JP4915409B2 - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を主成分とし、靭性が高く、他材料との密着性や接着性が良好で、高透明であり、フィルム面内での位相差の均一性が高く、また位相差特性が環境の温度や湿度に影響されにくくて経時安定性に優れ、さらに、靱性に優れた光学用フィルムに関する。また、本発明は、位相差、光拡散、透明導電性、反射防止等の機能を有する光学用フィルムに関する。
環状ポリオレフィン系樹脂は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも屈折率の異方性が小さいことによる低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。
かかる環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開昭63−218726号公報、特開平2−133413号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報等に記載されている。
近年、上記の特徴を利用して、例えば光ディスク、光学レンズ、光ファイバーなどの光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状ポリオレフィン系樹脂を応用することが検討されている。また、光学用フィルムに応用し、以下に示したように、従来の光学用フィルムの問題点を改良する試みもなされている。
従来から光学用フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステルあるいはトリアセチルアセテート等のフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力変化により位相差が発現したり変化する、あるいは耐熱性や吸水変形等の問題があるため、環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されている。例えば、特開平4−245202号公報、特開平4−36120号公報、特開平5−2108号公報、及び特開平5−64865号公報には、環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムからなる位相差板が記載されている。また、特開平5−212828号公報、特開平6−51117号公報及び特開平7−77608号公報には、環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムを偏光板の保護フィルムに使用することが記載されている。さらに、特開平5−61026号公報には、環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムからなる液晶表示素子用基板が記載されている。
これらの公報には、環状ポリオレフィン系樹脂の吸水率が容易に0.05%以下のものが得られ、この低吸水性の点が特徴であり、かつ必要である旨が記載されている。しかしながら、このような低吸水性の環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムを、例えば、位相差板や液晶表示素子用基板として用いる場合、ハードコート、反射防止膜や透明導電層の密着性、あるいは、偏光板やガラスとの接着性に問題が生じることがある。また、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、上記の問題に加えて、偏光子との貼合に通常使用される水系接着剤の水が乾燥し難いという問題も生じる。
一方、環状ポリオレフィン系樹脂は広い範囲の構成からなり、すべてが吸水率0.05%以下になるとは限らない。吸水率を0.05%以下にするためには、環状ポリオレフィン系樹脂は炭素原子と水素原子のみからなるポリオレフィン構造かハロゲンを一部含む構造であることが必要である。
そこで、上記低吸水性に由来する問題を解決するために、環状ポリオレフィン系樹脂の分子内に極性基を導入した熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムが特開平7−287122号公報や特開平7−287123号公報などに記載されている。これらの光学用フィルムは高透明性、透過光の低位相差、さらに延伸配向させたときの均一で安定した位相差等の光学特性において優れ、耐熱性、他材料との密着性や接着性等が良好で、しかも吸水変形が小さいという利点を有しているものの、靭性が低いために加工時や使用時における取り扱い性に問題があった。
本発明の課題は、従来の環状ポリオレフィン系樹脂あるいは熱可塑性ノルボルネン系樹脂を主成分とする光学用フィルムの有する各種光学特性、耐熱性あるいは他素材との密着性・接着性等の利点を損なうことなく、靭性が高くて加工時や使用時における取り扱い性が良好な光学用フィルムを提供することにある。
本発明は、第一に、
下記一般式(1):
Figure 0004915409

[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R〜Rが下記一般式(a):
−(CH−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位aと、下記一般式(2):
Figure 0004915409

[式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表わす。{ただし、前記R〜Rが下記一般式(a):
−(CH−O−C(O)−R’ (a)
(式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
で表わされる場合を除く。}]
で表される構造単位bとを含む共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、本発明の樹脂を含む有機溶剤溶液をキャストする工程を含むことを特徴とする上記光学用フィルムの製造方法を提供する。
本発明は、更に、上記製造方法により製造された光学用フィルムであって、残留溶媒量が10重量%以下であることを特徴とする光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、透過光に位相差を与えることを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に光拡散機能を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に透明導電性層を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、少なくとも片面に反射防止層を有することを特徴とする上記光学用フィルムを提供する。
本発明は、更に、上記光学用フィルムからなることを特徴とする偏光板保護フィルムを提供する。
本発明は、更に、上記光学用フィルムを有することを特徴とする偏光板を提供する。
本発明の光学用フィルムは、従来の熱可塑性ノルボルネン系樹脂系フィルムの特長である高透明性、低位相差、そして延伸配向した場合の均一で安定した位相差等光学特性、並びに耐熱性、他材料との密着性や接着性等が良好で吸水変形が小さい上に、従来の熱可塑性ノルボルネン系樹脂系フィルムでは得られなかった高い靱性を有し、製造に際して透過光の位相差及びその波長依存性を制御することができる。したがって、この光学用フィルムは位相差フィルムとして、また光拡散機能、透明導電性、反射防止機能等の機能を有する光学用フィルムとして有用である。
−−第1の発明−−
[光学用フィルム]
<熱可塑性ノルボルネン系樹脂>
