明 細 書
樹脂組成物およびその用途
技術分野
[0001] 本発明は、スチレン系共重合体とノルボルネン系重合体とを含有する樹脂組成物 およびその用途に関する。詳しくは、本発明は、スチレン系共重合体とノルボルネン 系重合体とを含み、透明性に優れ、光学フィルムなどの製造に適した樹脂組成物、 該樹脂組成物から得られる成形体および光学フィルム、ならびに該光学フィルムを用
V、た延伸フィルム、偏光板および液晶表示装置に関する。
背景技術
[0002] 従来から光学フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステル等のフィ ルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力の変化などにより透過光に位相差が 発現したりして位相差が変化する問題がある。また、トリァセチルセルロース等のフィ ルムには、耐熱性が低く吸水変形等の問題がある。
[0003] 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(環状ォレフィン系樹脂)は、ガラス転移温度、光線 透過率が高ぐし力、も屈折率の異方性が小さいことによる従来の光学フィルムに比べ 低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透 明熱可塑性樹脂として注目されている。そしてこのような特徴を利用して、例えば、光 ディスク、光学レンズ、光ファイバ一、透明プラスチック基盤、低誘電材料などの電子 •光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状ォレフィン系 樹脂を応用することが検討されて!/、る。
[0004] 上記の環状ォレフィン系樹脂の特性は、光学フィルム用の樹脂としてみても、前記 従来の樹脂の問題点を改善できるものであり、このため、環状ォレフィン系樹脂から なるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されて!/、る。
[0005] 例えば、特許文献 1、 2には、環状ォレフィン系樹脂のフィルムを用いた位相差板が 記載されている。また、特許文献 3〜 5には、環状ォレフィン系樹脂のフィルムを、偏 光板の保護フィルムに使用することが記載されている。さらに、特許文献 6には、環状 ォレフィン系樹脂のフィルムからなる液晶表示素子用基板が記載されている。
[0006] 一般的に位相差フィルムは、延伸配向させて得られる透過光に位相差 (複屈折)を 与える機能が、透過光の波長が長波長になるにつれて透過光の位相差 (複屈折)の 絶対値が小さくなるという特性(正の波長分散性)を有するため、可視光領域 (400〜 800nm)全てにおいて、例えば 1/4波長等の特定の位相差を透過光に与えること が非常に困難であった。実際に位相差が広範囲な波長領域 (400〜800nm)にお いて 1/4波長としての機能が反射型や半透過型の液晶ディスプレイや光ディスク用 ピックアップなどに必要とされている。また、液晶プロジェクターでは、 1/2えの位相 差が必要であり、従来の環状ォレフィン系樹脂からなる光学フィルムでは、フィルムを 積層化させる以外困難であった。フィルムの積層化では、フィルムの貼り合わせ、切り 出し、接着などの工程が複雑化するだけでなぐ得られる光学フィルムの厚みも低減 させることが困難になる。
[0007] この課題を解決するためには、波長が長波長になるにつれて透過光の位相差の絶 対値が大きくなる特性、すなわち、逆波長分散性を示す光学フィルムが必要である。 この逆波長分散性を示す光学フィルムとしては、特許文献 7および特許文献 8におい て、特定のセルロースアセテート系樹脂からなる位相差フィルム、ポリカーボネート系 樹脂やスチレン系樹脂のブレンドが提案されている。し力、しながら、セルロース系樹 脂からなるフィルムでは、吸水による特性変化や耐熱性等の点において問題点があ り、ポリカーボネート系では、ガラス転移温度が高ぐ高温での延伸加工が必要にな るだけでなぐフィルムの光弾性係数が大きいために応力による光学ひずみが生じる
〇
[0008] また、スチレン系樹脂と環状シクロォレフイン系樹脂とのブレンド組成物では、フィル ム化の際に製膜性の良い塩化メチレンなどの揮発性の高い溶媒は、ほとんどの場合 相分離が生じるために使用できず、特定の溶剤を選定しなければならない。そのた めに溶剤の乾燥時間がかかり、生産性が極端に低下し、透明度の高いフィルムを容 易に得ることが困難であるという問題があった。
[0009] このため、相分離を抑え、透明な光学フィルムを容易に得ることができる樹脂組成 物、およびその樹脂組成物を主成分とする、逆波長分散性を示し、透明性の高い光 学フィルムの出現が強く望まれていた。
特許文献 1:特開平 5— 2108号公報
特許文献 2:特開平 5— 64865号公報
特許文献 3 :特開平 5— 212828号公報
特許文献 4:特開平 6— 51117号公報
特許文献 5:特開平 7— 77608号公報
特許文献 6:特開平 5— 61026号公報
特許文献 7:特開 2000 - 137116号公報
特許文献 8 :特開 2001— 337222号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、スチレン系共重合体とノルボルネン系重合体からなる組成物であって、 優れた相溶性を有して相分離しな!/、ため透明性に優れ、かつフィルム化が容易な樹 脂組成物を提供することを課題としている。また本発明は、この樹脂組成物を主成分 とした透明性に優れた光学フィルム、さらに逆波長分散性を示す光学フィルム、なら びにその用途を提供することを課題としてレ、る。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者は上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、特定の構造単位を特定の量で 有するスチレン系共重合体と、ノルボルネン系重合体とを含有する樹脂組成物、該 樹脂組成物を主成分とした光学フィルムおよびその製造方法ならびにその用途によ り、上記課題が解決されることを見出した。
[0012] すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔; 16〕の発明に関する。
[0013] 〔1〕(A)下記式(1)で表される構造単位(1)および下記式(2)で表される構造単位
(2)を有し、当該構造単位(2)の含有率が全構造単位 100mol%中 0. ;!〜 50mol% であるスチレン系共重合体と、
(B)ノルボルネン系重合体とを含有することを特徴とする樹脂組成物;
[0014] [化 1]
[0015] (式(1)および式(2)中、 Rは水素原子またはメチル基を示す。式(2)中、 R°は水素 原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケィ素原子を含む連結 基を有してもよ!/、置換または非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基;または極性基を 示す。)。
[0016] 〔2〕前記スチレン系共重合体(A) 1 ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC )で測定した重量平均分子量 Mwが 30, 000〜; 1 , 000, 000であることを特徴とする 〔1〕に記載の樹脂組成物。
[0017] 〔3〕前記スチレン系共重合体 (A)が、色測計を用いて測定した 10重量%トルエン 溶液の黄色度 (YI)が 5. 0以下であることを特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物。
[0018] 〔4〕 前記スチレン系共重合体(A) 1 スチレンおよび/または α—メチルスチレン と、下記式 (4)で表される単量体 (4)とを重合反応させた後、単量体 (4)由来の構造 単位における OR14基を ΟΗ基に変換する工程を含む方法により得られることを 特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物;
[0019] [化 2]
(式 (4)中、 Rは水素原子またはメチル基を示し、 R°は水素原子;ハロゲン原子;酸素
原子、硫黄原子、窒素原子、またはケィ素原子を含む連結基を有してもよい置換ま たは非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。 R14はァセチル基 、 t ブチル基、 t ブトキシカルボニル基、 CH (OR15) (R16)、または— SiR15で表 される基のいずれかを示す。 R15および R16はそれぞれ独立に炭素数 1〜6のアルキ ル基を示し、 R15と R16、あるいは R15同士は、相互に結合して炭素数 2〜; 12の複素環 を形成してもよい。)。
[0021] 〔5〕前記スチレン系共重合体 (A)が、前記単量体 (4)由来の構造単位における OR14基を OH基に変換する工程を酸の存在下で行い、その後、塩基性物質を添 カロして系内の酸と反応させる工程を含む方法により得られたものであることを特徴と する〔4〕に記載の樹脂組成物。
[0022] 〔6〕前記ノルボルネン系重合体(B)が、下記式(6)で表される単量体(6)から導か れる構造単位を有する(共)重合体であることを特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物;
[0023] [化 3]
(式(6)中、 aおよび bは独立に 0または 1を示し、 cおよび dは独立に 0〜2の整数を示 す。 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9、 R1Q、 RU、 R12、および R13は、それぞれ独立に水素原子; ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケィ素原子を含む連結基を 有してもよ!/、置換または非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基;または極性基を示す
。 R1Qと Ru、または R12と R13とは一体化して 2価の炭化水素基を形成してもよぐ R1Qま たは R11と R12または R13とは相互に結合して炭素環または複素環 (これらの炭素環また は複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を 形成してもよレヽ。)。
[0025] 〔7〕前記ノルボルネン系重合体 (B)が、下記式 (i)で表される構造単位を有する(共
)重合体であることを特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物。
[0026] [化 4]
[0027] (式 (i)中、 Α Α4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄 原子、窒素原子もしくはケィ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置 換の炭素原子数 1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、 Α Α4の少なくとも一 つは—(CH ) COOA5で表される基 (Α5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは
2 η
ケィ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数 1〜30の炭 化水素基)であり、 ηは 0または 1〜5の整数である。 )
〔8〕前記ノルボルネン系重合体(Β)が、前記式(i)で表される構造単位を、ノルボル ネン系重合体(B)の全構造単位 100mol%中、 10〜70mol%有することを特徴とす る〔7〕に記載の樹脂組成物。
[0028] 〔9〕前記スチレン系共重合体(A)と前記ノルボルネン系重合体(B)との組成比((A ) / (B) )が、重量比で 5/95〜70/30の範囲であることを特徴とする〔1〕に記載の 樹脂組成物。
[0029] 〔10〕〔1〕に記載の樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする成形体。
[0030] 〔11〕溶融押出成形により得られることを特徴とする〔10〕に記載の成形体。
[0031] 〔12〕〔1〕に記載の樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする光学フィルム。
[0032] 〔13〕キャスト法により製膜して得られることを特徴とする〔12〕に記載の光学フィルム
[0033] 〔14〕押出し法により製膜して得られることを特徴とする〔12〕に記載の光学フィルム
[0034] 〔15〕〔12〕に記載の光学フィルムを加熱延伸して得られる延伸フィルム。
[0035] 〔16〕〔12〕に記載の光学フィルムを含む偏光板。
[0036] 〔17〕〔12〕に記載の光学フィルムを含む液晶表示装置。
発明の効果
[0037] 本発明によれば、フィルム成形の際に用いられる塩化メチレンなどの溶媒を用いて も相分離を抑制することができ、光学フィルム用途に好適で、逆波長分散性と優れた 透明性を有する光学フィルムを容易に製造できる樹脂組成物を提供することができる
[0038] また、本発明によれば、樹脂組成物に含有されるスチレン系共重合体の各構造単 位の含有率をコントロールすることで、加熱時にも良好な相溶性を示し、かつ高温下 にお!/、ても透明性を保持することができる、フィルム成形性に優れた樹脂組成物を提 供すること力 Sでさる。
[0039] さらに本発明によれば、スチレン系共重合体と、ノルボルネン系重合体との組成比 をコントロールすることにより、低複屈折性を示す樹脂組成物を提供することができる
[0040] また、本発明の樹脂組成物から得られる光学フィルムは、延伸フィルム、該延伸フィ ルムを用いた偏光板、液晶表示装置、光学部品としても有用である。
図面の簡単な説明
[0041] [図 1]図 1は、合成例 1で得たスチレン系重合体(1A)の IRスペクトルを示す。
[図 2]図 2は、合成例 1で得たスチレン系重合体( 1 A)の13 C-NMRスペクトルを示す。
[図 3]図 3は、合成例 4で得たスチレン系重合体(4A)の IRスペクトルを示す。
[図 4]図 4は、合成例 4で得たスチレン系重合体(4A)の13 C-NMRスペクトルを示す。
[図 5]図 5は、合成例 5で得たスチレン系重合体(5A)の IRスペクトルを示す。
[図 6]図 6は、合成例 5で得たスチレン系重合体(5A)の13 C-NMRスペクトルを示す。
[図 7]図 7は、実施例 10で得た Blend樹脂の Tg測定におけるチャートを示す。
[図 8]図 8は、実施例 11で得た Blend樹脂の Tg測定におけるチャートを示す。
発明を実施するための最良の形態
[0042] 本発明に係る樹脂組成物は、スチレン系共重合体 (A)と、ノルボルネン系重合体(
B)とを含有している。以下、これらについて説明する。
[0043] なお、本明細書中において (共)重合体とは、重合体もしくは共重合体を意味する。
[0044] <スチレン系共重合体 (A)〉
本発明に係る樹脂組成物に含有されるスチレン系共重合体 (A)は、下記式(1)で 表される構造単位(1)および下記式(2)で表される構造単位(2)を有する。
[0045] [化 5]
[0046] 式(1)および式(2)中、 Rは水素原子またはメチル基を示す。式(2)中、 R°は水素 原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケィ素原子を含む連結 基を有してもよ!/、置換または非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基;または極性基を 示す。
[0047] 構造単位(2)の含有率は、全構造単位 100mol%中、通常 0.;!〜 50mol%、好ま しくは 0. 2〜40mol%、より好ましくは l〜20mol%である。上記数値範囲内であると 、本発明に係る樹脂組成物に含有されるスチレン系共重合体 (A)と、ノルボルネン系 重合体 (B)との双方が良好な溶解性を示す溶媒が存在することに加え、高温下にお V、ても相分離することなく透明性を保持できるので、好ましレ、。
[0048] さらにスチレン系共重合体 (A)は、下記式(3)で表される構造単位(3)を有してい てもよい。
[0049] [化 6]
[0050] 式(3)中、!^〜 はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原 子、窒素原子もしくはケィ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非 置換の炭素原子数 1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。また、 R1と R2は相互 に結合して炭素環または複素環 (これらの炭素環または複素環は単環構造でもよ!/ヽ し、他の環が縮合して多環構造を形成しても良い。)を形成してもよい。
[0051] 前記式(1)〜(3)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭 素原子が挙げられる。
[0052] 炭素原子数 1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、ェチル基、プロピ ル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基;ビ ニル基、ァリル基、プロぺニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
[0053] また、上記の置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよ いし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえ ば、炭素原子数 1〜; 10の 2価の炭化水素基 (たとえば、— (CH ) - (式中、 mは;!〜 1
2 m
0の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、ィォゥまたはケィ素を含む連結基( たとえば、カルボニル基(— CO— )、ォキシカルボニル基(—〇(CO)―)、カルボ二 ルォキシ基(一 coo—)、スルホン基(一 so—)、エーテル結合(一 o—)、チォェ 一テル結合(― S— )、ィミノ基(― NH— )、アミド結合(― NHCO—、— CONH―)、 シロキサン結合(一 OSi (R)—(式中、 Rはメチル、ェチル等のアルキル基))等が挙 げられ、これらを複数含む連結基であってもよい。
[0054] 極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数 1〜; 10のアルコキシ基、カルボ二ノレ ォキシ基、アルコキシカルボニル基、ァリーロキシカルボニル基、シァノ基、アミド基、 イミド基、トリオノレガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシノレ基、アルコキ シシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基など挙げられる。さらに具体的には
、上記アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等;カルボニルォキシ 基としては、たとえば、ァセトキシ基、プロピオニルォキシ基等のアルキルカルボニル ォキシ基、およびベンゾィルォキシ基等のァリールカルボニルォキシ基;アルコキシ カルボニル基としては、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等;ァ リーロキシカルボニル基としては、たとえば、フエノキシカルボニル基、ナフチルォキ シカルボニル基、フルォレニルォキシカルボニル基、ビフエ二リルォキシカルボニル 基等;トリオルガノシロキシ基としては、たとえば、トリメチルシロキシ基、トリェチルシロ キシ基等;トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリェチルシリル基等;ァ ミノ基としては、第 1級ァミノ基;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル 基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
[0055] 式(3)で表される構造単位を誘導する単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミ ド、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、無水マレイン酸、マレイミド類、マレイン酸お よびその誘導体、フマル酸およびその誘導体、 p—メトキシスチレンなどが挙げられる 。また、後述する脱保護反応で変換されずに部分的に式 (4)で表されるスチレン誘 導体由来の構造単位が残存する場合など、式 (4)で表されるスチレン系単量体など も、当該単量体に含まれる。構造単位(3)の含有率は、全構造単位 100mol%中、 通常 20mol%以下、好ましくは 15mol%以下、より好ましくは 10mol%以下である。
[0056] 本発明に用いられるスチレン系共重合体 (A)は、 30°Cのクロ口ベンゼン溶液 (濃度 0. 5g/dU中で測定した対数粘度( )が、 0. ;!〜 3. OdL/gであることが好ましい 。また、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算 の重量平均分子量 Mw力 S通常 30, 000—1 , 000, 000、好まし <は 40, 000—800 , 000、より好ましくは 50, 000-500, 000である。分子量カ J、さすぎると、得られる フィルム等の成形品の強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度 が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがあ
[0057] さらに、スチレン系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常 1. 0-10,好 ましく (ま 1. 2〜5. 0、より好ましく (ま 1. 2〜4. 0である。
[0058] またスチレン系共重合体 (A)としては、黄変などの着色が少なぐ透明性に優れた
ものが好ましい。具体的には、色測計を用いて測定した 10重量%トルエン溶液の黄 色度 (YI)力 好ましくは通常 5. 0以下、より好ましくは 4. 0以下、さらに好ましくは 0. 05-3. 0の範囲であるのが望ましい。なお、黄色度は通常、 0. 2で無色である。
[0059] [スチレン系共重合体 (A)の製造方法]
本発明に用いられるスチレン系共重合体 (A)は、スチレンおよび/または α -メチ ノレスチレンと下記式 (4)で表される単量体(4)の R14を水素原子で置換したビュルフ ェノール類とを直接共重合して得る事もできる力 S、スチレンおよび/または α—メチ ルスチレンと、下記式(4)で表される単量体(4)と、必要に応じて下記式(5)で表され る単量体とを適当な重合開始剤の存在下で重合反応させた後、単量体 (4)由来の 構造単位における OR14基を ΟΗ基に変換する工程を含む方法により製造しても 良い。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、ァユオン重合触媒、配位重合触 媒、カチオン重合触媒等を用いるのが好ましぐラジカル重合開始剤を用いるのが特 に好ましい。
[0060] [化 7]
