JP2009161857A - めっき用感光性樹脂組成物、及び、それを用いた金属層付き基板の製造方法 - Google Patents
めっき用感光性樹脂組成物、及び、それを用いた金属層付き基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマー並びに分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーを含有することを特徴とする、めっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成しうるめっき用感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
金属膜を形成する基板の表面平滑性は、金属膜の特性に大きく影響し、平滑性は高いほど、伝送損失や高周波伝送等の電気特性を向上させうるため好ましい。
各種の基板表面に金属膜を形成する方法としては、無電解めっきや電気めっきなどを用いる方法が挙げられ、めっき浴の組成やめっき条件を制御することで任意の金属膜を形成することができる。
部分めっきを行うための樹脂材料として、重合性基を有する感熱性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この樹脂材料は熱硬化性であるため、フルアディティブ法を用いて、例えばラインアンドスペースが10μm以下であるような微細な電気配線を形成するのは困難であり、特に表面を粗化する工程を含んでいないが、平滑面の電気特性上の重要性に関する開示は無く、テープ剥離のみの評価であるため平滑面上への金属層の密着力についても、電気配線へ応用する場合は十分な性能であるとは言い難かった。
めっきを行うためには、基板表面にめっき触媒などの金属を付着させることを要するが、このとき、基板をめっき液や電解液中に浸漬して使用するため、このような液中でもめっき触媒などの金属を安定に受容するとともに、めっき液などによる損傷を受けにくく、平滑な触媒受容層の形成、ならびに、めっき層が強固に密着する平滑な触媒受容層は、特に微細配線や高周波伝送が必要とされる電気配線分野において切望されている。
Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
本発明の目的は、めっきにより形成される金属膜との密着性及び、樹脂−金属界面の平滑性に優れ、高い膜形成感度を有する製造適性が良好なめっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成しうるめっき用感光性樹脂組成物を提供する。
本発明のさらなる目的は、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物を用いることで、金属層と基板との密着性に優れた金属層付き基板を、低エネルギーで容易に形成することができる金属層付き基板の製造方法を提供することにある。
<1> めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマー並びに分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーを含有することを特徴とする、めっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成しうるめっき用感光性樹脂組成物。
<2> 前記めっき用感光性樹脂組成物により形成されためっき触媒若しくはその前駆体受容性層が下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする<1>に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
条件1:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜10質量%
条件2:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜20質量%
<3> 前記めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーが、シアノ基を有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
<4> 前記めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーが、下記一般式(1)で表されるユニット、及び、下記一般式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
<5> 前記めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が1000〜700000であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
<6> 前記分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーが、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、又は、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
<7> 前記分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーの含有量が、感光性樹脂組成物中の全固形分換算で0.1質量%から30質量%の範囲にあることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
<8> 基板上に、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させてめっき触媒若しくはその前駆体受容性の塗膜を形成する工程と、形成された塗膜にめっき触媒若しくはその前駆体を付与する工程と、めっきを行う工程と、を有する金属層付き基板の製造方法。
さらに、本発明によれば、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物を用いることで、金属層と基板との密着性に優れた金属層付き基板を、低エネルギーで容易に形成することができる金属層付き基板の製造方法を提供することができる。
〔めっき用感光性樹脂組成物〕
本発明のめっき用感光性樹脂組成物は、(A)めっき触媒若しくはその前駆体と相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマー、及び、(B)分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーを含有し、めっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成しうることを特徴とする。
<(A)めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマー>
