JP2008239957A - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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武 松村
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Abstract

【課題】本発明は、相溶性に優れ、相分離が抑制され、フィルム化が容易で成形加工性に優れた樹脂組成物であって、正の波長依存性を示し、優れた透明性を有するとともに、点状欠陥などの微細な欠陥を高度に抑制した光学フィルムを製造でき、また、透明性、均質性および平滑性に優れ、複屈折率の小さい成形体を製造できる樹脂組成物を提供することを課題としている。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、(A)下記構造単位(1)を含む環状オレフィン系重合体と、(B)下記構造単位(2)および下記構造単位(3)を有するスチレン系共重合体とを含有する。
Figure 2008239957

【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系共重合体とノルボルネン系重合体とを含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を主成分とした光学フィルムおよびその用途、ならびに該樹脂組成物を主成分とした成形体に関する。なお、本発明において、位相差とはレターデーション(Retardation)を意味する。
従来から光学フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステル等のフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力の変化などにより透過光に位相差が発現したりして位相差が変化する問題がある。また、トリアセチルアセテート等アセテートフィルムは、耐熱性が低く吸水変形等の問題がある。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(環状オレフィン系樹脂)は、ガラス転移温度、光線透過率が高く、しかも屈折率の異方性が小さいことによる従来の光学フィルムに比べ低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。そしてこのような特徴を利用して、例えば、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、透明プラスチック基盤、低誘電材料などの電子・光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状オレフィン系樹脂を応用することが検討されている。
上記の環状オレフィン系樹脂の特性は、光学フィルム用の樹脂としてみても、前記従来の樹脂の問題点を改善できるものであり、このため、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されている。
例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3には、環状オレフィン系樹脂のフィルムを用いた位相差板が記載されている。また、特許文献4、特許文献5および特許文献6には、環状オレフィン系樹脂のフィルムを、偏光板の保護フィルムに使用することが記載されている。さらに、特許文献7には、環状オレフィン系樹脂のフィルムからなる液晶表示素子用基板が記載されている。
一般的に位相差フィルムは、延伸配向させて得られる透過光に位相差(複屈折)を与える機能が、透過光の波長が長波長になるにつれて透過光の位相差(複屈折)の絶対値が小さくなるという特性(負の波長依存性)を有するため、可視光領域(400〜800nm)全てにおいて、例えば1/4波長等の特定の位相差を透過光に与えることが非常に困難であった。実際に位相差が広範囲な波長領域(400〜800nm)において1/4波長としての機能が反射型や半透過型の液晶ディスプレイや光ディスク用ピックアップなどに必要とされている。また、液晶プロジェクターでは、1/2λの位相差が必要であり、従来の環状オレフィン系樹脂からなる光学フィルムでは、フィルムを積層化させる以外困難であった。フィルムの積層化では、フィルムの貼り合わせ、切り出し、接着などの工程が複雑化するだけでなく、得られる光学フィルムの厚みも低減させることが困難になる。
この課題を解決するためには、波長が長波長になるにつれて透過光の位相差の絶対値が大きくなる特性、すなわち、正の波長依存性を示す光学フィルムが必要である。この正の波長依存性を示す光学フィルムとしては、特許文献8、9において、特定のセルロースアセテート系樹脂からなる位相差フィルム、ポリカーボネート系樹脂やスチレン系樹脂のブレンドが提案されている。しかしながら、セルロース系樹脂からなるフィルムでは、吸水による特性変化や耐熱性等の点において問題点があり、ポリカーボネート系では、ガラス
転移温度が高く、高温での延伸加工が必要になるだけでなく、フィルムの光弾性係数が大きいために応力による光学ひずみが生じる。
また、スチレン系樹脂では、フィルム化の際に製膜性の良い塩化メチレンなどの揮発性の高い溶媒は、ほとんどの場合相分離が生じるために使用できず、特定な溶剤を選定しなければならない。そのために溶剤の乾燥時間がかかり、生産性が極端に低下し、透明度の高いフィルムを得ることが困難であるという問題があった。
このため、相分離を抑え、透明な光学フィルムを容易に得ることができる樹脂組成物およびその樹脂組成物を主成分とする正の波長依存性を示し、透明度のある光学フィルムの出現が強く望まれていた。
本願出願人は、このような状況において、水酸基を有するスチレン系共重合体が、ノルボルネン系樹脂との相溶性に優れており、スチレン系共重合体とノルボルネン系樹脂とからなる樹脂組成物は、フィルム化が容易であって、正の波長依存性を有し透明性に優れた光学フィルムを製造しうることを見出し、既に提案している(特願2006−328250号)。
しかしながら、近年光学フィルムや光学用成形体には、さらに透明性、均質性、平滑性などの特性に優れたものが求められており、微細な欠陥が高度に抑制されたフィルムや成形体を簡便な方法で製造し得る樹脂組成物の出現が望まれていた。
特開平4−245202号公報 特開平5−2108号公報 特開平5−64865号公報 特開平5−212828号公報 特開平6−51117号公報 特開平7−77608号公報 特開平5−61026号公報 特開2000−137116号公報 特開2000−337222号公報 高分子論文集、Vol.61、No1、89-94(2004)
本発明は、相溶性に優れ、相分離が抑制され、フィルム化が容易で成形加工性に優れた樹脂組成物であって、正の波長依存性を示し、優れた透明性を有するとともに、点状欠陥などの微細な欠陥を高度に抑制した光学フィルムを製造でき、また、透明性、均質性および平滑性に優れ、複屈折率の小さい成形体を製造できる樹脂組成物を提供することを課題としている。また本発明は、前記樹脂組成物を主成分とし、正の波長依存性を示すとともに、優れた透明性を有し、透過光に与える位相差の均一性が高く、点状欠陥などの微細な欠陥が少ない光学フィルム、その製造方法ならびにその用途を提供すること、および、前記樹脂組成物を主成分とし、透明性、均質性および平滑性に優れ、複屈折率の小さい成形体を提供することを課題としている。
本発明の樹脂組成物は、
(A)下記式(1)で表される構造単位(1)を含む環状オレフィン系重合体と、
(B)下記式(2)で表される構造単位(2)および下記式(3)で表される構造単位(3)を有し、当該構造単位(3)の含有率が全構造単位100mol%中0.1〜50mol%であるスチレン系共重合体と
を含有することを特徴としている。
Figure 2008239957
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1〜R4の少なくとも一つは−(CH2nCOOR5で表される基(R5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基)であり、nは0または1〜5の整数である。)
Figure 2008239957
(式(2)および式(3)中のR6は水素原子またはメチル基を示し、式(3)中のR7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。)
このような本発明の樹脂組成物においては、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃〜150℃であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物では、スチレン系共重合体(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が30,000〜1,000,000であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物では、スチレン系共重合体(B)が、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと、下記式(4)で表される単量体(4)とを、ラジカル開始剤の存在下で重合反応させた後、単量体(4)由来の構造単位におけるO−R8結合をOH基に変換
する工程を含む方法により得られることが好ましい。
Figure 2008239957
(式(4)中、R6は水素原子またはメチル基を示し、
7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子
を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、
8は、アセチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、−CH(OR9)(R10))、または−Si(R93で表される基のいずれかを示す。R9およびR10はそれぞ
れ独立に炭素数1〜6のアルキル基、またはR9とR10とが相互に連結して一体化した炭
素数1〜6の炭化水素基を示す。)
本発明の樹脂組成物は、前記環状オレフィン系共重合体(A)と前記スチレン系重合体(B)との組成比((A)/(B))が、重量比で、50/50〜80/20の範囲であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、前記本発明の樹脂組成物を主成分とすることを特徴としている。
このような本発明の光学フィルムは、キャスト法により製膜して得られることが好ましく、また、押出し法により製膜して得られることも好ましい。
本発明の延伸フィルムは、前記本発明の光学フィルムを加熱延伸して得られることを特徴としている。
本発明の偏光板は、前記本発明の光学フィルムを含むことを特徴としている。
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の光学フィルムを含むことを特徴としている。
本発明の成形体は、前記本発明の樹脂組成物を主成分とすることを特徴としている。このような本発明の成形体は、射出成形により得られることが好ましい。
本発明によれば、フィルム成形の際に用いられる塩化メチレンなどの溶媒を用いても相分離を抑制することができ、優れた透明性を有し、微小欠陥が高度に抑制された光学フィルムを容易に得ることができる樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明の樹脂組成物に含有されるスチレン系共重合体(B)の各構造単位の含有率をコントロールすることで、加熱時にも良好な相溶性を示し、かつ高温下においても透明性を保持することができる、フィルム成形性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物から得られる光学フィルムは、微小欠陥が高度に抑制されたものとすることができ、延伸フィルム、該延伸フィルムを用いた偏光板、液晶表示装置、光学部品としても有用である。光学フィルムが延伸フィルムである場合には、正の波長依存性を示すとともに、優れた透明性を有し、透過光に与える位相差の均一性が高いものとすることができる。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、透明性、均質性および平滑性に優れ、複屈折率の小さい成形体とすることができ、光学材料などとして好適である。
以下、本発明について具体的に説明する。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、環状オレフィン系重合体(A)と、スチレン系共重合体(B)とを含有する。
<環状オレフィン系重合体(A)>
本発明に係る環状オレフィン系重合体(A)は、下記式(1)で表される構造単位(1)を含む重合体あるいは共重合体である。
Figure 2008239957
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1〜R4の少なくとも一つは−(CH2nCOOR5で表される基(R5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基)であり、nは0または1〜5の整数である。)
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば、炭
素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(
−NH−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基))等が挙げられ、これらを複数含む連結基であってもよい。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基など挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等;カルボニルオキシ基としては、たとえば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオ
