JP6776852B2 - 光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムに関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイは、テレビやノートパソコン、スマートフォン等に広く用いられている。これらのディスプレイは、通常、一対の透明ガラス基板と、それらの間に設けられた液晶素子や有機EL素子等の表示素子とを有する。
近年、ディスプレイには、薄型化や軽量化に加えて、フレキシブル化が求められつつある。これに伴い、透明ガラス基板に代えて、折り曲げ可能な透明プラスチックフィルム基板を用いることが検討されつつある。そのような透明プラスチックフィルム基板として、例えば特許文献1には、高分子グラフト鎖が形成された微粒子が、高分子グラフト鎖を介して2次元又は3次元に配列されてなる自立性フィルムが開示されている。
また、フレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板や光学フィルムとして用いられる樹脂フィルムの滑り性を高めるために、当該樹脂フィルムにアクリル系重合体の架橋微粒子をさらに添加することも検討されている(例えば特許文献2)。
ところで、フレキシブルディスプレイに用いられる透明プラスチックフィルム基板や光学フィルム(偏光板保護フィルムや位相差フィルム等)には、高い透明性と折り曲げ性を有することが求められるだけでなく、ディスプレイ製造時の熱履歴に耐え、表示素子の外気中の水分によるダメージを低減する観点等から、高い耐熱性や耐湿性を有することも求められる。そのようなフレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板や光学フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムを用いることが検討されている。
特開2016−80869号公報 特開2015−187200号公報
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムは、十分な折り曲げ性を有しないという問題があった。
また、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムに、特許文献2に示されるようなアクリル系の架橋微粒子を添加することによって、折り曲げ性をある程度高めることはできるものの、折り曲げ後に透明性が低下しやすいという問題があった。そのようなフィルムを、透明プラスチックフィルム基板又は光学フィルムとして有するフレキシブルディスプレイは、折り曲げ後の表示特性が低下しやすいという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な折り曲げ性を有し、且つ折り曲げ後でも高い透明性を維持できる光学フィルムを提供することを目的とする。
[1] シクロオレフィン系樹脂と、(メタ)アクリル系樹脂微粒子とを含む光学フィルムであって、前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して1.0質量%超5.0質量%以下であり、且つ前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径が、0.2〜5μmである、光学フィルム。
[2] 前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径が、0.02〜1.0μmである、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが、0.5〜5.0debyeである、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4] 無機微粒子をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] フレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板又は光学フィルムとして用いられる、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
本発明は、十分な折り曲げ性を有し、且つ折り曲げ後でも高い透明性を維持できる光学フィルムを提供することができる。
図1は、有機ELディスプレイの構成の一例を示す模式図である。 図2は、液晶ディスプレイの基本的な構成の一例を示す模式図である。
本発明らは、シクロオレフィン系樹脂に(メタ)アクリル系樹脂微粒子を一定量以上添加し、且つその分散条件を調整して平均二次粒子径を一定以上に調整することで、光学フィルムに良好な折り曲げ性を付与しつつ、折り曲げ後の透明性の低下を抑制できることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、平均一次粒子径が比較的小さい(メタ)アクリル系樹脂微粒子を多く添加して形成される二次粒子は、平均一次粒子径が比較的大きい(メタ)アクリル系樹脂微粒子を少量添加して形成される二次粒子よりも光学フィルムの折り曲げに追従して変形しやすいので、良好な折り曲げ性を得ることができる。また、二次粒子が光学フィルムの折り曲げに追従して変形しやすいと、折り曲げ時に、二次粒子とシクロオレフィン系樹脂との間にボイド(空隙)が形成されにくいので、折り曲げ後の透明性も低下しにくい。
従って、本発明の光学フィルムは、高い透明性と折り曲げ性とが要求されるフレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板や偏光板保護フィルム等の光学フィルムとして好ましく用いることができる。
さらに、シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントを特定の範囲とすることで、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との相互作用を生じやすくしうる。それにより、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との界面での密着性が向上し、界面での剥離が発生しにくいため、折り曲げ性を一層高めうる。さらに、折り曲げ時に、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との間にボイドが一層形成されにくいので、折り曲げ後の透明性の低下を一層抑制できる。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
1.光学フィルム
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、(メタ)アクリル系樹脂微粒子とを含む。
1−1.シクロオレフィン系樹脂
本発明の光学フィルムに含まれるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体(ノルボルネン系単量体)であることが好ましい。ノルボルネン系単量体は、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との相互作用を生じやすくする観点等から、極性基を有するノルボルネン系単量体を含むことが好ましい。
極性基を有するノルボルネン系単量体における「極性基」の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びアリール基が含まれる。アリール基は、ノルボルネン環に置換基として結合していてもよいし、ノルボルネン環に縮合していてもよい。
ノルボルネン系単量体は、下記一般式(A)で表されるノルボルネン系単量体であることが好ましい。
Figure 0006776852
