JP4915409B2 - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム - Google Patents
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Description
かかる環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開昭63−218726号公報、特開平2−133413号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報等に記載されている。
そこで、上記低吸水性に由来する問題を解決するために、環状ポリオレフィン系樹脂の分子内に極性基を導入した熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムが特開平7−287122号公報や特開平7−287123号公報などに記載されている。これらの光学用フィルムは高透明性、透過光の低位相差、さらに延伸配向させたときの均一で安定した位相差等の光学特性において優れ、耐熱性、他材料との密着性や接着性等が良好で、しかも吸水変形が小さいという利点を有しているものの、靭性が低いために加工時や使用時における取り扱い性に問題があった。
下記一般式(1):
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R1〜R4が下記一般式(a):
−(CH2)q−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位aと、下記一般式(2):
[式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表わす。{ただし、前記R5〜R8が下記一般式(a):
−(CH2)q−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位bとを含む共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、上記製造方法により製造された光学用フィルムであって、残留溶媒量が10重量%以下であることを特徴とする光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、透過光に位相差を与えることを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に光拡散機能を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に透明導電性層を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に反射防止層を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、上記光学用フィルムからなることを特徴とする偏光板保護フィルムを提供する。
本発明は、更に、上記光学用フィルムを有することを特徴とする偏光板を提供する。
[光学用フィルム]
<熱可塑性ノルボルネン系樹脂>
本発明の光学用フィルムに用いられる共重合体、即ち、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(以下、「本発明の樹脂」ということがある。)は、上記一般式(1)で表される構造単位aと上記一般式(2)で表される構造単位bを必須の構造単位として含むが、さらに必要に応じて他の構造単位を含むことは任意である。
[式中、R5、R6、R7、及びR8は一般式(2)に関して定義のとおりである。]
一般式(1)〜(4)において、R1〜R8は、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。前記の原子及び基について以下に説明する。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
[1] 単量体Aと単量体Bとの開環共重合体。
[2] 単量体Aと単量体B及びその他の共重合性単量体との開環共重合体。
[3] [1]及び[2]の開環共重合体の水素添加物。
<単量体A>
構造単位aは単量体Aに由来する。以下に単量体Aの具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体Aは、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
さらに、R2及びR4の少なくとも一つが一般式(5):
−(CH2)nCOOR9 (5)
〔ここで、nは通常0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0である。R9は一価の有機基である。〕
で表される極性基である単量体Aは、得られる共重合体のガラス転移温度と吸水性を制御しやすい点で好ましい。一般式(5)においてR9で表される一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。
さらに、上記一般式(3)において、一般式(5)で表される極性基が結合した炭素原子に更にアルキル基が結合していることが、得られる共重合体の耐熱性と吸水性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、一般式(3)においてmが1でありpが0である単量体Aは、ガラス転移温度の高い共重合体が得られる点で好ましい。
構造単位bは単量体Bに由来する。以下に単量体Bの具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体Bは、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α,βの両タイプとも可)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン
などを挙げることができる。
単量体A及び単量体Bと共重合させることができる他の共重合性単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。
さらにポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に単量体A及び単量体Bを重合させてもよい。そして、この場合に得られる共重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
単量体A、単量体B及び場合によって用いられるその他の共重合性単量体の開環共重合反応のその他の条件を説明する。
・開環共重合触媒:
該開環共重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、Mo及びReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
