JP2007223242A - 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ハンドリング時やヒートショック試験等での耐割れ性が高く、面内の位相差のバラツキが少ないノルボルネン系樹脂製の位相差フィルムを製造する方法を提供すること、ならびに該製造方法により得られた位相差フィルムを提供することを課題としている。また、本発明は、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 特定の延伸方法で延伸したノルボルネン系樹脂製フィルムを位相差フィルムとして用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 特定の延伸方法で延伸したノルボルネン系樹脂製フィルムを位相差フィルムとして用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ノルボルネン系樹脂からなり横方向に光軸を有する位相差フィルムの製造方法、これにより得られる位相差フィルム、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイは、液晶、液晶配向膜、透明電極、偏光フィルム、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど多くのそれぞれの異なった機能を有するフィルムやシートから構成されている。このフィルム、シート種が多いため、組立工程が複雑であり、低コスト化に制約が生じており、また積層枚数が増えるにしたがい、光透過性が低下し画像が暗くなり、また各工程での歩留まり低下の問題が発生するなどの理由から、使用枚数を減らしたい要望が強かった。
従来、液晶ディスプレイ用の偏光板としては、ポリビニルアルコール(PVA)系のフィルムにヨウ素や染料を付着させた偏光子の両側に、偏光子の耐久性や機械特性を保つためにトリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルムが積層され、片側の保護フィルムに接着剤層を介して位相差フィルムが接着されたものが知られている。保護フィルムには、低複屈折性、耐熱性、低吸湿性、高機械強度、表面平滑性、粘着剤や接着剤との密着性などの性能が要求されており、このうち、低複屈折性と表面平滑性に優れているキャスティング法で製造されたTACフィルムが使用されているが、車内など高温高湿の厳しい環境下での使用が増えるにつれて、より高い防湿性、ガスバリヤー性、耐熱性、寸法安定性、密着性などの性状が求められてきていた。
また位相差フィルムは、鮮明な色彩と精細な画像を得るために、位相差が全面に均一であり、高温や高湿度なる厳しい環境下においても光学特性が変化しないことが求められるものであり、通常ポリカーボネート(PC)からなるフィルムを延伸、配向させてなるフィルムが用いられているが、光弾性係数が約9×10-12 cm2 /dyneと大きいため、複屈折が大きくなりすぎること、不均一となること、組立時や環境変化に基づいて生じた僅かな応力で位相差が変化することなどの問題があった。またPCフィルムは、表面硬度が小さいために、フィルム製造時やデバイス組立時に傷がつきやすいという問題もあった。
このように、液晶ディスプレイに使用される偏光板は、用いられる素材そのものの特性に帰因する問題点があるのみでなく、構成する各層のフィルムそれぞれが要求される機能を与えているため、液晶ディスプレイの薄型化、軽量化のニーズが強いにもかかわらずフィルム数を減らすことは困難であった。更にそうして求められるフィルムも、ハンドリング性や光学特性の高品質化が重要となってきている。
このような問題を解決するものとして、本出願人は、偏光板を構成する保護フィルムの少なくとも一方が、位相差フィルムの機能をも有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムである偏光板を提案している(特許文献1参照)。この技術によれば、位相差フィルムと保護フィルムとを一体化することで、接着工程および接着に起因する信頼性の低下を減少させるとともに、用いるフィルム枚数の低減による薄型化、軽量化が達成さ
れる。
れる。
ところで位相差フィルムは、成形したフィルムを延伸配向させることにより、位相差を発現させて得られるものであり、縦延伸、横延伸、位相差を発現できる程度の二軸延伸などにより製造できることが知られている。ノルボルネン系樹脂からなるフィルムでは、充分に位相差を発現させるために必要な延伸の程度が大きいため、横延伸したフィルムでは縦方向の長さが固定されていることに伴って厚さ方向の縮みが大きく、厚さと幅の屈折率が著しく異なるものにならざるを得ず、後述するNZ係数の値が1付近の位相差フィルムを得ることが困難であった。そのために、NZ係数が1付近の位相差フィルムを液晶ディスプレイに視野角補償フィルムとして使用する場合には、実用的には縦一軸延伸で得られたフィルム長手方向(MD方向)に光軸を有するフィルムを使用するより仕方が無かった。
しかしながら、通常の縦延伸のみであると、フィルムの表面性やフィルム面内の位相差分布などが十分なものが得にくく、結果として高品質のフィルムを得ることが困難であった。
引用文献2には、横一軸延伸で得たポリサルフォン系位相差フィルムの視野角特性を向
上させる方法として、横一軸延伸後にフィルムの縦方向を熱収縮させる方法が記載されている。しかしながら、熱収縮の特性は樹脂によって異なるため、この技術をポリサルフォン系以外の位相差フィルムの製造に利用して、全面で位相差が均一なフィルムを得るのは困難である上、ノルボルネン系樹脂製フィルムにおいては、所望の位相差を発現させるために必要な延伸倍率が高いことから、それに見合う縦方向の高度な熱収縮を全面で均一に行うことはさらに困難であるという問題があり、このような方法の適用はできなかった。
上させる方法として、横一軸延伸後にフィルムの縦方向を熱収縮させる方法が記載されている。しかしながら、熱収縮の特性は樹脂によって異なるため、この技術をポリサルフォン系以外の位相差フィルムの製造に利用して、全面で位相差が均一なフィルムを得るのは困難である上、ノルボルネン系樹脂製フィルムにおいては、所望の位相差を発現させるために必要な延伸倍率が高いことから、それに見合う縦方向の高度な熱収縮を全面で均一に行うことはさらに困難であるという問題があり、このような方法の適用はできなかった。
また、位相差フィルムは、フィルムを積層化させるためにフィルムの切り出し、接着など、製造工程のハンドリングが複雑であるとともに、得られる位相差フィルムの厚みを低減することによりヒートショック試験等で割れが発生しやすい問題がある。
本発明は、ハンドリング時やヒートショック試験等での耐割れ性が高く、面内の位相差のバラツキが少ないノルボルネン系樹脂製の位相差フィルムを製造する方法を提供すること、ならびに該製造方法により得られた位相差フィルムを提供することを課題としている。また、本発明は、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置を提供することを課題としている。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、ノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍の範囲で一軸延伸し、その後、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜95%になるよう調整しながら1.1〜5.0倍一軸延伸することを特徴としている。
また、こうして得た位相差フィルムは、フィルム面内の位相差をR0、フィルム厚み方向とフィルム面内方向の屈折率差の比をNZ、としたときに、下記式(1)および(2)を満たすことがこのましい。
50≦R0≦400 ・・・(1)
0.9≦NZ≦1.5 ・・・(2)
[R0=(nx−ny)d、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)であり、ここで、dはフィルム厚み、nx,ny,nzはそれぞれ波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、フィルム厚み方向の屈折率を意味する。]
50≦R0≦400 ・・・(1)
0.9≦NZ≦1.5 ・・・(2)
[R0=(nx−ny)d、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)であり、ここで、dはフィルム厚み、nx,ny,nzはそれぞれ波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、フィルム厚み方向の屈折率を意味する。]
また、フィルム面内におけるR0の分布が、フィルムロールの幅方向に対して測定した場合において、測定長50mmにおける最大値と最小値の差が3nm以下であり、かつ、R0の面内方向(幅方向)の距離による変化率(絶対値)が1ppm以下であることが好ましい。
本発明の偏光板は、前記本発明の製造方法で得た位相差フィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付してなることを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の位相差フィルムまたは前記本発明の偏光板を用いてなることを特徴としている。