[0061] 式(4)中、 Rおよび R°は式(2)と同義である。 R14はァセチル基、 t ブチル基、 t— ブトキシカルボニル基、 CH (OR15) (R16)、または— SiR15で表される基のいずれ かを示す。 R15および R16はそれぞれ独立に炭素数 1〜6のアルキル基を示し、 R15と R] 6、あるいは R15同士は、相互に結合して炭素数 2〜; 12の複素環を形成してもよい。
[0062] Rおよび R°としては水素原子が好ましい。 R14として、なかでもァセチル基、 tーブチ ル基が好ましい。
[0063] また、前記スチレンおよび/または α—メチルスチレンは、スチレンのみであるのが 好ましい。
[0064] [化 8]
一 ( 5 )
[0065] 式(5)中、!^〜 は式(3)における I^〜R3と同義である
[0066] なお、本発明に係るスチレン系共重合体 (A)は、スチレンおよび/または α—メチ ノレスチレンと、下記式 (4 ' )で表される単量体 (4 ' )と、必要に応じて上記式(5)で表さ れる単量体とを、共重合反応させる工程とによっても好適に製造することができる。こ の場合には後述する ΟΗ基への変換反応工程を経ずに本発明で用いるスチレン 系共重合体 (Α)を製造すること力 Sできる。
[0067] [化 9]
[0068] (式(4 ' )中、 Rおよび R°は前記式(2)で定義のとおりである。 )
このような各単量体は、各単量体から導かれる各構造単位の所望の含有率と同様 の割合で好適に用いることができる。
[0069] 〈重合反応〉
重合反応に用いられるラジカル開始剤としては、フリーラジカルを発生する公知の 有機過酸化物、またはァゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。なお 、多官能開始剤または水素引き抜き反応を起こし易い開始剤は、得られるスチレン系 共重合体の線状性が低下するおそれがあるので、好ましくなレ、。
[0070] 有機過酸化物としては、ジァセチルパーオキサイド、ジベンゾィルパーオキサイド、 ジイソプチロイルパーオキサイド、ジ(2, 4 ジクロロべンゾィル)パーオキサイド、ジ(
3, 5, 5—トリメチルへキサノィル)パーオキサイド、ジォクタノィルパーォキサォド、ジ ラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス { 4一(m トルオイル) ベンゾィルレ 一オキサイドなどのジァシルバーオキサイド類;
メチルェチルケトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド、メチルシクロへ キサノンパーオキサイド、ァセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド 類;
過酸化水素、 t ブチルハイド口パーオキサイド、 a クメンハイド口パーオキサイド、 p メンタンハイド口パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド口パーオキサイド、 1 , 1 , 3, 3—テトラメチルブチルハイド口パーオキサイド、 t一へキシルハイド口バーオ キサイドなどのハイド口パーオキサイド類;
ジー t ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、 α , α ' ビス(t ブチルパーォキシ)ジイソプロピルベンゼン、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ビス(t ブチルパーォキシ)へキサン、 t ブチルタミルパーオキサイド、 2 , 5— ジメチル 2 , 5 ビス(t ブチルパーォキシ)へキシン 3などのジアルキルバーオ キサイド類;
tーブチノレパーォキシアセテート、 tーブチノレパーォキシピバレート、 t一へキシノレパ 一ォキシビバレート、 1 , 1 , 3, 3—テトラメチノレブチノレバーォキシ 2—ェチノレへキサノ エート、 2, 5 ジメチノレー 2 , 5 ビス(2 ェチノレへキサノィノレパーォキシ)へキサン 、 1ーシクロへキシノレ 1ーメチノレエチノレノ 一才キシ 2—ェチノレへキサノエート、 t へキシノレノ 一才キシ 2—ェチノレへキサノエート、 tーブチノレノ 一才キシ 2—ェチノレへ キサノエート、 tーブチノレパーォキシイソブチレート、 tーブチノレパーォキシマレエート 、 t ブチルパーォキシ 3, 5, 5—トリメチルへキサノエ一ト、 t ブチルパーォキシラ ゥレート、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ビス(m—トルオイルパーォキシ)へキサン、 a , a '一ビス(ネオデカノィルパーォキシ)ジイソプロピルベンゼン、タミルパーォキシネオ 口へキシノレ 1ーメチノレエチノレパー才キシネ才デカノエート、 t一へキシノレパー才キシ ネオデカノエート、 tーブチノレパーォキシネオドデカノエート、 tーブチノレパーォキシ ベンゾエート、 t一へキシルパーォキシベンゾエート、ビス(t ブチルパーォキシ)イソ
フタレート、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ビス(ベンゾィルパーォキシ)へキサン、 tーブチ ノレパーォキシ m トルオイルべンゾエート、 3, 3 ' , 4, 4 '—テトラ(t ブチルパーォ キシカルボニル)ベンゾフエノンなどのパーォキシエステル類;
1 , 1—ビス(t へキシルバーォキシ)3, 3, 5—トリメチルシクロへキサン、 1 , 1—ビス (t一へキシルバーォキシ)シクロへキサン、 1 , 1 ビス(t ブチルパーォキシ)3, 3, 5—トリメチルシクロへキサン、 1 , 1 ビス(t ブチルパーォキシ)シクロへキサン、 1 , 1 ビス(t ブチルパーォキシ)シクロドデカン、 2, 2—ビス(t ブチルパーォキシ) ブタン、 n ブチル 4, 4 ビス(t ブチルパーォキシ)ビバレート、 2, 2 ビス(4, 4 ージー t ブチルパーォキシシクロへキシル)プロパンなどのパーォキシケタール類; t へキシノレパーォキシイソプロピノレモノカーボネート、 t ブチノレパーォキシイソプロ ピノレモノカーボネート、 tーブチノレパーォキシ 2—ェチノレへキシノレモノカーボネート、 t ーブチノレパーォキシァリルモノカーボネートなどのパーォキシモノカーボネート類; ジー sec ブチノレパーォキシジカーボネート、ジー n プロピノレバーオキシジカーボ ネート、ジイソプロピノレバーオキシジカーボネート、ビス(4 tーブチノレシクロへキシ ノレ)パーォキシジカーボネート、ジー 2—ェトキシェチノレパーォキシジカーボネート、 ジー 2—ェチノレへキシノレパーォキシジカーボネート、ジー 2—メトキシブチノレバーオ キシジカーボネート、ジ(3—メチノレ 3ーメトキシブチノレ)パーォキシジカーボネート などのパーォキシジカーボネート類;
その他、 t プチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられる力 本発明に用 いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
ァゾ系ラジカル重合開始剤としては、ァゾビスイソブチロニトリル、ァゾビスイソバレロ 二トリノレ、 2, 2,一ァゾビス(4 メトキシ一 2, 4 ジメチルバレロニトリル)、 2, 2,一ァ ゾビス(2, 4 ジメチルバレロニトリル)、 2, 2,ーァゾビス(2 メチルブチロニトリル)、 1 , 1,ーァゾビス(シクロへキサン一 1 カルボ二トリル)、 2—(力ルバモイルァゾ)イソ ブチロニトリノレ、 2, 2,ーァゾビス [2—メチルー N—U, 1—ビス(ヒドロキシメチル) 2—ヒドロキシェチノレ}プロピオンアミド]、 2, 2,ーァゾビス [2—メチルー N—{ 2— (1 ーヒドロキシブチノレ) }プロピオンアミド]、 2, 2,ーァゾビス [2—メチノレー N— (2—ヒド ロキシェチノレ) プロピオンアミド]、 2, 2,ーァゾビス [N— (2—プロぺニノレ)ー2—メ
チルプロピオンアミド]、 2, 2,ーァゾビス(N ブチルー 2—メチルプロピオンアミド)、 2, 2, 一ァゾビス(N シクロへキシル 2—メチルプロピオンアミド)、 2, 2 '—ァゾビ ス [2— (5 メチルー 2 イミダゾリンー2 ィル)プロパン]ジハイド口クロライド、 2, 2 ' —ァゾビス [2— (2—イミダゾリン一 2—ィル)プロパン]ジハイド口クロライド、 2, 2 ' - ァゾビス [2—(2—イミダゾリン 2—ィル)プロパン]ジサルフェート'ジハイドレート、 2 , 2, 一ァゾビス [2— (3, 4, 5, 6 テトラヒドロピリミジン一 2 ィル)プロパン]ジハイド 口クロライド、 2, 2, 一ァゾビス [2— { 1— (2—ヒドロキシェチル)一2—イミダゾリン一 2 —ィル }プロパン]ジハイド口クロライド、 2, 2, 一ァゾビス [2— (2—イミダゾリン一 2— ィル)プロパン]、 2, 2 '—ァゾビス(2—メチルプロピオンアミジン)ジハイド口クロライド 、 2, 2,ーァゾビス [N— (2—カルボキシェチル)ー2—メチループロピオンアミジン]、 2, 2 '—ァゾビス(2—メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル 2, 2 '—ァゾビスブチ レート、 4, 4,一ァゾビス(4 シァノペンタノイツクアシッド)、 2, 2,一ァゾビス(2, 4, 4—トリメチルペンタン)などが挙げられる力 好ましい開始剤は 1 , 1 '—ァゾビス(シク 口へキサン 1 カルボ二トリル)、 2—(力ルバモイルァゾ)イソブチロニトリル、 2, 2, ーァゾビス(N ブチルー 2 メチルプロピオンアミド)であり、重量平均分子量が 850 00以上の高分子量体のスチレン系共重合体が得られる。本発明に用いられるァゾビ ス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
[0072] カチオン重合開始剤としては、塩酸、硫酸、 P-トルエンスルホン酸、リン酸、等のブ レンステッド酸、三フッ化ホウ素錯体、三塩化アルミニウム、ェチルアルムニゥムジクロ リド、四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド、塩化タングステン、等のルイス酸が 挙げられる。
[0073] ァニオン重合開始剤としては、ブチルリチウム、フエニルリチウム、等の有機リチウム 類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、等の金属アミド類、ェチルマグネシウムブロマイド 、フエニルマグネシウムクロライド、等のグリニャール試薬、ナトリウムメトキシド、ナトリウ ムェトキシド、等の金属アルコキシド、等が挙げられる。
[0074] これらの重合開始剤の使用量は、前記単量体全量 100mol%中、通常 0. 0;!〜 5 mol%、好ましくは 0. 03〜3mol%、より好ましくは 0· 05〜2mol%である。
[0075] さらに、前記スチレン系単量体の重合反応には、触媒が用いられてもよい。この触
媒は、特に限定されず、たとえば、公知のァユオン重合触媒、配位重合触媒、カチォ ン重合触媒などが挙げられる。
[0076] 前記スチレン系単量体の重合反応は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、上記 スチレン系単量体を、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重 合法または塊状 懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることにより行な われる。
[0077] 溶液重合を実施する際に使用する溶剤としては、前記単量体および重合体を溶解 するものであれば特に限定されないが、シクロへキサン等の炭化水素系溶剤、トルェ ン等の芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。溶剤の使用量は、前記スチレン系単量 体全量に対し、 0〜3倍(重量比)の量であるのが望ましい。ラジカル重合を用いる場 合には、所望の分子量を有する重合体を得るために必要に応じて連鎖移動剤を添 加しても良い。連鎖移動剤としては特に限定なく従来公知の連鎖移動剤を使用する ことができる力 より具体的には下記のようなものを列挙する事が出来る。ドデカンチ オール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプ ロピオン酸、等。これらの連鎖移動剤は単独で使用しても良ぐ複数種を混合して用 いても良い。
[0078] 重合反応時間は、通常;!〜 30時間、好ましくは 3〜20時間であり、重合反応温度 は、使用するラジカル開始剤の種類に依存するため、特に限定されないが、通常 40 〜; 180。C、好ましくは 50〜; 120。Cである。
[0079] 〈OH基への変換反応〉
本発明に用いられるスチレン系共重合体 (A)は、前記スチレン系単量体を重合さ せた後、さらに単量体 (4)由来の構造単位における OR14基を OH基に変換する ことによって、得ること力 Sできる。これにより、たとえば、式(4)に表されるスチレン系単 量体の R14が脱離して、スチレン系共重合体 (A)に含有される式(2)に表される構造 単位を形成することとなる。
[0080] 上記変換反応としては、酸または塩基の存在下で加アルコール分解または加水分 解で変換する方法、酸性条件下で加熱して変換する方法、加熱のみによって変換す る方法、およびフッ化物イオンを用いて変換する方法などが挙げられ、前記 O— R14
基における R14の構造によって採用し得る好ましい方法が異なる力 酸の存在下で単 量体 (4)に由来する構造単位中の OR14で表される基を OH基に変換するのが 好ましぐ酸の存在下で加アルコール分解または加水分解で変換する方法、あるい は酸性条件下で加熱して変換する方法が好ましく採用される。
[0081] 前記 OR14基における R14が、例えば、ァセチル基( COCH )、 t—ブトキシカル
3
ボニル基(一じ00 11)、シリル基(SiR15 )、酸素原子と結合してァセタール基を形
3
成し得るアルコキシアルキル基(一 CH (OR15) (R16) )などの場合、酸性条件下で加 水分解または加アルコール分解する方法が好ましく採用される。
[0082] 前記 OR14基における R14が、例えば、ァセチル基( COCH )、 t—ブトキシカル
3
ボニル基(一じ00 11)などの場合、塩基性条件下で加水分解または加アルコール 分解する方法が好ましく採用される。
[0083] 酸性条件下で加熱して変換する方法または加熱のみによって変換する方法が適用 できる前記 OR14基における R14としては、例えば、 t ブチル基(一 ¾ιι)、 tーブトキ シカルボニル基(一 CO〇tBu)を挙げることができ、フッ化物イオンを用いて変換させ る方法が適用できる R14としてはシリル基(SiR15 )を挙げることができる。
3
[0084] 《加水分解および加アルコール分解》
加水分解および加アルコール分解に用いられる酸としては、塩酸、臭酸等のハロゲ ン化水素、蟻酸、シユウ酸、酢酸、トリフルォロ酢酸等のカルボン酸類、硫酸、 P-トノレ エンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルォロメタンスルホン 酸等のスルホン酸類、硝酸、またはフエノール類等のブレンステッド酸、りんタンダス テン酸、りんモリブデン酸等のへテロポリ酸、硫酸化ジルコユア、ゼォライト等の固体 酸、イオン交換樹脂、高分子電解質等の高分子酸、およびハロゲン化、アルキル化、 および/またはアルコキシ化されたアルミニウム、チタン、タングステン、またはホウ素 化合物等のルイス酸、公知の固定化ルイス酸が挙げられる。これらの酸のうちでは、 特に硫酸が好ましく用いられる。酸の使用量は、式 (4)に表されるスチレン系単量体 の使用量とのモル比力 通常、酸/式(4)に表されるスチレン系単量体 = 1/1000 〜: 1/1、好ましくは 1/300〜; 1/5である。
[0085] また、塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ァ
ンモニゥム、テトラメチルアンモニゥムヒドロキシド、テトラプチルアンモニゥムヒドロキシ ド等が挙げられる。塩基の使用量は、式 (4)に表されるスチレン系単量体のモル数以 上のモル数を要し、通常、式(4)に表されるスチレン系単量体の使用量とのモル比が 、塩基/式 (4)に表されるスチレン系単量体 = 1/;!〜 5/1である。さらに、加水分 解後または加アルコール分解後に酸によって中和する必要がある。中和に用いられ る酸としては、前記酸と同様の酸を用いることができる。塩基として、水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の金属ヒドロキシドのような水溶性塩基を用いる 場合には、さらに相関移動触媒として、 4級アンモニゥム塩、 4級ホスホニゥム塩、クラ ゥンエーテル、ポリ(オリゴ)エチレングリコール等を使用してもよレ、。
[0086] 反応温度としては通常 0〜; 180°C、好ましくは 30〜; 150°C、更に好ましくは 40〜; 12 0°Cである。反応時間としては通常 1〜30時間、好ましくは 1〜25時間、より好ましく は;!〜 20時間である。反応溶媒としては、変換反応前の重合体および変換反応後の 重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、重合反応と同じ溶媒であるの が好ましい。また、溶媒の使用量としては、重合反応に使用する溶媒の 1〜5倍の重 量であること力 S好ましく、 1〜3倍の重量であるのがより好ましい。水またはアルコール の添加量としては、 OR14基の 1〜30倍モルであることが好ましぐ;!〜 20倍モルで あることがより好ましい。使用するアルコールは特に限定されないが、炭素数;!〜 4の アルコールが好ましい。
[0087] 《酸性条件下での加熱変換反応》
酸性条件下での加熱変換反応に用いることができる酸およびその添加量、反応温 度、反応時間、溶媒種、溶媒使用量に関して、上記《加水分解および加アルコール 分解》で挙げたものと同様の条件を適用することができる。但し、本方法では水また はアルコールは添加しても良いし添加しなくても良い。
[0088] 《変換反応後の中和》
本発明で用いられるスチレン系共重合体 (A)の製造にお!/、て、 - OR14基を OH基 に変換する変換反応を、酸あるいは塩基を用いて行った場合には、変換反応後の系 内に残存する酸あるいは塩基の少なくとも一部を、塩基または酸で中和する工程を 有していてもよい。
[0089] スチレン系共重合体 (A)の製造において、単量体 (4)由来の構造単位における— OR14基を OH基に変換する変換反応を酸の存在下で行った場合には、次いで塩 基性物質を添加して、系内の酸と反応させる工程を行うのが好ましい。また、変換反 応を塩基の存在下で行った場合には、次いで酸性物質を添加して、系内の塩基と反 応させる工程を行うのが好ましい。
[0090] 以下、単量体 (4)由来の構造単位における OR14基を OH基に変換する変換 反応を酸の存在下で行い、次いで塩基性物質を添加して、系内の酸と反応させる場 合について詳述する。ここで、系内の酸とは、 OR14基を OH基に変換する変換 反応で用いた酸のうち、変換反応で消費されずに系内に残存する酸を意味する。
[0091] 塩基性物質としては、金属水酸化物、金属アルコキシド類、カルボン酸塩類、フエノ ール塩類、炭酸塩類およびアミン類等が好ましく用いられ、より好ましくは、塩基性物 質力 金属水酸化物、金属アルコキシド類、カルボン酸塩類、フエノール塩類よりなる 群から選ばれる少なくとも 1種であって、その対カチオンが、リチウム、ナトリウム、カリ ゥム、カルシウムの何れかである。これらの塩基性物質は、単独で用いても 2種以上 組み合わせて用いてもよい。
[0092] このような塩基性物質としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水 酸化リチウム、水酸化カルシウム、等の金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウム ェトキシド、ナトリウム—tーブトキシド、等の金属アルコキシド類;酢酸ナトリウム、プロ ピオン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、 2—ェチルへキサン酸ナトリウム、安息香酸ナトリ ゥム、等のカルボン酸塩類;ナトリウムフヱノキシド等のフエノール塩類;炭酸ナトリウム 、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、等の炭酸塩類、トリェチルァミン、ピリジン、等の アミン類を用いる事が出来る。これらの塩基は何れを用いても良ぐまた、単独でも複 数を同時に用いても良いが、入手性および価格面から水酸化ナトリウム、水酸化カリ ゥム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、安息香酸 ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。これらのうち、酢酸ナトリウム、乳 酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を用いると、後述す る弱酸性物質を加える工程を行わなくても、 OH基が安定に保たれるため、特に好ま しい。
[0093] 塩基性物質と残存する酸との反応温度は 15〜100°C、好ましくは 20〜90°C、更に 好ましくは 30〜80°Cである。上記反応温度範囲を超えると重合体の色相が悪化する 場合がある。また、上記反応温度範囲未満であると反応が十分に進行しない場合が ある。
[0094] 反応時間は 5〜; 120分間、好ましくは 10〜; 100分間、更に好ましくは 15〜80分間 である。上記反応時間範囲を超えると生産性が低下し、上記反応時間範囲未満であ ると反応が十分に進行しな!/、場合がある。
[0095] 添加する塩基性物質の量は、残存する酸が充分に中和される量であればよいが、
OR14で表される基を OH基に変換する工程で用いた酸のモル数と、その酸の価 数との積 Aと、添加する塩基性物質のモル数とその塩基の価数との積 Bと力 下記式 を満たすことが望ましい。
[0096] A≤B≤[AX 3]
また、上記の塩基性物質のうち、その共役酸の酸性度が重合体中に含まれるフエノ ール部位の酸性度よりも低い場合には、単量体 (4)由来の構造単位における OR1 4基から変換された OH基が不安定になるおそれがあるため、当該塩基を用レ、ると 同時または用いた後に重合体中に含まれるフエノール部位よりは酸性度の高い弱酸 性物質を加えて反応系内を弱酸性とすることが好ましい。このような弱酸性物質とし てはフエノーノレ、 ニトロフエノーノレ、シァノフエノーノレ、ハロゲン化フエノーノレ、等のフエ ノール類;酢酸、プロピオン酸、乳酸、 2—ェチルへキサン酸、安息香酸、等のカルボ ン酸類;炭酸を挙げることができる力 価格および反応溶液への相溶性から酢酸、乳 酸、安息香酸が好ましい。
[0097] 反応条件としては前記塩基を添加した際の反応条件と同じ条件を適用することが できる。
[0098] 反応系内を弱酸性とすることで、より色相が良好で耐熱安定性に優れたスチレン系 共重合体 (A)を得ること力 Sできる。
[0099] 《加熱のみによる変換反応》
式 (4)に表される O— R14基における R14が、熱エネルギーのみによって脱離し得る 場合は、重合体鎖が分解する温度を大きく超えない温度条件下にて熱分解をするこ
とにより、スチレン系共重合体 (A)を得ることができる。このような温度は通常 100〜3 50。C、好まし <は 120〜300。Cである。
[0100] 《フッ化物イオンを用いた変換反応》