本発明の光学用フィルムに用いられる共重合体、即ち、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(以下、「本発明の樹脂」ということがある。)は、上記一般式(1)で表される構造単位aと上記一般式(2)で表される構造単位bを必須の構造単位として含むが、さらに必要に応じて他の構造単位を含むことは任意である。
該共重合体は、下記一般式(3)で表される1種以上の単量体Aと下記一般式(4)で表される1種以上の単量体Bとを含む単量体混合物を共重合して得られる。
Figure 0004915409

[式中、m、p、R1、R、R、及びRは一般式(1)に関して定義のとおりである。]
Figure 0004915409

[式中、R、R、R、及びRは一般式(2)に関して定義のとおりである。]
一般式(1)〜(4)において、R〜Rは、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。前記の原子及び基について以下に説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、上記の置換又は非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基))等が挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
極性基としては、例えば水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル含有基、及びカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等があげられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等があげられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等があげられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等があげられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等があげられ;アミノ基としては第1級アミノ基があげられ、アルコキシシリル基としては例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
本発明で熱可塑性ノルボルネン系樹脂のより具体的な例としては、下記[1]〜[3]に示す共重合体を挙げることができる。
[1] 単量体Aと単量体Bとの開環共重合体。
[2] 単量体Aと単量体B及びその他の共重合性単量体との開環共重合体。
[3] [1]及び[2]の開環共重合体の水素添加物。
単量体A及び単量体Bについてより具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
<単量体A>
構造単位aは単量体Aに由来する。以下に単量体Aの具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体Aは、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらのうち、分子内に少なくとも1つの極性基を有する単量体Aを使用することが好ましい。すなわち、上記一般式(3)中、R1及びR3が水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2及びR4が水素原子又は一価の有機基であって、R2及びR4の少なくとも一つが水素原子及び炭化水素基以外の極性基であるものが、他素材との密着性・接着性を高めるので好ましい。
共重合体中の極性基の含有量は、所望の機能等により決定されるものであり特に限定はされないが、全構造単位a中に極性基を有する構造単位aが通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上含まれる。全構造単位aが極性基を有するものであってもよい。
さらに、R2及びR4の少なくとも一つが一般式(5):
−(CH2nCOOR9 (5)
〔ここで、nは通常0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0である。R9は一価の有機基である。〕
で表される極性基である単量体Aは、得られる共重合体のガラス転移温度と吸水性を制御しやすい点で好ましい。一般式(5)においてR9で表される一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。
また、一般式(5)において、nは上述のように通常0〜5の整数であるが、nの値が小さいものほど得られる共重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にnが0である単量体Aは、その合成が容易である点で好ましい。
さらに、上記一般式(3)において、一般式(5)で表される極性基が結合した炭素原子に更にアルキル基が結合していることが、得られる共重合体の耐熱性と吸水性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、一般式(3)においてmが1でありpが0である単量体Aは、ガラス転移温度の高い共重合体が得られる点で好ましい。
上記単量体Aの具体例の中から挙げるならば、特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンが、得られる共重合体のガラス転移温度を高め、吸水による変形等の悪影響を殆ど受けずかつ他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できるので好ましい。
<単量体B>
構造単位bは単量体Bに由来する。以下に単量体Bの具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体Bは、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α,βの両タイプとも可)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン
などを挙げることができる。
これらのうち、一般式(4)のR〜Rが全て水素原子、若しくは何れか1つが炭素原子数1〜30の炭化水素基であり他が水素原子である単量体Bは、得られる光学用フィルムの靭性を向上させる効果が大きい点で好ましく、特に、R〜Rが全て水素原子、若しくは何れか1つがメチル基、エチル基又はフェニル基であり他が全て水素原子である単量体は、耐熱性の観点からも好ましい。さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンは、その合成が容易である点で好ましい。
<他の共重合性単量体>
単量体A及び単量体Bと共重合させることができる他の共重合性単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。
さらにポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に単量体A及び単量体Bを重合させてもよい。そして、この場合に得られる共重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
<重合条件>
単量体A、単量体B及び場合によって用いられるその他の共重合性単量体の開環共重合反応のその他の条件を説明する。
・開環共重合触媒:
該開環共重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、Mo及びReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49 Li、(C253 Al 、(C252 AlCl、(C251.5 AlCl1.5 、(C25 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と単量体A及び単量体B(以下、双方を併せて「特定単量体」という。)とのモル比で(a)成分:特定単量体が、通常1:500〜1:50000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる範囲である。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
