JP2003292639A - 光学用フィルムおよびその製造方法並びに偏光板 - Google Patents

光学用フィルムおよびその製造方法並びに偏光板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長 400〜 800nmにおいて正の波長依存性を
示し、吸水変形がなく、耐熱性が高い光学用フィルムお
よびその製法並びにこれを具えた偏光板の提供。 【解決手段】 光学用フィルムは、波長 400〜 800nmに
おいて負の複屈折性を示すノルボルネン系樹脂(I) と正
の複屈折性を示すノルボルネン系樹脂(II)とを含有し、
ノルボルネン系樹脂(I) および(II)は、各フィルムを同
一条件で一軸延伸したときに、△NI (λ)+△N
II(λ)>0および△NII(λ)−△NII(800) <△N
I (800) −△NI (λ)〔△NI (λ)および△N
II(λ)は、ノルボルネン系樹脂(I) および(II)の各々
の一軸延伸フィルムの波長λにおけるx軸方向の屈折率
とy軸方向の屈折率との差、△NI (800) および△NII
(800) は、ノルボルネン系樹脂(I) および(II)の各々に
よる一軸延伸フィルムの波長 800nmにおけるx軸方向の
屈折率とy軸方向の屈折率との差。x軸方向はフィルム
の延伸方向、y軸方向はx軸方向の面内垂直方向。〕を
満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノルボルネン系樹
脂組成物よりなる光学用フィルムおよびこの光学用フィ
ルムを有する偏光板に関し、さらに詳しくは、他の材料
との密着性および接着性が良好で、透過光に与える位相
差(本発明において、「位相差」とは、レターデーショ
ン(Retardation)を意味する。)の均一性
が高く、またこの位相差の特性が環境の温度や湿度に影
響されにくく、かつ、経時的安定性に優れ、さらに、こ
の位相差の絶対値が透過光の波長が長波長になるほど大
きくなる性質を有する光学用フィルムおよびこの光学用
フィルムを有する偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学用フィルムとして使用されて
いるポリカーボネートフィルムやポリエステルフィルム
は、光弾性係数が大きいものであるため、微小な応力の
変化などにより透過光に位相差が発現して位相差が変化
する、という問題がある。また、トリアセチルアセテー
トフィルム等よりなるアセテートフィルムは、光弾性係
数は比較的小さいものであるため、微小な応力の変化に
よる位相差の変化が生じることは少ないが、耐熱性が低
く、吸水性が高いものであるため、温度環境や湿度環境
が変化したときに変形しやすい、という問題がある。
【0003】一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(環状
ポリオレフィン系樹脂)は、主鎖構造の剛直性に起因し
てガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在す
るために非晶性で光線透過率が高く、しかも屈折率の異
方性が小さいことによる低複屈折性を示すなどの特長を
有しており、耐熱性、透明性および光学特性に優れた透
明熱可塑性樹脂として注目されている。このような熱可
塑性ノルボルネン系樹脂としては、例えば特開平1−1
32625号公報、特開平1−132626号公報、特
開昭63−218726号公報、特開平2−13341
3号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭6
1−115912号公報等に種々の構造を有するものが
記載されている。そして、近年、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂の特長を利用して、例えば、光ディスク、光学レ
ンズ、光ファイバーなどの光学材料、光半導体装置にお
ける封止材料などの分野において、熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂を利用することが検討されている。
【0004】また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、そ
の特性により、従来光学用フィルムに利用されている樹
脂材料の問題点を改善することが可能なものであり、そ
のため、熱可塑性ノルボルネン系樹脂製のフィルムを、
各種光学用フィルムとして用いることが提案されてい
る。例えば、特開平4−245202号公報、特開平4
−36120号公報、特開平5−2108号公報、特開
平5−64865号公報には、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂よりなる位相差板が記載されている。また、特開平
5−212828号公報、特開平6−51117号公報
や特開平7−77608号公報には、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂製のフィルムを偏光板の保護フィルムとして
使用することが記載されている。さらに、特開平5−6
1026号公報には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂製の
フィルムからなる液晶表示素子用基板が記載されてい
る。
【0005】これらの公報には、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂として、吸水率が0.05%以下のものが容易に
得られ、このような低吸水性を有する点が熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂の特徴のひとつであり、かつ、このよう
な低吸水性を有することが光学用フィルムの材料として
必要であると記載されている。しかしながら、このよう
な低吸水性を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂製のフ
ィルムを、例えば、位相差板や液晶表示素子用基板とし
て用いる場合には、ハードコート、反射防止膜や透明導
電層との密着性、あるいは、偏光板やガラスとの接着性
の点で問題が生じることがある。また、偏光板の保護フ
ィルムとして用いる場合には、上記の問題に加えて、偏
光子を貼り合わる際に通常使用される水系接着剤中の水
が乾燥し難い、という問題がある。
【0006】また、低吸水性を有する熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂としては、炭素原子および水素原子のみから
なる構造のもの、あるいは一部の水素原子がハロゲン原
子に置換された構造のものであったが、このような熱可
塑性ノルボルネン系樹脂が有する問題点を解決するため
に、極性基を分子内に導入した熱可塑性ノルボルネン系
樹脂を含む光学用フィルムが提案されている(例えば特
開平7−287122号公報、特開平7−287123
号公報参照)。このような光学用フィルムは、透明性が
高いこと、透過光の位相差が低いこと、さらに延伸配向
させることによって透過光に均一で安定した位相差を与
えること等の種々の光学特性において優れたものであ
り、耐熱性が高く、他の材料との密着性や接着性等が良
好で、しかも吸水変形が小さいという特長を有してお
り、従来の樹脂製光学用フィルムの問題点を改善したフ
ィルムとして、各種用途分野での応用が検討されてい
る。
【0007】然るに、上記の熱可塑性ノルボルネン系樹
脂製の光学用フィルムを含む従来の光学用フィルムは、
延伸配向させるこによって得られる特性として、透過光
の波長が長波長になるにつれて透過光の位相差の絶対値
が小さくなる性質(以下、「負の波長依存性」ともい
う。)を示すものであるため、光線波長400〜800
nmのいわゆる可視光線の全領域において、単一のフィ
ルムによって、例えば透過光に1/4λの位相差を与え
ることが困難である、という問題がある。このような問
題を解決するために、透過光に位相差を与えるフィルム
材(以下、「位相差フィルム材」という。)を複数枚貼
り合わせることにより、光線波長400〜800nmの
全領域において透過光に例えば1/4λの位相差を与え
るフィルムを得る手段が提案されている(例えば、特許
第3174367号明細書参照)。
【0008】しかしながら、このような手段では、位相
差フィルム同士を貼り合わせる際に高度な貼り合わせ角
度調整が必要であること、貼り合わせ工程において不良
品が発生して歩留りが低下すること、複数の位相差フィ
ルム材を貼り合わせることによって、フィルム全体の厚
みが大きいものとなること、などの問題がある。
【0009】そして、最近において、透過光の波長が長
波長になるにつれて透過光の位相差の絶対値が大きくな
る性質(以下、「正の波長依存性」ともいう。)を示す
光学用フィルムとして、ノルボルネン系樹脂にスチレン
/無水マレイン酸共重合体をブレンドしてなる特定の樹
脂組成物からなるものが提案されている(特開2001
−337222号公報参照)。しかしながら、この光学
用フィルムは、スチレン/無水マレイン酸共重合体を含
有するため、吸水による寸法変化が生じやすく、また、
耐熱性が低い、という問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その第1の目
的は、光線波長400〜800nmの可視光線全領域に
おいて正の波長依存性を示し、吸水による変形が実質的
に発生せず、高い耐熱性を有する光学用フィルムを提供
することにある。本発明の第2の目的は、上記の特性を
有する光学用フィルムを有利に製造することができる方
法を提供することにある。本発明の第3の目的は、上記
の特性を有する光学用フィルムを有する偏光板を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学用フィルム
は、光線波長400〜800nmにおいて、負の複屈折
性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)と正の複屈
折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)とを含有
する樹脂組成物からなり、前記熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(I)および前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I
I)は、それぞれのフィルムを同一の条件で一軸延伸し
たときに、下記数式(1)および下記数式(2)の条件
を満足するものであることを特徴とする。
【0012】
【数3】数式(1): △NI (λ)+△NII(λ)>0 数式(2): △NII(λ)−△NII(800)<△NI (800)−
△NI (λ)
【0013】〔数式(1)および数式(2)において、
△NI (λ)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)か
らなる一軸延伸されたフィルムの光線波長λにおけるx
軸方向の屈折率NxI (λ)とy軸方向の屈折率NyI
(λ)との差[NxI (λ)−NyI (λ)]を表し、
△NII(λ)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)か
らなる一軸延伸されたフィルムの光線波長λにおけるx
軸方向の屈折率NxII(λ)とy軸方向の屈折率Ny
(λ)IIとの差[NxII(λ)−NyII(λ)]を表
す。また、△NI (800)は、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(I)からなる一軸延伸されたフィルムの光線波
長800nmにおけるx軸方向の屈折率とy軸方向の屈
折率との差を表し、△NII(800)は、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(II)からなる一軸延伸されたフィルム
の光線波長800nmにおけるx軸方向の屈折率とy軸
方向の屈折率との差を示す。但し、x軸方向は、フィル
ムの延伸方向を示し、y軸方向はx軸方向に対して面内
垂直方向を示す。〕
【0014】本発明の光学用フィルムにおいては、樹脂
組成物が、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)100重
量部に対して熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)を1〜
1000重量部含有してなることが好ましい。また、熱
可塑性ノルボルネン系樹脂(I)が下記一般式(1)で
表される繰り返し単位を有するノルボルネン系重合体で
あり、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)が、下記一般
式(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルネン
系重合体であることが好ましい。
【0015】
【化5】
【0016】〔一般式(1)において、nは0または1
であり、mは0または1以上の整数である。X1 はビニ
レン基またはエチレン基を示し、R1 、R2 、R3 およ
びR4は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸
素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む
連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子
数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。また、
1 とR2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水
素基を形成してもよい。また、R1 またはR2 とR3
たはR4 とが相互に結合して炭素環または複素環を形成
してもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構造で
あっても多環構造であってもよく、当該炭素環または当
該複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよい。
但し、R1〜R4 のうち少なくとも1つは、下記一般式
(1−1)または下記一般式(1−2)で表される基で
ある。更に、当該重合体中に存在する複数のX1
1 、R 2 、R3 およびR4 の各々は同一であっても異
なっていてもよい。]
【0017】
【化6】
【0018】〔一般式(1−1)において、R9 〜R18
は、互いに独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原
子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結
基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1
〜30の1価の炭化水素基;または1価の極性基を表
す。但し、R9 〜R18のうち1つは、カルボニルオキシ
基であって、そのカルボニル基側の結合手により、当該
一般式(1−1)における主環構造に結合されている。
pおよびqは互いに独立に0〜2の整数である。また、
p=q=0のときは、R10とR13、R17とR13、R9
18、または、R16とR18が相互に結合して炭素環また
は複素環を形成してもよく、当該炭素環または当該複素
環は単環構造であっても多環構造であってもよい。更
に、当該重合体中に存在する複数のR9 〜R18の各々は
同一であっても異なっていてもよい。〕
【0019】
【化7】
【0020】〔一般式(1−2)において、Z、RA
よびRB は、互いに独立に、水素原子;ハロゲン原子;
酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含
む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原
子数1〜30の1価の炭化水素基;または1価の極性基
を表す。但し、一般式(1−2)においてRA 、RB
よびZのうち1つは、カルボニルオキシ基であって、そ
のカルボニル基側の結合手により、当該一般式(2−
1)における主環構造に結合されている。sは0または
1以上の整数である。更に、当該重合体中に存在する複
数のZ、RA およびRB の各々は同一であっても異なっ
ていてもよい。〕
【0021】
【化8】
【0022】〔一般式(2)において、tは0または1
であり、uは0または1以上の整数である。X2 はビニ
レン基またはエチレン基を示し、R5 、R6 、R7 およ
びR8は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸
素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む
連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子
数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。また、
1 とR2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水
素基を形成してもよい。また、R1 またはR2 とR3
たはR4 とが相互に結合して炭素環または複素環を形成
してもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構造で
あっても多環構造であってもよく、当該炭素環または当
該複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよい。
但し、R5〜R8 は、上記一般式(1−1)および上記
一般式(1−2)で表される基を含まない。更に、当該
重合体中に存在する複数のX2 、R5 、R6 、R7 およ
びR 8 の各々は同一であっても異なっていてもよい。]
【0023】また、本発明の光学用フィルムにおいて
は、樹脂組成物は、一般式(1)におけるnおよびmが
共に0である熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)と、一
般式(2)におけるtが0でuが1である熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(II)とを含有してなることが好まし
い。
【0024】また、本発明の光学用フィルムにおいて
は、透過光に位相差を与える性質を有するものであって
もよい。このような光学用フィルムにおいては、光線波
長550nmにおける位相差Re(550)と光線波長
400nmにおける位相差Re(400)との比[Re
(400)/Re(550)]が1.0〜0.5の範囲
にあり、かつ光線波長550nmにおける位相差Re
(550)と光線波長800nmにおける位相差Re
(800と)の比[Re(800)/Re(550)]
が1.5〜1.0の範囲にあることが好ましい。また、
光線波長400〜800nmの範囲において、下記数式
(3)により算出される値のばらつきが、その平均値に
対して±20%の範囲内にあることが好ましい。
【0025】
【数4】数式(3):Re(λ)/λ
【0026】〔数式(3)において、λは当該フィルム
を透過する光線の波長を表し、Re(λ)は、光線波長
λにおける位相差を表す。〕
【0027】また、本発明の光学用フィルムにおいて
は、少なくとも片面に光拡散機能を有するものであって
もよい。また、少なくとも片面に透明導電性層を有する
ものであってもよい。また、少なくとも片面に反射防止
層を有するものであってもよい。また、偏光板保護フィ
ルムとして使用されるものであってもよい。
【0028】本発明の偏光板は、上記の光学用フィルム
を有してなることを特徴とする。
【0029】本発明の光学用フィルムの製造方法は、溶
液キャスト法により、上記の光学用フィルムを製造する
ことを特徴とする。
【0030】本発明の光学用フィルムの製造方法におい
ては、前記樹脂組成物を、良溶媒と貧溶媒との混合溶剤
に溶解して樹脂溶液を調製する工程を有することが好ま
しい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〔高分子化合物の複屈折性〕先ず始めに、高分子化合物
の複屈折性について定義しておく。本発明において、
「正の複屈折性」とは、延伸等により高分子化合物の分
子鎖を一軸配向した際に延伸方向の屈折率がそれと垂直
方向の屈折率より大きくなる性質を意味し、また「負の
複屈折性」とは、逆に延伸方向(一軸配向方向)の屈折
率がそれと垂直方向の屈折率よりも小さくなる性質を意
味する。すなわち、延伸方向をx軸、それと面内垂直方
向をy軸(なお、厚み方向をz軸)とし、x軸方向の屈
折率をNx、Y軸方向の屈折率をNyとすると、正の複
屈折性を示すものは、△N=Nx−Ny>0を満足し、
負の複屈折性を示すものは、△N=Nx−Ny<0を満
足する。
【0032】因みに、正の複屈折性を示す高分子化合物
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンやポ
リカーボネート等が挙げられる。一方、負の複屈折性を
示す高分子化合物としては、ポリメチルメタクリレート
やポリスチレン等が挙げられる。
【0033】また、位相差(レターデーション:Ret
ardation)Reは、下記数式(4)で算出され
る値であり、複屈折性の正負に対応して位相差は正負の
値となる。
【0034】
【数5】数式(4): Re=(Nx−Ny)×d=△N×d [ここで、dは光路長を示す。]
【0035】一般に知られている高分子化合物において
は、複屈折性の正負に拘わらず、位相差は透過する光の
波長が長くなるに従ってその絶対値が小さくなること
(上記の定義でいう「負の波長依存性」)が知られてい
る。ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の代表的な
ポリマーはいずれもこのような性質を示す。例えば、光
線波長550nmにおける位相差Re(550)を基準
として、光線波長400〜800nmの範囲の任意の波
長λにおける位相差を調べると、550nmより短い波
長の範囲ではいずれもRe(λ)/Re(550)は1
以上となり、また550nmより長い波長の範囲ではい
ずれもRe(λ)/Re(550)は1以下となる。
【0036】本発明者らは、光線波長400〜800n
mの範囲において、波長が短いほど位相差の絶対値が小
さくなる波長依存性(正の波長依存性)を示し、かつ吸
水による特性変化や耐熱性等が改良された光学用フィル
ムを提供することを課題とし、多大なる努力を持って鋭
意検討を行ったところ、正の複屈折性を示す熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂と負の複屈折性を示す熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂とからなる特定の樹脂組成物において、各
熱可塑性ノルボルネン系樹脂が有する複屈折性の値の加
減性が近似的に成立する、すなわち、組成物が示す複屈
折性の値は、当該組成物における各熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂の複屈折性(△N)の和の値と相関しているこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。すなわち、光線波長400〜800nmにおい
て、負の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(I)と正の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹
脂(II)とを含有してなり、当該熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(I)および当該熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(II)が、それぞれのフィルムを同一の条件で一軸延伸
した場合において、下記数式(1)および数式(2)を
満足するものである光学用フィルムにより、上記課題が
解決される。
【0037】
【数6】数式(1): △NI (λ)+△NII(λ)>0 数式(2): △NII(λ)−△NII(800)<△NI (800)−
△NI (λ)
【0038】〔数式(1)および数式(2)において、
△NI (λ)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)か
らなる一軸延伸されたフィルムの光線波長λにおけるx
軸方向の屈折率NxI (λ)とy軸方向の屈折率NyI
(λ)との差[NxI (λ)−NyI (λ)]を表し、
△NII(λ)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)か
らなる一軸延伸されたフィルムの光線波長λにおけるx
軸方向の屈折率NxII(λ)とy軸方向の屈折率Ny
(λ)IIとの差[NxII(λ)−NyII(λ)]を表
す。また、△NI (800)は、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(I)からなる一軸延伸されたフィルムの光線波
長800nmにおけるx軸方向の屈折率とy軸方向の屈
折率との差を表し、△NII(800)は、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(II)からなる一軸延伸されたフィルム
の光線波長800nmにおけるx軸方向の屈折率とy軸
方向の屈折率との差を示す。但し、x軸方向は、フィル
ムの延伸方向を示し、y軸方向はx軸方向に対して面内
垂直方向を示す。]
【0039】熱可塑性ノルボルネン樹脂の複屈折性の正
負を測定する方法としては、当該熱可塑性ノルボルネン
樹脂のみからなるフィルムを作製し、当該フィルムを一
軸延伸してその複屈折を測定する方法が挙げられる。ま
た、熱可塑性ノルボルネン樹脂の複屈折の絶対値の大小
については、以下の方法により求めることができる。す
なわち、正の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン樹脂
のみからなるフィルム、または負の複屈折性を示す熱可
塑性ノルボルネン樹脂のみからなるフィルムを、同一の
条件で一軸延伸し、発生した複屈折を調べることによ
り、熱可塑性ノルボルネン樹脂の複屈折の絶対値の大小
を知ることができる。ここで、「同一の条件」とは、少
なくとも、延伸速度で同一速度であり、延伸倍率が同一
倍率であり、処理温度−熱可塑性ノルボルネン樹脂のガ
ラス転移温度(Tg)の値が同一の温度となる条件を意
味する。
【0040】さらに、熱可塑性ノルボルネン樹脂の複屈
折の波長依存性の大小については、以下の方法から求め
ることができる。すなわち、正の複屈折性を示す熱可塑
性ノルボルネン樹脂のみ、又は負の複屈折性を示す熱可
塑性ノルボルネン樹脂のみからなるフィルムを、同一条
件(延伸速度が同一速度で、延伸倍率が同一倍率で、処
理温度−熱可塑性ノルボルネン樹脂のガラス転移温度
(Tg)の値が同一の温度となる条件)で一軸延伸し、
発生した複屈折を複数の光線波長を用いて測定して調べ
る方法ことにより、複屈折の波長依存性の大小を知るこ
とができる。具体的には、光線波長400〜800nm
の範囲において複数の波長(例えば、450nm、55
0nm、650nm、750nm等)における複屈折を
