JP3346495B2 - フォトビア形成用感光性エレメント及び多層配線板の製造法 - Google Patents

フォトビア形成用感光性エレメント及び多層配線板の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトビア形成性を有
し、良好なめっき銅密着性を有した多層印刷配線板の製
造用の感光性エレメント及び多層配線板の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年印刷配線板の高密度化が進み、配線
層を複数備えたいわゆる多層配線板の比重が高まってき
ている。従来多層印刷配線板の製造にはあらかじめ配線
が形成された積層板を複数枚熱硬化性絶縁シートを介し
てプレス成形する手段が採用されてきたが、位置合わせ
の問題、基材の収縮の問題等によってその製造には細心
の注意が必要であり、従って高価なものとなりやすかっ
た。それに対し、積層プレスの工程をとらず、第一の配
線層の上に絶縁層を形成し、その上に第二の配線層を形
成するといった、いわゆる積み上げ方式の多層配線板が
提案されている。
【0003】このような印刷配線板の層間の接続には従
来から一般的に行われているスルーホールによる層間の
電気接続のほかに、非貫通型の接続法としてドリル寸止
めによって穴開けを行った後めっきを行うといった新た
な層間接続法が採用されている。また、近年ではこれに
代わるものとしてエキシマレーザ穴あけ法が提唱されて
いる。
【0004】このような層間接続法は非貫通型であり、
層間の必要な部分にだけ配置させるために配線の自由度
を増大することができ、多層印刷配線板の層数の低減並
びに印刷配線板の高密度化に大きく寄与する。
【0005】しかし従来採用されている層間接続方法は
基本的には穴を逐次的に形成するのものであり、穴数の
増大と共に製造コストは増大する。多層板は層間接続の
穴が必然的に多くなり、高密度品では1枚当たり1万穴
を越すものもざらではなく穴あけコストは多層板製造の
コストを押し上げる最大の要因の一つである。
【0006】これに対しフォト法で全ての接続孔を一括
に形成するいわゆるフォトビア法が提唱されている。フ
ォトビア法は導体パターン形成の際にもっぱら用いられ
ているフォトリソ加工(感光性樹脂層の所定箇所を露光
・現像し、エッチング又はめっきレジストとする)を層
間絶縁膜に対して適用するものであり、写真法による一
括形成で穴数はコストに無関係であるとともにドリルで
は形成が著しく困難な小径のビアホールが精密に形成で
きることから層間接続法としてはもっとも有望視されて
いる。例えば「表層配線プリント回路基板(SLC)の
特徴と応用」(電子材料、1991年4月号、103〜
108頁)、特開平−148590号公報には感光性
エポキシ樹脂を用いてフォトビア形成をした多層配線板
の紹介がなされている。
【0007】また特開平4−180984号公報にエポ
キシ光開始剤を含むアディティブ接着剤フィルムの例が
挙げられているが、挙げられた例ではゴムの光架橋剤を
含有しないため、高強度の紫外光照射によっても良好な
画像形成は行えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように積み上げ方
式多層配線板はプレス工程を経ずに多層化ができること
の他に小径ビアホールの形成が可能であるとか、微細配
線形成可能である等の利点を有している。しかし、積み
上げ方式で配線を形成していく場合には層間絶縁膜上に
無電解めっき法によって導体を形成し、配線パターンを
形成していくことが不可避である。また形成された配線
パターンはピール強度に代表されるような基材との十分
な密着性が要求されている。従って本方式に要求される
層間絶縁膜としての絶縁材料にはフォトビアホール等の
像形成性、耐無電解めっき性及びめっき銅密着性が必要
である。
【0009】無電解めっき用接着剤は従来からアディテ
ィブ接着剤として使われており、ゴム系材料を主体とし
ている。例えば特開昭58−57776号、特開昭62
−248291号には主成分がエポキシ樹脂、合成ゴム
及びフェノール樹脂からなるものの例が、また特開平4
−180984号にはエポキシ樹脂、合成ゴム、フェノ
ール樹脂、化学めっき触媒及び光感知性芳香族オニウム
塩を含有するフィルム状接着剤が開示されている。これ
らの例は粗化処理液による粗化性に優れ、めっき銅の密
着性は良好であり、例えば2Kgf/mを越えるピール強度が
得られている。しかしながらこれらの材料は感光性は有
しておらずフォトビア形成は当然のことながら不能であ
る。
【0010】一方、耐熱レジスト材料としては、感光性
ソルダマスク材料あるいはフォトアディティブ材料とし
て多くの例が公知である。これらの例は当初から感光性
材料であり、像形成性、耐無電解めっき性には優れるも
のの、無電解めっき銅の密着性は極めて悪い。また、粗
化処理液によっても充分な粗化が行われない等の欠点を
有し、アディティブプロセスにおけるめっきレジストと
しての性能は有っても、事実上アディティブ接着剤(フ
ォトビア法の層間絶縁膜)としては使用不能である。
【0011】先に挙げた例では特殊な粗化液によって粗
化が可能でありめっき銅の密着性も多少上がっているが
報告値としては1.0Kgあるいはそれ以下であり、特
に最外層部分では密着性がまだ不十分である。
【0012】このように積み上げ方式多層配線板に必要
とされる絶縁材料としてはフォトビア形成性、耐熱性、
めっき銅析出性、めっき銅密着性が必要であり、これら
をすべて満たし、多層配線板として充分な信頼性を与え
ることが可能な感光性材料は存在しなかったのが実状で
ある。
【0013】本発明は先に掲げた種々の要求特性を兼ね
備えた新たな感光性材料を提供することであり、さらに
はその感光性材料を簡便な手段で印刷配線板の製造に供
することができるフォトビア形成用感光性エレメントを
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、透光性基材
に、活性光線によって像形成が可能であり、粗化処理液
によって表面に微細な形状を形成可能であり、無電解め
っき等の手段によって導体を析出させることが可能な第
一の感光性樹脂組成物層と、高い無電解めっき液耐性と
絶縁性に優れる第一の感光性樹脂組成物層が積層されて
なるフォトビア形成用感光性エレメントである。
【0015】本発明になるフォトビア形成用感光性エレ
メントでは、第一の感光性樹脂層は像形成を行うと共に
引き続いて行う粗化処理によって良好な粗化面を与え、
めっき銅に高い接着性を与える。
【0016】第二の感光性樹脂層は像形成を行い、第一
の感光性樹脂層とともにフォトビアホールを形成すると
共に高い無電解めっき耐性、絶縁性を有し、主として形
成した多層配線板の絶縁性能の向上に寄与する。特に膜
厚の自由な設定によって層間の充分な絶縁性、耐電食性
の向上をもたらしている。第一の感光性樹脂層には粗化
性向上のためにフィラーが混練りされており、それによ
って活性光線の透過性が妨げられるため厚い膜厚にする
ことには限界がある。第二の感光性樹脂層は第1の感光
性樹脂層では不足するのに見合う絶縁性を与えこれらふ
たつの感光性樹脂層を積層することで先に挙げた種々の
問題点を解決した自由な多層板設計を可能とするもので
ある。
【0017】このように積層構造にすることによって各
々の感光性樹脂層に最適の性質を付与することができ従
来困難であったフォトビアホール法による積み上げ型多
層配線板を簡易な工程で得ることが可能となる。
【0018】本発明の、第一のフォトビア形成用感光性
エレメントは、 (1)ゴム10から90重量部 (2)フェノール樹脂5から40重量部 (3)エポキシ樹脂10から80重量部 これらの混合物計100重量部に対し (4)エポキシ光開始剤0.1から10重量部 (5)芳香族ポリアジド化合物0.1から10重量部 更に必要に応じて (6)フィラー5部から40重量部 よりなる第一の感光性樹脂組成物層と、 (7)フィルム性付与ポリマ20から80重量部 (8)エチレン性不飽和単量体20から80重量部 これらの混合物100重量部に対し (9)光重合開始剤1から10重量部 よりなる第二の感光性樹脂組成物層とを透光性基材にこ
の順に積層されてなるものである。
【0019】本発明の、第二のフォトビア形成用感光性
エレメントは、 (1)ゴム10から90重量部、 (2)エポキシ樹脂10から90重量部、 (3)アクリル樹脂0から60重量部、 及びこれらの混合物計100重量部に対し、 (4)芳香族ポリアジド化合物1から10重量部、 (5)熱硬化性架橋剤1から80重量部、 (6)熱重合開始剤0から10重量部、 を含有し、さらに必要に応じて (7)フィラー5から40重量部、 を含有する第一の感光性樹脂組成物層と (8)フィルム性付与ポリマ20から80重量部、 (9)エチレン性不飽和単量体20から80重量部、 及びこれの混合物計100重量部に対し、 (10)光重合開始剤1から10重量部 を含有する第二の感光性樹脂組成物層を透光性基材にこ
の順で積層されてなるフォトビア形成用感光性エレメン
トである。
【0020】本発明の、第一のフォトビア形成用感光性
エレメントに於て、第一の感光性樹脂層でゴム成分は感
光性エレメント作時にフィルム性を付与しかとう性薄
膜形成を可能とするとともに、後の工程で粗化処理によ
って選択的に反応を受け接着剤表面に微細な形状を形成
る。好ましいゴム成分としては天然ゴム、ブタジエン
ニトリルゴム、イソプレンニトリルゴム、ブタジエンス
チレンゴム、イソプレンスチレンゴム、アクリロニトリ
ルブタジエンゴム、イソプレン含有アクリロニトリルブ
タジエンゴム、カルボキシル含有アクリロニトリルブタ
ジエンゴム、エポキシ含有アクリロニトリルブタジエン
ゴム等が挙げられる。配合量は樹脂成分100重量部に
対し、10から90重量部さらに好ましくは30〜70
重量部が適当である。
【0021】第一の感光性樹脂層でエポキシ樹脂成分は
硬化物の耐熱性、電気特性の向上のために配合される。
用いられるエポキシ樹脂としてはビスフェノール型、ノ
ボラック型、クレゾールノボラック型、脂環式等のエポ
キシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独ま
たは混合して用いることが可能である。この中でも特に
エポキシ量200〜2100(g/量)の範囲にあ
るビスフェノール型エポキシ樹脂が耐熱性、絶縁特性の
点でより好ましい。その配合量は樹脂成分100重量部
に10〜80重量部さらに好ましくは10から35重量
部が適当である。
【0022】第一の感光性樹脂層で用いられるフェノー
ル樹脂は硬化物の耐熱性向上の為に主に用いられる。特
にゴム成分と反応が可能なものの方が望ましい。用いら
れるフェノール樹脂の例としてはレゾール型フェノール
樹脂としてヒタノール2380、ヒタノール2400
(いずれも日立化成工業(株)製)、アルキル変性フェ
ノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、ノボラック
フェノール樹脂等が挙げられる。配合量は樹脂成分10