キシ基、およびベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;アルコキシカルボニル基としては、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等;アリーロキシカルボニル基としては、たとえば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等;トリオルガノシロキシ基としては、たとえば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等;トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等;アミノ基としては、第1級アミノ基;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
構造単位(1)は、上記式(1)中のR1〜R4の少なくとも一つが−(CH2nCOOR5で表される基(エステル結合を有する基)であるが、−(CH2nCOOR5で表される基が結合する炭素原子に結合するもう一つの原子もしくは基が、水素原子以外の原子もしくは基であることが好ましい。具体的には、たとえば、R1が−(CH2nCOOR5で表される基であって、R2が水素原子以外の原子もしくは基である構造単位が好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系重合体(A)は、上記式(1)で表される構造単位(1)を、環状オレフィン系重合体(A)の全構造単位100mol%中、通常5mol%以上、好ましくは10〜70mol%、より好ましくは20〜50mol%含有するのが望ましい。
・単量体
構造単位(1)は、下記式(1a)で表される単量体(1a)を開環(共)重合し、水素添加して得られる構造単位である。
Figure 2008239957
式(1a)中、R1〜R4は、上記式(1)において定義のとおりである。
このような単量体(1a)としては、たとえば
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ベンジルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
などが挙げられる。
このような単量体(1a)は、上記式(1a)中のR1〜R4の少なくとも一つが−(CH2nCOOR5で表される基(エステル結合を有する基)であるが、−(CH2nCO
OR5で表される基が結合する炭素原子に結合するもう一つの原子もしくは基が、水素原
子以外の原子もしくは基であることが好ましい。具体的には、たとえば、R1が−(CH2nCOOR5で表される基であって、R2が水素原子以外の原子もしくは基である構造単
位が好ましい。
より好ましくは、単量体(1a)としては、下記式で表される化合物(1a’)が挙げられる。
Figure 2008239957
式中、R5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有し
てもよい、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基を表し、Aは、ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。ここでAは、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。
このような単量体(1a’)としては、たとえば、以下のようなものを例示することができる。
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2008239957
5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2008239957
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2008239957
本発明で用いる環状オレフィン系重合体(A)は、上記構造単位(1)以外の構造単位を有していてもよい。環状オレフィン系重合体(A)を構成する構造単位(1)以外の構造単位としては、上記単量体(1a)と共重合可能なその他の単量体から導かれる構造単位が挙げられるが、上記単量体(1a)以外の、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系化合物を開環共重合し、水素添加して得られる構造単位が好ましい。
共重合可能なその他の環状オレフィン系単量体としては、たとえば、下記式(1b)で表される単量体(1b)が挙げられる。
Figure 2008239957
(式(1b)中、aおよびbは独立に0または1を示し、cおよびdは独立に0〜2の整数を示す。
11〜R20は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。R17とR18、またはR19とR20とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R17またはR18とR19またはR20とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。
ただし、c=d=0のとき、R17〜R20は−(CH2nCOOR5で(R5の定義は前述のとおり)表される基ではない)
式(1b)中におけるハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基、および極性基は、上述した式(1)におけるこれらと同様である。
また、式(1b)中、R17とR18、またはR19とR20とが一体化して2価の炭化水素基を形成した場合、または、R17またはR18とR19またはR20とが相互に結合して炭素環または複素環を形成した場合の結合様式としては下記のような構造を例示することができる。
Figure 2008239957
前記式(1b)で表される単量体(1b)の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−5―メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn−プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn−ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]
などを挙げることができる。
このような単量体(1b)としては、前記式(1b)におけるdが1または2であって、R17〜R20の少なくとも一つが、−(CH2nCOOR5(R5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基)で表される基である化合物を含むことが好ましく、−COOR5で表される基である化合物を含むことがより好ましい。
これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて単量体(1b)として用いることができる。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体(A)は、上述した単量体(1a)の1種以上
のみからなる(共)重合体であってもよく、上述した単量体(1a)と、上述した単量体(1b)などの(1a)と共重合可能な化合物との共重合体であってもよいが、好ましくは、単量体(1a)の1種以上と、単量体(1b)の1種以上との共重合体であることが望ましい。環状オレフィン系重合体(A)が、単量体(1a)と単量体(1b)との共重合体である場合、共重合比(1a)/(1b)は、重量比で好ましくは5/95〜50/50、より好ましくは10/90〜30/70の範囲であることが望ましい。
・開環(共)重合
環状オレフィン系重合体(A)は、単量体(1a)および必要に応じて単量体(1a)と共重合可能な単量体とを開環(共)重合し、水素添加することにより製造することができる。
単量体(1a)と前記単量体(1b)とを開環共重合する場合において、単量体(1b)が、前記式(1b)中のc,dの少なくとも1つが1以上の多核体であると、単量体(1a)の反応性が低いため、重合コンバージョンが低くなったり、重合後期に単量体(1a)が多く残り、単量体(1a)の単独重合体の連鎖である構造単位(1)の連鎖が生成しやすくなる。構造単位(1)の連鎖は水添反応が進行し難いため、この連鎖の生成を抑制する必要がある。この問題を解決する方法として、多核体である単量体(1b)を逐次添加ないし連続添加して重合することで、単量体(1a)の重合コンバージョンを高くでき、かつ水添率も向上することができる。逐次添加ないし連続添加する方法としては、単量体(1a)と多核体である単量体(1b)とのバッチ重合中に、多核体である単量体(1b)を逐次添加ないし連続添加してもよく、また、反応の開始から終わりまで単量体(1a)と多核体である単量体(1b)との混合物を逐次添加ないし連続添加してもよい。
共重合反応性比は公知の方法、Fineman−Ross法による曲線合致法やMayo−Lewis法による積分式により算出することができる(大津隆行・木下雅悦教書、化学同人、第12印、高分子合成の実験法、pp183〜189)。
具体例として、単量体(1a)が5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、多核体である単量体(1b)が8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンである場合について述べる。Fine
man−Ross法により求めた80℃での共重合性反応性比は、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが1.0であり、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンは2.1である。この
場合、単量体(1b)は単量体(1a)の2.1倍の速度で消費されるため、仕込み組成は(1a):(1b)=1:2.1(mol%)にすることが特に好ましく、好ましい範囲としては、単量体(1a)1molに対して、多核体である単量体(1b)が1〜4molである。反応の開始から終わりまでこの範囲の組成を維持するように単量体(1b)を添加することが好ましい。
〈開環(共)重合触媒〉
単量体(または単量体組成物)の開環(共)重合は、どのような方法で行ってもよいが、たとえば、以下の(I)または(II)の開環重合触媒を用いて行うことができる。
(I)Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。このような触媒としては
、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なく
とも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
上記(a)成分の具体例としては、例えば、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VO
Cl3、TiCl4等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(b)成分の具体例としては、例えば、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサ
ン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(c)成分の添加剤としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を好適に用いることができ、更に、特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(a)成分等を組み合わせてなるメタセシス触媒の使用量は、上記(a)成分と、全単量体(上述した単量体(1m)、(2m)、(3m)および他の共重合可能な単量体の総計、以下同じ)との、「(a)成分:全単量体」のモル比が、通常、1:500〜1:500,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:100,000となる範囲である。更に、上記(a)成分と(b)成分との割合は、「(a):(b)」の金属原子(モル)比が、通常、1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、「(c):(a)」のモル比が、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
また、その他の触媒として、
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができる。
上記触媒(II)の具体例としては、例えば、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(Ot
Bu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh32Cl2、Ru(=CHPh2)[P(C61132Cl2等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記触媒(II)の使用量は、「触媒(II):全単量体」のモル比が、通常1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10,000となる範囲である。
なお、上記触媒(I)と(II)とを組み合わせて用いても差し支えない。
〈分子量調節剤〉
本発明で用いる環状オレフィン系重合体(A)の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を調整することによっても行うことができるが、分子量調節剤を開環共重合の反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレンが好ましく、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この分子量調節剤
