JP2010007036A - ノルボルネン系重合体混合物およびその製造方法、並びにノルボルネン系重合体混合物を用いた光学材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、未延伸のノルボルネン系付加重合体フィルムのRth値を調整することであり、一軸延伸のみで、Re、Rthを種々の値に発現させることにある。すなわち、ノルボルネン系付加重合体のRe、Rthの値を簡便にかつ自在にコントロールすることにある。
【解決手段】ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が2つ以上の極大点を有するノルボルネン系重合体混合物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ノルボルネン系重合体混合物、これを用いた光学材料、特にフィルム(特に位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム、偏光板保護フィルム)、およびノルボルネン系重合体混合物の製法に関する。
ノルボルネン系化合物がビニル重合したノルボルネン系付加重合体のフィルムは、その特異な構造から、未延伸状態(延伸を行わない)で厚み方向のレターデーション(Rth)が高いという特徴を有する(例えば、特許文献1参照)。これを一軸延伸すると、面内レターデーション(Re)が発現し、VA方式(ヴァーティカルアラインメント)の液晶表示装置に適用可能な領域のRe、Rthを発現できる(例えば、特許文献2参照)。
一方、ディスプレイによって固有のRe、Rthの値がもとめられている。上記のようにノルボルネン系付加重合体フィルムを一軸延伸すると、目的のReに到達させることは可能であるが、この場合Rthは自動的に決まった値となってしまう。すなわち、Re、Rthは、目標領域に近づけることは可能であるが、必ずしも各ディスプレイに適した固有の値にならないことがある。
したがって、未延伸のノルボルネン系付加重合体フィルムのRth値を調整し、一軸延伸のみで種々のRe、Rthを発現させることが好ましいが、そのような技術は知られていない。
ノルボルネン系開環重合水素添加体にビニル系重合体を添加し、フィルムの波長分散性を変動させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この技術では波長分散性を発現させるために、フィルムの100%程度の高倍率延伸が必須である。すなわち、未延伸または低倍率延伸(30%程度まで)のフィルムでは、この特許文献におけるビニル系重合体の添加の効果はきわめて小さいといえる。さらに、この特許文献には、環状オレフィン系重合体としてノルボルネン系付加重合体については言及されていない。
特表2005−539275号公報 特表2007−534010号公報 国際公開第06/070820号パンフレット
本発明の課題は、未延伸のノルボルネン系付加重合体フィルムのRth値を調整することである。また、一軸延伸のみで、Re、Rthを種々の値に発現させること、すなわち、ノルボルネン系付加重合体のRe、Rthの値を簡便にかつ自在にコントロールすることである。
本発明者は、ノルボルネン系付加重合体に有機物を添加することで、もとのノルボルネン系付加重合体フィルムよりRthを低減させることを試み、その有機物を種々検討した。その結果、分子量を低減させたノルボルネン系付加重合体は、もととなるノルボルネン系付加重合体に容易に相溶し、これが透明なフィルムを与え、そのRthが低減できることを見出した。これによって得られたフィルムは、もとのフィルムの弾性率や光弾性等の性能を変動させることもないことを発見し、本発明に至った。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
1. ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が2つ以上の極大点を有するノルボルネン系重合体混合物。
2. 前記分子量分布曲線の1つの極大点に起因する、数平均分子量が50000〜1000000であるノルボルネン系重合体を含む上記1に記載のノルボルネン系重合体混合物。
3. 前記分子量分布曲線の1つの極大点に起因する、数平均分子量が5000〜30000であるノルボルネン系重合体を含む上記1または2に記載のノルボルネン系重合体混合物。
4. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノルボルネン系重合体を含む上記1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物。
Figure 2010007036
(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子または−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−OH、−(CH2m−C(O)−OH、−(CH2m−C(O)OR’’、−(CH2m−OR’’、−(CH2m−OC(O)OR’’、−(CH2m−C(O)R’’、−(CH2m−O−(CH2m−OHからなる群から選ばれる官能性置換基であり、ここでmはそれぞれ独立に0〜10であり、R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜10のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基を表し、R1とR4はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物もしくはジカルボキシイミド基を形成することができる。ただし、R1〜R4の少なくとも1つは前記官能性置換基である。)
5. 一般式(1)におけるR1〜R4のうちの1つが−CH2−OC(O)−R’’または−C(O)OR’’(R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基)、残りの3つが水素原子である上記4に記載のノルボルネン系重合体混合物。
6. ノルボルネン系重合体混合物中のノルボルネン系重合体が全て同じ構造式で表される、上記1〜5のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物。
7. 上記1〜6のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物を含む光学材料。
8. フィルム状である、上記7に記載の光学材料。
9. ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が1つの極大点を有するノルボルネン系重合体を少なくとも2種混合する、上記1〜6のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物の製造方法。