一般式(A)のR〜Rは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5の炭化水素基又は極性基を表す。
ハロゲン原子の例には、フッ素原子、塩素原子等が含まれる。炭素原子数1〜5の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。炭素原子数1〜5の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基;例えばカルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の連結基をさらに有していてもよい。極性基は、前述の極性基と同義である。
とRは、互いに結合して芳香族環又は脂肪族環を形成してもよい。
但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、極性基であることが好ましい。そのようなノルボルネン系単量体(極性基を有するノルボルネン系単量体)由来の構造単位を有するシクロオレフィン系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系樹脂微粒子と相互作用を生じやすいので、ボイドの形成を抑制しやすい。
また、R〜RのうちRとRが同時に水素原子であるか、又はR、R及びRが同時に水素原子であってもよい。そのようなノルボルネン系単量体は、置換基が片側炭素に置換されているので、分子の対称性が低く、製膜工程における溶媒揮発時の樹脂と添加剤同士の拡散運動を促進しうる。
一般式(A)のpは、0〜2の整数を示す。光学フィルムの耐熱性を高める観点では、pは、1〜2であることが好ましい。pが1〜2であると、得られる樹脂が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいからである。
一般式(A)で表されるノルボルネン系単量体の具体例を以下に示す。このうち、極性基を有するノルボルネン系単量体の例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 0006776852
極性基を有しないノルボルネン系単量体の例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 0006776852
極性基を有するノルボルネン系単量体由来の構成単位の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成するノルボルネン系単量体由来の構成単位の合計に対して例えば50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは100モル%とし得る。極性基を有するノルボルネン系単量体由来の構成単位を一定以上含むと、樹脂の極性が高まり、双極子モーメントが一定以上となりやすい。それにより、シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させやすくし得るので、溶液製膜法(キャスト法)での製膜が可能となる。
ノルボルネン系単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等のノルボルネン系単量体以外のシクロオレフィンが含まれる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
ノルボルネン系単量体由来の構造単位の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する構造単位の合計に対して50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%とし得る。
シクロオレフィン系樹脂は、前述の通り、ノルボルネン系単量体、好ましくは一般式(A)で表されるノルボルネン系単量体を重合又は共重合して得られる重合体である。重合又は共重合は、開環重合又は開環共重合であってもよいし、付加重合又は付加共重合であってもよい。重合体の例には、以下のものが含まれる。
(1)ノルボルネン系単量体の開環重合体
(2)ノルボルネン系単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)ノルボルネン系単量体と不飽和二重結合含有化合物との付加共重合体
(6)ノルボルネン系単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)ノルボルネン系単量体と(メタ)アクリレートとの付加共重合体
(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、(2)の開環共重合に用いる触媒や溶媒は、特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。(3)及び(6)の水素添加に用いる触媒は、特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。(4)のフリーデルクラフツ反応に用いる酸性化合物は、特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。(5)〜(7)の付加重合に用いる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063を使用できる。(7)の交互共重合反応は、特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、(1)〜(3)及び(5)が好ましく、(1)〜(3)がより好ましい。即ち、シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン系単量体の開環重合体若しくは開環共重合体又はそれらの水素添加物であることが好ましい。そのようなシクロオレフィン系樹脂は、下記一般式(B)で表される構造単位を含みうる。一般式(B)で表される構造単位は、前述の一般式(A)で表されるノルボルネン系単量体の開環物に由来する。
Figure 0006776852
一般式(B)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B)のR〜R及びpは、一般式(A)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
シクロオレフィン系樹脂は、市販品であってもよい。シクロオレフィン系樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えばG7810等)、アートンF、アートンR(例えばR4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、0.5〜8.0debyeであることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが0.5debye以上であると、一定以上の極性を有するので、溶媒に溶解しやすく、溶液製膜法(キャスト法)での製膜が行いやすい。また、(メタ)アクリル系樹脂微粒子との相互作用を生じやすいので、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との間にボイドが形成されにくい。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントが8.0debye以下であると、極性が高まりすぎないので、フィルムの耐湿性が損なわれにくいだけでなく、(メタ)アクリル系樹脂微粒子との相溶性が損なわれにくい。シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、0.5〜5.0debyeであることがより好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、以下の方法で算出することができる。