・分子量調節剤:
共重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類及びスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、共重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
・開環共重合反応用溶媒:
開環共重合反応において用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素類が好ましい。
溶媒の使用量としては、溶媒:特定単量体(重量比)が、通常1:1〜10:1となる量、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
・共重合体の水素添加:
以上のようにして得られる共重合体は、そのまま本発明の樹脂として使用することもできるが、残留するオレフィン性不飽和結合を水素添加して使用することが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち、共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒及び均一系触媒が公知である。なお、芳香環を有する置換基を分子内に有する共重合体を水素添加する場合には、芳香環の不飽和結合が実質的に水素添加されない条件を選択することが好ましい。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、共重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10−6〜1:2となる割合で使用される。
水素添加することにより得られる水素添加共重合体は優れた熱安定性を有するものとなり、フィルム製膜時、及び延伸加工時や製品としての使用時の加熱によってその特性が劣化しにくくなる。オレフィン性不飽和結合の水素添加率は、50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上である。
<熱可塑性ノルボルネン系樹脂の特性>
本発明において、構造単位aと構造単位bとの比(a/b)は、通常、重量比ではa/b=95/5〜5/95、好ましくは95/5〜60/40である。aの割合が上記範囲より大きいと靱性改良の効果が期待できない場合があり、逆に、aの割合が上記範囲より小さいとガラス転移温度が低くなり、耐熱性に問題が生じる場合がある。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.2〜5dl/gであることが好ましい。さらに好ましくは0.3〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gである。5dl/gをこえると、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化し好ましくなく、0.2dl/g未満であるとフィルム強度が低下する。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常は8000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜100,000、特に好ましくは30,000〜100,000、また、重量平均分子量(Mw)が、通常は20,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜100,0000、さらに好ましくは40,000〜500,000、特に好ましくは40,000〜300,000の範囲である。
また、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量分布は、上記のMw/Mnが通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。
さらに、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂中の、単量体Aに由来する構造の比率と単量体Bに由来する構造の比率(組成比)は、分子量分布全範囲においてバラツキが小さいことが好ましい。具体的には、共重合に供した全単量体中の単量体Aの比率及び単量体Bの比率に対して、任意の分子量の樹脂中の組成比を、±50%以内、好ましくは±30%以内、さらに好ましくは±20%以内のバラツキ範囲に収めることで、より一層均一な光学用フィルムを得ることができる。また、こうした範囲に収めることで、延伸配向した際に、位相差のより一層の均一性を得ることが可能となる。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の23℃における飽和吸水率は、通常は0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。飽和吸水率がこの範囲内であると、各種光学特性、例えば透明性、位相差や位相差の均一性あるいは寸防精度が、高温多湿のような条件下でも維持され、他材料との密着性や接着性に優れるため使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤等の添加物との相溶性も良好であるため、添加の自由度が大きくなる。飽和吸水率が0.05重量%未満であると、他材料との密着性や接着性が乏しくなり使用中に剥離を生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加物の配合に制限が生じる。一方、1重量%を超えると、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなる。なお、上記の飽和吸水率はASTMD570に準拠し、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂のSP値(溶解度パラメーター)は、好ましくは10〜30(MPa1/2)、さらに好ましくは12〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)である。SP値を前記範囲のものにすることで、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を汎用の溶剤に良好に溶解できるととも、安定したフィルムの製造ができ、また、得られるフィルムの特性も均一となり、さらに接着性・基板との密着性を良好なものとすることができ、さらに吸水率を適度にコントロールすることが可能となる。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ノルボルネン系熱可塑性樹脂の構造単位a及び/又は構造単位bの種類若しくは構造単位aと構造単位bとの比の調整、あるいは添加剤の添加等により適宜変えることが可能であるが、通常は80〜350℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは120〜200℃である。Tgが80℃以下の場合は、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる光学フィルムの温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じる。また、Tgが350℃以上であると、延伸加工等にTg近辺まで加熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