フッ化物イオンを用いた変換反応に用いることができる試剤としては、テトラメチルァ ンモニゥムフルオリド、テトラプチルアンモニゥムフルオリド、フッ化カリウム、フッ化ナト リウム、フッ化水素等を挙げることができる。フッ化物イオンの使用量としては、フッ化 物イオンの使用量と式(4)に表されるスチレン系単量体の使用量とのモル比(フッ化 物イオン/式 (4)に表されるスチレン系単量体)が、通常、 1/;!〜 5/1、好ましくは 1 /;!〜 3/1である。
[0101] 〈精製〉
上記変換反応後、精製することによってスチレン系共重合体 (A)が得られる。精製 には、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、得られた反応物溶液をトルェ ンまたはテトラヒドロフラン等の良溶媒で希釈後、メタノール、水、またはこれらの混合 溶液を添加して重合体を適度に凝集させ、抽出処理する方法が挙げられる。抽出処 理の際、反応溶媒として使用した溶媒および希釈のために添加した溶媒を合計した 良溶媒量と重合体との重量比(良溶媒/重合体)は、 0. 5/;!〜 6/1、好ましくは 0. 7/;!〜 4/1である。また、抽出に使用するメタノール、水、またはこれらの混合溶液 等の貧溶媒の使用量は重量比(貧溶媒/前記良溶媒)で、 0. 3〜5、好ましくは 0. 5 〜3である。抽出温度としては、通常 40〜; 120°C、好ましくは 50〜; 100°Cである。
[0102] 前記のように抽出した後、溶液を冷却して軽重層に分離させ、遠心分離機等で軽 層を除去する。これらの抽出操作を 1〜; 10回繰り返した後、重液を濃縮してデボラチ ライター、ルーダー等の脱溶装置で脱溶する。脱溶時の温度は 150〜350°C、好ま しく (ま 200〜350°C、真空度 (ま 0. l~50mmHg,好ましく (ま;!〜 40mmHgである。 また、脱溶前に希釈して循環濾過を実施してもよい。濾過の際、濾剤の孔径は 0. 1 〜; 100 mのものを 1種単独で使用してもよぐ孔径の異なるフィルターを段階的に 複数設置してもよい。また、脱溶後の溶融ポリマーを濾過することにより精製してもよ い。この際のポリマーフィルターの孔径は 0. ;!〜 100〃 mであるのが望ましい。
[0103] <ノルボルネン系重合体(B) >
本発明に係る樹脂組成物に含有されるノルボルネン系重合体 (B)は、下記式(6) で表される単量体(6)から導かれる構造単位を有する(共)重合体であり、具体的に は、単量体 (6)の開環重合体、単量体 (6)と共重合性単量体との開環共重合体、ま たはこれらの水素添加物、ある!/、は 1種単独または 2種以上の単量体(6)力 なる付 加型(共)重合体、および単量体(6)とビュル系化合物との付加型(共)重合体である
〇
[0104] [化 10]
[0105] (式(6)中、 aおよび bは独立に 0または 1を示し、 cおよび dは独立に 0〜2の整数を 示す。 R4、 R5、 R6、 R7、 R8、 R9、 R1Q、 RU、 R12、および R13は、それぞれ独立に水素原 子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケィ素原子を含む連結基 を有してもよ!/、置換または非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基;または極性基を示 す。 R1Qと RU、または R12と R13とは一体化して 2価の炭化水素基を形成してもよぐ R10 または R11と R12または R13とは相互に結合して炭素環または複素環 (これらの炭素環ま たは複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。 ) を形成してもよい。)。
[0106] ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
[0107] 炭素原子数 1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、ェチル基、プロピ ル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基;ビ ニル基、ァリル基、プロぺニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
[0108] また、上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよい し、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば 、炭素原子数 1〜; 10の 2価の炭化水素基(たとえば、— (CH ) —(式中、 mは 1〜10
2 m
の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、ィォゥまたはケィ素を含む連結基 (た とえば、カルボニル基(一CO—)、ォキシカルボニル基(ー〇(CO)—)、カルボ二ノレ ォキシ基(一 COO—)、スルホン基(一 so—)、エーテル結合(ー〇一)、チォエーテ ル結合(— S— )、ィミノ基(— NH―)、アミド結合(― NHCO -、 - CONH―)、シロ キサン結合(一 OSi (R)—(式中、 Rはメチル、ェチル等のアルキル基))等が挙げら れ、これらを複数含む連結基であってもよい。
[0109] 極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数 1〜; 10のアルコキシ基、カルボ二ノレ ォキシ基、アルコキシカルボニル基、ァリーロキシカルボニル基、シァノ基、アミド基、 イミド基、トリオノレガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシノレ基、アルコキ シシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基など挙げられる。さらに具体的には 、上記アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基等;カルボニルォキシ 基としては、たとえば、ァセトキシ基、プロピオニルォキシ基等のアルキルカルボニル ォキシ基、およびベンゾィルォキシ基等のァリールカルボニルォキシ基;アルコキシ カルボニル基としては、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等;ァ リーロキシカルボニル基としては、たとえば、フエノキシカルボニル基、ナフチルォキ シカルボニル基、フルォレニルォキシカルボニル基、ビフエ二リルォキシカルボニル 基等;トリオルガノシロキシ基としては、たとえば、トリメチルシロキシ基、トリェチルシロ キシ基等;トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリェチルシリル基等;ァ ミノ基としては、第 1級ァミノ基;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル 基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
[0110] 前記式(6)で表される単量体(6)の具体例としては、次のような化合物が挙げられ
[0111] ビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2—ェン、
トリシクロ [4.3.0.12'5]— 3—デセン、
トリシクロ [5· 2. 1. 02'6 ]—デカ一 3, 8—ジェン、
テトラシクロ [4·4·0· 12'5.17'10]— 3 ドデセン、
ペンタシクロ [6·5· 1· 13'6·02'7·09'13]— 4 ペンタデセン、
ペンタシクロ [7.4.O. I2'5.19'12.08'13] - 3 ペンタデセン、
5 メチルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 ェチノレビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 メチルー 5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン
5 シァノビシクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 ェン、
8—メトキシカルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,1°] 3—ドデセン、
8—エトキシカルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,10] 3—ドデセン、
8 -η-:ズロポ:キシカノレポニノレテトラ-シクロ [4.4.0.12'5.17,10] 3—ドデセン、
8—イソ:: 7°ロポ: ¥シカノレポニノレテトラ:ンクロ [4.4.0.12'5.17,10] 3—ドデセン、
8 -η-: 7、、トキ、:メカノレボニノレテトラシ ロ [4.4.0.12'5.17'10]— 3—ドデセン
、
8—フエノキシ; ノレボニノレテトラシク!: 1 [4.4.0.12'5.17'10]— 3 ドデセン、
8—(1 ナフトキシ)カルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,1°]— 3 ドデセン、
8—(2—ナフト 'キシ)カノレポニノレテト」ラシクロ [4·4·0· 12,5.17,1°]— 3 ドデセン、
8—〈4—フエ-ルフエノキシ〉カルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,10]— 3—ドデセ ン、
8—メチノ 'レー 8ーメトキシカルボ二ル-テトラシクロ [4·4·0· 12'5.17'10] 3—ドデセン、
8—メチノ 'レー 8ーエトキシカノレポニノレ 'テトラシクロ [4.4.0.12,5.17,1°] 3—ドデセン、
8—メチノ 'レー 8 η プロポキシ力ノレボニルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,1°] 3—ドデ セン、
8—メチノ 'レー 8 イソプロポキシ力ノレボニルテトラシクロ [4·4·0· I2'5.17'10] 3—ドデ セン、
8—メチノ 'レー 8 η ブトキシカルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· 12,5.17,10] 3—ドデセ
8—メチル 8—フエノキシカルボ二ルテトラシクロ [4.4.0.12'5.17'10] 3—ドデセン 8 メチルー 8— (1 ナフトキシ)カルボ二ルテトラシクロ [4·4·0· I2'5. !7'10] 3 ド デセン
8 メチルー 8— (2 ナフトキシ)カルボ二ルテトラシクロ [4.4.O. I2'5.1 ''10]— 3 ド デセン
88——メメチチルルーー 88 --〈〈44——フフエエユユルルフフェェノノキキシシ〉〉カカルルボボ二二ルルテテトトララシシククロロ [[44..44..00..1122,,55..1177,,1100]] -- 33——ドドデデセセンン、、
ペペンンタタシシククロロ [[88..44..00..1122''55..1199''1122..0088''1133]] 33 へへキキササデデセセンン、、
ヘヘププタタシシククロロ ァァ ..;;!!33''66..;;!!11。。''1177..;;!!1122''1155..。。22''77..。。1111''1166]]—— 44——エエイイココセセンン、、
ヘヘププタタシシククロロ [[88..88..00..1144''77..1111UU88..111133''1166..0033''88..001122''1177]]—— 55 ヘヘンンエエイイココセセンン、、
55 ェェチチリリデデンンビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
88——ェェチチリリデデンンテテトトララシシククロロ [[44··44··00·· II22..55·· ll77''1100]]—— 33——ドドデデセセンン、、
55 フフエエ二二ルルビビシシククロロ [[22·· 22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
55——フフエエ二二ノノレレ 55——メメチチルルビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 --ェェンン、、
88——フフエエ二二ルルテテトトララシシククロロ [[44··44··00·· II22''55..11""。。]]—— 33——ドドデデセセンン、、
55—— ηη ブブチチルルビビシシククロロ [[ 22 ·· 22 ·· 11 ]]ヘヘププトトーー 22——ェェンン、、
55—— ηη へへキキシシノノレレビビシシクク口口 [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
55 シシククロロへへキキシシルルビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
55——((22 シシククロロへへキキセセニニノノレレ))ビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
55—— ηη ォォククチチルルビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトトーー 22 ェェンン、、
55—— ηη デデシシルルビビシシククロロ [[22..22..11]]ヘヘププトト 22 ェェンン、、
5 - (1 -ナフチル)ビシクロ [2· 2.1]ヘプト—2 ェン、
5 - (2—ナフチル)ビシクロ [2· 2.1]ヘプト- —2 ェン、
5 - (2—ナフチル) 5—メチルビシクロ [2 :•2.1]ヘプトー 2 -ェン、
5 - (4 -ビフエこニノレ)ビシクロ [ 2 · 2 · 1 ]ヘプ]卜ー2 ェン、
5 - (4 -ビフエこニル) 5 メチルビシクロ [ :2.2.1]ヘプトー 2 —ェン
5 -ァミノ 'メチル 1 シクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 —ェン、
5 トリメトキシシリノレビシクロ [ 2 · 2 · 1 ]ヘプトー 2 ェン、
5 トリエトキシシリルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 トリ n-プロポキシシリノレビシクロ [2.2.1]ヘプト 2 ェン、
5 トリ n-ブトキシシリノレビシクロ [2.2.1]ヘプト 2 ェン、
5 クロロメチルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 ヒドロキシメチルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 シクロへセニルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 フルォロビシクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 フルォロメチルビシクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 トリフルォロメチルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5.5 ジフルォロビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5.6 ジフルォロビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5 メチルー 5 トリフルォロメチルビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、 5,5,6 トリフルォロビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
5,5,6,6 テトラフノレオロビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2 ェン、
8—フルォロテトラシクロ [4·4·0· 12'5.17'10] 3—ドデセン、
8,8 ジフルォロテトラシクロ [4·4·0· 12'5.17'10]— 3 ドデセン、
スピロ [フルオレン一 9,8' トリシクロ [4·3·0· I2'5] [3]デセン]
などを挙げること力 Sできる。
[0112] これらの化合物は、 1種単独でまたは 2種以上を組み合わせて単量体(6)として用 いること力 Sでさる。
[0113] これらの単量体(6)のうち、上記式(6)における R1Q〜R13のうちの少なくとも 1つ力 下記式 (I)
(CH ) COOR17 (I)
2 n
(式中、 nは通常、 0または 1〜5の整数、 R17は炭素数 1〜; 15の炭化水素基である。 ) で表される特定の極性基である上記特定単量体が、得られる樹脂組成物および光 学フィルムの耐熱性と耐湿 (水)性とが良好なバランスを保つ点で好ましレ、。
[0114] 上記式 (I)において、 nの値が小さいほど、また、 R17の炭素数が小さいほど、得ら れる樹脂組成物のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上する点で好ましい。すな わち、 nは通常、 0または 1〜5の整数である力 好ましくは 0または 1であり、また、 R17 は通常、炭素数 1〜; 15の炭化水素基である力 S、好ましくは炭素数 1〜4のアルキル基 が望ましい。
[0115] さらに、上記式(6)において、上記式 (I)で表される極性基が結合した炭素原子に さらにアルキル基が結合している上記単量体は、得られる樹脂組成物および光学フ イルムの耐熱性と耐湿(水)性とが良好なバランスを保つ点で好まし!/、。このアルキル 基の炭素数は 1〜5であることが好ましぐさらに好ましくは 1〜2、特に好ましくは 1で ある。
[0116] このような単量体(6)のうち、 8 メチルー 8 メトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4.4.0 .12,5.17,1°]— 3 ドデセン、 8 -メチル 8 エトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4.4.0.12, 5.1?,10]— 3 ドデセン、 8 メチル 8 ブトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4·4·0· I2,5.1 7,10] 3 ドデセン、および 8—メチルー 8—メトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4·4·0· 12' 5· 17'1()〕一 3 ドデセンと 5 メチル 5 メトキシカルボニル一ビシクロ [2·2· 1]ヘプト 2—ェンとの併用は、得られる樹脂組成物および光学フィルムが耐熱性に優れる 点で好ましぐ特に、 8 メチル 8 メトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4·4·0· 12'5· 17'1()〕 — 3 ドデセンおよび 8 メチル 8 メトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4.4.0.12'5.17'10 〕一 3 ドデセンと 5 メチル 5 メトキシカルボニル ビシクロ [2.2.1]ヘプトー 2— ェンとの併用は、スチレン系共重合体 (Α)との相溶性に優れたカレボルネン系重合 体 (Β)が得られる点で好まし!/、。
[0117] その他の式(6)で表される単量体(6)の内で好ましい例としては、ビシクロ [2.2.1] ヘプトー 2 ェン、トリシクロ [5· 2. 1. 02'6 ]—デカー 3, 8 ジェン、 5 ェチリデンビ シクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 ェン、 5 フエ二ルビシクロ [2· 2.1]ヘプトー 2 ェン、 5— ηブチルビシクロ [2.2.1]ヘプト 2 ェン、 5 ηデシルビシクロ [2.2.1]ヘプト 2—
ェン等を挙げること力 Sできる。
[01 18] [開環 (共)重合体]
上述した単量体(6)を開環重合して得られるノルボルネン系重合体 (B)としては、 例えば下記一般式 (Π)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。
[01 19] [化 1 1]
[0120] (式(Π)中、 a、 b、 c、 dおよび R4〜R^は、それぞれ上記式(6)における a、 b、 c、 dおよ び R4〜R13の定義と同義である。 Xは式:—CH = CH—で表される基または式:—C H CH一で表される基であり、複数存在する Xは同一または異なる。)。
[0121] 上述した単量体(6)を開環重合して得られるノルボルネン系重合体 (B)としては、 好ましくは、下記式 (i)で表される構造単位を有する(共)重合体であることが望まし!/、
〇
[0122] [化 12]
[0123] (式 (i)中、 Ai〜A4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄
原子、窒素原子もしくはケィ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置 換の炭素原子数 1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、 A A4の少なくとも一 つは—(CH ) COOA5で表される基 (A5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは
2 n
ケィ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数 1〜30の炭 化水素基)であり、 nは 0または 1〜5の整数である。)。
[0124] ノルボルネン系重合体 (B)が、前記式 (i)で表される構造単位を含む場合、ノルボ ルネン系重合体(Β)の全構造単位 100mol%中、前記式 (i)で表される構造単位を 、通常 5mol%以上、好ましくは 10〜70mol%、より好ましくは 20〜50mol%含有す るのが望ましい。
[0125] 前記式(i)で表される構造単位は、前記単量体(6)のうち、下記式(i a)で表され る単量体を開環共重合し、水素添加することにより好適に得られる構造単位である。
[0126] [化 13]
[0127] 式(i— a)中、 ^〜A4は、上記式(i)において定義のとおりである。
[0128] このような単量体(i a)としては、たとえば
5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1 ]ヘプトー 2 ェン、
5 エトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1 ]ヘプトー 2 ェン、
5 プロポキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1 ]ヘプト 2 ェン、
5 フエノキシカルボ二ルビシクロ [2.2. 1 ]ヘプトー 2 ェン、
5 ベンジルォキシカルボ二ルビシクロ [2.2. 1 ]ヘプト 2 ェン
などが挙げられる。好ましい単量体は 5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1 ]ヘプト 2—ェンである。
[0129] このような単量体(i— a)は、式(i— a)中の Ai〜A4の少なくとも一つが一(CH ) CO
2 n
OA5で表される基(エステル結合を有する基)である力 一(CH ) COOR5で表され
2 n
る基が結合する炭素原子に結合するもう一つの原子もしくは基が、水素原子以外の 原子もしくは基であること力 S好ましい。具体的には、たとえば、 A1が一 (CH ) COOA!
