電解めっきは、例えば、前記無電解めっき触媒等付与工程で得られた、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体が(c)反応性高分子化合物含有層に付着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここ使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。また、無電解めっき触媒前駆体を還元し、無電解めっき触媒にしたうえで無電解めっき浴に浸漬してもよく、この場合も余分な無電解めっき触媒前駆体などを洗浄などで除去する。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銀、クロム、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銀、銅、金、クロム、ニッケルが特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCu(SO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される導電性膜(金属膜)の膜厚は、めっき浴の金属塩又は金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
電気的絶縁層を形成する樹脂との密着を向上させるため、無電解めっきはクロムやニッケルで行い、導体層を形成する電気めっきは銅めっきをするというように、無電解めっきで形成される金属と電気めっきで形成される金属とが異なっていてもよい。
また、サブストラクティブ工法に用いられる銅張板を作成する場合はこのあと電気めっき工程を行い導体層を形成してもよい。
電気めっき工程では、前記無電解めっき工程における無電解めっきの後、この工程により形成された金属膜(導電性膜)を電極とし、さらに電気めっきを行うことができる。これにより絶縁性樹脂層との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本態様により得られた導電性素材を種々の応用に適用するのに好適である。
本態様における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、本発明における電気めっき工程は、上述したように、パターン状の金属膜を目的に応じた厚みに形成するため以外にも、例えば、電気めっきすることで、IC等の実装に応用しうるようにするなどの目的のために、行うこともできる。この目的で行われるめっきは、銅等で形成される導体層表面に対して、ニッケル、パラジウム、金、銀、すず、ハンダ、ロジウム、白金、及びそれらの化合物からなる群から選ばれる材料を用いて行うことができる。
サブトラクティブ法とは、上記手法で電気めっきまで行って作成した導体層(金属膜)上に、(1)レジスト層を塗布→(2)パターン露光、現像により残すべき導体のレジストパターン形成→(3)エッチングすることで不要な金属膜を除去する→(4)レジスト層を剥離させ、金属パターンを形成する方法を指す。本態様に使用される金属膜の膜厚としては5μm以上であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがより好ましい。
(d)導体層形成後加熱処理などを行ってもよい。加熱処理工程における加熱温度としては、100℃以上が好ましく、更には130℃以上が好ましく、特に好ましくは180℃程度である。加熱温度は、処理効率や電気的絶縁層の寸法安定性などを考慮すれば400℃以下であることが好ましい。また、加熱時間に関しては、10分以上が好ましく、更には30分〜120分間程度が好ましい。これにより熱硬化性樹脂の硬化が進行し、導体層のピール強度を更に向上させることもできる。
更に、本発明の導体層付き絶縁層基材を用い、セミアディティブ法を用いて導体層の上にめっきレジストをもうけて配線パターンを形成する工程を行うことができる。セミアディティブ法とは、(c)反応性高分子化合物含有層の上に形成した金属膜上に、(1)レジスト層を塗布→(2)パターン露光、現像により除去すべき導体のレジストパターン形成→(3)めっきによりレジストの非パターン部に金属膜を形成する→(4)DFRを剥離させ→(5)エッチングすることで不要な金属膜を除去する、金属パターン形成方法のことである。最初に形成した金属膜を給電層として用いて、電気めっきによりレジストのない部分に導電層を形成する手法である。めっき手法としては前記で説明した、無電解めっき、電気めっきが使用することができる。また、レジスト層を塗布する金属膜の膜厚としては、エッチング工程を短時間で済ませるため、0.3〜3μmほどが好ましい。また、形成された金属パターンに対して、さらに、電解めっき、無電解めっきを行ってもよい。
(1)レジスト層形成工程
レジストについて
使用する感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、または、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが使用できる。感光性レジストとしては、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストを使用することができる。これらはそれぞれ特徴があり、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は乾式で用いることができるので取り扱いが簡便、2.液状レジストはレジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストはレジストとして薄い膜厚とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用するレジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。
