JP4696542B2 - 偏光子保護フィルムおよび偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、着色が少なく、光線透過率が高く、ヘーズが小さい等の光学特性に優れ、良好な機械強度および耐熱性を有し、更に吸水率が小さく、透湿性に優れたフマル酸ジエステル系樹脂よりなる偏光子保護フィルムおよび偏光板に関する。
偏光板は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する材料であり、例えば液晶表示装置を構成する部品の一つとして広く使用されている。このような偏光板としては、偏光子と保護フィルムが積層された構成をもつものが一般的に使用されている。前記偏光子には、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有するものであり、例えばポリビニルアルコール(以下、PVAと記す。)フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したフィルムが一般に使用されている。また、最近では塗布型の偏光子も用いられている。前記保護フィルムとは、偏光子を保持して偏光板全体に実用的な強度を付与するなどの機能を担うものであり、例えばトリアセチルセルロース(以下、TACと記す。)フィルムなどが一般に使用されている。TACフィルムは、透明性が良好で、複屈折が小さいなど光学的な均一性に優れ、実用的な耐熱性と優れた機械強度を持っているため偏光子保護フィルムとして優れた特性を有している。また、透湿度が高いためPVAなどの偏光子との貼り合わせる際にPVAや接着剤の水分透過性に優れるなど加工性も良いため、偏光子保護フィルムとして一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、TACフィルムは吸水性も高いため、偏光子の性能低下、吸水による寸法安定性などに課題がある。
従来のTACフィルムよりも吸水率の小さいフィルム素材を偏光子保護フィルムとして用いることにより、寸法安定性を向上しようとする試みがなされている。しかしながら、吸水性の小さなポリカーボネートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムは、光弾性定数が大きく、外部応力の作用によって位相差の変化が生じるため偏光板としての性能低下を生じてしまうという問題があった。最近、偏光子保護フィルムとして吸水率が小さく、光弾性定数の小さな環状ポリオレフィン系樹脂フィルムが用いられている(例えば、特許文献2、3参照。)。しかしながら、前記環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、吸水率は小さいものの、透湿度も小さいためPVA等の偏光子を張り合わせる際に、PVA中の水分抜けが悪くなり、膨れや、気泡などの張り合わせ不良が発生するという課題がある。また、フィルムが脆い、皮脂で劣化する等の問題がある。
フマル酸ジエステル系樹脂は、1981年大津らにより見出された(例えば、非特許文献1参照。)。また、フマル酸ジエステル系樹脂よりなる光学材料が開示され、光学レンズ、プリズムレンズ、光学ファイバー等が記載されている(例えば、特許文献4、5参照。)。更に、フマル酸ジエステル系樹脂よりなる単分子膜を用いた液晶ディスプレイ用の高分子配向膜基板(例えば、特許文献6参照。)が開示され、フマル酸ジエステル系樹脂よりなる超薄膜の製造方法についても開示され、電気素子、パターンニング、マイクロリソグラフィー、光学素子(光導波路、非線型三次素子用バインダー樹脂)等の用途が記載されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、従来技術においては特定の構造、特性を有するフマル酸ジエステル系樹脂よりなる偏光子保護フィルムおよび偏光板は提案されていないのが現状である。
ラジカル重合ハンドブック(314頁)、株式会社エス・ティー・エス 特開平07−120617号公報 特開平05−212828号公報 特開平06−051117号公報 特開昭61−028513号公報 特開昭61−034007号公報 特開平02−214731号公報 特開平02−269130号公報
本発明の目的は、光学特性に優れ、良好な耐熱性、機械強度を有し、更に吸水率が小さく、透湿性に優れた偏光子保護フィルムおよびそれよりなる偏光板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上のフマル酸ジエステル系樹脂よりなり、厚みが10〜250μmであるフィルムが、光学特性に優れ、良好な機械強度および耐熱性を有し、更に吸水率が小さく、透湿性に優れた偏光子保護フィルム及びそれよりなる偏光板となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上のフマル酸ジエステル系樹脂よりなり、厚みが10〜250μm、23℃における飽和吸水率が4%以下、40℃90%Rhで測定した透湿度が70g/m・24h以上であることを特徴とする偏光子保護フィルムおよびそれよりなる偏光板に関するものである。
Figure 0004696542
(1)
(ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の偏光子保護フィルムは、特定のフマル酸ジエステル系樹脂よりなる偏光子保護フィルムである。
本発明で用いるフマル酸ジエステル系樹脂は、一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上のものである。ここで、一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位中のR、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基であり、フッ素,塩素等のハロゲン、エーテル基、エステル基若しくはアミノ基で置換されていても良く、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも耐熱性、機械特性に優れた偏光子保護フィルムとなることからイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が好ましく、特にイソプロピル基が好ましい。ここで、R、Rが炭素数12より大きい直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基の場合、偏光子保護フィルムの耐熱性、機械特性が低下する。一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位としては、具体的には、例えばフマル酸ジメチル残基、フマル酸ジエチル残基、フマル酸ジプロピル残基、フマル酸ジブチル残基、フマル酸ジヘキシル残基、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジ−s−ペンチル残基、フマル酸ジ−t−ペンチル残基、フマル酸ジ−s−ヘキシル残基、フマル酸ジ−t−ヘキシル残基、フマル酸ジシクロプロピル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が挙げられ、その中でもフマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ−s−ブチル残基、フマル酸ジ−t−ブチル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が好ましく、特にフマル酸ジイソプロピル残基が好ましい。