0重量部中5〜40重量部さらに好ましくは15〜40
重量部が適当である。
【0023】第一の感光性樹脂層で用いられるエポキシ
光開始剤は特公昭52−14277号公報記載の芳香族
オニウム塩、特公昭52−14278号公報記載の芳香
族オニウム塩特公昭52−14279号公報記載の芳香
族オニウム塩等が利用可能照り、その実例としてはトリ
フェニルスルフォニウムヘキサアンチモネート、ジフェ
ニルヨードニウムテトラフルオロほう酸等が挙げられ
る。これらの単独または複数を樹脂成分100重量部に
対し、0.1〜10重量部用いる。
【0024】第一の感光性樹脂層で用いられるゴムの光
架橋剤は主として接着剤組成物中のゴム成分、フェノー
ル樹脂成分を光架橋させるのに用いられる。これらの化
合物は例えばフォトポリマーハンドブック(フォトポリ
マー懇話会編;1989年工業調査会発刊)21〜23
頁、245〜247頁に記載されているようにゴム成分
の二重結合、炭素−水素結合に附加、挿入反応を行って
3次元硬化し、像形成に寄与する。従来用いられてきた
アディティブ接着剤中ゴム成分はかなりの寄与を占める
ため、ゴムの光架橋剤の添加なくしては良好な像形成は
不能である。
【0025】用いられるゴムの光架橋剤としてはアジド
系材料、光ラジカル開始剤等が挙げられるがその中でも
芳香族ポリアジド化合物は反応性に優れ良好な結果を与
える。用いられる芳香族ポリアジド化合物の例として
は、2,6−ビス(4、4’−アジドベンザル)シクロ
ヘキサノン、2,6−ビス(4,4’−アジドベンザ
ル)メチルシクロヘキサノン、3,3’−ジアジドジフ
ェニルスルフォン、4,4’−ジアジドスチルベン、
4,4’−ジアジドカルコン、3,3’−ジメトキシ−
4,4’−ジアジドビフェニル等が挙げられる。
【0026】ゴムの光架橋剤の量は配合したゴム成分の
量に依存するが樹脂成分100部に対し、0.1〜10
重量部が適当である。
【0027】これら光架橋剤の配合量は感光性樹脂組成
物の感度向上の観点から選択されることは勿論である
が、特に第一の感光性樹脂層では第二の感光性樹脂層に
適正な光量を透過させるという観点からの選択も重要で
ある。
【0028】本発明の、第二のフォトビア形成用感光性
エレメントに於て、第一の感光性樹脂組成物層に含まれ
る樹脂は、水系現像液への溶解性を向上させるために、
カルボン酸含有化合物で変性したものを用いる。
【0029】ゴム成分は、天然ゴム、ブタジエンニトリ
ルゴム、イソプレンニトリルゴム、ブタジエンスチレン
ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンス
チレンゴムの不飽和結合に、無水マレイン酸や無水テト
ラヒドロフタル酸を付加させたカルボン酸変性ゴムを用
いることができる。より簡便には、ビニル基を有するポ
リブタジエンを出発原料としたマレイン化ポリブタジエ
ンのマレイン酸部分をアクリル化あるいはメタクリル化
して、カルボン酸変性ゴムを得ることができる。このよ
うなカルボン酸変性ゴムとしては日本石油化学(株)製
のポリブタジエン(LPB)のMAC−タイプ、MM−
タイプ、M−タイプなどがある。これらのカルボン酸変
性ゴムの酸価は20〜120であり、より好ましくは2
0〜80である。これらのカルボン酸変性ゴムは水系現
像液に溶解し、ビスアジド化合物などの光硬化性架橋剤
と用いることで像形成できる。上記のカルボン酸変性ゴ
ムの他に、変性してないゴムを併用することもできる。
この場合、粗化工程により有効に微細形状を形成する性
質のゴムを併用することでめっき銅の接着強度を上げる
ことができる。配合量は樹脂100部に対し、10から
90重量部さらに好ましくは20から60重量部が適当
である。
【0030】エポキシ樹脂成分は、ビスフェノール型、
ノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環式等のエ
ポキシ樹脂をカルボン酸変性したものを用いることがで
きる。カルボン酸変性方法としては、無水マレイン酸あ
るいは無水テトラヒドロフタル酸を付加する方法があ
る。本発明の感光性樹脂組成物層においては、他の樹脂
との混合時における安定性から、ビスフェノール型の低
分子量体を用いて酸変性を行ったものが望ましい。具体
的には油化シェル製のEp1001、1004、100
7、1010等をマレイン酸変性あるいはテトラヒドロ
フタル酸変性したものがある。これらのカルボン酸変性
エポキシ樹脂は水系現像液に溶解し、ビスアジドと併用
することで像形成できる。これらのカルボン酸変性エポ
キシ樹脂の酸価は10〜160であり、より好ましくは
10〜80である。配合量は樹脂100部に対し、10
から90重量部さらに好ましくは30から80重量部が
適当である。
【0031】本発明の感光性樹脂組成物層中で、感光性
エレメント作時にフィルム性を付与しかとう性薄膜形
成を行うためにアクリル樹脂成分を用いてもよい。この
場合用いるアクリル樹脂は、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル等のモノ
マを重合して得られる共重合体である。アクリル樹脂
は、モノマ組成をほぼ自由に設定できるという利点があ
る。本発明においては、水系現像液への溶解性を調節す
るためにカルボン酸含有量の調節を図り、モノマ比を変
えたアクリル樹脂を合成して用いるのが適当であり、例
えばメタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリ
ル酸=75/15/10等が挙げられる。さらに光硬化
性を持たせるためにマレイン酸あるいはテトラヒドロフ
タル酸を導入して二重結合を付与してもよい。これらは
ヒドロキシル基含有モノマへの付加という形で比較的容
易に合成が可能である。これらのアクリル樹脂の酸価は
0〜40であり、より好ましくは0〜20である。フィ
ルム性を付与できるオリゴマを用いてもよい。このよう
なオリゴマとしては、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアナート系ウレタンジアクリレートオリゴマがある。
配合する場合は、配合量は10から60重量部さらに好
ましくは10から40重量部が適当である。
【0032】樹脂組成物の配合において、樹脂組成物全
体の酸価は重要である。酸価が低すぎると水系現像液で
の現像が難しくなるが、高すぎると耐めっき性、電食性
の低下を招く。感光性樹脂組成物層の酸価は10〜12
0が望ましい。特に10〜80程度が好ましい。
【0033】芳香族ポリアジド化合物は、本発明の感光
性樹脂組成物層中のカルボン酸変性ゴムおよびカルボン
酸変性エポキシ樹脂、酸変性したアクリル樹脂を光架橋
して硬化膜とする。芳香族ポリアジド化合物の中では、
芳香族ビスアジド化合物を用いることができる。芳香族
ビスアジド化合物には、例えば2,6−ビス(4,4’
−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス
(4,4’−アジドベンザル)メチルシクロヘキサノ
ン、3,3’−ジアジドジフェニルスルフォン、4,
4’−ジアジドスチルベン、4,4’−ジアジドカルコ
ン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアジドビフェ
ニル等が挙げられる。
【0034】熱硬化性架橋剤には、メラミン類、ビスマ
レイミド類、シアネートエステル類、ジシアンジアミド
類がある。これらの中では耐熱性、熱硬化の進度の点で
ビスマレイミド類、シアネートエステル類が望ましい。
またジシアンジアミド類も他のエポキシ樹脂同様、本発
明においても用いることができる。ビスマレイミド類に
は、ビス(p−マレイミジルフェニル)メタンの他、ビ
ス(m−マレイミジルフェニル)メタン、p,m’−ビ
スマレイミジルフェニル)メタン、ビス(p−マレイミ
ジルメチルフェニル)メタン、ビス(p−マレイミジル
ジエチルフェニル)メタン等がある。この他、芳香族を
スルホン基、スルホンエーテル基、エーテル基、エーテ
ル−ケトン基で連結した芳香族ジアミンを用いて合成し
たビスマレイミド類がある。さらにジフェニルメタン類
に複数の芳香族をスルホン基、スルホンエーテル基、エ
ーテル基、エーテル−ケトン基で連結して得られるビス
マレイミド類は溶解性が向上しており望ましい。このよ
うなビスマレイミドには例えば2,2−ビス(p−マレ
イミジルフェノキシフェニル)プロパン等がある。シア
ネートエステル類には、ビスフェノールAジシアネー
ト、テトラメチルビスフェノールAジシアネート、ヘキ
サフルオロビスフェノールAジシアネート等のモノマー
を基にしてできるトリアジン型のプレポリマーがある。
具体的にはチバガイギー製のB−40S、M−40S、
F−40S等を用いることができる。
【0035】用いた熱硬化性架橋剤によっては熱重合開
始剤を用いることが望ましい。ビスマレイミド類を用い
た場合には熱硬化温度により、熱重合開始剤を用いるこ
とが必要である。熱重合開始剤には、有機過酸化物を用
いることができる。有機過酸化物は、熱硬化温度および
本発明の感光性エレメントの保存条件を考慮して選定さ
れるが、分解温度の高いものが好ましい。その例として
は、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチル
パーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチル
クミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p
−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイ
ドロパーオキサイド等がある。実際には日本油脂(株)
製のパーヘキシン25B、パークミルD、パーヘキサ3
M、パーヘキサ25B、パーメックN、パーブチルO、
パーブチルZ等を用いることができる。
【0036】本発明の感光性エレメントには、光硬化性
と熱硬化性の両方を持たせてあり、露光現像してフォト
ビア等を形成した後に後光硬化、熱硬化を行う必要があ
る。熱硬化温度及び時間は、熱硬化性架橋剤および熱重
合開始剤に用いた化合物の特性によって決まる。温度範
囲は100℃から200℃、更に好ましくは100℃か
ら180℃の間で行うのがよい。
【0037】本発明の第一、第二のフォトビア成形用感
光性エレメントに於て、第一の感光性樹脂層にはフィラ
ー類を配合するのが好ましい。フィラー類は硬化物に機
械強度、耐熱性与えると同時に粗化処理液によって溶
解、脱落し第一の感光性樹脂層の表面に微細な形状を付
与させるのに効果的である。
【0038】用いられるフィラー類としては炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化珪素、
ジルコニウムシリケート、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、シリカ、タルク等が挙げられる。これらのフィラー
