JP2008102498A - 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途 Download PDF

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Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Takuhiro Ushino
卓浩 牛野
Kei Tanaka
圭 田中
Akira Tamura
亮 田村
Naoyuki Kawashima
直之 川島
Motoki Okaniwa
求樹 岡庭
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Abstract

【課題】 光軸が横方向にあり、延伸後も逆波長分散性に優れ、NZ係数の小さなノルボルネン系樹脂含有位相差フィルムと、当該位相差フィルムを製造する方法を提供すること、ならびに該位相差フィルムからなるフィルムロールを提供すること。
【解決手段】 ノルボルネン系樹脂含有フィルムを特定温度条件下で、フィルムロールの幅方向に2〜5倍の範囲で延伸することにより、逆波長分散性を有し、かつ、光軸がフィルムロールの幅方向にある位相差フィルムを得ることを特徴とする位相差フィルムの製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノルボルネン系樹脂を含有してなり、位相差の波長分散性に優れ、フィルム幅方向に光軸を有する位相差フィルムおよび位相差フィルムの製造方法、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置に関する。また、本発明は、幅方向に光軸を有する位相差フィルムのフィルムロール、これを用いた偏光板の製造方法に関する。
ノルボルネン系樹脂は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも複屈折の異方性が小さいことにより低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。
上記の特徴を利用して、例えば、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、透明プラスチック基盤、低誘電材料、位相差板、偏光板の保護フィルム、液晶表示素子用基板などの電子・光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、ノルボルネン系樹脂を応用することが検討されている。
ノルボルネン系樹脂は、さらに延伸配向させると透過光に均一で安定した位相差を与える位相差フィルムとなる。しかしながら、一般的に位相差フィルムは、延伸配向させて得られる透過光に位相差(複屈折)を与える機能が、透過光の波長が長波長になるにつれて透過光の位相差(複屈折)の絶対値が小さくなるという特性(以下、「負の波長依存性」ともいう)を有する。このため、例えば反射型・半透過型の液晶ディスプレイなどにおいて必要とされる、可視光領域(400〜800nm)全てにおいて1/4波長の位相差を透過光に与える機能(本発明において、位相差とはレターデーション(Retardation)を意味する)を有する位相差フィルムを得ることが非常に困難であった。また、例えば液晶プロジェクターにおいて必要とされる、1/2波長の位相差を透過光に与える機能を有する位相差フィルムを得るには、従来のノルボルネン系樹脂では、フィルムを積層させる必要があった。フィルムの積層では、貼り合わせ、切り出し、接着などの工程が複雑化するだけでなく、得られる光学フィルムの膜厚が大きくなり、近年求められている位相差フィルムの薄膜化が困難であった。
この課題を解決するためには、波長が長波長になるにつれて透過光の位相差の絶対値が大きくなる特性(以下、「逆波長分散性」ともいう)を示す光学用フィルムが必要である。この逆波長分散性を示す光学用フィルムとしては、特許文献1、2および非特許文献1において、特定のセルロースアセテート系樹脂からなる位相差フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、ノルボルネン系樹脂とスチレン系樹脂とを有する熱可塑性樹脂組成物からなる位相差フィルム等が提案されている。
しかしながら、セルロースアセテート系樹脂からなるフィルムでは、吸水による特性変化や耐熱性等の点において問題があり、ポリカーボネート系では、ガラス転移温度が高く、高温での延伸加工が必要になるだけでなく、フィルムの光弾性係数が大きいいために応力による光学ひずみが生じる。また、ノルボルネン系樹脂とスチレン系樹脂とを有する熱可塑性樹脂組成物から得られたフィルムにおいては、延伸処理する場合、延伸時の応力が高くなる・延伸時の応力むらが発生するなど延伸処理が困難になるという問題がある。
また、フィルムロールを横延伸すると、フィルム長手方向に結果として拘束されていることから、NZの値が一般に1.50以上となり、位相差フィルムの光軸がフィルムロールの幅方向にあって、なおかつNZが1.50未満であるフィルムを得ることが困難であった。
特開2000−137116号公報 特開2001−337222号公報 高分子論文集、Vol.61、No1、89-94(2004)
本発明は、光軸が横方向にあり、延伸後も逆波長分散性に優れ、NZ係数の小さなノルボルネン系樹脂含有位相差フィルムと、当該位相差フィルムを製造する方法を提供すること、ならびに該位相差フィルムからなるフィルムロールを提供することを課題としている。また、本発明は、該位相差フィルムと偏光子からなる偏光板、これらを用いてなる液晶表示装置を提供することを課題としている。また、本発明は、本発明に係る位相差フィルムあるいはフィルムロールを用いて、透明性に優れ、高温高湿環境下においても寸法安定性に優れ、高性能の偏光板を簡便な方法で製造効率よく製造する方法を提供することを課題としている。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、ノルボルネン系樹脂含有フィルムを、当該フィルムのガラス転移温度(Tg)を基準としてTg〜Tg+50℃の温度条件下で、フィルムロールの幅方向に2〜5倍の範囲で延伸することにより、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長650nmにおける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が1.03〜1.18の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長450nmにおける位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が1.0未満の範囲にあり、かつ、光軸がフィルムロールの幅方向にある位相差フィルムを得ることを特徴とする。
本発明の位相差フィルムの製造方法では、ノルボルネン系樹脂含有フィルムが、下記式(I)で表される構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有するノルボルネン系樹脂(以下、「ノルボルネン系樹脂(I)」ともいう)を製膜してなるフィルムであることが好ましい。
Figure 2008102498
(式(I)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、
Xは、式:−CH=CH−で表される基、または、式:−CH2CH2−で表される基であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、s、t、uは、それぞれ独立に0〜3の整数である。)。
本発明の位相差フィルムの製造方法では、ノルボルネン系樹脂含有フィルムが、(A)下記式(1)または下記式(2)で表される構造単位を有するノルボルネン系樹脂(以下、「ノルボルネン系樹脂(A)」ともいう)と、(B)極性基を有するビニル系重合体(以下、「ビニル系重合体(B)」ともいう)との組成物を製膜してなるフィルムであることが好ましい。
Figure 2008102498
(式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)
Figure 2008102498
(式(2)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、A5〜A10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)
本発明の位相差フィルムの製造方法では、(B)極性基を有するビニル系重合体が、下記式(B1)で表される構造単位(B1)および下記式(B2)で表される構造単位(B2)を有するスチレン系共重合体(以下、「特定スチレン系共重合体」ともいう)であることが特に好ましい。
Figure 2008102498
(式(B1)および式(B2)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。式(2)中、R0は水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。)。
本発明の位相差フィルムの製造方法では、位相差フィルムが1/4λ板であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、前記本発明の位相差フィルムの製造方法により得られたことを特徴としている。
本発明の位相差フィルムは、ノルボルネン系樹脂を含有してなり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長650nmにおける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が1.03〜1.18の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長450nmにおける位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が1.0未満の範囲にあり、下記式で表されるNZ係数が0.90〜1.40の範囲内にあり、位相差Re(550)が100〜300nmの範囲内にあることを特徴とする。
NZ係数=(nx−nz)/(nx−ny)
[式中、nxはフィルム面内の最大屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向屈折率(それぞれ波長550nmでの値)を示す。]
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付してなることを特徴としている。
本発明のフィルムロールは、本発明の位相差フィルムからなり、フィルムロールの幅方向に光軸を有し、透過光の位相差が逆波長分散性を有することを特徴としている。
本発明の偏光板の製造方法は、本発明のフィルムロールの長手方向と、縦方向に吸収軸を有する偏光子の長手方向とを揃え、両者を連続的に貼付することを特徴としている。本発明の偏光板は、このような本発明の偏光板の製造方法により得られたことを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、本発明の位相差フィルムまたは本発明の偏光板を用いてなることを特徴としている。
本発明によれば、透明性に優れ、ガス透過性が低く、寸法安定性に優れ、光軸が幅方向にあり、逆波長分散性に優れ、NZ係数が少ないノルボルネン系樹脂含有位相差フィルムと、当該位相差フィルムを製造する方法を提供することができる。特に、本発明においては、フィルム面内の光軸がフィルム幅方向にあってNZ係数が小さいロール状の位相差フィルムを得ることができ、更に、位相差フィルムが可視光領域において逆波長分散性を有し、可視光領域の全てにおいて好ましい位相差を透過光に与える位相差フィルムを製造できる、位相差フィルムの製造方法ならびに位相差フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、本発明に係る位相差フィルムを用いることによって、透明性に優れ、高温高湿環境下においても寸法安定性に優れ、高性能の偏光板を簡便な方法で製造効率よく製造できる、偏光板の製造方法を提供することができ、さらに、該位相差フィルムまたは偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ノルボルネン系樹脂>
本発明に係るノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を付加(共)重合して得られる樹脂をいずれも用いることができる。本発明では、このうち、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂が好ましく用いられる。特に、上述した構造単位(I)を有するノルボルネン系樹脂(I)は、それ自体逆波長分散性に優れた樹脂として、好適に用いられる。また、上述したノルボルネン系樹脂(A)は、ビニル系重合体(B)と混合して用いることにより逆波長分散性を発現し、成形性等の特性を調整することも容易であるため、好適に用いられる。
ノルボルネン系単量体