本発明によれば未延伸のノルボルネン系付加重合体フィルムのRth値を調整することができる。また、一軸延伸のみで、Re、Rthを種々の値に発現させることができる。すなわち、ノルボルネン系付加重合体のRe、Rthの値を簡便にかつ自在にコントロールすることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[ノルボルネン系重合体混合物]
本発明において、ノルボルネン系重合体とは、1種類のノルボルネン系化合物が付加重合した単独重合体または2種類以上のノルボルネン系化合物が付加重合した共重合体のことと定義する。
一般的なノルボルネン系重合体の、分子量と重量分率を表す分子量分布曲線は、単峰性を示す(すなわち極大点を1つ有する)が、本発明のノルボルネン系重合体混合物は、単峰性のノルボルネン系重合体を少なくとも2種有する混合物であるため、多峰性を示す。すなわち、分子量分布曲線において、上に凸の極大点を2つ以上有する。
本発明のノルボルネン系重合体混合物の分子量分布曲線は二峰性を示すことが好ましい。
分子量分布曲線が単峰性を示すか多峰性を示すかは、具体的には、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で以下のように簡便に判断することができる。ノルボルネン系重合体混合物を、テトラヒドロフランやジクロロベンゼンなどの展開溶媒に溶解させ、この溶液を展開溶媒でサンプルカラムからサンプルセル中に送液し、この屈折率を連続的に測定する。一方、展開溶媒のみをレファレンスカラムからレファレンスセル中に送液し、同様に屈折率を連続的に測定する。これらの各時間における屈折率の差(示差)を算出する。なお、サンプルセルとレファレンスセルを通過させた光の偏光の変位が示差屈折率に比例するので、これを測定し、示差屈折率としてもよい。ここでは、示差屈折率を溶出時間で測定することとなるが、溶出時間は分子量の高低に依存するため、各分子量における示差屈折率を測定することとなる。このときの分子量は、分子量が判明している標準ポリスチレンを用いて、検量線を作成することで見積もることができる。
以上により、GPCによる溶出時間と示差屈折率を表す分布曲線が、分子量と重量分率を表す分子量分布曲線に相当するので、サンプルが単峰性か多峰性かを判断することができる。
本発明のノルボルネン系重合体混合物をGPCで測定すると、多峰性、すなわち2つ以上の極大点を示すが、これらの極大点の間の極小点で分割して考えて、それぞれの極大点に起因するノルボルネン系重合体の数平均分子量と重量平均分子量を算出することができる。
分子量分布曲線が2つの極大点を有する場合、本発明のノルボルネン系重合体混合物は上記のように分割して考えると、分子量の大きい方のノルボルネン系重合体(高分子量成分ともいう)と分子量の小さい方のノルボルネン系重合体(低分子量成分ともいう)から成る。
高分子量成分のノルボルネン系重合体は、光学材料とくにフィルムとする場合、強度が必要とされるため、ある一定の高い分子量が必要となる。一方で、分子量が高すぎると、フィルム作製が困難となる。したがって、高分子量成分のノルボルネン系重合体の数平均分子量は標準ポリスチレン換算で50,000〜1,000,000であるのが好ましく、50,000〜500,000であるのがより好ましく、50,000〜200,000であるのが最も好ましい。また、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は60,000〜1,500,000であるのが好ましく、100,000〜700,000であるのがより好ましく、150,000〜500,000であるのが最も好ましい。また、分子量分布曲線が極大点を3つ以上有するノルボルネン系重合体混合物の場合も、上記範囲の数平均分子量、重量平均分子量の成分を含むことが好ましい。
低分子量成分のノルボルネン系重合体は、光学材料とくにフィルムとする場合、Rthを低減させる効果がある。分子量が十分に高いノルボルネン系重合体は、フィルム中で配向しRthが高くなるが、低分子量であると主鎖骨格がフィルム中でランダムとなり、これによるRthの寄与は理論的に0となる。この効果を十分に生かすには、低分子量成分のノルボルネン系重合体の数平均分子量は標準ポリスチレン換算で5,000〜30,000であるのが好ましく、5,000〜25,000であるのがより好ましく、5,000〜20,000であるのが最も好ましい。また、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は10,000〜50,000であるのが好ましく、10,000〜30,000であるのがより好ましく、10,000〜20,000であるのが最も好ましい。また、分子量分布曲線が極大点を3つ以上有するノルボルネン系重合体混合物の場合も、上記範囲の数平均分子量、重量平均分子量の成分を含むことが好ましい。
GPCにより得られる分子量分布曲線が2つの極大点を有するノルボルネン系重合体混合物は、後述の重合方法により、一度単峰性の高分子量成分ノルボルネン系重合体と低分子量成分ノルボルネン系重合体を得て、これらを溶剤中または固体で混合することで得ることができる。この場合、高分子量成分ノルボルネン系重合体を主成分とすること、すなわち高分子量成分と低分子量成分の質量混合比が99/1〜50/50であることが好ましく、99/1〜60/40がさらに好ましく、99/1〜70/30であることが最も好ましい。混合比が上記範囲にあると、Rthをコントロールでき、かつ強度に優れたフィルムを得ることができる。同様に、GPCにより得られる分子量分布曲線が3つ以上の極大点を有するノルボルネン系重合体混合物は、上記の2成分にさらに異なる重合体を混合することで、調整できる。
ノルボルネン系重合体を得るためのノルボルネン系モノマーは、後述するように、同じ構造でもエンド体とエキソ体の異性体混合物である。このため、重合速度が異なり、通常の重合でも二峰性のノルボルネン系重合体混合物が得られることがある。このような混合物も本発明に含まれる。
[ノルボルネン系重合体]
本発明のノルボルネン系重合体混合物に含まれる少なくとも1種のノルボルネン系重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。高分子量成分と低分子量成分の両方が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010007036