(b)成分の具体例としては、n−C4 H9 Li、(C2 H5 )3 Al 、(C2 H5 )2 AlCl、(C2 H5 )1.5 AlCl1.5 、(C2 H5 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
共重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類及びスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、共重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
開環共重合反応において用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素類が好ましい。
溶媒の使用量としては、溶媒:特定単量体(重量比)が、通常1:1〜10:1となる量、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
以上のようにして得られる共重合体は、そのまま本発明の樹脂として使用することもできるが、残留するオレフィン性不飽和結合を水素添加して使用することが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち、共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、共重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10−6〜1:2となる割合で使用される。
本発明において、構造単位aと構造単位bとの比(a/b)は、通常、重量比ではa/b=95/5〜5/95、好ましくは95/5〜60/40である。aの割合が上記範囲より大きいと靱性改良の効果が期待できない場合があり、逆に、aの割合が上記範囲より小さいとガラス転移温度が低くなり、耐熱性に問題が生じる場合がある。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.2〜5dl/gであることが好ましい。さらに好ましくは0.3〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gである。5dl/gをこえると、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化し好ましくなく、0.2dl/g未満であるとフィルム強度が低下する。
また、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量分布は、上記のMw/Mnが通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂には、透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良い。
また、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂には、酸化防止剤等の添加剤などを添加しても良く、かかる酸化防止剤等の添加剤としては、例えば次の化合物が挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
・紫外線吸収剤:
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
これらの酸化防止剤等の添加量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
本発明の光学用フィルムは、本発明の樹脂を溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルム若しくはシートとすることができる。このうち、膜厚の均一性及び表面平滑性が良好になる点から溶剤キャスト法が好ましい。
溶剤キャスト法としては例えば、本発明の樹脂を溶媒に溶解又は分散させて適度の濃度の液体にし、適当なキャリヤー上に注ぐか又は塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解又は分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等の問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学用フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
上記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。溶媒を2種以上併用する場合には、混合物としてのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合物としてのSP値の値は、その重量比から求めることができ、例えば二種の混合物の場合は、各溶媒の重量分率をW1,W2、また、SP値をSP1,SP2とすると混合溶媒のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
また、光学用フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であれば何れも使用できるが、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
また、上記溶液を塗布する基材、例えば金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム等の表面にサンドマット処理やエンボス処理を施したものを使用すると、フィルムの表面に上記処理による凹凸が転写して、本発明の光拡散機能を有する光学用フィルムを製造することができる。
さらに、本発明の樹脂の溶液に該樹脂と非相溶の樹脂やフィラーを添加し均一化したものをキャストする方法でも、本発明の光拡散機能を有する光学用フィルムを製造することができる。
上記本発明の樹脂と非相溶の樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニルベンゼン、ポリアミドあるいはポリイミドなどを挙げることができる。また、上記フィラーとしては、例えば、金、銀等の金属、SiO2、TiO2、ZnO2、Al2O3等の金属酸化物、ガラス、石英などの粒子を挙げることができる。
また、光学用フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%以上であると、実際に該光学用フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
本発明の光学用フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を実施することにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐことができる。
<透過光に位相差を与える光学用フィルム>