本発明の感光性樹脂組成物には、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させうるめっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基(以下、このような官能基を、適宜、「相互作用性基」と称する)及び重合性基を有するポリマー(以下、適宜、特定ポリマーと称する)を含有する。
本発明における相互作用性基と重合性基とを有するポリマーとしては、重合性基及び相互作用性基を有すると共に、吸水性が低く、更に、疎水性の高い化合物を用いることが好ましい。
そのような観点からは、特定ポリマーにおける相互作用性基としては、多座配位を形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などの非解離性官能基が挙げられる。非解離性官能基とは、官能基が解離によりプロトンを生成しない官能基を意味する。
このような官能基は、めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)のように高い吸水性、親水性を有するものではないため、この官能基を有するポリマーにより形成された樹脂塗膜は、アルカリ現像液等の浸透し難い疎水性の塗膜を形成することが可能になる。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH2)n−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
本発明に用いうる特定ポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
R2としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
R3としては、水素原子が好ましい。
R4としては、水素原子が好ましい。
R5としては、水素原子、メチル基、或いは、ヒドロキシ基又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH2)n−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH2−である。
L1の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
また、式(3)におけるL1も、前記式(1)におけるL1と同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるL1は、前記式(1)におけるL1と同義であり、好ましい例も同様である。
また、前記式(3)及び式(4)において、L1は、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
特に、式(5)においては、L2中のシアノ基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるL2中のシアノ基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合と、でその合成方法が異なる。
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブチルビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイルの(メタ)アクリル酸エステル、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、重複しているので削除、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノへキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘプチル(メタ)アクリレート、8−シアノオクチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(2−(ブロモメチル)アクリレート)、2−シアノエチル−(2−(ヒドロキシメチル)アクリレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノメチル−(メタ)アクリレート、1−メチル−1−エチル−1−シアノメチル−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと、カチオン重合性の重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)と、を反応させ、側鎖にカチオン重合性の重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
二重結合導入のための反応性基を有するモノマーとしては、反応性基としてカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有するモノマーが挙げられる。
水酸基含有のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイル−3−ヒドロキシ−アダマンタン、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(2−ヒドロキシエチル)−(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシメチル−4−(メタ)アクリロイルメチル−シクロヘキサン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、東亞合成(株)製のアロニクスM−554、M−154、M−555、M−155、M−158、日本油脂(株)製のブレンマーPE−200、PE−350、PP−500、PP−800、PP−1000、70PEP−350B、55PET800、以下の構造を有するラクトン変性アクリレートが使用できる。
CH2=CRCOOCH2CH2[OC(=O)C5H10]nOH
(上記式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜5である)
イソシアネート基を有するモノマーとしては、昭和電工製のカレンズAOI、MOIが使用できる。
なお、iii)の合成方法において用いられるシアノ基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルボキシル基)、(エポキシ基、カルボキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
即ち、本発明における合成方法Aは、少なくとも溶媒中で、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー、及び、イソシアネート基と重合性基とを有する化合物を用い、該ヒドロキシル基に該イソシアネート基を付加させることによりL1中のウレタン結合を形成することを特徴とする。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、先に、二重結合導入のための反応性基を有するモノマーのうち、カルボキシル基含有モノマーとして挙げたものを同様に使用することができる。
なお、合成方法Aに用いられる側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、更に第3の共重合成分を含んでいてもよい。
