JP6743651B2 - 光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。
有機EL表示装置や液晶ディスプレイの普及に際し、装置を薄型にするために、そこで使用する光学フィルムについても、薄膜化の要望がある。しかし、フィルムの薄膜化は、硬度の低下や、透湿度の上昇を伴うことが多い。よって、薄膜でありながら、硬度や耐湿性が高く、更に透明性を備えた光学フィルムの開発が求められている。
このような光学フィルムを構成する材料としては、セルロースエステルやシクロオレフィン系樹脂が知られている。これらの中でも、高い耐湿性を有する観点から、シクロオレフィン系樹脂が好ましく用いられるが、特にフィルムを薄膜化した場合に、更なる硬度や耐湿性の向上が望まれている。
近年、光学フィルムの物性を改良するために、複数の異なる樹脂をブレンドした光学フィルムが開発されている。例えば、特許文献1には、複屈折分散D1が正(D1>1)である第1の成分としてポリメタクリル酸メチルと、複屈折分散D2が負(D2<1)である第2の成分としてポリスチレンとを含む光学フィルムが開示されている。また、特許文献2には、固有複屈折値が正のポリマーとしてノルボルネン系樹脂と、固有複屈折値が負のポリマーとしてポリスチレンとを含むポリマーブレンドを使用した位相差板が開示されている。
特表2009−520239号公報 特開2001−337222号公報
ところで、ポリスチレンは、高い疎水性を有することが知られている。そこで、本発明者らは、シクロオレフィン系樹脂フィルムに耐湿性を付与するために、ポリスチレンを添加することを試みたところ、耐湿性の向上は見られなかった。そのうえ、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との相溶性が悪いため、フィルムが白濁し、透明性が損なわれた。また、フィルムの硬度も不十分であった。
また、特許文献2と同様に、シクロオレフィン系樹脂と、スチレン−無水マレイン酸共重合体とを含むポリマーブレンドを用いて光学フィルムを作製したところ、透明なフィルムが得られたものの、その耐湿性と硬度は不十分であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高い硬度と耐湿性とを有し、且つ透明性の優れた光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
[1] シクロオレフィン系樹脂と、ポリスチレン誘導体と、炭化水素環状化合物とを含む光学フィルムであって、
前記ポリスチレン誘導体と前記炭化水素環状化合物は、それぞれ酸性または塩基性の官能基を有し、
前記ポリスチレン誘導体が塩基性の官能基を有する場合、前記炭化水素環状化合物は酸性の官能基を有し、
前記ポリスチレン誘導体が酸性の官能基を有する場合、前記炭化水素環状化合物は塩基性の官能基を有する、光学フィルム。
[2] 前記ポリスチレン誘導体が酸性の官能基を有し、前記炭化水素環状化合物が塩基性の官能基を有する、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記ポリスチレン誘導体の有する酸性の官能基が、−SOH基、−COOH基、もしくは−SH基であり、
かつ前記酸性の官能基は、前記ポリスチレン誘導体のベンゼン環に結合している、[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記ポリスチレン誘導体の重量平均分子量が2000〜300000である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] 前記炭化水素環状化合物の有する塩基性の官能基が、アミノ基もしくは含窒素芳香族環基である、[2]に記載の光学フィルム。
[6] 前記炭化水素環状化合物の重量平均分子量が150〜2000である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[7] 偏光子と、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムとを含む、偏光板。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムを含む、画像表示装置。
本発明によれば、高い硬度と耐湿性とを有し、且つ透明性の優れた光学フィルムを提供することができる。
有機EL表示装置の基本的な構成の一例を示す模式である。 液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式である。
シクロオレフィン系樹脂は、高い耐湿性を有する樹脂ではあるが、薄膜化した場合には、さらなる耐湿性や硬度の向上が望まれている。そこで、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体とを混合したポリマーブレンドによってフィルムを製造することが試みられてきた。しかしながら、シクロオレフィン系樹脂と組み合わせるポリスチレン誘導体によっては、相溶性が悪く、透明なフィルムを得ることができなかった。また、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体との相溶性がよく、均一なポリマーブレンドが得られた場合でも、このような2成分系では、耐湿性と硬度が十分に改善されたフィルムを得ることは難しかった。
これに対して本発明者らは、シクロオレフィン系樹脂と、「酸性または塩基性の官能基を有するポリスチレン誘導体」と、「ポリスチレン誘導体の有する官能基と酸塩基対をなす官能基(即ち、塩基性の官能基に対して酸性の官能基、または酸性の官能基に対して塩基性の官能基)を有する炭化水素環状化合物」の3成分を含む光学フィルムは、高い硬度と耐湿性とを有し、且つ透明性に優れることを見出した。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体とを含む2成分系においては、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体との相溶性が低いと、得られるフィルムが白濁する。また、例え相溶性の高いシクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体との組み合わせであっても、それぞれの樹脂の相溶性部位が分子内で作用し、疑似凝集体が形成されると考えられる。その結果、シクロオレフィン系樹脂の疑似凝集体と、ポリスチレン誘導体の疑似凝集体との間で局所的な脆弱部位が発生し、光学フィルムの硬度が低下しうる。さらに、疑似凝集体の形成によって、シクロオレフィン系樹脂鎖とポリスチレン誘導体との絡み合いが不足し、局所的な過疎部位が発生し、光学フィルムの耐湿性が低下すると考えられる。