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子または−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−OH、−(CH2m−C(O)−OH、−(CH2m−C(O)OR’’、−(CH2m−OR’’、−(CH2m−OC(O)OR’’、−(CH2m−C(O)R’’、−(CH2m−O−(CH2m−OHよりなる群から選ばれる官能性置換基であり、ここでmは独立に0〜10であり、R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜10のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基を表し、R1とR4はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物またはジカルボキシイミド基を形成することができる。ただし、R1〜R4の少なくとも1つは官能性置換基である。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を得るためのモノマーは、シクロペンタジエンと対応するオレフィンとのディールスアルダー反応で得ることができる。したがって、対応するオレフィンの汎用性の観点から、官能性置換基は、−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−OH、−(CH2m−C(O)−OH、−(CH2m−C(O)OR’’、−(CH2m−OR’’が好ましい。さらに、モノマーの重合性の観点から、−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−C(O)OR’’、−(CH2m−OR’’がより好ましく、−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−C(O)OR’’がさらに好ましい。この場合、R1、R2、R3、R4のうち、1つがこれらの官能性置換基であり、残りが水素原子であることが好ましい。
mおよびR’’は、フィルムの光弾性を小さくする観点から、その炭素数が小さいことが好ましいが、重合体のガラス転移点を下げる観点からは炭素数が大きいことが好ましい。双方の点を考慮すると、R’’は、炭素数1〜6であるのが好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1〜2であることが最も好ましい。なお、フィルムの機能性をもたせるために、R’’をヘテロ元素で置換されることもできる。mは、0〜5が好ましく、0〜3がさらに好ましく、0〜1が最も好ましい。
1、R2、R3、R4のうち1つが−CH2−OC(O)−R’’または−C(O)OR’’(R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基)、残りの3つが水素原子であることがとくに好ましい。
官能性置換基の立体化学は、エンド・エキソの二種類あるが、これは単一または混合物で用いてもよい。上記のディールスアルダー反応では、エンド体が主生成物の混合物となることが一般であり、これをそのまま用いてもよい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されない。
Figure 2010007036
本発明におけるノルボルネン系重合体は、一般式(1)の骨格を含むことが好ましいが、これ以外のノルボルネン系化合物を1種類以上含んでもよい。この場合、一般式(1)の骨格を50〜100モル%含むことが好ましく、60〜100モル%含むことがさらに好ましく、80〜100モル%含むことが最も好ましい。また一般式(1)の骨格を複数含む共重合体としてもよい。
本発明のノルボルネン系重合体混合物は、前記のように二峰性の分子量分布曲線を示すことが好ましく、高分子量成分と低分子量成分の構造は異なっていても、同じであってもよいが、相溶性を考慮すると、同じであることが好ましい。
以下に、本発明におけるノルボルネン系重合体の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、()の右上の数値は、共重合のモル比率を示す。
Figure 2010007036
本発明におけるノルボルネン系重合体は、好ましくは前記一般式(1)を得るためのモノマーと必要に応じてその他のノルボルネン系モノマー(ノルボルネン系化合物)を用いて、以下の重合方法で得ることができる。
重合触媒として[Pd(CH3CN)4][BF42、ジ−μ−クロロ−ビス−(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)−Pd(以下、「I」と略す)とメチルアルモキサン(MAO)、IとAgBF4、IとAgSbF6、[(η3−アリル)PdCl]2とAgSbF6、[(η3−アリル)PdCl]2とAgBF4、[(η3−クロチル)Pd(シクロオクタジエン)][PF6]、[(η3−アリル)Pd(η5−シクロペンタジエニル)]2とトリシクロヘキシルホスフィンとジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートもしくはトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、パラジウムビスアセチルアセトナートとトリシクロヘキシルホスフィンとジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、酢酸パラジウムとトリシクロヘキシルホスフィンとジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、[(η3−アリル)PdCl]2とトリシクロヘキシルホスフィンとトリブチルアリルスズもしくはアリルマグネシウムクロライドとジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、[(η5−シクロペンタジエニル)Ni(メチル)(トリフェニルホスフィン)]とトリスペンタフルオロフェニルボラン、[(η3−クロチル)Ni(シクロオクタジエン)][B((CF32644]、[NiBr(NPMe3)]4とMAO、Ni(オクトエート)2とMAO、Ni(オクトエート)2とB(C653とAlEt3、Ni(オクトエート)2と[Ph3C][B(C654]とAli−Bu3、Co(ネオデカノエート)とMAO等の周期律表8族のNi、Pd、Co等のカチオン錯体またはカチオン錯体を形成する錯体がある。
なお、用いる触媒によって構造が同じでも、分子量が異なる場合があるので、この点を用いて高分子量成分のノルボルネン系重合体と低分子量成分のノルボルネン系重合体をつくり分けることができる。
触媒を用いて、溶媒中で20〜150℃の範囲で、モノマーを単独または共重合することにより得られる。
モノマーははじめから反応容器に入れておき反応させることも、徐々にモノマーをフィードしていく手法も採用できる。
溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ニトロメタン等の極性溶媒;から選択することができる。
また、他の合成方法として、Macromolecules、1996年、29巻、2755ページ、Macromolecules、2002年、35巻、8969ページ、国際公開第04/007564号、国際公開第04/050726号、国際公開第06/004376号、国際公開06/031067号、国際公開第06/013759号、国際公開第06/046611号の各パンフレットに記載の方法も好適に用いられる。