シクロオレフィン系樹脂が単独重合体である場合、1)分子力学法(MM3法)と半経験的分子軌道法(AM1法、PM6法)により、分子構造の最適化及び空間配座の最適化を行った後、2)富士通(株)製のシミュレーション・ソフトウェアであるFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用いて、双極子モーメントを算出する。
シクロオレフィン系樹脂が二以上の単量体の共重合体である場合、共重合体における各単量体の含有比率と各単量体の単独重合体について算出した双極子モーメントの積の和を採ることにより、双極子モーメントを算出することができる。例えば、シクロオレフィン系樹脂が、単量体1と単量体2の80/20の共重合体である場合、双極子モーメント=(単量体1の単独重合体の双極子モーメント1×単量体1の含有比率)+(単量体2の単独重合体の双極子モーメント2×単量体2の含有比率)として算出することができる。
シクロオレフィン系樹脂の双極子モーメントは、極性基の種類や極性基を有するノルボルネン系単量体の含有比率によって調整することができる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性とフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
シクロオレフィン系樹脂の含有量は、光学フィルムの全質量に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
1−2.(メタ)アクリル系樹脂微粒子
(メタ)アクリル系樹脂微粒子は、光学フィルムに柔軟性を付与し、折り曲げ性を高めうる。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子を構成する(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とそれと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、メタクリル酸メチルであることが好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の例には、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリアクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の多官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(架橋性単量体);(メタ)アクリル酸;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド及びN−ビニル−2−ピロリドン等が含まれる。これらの単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体が多官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む場合、(メタ)アクリル系樹脂は、架橋構造を有しうる。
(メタ)アクリル系樹脂におけるメタクリル酸メチル由来の構造単位の含有比率は、(メタ)アクリル系樹脂を構成する単量体由来の構造単位の合計に対して40質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。メタクリル酸メチル由来の含有比率が一定以上であると、(メタ)アクリル系樹脂微粒子とシクロオレフィン系樹脂との屈折率差を小さくしやすいので、光学フィルムのヘイズをより低減しやすい。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子は、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体組成物を、水と重合開始剤、必要に応じて界面活性剤の存在下で、懸濁重合又は乳化重合させて得ることができる。
重合開始剤の例には、o−クロロ過酸化ベンゾイル、o−メトキシ過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ系非環状アミジン化合物;2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジハイドロクロライド等のアゾ系環状アミジン化合物;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}等のアゾ系アミド化合物;2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系アルキル化合物;ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系エステル化合物が含まれる。
界面活性剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤が含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径は、0.02〜1.0μmであることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径が0.02μm以上であると、一定以上の大きさの二次粒子を形成しやすく、1.0μm以下であると、光学フィルムを折り曲げた時の、シクロオレフィン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子との間のボイドの形成を抑制しやすい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径は、0.1〜1.0μmであることがより好ましく、0.1〜0.8μmであることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径は、0.2〜5μmであることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径が0.2μm以上であると、当該二次粒子が光学フィルムの折り曲げに追従しやすいので、光学フィルムの折り曲げ性を高めやすく、5μm以下であると、光学フィルムの透明性が損なわれにくく、折り曲げ時のボイドの形成も少なくしうるので、折り曲げ後の透明性も損なわれにくい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径は、0.2〜3.0μmであることがより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径及び平均二次粒子径は、以下の方法で測定することができる。即ち、光学フィルムを超薄切片法により切断して試料とする。得られた試料について、透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)による観察を行い、1000個の一次粒子又は二次粒子について、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径をそれぞれ算出し、それらの平均値をとって「平均一次粒子径」又は「平均二次粒子径」とする。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径は、少なくとも(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量と微粒子分散液を調製するときの分散条件(例えば分散時間等)、必要に応じてさらに(メタ)アクリル系樹脂微粒子の組成や平均一次粒子径等によって調整することができる。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径を一定以上にするためには、例えば1)微粒子の含有量を一定以上とし、且つ2)微粒子分散液を調製するときの分散時間を一定以下とすることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して1質量%超5質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量が1質量%超であると、光学フィルムに十分な柔軟性を付与しやすいので、折り曲げ性を高めやすく、5質量%以下であると、光学フィルムの透明性を損ないにくい。(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して1.0質量%超3.0質量%以下であることがより好ましい。