一方、本発明においては、シクロオレフィン系樹脂と、酸性または塩基性の官能基を有するポリスチレン誘導体と、当該ポリスチレン誘導体の有する官能基と対をなす官能基(塩基性の官能基に対して酸性の官能基、または酸性の官能基に対して塩基性の官能基)を有する炭化水素環状化合物の3成分を用いることで、上述した疑似凝集体の形成を抑制すると考えられる。具体的には、炭化水素環状化合物の官能基と、ポリスチレン誘導体の官能基とが相互作用してポリスチレン誘導体の疑似凝集体の形成を抑制しうる。更に炭化水素環状化合物は、シクロオレフィン系樹脂に対して良好な親和性を有するので、ポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との隙間に効率的に侵入し、ポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との相互作用を促し、親和性を向上させると考えられる。その結果、光学フィルム内に局所的な脆弱部位は発生しにくくなり、硬度が向上し、更にシクロオレフィン系樹脂の分子鎖とポリスチレン誘導体の分子鎖とが密に絡み合うことによって、過疎部位が減少し、光学フィルムの耐湿性も向上すると考えられる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
1.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、ポリスチレン誘導体と、炭化水素環状化合物とを含む。
1−1.シクロオレフィン系樹脂
本発明の光学フィルムに含まれるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 0006743651
一般式(A−1)のR〜Rは、独立して水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R〜Rの全てが水素原子となる場合を除き、RとRが同時に水素原子となるか、又はRとRが同時に水素原子となる場合はないものとする。
炭素原子数1〜30の炭化水素基は、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基をさらに有していてもよい。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。
極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を示す。光学フィルムの耐熱性を高める観点では、pは、1〜2であることが好ましい。pが1〜2であると、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいからである。
Figure 0006743651
一般式(A−2)のRは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。中でも、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。
一般式(A−2)のRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)のpは、0〜2の整数を表す。光学フィルムの耐熱性を高める観点では、pは、1〜2であることが好ましい。pが1〜2であると、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいからである。
一般式(A−2)で表される単量体の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して例えば70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%としうる。一般式(A−2)で表される単量体を一定以上含むと、樹脂の配向性が高まるため、位相差値が上昇しやすい。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 0006743651
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との共重合体におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、共重合体を構成する全単量体の合計に対して例えば50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%としうる。
シクロオレフィン系樹脂は、前述の通り、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との付加共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と(メタ)アクリレートとの付加共重合体
(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、(2)の開環共重合に用いる触媒や溶媒は、特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。(3)及び(6)の水素添加に用いる触媒は、特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。(4)のフリーデルクラフツ反応に用いる酸性化合物は、特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。(5)〜(7)の付加重合に用いる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063を使用できる。(7)の交互共重合反応は、特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、(1)〜(3)及び(5)が好ましく、(1)〜(3)がより好ましい。即ち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、且つ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位と下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましく、一般式(B−2)で表される構造単位のみを含むか、一般式(B−1)で表される構造単位と一般式(B−2)で表される構造単位の両方を含むことがより好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 0006743651
一般式(B−1)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−1)のR〜R及びpは、一般式(A−1)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
Figure 0006743651