(I)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと、該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを合成する際に副生する2官能アクリレートと、を含む混合物を、水に溶解する工程
(II)得られた水溶液に、水と分離する第1の有機溶剤を加えた後、該第1の有機溶剤と前記2官能アクリレートとを含む層を水層から分離する工程
(III)前記水層に、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物を溶解する工程
(IV)前記水層に第2の有機溶剤を加えて、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを抽出した後、濃縮する工程
前記(I)の工程では、この市販品(混合物)を水に溶解して、水溶液を得る。
その後、水溶液(水層)から、この第1の有機溶剤と2官能アクリレートとを含む層(油層)を分離する。
ここで用いられるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートよりも水溶解性の高い化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの無機塩等が用いられる。
ここで用いられる第2の有機溶剤としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。この第2の有機溶剤は、前述の第1の有機溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(4)の工程における濃縮には、無水硫酸マグネシウムによる乾燥や、減圧留去等が用いられる。
2官能アクリレートの含有量のより好ましい範囲は、単離物の全質量中に0.05質量%以下であり、少なければ少ないほどよい。
このように精製されたヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることで、不純物である2官能アクリレートが重合反応に影響を及ぼし難くなるため、重量平均分子量が20000以上のニトリル基含有重合性ポリマーを合成することができる。
中でも、高分子量体を合成する観点から、エステル系溶媒であることがより好ましく、特に、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のジアセテート系溶媒や、ジメチルカーボネートが更に好ましい。
ここで、本発明における溶媒のSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、めっき触媒に対する吸着性の観点から、共重合成分全体に対し5〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、具体的には、アクリル樹脂骨格、スチレン樹脂骨格、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)骨格、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ユリア樹脂(尿素とホルムアルデヒドの重縮合体)骨格、ポリエステル樹脂骨格、ポリウレタン骨格、ポリイミド骨格、ポリオレフィン骨格、ポリシクロオレフィン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアクリル骨格、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの重合体)骨格、ポリアミド骨格、ポリアセタール骨格、ポリカーボネート骨格、ポリフェニレンエーテル骨格、ポリフェニレンスルファイド骨格、ポリスルホン骨格、ポリエーテールスルホン骨格、ポリアリール骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリアミドイミド骨格などの主鎖骨格を形成しうるモノマーが挙げられる。
また、これらの主鎖骨格は、シアノ基含有ユニットや、重合性基含有ユニットの主鎖骨格であってもよい。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
ここに記載されている分子量及び重合度の好ましい範囲は、本発明において用いられるシアノ基含有重合性ポリマー以外の重合性基及び相互作用性基を有するポリマーに関しても好適な範囲である。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
極性基を有していることによって、後述の工程により金属膜が形成された後、例えば、保護層を設ける場合には、ポリマー層と保護層との接触領域において密着力を向上させることができる。
(A)特定ポリマー(例えば、シアノ基含有重合性ポリマー)の含有量は、本発明のめっき用感光性樹脂組成物に対して、固形分換算で2質量%〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは5質量%〜20質量%の範囲である。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマー(以下、適宜、多官能モノマーと称する)は、少なくとも2個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物である。
分子内に存在する重合性基は、2以上であれば問題はないが、2つ〜6つ含むものが好ましく、更に好ましくは2つ又は3つであり、平滑性、膜形成感度の観点からは、重合性基を2つ有するものがより好ましい。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体、及び、オリゴマーであって重合性基を有するもの、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつものも含まれる。それらの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。さらに、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、これらの別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
スチリル基含有エステルとしては、ジ(3−ビニル安息香酸)エチレングリコールエステル、ペンタエリスリトールジ(3−ビニル安息香酸)エステル等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
CH2=C(Ra)COOCH2CH(Rb)OH・・・一般式
(ただし、RaおよびRbは、水素原子またはメチル基を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることができる。
より具体的には、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマー不飽和基含有イソシアネートと水との反応物、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのモノマーなどが好ましく、なかでも、アミド結合を有する多官能モノマー、例えば、不飽和基含有イソシアネートと水との反応物、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのモノマーがより好ましい。