1−3.無機微粒子
無機微粒子は、光学フィルムの滑り性を高める機能を有する。無機微粒子を構成する無機材料の例には、二酸化珪素(SiO)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が含まれる。中でも、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、二酸化ケイ素が好ましい。
二酸化ケイ素粒子の市販品の例には、アエロジル R812、R972(日本アエロジル社製)、NanoTek SiO(シーアイ化成社製)等が含まれる。
無機微粒子の形状は、不定形、針状、扁平、球状のいずれであってもよく、得られるフィルムの透明性が損なわれにくい点から、球状であることが好ましい。
無機微粒子は、一種類で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで、透明性と滑り性を高度に両立させてもよい。
無機微粒子の平均一次粒子径は、5〜50nmであることが好ましい。無機微粒子の平均一次粒子径が5nm以上であると、フィルムの表面を粗面化することができるので、滑り性を付与しやすく、50nm以下であると、ヘイズの増大を抑制しやすい。無機微粒子の平均一次粒子径は、5〜30nmであることがより好ましい。無機微粒子の平均一次粒子径は、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径と同様の方法で測定することができる。
無機微粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して例えば0.1〜5質量%とし得る。無機微粒子の含有量が0.1質量%以上であると、光学フィルムの表面の滑り性を十分に高めやすく、5質量%以下であると、光学フィルムのヘイズの増大を抑制しやすい。無機微粒子の含有量は、シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して0.1〜2.5質量%であることがより好ましく、0.3〜2質量%であることがさらに好ましい。
1−4.その他の成分
光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、紫外線吸収剤や酸化防止剤等が含まれる。
1−5.フィルム物性
(ヘイズ)
光学フィルムのヘイズは、0.01〜2.0であることが好ましい。光学フィルムのヘイズが2.0以下であると、ディスプレイの表示画像のコントラストを高めうる。光学フィルムのヘイズは、0.01〜1.0であることがより好ましい。光学フィルムのヘイズは、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)により測定することができる。
光学フィルムのヘイズは、主として(メタ)アクリル系樹脂微粒子や無機微粒子の含有量によって調整することができる。光学フィルムのヘイズを低くするためには、例えば(メタ)アクリル系樹脂微粒子や無機微粒子の含有量を一定以下とすることが好ましい。
(位相差Ro及びRt)
光学フィルムが、フレキシブルディスプレイの偏光板保護フィルム又は位相差フィルムとして用いられる場合、その用途に応じた位相差値Ro及びRtを有しうる。
例えば、光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、30nm≦Ro≦300nmを満たすことが好ましく、50nm≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。厚み方向の位相差Rtは、−200nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、−150nm≦Rt≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rt≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
光学フィルムがゼロ位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、0nm≦Ro≦5nmを満たすことが好ましく、厚み方向の位相差Rtは、−5nm≦Rt≦5nmを満たすことが好ましい。
光学フィルムのRo及びRtは、それぞれ下記式で定義される。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、光学フィルムの面内遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を表し、
nyは、光学フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、光学フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、光学フィルムの厚み(nm)を表す。)
光学フィルムの面内遅相軸とは、フィルム面において屈折率が最大となる軸をいう。光学フィルムの面内遅相軸は、自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)により確認することができる。
光学フィルムのRo及びRtの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この光学フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の光学フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRtを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。
光学フィルムの位相差Ro及びRtは、主として延伸倍率によって調整することができる。光学フィルムの位相差Ro及びRtを高くするためには、延伸倍率を高くすることが好ましい。
(厚み)
光学フィルムの厚みは、例えば5〜100μm、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmとし得る。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、任意の方法で製造されうるが、溶液製膜法(キャスト法)で製造されることが好ましい。
即ち、本発明の光学フィルムは、1)少なくとも前述のシクロオレフィン系樹脂と、(メタ)アクリル系樹脂微粒子と、溶媒とを含むドープを得る工程と、2)得られたドープを金属支持体上に流延し、乾燥及び剥離して膜状物を得る工程と、3)得られた膜状物を乾燥するか、又は乾燥しながら延伸する工程とを経て製造され得る。
1)の工程について