一般式(B−2)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−2)のR〜R及びpは、一般式(A−2)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
シクロオレフィン系樹脂は、市販品であってもよい。シクロオレフィン系樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えばG7810等)、アートンF、アートンR(例えばR4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性とフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
1−2.ポリスチレン誘導体
ポリスチレン誘導体は、酸性または塩基性の官能基を有する。
ポリスチレン誘導体が有する酸性の官能基とは、ブレンステッド酸性を示す官能基である。具体例として、−OH、−SH、−SOH、−HPO、−COOH等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリスチレン誘導体が有する塩基性の官能基とは、ブレンステッド塩基性を示す官能基である。具体例として、−NH、−NHR、−NR(R、Rは炭素数が1〜20の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基で、同一であっても異なっていてもよい)、含窒素芳香族環基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。含窒素芳香族環基の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、ジアゾール、ピラゾール等から誘導される基が挙げられる。
ポリスチレン誘導体の有する官能基の種類は、後述する炭化水素環状化合物の有する官能基と酸塩基対を形成するものであればよい。中でも、ポリスチレン誘導体の着色を抑制し、透明性を損ないにくくする観点から、酸性基であることが好ましい。特に好ましい官能基は、酸性の強い−SOH基、−COOH基、および−SH基である。
ポリスチレン誘導体は、官能基を有するスチレン単量体の単独重合体、またはスチレン単量体とそれと共重合可能な共重合性単量体との共重合体(但し、スチレン単量体と共重合性単量体の少なくとも一方が官能基を有する)でありうる。
スチレン単量体の例には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が含まれる。
スチレン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の酸無水物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニルが含まれる。スチレン単量体が官能基を有する場合、それと共重合可能な共重合性単量体の例には、官能基を有しないスチレンも含まれる。中でも、酸無水物や(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
官能基は、前述の通り、スチレン単量体および共重合性単量体の一方または両方に結合していてもよい。例えば、ポリスチレン誘導体がスチレン−無水マレイン酸共重合体の場合、当該官能基は、無水マレイン酸単量体の酸性基であってもよいし、スチレン単量体のベンゼン環に結合した官能基であってもよい。中でも、炭化水素環状化合物とシクロオレフィン系樹脂との相互作用の観点から、ポリスチレン誘導体の有する官能基は、スチレン単量体のベンゼン環に結合した官能基であることが好ましい。スチレン単量体のベンゼン環に官能基の結合したポリスチレン誘導体を用いると、炭化水素環状化合物との相互作用が起こりやすく、結果として透明な光学フィルムが得られやすい。
ポリスチレン誘導体における官能基構造単位の含有率、即ち、官能基を有するスチレン単量体由来または共重合性単量体由来の構造単位の合計は、ポリスチレン誘導体を構成する単量体由来の構造単位の全モル数に対して、5モル%〜25モル%であることが好ましく、10モル%〜15モル%であることがより好ましい。少なくとも5モル%の官能基が存在すれば、炭化水素環状化合物との相互作用によって、光学フィルムの硬度や耐湿性を向上しうる。
尚、ポリスチレン誘導体における官能基構造単位の種類および含有率は、核磁気共鳴分光法(NMR)によって確認することができる。具体的には、ポリスチレン誘導体と内部標準(ドデカンなど)を混合して重水素化クロロホルムに溶解したのち、H NMRスペクトルを測定し、検出される官能基に相当するピーク積分比を比較することで、官能基構造単位の種類及び含有率を求めることができる。
ポリスチレン誘導体の重量平均分子量(Mw)は、2000以上300000以下であることが好ましく、10000〜200000であることがより好ましく、50000〜100000であることがさらに好ましい。ポリスチレン誘導体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。ポリスチレン誘導体の重量平均分子量が2000以上であると、シクロオレフィン系樹脂の分子鎖とポリスチレン誘導体の分子鎖とが密に絡み合うことによって、光学フィルムの硬度と耐湿性が向上すると考えられる。また、重量平均分子量が300000以下であると、シクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれにくいので、光学フィルムの透明度が損なわれにくい。
本発明の光学フィルムに含まれるポリスチレン誘導体の割合は、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体との合計量に対して0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。ポリスチレン誘導体の量が0.1質量%以上であれば、ポリスチレン誘導体と、シクロオレフィン系樹脂および炭化水素環状化合物との相互作用によって、光学フィルムの硬度や耐湿性を改善しうる。また、50質量%以下であれば、シクロオレフィン系樹脂の特徴を損なうこともない。
1−3.炭化水素環状化合物
本発明の光学フィルムに含まれる炭化水素環状化合物は、併用するポリスチレン誘導体の有する官能基と酸塩基対となる官能基、即ち、ポリスチレン誘導体が塩基性の官能基を有する場合、酸性の官能基を有し、ポリスチレン誘導体が酸性の官能基を有する場合、塩基性の官能基を有する。
炭化水素環状化合物は、芳香族化合物または脂環式化合物である。中でも、シクロオレフィン系樹脂との良好な相溶性を有する観点から、脂環式化合物が好ましい。
脂環式化合物は、例えば、シクロオレフィン単量体またはそのオリゴマーである。シクロオレフィンのオリゴマーを炭化水素環状化合物として使用する場合、シクロオレフィン系樹脂やポリスチレン誘導体との相溶性の観点から、重合度が30以下のオリゴマーであることが好ましい。シクロオレフィン単量体としては、前述のシクロオレフィン系樹脂を構成するシクロオレフィン単量体と同様のものを用いることができる。