また、反応性に影響を与える架橋反応中の分子の運動性の観点から、用いる多官能モノマーの分子量としては150以上1000以下が好ましく、更に好ましくは200以上700以下である。また、複数存在する重合性基同士の間隔(距離)としては原子数で1〜15であることが好ましく、6以上10以下であることがさらに好ましい。
なお、反応性の観点からだけでなく、併用するバインダー(即ち、主として前記特定ポリマー)との相溶性の観点で選択することも有用であり、そのような観点からは、沖津法により定められる多官能モノマーのSP値が、併用するバインダーのSP値と近いもの、具体的には、その差が±5Mpa1/2以下の化合物を選択して使用することもできる。
本発明のめっき用感光性樹脂組成物には、前記(A)特定ポリマー及び(B)多官能モノマーに加え、溶剤を用いることができる。
本発明に使用しうる溶剤は、組成物の主成分である、重合性基及び相互作用性基を有する化合物や多官能モノマーが溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤などが挙げられる。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い容易性の観点から、沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物を、基板上に塗布する場合、基板の膨潤率が10〜45%となる溶剤を選択してもよい。この膨潤率は、基板を溶剤中に浸漬し、1000分後に引き上げた場合の厚さの変化から求めることができる。
得られためっき触媒若しくはその前駆体受容性層は、温度サイクル試験や熱経時試験、リフロー試験などで熱耐久性を測定することができ、例えば、熱分解に関しては、200℃環境に1時間曝した場合の質量減少が20%以下であると、十分に熱耐久性を有していると評価できる。
次に、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物を用いた金属層付き基板の製造方法について説明する。
本発明の金属層付き基板の製造方法は、(i)基板上に、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させてめっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成する工程と、(ii)形成された塗膜にめっき触媒若しくはその前駆体を付与する工程と、(iii)めっきを行う工程と、を有することを特徴とする。これらの工程を順次説明する。
本発明の金属層付き基板の製造方法における(i)工程では、基板上に、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、めっき触媒受容層を形成する。
(i)工程は、基板上に、重合性基及びめっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成しうる官能基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われることが好ましい。
また、このポリマーを基板に効率よく化学結合させるためには、(i)めっき触媒受容層形成工程が、(i−1)基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する密着補助層が形成された基板を作製する工程と、(i−2)該密着補助層に、本発明の感光性樹脂組成物を接触させ、エネルギーを付与してめっき触媒受容層を形成する工程であることも好ましい態様である。
また、上記(i−2)工程は、前記密着補助層上に、感光性樹脂組成物を接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(密着補助層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
基板上におけるめっき触媒受容層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法、特に、UV光による光グラフト重合法を用いてポリマー層を形成することが好ましい。
本発明における「基板」とは、その表面が、めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有するものであり、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また、該基材上に別途中間層(例えば、後述する密着補助層)を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
本発明の感光性樹脂組成物を用いて金属層付き基板の製造方法を実施する際に、基板材料として使用される基材は、特開2007−154369公報段落番号〔0062〕に記載の基材を本発明にも同様に使用することができる。なかでも、基材としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又は、液晶ポリマー樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む基材が好ましい。
これらの基材は寸法安定性や物理特性を向上させる目的でシリカなどの無機充填物を混合したものであってもよい。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面にめっき触媒受容層が形成された場合には、更に、後述する(ii)工程、及び(iii)工程を行うことで、両面に金属膜が形成された金属層付き基板を得ることができる。
以下、本発明における密着補助層について説明する。なお、基材が板状物であれば、その両面に密着補助層を形成してもよい。
(密着補助層)
密着補助層としては、基板、及び感光性樹脂組成物との密着性が良好な樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。また、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる活性種(化合物)や、金属イオン吸着能を有する樹脂膜と相互作用を形成し得る活性点を発生させる部位と、基材と相互作用し化学的な結合を形成しうる部位とを有する化合物を添加していてもよい。
以下、基材が絶縁樹脂からなり、密着補助層が絶縁樹脂組成物から形成される態様について説明する。
また、これ以外の成分として、密着補助層の強度を高める、また、電気特性を改良するために、無機若しくは有機の粒子を添加してもよい。
絶縁樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シソシアネート系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。
具体的には、例えば、加熱時に応力を緩和させることができる、ゴム、SBRラテックスのような物質、膜性改良のためのバインダー、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