測定し、Cauchyの分散式やSellmeierの
分散式を用い、その他の光線波長における位相差を計算
することで、複屈折の波長依存性の大小を知ることがで
きる。
【0041】〔熱可塑性ノルボルネン系樹脂〕以下、本
発明に使用される熱可塑性ノルボルネン系樹脂について
具体的に説明する。本発明において必須成分として使用
される熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)は、負の複屈
折性を示すものである。かかる熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(I)としては、下記一般式(1)で表される繰り
返し単位を有するノルボルネン系重合体(以下、「特定
のノルボルネン系重合体(I)」ともいう。)を用いる
ことが好ましい。
【0042】
【化9】
【0043】上記一般式(1)において、nは0または
1であり、mは0または1以上の整数、好ましくは0〜
3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。
1 は、ビニレン基またはエチレン基を示す。R1 、R
2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、置換若しくは非置換の炭素原子数が1〜30
の炭化水素基、または極性基を示し、炭化水素基は、酸
素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む
連結基を介して結合されていてもよい。また、R1 とR
2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水素基を形
成してもよい。また、R1 またはR2 とR3 またはR4
とが相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよ
く、当該炭素環または当該複素環は単環構造であっても
多環構造であってもよく、当該炭素環または当該複素環
は芳香環であっても非芳香環であってもよい。但し、R
1 〜R4 のうち少なくとも1つは、下記一般式(1−
1)または下記一般式(1−2)で表される基である。
更に、特定のノルボルネン系重合体(I)中に存在する
複数のX1 、R1 、R 2 、R3 およびR4 の各々は同一
であっても異なっていてもよい。
【0044】
【化10】
【0045】上記一般式(1−1)において、R9 〜R
18は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若
しくは非置換の炭素原子数が1〜30の1価の炭化水素
基、または1価の極性基を示し、炭化水素基は、酸素原
子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結
基を介して結合されていてもよい。但し、R9 〜R18
うち1つはカルボニルオキシ基であり、当該カルボニル
オキシ基は、そのカルボニル基側の結合手によって当該
一般式(1−1)における主環構造に結合されている。
pおよびqは互いに独立に0〜2の整数である。また、
p=q=0のときは、R10とR13、R17とR13、R9
18、または、R16とR18が相互に結合して炭素環また
は複素環を形成してもよく、当該炭素環または当該複素
環は単環構造であっても多環構造であってもよい。更
に、重合体中に存在する複数のR9 〜R18の各々は同一
であっても異なっていてもよい。
【0046】
【化11】
【0047】上記一般式(1−2)において、Z、RA
およびRB は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原
子、置換若しくは非置換の炭素原子数が1〜30の1価
の炭化水素基、または1価の極性基を示し、炭化水素基
は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子
を含む連結基を介して結合されていてもよい。但し、一
般式(1−2)においてRA 、RB およびZのうち1つ
は、カルボニルオキシ基であり、当該カルボニルオキシ
基は、そのカルボニル基側の結合手によって当該一般式
(2−1)における主環構造に結合されている。sは0
または1以上の整数であり、好ましくは0〜3、より好
ましくは0〜2、特に好ましくは0である。更に、重合
体中に存在する複数のZ、RA およびRB の各々は同一
であっても異なっていてもよい。
【0048】本発明において必須成分として使用される
正の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)
は、正の複屈折性を示すものである。かかる熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂(II)としては、下記一般式(2)で
表される繰り返し単位を有するノルボルネン系重合体
(以下、「特定のノルボルネン系重合体(II)」ともい
う。)を用いることが好ましい。
【0049】
【化12】
【0050】上記一般式(2)において、tは0または
1であり、uは0または1以上の整数であり、好ましく
は0〜3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは1で
ある。X2 は、ビニレン基またはエチレン基を示す。R
5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1
〜30の炭化水素基、または極性基を示し、炭化水素基
は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子
を含む連結基を介して結合されていてもよい。また、R
1 とR2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水素
基を形成してもよい。また、R1 またはR2 とR3 また
はR4 とが相互に結合して炭素環または複素環を形成し
てもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構造であ
っても多環構造であってもよく、当該炭素環または当該
複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよい。但
し、R5 〜R8 は、上記一般式(1−1)および上記一
般式(1−2)で表される基を含まない。更に、特定の
ノルボルネン系重合体(II)中に存在する複数のX2
5 、R 6 、R7 およびR8 の各々は同一であっても異
なっていてもよい。
【0051】ここで、上記一般式(1)におけるR1
4 、上記一般式(1−1)におけるR9 〜R18、上記
一般式(1−2)におけるRA 、RB およびZ、並びに
一般式(2)におけるR5 〜R8 について説明する。ハ
ロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素
原子が挙げられる。炭素原子数1〜30の炭化水素基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の
アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の
シクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基
等のアルケニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチ
ル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。
これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基と
しては例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロ
ゲン原子、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0052】また、上記の置換または非置換の炭化水素
基は直接環構造に結合していてもよく、あるいは連結基
(linkage)を介して結合していてもよい。連結
基としては、例えば式:−(CH2 m −(mは1〜1
0の整数)で表されるアルキレン基等の炭素原子数1〜
10の2価の炭化水素基、酸素原子、窒素原子、イオウ
原子またはケイ素を含む連結基が挙げられる。酸素原
子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素を含む連結基の
具体例としては、カルボニル基[−CO−]、カルボニ
ルオキシ基[−COO−]、オキシカルボニル基[−O
CO−]、スルホニル基[−SO2 −]、エーテル結合
[−O−]、チオエーテル結合[−S−]、イミノ基
[−NH−]、アミド結合[−NHCO−,−CONH
−]、シロキサン結合[−OSi(R2 )−(式中、R
はメチル、エチル等のアルキル基)]、およびこれらの
基が2種以上連結されてなる基などが挙げられる。
【0053】極性基としては、例えば、水酸基、炭素原
子数1〜10のアルコキシル基、アシルオキシ基、アル
コキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シア
ノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキ
シ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、ア
ルコキシシリル基、スルホニル含有基、およびカルボキ
シル基など挙げられる。これらの極性基についてさらに
具体的に説明すると、上記アルコキシル基としては、例
えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アシルオキ
シ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキ
シ基等のアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイ
ルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げら
れ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシ
カルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;ア
リーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカ
ルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニ
ルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル
基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例え
ばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙
げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリ
ル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基とし
ては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基と
しては例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリ
ル基等が挙げられる。
【0054】特定のノルボルネン系重合体(I)は、下
記一般式(3)で表されるノルボルネン系単量体(以
下、「特定単量体A」という。)を開環(共)重合する
ことによって得られる。また、特定のノルボルネン系重
合体(II)は、下記一般式(4)で表されるノルボルネ
ン系単量体(以下、「特定単量体B」という。)を開環
(共)重合することによって得られる。特定のノルボル
ネン系重合体(I)および特定のノルボルネン系重合体
(II)は、上記開環(共)重合体中の分子内に存在する
オレフィン性不飽和結合が水素添加された水添体であっ
てもよい。但し、分子内に芳香族性の不飽和結合が存在
する場合には、当該芳香族性の不飽和結合は実質的に水
素添加されていないことが必要である。
【0055】
【化13】
【0056】上記一般式(3)において、nは0または
1であり、mは0または1以上の整数であり、好ましく
は0〜3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは0で
ある。R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立に
水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素原
子数1〜30の炭化水素基、または極性基を示し、炭化
水素基は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ
素原子を含む連結基を介して結合されていてもい。ま
た、R1 とR2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭
化水素基を形成してもよい。また、R1 またはR2 とR
3 またはR4 とが相互に結合して炭素環または複素環を
形成してもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構
造であっても多環構造であってもよく、当該炭素環また
は当該複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよ
い。但し、R1 〜R4 のうち少なくとも1つは、上記一
般式(1−1)または上記一般式(1−2)で表される
基である。
【0057】
【化14】
【0058】上記一般式(4)において、tは0または
1であり、uは0または1以上の整数であり、好ましく
は0〜3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは1で
ある。R5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に
水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素原
子数1〜30の炭化水素基、または極性基を示し、炭化
水素基は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ
素原子を含む連結基を介して結合されていてもよい。ま
た、R1 とR2 またはR3 とR4 と一体化して2価の炭
化水素基を形成してもよい。また、R1 またはR2 とR
3 またはR4 とが相互に結合して炭素環または複素環を
形成してもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構
造であっても多環構造であってもよく、当該炭素環また
は当該複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよ
い。但し、R5 〜R8 は、上記一般式(1−1)および
上記一般式(1−2)で表される基を含まない。
【0059】特定単量体Aの具体例としては、5−ベン
ゾイルオキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−ベンゾイルオキシビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ナフチルカルボ
ニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−(1−ナフチルカルボニルオキシ)
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−
ナフチルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチル
カルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)−5
−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ビフェニルカル
ボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5−(2−ビフェニルカルボニルオキ
シ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−ビフ
ェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−(9−フルオレンカルボニルオキ
シ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−(9−フルオレンカルボニルオキシ)ビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−フルオ
レンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−(2−フルオレンカルボニルオキシ)
−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−(9−アントラセンカルボニルオキシ)−5−
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
(9−アントラセンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、
【0060】8−ベンゾイルオキシ−8−メチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5 .17, 10]−3−ドデセ
ン、8−ベンゾイルオキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(1−ナフチル
カルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(1−
ナフチルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(2−ナフ
チルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
(2−ナフチルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(4−
ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8
−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)−8−メ
チルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−(2−フルオレンカルボニルオキシ)−8
−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−(2−フルオレンカルボニルオキ
シ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、8−(9−アントラセンカルボニルオキ
シ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−(9−アントラセンカル
ボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12, 5 .1
7,10]−3−ドデセン等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。これらの化合物は、1種単独で使
用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0061】これらの特定単量体Aのうち、一般式
(3)において、nが0でかつmが0である特定単量体
Aは、優れた機械的特性を有する光学用フィルムが得ら
れる点で好ましい。すなわち、nが1もしくはmが1以
上である特定単量体Aを用いる場合には、得られる光学
用フィルムは靱性が低いものとなりやすく、当該光学用
フィルムを延伸したときに破断が生じやすくなることが
ある。
【0062】特定単量体Bの具体例としては、ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロピルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−
ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチル)−5
−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカル
ボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5
−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]
ヘプト−2−エン、
【0063】5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンタフルオ
ロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−メチル−5−トリフルオロメチルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−
トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テ
トラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチ
ル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5
−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフ
ルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフ
ルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−ペンタフル
オロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフル
オロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−ト
リフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジクロロ−
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ
−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプ
タフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−アミノメチルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリメト
キシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−トリプロポキシシリルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−トリブトキシシリルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロメ
チルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0064】トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−
デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウン
デセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシ
カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メト
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカル
ボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−
3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボ
ニルテトラシクロ[4.4.0.12, 5 .17,10]−3
−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニ
ルテトラシクロ[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−
ドデセン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8−フェニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0065】8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−トリフルオ
ロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−ペンタフルオロエチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8,8,9
−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリス(トリフル
オロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12, 5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラフルオ
ロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロ
メチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8,8−ジフルオロ−9,9−ビス
(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,
8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメト
キシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフ
ルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−フルオロ−8−ペンタフ
ルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデ
セン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso
−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ
クロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロ
エトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.