また、フマル酸ジエステル系樹脂は、一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上から成るものであり、実質的には一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上、他の単量体からなる残基単位50モル%以下からなり、その中でも耐熱性、機械特性に優れた偏光子保護フィルムとなることからフマル酸ジエステル残基単位が70モル%以上であることが好ましく、特に80モル%以上であることが好ましい。フマル酸ジエステル残基単位が50モル%未満である場合、偏光子保護フィルムは耐熱性、光学特性が低いものとなる。前記他の単量体からなる残基単位としては、例えばスチレン残基、α−メチルスチレン残基等のスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基等のアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基等のメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン類残基;等の1種又は2種以上を挙げることができる。
さらに、フマル酸ジエステル系樹脂は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10000以上のものであり、特に偏光子保護フィルムが機械特性、耐熱性、成形加工性に優れたものとなることから20000以上200000以下であることが好ましい。Mnが10000未満の場合、偏光子保護フィルムの光学特性が乏しくなる。
本発明で用いるフマル酸ジエステル系樹脂の製造方法としては、該フマル酸ジエステル系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばフマル酸ジエステル類の単量体をラジカル重合する方法、あるいはフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体とをラジカル共重合する方法により製造することができる。この際のフマル酸ジエステル類としては、例えばフマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−s−ブチル、フマル酸ジ−t−ブチル、フマル酸ジ−s−ペンチル、フマル酸ジ−t−ペンチル、フマル酸ジ−s−ヘキシル、フマル酸ジ−t−ヘキシル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;等の1種又は2種以上を挙げることができる。
ラジカル重合あるいはラジカル共重合を行う際には、公知の重合法にて行うことができ、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合あるいはラジカル共重合を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、パーブチルピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
ラジカル重合あるいはラジカル共重合を行う際に使用可能な溶媒としては、特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル等が挙げられ、これらの混合溶媒も用いることができる。
ラジカル重合あるいはラジカル共重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
そして、これらフマル酸ジエステル系樹脂を偏光子保護フィルムとすることにより、本発明の偏光子保護フィルムとなる。
偏光子保護フィルムの厚みは、10〜250μmであり、より好ましくは30〜100μmである。ここで、フィルムの厚みが10μm未満の場合、偏光子保護フィルムの機械特性および支持性が低下する。一方、フィルムの厚みが250μmを越える場合、偏光子保護フィルムの透湿性が悪くなり好ましくない。
偏光子保護フィルムの23℃における飽和吸水率は4%以下、好ましくは2%以下、特に好ましくは1.5%以下である。飽和吸水率が4%より大きい場合には、偏光子保護フィルムの寸法安定性が悪くなるため好ましくない。また、偏光子保護フィルムの40℃90%Rhで測定した透湿度は、70g/m・24h以上、好ましくは100g/m・24h以上、特に好ましくは200g/m・24h以上、更に好ましくは300g/m・24h以上である。透湿度が70g/m・24hより小さい場合には、PVA等の偏光子と偏光子保護フィルムを貼り合わせる際に、PVA中の水分抜けが悪くなり、膨れや、気泡などの張り合わせ不良が発生するため好ましくない。
また、偏光子保護フィルムは、JIS K7105(1981年版)に準拠して測定したヘーズが、2.0以下が好ましく、特に好ましくは1.0以下である。
さらに、偏光子保護フィルムの面内位相差は、良好な表示特性を得るためには、10nm以下が好ましく、特に好ましくは5nm以下である。
本発明のフマル酸ジエステル系樹脂よりなる偏光子保護フィルムの製造方法としては、偏光子保護フィルムの製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば溶融押出し、溶液キャスト、プレス成形等の一般的な成形加工法により成形可能であり、その中でも特に光学特性、耐熱性、表面特性等に優れる偏光子保護フィルムが得られることから、溶液キャスト法により製造することが好ましい。
ここで、溶液キャスト法とは、一般的に樹脂溶液(以下、ドープと記す。)を支持基板上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフィルムを得る方法である。流延する方法としては、例えばTダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法等が用いられ、その中でもTダイ法により10〜50℃の温度でTダイからドープをベルト状又はドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が好ましく用いられる。用いられる支持基板としては、例えばガラス基板;ステンレスやフェロタイプ等の金属基板;ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基板等が挙げられる。また、高度に表面性、光学均質性の優れた偏光子保護フィルムを工業的に連続製膜するためには、表面を鏡面仕上げした金属基板が好ましく用いられる。