の使用量は、全単量体1モル当り、通常、0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。このような分子量調節剤の使用量範囲内で製造される環状オレフィン系開環重合体のウッベローデ型粘度計を用い、クロロホルム中、試料濃度0.5g/d
L、温度30℃で測定した対数粘度は、好ましくは0.4〜0.8dL/g、より好ましくは0.5〜0.7dL/g、さらに好ましくは0.55〜0.65dL/gである。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算値)による平均分子量の測定では、前記開環重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、10,000〜750,000、好ましくは20,000〜50,000、更に好ましくは25,000〜40,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、50,000〜150,000、好ましくは60,000〜125,000、更に好ましくは70,000〜100,000である。
上記対数粘度(ηinh)が0.4未満であるか、数平均分子量(Mn)が10,000
未満であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が50,000未満であると、本発明の樹脂組成物から得られる成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度(ηinh) が1.0以上であるか、数平均分子量(Mn)が75,000以上であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が150,000以上であると、前記開環重合体の溶融粘度または溶液粘度が高くなりすぎて、所望の成形品を得ることが困難になる場合がある。
〈開環重合反応溶媒〉
開環共重合反応において用いられる溶媒(即ち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤等を溶解する溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この開環重合反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全単量体」の重量比が、通常、1:1〜10:1となる量であり、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
〈開環重合の反応温度〉
触媒を添加する時のモノマー溶液の温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜180℃である。30℃未満の場合は重合体の収率が低下することがあり、200℃を超える場合は分子量コントロールが困難になることがある。
〈開環重合の反応時間〉
環共重合反応を行う際の反応時間は通常0.1〜10時間であるが、好ましくは0.1〜9時間、より好ましくは0.1〜8時間である。
・水素添加
本発明で用いる環状オレフィン系重合体(A)は、上述のようにして単量体(1a)を含む単量体を(共)重合したものを、水素添加して得ることができる。環状オレフィン系単量体を単に開環(共)重合した場合、−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基を主鎖中に有する状態となるが、耐熱安定性の観点から、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されて−CH2−CH2−で表される基に転換された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加さ
れたものであり、環状オレフィン系単量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
なお、水素添加する割合としては、−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の90モル%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であるのが望ましい。水素添加する割合が高いほど、熱による着色や劣化が抑制することができるため好ましい。
水素添加は水素添加触媒の存在下に行うことができ、用いる水素添加触媒は特に限定されるものではないが、単量体(1a)および/または単量体(1a)と共重合可能な単量体(1b)などの環状オレフィン系単量体が、たとえば上述した単量体(1a’)のようにノルボルネン骨格の同一炭素原子に2つの官能基を有する化合物を含む場合には、(共)重合体を通常の水素添加触媒を用いての反応させたのでは高度な水素添加が困難なため、特定の金属ヒドリド錯体の存在下に行うことが好ましい。
このような水素添加に好適に用いられる金属ヒドリド錯体としては、下記式(H)で表されるものが挙げられる。
M(OCOA1abc(PA234d …(H)
上記式(H)中、Mは、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、またはイリジウム原子を表すが、最も安価であり、かつ、触媒活性の高いルテニウムが好ましい。
式(H)中、PA234は有機リン化合物を表し、A2、A3およびA4はそれぞれ同一でも異なっても良く、それぞれ独立に直鎖、分岐、または環状のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を示す。
上記A2〜A4におけるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
上記A2〜A4におけるシクロアルキル基としては、たとえば、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル基、2,4−ジメチルシクロヘキシル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基、3,4−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
上記A2〜A4におけるアリール基としては、たとえば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
1は直鎖、分岐、または環状の炭素数8以下の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
基を表すが、具体的には下記のものを列挙することができる。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、ジメチルプロピル基(CH3CH2C(CH3)2-)、( (CH3)3 CCH2-)、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルペンチル基(CH3CH2CH2 CH2CH(CH3)-、CH3CH2CH(CH3)CH2CH2-)、フェニル基、エチルヘキシル基(CH3CH2CH2CH2CH2CH(CH3CH2)-)、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基(CF3CH2-)、テトラフルオロエチル基(CHF2CF2-)、ペンタフルオロエチル基、ノナフル
オロブチル基(CF3CF2CF2CF2-)、ペンタフルオロフェニル基、フルオロフェニル基、メチ
ルフェニル基、トリデカフルオロヘキシル基(CF3CF2CF2CF2CF2CF2-)、ドデカフルオロヘ
キシル基(CHF2CF2CF2CF2CF2CF2-)。
XはCOまたはNOを表すが好ましくはCOである。
aおよびbはそれぞれ独立に1または2を表し、cおよびdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、a、b、c、およびdの合計は4、5、または6であるが、好ましくはa、b、およびcが1で且つdが2である。
本発明に係る金属ヒドリド錯体としては、具体的には、例えば、以下に示すルテニウム化合物、あるいは、以下に示す化合物中のルテニウムが、ロジウム、オスミウム、またはイリジウムで置換された化合物が挙げられる。
RuH(OCOCH3)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOCF3)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOCH2CH3)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOCH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOCH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOPh)(CO)(PPh3)2
RuH(OCOPh)(CO)(P(cyclohexyl)3)2
RuH(OCOPh-C511)(CO)(PPh32
(各式中Phはフェニル基を示す。)。
これらの金属ヒドリド錯体は、たとえば、対応する金属ポリヒドリド錯体とカルボン酸との反応によって得られる。また、前記金属ポリヒドリド錯体は、対応する金属ハライドヒドリド錯体と、KOHなどの塩基性の試薬とをアルコール溶媒中で反応させることによって得られる。反応スキームを以下に示す。
Figure 2008239957
この反応の具体的な方法は以下のとおりである。まず、窒素もしくはアルゴン雰囲気下で反応容器に金属ハライドヒドリド錯体のアルコール溶液を投入した後、KOHのアルコール溶液を滴下して、一定時間反応させることにより金属ジヒドリド錯体が得られる。次に、得られた金属ジヒドリド錯体に特定のカルボン酸を添加して、一定時間反応させることにより、目的の錯体が沈殿物として生成する。上澄みを濾過もしくはデカンテーションで分離した後、必要に応じてメタノールなど溶解性の低い溶媒を用いて沈殿を洗浄し、さらに残留溶媒を乾燥することにより、目的物が得られる。
反応系の温度は特に限定しないが、カルボン酸の酸性度に応じて−20℃〜200℃の範囲の温度で操作する。また、カルボン酸の使用量についても特に限定しないが、金属ポリヒドリド錯体の転化率を90%以上にするためには、金属ポリヒドリド錯体1部に対し、少なくとも1部以上、好ましくは3部以上、より好ましくは5部以上のカルボン酸を添加することが望ましい。
金属ハライドヒドリド錯体から金属ジヒドリド錯体を得る反応には、溶媒としてアルコールが用いられる。アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。これらアルコール溶剤は、1種単独で用い
ても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属ジヒドリド錯体から最終目的化合物である金属ヒドリド錯体を得る反応には、必要に応じて、適宜溶媒を選択して用いることができる。たとえば、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒;クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコールなどのアルコール系溶媒などを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、原料の溶解性、生成物の不溶解性および汎用性などの観点から、アルコール系溶媒またはアルコール系溶媒を含む混合溶媒が望ましく用いられる。また、場合によっては、無溶媒で反応を行うことも可能である。錯体の乾燥方法は特に限定されず、減圧下で残留溶媒を除去する方法、常圧下で窒素もしくはアルゴン気流中に暴露して残留溶媒を飛散させる方法などを採用することができる。
また、金属ヒドリド錯体は、MCl3・(H2O)mから、以下に示すような反応スキーム
によって、ワンポットで製造することもできる。
まず、MCln・(H2O)m(式中、MはRu、Rh、OsまたはIrであり、mは0〜
3の整数である。)とホルムアルデヒドとを、リン配位子を形成しうる化合物の存在下で反応させて金属ハライドヒドリド錯体とする。次いで、この金属ハライドヒドリド錯体とアルカリ金属水酸化物とをアルコール溶媒中で反応させて金属ジヒドリド錯体とする。さらに、この金属ジヒドリド錯体を反応系から単離することなく、該金属ジヒドリド錯体とカルボン酸R1COOHとを反応させる。このような反応スキームにより、金属ヒドリド
錯体を、ワンポットで製造することができる。例として、RuCl3・3H2Oを用いた反応スキームを以下に示す。
Figure 2008239957
・水素添加反応条件
本発明に係る環状オレフィン系重合体(A)を製造する際の水素添加反応条件は、特に限定されるものではないが、水素添加反応を上述した金属ヒドリド錯体(H)を用いて行う場合、金属ヒドリド錯体(H)の使用量は、可能オレフィン系重合体(A)に対して1〜10000ppm、好ましくは1〜5000ppm、さらに好ましくは1〜2500ppmである。触媒の使用量がこの範囲を超えると水素添加率が不十分であったり、使用した触媒の除去工程において負荷が大きくなり生産性の低下を招く場合がある。
本発明の水素添加反応時の水素分圧は3〜12MPa、好ましくは3.5〜11.5MPa、さらに好ましくは4.0〜11.0MPaである。水素分圧がこの範囲を超えると水素添加反応が十分に進行しない場合がある。
本発明における水素添加反応時の反応液温度は50〜200℃、好ましくは80〜190℃、さらに好ましくは90〜180℃である。反応溶液温度がこの範囲を超えると水素
添加反応が十分に進行しなかったり、触媒が失活する場合がある。
本発明の水素添加反応時に使用する溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量としては、環状オレフィン系重合体(A)の重量の0.3〜10倍、好ましくは0.4〜9倍、さらに好ましくは0.5〜8倍の重量である。溶媒の使用量がこの範囲を超えると溶液粘度が高くなり除熱が困難となったり、生産性が低下する場合がある。
このような水素添加反応の反応時間は、反応温度到達後を0として0.5〜10時間、好ましくは0.5〜9時間、さらに好ましくは0.5〜8時間である。反応時間がこの範囲を超えると水素添加反応が十分に進行しない、生産性が低下する等の問題が生じる場合がある。