塗布方法
1.感光性ドライフィルム
感光性ドライフィルムは、一般的にポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしており、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する。
感光性ドライフィルムレジストは、その処方、製膜方法、積層方法については、特願2005−103677明細書、段落番号〔0192〕乃至〔0372〕などに詳細に記載され、これらの記載は本発明にも適用することができる。
2.液状レジスト
塗布方法はスプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートがある。両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートが両面同時にコートが可能である、好ましい。
液状レジストについては、特願2005−188722明細書、段落番号〔0199〕乃至〔0219〕などに詳細に記載され、これらの記載は本発明にも適用することができる。
3.ED(電着)レジスト
EDレジストは感光性レジストを微細な粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものであり、粒子が電荷を帯びているので、導体層に電圧を与えると電気泳動により、導体層上にレジストが析出し、導体上でコロイドは相互に結合し膜状になる、塗布することができる。
(2)パターン露光工程
「露光」
レジスト膜を金属膜上部に設けてなる基材をマスクフィルムまたは乾板と密着させて、使用しているレジストの感光領域の光で露光する。フィルムを用いる場合には真空の焼き枠で密着させ露光をする。露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。パターン幅を100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。また、近年、マスクフイルムまたは乾板を使用せず、レーザーによりデジタル露光することにより、パターン形成する方法もとられるようになってきている。
「現像」
光硬化型のネガレジストならば未露光部を、または、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすものならば何を使用しても良いが、主には有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、近年は環境負荷低減からアルカリ性水溶液が使用されている。
(3)めっきによりレジストの非パターン部に金属膜を形成する
前記パターン形成の後、パターン下部に存在する金属膜もしくは導電性膜(例えば無電解めっきで形成した膜)を給電電極とし、さらに電気めっきを行うことができる。これにより電気的絶縁層との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本態様により得られた導電性素材を種々の応用に適用するのに好適である。
本態様における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電気めっきによる導体層の形成はレジストを厚くすれば厚く、薄くすれば薄くなる。レジストの厚みよりも電気めっきによる導体層が厚くなった場合はレジストが剥離しにくくなる上に隣の線との間がつまり好ましくない。
(4)レジスト剥離工程
「剥離工程」
電気めっきして金属(導電性)パターンが完成した後、不要となっためっきレジストは不要になるので、これを剥離する工程が必要である。剥離は、剥離液をスプレーして行うことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的にはレジストを膨潤させる溶剤、または、溶液をスプレーにより拭きつけ、レジストを膨潤させて剥離する。
なる。
(5)エッチング工程
「エッチング」
エッチングは不要となった給電層を化学的に溶解除去することで導体パターン間の絶縁性を発現させ、導体パターンを完成するための工程である。エッチング工程は主に水平コンベア装置で、エッチング液を上下よりスプレーして行う。エッチング液としては、酸化性の水溶液で金属層を酸化、溶解する。エッチング液として用いられるものは塩化第二鉄液、塩化第二銅液、アルカリエッチャントがある。レジストがアルカリにより剥離してしまう可能性があることから、主には、塩化第二鉄液、塩化第二銅液が使用される。
本発明の方法では、基板界面が凹凸化されていないため基板界面付近の導電性成分の除去性が良いことに加え、金属膜を基材上に導入している(c)反応性高分子化合物含有層が、高分子鎖の末端で(b)化学活性点発生層もしくは電気的絶縁層と結合しており、非常に運動性の高い構造を有しているため、このエッチング工程において、エッチング液がグラフトポリマー層中に容易に拡散でき、基材と金属層との界面部における金属成分の除去性に優れるため、鮮鋭度に優れたパターン形成が可能となる。
本発明では配線パターン形成後、非配線部分に残存する(c)反応性高分子化合物含有層を不活性化する工程を行ってもよい。不活性化を行うことによりシードを除去しやすくしイオンマイグレーションなどの故障を未然に防ぐこともできる。不活性化の方法としては(c)反応性高分子化合物含有層とある種のイオン化合物を相互さようさせて、不溶の塩を形成してしまう方法、めっき触媒と相互作用できる官能基を別の絶縁性の基に化学的に改質する方法などをとることができる。更には上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性をあげるために、これらの層と化学結合をつくりうる官能基に改質してもよい。