炭化水素環状化合物の有する酸性の官能基とは、ポリスチレン誘導体について定義したのと同様に、ブレンステッド酸性を示す官能基である。具体例として、−OH、−SH、−SOH、−HPO、−COOH等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸性の官能基を有する炭化水素環状化合物の具体例としては、4−シクロヘキシルフェノール、4,4’−ビフェニルジチオール、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
炭化水素環状化合物の有する塩基性の官能基とは、ポリスチレン誘導体について定義したのと同様に、ブレンステッド塩基性を示す官能基である。具体例として、−NH、−NHR、−NR(R、Rは炭素数が1〜20の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基で、同一であっても異なっていてもよい)、含窒素芳香族環基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。含窒素芳香族環基の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、ジアゾール、ピラゾール等から誘導される基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩基性の官能基を有する炭化水素環状化合物の具体例としては、アミノシクロヘキサン1−ナフチルアミン、フェニルピリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
炭化水素環状化合物の有する官能基の種類は、前述したポリスチレン誘導体の有する官能基と酸塩基対を形成するものである限り特に限定はない。ポリスチレン誘導体の有する官能基は酸性であることが好ましいため、炭化水素環状化合物の有する官能基は塩基性であることが好ましい。特に好ましい官能基は、アミノ基または含窒素芳香環基である。アミノ基や含窒素芳香環基においては電子が局在化しており、酸性官能基と相互作用しやすいため好ましい。
炭化水素環状化合物の有する官能基の数は、特に限定されず、分子内、例えば、分子末端に、少なくとも1つの官能基を有していればよい。炭化水素環状化合物の1分子当たりの官能基の数が1以上であれば、後述する使用量において、ポリスチレン誘導体の疑似凝集体の形成を抑制するのに十分な量の官能基が存在することとなる。また、炭化水素環状化合物がオリゴマーである場合、官能基は当該オリゴマーを構成する単量体由来の構造単位の一部又は全部に結合してもよい。1分子に含まれる官能基の数が多いほど、ポリスチレン誘導体との相互作用部位が増えるため、オリゴマーを構成する単量体由来の構造単位の全てが当該官能基を有してもよい。
尚、炭化水素環状化合物における官能基構造単位の種類および含有率は、ポリスチレン誘導体と同様に、NMRによって確認することができる。
炭化水素環状化合物の分子量は、併用するシクロオレフィン系樹脂およびポリスチレン誘導体の分子量よりも小さいことが、シクロオレフィン系樹脂の分子鎖とポリスチレン誘導体の分子鎖との隙間に効率的に浸入して相互作用を促進する上で好ましい。具体的には、重量平均分子量(Mw)は、150〜2000であることが好ましく、300〜1500であることがより好ましく、500〜1000であることがさらに好ましい。炭化水素環状化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。炭化水素環状化合物の重量平均分子量が150以上であれば、ポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との相互作用を促す効果が発揮されやすい。また、炭化水素環状化合物の重量平均分子量が2000以下であれば、シクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれにくいので、光学フィルムの透明度も損なわれにくく、且つ耐湿性に優れた光学フィルムが得られやすい。
本発明の光学フィルムに含まれる炭化水素環状化合物の割合は、シクロオレフィン系樹脂とポリスチレン誘導体との合計量に対して0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。炭化水素環状化合物の割合が0.1質量%以上であれば、ポリスチレン誘導体およびシクロオレフィン系樹脂との相互作用が生じて、光学フィルムの硬度や耐湿性が改善されうる。また、炭化水素環状化合物の割合が30質量%以下であれば、シクロオレフィン系樹脂の重合体鎖同士の絡み合いを妨げることがないため、光学フィルムの耐湿性が向上しやすくなる。
また、炭化水素環状化合物の割合は、ポリスチレン誘導体に対して0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。炭化水素環状化合物の割合が0.1質量%以上であると、ポリスチレン誘導体との相互作用が十分に得られやすく、50質量%以下であると、シクロオレフィン系樹脂の有する耐熱性や低位相差といった特性が発揮されやすい。
1−4.その他の成分
本発明の光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤の例には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、マット剤、界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び剥離助剤等が含まれる。
1−5.フィルムの物性
(位相差値)
光学フィルムは、その用途に応じて種々の位相差値をとり得る。例えば、光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、30nm≦Ro≦300nmを満たすことが好ましく、50nm≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。厚み方向の位相差Rthは、−200nm≦Rth≦200nmを満たすことが好ましく、−150nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rth≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
また、光学フィルムがゼロ光学フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、0nm≦Ro≦5nmを満たすことが好ましく、厚み方向の位相差Rthは、−5nm≦Rth≦5nmを満たすことが好ましい。