ノルボルネン系樹脂(I)は、下記式(Im)で表される化合物を含む単量体を開環(共)重合し、好ましくは水素添加して得られる。
Figure 2008102498
(式(I)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、
Xは、式:−CH=CH−で表される基、または、式:−CH2CH2−で表される基であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、s、t、uは、それぞれ独立に0〜3の整数である。)。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としてはたとえばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等が挙げられる。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2)q−、qは1〜10の整数で表わされるアルキレン基);酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホニル基(−SO2−)、スルホニルエステル基(−SO2−O−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)、シロキサン結合(−Si(R2)O−(ここで、Rはメチル、エチル等のアルキル基));あるいはこれらの2種以上が組み合わさって連なったものが挙げられる。
極性基としては、たとえば水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としてはたとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基等が挙げられ、アルコキシシリル基としてはたとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
なお、式(Im)中の4個のR8およびR9は、それぞれ独立した原子もしくは基である。
上記のノルボルネン系化合物(Im)においてスピロ芳香族構造とシクロ環構造が連結する部位の立体異性体としては、exo体とendo体が存在するが、これらの組成は特に限定されるものではなく、所望の特性に応じて適宜選択すれば良い。特に、開環(共)重合及び水素添加によりノルボルネン系樹脂を製造する場合、ノルボルネン系化合物(Im)は「負の複屈折性」を(共)重合体に与えるので、「正の複屈折性」を(共)重合体に与えるその他のノルボルネン系単量体と適宜共重合させる事により、複屈折を適宜所望のものとすることもできる。なお、ここでいう複屈折性の正・負とは、フィルムを一軸延伸した際に発生する屈折率変化から求められ、延伸方向の屈折率が延伸方向に対して垂直方向の屈折率より大きくなる性質を「正の複屈折性」、逆に延伸方向の屈折率が小さくなる性質を「負の複屈折性」と定義する。
また、芳香環上の置換基に関しては、大きな分極を有する官能基(例えばエステル基、アルコキシ基等)を導入すると、複屈折の波長依存性を大きくすることができる。
上記ノルボルネン系単量体(Im)としては、たとえば、無水マレイン酸とシクロペンタジエンのDiels-Alder反応物である5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を還元させて得られるノルボルネンジメタノールを適切な脱離基(トシル基、ハロゲン原子等)で修飾した後、フルオレン誘導体アニオンと反応させて合成されるスピロ化合物等が挙げられる。本発明で好ましく用いられるノルボルネン系単量体(Im)としては、より具体的には、以下の化合物を例示することができる。
ノルボルネン系単量体(Im)の具体例
m=n=0で表されるノルボルネン系単量体(Im)の例
Figure 2008102498
(1) スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(2) スピロ[2,7−ジフルオロフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(3) スピロ[2,7−ジクロロフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(4) スピロ[2,7−ジブロモフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(5) スピロ[2−メトキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(6) スピロ[2−エトキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(7) スピロ[2−フェノキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(8) スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(9) スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(10) スピロ[2,7−ジフェノキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(11) スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(12) スピロ[9,10−ジヒドロアントラセン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(13) スピロ[フルオレン−9,8'−[2]メチルトリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
Figure 2008102498
(14) スピロ[フルオレン−9,8'−[10]メチルトリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]、
<m=1、n=0で表わされるノルボルネン誘導体の例>
Figure 2008102498
(15) スピロ[フルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(16) スピロ[2,7−ジフルオロフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(17) スピロ[2,7−ジクロロフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(18) スピロ[2,7−ジブロモフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(19) スピロ[2−メトキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(20) スピロ[2−エトキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(21) スピロ[2−フェノキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(22) スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(23) スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(24) スピロ[2,7−ジフェノキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(25) スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]、
Figure 2008102498
(26) スピロ[9,10−ジヒドロアントラセン−9,11'−ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7.09.13][4]ペンタデセン]。
m=1、n=1で表されるノルボルネン系単量体(Im)の例
Figure 2008102498
(27) スピロ[フルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン]、
Figure 2008102498
(28) スピロ[2,7−ジフルオロフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(29) スピロ[2,7−ジクロロフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン]、
Figure 2008102498
(30) スピロ[2,7−ジブロモフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(31) スピロ[2−メトキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(32) スピロ[2−エトキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(33) スピロ[2−フェノキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(34) スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(35) スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(36) スピロ[2,7−ジフェノキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン] 、
Figure 2008102498
(37) スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン]、
Figure 2008102498
(38) スピロ[9,10−ジヒロドロアントラセン−9,13'−ヘキサシクロ[7.7.0.13.6.110.16.02.7.011.15] [4] オクタデセン]。
m=0、n=1で表されるノルボルネン系単量体(Im)の例
Figure 2008102498
(39) スピロ[フルオレン−9,10'−テトラシクロ[7.4.0.08.12.12.5] [3] テトラデセン]、
Figure 2008102498
(40) スピロ[フルオレン−9,10'−[7]メチルテトラシクロ[7.4.0.08.12.12.5] [3] テトラデセン]。
また、式(Im)で表される化合物にさらに置換基が付加された、例えば次のような化合物もまた、単量体として好適に用いることができる。
Figure 2008102498
(41) スピロ[フルオレン−9,10'−[1]メチルテトラシクロ[7.4.0.08.12.12.5] [3] テトラデセン]。
本発明に係るノルボルネン系樹脂の製造には、これらのノルボルネン系単量体(Im)を1種単独で用いてもよく、また、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明では、特にノルボルネン系開環(共)重合体を製造する場合、このようなノルボルネン系化合物(Im)のうち、前記一般式(Im)においてm=0、n=0、u=0であるもの含む単量体を用いるのが好ましい。このような単量体は比較的容易に合成でき、単量体の入手が容易であるとともに、得られる開環(共)重合体およびその水素添加物が、耐熱性と強靭性を兼ね備えるため好ましい。
ノルボルネン系樹脂(I)において、上記式(Im)で表される化合物と共重合させて用いられる単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、下記式(1m)で表される化合物が挙げられる。また、下記式(1m)で表される化合物は、ノルボルネン系樹脂(A)において、構造単位(1)を構成する単量体として用いられる。
Figure 2008102498
式(1m)中、mおよびA1〜A4は、mは0、1または2であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30、好ましくは1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。好ましくは、A1〜A4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のA1〜A4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。
式(1m)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
式(1m)で表される化合物としては、具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ヘキサシクロ [6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
本発明では、前記式(1m)で表される化合物における極性基が、下記式(a)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(1m)で表される化合物は、A1〜A4の少なくとも一つが、下記式(a)で表される基であることが好ましい。