更には配線パターン形成後、非配線部分に残存する(c)反応性高分子化合物含有層を除去する工程を入れてもよい。除去の方法としては例えば粗面化処理に用いられるデスミア工程を用いてもよい。デスミア工程はアルカリ性過マンガン酸を用いる方法が知られている。デスミア工程は絶縁膜にシードを利用して無電解めっきを行い給電層となる金属膜を形成した後に行うこともできる。この工程では膨潤工程、エッチング工程、中和工程などが含まれる。この処理を行うことにより、更には上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性をあげることができる。また、配線形成時は粗面化していないため、高精細な配線パターンが形成できる。
また、本発明の導体層付き絶縁層基材を用いて形成した導体パターンに銅面の処理を行ってもよい。処理法としては黒色酸化処理法、酸化銅還元法、銅粗面化法、粗面化無電解銅めっき法などを適用することができる。これらを行うことにより、上層にくる電気的絶縁層やソルダーレジストの層との密着性をあげることができる。また、金属導体部の酸化を防止するために防錆処理を行う場合もある。
更にパターン形成後、再び電気的絶縁層形成工程にもどることにより、多層基板を作成することができる。また、最外層の場合は保護膜の形成やソルダーレジスト膜の形成工程仕上げのめっき(例えばニッケル−金めっき、ソルダーコートなど)、基板を製造することができる。
上述したように、本発明の導体層付き絶縁層基材を用いて、プリント配線板を作製することで、優れた特性を有する微細な配線パターンを形成可能なプリント配線板を容易に形成することができる。本発明の製造方法により得られた銅張り積層板などの導線性材料を用いて、例えば、公知のエッチング処理などにより、従来の技術では困難であった20ミクロン以下の微細で、且つ密着強度の高い銅配線の形成が可能となる。本発明で得られるプリント配線板は表面平滑性に優れるので、上記の如き製造法を複数繰り返し、ビルドアップ層を多段に積層して多層プリント配線板を製造することもできる。
本発明の導体層付き絶縁層基材の製造方法およびその製造方法をもちいて作製した導体層付き絶縁層基材は、絶縁層の粗面化が必ず必要ではないため微細な配線パターンを形成することが可能であり、かつ高い密着強度を発現するプリント配線板を形成するのに有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り全て「質量部」を表す。
〔実施例1〕
ガラスエポキシ樹脂を基材とし、その上に(a)電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13、45μmを加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して電気的絶縁層つき基材を形成した。さらにこの(a)絶縁層の上に(b)化学活性点発生層形成用塗布液組成物として下記組成の絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、その後、140℃で30分乾燥して(b)化学活性点発生層を形成した。
(開始剤を含有した(b)化学活性点発生層の形成)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)25質量部(以下、配合量は全て質量部で表す)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)40部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)35部をエチルジグリコールアセテート20部、ソルベントナフサ20部に攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)25部と2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.9部、さらに微粉砕シリカ2部、シリコン系消泡剤0.4部を添加しさらにこの混合物の中に下記構造式で表される重合開始ポリマーP1を10部添加し、(b)化学活性点発生層−1形成用塗布液を作製した。
Figure 2008108469
更に、(a)絶縁層および(b)化学活性点発生層−1形成後180℃で30分間硬化処理を実施した。
次に(c)反応性高分子化合物含有層−1形成用の液として側鎖に重合性基のある下記構造式で表されるポリマーP2(重量平均分子量30000)を含む、(c)反応性高分子化合物含有層−1形成用液を作製し、前記(b)化学活性点発生層−1の上に厚さ1.5ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、その後、80℃〜120℃で乾燥して(c)反応性高分子化合物含有層を形成した。
((c)反応性高分子化合物含有層−1形成用液状組成物2)
・側鎖に重合性基を持つポリマー(P2) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
Figure 2008108469
前記(c)反応性高分子化合物含有層−1を(b)化学活性点発生層−1の上に形成した後、(c)反応性高分子化合物含有層−1の側より活性点を発生させ密着させるエネルギーとして中心波長254nmの紫外光を露光機:紫外線照射装置(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)を用い、露光面が露光した。露光面での積算照射エネルギーが1000mjとなるように光源から露光面までの距離、および露光時間を調整した。全面露光後、(b)化学活性点発生層と相互作用しえなかった不要な(c)反応性高分子化合物含有層反応物を1%重曹液で充分洗浄し、除去した。
