JP6720810B2 - 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、テレビ、ノートパソコン、及びスマートフォン等の液晶ディスプレイとして広く用いられている。液晶表示装置は、通常、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含み;偏光板は、偏光子と、それを挟持する一対の保護フィルムとを含む。
保護フィルムとして、一般的には、セルロースアシレートを主成分とするフィルムが用いられている。しかしながら、セルロースアシレートを主成分とするフィルムは、耐湿性が低く、そのようなフィルムを保護フィルムとして含む偏光板は、高温高湿下における偏光子の水分による劣化を十分には抑制できないという問題があった。そこで、セルロースアシレートを主成分とするフィルムに代えて、耐湿性に優れるシクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムが検討されている。
ところで、偏光板の製造に用いられる保護フィルムは、長尺状の保護フィルムをロール状に巻き取った状態で保管・運搬される。保護フィルムの表面の滑り性が低いと、巻き取り時に巻きズレやシワを生じて、巻き形状が低下しやすい。巻き形状の低下は、フィルムの品質を低下させる原因となる。そこで、巻き形状の低下を抑制する観点から、保護フィルムの表面に滑り性を付与することが検討されている。
そのような保護フィルムとして、セルロースエステルと、オルガノポリシロキサン(フィルム摩擦係数低下剤)と、シリカ粒子(マット剤)とを含む保護フィルムが開示されている(例えば特許文献1)。このように、セルロースエステルに、オルガノポリシロキサンとシリカ粒子を添加することで、フィルムの巻き形状を改善できることが示されている。
特開2009−215525号公報
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂に、特許文献1に示されるオルガノポリシロキサンとシリカ粒子を添加しても、フィルムの巻き形状を改善できないことが見出された。
即ち、シクロオレフィン系樹脂と、特許文献1に示されるオルガノポリシロキサンと、シリカ粒子とを含むフィルムは、オルガノポリシロキサンの溶出(ブリードアウト)を生じやすく、当該溶出したオルガノポリシロキサンが隣接して積層されるフィルムの裏面に転写されたり、フィルム同士のくっつき(ブロッキング)を生じたりしやすい。その結果、フィルム表面の滑り性を高めることができず、フィルムの巻き取り時の巻きズレやシワを抑制することができなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムであって、滑り性が高く、巻き形状が改善された光学フィルムを提供することを目的とする。
[1] シクロオレフィン系樹脂と、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子とを含む光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが0.5〜8.0であり、且つ前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の、オルガノシロキサン単位の溶解度パラメータ値をSP、前記変性基の溶解度パラメータ値をSPとしたとき、下記式(1)で表されるΔSPが1.0〜6.0である、光学フィルム。
式(1):ΔSP=SP−SP
[2] 前記変性基が、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボシキル基、(メタ)クリレート基、(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性アルキル基、及び(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性フェニル基からなる群より選ばれる一以上の極性基である、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、100〜10000である、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して0.3〜1.5質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] 厚みが5〜40μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
[6] 偏光子と、その少なくとも一方の面に設けられた[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムとを有する、偏光板。
[7] 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に有する液晶表示装置であって、前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第一の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを有し、前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子の前記液晶セルと側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第二の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを有し、
前記保護フィルムF1、F2、F3及びF4の少なくとも一つが、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムである、液晶表示装置。
本発明は、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムであって、滑り性が高く、巻き形状が改善された光学フィルムを提供することができる。
図1は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。
本発明では、特定の双極子モーメントを有するシクロオレフィン系樹脂と、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子とを組み合わせ、且つ当該変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のΔSPを一定以上に調整する。それにより、当該オルガノポリシロキサン化合物によるブリードアウトを抑制しつつ、良好な滑り性を有する光学フィルムを得ることができるので、巻き形状を十分に改善することができる。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物は、オルガノポリシロキサン骨格に由来する高い疎水性を有するので、フィルムの表面近傍に偏在しやすい。
また、当該オルガノポリシロキサン化合物が、ΔSPが一定以上を満たすことで、特定の双極子モーメントを有するシクロオレフィン系樹脂と相互作用しやすくなるだけでなく;酸化ケイ素粒子とも相互作用しやすくなる。
これらの結果、酸化ケイ素粒子を中心としたドメイン(酸化ケイ素粒子−変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物−特定の双極子モーメントを有するシクロオレフィン系樹脂)をフィルム表面近傍に形成しやすくし得るので、当該オルガノポリシロキサン化合物のフィルムからのブリードアウトを抑制しつつ、フィルムに良好な滑り性を付与することができる。
さらに、酸化ケイ素粒子を中心としたドメインをフィルム表面近傍に形成しやすくし得るので、酸化ケイ素粒子の添加量を大幅に増やす必要もない。従って、ヘイズを増大させることなく、フィルム表面に良好な滑り性を付与できる。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