本発明によれば、ハンドリング時やヒートショック試験等での耐割れ性が高く、面内の位相差のバラツキが少ないノルボルネン系樹脂製の位相差フィルムを製造する方法を提供すること、ならびに該製造方法により得られた位相差フィルムを提供することを課題としている。また、本発明は、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、本発明に係る位相差フィルムを用いることによって、透明性に優れ、高温高湿環境下においても寸法安定性に優れ、高品質の偏光板を製造することができる、さらに、該位相差フィルムまたは偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法では、ノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍の範囲で一軸延伸し、その後、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜90%になるよう調整しながら1.1〜5.0倍一軸延伸する方法で位相差フィルムを製造する。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法では、ノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍の範囲で一軸延伸し、その後、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜90%になるよう調整しながら1.1〜5.0倍一軸延伸する方法で位相差フィルムを製造する。
本発明で用いる延伸前のノルボルネン系樹脂製フィルムは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を製膜することにより得ることができる。また、本発明に係るフィルムロールは、ノルボルネン系樹脂からなる。
<ノルボルネン系樹脂>
本発明に係るノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を付加(共)重合して得られる樹脂をいずれも用いることができる。本発明では、このうち、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂が好ましく用いられる。
・単量体
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体から得られる。
<ノルボルネン系樹脂>
本発明に係るノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を付加(共)重合して得られる樹脂をいずれも用いることができる。本発明では、このうち、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂が好ましく用いられる。
・単量体
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体から得られる。
ノルボルネン骨格を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、下記式(1m)で表される化合物が挙げられる。
式(1m)中、mおよびA1〜A4は、mは0、1または2であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30、好ましくは1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。好ましくは、A1〜A4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のA1〜A4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。
式(1m)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
式(1m)で表される環状オレフィン系化合物としては、具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデ
カ−3−エン、
ヘキサシクロ [6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシ
カルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチ
ル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ
−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
カ−3−エン、
ヘキサシクロ [6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシ
カルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチ
ル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ
−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
本発明では、前記式(1m)で表される化合物における極性基が、下記式(a)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(1m)で表される化合物は、A1〜A4の少なくとも一つが、下記式(a)で表される基であることが好ましい。
−(CH2)pCOOA’ …(a)
(式(a)中、pは0または1〜5の整数であり、A’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(a)において、nの値が小さいものほど、また、A’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、A’は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。このようなカルボン酸エステル基を有するノルボルネン系化合物として、特に8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、その製造方法が容易な点で好ましい。なお、前記A’で表される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基があげられ、好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基であり、特に好ましくは、メチル基である。pは0以上の整数であり、特に好ましくは0である。
(式(a)中、pは0または1〜5の整数であり、A’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(a)において、nの値が小さいものほど、また、A’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、A’は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。このようなカルボン酸エステル基を有するノルボルネン系化合物として、特に8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、その製造方法が容易な点で好ましい。なお、前記A’で表される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基があげられ、好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基であり、特に好ましくは、メチル基である。pは0以上の整数であり、特に好ましくは0である。
さらに、上記式(1m)において、上記式(a)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合には、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、ノルボルネン骨格を有する化合物としては、下記式(2m)で表される化合物が挙げられる。
式(2m)中、A5〜A10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。
上記式(2m)において、ハロゲン原子、炭化水素基および極性基は、式(1m)に関して述べたものと同様である。
このような式(2m)で表される環状オレフィン系化合物としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
このような式(2m)で表される環状オレフィン系化合物としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
また、ノルボルネン骨格を有する化合物としては、上記式(2m)で表される化合物に代えて、下記式(2m’)で表される化合物を用い、(共)重合した後に必要に応じて五員環を水素添加してもよい。
このような環状オレフィン系単量体(2m’)としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7
−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。これらのうちでは、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7
−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。これらのうちでは、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
極性基としては、たとえば水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としてはたとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基等が挙げられ、アルコキシシリル基としてはたとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
本発明に係るノルボルネン系樹脂の製造では、上述したようなノルボルネン系化合物の1種以上を含む単量体を重合あるいは共重合する。
本発明においては、上記で例示したノルボルネン系化合物とともに、共重合可能なその他の化合物(共重合性化合物)を単量体の一部として用いることができる。共重合性化合物としては、具体的には、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4-シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエン;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン、エチレン−非共役ジエン重合体などの二重結合を有する低重合物;などが挙げられる。単量体中において、ノルボルネン系化合物/共重合性化合物は、好ましくは重量比で100/0〜50/50、より好ましくは100/0〜60/40の範囲であるのが望ましい。
