JP4985219B2 - 光学補償フィルム - Google Patents
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位相差の波長依存性は、波長450nmで測定した位相差(R450)と波長550nmで測定した位相差(R550)の比R450/R550として表すことができる。本発明のビニレンカーボネート系樹脂からなる光学補償フィルムでは、該R450/R550は、1.1以下であり、1.08以下が好ましく、特に1.05以下が好ましい。
本発明におけるビニレンカーボネート系樹脂としては、ビニレンカーボネートの重合体が挙げられ、その中でも一般式(a)により示されるビニレンカーボネート系樹脂残基単位50モル%以上、70モル%以上であることが好ましく、特に耐熱性及び機械特性に優れた光学補償フィルムとなることから80モル%以上、90モル%以上であることが好ましい。
ここで、ビニレンカーボネート残基単位のR1、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基であり、フッ素,塩素などのハロゲン基;エーテル基、エステル基若しくはアミノ基で置換されていても良い。
ここで、R1、R2における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基;分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基;環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、その中でも重合性、耐熱性、機械特性のバランスに優れた光学補償フィルムとなることから水素が好ましい。
なお、前記フィルム(B)は、例えば正の複屈折性を有するポリマーを一軸延伸等することにより、3次元屈折率がny>nx≧nzの関係にあるフィルムを得ることができる。
さらにフィルム(C)においては、前記式(2)により示されるフィルム面内位相差(Re)は、50〜1000nmが好ましく、特に好ましくは100〜500nmであり、更に1/4波長板では130〜140nm、1/2波長板では270〜280nmが好ましい。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミド(DMF)を溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著,アグネ技術センター版,第5章,pp78〜82,(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により複屈折性の正負判定を行った。
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率よりフィルム面外位相差(Rth)、フィルム面内位相差(Re)及び配向パラメータ(Nz)を計算した。
3リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール0.2重量%を含む蒸留水1.8kg、ビニレンカーボネート0.5kg、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.7gを仕込み、重合温度60℃、重合時間24時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥しビニレンカーボネート単独重合体を得た。得られたビニレンカーボネート単独重合体の数平均分子量は16万であった。
3リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール0.2重量%を含む蒸留水1.8kg、ビニレンカーボネート0.45kg、ラウリン酸ビニル0.05kg、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.7gを仕込み、重合温度60℃、重合時間24時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥しビニレンカーボネート共重合体を得た。得られたビニレンカーボネート共重合体の組成は、ビニレンカーボネート残基単位88重量%、ラウリン酸ビニル残基単位12重量%であり、数平均分子量は14万であった。
合成例1で得られたビニレンカーボネート単独重合体をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し18%溶液とし、さらにビニレンカーボネート単独重合体100重量部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.35重量部およびリン系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した後、Tダイ法により溶液流延装置の支持基板に流延し、80℃、120℃および180℃で各々15分乾燥した後、幅200mm、厚み40μmのフィルムを得た。
実施例1と同様の方法において幅200mm、厚み54μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、光線透過率92%、ヘーズ0.3でありフィルムの3次元屈折率はx=1.4885、ny=1.4885、nz=1.4903(nz>ny=nx)であった。得られたフィルムの面内位相差は0nmであり、フィルム面外位相差は−97nmであった。また、波長依存性(R450/R550)は1.02であった。
合成例2で得られたビニレンカーボネート共重合体をTHFに溶解し20%溶液とした以外は、実施例1と同様にTダイ法により、幅200mm、厚み80μmのフィルムを得た。
ポリカーボネート(帝人(株)製、商品名パンライトL1225)25重量%、塩化メチレンを75重量%とした塩化メチレン溶液を調整し、該塩化メチレン溶液をPETフィルム上に流延し、溶剤を揮発させて固化、剥離させることによりフィルムを得た。得られた剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、110℃から130℃にかけて10℃間隔にてそれぞれ1時間乾燥し、その後、真空乾燥機にて120℃で4時間乾燥して約90μmの厚みを有するフィルム(以下、フィルム(1)と称す。)を得た。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(a)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(a)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5842、nz=1.5822(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は125nmであった。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+33%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(b)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(b)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5839、nz=1.5825(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は113nmであった。
合成例1で得られたビニレンカーボネート共重合体をDMFに溶解し20%溶液とし、塗布溶液とした。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(a)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(a)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5842、nz=1.5822(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は125nmであった。
該フィルムの3次元屈折率はnx=1.4885、ny=1.4885、nz=1.4903でフィルム面内位相差は125nm、配向パラメータは0.5であり、実施例4と同様の特性のフィルムが塗布により得ることができた。
フィルム作成例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度165℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(c)と称す。)は、正の複屈折性を示し、フィルム面内位相差は263nmであった。3次元屈折率はnx=1.5820、ny=1.5851、nz=1.5819(nz<nx<ny)であり、配向パラメータは1.02であった。
窒素雰囲気下、小型ディスパーを用いて、塩化メチレン49.6gにポリ(2−ビニルナフタレン)(アルドリッチ製、重量平均分子量:17.5万)9.0gを加え、2500rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗布した後、窒素気流下で一晩風乾してPET基板上にポリ(2−ビニルナフタレン)のフィルムを作製した。
小型ディスパーを用いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にポリ(9−ビニルカルバゾール)(アルドリッチ製、重量平均分子量:約110万)13.2gを加え、6000rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗布した後、60℃で1時間、100℃で15分熱風乾燥することで、PET基板上にポリ(9−ビニルカルバゾール)フィルムを作製した。
ny;nxと直交するフィルム面内方向の屈折率を示す。
nz;フィルム面外の垂直方向の屈折率を示す。
Claims (13)
- ビニレンカーボネート系樹脂からなるフィルムであって、該フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny(ここでnxとnyが等しい場合は直交する任意の二軸の屈折率)、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合に、nz>ny≧nxの関係にあり、波長450nmで測定した位相差と波長550nmで測定した位相差の比(R450/R550)が1.1以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
- フィルムの厚みをdとした時、下記式(1)により示されるフィルム面外位相差(Rth)が−30〜−2000nmであることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (1) - 請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償フィルム(A)と、フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny(ここでnxとnyが等しい場合は直交する任意の二軸の屈折率)、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合に、ny>nx≧nzの関係にあり、フィルムの厚みをdとした時、下記式(2)により示される波長550nmで測定したフィルム面内位相差(Re)が50nm以上のフィルム(B)からなることを特徴とする光学補償フィルム。
Re=(ny−nx)×d (2) - 請求項4に記載の光学補償フィルムであって、フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny(ここでnxとnyが等しい場合は直交する任意の二軸の屈折率)、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとした場合、下記式(3)により示される配向パラメータ(Nz)が−0.1〜0.95であることを特徴とする光学補償フィルム。
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (3) - 配向パラメータ(Nz)が0.40〜0.60であり、フィルム面内位相差(Re)が50〜1000nmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学補償フィルム。
- 配向パラメータ(Nz)が−0.05〜0.05であり、フィルム面内位相差(Re)が50〜1000nmであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(B)が正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(B)がポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、N−置換マレイミド系樹脂からなるフィルムであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(A)の厚みをdとした時、上記式(2)により示される波長550nmで測定したフィルム(A)のフィルム面内位相差(Re)が50nm未満であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- ビニレンカーボネート系樹脂からなる未延伸フィルムと正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムを貼合することを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムにビニレンカーボネート系樹脂を塗布することを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 液晶表示素子に用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学補償フィルム。
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