1.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子とを含む。
1−1.シクロオレフィン系樹脂
本発明の光学フィルムに含まれるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体(ノルボルネン系単量体)であることが好ましい。ノルボルネン系単量体は、極性基を有するノルボルネン系単量体を含むことが好ましい。
極性基を有するノルボルネン系単量体における「極性基」の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びアリール基が含まれる。アリール基は、ノルボルネン環に置換基として結合していてもよいし、ノルボルネン環に縮合していてもよい。
極性基を有するノルボルネン系単量体は、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表されるノルボルネン系単量体であることが好ましい。
Figure 0006720810
一般式(A−1)のR〜Rは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜5の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つは、極性基である。極性基は、前述の極性基と同義である。また、R〜Rの全てが水素原子となる場合を除き、RとRが同時に水素原子となるか、又はRとRが同時に水素原子となる場合はないものとする。
炭素原子数1〜5の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。炭素原子数1〜5の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基;例えばカルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の連結基をさらに有していてもよい。
とR、RとR、及びRとRは、それぞれ互いに結合して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を示す。光学フィルムの耐熱性を高める観点では、pは、1〜2であることが好ましい。pが1〜2であると、得られる樹脂が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいからである。
Figure 0006720810
一般式(A−2)のR及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R及びRの少なくとも一つは、極性基である。極性基及び炭素数1〜5の炭化水素基は、一般式(A−1)の極性基及び炭素数1〜5の炭化水素基とそれぞれ同義である。
一般式(A−2)のpは、一般式(A−1)のpと同義である。
極性基を有するノルボルネン系単量体の例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 0006720810
ノルボルネン系単量体は、極性基を有するノルボルネン系単量体だけでなく、極性基を有しないノルボルネン系単量体をさらに含んでいてもよい。極性基を有しないノルボルネン系単量体は、前述の一般式(A−1)において、R〜Rが水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であるか、或いは前述の一般式(A−2)において、R及びRが水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であるものであり得る。
極性基を有しないノルボルネン系単量体の例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 0006720810
極性基を有するノルボルネン系単量体由来の構成単位の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成するシクロオレフィン単量体由来の構成単位の合計に対して例えば50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは100モル%とし得る。極性基を有するノルボルネン系単量体由来の構成単位を一定以上含むと、樹脂の極性が高まり、双極子モーメントが一定以上となりやすい。それにより、シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させやすくし得るので、溶液製膜法(キャスト法)での製膜が可能となる。
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体由来の構造単位の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する構造単位の合計に対して50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%とし得る。
シクロオレフィン系樹脂は、前述の通り、シクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するノルボルネン系単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との付加共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と(メタ)アクリレートとの付加共重合体
(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、(2)の開環共重合に用いる触媒や溶媒は、特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。(3)及び(6)の水素添加に用いる触媒は、特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。(4)のフリーデルクラフツ反応に用いる酸性化合物は、特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。(5)〜(7)の付加重合に用いる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063を使用できる。(7)の交互共重合反応は、特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、(1)〜(3)及び(5)が好ましく、(1)〜(3)がより好ましい。即ち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、且つ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位と下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるノルボルネン系単量体の開環物に由来する構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるノルボルネン系単量体の開環物由来の構造単位である。
Figure 0006720810
一般式(B−1)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−1)のR〜R及びpは、一般式(A−1)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
Figure 0006720810
一般式(B−2)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−2)のR〜R及びpは、一般式(A−2)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