溶液キャスト法に用いる溶媒としては、フマル酸ジエステル系樹脂が溶解可能であれば如何なる溶媒をも使用することが可能であり、例えばクロロフォルム、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を用いることができる。その際のフマル酸ジエステル系樹脂溶液の粘度としては、表面平滑性、厚み精度に優れる偏光子保護フィルムが得られることから100〜50000cpsが好ましく、特に好ましくは500〜30000cps、さらに好ましくは1000〜10000cpsである。そして、該溶媒を加熱蒸発させることにより、本発明の偏光子保護フィルムとなるものであり、加熱蒸発する際の温度は30〜200℃が好ましい。
本発明の‘フマル酸ジエステル系樹脂よりなる偏光子保護フィルムは、1軸又は2軸延伸加工することもできる。この際の1軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法、自由幅1軸延伸法、定幅1軸延伸法等を挙げることができ、ニ軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、遂次2軸延伸法、同時2軸延伸法等が挙げられる。また、延伸加工を行う際には、フマル酸ジエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+30℃の温度範囲内で延伸加工を行うことが好ましい。
本発明の偏光子保護フィルムは、熱安定性を有する偏光子保護フィルムとなることから、フマル酸ジエステル系樹脂に酸化防止剤を添加してなる偏光子保護フィルムであることが好ましく、該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。酸化防止剤の添加量としては、高温暴露時の熱安定性、耐熱着色に優れる偏光子保護フィルムとなることからフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、特に0.5〜3.0重量部であることが好ましい。
該酸化防止剤の中でも、特に熱安定性に優れる偏光子保護フィルムが得られることから、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤を用いることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の添加量としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を0〜1000重量部添加することが好ましく、特に100〜500重量部添加することが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられ、その中でもペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスホナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスホナイト等が挙げられ、その中でもトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物が挙げられる。
本発明の偏光子保護フィルムは、液晶化合物の劣化防止などの目的で、フマル酸ジエステル系樹脂にさらに紫外線吸収剤を添加してなる偏光子保護フィルムであることが好ましく、該紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤が挙げられる。
トリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチルー6−(t−ブチル)フェノール、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]等より選ばれる一種類以上の化合物が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジ−ヒドロキシ−4,4−ジ−メトキシベンゾフェノン等より選ばれる一種類以上の化合物が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば2−(4,6−ジ−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。これら紫外線吸収剤は一種類以上組み合わせて用いることもできる。
これら紫外線吸収剤は、樹脂フィルムの他、ハードコート剤中に添加することもできる。
また、本発明の偏光子保護フィルムは、フマル酸ジエステル系樹脂にヒンダードアミン系光安定剤を添加してなる偏光子保護フィルムであってよく、該ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れる偏光子保護フィルムとなることから分子量が1000以上であるヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、特に1500以上であるヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量としては、熱着色防止効果および光安定化効果に優れる偏光子保護フィルムとなることからフマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対して0.01〜1.5重量部であることが好ましく、特に0.05〜1重量部が好ましく、さらに0.1〜0.5重量部であることが好ましい。このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ((6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物等が挙げられ、これらは一種類以上で用いることができる。
さらに、本発明の偏光子保護フィルムは、本発明の物性を損なわない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を添加することができる。
これら偏光子保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることにより本発明の偏光板となる。その際の張り合わせる方法としては、例えば公知の粘着剤、接着剤等を用い行うことができる。接着剤としては、例えばポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアクリル系接着剤等が挙げられ、粘着剤としては、例えばポリエステル系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。また、貼り合わせる前の処理として、高い接着性を得るために表面改質処理を行うことが好ましい。
本発明の偏光版で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばポリビニルアルコール系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール系偏光子;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子;等が挙げられ、その中でもポリビニルアルコール系偏光子が好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