5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセ
ン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.0
8,13]−3−ペンタデセン、ペンタシクロ[8.4.
0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、ヘ
プタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17
12,15 .02,7 .011,16]−4−エイコセン、ヘプ
タシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16
3,8 .012,17]−5−ヘンエイコセンなどが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。これらの化
合物は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を
併用してもよい。
【0066】これらの特定単量体Bのうち、一般式
(4)において、hが0でかつyが1である特定単量体
Bは、耐熱性と靱性とのバランスが優れた特定のノルボ
ルネン系重合体(II)が得られる点で好ましい。すなわ
ち、hが1もしくはyが2以上である特定単量体Bを用
いる場合には、得られる特定のノルボルネン系樹脂(I
I)は、そのガラス転移温度(Tg)が高いものとなっ
て耐熱性が向上する傾向があり、好ましいこともある
が、靱性が低いものとなる傾向があるため、得られる光
学用フィルムは、加工時あるいは使用時に割れたり破断
したりしやすくなる、という問題が生じることがある。
【0067】また、特定単量体Bとしては、分子内に少
なくとも1つの極性基を有するものを用いることが好ま
しい。すなわち、上記一般式(4)において、R1 〜R
4 のうち少なくとも1つが極性基のもの、好ましくはR
1 〜R4 のうち3つが水素原子または炭素数1〜10の
炭化水素基であって、残りの1つが極性基であるもの
が、他の材料に対する混和性、密着性および接着性が高
い特定のノルボルネン系重合体(II)が得られ、このよ
うな特定のノルボルネン系重合体(II)を含有する光学
用フィルムは、他の材料に対する密着性や接着性が良好
なものとなる点で好ましい。
【0068】さらに、極性基として、下記一般式(5)
で表される基を有する特定単量体Bは、得られる特定の
ノルボルネン系重合体(II)におけるガラス転移温度お
よび吸水性を制御しやすく、得られる光学用フィルム
は、熱や吸水による変形等の悪影響を受けにくいものと
なる点で好ましい。
【0069】一般式(5): −(CH2 i −COOR19
【0070】上記一般式(5)において、iは0〜5の
整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは
0である。R19は、一価の有機基であり、かかる一価の
有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アント
ラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;ジフェニ
ルスルホン残基、テトラヒドロフルオレン残基等のフル
オレン類残基等の芳香環を有する一価の基;フラン環、
イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。
また、一般式(5)において、iは0〜5であるが、i
の値が小さいものほど、ガラス転移温度の高い特定のノ
ルボルネン系重合体(II)が得られるので好ましく、特
にiが0である特定単量体Bは、その合成が容易である
点で好ましい。
【0071】さらに、上記一般式(4)において、一般
式(5)で表される極性基が結合した炭素原子にアルキ
ル基が結合していることが、耐熱性と吸水性とのバラン
スが良好な特定のノルボルネン系重合体(II)が得られ
る点で好ましい。ここで、一般式(5)で表される極性
基が結合した炭素原子に結合されるアルキル基は、炭素
原子数が1〜5のものであることが好ましく、より好ま
しくは1〜2、特に好ましくは1である。上記特定単量
体Bとして例示したもの中では、特に、8−メチル−8
−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5 .17,10〕−3−ドデセンを用いることが好まし
く、これにより、ガラス転移温度が高い特定のノルボル
ネン系重合体(II)が得られ、このような特定のノルボ
ルネン系重合体(II)を含有する光学用フィルムは、熱
や吸水による変形等の悪影響を殆ど受けずかつ他材料と
の密着性や接着性が良好なものとなる。
【0072】特定のノルボルネン系重合体(II)中にお
ける極性基の含有割合は、目的とする光学用フィルムに
要求される機能等に応じて適宜決定されるものであり特
に限定はされないが、全構造単位中における極性基を有
する構造単位の割合が、通常1モル%以上、好ましくは
5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上であ
り、全ての構造単位が極性基を有するものであってもよ
い。特定のノルボルネン系重合体(II)中における極性
基の含有割合は、特定単量体Bの種類やその使用量を適
宜選択することによって調整することができるが、後述
する特定単量体Bと共重合可能な単量体の種類やその使
用量を適宜選択することによっても調整することができ
る。
【0073】特定のノルボルネン系重合体(I)および
特定のノルボルネン系重合体(II)は、上記特定単量体
Aのみを若しくは上記特定単量体Bのみを開環重合する
ことによって得ることができるが、特定単量体A若しく
は特定単量体Bと、これらと共重合可能な単量体(以
下、「共重合性単量体」という。)と開環共重合させる
ことによっても得ることができる。かかる共重合性単量
体の具体例としては、例えば、シクロブテン、シクロペ
ンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペ
ンタジエンなどのシクロオレフィンあるいはこれらの誘
導体を挙げることができる。共重合性単量体として用い
られるシクロオレフィンの炭素原子数は4〜20である
ことが好ましく、より好ましくは5〜12である。
【0074】さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役
ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフ
ィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーな
どの存在下において、特定単量体A若しくは特定単量体
Bまたはこれらと共重合性単量体とを重合させてもよ
い。このようにして得られる共重合体は、耐衝撃性の大
きい樹脂の原料として有用である。
【0075】以下、特定のノルボルネン系重合体(I)
および特定のノルボルネン系重合体(II)を得るための
開環重合反応について説明する。 〈触媒〉特定のノルボルネン系重合体(I)および特定
のノルボルネン系重合体(II)を得るための開環重合反
応は、メタセシス触媒の存在下に行われる。このメタセ
シス触媒は、(a)成分:W、MoおよびReの化合物
から選ばれた少なくとも1種と、(b)成分:デミング
の周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、
IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素
(例えばZn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例
えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zr
など)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pb
など)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−
炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから
選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒であ
る。また、このメタセシス触媒は、その触媒活性を高め
るために、後述する(C)成分:の添加剤が添加された
ものであってもよい。
【0076】上記(a)成分として適当なW、Moある
いはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoC
5 、ReOCl3 などの特開平1−240517号公
報に記載の化合物を挙げることができる。上記(b)成
分の具体例としては、n−C4 9 Li、(C2 5
3 Al 、(C2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5
lCl1.5 、(C2 5 )AlCl2 、メチルアルモキ
サン、LiHなどの特開平1−240517号公報に記
載の化合物を挙げることができる。上記(c)成分の代
表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン
類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に
特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用す
ることができる。
【0077】メタセシス触媒の使用量としては、上記
(a)成分と特定単量体A若しくは特定単量体B(以
下、これらを総称して「特定単量体」という。)とのモ
ル比で、(a)成分:特定単量体が、通常1:500〜
1:50,000となる範囲、好ましくは1:1,00
0〜1:10,000となる範囲とされる。(a)成分
と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a)成分:
(b)成分」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜
1:30の範囲とされる。(a)成分と(c)成分との
割合は、モル比で「(c)成分:(a)成分」が0.0
05:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1
の範囲とされる。
【0078】〈分子量調節剤〉特定のノルボルネン系重
合体(I)および特定のノルボルネン系重合体(II)の
分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類などを選
択することによっても調節することができるが、本発明
においては、分子量調節剤を反応系に共存させることに
よって、得られる特定のノルボルネン系重合体(I)お
よび特定のノルボルネン系重合体(II)の分子量を調節
することが好ましい。好適な分子量調節剤の具体例とし
ては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−
ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチ
レンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、
1−ヘキセンが好ましい。これらの分子量調節剤は、単
独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。分子量調節剤の使用量としては、重合反応に供され
る特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、
好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
【0079】〈開環重合反応用溶媒〉開環重合反応にお
いて用いられる溶媒は、用いられる特定単量体等を溶解
し得るものであればよく,その具体例としては、として
は、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シ
クロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナ
ンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;
クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロ
ロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼ
ン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲ
ン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢
酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチ
ル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル
類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキ
シエタンなどのエーテル類を挙げることができる。これ
らは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素が好ま
しい。溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体」
が、重量比で、通常1:1〜10:1となる量とされ、
好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
【0080】〈重合体の水素添加〉以上のようにして得
られる開環重合体は、そのまま熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(I)若しくは熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)
として使用することができるが、当該開環重合体中に含
まれるオレフィン性不飽和結合に対して水素添加を行う
ことにより得られる開環重合体水素添加物を使用するこ
とが好ましい。水素添加反応は、通常の方法、すなわ
ち、開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに
常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガ
スを、0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用
させることによって行われる。
【0081】水素添加触媒としては、通常のオレフィン
性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用するこ
とができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒
および均一系触媒が公知である。不均一系触媒の具体例
としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ル
テニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミ
ナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げる
ことができる。また、均一系触媒の具体例としては、ナ
フテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケル
アセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オク
テン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジク
ロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジ
ウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウ
ム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホ
スフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(ト
リフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることが
できる。このような水素添加触媒の形態は、特に限定さ
れず、例えば粉末状のものであっても粒状のものであっ
てもよい。これらの水素添加触媒は、「開環重合体:水
素添加触媒」が、重量比で、1:1×10-6〜1:2と
なる割合で使用される。
【0082】開環重合体中に含まれるオレフィン性不飽
和結合に対して水素添加を行うことにより得られる開環
重合体水素添加物は、優れた熱安定性を有するものとな
り、フィルム製膜時および延伸加工時並びに製品として
の使用時において、加熱による特性の劣化が生じにくく
なる。オレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は、
通常50%以上、好ましくは70%以上、さらに好まし
くは90%以上、特に好ましくは98%以上である。
【0083】また、特定のノルボルネン系重合体(I)
若しくは特定のノルボルネン系重合体(II)の分子内に
存在する芳香族性不飽和結合は、上記水素添加反応によ
っても実質的に水素添加されないことが必要である。そ
のような水素添加反応を行うためには、上述した通常の
オレフィン性化合物の水素添加反応条件を用いればよい
が、水素ガス圧や反応温度を上記範囲の内において低め
に設定する、あるいは、水素添加触媒の種類や添加量を
調整する等条件調整をすることが必要となる場合もあ
る。また、共重合性単量体が芳香族性不飽和結合を含む
置換基を有し、当該共重合性単量体に由来する芳香族性
不飽和結合を含む場合においても、水素添加によって芳
香族性不飽和結合が実質的に水素添加されない条件を選
択することが望ましい。
【0084】熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)および
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)は、30℃のクロロ
ホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.2〜5d
l/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.3
〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gであ
る。この固有粘度(ηinh )が5dl/gを超える場合
には、溶液粘度が高くなりすぎ、後述する溶液キャスト
法において加工性が低下するため、好ましくない。一
方、この固有粘度(ηinh )が0.2dl/g未満であ
る場合には、得られる光学用フィルムの強度が低下する
ため、好ましくない。熱可塑性ノルボルネン系重合体
(I)および熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測
定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、
通常、8,000〜1,000,000、好ましくは1
0,000〜500,000、さらに好ましくは20,
000〜100,000、特に好ましくは30,000