・単量体の重合
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上述した単量体を開環(共)重合するか、単量体を付加(共)重合し、必要に応じて水素添加して得ることができる。
開環(共)重合体
ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体が挙げられる。
本発明においては、上記で例示したノルボルネン系化合物とともに、共重合可能なその他の化合物(共重合性化合物)を単量体の一部として用いることができる。共重合性化合物としては、具体的には、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4-シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエン;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン、エチレン−非共役ジエン重合体などの二重結合を有する低重合物;などが挙げられる。単量体中において、ノルボルネン系化合物/共重合性化合物は、好ましくは重量比で100/0〜50/50、より好ましくは100/0〜60/40の範囲であるのが望ましい。
・単量体の重合
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上述した単量体を開環(共)重合するか、単量体を付加(共)重合し、必要に応じて水素添加して得ることができる。
開環(共)重合体
ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体が挙げられる。
式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。好ましくは、A1〜
A4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のA1〜A4の少なくとも1つが炭素原
子数1〜10の炭化水素基である。
A4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のA1〜A4の少なくとも1つが炭素原
子数1〜10の炭化水素基である。
前記式(1)で表される構造単位は、開環(共)重合および必要に応じて水素添加することにより、前記式(1m)で表されるノルボルネン系化合物から誘導される。
またたとえば、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、下記式(2)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体が挙げられる。
またたとえば、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、下記式(2)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体が挙げられる。
(式(2)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、A5〜A10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)、
上記式(2)で表される構造単位は、上記式(2m)で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加するか、上記式(2m’)で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合して水素添加することにより得ることができる。
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)、
上記式(2)で表される構造単位は、上記式(2m)で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加するか、上記式(2m’)で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合して水素添加することにより得ることができる。
開環(共)重合触媒
単量体の開環(共)重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行うことができる。
単量体の開環(共)重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行うことができる。
本発明に用いられる開環重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。
このような触媒としては、たとえば、(a)W、Mo、ReおよびV、Tiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属-カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからな
るメタセシス触媒が挙げられる。
るメタセシス触媒が挙げられる。
上記(a)成分として適当なW、Mo、ReおよびV、Tiの化合物の代表例としては、
WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(b)成分としては、n−C4H9Li、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、
(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特
開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特
開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
上記触媒(d)の代表例としては、W(=N-2,6-C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Mo(=N-2,6-C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh)(PC6
H11)2Cl2などが挙げられる。
H11)2Cl2などが挙げられる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と、全単量体(ノルボルネン系単量体(Im)、(IIm)および他の共重合可能な単量体。以下、同じ)とのモル比で「(a)成分:全単量体」が、通常1:500〜1:500000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:100000となる範囲であるのが望ましい。(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲であるのが望ましい。また、このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲であるのが望ましい。また、触媒(d)の使用量は、(d)成分と全単量体とのモル比で「(d)成分:全単量体」が、通常1:50〜1:50000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10000となる範囲であるのが望ましい。
分子量調節剤
開環(共)重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量としては、開環(共)重合反応に供される全単量体1モルに対して0.001〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルであるのが望ましい。
開環(共)重合反応用溶媒
開環(共)重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。本発明では、これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
分子量調節剤
開環(共)重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量としては、開環(共)重合反応に供される全単量体1モルに対して0.001〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルであるのが望ましい。
開環(共)重合反応用溶媒
開環(共)重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。本発明では、これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:全単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
水素添加
本発明では、上記の開環(共)重合のみにより、ノルボルネン系開環(共)重合体であるノルボルネン系樹脂を製造してもよいが、開環(共)重合で得た開環(共)重合体をさらに水素添加することが好ましい。開環(共)重合のみでは、得られる本発明のノルボルネン系開環(共)重合体は、上述の式(1)、(2)または(I)で表される構造単位中のXが、いずれも、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の状態である。係る
本発明の開環(共)重合体は、そのまま使用することもできるが、耐熱安定性の観点から、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されて前記Xが-CH2-CH2-で表される基に転換
された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、ノルボルネン系単量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
水素添加