ドープは、溶媒に、ノルボルネン系樹脂と(メタ)アクリル系樹脂微粒子を直接添加して混合して得てもよいし;(メタ)アクリル系樹脂微粒子を溶媒に分散させた微粒子分散液と、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解させた溶液とを混合して得てもよい。中でも、光学フィルム中の(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径を前述の範囲に調整しやすくする観点では、(メタ)アクリル系樹脂微粒子を溶媒に分散させた微粒子分散液と、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解させた溶液とを混合してドープを得ることが好ましい。微粒子分散液とノルボルネン系樹脂を含む溶液の混合は、インラインミキサーを使用して行うことが好ましい。
微粒子分散液は、(メタ)アクリル系樹脂微粒子を溶媒に添加した後、分散させて得ることができる。微粒子分散液における(メタ)アクリル系樹脂微粒子の分散状態は、微粒子分散液の調製に用いる溶媒の種類や分散方法、分散時間、分散温度等によって調整できる。溶媒の種類は、後述するドープに用いられる溶媒と同様としうる。分散時間は、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の組成や平均一次粒子径、含有量等にもよるが、例えば10分〜180分としうる。分散温度は、0〜80℃としうる。例えば平均二次粒子径を一定以上にするためには、例えば分散時間は短いほうが好ましい。
微粒子分散液の(メタ)アクリル系樹脂微粒子の濃度は、5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%としうる。
ドープに用いられる溶媒は、前述のシクロオレフィン系樹脂を溶解させ得る有機溶媒(良溶媒)を含むことが好ましい。そのような良溶媒の例には、塩化メチレン(メチレンクロライド)等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、塩化メチレン(メチレンクロライド)が好ましい。
ドープに用いられる溶媒は、貧溶媒をさらに含んでいてもよい。貧溶媒の例には、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。ドープ中のアルコールの比率が高くなると、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になりやすい。炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
2)の工程について
得られたドープを、金属支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
次いで、金属支持体上に流延されたドープ中の溶媒を蒸発させ、乾燥させる。乾燥されたドープを金属支持体から剥離して、膜状物を得る。金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量(剥離時の残留溶媒量S)は、得られる光学フィルムの位相差RoやRtを低減しやすくする点では、50〜120質量%であることが好ましい。剥離時の残留溶媒量Sが50質量%以上であると、乾燥又は延伸時にシクロオレフィン系樹脂が流動しやすく無配向にしやすいため、得られる光学フィルムのRoやRtを低減しやすい。剥離時の残留溶媒量Sが120質量%以下であると、ドープを剥離する際に要する力が過剰に大きくなりにくいので、ドープの破断を抑制しやすい。
ドープの残留溶媒量は、下記式で定義される。以下においても同様である。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量-ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、120℃60分の加熱処理をいう。
3)の工程について
得られた膜状物を乾燥するか、又は乾燥しながら延伸する。延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。
延伸倍率は、求められる光学性能に応じて設定されるが、光学フィルムをλ/4フィルムやVA用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば1.31〜5.0倍とすることができ、IPS用の位相差フィルムとして機能させる観点では、例えば1.01〜1.3倍とすることができる。延伸倍率は、(延伸後のフィルムの延伸方向大きさ)/(延伸前のフィルムの延伸方向大きさ)として定義される。
延伸温度は、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−30)℃〜(Tg+60)℃であることが好ましく、(Tg−10)℃〜(Tg+50)℃であることがより好ましい。延伸温度が(Tg−30)℃以上であると、乾燥又は延伸時に膜状物に加わる張力が過剰には大きくなりにくいので、得られる光学フィルムのRoやRtが過剰には増大しにくい。延伸温度が(Tg+60)℃以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制しやすい。延伸温度は、具体的には140〜220℃とし得る。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、5〜20質量%であることが好ましい。延伸開始時の残留溶媒量Sが5質量%以上であると、残留溶媒による可塑化効果で、延伸時の膜状物の実質的なTgが低くなるため、光学フィルムのRoやRtが増大しにくい。延伸開始時の残留溶媒量Sが20質量%以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制できる。延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、8〜15質量%であることがより好ましい。
膜状物のMD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法(ロール法)で行うことができる。膜状物のTD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法(テンター法)で行うことができる。
3.用途
本発明の光学フィルムは、前述の通り、良好な折り曲げ性(柔軟性)を有し、折り曲げ後の透明性の低下も少ない。従って、フレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板や光学フィルム(例えば偏光板保護フィルムや位相差フィルム等)として好ましく用いることができる。
フレキシブルディスプレイの例には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが含まれる。
(有機ELディスプレイ)
図1は、有機ELディスプレイの構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、有機ELディスプレイ10は、光反射電極11と、発光層13と、透明電極層15と、透明プラスチックフィルム基板17と、円偏光板19とをこの順に有しうる。
光反射電極11は、光反射率の高い金属材料で構成されている。金属材料の例には、Mg、MgAg、MgIn、Al、LiAl等が含まれる。
発光層13は、R(レッド)発光層、G(グリーン)発光層及びB(ブルー)発光層を含む。各発光層は、発光材料を含む。発光材料は、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、好ましくは有機化合物である。各発光層は、電荷輸送材料をさらに含んでいてもよいし、ホール輸送材料をさらに含んでいてもよい。各発光層が、電荷輸送材料又はホール輸送材料をさらに含まない場合、有機EL表示ディスプレイ10は、電荷輸送層又はホール輸送層をさらに含んでいてもよい。