シクロオレフィン系樹脂は、市販品であってもよい。シクロオレフィン系樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えばG7810等)、アートンF、アートンR(例えばR4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、0.5〜8.0である。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが0.5以上であると、一定以上の極性を有するので、溶媒に溶解しやすく、溶液製膜法(キャスト法)での製膜が行いやすい。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが8.0以下であると、極性が高まりすぎないので、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とシクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれにくいので、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のブリードアウトを抑制しやすい。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、0.5〜5.0であることがより好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、以下の方法で算出することができる。
シクロオレフィン系樹脂が単独重合体である場合、1)分子力学法(MM3法)と半経験的分子軌道法(AM1法、PM6法)により、分子構造の最適化及び空間配座の最適化を行った後、2)富士通(株)製のシミュレーション・ソフトウェアであるFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用いて、双極子モーメントを算出する。
シクロオレフィン系樹脂が二以上の単量体の共重合体である場合、共重合体における各単量体の含有比率と各単量体の単独重合体について算出した双極子モーメントの積の和を採ることにより、双極子モーメントを算出することができる。例えば、シクロオレフィン系樹脂が、単量体1と単量体2の80/20の共重合体である場合、双極子モーメント=(単量体1の単独重合体の双極子モーメント1×単量体1の含有比率)+(単量体2の単独重合体の双極子モーメント2×単量体2の含有比率)として算出することができる。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、極性基を有するノルボルネン系単量体における極性基の種類や極性基を有するノルボルネン系単量体の含有比率によって調整することができる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性とフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
1−2.変性基を有するポリシロキサン化合物
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物は、オルガノポリシロキサン骨格と、変性基とを含む化合物である。
オルガノポリシロキサン骨格は、オルガノシロキサン単位を含む。オルガノポリシロキサン骨格に含まれるオルガノシロキサン単位は、一種類であってもよいし、二種類以上であってもよい。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物を構成するオルガノシロキサン単位(−SiRR−O−)の溶解度パラメータ値(Solubilyty Parameter;SP値)をSP、変性基の溶解度パラメータ値をSPとしたとき、下記式(1)で表されるΔSPが1.0〜6.0を満たす。
式(1):ΔSP=SP−SP
オルガノシロキサン単位と変性基の少なくとも一方が二種類以上ある場合、オルガノシロキサン単位と変性基の組み合わせのうち少なくとも一種類のΔSP値が1.0〜6.0の範囲を満たしていればよい。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のΔSP値が1.0以上であると、変性基の極性が適度に高いので、シクロオレフィン系樹脂や酸化ケイ素粒子と相互作用しやすく、ΔSP値が6.0以下であると、変性基の極性が高すぎないので、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とシクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれにくいので、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のブリードアウトを十分に抑制しやすい。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のΔSP値は、1.75〜5であることがより好ましく、2〜5であることがより好ましい。
各構造単位の溶解度パラメータ値(SP値)は、FUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用いて、Bicerano法にて算出される溶解度パラメータ値である。
変性基は、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の1分子中に1つ又は2以上含まれてよく、好ましくは2つ含まれる。変性基は、当該化合物の分子の側鎖にあってもよいし、分子の末端にあってもよい。当該化合物を、光学フィルムの表面近傍に偏在させやすくする観点では、変性基は少なくとも分子の末端にあることが好ましく、分子の両末端にあることがより好ましい。分子の両末端が変性基であるオルガノポリシロキサン化合物は、当該両末端の変性基が相互作用してバルーン形状を採りやすく、浮力を受けてフィルム表面に偏在しやすいからである。即ち、変性基は、当該化合物の分子の両末端にあることが好ましい。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物は、下記式(I)又は(II)で表され得る。
Figure 0006720810
一般式(I)のR及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、フェニル基又は変性基である。但し、複数のRのうち少なくとも1つ又は複数のRのうち少なくとも1つは、変性基である。中でも、複数のRのうち2つ、特に分子両末端の2つのRが、変性基であることが好ましい。RとRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
炭素数1〜14のアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
変性基の例には、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボシキル基、(メタ)クリレート基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性アルキル基、(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性フェニル基、アルキル基及びフェニル基が含まれる。
(ポリ)アルキレンオキシ基の例には、(ポリ)エチレンオキサイド基、(ポリ)プロピレンオキサイド基が含まれる。(ポリ)オキシアルキレン基におけるオキシアルキレン単位の繰り返し数は、2〜500、好ましくは5〜300でありうる。(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性アルキル基若しくは同変性フェニル基の例には、(ポリ)エチレンオキサイド変性アルキル基若しくは同変性フェニル基、(ポリ)プロピレンオキサイド変性アルキル基若しくは同変性フェニル基が含まれる。
