JP7314988B2 - 光学フィルム、偏光板、光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
(測定条件)
測定温度:(Tg-10)℃(Tgは、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示す)
引張荷重:0.75N
引張時間:15分
本発明の光学フィルムは、熱可塑性樹脂と、張力調整剤とを含む。
熱可塑性樹脂は、溶液製膜法で製膜でき、かつ良好な透明性と、低い吸湿性とを有する光学フィルムが得られやすい観点などから、(メタ)アクリル系樹脂、または極性基を有するシクロオレフィン系樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、または(メタ)アクリル酸エステルとそれと共重合可能な共重合モノマーとの共重合体である。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸メチルであることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、六員環ラクトン(メタ)アクリル酸エステルなどの脂環を有する(メタ)アクリル酸エステル;
ビニルシクロヘキサンなどの脂環を有するビニル類;
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレンなどの芳香環を有するビニル類;および
N-フェニルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド類(イミド環を有する化合物)が含まれる。
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチルなどの炭素原子数2~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸類;
酢酸ビニル、エチレンやプロピレンなどのオレフィン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;
(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性基を有するシクロオレフィン系樹脂は、特に制限されないが、極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーに由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。
(1)極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーの開環重合体
(2)極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーと共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデル・クラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーと不飽和二重結合含有化合物との飽和重合体
(6)極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーの付加型(共)重合体及びその水素添加(共)重合体
(7)極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマーとメタクリレート、又はアクリレートとの交互共重合体
張力調整剤は、熱可塑性樹脂が有するカルボニル基などの極性基と相互作用して(擬似架橋して)、フィルムの伸び率を低くする。張力調整剤は、特に制限されないが、上記機能を発現しやすい観点から、含窒素ヘテロ環化合物、または、極性基を有する熱可塑性樹脂とアイオノマーを形成する金属イオンであることが好ましい。
金属イオンは、熱可塑性樹脂が有するカルボニル基などの極性基と相互作用して、擬似架橋を形成しうるものであればよく、特に制限されない。すなわち、金属イオンは、熱可塑性樹脂の極性基などと相互作用して、アイオノマーを形成しうる。
光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、ゴム粒子、ゴム粒子以外の微粒子、残留溶媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが含まれる。
ゴム粒子は、光学フィルムに柔軟性や靱性を付与しつつ、光学フィルムの表面に凹凸を形成して滑り性を付与しうる。
コア部を構成するアクリル系ゴム状重合体(a)は、アクリル酸エステルを主成分とする架橋重合体である。アクリル系ゴム状重合体(a)は、アクリル酸エステルと、それと共重合可能な任意のモノマーとを含むモノマー混合物(a’)、および、1分子あたり2以上の非共役な反応性二重結合(ラジカル重合性基)を有する多官能性モノマーを重合させて得られる架橋重合体である。アクリル系ゴム状重合体(a)は、これらのモノマーを全部混合して重合させて得てもよいし、モノマー組成を変化させて2回以上で重合させて得てもよい。
シェル部を構成するモノマー混合物(b)の重合体は、アクリル系ゴム状重合体(a)に対するグラフト成分である。モノマー混合物(b)は、メタアクリル酸エステルを主成分として含む。
アクリル系グラフト共重合体の例には、アクリル系ゴム状重合体(a)5~75質量部の存在下で、メタクリル酸エステルを主成分とするモノマー混合物(b)95~25質量部を少なくとも1段階で重合させた重合体が含まれる。
(I)メタクリル酸エステル40~100質量%と、これと共重合可能な他のモノマー60~0質量%からなるモノマー混合物(c1)、および多官能性モノマー0.01~10質量部(モノマー混合物(c1)の合計100質量部に対して)を重合して硬質重合体を得る工程
(II)アクリル酸エステル60~100質量%と、これと共重合可能な他のモノマー0~40質量%からなるモノマー混合物(a1)、および多官能性モノマー0.1~5質量部(モノマー混合物(a1)の合計100質量部に対して)を重合して軟質重合体を得る工程