類は単独または併用して用いられる。フィラー類の一部
がゴム成分の加硫剤、加硫助剤として作用するものであ
ってもよい。
【0039】第一の感光性樹脂層にはめっき触媒を配合
してもよい。めっき触媒は無電解めっきを行う時にその
核となるものであり、エレメントの中にあらかじめ配合
しておくことによってめっき銅の接着強度を更に高くす
る働きがある。用いられるめっき触媒としては、Pd等
の金属及びその塩化物の化合物粒子の他、これらを無機
質、有機質に吸着あるいは混入させたもの等が挙げられ
る。
【0040】本発明の第一、第二のフォトビア形成用感
光性エレメントに於て、第二の感光性樹脂層は同じもの
が用いられる。第二の感光性樹脂層はフォトビア形成用
感光性エレメントの像形成性の向上及び層間における電
気絶縁性の向上のために設けられる。従って特殊な組
成、特性は必要なく従来から用いられてきた各種の像形
成用感光性樹脂の使用が可能である。しかし、印刷配線
板の基本構成に取り込まれることから耐熱性、信頼性が
要求される。この観点からは永久レジスト組成が望まし
い。
【0041】第二の感光性樹脂層は第一の感光性樹脂層
とともに透光性基材の上で感光性エレメントとして安定
な皮膜を保持している必要がある。このため該第二の感
光性樹脂はフィルム性付与ポリマを含有しており、その
配合量は樹脂100部に対し20から80重量部が適当
であり、好ましくは30から70重量部である。
【0042】本発明の第一、第二のフォトビア成形用感
光性エレメントに於て、第一の感光樹脂層、第二の感光
性樹脂層で用いるフィルム性付与ポリマの種類には特に
限定なく、硬化物の耐熱性、電気特性、像形成性、現像
性等の観点から選定される。
【0043】第二の感光性樹脂層で用いるフィルム性付
与ポリマの例としてはポリスチレン、ポリビニルブチラ
ール、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルフェ
ノールスチレン−無水マレイン酸共重合体等のビニル重
合体及び/またはその共重合体、ポリメチルメタクリレ
ート、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体メ
タクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類の重合体
または共重合体、メタクリル酸エステル類及び/または
アクリル酸エステル類とメタクリル酸及びまたはアクリ
ル酸との共重合体等のアクリル系重合体、ポリカーボネ
ート、フェノキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、ス
チレン−ブタジェン樹脂、スチレン−イソプレン樹脂、
クロマン−インデン樹脂等が挙げられる。
【0044】第二の感光性樹脂で用いるエチレン性不飽
和単量体は硬化前は可塑剤として感光性エレメントに適
度の柔軟性を与え、硬化後はフィルム性付与ポリマとと
もに感光性樹脂層に耐熱性、機械特性等の諸特性を与え
る必要がありこの観点から選択される。配合量は感光性
樹脂100部に対し20から80重量部であり好ましく
は25部から75重量部である。
【0045】第二の感光性樹脂層で用いるエチレン性不
飽和単量体としては主として重合性の良好な点から各種
のアクリレートモノマを選択するのが好ましい。アクリ
レートモノマは各種のアクリル酸エステル単量体、メタ
クリル酸エステル単量体あるいはそれらの混合物であ
り、その母体構造を選ぶことで分岐密度、分子量、粘度
等の諸特性を調整でき特に好ましい。
【0046】このましいエチレン性不飽和単量体の例と
してはA−TMPT、A−TMM3A−4G、A−9
G、A−14G、TMPT、4G、9G、14G、BP
E−4、BPE−10等の市販アクリレートモノマまた
はメタクリレートモノマ(いずれも新中村化学工業
(株)製)、ビスコート#540、ビスコート#700
(大阪有機工業(株)製)、1,6−ヘキサンジアクリ
レート、トリメチルヘキサンジイソシアネート−アクリ
ル酸ヒドロキシエチル附加体等が挙げられる。
【0047】第二の感光性樹脂層で用いる光重合開始剤
は前記エチレン性不飽和単量体の光重合を開始できるも
のであれば特に限定なく使用可能である。光重合開始剤
の吸光係数、吸収位置を勘案してその種類、配合部が決
定されるが通常樹脂100にたいして0.1部から10
部より好ましくは0.2部から7部が使用される。
【0048】用いられる光重合開始剤の例としてはベン
ゾフェノン、p,p’−ジエチルアミノベンゾフェノ
ン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベン
ジルジメチルアセタール(商品名イルガキュア651;
チバ・ガイギー社製)、イルガキュア184、イルガキ
ュア907(いずれもチバ・ガイギー社製)、ジエチル
チオキサントン、カンファーキノン、p−ジメチルアミ
ノカルコン、カルボニルビス(ジエチルアミノクマリ
ン)等が挙げられる。
【0049】光重合開始剤には開始反応を促進する助剤
を組み合わせてもよい。助剤としてはトリエタノールア
ミン、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、N−フェニ
ルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン等が挙
げられる。
【0050】これらの感光性樹脂層には種々の目的でそ
の他の添加剤を配合することが可能である。添加剤の例
としては各種重合禁止剤、酸化防止剤、染料、顔料、難
燃剤、増粘剤、密着向上剤、めっき浴安定剤、蛍光剤等
が挙げられる。
【0051】フォトビア形成用感光性樹脂組成物は絶縁
基板の上にあらかじめ回路加工がなされた基板材料の上
に形成させるのが通例であるが、単なる絶縁基板あるい
は導体が全面に形成された基板であってもよい。このと
きバーコート、カーテンコート、ディップコート、スピ
ンコートなどの公知の膜形成法が使用される。塗工後乾
燥によって溶剤を蒸発させることによって均一な感光性
接着剤皮膜が形成させる。
【0052】感光性接着剤皮膜の膜厚は主として層間絶
縁信頼性を確保できる観点から決定される。感光性接着
剤皮膜が薄すぎる場合には絶縁耐圧が不十分になる。ま
た過度の膜厚は多層印刷配線板の板厚が増大すると共に
解像性が低下する。これらの観点から膜厚10μmから
100μm、好ましくは膜厚15μmから70μmの範
囲で使用される。この中で第一の感光性樹脂層の膜厚は
特に制限がないが薄すぎると粗化性が不十分であり、厚
すぎると解像度に悪影響を及ぼすので通常5μmから5
0μm好ましくは10μmから50μmに設定するのが
よく、残りが第二の感光性樹脂層の膜厚となる。
【0053】フォトビア形成用感光性エレメントはPE
Tフィルム等の寸法安定性に優れた透光性基材とともに
供給される。このエレメントにはポリエチレン等の保護
フィルムがさらに積層されるのが通例である。このよう
に本発明のフォトビア形成用感光性エレメントは、透光
性基材に、第一の感光性樹脂組成物層、第二の感光性樹
脂組成物層、保護フィルムを順に積層した構造となって
いる。保護フィルムは積層に先だってフォトビア形成用
感光性エレメントから除去される。第一、第二の感光性
樹脂組成物層は、ワニスを塗布しても良く、フィルム状
のものを貼合わせても良い。
【0054】フォトビア形成用感光性エレメントは通常
加熱加圧手段を備えたラミネータによって基材に積層さ
れる。この目的のためにホットロール、基材搬送系、感
光性エレメントの繰り出し、減圧等の機構を備えたラミ
ネータが各社より販売されており、特別の改造もなくそ
のまま使用可能である。
【0055】フォトビア形成用感光性エレメントに具備
された透光性基材は基材にフォトビア形成用感光性エレ
メントを積層した後フォトビアホールを形成するための
露光を行う際、露光前または露光後にフォトビア形成用
エレメントから除去される。
【0056】透光性基材をフォトビア形成用感光性エレ
メントから除去する際には弱い力で除去できることが工
程の自動化を考慮する場合には重要である。この目的の
ためには透光性基材が直接接している第一の感光性樹脂
層と透光性基材との接着強度が小さいことが望ましい。
この目的の達成のためには基材の選定に留意が必要であ
る。
【0057】透光性基材としては像形成に必要な活性光
線の透過に支障がないこと、フォトビア形成用感光性エ
レメントの製造及び基材への積層工程時にかかる熱、張
力に対し保持性がある強度を備えていること等の観点か
ら選ばれる。
【0058】透光性基材の例としてはポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエス
テル系フィルム、延伸ポリプロピレン、ポリスチレン等
のポリオレフィン系フィルム材料が通常用いられる。膜
厚は特に限定がないが、薄すぎる場合には製造時または
積層時にエレメントに加わる張力を支えきれずに基材の
伸び、しわ等の問題を生じる。また厚すぎる場合には解
像度の低下をもたらすとともにエレメントの基材への食
い込みに支障をきたす。これらのことより通常7ミクロ
ンから100ミクロンさらに好ましくは10ミクロンか
ら30ミクロンの範囲で選択される。
【0059】基材の剥離力を小さくする方法として基材
の感光性樹脂層と接する側に剥離処理をあらかじめ行っ
ておくということは極めて効果的である。このとき剥離
処理剤としては、シリコン系材料、テフロン系材料、パ
ラフィン系材料等既知の種々の材料が使用可能である。
このとき剥離処理剤が感光性樹脂層に移行しない観点か
ら材料を選択することが望ましい。
【0060】フォトビア形成用感光性エレメントを積層
する基材としては従来印刷配線板製造の際に用いてきた
基材がそのまま用いられる。基材の例としてはガラスエ
ポキシ積層板、ガラスポリイミド積層板、紙エポキシ積
層板、紙フェノール積層板、ポリイミドフィルム等が挙
げられる。これらの基材の上にはあらかじめ導体パター
ンが衆知の手段によって形成されているのが通例であ
る。
【0061】フォトビア形成用感光性エレメントを積層
する基材の特に好ましい例として一つにはいわゆるアデ
ィティブ法によって形成された基材が挙げられる。アデ
ィティブ法は絶縁基材の上に接着剤が塗工され、その上
に無電解めっきレジストを形成した後に無電解めっきに
よって銅等の導体パターンを形成する手法であり、めっ
きレジストと析出金属の厚みを制御することでめっきレ
ジストと導体の高さがほぼ揃った平面性の高い基材が得
られるからである。本法ではめっきレジストは剥離され
ずそのまま永久レジストとして使用が可能である。
【0062】フォトビア形成用感光性エレメントを積層
する基材の特に好ましい第二の例としては転写法によっ
て形成された印刷配線板である。転写法は、除去が可能
な仮基材の上にめっき法等によって回路を形成したもの
を絶縁性基材にプレスを行って積層板にした後仮基材を
除去するものである。本方法で作された基材は導体パ
ターンが絶縁材料の中に埋め込まれ完全に平坦な印刷配
線板が得られる。
【0063】これらの平坦な基材へのフォトビア形成用