光学フィルムのRo及びRthは、それぞれ下記式で定義される。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、光学フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、光学フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、光学フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、光学フィルムの厚み(nm)を表す。)
光学フィルムの面内遅相軸とは、フィルム面において屈折率が最大となる軸をいう。光学フィルムの面内遅相軸は、自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)により確認することができる。
光学フィルムのRo及びRthの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この光学フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の光学フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的な測定手順や測定条件は、後述の実施例と同様である。
光学フィルムの位相差Ro及びRthは、延伸条件などによって調整されうる。光学フィルムの位相差Roを大きくするためには、例えば延伸倍率を高くしたりすることが好ましい。
(厚み)
光学フィルムの厚みは、RoとRthが前述の範囲を満たし、且つ薄膜化する観点から、例えば10〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。特に、本発明の光学フィルムは、薄膜化しても良好な硬度と耐湿性を有しうる。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、任意の方法で製造されてよく、例えば溶液流延製膜法で製造され得る。即ち、光学フィルムは、1)前述のシクロオレフィン系樹脂と、ポリスチレン誘導体と、炭化水素環状化合物とを含むドープを得る工程と、2)得られたドープを金属支持体上に流延し、乾燥及び剥離して、膜状物を得る工程と、3)得られた膜状物を延伸する工程とを経て製造され得る。
1)の工程について
ドープに用いられる溶媒は、前述のシクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン誘導体、炭化水素環状化合物やその他の成分を溶解させ得る有機溶媒(良溶媒)を含むことが好ましい。そのような良溶媒の例には、塩化メチレン(メチレンクロライド)等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、塩化メチレン(メチレンクロライド)が好ましい。
ドープに用いられる溶媒は、貧溶媒をさらに含んでいてもよい。貧溶媒の例には、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。ドープ中のアルコールの比率が高くなると、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になりやすい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
2)の工程について
得られたドープを、金属支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
次いで、金属支持体上に流延されたドープ中の溶媒を蒸発させ、乾燥させる。乾燥されたドープを金属支持体から剥離して、膜状物を得る。金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量(剥離時の残留溶媒量S)は、得られる光学フィルムの位相差RoやRthを低減しやすくする点では、50〜120質量%であることが好ましい。剥離時の残留溶媒量Sが50質量%以上であると、乾燥又は延伸時に樹脂が流動しやすく無配向にしやすいため、得られる光学フィルムのRoやRthを低減しやすい。剥離時の残留溶媒量Sが120質量%以下であると、ドープを剥離する際に要する力が過剰に大きくなりにくいので、ドープの破断を抑制しやすい。
ドープの残留溶媒量は、下記式で定義される。以下においても同様である。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量-ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、120℃60分の加熱処理をいう。
3)の工程について
得られた膜状物を、乾燥させながら延伸する。延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。
延伸倍率は、求められる光学性能に応じて設定されるが、光学フィルムを、λ/4フィルムやVA用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば1.03〜5.00倍とすることができ、IPS用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば0.2〜0.5倍とすることができる。延伸倍率は、(延伸後のフィルムの延伸方向大きさ)/(延伸前のフィルムの延伸方向大きさ)として定義される。
延伸温度は、樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−30)℃〜(Tg+60)℃であることが好ましく、(Tg−10)℃〜(Tg+50)℃であることがより好ましい。延伸温度が(Tg−30)℃以上であると、乾燥又は延伸時に膜状物に加わる張力が過剰には大きくなりにくいので、得られる光学フィルムのRoやRthが過剰には増大しにくい。延伸温度が(Tg+60)℃以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制しやすい。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、5〜20質量%であることが好ましい。延伸開始時の残留溶媒量Sが5質量%以上であると、残留溶媒による可塑化効果で、延伸時の膜状物の実質的なTgが低くなるため、光学フィルムのRoやRthが増大しにくい。延伸開始時の残留溶媒量Sが20質量%以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制できる。延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、8〜15質量%であることがより好ましい。