2 n で表される基であって、 A2が水素原子以外の原子もしくは基である構造単位が好ま しい。
[0130] より好ましくは、単量体 (i a)としては、下記式で表される化合物(i a' )が挙げら れる。
[0131] [化 14]
[0132] 式 (i— a' )中、 A5は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケィ素原子を含む連 結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素数 1〜30の炭化水素基を表し、 A6は 、ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケィ素原子を含む連結基を 有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数 1〜30の炭化水素基;または極性基 を表す。ここで Aは、より好ましくは炭素数 1〜; 10の炭化水素基である。
[0133] このような単量体(1— a' )としては、たとえば、以下のようなものを例示することがで きる。
5 メチルー 5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2· 2. 1]ヘプトー 2 ェン
[0135] 5 メチル 5 エトキシカルボ二ルビシクロ [2· 2. 1]- - 2—ェン
[0137] 5 メチノレー 5 フエ 2. 1]ヘプトー 2—ェン
[0139] 単量体(6)のうち、上記式(6)における cおよび dの少なくともひとつ力 SOでない化合 物、好ましくは cおよび dの少なくともひとつが 1を示す化合物である単量体(以下「多 核体」ともいう)と、単量体 (i_a' )とを共重合させる場合、単量体 (i-a ' )の反応性が低 いため、重合コンバージョンが低くなつたり、重合後期に単量体 (i-a' )が反応系に多 く残留し、単量体 (i-a ' )のみに由来する重合鎖が生成したりすると!/、うおそれがある 。単量体 (i-a ' )のみに由来する重合鎖は後述する水素添加反応が進行し難いため 、この重合体鎖の生成を抑制することが好ましい。この問題を解決する方法として、 多核体を逐次添加または連続添加し重合する方法が挙げられる。具体的には、多核 体の一部と単量体 (i-a' )とをバッチ重合させながら、多核体を逐次添加または連続 添加する方法、反応の開始から終わりまで多核体と単量体 (i-a' )との混合物を逐次 添加または連続添加する方法などが挙げられる。共重合反応性比は公知の方法、 Fi neman— Ross法による曲線合致法や Mayo— Lewis法による積分式により算出す ることができる(大津隆行 ·木下雅悦教書、化学同人、第 12印、高分子合成の実験法 、 ppl 83〜; 189)。特に好ましい具体例としては、下記の通りである。多核体が 8—メ チル— 8 メトキシカルボ二ルテトラシクロ〔4·4·0· 12'5· 17'1()〕—3 ドデセン、単量体(i -a ' )が 5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2.2.1]ヘプト 2 ェンの場合、 Fineman- Ross法により求めた 80°Cでの共重合性反応性比は 8—メチルー 8—メトキシカルボ 二ルテトラシクロ〔4·4·0· 12'5· 17'1()〕一3 ドデセンは 2. 1、 5 メトキシカルボ二ルビシ クロ [2.2.1 ]ヘプトー 2—ェンが 1. 0。つまり、多核体は単量体(i-a' )より 2. 1倍の速 度で消費されるため、仕込み組成は、単量体(i-a ' ):多核体 = 1 : 2. 1 (mol%)にす
ることが特に好ましく、好ましい範囲として、単量体(i-a' ) lmolに対して、多核体;!〜 4molである。反応の開始から終わりまでこの範囲の組成を維持するように多核体を 添加することが好ましい。
[0140] [共重合性単量体]
上記単量体(6)は単独で開環重合してもよいが、さらに、上記単量体 ½)と他の共 重合性単量体とを開環共重合させてもょレ、。
[0141] 上記共重合性単量体として、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロへ プテン、シクロオタテンなどのシクロォレフインを挙げることができる。シクロォレフイン の炭素数は、 4〜20力 S好ましく、さらに好ましくは 4〜; 12である。
[0142] さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン ブタジエン共重合体、エチレン 非共役ジェン共重合体、ポリノルボルネンなどの、主鎖に炭素 炭素間二重結合 を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で、上記単量体(6)を開環重合させ てもよい。この場合、得られる開環共重合体およびその水素添加共重合体は、耐衝 撃性の大きい樹脂組成物の原料として有用である。
[0143] 上記開環重合体 (式 (Π)で表される構造単位を有する (共)重合体)は、開環重合 触媒の存在下、必要に応じて分子量調節剤および開環重合用溶媒を用いて、上記 単量体(6)の 1種以上、および必要に応じて共重合性単量体を、従来公知の方法で 開環 (共)重合させることにより得ること力でさる。
[0144] また、上記単量体 (6)と上記共重合性単量体とを共重合させる場合、上記単量体(
6)と上記共重合性単量体との合計 100重量%に対して、上記単量体 ½)を通常 50 重量%以上、好ましくは 60重量%以上、より好ましくは 70重量%以上、かつ 100重 量%以下、上記共重合性単量体を、 0重量%以上、通常 50重量%以下、好ましくは 40重量%以下、より好ましくは 30重量%以下の割合で共重合させることが望ましい。
[0145] 本発明で用いる開環重合体としては、単量体(6)の単独重合体、または 2種以上の 単量体(6)の共重合体が最も好まし!/、。
[0146] 〈開環 (共)重合触媒〉
本発明に用いられる開環(共)重合用の触媒としては、 Olefin Metathesis and Metat hesis Polymerization( .J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触
媒が好ましく用いられる。
[0147] このような触媒としては、たとえば、(a)W、 Mo、 Re、 Vおよび Tiの化合物力も選ば れた少、なくとも 1種と、(b) Li、 Na、 K、 Mg、 Ca、 Zn、 Cd、 Hg、 B、 Al、 Si、 Sn、 Pbな どの化合物であって、少なくとも 1つの当該元素 炭素結合あるレ、は当該元素 水 素結合を有するものから選ばれた少なくとも 1種との組合せからなるメタセシス重合触 媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添カロ されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第 4族〜 8族遷移金属 カルベン錯体ゃメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス 触媒が挙げられる。
[0148] 上記(a)成分として適当な W、 Mo、 Re、 Vおよび Tiの化合物の代表例としては、 W CI、 MoCl、 ReOCl、 VOC1、 TiClなど特開平 1 240517号公報に記載の化合
6 5 3 3 4
物を挙げること力 Sでさる。
[0149] 上記(b)成分としては、 n— C H Li、(C H ) Al、(C H ) A1C1、(C H ) A1C1 、
4 9 2 5 3 2 5 2 2 5 1.5 1.5
(C2H5)A1CKメチルアルモキサン、 LiHなど特開平 1— 240517号公報に記載の化 合物を挙げること力 Sできる。
[0150] 添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、ァ ミン類などが好適に用いることができ、さらに特開平 1— 240517号公報に示される化 合物を使用することができる。
[0151] 上記触媒(d)の代表例としては、 W( = N— 2,6— C H iPr )( = CH tBu)(0 tBu)、
6 3 2 2
Mo( = N— 2,6— C H iPr )( = CH tBu)(0 tBu)、 Ru( = CHCH = CPh )(PPh ) CI
6 3 2 2 2 3 2
、Ru( = CHPh)(PC H ) CIなどが挙げられる。
2 6 11 2 2
[0152] メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と、全単量体(単量体 ½)の全量お よび他の共重合可能な単量体。以下、同じ)とのモル比で「(a)成分:全単量体」が、 通常 1: 500—1: 500,000となる範囲、好ましくは 1: 1,000—1: 100,000となる範囲 であるのが望ましい。 (a)成分と (b)成分との割合は、金属原子比で「(a): (b) j ^i : 1-1 : 100,好ましくは 1 : 2〜; 1 : 50の範囲であるのが望ましい。また、このメタセシス 触媒に上記 (c)添加剤を添加する場合、 (a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「( c): (a)」が 0. 005 :;!〜 15 : 1、好ましくは 0. 05:;!〜 7: 1の範囲であるのが望ましい
。また、触媒 (d)の使用量は、(d)成分と全単量体とのモル比で「(d)成分:全単量体 」 1S 通常 1: 50〜1: 100,000となる範囲、好ましくは 1: 100-1: 50,000となる範囲 であるのが望ましい。
[0153] 〈分子量調節剤〉
開環 (共)重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって も行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させること により調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、たとえば、ェチ レン、プロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—ヘプテン、 1—才クテ ン、 1—ノネン、 1—デセンなどの α—ォレフイン類、スチレン、ビュルトルエンなどの スチレン類、ァリル酢酸、ァリルベンゼンなどァリル化合物類を挙げることができ、これ らのうち、 1ーブテン、 1一へキセン、 1—オタテンが特に好ましい。これらの分子量調 節剤は、単独であるいは 2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使 用量としては、開環(共)重合反応に供される全単量体 1モルに対して 0. 001-0. 6 モル、好ましくは 0. 02—0. 5モルであるのが望ましい。
[0154] 〈開環 (共)重合反応用溶媒〉
開環(共)重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メ タセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、たとえば、石油エーテル 、ペンタン、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素類;シクロ ペンタン、シクロへキサン、メチノレシクロへキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デ カリン、ノルボルナンなどの環状炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ェチル ベンゼン、タメン、クロ口ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロェ タン、クロロブタン、クロ口ホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類; 酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸 η ブチル、酢酸 iso ブチル、プロピオン酸メチルな どのエステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシェタン、ジォキサン などのエーテル類; N, N— 11ジメチルホルムアミド、 N, N ジメチルァセトアミド、 N メチルピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いるこ とができる。本発明では、これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
[0155] 溶媒の使用量としては、「溶媒:全単量体(重量比)」が、通常 0. 5 :;!〜 20 : 1となる
量とされ、好ましくは 0. 5 :;!〜 10 : 1となる量であるのが望ましい。
[0156] [水素添加]
本発明では、上記の開環重合のみによりノルボルネン系重合体 (B)を製造してもよ いが、開環重合で得た開環重合体をさらに水素添加することが好ましい。開環重合 のみでは、得られるノルボルネン系重合体は、上述の式 (Π)で表される構造単位(II) 中の Xが、いずれも、式: CH = CH で表されるォレフィン性不飽和基の状態であ る。かかる開環重合体は、そのまま使用することもできる力 耐熱安定性の観点から、 上記のォレフィン性不飽和基が水素添加されて前記 Xがー CH -CH一で表される 基に転換された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物 とは、上記のォレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、ノルボルネン系単 量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
[0157] なお、水素添加する割合としては、上記構造単位(Π)における Xの 90モル%以上、 好ましくは 95%以上、さらに好ましくは 97%以上であるのが望ましい。水素添加する 割合が高レ、ほど、熱による着色や劣化が抑制することができるため好ましレ、。
[0158] この製造方法では、水素添加反応は、単量体(6)に基づく側鎖の芳香環が実質的 に水素添加されない条件で行われる必要がある。このため通常は、開環重合体の溶 液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜 30MPa、好ましくは 2〜20MPa、更に好 ましくは 3〜 18MPaで水素を作用させることによって行うのが望まし!/、。
[0159] 水素添加触媒としては、通常のォレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるも のを使用することができる。この水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および 均一系触媒をいずれも用いることができる。不均一系触媒としては、ノ ラジウム、白金 、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミ ナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系 触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリェチルアルミニウム、ビス(ァセチルァセトナト )ニッケル(Π) /トリェチルアルミニウム、オタテン酸コバルト /n ブチルリチウム、チ タノセンジクロリド/ジェチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフ ェニノレホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフエニノレホスフィン)ノレテニゥム、クロロヒ ドロカルボニルトリス(トリフエニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリ
フエニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒 状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、 1種単独でも 2種以上を組み合わせて あ使用すること力でさる。
[0160] これらの水素添加触媒は、単量体(6)もしくは他の単量体に基づく側鎖の芳香環が 実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要がある力 通常は、「開環 (共)重合体:水素添加触媒 (重量比)」が、 1 : 1 X 10— 6〜; 1 : 2となる割 合で使用するのが望ましい。
[0161] 精製方法としてはスチレン系共重合体 (A)と同様の方法を採用することができる。
[0162] [付加型 (共)重合体]
本発明では、ノルボルネン系重合体 (B)として、上記開環(共)重合体およびその 水素添加重合体の他に、 1種単独または 2種以上の上記単量体(6)からなる付加型 (共)重合体、および上記単量体 (6)と不飽和二重結合含有化合物との付加型 (共) 重合体を使用することができる。 1種単独または 2種以上の上記単量体(6)の(共)重 合反応により生成する付加型 (共)重合体は、従来公知の方法により得ることができる 。また、上記単量体(6)と不飽和二重結合含有化合物は、これらの合計量 100重量 %に対して、上記単量体(6)を通常 50〜90重量%、好ましくは 60〜90重量%、より 好ましくは 70〜90重量%、不飽和二重結合含有化合物を通常 10〜50重量%、好 ましくは 10〜40重量%、より好ましくは 10〜30重量%の割合で共重合させることが 望ましい。
[0163] 上記不飽和二重結合含有化合物としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン などの炭素数 2〜 12、好ましくは 2〜8のォレフイン系化合物を挙げることができる。
[0164] 上記単量体(6)と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応に用いられる触媒と しては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。バ ナジゥム化合物としては、 VO (OR) Xまたは V (OR) X (ただし、 Rは炭化水素基、
a b c d
0≤a≤3, 0≤b≤3, 2≤a + b≤3, 0≤c≤4, 0≤d≤4, 3≤c + d≤4)で表される バナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が挙げられる。電子供与体 としてはアルコール、フエノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無 機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子
供与体、アンモニア、ァミン、二トリル、イソシアナート等の含窒素電子供与体などが 挙げられる。上記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム 炭素結合またはァ ノレミニゥム一水素結合を少なくとも 1つ有する化合物から選ばれた少なくとも 1種の有 機アルミニウム化合物が挙げられる。上記触媒におけるバナジウム化合物と有機アル ミニゥム化合物との割合は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比 (A1/V) で、通常 2以上、好ましくは 2〜50、特に好ましくは 3〜20である。
[0165] 上記共重合反応に用いられる溶媒としては、たとえば、ペンタン、へキサン、ヘプタ ン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類;シクロへキサン、メチルシクロへキサン 等の環状炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素およびその ハロゲン誘導体を挙げることができる。これらのうち、シクロへキサン、メチルシクロへ キサンが好ましい。
[0166] 精製方法としては、上記スチレン系共重合体 (A)と同様の方法を採用することがで きる。
[0167] 本発明に用いられるノルボルネン系重合体(B)は、 30°Cのクロ口ベンゼン溶液(濃 度 0. 5g/dU中で測定した対数粘度( )が、 0. 3〜2. OdL/gであることが好まし い。また、ノルボルネン系重合体(B)のゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ(GPC) で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常 1 , 000-500, 000、 好まし <は 3, 000—300, 000、さらに好まし <は 5, 000— 100, 000であり、重量平 均分子量(Mw)は、通常 10, 000— 1 , 000, 000、好まし <は 20, 000— 500, 000 、さらに好ましくは 30, 000-200, 000であることカ望ましい。
[0168] 分子量が小さすぎると、得られる成形品やフィルムの強度が低くなることがある。分 子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産 性や加工性が悪化することがある。
[0169] また、ノルボルネン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常 1 · 5—10,好 ましくは 2〜8、さらに好ましくは 2〜6であることが望ましい。
[0170] ノルボルネン系重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、通常 100〜250°Cであり、 好ましくは 110〜220°C、さらに好ましくは 115〜200°Cである。 Tgが低すぎると、熱 変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる成形
品やフィルムの温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある 。一方、 Tgが高すぎると、加工温度を高くする必要があり、これにより樹脂組成物が 熱劣化することがある。
[0171] <樹脂組成物および光学フィルム〉