但し、変性基としてのアルキル基及びフェニル基は、他のR又はRを構成するアルキル基又はフェニル基とは異なるものとする。
中でも、酸化ケイ素粒子と相互作用しやすく、光学フィルムからのブリードアウトをより抑制しやすい観点では、変性基は、アルキル基及びフェニル基以外の基であることが好ましく、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボシキル基、(メタ)クリレート基、アルコキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性アルキル基及び同変性フェニル基からなる群より選ばれる極性基であることがより好ましい。
一般式(I)のnは、重量平均分子量が後述する範囲となるように設定されればよく、例えば2以上の自然数である。
Figure 0006720810
一般式(II)のR、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、フェニル基、又は変性基である。但し、複数のRのうち少なくとも1つ、複数のRのうち少なくとも1つ、又は複数のRのうち少なくとも1つは、変性基である。中でも、複数のRのうち2つ、特に分子両末端の2つのRが、前述の変性基であることが好ましい。RとRは、互いに異なるものであり;RとR、又はRとRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
炭素数1〜14のアルキル基及び変性基は、一般式(II)の炭素数1〜14のアルキル基及び変性基とそれぞれ同義である。
一般式(II)のmとnの合計は、重量平均分子量が後述する範囲となるように設定されればよく、例えば2以上の自然数である。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の例には、カルボキシ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン、エチレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン、プロピレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン等が含まれる。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の市販品の例には、共栄社化学株式会社製のKLシリーズ(KL401、KL402、KL403、KL404)等が含まれる。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、100〜10000であることが好ましい。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量が100以上であると、ブリードアウトしにくく、10000以下であると、シクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれにくい。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、100〜3000であることがより好ましく、500〜2500であることがさらに好ましい。変性基を有するポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算にて測定することができる。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して例えば0.1〜2質量%とし得る。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有量が0.1質量%以上であると、光学フィルムの表面の滑り性を十分に高めやすく、2質量%以下であると、光学フィルムのヘイズの増大を抑制しやすい。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して0.3〜1.5質量%であることがより好ましい。
変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物/酸化ケイ素粒子の含有比率は、1/10〜15/10(質量比)とし得る。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有比率が一定以上であると、酸化ケイ素粒子をフィルム表面に偏在させやすく、一定以下であると、当該化合物のブリードアウトをより高度に抑制しやすい。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物/酸化ケイ素粒子の含有比率は、2/10〜10/10(質量比)であることがより好ましい。
1−3.酸化ケイ素粒子
酸化ケイ素粒子は、フィルムの表面に滑り性を付与する機能を有し得る。酸化ケイ素粒子は、二酸化ケイ素粒子(SiO)であることが好ましい。二酸化ケイ素粒子(SiO)の市販品の例には、アエロジルR812、R972(日本アエロジル社製)、NanoTek SiO(シーアイ化成社製)等が含まれる。
酸化ケイ素粒子の平均一次粒子径は、5〜50nmであることが好ましい。酸化ケイ素粒子の平均一次粒子径が5nm以上であると、フィルムの表面を粗面化することができるので、滑り性を付与しやすく、50nm以下であると、ヘイズの増大を抑制しやすい。酸化ケイ素粒子の平均一次粒子径は、5〜30nmであることがより好ましい。
酸化ケイ素粒子の平均一次粒子径は、以下の方法で測定することができる。
即ち、光学フィルムをミクロトーム(ライカ製EM UC6)で切断し、得られたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影する。そして、得られた写真に含まれる100個の粒子の一次粒子径を測定し、それらの平均値を平均一次粒径とする。一次粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とする。走査型電子顕微鏡(SEM)としては、JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)を用いることができる。
酸化ケイ素粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して例えば0.1〜5質量%とし得る。酸化ケイ素粒子の含有量が0.1質量%以上であると、光学フィルムの表面の滑り性を十分に高めやすく、5質量%以下であると、光学フィルムのヘイズの増大を抑制しやすい。酸化ケイ素粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して0.1〜2.5質量%であることがより好ましく、0.3〜2質量%であることがさらに好ましい。
1−4.その他の成分
光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、紫外線吸収剤や酸化防止剤等が含まれる。
1−5.フィルム物性
(ヘイズ)
光学フィルムのヘイズは、0.01〜2.0であることが好ましい。光学フィルムのヘイズが2.0以下であると、液晶表示装置の表示画像のコントラストを高め得る。光学フィルムのヘイズは、0.01〜1.0であることがより好ましい。光学フィルムのヘイズは、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)により測定することができる。
光学フィルムのヘイズは、主として酸化ケイ素粒子や変性基を有するポリシロキサン化合物の含有量によって調整することができる。光学フィルムのヘイズを低くするためには、例えば酸化ケイ素粒子の含有量を一定以下とすることが好ましい。
(位相差Ro及びRth)