<添加物>
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂には、透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良い。
また、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂には、酸化防止剤等の添加剤などを添加しても良く、かかる酸化防止剤等の添加剤としては、例えば次の化合物が挙げられる。
・酸化防止剤:
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
・紫外線吸収剤:
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
これらの酸化防止剤等の添加量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<製膜方法>
本発明の光学用フィルムは、本発明の樹脂を溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルム若しくはシートとすることができる。このうち、膜厚の均一性及び表面平滑性が良好になる点から溶剤キャスト法が好ましい。
溶剤キャスト法としては例えば、本発明の樹脂を溶媒に溶解又は分散させて適度の濃度の液体にし、適当なキャリヤー上に注ぐか又は塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解又は分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等の問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学用フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜50,000(mPa・s)、特に好ましくは1000〜40,000(mPa・s)である。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好な光学用フィルムを得ることができる。
上記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。溶媒を2種以上併用する場合には、混合物としてのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合物としてのSP値の値は、その重量比から求めることができ、例えば二種の混合物の場合は、各溶媒の重量分率をW1,W2、また、SP値をSP1,SP2とすると混合溶媒のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
上記の混合溶媒を使用する際、本発明の樹脂の良溶媒と貧溶媒を組み合わせると、光拡散機能を有する光学用フィルムを得ることができる。具体的には、樹脂、良溶媒及び貧溶媒のSP値をそれぞれ[SP値:樹脂]、[SP値:良溶媒]及び[SP値:貧溶媒]として、[SP値:樹脂]と[SP値:良溶媒]の差が好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは3以下の範囲であり、かつ、[SP値:樹脂]と[SP値:貧溶媒]の差が好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上、特に好ましくは9以上であり、[SP:良溶媒]と[SP:貧溶媒]の差が好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上とすることにより、得られる光学用フィルムに光拡散機能を付与することができる。
なお、貧溶媒の混合溶媒中にしめる割合は、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。また、貧溶媒の沸点と良溶媒の沸点の差は好ましくは1℃以上、さらに好ましくは5℃以上、特に好ましくは10℃以上、最も好ましくは20℃以上であり、特に貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点より高いことが好ましい。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒で溶解する場合の温度は、室温でも高温でもよい。十分に撹拌することにより均一な溶液が得られる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に染料、顔料等の着色剤を適宜添加することもできる。
また、光学用フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であれば何れも使用できるが、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
本発明の光学用フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピングなどの手段を用いて,樹脂溶液を基材に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、塗布の繰り返しにより厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
また、上記溶液を塗布する基材、例えば金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム等の表面にサンドマット処理やエンボス処理を施したものを使用すると、フィルムの表面に上記処理による凹凸が転写して、本発明の光拡散機能を有する光学用フィルムを製造することができる。
上記のようにして光拡散機能を付与する場合は、低波長から高波長までの光の透過率を安定して維持する特性から、一定の大きさで凹凸を形成することが好ましい。この時の凹凸の形状については、凹凸を形成する手法に左右されるために特に制約は無いが、通常は表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)が0.001〜100μm、好ましくは0.005〜10μm、さらに好ましくは0.01〜1μm、特に好ましくは0.05〜1μmである。Raの値が0.001μm未満あるいは100μmを超えると、良好な光拡散機能が期待できにくい。なお、フレネルレンズのようなレンズ機能を付与する場合は、Raの値が100μmを超えることがあってもよい。
さらに、本発明の樹脂の溶液に該樹脂と非相溶の樹脂やフィラーを添加し均一化したものをキャストする方法でも、本発明の光拡散機能を有する光学用フィルムを製造することができる。
具体的には、上記非相溶の樹脂を添加する場合には、本発明の樹脂との屈折率差が通常は0.00001以上、好ましくは0.0001以上、さらに好ましくは0.001以上、特に好ましくは0.01以上の樹脂を選択して使用し、また、溶液に混合した後にキャストして乾燥した後に得られるフィルム中の前記相溶性を有しない樹脂の数平均の粒子径範囲が通常は0.01〜1000μm、好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.5〜50μmの範囲にすることで、低波長から高波長における光拡散効果を発揮することができる。上記屈折率差が0.00001未満であったり、また、上記粒子径が0.01μm未満であると良好な光拡散機能を付与するのが困難であり、一方、上記粒子径が1000μmを超えた場合には光線透過率が著しく低下したり、フィルムの厚み精度や表面性に悪影響を及ぼすことがあるために好ましくない。