本発明は透過光に位相差を与える光学用フィルム(以下、「位相差フィルム」という。)を提供する。当該位相差フィルムでは、材料の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の高分子鎖が一定の方向に配向しているため、透過光に位相差を与えることができる。当該位相差フィルムは、本第1の発明の光学用フィルムに延伸等の加工を施すことにより高分子鎖を規則的に配向させることで得ることができる。ここで、規則的な配向とは、通常の高分子(ポリマー)を後述する溶融押し出し法やキャスト法等によりフィルム状に成形した場合には、工程中で発生するフィルムの歪みの大小にもよるが分子鎖は特定方向を向かずランダムな状態であるのに対し、本位相差フィルムは全体として分子鎖がフィルム平面の一軸方向、又は二軸方向、さらに厚み方向に規則的に配向していることを意味する。配向の規則性の程度はさまざまである。
一軸延伸法の場合、延伸速度は通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、延伸後のフィルムの屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸倍率は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍以上であると、位相差の制御が困難になる場合がある。
また、本発明の位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明の樹脂の原料である単量体A,Bの選択に加え、キャスト方法や延伸方法によりコントロールすることが可能である。
また、位相差フィルムを透過した光の位相差は、その均一性が高いことが好ましく、波長550nmにおけるバラツキは通常は±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下である。位相差のバラツキが±20%の範囲を超えると、液晶表示素子等に用いた場合、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が悪化する。
また、上記の位相差フィルム及び位相差板は、他のフィルムシート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層又は、接着剤層を積層することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤としては前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
本発明の光学用フィルムには、その少なくとも片面に透明導電層を積層することができる。透明導電層を形成するための材料としては、Sn、In、Ti、Pb、Au、Pt、Ag等の金属、又はそれらの酸化物が一般的に使用され、基板上に金属単体被膜を形成するか、また、必要に応じてその後酸化してもよい。当初から酸化物層として付着形成させる方法もあるが、最初は金属単体又は低級酸化物の形態で被膜を形成し、しかるのち、加熱酸化、陽極酸化あるいは液相酸化等の酸化処理を施して透明化することもできる。これらの透明導電層は、他の透明導電層を有するシート、フィルムなどを接着して形成してもよく、プラズマ重合法、スパッタリング法、真空蒸着法、メッキ、イオンプレーティング法、スプレー法、電解析出法などによって本発明の光学用フィルム上に直接形成してもよい。これらの透明導電膜の厚さは、所望の特性により決定され特に限定はされないが、通常は10〜10,000オングストローム、好ましくは50〜5,000オングストロームである。
本発明の光学用フィルムには、少なくともその片面に反射防止層を積層することができる。反射防止層の形成方法としては、例えば、一般的に使用される、例えばシリコン、チタン、タンタル、ジルコニウム等の金属酸化物などよりなる無機系や、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンの(共)重合体や含フッ素(メタ)アクリレート(共)重合体等の含フッ素化合物などよりなる有機系の反射防止膜を0.01〜10μm程度の厚みで、スパッタリング、蒸着、コーティング、ディッピングなどの方法により形成することができる。反射防止層の厚みは、通常は0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。0.01μm未満であると反射防止効果が発揮できず、50μmを超えると塗膜の厚みにムラが生じやすくなり外観などが悪化し好ましくない。
上記のように複数の機能を有することにより、本発明の反射防止層を有する光学用フィルムは、例えば液晶表示素子に用いた場合、反射防止フィルムが位相差板、光拡散フィルム、偏光板保護フィルムあるいは電極基板(透明導電層)の幾つかの機能を兼用することとなり、従来よりもその部品点数を低減することが可能となる。
本発明の光学用フィルムは、例えば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
下記記載の各種測定値の測定方法を以下に示す。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
[飽和吸水率]
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
[全光線透過率、ヘイズ]
スガ試験機社製ヘイズメーター:HGM−2DP型を使用して測定した。
[透過光の位相差]
王子計測機器社製KOBRA−21ADH、ならびにKOBRA−CCDを用いて透過光の位相差測定を行った。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(単量体B−1)25部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノール及びメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.65dl/gであった。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(特定の環状ポリオレフィン系樹脂)を得た。
また、GPCにより重量平均分子量Mwが1万以下、1万を超えて3万以下ならびに3万を超えた部分の分子量範囲3点を分取して構造単位bの割合を270MHz 1H−NMR で確認したところ、上記10.2%に対して、バラツキは15%以内であった。
当該樹脂(a−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.3%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(a−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.67dl/gであった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)200部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(単量体B−1)50部とを使用した以外は合成例1と同様にして、水素添加重合体(以下、「樹脂(b−1)」という。)を得た。