透明電極層15は、一般的には、ITO電極でありうる。
透明プラスチックフィルム基板17は、光を透過させる基材フィルムである。
円偏光板19は、偏光子(直線偏光膜)19Aと、透明基板17と偏光子19Aとの間に設けられるλ/4フィルム19Bとを有する。
本発明の光学フィルムは、透明プラスチックフィルム基板17又はλ/4フィルム19Bとして好ましく用いることができる。
有機ELディスプレイは、光反射電極11と透明電極層15とを間を通電させると、発光層13が発光し、画像を表示することができる。さらに、有機ELディスプレイに外部から入射する光は、すべて偏光子19Aに吸収されるため、有機ELディスプレイの光反射電極11で反射しても外部に出射せず、背景の映り込みによる表示特性の低下を抑制できる。
(液晶ディスプレイ)
液晶ディスプレイは、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図2は、液晶ディスプレイの基本的な構成の一例を示す模式図である。図2に示されるように、液晶ディスプレイ20は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板40及び第二の偏光板50と、バックライト60とを含む。
液晶セル30の表示モードは、特に制限されず、例えばTN(TwistedNematic)、VA(Vistical Alignment)、及びIPS(In Plane Switching)等のいずれであってよい。
液晶セル30は、一対の透明プラスチックフィルム基板31及び33と、それらの間に配置され、液晶分子を含む液晶層35とを有する。画素電極は、一対の透明プラスチックフィルム基板31及び33のうち一方(例えば透明プラスチックフィルム基板31)に配置されうる。対向電極は、画素電極が配置された透明プラスチックフィルム基板31にさらに配置されてもよいし、他方の透明プラスチックフィルム基板33に配置されてもよい。
そして、画素電極と対向電極との間に電界を印加することで、液晶分子を所定の方向に配向させることで、各副画素の透過率及び反射率を変化させて画像表示を行う。
第一の偏光板40は、液晶セル30の視認側の面に配置されており、第一の偏光子41と、第一の偏光子41の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム43(F1)と、第一の偏光子41の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム45(F2)とを含む。
第二の偏光板50は、液晶セル30のバックライト側の面に配置されており、第二の偏光子51と、第二の偏光子51の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム53(F3)と、第二の偏光子51の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム55(F4)とを含む。第二の偏光子51の吸収軸は、第一の偏光子41の吸収軸と直交していることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、透明プラスチックフィルム基板31又は35、或いは偏光板保護フィルム43(F1)、45(F2)、53(F3)又は55(F4)として好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムを透明プラスチックフィルム基板又は偏光板保護フィルムとして有するフレキシブルディスプレイは、良好な折り曲げ性を有し、且つ折り曲げ後であっても表示特性の低下が少ない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.光学フィルムの材料
(シクロオレフィン系樹脂)
<シクロオレフィン系樹脂COP1>
シクロオレフィン単量体として、下記の極性基を有するノルボルネン系単量体を100質量部と、分子量調節剤である1−ヘキセンを3.6質量部と、トルエンを200質量部とを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これに、重合触媒としてトリエチルアルミニウム((C253Al)1.5モル/lのトルエン溶液を0.17質量部と、t−ブタノ−ル及びメタノールで変性した六塩化タングステン(WCl6)を含み、t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35:0.3:1(モル比)であるWCl6溶液(濃度0.05モル/l)を1.0質量部とを加え、80℃で3時間加熱攪拌して開環重合反応させて、重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は98%であった。
Figure 0006776852
得られた重合体溶液の4000質量部をオートクレーブに入れ、この重合体溶液にRuHCl(CO)[P(C6533を0.48質量部加え、水素ガス圧を10MPa、反応温度160℃の条件で3時間加熱攪拌して、水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。回収した凝固物を乾燥させて、シクロオレフィン系樹脂COP1を得た。
<シクロオレフィン系樹脂COP2〜4>
シクロオレフィン単量体の種類を変えた以外はシクロオレフィン系樹脂COP1と同様にして、表1に示される構造単位を有するシクロオレフィン系樹脂COP2〜4を得た。
得られたシクロオレフィン系樹脂COP1〜4の重量平均分子量と双極子モーメントを、それぞれ以下の方法で測定した。
(重量平均分子量)
シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定した。
(双極子モーメント)
得られたCOP1〜4の双極子モーメントは、1)分子力学法(MM3法)と半経験的分子軌道法(AM1法、PM6法)により、分子構造の最適化及び空間配座の最適化を行った後、2)富士通(株)製のシミュレーション・ソフトウェアであるFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用いて、双極子モーメントを算出した。
得られた測定結果を表1に示す。
Figure 0006776852
((メタ)アクリル系樹脂微粒子)
<(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1>
メチルメタアクリレート/トリメチロールプロパントリメタクリレート/スチレン=43/32/25(質量比)からなる単量体成分を、公知の方法で乳化重合させて、球状の架橋アクリル−スチレン共重合体微粒子を得た。得られた粒子を、乳化液から分離して5回水洗し、共重体微粒子表面に付着した界面活性剤を除去して、(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1を得た。得られた(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1の平均一次粒子径を以下の方法で測定したところ、1.2μmであった。
(平均一次粒子径)
(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1について、透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)による観察を行い、一次粒子1000個についてそれぞれ投影面積に等しい円を仮定したときの直径を算出し、それらの平均値を「平均一次粒子径」とした。
<(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2>