また、更にこの密着補助層には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を、一種又は二種以上添加してもよい。
活性種の例としては、前述した樹脂フィルム(基材)中に添加される熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0043〕、〔0044〕に記載されている。ここで、密着補助層に含有させる重合開始剤の量は、固形分で0.1〜50質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
上記密着補助層を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、特開2007−154306公報段落番号〔0045〕に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどを使用することができる。上記例示溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
なお、転写法を適用する場合には、特定重合性化合物を含有する感光性樹脂組成物からなる層と、密着補助層との2層構成を有する転写積層体を作製し、ラミネート法によって一度に基材の表面に転写してもよい。
この硬化処理工程は密着補助層の形成後すぐにおこなってもよく、密着補助層形成後に5〜10分程度の予備硬化処理を行っておけば、密着補助層形成後に行われる他のすべてのそれぞれの工程を行ったあとに実施してもよい。
絶縁性の密着補助層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(i)工程におけるめっき触媒受容層の形成は、基板上に、重合性基及びめっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成しうる官能基を有するポリマーを直接化学結合させることにより行われるが、ポリマーを前記基板や密着補助層に結合させる態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、特定ポリマーがその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、光グラフト重合法を用いることができる。
本発明においては、基材上に密着補助層が形成された基板を用い、該密着補助層上に、めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該密着補助層と直接化学結合した特定ポリマーからなるめっき触媒受容層を形成する態様〔(i−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、密着補助層上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(密着補助層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを含有する組成物を、密着補助層表面に接触させながら、当該密着補助層表面に生成する活性種により直接結合させるものである。
なお、樹脂フィルムの如き基材の両面に対してめっき受容層を形成する場合にも、感光性樹脂組成物層を両面同時に形成し易いといった観点から、塗布法を用いることが好ましい。
ここで、用いられる感光性樹脂組成物は、前記本発明のめっき用感光性樹脂組成物である。
なお、基板上に、該感光性樹脂組成物を含有する塗布液を塗布し、乾燥させて、感光性樹脂組成物層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5〜2時間放置させて、塗膜中に残存する溶剤を除去する工程を実施してもよい。
基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とする特定ポリマーと基板のとの結合性、結合量及び光源の光強度により異なるが、通常、5秒〜1時間の間である。
めっき触媒受容層形成後の基板は、未反応のポリマーなどを除去するため、洗浄工程に付されるが、得られためっき触媒受容層が、例えば、pH12のアルカリ性溶液に添加し、1時間攪拌したときの重合性基部位の分解が50%以下である場合は、高アルカリ性溶液による洗浄を行うことができる。
このため、当該めっき触媒受容層は、本発明の好ましい態様である以下の2つの条件を満たすものとなる。
条件1:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜10質量%
条件2:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜20質量%
条件1〜2における飽和吸水率及び吸水率は、以下の方法にて測定することができる。
まず、基板を減圧乾燥機内に放置し、基板内に含まれる水分を除去した後、条件1、2の場合は、所望の温度及び湿度に設定された恒温恒湿槽内に放置し、質量変化の測定によって飽和吸水率及び吸水率を測定する。ここで、条件1、2における飽和吸水率は、質量が24時間経過後も変化しなくなった時の吸水率を示している。別途、予め質量変化が既知である前記めっき触媒受容層を形成した基板(積層体)についても、同様の操作により積層体の飽和吸水率及び吸水率を測定することにより、基板の吸水率と積層体の吸水率との差分によりめっき触媒受容層の吸水率を測定することができる。また、めっき触媒受容層を基板上に付与せずに、シャーレなどを用いて、めっき触媒受容層を構成する特定ポリマーの単独膜を作製し、得られたポリマー単独膜を、上記の方法によって直接吸水率を測定してもよい。
本工程〔(ii)工程:めっき触媒付与工程〕では、(i)工程で形成されためっき触媒受容層にめっき触媒若しくはその前駆体を付与する。
本工程においては、樹脂層を構成するグラフトポリマーが有する相互作用性基(シアノ基)が、その機能に応じて、付与されためっき触媒若しくはその前駆体を付着(吸着)する。
付与されるめっき触媒若しくはその前駆体としては、後述する(3)めっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒若しくはその前駆体は、(3)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
通常は、本工程において用いられるめっき触媒若しくはその前駆体は、無電解めっき触媒若しくはその前駆体であることが好ましいが、本発明の係るめっき触媒受容層が十分なめっき触媒を吸着させうることから、これら吸着しためっき触媒を還元工程により金属化し、その金属からなる金属層を通電層として電気めっきを行うことも可能である。
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、ものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