〜100,000であり、また、同重量平均分子量(M
w)が、通常、20,000〜3,000,000、好
ましくは30,000〜1,000,000、さらに好
ましくは40,000〜500,000、特に好ましく
は40,000〜300,000である。上記数平均分
子量(Mn)若しくは上記重量平均分子量(Mw)が過
大である場合には、溶液粘度が高くなりすぎ、後述する
溶液キャスト法において加工性が低下することがある。
一方、上記数平均分子量(Mn)若しくは上記重量平均
分子量(Mw)が過小である場合には、得られる光学用
フィルムの強度が低下することがある。また、分子量分
布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2
〜8、さらに好ましくは2.5〜5、特に好ましくは
2.5〜4.5である。分子量分布(Mw/Mn)が過
大である場合には、低分子量の成分が多いものであるた
め、光学用フィルムを製造したときに当該フィルムの表
面に低分子量成分がブリードしてべとつきが生じること
がある。一方、分子量分布(Mw/Mn)が過小である
場合には、得られる光学用フィルムの強度、特に靱性が
低下することがある。
【0085】熱可塑性ノルボルネン系重合体(I)およ
び熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)のガラス転移温度
(Tg)は、通常、80〜350℃、好ましくは100
〜250℃である。このガラス転移温度(Tg)が80
℃未満である場合には、熱変形温度が低くなり、得られ
る光学用フィルムの耐熱性に問題が生じることがある。
一方、このガラス転移温度(Tg)が350℃を超える
場合には、得られる光学用フィルムに対して延伸加工等
の加熱加工を行う際に、その加工温度が高くなりすぎ
て、当該光学用フィルムに熱劣化が生じることがある。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)および熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(II)の23℃における飽和吸水率は、
通常、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.7
重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であ
る。飽和吸水率が上記の範囲内であれば、得られる光学
用フィルムの各種光学特性、例えば透明性、位相差や位
相差の均一性あるいは寸法精度が、高温高湿の条件下に
おいても維持され、また、他の材料に対する優れた密着
性および接着性を有するものとなるため、当該光学用フ
ィルムの使用時において、他の部品からの剥離などが発
生せず、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好
であるため、当該添加剤の種類およびその量の選択の自
由度が大きくなる。飽和吸水率が0.05重量%未満で
ある場合には、当該熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)
若しくは当該熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)は、他
の材料との密着性や接着性が小さいものとなり、得られ
る光学用フィルムの使用時において、他の部品からの剥
離などが生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加剤
を添加する場合において、その種類および使用量が大き
く制限されることがある。一方、飽和吸水率が1重量%
を超える場合には、得られる光学用フィルムは、吸水に
よる光学特性の変化や寸法変化が生じやすいものとな
る。ここで、「飽和吸水率」は、ASTMD570に準
拠し、23℃の水中で1週間浸漬した後にその増加重量
を測定することにより求められた値である。
【0086】〔樹脂組成物〕本発明の光学用フィルムを
形成する樹脂組成物において、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(I)および熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)の
配合割合は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)100
重量部に対して、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)が
1〜1000重量部であることが好ましく、より好まし
くは10〜200重量部、さらに好ましくは25〜10
0重量部である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)の
配合割合が1重量部未満である場合には、正の波長依存
性を示す光学用フィルムが得られないことがある。一
方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)の配合割合が1
000重量部を超える場合にも、正の波長依存性を示す
光学用フィルムが得られないことがある。
【0087】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)および熱可
塑性ノルボルネン系樹脂(II)を必須成分として含有し
てなるものであるが、この樹脂組成物には、本発明の効
果を損なわない範囲において、その他の樹脂が含有され
ていてもよい。かかるその他の樹脂の具体例としては、
スチレン−p−ヒドロキシスチレン共重合体、スチレン
−p−t−ブトキシスチレン共重合体、スチレン−無水
マレイン酸共重合体、α−メチルスチレン−p−ヒドロ
キシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−p−t−
ブトキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−無水
マレイン酸共重合体、p−メチルスチレン−p−ヒドロ
キシスチレン共重合体、p−スチレン−p−t−ブトキ
シスチレン共重合体、p−スチレン−無水マレイン酸共
重合体、ビニルナフタレン−p−ヒドロキシスチレン共
重合体、ビニルナフタレン−p−t−ブトキシスチレン
共重合体、ビニルナフタレン−無水マレイン酸共重合体
などを挙げることができる。その他の樹脂の添加量は、
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)および熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(II)の合計100重量部に対して通常
0〜50重量部、好ましくは0〜25重量部である。
【0088】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度
(ηinh )は、0.2〜5dl/gであることが好まし
い。さらに好ましくは0.3〜4dl/g、特に好まし
くは0.5〜3dl/gである。5dl/gをこえる
と、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化し好ましく
なく、0.2dl/g未満であるとフィルム強度が低下
する。本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組成物に
おける樹脂成分は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平
均分子量(Mn)が、通常、8,000〜1,000,
000、好ましくは10,000〜500,000、さ
らに好ましくは20,000〜100,000、特に好
ましくは30,000〜100,000であり、また、
同重量平均分子量(Mw)が、通常、20,000〜
3,000,000、好ましくは30,000〜1,0
00,000、さらに好ましくは40,000〜50
0,000、特に好ましくは40,000〜300,0
00である。上記数平均分子量(Mn)若しくは上記重
量平均分子量(Mw)が過大である場合には、溶液粘度
が高くなりすぎ、後述する溶液キャスト法において加工
性が低下することがある。一方、上記数平均分子量(M
n)若しくは上記重量平均分子量(Mw)が過小である
場合には、得られる光学用フィルムの強度が低下するこ
とがある。また、分子量分布(Mw/Mn)は、通常
1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは
2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。分
子量分布(Mw/Mn)が過大である場合には、低分子
量の成分が多いものであるため、光学用フィルムを製造
したときに当該フィルムの表面に低分子量成分がブリー
ドしてべとつきが生じることがある。一方、分子量分布
(Mw/Mn)が過小である場合には、得られる光学用
フィルムの強度、特に靱性が低下することがある。
【0089】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物における樹脂成分は、そのガラス転移温度(Tg)
が、通常、80〜350℃、好ましくは100〜250
℃である。このガラス転移温度(Tg)が80℃未満で
ある場合には、熱変形温度が低くなり、得られる光学用
フィルムの耐熱性に問題が生じることがある。一方、こ
のガラス転移温度(Tg)が350℃を超える場合に
は、得られる光学用フィルムに対して延伸加工等の加熱
加工を行う際に、その加工温度が高くなりすぎて、当該
光学用フィルムに熱劣化が生じることがある。
【0090】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物は、その23℃における飽和吸水率が、通常、0.
05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.7重量%、さ
らに好ましくは0.1〜0.5重量%である。飽和吸水
率が上記の範囲内であれば、各種光学特性、例えば透明
性、位相差や位相差の均一性あるいは寸法精度が、高温
高湿の条件下においても維持され、また、他の材料に対
する優れた密着性および接着性を有するものとなるた
め、当該光学用フィルムの使用時において、他の部品か
らの剥離などが発生せず、また、酸化防止剤等の添加剤
との相溶性も良好であるため、当該添加剤の種類および
その量の選択の自由度が大きくなる。飽和吸水率が0.
05重量%未満である場合には、当該樹脂組成物は、他
の材料との密着性や接着性が小さいものとなり、得られ
る光学用フィルムの使用時において、他の部品からの剥
離などが生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加剤
を添加する場合において、その種類および使用量が大き
く制限されることがある。一方、飽和吸水率が1重量%
を超える場合には、得られる光学用フィルムは、吸水に
よる光学特性の変化や寸法変化が生じやすいものとな
る。ここで、「飽和吸水率」は、ASTMD570に準
拠し、23℃の水中で1週間浸漬した後にその増加重量
を測定することにより求められた値である。
【0091】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物は、そのSP値(溶解度パラメーター)が、好まし
くは10〜30[MPa1/2 ]、さらに好ましくは12
〜25[MPa1/2 ]、特に好ましくは15〜20[M
Pa1/2 ]である。このSP値が上記の範囲であれば、
当該樹脂組成物を一般的な汎用溶剤に良好に溶解するこ
とができると共に、光学用フィルムを安定して製造する
ことができ、しかも、特性が均一で、接着性や密着性が
良好な光学用フィルムを得ることもでき、更に、適度な
吸水率をコントロールすることが可能となる。ここで、
樹脂組成物のSP値は、その樹脂成分を構成する各樹脂
のSP値の重量比から求めることができる。例えば樹脂
組成物における樹脂成分が2種の樹脂により構成されて
いる場合には、各樹脂のSP値をSP1およびSP2、
重量比率をW1およびW2(W1+W2=1)としたと
き、当該樹脂成分のSP値は、式:SP値=W1・SP
1+W2・SP2により算出した値である。
【0092】本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組
成物には、本発明の効果を損なわない範囲で熱可塑性エ
ラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子な
どが含有されていてもよい。また、本発明の光学用フィ
ルムを形成する樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤の
具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−
ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラ
キス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブ
チル−5,5’−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビ
ス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオ
キシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ
[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタン
テトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホス
ファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられ
る。紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノンなどが挙げられる。これらの添加剤の添加
量は、組成物成分100重量部に対して、通常、0.0
1〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。
さらに、本発明の光学用フィルムを形成する樹脂組成物
には、加工性を向上させる目的で、滑剤が添加されてい
てもよい。
【0093】〔光学用フィルム〕本発明の光学用フィル
ムは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)および熱可塑
性ノルボルネン系樹脂(II)を含有してなる樹脂組成物
を、溶融成形法あるいは溶液キャスト法(溶液流延法)
などにより成形することにより得られるが、膜厚の均一
性が高くて表面平滑性が良好な光学用フィルムが得られ
る点で、溶液キャスト法を利用することが好ましい。溶
液キャスト法としては、例えば、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(I)および熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)
を含有してなる樹脂組成物を、適宜の溶媒に溶解または
分散させることにより、適宜の濃度の樹脂溶液を調製
し、この樹脂溶液を適宜のキャリヤー上に注ぐかまたは
塗布し、次いで、当該樹脂溶液中の溶媒を蒸発させた
後、得られる樹脂膜をキャリヤーから剥離させる方法が
挙げられる。
【0094】樹脂溶液中における樹脂成分の濃度は、通
常、0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、
さらに好ましくは10〜35重量%である。樹脂成分の
濃度が0.1重量%未満である場合には、十分な厚みを
有する光学用フィルムを得ることが困難となり、また、
溶媒の蒸発に伴って生ずる発泡等によって、良好な表面
平滑性を有する光学用フィルムを得ることが困難とな
る。一方、樹脂成分の濃度が90重量%を超える場合に
は、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎ、厚みや表面状態が
均一な光学用フィルムを得ることが困難となる。また、
樹脂溶液は、室温における粘度が、通常、1〜1,00
0,000mPa・s、好ましくは10〜100,00
0mPa・s、さらに好ましくは100〜50,000
mPa・s、特に好ましくは1,000〜40,000
mPa・sである。
【0095】樹脂溶液の調製に用いられる溶媒の具体例
としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メ
トキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジア
セトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチ
ルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロ
ヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチ
ルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸
エチル等のエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフ
ルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタ
ノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
【0096】また、上記の溶媒以外でも、SP値(溶解
度パラメーター)が通常10〜30[MPa1/2 ]、好
ましくは10〜25[MPa1/2 ]、さらに好ましくは
15〜25[MPa1/2 ]、特に好ましくは15〜20
[MPa1/2 ]の範囲の溶媒を用いることにより、表面
均一性および光学特性の良好な光学用フィルムを得るこ
とができる。上記溶媒は単独であるいは2種以上組み合
わせて使用することができる。溶媒を2種以上組み合わ
せて用いる場合には、混合溶媒としてのSP値が上記の
範囲内となるよう用いることが好ましい。ここで、混合
溶媒のSP値は、各溶媒のSP値の重量比から求めるこ
とができる。例えば混合溶媒を2種の溶媒により調製す
る場合には、各溶媒のSP値をSP3およびSP4、重
量比率をW3およびW4(W3+W4=1)としたと
き、当該混合溶媒のSP値は、式:SP値=W3・SP
3+W4・SP4により算出した値である。
【0097】また、混合溶媒を用いる場合には、熱可塑
性ノルボルネン系樹脂(I)および熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂(II)を含有してなる樹脂組成物における樹脂
成分の良溶媒と貧溶媒とを組み合わせることにより、光
拡散機能を有する光学用フィルムを得ることができる。
具体的には、樹脂組成物における樹脂成分、良溶媒およ
び貧溶媒のSP値を、それぞれSPR 、SPG 、SPP
としたとき、SPR とSPG との差が好ましくは7以
下、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは3以下
で、SPR とSPP との差が好ましくは7以上、さらに
好ましくは8以上、特に好ましくは9以上で、SPG
SPP との差が好ましくは3以上、さらに好ましくは5
以上、特に好ましくは7以上とすることにより、光拡散
機能を有する光学用フィルムを得ることができる。以上
において、混合溶媒中に占める貧溶媒の割合は、好まし