感光性エレメントの積層は容易であり、通常使用される
常圧ラミネータを使用することで基材及び導体パターン
への良好な密着が確保される。基材の両面に一度に連続
的な積層が可能である。
【0064】このように平坦な基材を使用したときは上
に積層されるフォトビア形成用感光性エレメントも平坦
であり、そのため例えばフォトビア形成時にマスクの位
置合わせ精度が向上すること、均一な絶縁層が形成され
回路設計が簡略になること、絶縁層の薄膜化が可能とな
ること等の利点が挙げられる。
【0065】フォトビア形成後は通常無電解めっき法で
多層用回路が形成されるがこのときにも平坦性が活用で
きる。一般に無電解めっき法ではめっき金属析出性が均
一であり、基材の凹凸を反映しためっきが可能である。
従って平坦な基材上のめっき金属も平坦である。このこ
とより、より精密な回路形成が可能であると共に回路形
成法としてめっき法のほかにテンティング法等の手段も
使用可能となる。
【0066】平坦な基材の使用が特に好適な結果を与え
るが、もちろん従来から用いられている平坦でない基材
を使用することも可能である。その場合には基材表面上
に導体パターンが形成されており導体が存在している分
の段差が表面に存在している。この場合にはフォトビア
形成用感光性樹脂組成物を先に記載したように溶液の形
で塗工乾燥し、絶縁層を形成しながら段差を平均化する
ことが有用であるが、フォトビア形成用感光性エレメン
トの積層も可能である。その際には絶縁基材と導体との
境界部分へのフォトビア形成用感光性エレメントの食い
込みに特に留意する必要がある。このためには積層温
度、速度、圧力等の条件に特に注意して積層を行う必要
がある。これらの留意点を大幅に緩和する手段としては
減圧手段を備えたラミネータの使用が望ましい。
【0067】以上のようにフォトビア形成用感光性樹脂
組成物並びにそれを用いた感光性エレメントによって基
板上に形成された感光性接着剤皮膜は次に露光工程並び
にそれに続く現像工程によって感光性接着剤皮膜の必要
な部分に層間接続用のビアホールが形成される。露光は
通例マスクを介して行われ、感光性接着剤皮膜中の必要
な部分にのみ露光が行われる。このとき感光性エレメン
トを用いて形成した感光性接着剤皮膜には透光性基材が
被覆されているが、この透光性基材は露光の際にそのま
ま被覆されていてもよいし、あるいは露光に先だってあ
らかじめ感光性接着剤皮膜から除去されていてもよい。
露光用の設備としては従来印刷配線板の製造の際に用い
てきた設備がそのまま用いられる。
【0068】露光後の感光性接着剤皮膜はもし透光性基
材が残存している場合にはそれを除去した後に、現像に
よって感光性接着剤皮膜中の不必要な部分が現像液によ
って除去されフォトビアホール形成が行われる。このと
きフォトビアホール以外に他の信号配線パターンを形成
することも本発明に含まれる。現像の際にはスプレー現
像、ディップ現像等の手段が用いられる。
【0069】現像液としては1,1,1−トリクロロエ
タンのような従来用いられてきた現像液をそのまま用い
ることが可能であるが、非塩素系溶剤として各種の溶剤
を用いることも可能である。非塩素系溶剤の例としては
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセ
テート等のセロソルブ系溶剤、エチレングリコールプロ
ピレングリコール等のグリコール系の溶剤、シクロヘキ
サノン、ジアセトンアルコール等の溶剤が単独または混
合で用いられる。
【0070】水系現像液(非塩素系溶剤)としては、ア
ルコール系有機溶媒、塩基性化合物、水の混合溶液から
なるものが好ましい。さらに界面活性剤を入れてもよ
い。水系現像液に用いるアルコール系有機溶剤として
は、2,2’−(ブトキシエトキシ)エタノール、2−
ブトキシエタノール等が好ましい。混合割合は水100
g中、10〜50gが望ましい。塩基性化合物には、有
機、無機のいずれを用いてもよく、モノエタノール
ミン等のアミン類、四ほう酸ナトリウム等の無機塩類が
ある。混合割合は、水100g中、0.5〜10gが望
ましい。
【0071】現像後フォトビアホール加工を行ったもの
は次の工程に先だって後露光、後加熱等の処理を行って
もよい。これらの処理によってフォトビアホール形成さ
れた感光性接着剤皮膜の硬化が促進され、耐熱性向上の
点で好ましい効果を生じる。
【0072】後露光装置としては像形成用に用いた露光
機のほかにコンベア式露光機等の手段が採用される。後
露光の際には像形成の際の露光よりは照射量を多くして
光硬化を完結させるようにするのが望ましい。
【0073】硬化反応を更に進めるため後加熱を行う場
合には、硬化を促進し基材等の熱劣化を引き起こさない
温度範囲での加熱が望ましい。加熱手段としては通常の
熱風オーブン炉、赤外炉等、コンベア加熱炉等が用いら
れ加熱温度は80℃から180℃更に好ましくは100
℃から160℃の範囲で行うのがよい。時間は5分から
5時間の適当な時間が選択される。
【0074】これら後露光、後加熱は硬化の促進を図る
という目的が達成されるならばいずれか一方または両方
の工程を省くことはもちろん可能であり、工程の短縮に
寄与する。また順序も特に限定しない。
【0075】特に平坦でない基材上に形成された感光性
接着剤皮膜は場合によっては研磨等の手段によって表面
を平坦化するのが好ましい。平坦化する事によって続く
表層回路加工の精度が向上する。研磨の手段としてはバ
フロール、ナイロンブラシ、ベルトサンダ等の従来使用
されている研磨手段が用いられる。
【0076】部品挿入孔あるいは他の層との層間接続用
にスルーホールが必要な場合等にはドリルによって穴開
け加工を行ってもよい。このとき通常のNCドリルマシ
ンが使用される。本発明においては多層間の信号接続の
大部分は前記フォトビアホールによって達成されるため
穴開けは必要最小限度に行われ工程の短縮に大きく寄与
する。
【0077】必要に応じ穴開け加工を行った後に粗化処
理液によって感光性接着剤皮膜の表面の粗化を行う。粗
化の目的は感光性接着剤皮膜表面の表面積を増大させる
ことで無電解めっきの接着強度を増大させることにあ
る。この目的のために各種の粗化処理液が公知であり、
目的に応じ選択される。粗化処理液の例としては無水ク
ロム酸・硫酸を主成分とする酸性処理液、過マンガン酸
カリ・水酸化ナトリウム液のようなアルカリ系処理液が
知られている。本感光性接着剤の粗化処理にはクロム酸
系処理液を用いた方が良好な粗化面を与える傾向があ
り、より望ましい。
【0078】粗化処理は前述の粗化処理液に前述の工程
を経て得られたフォトビアホール形成済み基材を適当な
時間浸漬することで行われる。浸漬する際処理液を加温
して処理を促進することが通例である。スルーホール等
が基材に開けられている場合には本粗化処理で穴側壁の
粗化も同時に行われる。
【0079】粗化処理の温度、浸漬時間は処理液の活性
度が変化するため変化するが、通例室温から80℃の浴
温で数分から数十分の時間が適当である。これらの条件
は粗化の度合いとともに、感光性接着剤の下地に露出し
ている通常銅である導体がこれらの処理液によって侵さ
れる傾向があることから慎重に選定されるべきである。
【0080】粗化の際に下地導体が侵される場合の解決
法としては上記した粗化条件の制御のほかに粗化処理液
に対して耐性のある材料をあらかじめバリヤ層として形
成しておく方法も可能である。例えば銅に対するバリヤ
層としてはニッケル層が挙げられる。
【0081】この場合にはフォトビア形成用感光性エレ
メントが貼り合わされる絶縁基板上に配置された導体パ
ターン上にあらかじめニッケルを薄く形成しておけばよ
い。このためには無電解ニッケルめっき法等の手段でニ
ッケルを薄く形成する等の手段が挙げられる。
【0082】そのほかの手段としては下地となる基材を
前記した転写法で形成しておくことが挙げられる。転写
法ではキャリヤとなる導体の上にニッケル等のバリヤ層
を予め形成しておき、そのニッケルバリヤ層を介して配
線パターンがめっき等の手段で形成後、絶縁基材の上に
転写を行いキャリヤを除去して配線パターンを露出させ
るものである。したがって本方法で製造した基材の配線
パターンの上にはあらかじめニッケルバリヤ層が残存し
ている。通常このバリヤ層はエッチングによって除去さ
れるが、粗化工程終了まで残存させておけば粗化処理に
よる下地導体の侵食の防止が特別の工程を加えることな
く可能となる。
【0083】バリヤ層の膜厚は選択比の大きなエッチン
グ液、粗化液を用いれば薄くても良いが、ピンホール等
の欠陥がないことが重要である。バリヤ層作方法にも
依存するが通常0.05μmから10μm好ましくは0.1μm
から5μmが望ましい。
【0084】本発明になる感光性接着材皮膜を粗化する
ことで均一な微細形状の形成が可能であり、それに伴っ
て大幅なピール強度を得ることが可能である。例えばク
ロム酸/硫酸系粗化液を用いた場合には2kgf/cmから3kg
f/cmのピール強度が実測され、本発明の有用性が明かで
ある。
【0085】粗化を行った後は無電解めっきを行う際の
析出核となるめっき触媒を表面に担持させる。めっき触
媒としてはパラジウム等の金属コロイドを各種分散媒体
に分散させた各種の処理液が公知であり、この処理液に
清浄化のための数次の前処理を行った基材を浸漬させる
ことでめっき触媒の担持が達成される。このとき導体の
表面に前記バリヤ層が形成されている場合には触媒の担
時に先だってあらかじめエッチング等の手段によって除
去することが望ましいが、層間の接続に問題が生じない
場合には除去工程を省くことも可能である。めっき触媒
を予め感光性樹脂中に混入した場合は、前記めっき触媒
を担持させる処理は行わなくても良い。
【0086】触媒を担持させた後は無電解めっきを行う
が通常の無電解めっき処理条件がそのまま適用される。
第2の導体配線の形成のための第一の方法は触媒担持済
みの基材に無電解めっきレジストを形成して無電解パタ
ーンめっきを行うものである。本方法では無電解めっき
レジストをスクリーン印刷等の手段でパターン状に形成
する方法、感光性液状レジストをカーテンコータ等の塗
工手段で形成し、フォトリソ法でパターン形成をおこな
って無電解めっきレジストを形成する方法、感光性無電
解めっきレジストフィルムを積層し、パターン形成する
方法等が挙げられる。後者の方法としては感光性ソルダ
マスクフィルムSR−3000、SR−3200(日立
化成工業(株)製)等が各種膜厚で市販されており本発
明に供する事が可能である。
【0087】第2の導体配線を形成する第二の方法とし
ては無電解めっきレジストを使用せず、全面に無電解め
っきを薄くつけた後電解めっきを厚づけし、エッチング
レジストを形成し、エッチング法で導体パターンを形成
するものである。本方法ではめっきに要する時間が短縮
されるとともに無電解めっき処理時間が短いためにめっ
き液のしみこみ等の問題を軽くできることが利点であ
る。
【0088】前記第一、第二の方法のように第二の導体
配線を形成するために無電解めっきを行う前に、絶縁層
となるフォトビア成形用感光性エレメント表面に、0.