また、上記非相溶の樹脂の添加量は、要求される光拡散の性能により変化するが、本発明の樹脂100重量部に対し、通常は0.001〜100重量部、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜50重量部、特に好ましくは1〜25重量部である。添加量が0.001重量部未満であると、良好な光拡散機能が期待できにくい。また、添加量が100重量部以上になると光線透過率が著しく低下するために好ましくない。
一方、フィラーとしては市販の無機フィラーや熱硬化性樹脂の硬化物を微細化した有機フィラー等を任意に使用することもできる。また、その粒子径及び添加量は、上記非相溶の樹脂を添加する場合と同様である。
上記本発明の樹脂と非相溶の樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニルベンゼン、ポリアミドあるいはポリイミドなどを挙げることができる。また、上記フィラーとしては、例えば、金、銀等の金属、SiO、TiO、ZnO、Al等の金属酸化物、ガラス、石英などの粒子を挙げることができる。
上記溶剤キャスト法の乾燥(溶剤除去)工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、光学用フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%以上であると、実際に該光学用フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明の光学用フィルムの厚さは、通常は0.1〜3,000μm、好ましくは0.1〜1,000μm、さらに好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜300μmである。0.1μm未満の厚みの場合実質的にハンドリングが困難となる。一方、3,000μm以上の場合、ロール状に巻き取ることが困難になる。
本発明の光学用フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を実施することにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐことができる。
−−第2の発明等−−
<透過光に位相差を与える光学用フィルム>
本発明は透過光に位相差を与える光学用フィルム(以下、「位相差フィルム」という。)を提供する。当該位相差フィルムでは、材料の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の高分子鎖が一定の方向に配向しているため、透過光に位相差を与えることができる。当該位相差フィルムは、本第1の発明の光学用フィルムに延伸等の加工を施すことにより高分子鎖を規則的に配向させることで得ることができる。ここで、規則的な配向とは、通常の高分子(ポリマー)を後述する溶融押し出し法やキャスト法等によりフィルム状に成形した場合には、工程中で発生するフィルムの歪みの大小にもよるが分子鎖は特定方向を向かずランダムな状態であるのに対し、本位相差フィルムは全体として分子鎖がフィルム平面の一軸方向、又は二軸方向、さらに厚み方向に規則的に配向していることを意味する。配向の規則性の程度はさまざまである。
本発明の位相差フィルムを製造するための延伸加工方法として、具体的には、公知の一軸延伸法又は二軸延伸法を挙げることができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、延伸後のフィルムの屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、本発明の樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、通常はTg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5℃〜Tg+15℃の範囲である。前記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍以上であると、位相差の制御が困難になる場合がある。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、さらに好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
延伸加工を施さない場合の本発明の光学用フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
また、本発明の位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明の樹脂の原料である単量体A,Bの選択に加え、キャスト方法や延伸方法によりコントロールすることが可能である。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向し透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。
上記のように延伸して得た位相差フィルムが透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであり特に限定はされないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはレーザー光学系の波長板に使用する場合は、通常は1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、さらに好ましくは15〜1,000nmである。
また、位相差フィルムを透過した光の位相差は、その均一性が高いことが好ましく、波長550nmにおけるバラツキは通常は±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下である。位相差のバラツキが±20%の範囲を超えると、液晶表示素子等に用いた場合、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が悪化する。
本発明の位相差フィルムは単独で、あるいは2枚以上積層し、又は透明基板等に貼り合わせて位相差板として用いることができる。また、上記位相差板を他のフィルム、シート、基板に積層して使用することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。これらの粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましく、具体例としては天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の粘着剤や、水酸基、アミノ基等の官能基を有する前記樹脂等にイソシアナト基含有化合物などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系のドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、上記の位相差フィルム及び位相差板は、他のフィルムシート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層又は、接着剤層を積層することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤としては前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
<透明導電層を有する光学用フィルム>
本発明の光学用フィルムには、その少なくとも片面に透明導電層を積層することができる。透明導電層を形成するための材料としては、Sn、In、Ti、Pb、Au、Pt、Ag等の金属、又はそれらの酸化物が一般的に使用され、基板上に金属単体被膜を形成するか、また、必要に応じてその後酸化してもよい。当初から酸化物層として付着形成させる方法もあるが、最初は金属単体又は低級酸化物の形態で被膜を形成し、しかるのち、加熱酸化、陽極酸化あるいは液相酸化等の酸化処理を施して透明化することもできる。これらの透明導電層は、他の透明導電層を有するシート、フィルムなどを接着して形成してもよく、プラズマ重合法、スパッタリング法、真空蒸着法、メッキ、イオンプレーティング法、スプレー法、電解析出法などによって本発明の光学用フィルム上に直接形成してもよい。これらの透明導電膜の厚さは、所望の特性により決定され特に限定はされないが、通常は10〜10,000オングストローム、好ましくは50〜5,000オングストロームである。