また、以上の重合法で得られたノルボルネン系重合体を、さらに高分子反応で変換することもできる。
[ノルボルネン系重合体混合物の用途]
本発明のノルボルネン系重合体混合物は、光ディスク、光ファイバー、レンズ、プリズム等の光学材料、電子部品さらに医療機器、容器等に好適に用いられるが、フィルムまたはシートの材料として特に有用であり、液晶表示素子の基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、液晶バックライト、液晶パネル、OHP用フィルム、透明導電性フィルム等をはじめとする光学用途のフィルムに特に適する。
[ノルボルネン系重合体混合物を含むフィルムの製造方法]
本発明のノルボルネン系重合体混合物を含むフィルムは、該重合体混合物を原料として製膜することで作製することができる。製膜は、熱溶融製膜方法と溶液製膜方法があり、いずれも適応可能であるが、本発明においては面状の優れたフィルムを得ることのできる溶液製膜方法を用いることが好ましい。以下に溶液製膜方法について記述する。
(ドープの調製)
まず、製膜に用いる前記重合体混合物の溶液(ドープ)を調製する。ドープの調製に用いられる有機溶剤については、溶解、流延、製膜でき、その目的が達成できる限りは、特に限定されない。例えばジクロロメタン、クロロホルムに代表される塩素系溶剤、炭素数が3〜12の鎖状炭化水素(ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなど)、環状炭化水素(シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エステル(エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンなど)、エーテル(ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールなど)から選ばれる溶剤が好ましい。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃〜200℃以下である。前記溶液の調製に用いる溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、さらに、混合溶媒で溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
好ましい貧溶媒は適宜選択することができる。良溶媒として塩素系有機溶剤を使用する場合は、アルコール類を好適に使用することができる。アルコール類としては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。また、アルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。貧溶媒の中でも特に1価のアルコール類は、剥離抵抗低減効果があり、好ましく使用することができる。選択する良溶剤によって特に好ましいアルコール類は変化するが、乾燥負荷を考慮すると、沸点が120℃以下のアルコールが好ましく、炭素数1〜6の1価アルコールがさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコールが特に好ましく使用することができる。
ドープを調製する上で特に好ましい混合溶剤は、ジクロロメタンを主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールから選ばれる1種以上のアルコール類を貧溶媒にする組み合わせである。
前記ドープの調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌して重合体混合物を膨潤させた後、−20℃〜−100℃まで冷却し、再度20℃〜100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。ドープの粘度は25℃で1〜500Pa・sの範囲であることが好ましく、5〜200Pa・sの範囲であることがさらに好ましい。
溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sの範囲がより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sの範囲がさらに好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−5〜35℃である。
(添加剤)
本発明のノルボルネン系重合体混合物からなるフィルムは、前記ノルボルネン系重合体混合物以外の添加剤を含有していてもよく、かかる添加剤は、フィルムを作製する工程のいずれの段階で添加されてもよい。添加剤は、用途に応じて選択することができ、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)などが挙げられる。これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。添加する時期は溶液流延法によるフィルム作製の場合、ドープ調製工程中のいずれかの時期に添加してもよいし、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。溶融法によるフィルム作製の場合、樹脂ペレット作製時に添加していてもよいし、フィルム作製時に混練してもよい。各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
フィルム劣化防止の観点から、劣化(酸化)防止剤が好ましく用いられる。例えば、2,6−ジ−tert−ブチル、4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤は、ノルボルネン系重合体混合物100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加することが好ましい。
偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、ノルボルネン系重合体混合物に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがより好ましい。
フィルム面のすべり性を改良するためには、微粒子(マット剤)が好ましく用いられる。これを用いることで、フィルム表面に凹凸を付与し、すなわちフィルム表面の粗さを増加させることで(マット化)、フィルム同士のブロッキングを減少させることができる。フィルム中、またはフィルムの少なくとも片方の面上に微粒子が存在することにより、偏光板加工時の偏光子とフィルム間の密着性が著しく向上する。使用するマット剤は、無機微粒子であれば、例えば、平均粒子サイズ0.05μm〜0.5μmの微粒子であり、好ましくは0.08μm〜0.3μm、より好ましくは0.1μm〜0.25μmである。微粒子は、無機化合物としては二酸化ケイ素、シリコーンおよび二酸化チタンが好ましく、高分子化合物としてはフッ素樹脂、ナイロン、ポリプロピレンおよび塩素化ポリエーテルが好ましく、二酸化ケイ素がより好ましく、有機物により表面処理されている二酸化ケイ素がさらに好ましい。