本発明に係る環状オレフィン系重合体(A)は、必要に応じて公知の方法で精製して用いてもよい。
・環状オレフィン系重合体(A)の特性
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(A)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度(η)が、0.3〜2.0dL/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常8,000〜1,000,000、好ましく
は8,000〜1,000,000、10,000〜800,000、さらに好ましくは20,000〜500,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜3,00
0,000、好ましくは20,000〜2,000,000、さらに好ましくは30,000
〜1,000,000であることが望ましい。
分子量が小さすぎると、得られる成形品やフィルムの強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、環状オレフィン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜5であることが望ましい。
環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常50〜150℃であり、好ましくは75〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃である。Tgが低すぎると、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる成形品やフィルムの温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが高すぎると、加工温度を高くする必要があり、これにより樹脂組成物が熱劣化することがある。
<スチレン系共重合体(B)>
本発明に係るスチレン系共重合体(B)は、下記式(2)で表される構造単位(2)および下記式(3)で表される構造単位(3)を有する。
Figure 2008239957
(式(2)および式(3)中のR6は水素原子またはメチル基を示し、式(3)中のR7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。)
本発明で用いるスチレン系共重合体(B)中、上記構造単位(3)の含有率は、共重合体(B)の全構造単位100mol%中、通常0.1〜50mol%、好ましくは0.2〜40mol%、より好ましくは0.3〜35mol%である。上記数値範囲内であると、本発明に係る樹脂組成物に含有されるスチレン系共重合体(B)と、上述した環状オレフィン系重合体(A)との双方が良好な溶解性を示す溶媒が存在するので好ましい。
さらにスチレン系共重合体(B)は、下記式で表される構造単位(5)を有していてもよい。
Figure 2008239957
式(5)中、R21〜R23はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。また、R21とR22は相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成しても良い。)を形成してもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば、炭
素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−
NH−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基))等が挙げられ、これらを複数含む連
結基であってもよい。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基など挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等;カルボニルオキシ基としては、たとえば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;アルコキシカルボニル基としては、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等;アリーロキシカルボニル基としては、たとえば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等;トリオルガノシロキシ基としては、たとえば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等;トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等;アミノ基としては、第1級アミノ基;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
式(5)で表される構造単位を誘導する単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、無水マレイン酸、マレイミド類、マレイン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。また、後述する脱保護反応で変換されずに部分的に式(4)で表されるスチレン誘導体由来の構造単位が残存する場合など、式(4)で表されるスチレン系単量体なども、当該単量体に含まれる。構造単位(5)の含有率は、スチレン系共重合体(B)の全構造単位100mol%中、通常20mol%以下、好ましくは15mol%以下、より好ましくは10mol%以下である。
本発明に用いられるスチレン系共重合体(B)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度(η)が、0.1〜3.0dL/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが通常30,000〜1,000,000、好ましくは40,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000である。分子量が小さすぎると、得られるフィルム等の成形品の強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
さらに、スチレン系共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0である。
・スチレン系共重合体(B)の製造方法
本発明に用いられるスチレン系共重合体(B)は、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと、下記式(4)で表される単量体(4)とをラジカル開始剤の存在下で重合反応させた後、単量体(4)由来の構造単位におけるO−R8基をOH基に変換する工程を
含む方法により製造するのが好ましい。
Figure 2008239957
(式(4)中、R6およびR7は前記式(2)および(3)におけるR6およびR7と同義であって、R6は水素原子またはメチル基を示し、R7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、
8は、アセチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、−CH(OR9)(R10))、または−Si(R93で表される基のいずれかを示す。R9およびR10はそれぞ
れ独立に炭素数1〜6のアルキル基、またはR9とR10とが相互に連結して一体化した炭
素数1〜6の炭化水素基を示す。)
8としては、なかでもアセチル基、t−ブチル基が好ましい。
また、前記スチレンおよび/またはα−メチルスチレンは、スチレンのみであるのが好ましい。
スチレン系共重合体(B)の製造には、前記スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと、式(4)で表される単量体(4)とに加えて、さらに下記式(5m)で表される単量体(5)を用いてもよい。
Figure 2008239957
式(5m)中、R21〜R23は式(5)におけるR21〜R23と同様であって、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。また、R21とR22は相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成しても良い。)を形成してもよい。
〈重合反応〉
スチレン系共重合体(B)を製造する際の重合反応に用いられるラジカル開始剤としては、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。なお、多官能開始剤または水素引き抜き反応を起こし易い開始剤は、得られるスチレン系共重合体の線状性が低下するおそれがあるので、好ましくない。
有機過酸化物としては、ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−ト
ルオイル)ベンゾイル}パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
アゾビス系ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2’−アゾビスブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
これらラジカル開始剤の使用量は、前記スチレン系単量体全量100mol%中、通常0.01〜5mol%、好ましくは0.03〜3mol%、より好ましくは0.05〜2mol%である。
さらに、前記スチレン系単量体の重合反応には、触媒が用いられてもよい。この触媒は、特に限定されず、たとえば、公知のアニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
前記スチレン系単量体の重合反応は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、上記スチレン系単量体を、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることにより行なわれる。
溶液重合を実施する際に使用する溶剤としては、前記単量体および重合体を溶解するものであれば特に限定されないが、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。溶剤の使用量は、前記スチレン系単量体全量に対し、0〜3倍(重量比)の量であるのが望ましい。
重合反応時間は、通常1〜30時間、好ましくは3〜20時間であり、重合反応温度は、使用するラジカル開始剤の種類に依存するため、特に限定されないが、通常40〜180℃、好ましくは50〜120℃である。
〈−OR8基のOH基への変換反応〉
本発明に用いられるスチレン系共重合体(B)は、前記スチレン系単量体を重合させた後、さらに単量体(4)由来の構造単位におけるO−R8基をOH基に変換することによ
って得ることができる。これにより、たとえば、式(4)に表されるスチレン系単量体の
8が脱離して、スチレン系共重合体(B)に含有される式(3)に表される構造単位が
形成される。
上記変換反応としては、酸または塩基の存在下で加アルコール分解または加水分解で変換する方法、酸性条件下で加熱して変換する方法、加熱のみによって変換する方法、およびフッ化物イオンを用いて変換する方法などが挙げられる。これらは、O−R8基におけ
るR8の構造によって採用し得る好ましい方法が異なるが、概ね次の通りである。
O−R8基におけるR8が、例えば、アセチル基(−COCH3)、t−ブトキシカルボ
ニル基(−COOtBu)、シリル基(SiR9 3)、酸素原子と結合してアセタール基を
形成し得るアルコキシアルキル基(−CH(OR9)(R10))などの場合、酸性条件下で
加水分解または加アルコール分解する方法が好ましく採用される。
O−R8基におけるR8が、例えば、アセチル基(−COCH3)、t−ブトキシカルボ
ニル基(−COOtBu)などの場合、塩基性条件下で加水分解または加アルコール分解
する方法が好ましく採用される。
O−R8基におけるR8が、例えば、t−ブチル基(−tBu)、t−ブトキシカルボニ
ル基(−COOtBu)を挙げることができ、フッ化物イオンを用いて変換させる方法が
適用できるR14としてはシリル基(SiR9 3)などの場合、酸性条件下で加熱して変換する方法または加熱のみによって変換する方法が好ましく採用される。
《加水分解および加アルコール分解》
前記加水分解および加アルコール分解に用いられる酸としては、塩酸、臭酸等のハロゲン化水素、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、硝酸、またはフェノール類等のブレンステッド酸、りんタングステン酸、りんモリブデン酸等のヘテロポリ酸、硫酸化ジルコニア、ゼオライト等の固体酸、イオン交換樹脂、高分子電解質等の高分子酸、およびハロゲン化、アルキル化、および/ま
たはアルコキシ化されたアルミニウム、チタン、タングステン、またはホウ素化合物等のルイス酸、公知の固定化ルイス酸が挙げられる。酸の使用量は、式(4)に表されるスチレン系単量体の使用量とのモル比が、通常、酸/式(4)に表されるスチレン系単量体=1/1000〜1/1、好ましくは1/300〜1/5である。
また、塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。塩基の使用量は、式(4)に表されるスチレン系単量体のモル数以上のモル数を要し、通常、式(4)に表されるスチレン系単量体の使用量とのモル比が、塩基/式(4)に表されるスチレン系単量体=1/1〜5/1である。さらに、加水分解後または加アルコール分解後に酸によって中和する必要がある。中和に用いられる酸としては、前記酸と同様の酸を用いることができる。塩基として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の金属ヒドロキシドのような水溶性塩基を用いる場合には、さらに相関移動触媒として、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、クラウンエーテル、ポリ(オリゴ)エチレングリコール等を使用してもよい。