400MHz 1H−NMRを用いて水素添加率及び単量体B−1に由来する構造単位bの割合を測定したところそれぞれ99.9%及び20.1%であった。ここで、構造単位bの割合は合成例1の場合と同様にして算出した。また、GPCにより重量平均分子量Mwが1万以下、1万を超えて3万以下ならびに3万を超えた部分の分子量範囲3点を分取して構造単位bの割合を270MHz 1H−NMR で確認したところ、上記20.1%に対して、バラツキは15%以内であった。
当該樹脂(b−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.2%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(b−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.68dl/gであった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)250部のみを使用した以外は合成例1と同様にして、水素添加重合体(以下、「樹脂(d−1)」という。)を得た。
400MHz 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。
当該樹脂(d−1)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ170℃であった。また、当該樹脂(d−1)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は38,000、重量平均分子量(Mw)は122,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
当該樹脂(d−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.4%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(d−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.67dl/gであった。
上記樹脂(a−1)をトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(a−2)とした。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.5%であった。また、同様にして残留溶媒量が0.4%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(a−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(a−2)をテンター内で、Tg+5℃である135℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.3倍に延伸した後、110℃の雰囲気下で約2分間この状態を保持しながら冷却し、室温へとさらに冷却して取り出し、波長550nmにおいて135nmの位相差を透過光に与える位相差フィルム(a−4)を得た。また、延伸倍率を1.7倍にした他は上記同様にして波長550nmにおいて270nmの位相差を透過光に与えるフィルム(a−5)を得た。
位相差フィルム(a−4)及び(a−5)の波長400〜800nmにおける透過光の位相差値:Reを波長550nmにおける透過光の位相差値:Re(550)で規格化したグラフを図1に示した。
実施例1と同様にして、上記樹脂(b−1)を用いて残留溶媒量0.4%の厚み100μmの樹脂フィルム(b−2)、ならびに残留溶媒量が0.3%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(b−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(b−2)ならびに(b−3)を前記の方法により引裂き強さを測定したところ、それぞれ0.512(N),0.317(N)と良好な強度(靭性)を示した。
実施例1と同様にして、上記樹脂(d−1)を用いて残留溶媒量0.4%の厚み100μmの樹脂フィルム(d−2)、ならびに残留溶媒量が0.3%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(d−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(d−2)ならびに(d−3)を前記の方法により引裂き強さを測定したところ、それぞれ0.138(N),0.052(N)と低い強度(靭性)を示した。
また、このフィルム(d−3)を用いて実施例1と同様にTg+5℃の175℃で延伸処理を行おうとしたが、延伸時に破断してしまい延伸フィルムを得ることはできなかった。
上記実施例ならびに比較例での引き裂き強さの測定結果を表1にまとめた。
実施例1で得られたフィルム(a−4)と(a−5)とを、その光軸(屈折率が最大となる平面方向)の交差角が62度になるように積層・貼合して光学用フィルム(位相差板)を得た。得られた位相差板について波長400〜800nmにおけるRe(λ)/λ(ここで、Re(λ)は波長:λの透過光の位相差値)を図2にプロットした。なお、図2中、「Re(λ)」は「Re」と略記した。
図2から明らかなように、波長400〜800nmにおけるRe/λの値は、
0.248(波長400〜800nmにおいて50nm毎に測定した値の平均値)±0.02以内であり、バラツキは±20%以内であった。
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)にそれぞれサンドマット処理を行い、ヘイズが55%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−6),(a−7)を得た。
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)のそれぞれの片面に酸化インジウム/酸化スズ(重量比95:5)からなるターゲットを用いて透明導電膜をスパッタリング法により形成させ、透明導電フィルム(a−8),(a−9)を得た。この透明導電フィルムについて、フィルムの透明性及び外観(傷の有無、フィルムのそり具合)を目視で観察した。その結果、上記透明導電フィルムの透明性はともに全光線透過率が85%を超えており良好であり、また、傷やそり、うねりが無く外観も良好であった。
また、透明導電フィルム(a−8),(a−9)について、80℃、90%相対湿度の条件下で500時間耐久試験を行い、その外観変化(耐湿性)を目視観察したが、初期状態からの変化は認められず、耐久性も優れていた。
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)のそれぞれの片面にJSR(株)製オプスターJN7212を乾燥膜厚0.1μmになるようにコートし、反射防止層を形成したフィルム(a−10),(a−11)を得た。本フィルムの反射率はともに1%以下であり、良好な反射防止特性を示した。