前記(c)反応性高分子化合物含有層−1を(b)化学活性点発生層に密着させた基板を、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解めっき浴に10分間浸漬し、シードとなる無電解銅めっき層を形成した。無電解めっき層の厚みは1.5ミクロンであった。
<無電解めっき浴成分>
・硫酸銅 0.40g
・酒石酸NaK 1.70g
・水酸化ナトリウム 0.75g
・ホルムアルデヒド 0.25g
・水 47.8g
更に前記無電解銅めっき層を給電層として下記組成の電気銅めっき浴に3A/dm2の条件で電気めっきを30分間行い、(d)導体層を形成した。トータルの銅の厚みは18ミクロンであった。
<電気めっき浴の組成>
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製)3.5mL
・水 500g
得られた導体層付き絶縁層基材を、更に140℃で1時間加熱処理をおこなった。
(剥離強度の評価)
得られた導体層付き絶縁層基材における樹脂(絶縁層基材)と銅箔(導体層)とのピール強度をJISC6471に準じ90度剥離試験を行って評価した。結果を下記表1に示す。
(表面凹凸評価)
次にウエットエッチング(塩化第二鉄を主成分としたエッチング液もしくは塩化第二銅を主成分としたエッチング液等)を行い、銅箔を完全にエッチングした後、残った基板表面の凹凸を、ナノピクス(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)にて測定した。
〔実施例2〕
実施例1で重合開始ポリマーP1の代わりに、下記重合開始ポリマーP3を用いた(b)化学活性点発生層−2、側鎖に重合性基のあるポリマーP2の代わりに側鎖に重合性基のあるポリマーP4(重量平均分子量28000)を用いた(c)反応性高分子化合物含有層−2を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例2の導体層付き絶縁層基材を作製した。なお、このときの露光エネルギーは800mj/cmであった。
この導体層付き絶縁層基材を実施例1と同様に評価した。
Figure 2008108469
〔実施例3〕
ガラスエポキシ基板と電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13、45μmを用いるかわりに、非熱可塑性ポリイミドフイルム((株)カネカ製アピカルAH 20μm)を用いて絶縁層基材とした以外は、実施例2と同様な操作を行って導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。このとき、露光エネルギーは1000mj/cmであった。
〔実施例4〕
(b)化学活性点発生層−3としてピロメリット酸無水物 0.55mol、3,3’,4,4’−ビスフェニルテトラカルボン酸無水物 0.55mol、をn−メチルピロリドン2377gと混合溶解した後、4,4’−オキシ−bis−ベンゼンジアミン0.45molおよび2,2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニルプロパン)0.45mol、および前記重合開始ポリマーP3をモノマー単位で0.1mol配合し、75℃で4時間反応させた。
得られた反応液にトルエン200gを添加し200℃で加熱し、反応で発生した水分を除去、その後トルエンを留去し、反応物を水中にそそぎ沈殿物を分離、粉砕、洗浄、乾燥し、ポリマー接着剤化合物P5粉末を得た。この粉末500gとジメチルアセトアミド2840gとを混合し40℃で2時間攪拌し(b)化学活性点発生層−3液を得た。この密着補助層液を非熱可塑性ポリイミドフイルム(東レデュポン(株)製 カプトンEN 12.5ミクロン)に塗布し200℃で30分乾燥した以外は実施例3と同様な操作を行って、実施例3の導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。このときの露光エネルギーは880mj/cmであった。
〔実施例5〕
実施例3において、付与する露光エネルギーを12000mj/cmにした以外は実施例3と同様な操作を行って実施例5の導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。
〔比較例1〕
実施例1において側鎖に重合性基を持つポリマー(P2)の代わりにアクリル酸モノマーを用いて比較反応性高分子化合物含有層を形成した以外は実施例1と同様な操作行って、比較例1の導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。このときの露光エネルギーは900mj/cmであった。
〔比較例2〕
実施例3において(c)反応性高分子化合物含有層を形成せず、かつその後のエネルギー付与工程を行なわずに(b)化学活性点発生層を接着層として18ミクロンの電解銅箔を、140℃に昇温したロールで圧着してから80℃の雰囲気下で2時間熱処理した後、更に160℃の雰囲気下で2時間処理し、比較例3の導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。
〔比較例3〕
実施例3において(c)反応性高分子化合物含有層を形成せず、過マンガン酸ナトリム系のエッチング液を用いた80℃10分間のエッチング工程、硫酸系の中和液を用いて40℃5分間の中和工程を実施した。さらに一般的に市販されている、アクチベーター、アクセラレーターの工程を経た後、実施例1と同様に無電解めっき、電気めっきを行い、その後得られた導体層を形成した基板を更に140℃で1時間加熱処理を行って、比較例4の導体層付き絶縁層基材(銅張積層板)を得た。