膜状物のMD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法(ロール法)で行うことができる。膜状物のTD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法(テンター法)で行うことができる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、その少なくとも一方の面に設けられた保護フィルムとを含み、少なくとも一方の保護フィルムを本発明の光学フィルムとしうる。
3−1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄膜化するため等から、5〜20μmであることがより好ましい。
3−2.保護フィルム
保護フィルムの少なくとも一方は、本発明の光学フィルムとしうる。保護フィルムは、例えば位相差フィルムとして機能してもよい。
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の光学フィルムとを接着剤を介して貼り合わせて得ることができる。接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)や活性エネルギー線硬化性接着剤でありうる。偏光子と本発明の光学フィルムの貼り合わせは、通常、ロールトゥロールで行うことができる。
4.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムを含む。本発明の画像表示装置の例には、有機EL表示装置や液晶表示装置が含まれる。
(有機EL表示装置)
図1は、有機EL表示装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、有機EL表示装置10は、光反射電極12と、発光層14と、透明電極層16と、透明基板18と、円偏光板20とをこの順に有する。
光反射電極12は、光反射率の高い金属材料で構成されていることが好ましい。金属材料の例には、Mg、MgAg、MgIn、Al、LiAl等が含まれる。光反射電極12の表面が平坦である程、光の乱反射を防止できるので好ましい。
発光層14は、R(レッド)発光層、G(グリーン)発光層およびB(ブルー)発光層を含む。各発光層は、発光材料を含む。発光材料は、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、好ましくは有機化合物である。
各発光層は、電荷輸送材料をさらに含み、電荷輸送層としての機能をさらに有していてもよいし;ホール輸送材料をさらに含み、ホール輸送層としての機能をさらに有していてもよい。各発光層が、電荷輸送材料またはホール輸送材料を含まない場合、有機EL表示装置10は、電荷輸送層またはホール輸送層をさらに有しうる。
透明電極層16は、一般的には、ITO電極でありうる。
透明基板18は、光を透過させうるものであればよく、ガラス基板、プラスチックフィルム又は薄膜などでありうる。
円偏光板20は、偏光子(直線偏光膜)20Bと、それと透明基板18との間に配置されたλ/4フィルム20Aとを有し、λ/4フィルム20Aを、本発明の光学フィルムとし得る。
本発明の有機EL表示装置は、光反射電極12と透明電極層16とを間を通電させると、発光層14が発光し、画像を表示することができる。さらに、有機EL表示装置に外部から入射する光は、すべて偏光子(LP)20Bに吸収されるため、有機EL表示装置の光反射電極で反射しても、外部に出射しない。したがって、背景の映り込みによる画像表示特性の低下を防止することができる。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図2は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図2に示されるように、本発明の液晶表示装置100は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板50及び第二の偏光板70と、バックライト90とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vistical Alignment)、又はIPS(InPlane Switching)等のいずれの表示モードであってよい。例えば、モバイル機器向けの液晶セルとしては、IPSモードが好ましい。
第一の偏光板50は、液晶セル30の視認側の面に配置された第一の偏光子51と、第一の偏光子51の視認側の面(液晶セルとは反対側の面)に配置された保護フィルム53(F1)と、第一の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム55(F2)とを含む。
第二の偏光板70は、液晶セル30のバックライト側の面に配置された第二の偏光子71と、第二の偏光子71の液晶セル側の面に配置された保護フィルム73(F3)と、第二の偏光子71のバックライト側の面(液晶セルとは反対側の面)に配置された保護フィルム75(F4)とを含む。
第一の偏光子51の吸収軸と第二の偏光子71の吸収軸とは直交している(クロスニコルとなっている)ことが好ましい。
保護フィルム53(F1)、55(F2)、73(F3)及び75(F4)の少なくとも一つ、好ましくは保護フィルム55(F2)及び73(F3)の少なくとも一方を、本発明の光学フィルムとしうる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.光学フィルムの材料
シクロオレフィン系樹脂(I):下記式(I)で表される構造単位からなる、シクロオレフィン系樹脂(重量平均分子量140000)
Figure 0006743651
シクロオレフィン系樹脂(II): 下記式(II)で表される構造単位からなる、シクロオレフィン系樹脂(重量平均分子量120000)
Figure 0006743651
(2)ポリスチレン誘導体
(PS1の合成)
スチレンを100質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(重合開始剤)を0.5質量部、およびトルエン(溶媒)を250質量部を仕込んだ。次いで、70℃に加熱した無水マレイン酸15質量部を加え、110℃で重合させて、重合体PS1を得た。
得られた重合体PS1の共重合比率は、スチレン/マレイン酸無水物=6/1、(官能基構造単位の含有率15モル%)であった。また、重合体PS1の重量平均分子量MwをGPCで測定した結果、100000であった。
(PS2の合成)
スチレンを 100質量部、スチレンスルホン酸を10質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(重合開始剤)を0.5質量部、トルエン(溶媒)を250質量部仕込み、70℃の温度で重合させて重合体PS2を得た。
得られた重合体PS2の共重合比率は、スチレン/−SOH基(酸性基)置換スチレン=8/1(官能基構造単位の含有率11モル%)であった。また、重合体PS2の重量平均分子量MwをGPCで測定した結果、100000であった。