くは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以
下、特に好ましくは15重量%以下、最も好ましくは1
0重量%以下である。また、貧溶媒の沸点と良溶媒の沸
点との差は好ましくは1℃以上、さらに好ましくは5℃
以上、特に好ましくは10℃以上、最も好ましくは20
℃以上であり、特に貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点より高
いことが好ましい。
【0098】樹脂組成物を溶媒に溶解するための温度
は、室温であっても高温であってもよく、十分に撹拌す
ることにより均一な樹脂溶液が得られる。また、着色さ
れた光学用フィルムを製造する場合には、樹脂溶液に染
料、顔料等の着色剤を適宜添加することもできる。ま
た、樹脂溶液には、光学用フィルムの表面平滑性を向上
させるためにレベリング剤を添加してもよい。かかるレ
ベリング剤としては、一般的に使用されるものであれば
特に限定されず、例えば、フッ素系ノニオン界面活性
剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レ
ベリング剤などを用いることができる。
【0099】溶液キャスト法に用いられるキャリアとし
ては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(P
EN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロ
エチレン製ベルトなどを用いることができる。また、キ
ャリアとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、
表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の
方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、
例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコー
テイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、
プラズマ処理やコロナ放電処理等によりフィルムの表面
の親水性を向上させる方法等が挙げられる。また、樹脂
溶液を塗布するキャリアとして、その表面にサンドマッ
ト処理やエンボス処理を施したものを用いることによ
り、表面に上記処理による凹凸が転写する結果、光拡散
機能を有する光学用フィルムを製造することができる。
【0100】このようにして光拡散機能を付与する場合
には、低波長から高波長までの光の透過率を安定して維
持させるために、一定の大きさで凹凸を形成することが
好ましい。この凹凸の深さは、凹凸を形成する方法に応
じて決定され、特に限定されるものではないが、通常、
表面粗さ(中心線平均粗さRa)が0.001〜100
μm、好ましくは0.005〜10μm、さらに好まし
くは0.01〜1μm、特に好ましくは0.05〜1μ
mである。この表面粗さの値が0.001μm未満であ
る或いは100μmを超える場合には、良好な光拡散機
能が付与することが困難となる。但し、フレネルレンズ
のようなレンズ機能を付与する場合には、表面粗さの値
が100μmを超えることがあってもよい。
【0101】キャリアに樹脂溶液を塗布する方法として
は、ダイス、コーター、ハケなどを用いる方法、スプレ
ー法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング
法などを用いることができる。所要の厚みの光学用フィ
ルムを得るために、樹脂溶液の塗布を繰り返し行っても
よい。
【0102】また、溶媒中に、樹脂組成物およびその樹
脂成分と非相溶な樹脂(以下、「非相溶性樹脂」とい
う。)やフィラーを添加して均一化した樹脂溶液を用い
ることによっても、光拡散機能を有する光学用フィルム
を製造することができる。
【0103】非相溶性樹脂としては、例えば、ポリメタ
クリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニ
ルベンゼン、ポリアミドあるいはポリイミドなどを用い
ることができる。非相溶性樹脂を添加する場合には、当
該非相溶性樹脂として、樹脂組成物における樹脂成分と
の屈折率の差が、通常、0.00001以上、好ましく
は0.0001以上、さらに好ましくは0.001以
上、特に好ましくは0.01以上の樹脂を選択して使用
し、得られる光学用フィルム中における非相溶性樹脂の
粒子の数平均粒子径を、通常、0.01〜1,000μ
m、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましく
は0.1〜100μm、特に好ましくは0.5〜50μ
mの範囲にすることにより、低波長から高波長における
光拡散効果を発揮することができる。樹脂組成物におけ
る樹脂成分と非相溶性樹脂との屈折率の差が0.000
01未満である場合、或いは光学用フィルム中における
非相溶性樹脂の粒子の数平均粒子径が0.01μm未満
である場合には、得られる光学用フィルムに良好な光拡
散機能を付与することが困難である。一方、光学用フィ
ルム中における非相溶性樹脂の粒子の数平均粒子径が
1,000μmを超える場合には、得られる光学用フィ
ルムの光線透過率が著しく低下し、或いは、得られる光
学用フィルムの厚み精度や表面性に悪影響を及ぼすこと
があるために好ましくない。
【0104】また、非相溶性樹脂の添加量は、目的とす
る光学用フィルムに要求される光拡散性能に応じて選定
されるが、樹脂組成物における樹脂成分100重量部に
対し、通常、0.001〜100重量部、好ましくは
0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜50
重量部、特に好ましくは1〜25重量部である。非相溶
性樹脂の添加量が0.001重量部未満である場合に
は、得られる光学用フィルムに良好な光拡散機能を付与
することが困難となる。一方、非相溶性樹脂の添加量が
100重量部を超える場合には、得られる光学用フィル
ムの光線透過率が著しく低下するために好ましくない。
【0105】フィラーとしては熱硬化性樹脂の硬化物を
微細化した有機フィラー、一般に市販されている無機フ
ィラーを用いることもできる。無機フィラーの具体例と
しては、金、銀等の金属よりなるもの、SiO2 、Ti
2 、ZnO2 、Al2 3等の金属酸化物よりなるも
の、ガラス、石英などよりなる粒子を挙げることができ
る。フィラーの粒子径および添加量は、上記非相溶性樹
脂の粒子径および添加量と同様の範囲から選択すること
ができる。
【0106】キャリアに塗布された樹脂溶液から溶媒を
蒸発させる方法としては、特に制限されるものはなく、
一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーによっ
て乾燥炉中を通過させる方法等を利用することができる
が、溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られる光
学用フィルムの特性が著しく低下するので、気泡の発生
を回避するために、溶媒の蒸発処理を複数の工程によっ
て行うと共に、各工程における温度あるいは風量を制御
することが好ましい。
【0107】また、光学用フィルム中に残留する溶媒の
量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以
下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは
0.5重量%以下である。残留する溶媒の量が10重量
%を超える場合には、当該光学用フィルムを実際に使用
したときに、経時的な寸法変化が大きくなるため、好ま
しくなく、また、残留する溶媒によってガラス転移温度
が低くなって耐熱性が低下するため、好ましくない。ま
た、後述する延伸工程を好適に行うためには、光学用フ
ィルム中に残留する溶媒の量を上記範囲内で適宜調節す
ることが必要となることがある。具体的には、延伸処理
による位相差を安定して均一に発現させるために、残留
する溶媒の量を、通常10〜0.1重量%、好ましくは
5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%
とすることがある。このような範囲に溶媒の量を制御す
ることにより、容易に延伸処理を行うことができ、ま
た、位相差の制御を容易に行うことができることがあ
る。
【0108】このようにして得られる光学用フィルムの
厚みは、通常0.1〜3,000μm、好ましくは0.
1〜1,000μm、さらに好ましくは1〜500μ
m、特に好ましくは5〜300μnである。この厚みが
0.1μm未満である場合には、当該光学用フィルムの
ハンドリングが実際上困難となる。一方、この厚みが
3,000μmを超える場合には、当該光学用フィルム
をロール状に巻き取ることが困難になる。
【0109】本発明の光学用フィルムにおける厚み分布
は、通常平均値に対して±20%以内、好ましくは±1
0%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましく
は±3%以内であり、また、1cmあたりの厚みの変動
率は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに
好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であ
ることが好ましい。このような厚み条件で光学用フィル
ムを形成することにより、当該光学用フィルムを延伸処
理したときには、透過光の位相差ムラの発生を防止する
ことができる。
【0110】本発明において、透過光に位相差を与える
光学用フィルム(以下、「位相差フィルム」という。)
を得るためには、上記の方法によって得られた光学用フ
ィルムに対して延伸処理を施せばよい。延伸処理法とし
ては、公知の一軸延伸処理法あるいは二軸延伸処理法、
例えばテンター法による横一軸延伸処理法、ロール間圧
縮延伸処理法、周縁の異なるロールを利用する縦一軸延
伸処理法、あるいは横一軸延伸処理と縦一軸延伸処理と
を組合わせた二軸延伸処理法、インフレーション法によ
る延伸処理法等を利用することができる。
【0111】一軸延伸処理を行う場合において、延伸速
度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは5
0〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100
〜1,000%/分である。二軸延伸処理法としては、
同時に二方向に延伸処理を行う方法、一軸延伸処理した
後に当該延伸処理における延伸方向と異なる方向に延伸
処理する方法を利用することができる。二軸延伸処理を
行う場合において、2つの延伸軸の交わり角度は、目的
とする光学用フィルムに要求される特性に応じて決定さ
れ、特に限定されないが、通常、120〜60度の範囲
である。また、延伸速度は、各延伸方向で同じであって
もよく、異なっていてもよく、通常1〜5,000%/
分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、
さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特
に好ましくは100〜500%/分である。
【0112】延伸処理温度は、特に限定されるものでは
ないが、光学用フィルムを形成する樹脂組成物のガラス
転移温度Tgを基準として、Tg±30℃、好ましくは
Tg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15
℃の範囲である。延伸処理温度を上記の範囲内に設定す
ることにより、得られる光学用フィルムに位相差ムラが
発生することを抑制することができ、また、屈折率楕円
体の制御が容易となるため、好ましい。また、樹脂組成
物のガラス転移温度が複数観測された場合においては、
樹脂組成物における各樹脂の重量比から当該樹脂組成物
のガラス転移温度Tgを決定すればよい。例えば樹脂組
成物における樹脂成分が2種の樹脂により構成されてい
る場合には、各樹脂のガラス転移温度をTg1およびT
g2、重量比率をW1およびW2(W1+W2=1)と
したとき、当該樹脂成分のガラス転移温度Tgは、式:
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2に算出した値と
すればよい。
【0113】延伸倍率は、目的とする光学用フィルムに
要求される特性に応じて決定され、特に限定されない
が、通常1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5
倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率
が10倍を超える場合には、得られる光学用フィルムの
位相差の制御が困難になることがある。延伸処理された
光学用フィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−
20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒間以
上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは
1〜60分間保持した後に冷却することが好ましく、こ
れにより、透過光の位相差の経時変化が少なくて安定し
た位相差フィルムが得られる。
【0114】延伸処理が施されていない光学用フィルム
においては、加熱による寸法収縮率が、100℃の加熱
を500時間行った場合に、通常5%以下、好ましくは
3%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは
0.5%以下である。また、延伸処理が施された光学用
フィルムにおいては、加熱による寸法収縮率が、100
℃の加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、
好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に
好ましくは1%以下である。寸法収縮率が上記範囲内に
ある光学用フィルムを得るためには、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂(I)あるいは熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(II)を得るための特定単量体の種類および熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂(I)および熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(II)の割合を選択すればよいが、これに加えて、
キャスト方法や延伸処理方法の条件を調整することも有
力な手段である。
【0115】延伸処理が施された光学用フィルムは、延
伸処理により分子が配向する結果、透過光に位相差を与
えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度
あるいはフィルムの厚さ等により制御することができ
る。例えば、延伸処理前のフィルムの厚みが同じである
場合には、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相
差の絶対値が大きくなる傾向があるため、延伸倍率を変
更することによって所期の位相差を透過光に与える位相
差フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じ
である場合には、延伸処理前のフィルムの厚みが大きい
ほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるた
め、延伸処理前のフィルムの厚みを変更することによっ
て所期の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得る
ことができる。また、上記延伸処理温度の範囲内におい
ては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大
きくなる傾向があるため、延伸処理温度を変更すること
によって所期の位相差を透過光に与える位相差フィルム
を得ることができる。
【0116】上記位相差フィルムによって透過光に与え
る位相差の値は、当該光学用フィルムの具体的な用途に
応じて決定されるものであり、特に限定されないが、液
晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるい
はレーザー光学系の波長板に使用する場合には、通常、
1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000n
m、さらに好ましくは15〜1,000nmである。ま
た、位相差フィルムによって透過光に与える位相差は、
その均一性が高いことが好ましい。具体的には、光線波
長400〜800nmの範囲、例えば光線波長550n
mにおいて、上記数式(3)により算出される位相差の
バラツキが、その平均値に対して通常±20%以下であ
り、好ましくは±10%以下、さらに好ましくは±5%
以下である。この位相差のバラツキが±20%を超える
場合には、液晶表示素子等に用いたときに、色ムラ等が
発生し、ディスプレイ本体の性能が低下する。
【0117】また、位相差フィルムにおいては、光線波
長550nmにおける位相差Re(550)と光線波長
400nmにおける位相差Re(400)との比[Re
(400)/Re(550)]が1.0〜0.5の範囲
にあり、かつ光線波長550nmにおける位相差Re
(550)と光線波長800nmにおける位相差Re
(800)との比[Re(800)/Re(550)]
が1.5〜1.0の範囲にあることが好ましく、前記比
[Re(400)/Re(550)]は、より好ましく
は0.8〜0.6、特に好ましくは0.75〜0.65
の範囲であり、前記比[Re(800)/Re(55
0)]は、より好ましくは1.5〜1.3、特に好まし
くは1.5〜1.4の範囲である。このような条件を満
足することにより、ある波長λにおける位相差をRe
(λ)としたとき、光線波長400〜800nmの全領
域において、Re(λ)/λの値をほぼ一定とすること
が可能となる。そして、このRe(λ)/λの値を、光
線波長400〜800nmの全領域において、好ましく
は±20%以内、より好ましくは±10%以内、特に好
ましくは±5%以内に制御することにより、例えば、当
該光線波長全領域において、位相差が1/4λあるいは
1/2λであるような広帯域のλ板を得ることができ
る。すなわち、上記Re(λ)/λの値が、光線波長4
00〜800nmの全領域において、好ましくは0.2
0〜0.30、より好ましくは0.22〜0.28、特
に好ましくは0.24〜0.26である場合には、当該
光線波長領域全域において、円偏光と直線偏光とを相互
変換する1/4λ板としての機能を有することになり、
また、同様に上記Re(λ)/λの値が、0.40〜
0.60、好ましくは0.45〜0.55、さらに好ま
しくは0.48〜0.52である場合には、当該光線波
長領域全域で、直線偏光の偏光面を90度回転させる1
/2λ板としての機能を有することになり、非常に有用
である。
【0118】このような位相差フィルムは、それ自体単
独で、または透明基板等に貼り合わせて位相差板として
用いることができる。また、上記位相差板を他のフィル
ム、シート、基板等の基体に積層して使用することがで
きる。位相差板を基体に積層する場合には、粘着剤や接
着剤を用いることができる。この粘着剤または接着剤と