−(CH2pCOOA' …(a)
(式(a)中、pは0または1〜5の整数であり、A'は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(a)において、nの値が小さいものほど、また、A'が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、A'は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。このようなカルボン酸エステル基を有するノルボルネン系化合物として、特に8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、その製造方法が容易な点で好ましい。なお、前記A'で表される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基があげられ、好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基であり、特に好ましくは、メチル基である。pは0以上の整数であり、特に好ましくは0である。
さらに、上記式(1m)において、上記式(a)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合には、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
上記式(1m)中、A1、A2、A3、A4が、互いに結合してヘテロ原子を有してもよい単環または多環の基を形成する場合、形成される単環または多環は、芳香環でもよいし、非芳香環でもよい。式(1m)中、A1、A2、A3、A4が、互いに結合して環構造を形成した場合の例を以下に部分的に示す。
Figure 2008102498
他に、共重合可能な単量体成分としては、下記式(2m)で表される化合物が挙げられる。また、下記式(2m)で表される化合物は、ノルボルネン系樹脂(A)において、構造単位(2)を構成する単量体として用いられる。
Figure 2008102498
式(2m)中、A5〜A10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。
上記式(2m)において、ハロゲン原子、炭化水素基および極性基は、式(1m)に関して述べたものと同様である。
このような式(2m)で表される化合物としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
また、上記式(2m)で表される化合物に代えて、下記式(2m')で表される化合物を用い、(共)重合した後に必要に応じて五員環を水素添加してもよい。
Figure 2008102498
式(2m’)で表される化合物としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。これらのうちでは、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
本発明に係るノルボルネン系樹脂(I)の製造では、上述した単量体を重合あるいは共重合する。
本発明においては、上記で例示したノルボルネン系化合物とともに、共重合可能なその他の化合物(共重合性化合物)を単量体の一部として用いることができる。共重合性化合物としては、具体的には、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等のシクロアルカン;1,4-シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエン;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン、エチレン−非共役ジエン重合体などの二重結合を有する低重合物;などが挙げられる。単量体中において、ノルボルネン系化合物/共重合性化合物は、好ましくは重量比で100/0〜50/50、より好ましくは100/0〜60/40の範囲であるのが望ましい。
本発明に係るノルボルネン系樹脂(I)は、上述した単量体を開環(共)重合して得ることができる。
開環(共)重合体
ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、上記式(1)で表される構造単位(1)を有するノルボルネン系重合体が挙げられる。
式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。好ましくは、A1〜A4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のA1〜A4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。
前記式(1)で表される構造単位は、開環(共)重合および必要に応じて水素添加することにより、前記式(1m)で表されるノルボルネン系化合物から誘導される。
またたとえば、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む単量体の開環(共)重合体ならびにその水素添加物としては、上記式(2)で表される構造単位を有するノルボルネン系重合体が挙げられる。
上記式(2)で表される構造単位は、上記式(2m)で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合し、必要に応じて水素添加するか、上記式(2m')で表されるノルボルネン系化合物を開環(共)重合して水素添加することにより得ることができる。
本発明に係るノルボルネン系樹脂が、構造単位(I)を有する場合、構造単位(I)を、全構造単位中、通常2モル%以上、好ましくは5モル%以上含有するのが望ましい。
このようなノルボルネン系樹脂は、構造単位(I)が、前記一般式(I)において、m=0、n=0、u=0であることが好ましい。このような構造単位(I)を有するノルボルネン系開環(共)重合体は、耐熱性と強靭性とを兼ね備え、しかも、該構造単位を導く単量体が比較的容易に合成できるため好ましい。
またこのようなノルボルネン系樹脂は、クロロホルム溶液中、ウッベローデ型粘度計で測定される固有粘度[η]が、通常0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.35〜3.0であることが望ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)による分子量測定において、数平均分子量(Mn)が、通常1000〜50万、好ましくは2000〜30万、さらに好ましくは5000〜30万であり、重量平均分子量(Mw)が、通常5000〜200万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは1万〜50万である。固有粘度[η]が0.2未満、数平均分子量(Mn)が1000未満、あるいは重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、ノルボルネン系開環(共)重合体から得られる成形物の強度が著しく低下する場合があるため好ましくない。一方、固有粘度[η]が5.0以上、数平均分子量(Mn)が50万以上あるいは重量平均分子量(Mw)が200万以上であると、ノルボルネン系開環(共)重合体またはその水素添加物の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、所望の性状のフィルムを得ることが困難になる場合があるため好ましくない。
上記式(I)で表される構造単位(I)を有するノルボルネン系樹脂(I)は、優れた透明性、耐熱性および低吸水性を有し、かつ、位相差フィルムを製造した時に逆波長分散性を有するため、本発明において特に好ましく用いることができる。
ノルボルネン系樹脂(I)は、構造単位(I)を2重量%以上含むことが好ましい。全構造単位中の構造単位(I)の割合が2/98よりも小さい場合、逆波長分散性が得られず、フィルムロールの幅方向に延伸した時に所望の特性が得られなかったりする場合がある。
また、上記式(1)または上記式(2)で表される構造単位を有するノルボルネン系樹脂(A)は、優れた透明性、耐熱性および低吸水性を有し、かつ、ビニル系重合体(B)と混合して用いることにより逆波長分散性を発現し、成形性等の特性を調整することも容易であるため、本発明において好適に用いることができる。
開環(共)重合触媒
単量体の開環(共)重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行うことができる。
本発明に用いられる開環重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。
このような触媒としては、たとえば、(a)W、Mo、ReおよびV、Tiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属-カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス触媒が挙げられる。
上記(a)成分として適当なW、Mo、ReおよびV、Tiの化合物の代表例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(b)成分としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
上記触媒(d)の代表例としては、W(=N-2,6-C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Mo(=N-2,6-C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh32Cl2、Ru(=CHPh)(PC6112Cl2などが挙げられる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と、全単量体(ノルボルネン系単量体(Im)、(IIm)および他の共重合可能な単量体。以下、同じ)とのモル比で「(a)成分:全単量体」が、通常1:500〜1:500000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:100000となる範囲であるのが望ましい。(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲であるのが望ましい。また、このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲であるのが望ましい。また、触媒(d)の使用量は、(d)成分と全単量体とのモル比で「(d)成分:全単量体」が、通常1:50〜1:50000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10000となる範囲であるのが望ましい。
分子量調節剤
開環(共)重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量としては、開環(共)重合反応に供される全単量体1モルに対して0.001〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルであるのが望ましい。
開環(共)重合反応用溶媒
開環(共)重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。本発明では、これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:全単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
水素添加
本発明では、上記の開環(共)重合のみにより、ノルボルネン系開環(共)重合体であるノルボルネン系樹脂を製造してもよいが、開環(共)重合で得た開環(共)重合体をさらに水素添加することが好ましい。開環(共)重合のみでは、得られる本発明のノルボルネン系開環(共)重合体は、上述の式(1)、(2)または(I)で表される構造単位中のXが、いずれも、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の状態である。係る本発明の開環(共)重合体は、そのまま使用することもできるが、耐熱安定性の観点から、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されて前記Xが-CH2-CH2-で表される基に転換された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、ノルボルネン系単量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
なお、水素添加する割合としては、上記式(1)、(2)または(I)で表される構造単位におけるXの合計の90モル%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であるのが望ましい。水素添加する割合が高いほど、安定な(共)重合体となり、熱による着色や劣化が抑制されるため好ましい。