反応温度としては通常0〜180℃、好ましくは30〜150℃、更に好ましくは40〜120℃である。反応時間としては通常1〜30時間、好ましくは1〜25時間、より好ましくは1〜20時間である。反応溶媒としては、変換反応前の重合体および変換反応後の重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、重合反応と同じ溶媒であるのが好ましい。また、溶媒の使用量としては、重合反応に使用する溶媒の1〜5倍の重量であ
ることが好ましく、1〜3倍の重量であるのがより好ましい。水またはアルコールの添加量としては、O−R14基の1〜30倍モルであることが好ましく、1〜20倍モルであることがより好ましい。使用するアルコールは特に限定されないが、炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
《酸性条件下での加熱変換反応》
酸性条件下での加熱変換反応に用いることができる酸およびその添加量、反応温度、反応時間、溶媒種、溶媒使用量に関して、上記《加水分解および加アルコール分解》で挙げたものと同様の条件を適用することができる。但し、本方法では水またはアルコールは添加しても良いし添加しなくても良い。
《加熱のみによる変換反応》
式(4)に表されるO−R14基におけるR14が、熱エネルギーのみによって脱離し得る場合は、重合体鎖が分解する温度を大きく超えない温度条件下にて熱分解をすることにより、スチレン系共重合体(A)を得ることができる。このような温度は通常100〜350℃、好ましくは120〜300℃である。
《フッ化物イオンを用いた変換反応》
フッ化物イオンを用いた変換反応に用いることができる試剤としては、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素等を挙げることができる。フッ化物イオンの使用量としては、フッ化物イオンの使用量と式(4)に表されるスチレン系単量体の使用量とのモル比(フッ化物イオン/式(4)に表されるスチレン系単量体)が、通常、1/1〜5/1、好ましくは1/1〜3/1である。
〈精製〉
本発明に係るスチレン系共重合体(B)は、通常、上記変換反応後、精製することによって得られる。精製には、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、得られた反応物溶液をトルエンまたはテトラヒドロフラン等の良溶媒で希釈後、メタノール、水、またはこれらの混合溶液を添加して重合体を適度に凝集させ、抽出処理する方法が挙げられる。抽出処理の際、反応溶媒として使用した溶媒および希釈のために添加した溶媒を合計した良溶媒量と重合体との重量比(良溶媒/重合体)は、0.5/1〜6/1、好ましくは
0.7/1〜4/1である。また、抽出に使用するメタノール、水、またはこれらの混合溶液等の貧溶媒の使用量は重量比(貧溶媒/前記良溶媒)で、0.3〜5、好ましくは0
.5〜3である。抽出温度としては、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃である。
前記のように抽出した後、溶液を冷却して軽重層に分離させ、遠心分離機等で軽層を除去する。これらの抽出操作を1〜10回繰り返した後、重液を濃縮してデボラチライター、ルーダー等の脱溶装置で脱溶する。脱溶時の温度は150〜350℃、好ましくは200〜350℃、真空度は0.1〜50mmHg、好ましくは1〜40mmHgである。また、脱溶前に希釈して循環濾過を実施してもよい。濾過の際、濾剤の孔径は0.1〜100μmのものを1種単独で使用してもよく、孔径の異なるフィルターを段階的に複数設置してもよい。また、脱溶後の溶融ポリマーを濾過することにより精製してもよい。この際のポリマーフィルターの孔径は0.1〜100μmであるのが望ましい。
・スチレン系共重合体(B)の特性
本発明に係るスチレン系共重合体(B)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度(η)が、0.1〜3.0dL/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレ
ン換算の重量平均分子量Mwが通常30,000〜1,000,000、好ましくは40,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000である。分子量が小さすぎると、得られるフィルム等の成形品の強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
さらに、本発明に係るスチレン系共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0である。
<樹脂組成物>
本発明に係る樹脂組成物は、上記環状オレフィン系重合体(A)と、スチレン系共重合体(B)とを含有する。本発明の樹脂組成物における環状オレフィン系重合体(A)と、スチレン系共重合体(B)との組成比((A)/(B))は、重量比で、通常20/80〜90/10、好ましくは50/50〜80/20、より好ましくは60/40〜75/25の範囲であるのが望ましい。環状オレフィン系重合体(A)と、スチレン系共重合体(B)との組成比がこのような範囲にあると、相溶性に優れ、加工性が良好であり、フィルム化した場合には透明性、均質性、平滑性に優れ、強度にも優れたフィルムが容易に得られるため好ましい。スチレン系共重合体(B)の配合量が上記下限未満になると、樹脂組成物から得られる延伸フィルムが逆波長分散性を示さないことがある。また、スチレン系共重合体(B)の配合量が上記上限を超えると、得られる樹脂組成物や光学フィルムの耐熱性が低下したり、光学フィルムの強度が低下したりすることがある。特に、製膜後のフィルムを延伸することにより正の波長依存性を有する光学フィルムを得るためには、(A)/(B)は、重量比で、73/27〜67/33の範囲であることが特に好ましい。また、複屈折率がほぼゼロに近い成形体を得るためには、(A)/(B)は、重量比で、好ましくは40/60〜85/15、特に好ましくは40/60〜60/40の範囲であることが望ましい。当該成形体は、1mm厚での最大位相差値を50nm以下とすることができる。
本発明に係る樹脂組成物、光学フィルムおよび成形体は、さらに炭化水素樹脂を含有していてもよい。この炭化水素樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5系/C9系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、これらの樹脂の水素添加物およびビニル置換芳香族系樹脂の水素添加物などを挙げることができる。樹脂組成物が炭化水素樹脂を含有する場合、その含有量は、環状オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜25重量部である。
本発明に係る樹脂組成物は、耐熱劣化性や耐光性の改良のために下記に示す酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
酸化防止剤としては、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t
−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,
9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5
.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリ
ックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サ
イクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル
)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチル
フェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,2'-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-[(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕などが挙げられる。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
これらの添加剤の添加量は、本樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部である。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明に係る樹脂組成物は、例えば、下記(i)〜(iii)の方法により得ることがで
きる。
(i)環状オレフィン系重合体(A)と、スチレン系共重合体(B)と任意成分とを、二軸押出機またはロール混練機などを用いて混合する方法。
(ii)環状オレフィン系重合体(A)を適当な溶媒に溶解した溶液に、スチレン系共重合体(B)を添加、混合する方法。
(iii)環状オレフィン系重合体(A)またはその溶液と、スチレン系共重合体(B)ま
たはその溶液とを混合溶解し、デボラチライターやルーダー等を用いて脱溶する方法。
この際に使用する溶剤としては、光学フィルムの溶剤キャスト法で用いる一般的な溶剤を用いることができる。溶解性を考慮すると塩化メチレンが好ましい。上記方法により得られる樹脂組成物は、高分子量の重合体を含有するため、フィルム強度に優れた光学フィルムを得ることができる。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムは、上述の樹脂組成物を溶融成形法、溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルムに成形することにより得ることができる。
溶剤キャスト法としては、たとえば、上述した本発明に係る樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐか、または塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂組成物の濃度を、通常は1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等の問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜500,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜200,000(mPa・s)、特に好ましくは1,000〜100,000(mPa・s)である。
ここで使用する溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が通常10〜30(MPa1/2
、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは17〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特
性の良好な光学フィルムを得ることができる。
上記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。溶媒を2種以上併用する場合には、混合物としてのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合物としてのSP値は、その重量比から求めることができ、例えば二種の混合物の場合は、各溶媒の重量分率をW1、W2、また、SP値をSP1,SP2とすると混合溶媒のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
樹脂溶液の調製において、本発明に係る樹脂組成物を溶媒で溶解する場合の温度は、室温でも高温でもよい。十分に撹拌することにより均一な溶液が得られる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に染料、顔料等の着色剤を適宜添加することもできる。
また、光学フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であれば何れも使用できるが、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
本発明の光学フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピングなどの手段を用いて,樹脂組成物溶液を基材に塗布し、その後溶剤を乾燥・除去して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、塗布の繰り返しにより厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングやラミネートにより積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
上記溶剤キャスト法の乾燥(溶剤除去)工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あ
るいは風量を制御することが好ましい。
また、光学フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%以上であると、実際に該光学フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりTgが低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。溶媒を微量残留させることで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明の光学フィルムの厚さは、通常は0.1〜3,000μm、好ましくは0.1〜