しては、優れた透明性を有するものが好ましく、その具
体例としては、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化
ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系、
変性ポリオレフィン系、およびこれらにイソシアナート
などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系
樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液とを混合する
ドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキ
シ系接着剤などが挙げられる。
【0119】また、上記の位相差フィルムあるいは位相
差板には、他のフィルムシート、基板などとの積層の作
業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層または
接着剤層を積層することができ、この粘着剤や接着剤と
しては前述の粘着剤または接着剤を用いることができ
る。
【0120】本発明の光学用フィルムには、その少なく
とも片面に透明導電層を積層することができる。透明導
電層を形成するための材料としては、Sn、In、T
i、Pb、Au、Pt、Ag等の金属、またはこれらの
酸化物が一般的に用いられ、金属単体を基板上に形成し
たときは、当該金属層を必要に応じて酸化することもで
きる。酸化物よりなる透明導電層を直接的に形成するこ
とも可能であるが、先ず、金属単体または低級酸化物よ
りなる被膜を形成し、その後、加熱酸化処理、陽極酸化
処理あるいは液相酸化処理等の酸化処理を施すことよ
り、透明導電層を形成することもできる。また、透明導
電層は、他の透明導電層を有するシート、フィルムなど
を接着する方法、プラズマ重合法、スパッタリング法、
真空蒸着法、メッキ、イオンプレーティング法、スプレ
ー法、電解析出法などによって、本発明の光学用フィル
ム上に直接形成することができる。透明導電層の厚み
は、要求される特性により決定され特に限定されない
が、通常10〜10,000オングストローム、好まし
くは50〜5,000オングストロームである。
【0121】本発明の光学用フィルムに直接透明導電層
を形成する場合には、当該光学用フィルムと透明導電層
との間に必要に応じて接着層およびアンカーコート層を
形成してもよい。接着層を形成する材料としては、エポ
キシ樹脂、ポリイミド、ポリブタジエン、フェノール樹
脂、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱樹脂を用い
ることができる。また、アンカーコート層を形成する材
料としては、エポキシジアクリレート、ウレタンジアク
リレート、ポリエステルジアクリレート等のいわゆるア
クリルプレポリマーなどを成分として含むものを用いる
ことができる。硬化の方法としては、公知の手法を用い
ることができ、例えば紫外線硬化法や熱硬化法などが挙
げられる。
【0122】このような透明導電層を有する光学用フィ
ルムにおいては、当該光学用フィルムが偏光フィルムに
積層されてなる積層フィルムを形成することができる。
透明導電層を有する光学用フィルムを偏光フィルムに積
層する方法は特に限定されず、例えば、偏光膜の両面に
保護フィルムが積層されてなる偏光フィルムの少なくと
も片面に、透明導電層を有する光学用フィルムを、その
透明導電層形成面と反対側の面が接するよう適宜の接着
剤あるいは粘着剤を介して積層してもよく、また、偏光
膜の一方の保護フィルムの代わりに、透明導電層を有す
る光学用フィルムを用い、当該偏光膜の露出面に、透明
導電層を有する光学用フィルムを、その透明導電層形成
面と反対側の面が接するよう適宜の接着剤あるいは粘着
剤を介して積層してもよい。また、透明導電層を有さな
い光学用フィルムを偏光フイルムの保護フィルムとして
用いることも可能である。この場合において、本発明に
係る位相差フィルムを保護フィルムとして用いることに
より、保護フィルム自体が位相差を与える機能を有する
ため、偏光フィルムに別個に位相差フィルムを積層する
ことが不要となる利点がある。
【0123】また、透明導電層を有する光学用フィルム
には、必要に応じて、酸素や水蒸気の透過を抑制するこ
とを目的として、ポリビニリデンクロリド、ポリビニル
アルコール等の有機系および/またはAl、Si、Ta
等金属の酸化物からなる無機系のガスバリア性材料を、
少なくともフィルムの一方の面に積層することもでき
る。さらにフィルムの耐傷性および耐熱性を向上させる
ことを目的として、ガスバリア性材料層上にハードコー
ト層が形成されていてもよい。ハードコート剤として
は、有機シリコン系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂などの有機ハードコート材料、または
二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料を用いるこ
とができる。これらの中では、有機シリコン系樹脂、ア
クリル樹脂などのハードコート材料が好ましい。また、
有機シリコン系樹脂としては、各種官能基を有するもの
を用いることができるが、エポキシ基を有するものが好
ましい。
【0124】本発明の光学用フィルムには、少なくとも
その片面に反射防止層を積層することができる。反射防
止層の形成方法としては、例えば、フッ素系共重合体を
含む組成物等からなる有機系反射防止材料の溶液を、バ
ーコーターやグラビアコーターなどを用いてコーテイン
グする方法を利用することができる。反射防止層の厚み
は、通常0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30
μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。この
厚みが0.01m未満である場合には、反射防止効果が
十分に発揮されず、一方、この厚みが50μmを超える
場合には、塗膜の厚みにムラが生じやすくなって外観な
どが悪化し好ましくない。また、他の反射防止層の形成
方法として、例えば、公知のシリコン、チタン、ゲルマ
ニウム、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム等の酸
化物、窒化物、ふっ化物等を乾式法によりコーティング
する方法を利用することができる。コーティング方法は
特に規定されないが、公知のPVD、CVDの手法が用
いられる。コーティングによって形成される層は単層で
あっても2層以上の多層構造であってもよい。多層構造
の場合には、1層あたりの厚みも特に限定されないが、
通常10nm〜500nmの範囲で選択される。
【0125】また、反射防止層を有する光学用フィルム
には、公知のハードコート層や防汚層が積層されていて
もよく、また、上記の透明導電層が積層されていてもよ
い。さらに、透過光に位相差を与える機能を有していて
もよく、光拡散機能を有していてもよい。このような構
成によれば、当該光学用フィルムは、例えば液晶表示素
子に用いた場合において、反射防止フィルム、位相差フ
ィルム、光拡散フィルム、偏光板保護フィルムおよび電
極基板(透明導電層)のうちの複数の機能を有するもの
となるため、当該液晶表示素子の部品数を低減化するこ
とが可能となる。
【0126】〔光学用フィルムの用途〕本発明の光学用
フィルムは、例えば、携帯電話、ディジタル情報端末、
ポケットベル(登録商標)、ナビゲーション、車載用液
晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器
用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液
晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるい
はタッチパネルなどに用いることができる。また、C
D、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記
録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
【0127】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの
実施例に限定されるものではない。なお、以下におい
て、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味す
る。
【0128】各種測定方法を以下に示す。 [モノマー純度]東ソー株式会社製の高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)を使用し、溶媒にメタノールを
使用してモノマー純度を求めた。 [重量平均分子量および分子量分布]東ソー株式会社製
のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)
「HLC−8020」を用い、テトラヒドロフラン(T
HF)溶媒を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量
(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。Mn
は数平均分子量を表す。 [ガラス転移温度(Tg)]セイコーインスツルメンツ
社製の示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲
気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。 [飽和吸水率]ASTM D570に準拠し、23℃の
水中に1週間試料を浸漬し、浸漬前後における重量変化
を測定し、下記の式から求めた。
【0129】
【数7】飽和吸水率(%)=〔(W1−W0)/W0〕 W1:浸漬後の重量,W0:浸漬前の重量
【0130】[残留溶媒量]試料を塩化メチレンに溶解
し、得られた溶液を島津製作所製:GC−7Aガスクロ
マトグラフィー装置を用いて分析した。 [全光線透過率、ヘイズ]スガ試験機社製のヘイズメー
ター「HGM−2DP型」を使用して測定した。 [複屈折・透過光の位相差]王子計測機器社製の「KO
BRA−21ADH」および「KOBRA−CCD」を
用い、複屈折および透過光の位相差の測定を行った。な
お、これらの測定は、1つの試料について、場所を変更
して10回行い、その平均値を当該試料の複屈折および
位相差とした。また、下記式により位相差のバラツキを
求めた。
【0131】
【数8】Re(m)/Re(A)×100(%) Re(m):最大値若しくは最小値と平均値の差の絶対
値(絶対値の大きい方を採用) Re(A):平均値
【0132】〔単量体合成例1〕 (5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン(特定単量体A)の合
成)滴下ロートを取り付けた500mLフラスコ内に、
ノルボルネンアルコール(exo/endoモル比が8
/1)28g(253.9mmol)入れ、500mL
フラスコ内の窒素置換を行った。次いで、500mLフ
ラスコ内にピリジン41ml(507.8mmol)を
滴下し、スターラーによって十分に攪拌して溶解させ
た。次いで、予め脱水THF(テトラヒドロフラン)2
00mLに溶解させた4−フェニルベンゾイルクロリド
50g(230.8mmol)を、氷冷バスで反応系の
温度を4±2℃に保ち、十分に攪拌しながら徐々に滴下
した。滴下が終了した後、氷冷バス中で1時間攪拌を継
続し、その後、室温で1時間攪拌、さらに30分間還流
を行った。室温に冷却した後、生成したピリジン塩を濾
紙により濾過し、さらに反応混合物を蒸留水により十分
に水洗した。次いで、減圧、加温することにより溶媒を
除去し、得られた結晶をn−ヘキサンによって再結晶す
る操作を繰り返して精製し、白色結晶状の5−(4−ビ
フェニルカルボキシオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン63gを得た。得られた結晶をHPLC
で分析した結果、純度は98%であった。
【0133】〔単量体合成例2〕 (5−(2−ナフタレンカルボニルオキシ)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン(特定単量体A)の合
成)4−フェニルベンゾイルクロリドの代わりに2−ナ
フトイルクロリド44g(230.8mmol)を用
い、反応物をカラムクロマトグラフィー(充填材;Al
2O3、展開溶媒;ヘキサン)により精製したこと以外
は、単量体合成例1と同様にして透明液体状の5−(2
−ナフタレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン 46gを得た。得られた結晶を
HPLCで分析した結果、純度は99%であった。
【0134】〔重合体合成例1〕5−(4−ビフェニル
カルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン(特定単量体A)250部と、1−ヘキセン(分
子量調節剤)18部と、トルエン750部とを窒素置換
した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。
次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチ
ルアルミニウム(0.6モル/l)のトルエン溶液1.
55部と、メタノールで変性した六塩化タングステンの
トルエン溶液(濃度0.025モル/l)9.2部とを
添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することによ
り開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。得られた
開環重合体溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエ
ン750部を加えた。次いで、水素添加触媒として、モ
ノマーの仕込量に対して500ppmとなる量のRuH
Cl(CO)[P(C6 5 3 3 を添加し、水素ガ
ス圧9.0〜10.0MPa、160−165℃、3時
間の条件で水素添加反応を行った。反応が終了した後、
大量のイソプロピルアルコール溶液に加えて沈殿させ、
凝固物を分離回収し、これを乾燥して、ノルボルネン系
開環重合体水素添加物(特定のノルボルネン系重合体
(I))を得た。以下、これを「樹脂(a−1)」とす
る。
【0135】このようにして得られた樹脂(a−1)に
ついて400MHz、 1H−NMRを用いてオレフィン
性不飽和結合の水素添加率を測定したところ99.9%
であった。また、特定単量体Aに由来する芳香環は実質
的に水素添加されていなかった。また、樹脂(a−1)
のガラス転移温度は100℃であり、ポリスチレン換算
重量平均分子量(Mw)は142,000、分子量分布
(Mw/Mn)は3.94であった。また、樹脂(a−
1)の23℃における飽和吸水率は、0.2%であっ
た。また、樹脂(a−1)の30℃のクロロホルム中で
測定した固有粘度(ηinh )は0.58dl/gであっ
た。
【0136】〔樹脂合成例2〕5−(4−ビフェニルカ
ルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エンの代わりに5−(2−ナフチルカルボニルオキシ)
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(特定単量体
A)を250部を用いたこと以外は、樹脂合成例1と同
様にしてノルボルネン系開環重合体水素添加物(特定の
ノルボルネン系重合体(I))を得た。以下、これを
「樹脂(b−1)」とする。このようにして得られた樹
脂(b−1)について400MHz、 1H−NMRを用
いてオレフィン性不飽和結合の水素添加率を測定したと
ころ99.9%であった。また、特定単量体Aに由来す
る芳香環は実質的に水素添加されていなかった。また、
樹脂(b−1)のガラス転移温度は85℃であり、ポリ
スチレン換算数平均分子量(Mw)は40,000、同
重量平均分子量は158,000、分子量分布(Mw/
Mn)は3.95であった。また、樹脂(b−1)の2
3℃における飽和吸水率は、0.2%であった。また、
樹脂(b−1)の30℃のクロロホルム中で測定した固
有粘度(ηinh )は0.59dl/gであった。
【0137】〔樹脂合成例3〕8−メチル−8−メトキ
シカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 ,1
7.10]−3−ドデセン(特定単量体B)50gと、1−
ヘキセン(分子量調節剤)3.6gと、トルエン100
gとを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80
℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒
としてトリエチルアルミニウム(0.6モル/l)のト
ルエン溶液0.09mlと、メタノールで変性した六塩
化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025モル/
l)0.29mlとを添加し、この系を80℃で3時間
加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体
溶液を得た。得られた開環重合体に対して、樹脂合成例
1と同様にして水素添加反応を行うことにより、ノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物(特定のノルボルネン系
重合体(II))を得た。以下、これを「樹脂(c−
1)」とする。
【0138】このようにして得られた樹脂(c12)に
ついて400MHz、 1H−NMRを用いてオレフィン
性不飽和結合の水素添加率を測定したところ99.9%
であった。また、樹脂(c−1)のガラス転移温度は1
70℃であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は12
2,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であ
った。また、樹脂(c−1)の23℃における飽和吸水
率は、0.2%であった。また、樹脂(c−1)の30
℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は
0.79dl/gであった。
【0139】〈実施例1〉樹脂(a−1)100部およ
び樹脂(c−1)45部をトルエンに30%濃度となる
ように溶解することにより、樹脂溶液を調製した。この
樹脂溶液の粘度は、室温で30,000mPa・sであ
った。キャリアとして、アクリル酸系材料によって表面
が親水化(易接着)処理された厚み100μmのPET
フィルム(東レ(株)製の「ルミラーU94」)を用意
し、調製した樹脂溶液を、井上金属工業製の「INVE
Xラボコーター」を用い、キャリアの表面に、乾燥後の
フィルム厚みが20μmおよび100μmになるように
塗布し、これを50℃で一次乾燥した後、90℃で二次
乾燥を行い、キャリアから剥離させて厚みが20μmの
樹脂フィルム(以下、これを「フィルム(d−1)」と
する。)および厚みが100μmの樹脂フィルム(以
下、これを「フィルム(d#−1)」とする。)を得
た。得られたフィルム(d−1)およびフィルム(d#
−1)の残留溶媒量は、それぞれ0.5%であった。ま
た、フィルム(d−1)およびフィルム(d#−1)の
ガラス転移温度は、それぞれ120℃であった。これら
のフィルム(d−1)およびフィルム(d#−1)の各
々を、テンター内で、125℃(Tg+5℃となる条
件)に加熱し、延伸速度1000%/分、延伸倍率2.