厚さ50μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素5g、ヨウ化カリウム250g、ほう酸10g、及び水1000gからなる40℃の浴に浸漬しながら約5分間で4倍まで一軸延伸して得た偏光膜の表面に、n−ブチルアクリレート90重量%、エチルアクリレート7重量%、及びアクリル酸3重量%の単量体から得られたアクリル系樹脂100部とトリレンジイソシアナート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物の75重量%酢酸エチル溶液2部からなる架橋剤を混合して得られた粘着剤を塗布し、次いで実施例1で得られたフィルム(a−2)を偏光膜の両面に積層して偏光フィルム(a−12)を得た。該偏光フィルムを80℃、90%相対湿度の条件下で500時間耐久試験を行い、その外観変化を目視で観察したところ、外観に異常は認められず、また、偏光度も初期値を維持しており(99.9%)耐久性が良好なことが分かった。
実施例1で用いたトルエン(溶媒)に代えて、沸点40℃、SP値19.2(MPa1/2)の塩化メチレン(良溶媒)と沸点65℃、SP値29.7( MPa1/2)のメタノール(貧溶媒)とを、メタノールの(塩化メチレンとの)混合溶媒中に占める割合を10重量%としたものを採用すること以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作成し、ヘイズが40%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−13)を得た。
実施例1で、室温で屈折率が1.515(d線)である樹脂(a−1)の100部に対し、屈折率が1.492(室温:d線)のPMMA粒子(TEMにより測定された平均粒子径:20μm)を10部の割合で加えた以外は同様にして、ヘイズが30%、全光線透過率が92%である光拡散機能を有するフィルム(a−14)を得た。
実施例1で用いたPETフィルムに代えて、マット処理済みの表面凹凸を有するPETフィルムを用いた以外は、同様にして、ヘイズが10%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−15)を得た。
Claims (13)
- 下記一般式(1):
[式中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R1〜R4が下記一般式(a):
−(CH2)q−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位aと、下記一般式(2):
[式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基である。]
で表される構造単位bとからなり、前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜60/40であり、ガラス転移温度(Tg)が80〜130℃であり、かつ、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.5〜3dl/gである共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含み、透過光に位相差を与える光学用フィルム。 - 前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜80/20であることを特徴とする請求項1に記載の光学用フィルム。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が100〜130℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用フィルム。
- 下記一般式(1):
[式中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R1〜R4が下記一般式(a):
−(CH2)q−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位aと、下記一般式(2):
[式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基である。]
で表される構造単位bとからなり、前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜60/40であり、ガラス転移温度(Tg)が80〜130℃であり、かつ、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.5〜3dl/gである共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムの製造方法であって、
前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む有機溶剤溶液をキャストする工程を含むことを特徴とする製造方法。 - 前記の有機溶剤として前記熱可塑性ノルボルネン樹脂の良溶媒と貧溶媒との混合溶剤を使用することを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の製造方法により製造された光学用フィルムであって、残留溶媒量が10重量%以下であることを特徴とする光学用フィルム。
- 透過光に位相差を与えることを特徴とする請求項6に記載の光学用フィルム。
- 請求項1〜3及び7のいずれか1項に記載の光学用フィルムが2枚以上積層されたフィルムであって、下式:
Re(λ)/λ
[ここで、λは当該フィルムの透過光の波長を表わし、Re(λ)は波長λにおける位相差を表す。]
で表される値のバラツキが、波長400〜800nmのすべての範囲において平均値±20%の範囲内にあるように、前記の2枚以上の光学用フィルムが積層されていることを特徴とする光学用フィルム。 - 少なくとも片面に光拡散機能を有することを特徴とする請求項1〜3及び6〜8のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
- 少なくとも片面に透明導電性層を有することを特徴とする請求項1〜3及び6〜9のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
- 少なくとも片面に反射防止層を有することを特徴とする請求項1〜3及び6〜10のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
- 請求項1〜3及び6〜11のいずれか1項に記載の光学用フィルムからなることを特徴とする偏光板保護フィルム。
- 請求項1〜3及び請求項6〜11のいずれか1項に記載の光学用フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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