(III)メタクリル酸エステル60~100質量%と、これと共重合可能な他のモノマー40~0質量%からなるモノマー混合物(b1)、および多官能性モノマー0~10質量部(モノマー混合物(b1)の合計100質量部に対して)を重合して硬質重合体を得る工程
(IV)メタクリル酸エステル40~100質量%、アクリル酸エステル0~60質量%、および共重合可能な他のモノマー0~5質量%からなるモノマー混合物(b2)、ならびに多官能性モノマー0~10質量部(モノマー混合物(b2)100質量部に対して)を重合して硬質重合体を得る。
1)アクリル系グラフト共重合体2gを、メチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm、温度12℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。
2)得られた不溶分の重量を下記式に当てはめて、グラフト率を算出する。
グラフト率(%)=[{(メチルエチルケトン不溶分の重量)-(アクリル系ゴム状重合体(a)の重量)}/(アクリル系ゴム状重合体(a)の重量)]×100
光学フィルムは、滑り性をさらに高める観点などから、マット剤として、無機微粒子またはゴム粒子以外の有機微粒子をさらに含んでもよい。
光学フィルムは、後述するように溶液製膜法により製造されることから、溶液製膜法で用いられるドープの溶媒に由来する残留溶媒を含んでいてもよい。
(溶液粘度)
光学フィルムを、エタノール/メチレンクロライド(8/92質量比)混合溶媒に13.5質量%の濃度となるように溶解させた溶液の、23℃におけるB型粘度計における粘度は、5000~50000mPa・sであることが好ましい。当該溶液粘度の範囲は、光学フィルムの製造工程におけるドープの粘度の範囲にほぼ対応している。そのため、当該溶液の粘度が5000mPa・s以上であると、得られるフィルムの伸び率を低くすることができ;50000mPa・s以下であると、溶液製膜時のドープの粘度が高すぎないため、製膜性が損なわれない。光学フィルムの溶液粘度は、上記観点から、10000~40000mPa・sであることがより好ましく、20000~35000mPa・sであることがさらに好ましい。
光学フィルムの伸び率は、5%以下であることが好ましい。伸び率が5%以下であると、溶液製膜工程の延伸後の乾燥時などにおいて、高温で乾燥されても、膜状物が伸びにくい。そのため、トタン状の変形を抑制することができ、当該変形に起因する膜厚ムラを低減できる。光学フィルムの上記伸び率は、上記観点から、3%以下であることがより好ましく、0.1~2%であることがさらに好ましい。
1)まず、上記溶液粘度の測定用に調製した溶液を、ガラス板上にアプリケータにより塗布し、当該塗膜を、残留溶媒量が5質量%程度となるまで23℃で乾燥させた後、ガラス板から剥がして、乾燥厚み40μmのフィルムを複数枚準備する。
フィルムの残留溶媒量は、以下の方法で測定することができる。
フィルムの残留溶媒量(質量%)=(フィルムの加熱処理前質量-フィルムの加熱処理後質量)/フィルムの加熱処理後質量×100
なお、加熱処理とは、140℃15分の加熱処理をいう。
2)次いで、上記1)で得られた、残留溶媒量が5質量%以下のフィルムと5質量%超10質量%未満のフィルム(それぞれ2点ずつ)の伸び率を、JIS K 7115:1999(引張クリープ試験)に準拠して、下記条件でそれぞれ測定する。すなわち、伸び率は、所定時間、所定の荷重を付与したことにより生じた伸び(標線間距離の変化量)ΔLの、初期の標線間距離L0に対する割合(ΔL/L×100)(%)として表される。測定装置としては、オリエンテック社製テンシロンRTC-1225Aを用いることができる。
(測定条件)
測定温度:(Tg-10)℃
引張荷重:0.75N
引張時間:15分
3)上記2)で得られた測定結果から、横軸:残留溶媒量(質量%)、縦軸:伸び率(%)のプロットを作成し、残留溶媒量が5質量%であるときの伸び率を内挿により求める。なお、内挿は、一次関数により行う。
光学フィルムは、透明性が高いことが好ましい。光学フィルムのヘイズは、4.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。ヘイズは、試料40mm×80mmを25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM-2DP、スガ試験機)で、JISK-6714に従って測定することができる。
光学フィルムは、例えばIPSモード用の位相差フィルムとして用いる観点では、測定波長550nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、0~10nmであることが好ましく、0~5nmであることがより好ましい。光学フィルムの厚み方向の位相差Rtは、-20~20nmであることが好ましく、-10~10nmであることがより好ましい。
式(2a):Ro=(nx-ny)×d
式(2b):Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、
nxは、フィルムの面内遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を表し、
nyは、フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、フィルムの厚み(nm)を表す。)
1)光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。このフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後のフィルムの、測定波長550nmにおけるリターデーションRoおよびRtを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。
光学フィルムの厚みは、例えば5~100μm、好ましくは5~40μmとしうる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、特に制限されないが、比較的分子量が高い樹脂を用いることができるなど、使用できる材料の制限が少ない観点から、溶液製膜法(キャスト法)が好ましい。