01μmから10μmの凹凸形状を転写することができ
る。すなわちフォトビア成形用感光性エレメントを露光
・現像して層間接続用の穴を形成させ、必要に応じ露
光、加熱等の処理により適宜絶縁層の硬化度を高めた
後、0.01μmから10μm程度の凹凸形状を有する
基材と絶縁層を密着させ圧着により凹凸形状の転写を行
う。圧着は1から1000kgf/cm2の任意の圧力で行う
ことが可能であり、圧着と同時に40から400℃の範
囲で加熱を行うことも可能であるが使用した絶縁層の特
性を考慮し、さらに露光・現像により形成した像の形状
を破壊しない範囲の条件を選択することが好ましい。
【0089】次に圧着処理を終えた絶縁層から凹凸形状
転写に使用した基板を除去する。基板の除去は可とう性
を有する基板であれば物理的にひきはがすことも可能で
あるが絶縁層に転写された凹凸形状を破壊しないために
溶解などの化学的手段をとることが好ましい。このため
基材として銅箔を使用した場合には過硫酸アンモニウム
水溶液やアンモニア錯体系銅エッチング液が使用でき
る。
【0090】凹凸形状の転写された絶縁層にめっき触媒
を付与し(絶縁層にめっき触媒が混入している場合は省
略する)、無電解めっきにより銅、ニッケル等の導体層
を形成することができる。導体層の厚さは数μmから1
00μm程度必要であるが、これらはすべてを無電解め
っきのみで形成してもよく、電気めっきを併用してもよ
い。得られた導体層を通常のフォトリソ工程により回路
パターンとし上部の第二の導体配線を形成し多層化がで
きる。
【0091】絶縁層に凹凸形状を転写するのに用いる凹
凸形状を有する基材としては特に限定はなく、プラスチ
ック、金属などの箔や板が使用できるが、後の基材除去
工程が容易であることからアルミニウム箔やニッケル
箔、銅箔などの金属箔を使用することが好ましい。
【0092】銅箔としては種々のものが使用できるが表
面の凹凸の緻密さから電解銅箔の表面を荒したものやさ
らにこの表面を酸化還元処理して微細な凹凸形状を形成
したものを使用することが好ましい。
【0093】圧着処理後の微細凹凸表面基材は絶縁層面
から除去することが必要である。銅箔を使用した場合に
はエッチング処理により基板を除去することができる。
エッチング処理液としては過硫酸アンモニウム水溶液、
多価アンモニア錯体系エッチング液等が使用できる。
【0094】また銅箔上に1から2μm程度のニッケル
層を配した2層銅箔のニッケル面を微細凹凸の形状転写
面とすることもできる。銅箔のエッチングの後にニッケ
ルの選択エッチング液によりニッケルのみをエッチング
することができる。
【0095】転写により微細凹凸形状を形成した面(以
下、転写粗化面という)にめっき触媒を付与することに
より無電解めっき銅、無電解めっきニッケル等を析出さ
せて導体層を形成することができる。導体層は無電解め
っきのみで形成する(第一の方法)こともできるが、無
電解めっきで形成した導体層上にさらに電気めっきを行
うこと(第二の方法)で形成することもできる。
【0096】第二の導体配線を形成する第三の方法とし
て、銅等の金属箔を使用する方法がある。すなわち第一
の導体配線が形成された配線板上に絶縁層としてフォト
ビア形成用感光性エレメントを積層し、これにパターン
露光を行う。続いて現像を行い、層間接続用穴(第一の
導体配線に達する穴)を形成する。穴形成した後に後露
光、加熱等の処理により適宜絶縁層の硬化度を高めるこ
とも可能である。
【0097】この後、0.01μmから10μm程度の
凹凸形状を有する金属箔と絶縁層を密着させ圧着を行
う。圧着は1から1000kgf/cm2の任意の圧力で行う
ことが可能であり、圧着と同時に40から400℃の範
囲で加熱を行うことも可能であるが使用した絶縁材料の
特性を考慮し、さらに形成した穴の形状を破壊しない範
囲の条件を選択することが好ましい。
【0098】つぎに金属箔上にエッチングレジストを、
絶縁層であるフォトビア形成用感光性エレメントに形成
された層間接続用穴と同じ位置以外の部分に形成する。
すなわち銅箔がエッチングされてランド穴となる部分を
除いてエッチングレジストを形成する。ランド穴は位置
ずれを考慮して絶縁層の層間接続用穴径以上の径を持つ
ことが好ましい。このとき絶縁層の層間接続用穴と同じ
位置にランド穴が合わせられることから、位置合わせ用
の基準穴を用意することが好ましい。エッチングレジス
トが形成されていない部分の金属箔をエッチングしてラ
ンド穴を形成するが、金属箔のエッチングは、過硫酸ア
ンモニウム水溶液やアンモニア錯体系銅エッチング液が
使用できる。
【0099】めっき処理によって第一の導体配線と金属
箔との間を絶縁層の層間接続用穴を介して電気的に接続
する。めっき処理は先のエッチングレジストを剥離した
後に行ってもよいし、剥離せずに行ってからエッチング
レジストを剥離してもよい。エッチングレジストを剥離
せずにめっきを行う場合には、層間接続用穴部分の金属
箔のエッチングの後、無電解めっきを行い、必要に応じ
て電気めっきを併用して第一の導体配線と金属箔の接続
を行う。この後エッチングレジストを剥離して次の工程
に進む。
【0100】先にエッチングレジストを剥離してからめ
っき処理を行う場合には、層間接続用穴部分の金属箔の
エッチングの後、無電解めっきを行い、必要に応じて電
気めっきを併用して第一の導体配線と金属箔の接続を行
う。この場合、全面めっきであるから層間接続用穴への
めっきの進行と共に金属箔上にもめっきが行われ、後に
形成する回路の厚みを増大させることが考えられる。こ
のために圧着する金属箔の厚みは薄いものが好ましい
が、この場合には機械的強度等の観点から銅/ニッケル
/銅の3層箔を使用することが可能である。3層箔を使
用した場合には圧着の後、銅の選択エッチング、ニッケ
ルの選択エッチングを行って薄い銅箔層を形成すること
ができる。銅のエッチング処理液としては過硫酸アンモ
ニウム水溶液、多価アンモニア錯体系エッチング液等が
使用できる。ニッケルの選択エッチング液としてはメル
ストリップ液(メルテックス(株)社製、ニッケル選択
エッチング液)等が使用できる。第一の導体配線との接
続めっき処理の後に通常のフォトリソ工程等により第一
の導体配線と接続する第二の導体配線を形成し多層化が
行われる。
【0101】フォトビア形成用感光性エレメントの製造
の一例として、まず第一の感光性樹脂組成物を前記透光
性基材上に塗工し次いで第二の感光性樹脂組成物をその
上に重ねて塗工する。これらの感光性樹脂組成物は作業
性を高める目的から、配合時または使用するときは通常
溶剤によって希釈され、適当な粘度を有する溶液の形で
用いるのが通例であるがホットメルトの状態でこれらを
塗工することも可能である。このとき溶剤は前記材料に
対し適当な溶解性を有するものの中から選択される。第
一の感光性樹脂組成物と第二の感光性樹脂組成物とでは
使用する溶剤は異なっていても良い。
【0102】用いられる溶剤の例としてはメチルエチル
ケトン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、
酢酸プロピル、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ、
セルソルブアセテート等が挙げられる。
【0103】これらは透光性基材の繰り出し手段、塗工
手段、乾燥手段、保護フィルム積層手段、巻き取り手段
等を備えた塗工機によって製造される。これは塗工され
る感光性樹脂溶液をドクターロール、ナイフ、ノズル等
のギャップを介して均一に塗工し、乾燥によって溶剤を
除去し、必要に応じ保護フィルム等を積層後巻き取るこ
とで得られる。
【0104】フォトビア形成用感光性エレメントを製造
する際には種々の方法が適用可能である。例えば、前記
塗工機によって透光性基材上にまず第一の感光性樹脂層
を形成した後その上に第二の感光性樹脂層を重ねて塗工
することが挙げられる。各工程はバッチ処理で行っても
よいし多段塗工機で連続的に行ってもよい。または第二
の感光性樹脂層を他の剥離性基材に塗工しておいたもの
を張り合わせて製造してもよい。
【0105】第二の方法としては多数のノズルから層流
状態が保証された状態で液膜を突出または流下させて多
層液膜となしこれを透光性基材に一度に塗工するもので
ある。本方法によれば塗工に要する工数が低減されフォ
トビア形成用感光性エレメントを低廉なコストで提供す
ることが可能となる。
【0106】以上説明したフォトビア成形用感光性エレ
メントは、異なる種類の材料を積層していることから現
像時に材料間で剥離等を起こす場合もある。この原因の
一つとして光硬化時の各層の硬化度が異なることが考え
られる。各材料の露光に対する感度を等しく調整するこ
とで、積層界面での剥離を押え、像形成性が向上し、さ
らに乾燥時の膜荒れ等も防ぐことが可能となる。第一の
感光性樹脂層の感度を調整する方法としては第一の感光
性樹脂組成物中の芳香族ポリアジド化合物の配合量によ
るのが最も簡便であるが、ゴム、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、フィラー類等の配合量
を変えて調整することも可能である。第二の感光性樹脂
層の感度を調整する方法としては、請求項第二の感光性
樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量によるのが簡便で
あるがフィルム性付与ポリマ、エチレン性不飽和単量体
の配合量を変えて調整することも可能である。さらに第
一の感光性樹脂層と第二の感光性樹脂層の膜厚を変える
ことで各層の感度を調整することが可能である。
【0107】露光に対する感度の評価は、例えば、感光
性樹脂に感度マスク(透過率100〜1%を21段階で
変化させたもの)を重ねて露光し、露光後現像した時に
感光性樹脂層が現像液により溶解、不溶解となる境の箇
