JP5245109B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
位相差の波長依存性は、波長450nmで測定した位相差(R450)と波長550nmで測定した位相差(R550)の比R450/R550として表すことができる。本発明の光学補償フィルムあるいは光学補償層では、該R450/R550は、1.1以下であり、特に1.08以下が好ましく、さらに1.05以下が好ましい。
ここで、フマル酸ジエステル残基単位のエステル置換基であるR1、R2は、それぞれ独立して、炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は環状アルキル基であり、フッ素,塩素などのハロゲン基;エーテル基;エステル基若しくはアミノ基で置換されていても良く、例えばイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、特に耐熱性、機械特性に優れた光学補償フィルムとなることからイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であることが好ましく、さらに耐熱性、機械特性のバランスに優れた光学補償フィルムとなることからイソプロピル基が好ましい。
なお、前記フィルム(B)は、例えば正の複屈折性を有するポリマーを一軸延伸等することにより、3次元屈折率がny>nx≧nzの関係にあるフィルムを得ることができる。
さらに、フィルム(C)においては、上記式(2)により示されるフィルム面内位相差(Re)は、50〜1000nmが好ましく、特に好ましくは100〜500nmであり、さらに1/4波長板では130〜140nmが好ましく、1/2波長板では270〜280nmが好ましい。
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)スペクトル分析より求めた。
カラム(東ソー株式会社製、商品名TSK−GEL GMHHR−H)を装着したゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−8020)を用い、カラム温度40℃、流量1.0ml/分の条件下で、THFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して測定を行った。
JIS K 7136(2000年版)に準拠して測定を行った。
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定を行った。
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著,アグネ技術センター版,第5章,pp78〜82,(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により複屈折性の正負判定を行った。
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率より面外位相差(Rth)、面内位相差(Re)及び配向パラメータ(Nz)を計算した。
光レオメーター(HRS−100、オーク製作所製)を用い引張り速度1%/sで測定した。
30リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール0.2重量%を含む蒸留水18kg、フマル酸ジイソプロピル3kg、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート7gを仕込み、重合温度50℃、重合時間24時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥しフマル酸ジイソプロピル単独重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル単独重合体の数平均分子量は16万であった。
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた30Lのオートクレーブに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)48g、蒸留水15601g、フマル酸ジイソプロピル8161g、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル240gおよび重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート45gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、200rpmで攪拌しながら49℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。室温まで冷却し、生成したポリマー粒子を含む懸濁液を遠心分離した。得られたポリマー粒子を蒸留水で2回およびメタノールで2回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:80%)。
75mLのガラスアンプル管に、フマル酸ジイソプロピル69.89g、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル0.91gおよび重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.39gを入れ、窒素置換を行なった後、減圧し封管した。50℃で24時間保持することによりラジカル重合を行なった。室温まで冷却した後、生成したポリマーをテトラヒドロフランに溶解した。得られたポリマー溶液を過剰のメタノールに添加することにより白色粉体のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノールで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:84%)。
75mLのガラスアンプル管に、フマル酸ジイソプロピル68.09g、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル3.06gおよび重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.39gを入れ、窒素置換を行なった後、減圧し封管した。50℃で24時間保持することによりラジカル重合を行なった。室温まで冷却した後、生成したポリマーをテトラヒドロフランに溶解した。得られたポリマー溶液を過剰のメタノールに添加することにより白色粉体のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノールで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:70%)。
合成例1で得られたフマル酸ジイソプロピル単独重合体をTHF溶液に溶解し22%溶液とし、さらにフマル酸ジイソプロピル単独重合体100重量部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.35重量部およびリン系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した後、Tダイ法により溶液流延装置の支持基板に流延し、40℃、80℃および120℃で各々15分乾燥した後、幅250mm、厚み21μmのフィルムを得た。
実施例1と同様の方法において幅250mm、厚み30μmのフィルムを得た。
合成例2で得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20%溶液とし、Tダイ法により溶液流延装置の支持基板に流延し、80℃および120℃で各々10分乾燥した後、幅250mm、厚み23μmのフィルムを得た。
合成例3で得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20%溶液とし、Tダイ法により溶液流延装置の支持基板に流延し、80℃および120℃で各々10分乾燥した後、幅250mm、厚み31μmのフィルムを得た。
合成例4で得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し20%溶液とし、Tダイ法により溶液流延装置の支持基板に流延し、80℃および120℃で各々10分乾燥した後、幅250mm、厚み27μmのフィルムを得た。
ポリカーボネート(帝人(株)製、商品名パンライトL1225)25重量%、塩化メチレンを75重量%とした塩化メチレン溶液を調整し、該塩化メチレン溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、溶剤を揮発させて固化、剥離させることによりフィルムを得た。得られた剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、110℃から130℃にかけて10℃間隔にてそれぞれ1時間乾燥し、その後、真空乾燥機にて120℃で4時間乾燥して約90μmの厚みを有するフィルム(以下、フィルム(1)と称す。)を得た。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(a)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(a)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5842、nz=1.5822(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は125nmであった。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+33%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(b)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(b)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5839、nz=1.5825(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は113nmであった。