本発明の製造方法では、水素添加反応は、単量体であるノルボルネン系化合物に基づく側鎖の芳香環がある場合、これが実質的に水素添加されない条件で行われるのが望ましい。このため通常は、開環(共)重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜30MPa、好ましくは2〜20MPa、更に好ましくは3〜18MPaで水素を作用させることによって行うのが望ましい。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および均一系触媒をいずれも用いることができる。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加触媒は、単量体に基づく側鎖の芳香環が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要があるが、通常は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用するのが望ましい。
付加(共)重合体
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、上述したノルボルネン系化合物を含有する単量体の付加(共)重合体であってもよい。付加(共)重合体を得るための方法としては、公知の方法をいずれも採用することができ、付加重合触媒を用いて単量体を付加(共)重合することにより得ることができる。
付加(共)重合体を得るための付加重合触媒としては、通常、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも一種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
さらに、バナジウム化合物としては、一般式
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
(ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。)
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
さらに、助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも一種が用いられる。
上記において、例えばバナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
付加重合に使用される重合反応用溶媒は、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。また、得られる飽和重合体の分子量の調節は、通常、水素を用いて行われる。
ノルボルネン系樹脂
本発明においては、ノルボルネン系樹脂のクロロホルム溶液をウッベローデ型粘度計で測定して得られる固有粘度[η]を、通常0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.35〜3.0とするのが望ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)による分子量の測定による、数平均分子量(Mn)を、通常1000〜50万、好ましくは2000〜30万、さらに好ましくは5000〜30万とし、重量平均分子量(Mw)を、通常5000〜200万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは1万〜50万とするのが望ましい。ここで、固有粘度[η]が0.2未満、Mnが1000未満あるいはMwが5000未満であると、得られた開環(共)重合体を用いた成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、固有粘度[η]が5.0以上、Mnが50万以上あるいはMwが200万以上であると、ノルボルネン系樹脂の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、フィルムの成形が困難になる場合がある。
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、優れた透明性、耐熱性および低吸水性を有し、特に、上述した構造単位(I)を有するノルボルネン系樹脂は、特異な複屈折の波長依存性を有する。このようなノルボルネン系樹脂を用いると、横一軸延伸する本発明の条件において、NZ係数が所望の値に出やすくなるとともに、良好な逆波長分散性を有する位相差フィルムを容易に製造することができる。
本発明に係るノルボルネン系樹脂は、所望により、各種添加剤を添加して使用することができる。添加剤としては、たとえば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオレートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤、または例えばトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤を挙げることができ、これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、ノルボルネン系樹脂の酸化安定性を向上することができる。また、たとえば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2,−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]などの紫外線吸収剤を挙げることもでき、これらを添加することによって、本発明のノルボルネン系樹脂の耐光性を向上することができる。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<ビニル系重合体>
本発明に用いられるビニル系重合体(B)は、極性基を有することを特徴とする。好ましい極性基としては、ヒドロキシル基、酸無水物基(酸クロライドも含む)、アミド基、カルボキシル基等が挙げられ、ノルボルネン系樹脂(A)との相溶性を高めるため、ヒドロキシル基および酸無水物基、アミド基が特に好ましく用いられる。
また、ビニル系重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体由来の構造単位を有する重合体であることが好ましい。
ビニル系単量体
ビニル系重合体(B)に極性基としてヒドロキシル基を与える単量体としては、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体を挙げることができる。これらのうち、ヒドロキシスチレン系単量体では、α−メチル−p−ヒドロキシスチレンが好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、ビニル系重合体(B)に極性基として酸無水物基を与える単量体としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸など酸無水物基含有単量体やアクリロイルクロライド、メタクロイルクロライドなどの酸クロライド含有単量体を挙げることができる。これらのうち、酸無水物含有単量体が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
ビニル系重合体(B)に極性基としてアミド基を与える単量体としては、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等があげられる。
さらにビニル系重合体(B)に極性基としてカルボキシル基を与える単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が挙げられる。
これらの極性基を与える単量体は、単独でまたは二種以上を共重合成分として用いることができる。
上記単量体以外の、芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類などが挙げられる。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
ビニル系重合体(B)のその他の構造単位を与える単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;N−フェニルマレイミド等のマレイミド単量体などが挙げられる。これらのうち、重合性という観点から、シアン化ビニル単量体が好ましい。
ビニル系重合体(B)の合成に、特に好ましく用いられる単量体の組み合わせとしては、スチレン/α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、スチレン/α−メチル−p−ヒドロキシスチレン/アクリロニトリル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/無水マレイン酸/アクリロ二トリル、スチレン/N―フェニルアクリルアミド/アクリル酸などを挙げることができる。
中でも、上記式(B1)で表される構造単位(B1)および上記式(B2)で表される構造単位(B2)を有する特定スチレン系共重合体が、ノルボルネン系樹脂との相溶性に優れ、フィルム化が容易であり、かつ透明性に優れたフィルムが得られる点から特に好ましく用いられる。
特定スチレン系共重合体は、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと、下記式(b)で表される単量体(以下、「単量体(b)」ともいう)とをラジカル開始剤の存在下で重合反応させた後、単量体(b)由来の構造単位におけるO−R’基をOH基に変換して製造することが好ましい。
Figure 2008102498
(式(b)中、RおよびR0は式(B2)と同義である。R’は、アセチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、−CH(OR)(R) 、または−SiR 3で表される基のいずれかを示す。RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、またはRとRとが相互に連結して一体化した炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
RおよびRとしては水素原子が好ましい。R’として、なかでもアセチル基、t−ブチル基が好ましい。
また、前記スチレンおよび/またはα−メチルスチレンは、スチレンのみであるのが好ましい。
さらに、特定スチレン系共重合体には、他の構造単位として、上述した他のビニル系単量体由来の構造単位が含まれていてもよい。
ラジカル重合開始剤
本発明に用いられるビニル系重合体(B)をラジカル重合で合成する場合、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。
有機過酸化物としては、ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
アゾビス系ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2’−アゾビスブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
これらラジカル開始剤の使用量は、前記ビニル系単量体全量100mol%中、通常
0.01〜5mol%、好ましくは0.03〜3mol%、より好ましくは0.05〜2mol%である。
また、ビニル系単量体の共重合反応には、触媒が用いられてもよい。この触媒は、特に限定されず、たとえば、公知のアニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
本発明に用いられるビニル系重合体(B)は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、上記ビニル系単量体を、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることによって得られる。
OH基への変換反応
本発明に好適に用いられる特定スチレン系共重合体は、前記単量体を重合させた後、さらに単量体(b)由来の構造単位におけるO−R’基をOH基に変換することによって、得ることができる。これにより、たとえば、単量体(b)のR’が脱離して、上記式(B2)に表される構造単位を形成することとなる。
上記変換反応としては、酸または塩基の存在下で加アルコール分解または加水分解で変換する方法、酸性条件下で加熱して変換する方法、加熱のみによって変換する方法、およびフッ化物イオンを用いて変換する方法などが挙げられる。これらは、O−R’基におけるR’の構造によって、適宜採用される。
ビニル系重合体
このようにして得られるビニル系重合体(B)において、全構造単位の合計100重量%に対して、極性基を有する構造単位、すなわち極性基を与える単量体由来の構造単位の割合は、通常1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%である。極性基を有する構造単位の割合が上記範囲にあると、相溶性、低吸水性という点で好ましい。また、芳香族ビニル系単量体由来の構造単位の割合は、通常60〜99重量%、好ましくは70〜99重量%、より好ましくは80〜98重量%である。芳香族ビニル系単量体由来の構造単位の割合が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂(A)との相溶性という点で好ましい。