所が、感度マスクの透過率がどの段階のものを透過し露
光された箇所なのか、により行う。すなわち2種の感光
性樹脂で、露光後現像した時に溶解、不溶解となる境の
箇所が、感度マスクの透過率が同じ段階(例えば段階
8)を透過し露光された箇所であるとき、前記2種の感
光性樹脂の露光に対する感度は同じということになる。
【0108】第一の感光性樹脂組成物層と、第二の感光
性樹脂組成物層とを積層するものでは、現像時に両層の
界面で剥離が生ずることがあり、両層の密着性を高める
ことが望まれる。両層の感光性樹脂層に少なくとも1種
以上の共通成分を含有することで、界面の密着性を向上
し改善できる。
【0109】例えば、第一のフォトビア成形用感光性エ
レメントの場合では、第二の感光性樹脂組成物層が、 (1)フィルム性付与ポリマ20から80重量部、 (2)エチレン性不飽和単量体20から80重量部 及びこれの混合物計100重量部に対し、 (3)光重合開始剤1から10重量部 を必須成分として含み (4)ゴム10から90重量部、 (5)フェノール樹脂5から40重量部、 (6)エポキシ樹脂10から80重量部、 の中の少なくとも1つの成分を含むものであり、及び/
又は第二の感光性樹脂組成物層が (1)ゴム10から90重量部、 (2)フェノール樹脂5から40重量部、 (3)エポキシ樹脂10から80重量部、 及びこれの混合物計100重量部に対し、 (4)エポキシ光開始剤0.1から10重量部、 (5)芳香族ポリアジド化合物0.1から10重量部 を必須成分として含み、 (6)フィルム性付与ポリマ20から80重量部、 (7)エチレン性不飽和単量体20から80重量部 の中の少なくとも1つの成分を含むものとする。
【0110】上記組成の第二の感光性樹脂組成物層を配
線板上に形成した後、第一の感光性樹脂組成物層を形成
するようにすることで、両層の密着性が改善された積層
膜を得ることができる。また、上記のように配線板に順
次積層するだけでなく適当なフィルム上に積層して、こ
れを一括して配線板上にラミネ−トすることも可能であ
る。
【0111】以上説明した本発明の多層配線板の製造法
では、第一の導体配線が形成された配線板に、活性光線
によって像形成が可能であり、粗化処理液によって表面
に微細な形状を形成可能でありかつ導体を析出させるこ
とが可能な、絶縁性の感光性樹脂組成物のフィルムを積
層し、感光性樹脂組成物のフィルムを露光、現像し第一
の導体配線に達する穴をあけ、感光性樹脂組成物のフィ
ルム上に第一の導体配線と導通する第二の導体配線を形
成することを特徴とする。フィルム状の感光性樹脂を使
用することにより、フォトビア法を使用した多層配線板
を極めて生産性良く製造することを可能とする。
【0112】また、本発明の多層板の製造法は、第一の
導体配線が形成された配線板に、必要に応じて絶縁性の
第二の感光性樹脂組成物層を形成し、さらに活性光線に
よって像形成が可能であり、粗化処理液によって表面に
微細な形状を形成可能でありかつ導体を析出させること
が可能な第一の感光性樹脂組成物層を形成し、感光性樹
脂組成物層を露光、現像し第一の導体配線に達する穴を
あけ、感光性樹脂組成物層の上に第一の導体配線と導通
する第二の導体配線を形成することを特徴とするもので
ある。これにより信頼性の高い高密度、高精度の多層配
線板の製造が可能となる。これらの第一、第二の感光性
樹脂組成物層はフィルム状のものを積層して使用するの
が好ましい。
【0113】
【実施例】実施例1 アクリロニトリルブタジエンゴム〔日本ゼオン(株)
製、ニポール1042〕60重量部、フェノール樹脂
〔日立化成工業(株)製、ヒタノール2400〕20重
量部、エポキシ樹脂〔UCC製、UVR6510〕20
重量部、エポキシ樹脂硬化剤〔UCC製、UVI−69
70〕1重量部、MgO〔和光純薬(株)製〕10重量
部、Ca(OH)2〔和光純薬(株)製〕5重量部、S
iO2〔日本シリカ工業(株)製、NIPSIL〕2重
量部、ZrSiO4〔中部粉体工業(株)製、ミクロバ
ックスSS〕10重量部、3,3’−ジメトキシ−4,
4’−ジアジドビフェニル(AZ025;レスペ・ケミ
カル(株)製)0.5重量部、メチルエチルケトン30
0重量部を混練して混合物Aを得た。メチルメタクリレ
ート/エチルアクリレート=97/3共重合体(ポリス
チレン換算重量平均分子量約9万)50部、トリメチル
ヘキサンジイソシアネート/トリレンジイソシアネート
/ヒドロキシエチルアクリレート=1/2/2付加物5
0部、イルガキュア651を6部、ANTAGE W−
500(川口化学工業(株)製)0.05部レベリン
グ剤SH193を0.1部、ビクトリア・ピュア・ブル
ー0.04部(保土ヶ谷化学(株))メチルエチルケト
ン約140部に混合溶解して混合物Bを得た。ポリオレ
フィン系剥離処理を施した38μm厚ポリエチレンテレ
フタレートフィルム(SG38;帝人(株)製)の剥離
処理面に先に配合した混合物Aをヨシミツ精機(株)製
アプリケータを用いて塗工し、乾燥機〔タバイエステッ
ク(株)製、SPH−200〕中で80℃、10分間乾
燥することで膜厚20μmの第一の感光性樹脂層を形成
した。次に第一の感光性樹脂層の上に重ねて同様にして
混合物Bを塗工し80℃15分乾燥して第二の感光性樹
脂層を形成した。両層の合計膜厚は50μmであった。
得られたフォトビア形成用感光性エレメントをデュポン
社製ラミネータを用いて130℃で基板にラミネートし
た。基板としては銅貼積層板MCL−E−67−1.6
t(日立化成工業(株)製)の清浄銅箔面に2μmの電
解ニッケルめっきを全面につけたものを用いた。ラミネ
ート済みの基板に種々の穴径を有したフォトマスクを介
してイメージ露光を行った。露光機にはHMW201型
両面露光機を用い、真空焼き付け枠中減圧下150mJ
/cm2照射した。ポリエチレンテレフタレートフィル
ムを剥離し、15℃に温度制御した1,1,1−トリク
ロロエタンに50秒浸漬し現像することで最小径1
μmのビアホールを形成した。現像後の基板を最初無電
極型紫外線照射装置〔ソマール(株)製、ヒュージョン
ランプAELIB/M〕を用いて3J/cm2後露光し
た後、乾燥機〔タバイエステック(株)製、SPH−2
00〕中で135℃30分後加熱を行ってフォトビア接
着剤の硬化を促進させた。後硬化終了後、無水クロム酸
60g濃硫酸230mlを1リットル純水に溶解して調整
した粗化処理液に50℃5分浸漬し表面の粗化処理を行
い、次いで塩酸(35%)処理、か性ソーダ処理(4g
/l)を行ってフィラーの一部を溶解洗い出しして粗化
処理を完了した。走査電子顕微鏡による観察で表面に微
細な形状が生成していることを確認した。ニッケルエッ
チング液(メルッテク(株)製商品名メルストリップN
−950)に基板を10秒浸漬し、フォトビアホール下
部に露出しているニッケルを溶解した。フォトビアホー
ル下部に銅が露出していることを目視で確認した。塩化
ナトリウム系無電解銅めっき触媒を用いて所定の手順で
表面に析出核となるパラジウム微粒子を担持した後、日
立高速無電解めっき浴組成L−59(日立化成工業
(株)製)で所定の手順で50℃20分無電解めっき
を行い、次いで硫酸銅系光沢電解めっき浴で室温30分
(電流密度5A/dm2)全面めっきを行った。表面に
光沢のある銅めっきが全面ほぼ均一に約35μmの厚さ
で析出していることを確認した。フォトビアホールの回
りのめっきのつき回りも良好であり、めっき液のしみこ
みも観察されなかった。回路パターンを有するフォトマ
スクを用いて上層の回路形成を行った。すなわちエッチ
ング用ドライフィルムフォテックH−S940(日立化
成工業(株)製)を用いてラミネート(130℃)、露
光(45mJ/cm2)、現像(1%炭酸ナトリウム水
溶液45秒)を行ってテンティング法と同様にフォトビ
アホール部、回路部を保護したレジストパターンを形成
し、塩化銅エッチングを行って回路形成を行った。良好
な回路パターンが形成され、フォトビアホール部の接続
にも問題はなかった。
【0114】実施例2 先に配合した混合物A、混合物Bを用い同様にして第一
の感光性樹脂層が25μm、第二の感光性樹脂層との合
計膜厚が5μmのフォトビア形成用感光性エレメント
を得た。
【0115】実施例3 混合物A、混合物Bを用いドクターロールを有する試作
塗工機を用いてロールフィルム状フォトビア形成用感光
性エレメントを作した。前記剥離処理済みの38μm
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に混合物Aを乾
燥後の膜厚が16μmとなるように塗工し、巻き取っ
た。次に巻き取ったロールを繰り出し側に移し、この上
に混合物Bを塗工乾燥後の全感光層の厚みで46μmと
なるように塗工、乾燥し、厚み30μmのポリエチレン
フィルムをラミネートしながら巻き取り塗工幅330m
mのロール状フォトビア形成用感光性エレメントを得
た。
【0116】めっき銅ピール強度の測定 実施例1から実施例3で作したフォトビア形成用感光
性エレメントを用い、銅箔を除去したガラスエポキシ積
層板のエポキシ粗化面に実施例1に記した例と同様にし
てラミネートし、全面露光をし、1,1,1−トリクロ
ロエタンに60秒浸漬した後、同様にして後露光、後加
熱、粗化、無電解銅めっき、電解銅めっきを行い、全面
銅のピール強度測定用試料を作した。1cm幅で切り
込みを入れ、端面からテンシロンRTM−100(オリ
エンテック(株)製)を用いて引きはがし強度を室温で
測定した。
【0117】絶縁耐圧の測定 厚み35μmの銅箔状に実施例1から実施例3で作
たフォトビア形成用感光性エレメントをラミネートし
た。以下ピール強度測定と同様にして全面露光、現像液
浸漬、後露光、後加熱、粗化を行った。この上に銀ペー
ストの電極を形成し、絶縁耐圧を測定した。測定は5分