1,000μm、さらに好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜300μmであ
る。0.1μm未満の厚みの場合実質的にハンドリングが困難となる。一方、3,000
μm以上の場合、ロール状に巻き取ることが困難になる。
本発明の光学フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を実施することにより、均質な光学フィルムとすることができるとともに、延伸配向した際の透過光の位相差ムラを防ぐことができる。
押出成形法としては、押出機により、樹脂を溶融し、ギアポンプにより定量供給し、これを金属フィルターでろ過により不純物を除去して、ダイにてフィルム形状に賦型し、引き取り機を用いてフィルムを冷却し、巻き取り機を用いて巻き取る方法が一般的に使用される。
押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コニーダー、バンバリーミキサータイプなど、いずれを用いても良いが、好ましくは単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフライト型、フルフライト型、バリア型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧縮タイプなどがあるが、フルフライト型緩圧縮タイプまたはバリア型が好ましい。
計量に使用するギアポンプに関しては、ギアの間で下流側より戻される樹脂が、系内に入る内部潤滑方式と、外部に排出される外部潤滑方式があるが、熱安定性が良好でないノルボルネン系重合体の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプのギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方が、計量の安定化の点から好ましい。
異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、キャンドルフィルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられるが、比較的滞留時間分布が小さく、ろ過面積を大きくすることが可能な、リーフディスクタイプのものが好ましい。フィルターエレメントとしては、金属繊維焼結タイプ、金属粉末焼結タイプ、金属繊維/粉末積層タイプなどが挙げられる。
フィルターのセンターポールの形状には、外流タイプ、六角柱内部流動タイプ、円柱内
部流動タイプなどが挙げられるが、滞留部が小さい形状であれば、いずれの形状を選択することも可能である。
溶融された樹脂は、ダイから吐出され、冷却ドラムに密着固化されて目的とするフィルムに成形される。ダイ形状に関しては、ダイ内部の樹脂流動を均一にすることが必須であり、フィルムの厚みの均一性を保つためには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧力分布が幅方向で一定であることが必須である。また、幅方向での樹脂の流量がほぼ一定であり、ダイの出口での流量の微調整をリップ開度により調整可能な範囲で一定であることが厚みの均一性を得るために必須用件である。上記条件を満たすためには、マニホールド形状は、コートハンガータイプが好ましく、ストレートマニホールド、フィッシュテールタイプなどは、幅方向での流量分布などが発生しやすくなるために好ましくない。
また、上記のフィルムの厚み分布を均一にするためには、ダイ出口での温度分布を幅方向において一定にすることが重要であり、温度分布は好ましくは±1℃以下であり、さらに好ましくは±0.5℃以下である。±1℃を超えて幅方向に温度ムラが生じていると、樹脂の溶融粘度差が生じ、厚みムラ、応力分布ムラなどが生じるため、延伸操作を実施する過程において、位相差ムラが発生しやすくなり好ましくない。
さらに、ダイ出口のリップ開き量(以下、「リップギャップ」という。)は、通常、0.3〜1.5mmであり、好ましくは0.3〜1.2mmであり、さらに好ましくは0.35〜1.0mmである。リップギャップが0.3mm未満であると、ダイ内部の樹脂圧力が高くなり過ぎて、樹脂がダイのリップ以外の場所から樹脂漏れを起こしやすくなるため好ましくない。一方、リップギャップが1.5mmを超えると、ダイの樹脂圧力が上がりにくくなるため、フィルムの幅方向の厚みの均一性が悪くなり好ましくない。
ダイから押出されたフィルムを密着固化させる方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバー方式、カレンダー方式などが挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。
ダイから押出されたフィルムを固化するための冷却ロール表面についても、押出機シリンダー、ダイスの内面などと同様に、各種の表面処理が行われることが好ましい。
押出機(シリンダー・スクリューなど)、ダイスの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、押出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などに
より、TiN、TiAlN、TiCN、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
本発明の光学フィルムを製造する際の樹脂温度(押出機シリンダー温度)としては、通常、200〜350℃、好ましくは220〜320℃である。樹脂温度が200℃未満では、樹脂組成物を均一に溶融させることができず、一方、350℃を超えると、溶融時に樹脂組成物が熱劣化して表面性に優れた高品質なフィルムの製造が困難になる。さらに、上記温度範囲内であって、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+120℃〜Tg+160℃の範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂組成物のTgが130℃であれば、フィルム製造にとって特に好ましい温度範囲は250℃〜290℃である。本発明の樹脂組成物は、上記のような高温下においてもフィルムの結晶化(白濁)を抑制することができ、優れた相溶性を有するため、押出成形性が良好である。ここ
で、樹脂組成物のTgとは、示差走査熱量計にて測定された示差走査熱量曲線と微分示差走査熱量曲線を用い、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた値である。本発明においては、環状オレフィン系重合体(A)とスチレン系重合体(B)とが相溶性に優れるため、上記方法にて1点のTgを求めることができる。
また、溶融押出時のせん断速度としては、通常、1〜500(1/sec)、好ましくは2〜350(1/sec)、より好ましくは5〜200(1/sec)である。押出時のせん断速度が1(1/sec)未満では、樹脂組成物を均一に溶融させることができないため厚み斑が小さい押出フィルムを得ることができず、一方、500(1/sec)を超えると、せん断力が大きすぎて樹脂および添加物が分解・劣化し、押出フィルムの表面に発泡、ダイライン、付着物などの欠陥が生じてしまうことがある。
本発明の光学フィルムの厚みは、通常、10〜800μm、好ましくは、20〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。10μm未満の厚みの場合、機械的強度不足などにより延伸加工などの後加工する場合に難があることがあり、一方、800μmを超える厚みの場合、厚みや表面性などが均一なフィルムを製造することが難しいばかりか、得られたフィルムを巻き取ることが困難になることがある。
原反フィルム(未延伸フィルム)である本発明の光学フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±1%以内である。厚み分布が±5%を超えると、光学特性や表面平滑性に劣る場合があるほか、延伸処理を行った光学フィルムとした場合に位相差ムラが発生しやすくなることがある。
<延伸フィルム>
本発明に係る延伸フィルムは、上記方法によって得た本発明の光学フィルムをさらに加熱延伸加工することにより得ることができ、透過光に位相差を与えるフィルムとして用いることができる。具体的には、公知の一軸延伸法、二軸延伸法、Z軸延伸法により製造することができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の速度の異なるロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜
1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜
500%/分である。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物のTgを基準として、通常はTg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。前記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となる。また、本発明の樹脂組成物は、このような高温による延伸加工においても、ポリスチレン系共重合体を構成する各構造単位の含有率をコントロールすることにより、フィルムの結晶化や相分離によるフィルムの透過率低下および白濁を抑制することができ、優れた相溶性が付与され、加熱延伸加工性が良好である。
延伸倍率は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍以上の場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、さらに好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した光学フィルムが得られる。
延伸加工を施さない本発明の光学フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
また、本発明の延伸フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、環状オレフィン系重合体(A)あるいはスチレン系共重合体(B)を構成する構造単位を導く単量体の種類の選択や共重合比、ならびに(A)と(B)との組成比といった樹脂組成物の選択に加え、延伸方法の条件を調整することも有力な手段である。
上記のようにして得られる延伸フィルムは、延伸により分子が配向し透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。
延伸フィルムが透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであり特に限定はされないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはレーザー光学系の波長板に使用する場合は、通常は1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、さらに好ましくは15〜1,000nmである。
また、延伸フィルムを透過した光の位相差は均一性が高いことが好ましく、波長550nmにおける位相差のバラツキは、通常±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下である。すなわち、波長550nmにおける位相差は、通常平均値に対して±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下の範囲内にある。位相差のバラツキが±20%を超えると、液晶表示素子等に用いた場合、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が悪化する場合がある。
さらに、本発明に係る光学フィルムは、波長650nmでの位相差Re(650)と波長450nmでの位相差Re(450)との比(Re(650)/Re(450))が、1.8〜0.1、好ましくは1.7〜0.3、さらに好ましくは1.6〜0.8の範囲に
あることが望ましい。本発明に係る光学フィルムを視野角補償フィルムとして使用する場合は、好ましくは1.8〜1.01、さらに好ましくは1.1〜1.02である。このような条件を満たす光学フィルムでは、ある波長λでの位相差をRe(λ)としたとき、400〜800nmの全波長領域で、Re(λ)/λの値をほぼ一定とすることが可能となる。
<偏光板>
本発明の光学フィルムあるいは延伸フィルムは、単独で用いられるだけでなく、透明基板等に貼り合わせて、偏光板として用いることができる。また、偏光板を他のフィルム、シート、基板に積層して使用することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。これらの粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましく、具体例としては天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系、変性ポリオレフィン系、及びこれらにイソシアナートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、上記偏光板は、他のフィルムシート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層、又は接着剤層を積層することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤としては前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
<液晶表示装置>
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置に用いることができ、液晶表示装置の表示特性をより改善することができる。液晶表示装置としては、たとえば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示装置が挙げられる。
<成形体>
本発明の樹脂組成物は、フィルム形状に好適に成形し得るとともに、種々の成形方法により所望の形状の成形体に成形することができる。