フィルムの剥離抵抗を小さくするため、剥離促進剤が好ましく用いられる。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸またはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。剥離剤の添加量はノルボルネン系重合体混合物に対して0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。
フィルムの光学性能、例えば、Re、Rth、波長分散性などをコントロールするため、各種の添加剤が好ましく用いられる。これは分子量1000以下の低分子化合物や、分子量1000〜10000程度のオリゴマー化合物、分子量10000以上のポリマー化合物があげられる。
(フィルム製造)
フィルムを製造する方法および設備は、公知のセルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が好ましく用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープを貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。
特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では好ましく採用することができる。
(重層流延)
ドープを、金属支持体としての平滑なバンド上またはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のドープを流延してもよい。重層流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%の厚さであり、より好ましくは2〜30%の厚さである。
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、または逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。流延に用いられるドープの温度は、−10〜55℃が好ましく、25〜50℃がさらに好ましい。その場合、工程のすべてが同一でもよく、工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であることが好ましい。
(乾燥)
フィルムの製造における金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(例えば、ドラムまたはバンド)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラムまたはバンドの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラムまたはバンドを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶剤の沸点以下であれば何度でもよい。しかし、乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶剤の内の最も沸点の低い溶剤の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
(剥離)
生乾きのフィルムを金属支持体から剥離するとき、剥離抵抗(剥離荷重)が大きいと、製膜方向にフィルムが不規則に伸ばされて光学的な異方性むらを生じる。特に剥離荷重が大きいときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされていないところが交互に生じて、レターデーションに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線状あるいは帯状にむらが見えるようになる。
フィルムの剥離荷重は、フィルムを製造する前に、簡易的に以下のテストで予測することができる。すなわち、作製したドープをアプリケーターを用いて、流延製膜し、一定の時間を経過させ(剥離開始時間)、溶媒を蒸発させてSUS板上にフィルムを形成した後、一定幅のウェブを一定速度でフィルムをSUS板から垂直に剥ぎ取る際の荷重をロードセルで測定する。得られた最大の剥ぎ取り荷重を求め、剥取荷重[gf/cm]で表し、その値を比較するものである。
同じポリマー素材を用いる場合、剥離荷重を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組成の選択による方法がある。剥離時の好ましい残留揮発分濃度は5〜60質量%である。10〜50質量%がさらに好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。高揮発分で剥離すると乾燥速度が稼げて、生産性が向上して好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さく、剥離力に負けて切断したり伸びたりしてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しく、変形、しわ、クニックを生じやすくなる。またレターデーションに分布を生じる原因になる。
(延伸)
前記溶液製膜法にて作製したフィルムを、さらに延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うのが好ましい。延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れたフィルムを得るためおよび、(2)フィルムの面内レターデーションを大きくするために行う。(1)の目的で延伸を行うときは、比較的高い温度で延伸を行い、延伸倍率も1%からせいぜい10%までの低倍率の延伸を行う。2〜5%の延伸が特に好ましい。(1)と(2)の両方の目的、あるいは(2)だけの目的で延伸する場合は、比較的低い温度で、延伸倍率も5〜150%で延伸する。
フィルムの延伸は、縦または横だけの一軸延伸でもよく、また、同時または逐次2軸延伸でもよい。VA液晶セルやOCB(Optically Compensatory Bend)液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。
でき上がり(乾燥後)のフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常20〜500μmの範囲であり、30〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40〜110μmであることが好ましい。
[フィルムの特性]