本発明の光学用フィルムに直接透明導電層を形成する場合、当該フィルムと透明導電層との間に必要に応じて接着層及びアンカーコート層を形成してもよい。この接着層としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリブタジエン、フェノール樹脂、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱樹脂を例示することができる。また、アンカーコート層としては、エポキシジアクリレート、ウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレート等のいわゆるアクリルプレポリマーなどを成分として含むものを用いて、公知の硬化手法、例えばUV硬化や加熱硬化により硬化させたものが挙げられる。
本発明の透明導電層を有する光学用フィルムは、偏光フィルムと組み合わせて、積層体とすることができる。本発明の透明導電層を有する光学用フィルムと偏光フィルムの組み合わせ方法は特に限定されず、偏光膜の両面に保護フィルムが積層されてなる偏光フィルムの少なくとも片面に、本発明の透明導電層を有する光学用フィルムを、その透明導電性層形成面と反対側面上に適当な接着剤あるいは粘着剤を介して積層してもよいし、偏光膜の保護フィルムの代わりに、本発明の透明導電層を有する光学用フィルムを使用し、その透明導電性層形成面と反対側面上に適当な接着剤あるいは粘着剤を介して偏光膜に積層してもよい。もちろん、透明導電層を有さない本発明の光学用フィルムを偏光フイルムの保護フィルムとして用いることも可能である。この場合、本発明の位相差フィルムを保護フィルムとして用いると、保護フィルムが位相差板としての機能を有するため、偏光フィルムにあらためて位相差板を貼合する必要が無くなる利点がある。
また、本発明の透明導電層を有する光学用フィルムには、必要に応じて酸素や水蒸気の透過を小さくする目的のために、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルアルコール等のガスバリア性材料を、少なくともフィルムの一方の面に積層することもできる。さらにフィルムの耐傷性及び耐熱性を向上させる目的で、ガスバリア層の上にハードコート層が積層されていてもよい。ハードコート剤としては、有機シリコン系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機ハードコート材料、又は二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料を用いることができる。このうち、有機シリコン系樹脂、アクリル樹脂などのハードコート材料が好ましい。有機シリコン系樹脂の中には、各種官能基を持ったものが使用されるが、エポキシ基を持ったものが好ましい。
<反射防止層を有する光学用フィルム>
本発明の光学用フィルムには、少なくともその片面に反射防止層を積層することができる。反射防止層の形成方法としては、例えば、一般的に使用される、例えばシリコン、チタン、タンタル、ジルコニウム等の金属酸化物などよりなる無機系や、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンの(共)重合体や含フッ素(メタ)アクリレート(共)重合体等の含フッ素化合物などよりなる有機系の反射防止膜を0.01〜10μm程度の厚みで、スパッタリング、蒸着、コーティング、ディッピングなどの方法により形成することができる。反射防止層の厚みは、通常は0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。0.01μm未満であると反射防止効果が発揮できず、50μmを超えると塗膜の厚みにムラが生じやすくなり外観などが悪化し好ましくない。
また、本発明の反射防止層を有する光学用フィルムには、公知のハードコート層や防汚層が積層されていてもよい。また、上記の透明導電層が積層されていてもよい。さらに、透過光に位相差を与える機能を有していてもよく、光拡散機能を有していてもよい。
上記のように複数の機能を有することにより、本発明の反射防止層を有する光学用フィルムは、例えば液晶表示素子に用いた場合、反射防止フィルムが位相差板、光拡散フィルム、偏光板保護フィルムあるいは電極基板(透明導電層)の幾つかの機能を兼用することとなり、従来よりもその部品点数を低減することが可能となる。
<用途>
本発明の光学用フィルムは、例えば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を意味する。
下記記載の各種測定値の測定方法を以下に示す。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
[飽和吸水率]
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
[全光線透過率、ヘイズ]
スガ試験機社製ヘイズメーター:HGM−2DP型を使用して測定した。
[透過光の位相差]
王子計測機器社製KOBRA−21ADH、ならびにKOBRA−CCDを用いて透過光の位相差測定を行った。
<合成例1>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(単量体B−1)25部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノール及びメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh)は0.65dl/gであった。
このようにして得られた開環共重合体溶液4000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(特定の環状ポリオレフィン系樹脂)を得た。
このようにして得られた水素添加重合体(以下、「樹脂(a−1)」という。)について400MHz 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ、99.9%であった。また、400MHz 1H−NMRを用いて単量体B−1が共重合してなる構造単位bの割合を測定したところ、10.2%であった。ここで、構造単位bの割合は、約3.7ppm付近に出現する構造単位aのメチルエステルのメチルのプロトンの吸収と0.15〜3ppmに出現する構造単位a及びbの脂環構造のプロトンの吸収から算出した。
また、GPCにより重量平均分子量Mwが1万以下、1万を超えて3万以下ならびに3万を超えた部分の分子量範囲3点を分取して構造単位bの割合を270MHz 1H−NMR で確認したところ、上記10.2%に対して、バラツキは15%以内であった。
当該樹脂(a−1)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ130℃であった。また、当該樹脂(a−1)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は116,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.97であった。
当該樹脂(a−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.3%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(a−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.67dl/gであった。