本発明に係る樹脂組成物および光学フィルムは、上記スチレン系共重合体 (A)とノ ルボルネン系重合体 (B)との組成比( (A) / (B) )力 重量比でスチレン系共重合体 /ノノレポノレネン系重合体 = 5/95〜70/30、好ましく ίま 15/85〜60/40、より好 ましくは 20/80〜50/50の範囲である。スチレン系共重合体 (Α)の配合量が上記 範囲にあると、製膜後、延伸することにより逆波長分散性を有する光学フィルムを得る こと力 Sできる。また、フィルムの強度も向上する。スチレン系共重合体 (Α)の配合量が 上記下限未満になると、樹脂組成物から得られる延伸フィルムが逆波長分散性を示 さないことがある。また、スチレン系共重合体 (Α)の配合量が上記上限を超えると、得 られる樹脂組成物や光学フィルムの耐熱性が低下したり、光学フィルムの強度が低 下したりすること力 Sfcる。
[0172] 上記樹脂組成物および光学フィルムは、さらに炭化水素樹脂を含有していてもよい 。この炭化水素樹脂としては、 C系樹脂、 C系樹脂、 C系/ C系混合樹脂、シクロ ペンタジェン系樹脂、ォレフイン/ビュル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、 シクロペンタジェン系化合物/ビュル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、これ らの樹脂の水素添加物およびビュル置換芳香族系樹脂の水素添加物などを挙げる こと力 Sできる。炭化水素樹脂の含有量は、ノルボルネン系重合体 (B) 100重量部に 対して、通常 0. 0;!〜 50重量部、好ましくは 0. ;!〜 25重量部である。
[0173] 上記樹脂組成物は、耐熱劣化性ゃ耐光性の改良のために下記に示す酸化防止剤 、紫外線吸収剤等を添加しても良い。
[0174] 酸化防止剤としては、
2,6 ジー tーブチノレー 4ーメチノレフエノーノレ、 2,2' ジォキシー 3,3' ジー tーブ チルー 5,5'—ジメチルジフエニルメタン、テトラキス [メチレンー3—(3, 5—ジ tーブ チルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート]メタン、 1 , 1 ,3 トリス(2 メチルー 4 ヒドロキシー 5— t ブチルフエニル)ブタン、 1 ,3,5 トリメチルー 2,4,6 トリス(3, 5
ージ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル β一(3,5—ジ t ーブチルー 4ーヒドロキシフエニル)プロビオネート、 2, 2 ' ジォキシ 3,3' ジー t ブチルー 5,5' ジェチルフエニルメタン、 3,9 ビス [1,1 ジメチルー 2—(/3—(3 —tーブチルー 4ーヒドロキシ 5 メチルフエニル)プロピオニルォキシ)ェチル]、 2, 4,8,10 テトラオキサスピロ [5· 5]ゥンデカン、トリス(2,4 ジ一 t ブチルフエニル) ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4 ジー t ブチルフエニル) ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6 ジ一 t ブチル 4 メチ ノレフエ二ノレ)ホスファイト、 2,2—メチレンビス(4,6—ジ一 t ブチルフエ二ノレ)オタチル ホスファイトが挙げられる。
[0175] 紫外線吸収剤としては、
2,4 ジヒドロキシベンゾフエノン、 2 ヒドロキシ一 4 メトキシベンゾフエノン、 2— ( 2H べンゾトリアゾール -2-ィル) -4,6-ビス(卜メチル _;!-フエ二ルェチノレ)フエノー ノレ、 2—(2H べンゾトリアゾール -2-ィル) -4,6-ジ -tert-ペンチルフエノーノレ、 2-ベ ンゾトリアゾール -2-ィル 4,6-ジ -tert-ブチルフエノール、 2,2'-メチレンビス〔4- (1,1, 3,3-テトラメチルブチル) -6-[ (2H べンゾトリアゾール -2-ィル)フエノール]〕などが 挙げられる。
[0176] これらの添加剤の添加量は、本樹脂組成物 100重量部に対して、通常、 0. 0;!〜 5 重量部、好ましくは 0. 05〜4重量部である。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
[0177] <樹脂組成物の製造方法〉
本発明に係る樹脂組成物は、例えば、下記 (i)〜(iii)の方法により得ることができる
〇
(i)スチレン系共重合体 (A)とノルボルネン系重合体 (B)と任意成分とを、二軸押出 機またはロール混練機などを用いて混合する方法。
(ii)ノルボルネン系重合体 (B)を適当な溶媒に溶解した溶液に、スチレン系共重合 体 (A)を添加、混合する方法。
(iii)スチレン系共重合体 (A)またはその溶液とノルボルネン系重合体 (B)またはその 溶液とを混合溶解し、デボラチライターやルーダー等を用いて脱溶する方法。
[0178] この際に使用する溶剤としては、スチレン系共重合体 (A)またはカレボルネン系重 合体 (B)の製造に使用する重合溶媒や、光学フィルムの溶剤キャスト法で用いる一 般的な溶剤を用いることができる。上記方法により得られる樹脂組成物は、高分子量 の重合体を含有するため、フィルム強度に優れた光学フィルムを得ることができる。
[0179] また、上記 (ii)、(iii)などで得られる樹脂組成物溶液を、押出機に導入し、押出機 内で該樹脂組成物溶液中の揮発分を除去した後、フィルム状またはストランド状にダ ィより、後述する溶融押出成形(以下、単に押出成形ともいう)を行って、成形体また は光学フィルムを得ることもできる。
[0180] <光学フィルムの製造方法〉
本発明の光学フィルムは、上述の樹脂組成物を溶融成形法、溶液流延法 (溶剤キ ヤスト法)などによりフィルムに成形することにより得ることができる。
[0181] 溶剤キャスト法としては、たとえば、上述した本発明に係る樹脂組成物を溶媒に溶 解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキヤリヤー上に注ぐ力、、または塗布 し、これを乾燥した後、キヤリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
[0182] 本発明に係る樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂組成物 の濃度を、通常は 1〜90重量%、好ましくは 5〜50重量%、さらに好ましくは 10〜35 重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが 困難になる、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得に《 なる等の問題が生じる。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて 得られる光学フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
[0183] また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000 (111?& ' 3)、好ましくは1 0〜500,000 (11 1½ - 3)、さらに好ましくは100〜200,000 (11 1½ - 3)、特に好ましくは 1,000〜; 100,000 (mPa ' s)である。
[0184] ここで使用する溶媒としては、シクロへキサン、シクロペンタン、メチルシクロへキサ ン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチル セロソルブ、ェチルセ口ソルブ、 1ーメトキシー2—プロパノール等のセロソルブ系溶 媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロへキサノン、メチルェチルケトン、 4—メチ ルー 2—ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、酢酸メチ
ノレ、酢酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロ口ホルム等の ハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジォキサン、ジメトキシェタン、 1 , 3—ジォキソ ラン等のエーテル系溶媒、 1ーブタノール、 1 ペンタノール等のアルコール系溶媒 を挙げること力 Sでさる。
[0185] また、上記以外でも、 SP値 (溶解度パラメーター)が通常 10〜30 (MPa1/2)、好まし くは 10〜25 (MPa1/2)、さらに好ましくは 15〜25 (MPa1/2)、特に好ましくは 17〜20 ( MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好な光学フィルム を得ること力 Sでさる。
[0186] 上記溶媒は単独であるいは 2種以上併用して使用することができる。溶媒を 2種以 上併用する場合には、混合物としての SP値の範囲を上記範囲内とすることが好まし い。このとき、混合物としての SP値は、その重量比から求めることができ、例えば二種 の混合物の場合は、各溶媒の重量分率を W 、 W、また、 SP値を SP , SPとすると
1 2 1 2 混合溶媒の SP値は下記式:
SP値 =W - SP +W - SP
1 1 2 2
により計算したィ直として求めること力 sでさる。
[0187] 樹脂溶液の調製にお!/、て、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を溶媒で溶解する 場合の温度は、室温でも高温でもよい。十分に撹拌することにより均一な溶液が得ら れる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に染料、顔料等の着色剤を適宜 添カロすることあでさる。
[0188] また、光学フィルムの表面平滑性を向上させるためにレべリング剤を添加してもよい 。一般的なレべリング剤であれば何れも使用できる力 たとえば、フッ素系ノニオン界 面活性剤、特殊アクリル樹脂系レべリング剤、シリコーン系レべリング剤などが使用で きる。
[0189] 本発明の光学フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダ イスゃコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルォロ エチレン製ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥 ·除去して基材よりフ イルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコー
ト、デイツビングなどの手段を用いて,樹脂組成物溶液を基材に塗布し、その後溶剤 を乾燥 ·除去して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、 塗布の繰り返しにより厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
[0190] また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィル ムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理 方法、例えばアクリル系樹脂ゃスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングやラミネート により積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向 上させる方法等が挙げられる。
[0191] 上記溶剤キャスト法の乾燥 (溶剤除去)工程については、特に制限はなく一般的に 用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実 施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、フィルムの特 性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を 2段以上の複数工程と し、各工程での温度ある!/、は風量を制御することが好まし!/、。
[0192] また、光学フィルム中の残留溶媒量は、通常は 10重量%以下、好ましくは 5重量% 以下、さらに好ましくは 2重量%以下、特に好ましくは 1重量%以下である。ここで、残 留溶媒量が 10重量%以上であると、実際に該光学フィルムを使用したときに経時に よる寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒により Tgが低くなり、耐熱性も 低下することから好ましくない。
[0193] なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、上記残留溶媒量を上記範囲内で 適宜調節する必要がある場合がある。具体的には、延伸配向時の位相差を安定して 均一に発現させるために、残留溶媒量を通常は 10〜0. 1重量%、好ましくは 5〜0. 1重量%、さらに好ましくは;!〜 0. 1重量%にすることがある。溶媒を微量残留させる ことで、延伸加工が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
[0194] 本発明の光学フィルムの厚さは、通常は 0. ;!〜 3,000 m、好ましくは 0. 1— 1 ,00 0〃 m、さらに好ましくは;!〜 500 μ m、最も好ましくは 5〜300 μ mである。 0. l ^ m 未満の厚みの場合実質的にハンドリングが困難となる。一方、 3,000 m以上の場 合、ロール状に巻き取ることが困難になる。
[0195] 本発明の光学フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して ± 20%以内、好まし
くは ± 10%以内、さらに好ましくは ± 5%以内、特に好ましくは ± 3%以内である。ま た、 1cmあたりの厚みの変動は、通常は 10%以下、好ましくは 5%以下、さらに好ま しくは 1 %以下、特に好ましくは 0. 5%以下であることが望ましい。かかる厚み制御を 実施することにより、均質な光学フィルムとすることができるとともに、延伸配向した際 の透過光の位相差ムラを防ぐことができる。
[0196] 押出成形法としては、押出機により、樹脂を溶融し、ギアポンプにより定量供給し、 これを金属フィルターでろ過により不純物を除去して、ダイにてフィルム形状に賦型し 、引き取り機を用いてフィルムを冷却し、巻き取り機を用いて巻き取る方法が一般的 に使用される。
[0197] 押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コエーダー、バンバリ 一ミキサータイプなど、いずれを用いても良いが、好ましくは単軸押出機が用いられ る。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフラ イト型、フルフライト型、ノ リア型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧 縮タイプなどがある力、フルフライト型緩圧縮タイプまたはバリア型が好ましい。
[0198] 計量に使用するギアポンプに関しては、ギアの間で下流側より戻される樹脂が、系 内に入る内部潤滑方式と、外部に排出される外部潤滑方式がある力 熱安定性が良 好でないノルボルネン系重合体の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプ のギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方力 計量の 安定化の点から好ましい。
[0199] 異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、キャンドルフィ ルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられる力 S、比較的滞留時間 分布が小さぐろ過面積を大きくすることが可能な、リーフディスクタイプのものが好ま しい。フィルターエレメントとしては、金属繊維焼結タイプ、金属粉末焼結タイプ、金属 繊維/粉末積層タイプなどが挙げられる。
[0200] フィルターのセンターポールの形状には、外流タイプ、六角柱内部流動タイプ、円 柱内部流動タイプなどが挙げられる力 滞留部が小さい形状であれば、いずれの形 状を選択することも可能である。
[0201] 溶融された樹脂は、ダイから吐出され、冷却ドラムに密着固化されて目的とするフィ
ルムに成形される。ダイ形状に関しては、ダイ内部の樹脂流動を均一にすることが必 須であり、フィルムの厚みの均一性を保っためには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧 力分布が幅方向で一定であることが必須である。また、幅方向での樹脂の流量がほ ぼ一定であり、ダイの出口での流量の微調整をリップ開度により調整可能な範囲で一 定であることが厚みの均一性を得るために必須用件である。上記、条件を満たすた めにはマ二ホールド形状は、コートハンガータイプが好ましぐストレートマ二ホールド 、フィッシュテールタイプなどは、幅方向での流量分布などが発生しやすくなるために 好ましくない。
[0202] また、上記のフィルムの厚み分布を均一にするためには、ダイ出口での温度分布を 幅方向において一定にすることが重要であり、温度分布は好ましくは ± 1°C以下であ り、さらに好ましくは ± 0. 5°C以下である。 ± 1°Cを超えて幅方向に温度ムラが生じて いると、樹脂の溶融粘度差が生じ、厚みムラ、応力分布ムラなどが生じるため、延伸 操作を実施する過程にぉレ、て、位相差ムラが発生しやすくなり好ましくな!/、。
[0203] さらに、ダイ出口のリップ開き量(以下、「リップギャップ」という。)は、通常、 0. 3〜1 . 5mmであり、好ましくは 0. 3〜; 1. 2mmであり、さらに好ましくは 0· 35~ 1. Ommで ある。リップギャップが 0. 3mm未満であると、ダイ内部の樹脂圧力が高くなり過ぎて、 樹脂がダイのリップ以外の場所から樹脂漏れを起こしやすくなるため好ましくない。一 方、リップギャップが 1. 5mmを超えると、ダイの樹脂圧力が上がりにくくなるため、フ イルムの幅方向の厚みの均一性が悪くなり好ましくない。
[0204] ダイから押出されたフィルムを密着固化させる方法としては、ニップロール方式、静 電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバ一方式、カレンダー方式などが 挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。
[0205] ダイから押出されたフィルムを固化するための冷却ロール表面についても、押出機 シリンダー、ダイスの内面などと同様に、各種の表面処理が行われることが好ましい。
[0206] 押出機(シリンダー 'スクリューなど)、ダイスの材質としては、 SCM系の鋼鉄、 SUS などのステンレス材などが挙げられる力 これらに限定されるものではない。また、押 出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、エッケノレ、 チタンなどのメツキが施されたもの、 PVD (Physical Vapor D印 osition)法などにより、
TiN、 TiAlN、 TiCN、 CrN、 DLC (ダイァモンド状カーボン)などの被膜が形成され たもの、 WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、 表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂 との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
[0207] 本発明の光学フィルムを製造する際の樹脂温度(押出機シリンダー温度)としては、 通常、 200〜350。C、好まし <は 220〜320。Cである。樹脂温度力 00。C未満では、 樹脂組成物を均一に溶融させることができず、一方、 350°Cを超えると、溶融時に樹 脂組成物が熱劣化して表面性に優れた高品質なフィルムの製造が困難になる。さら に、上記温度範囲内であって、樹脂組成物のガラス転移温度 (Tg)に対して、 Tg+ 1 20°C〜Tg+ 160°Cの範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂組成 物の Tgが 130°Cであれば、フィルム製造にとって特に好ましい温度範囲は 250°C〜 290°Cである。本発明の樹脂組成物は、上記のような高温下においてもフィルムの結 晶化(白濁)を抑制することができ、優れた相溶性を有するため、押出成形性が良好 である。押出特性の指標としては、用いる樹脂組成物の 260°Cにおけるメルトフロー レート(MFR)力 10〜200g/10min、好ましく (ま 15〜; 150g/10min、特に好ましく は 30〜; 120g/10minである。また、メルトフローレート値は樹脂組成物全体におい て一定であることが好ましぐそのバラツキは、好ましくは ± 10%以内、特に好ましく は ± 5%以内である。メルトフローレート値を一定にすることで押出加工時の圧力変 動を抑えることができ、膜厚均一性に優れたフィルムを得ることが出来る。
[0208] また、溶融押出時のせん断速度としては、通常、 l〜500(l/sec)、好ましくは 2〜
350(l/sec)、より好ましくは 5〜200(l/sec)である。押出時のせん断速度が 1(1/ sec)未満では、樹脂組成物を均一に溶融させることができないため厚み斑が小さい 押出フィルムを得ることができず、一方、 500(l/sec)を超えると、せん断力が大きす ぎて樹脂および添加物が分解 ·劣化し、押出フィルムの表面に発泡、ダイライン、付 着物などの欠陥が生じてしまうことがある。
[0209] 本発明の光学フィルムの厚みは、通常、 10〜800 111、好ましくは、20〜500 111 、より好ましくは 40〜 500 H mである。 10 m未満の厚みの場合、機械的強度不足 などにより延伸加工などの後加工する場合に難があることがあり、一方、 800 mを
超える厚みの場合、厚みや表面性などが均一なフィルムを製造することが難しいば 力、り力、、得られたフィルムを巻き取ることが困難になることがある。
[0210] 本発明の原反フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して ± 5%以内、好ましく は ± 3%以内、より好ましくは ± 1 %以内である。厚み分布が ± 5%を超えると、延伸 処理を行って光学フィルムとした場合に位相差ムラが発生しやすくなることがある。