本発明のノルボルネン系重合体混合物を含有するフィルムは、波長450nmにおける面内レターデーションRe450と波長630nmにおける面内レターデーションRe630の差ΔRe=Re630−Re450が、10nm≦ΔRe≦100nmを満足することが好ましく、10nm≦ΔRe≦80nmであることがより好ましく、10nm≦ΔRe≦60nmであることが最も好ましい。フィルムの好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。以下に、フィルムの厚みを80μmとして換算した、波長590nmでの面内レターデーション(Re)および厚さ方向レターデーション(Rth)の、各用途における好ましい範囲を示す。
偏光板保護膜として使用する場合:Reは、0nm≦Re≦5nmが好ましく、0nm≦Re≦3nmがさらに好ましい。Rthは、0nm≦Rth≦50nmが好ましく、0nm≦Rth≦35nmがさらに好ましく、0nm≦Rth≦10nmが特に好ましい。
位相差フィルムとして使用する場合:位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがあるが、0nm≦Re≦100nm、0nm≦Rth≦400nmであることが好ましい。TNモードなら0nm≦Re≦20nm、40nm≦Rth≦80nm、VAモードなら20nm≦Re≦80nm、80nm≦Rth≦400nmがより好ましく、特にVAモードで好ましい範囲は、30nm≦Re≦75nm、120nm≦Rth≦250nmであり、一枚の位相差膜で補償する場合は、50nm≦Re≦75nm、180nm≦Rth≦250nm、2枚の位相差膜で補償する場合は、30nm≦Re≦50nm、80nm≦Rth≦140nmである。これらはVAモードの補償膜として黒表示時のカラーシフト、コントラストの視野角依存性の点で好ましい態様である。
本発明のフィルムは、ノルボルネン系重合体の混合比率、添加剤の種類および添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するかできる。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(1)および式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2010007036
式(1)のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
Figure 2010007036
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折率計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本発明のフィルムを偏光板の保護膜として用いる場合は、光弾性の値が0.5×10-13〜9.0×10-13[cm2/dyn]であり、透湿度の値(但し、フィルムの厚みを80μmとして換算した値)が180〜435[g/cm224h]であるのが好ましい。光弾性の値は、0.5×10-13〜7.0×10-13[cm2/dyn]であるのがより好ましく、0.5×10-13〜5.0×10-13[cm2/dyn]であるのがさらに好ましい。また、透湿度の値(但し、フィルムの厚みを80μmとして換算した値)は、180〜400[g/cm224h]であるのがより好ましく、180〜350[g/cm224h]であるのがさらに好ましい。本発明のフィルムが上記特性を有すると、偏光板の保護膜として用いた場合に、湿度の影響による性能の低下を軽減することができる。
[偏光板]
本発明のフィルムは偏光板に応用することができる。偏光板は、本発明のフィルムと偏光子とを用いて作製できる。通常、偏光板は、偏光子およびその両側に配置された二枚の保護膜を有する。本発明のフィルムは両方または一方の保護膜として用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、フィルムは後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光子を接着剤を用いて貼り合わせる。使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス、ゼラチン等が挙げられる。偏光板は偏光子およびその両面を保護する保護膜で構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。本発明のフィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸とフィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。
(フィルムの表面処理)
偏光子と保護膜との接着性を改良するため、フィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理および火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号および英国特許第891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃〜180℃にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
表面処理の程度については、表面処理の種類によって好ましい範囲も異なるが、表面処理の結果、表面処理を施された保護膜の表面の純水との接触角が、50°未満となるのが好ましい。前記接触角は、25°以上45°未満であるのがより好ましい。保護膜表面の純水との接触角が上記範囲にあると、保護膜と偏光膜との接着強度が良好となる。
(接着剤)
ポリビニルアルコールからなる偏光子と、表面処理された本発明のフィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどが挙げられる。本発明では、この中でもPVAおよびゼラチンが好ましい。接着剤層厚みは、乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される保護膜には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。
(光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生および脆性の悪化抑制の観点から、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
(反射防止層の他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護膜に物理強度を付与するために、支持体の表面に設ける。特に、支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。
[液晶表示装置]
本発明のフィルム、該フィルムからなる位相差フィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、OCBモードまたはVAモードに特に好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において、各種測定、製膜およびフィルム評価は以下のように行った。