本発明の成形体は、上述した本発明の樹脂組成物を主成分とするものであり、必要に応じて添加剤あるいは少量のその他の樹脂成分を含んでいてもよい本発明の樹脂組成物を適宜成形して製造することができる。成形方法としては、射出成形、押出成形などの、樹脂を成形する従来公知の方法をいずれも採用することができるが、このうち射出成形が、光学特性に優れた成形体を容易に製造することができるため好ましい。本発明の成形体が射出成形により得られる場合には、成形方法が簡便であるとともに、透明性に優れ、複屈折率の小さな成形品とすることができ、光学部品用途に特に好適である。光学部品としては、たとえば、円錐レンズや球面・円筒レンズなどの各種特殊レンズ、誘電体ミラーまたは金ミラー、波長板などが挙げられる。
射出成形には、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、本発明の樹脂組成物を加熱シリンダの中で加熱・混練して溶融し、該加熱シリンダより金型内へ、加圧下射出する。その後、金型内で冷却・固化され、押出装置によって押し出され、成形品が得られる。用いる金型構造を変えることにより、種々の形状を有する光学部品とすることができる。この際における樹脂の溶融温度は、上記押出成形の際における溶融温度と同様であるのが好ましく、射出成形時の樹脂温度(射出成形機のシリンダー温度)としては、通常、200〜350℃、好ましくは220〜320℃である。樹脂温度が200℃未満では、樹脂組成物を均一に溶融させることができず、一方、350℃を超えると、溶融時に樹
脂組成物が熱劣化して表面性に優れた成形体の製造が困難になる。さらに、上記温度範囲内であって、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+120℃〜Tg+160℃の範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂組成物のTgが130℃であれば、成形体製造にとって特に好ましい温度範囲は250℃〜290℃である。本発明の樹脂組成物は、上記のような高温下においても成形体の結晶化(白濁)を抑制することができ、優れた相溶性を有するため、射出成形性が良好である。また、射出成形時のせん断速度としては、通常、1000〜10000(1/sec)である。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は重量部を示す。
以下の実施例、比較例において、各種測定および評価は以下のようにして行った。
[A成分の固有粘度]
環状オレフィン系重合体(A)成分の、濃度0.5g/100mlのクロロベンゼン溶液を調製し、30℃の条件でウッベローデ型粘度計を用いて測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃とし、窒素気流下で測定した。ガラス転移温度(Tg)は、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
[メルトフローレート(MFR)]
JIS K7210に準拠して、98N荷重、260℃でのMFRを測定した。
[Haze]
X−Rite株式会社製 X−Rite8200用い、JIS K7136に準じ測定した。
[YI]
X−Rite株式会社製 X−Rite8200用い、JIS K7361に準じ測定した。
[全光線透過率]
X−Rite株式会社製 X−Rite8200用い、ASTM E313に準じ測定した。
[引き裂き強度]
フィルムの引き裂き強度をJIS K6772に準じて測定した。
[点状欠陥測定]
A成分とB成分の混合樹脂を乾燥温度100℃で、窒素下で4時間の除湿乾燥を行った後、クリーンルーム内で、800kgのステンレスコンテナに当該樹脂を導入し、8kPaの陽圧にした状態で15日間保存した。なお、上記ステンレスコンテナは、樹脂導入前に予め内部の空気を乾燥窒素で置換した後に、0.2μmのPVDF製フィルタを通して清浄にした水で湿らせた洗浄紙(旭化成工業製;商品名「ベンコット」)により内部の塵芥などを除去したものを用いた。その後、当該樹脂を押出機(ジーエムエンジニアリング社製:GM−65)に導き260℃で溶融し、ギアポンプを用いて定量で送液し、5μmリーフディスクフィルターを用いて、異物を除去し、260℃に設定したアルミ鋳込みヒーターにより加熱されたTダイから押出を実施し、樹脂フィルムを得た。このフィルムを
10m2巻きだして黒紙の上に置き、100wの蛍光灯の下で反射光の揺らぎを確認した
。反射光の揺らぐところを点状欠陥として、その部分をマーキングした。その後、50倍の光学顕微鏡でフィルム表面を観察し、直径30μm以上の点状欠陥の個数を数えた。
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロ
フラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
[位相差]
波長550nmにおける位相差(レターデーション)を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて測定した。なお、射出成形体については、成形品のゲート部中央の値を最大位相差として測定した。
[合成例1](スチレン系重合体(B−1)成分の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン117.66g(1.13mol)、p−アセトキシスチレン32.34g(0.199mol)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1'−アゾビス(シクロヘキサン
−1−カルボニトリル)0.65g(2.65mmol)を加え、90℃に加熱し、15時
間反応させた。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ85%であった。
得られた重合反応溶液中にトルエン150gを添加して希釈した後、メタノール43.6g(1.36mol)、濃硫酸 1.338g(0.0136mol)を添加して60
℃に加熱して2時間反応させた。その後、50.5重量%の乳酸ナトリウム水溶液3.52g(0.0314mol)を添加して60℃で30分間攪拌を継続した。反応溶液をpH試験紙(Whatman社製CSタイプ、0.2間隔)に少量塗布してpH測定したところpH=3.8であった。
この反応液にトルエン449gを添加して均一に混合した後、メタノール899gを添加して60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。この上層溶液のみを分離して取り除いた。残った下層溶液にトルエン440gを添加して均一に混合した後、メタノール617gを添加して再度60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置し、重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。上層溶液を取り除いた後、トルエン440gおよびメタノール617gを添加して冷却静置後に上層を分離除去する操作をさらに2回繰り返して重合体、トルエン、およびメタノールを含む重合体溶液を得た(以下、この重合体溶液を「重合体溶液1」ともいう)。この重合体溶液中の重合体濃度を測定したところ30重量%であり、得られた溶液重量から算出した収率は80%であった。この重合体溶液1を80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させ、スチレン系重合体(B−1)を得た。得られた重合体(B−1)の分子量、収率をそれぞれ測定したところ、Mw=120,553(Mw/Mn=1.97)、収率は80%であった。
同様にして抽出精製した重合体溶液1(重合体濃度30重量%)を10kg作成し、これに酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタン9gを加えて均一に混合した(以下この樹脂溶
液をドープ1と呼ぶ)。
[合成例2](スチレン系重合体(B−2)成分の製造)
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン392.3g(3.766mol)、p−tブトキシスチレン57.72g(0.3275mol)、溶媒
としてトルエン211g、およびラジカル開始剤として1,1'−アゾビス(シクロヘキ
サン−1−カルボニトリル)1.50g(6.141mmol)を加え、90℃に加熱し
、10時間反応させた後、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.50g(2.047mmol)を追添加して90℃で更に10時間反応を行った。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ92%であった。また、分子量を測定したところ、Mw=126,700、Mw/Mn=2.00であった。
得られた重合反応溶液中にトルエン225gを添加して希釈した後、メタノール(硫酸の拡散剤)90g、濃硫酸1.15g(0.0117mol)を添加して60℃に加熱して8時間反応させた。その後、50.5重量%の乳酸ナトリウム水溶液3.03g(0.027mol)を添加して60℃で30分間攪拌を継続した。反応溶液をpH試験紙(Whatman社製CSタイプ、0.2間隔)に少量塗布してpH測定したところpH=3.8であった。
この反応液にトルエン449gを添加して均一に混合した後、メタノール899gを添加して60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。この上層溶液のみを分離して取り除いた。残った下層溶液にトルエン440gを添加して均一に混合した後、メタノール617gを添加して再度60℃で1時間抽出を行った。これを30℃以下に冷却して1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分離した。トルエン440gおよびメタノール617gを添加して冷却静置後に上層を分離除去する操作をさらに2回繰り返して重合体、トルエン、およびメタノールを含む重合体溶液(以下、この重合体溶液を「重合体溶液2」ともいう)を得た。この重合体溶液中の重合体濃度を測定したところ30重量%であり、得られた溶液重量から算出した収率は90%であった。この溶液の一部を乾燥して分析した結果、Mw=129,208、Mw/Mn=1.90、Tg=111℃、NMRにより求めた共重合組成比は仕込み比通りでありブトキシ基のOH基への変換率は98%であった。
同様にして抽出精製した重合体溶液2(重合体濃度30重量%)を10kg作成して酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン9gを加えて均一に混合した(以下この樹脂溶液をドープ2と呼ぶ)。この溶液を50mmφ(L/D=13.2)の二軸押出し機を用い、220℃、20mmHgで脱溶してペレット化し、ペレット状のスチレン系重合体(B−2)を得た。得られた樹脂ペレットを分析した結果、YI=0.8、Mw=119369、Mw/Mn=1.98、Tg=111℃、残留トルエン=900ppmであった。
[合成例3](環状オレフィン系重合体(A−1)成分の製造)
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン(a−1成分)300部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−
ジエン(a−2成分)60部、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(a−4成分)40部、1−ヘキセン(分子量調節剤)30部、トルエン600部を窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/リットル)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応におけるa−1、a−2、a−4成分の重
合転化率はそれぞれ、97%、99%、78%であった。
次いでこれにトルエン110部、RuH(OCOPh-C511)(CO)(PPh3)2ルテニウム水素化触媒0.0418部を加え、水素置換を3回行い8MPaに昇圧した。その後反応機の内温を160℃に上げて、10MPaに圧力を設定し、3hの水添反応を行った。水添後の1H−NMR分析により求めた水添率は98.9%であった。
反応終了後、トルエン100部を加え希釈して、蒸留水3部、乳酸0.72部、過酸化水素0.00214部を加え、60℃で30分加熱した。その後メタノール234部を加え、60℃で30分加熱した。これを25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液333部を除去し、トルエン202部、水3部を加え、60℃で30分加熱した。その後メタノール132部を加え、60℃で30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。再度、上澄み液333部を除去し、トルエン202部、水3部を加え、60℃で30分加熱した。その後メタノール132部を加え、60℃で30分加熱した。25℃まで冷却すると2層に分離した。最後に上澄み液333部を除去後、下層部のポリマー溶液をトルエンで固形分濃度20%に希釈し、2.0μm、1.0μm、0.2μmの3段の濾過を行った(以下この樹脂溶液をドープ3と呼ぶ)。これにより環状オレフィン系重合体(A−1)を得た。ポリマー収率=92%、10%トルエン溶液のYI=0.31、η=0
.61、mW=87993、Mn=28488、Mw/Mn=2.5、Tg=145℃であった。
[合成例4](環状オレフィン系重合体(A−2)成分の製造)
合成例3において、a−4成分35部、a−1成分65部を用い、a−2成分を用いなかったこと以外は合成例3と同様に行い、環状オレフィン系重合体(A−2)を得た(以下この樹脂溶液をドープ4と呼ぶ)。ポリマー収率=91%、10%トルエン溶液のYI=0.31、η=0.61、Mw=87052、Mn=36501、Tg=146℃であった。
[合成例5](環状オレフィン系重合体(A−3)成分の製造)