また、前記(i)工程において、表面グラフト重合法を用いる場合、基板上に、重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有する化合物を含有する本発明の感光性樹脂組成物を接触させるが、この組成物中に、無電解めっき触媒若しくはその前駆体を添加する方法を用いてもよい。重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有するポリマーと、無電解めっき触媒若しくはその前駆体と、を含有する組成物を、基板上に接触させて、表面グラフト重合法を適用することにより、相互作用性基(シアノ基)を有し、且つ、基板と直接化学結合したポリマーに、めっき触媒若しくはその前駆体が付着してなるポリマーからなる層を形成することができ、この方法を用いれば、本発明における(i)めっき触媒受容層形成工程と(ii)めっき触媒付与工程とが1工程で行えることになる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属
濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
本発明において、後述の(iii)工程において、めっき触媒を付与しためっき触媒受容層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、特に、相互作用性基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
本発明の金属層付き基板の製造方法においては、前記(i)工程、(ii)工程に続き、(iii)めっきを行う工程(めっき工程)を実施する。無電解めっき触媒若しくはその前駆体が付与されためっき触媒受容層に対し、めっきを行うことで、めっき膜(金属層)が形成され、金属層付き基板が得られる。形成されためっき膜は、優れた導電性、基板との密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、前記(ii)工程において、めっき触媒受容層との間に配位結合性の相互作用を形成しためっき触媒若しくはその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒若しくはその前駆体が付与されためっき触媒受容層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がポリマー層に吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
即ち、条件1における飽和吸水率が0.01〜0.5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は20〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が0.5〜5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は10〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が5〜10質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜60%であることが好ましく、同飽和吸水率が10〜20質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜45%であることが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
めっき液は、市販品を用いてもよく、例えば、上村工業(株)製:スルカップPGT、奥野製薬(株)製:ATSアドカッパーIW、などが挙げられる。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
本工程おいては、(ii)工程において付与されためっき触媒若しくはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与されためっき触媒受容層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を電気めっきにより容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
めっき触媒受容層中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、めっき触媒受容層の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5〜50面積%であり、めっき触媒受容層と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmの如き平滑な界面であっても強い密着力が発現されるが、本発明においては、更にRaが0.05μ〜0.1μmの範囲の、さらに平滑な界面においても強い密着力を発現させることができる。
本発明の金属層付き基板の製造方法により得られた金属層付き基板は、基板表面に形成された有機層であるめっき触媒受容層の平滑性に優れ、且つ、金属層の密着力も良好であることから、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができ、特に、金属層と有機層との界面における平滑性が改良されたことから、高周伝送を確保する必要がある用途に使用してその効果が著しいといえる。
本発明の金属層付き基板の製造方法により得られた金属層付き基板は、極めて平滑な有機層であるめっき触媒受容層表面に形成された金属層の密着性に優れ、少ないエネルギー付与で容易に製造しうるといった効果を有する。この金属層付き基板は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
この(4)エッチング工程について以下に説明する。
(iv)工程では、上記(iii)工程で形成されためっき膜(金属層)をパターン状にエッチングする。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
(i)の工程で得られるめっき触媒受容層をパターン状に形成する方法としては、具体的には、めっき触媒受容層を形成する際に付与されるエネルギーをパターン状とすればよく、また、エネルギーを付与しない部分を現像で除去することでパターン状のめっき触媒受容層を形成することができる。
なお、現像方法としては、重合性基及び相互作用性基(シアノ基)を有する化合物などのめっき触媒受容層を形成するために用いられる材料を溶解しうる溶剤に浸漬することで行われる。浸漬する時間は1分〜30分が好ましい。
また、(i)工程で形成されるめっき触媒受容層は、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で基材表面にパターン状に形成した後、エネルギー付与し、その後、現像することで形成してもよい。
パターン形成したポリマー層上にめっき膜を形成するための(ii)めっき触媒付与工程、及び(iii)めっき工程は、前述の方法と同じでよい。
本発明の製造方法により得られる金属層付き基板は、表面の凹凸が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板上の全面又は局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが好ましい。また、基板と金属パターンとの密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、本発明の製造方法は、基板、さらには、そこに形成される有機層であるめっき触媒受容層の表面が平滑でありながら、基板と金属層(金属パターン)との密着性に優れる材料を容易に製造しうることを特徴とする。