また、特定スチレン系共重合体において、構造単位(B2)の含有率は、全構造単位100mol%中、通常0.1〜50mol%、好ましくは0.2〜40mol%、より好ましくは0.3〜35mol%である。上記数値範囲内であると、ノルボルネン系樹脂(A)と特定スチレン系共重合体の双方が良好な溶解性を示す溶媒が存在するので好ましい。
ビニル系重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常3,000〜500,000、好ましくは5,000〜400,000、さらに好ましくは10,000〜250,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常500〜1,000,000、好ましくは5,000〜800,000、さらに好ましくは20,000〜500,000である。分子量が小さすぎると、得られるフィルムの強度が低くなることがあり、分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、ビニル系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5、さらに好ましくは1.2〜4である。
ビニル系重合体(B)のTgは、通常75〜140℃であり、好ましくは80〜130℃、さらに好ましくは90〜130℃である。Tgが低すぎると、熱可塑性樹脂組成物のTgが低下し、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる成形品やフィルムの温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが高すぎると、強度が極端に低下する傾向がある。
<ノルボルネン系樹脂製フィルム>
本発明の位相差フィルムの製造方法では、上述したノルボルネン系樹脂またはノルボルネン系樹脂とビニル系重合体との組成物(以下、これらを併せて単に「樹脂」ともいう)からなるフィルムを用いる。ノルボルネン系樹脂からフィルムを製造する方法としては、ノルボルネン系樹脂を溶融押し出し法などの溶融成形法、あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などにより成形する方法が挙げられる。
溶剤キャスト法としては、たとえば、樹脂を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる。また、溶媒蒸発に伴う発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなるなどの問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学用フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜100,000(mPa・s)、特に好ましくは1,000〜10,000(mPa・s)である。
ここで使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が通常10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好なフィルムを得ることができる。
上記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。溶媒を2種以上併用する場合には、混合物としてのSP値は、その重量比から求めることができ、例えば二種の混合物の場合は、各溶媒の重量分率をW1,W2、また、SP値をSP1,SP2とする混合溶媒のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
樹脂溶液の調整において、樹脂を溶媒で溶解する場合の温度は,室温でも高温でもよい。十分に攪拌することにより均一な溶液が得られる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に染料、顔料の着色剤を適宜添加することもできる。
また、フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であればいずれも使用できるが、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
本発明のフィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピングなどの手段を用いて,樹脂溶液を基材に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、塗布の繰り返しにより厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
上記溶剤キャスト法の乾燥(溶剤除去)工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%より多いと、実際に該フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂製フィルムの厚さは、通常は1〜500μm、好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは1〜200μm(1000〜200000nm)である。1μm未満の厚みの場合には、実質的にハンド
リングが困難となる。一方、500μm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き取った際にいわゆる「巻きぐせ」がついてしまい後加工等における取扱いが困難になる場合がある。
本発明のフィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±1%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。このように厚み制御を実施することにより、延伸配向した際の位相差ムラを防ぐことができる。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明では、上述したノルボルネン系樹脂製フィルムを、フィルムロールの幅方向に2〜5倍、好ましくは2.5〜4倍、更に好ましくは3〜4倍の範囲で延伸させて、位相差フィルムを製造する。この位相差フィルムでは、フィルム材料のノルボルネン系樹脂の高分子鎖がフィルムロールの幅方向(横方向)に配向して、フィルムロールの幅方向に光軸を有し、透過光に位相差を与える。
この時の光軸は、フィルム幅方向を0度とすると、通常0±10度以内、好ましくは0±5度以内、更に好ましくは0±1度以内、最も好ましくは0±0.5度以内である。光軸をこの範囲に収めることで、偏光板としたときにコントラスト比を高めることができ好ましい。
フィルムの横方向への延伸速度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工温度は、本発明に使用されるノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、通常Tg〜Tg+50℃、好ましくはTg+5〜Tg+30℃、さらに好ましくはTg+10℃〜Tg+20℃の範囲である。前記範囲内とすると、好適な光学特性値が得られると共に、位相差ムラの発生を抑えることが可能となるため好ましい。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、さらに好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
本発明に係る位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、80℃における加熱を500時間行った場合に、通常1%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
本発明では、使用されるノルボルネン系樹脂の原料である特定単量体やその他の共重合性単量体を適宜選択する、フィルム成形方法やその条件、延伸方法やその条件あるいは上記ヒートセットの条件を適宜選択することにより、寸法収縮率を上記範囲内にすることができる。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向して透過光に位相差を与えるようになるが、このフィルムの位相差(レターデーション、Re)は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。
なお、位相差(レターデーション:Retardation):Reは、次式
Re=(nx−ny)×d
で定義される値である。ここで、dは光路長を示し、nxはフィルム面内の最大屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率である。
上記のように延伸して得た位相差フィルムの厚さは、好ましくは0.1〜300μm、さらに好ましくは0.5〜200μm、特に好ましくは1〜150μm、最も好ましくは1〜100μmである。厚みを薄くすることで位相差フィルムが使われる分野の製品に求める小型化、薄肉化に大きく応えることができる。位相差フィルムの厚みは、延伸前のフィルムの厚さを適宜選択し、延伸倍率を適宜選択することによりコントロールできる。例えば、延伸前のフィルムを薄くしたり、延伸倍率を大きくしたりすることで、位相差フィルムの厚さを薄くすることができる。
位相差フィルムの位相差値、すなわち、透過光に与える位相差の値は、位相差フィルムに求められる効果により決定されるものであり、透過光の波長によっても異なることがあり、一義的に決められるものではないが、透過光の波長が550nmでの値で、通常1〜1000nm、好ましくは10〜500nm、さらに好ましくは100〜300nm、特に好ましくは100〜150nm、最も好ましくは1/4λである。1/4λとは透過光の波長550nmに対し、概ね1/4の位相差を発現するものであり、すなわち138±15nm、好ましくは138±10nmの位相差を発現する位相差フィルムを意味する。
位相差値を1nm未満でコントロールすることは実質的に困難であり、1000nmを超える位相差値を有する位相差フィルムは製造が困難であるばかりでなく、後述する位相差の均一性を確保することが困難な場合がある。
また、位相差フィルムを透過した光の位相差は、その面内での均一性が高いことが好ましく、波長550nmにおけるバラツキは通常は±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±1%以下である。位相差のバラツキが±20%の範囲を超えると、液晶表示素子等に用いた場合色にムラ等が発生してディスプレイとしての性能が悪化することがある。
さらに、本発明に係る位相差フィルムは、好ましくは可視光領域において逆波長分散性を有する。すなわち、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長650nmにおける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が1.03〜1.18の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長450nmにおける位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が1.0未満の範囲にある。
より好ましくは、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長650nmにおける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が1.05〜1.18の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長450nmにおける位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が0.8〜1.0未満の範囲にある。
さらに、本発明に係る位相差フィルムは、そのNZ係数の値が、0.90〜1.40、好ましくは0.95〜1.20、特に好ましくは1.00〜1.15である。また、当該NZ係数のフィルム面内での分布(バラツキ)は、好ましくは中心値±20%以内、さらに好ましくは中心値±10%以内である。NZ係数を本範囲でコントロールすることで、液晶ディスプレイに使用したときの視野角特性を良好に得ることができる。なお、上述のとおり、NZ係数は、(nx−nz)/(nx−ny)と定義される。
本発明においては、このような逆波長分散性を有する位相差フィルムを、原料であるノルボルネン系樹脂の選択により容易に得ることができる。逆波長分散性を有する位相差フィルムを製造するのに好適なノルボルネン系樹脂としては、上述した式(I)で表される構造単位(I)を有するノルボルネン系樹脂が特に好適であるが、本発明ではこれに限定されることなく、位相差フィルムに逆波長分散性を与えるこれ以外のノルボルネン系重合体、2種以上のノルボルネン系重合体からなる樹脂組成物、ノルボルネン系重合体とその他の重合体からなる樹脂組成物を用いてもよい。