本発明では、上記の開環(共)重合のみにより、ノルボルネン系開環(共)重合体であるノルボルネン系樹脂を製造してもよいが、開環(共)重合で得た開環(共)重合体をさらに水素添加することが好ましい。開環(共)重合のみでは、得られる本発明のノルボルネン系開環(共)重合体は、上述の式(1)、(2)または(I)で表される構造単位中のXが、いずれも、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の状態である。係る
本発明の開環(共)重合体は、そのまま使用することもできるが、耐熱安定性の観点から、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されて前記Xが-CH2-CH2-で表される基に転換
された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、ノルボルネン系単量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
なお、水素添加する割合としては、上記式(1)または(2)で表される構造単位におけるXの合計の90モル%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であるのが望ましい。水素添加する割合が高いほど、安定な(共)重合体となり、熱による着色や劣化が抑制されるため好ましい。
本発明の製造方法では、水素添加反応は、単量体であるノルボルネン系化合物に基づく側鎖の芳香環がある場合、これが実質的に水素添加されない条件で行われるのが望ましい。このため通常は、開環(共)重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜30MPa、好ましくは2〜20MPa、更に好ましくは3〜18MPaで水素を作用させることによって行うのが望ましい。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および均一系触媒をいずれも用いることができる。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加触媒は、単量体に基づく側鎖の芳香環が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要があるが、通常は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用するのが望ましい。
付加(共)重合体
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上述したノルボルネン系化合物を含有する単量体の付加(共)重合体であってもよい。付加(共)重合体を得るための方法としては、公知の方法をいずれも採用することができ、付加重合触媒を用いて単量体を付加(共)重合することにより得ることができる。
付加(共)重合体
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上述したノルボルネン系化合物を含有する単量体の付加(共)重合体であってもよい。付加(共)重合体を得るための方法としては、公知の方法をいずれも採用することができ、付加重合触媒を用いて単量体を付加(共)重合することにより得ることができる。
付加(共)重合体を得るための付加重合触媒としては、通常、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
さらに、バナジウム化合物としては、一般式
VO(OR)aXb、またはV(OR)cXd
(ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。)
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
VO(OR)aXb、またはV(OR)cXd
(ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。)
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
さらに、助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも一種が用いられる。
上記において、例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
付加重合に使用される重合反応用溶媒は、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。また、得られる飽和重合体の分子量の調節は、通常、水素を用いて行われる。
ノルボルネン系樹脂
本発明においては、ノルボルネン系樹脂のクロロホルム溶液をウッベローデ型粘度計で測定して得られる固有粘度[η]を、通常0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.35〜3.0とするのが望ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)による分子量の測定による、数平均分子量(Mn)を、通常1000〜50万、好ましくは2000〜30万、さらに好ましくは5000〜30万とし、重量平均分子量(Mw)を、通常5000〜200万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは1万〜50万とするのが望ましい。ここで、固有粘度[η]が0.2未満、Mnが1000未満あるいはMwが5000未満であると、得られた開環(共)重合体を用いた成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、固有粘度[η]が5.0以上、Mnが50万以上あるいはMwが200万以上であると、ノルボルネン系樹脂の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、フィルムの成形が困難になる場合がある。
ノルボルネン系樹脂
本発明においては、ノルボルネン系樹脂のクロロホルム溶液をウッベローデ型粘度計で測定して得られる固有粘度[η]を、通常0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.35〜3.0とするのが望ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)による分子量の測定による、数平均分子量(Mn)を、通常1000〜50万、好ましくは2000〜30万、さらに好ましくは5000〜30万とし、重量平均分子量(Mw)を、通常5000〜200万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは1万〜50万とするのが望ましい。ここで、固有粘度[η]が0.2未満、Mnが1000未満あるいはMwが5000未満であると、得られた開環(共)重合体を用いた成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、固有粘度[η]が5.0以上、Mnが50万以上あるいはMwが200万以上であると、ノルボルネン系樹脂の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、フィルムの成形が困難になる場合がある。
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、所望により、各種添加剤を添加して使用することができる。添加剤としては、たとえば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス[.3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドキシフェニル)プロピオレート、4,4−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オク
タデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオレートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤、または例えばトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤を挙げるこ
とができ、これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、ノルボルネン系樹脂の酸化安定性を向上することができる。また、たとえば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2,−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール]]などの紫外線吸収剤を挙げることもでき、これらを添加する
ことによって、本発明のノルボルネン系樹脂の耐光性を向上することができる。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<ノルボルネン系樹脂製フィルム>
本発明の位相差フィルムの製造方法では、上述したノルボルネン系樹脂からなるフィルムを用いる。ノルボルネン系樹脂からフィルムを製造する方法としては、ノルボルネン系樹脂を溶融押し出し法などの溶融成形法、あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などにより成形する方法が挙げられる。
、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス[.3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドキシフェニル)プロピオレート、4,4−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オク
タデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオレートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤、または例えばトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤を挙げるこ
とができ、これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、ノルボルネン系樹脂の酸化安定性を向上することができる。また、たとえば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2,−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール]]などの紫外線吸収剤を挙げることもでき、これらを添加する
ことによって、本発明のノルボルネン系樹脂の耐光性を向上することができる。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<ノルボルネン系樹脂製フィルム>
本発明の位相差フィルムの製造方法では、上述したノルボルネン系樹脂からなるフィルムを用いる。ノルボルネン系樹脂からフィルムを製造する方法としては、ノルボルネン系樹脂を溶融押し出し法などの溶融成形法、あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などにより成形する方法が挙げられる。
溶剤キャスト法としては、たとえば、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる。また、溶媒蒸発に伴う発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなるなどの問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学用フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000(mPa・s)、好ま
しくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜100,000
(mPa・s)、特に好ましくは1,000〜10,000(mPa・s)である。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000(mPa・s)、好ま
しくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜100,000
(mPa・s)、特に好ましくは1,000〜10,000(mPa・s)である。
ここで使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が通常10〜30(MPa1/2)
、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特
性の良好なフィルムを得ることができる。
、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特
性の良好なフィルムを得ることができる。
上記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。溶媒を2種以上併用する場合には、混合物としてのSP値は、その重量比から求めることができ、例えば二種の混合物の場合は、各溶媒の重量分率をW1,W2、また、SP値をSP1,SP2とする混合溶媒のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
樹脂溶液の調整において,ノルボルネン系樹脂を溶媒で溶解する場合の温度は,室温でも高温でもよい。十分に攪拌することにより均一な溶液が得られる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に染料、顔料の着色剤を適宜添加することもできる。
また、フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であればいずれも使用できるが、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
本発明のフィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピングなどの手段を用いて,樹脂溶液を基材に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、塗布の繰り返しにより厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
上記溶剤キャスト法の乾燥(溶剤除去)工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%より多いと、実際に該フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂製フィルムの厚さは、通常は1〜500μm、好ま
しくは1〜300μm、さらに好ましくは1〜200μm、最も好ましくは1〜150μm(1000〜150000nm)である。1μm未満の厚みの場合には、実質的にハンド
リングが困難となる。一方、500μm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き取っ
た際にいわゆる「巻きぐせ」がついてしまい後加工等における取扱いが困難になる場合がある。
しくは1〜300μm、さらに好ましくは1〜200μm、最も好ましくは1〜150μm(1000〜150000nm)である。1μm未満の厚みの場合には、実質的にハンド
リングが困難となる。一方、500μm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き取っ
た際にいわゆる「巻きぐせ」がついてしまい後加工等における取扱いが困難になる場合がある。
本発明のフィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±1%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。このように厚み制御を実施することにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐことができる。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明では、上述したノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍、好ましくは1.3〜3倍、更に好ましくは1.5〜2.5倍の範囲で延伸した後に、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜95%、好ましくは50〜90%、更に好ましくは60〜70%になるよう調整しながら、1.1〜5.0倍、好ましくは1.5〜3.5倍、更に好ましくは1.7〜2.5一軸延伸することで位相差フィルムを製造する。
こうした方法で、横方向への延伸倍率および縦方向の延伸倍率とネックイン率を制御することにより、位相差フィルムの光学特性を制御することができる。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明では、上述したノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍、好ましくは1.3〜3倍、更に好ましくは1.5〜2.5倍の範囲で延伸した後に、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜95%、好ましくは50〜90%、更に好ましくは60〜70%になるよう調整しながら、1.1〜5.0倍、好ましくは1.5〜3.5倍、更に好ましくは1.7〜2.5一軸延伸することで位相差フィルムを製造する。
こうした方法で、横方向への延伸倍率および縦方向の延伸倍率とネックイン率を制御することにより、位相差フィルムの光学特性を制御することができる。
本発明では、フィルムの延伸は、フィルムをフィルムロールの幅方向(横方向)に延伸し、その後にネックイン率をコントロールしながらフィルム長手方向(縦方向)に延伸することのできる延伸法であれば、いずれも採用することができる。例えば、同時二軸延伸機や、テンター型横延伸機を使用した後にニップロールを備えた縦一軸延伸機を用いて行うのが好ましい。
フィルムの延伸速度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、本発明に使用されるノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、通常Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5℃〜Tg+15℃の範囲である。前記範囲内とすると、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になるため好ましい。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、さらに好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
また、上述した方法で延伸することにより、フィルム面内の位相差をR0、フィルム厚み方向とフィルム面内方向の屈折率差の比をNZ、としたときに、下記式(1)および(2)を満たす位相差フィルムを得ることがえきる。
50≦R0≦400 ・・・(1)
0.9≦NZ≦1.5 ・・・(2)
[R0=(nx−ny)d、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)であり、ここで、dはフィルム厚み、nx,ny,nzはそれぞれ波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、フィルム厚み方向の屈折率を意味する。]
ここで、R0の値は、50〜400nm、好ましくは70〜300nm、更に好ましくは90〜280nmである。