また、基板と金属層との密着性の値は、金属膜(金属パターン)の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
[基板の作製]
基板は125μm厚のポリイミド(カプトン500H:東レ・デュポン(株))を用いた。この基材の25℃−50%相対湿度下での飽和吸水率は、1.0質量%であった。
基板上に、下記組成の絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、170℃で60分乾燥して絶縁性層を形成した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45質量部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30質量部を、エチルジグリコールアセテート20部、及びソルベントナフサ20部に、攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSとからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30質量部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し、絶縁性組成物を得た。
上記のようにして絶縁性組成物からなる密着補助層1を形成した後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Ra)は0.1μmであった。
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAの合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーAを合成した。
500mLの3つ口フラスコにエチレングリコールジアセテートを20mL、ヒドロキシエチルアクリレート7.43g、シアノエチルアクリレート32.03gを入れ、80℃に昇温し、その中に、V−601:0.737g、及びエチレングリコールジアセテート20mLの混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間反応させた。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.32g、U−600(日東化成製)1.04g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)21.87g、及びエチレングリコールジアセテート22gを加え、55℃、6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを4.1g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、相互作用性基としてニトリル基を有する特定ポリマーであるポリマーAを35g得た。重合性基含有ユニット:ニトリル基含有ユニット=22:78(mol比)であった。また、分子量はポリスチレン換算でMw=8.2万(Mw/Mn=3.4)であることが分かった。
前記特定ポリマーA:5.84質量部、及び、下記構造の多官能モノマーX:0.53質量部(ポリマーAに対し9%)を、アセトン51.77質量部、アセトニトリル38.47質量部、N,Nジメチルアセトアミド3.4質量部で希釈し、混合攪拌し、固形分6.377%の塗布溶液を調製した。
調製された塗布溶液を、前記基板A1の樹脂層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の密着補助層の全面に特定ポリマー及び多官能モノマーにより形成されためっき触媒受容層を形成した。ここで、積算露光量は250mJ/cm2であった。
これにより、めっき触媒受容層を有する基板A2を得た。
得られためっき触媒受容層の物性について前述の方法で測定した。結果は以下の通りである。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.2質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.4質量%
アセトンに対し、硝酸パラジウム0.05質量%相当量を添加し、十分に攪拌した後、未溶解物をミクロフィルター(ADVANTEC社製DISMIC−25HP、ポアサイズ0.45μm)にて濾過した。得られた溶液に、めっき触媒受容層を有する基板A2を30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。続いて、水で洗浄を行った。
上記のようにして、めっき触媒が付与されためっき触媒受容層を有する基板A2に対し、上村工業(株)製スルカップPGTを用い、下記組成の無電解めっき浴を用い、無電解めっき温度26℃で10分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.2μmであった。
調液順序及び原料は以下の通りである。
蒸留水 約60容量%
PGT−A 9.0容量%
PGT−B 6.0容量%
PGT−C 3.5容量%
ホルマリン液* 2.3容量%
最後に、全量が100容量%となるように蒸留水にて液面調整した。
*ここで用いたホルマリンは、和光純薬のホルムアルデヒド液(特級)である。
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは12.0μmであった。
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
めっき触媒受容層と金属層(めっき膜)界面を断面のSEM写真(倍率10000)を用い、JIS B0633−2001に準拠して、界面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.10μmであった。
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、前記した方法で、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.8kN/mmであった。
この結果より、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された金属膜付き基板は、めっき触媒受容層が高感度で形成され、めっき触媒受容層と金属層との界面の平滑性に優れ、金属層の密着性も良好であることがわかる。
めっき触媒受容層塗布液の調整において、前記多官能モノマーの添加量を1.69質量部に代えた他は同様にして実施例2の金属層付き基板を得た。
実施例1と同様に評価したところ、めっき触媒受容層の形成に必要な露光エネルギーは、200mJ/cm2であった。また、めっき触媒受容層と金属層との界面のRaは、0.08μmであり、剥離強度は0.9kN/mmであった。
また、めっき触媒受容層表面の物性値は以下のとおりであった。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.3質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.3質量%