<合成例2>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)200部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(単量体B−1)50部とを使用した以外は合成例1と同様にして、水素添加重合体(以下、「樹脂(b−1)」という。)を得た。
400MHz 1H−NMRを用いて水素添加率及び単量体B−1に由来する構造単位bの割合を測定したところそれぞれ99.9%及び20.1%であった。ここで、構造単位bの割合は合成例1の場合と同様にして算出した。また、GPCにより重量平均分子量Mwが1万以下、1万を超えて3万以下ならびに3万を超えた部分の分子量範囲3点を分取して構造単位bの割合を270MHz 1H−NMR で確認したところ、上記20.1%に対して、バラツキは15%以内であった。
当該樹脂(b−1)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ110℃であった。また、当該樹脂(b−1)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は40,000、重量平均分子量(Mw)は122,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.05であった。
当該樹脂(b−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.2%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(b−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.68dl/gであった。
<比較合成例>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン(単量体A−1)250部のみを使用した以外は合成例1と同様にして、水素添加重合体(以下、「樹脂(d−1)」という。)を得た。
400MHz 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。
当該樹脂(d−1)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ170℃であった。また、当該樹脂(d−1)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は38,000、重量平均分子量(Mw)は122,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
当該樹脂(d−1)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.4%であり、SP値を測定したところ、19(MPa1/2)であった。
当該樹脂(d−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.67dl/gであった。
[実施例1]
上記樹脂(a−1)をトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(a−2)とした。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.5%であった。また、同様にして残留溶媒量が0.4%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(a−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(a−2)ならびに(a−3)をJIS K7128 B法に規定の方法により引裂き強さを測定したところ、それぞれ0.368(N),0.215(N)と良好な強度(靭性)を示した。
このフィルム(a−2)をテンター内で、Tg+5℃である135℃に加熱し、延伸速度400%/分で1.3倍に延伸した後、110℃の雰囲気下で約2分間この状態を保持しながら冷却し、室温へとさらに冷却して取り出し、波長550nmにおいて135nmの位相差を透過光に与える位相差フィルム(a−4)を得た。また、延伸倍率を1.7倍にした他は上記同様にして波長550nmにおいて270nmの位相差を透過光に与えるフィルム(a−5)を得た。
位相差フィルム(a−4)及び(a−5)の波長400〜800nmにおける透過光の位相差値:Reを波長550nmにおける透過光の位相差値:Re(550)で規格化したグラフを図1に示した。
[実施例2]
実施例1と同様にして、上記樹脂(b−1)を用いて残留溶媒量0.4%の厚み100μmの樹脂フィルム(b−2)、ならびに残留溶媒量が0.3%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(b−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(b−2)ならびに(b−3)を前記の方法により引裂き強さを測定したところ、それぞれ0.512(N),0.317(N)と良好な強度(靭性)を示した。
[比較例]
実施例1と同様にして、上記樹脂(d−1)を用いて残留溶媒量0.4%の厚み100μmの樹脂フィルム(d−2)、ならびに残留溶媒量が0.3%でフィルム厚みが50μmの樹脂フィルム(d−3)を得た。これらのフィルムの全光線透過率は93%以上であった。
このフィルム(d−2)ならびに(d−3)を前記の方法により引裂き強さを測定したところ、それぞれ0.138(N),0.052(N)と低い強度(靭性)を示した。
また、このフィルム(d−3)を用いて実施例1と同様にTg+5℃の175℃で延伸処理を行おうとしたが、延伸時に破断してしまい延伸フィルムを得ることはできなかった。
上記実施例ならびに比較例での引き裂き強さの測定結果を表1にまとめた。
Figure 0004915409
[実施例4]
実施例1で得られたフィルム(a−4)と(a−5)とを、その光軸(屈折率が最大となる平面方向)の交差角が62度になるように積層・貼合して光学用フィルム(位相差板)を得た。得られた位相差板について波長400〜800nmにおけるRe(λ)/λ(ここで、Re(λ)は波長:λの透過光の位相差値)を図2にプロットした。なお、図2中、「Re(λ)」は「Re」と略記した。
図2から明らかなように、波長400〜800nmにおけるRe/λの値は、
0.248(波長400〜800nmにおいて50nm毎に測定した値の平均値)±0.02以内であり、バラツキは±20%以内であった。
[実施例5]
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)にそれぞれサンドマット処理を行い、ヘイズが55%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−6),(a−7)を得た。
[実施例6]
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)のそれぞれの片面に酸化インジウム/酸化スズ(重量比95:5)からなるターゲットを用いて透明導電膜をスパッタリング法により形成させ、透明導電フィルム(a−8),(a−9)を得た。この透明導電フィルムについて、フィルムの透明性及び外観(傷の有無、フィルムのそり具合)を目視で観察した。その結果、上記透明導電フィルムの透明性はともに全光線透過率が85%を超えており良好であり、また、傷やそり、うねりが無く外観も良好であった。
また、透明導電フィルム(a−8),(a−9)について、80℃、90%相対湿度の条件下で500時間耐久試験を行い、その外観変化(耐湿性)を目視観察したが、初期状態からの変化は認められず、耐久性も優れていた。