また、偏光子保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせる本発明の偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明で用いられるフマル酸ジエステル系樹脂あるいは他樹脂からなるフィルムを積層することもできる。他樹脂からなるフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。これら他樹脂からなるフィルムは特定の位相差を持つ位相差フィルムであっても良い。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。該ハードコート層としては、例えばシリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤等よりなるハードコート層が挙げられ、その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるハードコート層が好ましい。これらのハードコート層は、一種類以上で用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
本発明の偏光板には、反射防止や低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
本発明の偏光子保護フィルム及び偏光板は、液晶テレビ、液晶モニター、ノートパソコン、携帯電話等に好適に用いることができる。
本発明の偏光子保護フィルムは、着色が少なく、光線透過率が高く、ヘーズが小さく、光弾性定数が小さく、面内位相差が小さい等の光学特性に優れ、また良好な耐熱性を有し、更に吸水率が小さく、透湿度に優れるという特徴を有しており、偏光子保護フィルムとして有用である。さらに、該偏光子保護フィルムは偏光板に好適に用いることができる。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例により用いた分析・評価方法を以下に示す。なお、用いた試薬、フィルムは断りのない限り市販品を用いた。
〜数平均分子量の測定〜
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、HLC−802A)を用い、標準ポリスチレン換算値として測定した。
〜黄色度の測定〜
カラーコンピュータ(スガ試験機製、MOEDL S−6)を用いて、JIS K7105に準拠し測定した。(反射法、反射板の三刺激値:X=79.57、Y=81.79、Z=94.47)。
〜ヘーズ及び光線透過率の測定〜
JIS K7105(1981年版)に準拠し測定した。
〜光弾性係数の測定〜
光弾性定数は、光レオメーター(オーク製作所製、HRS−100)を用い引張り速度1%/sで測定した。
〜面内位相差の測定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著、アグネ技術センター版、第5章、p78〜82(2001))に記載のセナルモン・コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡(Senarmont干渉法)により面内位相差の測定を行った。
〜耐熱性の測定〜
耐熱性は、所定温度に設定されたオーブン中に、得られたフィルムを1時間放置し、変形、着色の見られない最高の温度を耐熱性とした。
〜飽和吸水率の測定〜
飽和吸水率は、得られたフィルムを23℃の水に浸漬した時の吸水量を測定し、飽和吸水率とした。
〜透湿度の測定〜
透湿度は、JIS Z0208(条件:40℃90%Rh)に準拠し測定した。
合成例1(フマル酸ジイソプロピル単独重合体の製造)
3リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール3.68g、蒸留水1800g、フマル酸ジイソプロピル300g、重合開始剤として、パーブチルピバレート0.35gを仕込み、重合温度55℃、重合時間50時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し、80℃で一晩乾燥してフマル酸ジイソプロピル単独重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル単独重合体の数平均分子量は60000であった。
合成例2(フマル酸ジイソプロピル共重合体の製造)
3リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール3.68g、蒸留水1800g、フマル酸ジイソプロピル267g、アクリル酸メチル13g、重合開始剤として、パーブチルピバレート0.4gを仕込み、重合温度55℃、重合時間24時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し、80℃で一晩乾燥してフマル酸ジイソプロピル共重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体の数平均分子量は65000であった。得られた共重合体の組成は、フマル酸ジイソプロピル残基単位82モル%、アクリル酸メチル残基単位18モル%であった。
合成例3(フマル酸ジイソプロピル共重合体の製造)
3リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール3.68g、蒸留水1800g、フマル酸ジイソプロピル240g、酢酸ビニル35g、重合開始剤として、パーブチルピバレート0.4gを仕込み、重合温度60℃、重合時間28時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し、80℃で一晩乾燥してフマル酸ジイソプロピル共重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体の数平均分子量は87000であった。得られた共重合体の組成は、フマル酸ジイソプロピル残基単位74モル%、酢酸ビニル残基単位26モル%であった。
実施例1
合成例1により得られたフマル酸ジイソプロピル単独重合体をクロロフォルムに溶解し、20%溶液(粘度:9000cps)とし、さらにフマル酸ジイソプロピル単独重合体100重量部に対し、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.35重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した後、30℃でTダイ法により溶液流延装置の支持基板(ポリエチレンテレフタレート)に流延し、40℃、80℃および120℃で各々1時間乾燥した後、幅300mm、長さ1m、厚み80μmのフィルムを得た。
そして、得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した結果、得られたフィルムは偏光子保護フィルムに好適なものであった。その結果を表1に示す。