[0211] <延伸フィルム〉
本発明に係る延伸フィルムは、上記方法によって得た本発明の光学フィルムをさら に加熱延伸加工することにより得ることができ、透過光に位相差を与えるフィルムとし て用いること力 Sできる。具体的には、公知の一軸延伸法、二軸延伸法、 Z軸延伸法に より製造すること力 Sできる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮 延伸法、円周の速度の異なるロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と 縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いること ができる。
[0212] 一軸延伸法の場合、延伸速度は通常は 1〜5,000%/分であり、好ましくは 50〜1 ,000%/分であり、さらに好ましくは 100〜; 1 , 000%/分である。
[0213] 二軸延伸法の場合、同時 2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方 向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、屈折率楕円体の形状を制御す るための 2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性により決定されるため特に限定 はされないが、通常は 120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同 じであってもよく、異なっていてもよぐ通常は;!〜 5,000%/分であり、好ましくは 50 〜; 1,000%/分であり、さらに好ましくは 100〜; 1,000%/分であり、特に好ましくは 100〜500%/分である。
[0214] 延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、スチレン系重合体 (A)とノルボ ルネン系重合体 (B)とを含有する樹脂組成物のガラス転移温度 Tgを基準として、通 常は Tg± 30°C、好ましくは Tg± 15°C、さらに好ましくは Tg— 5〜Tg+ 15°Cの範囲 である。前記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となる。なお 、本明細書における樹脂組成物のガラス転移温度とは、 日本工業規格 K7121に従 つて求めた補外ガラス転移開始温度のことを言い、本発明の樹脂組成物はスチレン
系重合体 (A)とノルボルネン系重合体 (B)の相溶性に優れるために測定が可能な値 である。また、本発明の樹脂組成物は、このような高温による延伸加工においても、ス チレン系共重合体 (A)を構成する各構造単位の含有率をコントロールすることにより
、フィルムの結晶化や相分離によるフィルムの透過率低下および白濁を抑制すること ができ、優れた相溶性が付与され、加熱延伸加工性が良好である。
[0215] 延伸倍率は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は 1
. 01〜; 10倍、好ましくは 1. 03〜5倍、さらに好ましくは 1. 03〜3倍である。延伸倍率 が 10倍以上の場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
[0216] 延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、 Tg— 20°C〜Tgの温度雰囲気下 に少なくとも 10秒以上、好ましくは 30秒〜 60分間、さらに好ましくは 1分〜 60分間保 持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少 なく安定した光学フィルムが得られる。
[0217] 延伸加工を施さない本発明の光学フィルムの加熱による寸法収縮率は、 100°Cに おける加熱を 500時間行った場合に、通常 5%以下、好ましくは 3%以下、さらに好ま しくは 1 %以下、特に好ましくは 0. 5%以下である。
[0218] また、本発明の延伸フィルムの加熱による寸法収縮率は、 100°Cにおける加熱を 5
00時間行った場合に、通常 10%以下、好ましくは 5%以下、さらに好ましくは 3%以 下、特に好ましくは 1 %以下である。
[0219] 寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明中の単量体(6)の選択やその 他の共重合性単量体の選択に加え、延伸方法の条件を調整することも有力な手段 である。
[0220] 上記のようにして得られる延伸フィルムは、延伸により分子が配向し透過光に位相 差を与えるようになる力 この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ 等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、 延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるの で、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを 得ること力 Sできる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚 いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの
厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ること 力 Sできる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の 位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望 の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。
[0221] 延伸フィルムが透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであ り特に限定はされなレ、が、液晶表示素子やエレクト口ルミネッセンス表示素子あるレ、 はレーザー光学系の波長板に使用する場合は、通常は l〜lo,OOOnm、好ましくは
10〜2,000應、さらに好ましくは 1 5〜; 1,000應である。
[0222] また、延伸フィルムを透過した光の位相差は均一性が高いことが好ましぐ波長 550 nmにおける位相差のバラツキは、通常 ± 20 %以下であり、好ましくは 10 %以下、さ らに好ましくは ± 5 %以下である。すなわち、波長 550nmにおける位相差は、通常平 均値に対して ± 20 %以下であり、好ましくは 10 %以下、さらに好ましくは ± 5 %以下 の範囲内にある。位相差のバラツキが ± 20 %を超えると、液晶表示素子等に用いた 場合、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が悪化する場合がある。
[0223] さらに、本発明に係る光学フィルムは、波長 650nmでの位相差 Re (650)と波長 45 Onmでの位相差 Re (450)との比(Re (650) /Re (450) )力 1 . 8〜;!、好ましくは 1 . 7〜; 1、さらに好ましくは 1 . 6〜1の範囲にあることが望ましい。このような条件を満た す光学フィルムでは、ある波長 λでの位相差を Re ( λ )としたとき、 400〜800nmの 全波長領域で、 Re ( ) / の値をほぼ一定とすることが可能となる。
[0224] <偏光板〉
本発明の光学フィルムは単独で用いられるだけでなぐ透明基板等に貼り合わせて 、偏光板として用いること力できる。また、偏光板を他のフィルム、シート、基板に積層 して使用すること力できる。積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができ る。これらの粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましぐ具体例として は天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビュル/塩化ビュルコポリマー、ポリビュルエーテル、ァ クリル系、変性ポリオレフイン系、及びこれらにイソシアナートなどの硬化剤を添加した 硬化型粘着剤、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液を混合するド ライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
[0225] また、上記偏光板は、他のフィルムシート、基板などとの積層の作業性を向上させる ために、あらかじめ、粘着剤層、又は接着剤層を積層することができる。積層する場 合には、粘着剤や接着剤としては前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることが できる。
[0226] <液晶表示装置その他光学部品〉
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置に用いることができ、液晶表示装置の表 示特性をより改善することができる。液晶表示装置としては、たとえば、携帯電話、デ イジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーシヨン、車載用液晶ディスプレイ、液晶モ 二ター、調光パネル、 OA機器用ディスプレイ、 AV機器用ディスプレイ等の各種液晶 表示装置が挙げられる。
[0227] また、本発明の樹脂組成物を用い、射出成形することにより、種々の光学部品を得 ること力 Sできる。光学部品としては、円錐レンズや球面 ·円筒レンズなどの各種特殊レ ンズ、誘電体ミラーまたは金ミラー、波長板などが挙げられる。
[0228] 射出成形には、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、本発明の樹脂組 成物を加熱シリンダの中で加熱 ·混練して溶融し、該加熱シリンダより金型内へ、カロ 圧下射出する。その後、金型内で冷却'固化され、押出装置によって押し出され、成 形品が得られる。用いる金型構造を変えることにより、種々の形状を有する光学部品 とすること力 Sできる。この際における樹脂の溶融温度は、上記押出成形の際における 溶融温度と同様であるのが好ましい。
実施例
[0229] 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの 実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「部 」および「%」は、特に断りのない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。また、 室温とは 25°Cである。さらに、試薬は全て乾燥窒素でパブリングを行い、脱水し、水 分含有量 lppm以下として用いた。
[0230] 以下の実施例、比較例において、各種測定および評価は以下のようにして行った。
[0231] [重合反応率]
アルミニウム製容器中に秤量した重合反応溶液を、 300°Cに熱したホットプレートで
恒温となるまで加熱し、残留モノマーおよび溶媒を除去した後、残留した重合体重量 を計測し、理論上の重合体生成量との比から反応率を求めた。
[0232] [重合体分子構造]
超伝導核磁気共鳴吸収装置 (NMR、 Bruker社製、商品名: AVANCE500)を用 い、重水素化クロ口ホルム中で13 C— NMRを測定し、共重合組成比およびァセトキシ 基またはブトキシ基の OH基への変換率(変換率)を算出した。
赤外分光計 (IR)は日本分光社製 FT/IR— 420を用いて測定した。
[0233] [固有粘度 ·対数粘度]
濃度 0. 5g/100mlのクロ口ベンゼン溶液を調製して試料とし、 30°Cの条件でゥッ ベローデ型粘度計を用いて測定した。
[0234] [ガラス転移温度 (Tg) ]
示差走査熱量計 (セイコーインスツルメンッ社製、商品名: DSC6200)を用いて、 日本工業規格 K7121に従って補外ガラス転移開始温度(以下、単にガラス転移温 度 (Tg)という)を求めた。
[0235] [重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn) ]
ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(東ソ一(株)製 HLC— 8220GPC、カラム: 東ソー(株)製ガードカラム H — H g el GMH 2本、
XL 、TSK el G7000H Kg
XL、 TS
XL
TSK gel G2000H を順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速: lmL/min、サン
XL
プル濃度: 0. 7〜0. 8重量%、注入量: 70 し、測定温度: 40°Cとし、検出器: RI (4 0°C)、標準物質:東ソー(株)製 TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分 子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記 Mnは数平均分 子重でめる。
[0236] [位相差評価]
開環重合体のトルエンまたは塩化メチレン溶液 (濃度: 25%)を平滑なガラス板上 にキャストした後、乾燥して、厚さ50〜200 111、残留溶媒 0. 5〜0. 8%の無色透明 なフィルムを得た。このフィルムのガラス転移温度(Tg)よりも 5〜; 10°C高い温度で、 1 . 2〜3. 0倍に自由幅一軸延伸または幅拘束一軸延伸した。なお、キャストフィルム の厚さ、延伸倍率および延伸方法は、後述する各実施例および表 1に記載のとおり
である。この延伸フィルムの位相差を、レターデーシヨン測定器(王子計測機器製、商 品名: KOBRA21DH)を用いて測定した。
[0237] [樹脂組成物中の重合体ブレンド比]
樹脂組成物をテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ装置( 東ソー(株)製 HLC— 8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラム H — H、 TSK
XL
gel G7000H 、 TSK gel GMH 2本、 TSK gel G2000H を順次連結、溶媒:
XL XL XL
テトラヒドロフラン、流速: lmL/min、サンプル濃度: 0· 7〜0· 8重量0 /0、注入量: 1 00 レ測定温度: 40°C、検出器: UV(254nm) )を用いて得られたスペクトルの面 積強度から樹脂組成物中のスチレン系重合体を定量し、ブレンド比を算出した。
[0238] [樹脂のイェローインデックス (YI、黄色度) ]
スガ試験機(株)製 SMカラーコンピューター SM— 7— CHを用い、 C光 2°視野透 過測定を 3回行いその平均値を求めた (測定試料: 10重量%の樹脂を含むトルエン 溶液 20g、測定用セル:内径 60mm、高さ 30mmの円筒型ガラスセル)。
[0239] [フィルムのイェローインデックス(YI、黄色度) ]
スガ試験機(株)製 SMカラーコンピューター SM— 7— CHを用い、 ASTM D192 5に従って膜厚 100 μ mのフィルムの ΥΙ値を測定した。
[0240] [加熱下における相溶性の評価]
(株)神藤金属工業所製シントー式 SFA— 37型加熱 &冷却二段成形機を用い、 2 80〜300°Cの加熱下で厚さ約 lOO mのフィルムを成型し、フィルムのヘイズ(Haz e)を測定して評価した。
[0241] [樹脂中の不溶物の有無]
樹脂サンプル 30mgをトルエン 5mLに溶解して、不溶物の有無を目視で観察した。 不溶物無しの場合を A、一部不溶の場合を Bと評価した。
[0242] [溶液濾過性]
樹脂サンプル 30mgをテトラヒドロフラン 5mLに溶解し、孔径 0· 45 ^ 111、直径 lcm の PTFE製フィルターを用いたろ過性を評価した。 目詰まりを生じず全量濾過可能で あった場合を A、 目詰まりを生じ一部濾過出来な力、つた場合を Bと評価した。
[0243] [メルトフローレート(MFR) ]
JIS K7210に準拠して、 98N荷重、 260°Cでの MFRを測定した。
[0244] [全光線透過率(Haze) ]
村上色彩技術研究所 (株)製ヘーズメーター HM— 150型を用いて測定した。
[0245] [引き裂き強度]
フィルムの弓 Iき裂き強度を JIS K6772に準じて測定した。
[0246] [点状欠陥測定]
A成分と B成分の混合樹脂を乾燥温度 100°Cで、窒素下で 4時間の除湿乾燥を行 つた後、クリーンルーム内で、 800kgのステンレスコンテナに当該樹脂を導入し、 8kP aの陽圧にした状態で 15日間保存した。なお、上記ステンレスコンテナは、樹脂導入 前に予め内部の空気を乾燥窒素で置換した後に、 0. 2 mの PVDF製フィルタを通 して清浄にした水で湿らせた洗浄紙 (旭化成工業製;商品名「ベンコット」)により内部 の塵芥などを除去したものを用いた。その後、当該樹脂を押出機 (ジーェムェンジニ ァリング社製: GM 65)に導き 260°Cで溶融し、ギアポンプを用いて定量で送液し、 5〃mリーフディスクフィルターを用いて、異物を除去し、 260°Cに設定したアルミ铸 込みヒーターにより加熱された Tダイから押出を実施し、樹脂フィルムを得た。このフィ ルムを 10m2巻きだして黒紙の上に置き、 lOOwの蛍光灯の下で反射光の揺らぎを確 認した。反射光の揺らぐところを点状欠陥として、その部分をマーキングした。その後 、 50倍の光学顕微鏡でフィルム表面を観察し、直径 30 m以上の点状欠陥の個数 を致えた。
[0247] [位相差測定]
波長 550nmにおける位相差 (レターデーシヨン)を自動複屈折計(王子計測機器( 株)製、 KOBRA— 21ADH)を用いて測定した。
[0248] [製造例 1]スチレン系共重合体(1A)の製造
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン 127· 87g(l . 2 3mol)、 p ァセトキシスチレン 22. 13g(0. 136mol)、溶媒としてトノレエン 75g、およ びラジカル開始剤として 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサン— 1 カルボ二トリル) 0. 67 g(2. 7mmol)を加え、 90°Cにカロ熱し、 15時間反応させた。この重合液の一部を取り 出し、反応率を測定したところ 85%であった。また、分子量を測定したところ Mw= l
29, 935、Mw/Mn = 2. 00であった。
[0249] 得られた重合反応溶液中にトルエン 150gを添加して希釈した後、メタノール 43. 6 g(l . 36mol)、ァセトキシスチレン量の 1/100等量である濃硫酸 1. 338g (0. 013 6mol)を添加して 60°Cに加熱して 2時間反応させた。得られた反応液をテトラヒドロ フランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより重合体を回収 '精製し、 8 0°Cの真空乾燥機で 2日間乾燥させた。得られた重合体の分子量、対数粘度をそれ ぞれ測定したところ Mw= 131 , 910 (Mw/Mn= l . 88)、対数粘度 =0· 44dL /g、収率は 80%であった。図 1および図 2に得られた重合体の IRスペクトルおよび13 C-NMRスペクトルをそれぞれ示した。 NMRにより求めた共重合組成比は仕込み値 通りであり、カロメタノール分解率は 99%以上であった。以後、得られたスチレン系共 重合体を 1Aとする。
[0250] [製造例 2]スチレン系共重合体(2A)の製造
スチレン 146. 53g(l . 407mol)、 p ァセ卜キシスチレン 3. 47g(0. 0214mol)、 溶媒としてトルエン 75g、およびラジカル開始剤として 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサ ンー1 カルボ二トリル) 0. 35g(l . 4mmol)を使用して重合を行った以外は、製造 例 1と同様にして、重合反応、加アルコール分解、精製、および乾燥を行い、スチレ ン系共重合体を得た。得られた重合体の Mw= 199, 200 (Mw/Mn= l . 96)であ り、収率は 80%であった。以後、得られたスチレン系共重合体を 2Aとする。
[0251] [製造例 3]スチレン系共重合体(3A)の製造
スチレン 117. 66g(l . 13mol)、 p ァセトキシスチレン 32. 34g(0. 199mol)、溶 媒としてトルエン 75g、およびラジカル開始剤として 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサン 1 カルボ二トリル) 0. 65g(2. 65mmol)を使用して重合を行った以外は、製造例 1と同様にして、重合反応、加アルコール分解、精製、および乾燥を行い、スチレン 系共重合体を得た。得られた重合体の Mw= 120, 553 (Mw/Mn= l . 97)であり 、収率は 80%であった。以後、得られたスチレン系共重合体を 3Aとする。
[0252] [製造例 4]スチレン系共重合体 (4A)の製造
スチレン 84. 17g(0. 808mol)、 p— t ブ卜キシスチレン 15. 83g(0. 0898mol)、 溶媒としてトルエン 75g、およびラジカル開始剤として 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサ
ンー1 カルボ二トリル) 0. 44g(l . 8mmol)を使用して重合を行った以外は、製造 例 1と同様にして、重合反応、酸触媒による変換、精製、および乾燥を行い、スチレン 系共重合体を得た。得られた重合体の Mw= 112, 000 (Mw/Mn = 2. 73)であり 、収率は 80%であった。図 3および図 4に得られた重合体の IRスペクトルおよび13 C- NMRスペクトルをそれぞれ示した。 NMRにより求めた共重合組成比は仕込み値通 りであり、 OH基への変換率は 50%であった。以後、得られたスチレン系共重合体を 4Aとする。
[0253] [製造例 5]スチレン系共重合体(5A)の製造