(PS3〜PS6の合成)
スチレンスルホン酸を、表1に示される官能基で置換されたスチレンにそれぞれ変更した以外は、重合体PS2と同様にして重合体PS3〜PS6を得た。
(PS7〜PS10の合成)
得られる重合体の重量平均分子量Mwが表1に示される値となるように合成条件を調整した以外は重合体PS2と同様にして重合体PS7〜PS10を得た。
PS1〜PS10の組成・物性を表1に示す。
Figure 0006743651
(3)炭化水素環状化合物
(HC1)
アミノシクロヘキサン(Sigma−Aldrich社製、重量平均分子量:99)
(HC2の合成)
−SOH基(酸性基)を有するノルボルネン系単量体(下記構造式(III))を100質量部と、ベンジリデン{1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン}ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム5質量部、トルエンを250質量部とを加え、105℃で7時間加熱攪拌して開環重合反応させて、重合体溶液を得た。
Figure 0006743651
得られた重合体溶液をオートクレーブに入れ、この重合体溶液にカルボニルジヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)を0.5質量部加え、水素ガス圧を10MPa、反応温度160℃の条件で3時間加熱攪拌して、水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。回収した凝固物を乾燥させて、ノルボルネン系単量体の4量体(炭化水素環状化合物HC2)を得た。
(HC3)
−NH基(塩基性基)を有するノルボルネン系単量体(下記構造式(IV))
Figure 0006743651
(HC4〜HC7の合成)
−SOH基(酸性基)を有するノルボルネン系単量体(上記構造式(III))を、表2に示される官能基を有するノルボルネン系単量体に変更し、且つ表2に示される重合度となるように合成条件を変更した以外は炭化水素環状化合物HC2と同様にして炭化水素環状化合物HC3〜HC7を得た。
HC1〜HC7の組成・物性を表2に示す。
Figure 0006743651
2.光学フィルムの作製と評価
<光学フィルム1−1の作製>
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを調製した。
シクロオレフィン系樹脂(I):80質量部
ポリスチレン誘導体(PS1):20質量部
炭化水素環状化合物(HC1):10質量部
ジクロロメタン:380質量部
エタノール:20質量部
(製膜)
得られたドープを40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。流延したドープを、残留溶媒量が80質量%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が5質量%となるまで40℃で乾燥させた後、幅方向に延伸倍率1.5倍(50%)で延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃でさらに乾燥させて、厚み40μm、幅1.3mの光学フィルム1−1を得た。
<光学フィルム1−2〜1−12の作製>
ポリスチレン誘導体と炭化水素環状化合物の種類を表3に示されるように変更し、更に光学フィルムの厚みを20μmに変更した以外は光学フィルム1−1と同様にして、光学フィルム1−2〜1−12を得た。
<光学フィルム2−1〜2−8の作製>
シクロオレフィン系樹脂をシクロオレフィン系樹脂(II)に変更し、ポリスチレン誘導体と炭化水素環状化合物の種類を表4に示されるように変更し、更に光学フィルムの厚みを20μmに変更した以外は光学フィルム1−1と同様にして、光学フィルム2−1〜2−8を得た。
<光学フィルム3−1〜3−6の作製>
シクロオレフィン系樹脂(I)、ポリスチレン誘導体としてPS2、炭化水素環状化合物としてHC4を用い、炭化水素環状化合物の割合を表5に示されるように変更した以外は光学フィルム1−1と同様にして、光学フィルム3−1〜3−6を得た。
得られた光学フィルムのヘイズ、硬度、耐湿性を、それぞれ以下の方法で評価した。
(ヘイズ)
得られた光学フィルムのヘイズを、JIS K−7136に準拠してヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)にて測定し、下記基準に基づき評価した。
○: ヘイズが0.3%以下
△: ヘイズが0.3%超1%未満
×: ヘイズが1%以上
(硬度)
得られた光学フィルムの鉛筆硬度を、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験によって測定し、下記基準に基づき硬度を評価した。
○: 鉛筆硬度がHまたはそれよりも硬い
△: 鉛筆硬度がF〜B
×: 鉛筆硬度が2Bまたはそれよりも柔らかい
(耐湿性)
得られた光学フィルムの40℃90%RHにおける透湿度を、JIS Z0208に記載の方法により測定した。そして、面積1m当たり24時間で蒸発する水分量(g)(g/m/日)を求め、下記基準に基づき耐湿性を評価した。
○: 透湿度が150g/m/日以下
△: 透湿度が150g/m/日超200g/m/日未満
×: 透湿度が200g/m/日以上
光学フィルム1−1〜1−12の評価結果を表3に示し、光学フィルム2−1〜2−8の評価結果を表4に示し、光学フィルム3−1〜3−6の評価結果を表5に示す。
Figure 0006743651
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表3に示されるように、炭化水素環状化合物を含まない光学フィルム1−3、およびポリスチレン誘導体の官能基と炭化水素環状化合物の官能基が共に酸性である光学フィルム1−4は、ヘイズ、硬度、耐湿性の全ての評価結果が低かった。
一方、シクロオレフィン系樹脂と、酸性または塩基性の官能基を有するポリスチレン誘導体と、当該ポリスチレン誘導体の官能基と酸塩基対となる官能基を有する炭化水素環状化合物とを含む本発明の光学フィルム1−1、1−2、1−5〜1−11は、いずれもヘイズが1%未満、硬度がF〜B、耐湿性が200g/m/日未満と良好であった。特にスチレン単位のベンゼン環に酸性の官能基が結合したポリスチレン誘導体と、塩基性の官能基を有する炭化水素環状化合物を含む光学フィルム1−7や1−10は、スチレン単位のベンゼン環に塩基性の官能基が結合したポリスチレン誘導体と、酸性の官能基を有する炭化水素環状化合物を含む光学フィルム1−11と比べて、ヘイズおよび硬度の評価結果が高かった。ヘイズの向上は、酸性の官能基を有するポリスチレン誘導体の方が着色が少ないためと考えられる。また、酸性の官能基を有するポリスチレン誘導体は、塩基性の官能基を有するポリスチレン誘導体よりもジクロロメタンとエタノールの共溶媒に溶けやすく、光学フィルムの内部でより広く分散され、過疎部位をほとんど作らなかったため、硬度が向上したと考えられる。