光学フィルムは、その用途に応じて種々の位相差値をとり得る。例えば、光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、30nm≦Ro≦300nmを満たすことが好ましく、50nm≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。厚み方向の位相差Rthは、−200nm≦Rth≦200nmを満たすことが好ましく、−150nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rth≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
また、光学フィルムがゼロ光学フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、0nm≦Ro≦5nmを満たすことが好ましく、厚み方向の位相差Rthは、−5nm≦Rth≦5nmを満たすことが好ましい。
光学フィルムのRo及びRthは、それぞれ下記式で定義される。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、光学フィルムの面内遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を表し、
nyは、光学フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、光学フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、光学フィルムの厚み(nm)を表す。)
光学フィルムの面内遅相軸とは、フィルム面において屈折率が最大となる軸をいう。光学フィルムの面内遅相軸は、自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)により確認することができる。
光学フィルムのRo及びRthの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この光学フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の光学フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。
光学フィルムの位相差Ro及びRthは、主として延伸倍率によって調整することができる。光学フィルムの位相差Ro及びRthを高くするためには、延伸倍率を高くすることが好ましい。
(厚み)
光学フィルムの厚みは、例えば5〜100μm、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmとし得る。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、任意の方法、例えば溶液製膜法(キャスト法)又は溶融製膜法(メルト法)で製造されてよいが、溶液製膜法(キャスト法)で製造されることが好ましい。
即ち、本発明の光学フィルムは、1)少なくとも前述のシクロオレフィン系樹脂と、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子と、溶媒とを含むドープを得る工程と、2)得られたドープを金属支持体上に流延し、乾燥及び剥離して、膜状物を得る工程と、3)得られた膜状物を乾燥するか、又は乾燥しながら延伸する工程と、4)乾燥又は延伸後に得られる長尺状の光学フィルムをロール状に巻き取る工程と、を経て製造され得る。
1)の工程について
ドープに用いられる溶媒は、前述のシクロオレフィン系樹脂やその他の成分を溶解させ得る有機溶媒(良溶媒)を含むことが好ましい。そのような良溶媒の例には、塩化メチレン(メチレンクロライド)等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、塩化メチレン(メチレンクロライド)が好ましい。
ドープに用いられる溶媒は、貧溶媒をさらに含んでいてもよい。貧溶媒の例には、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。ドープ中のアルコールの比率が高くなると、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になりやすい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
2)の工程について
得られたドープを、金属支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
次いで、金属支持体上に流延されたドープ中の溶媒を蒸発させ、乾燥させる。乾燥されたドープを金属支持体から剥離して、膜状物を得る。金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量(剥離時の残留溶媒量S)は、得られる光学フィルムの位相差RoやRthを低減しやすくする点では、50〜120質量%であることが好ましい。剥離時の残留溶媒量Sが50質量%以上であると、乾燥又は延伸時にシクロオレフィン系樹脂が流動しやすく無配向にしやすいため、得られる光学フィルムのRoやRthを低減しやすい。剥離時の残留溶媒量Sが120質量%以下であると、ドープを剥離する際に要する力が過剰に大きくなりにくいので、ドープの破断を抑制しやすい。
ドープの残留溶媒量は、下記式で定義される。以下においても同様である。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量-ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、120℃60分の加熱処理をいう。
3)の工程について
得られた膜状物を、乾燥させながら延伸する。延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。
延伸倍率は、求められる光学性能に応じて設定されるが、光学フィルムを、λ/4フィルムやVA用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば1.31〜5.0倍とすることができ、IPS用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば1.01〜1.3倍とすることができる。延伸倍率は、(延伸後のフィルムの延伸方向大きさ)/(延伸前のフィルムの延伸方向大きさ)として定義される。
延伸温度は、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−30)℃〜(Tg+60)℃であることが好ましく、(Tg−10)℃〜(Tg+50)℃であることがより好ましい。延伸温度が(Tg−30)℃以上であると、乾燥又は延伸時に膜状物に加わる張力が過剰には大きくなりにくいので、得られる光学フィルムのRoやRthが過剰には増大しにくい。延伸温度が(Tg+60)℃以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制しやすい。延伸温度は、具体的には140〜220℃とし得る。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、5〜20質量%であることが好ましい。延伸開始時の残留溶媒量Sが5質量%以上であると、残留溶媒による可塑化効果で、延伸時の膜状物の実質的なTgが低くなるため、光学フィルムのRoやRthが増大しにくい。延伸開始時の残留溶媒量Sが20質量%以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制できる。延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、8〜15質量%であることがより好ましい。