スチレン 78. 44g(0. 753mol)、 p— t ブ卜キシスチレン 21. 56g(0. 133mol)、溶 媒としてトルエン 50g、およびラジカル開始剤として 1 , 1'ーァゾビス(シクロへキサン 1 カルボ二トリル) 0. 43g(l . 8mmol)を使用して重合を行った以外は、製造例 1 と同様にして重合反応を行った。その後、トルエン 50gを加えて希釈し、 n ブタノー ル 20gおよび硫酸 0. 26gを添加し 80°Cで 8時間反応を行った。精製、および乾燥を 製造例 1と同様にして行い、スチレン系共重合体を得た。得られた重合体の Mw= 2 19, 000 (Mw/Mn = 2. 45)であり、収率は 85%であった。図 5および図 6に得ら れた重合体の IRスペクトルおよび13 C-NMRスペクトルをそれぞれ示した。 NMRによ り求めた共重合組成比は仕込み値通りであり、 OH基への変換率は 99%以上であつ た。以後、得られたスチレン系共重合体を 5Aとする。
[0254] [製造例 6]スチレン系重合体(6A)の製造
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン 117· 66g (l . 13mol)、 p ァセトキシスチレン 32· 34g (0. 199mol)、溶媒としてトノレエン 75g、お よびラジカル開始剤として 1 , 1'ーァゾビス(シクロへキサン一 1 カルボ二トリル) 0. 6 5g(2. 65mmol)を加え、 90°Cにカロ熱し、 15時間反応させた。この重合液の一部を 取り出し、反応率を測定したところ 85%であった。
[0255] 得られた重合反応溶液中にトルエン 150gを添加して希釈した後、メタノール 43. 6 g (l . 36mol)、濃石) ¾酸 1. 338g (0. 0136mol)を添カロして 60。Cにカロ熱して 2日寺間 反応させた。得られた反応液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝 固させることにより重合体を回収 '精製し、 80°Cの真空乾燥機で 2日間乾燥させ、ス
チレン系重合体 6Aを得た。得られた重合体 6Aは、 Mw= 120, 553 (Mw/Mn= l . 97)であり、収率は 80%であった。
[0256] [製造例 7]スチレン系重合体(7A)の製造
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン 392· 3g (3. 7 66mol)、 p— *プ、トキシスチレン 57. 72g (0. 3275mol)、溶媒としてトノレエン 21 lg、 およびラジカル開始剤として 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサン一 1 カルボ二トリル) 1 . 50g (6. 141mmol)を加え、 90°Cにカロ熱し、 10時間反応させた後、 1 , 1, 一ァゾビ ス(シクロへキサン一 1 カルボ二トリル) 0· 50g (2. 047mmol)を追添加して 90°C で更に 10時間反応を行った。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ 92%であった。また、分子量を測定したところ、 Mw= 126, 700、 Mw/Mn = 2. 0 0であった。
[0257] 得られた重合反応溶液中にトルエン 225gを添加して希釈した後、メタノール (硫酸 の拡散剤) 90g、濃硫酸 1. 15g (0. 0117mol)を添加して 60°Cに加熱して 8時間反 応させた。その後、 50· 5重量%の乳酸ナトリウム水溶液 3· 03g (0. 027mol)を添 カロして 60°Cで 30分間攪拌を継続した。反応溶液を pH試験紙 (Whatman社製 CSタイ プ、 0. 2間隔)に少量塗布して pH測定したところ pH=3. 8であった。
[0258] この反応液にトルエン 449gを添加して均一に混合した後、メタノール 899gを添加 して 60°Cで 1時間抽出を行った。これを 30°C以下に冷却して 1時間静置して重合体 を含む下層溶液と重合体を殆ど含まなレ、上層溶液に分離した。この上層溶液のみを 分離して取り除!/、た。残った下層溶液にトルエン 440gを添加して均一に混合した後 、メタノール 617gを添加して再度 60°Cで 1時間抽出を行った。これを 30°C以下に冷 却して 1時間静置して重合体を含む下層溶液と重合体を殆ど含まない上層溶液に分 離した。トルエン 440gおよびメタノール 617gを添加して冷却静置後に上層を分離除 去する操作をさらに 2回繰り返して重合体、トルエン、およびメタノールを含む重合体 溶液を得た。この重合体溶液中の重合体濃度を測定したところ 30重量%であり、得 られた溶液重量から算出した収率は 90%であった。この溶液の一部を乾燥して分析 した結果、 Mw= 129, 208、 Mw/Mn= l . 90、 Tg= 111。C、 NMRにより求めた 共重合組成比は仕込み比通りでありブトキシ基の OH基への変換率は 98%であった
〇
[0259] 同様にして抽出精製した重合体溶液(重合体濃度 30重量%)を lOKg作成して酸 化防止剤としてテトラキス [メチレンー3—(3,5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフ ェニル)プロピオネート]メタン 9gを加えて均一に混合した(以下この樹脂溶液をドー プ 1と呼ぶ)。この溶液を 50mm φ (L/D = 13. 2)の二軸押出し機を用い、 220°C、 20mmHgで脱溶してペレット化し、ペレット状の樹脂 7Aを得た。得られた樹脂ペレツ 卜 7Aを分析した結果、 YI = 0. 8、 Mw= 119369、 Mw/Mn= l . 98、Tg= l l l。C 、残留トルエン = 900ppmであった。樹脂 7A中の不溶物の有無および溶液濾過性 の評価結果を表 3に示す。
[0260] [製造例 8]スチレン系重合体(8A)の製造
製造例 7と同様にして得たスチレン/ p ブトキシスチレン共重合体のトルエン溶液 に卜ノレェン 225gを添カロして希釈した後、メタノーノレ 90g、濃石) ¾酸 1. 15g (0. 0117m ol)を添加して 60°Cに加熱して 8時間反応させた。その後 5重量%の水酸化リチウム 水溶液 39. 3g (0. 0469mol)を添加して 60°Cで 30分間攪拌を継続した。反応溶液 を pH試験紙 (Whatman社製 CSタイプ、 0. 2間隔)に少量塗布して pH測定したところ pH=8. 6であった。この反応溶 ί夜に 50重量0 /0の?し酸水溶 ί夜 5. 267g (0. 0235mol )を添加して 60°Cで 30分間攪拌を継続した。反応溶液を pH試験紙 (Whatman社製 CSタイプ、 0. 2間隔)に少量塗布して pH測定したところ pH=3. 8であった。実施例と 同様にして求めた収率は 91 %であった。
[0261] 製造例 7と同様にして、得られた重合体溶液の抽出精製を行い、重合体濃度が 30 重量%の重合体溶液を得た。この溶液の一部を乾燥して分析した結果、 Mw= 130 、 050、 Mw/Mn= l . 91、Tg= l l l°C、 NMRにより求めた共重合組成比は仕込 み比通りでありブトキシ基の OH基への変換率は 98%であった。
[0262] 上記と同様にして抽出精製した重合体溶液(重合体濃度 30重量%)を lOKg作成 して、酸化防止剤としてテトラキス [メチレン 3—(3,5—ジ tーブチルー 4ーヒドロ キシフエニル)プロピオネート]メタン 9gを加えて均一に混合した(以下この樹脂溶液 をドープ 2と呼ぶ)。この溶液を 50mm φ (L/D = 13. 2)の二軸押出し機を用い、 2 20°C、 20mmHgで脱溶してペレット化し、ペレット状の樹脂 8Aを得た。得られた樹
脂ペレット 8Aを分析した結果、 ΥΙ = 0· 9、Mw= 120, 000, Mw/Mn= l . 96、 T g= l l l°C、残留トルエン = 900ppmであった。樹脂 8A中の不溶物の有無および溶 液濾過性の評価結果を表 3に示す。
[0263] [製造例 9]スチレン系重合体(9A)の製造
塩基を使用しな力、つたこと以外は製造例 11と同様にして合成した重合体溶液を 50 πιπι (L/D= 13. 2)の二軸押出し機を用い、 220°C、 20mmHgで脱溶してペレ ット化し、ペレット 9Aを得た。得られたペレット 9Aを分析した結果、有機溶媒に不溶 の成分を生じており、可溶部の分析を行ったところ、 YI = 5. 8、 Mw = 244, 410、 M w/Mn = 3. 62、 Tg= 115。C、残留トルエン = lOOOppmであった。得られた樹脂 9 A中の不溶物の有無および溶液濾過性の評価結果を表 3に示す。
[0264] [製造例 10]スチレン系重合体( 1 OA)の製造
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン 340· 8g (3. 2 75mol)、 p イソプロぺニノレフエノーノレ 54. 83g (0. 409mol)、アタリノレ酸メチノレ 35 . 21g (0. 409mol)溶媒としてトルエン 215g、およびラジカル開始剤として 1 , 1 ' ァゾビス(シクロへキサン一 1—カルボ二トリル) 1 · 50g (6. 141mmol)をカロえ、 90°C に加熱し、 10時間反応させた後、 1 , 1 'ーァゾビス(シクロへキサン— 1 カルボ二トリ ノレ) 0. 50g (2. 047mmol)を追添加して 90°Cで更に 10時間反応を行った。この重 合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ 92%であった。また、分子量を測定 したところ、 Mw= 57, 000、 Mw/Mn = 2. 00であった。
[0265] [製造例 11]ノルボルネン系重合体(IB)の製造
単量体として下記式(la)に示す 8—メトキシカルボ二ルー 8—メチルテトラシクロ [4 • 4. 0. I2'5. 1"°]— 3—ドデセン 100g、分子量調節剤として 1—へキセン 3. 6g、お よびトルエン 200gを窒素置換した反応容器に仕込み、 80°Cに加熱した。これにトリ ェチルアルミニウム(0. 6mol/Uのトルエン溶液 0. 21mL、およびメタノール変性 WC1トルエン溶液(0· 025モノレ/ L) 0. 86mLを加え、 80°Cで 1時間反応させること により開環重合体を得た。次いで、得られた開環重合体溶液に水素添加反応触媒で ある RuHCl (CO) [P (C H ) ]を 0· 04g添カロし、水素ガス圧を 9〜; !OMPaとし、 16
0〜165°Cの温度で、 3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタ
ノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た [ガラス転移温度 (Tg) = 167°C、 重量平均分子量(Mw) = 14. 4 Χ 1θ\分子量分布(Mw/Mn) = 5. 0、対数粘度 0. 79dL/g、収量 90g (収率 90%) ]。 NMR測定により求めたこの水素添加物の水 素添加率は 99. 0%以上であった。以後、得られた開環重合体水素添加物を 1Bとす
[化 18]
[0267] [製造例 12]ノルボルネン系重合体(2B)の製造
前記式(la)に示す 8—メトキシカルボ二ルー 8—メチルテトラシクロ [4· 4. 0. I2'5. 17'1()]—3—ドデセン 144g、下記式(2a)に示すビシクロ [2· 2. 1]ヘプトー 2—ェン 6 g、分子量調節剤として 1—へキセン 14. 4g、およびトルエン 225gを窒素置換した反 応容器に仕込み、 80°Cに加熱した。これにトリェチルアルミニウム(0· 6mol/Uのト ルェン溶液 0· 34mL、およびメタノール変性 WC1トルエン溶液(0· 025モル/ L) 1
. 37mLを加え、 80°Cで 1時間反応させることにより開環重合体を得た。次いで、得ら れた開環重合体溶液に水素添加反応触媒でぁる1¾«じ1 (じ0) [? (じ^1 ) ]を 0. 0
6g添加し、水素ガス圧を 9〜; !OMPaとし、 160〜; 165°Cの温度で、 3時間反応させ た。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素 添加物を得た [ガラス転移温度 (Tg) = 154°C、重量平均分子量 (Mw) = 7. 4 X 104 、分子量分布(Mw/Mn) =4. 2、対数粘度 0. 55dL/g、収量 90g (収率 90%) ]。 NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は 99. 0%以上であった。以 後、得られた開環重合体水素添加物を 2Bとする。
[0269] [製造例 13]ノルボルネン系重合体(3B)の製造
前記式(la)に示す 8 メトキシカルボ二ルー 8 メチルテトラシクロ [4· 4. 0. I2'5. 1"°]— 3 ドデセン 135g、下記式(3a)に示すトリシクロ [5· 2. 1. 02'6]デカ— 3, 8 ジェン 15g、分子量調節剤として 1一へキセン 20. 5g、およびトルエン 225gを窒 素置換した反応容器に仕込み、 80°Cに加熱した。これにトリェチルアルミニウム(0. 6mol/Uのトルエン溶液 0. 34mL、およびメタノール変性 WC1トルエン溶液(0. 0
6
25モル /L) l . 39mLを加え、 80°Cで 1時間反応させることにより開環重合体を得た 。次いで、得られた開環重合体溶液に水素添加反応触媒である RuH(OCO_Ar-C H CH CH CH CH ) (CO) [P (C H ) ] (式中 Arはパラフエ二レン基を表す)を 0
2 2 2 2 3 6 5 3 2
. 06g添カロし、 90。Cに昇温した後、水素ガス圧を 9〜; !OMPaとし、更に 160〜; 165。C まで昇温して 3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中 で沈殿させることにより水素添加物を得た [ガラス転移温度 (Tg) = 160°C、重量平均 分子量(Mw) =4. 4 X 104、分子量分布(Mw/Mn) = 5. 5、対数粘度 0. 41dL/ g、収量 90g (収率 90%) ]。 NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は 99. 0%以上であった。以後、得られた開環重合体水素添加物を 3Bとする。
[0270] [化 20]
[製造例 14]カレボルネン系重合体 (4B)の製造
前記式(la)に示す 8 メトキシカルボ二ルー 8 メチルテトラシクロ [4· 4. 0. I2'5. l7'10]— 3 ドデセン 12· 46Kg、前記式(2a)に示すビシクロ [2· 2. 1]ヘプトー 2— ェン 0. 14Kg、前記式(3a)に示す卜リシクロ [5. 2. 1. 02'6]デカ— 3, 8 ジェン 1. 4 Kg、分子量調節剤として 1一へキセン 1. 214Kg、およびトルエン 21Kgを窒素置換
した反応容器に仕込み、 80°Cに加熱した。これにトリェチルアルミニウム(0. 6mol/ L)のトルエン溶液 37. 7mL、およびメタノール変性 WC1トルエン溶液(0. 025モル
6
/L) 131. 44mLを加え、 80°Cで 1時間反応させることにより開環重合体を得た。次 いで、得られた開環重合体溶液をトルエン 17. 7Kgで希釈し、水素添加反応触媒で ある RuH(OCO_Ar- CH CH CH CH CH ) (CO) [P (C H ) ] (式中 Arはパラフ
2 2 2 2 3 6 5 3 2
ェニレン基を表す)を 4. 69g添加し、 90°Cに昇温した後、水素ガス圧を 9〜10MPa とし、更に 160〜; 165°Cまで昇温して 3時間反応させた。反応終了後、得られた生成 物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た [ガラス転移温度( Tg) = 159°C、重量平均分子量(Mw) = 8. 8 X 104、分子量分布(Mw/Mn) = 3. 0、対数粘度 0. 65dL/g、収量 13Kg (収率 93%) ]。 NMR測定により求めたこの水 素添加物の水素添加率は 99. 0%以上であった。以後、得られた開環重合体水素 添加物を 4Bとする。
[0272] [製造例 15]ノルボルネン系重合体(5B)の製造
前記式(la)に示す 8 メチルー 8 カルボキシメチルテトラシクロ [4. 4. 0. I2'5. 1"°]— 3 ドデセン(以下、「DNM」ともいう) 50重量部、下記式 (4a)に示す 5 メチ ノレ 5 メトキシカルボ二ルビシクロ [2· 2. 1]ヘプトー 2 ェン(以下、「NM」ともいう ) 25重量部、トルエン 150重量部、 1一へキセン 3.18重量部を仕込み、 80°Cに昇温した 。 トリェチルアルミゥム 0.030重量部、メタノール変性 WC1 (無水メタノール: PhPOC12
6
: WC1 = 103 : 630 : 427 (重量比)) 0.0510重量部加え反応を開始した。 2分後に DN
6
M25重量部を 10分かけて滴下し、さらに 1時間反応させた。 NM,DNMのコンパージョ ンはそれぞれ反応開始後 2分後が、 52%、 61%、反応終了後が 96.2%、 97.2%であ つた。
[0273] トルエン 110重量部、 RuH(OCOPh-C H )(CO)(PPh )ルテニウム水素化触媒 0.0
5 11 3 2
418重量部を加え、水素置換を 3回行い 8MPaに昇圧した。その後反応機の内温を 16 0°Cに上げて、 lOMPaに圧力を設定し、 3hの水添反応を行なった。水添後の1 H-NMR 分析により 99.9%以上の水添率であった。
[0274] 反応終了後、トルエン 100重量部を加え希釈して、蒸留水 3重量部、乳酸 0. 72重 量部、過酸化水素 0. 00214重量部をカロえ 60°C、 30分力口熱した。その後メタノール 2
34重量部を加え 60°C、 30分加熱した。 25°Cまで冷却すると 2層に分離した。上澄み 液 333重量部を除去し、トルエン 202重量部、水 3重量部を加え 60°C、 30分加熱した 。その後メタノール 132重量部を加え 60°C、 30分加熱した。 25°Cまで冷却すると 2層 に分離した。再度、上澄み液 333重量部を除去し、トルエン 202重量部、水 3重量部を カロえ 60°C、 30分力口熱した。その後メタノール 132重量部を加え 60°C、 30分加熱した 。 25°Cまで冷却すると 2層に分離した。最後に上澄み液 333重量部を除去後、下層 部のポリマー溶液を固形分濃度 20%に希釈し、 2. O ^ m, 1. O ^ m, 0. 2 mの 3 段の濾過を行った。これを乾燥して重合体 5Bを得た。ポリマー収率 = 92%、 10%ト ルェン溶液の ΥΙ=0·31、 7] =0.64, Mw=101450、 Mn=36658、 Tg=137°Cであった。
[0275] [化 21]
[0276] [実施例 1]
製造例 1で得られた重合体 1A 7gと製造例 11で得られた重合体 IB 13gとを塩 化メチレン 200gに溶解し、減圧濾過(ろ剤: ADVANTEC製 GA200)した溶液を平 滑な硝子製浴槽にキャストした。このフィルムを浴槽から剥離後、 100°Cの真空乾燥 機で 12時間乾燥して厚さ 145 mのフィルムを得た。得られた組成物(フィルム)の 対数粘度、ガラス転移温度をそれぞれ測定したところ、対数粘度 7] =0. 68dL/g、 Tg= 141°Cであった。また、フィルムの Hazeは 0· 3であった。
[0277] このフィルムを幅 10mm、長さ 70mmに切り出し、恒温層を備えた引っ張り試験機( インストロンコーポレーション製モデル 5567)で加熱延伸して自由幅 1軸延伸フィル ムを作製した。 146°Cにおいて 220%/分の速度で 2倍に延伸したところ、延伸時の 最大応力は 73Kgf/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 104 mであり、位相 差(Re)を測定したところ、 Re450 = 125腹、 Re550 = 141腹、 Re650 = 149nm であった。ここで Re450、 Re550、および Re650はそれぞれ波長 450、 550、および
650nmにおける位相差 (Re)を表す。また、延伸方向を x軸、フィルム面内の x軸と直 交する軸を y軸、フィルムの厚み方向を z軸(X軸および y軸の両方と直交する方向)と し、各軸方向の屈折率をそれぞれ n 、 n、および nとした時、 NZ= (n -n ) / (n -n ) x y z x z x y で表される NZ係数は 1であった。
[0278] 延伸前の樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 28
0〜300°Cの加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であつ た。結果を表 1に示す。
[0279] [実施例 2]
製造例 2で得られた重合体 2A 2. 9gと製造例 11で得た重合体 1B 5. 4gとの混 合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 59 mのフィルムを得た。 得られた組成物(フィルム)のガラス転移温度を測定したところ、 Tg=134°Cであった。 また、フィルムの Hazeは 0. 3であった。
[0280] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 142°C において 220%/分の速度で 2倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 68Kgf/ cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 43 mであり、位相差 (Re)を測定したとこ ろ、 Re450 = 62應、 Re550 = 66腹、 Re650 = 68nmであった。また、 NZ係数は
1であった。
[0281] 延伸前の樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 28
0°Cの加熱下においてミクロ相分離が認められ、 Haze = 50であった。結果を表 1に 示す。
[0282] [実施例 3]
製造例 3で得られた重合体 3A 2. 9gと製造例 12で得られた重合体 2B 5. 4gと の混合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 100 [I m、 Haze = 0.