本工程では、例えば熱可塑性樹脂と、張力調整剤とを、溶媒に溶解または分散させて、ドープを得ることができる。
本工程では、得られたドープを、支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量-ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、140℃15分の加熱処理をいう。
本工程では、得られた膜状物を乾燥させる。
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムと、それらの間に配置された接着層とを有する。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
本発明の光学フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面(少なくとも液晶セルと対向する面)に配置されている。光学フィルムは、偏光板保護フィルムとして機能しうる。
接着層は、光学フィルム(または他の光学フィルム)と偏光子との間に配置されている。接着層の厚みは、例えば0.01~10μm、好ましくは0.03~5μm程度でありうる。
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の光学フィルムを、接着剤を介して貼り合わせて得ることができる。接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)、または活性エネルギー線硬化性接着剤でありうる。活性エネルギー線硬化性接着剤は、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、またはそれらの併用物のいずれであってもよい。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、液晶セルの一方の面に配置された第1偏光板と、液晶セルの他方の面に配置された第2偏光板とを含む。
(1)熱可塑性樹脂
樹脂A:ポリメチルメタクリレート(PMMA)、重量平均分子量118万、ガラス転移温度105℃
樹脂B:メタクリル酸メチル/N-フェニルマレイミド共重合体(MMA/N-PhM=70/30質量比)、重量平均分子量200万、ガラス転移温度130℃
樹脂C:式(B-2)で表される構造単位を含むシクロオレフィン樹脂(COP)、重量平均分子量14万、ガラス転移温度170℃
樹脂D:メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体(MMA/MAA=70/30質量比)、重量平均分子量150万、ガラス転移温度113℃
樹脂のガラス転移温度を、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121-2012に準拠して測定した。
樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー社製 HLC8220GPC)、カラム(東ソー社製 TSK-GEL G6000HXL-G5000HXL-G5000HXL-G4000HXL-G3000HXL 直列)を用いて測定した。試料20±0.5mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、0.45mmのフィルターで濾過した。この溶液をカラム(温度40℃)に100ml注入し、検出器RI温度40℃で測定し、スチレン換算して、重量平均分子量を求めた。
(添加剤1)
東京化成工業社製、CAS:2314-78-5(含窒素ヘテロ環化合物、分子量:127.14、下記構造参照)
和光純薬社製、CAS:504-07-4(含窒素ヘテロ環化合物、分子量:114.1、下記構造参照)
東京化成工業社製、CAS:253-82-7(含窒素ヘテロ環化合物、分子量:130.15、下記構造参照)
東京化成工業社製、CAS:271-73-8(含窒素ヘテロ環化合物、分子量:119.13、下記構造参照)
和光純薬社製、CAS:2786-62-1(含窒素ヘテロ環化合物、分子量:165.21、下記構造参照)
酸化マグネシウム(金属酸化物)
(添加剤7)
酸化アルミニウム(金属酸化物)
東京化成工業社製、CAS:106-51-4(比較化合物、分子量:108.1、下記構造参照)
東京化成工業社製、CAS:771-97-1(比較化合物、分子量:158.2、下記構造参照)
アクリル系ゴム粒子M-210(コア部:多層構造のアクリル系ゴム状重合体、シェル部:メタアクリル酸メチルを主成分とするメタクリル酸エステル系重合体、のコアシェル型のゴム粒子、Tg:約-10℃、平均粒子径:220nm)
<実施例1>
(ドープの調製)
下記組成のドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライド、およびエタノールを添加した。次いで、加圧溶解タンクに、樹脂A(熱可塑性樹脂)を撹拌しながら投入した。次いで、添加剤1(張力調整剤)を投入し、これを60℃に加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。加熱温度は、室温から5℃/minで昇温し、30分間で溶解した後、3℃/minで降温した。得られた溶液を濾過した後、ドープを得た。
樹脂A(熱可塑性樹脂):100質量部
添加剤1(張力調整剤):3質量部
メチレンクロライド:581.3質量部
エタノール:50.4質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。ステンレスベルトの搬送速度は20m/minとした。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が30質量%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを多数のロールで搬送させながら、得られた膜状物を、テンターにて(Tg-15)℃(Tgは、樹脂AのTgを示す)の条件下で幅方向に1.2倍延伸した。