また、NZ係数の値は、0.9〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、特に好ましくは1.0〜1.1.1である。NZ係数を本範囲でコントロールすることで、液晶ディスプレイに使用したときの視野角特性を良好に得ることができる。
50≦R0≦400 ・・・(1)
0.9≦NZ≦1.5 ・・・(2)
[R0=(nx−ny)d、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)であり、ここで、dはフィルム厚み、nx,ny,nzはそれぞれ波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、フィルム厚み方向の屈折率を意味する。]
ここで、R0の値は、50〜400nm、好ましくは70〜300nm、更に好ましくは90〜280nmである。
また、NZ係数の値は、0.9〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、特に好ましくは1.0〜1.1.1である。NZ係数を本範囲でコントロールすることで、液晶ディスプレイに使用したときの視野角特性を良好に得ることができる。
また、フィルム面内におけるR0の分布は、フィルムロールの幅方向に対して測定した場合において、測定長50mmにおける最大値と最小値の差がそれぞれ好ましくは3nm以下、さらに好ましくは2nm以下、特に好ましくは1nm以下であり、かつ、R0の面内方向(幅方向)の距離による変化率(絶対値)が好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.7ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。
さらに、フィルムロールの長手方向に対して測定した場合においても、測定長50mmにおける最大値と最小値の差がそれぞれ好ましくは3nm以下、さらに好ましくは2nm以下、特に好ましくは1nm以下であり、かつ、R0の面内方向(長手方向)の距離による変化率(絶対値)が好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.7ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。
さらに、フィルムロールの長手方向に対して測定した場合においても、測定長50mmにおける最大値と最小値の差がそれぞれ好ましくは3nm以下、さらに好ましくは2nm以下、特に好ましくは1nm以下であり、かつ、R0の面内方向(長手方向)の距離による変化率(絶対値)が好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.7ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。
本発明に係る位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、80℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
本発明では、使用されるノルボルネン系樹脂の原料である特定単量体やその他の共重合性単量体を適宜選択する、フィルム成形方法やその条件、延伸方法やその条件あるいは上記ヒートセットの条件を適宜選択することにより、寸法収縮率を上記範囲内にすることができる。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向して透過光に位相差を与えるようになるが、このフィルムの位相差(レターデーション、R0)は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。
上記のように延伸して得た位相差フィルムの厚さは、好ましくは0.1〜300μm、さらに好ましくは0.5〜200μm、特に好ましくは1〜100μm、最も好ましくは1〜50μmである。厚みを薄くすることで位相差フィルムが使われる分野の製品に求める小型化、薄肉化に大きく応えることができる。位相差フィルムの厚みは、延伸前のフィルムの厚さを適宜選択したり、延伸倍率を適宜選択することによりコントロールできる。例えば、延伸前のフィルムを薄くしたり、延伸倍率を大きくしたりすることで、位相差フィルムの厚さを薄くすることができる。
<偏光板の製造方法>
・偏光子
本発明の偏光板の製造方法で用い、本発明に係る偏光板を構成する偏光子は、高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより形成することができる。本発明の偏光板を構成する偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムからなることが好ましい。
・偏光子
本発明の偏光板の製造方法で用い、本発明に係る偏光板を構成する偏光子は、高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより形成することができる。本発明の偏光板を構成する偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムからなることが好ましい。
PVA系フィルムからなる偏光子としては、偏光子としての機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、PVAフィルムにヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸して得られるPVA・ヨウ素系偏光膜;PVAフィルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸延伸して得られるPVA・染料系偏光膜;PVAフィルムにヨウ素を吸着させ延伸してポリビニレン構造としたPVA・ポリビニレン系偏光膜;PVAフィルムに金、銀、水銀、鉄などの金属を吸着させたPVA・金属系偏光膜;ヨウ化カリウムとチオ硫酸ナトリウムとを含むホウ酸溶液でPVAフィルムを処理した近紫外偏光膜;分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性染料を有する偏光膜などを挙げることができる。
PVA系フィルムからなる偏光子の製造方法についても特に限定されるものではなく、例えば、PVA系フィルムを延伸後にヨウ素イオンを吸着させる方法;PVA系フィルムを二色性染料により染色後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料で染色する方法;二色性染料をPVA系フィルムに印刷後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料を印刷する方法などが挙げられる。より具体的には、ヨウ素をヨウ素カリウム溶液に溶解して、高次のヨウ素イオンを調製し、このヨウ素イオンをPVAフィルムに吸着させて延伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して偏光膜を製造する方法、あるいはPVAフィルムを同様にホウ酸処理して一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して染料を吸着し、80〜100℃で乾燥して熱固定して偏光膜を製造する方法などを挙げることができる。
本発明で用いる偏光子は、縦方向に吸収軸を有することが好ましい。縦方向に吸収軸を有する偏光子は、高分子フィルムの延伸を、縦一軸延伸により行うことにより製造することができる。
・接着剤
本発明の偏光板の製造方法においては、上述した方法で得られる位相差フィルムと、偏光子との接着を、粘着剤もしくは接着剤を用いて行うのが好ましい。粘着剤もしくは接着剤としては、PVAを水に溶解させた水系接着剤や、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤(以下、これらをまとめて「極性基含有粘接着剤」ともいう。)が好ましく用いられる。
・接着剤
本発明の偏光板の製造方法においては、上述した方法で得られる位相差フィルムと、偏光子との接着を、粘着剤もしくは接着剤を用いて行うのが好ましい。粘着剤もしくは接着剤としては、PVAを水に溶解させた水系接着剤や、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤(以下、これらをまとめて「極性基含有粘接着剤」ともいう。)が好ましく用いられる。
極性基含有粘接着剤の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましい。また、極性基含有粘接着剤は、水系粘着剤もしくは水系接着剤であることが好ましい。特定の樹脂フィルムを貼り付けるために使用する好適な極性基含有粘接着剤としては、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体を挙げることができる。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステルと、極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理することにより得ることができる。ここに、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。また、極性基含有単量体の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などを挙げることができ、これらのうち、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましく、水酸基およびカルボキシル基が特に好ましい。好ましい極性基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。アクリル酸エステル系重合体の合成に供されるアクリル酸エステルと、極性基含有単量体との比率は、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して、極性基含有単量体が0.5〜15重量部程度であるのが好ましい。