間づつ50V刻みで直流電圧を低い側から印加し、1m
Aのリーク電流が観測された直前での印加電圧を絶縁耐
圧とした。
【0118】以上の結果を次表にまとめた。 実施例1 実施例2 実施例3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第一の感光層膜厚 20μm 25μm 16μm ─────────────────────────────── 第二の感光層膜厚 30μm 30μm 30μm ─────────────────────────────── 合計膜厚 50μm 55μm 46μm ─────────────────────────────── 最小ビア径 120μm 150μm 120μm ─────────────────────────────── 粗化性 良好 良好 良好 ─────────────────────────────── ピール強度(kg/cm) 1.6 1.8 1.2 ────────────────────────────── 絶縁破壊電圧(V) 4.8 6.5 3.6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0119】合成例1 Ep1004(油化シェル製)を樹脂分が30%程度に
なるようにシクロヘキサノンに溶解した。樹脂分中の水
酸基数を概算で出し、この数の25%量にあたるモル数
の無水マレイン酸を加え、140℃で8時間還流した。
得られたマレイン酸変性エポキシ樹脂のNVは35%、
酸価は40であった。
【0120】合成例2 Ep1007(油化シェル製)を樹脂分が30%程度に
なるようにシクロヘキサノンに溶解した。樹脂分中の水
酸基数の15%量に相当するモル数の無水テトラヒドロ
フタル酸を加え、140℃で8時間還流した。得られた
テトラヒドロフタル酸変性エポキシ樹脂のNVは36
%、酸価は24であった。
【0121】合成例3 酸価80のマレイン化ゴムM−3000−80(日本石
油製)を樹脂分が65%程度になるようにシクロヘキサ
ノンに溶解した。マレイン化ゴムの酸価よりアクリル酸
変性に必要なアクリル酸−2−ヒドロキシエチル量を算
出してこれに加え、100℃で8時間還流した。得られ
たカルボン酸変性ゴムのNVは70%であった。
【0122】合成例4 酸価50のマレイン化ゴムM−3000−50(日本石
油製)を樹脂分が65%程度になるようにシクロヘキサ
ノンに溶解した。マレイン化ゴムの酸価よりアクリル酸
変性に必要なアクリル酸−2−ヒドロキシエチル量を算
出してこれに加え、100℃で8時間還流した。得られ
たカルボン酸変性ゴムのNVは70%であった。
【0123】合成例5 反応フラスコにメチルセルソルブ、トルエンからなる反
応溶媒を仕込み、窒素ガスを吹き込みガス置換を行っ
た。85℃にしてモノマ(メタクリル酸メチル:アクリ
ル酸ブチル:メタクリル酸:メタクリル酸−2−ヒドロ
キシエチル=75:15:2:4)、開始剤、溶媒から
なる溶液を適当な滴下速度で添加した。滴下終了後4時
間反応させてから先に加えた触媒の半量を小量の溶剤に
溶かし添加した。2時間反応させた後、重合禁止剤を添
加した。この後無水マレイン酸を3重量%添加し、80
℃で8時間反応させた。得られたマレイン酸変性アクリ
ル樹脂のNVは45%であった。
【0124】実施例4 合成例1で合成したマレイン酸変性エポキシ樹脂40重
量部、合成例5で合成したアクリル樹脂40重量部、合
成例3で合成したカルボン酸変性ゴム20重量部、ビス
アジドとして3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアジ
ドビフェニル4重量部、ビスマレイミドとしてBBMI
(日立化成工業(株)製)20重量部、重合開始剤とし
てパーヘキシン25B(日本油脂(株)製)2重量部、
フィラーとして水酸化カルシウム6重量部、珪酸ジルコ
ニウム12重量部、シリカ4重量部、シクロヘキサノン
300重量部を混練して混合物Aを得た。メタクリル酸
メチル/メタクリル酸/メタクリル酸ブチル=85.5
/4.5/10共重合体50重量部、BPE−10(新
中村化学(株)製)50重量部、I−651(チバガイ
ギー製)6重量部、ビクトリア・ピュア・ブルー0.0
4部、メチルエチルケトン140重量部を混練して混合
物Bを得た。混合物A、Bを用いドクターロールを有す
る試作塗工機を用いてロールフィルム状フォトビア形成
用洋感光性エレメントを作した。20μmPETフィ
ルムGS(帝人(株)製)上に混合物Aを乾燥後の膜厚
が28μmとなるように塗工し、巻取った。次に巻取っ
たロールを繰り出し側に移し、この上に混合物Bを塗工
乾燥後の全感光層の厚みで58μmとなるように塗工、
乾燥し、厚み30μmのポリエチレンフィルムをラミネ
ートしながら巻取り、塗工幅330mmのロール上フォ
トビア形成用感光性エレメントを得た。得られたフォト
ビア形成用感光性エレメントをデュポン社製ラミネータ
を用いて120℃で基板にラミネートした。基板には前
記の転写法によってフォトビア導通チェック用のテスト
パターンを形成した印刷配線板を用いた。ラミネート済
みの基板に500、300、150、100μmのビア
系を有したフォトマスクを介してイメージ露光を行っ
た。露光機にはHMW201形露光機を用い、真空焼き
付け枠中減圧下1000mJ/cm2照射した。PET
フィルムを剥離し、25℃に温度制御したスプレー現像
機で180秒間現像した。現像液組成は2,2’−(ブ
トキシエトキシ)エタノール/四ほう酸ナトリウム/水
=20/0.8/80とした。水洗後60℃で30分間
乾燥し、無電極型紫外線照射装置(ソマール(株)製、
ヒュージョンランプAELIB/M)を用いて3J/c
m2後露光した。さらに乾燥機(タバイエステック
(株)製、SPH−200)中で160℃で30分間後
加熱を行った。後硬化終了後、サンドブラスト(不二精
機(株)製HD−10)でフジホワイト(不二精機製造
所(株)製、アルミナ#220)を用いて表面を一様に
研磨した。次いで過マンガン酸/水酸化ナトリウム系粗
化液を用いて所定の方法で表面を粗化し、硫酸ヒドラジ
ン系中和液で処理した。次いで塩酸(35%)処理、か
性ソーダ処理(4g/l)を行ってフィラーの一部を溶
解洗い出しして粗化処理を完了した。ニッケルエッチン
グ液(メルテック(株)製、メルストリップN−95
0)に基板を60秒浸漬してニッケルを剥離した。塩化
ナトリウム系無電解銅めっき触媒を用いて所定の手順で
表面に析出核となるパラジウム微粒子を担持した後、日
立高速無電解めっき浴組成L−59(日立化成工業
(株)製)で所定の手順で60℃20分間無電解めっき
を行い、次いで硫酸系光沢電解めっき浴で室温1時間
(2A/dm2)全面メッキを行った。表面に光沢のあ
る銅めっきが全面ほぼ均一に約35μmの厚さで析出し
ていることを確認した。テスト回路パターンを有するフ
ォトマスクを用いて上層の回路形成を行った。レジスト
HN340−40(日立化成工業(株)製)をラミネー
トし、露光、現像してレジストパターンを形成し、銅を
エッチングして回路形成を行った。最後に40℃の4%
水酸化ナトリウム溶液でレジストを剥離してフォトビア
テストパターン基板を得た。
【0125】導通率の結果を次表に示した。
【0126】実施例5 実施例4の混合物A、Bを用い、実施例1と同様の方法
で、混合物Aの乾燥後の膜厚が20μm、混合物をB塗
工乾燥後の全感光層の膜厚が50μmのロール状フォト
ビア形成用感光性エレメントを作した。得られたフォ
トビア形成用感光性エレメントを実施例1と同様にして
銅貼積層板MCL−E−67−1.6t(日立化成工業
(株)製)にラミネートした。これに1000〜50μ
mの種々の穴径を有した像形成テストパターンのフォト
マスクを介して実施例1と同様にしてイメージ露光(7
00〜1000mJ/cm2)を行った。テトロンフィ
ルムを剥離し、25℃、30℃にそれぞれ温度制御した
スプレー現像機で1〜7分間現像を行った。水洗後各試
料を観察し、700mJ/cm2露光した試料を25℃
制御下、5分間スプレー現像することにより、ビア径1
00μmのホールを100%形成できることが分かっ
た。
【0127】実施例6 実施例4で得られたフォトビア形成用感光性エレメント
をMCL−E−67−1.6tの銅をエッチングしてエ
ポキシ面を露出させた基板、及び銅箔上にラミネートし
てめっき銅の接着強度、および絶縁耐圧について検討し
た。エポキシ基板にラミネートした試料は実施例1と同
様の方法で粗化、無電解めっき、電気めっきを行ってピ
ール強度測定用試料とした。その結果、銅ピール強度と
して0.6×103 N/m、絶縁耐圧として6.5kV
の値を得た。水系現像液(非塩素系溶剤)としては、ア
ルコール系有機溶媒、塩基性化合物、水の混合溶液から
なるものが好ましい。さらに界面活性剤を入れてもよ
い。水系現像液に用いるアルコール系有機溶剤として
は、2,2’−(ブトキシエトキシ)エタノール、2−
ブトキシエタノール等が好ましい。混合割合は水100
g中、10〜50gが望ましい。塩基性化合物には、有
機、無機のいずれを用いてもよく、モノエタノールアミ
ン等のアミン類、四ほう酸ナトリウム等の無機塩類があ
る。混合割合は、水100g中、0.5〜10gが望ま
しい。
【0128】実施例7 アクリロニトリルブタジエンゴム〔日本ゼオン(株)
製、ニポール1042〕50重量部、フェノール樹脂
〔日立化成工業(株)製、ヒタノール2400〕30重
量部、エポキシ樹脂〔UCC製、UVR6510〕30
重量部、エポキシ樹脂硬化剤〔UCC製、UVI−69
70〕1重量部、MgO〔和光純薬(株)製〕10重量
部、Ca(OH)2〔和光純薬(株)製〕5重量部、S
iO2〔日本シリカ工業(株)製、NIPSIL〕2重
量部、ZrSiO4〔中部粉体工業(株)製、ミクロバ