これらを実施例1と同様に評価した結果を、下記表1に示す。
Figure 2008108469
表1に明らかなように、本発明の方法により得られた導体層付き絶縁層基材は、従来方法では達成できなかった導体層と絶縁層基材との密着強度と、絶縁層基材の平滑性(表面粗さの小ささ)の両立を可能としたことがわかる。また、実施例1〜4と実施例5との対比において、層間を密着させるための露光エネルギーを好ましい範囲に調整することで、密着強度が一層改良されることがわかる。

Claims (14)

  1. (a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(b)該絶縁層と相互作用を形成しうる化学活性点発生層を形成する工程と、該(b)化学活性点発生層表面に(c)該化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、該(c)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物に導電性材料又はその前駆体を付与し、(d)導体層を形成する工程を有する導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  2. (a)電気的絶縁性を有する絶縁層を基材とし、該基材の片面もしくは両面に、(c−2)該絶縁層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程と、該(c−2)反応性高分子化合物含有層に含まれる高分子化合物に導電性材料又はその前駆体を付与し、(d)導体層を形成する工程を有する導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  3. 前記(d)導体層が、無電解めっきにより形成された金属層を含み、導体層の少なくとも1層が銅を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  4. 前記(d)導体層が無電解めっきにより形成された金属層を給電層とする電気めっきにより形成される1層以上の金属層含み、導体層の少なくとも1層が銅を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  5. 前記(b)化学活性点発生層と、(c)該化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層との厚みの合計が0.2μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  6. 前記(c)化学活性点発生層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層又は前記(c−2)絶縁層および導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層を形成する工程の後に、エネルギーを付与して(b)化学活性点発生層と(c)反応性高分子化合物含有層又は(a)絶縁層と(c−2)反応性高分子化合物含有層の間に結合をつくるエネルギー付与工程を有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  7. 前記(c)化学活性点発生層及び導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層又は(c−2)絶縁層及び導体層の双方と相互作用を形成しうる反応性高分子化合物含有層が、重量平均分子量1000〜300000の反応性高分子化合物を50重量%以上含み、この反応性高分子化合物がエネルギー付与により(b)化学活性点発生層又は(a)絶縁層に含まれる成分と化学結合を形成しうる化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  8. 前記エネルギー付与工程が、波長160nm〜450nmの光を照射する工程である請求項6に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  9. 前記(b)化学活性点発生層もしくは(a)絶縁層が、波長160nm〜450nmの光照射により活性点を生成する物質を含有することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  10. 前記エネルギー付与工程が、0.05mJ/cm以上10000mJ/cm以下のエネルギーを付与する工程であることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  11. 前記(b)化学活性点発生層、(c)反応性高分子化合物含有層、及び(a)絶縁層の少なくとも1つが、プレス法、転写法、塗布法、印刷法及びインクジェット法から選択される方法により形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  12. 前記(b)化学活性点発生層、(c)反応性高分子化合物含有層、及び(a)絶縁層のうち少なくとも2層が、プレス法、転写法、又は塗布法により、複数層同時に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  13. (b)化学活性点発生層形成工程又は(a)絶縁層形成工程の後に、エネルギーを付与して形成された層をキュアする工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の導体層付き絶縁層基材の製造方法により得られた導体層付き絶縁層基材。
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