(1)分子量および分子量分布:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020/カラム4本:東ソー株式会社製、商品名:TSKguardcolumn SuperHZ−H、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、Mnは数平均分子量を表す。カラム温度=40℃、サンプル濃度=0.1質量%、サンプル注入量=10mL、溶媒流量=20mLの条件で測定を行った。
(2)重合体分子構造:超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE400)を用い、重メチレンクロライド中で1HNMRもしくは13CNMRを測定した。
(3)製膜:ノルボルネン系重合体Aとノルボルネン系重合体Bの混合物を、以下の組成で混合した。
A/B(質量比率は表1参照) 100質量部
メチレンクロライド/メタノール(質量比率92/8) 320質量部
これを加圧ろ過した。得られたドープをA3大の疎水性ガラス板上でアプリケーターを用いて、流延製膜した。これを25℃密閉系で1分間乾燥し、続いて40℃の送風乾燥機中で15分間乾燥した。ガラス板からフィルムを剥ぎ取り、ステンレス製の枠に挟み、これを100℃の乾燥機中で30分間、133℃の乾燥機中で30分間乾燥を行い、フィルムを得た。
(4)フィルムの厚み測定:デジタルマイクロメーターで任意の部分を3点測定し、平均値をとった。
(5)ヘイズ測定:フィルムを25℃60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
(6)Re、Rth測定: KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて波長590nmで、前述の手法によって測定した。得られた値を、80μmの厚みのRe、Rthとして換算した。
[ノルボルネン系モノマーの合成]
(合成例1:M−1の合成)
ジシクロペンタジエン(和光純薬工業(株)製)572g、酢酸アリル(和光純薬工業(株)製)1309gとヒドロキノン(和光純薬工業(株)製)1gをオートクレーブに仕込み、空隙を窒素置換した。密閉系で内温270℃で3時間攪拌した(回転速度=300rpm)。反応混合物をろ過し、揮発成分をエバポレーションした。残存物を単蒸留に付して、無色透明なM−1を得た。ガスクロマトグラフィーにかけて、そのピーク純度を測定したところ、純度98.7%、endo/exo比率59/41であった。
(合成例2:M−2の合成)
ジシクロペンタジエン(和光純薬工業(株)製)624g、メチルアクリレート(和光純薬工業(株)製)812gとヒドロキノン(和光純薬工業(株)製)1gをオートクレーブに仕込み、空隙を窒素置換した。密閉系で内温210℃で2時間攪拌した(回転速度=300rpm)。反応混合物をを単蒸留に付して、無色透明なM−2を得た。ガスクロマトグラフィーにかけて、そのピーク純度を測定したところ、純度97.8%、endo/exo比率45/55であった。
(合成例3:M−3の合成)
ジシクロペンタジエン(和光純薬工業(株)製)512g、ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬工業(株)製)900gとヒドロキノン(和光純薬工業(株)製)1gをオートクレーブに仕込み、空隙を窒素置換した。密閉系で内温235℃で2時間攪拌した(回転速度=300rpm)。反応混合物をを単蒸留に付して、無色透明なM−3を得た。ガスクロマトグラフィーにかけて、そのピーク純度を測定したところ、純度95.1%、endo/exo比率44/56であった。
Figure 2010007036
[ノルボルネン系重合体(A)の合成]
(A−1の合成)
360.0gのM−1を反応容器に仕込んだ。次いでパラジウムビスアセチルアセトナート(東京化成工業(株)製)93.6mgとトリシクロヘキシルホスフィン(ストレム社製)96.9mgをトルエン10mLで反応させた溶液を加えた。続いて塩化メチレン5mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)498mgを添加した。さらにトルエン1.5Lを添加した。この溶液を95℃で6時間攪拌した。トルエンを4.2L添加し、攪拌しながらメタノール10Lを3時間かけて滴下した。得られた沈殿物をろ過した。これをメタノール中で洗い、再び吸引ろ過した。120℃で6時間真空乾燥を行った。白色固体のA−1を338g得た。分子量を測定した結果、Mw=323300、Mn=101800であった。
(A−2の合成)
220.0gのM−2を反応容器に仕込んだ。次いでクロロ(2−プロペニル)(トリシクロペンチルホスフィン)パラジウム(ジャーナルオブケミカルソサイアティケミカルコミュニケーション1965年78ページを参考に合成した)87mgとアリルトリブチルチン(アルドリッチ社製)184μLをトルエン2mLで反応させた溶液を加えた。続いて塩化メチレン5mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)353mgを添加した。さらにトルエン220mLを添加した。この溶液を95℃で12時間攪拌した。反応途中トルエンを220mLずつ2回追加した。トルエンを1L添加し、攪拌しながらメタノール5Lを3時間かけて滴下した。得られた沈殿物をろ過した。これをメタノール中で洗い、再び吸引ろ過した。120℃で6時間真空乾燥を行った。白色固体のA−2を202g得た。分子量を測定した結果、Mw=192700、Mn=86600であった。
(A−3の合成)
198.0gのM−2と26.3gのM−3を反応容器に仕込んだ。実施例2と同様に触媒を仕込み、白色固体のA−3を得た。分子量を測定した結果、Mw=187200、Mn=78500であった。
上記のA−3の300mgをメチレンクロライド20mLに溶かし、ピリジン(和光純薬工業(株)製)3mLとベンゾイルクロライド4mLを添加し、1時間室温で攪拌した。メタノール200mL中に内容物をあけて、生じた白色固体をろ過してとりだした。120℃で6時間真空乾燥を行った。1HNMRを測定した。この結果より、M−2由来とM−3由来の組成比率は、88/12と算出した。
Figure 2010007036
[ノルボルネン系重合体(B)の合成]
(B−1の合成)