<偏光板の製造方法>
・偏光子
本発明の偏光板の製造方法で用い、本発明に係る偏光板を構成する偏光子は、高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより形成することができる。本発明の偏光板を構成する偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムからなることが好ましい。
PVA系フィルムからなる偏光子としては、偏光子としての機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、PVAフィルムにヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸して得られるPVA・ヨウ素系偏光膜;PVAフィルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸延伸して得られるPVA・染料系偏光膜;PVAフィルムにヨウ素を吸着させ延伸してポリビニレン構造としたPVA・ポリビニレン系偏光膜;PVAフィルムに金、銀、水銀、鉄などの金属を吸着させたPVA・金属系偏光膜;ヨウ化カリウムとチオ硫酸ナトリウムとを含むホウ酸溶液でPVAフィルムを処理した近紫外偏光膜;分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性染料を有する偏光膜などを挙げることができる。
PVA系フィルムからなる偏光子の製造方法についても特に限定されるものではなく、例えば、PVA系フィルムを延伸後にヨウ素イオンを吸着させる方法;PVA系フィルムを二色性染料により染色後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料で染色する方法;二色性染料をPVA系フィルムに印刷後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料を印刷する方法などが挙げられる。より具体的には、ヨウ素をヨウ素カリウム溶液に溶解して、高次のヨウ素イオンを調製し、このヨウ素イオンをPVAフィルムに吸着させて延伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して偏光膜を製造する方法、あるいはPVAフィルムを同様にホウ酸処理して一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して染料を吸着し、80〜100℃で乾燥して熱固定して偏光膜を製造する方法などを挙げることができる。
本発明で用いる偏光子は、縦方向に吸収軸を有することが好ましい。縦方向に吸収軸を有する偏光子は、高分子フィルムの延伸を、縦一軸延伸により行うことにより製造することができる。
・接着剤
本発明の偏光板の製造方法においては、上述した方法で得られる位相差フィルムと、偏光子との接着を、粘着剤もしくは接着剤を用いて行うのが好ましい。粘着剤もしくは接着剤としては、PVAを水に溶解させた水系接着剤や、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤(以下、これらをまとめて「極性基含有粘接着剤」ともいう。)が好ましく用いられる。
極性基含有粘接着剤の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましい。また、極性基含有粘接着剤は、水系粘着剤もしくは水系接着剤であることが好ましい。特定の樹脂フィルムを貼り付けるために使用する好適な極性基含有粘接着剤としては、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体を挙げることができる。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステルと、極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理することにより得ることができる。
ここに、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。また、極性基含有単量体の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などを挙げることができ、これらのうち、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましく、水酸基およびカルボキシル基が特に好ましい。好ましい極性基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。アクリル酸エステル系重合体の合成に供されるアクリル酸エステルと、極性基含有単量体との比率は、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して、極性基含有単量体が0.5〜15重量部程度であるのが好ましい。
さらに、アクリル酸エステル系重合体の合成に供される単量体として、ジビニルベンゼンなどのジエン系単量体を使用することが好ましい。アクリル酸エステルと、極性基含有単量体と、ジエン系単量体とを含む組成物を重合処理して得られるアクリル酸エステル系重合体は、高い強度の接着層を形成することができる。ここで、ジエン系単量体の使用量は、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して0〜10重量部であるのが望ましい。ジエン系単量体の使用量が10重量部を超えると、粘着剤層もしくは接着剤層が硬くなる。
アクリル酸エステル系重合体を得るための重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などを挙げることができる。なお、重合溶媒に、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒を用いると、得られる粘着剤を使用する際に、被粘着体である偏光子と位相差フィルムとの間にずれ等を生じやすく、好ましくない。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体の分子量としては、GPC分析により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であることが好ましく、更に好ましくは10,000〜200,000であり、重量平均分子量(Mw)が15,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜500,000であり、その分子量分布(Mw/Mn)は1.2〜5であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜3.6である。
本発明で使用できる極性基含有粘接着剤には、イソシアネートやブチル化メラミンなどの架橋剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。ここに、極性基含有粘接着剤への架橋剤の添加は、通常、当該極性基含有粘接着剤を塗布する直前に行われる。
・偏光板の製造方法
本発明においては、偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光子の一面および/または他面に、ノルボルネン系樹脂製フィルムから得た位相差フィルムを、極性基含有粘接着剤を使用して貼り合わせ、これを加熱し圧着して、偏光子と位相差フィルムとを接着(複合化)させることにより製造することができる。
偏光板の製造においては、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの光軸とが直行するように、位相差フィルムを偏光子の少なくとも片面に貼付する。
本発明の製造方法で得た位相差フィルムは、横方向に光軸を有しており、通常フィルムロールとして得られるため、縦方向に吸収軸を有する偏光子のフィルムロールと、いわゆるroll to rollで連続的に接着することができる。すなわち、位相差フィルムの長手方向と、縦方向に吸収軸を有する偏光子の長手方向とを揃え、両者を連続的に貼付して、偏光板を製造することができる。このため、本発明の偏光板の製造方法によれば、長手方向に光軸を有する位相差フィルムを偏光子の幅に合わせて切断した後、位相差フィルムの向きを偏光子の吸収軸と直行する方向として、個々に接着していた偏光板の製造を、連続的に行うことができ、製造効率を格段に向上させることができる。
本発明の偏光板の製造方法では、本発明の製造方法で得たノルボルネン系樹脂製の位相差フィルムを用いるが、この位相差フィルムはガス透過性が低く、耐湿性に優れたものであって、保護フィルムの役割を兼ねることができるため、従来公知の偏光板が位相差フィルムの他に通常有する保護フィルムを用いる必要がない。このため、本発明の偏光板の製造方法では、偏光子を保護する保護フィルムを位相差フィルムの他に別途貼付する必要がなく、積層するフィルムの数や用いる接着剤の量が多いことによる透過度の低下、多数のフィルムを接着することによる精度の低下などの問題を大幅に軽減することができるうえ、製造工程を簡素化することができ、偏光板を薄型化および軽量化することができる。
また特に、本発明の偏光板の製造方法において、位相差フィルムが逆波長分散性を有し、可視光領域において長波長ほど大きな位相差を示す場合には、広範な波長領域において好適な位相差を透過光に与える偏光板が得られる。
本発明で得られる偏光板は、透明性に優れ、高温高湿環境下においても寸法安定性に優れ、しかも薄型化、軽量化され高性能である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
本発明における各種物性値の測定方法を以下に示す。
ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、日本工業規格K7121に従って補外ガラス転移開始温度(以下、単にガラス転移温度(Tg)という)を求めた。
飽和吸水率
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の重量変化を測定して求めた。
全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
イエローネスインデックス(YI、黄色度)
スガ試験機(株)製SMカラーコンピューターSM−7−CHを用い、C光2゜視野透過測定を3回行いその平均値を求めた(測定試料:10重量%の樹脂を含むトルエン溶液20g、測定用セル:内径60mm、高さ30mmの円筒型ガラスセル)。
透過光の位相差
大塚電子(株)製の「RETS」を用い、フィルムに垂直に光が入射したときの位相差(Re)を各波長について測定した。
NZ係数
大塚電子(株)製の「RETS」を用い、波長550nmにおけるnx、ny、nzを測定し、次式により計算して求めた。NZ係数=(nx−nz)/(nx−ny)
光軸(配向角)
大塚電子(株)製の「RETS」を用い、フィルム面内の光軸(配向角)ならびに分布を測定した。尚、フィルム長手方向を90度とし、フィルム幅方向を0度と定義した。
偏光板の透過率および偏光度
大塚電子(株)製の「RETS」を用い、偏光板の透過率および偏光度を測定した。測定波長は550nmとした。
フィルム厚み分布
フィルム厚み分布測定装置(MOCON社製)を使用して測定した。
輝度、視野角およびコントラスト比測定
ミノルタ株式会社製の輝度計LS−110を用い、液晶パネルの輝度、視野角およびコントラスト比を暗室にて測定した。
残留溶媒量
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
重合体分子構造
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で測定した。
重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
<合成例1>
<スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン](endo体、下記式(A)参照)を単量体の一つとして用いた樹脂Aの合成>
Figure 2008102498
cis−2−ブテン−1,4−ジオール 2285g(25.9mol)、ジシクロペンタジエン 1715g(13.0mol)、および重合禁止剤としてペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート] 40gをオートクレーブに仕込み、175℃で9時間反応を行った。得られた反応混合物から減圧蒸留により収率50%で5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(沸点:150℃/4mmHg)を単離した。