さらに、アクリル酸エステル系重合体の合成に供される単量体として、ジビニルベンゼンなどのジエン系単量体を使用することが好ましい。アクリル酸エステルと、極性基含有単量体と、ジエン系単量体とを含む組成物を重合処理して得られるアクリル酸エステル系重合体は、高い強度の接着層を形成することができる。ここで、ジエン系単量体の使用量は、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して0〜10重量部であるのが望ましい。ジエン系単量体の使用量が10重量部を超えると、粘着剤層もしくは接着剤層が硬くなる。
アクリル酸エステル系重合体を得るための重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などを挙げることができる。なお、重合溶媒に、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒を用いると、得られる粘着剤を使用する際に、被粘着体である偏光子と位相差フィルムとの間にずれ等を生じやすく、好ましくない。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体の分子量としては、GPC分析により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であることが好ましく、更に好ましくは10,000〜200,000であり、重量平均分子量(Mw)が15,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜500,000であり、その分子量分布(Mw/Mn)は1.2〜5であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜3.6である。
本発明で使用できる極性基含有粘接着剤には、イソシアネートやブチル化メラミンなどの架橋剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。ここに、極性基含有粘接着剤への架橋剤の添加は、通常、当該極性基含有粘接着剤を塗布する直前に行われる。
・偏光板の製造方法
本発明においては、偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光子の一面および/または他面に、ノルボルネン系樹脂製フィルムから得た位相差フィルムを、極性基含有粘接着剤を使用して貼り合わせ、これを加熱し圧着して、偏光子と位相差フィルムとを接着(複合化)させることにより製造することができる。
・偏光板の製造方法
本発明においては、偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光子の一面および/または他面に、ノルボルネン系樹脂製フィルムから得た位相差フィルムを、極性基含有粘接着剤を使用して貼り合わせ、これを加熱し圧着して、偏光子と位相差フィルムとを接着(複合化)させることにより製造することができる。
偏光板の製造においては、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの光軸とが直行するように、位相差フィルムを偏光子の少なくとも片面に貼付する。
本発明の製造方法で得た位相差フィルムは、横方向に光軸を有しており、通常フィルムロールとして得られるため、縦方向に吸収軸を有する偏光子のフィルムロールと、いわゆるroll to rollで連続的に接着することができる。すなわち、位相差フィルムの長手方向と、縦方向に吸収軸を有する偏光子の長手方向とを揃え、両者を連続的に貼付して、偏光板を製造することができる。このため、本発明の偏光板の製造方法によれば、長手方向に光軸を有する位相差フィルムを偏光子の幅に合わせて切断した後、位相差フィルムの向きを偏光子の吸収軸と直行する方向として、個々に接着していた偏光板の製造を、連続的に行うことができ、製造効率を格段に向上させることができる。
本発明の製造方法で得た位相差フィルムは、横方向に光軸を有しており、通常フィルムロールとして得られるため、縦方向に吸収軸を有する偏光子のフィルムロールと、いわゆるroll to rollで連続的に接着することができる。すなわち、位相差フィルムの長手方向と、縦方向に吸収軸を有する偏光子の長手方向とを揃え、両者を連続的に貼付して、偏光板を製造することができる。このため、本発明の偏光板の製造方法によれば、長手方向に光軸を有する位相差フィルムを偏光子の幅に合わせて切断した後、位相差フィルムの向きを偏光子の吸収軸と直行する方向として、個々に接着していた偏光板の製造を、連続的に行うことができ、製造効率を格段に向上させることができる。
本発明の偏光板の製造方法では、本発明の製造方法で得たノルボルネン系樹脂製の位相差フィルムを用いる。そのとき、偏光子の両面に保護フィルムをそれぞれ貼付した偏光板に位相差フィルムを貼付する方法に加え、本発明の位相差フィルムは通常のTACフィルムに比べ、ガス透過性が低く、耐湿性に優れたものであるため、少なくとも片面の保護フィルムを兼用して位相差フィルムを使用することもできる。そうした場合、本発明の偏光板の製造方法では、偏光子を保護する保護フィルムを位相差フィルムの他に別途貼付する必要がなく、積層するフィルムの数や用いる接着剤の量が多いことによる透過度の低下、多数のフィルムを接着することによる精度の低下などの問題を大幅に軽減することができるうえ、製造工程を簡素化することができ、偏光板を薄型化および軽量化することができる。
本発明で得られる偏光板は、透明性に優れ、高温高湿環境下においても寸法安定性に優れ、光学特性が面内で均一で高性能である。
実施例
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
実施例
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
本発明における各種物性値の測定方法を以下に示す。
ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
飽和吸水率
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
位相差(R0)、配向角、NZ係数、位相差(R0)分布、位相差(R0)変化率
大塚電子(株)製、位相差フィルム検査装置RETS−1200VAを用い、波長550nmにおける値を測定した。
残留溶媒量
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルムまたはN−メチル−2−ピロリドン中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
飽和吸水率
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
位相差(R0)、配向角、NZ係数、位相差(R0)分布、位相差(R0)変化率
大塚電子(株)製、位相差フィルム検査装置RETS−1200VAを用い、波長550nmにおける値を測定した。
残留溶媒量
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルムまたはN−メチル−2−ピロリドン中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
<合成例1>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変
性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル
:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dl/gであった。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変
性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル
:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6H5)3]3 0.12部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応
を行った。
を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A1」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂A1について各種物性を測定したところ、1H−NMRを
用いて測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は165℃、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、23℃における飽和吸水率は0.3%、SP値は19(MPal/2)、30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.78dl/g であ
った。
用いて測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は165℃、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、23℃における飽和吸水率は0.3%、SP値は19(MPal/2)、30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.78dl/g であ
った。
<合成例2>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン215部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン35部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を18部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「樹脂B」という。)を得た。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン215部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン35部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を18部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「樹脂B」という。)を得た。