60.0gのM−1を反応容器に仕込んだ。次いでクロロ(2−プロペニル)(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ジャーナルオブケミカルソサイアティケミカルコミュニケーション1965年78ページに従い合成した)15.9mgとアリルトリブチルチン(アルドリッチ社製)32μLをトルエン2mLで反応させた溶液を加えた。続いて塩化メチレン2mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)60mgを添加した。さらにトルエン60mLを添加した。この溶液を95℃で6時間攪拌した。トルエン120mLを加えた。攪拌しながら室温でメタノール1Lを1時間かけて滴下した。得られた沈殿物をろ過した。これをメタノール中で洗い、再び吸引ろ過した。120℃で6時間真空乾燥を行った。白色固体のB−1を得た。分子量を測定した結果、Mw=14800、Mn=7300であった。
(B−2の合成)
55.0gのM−2を反応容器に仕込んだ。次いでクロロ(2−プロペニル)(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ジャーナルオブケミカルソサイアティケミカルコミュニケーション1965年78ページに従い合成した)23.2mgとアリルトリブチルチン(アルドリッチ社製)46μLをトルエン2mLで反応させた溶液を加えた。続いて塩化メチレン2mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)88mgを添加した。さらにトルエン55mLを添加した。この溶液を95℃で6時間攪拌した。攪拌しながら室温でメタノール1Lを1時間かけて滴下した。得られた沈殿物をろ過した。これをメタノール中で洗い、再び吸引ろ過した。120℃で6時間真空乾燥を行った。白色固体のB−2を得た。分子量を測定した結果、Mw=25700、Mn=13500であった。
Figure 2010007036
[ドープ調製及びフィルム作製]
(実施例1〜7)
上記で得られたノルボルネン系重合体(A)とノルボルネン系重合体(B)を、表1の組み合わせと混合比にて、前述の手法で混合した。これを前述の手法で製膜した。ヘイズ、Rthを前述の手法で測定した。また、実施例1〜7で作製したフイルムのGPC測定を行った。得られた分子量分布曲線はいずれも複数の極大点を有していた。図1に示すように、極大点の間の極小点で分割し、それぞれの極大点に起因するノルボルネン系重合体の数平均分子量を算出した。結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
ノルボルネン系重合体A−1、A−2、A−3のみで実施例1と同様にドープ作製、製膜を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
ノルボルネン系重合体(B)のかわりにアルドリッチ社製ポリ[オクタヒドロー5−(メトキシカルボニル)−5−メチルー4,7−メタノー1H−インデンー1,3−ジイル]−1,2−エタンジイル](C−1)を用いて、実施例1と同様にドープ作製、製膜を行ったが、フィルムは白化し、評価はできなかった。
(比較例5)
ビニル系重合体(B)のかわりにポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)(C−2:アルドリッチ社製:Mw=165000、スチレン/アクリロニトリルに由来する繰り返し単位のモル比率は、75/25)を用いて、実施例1と同様にドープ作製、製膜を行ったが、フィルムは白化し、評価はできなかった。
Figure 2010007036
表1より、本発明のノルボルネン系重合体混合物のフィルムは、ヘイズが小さく、比較例1〜3のノルボルネン系重合体フィルムに対してRthを低減することができる。すなわち、Rthを種々の値にコントロールすることができる。比較例4、5のフィルムは白化した。なお、実施例2の混合によって得られたフィルムのGPCチャートを図1に示す。本発明のノルボルネン系重合体混合物のゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量曲線は図1のように多峰性を示す。
本発明のノルボルネン系重合体混合物のゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の一例である。

Claims (9)

  1. ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が2つ以上の極大点を有するノルボルネン系重合体混合物。
  2. 前記分子量分布曲線の1つの極大点に起因する、数平均分子量が50000〜1000000であるノルボルネン系重合体を含む請求項1に記載のノルボルネン系重合体混合物。
  3. 前記分子量分布曲線の1つの極大点に起因する、数平均分子量が5000〜30000であるノルボルネン系重合体を含む請求項1または2に記載のノルボルネン系重合体混合物。
  4. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノルボルネン系重合体を含む請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物。
    Figure 2010007036
    (一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子または−(CH2m−OC(O)−R’’、−(CH2m−OH、−(CH2m−C(O)−OH、−(CH2m−C(O)OR’’、−(CH2m−OR’’、−(CH2m−OC(O)OR’’、−(CH2m−C(O)R’’、−(CH2m−O−(CH2m−OHからなる群から選ばれる官能性置換基であり、ここでmはそれぞれ独立に0〜10であり、R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜10のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基を表し、R1とR4はそれらが結合している環員炭素原子と一緒になって無水物もしくはジカルボキシイミド基を形成することができる。ただし、R1〜R4の少なくとも1つは前記官能性置換基である。)
  5. 一般式(1)におけるR1〜R4のうちの1つが−CH2−OC(O)−R’’または−C(O)OR’’(R’’は直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基またはヘテロ元素で置換されたアルキル基)、残りの3つが水素原子である請求項4に記載のノルボルネン系重合体混合物。
  6. ノルボルネン系重合体混合物中のノルボルネン系重合体が全て同じ構造式で表される、請求項1〜5のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物を含む光学材料。
  8. フィルム状である、請求項7に記載の光学材料。
  9. ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が1つの極大点を有するノルボルネン系重合体を少なくとも2種混合する、請求項1〜6のいずれかに記載のノルボルネン系重合体混合物の製造方法。
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