3のフィルムを得た。
[0283] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 135°C において 220%/分の速度で 2倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 61Kgf/ cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 79 mであり、位相差 (Re)を測定したとこ ろ、 Re450 = 80應、 Re550 = 93腹、 Re650 = 99nmであった。また、 NZ係数は
1であった。
[0284] この樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 280〜3
00°Cの加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であった。結 果を表 1に示す。
[0285] [実施例 4]
製造例 3で得られた重合体 3A 2. 9gと製造例 13で得た重合体 3B 5. 4gとの混 合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 91 111、 Haze = 0. 3のフ イノレムを得た。
[0286] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 142°C において 220%/分の速度で 1. 9倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 89Kg f/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 67 mであり、位相差 (Re)を測定した ところ、 Re450 = 72應、 Re550 = 86應、 Re650 = 92腹であった。また、 NZ係 数は 1であった。
[0287] この樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 280〜3
00°Cの加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であった。結 果を表 1に示す。
[0288] [実施例 5]
製造例 4で得られた重合体 4A 2. 9gと製造例 11で得られた重合体 1B 5. 4gと の混合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 90 111、 Haze = 0. 3 のフィルムを得た。
[0289] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 145°C において 220%/分の速度で 2倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 60Kgf/ cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 65 mであり、位相差 (Re)を測定したとこ ろ、 Re450 = 77應、 Re550 = 86腹、 Re650 = 90nmであった。また、 NZ係数は 1であった。
[0290] この樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 280°Cの 加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であった。結果を表 1 に示す。
[0291] [実施例 6]
製造例 5で得られた重合体 5A 2. 9gと製造例 13で得られた重合体 3B 5. 4gと の混合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 92 111、 Haze = 0. 3 のフィルムを得た。
[0292] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 147°C において 220%/分の速度で 1. 9倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 35Kg f/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 72 H mであり、位相差 (Re)を測定した ところ、 Re450 = 88應、 Re550 = 96應、 Re650 =皿腹であった。また、 NZ係 数は 1であった。
[0293] この樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 300°Cの 加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であった。結果を表 1 に示す。
[0294] [実施例 7]
製造例 5で得られた重合体 5A 7gと製造例 14で得られた重合体 4B 13gとの混 合物フィルムを実施例 1と同様にしてキャスト製膜し、厚さ 93 111、 Haze = 0. 3のフ イノレムを得た。
[0295] このフィルムを実施例 1と同様にして、自由幅 1軸延伸フィルムを作成した。 147°C において 220%/分の速度で 2. 8倍に延伸したところ、延伸時の最大応力は 65Kg f/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 58 H mであり、位相差 (Re)を測定した ところ、 Re450 = 99應、 Re550 = l l l應、 Re650 = 118腹であった。また、 NZ 係数は 1であった。
[0296] この樹脂組成物フィルムの加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 300°Cの 加熱下においても透明性は維持され、熱処理後の Haze = 0. 3であった。結果を表 1 に示す。
[0297] [実施例 8]
製造例 5で得られた重合体 5A 7gと製造例 14で得られた重合体 4B 13gとの混 合物フィルムを実施例 1と同様の手法でキャスト製膜し、厚さ 180 m、 Haze = 0. 3 のフィルムを得た。
[0298] 得られたフィルムを 10cm四方に切り出し、(株)東洋精機製作所製 油圧サーボ式 二軸延伸試験装置 X6H-Sを用い、 145°Cにおいて 300%/分の速さで 2. 4倍に幅 拘束 1軸延伸した。延伸時の最大応力は 4Kgf /cm2であった。得られたフィルムの 膜厚は 75 mであり、位相差(Re)を測定したところ、 Re450 = 86nm、 Re550 = 95 nm、 Re650 = 99nmであった。また、 NZ係数は 1 · 44であった。結果を表 1に示す
[0299] [実施例 9]
製造例 5で得られた重合体 5Α 6. 6gと製造例 14で得られた重合体 4Β 13. 4gと の混合物フィルムを実施例 1と同様の手法でキャスト製膜し、厚さ 189 H m、 Haze = 0. 3のフイノレムを得た。
[0300] 得られたフィルムを実施例 8と同様にして 147°Cで 2. 3倍に幅拘束 1軸延伸した。
延伸時の最大応力は 3Kgf/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 83 μ mであり 、位相差(Re)を測定したところ、 Re450 = 98腹、 Re550 = 104應、 Re650 = 10 8nmであった。また、 NZ係数は 1. 38であった。結果を表 1に示す。
[0301] [実施例 10、 11]
製造例 7で得た脱溶媒前のスチレン系共重合体 7Aと、製造例 15で得た脱溶媒前 のノルボルネン系樹脂 5Bとを、重量比で 6/14 (実施例 10)および 9/11 (実施例 1 1)の割合で調製し固形分を 20%に調整した。それぞれのポリマー溶液を 0.211 mポ ァサイズの PTFEフィルターで濾過を行った。その後、 260°C、 l.Otorの条件で溶媒除 去を行い、 5 mフィルターを通過させて Blend樹脂ペレットを得た。実施例 10の Tg測 定におけるチャートを図 7に、実施例 11の Tg測定におけるチャートを図 8にそれぞれ 示す。何れも、単独ポリマー由来の Tgは消失し、単一ピークが確認され,スチレン系 共重合体 7Aと、ノルボルネン系樹脂 5Bとは何れの組成でも相溶化して!/、ること力 S判 つた。実施例 10における Tgは 128°C、実施例 11における Tgは 124°Cであった。
[0302] 実施例 10の組成物を 5 ,1 mポリマーフィルターを有す溶融押し出し装置にて 260°C で 10m/minの速度で成膜した結果、フィルター通過前と通過後の差圧は 2MPaと低く 、幅 500mm , 250 m膜厚のフィルムを得た。 ΗΑΖΕ=0·3, ΥΙ=0·3と着色性が小さく、 透明なフィルムであった。フィルムの Tg=128°Cのシングルピークな事から、スチレン系
共重合体 7Aとノルボルネン系樹脂 5Bはフィルム成形後も分離して!/、な!/、ことが判つ た。このフィルムを 10cm X 10cmに切り出し、横方向の幅を 10cmのまま変化させな ぃ幅拘延伸を行なった。延伸条件:延伸温度 =133°C (Tg+5°C)、延伸スピード =300m m/min、縦方向の延伸倍率 =3.0倍。延伸後膜厚 =80 m。 550nm、 650nmの位相差は それぞれ、 140nm、 145nmであり、 650nmと 550nmの位相差比(波長分散性) =1.036で あった。 550nm、 650nmの複屈折は位相差/膜厚より算出しそれぞれ、 0.00175, 0.001 81であった。また NZ係数 =1.025であった。結果を表 1に示す。
[0303] また、実施例 11の組成物を用い射出成形機を用い、 280°Cにて 3mm厚の成型品を 作成した。成型品の位相差は最大 2nmと非常に小さぐ低複屈折性, YI=0.7と着色性 が少ないことが判った。
[0304] [実施例 12]
製造例 10で合成したスチレン系共重合体 1 OAと、製造例 15で得た脱溶媒前のノ ルボルネン系樹脂 5Bとを、 6g/14gの割合で調製し調整し実施例 1と同様の手法で キャスト製膜し、厚さ 190 111、 Haze = 0. 3のフィルムを得た。結果を表 1に示す。
[0305] [比較例 1]
重合体 1 Aの代わりに PSジャパン (株)製ポリスチレンを用いた以外は、実施例 1と 同様にして、製造例 11で得られた重合体 1Bとの混合物のキャスト製膜を行った。そ の結果、使用溶媒によらず、透明なフィルムを得ることができなかった。
[0306] また、加熱下における相溶性の評価を行ったところ、 280°Cにおいて海島構造様の 相分離が観測された。結果を表 2に示す。
[0307] [比較例 2]
重合体 1 Aの代わりに Nova chemicals製無水マレイン酸/スチレン共重合体 (D YLARK232)を用いた以外は、実施例 1と同様にして、製造例 11で得られた重合体 1Bとの混合物のキャスト製膜を行った。その結果、塩化メチレンを溶媒として使用す ると、透明なフィルムを得ることができなかった。一方、トルエンを溶媒に用いると、透 明なフィルムを得ることができた力 乾燥速度が遅く工業的生産には不向きであった
〇
[0308] また、トルエンを用いて得たキャストフィルムの加熱下における相溶性の評価を行つ
たところ、 280°Cにおいてミクロ相分離が観測された。
[0309] さらに、二軸押出機を用いた溶融混練による相溶化を検討したところ、 290°Cにお いて白濁したペレットしか得ることができなかった。結果を表 2に示す。
[0310] [比較例 3]
ァセトキシスチレンの代わりに p—イソプロぺユルフェノールを用いたこと以外は、製 造例 1と同様にして、重合体を合成した。得られた重合物の分子量は Mw= 20, 000 (Mw/Mn = 2. 2)であり、反応率は 57%であった。得られた重合物と製造例 5で得 られた重合体 1Bとの混合物のキャスト製膜を行ったところ、フィルムの強度が低ぐ特 性評価に至らなかった。結果を表 2に示す。
[0311] [比較例 4]
製造例 11で得られた重合体 IB 20gを実施例 1と同様の手法でキャスト製膜し、厚 さ 140〃πι、 Haze = 0. 3のフイノレムを得た。
[0312] 得られたフィルムを実施例 1と同様にして 177°Cで 2. 0倍に自由端 1軸延伸した。
延伸時の最大応力は 40Kgf/cm2であった。得られたフィルムの膜厚は 100 μ mで あり、位相差(Re)を測定したところ、 Re450 = 396腹、 Re550 = 388應、 Re650 = 384nmであった。また、 NZ係数は 1であった。結果を表 2に示す。
[0313] [表 1]
Re (χ) :波長 χ nmでの位相差 (nm)
表 2]
[実施例 13]
製造例 7で得た樹脂ペレット 7Aを 5Kgに、製造例 15で得た重合体 5Bを 3Kg、テト ラキス [メチレンー3—(3,5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート ]メタン 9g、およびトルエン 7Kgを加えて均一に混合した。このブレンド樹脂溶液を 50
πιπι (L/D= 13. 2)の二軸押出し機を用い、 280°C、 20mmHgで脱溶してペレ ット化して、樹脂ペレット 1を得た。得られたペレット 1を分析した結果、 ΥΙ= 1 · 1、 Μ w= 132, 000、Mw/Mn = 2. 96、 Tg= 136。C、残留トルエン = lOOOppmであつ た。また、得られた樹脂ペレット 1中の不溶物の有無および溶液濾過性の評価結果を 表《3に不す。
[0316] [実施例 14]
樹脂ペレット 7Aに代えて、製造例 8で得た樹脂ペレット 8Aを用いたこと以外は、実 施例 13と同様にして樹脂溶液を調製した。このブレンド樹脂溶液を 50mm φ (L/D = 13. 2)の二軸押出し機を用い、 280°C、 20mmHgで脱溶してペレット化して、樹 脂ペレット 2を得た。得られたペレット 2を分析した結果、 ΥΙ= 1 · 0、 Mw= 131 , 000 、 Mw/Mn = 2. 86、 Tg= 136。C、残留トルエン = lOOOppmであった。また、得ら れた樹脂ペレット 2中の不溶物の有無および溶液濾過性の評価結果を表 3に示す。
[0317] [実施例 15]
実施例 11において、樹脂ペレット 7Aに代えて、製造例 9で得た樹脂ペレット 9Aを 用いたこと以外は、実施例 1と同様にして樹脂溶液を調製した。このブレンド樹脂溶 液を 50mm φ (L/D= 13. 2)の二軸押出し機を用い、 280°C、 20mmHgで脱溶し てペレット化して、樹脂ペレット 3を得た。得られたペレット 3を分析した結果、 ΥΙ = 5· 6、 Mw= 150751、 Mw/Mn = 3. 66、Tg= 119。C、残留トルエン = 2890ppmで あった。また、得られた樹脂ペレット 3中の不溶物の有無および溶液濾過性の評価結 果を表 3に示す。
[0318] [表 3]
【表 3】
本発明の樹脂組成物は、相溶性に優れるとともに透明性に優れ、加熱時にも着色 を生じにくぐしかも高分子量のスチレン系共重合体を含む樹脂組成物とすることが できる。本発明の樹脂組成物は、各種光学材料の成形用途に好適に用いることがで き、製膜性に優れることから特に光学フィルム用途に好適に用いることができ、強度 に優れた光学フィルムを得ることができる。また、本発明の樹脂組成物から得られる 光学フィルムを延伸すると、入射光波長が長波長になるに従い位相差が増大する、
V、わゆる逆波長分散性を発現させることもできるため、各種液晶表示装置や偏光板 等に使用すること力できる。また、スチレン系共重合体 (A)とノルボルネン系重合体( B)との組成比をコントロールすることにより、位相差の大きさや波長分散性を容易に コントロールすることが可能であるため、低複屈折性を要求される光学部品等にも使 用すること力 Sでさる。