膜状物のMD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法(ロール法)で行うことができる。膜状物のTD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法(テンター法)で行うことができる。
4)の工程について
3)の工程で乾燥又は延伸して得られる長尺状の光学フィルムをロール状に巻き取り、巻き取り体を得る。即ち、巻き取り体は、巻芯と、その軸に対して直交する方向に巻き取られた長尺状の光学フィルムとを有する。長尺状の光学フィルムの幅は、800mm〜2500mm、長さは1000m〜8000mとし得る。
光学フィルムの巻き取りは、一般的なワインダーを用いて、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法等の各種方法で行うことができる。
本発明の光学フィルムは、ブリードアウトを生じることなく、良好な滑り性を有する。従って、巻き取り後に得られるロール体は、幅方向の端部の凸凹が少なく、良好な巻き形状を有する。さらに、ロール体を一定期間保存してもブリードアウトを生じにくいので、良好な滑り性を維持でき、それによる品質の低下を抑制できる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、2つの保護フィルムとを含み、保護フィルムの少なくとも一つが本発明の光学フィルムである。本発明の光学フィルムが偏光子の一方の面にのみ配置される場合は、偏光子の他方の面には、他の光学フィルムが配置され得る。
3−1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜20μmであることがより好ましい。
3−2.本発明の光学フィルム
本発明の光学フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置される。本発明の光学フィルムは、位相差調整機能を有する保護フィルム(位相差フィルム)として機能し得る。
本発明の光学フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とは、通常、直交していることが好ましい。但し、本発明の光学フィルムが円偏光板のλ/4フィルムとして用いられる場合、本発明の光学フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。
3−3.他の光学フィルム
偏光子の他方の面には、他の光学フィルムが配置され得る。他の光学フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC4CT、KC6UA以上コニカミノルタオプト(株)製)等が含まれる。
他の光学フィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
3−4.偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の光学フィルムとを接着剤を介して貼り合わせて得ることができる。接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)や活性エネルギー線硬化性接着剤であり得る。偏光子と本発明の光学フィルムの貼り合わせは、通常、ロールトゥロールで行うことができる。
4.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を含む。本発明の画像表示装置の例には、有機EL表示装置や液晶表示装置が含まれ、好ましくは液晶表示装置である。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。そして、一対の偏光板の少なくとも一方を、本発明の偏光板とし得る。
図1は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板50及び第二の偏光板70と、バックライト90とを含む。
液晶セル30の表示モードは、特に制限されず、例えばTN(TwistedNematic)、VA(Vistical Alignment)、及びIPS(In Plane Switching)等のいずれであってよい。モバイル機器向けの液晶セルは、例えばIPSモードのものが好ましく、中・大型用途の液晶セルは、例えばVAモードのものが好ましい。
第一の偏光板50は、本発明の偏光板であり、液晶セル30の視認側の面に配置されており、第一の偏光子51と、第一の偏光子51の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム53(F1)と、第一の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム55(F2)とを含む。
第二の偏光板70は、液晶セル30のバックライト側の面に配置されており、第二の偏光子71と、第二の偏光子71の液晶セル側の面に配置された保護フィルム73(F3)と、第二の偏光子71の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム75(F4)とを含む。第二の偏光子71の吸収軸は、第一の偏光子51の吸収軸と直交していることが好ましい。
保護フィルム53(F1)、55(F2)、73(F3)及び75(F4)の少なくとも一つを本発明の光学フィルムとし得る。中でも、本発明の光学フィルムは、ヘイズを増大させることなく、良好な滑り性を有し、保存時のブリードアウトの影響等もないことから、位相差調整機能を有する保護フィルム(位相差フィルム)55(F2)及び73(F3)の少なくとも一方として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.光学フィルムの材料
(シクロオレフィン系樹脂)
(合成例1)
シクロオレフィン単量体として、下記の極性基を有するノルボルネン系単量体を100質量部と、分子量調節剤である1−ヘキセンを3.6質量部と、トルエンを200質量部とを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これに、重合触媒としてトリエチルアルミニウム((C253Al)1.5モル/lのトルエン溶液を0.17質量部と、t−ブタノ−ル及びメタノールで変性した六塩化タングステン(WCl6)を含み、t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35:0.3:1(モル比)であるWCl6溶液(濃度0.05モル/l)を1.0質量部とを加え、80℃で3時間加熱攪拌して開環重合反応させて、重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は98%であった。
Figure 0006720810
得られた重合体溶液の4000質量部をオートクレーブに入れ、この重合体溶液にRuHCl(CO)[P(C6533を0.48質量部加え、水素ガス圧を10MPa、反応温度160℃の条件で3時間加熱攪拌して、水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。回収した凝固物を乾燥させて、シクロオレフィン系樹脂COP1を得た。
(合成例2〜15)
シクロオレフィン単量体の種類を変えた以外は合成例と同様にして、表1に示される構造単位組成を有するシクロオレフィン系樹脂COP2〜15を得た。
尚、構造単位M1〜8(極性基を有するノルボルネン系単量体由来の構造単位)を、表2−1及び2−2に示し;構造単位M9〜12(極性基を有しないノルボルネン系単量体由来の構造単位)を、表3に示す。
得られたシクロオレフィン系樹脂COP1〜15の双極子モーメントを、以下の方法で算出した。
(双極子モーメントの算出)
COP1〜7及び13〜15(単独重合体)の双極子モーメントは、1)分子力学法(MM3法)と半経験的分子軌道法(AM1法、PM6法)により、分子構造の最適化及び空間配座の最適化を行った後、2)富士通(株)製のシミュレーション・ソフトウェアであるFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用いて、双極子モーメントを算出した。