[実施例7]
実施例1で得られたフィルム(a−2)及び(a−4)のそれぞれの片面にJSR(株)製オプスターJN7212を乾燥膜厚0.1μmになるようにコートし、反射防止層を形成したフィルム(a−10),(a−11)を得た。本フィルムの反射率はともに1%以下であり、良好な反射防止特性を示した。
[実施例8]
厚さ50μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素5g、ヨウ化カリウム250g、ほう酸10g、及び水1000gからなる40℃の浴に浸漬しながら約5分間で4倍まで一軸延伸して得た偏光膜の表面に、n−ブチルアクリレート90重量%、エチルアクリレート7重量%、及びアクリル酸3重量%の単量体から得られたアクリル系樹脂100部とトリレンジイソシアナート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物の75重量%酢酸エチル溶液2部からなる架橋剤を混合して得られた粘着剤を塗布し、次いで実施例1で得られたフィルム(a−2)を偏光膜の両面に積層して偏光フィルム(a−12)を得た。該偏光フィルムを80℃、90%相対湿度の条件下で500時間耐久試験を行い、その外観変化を目視で観察したところ、外観に異常は認められず、また、偏光度も初期値を維持しており(99.9%)耐久性が良好なことが分かった。
[実施例9]
実施例1で用いたトルエン(溶媒)に代えて、沸点40℃、SP値19.2(MPa1/2)の塩化メチレン(良溶媒)と沸点65℃、SP値29.7( MPa1/2)のメタノール(貧溶媒)とを、メタノールの(塩化メチレンとの)混合溶媒中に占める割合を10重量%としたものを採用すること以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作成し、ヘイズが40%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−13)を得た。
[実施例10]
実施例1で、室温で屈折率が1.515(d線)である樹脂(a−1)の100部に対し、屈折率が1.492(室温:d線)のPMMA粒子(TEMにより測定された平均粒子径:20μm)を10部の割合で加えた以外は同様にして、ヘイズが30%、全光線透過率が92%である光拡散機能を有するフィルム(a−14)を得た。
[実施例11]
実施例1で用いたPETフィルムに代えて、マット処理済みの表面凹凸を有するPETフィルムを用いた以外は、同様にして、ヘイズが10%、全光線透過率が93%である光拡散機能を有するフィルム(a−15)を得た。
実施例1で得られた位相差フィルム(a−4)と(a−5)のRe/Re(550)の波長との関係を測定した結果を示す図である。 実施例1で得られた位相差フィルム(a−4)と(a−5)を貼り合わせてRe/λと波長λとの関係を測定した図である。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0004915409

    [式中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R〜Rが下記一般式(a):
    −(CH−O−C(O)−R’ (a)
    (式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
    で表わされる場合を除く。}]
    で表される構造単位aと、下記一般式(2):
    Figure 0004915409

    [式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基である。]
    で表される構造単位bとからなり、前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜60/40であり、ガラス転移温度(Tg)が80〜130℃であり、かつ、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.5〜3dl/gである共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含み、透過光に位相差を与える光学用フィルム。
  2. 前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜80/20であることを特徴とする請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 前記ガラス転移温度(Tg)が100〜130℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用フィルム。
  4. 下記一般式(1):
    Figure 0004915409

    [式中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。{ただし、前記R〜Rが下記一般式(a):
    −(CH−O−C(O)−R’ (a)
    (式中、qは0又は1以上の整数であり、R’は有機基を表す。)
    で表わされる場合を除く。}]
    で表される構造単位aと、下記一般式(2):
    Figure 0004915409

    [式中、Yは式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基である。]
    で表される構造単位bとからなり、前記構造単位aと構造単位bとの重量比(a/b)が90/10〜60/40であり、ガラス転移温度(Tg)が80〜130℃であり、かつ、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.5〜3dl/gである共重合体からなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む光学用フィルムの製造方法であって、
    前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む有機溶剤溶液をキャストする工程を含むことを特徴とする製造方法。
  5. 前記の有機溶剤として前記熱可塑性ノルボルネン樹脂の良溶媒と貧溶媒との混合溶剤を使用することを特徴とする請求項記載の製造方法。
  6. 請求項又はに記載の製造方法により製造された光学用フィルムであって、残留溶媒量が10重量%以下であることを特徴とする光学用フィルム。
  7. 透過光に位相差を与えることを特徴とする請求項に記載の光学用フィルム。
  8. 請求項1〜及びのいずれか1項に記載の光学用フィルムが2枚以上積層されたフィルムであって、下式:
    Re(λ)/λ
    [ここで、λは当該フィルムの透過光の波長を表わし、Re(λ)は波長λにおける位相差を表す。]
    で表される値のバラツキが、波長400〜800nmのすべての範囲において平均値±20%の範囲内にあるように、前記の2枚以上の光学用フィルムが積層されていることを特徴とする光学用フィルム。
  9. 少なくとも片面に光拡散機能を有することを特徴とする請求項1〜及びのいずれか1項に記載の光学用フィルム。
  10. 少なくとも片面に透明導電性層を有することを特徴とする請求項1〜及びのいずれか1項に記載の光学用フィルム。
  11. 少なくとも片面に反射防止層を有することを特徴とする請求項1〜及び10のいずれか1項に記載の光学用フィルム。
  12. 請求項1〜及び11のいずれか1項に記載の光学用フィルムからなることを特徴とする偏光板保護フィルム。
  13. 請求項1〜及び請求項11のいずれか1項に記載の光学用フィルムを有することを特徴とする偏光板。
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