次いで、得られた膜状物を、下記搬送条件にてロールで搬送しながら、(Tg-10)℃(Tgは、樹脂AのTgを示す)で、前述のヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定される残留溶媒量が30~600質量ppmの範囲内となるまでさらに乾燥させた後、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットして巻き取り、膜厚40μmの光学フィルムを得た。
(搬送条件)
搬送速度:40m/min
搬送張力:75N/m
添加剤の種類を表1に示されるように変更した以外は実施例1の光学フィルムと同様にして、光学フィルムを作製した。
(添加剤分散液の調製)
3質量部の表1の添加剤と、27質量部のメチレンクロライドとを、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マイルダー分散機マイルダー分散機(大平洋機工株式会社製)を用いて1500rpm条件下で分散し、添加剤分散液を得た。
次いで、ドープの組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にしてドープの調製および製膜を行い、光学フィルムを得た。
表1に示される樹脂(熱可塑性樹脂):100質量部
メチレンクロライド:554.3質量部
エタノール:50.4質量部
添加剤分散液:30質量部
添加剤の含有量を表1に示されるように変更した以外は実施例4の光学フィルムと同様にして、光学フィルムを作製した。
樹脂の種類を表1に示されるように変更した以外は実施例3の光学フィルムと同様にして、光学フィルムを作製した。
添加剤の種類を表1に示されるように変更した以外は実施例7の光学フィルムと同様にして、光学フィルムを作製した。
(ゴム粒子分散液の調製)
20質量部の上記ゴム粒子と、380質量部のメチレンクロライドとを、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マイルダー分散機(大平洋機工株式会社製)を用いて1500rpm条件下で分散し、ゴム粒子分散液を得た。
次いで、ドープの組成を下記のように変更した以外は実施例4と同様にしてドープの調製および製膜を行い、光学フィルムを得た。
樹脂A(熱可塑性樹脂):100質量部
添加剤4(張力調整剤):3質量部
メチレンクロライド:296.3質量部
エタノール:50.4質量部
ゴム粒子分散液:300質量部
添加剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。
得られた光学フィルムを、エタノール/メチレンクロライド(8/92質量比)混合溶媒に13.5質量%の濃度となるように溶解させた。そして、得られた溶液の23℃における粘度を、B型粘度計 型式VS-A1(芝浦システム株式会社)で、回転数30rpmの条件で測定した。
1)まず、上記溶液粘度の測定用に調製した溶液を、ガラス板上にアプリケータにより、塗布した後、当該塗膜を、残留溶媒量が5質量%程度となるまで23℃で乾燥させて、乾燥厚み40μmのフィルムを複数枚準備した。
フィルムの残留溶媒量は、以下の方法で測定した。
フィルムの残留溶媒量(質量%)=(フィルムの加熱処理前質量-フィルムの加熱処理後質量)/フィルムの加熱処理後質量×100
なお、加熱処理は、140℃15分とした。
2)次いで、上記1)で得られたフィルムのうち、残留溶媒量が5質量%以下のフィルムと5質量%超10質量%未満のフィルム(それぞれ2点ずつ)の伸び率を、JIS K 7115:1999に準拠して、下記条件でそれぞれ測定した。測定装置としては、オリエンテック社製テンシロンRTC-1225Aを用いた。
(測定条件)
測定温度:(Tg-10)℃(Tg:樹脂のTg)
引張荷重:0.75N
引張時間:15分
3)上記2)で得られた測定結果から、横軸:残留溶媒量(質量%)、縦軸:伸び率(%)のプロットを作成し、残留溶媒量が5質量%であるときの伸び率を内挿により求めた。なお、内挿は、一次関数により行った。
得られた光学フィルム(上記搬送条件でロール搬送しながら乾燥させた光学フィルム)を、全幅にわたってMD方向の長さが35mmとなるように切り出して、TDサンプルとした。一方、光学フィルムの幅方向中央部を、35mm幅でMD方向の長さが2mとなるように切り出して、MDサンプルとした。そして、得られたTDサンプルとMDサンプルを、連続厚み計(FILMTHICKNESS TESTERKG601A、ANRITSU(アンリツ電気(株))製)で測定し、(最大値-平均値)と(平均値-最小値)を算出し、それらの平均値を「膜厚ムラ」とした。そして、以下の基準に基づいて評価した。
◎:膜厚ムラが1μm以下
〇:膜厚ムラが1μm超3μm以下
△:膜厚ムラが3μm超5μm以下
×:膜厚ムラが5μm超
膜厚ムラが小さいほど、フィルムの品質に優れることを表す。
△以上であれば、実用上問題となるようなフィルムの伸びは発生せず、良好であると判断した。
得られた光学フィルムを、幅15mm、長さ150mm(長さ方向がMD方向)にカットし、試験片とした。この試験片を、温度25℃、相対湿度65%RHの状態で1時間以上静置させた。その後、耐折度試験機(テスター産業株式会社製、MIT、BE-201型、折り曲げ曲率半径0.38mm)を用いて、JIS P8115:2001に準拠して、荷重500gの条件で折り目の方向がTD方向となるように折り曲げて、試験片が破断するまでの折り曲げ回数を測定した。そして、光学フィルムのMIT屈曲性を、以下の基準で評価した。
◎:20000回以上
○:15000回~19999回
△:5000回~14999回
×:4999回以下
破断するまでの折り曲げ回数が多いほど、屈曲性に優れており、繰り返しの折り曲げ耐性に優れていることを示す。
△以上であれば良好と判断した。
Claims (19)
- (メタ)アクリル系樹脂、および極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる、重量平均分子量が60万~300万の熱可塑性樹脂と、
張力調整剤と
を含む光学フィルムであって、
前記張力調整剤は、分子量が250以下の含窒素ヘテロ環化合物であり、