得られた5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 750g(4.9mol)、p−トルエンスルホニルクロリド 1855g(9.73mol)、およびテトラヒドロフラン5904gをフラスコに仕込み、溶液温度10℃以下を保ちながら水酸化カリウム 1287g(23mol)を徐々に添加した。添加終了後、10℃以下の温度でさらに12時間反応を行った。反応終了後、未反応の水酸化カリウムおよび副生した塩を濾別した後、濃縮して白色の固体を得た。得られた固体をヘキサン1500gで洗浄し、不溶部を濾取して真空乾燥したところ、5,6−ジ(p−トルエンスルホニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが収率75%で得られた。
得られた5,6−ジ(p−トルエンスルホニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 1586g(3.4mol)およびフルオレン 569g(3.4mol)をジメチルスルホキシド 8000gに溶解し、20℃に温度調整した。この溶液に温度25℃以下を保ちながら35wt%の流動パラフィン類を含有する水素化ナトリウム 253g(6.9mol)を徐々に添加して攪拌した。8時間反応後、反応混合物中にメタノール5000gを注ぎ込み20℃で1時間攪拌した後、析出物を濾過により回収した。得られた固体を3000gのメタノールで再度洗浄した。回収物を乾燥したところ、716g(収率74%)の乳白色固体のスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]が得られた。
このようにして得られたスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン](endo体)(特定単量体)73部と、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)177部と1−ヘキセン(分子量調節剤)9部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.52dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C65)33 0.12部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
得られた樹脂Aについて、各種物性を測定したところ、水素添加率は99.9%、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は184℃、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した。ポリスチレン換算のMnは18,000、Mwは74,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.06、30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.54dl/g であった。
<合成例2>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(特定単量体)250部を用いることと、1−ヘキセン(分子量調節剤)を18部を用いること以外は合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「
樹脂B」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂Bについて各種物性を測定したところ、1H−NMRを用いて測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は165℃、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、23℃における飽和吸水率は0.3%、SP値は19(MPal/2)、30℃のクロロホルム中における対数粘度は0.78dl/gであった。
<合成例3>
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコに5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(下記式Y) 25重量部、8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(下記式X)50重量部、トルエン150重量部、1−ヘキセン3.18重量部を仕込み、80℃に昇温した。トリエチルアルミウム0.030重量部、WCl6メタノール変性触媒(無水メタノール:PhPOCl:WCl6=103:630:427(重量比))0.0510重量部を加え反応を開始した。反応開始から9分30秒後に反応機内温は最高到達温度の112℃に達した。この時点でサンプリングした結果、下記式Yで表される単量体および下記式Xで表される単量体の反応率はそれぞれ、86.1%および88.1%であった。最高温度到達から10秒後に下記式Xで表される単量体5重量部を12分間かけて追加滴下し、さらに1時間反応させた。反応後の下記式Yで表される単量体および下記式Xで表される単量体の反応率はそれぞれ、96.2%、97.2%であった。
トルエン110重量部、水素化触媒としてRuH(OCO-C-C511)(CO)(PPh3)2 0.0418重量部を加え、水素置換を3回行い8MPaに昇圧した。その後反応溶液の温度を160℃に昇温して10MPaに圧力を設定し、3時間の水素添加反応を行なった。H−NMR分析によりもとめた水素添加率は99.9以上であった。
反応終了後、トルエン100重量部を加え希釈して、蒸留水3重量部、乳酸0.72重量部、過酸化水素0.00214重量部を加え60℃で30分間加熱した。その後メタノール234重量部を加え60℃で30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液333重量部を除去し、トルエン202重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱した。その後メタノール132重量部を加え60℃で30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。再度、上澄み液333重量部を除去し、トルエン202重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱した。その後メタノール132重量部を加え60℃で30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。最後に上澄み液333重量部を除去後、下層部の重合体溶液を重合体濃度20%に希釈し、2.0μm、1.0μm、0.2μmの孔径のフィルターをそれぞれ用いて3段回の濾過を行った。得られた重合体溶液の重量および濃度から求めた重合体の収率は92%であった。この溶液の一部を乾燥して分析した結果、YI=0.31、η=0.64、Mw=101450、Mn=36658、Tg=137℃であった。得られた重合体溶液を、重合体溶液Cとする。
Figure 2008102498
<合成例4>
攪拌翼を備えた反応装置にスチレン340部、p−t−ブトキシスチレン50部、溶媒としてトルエン183部、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)1.30部を加え、90℃に加熱し、10時間反応させた後、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.43部を追添加して90℃で更に10時間反応を行った。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ92%であった。また、分子量を測定したところMw=126,700、Mw/Mn=2.00であった。
得られた重合反応溶液中にトルエン195部を添加して希釈した後、メタノール78部、濃硫酸1.0部を添加して60℃に加熱して8時間反応させた。その後、50.5重量%の乳酸ナトリウム水溶液2.63部を添加して60℃で30分間攪拌を継続した。
この反応液にトルエン389部を添加して均一に混合した後、メタノール779部を添加して60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。この上層溶液のみを分離して取り除いた。残った下層溶液にトルエン381部を添加して均一に混合した後、メタノール534部を添加して再度60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。トルエン381部およびメタノール534部を添加して冷却静置後に上層を分離除去する操作をさらに2回繰り返して重合体、トルエン、およびメタノールを含む重合体溶液を得た。この重合体溶液中の重合体濃度を測定したところ30重量%であり、得られた溶液重量から算出した収率は90%であった。この溶液を2.0μm、1.0μm、0.2μmの孔径のフィルターをそれぞれ用いて3段階の濾過を行った。得られた溶液の一部を乾燥して分析した結果、Mw=129,208、Mw/Mn=1.90、Tg=111℃、13C―NMRにより求めた共重合組成比は仕込み比通りでありブトキシ基のOH基への変換率は98%であった。得られた重合体溶液を、重合体溶液Dとする。
合成例3で得られた重合体溶液C 100部と、合成例4で得られた重合体溶液D 28.6部、および酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.086部を加えて均一に混合した。この溶液を50mmφ(L/D=13.2)の二軸押出し機を用い、240℃、20mmHgで脱溶してペレット化することにより、樹脂Cを得た。得られた樹脂Cを分析した結果、YI=0.9、Mw=110,000、Mw/Mn=2.36、Tg=123℃(単一ピーク)、残留トルエン=900ppmであった。
<製造例1> 樹脂フィルムAの製造
上記樹脂Aをトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100重量部に対して0.1重量部を添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。得られたポリマー溶液を、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmの基材のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)上に、乾燥後のフィルム厚みが200μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がして90℃で二次乾燥を行った。こうして得たフィルムを樹脂フィルムAとした。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は183℃であった。また、フィルム厚みバラツキは1μm(0.5%)であった。
<製造例2> 樹脂フィルムBの製造
樹脂Aの代わりに樹脂Bを使用した以外は製造例1と同様の方法により、厚さ200μmの樹脂フィルムBを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は164℃であった。また、フィルム厚みバラツキは1μm(0.5%)であった。
<製造例3> 樹脂フィルムCの製造
樹脂Aの代わりに樹脂Cを使用した以外は製造例1と同様の方法により、厚さ290μ
mの樹脂フィルムCを得た。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は123℃であった。また、フィルム厚みバラツキは1μm(0.5%)であった。
実施例1
ロールフィルムを連続して横延伸できる横一軸延伸機を用いて、製造例1で得た樹脂フィルムA(厚み200μm、幅方向600mm)を連続的に、延伸温度193℃(Tg+10℃)で、歪速度500%/分になるようにして延伸倍率3.0倍に延伸した。さらに延伸後に連続的に173℃のオーブンの間で約1分間徐冷した後にフィルム端部をスリットして幅1450mm幅のロール状に巻き取り、位相差フィルムAを得た。この位相差フィルムAについて、光軸(配向角)(フィルム幅方向を基準0°とする)、厚みd、波長450nm、550nm、650nmにおける各位相差Re(450)、Re(550)、Re(650)、及びNZ係数とフィルム外観を測定した結果を表1に示す。本位相差フィルムは光軸が幅方向の1/4λフィルムであり、NZ係数が1.1という光学特性を達成し、外観も良好であった。また位相差フィルムの逆波長分散性も良好であった。さらに、位相差バラツキも1%以内で良好であった。
実施例2
ロールフィルムを連続して横延伸できる横一軸延伸機を用いて、製造例3で得た樹脂フィルムC(厚み290μm、幅方向600mm)を連続的に、延伸温度137℃(Tg+14℃)で、歪速度500%/分になるようにして延伸倍率4.0倍に延伸した。さらに延伸後に連続的に113℃のオーブンの間で約1分間徐冷した後にフィルム端部をスリットして幅1450mm幅のロール状に巻き取り、位相差フィルムBを得た。この位相差フィルムBについて、光軸(配向角)(フィルム幅方向を基準0°とする)、厚みd、波長450nm、550nm、650nmにおける各位相差Re(450)、Re(550)、Re(650)、及びNZ係数とフィルム外観を測定した結果を表1に示す。本位相差フィルムは光軸が幅方向の1/4λフィルムであり、NZ係数が1.2という光学特性を達成し、外観も良好であった。また位相差フィルムの逆波長分散性も良好であった。さらに、位相差バラツキも1%以内で良好であった。