COP8〜12(共重合体)の双極子モーメントは、共重合体における各単量体の含有比率と各単量体の単独重合体の双極子モーメントの積の和を算出し、双極子モーメントとした。
得られた測定結果を表1に示す。
Figure 0006720810
Figure 0006720810
Figure 0006720810
Figure 0006720810
(オルガノポリシロキサン化合物)
オルガノポリシロキサン化合物として、下記化合物1〜18を準備した。化合物1〜17は、いずれも分子の両末端に変性基を有しているものである。尚、表4中の(ポリ)エチレンオキシ基はエチレンオキシ単位の繰り返し数が4のポリエーテル基であり、(ポリ)プロピレンオキシ基はプロピレンオキシ単位の繰り返し数が3のポリエーテル基である。
Figure 0006720810
(微粒子)
アエロジル R812(日本アエロジル社製、酸化ケイ素粒子、平均一次粒子径7nm)
アエロジル R972(日本アエロジル社製、酸化ケイ素粒子、平均一次粒子径16nm)
ナノテック Al(シーアイ化成社製、酸化アルミニウム粒子、平均一次粒子径31nm)
2.光学フィルムの作製・評価
<実施例1>
(粒子分散液の調製)
10質量部のR812と、80質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。得られた溶液に、80質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して、粒子分散液を得た。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら完全に溶解させた。これを、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを得た。
COP1(シクロオレフィン系樹脂):100質量部
化合物1(変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物):0.3質量部
粒子分散液:25.5質量部(酸化ケイ素粒子で1.5質量部)
ジクロロメタン:290質量部
エタノール:8質量部
(製膜)
得られたドープを40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。流延したドープを、残留溶媒量が80質量%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が5質量%となるまで40℃で乾燥させた後、幅方向に延伸倍率1.3倍(30%)で延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃でさらに乾燥させて、厚み20μm、幅1.3m、長さ4000mの光学フィルム101を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例2〜13>
ポリシロキサン化合物の種類を表5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム102〜113を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例14〜16>
酸化ケイ素粒子の含有量を表5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム114〜116を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例17〜19>
ポリシロキサン化合物と酸化ケイ素粒子の含有量を、それぞれ表5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム117〜119を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例20〜31及び37〜41>
樹脂の種類を表5又は6に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム120〜131及び137〜141を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例32>
酸化ケイ素粒子の種類を表6に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム132を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例33〜34>
ポリシロキサン化合物の重量平均分子量を表6に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム133〜134を作製し、ロール状に巻き取った。
<実施例35〜36>
光学フィルムの厚みを表6に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム135〜136を作製し、ロール状に巻き取った。
<比較例1〜2>
ポリシロキサン化合物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして光学フィルム142〜143を作製し、ロール状に巻き取った。
<比較例3>
酸化ケイ素粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして光学フィルム144を作製し、ロール状に巻き取った。
<比較例4〜6>
ポリシロキサン化合物の種類を表6に示されるものに変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム145〜147を作製し、ロール状に巻き取った。
<比較例7〜9>
樹脂の種類を表6に示されるものに変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム148〜150を作製し、ロール状に巻き取った。
<比較例10>
酸化ケイ素粒子を酸化アルミニウム粒子に変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルム151を作製し、ロール状に巻き取った。
実施例1〜41及び比較例1〜10で得られた光学フィルムの巻き取り体の巻き形状(初期、耐久試験後)及びブリードアウトを、それぞれ以下の方法で評価した。
(巻き形状)
1)初期
巻き取り後の光学フィルムの巻き状態(シワやフィルム端部のズレの有無)を目視観察して、以下の基準に基づいて評価した。
◎:フィルム端部のシワ及びズレがいずれも見られない
○:フィルム端部のシワ及びズレがほんの僅かに見られるが、実用上問題ないレベル
△:フィルム端部のシワ及びズレがやや見られ、実用上問題となるレベル
×:フィルム端部のシワ及びズレがいずれも著しく見られる
2)耐久試験後
巻き取り後の光学フィルムを40℃80%RH下で1週間保存した後、前述と同様にして、フィルムの巻き状態(シワやフィルム端部のズレの有無)を目視観察して、以下の基準に基づいて評価した。
◎:フィルム端部のシワ及びズレがいずれも見られない
○:フィルム端部のシワ及びズレがほんの僅かに見られるが、実用上問題ないレベル
△:フィルム端部のシワ及びズレがやや見られ、実用上問題となるレベル
×:フィルム端部のシワ及びズレがいずれも著しく見られる
(ブリードアウト)
巻き取り後の光学フィルムを40℃80%RH下で1週間保存した後、光学フィルムを繰り出し、重なり合うフィルム同士のブロッキング(貼付き)状態を目視観察して、以下の基準に基づいて評価した。
◎:ブロッキングなし
○:ブロッキングほとんどなし
△:ブロッキングわずかにあり
×:ブロッキング著しくあり
尚、実施例1、14〜19、比較例6及び10で得られた光学フィルムについては、さらにヘイズも測定した。
(ヘイズ)