前記光学フィルムを、エタノール/メチレンクロライド(8/92質量比)混合溶媒に13.5質量%の濃度となるように溶解させた溶液の、23℃においてB型粘度計により測定される粘度が5000~50000mPa・sであり、かつ
前記溶液の塗膜を、残留溶媒量が5質量%となるまで23℃で乾燥させて、乾燥厚み40μmのフィルムとしたときの、JIS K 7115:1999に準拠して下記条件で測定される伸び率が5%以下である、
光学フィルム。
(測定条件)
測定温度:(Tg-10)℃(Tgは、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示す)
引張荷重:0.75N
引張時間:15分 - 前記窒素原子を含む環は、芳香族へテロ環である、
請求項2に記載の光学フィルム。 - 前記窒素原子を含む環は、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環と縮環している、
請求項2または3に記載の光学フィルム。 - 前記nは、1であり、かつ
前記Rは、水素原子である、
請求項2~4のいずれか一項に記載の光学フィルム。 - 前記含窒素ヘテロ環化合物は、ヒドロキシ基を有さない、
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学フィルム。 - (メタ)アクリル系樹脂、および極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる、重量平均分子量が60万~300万の熱可塑性樹脂と、
張力調整剤と
を含む光学フィルムであって、
前記張力調整剤は、前記熱可塑性樹脂とともにアイオノマーを形成する3価の金属イオンであり、
前記張力調整剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂に対して1~20質量%であり、
前記光学フィルムを、エタノール/メチレンクロライド(8/92質量比)混合溶媒に13.5質量%の濃度となるように溶解させた溶液の、23℃においてB型粘度計により測定される粘度が5000~50000mPa・sであり、かつ
前記溶液の塗膜を、残留溶媒量が5質量%となるまで23℃で乾燥させて、乾燥厚み40μmのフィルムとしたときの、JIS K 7115:1999に準拠して下記条件で測定される伸び率が5%以下である、
光学フィルム。
(測定条件)
測定温度:(Tg-10)℃(Tgは、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示す)
引張荷重:0.75N
引張時間:15分 - 前記張力調整剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂に対して3~15質量%である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルム。 - 前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光学フィルム。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位と、それと共重合可能な前記メタクリル酸メチル以外の共重合モノマーに由来する構造単位とを含み、
前記共重合モノマーに由来する構造単位は、芳香環を有するモノマーに由来する構造単位またはイミド環を有するモノマーに由来する構造単位を含む、
請求項7に記載の光学フィルム。 - 前記熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が60~300万の(メタ)アクリル系樹脂である、
請求項7に記載の光学フィルム。 - 偏光子と、
前記偏光子の少なくとも一方の面に配置された、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学フィルムと、を含む、
偏光板。 - (メタ)アクリル系樹脂、および極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる、重量平均分子量が60万~300万の熱可塑性樹脂と、
分子量が250以下の含窒素ヘテロ環化合物である張力調整剤と、
溶媒とを含み、
23℃においてB型粘度計により測定される粘度が5000~50000mPa・sであるドープを得る工程と、
前記ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、
前記膜状物を乾燥させる工程とを含む、
光学フィルムの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂である、
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。 - 前記窒素原子を含む環は、芳香族へテロ環である、
請求項15に記載の光学フィルムの製造方法。 - 前記窒素原子を含む環は、芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環と縮環している、
請求項15または16に記載の光学フィルムの製造方法。 - 前記nは、1であり、かつ
前記Rは、水素原子である、
請求項15~17のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。 - (メタ)アクリル系樹脂、および極性基を有するシクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる、重量平均分子量が60万~300万の熱可塑性樹脂と、
前記熱可塑性樹脂とともにアイオノマーを形成する3価の金属イオンである張力調整剤と、
溶媒とを含み、
23℃においてB型粘度計により測定される粘度が5000~50000mPa・sであるドープを得る工程と、
前記ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、
前記膜状物を乾燥させる工程とを含む、
光学フィルムの製造方法。
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