ポリスチレン誘導体としてベンゼン環に酸性の官能基(−SOH基)を結合したスチレン−無水マレイン酸共重合体を用いた光学フィルム1−5は、官能基を付与していないスチレン−無水マレイン酸共重合体をスチレン誘導体として用いた光学フィルム1−2と比較して、ヘイズの評価が向上した。これは、ベンゼン環に官能基を有するポリスチレン誘導体の方が炭化水素環状化合物と相互作用しやすく、光学フィルムに含まれる成分の親和性が向上したためと考えられる。また、炭化水素環状化合物として塩基性の官能基(−NH基)を結合したノルボルネン系の4量体を用いた光学フィルム1−12は、アミノシクロヘキサンを炭化水素環状化合物として用いた光学フィルム1−2と比較して、硬度が向上した。これは、ノルボルネン系の4量体の方がポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との相互作用を促し、親和性を向上させて、光学フィルム内の局所的な脆弱部位の発生を防止したためと考えられる。更に、ベンゼン環に酸性の官能基(−SOH基)を結合したスチレン−無水マレイン酸共重合体とノルボルネン系の4量体とを組み合わせた光学フィルム1−7は、光学フィルム1−2、1−5および1−12と比べて、ヘイズ、硬度および耐湿性の全てが勝っていた。
さらに、炭化水素環状化合物の分子量が150〜2000の範囲内である光学フィルム1−7は、分子量が150未満の炭化水素環状化合物を含む光学フィルム1−5や、分子量が2000超の炭化水素環状化合物を含む光学フィルム1−9と比べて、ヘイズ、硬度、耐湿性の全ての評価結果が良好であった。これは、炭化水素環状化合物がシクロオレフィン系樹脂およびポリスチレン誘導体と良好に相互作用し、シクロオレフィン系樹脂やポリスチレン誘導体の疑似凝集体の形成を抑制したためと考えられる。
表4に示されるように、式(II)で表されるシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルム2−1〜2−8は、式(I)で表されるシクロオレフィン系樹脂を用いた本発明の光学フィルムと同様に、ヘイズ、硬度、耐湿性の全ての評価結果が良好な光学フィルムであった。
特に、ポリスチレン誘導体のベンゼン環に結合した官能基が−COOH基である光学フィルム2−1、−SH基である光学フィルム2−2、および−SOH基である光学フィルム2−4は、官能基が−OHである光学フィルム2−3と比べて、ヘイズの評価結果が高かった。これは、−COOH基、−SH基および−SOH基の方が、−OH基と比べて酸性の強い官能基であることから、ポリスチレン誘導体と炭化水素環状化合物との相互作用による親和性が向上したためと考えられる。
また、ポリスチレン誘導体の分子量が2000〜300000の範囲内である光学フィルム2−4、2−6と2−8は、分子量2000未満のポリスチレン誘導体を含む光学フィルム2−5や、分子量300000超のポリスチレン誘導体を含む光学フィルム2−8と比べて、ヘイズ、硬度、耐湿性の全ての評価結果が高かった。これは、ポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との相溶性が高まり、さらに疑似凝集体の形成が抑制されて脆弱部位が減少し、シクロオレフィン系樹脂の分子鎖とポリスチレン誘導体の分子鎖とが密に絡まり合って過疎部位が減少したためと考えられる。
表5に示されるように、炭化水素環状化合物の含有量に係らず、ヘイズ、硬度、耐湿性の評価結果が良好な光学フィルムが得られた。特に炭化水素環状化合物の含有量が0.1質量%以上であると硬度および耐湿性が向上し、これはポリスチレン誘導体とシクロオレフィン系樹脂との相互作用が十分に生じたためと考えられる。また、炭化水素環状化合物の含有量が30質量%以下であると、光学フィルムのヘイズおよび耐湿性が向上した。これは、シクロオレフィン系樹脂の重合体鎖が十分に絡み合い、局所的な過疎部位が減少することによって耐湿性が向上し、更にはフィルム内の疎密差によって光散乱が生じにくいため、ヘイズの評価が向上する(即ち、ヘイズ値が低下する)と考えられる。また、炭化水素環状化合物の含有量が10質量%〜20質量%である光学フィルム3−3と3−4は、ヘイズ、硬度、耐湿性の全ての評価結果が高かった。
本発明によれば、高い硬度と耐湿性とを有し、且つ透明性の優れた光学フィルムを提供できる。
10 有機EL表示装置
12 光反射電極
14 発光層
16 透明電極層
18 透明基板
20 円偏光板
20A λ/4フィルム
20B 偏光子(直線偏光膜)
100 液晶表示装置
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト

Claims (8)

  1. シクロオレフィン系樹脂と、ポリスチレン誘導体と、炭化水素環状化合物とを含む光学フィルムであって、
    前記ポリスチレン誘導体と前記炭化水素環状化合物は、それぞれ酸性または塩基性の官能基を有し、
    前記ポリスチレン誘導体が塩基性の官能基を有する場合、前記炭化水素環状化合物は酸性の官能基を有し、
    前記ポリスチレン誘導体が酸性の官能基を有する場合、前記炭化水素環状化合物は塩基性の官能基を有する、光学フィルム。
  2. 前記ポリスチレン誘導体が酸性の官能基を有し、前記炭化水素環状化合物が塩基性の官能基を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記ポリスチレン誘導体の有する酸性の官能基が、−SOH基、−COOH基、もしくは−SH基であり、
    かつ前記酸性の官能基は、前記ポリスチレン誘導体のベンゼン環に結合している、請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記ポリスチレン誘導体の重量平均分子量が2000〜300000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記炭化水素環状化合物の有する塩基性の官能基が、アミノ基もしくは含窒素芳香族環基である、請求項2に記載の光学フィルム。
  6. 前記炭化水素環状化合物の重量平均分子量が150〜2000である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 偏光子と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムとを含む、偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムを含む、画像表示装置。
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