単量体成分の組成をメチルメタアクリレート/トリメチロールプロパントリメタクリレート=98/2(質量比)に変更した以外は(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2を得た。得られた(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2の平均一次粒子径を以下の方法で測定したところ、0.1μmであった。
<(メタ)アクリル系樹脂微粒子p3>
単量体成分の組成をメチルメタアクリレート/トリメチロールプロパントリメタクリレート=95/5(質量比)に変更した以外は(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂微粒子p3を得た。得られた(メタ)アクリル系樹脂微粒子p3の平均一次粒子径を以下の方法で測定したところ、0.1μmであった。
(無機粒子)
アエロジル R812(日本アエロジル社製、酸化ケイ素粒子、平均一次粒子径7nm)
2.光学フィルムの作製・評価
(実施例1)
<光学フィルム1−1の作製>
((メタ)アクリル系樹脂微粒子分散液1の調製)
10質量部の(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1と、90質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで30分間分散を行った。得られた溶液に、200質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間さらに撹拌混合した。得られた溶液を、濾過器(アドバンテック東洋(株)ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して、(メタ)アクリル系樹脂微粒子1を得た(分散条件1)。分散は、常温(23℃)で行った。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら完全に溶解させた。これを、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを得た。
COP1(シクロオレフィン系樹脂):100質量部
(メタ)アクリル系樹脂微粒子分散液1:90質量部((メタ)アクリル系樹脂微粒子p1の含有量が、樹脂100質量部に対して3.0質量部となる量)
ジクロロメタン:290質量部
エタノール:8質量部
(製膜)
得られたドープを40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。流延したドープを、残留溶媒量が80質量%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が5質量%となるまで40℃で乾燥させた後、幅方向に延伸倍率1.3倍(30%)で延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃でさらに乾燥させて、厚み20μmの光学フィルム1−1を得た。
<光学フィルム1−4の作製>
(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1を(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2に変更し、且つフィルム中の平均二次粒子径が表2に示される値となるように(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2の分散条件(分散時間)を変更した以外は光学フィルム1−1と同様にして光学フィルム1−4を得た。
<光学フィルム1−2、1−3、1−6及び1−11の作製>
フィルム中の平均二次粒子径が表2に示される値となるように(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2の添加量と分散条件(分散時間)を変更した以外は光学フィルム1−4と同様にして光学フィルム1−2、1−3、1−6及び1−11を得た。
<光学フィルム1−5の作製>
(メタ)アクリル系樹脂微粒子p1を(メタ)アクリル系樹脂微粒子p3に変更した以外は光学フィルム1−1と同様にして光学フィルム1−5を得た。
<光学フィルム1−7〜1−10及び1−12の作製>
フィルム中の平均二次粒子径が表2に示される値となるように(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2の分散条件(分散時間)を変更した以外は光学フィルム1−4と同様にして光学フィルムを得た。
得られた光学フィルム1−1〜1−12における、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径、折り曲げ性、並びに折り曲げ後の透明性を、それぞれ以下の方法で評価した。
(平均二次粒子径)
光学フィルムを超薄切片法により切断して試料とした。得られた試料について、透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)による観察を行い、1000個の二次粒子のそれぞれについて、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径を算出し、それらの平均値を「平均二次粒子径」とした。尚、一次粒子が2個以上集まったものは、全て二次粒子として測定した。
(折り曲げ性)
得られた光学フィルムを、幅10mmに断裁して試料片とした。次いで、この試料片を、東洋精機製作所製のMIT耐揉疲労試験機を用いて、JISP−8115に準じ、20℃、RH60%の雰囲気下で荷重14.7N(1.5kg重)で引っ張りながら、試料片の先端部を連続して折り曲げ、切断するまでの折り曲げ回数を測定した。そして、下記の基準に従って、折り曲げ性を評価した。
○:折り曲げ回数が41回以上でも破断しなかった
△:折り曲げ回数が21回以上、40回以下で破断した
×:折り曲げ回数が20回以下で破断した
(折り曲げ後の透明性)
得られた光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿した。得られた光学フィルムの初期ヘイズを、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)を用いて、JIS K7136に従って測定した。次いで、この光学フィルムについて下記条件で折り曲げ試験を行った後、同様の方法で折り曲げ試験後のヘイズを測定した。
(折り曲げ試験条件)
得られた光学フィルムを、幅10mmに断裁して試料片とした。この試料片を、東洋精機製作所製のMIT耐揉疲労試験機を用いて、20℃、RH60%の雰囲気下で荷重14.7N(1.5kg重)で引っ張りながら、試料片の先端部を連続して10回折り曲げた。
そして、初期ヘイズ値と折り曲げ試験後のヘイズ値を、それぞれ下記式に当てはめて、ヘイズの低下率を測定した。
ヘイズの低下率(%)={(折り曲げ試験後のヘイズ−初期ヘイズ)/(初期ヘイズ)}×100
そして、折り曲げ後の透明性を、以下の基準に基づいて評価した。
○:ヘイズの低下率が5%未満
△:ヘイズの低下率が5%以上10%未満
×:ヘイズの低下率が10%以上
光学フィルム1−1〜1−12の評価結果を表2に示す。
Figure 0006776852
表2に示されるように、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の添加量が、樹脂100質量部に対して1質量超5質量部以下であり、且つ平均二次粒子径が0.2〜5μmである光学フィルム1−1、1−3〜1−7、1−9及び1−10は、いずれも折り曲げ性と折り曲げ後の透明性がいずれも優れることがわかる。また、これらの光学フィルムのヘイズ値を、当該光学フィルムを3枚重ね合わせた状態でヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)を用いて、JIS K7136に従って測定したところ、いずれも0.8%近傍であり、高い透明性を有することを確認した。