ックスSS〕10重量部、及び3,3’−ジメトキシ−
4,4’−ジアジドビフェニル(AZ−025;レスペ
・ケミカル(株)製)それぞれ0.5重量部、1.0重
量部、1.5重量部又は2.5重量部をメチルエチルケ
トン300重量部に混合溶解して第一の感光性樹脂組成
物A05、A10、A15及びA25を得た。メチルメ
タクリレート/エチルアクリレート=97/3共重合体
(ポリスチレン換算重量平均分子量約9万)55重量
部、トリメチルヘキサンジイソシアネート/トリレンジ
イソシアネート/ヒドロキシエチルアクリレート=1/
2/2付加物45重量部、ANTAGE W−500
(川口化学工業(株)製)0.05重量部、レベリング
剤SH193を0.1重量部、ビクトリア・ピュア・ブ
ルー(保土ヶ谷化学(株)製)0.04重量部及びイル
ガキュア651(以後Irgと略す)を4重量部または
6重量部メチルエチルケトン約140重量部に混合溶解
して第二の感光性樹脂組成物B4及びB6を得た。メチ
ルメタクリレート/エチルアクリレート=97/3共重
合体(ポリスチレン換算重量平均分子量約9万)55重
量部、トリメチルヘキサンジイソシアネート/トリレン
ジイソシアネート/ヒドロキシエチルアクリレート=1
/2/2付加物45重量部、ベンゾフェノン〔和光純薬
工業(株)製〕4重量部、ANTAGE W−500
(川口化学工業(株)製)0.05重量部、レベリング
剤SH193を0.1重量部、ビクトリア・ピュア・ブ
ル−(保土ヶ谷化学(株)製)0.04重量部、4,
4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(以後EABと略
す)を0.1重量部又は0.2重量部をメチルエチルケ
トン約140部に混合溶解して第二の感光性樹脂組成物
C01及びC02を得た。ポリオレフィン系剥離処理を
施した38μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム
(SG38;帝人(株)製)の剥離処理面に前記の第一
の感光性樹脂組成物A05、A10、A15及びA25
をヨシミツ精機(株)製アプリケータを用いて塗工し、
乾燥機〔タバイエステック(株)製、SPH−200〕
中で80℃、10分間乾燥することで膜厚20μmの第
一の感光性樹脂組成物層を形成した。同様にして前記の
第二の感光性樹脂組成物B4、B6、C01及びC02
をポリオレフィン系剥離処理を施した38μm厚ポリエ
チレンテレフタレートフィルムに塗工、乾燥することで
膜厚25μmの第二の感光性樹脂組成物層を形成した。
A05、A10、A15及びA25の各試料にポリエチ
レンテレフタレートフィルム側から感度マスク(透過率
100〜1%を21段階で変化させたもの)を重ねて1
00、200、300及び500ミリジュール毎平方セ
ンチ露光し、感度を評価した。感度の評価は、感光性樹
脂組成層を露光後現像した時に感光性樹脂層が現像液に
より溶解、不溶解となる境の箇所が、感度マスクの透過
率がどの段階のものを透過し露光されたのか、により行
う。B4、B6、C01及びC02にそれぞれA05、
A10、A15及びA25の試料を感光性樹脂層同士を
合わせて重ね、さらに感度マスクを重ねて100、20
0、300及び500ミリジュール毎平方センチ露光
し、感度を評価した。このようにして、第一、第二の感
光性樹脂組成物層の、感度マスクを使用した感度測定に
より測定された感度が同じとなる、第一、第二の感光性
樹脂組成物層の組成が決められる。感光性樹脂組成物層
の露光に対する感度は、実用上は感度マスクの透過率の
段階として6〜8段階が好ましい。次表の感光性樹脂組
成、及び露光量とすることにより、第一、第二の感光性
樹脂組成物層の、感度が6〜8段階で同じとなるように
することができることが確認された。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第一の感光性樹脂組成物中のAZ−025量(重量部):0.5 第二の感光性樹脂組成物中のIrg量(重量部) : 4 露光量(ミリジュール毎平方センチ) :500 ─────────────────────────────── 第一の感光性樹脂組成物中のAZ−025量(重量部):0.5 第二の感光性樹脂組成物中のIrg量(重量部) : 6 露光量(ミリジュール毎平方センチ) :500 ─────────────────────────────── 第一の感光性樹脂組成物中のAZ−025量(重量部):0.7 第二の感光性樹脂組成物中のEAB量(重量部) :0.1 露光量(ミリジュール毎平方センチ) :500 ─────────────────────────────── 第一の感光性樹脂組成物中のAZ−025量(重量部):1.0 第二の感光性樹脂組成物中のEAB量(重量部) :0.2 露光量(ミリジュール毎平方センチ) :500 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 上記の表の第一、第二の感光性樹脂組成物をポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルム上に塗布、乾燥してフォトビ
ア成形用感光性エレメントを作した。両層の合計膜厚
は40μmであった。得られたフォトビア成形用感光性
エレメントをデュポン社製ラミネ−タREL1000型
を用いて130℃で基板にラミネ−トした。基板として
は銅貼積層板MCL−E−67−1.6t(日立化成工
業(株)製)を用いた。500ミリジュール毎平方セン
チで露光した後、ポリエチレンテレフタレ−トフィルム
を剥離し、15℃に温度制御した1,1,1−トリクロ
ロエタンに50秒浸漬し現像することで最小系150μ
mのビアホールを形成した。ずれも良好な像形成性を
示した。
【0129】
【発明の効果】本発明になるフォトビア形成用感光性エ
レメントを用いることでフォトビア接続に基づく高密度
多層配線板がフィルムの積層、露光、現像という簡単な
工程で高精度に作できる。得られる多層配線板におい
て無電解めっきで得られた銅の接着強度は十分高く、絶
縁破壊電圧も十分な値が得られ、信頼性の高い多層プリ
ント配線板の製造が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 3/46 H05K 3/46 N T (72)発明者 福富 直樹 茨城県つくば市和台48番 日立化成工業 株式会社筑波開発研究所内 (72)発明者 鈴木 和子 茨城県つくば市和台48番 日立化成工業 株式会社筑波開発研究所内 (56)参考文献 特開 平3−277677(JP,A) 特開 平4−180984(JP,A) 特開 昭55−98742(JP,A) 特開 昭50−72702(JP,A) 特開 昭55−129341(JP,A) 特開 昭49−53410(JP,A) 特開 昭57−11338(JP,A) 特開 昭61−143740(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/012 G03F 7/032 G03F 7/26 H05K 1/03 H05K 3/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基材と、その透光性基材に積層され
    た (1)ゴム10から90重量部、 (2)フェノール樹脂5から40重量部、 (3)エポキシ樹脂10から80重量部、 及びこれらの混合物計100重量部に対し、 (4)エポキシ光開始剤0.1から10重量部、 (5)芳香族ポリアジド化合物0.1から10重量部 を含有する第一の感光性樹脂組成物層と、第一の感光性
    樹脂組成物層に積層された (7)フィルム性付与ポリマ20から80重量部、 (8)エチレン性不飽和単量体20から80重量部 及びこれの混合物計100重量部に対し、 (9)光重合開始剤1から10重量部 を含有する第二の感光性樹脂組成物層よりなるフォトビ
    ア形成用感光性エレメント。
  2. 【請求項2】第一の感光性樹脂組成物層が、さらに (6)フィラー5から40重量部 を含有する請求項1記載のフォトビア形成用感光性エレ
    メント。
  3. 【請求項3】透光性基材と、その透光性基材に積層され
    た (1)ゴム10から90重量部、 (2)エポキシ樹脂10から90重量部、 (3)アクリル樹脂0から60重量部、 及びこれらの混合物計100重量部に対し、 (4)芳香族ポリアジド化合物1から10重量部、 (5)熱硬化性架橋剤1から80重量部、 (6)熱重合開始剤0から10重量部、 を含有する第一の感光性樹脂組成物層と、さらに、第一
    の感光性樹脂組成物層に積層された (8)フィルム性付与ポリマ20から80重量部、 (9)エチレン性不飽和単量体20から80重量部、 及びこれの混合物計100重量部に対し、 (10)光重合開始剤1から10重量部 を含有する第二の感光性樹脂組成物層よりなるフォトビ
    ア形成用感光性エレメント。
  4. 【請求項4】第一の感光性樹脂組成物層が、さらに (7)フィラー5から40重量部、 を含有する請求項記載のフォトビア形成用感光性エレ
    メント。
  5. 【請求項5】第一の導体配線が形成された配線板に、請
    求項1〜各項記載のフォトビア形成用感光性エレメン
    トを積層し、感光性樹脂組成物を露光、現像し第一の導
    体配線に達する穴をあけ、感光性樹脂組成物上に第一の
    導体配線と導通する第二の導体配線を形成することを特
    徴とする多層板の製造法。
  6. 【請求項6】第一の導体配線が形成された配線板に、第
    一、第二の感光性樹脂組成物のフィルムを積層する請求
    記載の多層板の製造法。
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