この結果より、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された金属膜付き基板は、めっき触媒受容層が高感度で形成され、めっき触媒受容層と金属層との界面の平滑性に優れ、金属層の密着性も良好であることがわかる。
めっき触媒受容層塗布液の調整において、前記多官能モノマーX0.95質量部に代えて、下記単官能モノマーYを添加量0.74質量部用いた他は同様にして比較例1の金属層付き基板を得た。
めっき触媒受容層表面の物性値は以下のとおりであった。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.2質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.1質量%
この結果より、多官能モノマーを用いない比較例の感光性樹脂組成物を用いて形成された金属膜付き基板は、めっき触媒受容層の硬化感度、めっき触媒受容層と金属層との界面の平滑性のいずれも、実施例との対比において劣るものであった。
めっき触媒受容層塗布液の調整において、前記単官能モノマーYの添加量1.48質量部用いた他は比較例1と同様にして比較例2の金属層付き基板を得た。
実施例1と同様に評価したところ、めっき触媒受容層の形成に必要な露光エネルギーは、500mJ/cm2であった。また、めっき触媒受容層と金属層との界面のRaは、0.15μmであり、剥離強度は0.8kN/mmであった。
めっき触媒受容層表面の物性値は以下のとおりであった。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.3質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.3質量%
この結果より、多官能モノマーを用いない比較例の感光性樹脂組成物を用いて形成された金属膜付き基板は、めっき触媒受容層の硬化感度、めっき触媒受容層と金属層との界面の平滑性のいずれも、実施例との対比において劣るものであった。
実施例1において形成した密着補助層1を、以下に示す方法で形成された密着補助層2に代えた他は、同様にして、基板B1を得た。基板B1を用いた他は実施例1と同様にして、めっき触媒若しくはその前駆体受容性層を有する基板B2を得た。
(密着補助層2の形成)
jER806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン製)11.9質量部、LA7052(フェノライト、硬化剤:大日本インキ化学工業)4.7質量部、YP50−35EK(フェノキシ樹脂、東都化成製)21.7質量部、シクロヘキサノン61.6質量部、及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1質量部を混合した混合溶液を、ろ布(メッシュ#200)にて濾過し、塗布液を調製した。
この塗布液を、上記銅膜付きポリイミドフィルムの銅膜が形成されていない面上にスピンコータ(300rpmで5秒回転後、1500rpmで25秒回転)にて塗布し、その後、170℃で60分間乾燥して硬化させた。硬化した密着補助層2の厚みは1.3μmであった。この密着補助層2が形成された基板を基板B1とした。この基板B1の密着補助層2の表面凹凸(Ra)は0.1μmであった。
実施例1と同様に評価したところ、めっき触媒受容層の形成に必要な露光エネルギーは、250mJ/cm2であった。また、めっき触媒受容層と金属層との界面のRaは、
0.1μmであり、剥離強度は0.8kN/mmであった。
また、めっき触媒受容層表面の物性値は以下のとおりであった。
・25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率:1.2質量%
・25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率:3.4質量%
この結果より、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された金属膜付き基板は、めっき触媒受容層が高感度で形成され、めっき触媒受容層と金属層との界面の平滑性に優れ、金属層の密着性も良好であることがわかる。
Claims (8)
- めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマー並びに分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーを含有することを特徴とする、めっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成しうるめっき用感光性樹脂組成物。
- 前記めっき用感光性樹脂組成物により形成されためっき触媒若しくはその前駆体受容性層が下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする請求項1に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
条件1:25℃−50%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.01〜10質量%
条件2:25℃−95%相対湿度環境下における飽和吸水率が0.05〜20質量% - 前記めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーが、シアノ基を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
- 前記めっき触媒若しくはその前駆体と配位結合性の相互作用を形成する官能基、及び重合性基を有するポリマーの重量平均分子量が1000〜700000であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
- 前記分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーが、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、又は、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
- 前記分子内に少なくとも2つの重合性基を有する多官能モノマーの含有量が、感光性樹脂組成物中の全固形分換算で0.1質量%から30質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物。
- 基板上に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のめっき用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させてめっき触媒若しくはその前駆体受容性層を形成する工程と、
形成された塗膜にめっき触媒若しくはその前駆体を付与する工程と、
めっきを行う工程と、
を有する金属層付き基板の製造方法。
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