これに対して、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の添加量が、樹脂に対して1質量%未満である光学フィルム1−2は、平均二次粒子径が0.2μm未満となり、折り曲げ性が低く;(メタ)アクリル系樹脂微粒子の添加量が、樹脂に対して5質量%を超える光学フィルム1−11は、平均二次粒子径が5.0μm超となり、光学フィルムの透明性が低下し、折り曲げ後の透明性も低いことがわかる。また、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の添加量が樹脂に対して1質量%超であっても、平均二次粒子径が0.2μm未満である光学フィルム1−8は、折り曲げ性が低く;(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径が5μmを超える光学フィルム1−12は、折り曲げ後の透明性が低いことがわかる。
(実施例2)
<光学フィルム2−1の作製>
(無機微粒子分散液1の調製)
10質量部のR812と、80質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。得られた溶液に、80質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、濾過器(アドバンテック東洋(株)ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して、無機粒子分散液1を得た。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら完全に溶解させた。これを、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを得た。
COP1(シクロオレフィン系樹脂):100質量部
光学フィルム1−4で用いた(メタ)アクリル系樹脂微粒子分散液:90質量部((メタ)アクリル系樹脂微粒子p2の含有量が、樹脂100質量部に対して3.0質量部となる量)
無機微粒子分散液1:34質量部(無機微粒子の含有量が、樹脂100質量部に対して2.0質量部となる量)
ジクロロメタン:290質量部
エタノール:8質量部
上記ドープ液を用いた以外は光学フィルム1−4と同様にして光学フィルム2−1を得た。
得られた光学フィルム2−1における(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径、折り曲げ性及び折り曲げ後の透明性を、前述と同様の方法で評価した。さらに、光学フィルム2−1、光学フィルム1−2及び1−4の滑り性を、以下の方法で評価した。
(滑り性)
得られた光学フィルムの動摩擦係数を、JIS K 7125(ISO8295)に準じて測定した。具体的には、光学フィルムをそれぞれ所定の大きさに切り出して、2枚のサンプル(サンプル1:MD20cm×TD50cm、サンプル2:MD10cm×TD10cm)を準備した。
次いで、摩擦係数測定機AB−401(テスター産業社製)のステージ上に、サンプル1、サンプル2の順に重ねた。サンプル1とサンプル2は、それぞれA面(ロール巻の上側)が上になるように置き、サンプル1のA面とサンプル2のB面(ロール巻の下側)が接触するようにセットした。
次いで、サンプル2上に、荷重300gを載せ、サンプル送り速度140mm/minにて、重りを水平に引っ張った。移動中の重りの平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を求めた。
動摩擦係数=F(gf)/重りの重さ(gf)
そして、以下の基準に基づいて滑り性を評価した。
○:動摩擦係数が1.0未満
△:動摩擦係数が1.0以上2.0未満
×:動摩擦係数が2.0以上
光学フィルム2−1、1−4及び1−2の評価結果を表3に示す。
Figure 0006776852
表3に示されるように、無機微粒子をさらに含む光学フィルム2−1は、無機微粒子を含まない光学フィルム1−4よりも滑り性がさらに改善されることがわかる。
(実施例3)
<光学フィルム3−1〜3−3の作製>
光学フィルム1−4の作製において、ドープに添加するシクロオレフィン系樹脂を、表3に示されるものに変更した以外は同様にして光学フィルム3−1〜3−3を得た。
得られた光学フィルム3−1〜3−3における、(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径、折り曲げ性及び折り曲げ後の透明性を、それぞれ前述と同様の方法で評価した。その結果を表4に示す。尚、比較用として、光学フィルム1−4の評価結果も示す。
Figure 0006776852
表4に示されるように、双極子モーメントが0.5debye以上のシクロオレフィン系樹脂COP1〜3を用いた光学フィルム1−4及び3−1〜3−2は、双極子モーメントが0.5未満のシクロオレフィン系樹脂COP4を用いた光学フィルム3−3よりも折り曲げ性がさらに向上することがわかる。これは、光学フィルム1−4及び3−1〜3−2では、光学フィルム3−3よりも(メタ)アクリル系樹脂微粒子p2とシクロオレフィン系樹脂との間で相互作用が生じやすいことから、折り曲げ時のボイドが形成されにくく、折り曲げ後の透明性が損なわれにくいためであると考えられる。
本発明によれば、十分な折り曲げ性を有し、且つ折り曲げ後でも高い透明性を維持できる光学フィルムを提供することができる。
10 有機ELディスプレイ
11 光反射電極
13 発光層
15 透明電極層
17 透明プラスチックフィルム基板
19 円偏光板
19A 偏光子
19B λ/4フィルム
20 液晶ディスプレイ
30 液晶セル
31、33 透明プラスチックフィルム基板
35 液晶層
40 第一の偏光板
41 第一の偏光子
43 偏光板保護フィルム(F1)
45 偏光板保護フィルム(F2)
50 第二の偏光板
51 第二の偏光子
53 偏光板保護フィルム(F3)
55 偏光板保護フィルム(F4)
60 バックライト

Claims (5)

  1. 双極子モーメントが、0.5〜5.0debyeであるシクロオレフィン系樹脂と、(メタ)アクリル系樹脂微粒子とを含む光学フィルムであって、
    前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して1.0質量%超5.0質量%以下であり、且つ
    前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均二次粒子径が、〜5μmである、
    光学フィルム。
  2. 前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の平均一次粒子径が、0.02〜1.0μmである、
    請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記(メタ)アクリル系樹脂微粒子の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂の全質量に対して3.0〜5.0質量%である、
    請求項1または2に記載の光学フィルム
  4. 無機微粒子をさらに含む、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. フレキシブルディスプレイの透明プラスチックフィルム基板又は光学フィルムとして用いられる、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
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