5倍の条件で延伸処理し、次いで、100℃(Tg−2
0℃となる条件)の雰囲気下で約1分間保持した後、室
温まで冷却することにより、位相差フィルムを得た。フ
ィルム(d−1)による位相差フィルムを「位相差フィ
ルム(d−1)」、フィルム(d#−1)による位相差
フィルムを「位相差フィルム(d#−1)」とする。
【0140】〈実施例2〉樹脂(b−1)100部およ
び樹脂(c−1)45部をトルエンに30%濃度となる
ように溶解することにより、樹脂溶液を調製したこと以
外は、実施例1と同様にして厚みが20μmの樹脂フィ
ルム(以下、これを「フィルム(e−1)」とする。)
および厚みが100μmの樹脂フィルム(以下、これを
「フィルム(e#−1)」とする。)を得た。フィルム
(e−1)および(e#−1)のガラス転移温度は、そ
れぞれ115℃であった。これらのフィルム(e−1)
およびフィルム(e#−1)の各々を、実施例1と同様
の条件で延伸処理することにより、位相差フィルムを得
た。フィルム(e−1)による位相差フィルムを「フィ
ルム(e−2)」、フィルム(e#−1)による位相差
フィルムを「フィルム(e#−2)」とする。
【0141】〈比較例1〉樹脂(a−1)をトルエンに
30%濃度となるように溶解することにより、樹脂溶液
を調製したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが2
0μmの樹脂フィルム(以下、これを「フィルム(f−
1)」とする。)および厚みが100μmの樹脂フィル
ム(以下、これを「フィルム(f#−1)」とする。)
を得た。フィルム(f−1)およびフィルム(f#−
1)のガラス転移温度は、それぞれ100℃であった。
これらのフィルム(f−1)およびフィルム(f#−
1)の各々を、実施例1と同様の条件で延伸処理するこ
とにより、位相差フィルムを得た。フィルム(f−1)
による位相差フィルムを「フィルム(f−2)」、フィ
ルム(f#−1)による位相差フィルムを「フィルム
(f#−2)」とする。
【0142】また、フィルム(f#−1)を、110℃
(Tg+10℃となる条件)に加熱し、延伸速度400
%/分、延伸倍率1.3倍の条件で延伸処理し、次い
で、80℃(Tg−20℃となる条件)の雰囲気下で約
1分間保持した後、室温まで冷却することにより、位相
差フィルムを得た。この位相差フィルムを「フィルム
(f#−3)」とする。
【0143】〈比較例2〉樹脂(b−1)をトルエンに
30%濃度となるように溶解することにより、樹脂溶液
を調製したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが2
0μmの樹脂フィルム(以下、これを「フィルム(g−
1)」とするおよび厚みが100μmの樹脂フィルム
(以下、これを「フィルム(g#−1)」とする。)を
得た。フィルム(g−1)およびフィルム(g#−1)
のガラス転移温度は、それぞれ85℃であった。これら
のフィルム(g−1)およびフィルム(g#−1)の各
々を、実施例1と同様の条件で延伸処理することによ
り、位相差フィルムを得た。フィルム(g−1)による
位相差フィルムを「フィルム(g−2)」、フィルム
(g#−1)による位相差フィルムを「フィルム(g#
−2)」とする。
【0144】〈比較例3〉樹脂(c−1)をトルエンに
30%濃度となるように溶解することにより、樹脂溶液
を調製したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが2
0μmの樹脂フィルム(以下、これを「フィルム(h−
1)」とする。)および厚みが100μmの樹脂フィル
ム(以下、これを「フィルム(h#−1)」とする。)
を得た。フィルム(h−1)およびフィルム(h#−
1)のガラス転移温度は、それぞれ170℃であった。
これらのフィルム(h−1)およびフィルム(h#−
1)の各々を、実施例1と同様の条件で延伸処理するこ
とにより、位相差フィルムを得た。フィルム(h−1)
による位相差フィルムを「フィルム(h−2)」、フィ
ルム(h#−1)による位相差フィルムを「フィルム
(h#−2)」とする。
【0145】また、フィルム(h#−1)を、180℃
(Tg+10℃となる条件)に加熱し、延伸速度400
%/分、延伸倍率1.3倍の条件で延伸処理し、次い
で、150℃(Tg−20℃となる条件)の雰囲気下で
約1分間保持した後、室温まで冷却することにより、位
相差フィルムを得た。この位相差フィルムを「フィルム
(h#−3)」とする。
【0146】〈比較例4〉樹脂(c−1)100部およ
びスチレン/無水マレイン酸の共重合体(積水化学社製
の「ダイラーク232」)36部をトルエンに30%濃
度となるように溶解することにより、樹脂溶液を調製し
たこと以外は、実施例1と同様にして厚みが20μmの
樹脂フィルム(以下、これを「フィルム(i−1)とす
る。)および厚みが100μmの樹脂フィルム(以下、
これを「フィルム(i#−1)」とする。)を得た。フ
ィルム(i−1)およびフィルム(i#−1)のガラス
転移温度は、それぞれ120℃であった。これらのフィ
ルム(i−1)およびフィルム(i#−1)の各々を、
実施例1と同様の条件で延伸処理することにより、位相
差フィルムを得た。フィルム(i−1)による位相差フ
ィルムを「フィルム(i−2)」、フィルム(i#−
1)による位相差フィルムを「フィルム(i#−2)」
とする。
【0147】〔フィルムの特性〕実施例1〜2および比
較例1〜4で得られたフィルム(d−1)、(e−
1)、(f−1)、(g−1)、(h−1)、(d−
2)、(e−2)、(f−2)、(g−2)および(h
−2)について、全光線透過率、ヘイズ値、透過光の位
相差の測定を行った。また、フィルム(i−1)、(i
−2)について、全光線透過率、ヘイズ値の測定を行っ
た。結果を表1および表2に示す。また、フィルム(d
#−2)、(e#−2)、(f#−2)、(g#−
2)、(h#−2)、(f#−3)および(h#−
3)〕について、透過光の位相差の測定を行った。結果
を表3に示す。また、樹脂(a−1)によるフィルム
(f−2)、樹脂(b−1)によるフィルム(g−2)
および樹脂(c−1)によるフィルム(h−2)につい
て、複屈折(Nx−Nyの値)を表4に示す。さらに、
フィルム(d−2)、(e−2)、(f−2)、(g−
2)および(h−2)について、透過光波長550nm
を基準とした透過光の位相差の波長依存性(Re(λ)
/Re(550))を測定した。結果を図1に示す。ま
た、フィルム(d#−2)、(e#−2)、(f#−
2)、(g#−2)および(h#−2)について、波長
400〜800nmにおける透過光の位相差の波長依存
性(Re(λ)/λ)を測定した。結果を図2に示す。
また、フィルム(d−2)、(e−2)および(i−
2)について、80℃、90%相対湿度の雰囲気に50
0時間暴露した後、そのヘイズ値および全光線透過率を
測定し、飽和吸水率を測定した。結果を表5に示す。
【0148】
【表1】
【0149】表1において、「透過光の位相差」は、表
中の光線波長における値の絶対値を示す。
【0150】
【表2】
【0151】表2において、「位相差のバラツキ」は、
光線波長550nmで測定した値を示す。また、「透過
光の位相差」は表中の波長における値を示す(絶対値で
はない。)
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】表4において、「複屈折」は、表中の光線
波長における値を示す。
【0155】
【表5】
【0156】図1から明らかなように、実施例1に係る
フィルム(d−2)および実施例2に係るフィルム(e
−2)は、正の波長依存性を示すものであるに対し、比
較例1に係るフィルム(f−2)、比較例2に係るフィ
ルム(g−2)および比較例2に係るフィルム(h−
2)は、正の波長依存性を示さなかった。
【0157】また、図2から明らかなように、実施例1
に係るフィルム(d#−2)および実施例2に係るフィ
ルム(e#−2)は、Re(λ)/λの値が光線波長4
00〜800nmの全領域においてほぼ一定の値(0.
215〜0.247)を示しており、当該光線波長全領
域において1/4λ板としての作用が得られるのに対し
て、比較例1に係るフィルム(f#−2)、比較例2に
係るフィルム(g#−2)および比較例2に係るフィル
ム(h#−2)は、Re(λ)/λの値が光線波長55
0nmにおいて絶対値で約0.25を示すものである
が、光線波長が550nmからずれるに従って大きく
0.25からずれており、当該光線波長領域のうち一部
の領域のみにおいて1/4λ板としての作用が得られな
い。
【0158】また、上記表4の結果から、実施例1に係
るフィルム(d−2)およびフィルム(d#−2)は、
上記数式(1)および上記数式(2)の条件を満足する
ものであることが理解される。すなわち、8−メチル−
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2.5 ,17.10]−3−ドデセン(特定単量体B)のみの
重合体である正の複屈折性を示す樹脂(c−1)から得
られたフィルム(h−2)、および5−(4−ビフェニ
ルカルボニルオキシ)メチルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン(特定単量体A)のみの重合体である負
の複屈折性を示す樹脂(a−1)から得られたフィルム
(f−2)の各々における△NI (400)、△N
I (550)および△NI (800)の値に基づいて、
上記数式(1)および上記数式(2)による値を算出す
ると、以下の通りとなる。
【0159】数式(1)[λ=400nm]: △NI (400)+△NII(400)=0.0083+
(−0.0039)=0.0044>0 数式(1)[λ=550nm]: △NI (550)+△NII(550)=0.0082+
(−0.0027)=0.0055>0 数式(1)[λ=800nm]: △NI (800)+△NII(800)=0.0081+
(−0.0021)=0.0060>0 数式(2)[λ=400nm]: △NI (400)−△NI (800)=0.0083−
0.0081=0.0002<△NII(800)−△N
II(400)=−0.0021:−0.0039=0.
0018 数式(2)[λ=550nm]: △NI (550)−△NI (800)=0.0082−
0.0081=0.0001<△NII(800)−△NII(55
0)=−0.0021−(−0.0027)=0.000
【0160】また、実施例2に係るフィルム(e−2)
および(e#−2)も、上記数式(1)および上記数式
(2)の条件を満足するものであることが理解される。
すなわち8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.1 2.5 ,17.10]−3−ドデセン
(特定単量体B)のみの重合体である正の複屈折性を示
す樹脂(c−1)から得られたフィルム(h−2)、お
よび5−(2−ナフチルカルボニルオキシ)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン(特定単量体A)のみ
の重合体である負の複屈折性を示す樹脂(b−1)から
得られたフィルム(g−2)の各々における△NI (4
00)、△NI (550)および△N I (800)の値
に基づいて、上記数式(1)および上記数式(2)によ
る値を算出すると、以下の通りとなる。
【0161】数式(1)[λ=400nm]: △NI (400)+△NII(400)=0.0083+
(−0.0037)=0.0046>0 数式(1)[λ=550nm]: △NI (550)+△NII(550)=0.0082+
(−0.0028)=0.0054>0 数式(1)[λ=800nm]: △NI (800)+△NII(800)=0.0081+
(−0.0019)=0.0062>0 数式(2)[λ=400nm]: △NI (400)−△NI (800)=0.0083−
0.0081=0.0002<△NII(800)−△NII
(400)=−0.0019−(−0.0037)=0.