a−4成分25部、a−1成分50部、トルエン150部、1−ヘキセン3.18部を仕込み、80℃に昇温した。次いでトリエチルアルミウム0.030部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630:427(重量比
))0.0510部を加えて反応を開始した。5分後に反応機内温は最高到達温度の121℃に達した。この時点でサンプリングした結果、a−4、a−1成分のコンバージョンはそれぞれ、78%、90%であった。最高到達温度を確認1分後、a−1成分25部を12分かけて滴下し、さらに1時間反応させた。a−4、a−1成分のコンバージョンはそれぞれ、滴下開始6分後95%、90%、12分後(滴下終了後)は95%、92%であった。
次いで合成例3と同様にして水素添加、洗浄、濾過を行い、環状オレフィン系重合体(A−3)を得た(以下この樹脂溶液をドープ5と呼ぶ)。ポリマー収率=94%、10%トルエン溶液のYI=0.28、η=0.62、Mw=101450、Mn=36658、Tg=137℃であった。また、水素化反応後の水素添加率は99.2%であった。
[合成例6](環状オレフィン系重合体(A−4)成分の製造)
合成例5において、a−1成分の滴下開始を反応開始後に変更したこと以外は合成例5と同様に行い、環状オレフィン系重合体(A−4)を得た。a−4、a−1成分のコンバージョンはそれぞれ、滴下開始6分後86%、90%、12分後(滴下終了後)は94%、87%、反応終了後が97%、94%であった。また、水素化反応後の水素添加率は99.9%であった。次いで合成例3と同様にして水素添加、洗浄、濾過を行い、環状オレ
フィン系重合体(A−3)を得た(以下この樹脂溶液をドープ6と呼ぶ)。
[合成例7](環状オレフィン系重合体(A−5)成分の製造)
合成例3において、モノマーの仕込み量を、(a−1)成分89重量部、(a−2)成分10重量部およびビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン((a−3)成分)1重量部に変更したことのほかは、合成例3と同様にして、環状オレフィン系重合体(A−5)を得た(以下この樹脂溶液をドープ7と呼ぶ)。ポリマー収率=(97)%、10%トルエン溶液のYI=(0.20)、η=(0.61)、Mw=(88000)、Mn=(29900)、Tg=(157)℃であった。
[実施例1]
合成例3で得られたドープ3(環状オレフィン系重合体(A−1)(A成分))を65部(固形分換算)と、合成例1で得られたドープ1(スチレン系重合体(B−1)(B成分))35部(固形分換算)とを配合し、0.2μmポアサイズのPTFEフィルターで
濾過した後、260℃、1.0torの条件で脱容器にて溶融溶媒除去を行い、5μmフ
ィルターを通過させてブレンド樹脂を得た。ブレンド樹脂は5μmポリマーフィルターを有す溶融押し出し装置にて260℃で10m/minの速度で成膜し、190μm膜厚と100μm膜厚のフィルムを作成した。フィルター通過前と通過後の差圧は、190μm膜厚作成時は6MPa、100μm膜厚作成時は5.5であった。また、ブレンド樹脂を100℃、4時間の条件で乾燥を行った後、射出成形機SG75M−S(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)を用いて、樹脂温度280℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sec、ホッパーおよびシリンダーを窒素シールした条件で射出成形し、長さ80mm、幅40mm、厚さ3mmの平板を成形した。これらを試験片として用いて評価した各性状を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、樹脂成分として、合成例4で得られたドープ4(環状オレフィン系重合体(A−2)(A成分))70部(固形分換算)と、合成例2で得られたドープ2(スチレン系重合体(B−2)(B成分))30部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造し、評価した。各性状を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、樹脂成分として、合成例5で得られたドープ5(環状オレフィン系重合体(A−3)(A成分))70部(固形分換算)と、合成例2で得られたドープ2(スチレン系重合体(B−2)(B成分))30部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造し、評価した。各性状を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、樹脂成分として、合成例6で得られたドープ6(環状オレフィン系重合体(A−4)(A成分)70部(固形分換算)と、合成例2で得られたドープ2(スチレン系重合体(B−2)(B成分))30部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造した。各試験片について、実施例1と同様に評価した。各性状を表1に示す。100μmフィルムのHaze=0.3、YI=0.1と着色性が小さく、透明なフィルムであった。
また、得られたブレンド樹脂のTg測定におけるチャートを図1に示す。チャートでは、各樹脂成分B−2およびA−4のTgは消失し、ブレンド樹脂の単一ピークが確認され,スチレン系共重合体(B−2)と、環状オレフィン系重合体(A−4)とが相溶化して
いることが判った。さらにフィルムで測定したTgは、128℃のシングルピークな事から、スチレン系共重合体(B−2)と、環状オレフィン系重合体(A−4)はフィルム成形後も分離していないことが判った。
一方、前記で得た190μmのフィルムを10cm×10cmに切り出し、横方向の幅を10cmのまま変化させない幅拘延伸を行なった。(延伸条件:延伸温度=130℃(Tg+3℃)、延伸スピード=300mm/min、縦方向の延伸倍率=3.0倍。延伸後膜厚=60μm。)得られた延伸フィルムの550nm、650nmの位相差はそれぞれ、140nm、145nmであり、650nmと550nmの位相差比(波長分散性)=1.036であった。550nm、650nmの複屈折は位相差/膜厚より算出してそ
れぞれ、0.00175、0.00181であった。またNZ係数=1.025であった。587nmにおけるの屈折率は1.537であった。
[実施例5]
実施例1において、樹脂成分として、合成例6で得られたドープ6(環状オレフィン系重合体(A−4)(A成分)55部(固形分換算)と、合成例2で得られたドープ2(スチレン系重合体(B−2)(B成分))45部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造した。各試験片について、実施例1と同様に評価した。各性状を表1に示す。
試験片のうち、射出成形機を用いて280℃でブレンド樹脂を射出成形して得た、厚さ3mmの平板状成形品は、位相差が最大2nmと非常に小さく、複屈折性が低く、YI=0.7と着色性が小さいことがわかった。587nmでの屈折率は1.550であった。
また、得られたブレンド樹脂のTg測定におけるチャートを図2に示す。チャートでは、各樹脂成分B−2およびA−4のTgは消失し、ブレンド樹脂の単一ピークが確認され,スチレン系共重合体(B−2)と、環状オレフィン系重合体(A−4)とが相溶化していることが判った。
[比較例1]
実施例1において、樹脂成分として、合成例7で得られたドープ7(環状オレフィン系重合体(A−5)(A成分))65部(固形分換算)と、合成例1で得られたドープ1(スチレン系重合体(B−1)(B成分))35部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造し、評価した。各性状を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、樹脂成分として、合成例7で得られたドープ7(環状オレフィン系重合体(A−5)(A成分))65部(固形分換算)と、合成例2で得られたドープ2(スチレン系重合体(B−2)(B成分))35部(固形分換算)とを用いたことの他は、実施例1と同様にしてブレンド樹脂および各試験片を製造し、評価した。各性状を表1に示す。
Figure 2008239957
Figure 2008239957
本発明の樹脂組成物は、高透明であり、均一性が高く、フィルム化した際には微細な欠陥を高度に抑制することができ、各種光学用途に使用でき、各種光学フィルム用途に特に好適に使用できる。本発明に係る光学フィルムは、ディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、拡散フィルム、反射防止フィルム、液晶基板、EL基板、電子ペーパー用基板、タッチパネル基板、PDP前面板等に使用でき、偏光板あるいは液晶表示装置の部材としても有用である。また本発明に係る成形体は、透明性に優れ、低複屈折であり、各種光学部品用途に好適であり、特に円錐レンズや球面・円筒レンズなどの各種特殊レンズ、誘電体ミラーまたは金ミラー、波長板として有用である。
図1は、実施例4で得たブレンド樹脂のTg測定におけるチャート図を示す。 図2は、実施例5で得たブレンド樹脂のTg測定におけるチャート図を示す。

Claims (13)

  1. (A)下記式(1)で表される構造単位(1)を含む環状オレフィン系重合体と、
    (B)下記式(2)で表される構造単位(2)および下記式(3)で表される構造単位(3)を有し、当該構造単位(3)の含有率が全構造単位100mol%中0.1〜50mol%であるスチレン系共重合体と
    を含有することを特徴とする樹脂組成物;
    Figure 2008239957
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1〜R4の少なくとも一つは−(CH2nCOOR5で表される基(R5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基)であり、nは0または1〜5の整数である。)、
    Figure 2008239957
    (式(2)および式(3)中のR6は水素原子またはメチル基を示し、式(3)中のR7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。)。
  2. 環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃〜150℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. スチレン系共重合体(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が30,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. スチレン系共重合体(B)が、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと、下記式(4)で表される単量体(4)とを、ラジカル開始剤の存在下で重合反応させた後、単量体(4)由来の構造単位におけるO−R8結合をOH基に変換する工程を含む方法により
    得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物;
    Figure 2008239957
    (式(4)中、R6は水素原子またはメチル基を示し、
    7は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子
    を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、
    8は、アセチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、−CH(OR9)(R10))、または−Si(R93で表される基のいずれかを示す。R9およびR10はそれぞ
    れ独立に炭素数1〜6のアルキル基、またはR9とR10とが相互に連結して一体化した炭
    素数1〜6の炭化水素基を示す。)。
  5. 前記環状オレフィン系共重合体(A)と前記スチレン系重合体(B)との組成比((A)/(B))が、重量比で、50/50〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする光学フィルム。
  7. キャスト法により製膜して得られることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルム。
  8. 押出し法により製膜して得られることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルム。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の光学フィルムを加熱延伸して得られることを特徴とする延伸フィルム。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の光学フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
  11. 請求項6〜8のいずれかに記載の光学フィルムを含むことを特徴とする液晶表示装置。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする成形体。
  13. 射出成形により得られることを特徴とする請求項12に記載の成形体。
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WO2009084382A1 (ja) * 2007-12-28 2009-07-09 Jsr Corporation 射出成形体および重合体組成物
JP2011063714A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Sumitomo Rubber Ind Ltd 共重合体ならびにそれを用いたゴム組成物および空気入りタイヤ

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