得られた光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿した後、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)によりヘイズを測定した。
実施例1〜31の評価結果を表5に示し;実施例32〜41及び比較例1〜10の評価結果を表6に示す。表中の「−」は、未測定であることを示す。
Figure 0006720810
Figure 0006720810
双極子モーメントが0.5〜8であるシクロオレフィン系樹脂と、ΔSPが1.0〜6.0である変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子とを含む実施例1〜41の光学フィルムは、いずれも巻き形状が良好であり、ブリードアウトも少なく、耐久性も良好であることがわかる。また、実施例1の光学フィルムは、酸化ケイ素粒子を同量含む比較例5の光学フィルムと同等以下のヘイズ値を維持しつつ、巻き形状を向上させることができることがわかる。
特に、変性基が脂肪族炭化水素基以外であるポリシロキサン化合物1〜8及び12を含む光学フィルムは、変性基が脂肪族炭化水素基であるポリシロキサン化合物9〜11を含む光学フィルムよりも、ブリードアウトが少ないことがわかる(実施例1〜8、12及び13と、実施例9〜11との対比)。
特に、重量平均分子量が10000以下であるオルガノポリシロキサン化合物を含む光学フィルムは、重量平均分子量が10000を超えるオルガノポリシロキサン化合物を含む光学フィルムよりも、ブリードアウトがより少ないことがわかる(実施例1、33及び34の対比)。
特に、光学フィルムの厚みが薄いほど、巻き形状や耐久性、ブリードアウトが低くなりやすいが(比較例1と2の対比)、ΔSPが1〜6であるポリシロキサン化合物と酸化ケイ素粒子とを組み合わせることで、光学フィルムの厚みが薄くても、巻き形状や耐久性、ブリードアウトを抑制できることがわかる(実施例1と35の対比)。
これに対して、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物を含まない比較例1及び2の光学フィルムは、ブリードアウトは生じないものの、滑り性が十分には改善されないことから、巻き形状が十分には改善されず、耐久性も低いことがわかる。酸化ケイ素粒子を含まない比較例3の光学フィルムは、滑り性を付与できないことから、巻き形状、ブリードアウト及び耐久性のいずれも低いことがわかる。変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のΔSPが1.0未満である比較例5及び6の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂との相互作用が得られず;変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物のΔSPが6.0超である比較例3の光学フィルムは、オルガノポリシロキサン化合物の親水性が高すぎて、(疎水性を示す)シクロオレフィン系樹脂との相溶性が損なわれることから、いずれもブリードアウトを十分に抑制できず、巻き形状を改善できないことがわかる。
比較例7〜9の光学フィルムは、いずれも巻き形状が低いことがわかる。比較例7及び8の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが低すぎることから、変性基を有するオルガノポリシロキサンとの十分な相互作用が得られず、ブリードアウトを抑制できなかったためと考えられる。比較例9の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが高すぎて親水性が高くなりすぎることから、(疎水性を示す)変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物との相溶性が損なわれ、ブリードアウトを抑制しきなかったと考えられる。比較例10の光学フィルムは、酸化アルミニウム粒子を含むことから、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物やシクロオレフィン系樹脂との相互作用が十分には得られず、ブリードアウトを抑制しきなかったと考えられる。
本発明によれば、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムであって、滑り性が高く、巻き形状が改善された光学フィルムを提供することができる。
10 液晶表示装置
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト

Claims (6)

  1. シクロオレフィン系樹脂と、変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、酸化ケイ素粒子とを含む光学フィルムであって、
    前記シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが0.5〜8.0であり
    前記変性基は、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、(メタ)クリレート基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性アルキル基、および(ポリ)アルキレンオキシ基で置換された変性フェニル基からなる群より選ばれる極性基であり、
    前記変性基は、前記オルガノポリシロキサン化合物の両方の分子末端にあり、
    前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の、オルガノシロキサン単位の溶解度パラメータ値をSP、前記変性基の溶解度パラメータ値をSPとしたとき、下記式(1)で表されるΔSPが1.0〜6.0である、
    光学フィルム。
    式(1):ΔSP=SP−SP
  2. 前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、100〜10000である、
    請求項に記載の光学フィルム。
  3. 前記変性基を有するオルガノポリシロキサン化合物の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して0.3〜1.5質量%である、
    請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 厚みが5〜40μmである、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 偏光子と、その少なくとも一方の面に設けられた請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムとを有する、
    偏光板。
  6. 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に有する液晶表示装置であって、
    前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第一の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを有し、
    前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第二の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを有し、
    前記保護フィルムF1、F2、F3及びF4の少なくとも一つが、請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムである、
    液晶表示装置。
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