合成例1で得られたフマル酸ジイソプロピル単独重合体をトルエン:メチルエチルケトン重量比1:1の溶液に溶解し10%溶液とし、さらにフマル酸ジイソプロピル単独重合体100重量部に対し、酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.35重量部およびペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加し、塗布溶液とした。
実施例6で得たフィルム1(a)上に塗布溶液1を用いてドクターブレード法にて乾燥後の厚み(フマル酸エステル系樹脂からなる層の厚み)21μmとなるよう塗布し、フィルムを得た(フィルム厚み:96μm)。フマル酸エステル系樹脂からなる層の3次元屈折率はnx=1.4689、ny=1.4689、nz=1.4723(nz>ny=nx)であった。
実施例7で得たフィルム1(b)上に塗布溶液1を用いてドクターブレード法にて塗布し乾燥厚み(フマル酸エステル系樹脂からなる層の厚み)30μmとなるよう塗布し、フィルムを得た(フィルム厚み:112μm)。フマル酸エステル系樹脂からなる層の3次元屈折率はnx=1.4690、ny=1.4690、nz=1.4721(nz>ny=nx)であった。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度165℃、延伸速度20mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(c)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(c)の3次元屈折率はnx=1.5820、ny=1.5851、nz=1.5819(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は263nmであった。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製所製)により温度160℃、延伸速度20mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を
施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(d)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(d)の厚みは83μmであり、3次元屈折率はnx=1.5813、ny=1.5865、nz=1.5812(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は429nmであった。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度160℃、延伸速度20mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(e)と称す。)は、正の複屈折性を示した。
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+65%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(f)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(f)の3次元屈折率はnx=1.5825、ny=1.5843、nz=1.5821(ny>nx>nz)であり、フィルム面内位相差(Re)は137nmであった。
比較例1で得たフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度165℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した(フィルム厚み:85μm)。延伸したフィルム(フィルム1(c)と称す。)は、正の複屈折性を示し、フィルム面内位相差(Re)は264nmであった。3次元屈折率はnx=1.5820、ny=1.5851、nz=1.5819で配向パラメータ(Nz)は1.02であった。
窒素雰囲気下、小型ディスパーを用いて、塩化メチレン49.6gにポリ(2−ビニルナフタレン)(アルドリッチ製、重量平均分子量:17.5万)9.0gを加え、2500rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗布した後、窒素気流下で一晩風乾してPET基板上にポリ(2−ビニルナフタレン)のフィルムを作製した。
小型ディスパーを用いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にポリ(9−ビニルカルバゾール)(アルドリッチ製、重量平均分子量:約110万)13.2gを加え、6000rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗布した後、60℃で1時間、100℃で15分熱風乾燥することで、PET基板上にポリ(9−ビニルカルバゾール)フィルムを作製した。
ny;nxと直交するフィルム面内方向の屈折率を示す。
nz;フィルム面外の垂直方向の屈折率を示す。
Claims (13)
- フマル酸エステル系樹脂からなり、負の光学異方性を有する微粒子を含有しないフィルムあるいは層であって、フィルムあるいは層の3次元屈折率がフィルム面内あるいは層面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内あるいは層面内方向の屈折率をny、フィルム面外あるいは層面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合に、nz>ny≧nxの関係にあり、450nmの光で測定した位相差と550nmの光で測定した面外位相差の比(R450/R550)が1.1以下であり、かつ、フィルムあるいは層の厚みをdとした時、下記式(1)により示されるフィルムあるいは層の面外位相差(Rth)が−30〜−2000nmである光学補償フィルムあるいは光学補償層。
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (1) - 請求項1又は2に記載の光学補償フィルムあるいは光学補償層(フィルム(A))と、フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合に、ny>nx≧nzの関係にあり、フィルムの厚みをdとした時、下記式(2)により示される550nmの波長で測定したフィルム面内位相差(Re)が50nm以上のフィルム(B)からなることを特徴とする光学補償フィルム。
Re=(ny−nx)×d (2) - 請求項3に記載の光学補償フィルムであって、フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとした場合、下記式(3)により示される配向パラメータ(Nz)が−0.1〜0.95の範囲内であることを特徴とする光学補償フィルム。
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (3) - 配向パラメータ(Nz)が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項3又は4に記載の光学補償フィルム。
- 配向パラメータ(Nz)が−0.05〜0.05であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- 上記式(2)により示されるフィルム面内位相差(Re)が50〜1000nmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(B)が正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(B)がポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、N−置換マレイミド樹脂であることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フィルム(A)の厚みをdとした時、上記式(2)により示される550nmの波長で測定したフィルム(A)の面内位相差(Re)が50nm未満であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の光学補償フィルム。
- フマル酸エステル系樹脂からなり、負の光学異方性を有する微粒子を含有しない未延伸フィルムと正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムを貼合することを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムにフマル酸エステル系樹脂を塗布することを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の光学補償フィルムの製造方法。
- 液晶表示素子に用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学補償フィルム。
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