0018 数式(2)[λ=550nm]: △NI (550)−△NI (800)=0.0082−
0.0081=0.0001<△NII(800)−△NII
(550)=−0.0019−(−0.0028)=
0.0009
【0162】また、上記表5の結果から、実施例1に係
るフィルム(d−2)および実施例2に係るフィルム
(e−2)は、比較例4に係るフィルム(i−2)と比
較して吸水率が低く、高温高湿雰囲気に曝されてもヘイ
ズ値および全光線透過率が変化しないことが確認され
た。
【0163】〈実施例3〉実施例1に係るフィルム(d
−1)にサンドマット処理を行うことにより、ヘイズ値
が55%、全光線透過率が90%の光拡散機能を有する
光学用フィルム(以下、これを「フィルム(d−4)」
とする。)を得た。このフィルム(d−4)を80℃、
90%相対湿度の雰囲気に500時間暴露した後、ヘイ
ズ値および全光線透過率を測定したところ、初期値に対
する変化は認められなかった。
【0164】〈実施例4〉フィルム(d−1)の代わり
に実施例2に係るフィルム(e−1)を用いたこと以外
は、実施例3と同様にしてヘイズ値が55%、全光線透
過率が90%の光拡散機能を有する光学用フィルム(以
下、これを「フィルム(e−4)」とする。)を得た。
このフィルム(e−4)を80℃、90%相対湿度の雰
囲気に500時間暴露した後、ヘイズ値および全光線透
過率を測定したところ、初期値に対する変化は認められ
なかった。
【0165】〈実施例5〉実施例1に係るフィルム(d
−2)の片面に、酸化インジウム/酸化スズ(重量比9
5:5)からなるターゲットを用い、スパッタリング法
により透明導電層を形成することにより、透明導電層を
有する光学用フィルム(以下、これを「フィルム(d−
5)」とする。)を得た。このフィルム(d−5)は、
全光線透過率は85%を超えた値を示すものであって良
好な透明性を有し、当該フィルム(d−5)を目視で観
察したところ、傷、そり等も発生しておらず、良好な外
観を有するものであった。また、80℃、90%相対湿
度の雰囲気に500時間暴露した後、全光線透過率の測
定および目視による外観変化の有無の確認を行ったとこ
ろ、全光線透過率は85%を超えた値を示すものであっ
て良好な透明性を有し、外観においても、傷、そり、う
ねりなどの発生は認められず良好なものであった。
【0166】〈実施例6〉実施例1に係るフィルム(d
−2)の片面にJSR(株)製の「オプスターJN72
12」を、乾燥後の厚みが0.1μmとなるようにコー
トし、乾燥処理することにより、反射防止層を有する光
学用フィルム(以下、これを「フィルム(d−6)」と
する。)を得た。このフィルム(d−6)の反射率を測
定したところ、1%以下であり、良好な反射防止特性を
示すものであった。
【0167】〈実施例7〉厚み50μmのポリビニルア
ルコールフィルムを、ヨウ素5g、ヨウ化カリウム25
0g、ほう酸10gおよび水1,000gからなる40
℃の水溶液中に浸漬しながら、約5分間で延伸倍率が4
倍の条件で一軸延伸処理することにより、偏光膜を得
た。この偏光膜の表面に、モノマー換算でn−ブチルア
クリレート90重量%、エチルアクリレート7重量%お
よびアクリル酸3重量%からなるアクリル系樹脂100
部と、トリレンジイソシアナート(3モル)のトリメチ
ロールプロパン(1モル)付加物75重量%酢酸エチル
溶液2部とからなる架橋剤を混合することにより、粘着
剤を調製し、この粘着剤によって実施例1に係るフィル
ム(d−1)の両面に積層することにより、偏光フィル
ム(以下、これを「フィルム(d−7)」とする。)を
得た。このフィルム(d−7)を、80℃、90%相対
湿度の雰囲気に500時間暴露した後、その外観変化を
目視で観察したところ、うねりや反り等の外観異常は認
められず、また、偏光度も90%を超えた値を維持して
おり、良好なものであった。
【0168】〈実施例8〉トルエンの代わりに、沸点が
40℃、SP値が19.2(MPa1/2 )の塩化メチレ
ン(良溶媒)90重量%、および沸点が65℃、SP値
が29.7(MPa1/2 )のメタノール(貧溶媒)10
重量%からなる混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と
同様にして、光拡散機能を有する光学用フィルム(以
下、これを「フィルム(d−8)」とする。)を得た。
このフィルム(d−8)は、ヘイズ値が40%であり、
全光線透過率が90%であった。フィルム(d−8)を
80℃、90%相対湿度の雰囲気に500時間暴露した
後、、ヘイズ値および全光線透過率を測定したところ、
初期値に対する変化は認められなかった。
【0169】〈実施例9〉樹脂溶液の調製において、室
温における屈折率が1.515(d線)である樹脂(a
−1)および樹脂(c−1)が重量比で100:45と
なる割合で含有してなる樹脂組成物100部に対し、樹
脂(a−1)および樹脂(c−1)に対して非相溶性で
ある、室温における屈折率が1.492(d線)のポリ
メチルメタクリレート10部を添加したこと以外は、実
施例1と同様にして光学用フィルム(以下、これを「フ
ィルム(d−9)」とする。)を得た。このフィルム
(d−9)中におけるポリメチルメタクリレートの平均
分散粒子径を、TEMにより測定したところ、20μm
であり、当該フィルム(d−9)のヘイズ値は20%、
全光線透過率は89%であった。また、フィルム(d−
9)を、80℃、90%相対湿度の雰囲気に500時間
暴露した後、ヘイズ値および全光線透過率を測定したと
ころ、初期値に対する変化は認められなかった。
【0170】〈実施例10〉キャリアとして、表面に凹
凸が形成されたマット処理済みのPETフィルムを用い
たこと以外は、実施例1と同様にして、光拡散機能を有
する光学フィルム(以下、これを「フィルム(d−1
0)」とする。)を得た。このフィルム(d−10)
は、ヘイズ値が10%、全光線透過率が93%であっ
た。また、フィルム(d−10)を、80℃、90%相
対湿度の雰囲気に500時間暴露した後、ヘイズ値およ
び全光線透過率を測定したところ、初期値に対する変化
は認められなかった。
【0171】
【発明の効果】本発明の光学用フィルムは、従来の熱可
塑性ノルボルネン系樹脂系フィルムの有する高透明性、
低複屈折性、あるいは延伸処理したときに得られる透過
光の位相差の均一性や安定性等の光学特性、高耐熱性、
他の材料に対する良好な密着性および接着性、並びに低
吸水変形性等の特長を有すると共に、従来の熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂系フィルムでは得られない正の波長依
存性を示すものである。従って、本発明の光学用フィル
ムを位相差フィルムとして使用することにより、光線波
長400〜800nmの全領域において一定の位相差を
示すλ板を、一枚のフィルムにより構成することができ
る。また、光拡散機能、透明導電性、反射防止機能等の
機能を有する光学用フィルムとしても有用である。本発
明の光学用フィルムの製造方法によれば、上記の光学用
フィルムを有利に製造することができる。本発明の偏光
板によれば、上記の光学用フィルムを有するため、例え
ば液晶表示素子に用いた場合において、当該液晶表示素
子における部品数の低減化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜2および比較例1〜3に係るフィル
ム(d−2)、(e−2)、(f−2)、(g−2)お
よび(h−2)の各々における光線波長550nmを基
準とした透過光の位相差の波長依存性(Re(λ)/R
e(550))を示す図である。
【図2】実施例1〜2および比較例1〜3に係るフィル
ム(d#−2)、(e#−2)、(f#−2)、(g#
−2)および(h#−2)について、光線波長波長40
0〜800nmにおける透過光の位相差の波長依存性
(Re(λ)/λ)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 4F205 5/02 5/02 B 4J002 5/30 5/30 4J032 G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 1/13363 1/13363 // B29K 45:00 B29K 45:00 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 関口 正之 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 2H042 BA02 BA03 BA16 BA20 2H049 BA02 BA06 BA42 BB22 BB63 BB65 BB67 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA31X FA37X FB02 FB12 FB13 FC01 FC08 FC09 FD06 FD14 KA01 KA02 KA10 LA04 LA06 LA13 LA30 4F006 AA31 AB73 BA07 CA05 4F071 AA69 AA80 AF10 AF31Y AF45 AH19 BA02 BB02 BB07 BC01 4F205 AA12 AC05 AG01 AH73 GA07 GB02 GC06 GE24 GF24 4J002 CE00W CE00X GP00 4J032 CA34 CB11 CC03 CD02 CE03 CG02 CG08

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線波長400〜800nmにおいて、
    負の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)
    と正の複屈折性を示す熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I
    I)とを含有する樹脂組成物からなり、前記熱可塑性ノ
    ルボルネン系樹脂(I)および前記熱可塑性ノルボルネ
    ン系樹脂(II)は、それぞれのフィルムを同一の条件で
    一軸延伸したときに、下記数式(1)および下記数式
    (2)の条件を満足するものであることを特徴とする光
    学用フィルム。 【数1】数式(1): △NI (λ)+△NII(λ)>0 数式(2): △NII(λ)−△NII(800)<△NI (800)−
    △NI (λ) 〔数式(1)および数式(2)において、△NI (λ)
    は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)からなる一軸延
    伸されたフィルムの光線波長λにおけるx軸方向の屈折
    率NxI (λ)とy軸方向の屈折率NyI (λ)との差
    [NxI (λ)−NyI (λ)]を表し、△NII(λ)
    は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)からなる一軸延
    伸されたフィルムの光線波長λにおけるx軸方向の屈折
    率NxII(λ)とy軸方向の屈折率Ny(λ)IIとの差
    [NxII(λ)−NyII(λ)]を表す。また、△NI
    (800)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)から
    なる一軸延伸されたフィルムの光線波長800nmにお
    けるx軸方向の屈折率とy軸方向の屈折率との差を表
    し、△NII(800)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂
    (II)からなる一軸延伸されたフィルムの光線波長80
    0nmにおけるx軸方向の屈折率とy軸方向の屈折率と
    の差を示す。但し、x軸方向は、フィルムの延伸方向を
    示し、y軸方向はx軸方向に対して面内垂直方向を示
    す。〕
  2. 【請求項2】 樹脂組成物が、熱可塑性ノルボルネン系
    樹脂(I)100重量部に対して熱可塑性ノルボルネン
    系樹脂(II)を1〜1000重量部含有してなることを
    特徴とする請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(I)が下
    記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノルボ
    ルネン系重合体であり、熱可塑性ノルボルネン系樹脂
    (II)が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を
    有するノルボルネン系重合体であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の光学用フィルム。 【化1】 〔一般式(1)において、nは0または1であり、mは
    0または1以上の整数である。X1 はビニレン基または
    エチレン基を示し、R1 、R2 、R3 およびR4は、そ
    れぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素
    原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有し
    ていてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の
    炭化水素基;または極性基を示す。また、R1 とR2
    たはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水素基を形成し
    てもよい。また、R1 またはR2 とR3 またはR4 とが
    相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、
    当該炭素環または当該複素環は単環構造であっても多環
    構造であってもよく、当該炭素環または当該複素環は芳
    香環であっても非芳香環であってもよい。但し、R1
    4 のうち少なくとも1つは、下記一般式(1−1)ま
    たは下記一般式(1−2)で表される基である。更に、
    当該重合体中に存在する複数のX1 、R1 、R 2 、R3
    およびR4 の各々は同一であっても異なっていてもよ
    い。] 【化2】 〔一般式(1−1)において、R9 〜R18は、互いに独
    立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、
    イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有していて
    もよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の1価の
    炭化水素基;または1価の極性基を表す。但し、R9
    18のうち1つは、カルボニルオキシ基であって、その
    カルボニル基側の結合手により、当該一般式(1−1)
    における主環構造に結合されている。pおよびqは互い
    に独立に0〜2の整数である。また、p=q=0のとき
    は、R10とR13、R17とR13、R9 とR18、または、R
    16とR18が相互に結合して炭素環または複素環を形成し
    てもよく、当該炭素環または当該複素環は単環構造であ
    っても多環構造であってもよい。更に、当該重合体中に
    存在する複数のR9 〜R18の各々は同一であっても異な
    っていてもよい。〕 【化3】 〔一般式(1−2)において、Z、RA およびRB は、
    互いに独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒
    素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有
    していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30
    の1価の炭化水素基;または1価の極性基を表す。但
    し、一般式(1−2)においてRA 、RB およびZのう
    ち1つは、カルボニルオキシ基であって、そのカルボニ
    ル基側の結合手により、当該一般式(2−1)における
    主環構造に結合されている。sは0または1以上の整数
    である。更に、当該重合体中に存在する複数のZ、RA
    およびRB の各々は同一であっても異なっていてもよ
    い。〕 【化4】 〔一般式(2)において、tは0または1であり、uは
    0または1以上の整数である。X2 はビニレン基または
    エチレン基を示し、R5 、R6 、R7 およびR8は、そ
    れぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素
    原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有し
    ていてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の
    炭化水素基;または極性基を示す。また、R1 とR2
    たはR3 とR4 と一体化して2価の炭化水素基を形成し
    てもよい。また、R1 またはR2 とR3 またはR4 とが
    相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、
    当該炭素環または当該複素環は単環構造であっても多環
    構造であってもよく、当該炭素環または当該複素環は芳
    香環であっても非芳香環であってもよい。但し、R5
    8 は、上記一般式(1−1)および上記一般式(1−
    2)で表される基を含まない。更に、当該重合体中に存
    在する複数のX2 、R5 、R6 、R7 およびR 8 の各々
    は同一であっても異なっていてもよい。]
  4. 【請求項4】 樹脂組成物は、一般式(1)におけるn
    およびmが共に0である熱可塑性ノルボルネン系樹脂
    (I)と、一般式(2)におけるtが0でuが1である
    熱可塑性ノルボルネン系樹脂(II)とを含有してなるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の光学用フィルム。
  5. 【請求項5】 透過光に位相差を与える性質を有するも
    のであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいず
    れか一に記載の光学用フィルム。
  6. 【請求項6】 光線波長550nmにおける位相差Re
    (550)と光線波長400nmにおける位相差Re
    (400)との比[Re(400)/Re(550)]
    が1.0〜0.5の範囲にあり、かつ光線波長550n
    mにおける位相差Re(550)と光線波長800nm
    における位相差Re(800と)の比[Re(800)
    /Re(550)]が1.5〜1.0の範囲にあること
    を特徴とする請求項5に記載の光学用フィルム。
  7. 【請求項7】 光線波長400〜800nmの範囲にお
    いて、下記数式(3)により算出される値のばらつき
    が、その平均値に対して±20%の範囲内にあることを
    特徴とする請求項5または請求項6に記載の光学用フィ
    ルム。 【数2】数式(3):Re(λ)/λ [数式(3)において、λは当該フィルムを透過する光
    線の波長を表し、Re(λ)は、光線波長λにおける位
    相差を表す。]
  8. 【請求項8】 少なくとも片面に光拡散機能を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれか一に記載
    の光学用フィルム。
  9. 【請求項9】 少なくとも片面に透明導電性層を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一に
    記載の光学用フィルム。
  10. 【請求項10】 少なくとも片面に反射防止層を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一に
    記載の光学用フィルム。
  11. 【請求項11】 偏光板保護フィルムとして使用される
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載
    の光学用フィルム。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至10のいずれか一に記載
    の光学用フィルムを有してなることを特徴とする偏光
    板。
  13. 【請求項13】 溶液キャスト法により、請求項1乃至
    請求項10のいずれか一に記載の光学用フィルムを製造
    することを特徴とする光学用フィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 樹脂組成物を、良溶媒と貧溶媒との混
    合溶剤に溶解して樹脂溶液を調製する工程を有すること
    を特徴とする請求項13に記載の光学用フィルムの製造
    方法。
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