得られた樹脂Bについて、各種物性を測定したところ、水素添加率は99.9%、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は125℃、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算のMnは46,000、Mwは190,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.15、23℃における飽和吸水率は0.18%、SP値は19(MPal/2)、30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.69dl/g
、ゲル含有量は0.2%であった。
、ゲル含有量は0.2%であった。
<製造例1> 樹脂フィルム(A−1)の製造
上記樹脂A1をトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100重量部に対して0.1重量部を添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。得られたポリマー溶液を、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmの基材のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(a1−1)とした。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
<製造例2> 樹脂フィルム(B−1)の製造
樹脂Aの代わりに樹脂Bを使用した以外は製造例1と同様の方法により、厚さ75μmの樹脂フィルム(B−1)を得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
上記樹脂A1をトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100重量部に対して0.1重量部を添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。得られたポリマー溶液を、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmの基材のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がした樹脂フィルムを(a1−1)とした。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
<製造例2> 樹脂フィルム(B−1)の製造
樹脂Aの代わりに樹脂Bを使用した以外は製造例1と同様の方法により、厚さ75μmの樹脂フィルム(B−1)を得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.5%であり、全光線透過率は93%であった。
クリップテンター式横延伸機(幅4100mm、最高温度200℃)を用いて、製造例1で得た樹脂フィルムA−1を、温度200℃で幅方向(TD)へ2.0倍に延伸し、フィルム両端をスリットしながらロール状に巻き取った。その後、フィルムのネックイン率を60%に調整しながら、加熱炉前後に一対のニップロールを配したニップロール式の縦延伸機(幅3400mm、最高温度200℃)を用い、温度180℃で2.5倍延伸し、フィルム両端をスリットしながらロール状に巻き取った。
この位相差フィルムについて、配向角(長手方向を基準0°とする)、厚みd、面内位相差R0(R0=(nx−ny)×d)、NZ係数NZ=(nx−nz)/(nx−ny)、位相差の分布を測定した結果を表1に示す。良好な光学特性であることを確認できた。
この位相差フィルムについて、配向角(長手方向を基準0°とする)、厚みd、面内位相差R0(R0=(nx−ny)×d)、NZ係数NZ=(nx−nz)/(nx−ny)、位相差の分布を測定した結果を表1に示す。良好な光学特性であることを確認できた。
使用するフィルムを製造例2で得た樹脂フィルムB−1に、横延伸時の加工温度を150℃とし、幅方向(TD)への延伸倍率を1.7倍、縦延伸時のフィルムのネックイン率を63%、延伸温度を温度130℃で倍率を2.4倍にしたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作成した。その結果を表1に示す。実施例1同様に良好な光学特性であることを確認できた。
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、延伸倍率3倍で前延伸した後、ほう酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で後延伸し、乾燥処理して偏光子を得た。
次に、偏光子の両面に、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」ともいう。)製フィルムをPVA系接着剤を用いて貼付して偏光板を得た。得られた偏光板の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
そうして得た偏光板の片面、実施例1、2で得られた本発明の位相差フィルムを、偏光板の吸収軸に対して位相差フィルムの光軸(nx方向)がそれぞれ25度、75度になるようにそれぞれ積層した。得られた偏光板に波長400nmから700nmの直線偏光を入射したところ、同波長領域の全般に円偏光となる良好な円偏光板を得ることができた。
(比較例1)
フィルム幅方向に延伸させず、縦延伸を温度175℃、倍率1.7倍で一軸延伸を行い、位相差フィルムを得た以外は前記実施例1と同様にして各種特性の測定を行った。その結果を表1に示す。フィルム厚みが厚く、また位相差の面内分布と変化が大きい位相差フィルムであることを確認した。
(比較例2)
フィルム幅方向へ温度150℃、倍率1.7倍で延伸し、その後、縦延伸を行わないこと意外は実施例2と同様にして行い、位相差フィルムを得た。その結果を表1に示す。NZ係数は1.7であった。
(比較例3)
比較例1、2の位相差フィルムを用いたこと以外は実施例3と同様に行い、位相差フィルム付き偏光板を得た。当該偏光板に波長400nmから700nmの直線偏光を入射したところ、偏光板の全面にムラが発生した。
そうして得た偏光板の片面、実施例1、2で得られた本発明の位相差フィルムを、偏光板の吸収軸に対して位相差フィルムの光軸(nx方向)がそれぞれ25度、75度になるようにそれぞれ積層した。得られた偏光板に波長400nmから700nmの直線偏光を入射したところ、同波長領域の全般に円偏光となる良好な円偏光板を得ることができた。
(比較例1)
フィルム幅方向に延伸させず、縦延伸を温度175℃、倍率1.7倍で一軸延伸を行い、位相差フィルムを得た以外は前記実施例1と同様にして各種特性の測定を行った。その結果を表1に示す。フィルム厚みが厚く、また位相差の面内分布と変化が大きい位相差フィルムであることを確認した。
(比較例2)
フィルム幅方向へ温度150℃、倍率1.7倍で延伸し、その後、縦延伸を行わないこと意外は実施例2と同様にして行い、位相差フィルムを得た。その結果を表1に示す。NZ係数は1.7であった。
(比較例3)
比較例1、2の位相差フィルムを用いたこと以外は実施例3と同様に行い、位相差フィルム付き偏光板を得た。当該偏光板に波長400nmから700nmの直線偏光を入射したところ、偏光板の全面にムラが発生した。
Claims (5)
- ノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に1.1〜5.0倍の範囲で一軸延伸し、その後、フィルムロールの長手方向にネックイン率が40〜95%になるよう調整しながら1.1〜5.0倍一軸延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1記載の方法にて得た位相差フィルムにおいて、フィルム面内の位相差をR0、フィルム厚み方向とフィルム面内方向の屈折率差の比をNZ、としたときに、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
50≦R0≦400 ・・・(1)
0.9≦NZ≦1.5 ・・・(2)
[R0=(nx−ny)d、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)であり、ここで、dはフィルム厚み、nx,ny,nzはそれぞれ波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率、フィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、フィルム厚み方向の屈折率を意味する。] - フィルム面内におけるR0の分布が、フィルムロールの幅方向に対して測定した場合において、測定長50mmにおける最大値と最小値の差が3nm以下であり、かつ、R0の面内方向(幅方向)の距離による変化率(絶対値)が1ppm以下であることを特徴とする、請求項2記載の位相差フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られた位相差フィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付してなることを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜3に記載の位相差フィルムまたは請求項4に記載の偏光板を用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
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