比較例1
使用するフィルムを製造例2で得た樹脂フィルムBに、延伸時の加工温度を194℃(Tg+30℃)とし、徐冷温度を154℃としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムCを作成した。その結果を実施例1同様に表1に示す。本位相差フィルムは光軸が幅方向の1/4λ板であり、でNZ係数が1.3という光学特性を達成し、外観も良好であった。また、位相差のバラツキは2%であった。しかし、位相差は逆波長分散性を示さなかった。
比較例2
延伸倍率を1.5倍としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムDを作成した。その結果を実施例1同様に表1に示す。本位相差フィルムは光軸が幅方向の1/4λ板であり、位相差は逆波長分散性を示し、外観も良好であった。また、位相差のバラツキは2%であった。しかし、NZ係数は1.5であった。
<水系粘着剤の調製例>
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にアクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン(登録商標)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。
当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。
次いで、エバポレータを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤(極性基を有する粘着剤)を得た。
このようにして得られた水系粘着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは69,000、Mwは135,000であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dl/gであった。
実施例3
ロール状のポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、連続的に延伸倍率3倍で前延伸した後、ほう酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で後延伸し、乾燥処理して巻き取り、ロール状の偏光子を得た。
次に、実施例1で得られた上記位相差フィルムAを上記偏光子の片面にロール状のフィルムを揃えるようにして(偏光板の吸収軸と位相差フィルムの幅方向に存在する光軸が直行になるようになる)、上記水系接着剤を用いて両者を連続的に貼付し、もう一方の面に80μm厚みのトリアセチルセルロース(以下、「TAC」ともいう。)製フィルムを濃度5%のPVA水溶液からなる接着剤を用いて貼付し、偏光板Aを得た。得られた偏光板の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
実施例4
上記偏光板の特性を評価するため、ASV方式低反射ブラックTFT液晶を採用しているシャープ株式会社製液晶テレビ(LC−13B1−S)の液晶パネルの観察者側の前面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥離し、この剥離した箇所に、上記偏光板Aを、元々貼付されていた偏光板の透過軸と同一にして、偏光板の位相差フィルムが液晶セル側になるように貼付した。
この偏光板を有する液晶テレビの、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、70と高い数値であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで175度以上であることを確認した。また黒表示状態で方位角45度において、極角0度から60度でのカラーシフト現象を目視で確認したところ、色抜けなく良好であった。
実施例5
位相差フィルムBを使用したこと以外は実施例3と同様にして偏光板Bを得た。得られた偏光板の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
更に当該偏光板Bを使用したこと以外は実施例4と同様にして、この偏光板を有する液晶テレビの、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、68と高い数値であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで175度以上であることを確認した。また黒表示状態で方位角45度において、極角0度から60度でのカラーシフト現象を目視で確認したところ、色抜けなく良好であった。
比較例3
位相差フィルムCを使用したこと以外は実施例3と同様にして偏光板Cを得た。得られた偏光板の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
更に当該偏光板Cを使用したこと以外は実施例4と同様にして、この偏光板を有する液晶テレビの、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、60であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで165度であることを確認した。また黒表示状態で方位角45度において、極角0度から60度でのカラーシフト現象を目視で確認したところ、青紫色になる状態が確認された。
比較例4
位相差フィルムDを使用したこと以外は実施例3と同様にして偏光板Dを得た。得られた偏光板の透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ44.0%および99.9%であった。
更に当該偏光板Dを使用したこと以外は実施例4と同様にして、この偏光板を有する液晶テレビの、方位角45度で極角60度方向でのコントラスト比を確認したところ、55であった。また、全方位で視野角(コントラスト比10以上の領域)を確認したところ、上下、左右、斜め方向の全てで155度であることを確認した。また黒表示状態で方位角45度において、極角0度から60度でのカラーシフト現象を目視で確認したところ、赤紫色になる状態が確認された。
Figure 2008102498

Claims (12)

  1. ノルボルネン系樹脂含有フィルムを、当該フィルムのガラス転移温度(Tg)を基準としてTg〜Tg+50℃の温度条件下で、フィルムロールの幅方向に2〜5倍の範囲で延伸することにより、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長650nmにお
    ける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が1.03〜1.18
    の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長450nmにおけ
    る位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が1.0未満の範囲にあ
    り、かつ、光軸がフィルムロールの幅方向にある位相差フィルムを得ることを特徴とする
    位相差フィルムの製造方法。
  2. ノルボルネン系樹脂含有フィルムが、下記式(I)で表される構造単位を有するノルボル
    ネン系樹脂を製膜してなるフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィ
    ルムの製造方法。
    Figure 2008102498
    (式(I)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、
    Xは、式:−CH=CH−で表される基、または、式:−CH2CH2−で表される基であり、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲ
    ン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していて
    もよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群
    から選ばれる原子もしくは基を表し、s、t、uは、それぞれ独立に0〜3の整数である
    。)。
  3. ノルボルネン系樹脂含有フィルムが、(A)下記式(1)または下記式(2)で表される構造単位を有するノルボルネン系樹脂と、(B)極性基を有するビニル系重合体との組成物を製膜してなるフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
    Figure 2008102498
    (式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基
    または式:−CH2CH2−で表される基であり、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子;ハ
    ロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又
    は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)
    Figure 2008102498
    (式(2)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表
    される基であり、A5〜A10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
    若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の
    炭化水素基;または極性基を表す。)
  4. (B)極性基を有するビニル系重合体が、下記式(B1)で表される構造単位(B1)および下記式(B2)で表される構造単位(B2)を有するスチレン系共重合体であることを特徴とする、請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法。
    Figure 2008102498
    (式(B1)および式(B2)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。式(2)中、R0は水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。)。
  5. 位相差フィルムが1/4λ板であることを特徴とする請求項1〜4に記載の位相差フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする位相差フィルム。
  7. ノルボルネン系樹脂を含有してなり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、
    波長650nmにおける位相差Re(650)との比Re(650)/Re(550)が
    1.03〜1.18の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波
    長450nmにおける位相差Re(450)との比Re(450)/Re(550)が1
    .0未満の範囲にあり、下記式で表されるNZ係数が0.90〜1.40の範囲内にあり
    、位相差Re(550)が100〜300nmの範囲内にあることを特徴とする位相差フ
    ィルム;
    NZ係数=(nx−nz)/(nx−ny)
    [式中、nxはフィルム面内の最大屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折
    率、nzはフィルムの厚み方向屈折率(それぞれ波長550nmでの値)を示す。]
  8. 請求項6または7に記載の位相差フィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付してなるこ
    とを特徴とする偏光板。
  9. 請求項6または7に記載の位相差フィルムからなり、フィルムロールの幅方向に光軸を有
    することを特徴とするフィルムロール。
  10. 請求項9に記載のフィルムロールの長手方向と、縦方向に吸収軸を有する偏光子の長手方向とを揃え、両者を連続的に貼付することを特徴とする偏光板の製造方法。
  11. 請求項10に記載の方法により得たことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項6または7に記載の位相差フィルムあるいは請求項11に記載の偏光板を用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
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