実施例2
Tダイの厚みを変更した以外は実施例1と同様の方法で、幅300mm、長さ1m、厚み40μmのフィルムを得た。得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した結果、得られたフィルムは偏光子保護フィルムに好適なものであった。その結果を表1に示す。
実施例3
合成例2により得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体を塩化メチレンに溶解し、18%溶液(粘度:8000cps)とし、さらにフマル酸ジイソプロピル共重合体100重量部に対し、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.30重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した。バーコーターを用いて、支持基板(ポリエチレンテレフタレート)に流延し、40℃、80℃および120℃で各々1時間乾燥した後、幅200mm、長さ1m、厚み90μmのフィルムを得た。
そして、得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した結果、得られたフィルムは偏光子保護フィルムに好適なものであった。その結果を表1に示す。
実施例4
合成例3により得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体を塩化メチレンに溶解し、18%溶液(粘度:7000cps)とし、さらにフマル酸ジイソプロピル共重合体100重量部に対し、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.30重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した。バーコーターを用いて、支持基板(ポリエチレンテレフタレート)に流延し、40℃、80℃および120℃で各々1時間乾燥した後、幅200mm、長さ1m、厚み90μmのフィルムを得た。
そして、得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した結果、得られたフィルムは偏光子保護フィルムに好適なものであった。その結果を表1に示す。
実施例5
沃素染色したPVA延伸フィルムの両面に、実施例1で得られた偏光子保護フィルムをポリエステル系接着剤(東洋モートン社製,商品名「TM−593」)を用いて張り合わせた。60℃および80℃で各々1時間乾燥を行った。その結果、膨れ、気泡などの不良は見られず良好な外観を有する偏光板を作成することができた。
比較例1
ポリカーボネート樹脂(アルドリッチ製)を実施例1と同様の方法により、厚み80μmのフィルムを得、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した。その結果、得られたフィルムは光弾性係数が大きく、面内位相差が大きく、透湿度が小さく、偏光子保護フィルムに適したものではなかった。結果を表1に示す。
比較例2
環状ポリオレフィン樹脂(エステル基を有するポリノルボルネン、アルドリッチ製)を実施例1と同様の方法により、厚み80μmのフィルムを得、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した。その結果、得られたフィルムは透湿度が小さく偏光子保護フィルムに適したものではなかった。結果を表1に示す。
比較例3
厚み80μmTACフィルム(ロンザ製)を用い、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した。その結果、得られたフィルムは透湿度が小さく偏光子保護フィルムに適したものではなかった。結果を表1に示す。
比較例4
環状ポリオレフィン(ポリノルボルネン、日本ゼオン製)を実施例1と同様の方法により、厚み80μmのフィルムを得、光線透過率、ヘーズ、黄色度、光弾性係数、面内位相差、耐熱性、飽和吸水率および透湿度を測定した。その結果、得られたフィルムは、飽和吸水率が大きく、透湿度が小さく、偏光子保護フィルムに適したものではなかった。結果を表1に示す。
比較例5
比較例4のフィルムを用いて、実施例5と同様に偏光板を作成したが水分の抜けが悪く乾燥時に発泡や膨れが見られ、良好な外観を有する偏光板を得ることはできなかった。
Figure 0004696542

Claims (9)

  1. 一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10000以上のフマル酸ジエステル系樹脂よりなり、厚みが10〜250μm、23℃における飽和吸水率が4%以下、40℃90%Rhで測定した透湿度が70g/m・24h以上であり、面内位相差が10nm以下であることを特徴とする偏光子保護フィルム。
    Figure 0004696542
    (1)
    (ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基を示す。)
  2. 飽和吸水率が2%以下、40℃90%Rhで測定した透湿度が100g/m ・24hr以上であり、面内位相差が5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
  3. 光弾性係数が6x10 −12 xPa −1 以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
  4. フマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤/リン系酸化防止剤=100/0〜100/1000(重量比)からなる酸化防止剤を0.01〜10重量部添加してなる偏光子保護フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  5. ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)であることを特徴とする請求項に記載の偏光子保護フィルム。
  6. リン系酸化防止剤が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトであることを特徴とする請求項に記載の偏光子保護フィルム。
  7. フマル酸ジエステル系樹脂100重量部に対して、さらに紫外線吸収剤を0.01〜2重量部添加してなる偏光子保護フィルムであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の偏光子保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることを特徴とする偏光板。
  9. 偏光子がポリビニルアルコール系偏光子であることを特徴とする請求項に記載の偏光板。
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