JP2003195043A - ハードコート層を有する偏光板、その製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents

ハードコート層を有する偏光板、その製造方法及び液晶表示装置

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JP2003195043A
JP2003195043A JP2001393760A JP2001393760A JP2003195043A JP 2003195043 A JP2003195043 A JP 2003195043A JP 2001393760 A JP2001393760 A JP 2001393760A JP 2001393760 A JP2001393760 A JP 2001393760A JP 2003195043 A JP2003195043 A JP 2003195043A
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Japan
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film
polarizing plate
group
hard coat
polarizing
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Application number
JP2001393760A
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English (en)
Inventor
Keiichi Taguchi
慶一 田口
Hiromune Kitakoji
裕宗 北小路
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光板打ち抜き工程における得率を向上する
ことができ、しかも耐擦傷性、表面硬度に優れ、膜剥が
れやヒビ割れ、カールの生じにくいハードコート層を備
えた高性能な偏光板の提供。 【解決手段】 吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもな
い偏光膜とハードコート層とを有する長尺の偏光板であ
って、該ハードコート層の少なくとも1層がエチレン性
不飽和基を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重
合性基を含む化合物とを含有する硬化性組成物から形成
されることを特徴とする偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐擦傷性と
表面硬度を有し、高得率で偏光性能に優れ、寸度安定性
に優れた偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下、LCD)は、その
画像表示の原理上偏光板の使用が必須であり、近年のL
CDの普及に伴い、偏光板の需要は拡大している。用途
の拡大に伴って生産性の向上、特に偏光板材料のロスの
低減、高い収率及び低コスト化も望まれている。
【0003】偏光板は、一般に偏光能を有する偏光膜の
両面あるいは片面に、接着剤層を介して保護膜(保護フ
ィルム)を貼り合わせられている。偏光膜の素材として
は、ポリビニルアルコール(以下、PVA)が主に用い
られており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ
素又は二色性染料で染色するか、あるいは染色してから
延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光
膜が形成される。偏光膜は、通常連続フィルムの走行方
向(長手方向)に一軸延伸して製造されるため、偏光膜
の吸収軸(延伸軸)は長手方向にほぼ平行となる。保護
フィルムとしては、光学的に透明で複屈折が小さいこと
から、主にセルローストリアセテートが用いられ、従来
は保護膜の遅相軸(延伸軸)と偏光膜の透過軸とが垂直
になるように(即ち、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸
とが平行になるように)、偏光膜と貼り合わされてい
た。この場合、寸度安定性に劣り、特に経時安定性の点
で問題となる。
【0004】偏光板は、LCDでは液晶セルの前面側に
も配置され外部に曝されることもあり、物理的な損傷を
受け易く、損傷を受けると表示画像品質を損なうので、
偏光板の耐擦傷性と表面硬度の強化が望まれている。ま
た、上記のように偏光膜が延伸されて製造されると、ロ
ール形態で製造される偏光板を搬送したり、切り出した
りする際に表面が傷つきやすく、さらに、延伸時にツ
レ、シワが生じ表面平面性が損なわれると、傷つく度合
いが増す問題があった。従来から、プラスチック製品に
は、耐殺傷性を付与する目的で硬化樹脂層からなるハー
ドコート層を直接塗設したり、ハードコート層付きプラ
スチックフィルムを貼り合わせたりして、ハードコート
層が設けられている。しかしながら、従来のハードコー
ト層では、硬度的に十分と言えず、さらには層のヒビ割
れや、硬化時の体積収縮による膜剥がれやカールといっ
た問題があった。
【0005】また、従来のLCDにおいては、画面の縦
あるいは横方向に対して偏光板の透過軸を45゜傾けて
配置している。上記したように、偏光膜は縦延伸又は横
延伸して製造されると、ロール形態で製造される偏光板
の打ち抜き工程において、ロール長手方向に対し45゜
方向に打ち抜く必要があった。しかしながら45゜方向
に打ち抜いたときには、ロールの端付近で使用できない
部分が生じ、特に大サイズの偏光板では、得率が小さく
なる、あるいは一度偏光膜上にハードコート層を設けて
しまうと再度偏光膜やハードコート層を分離し利用する
ことは難しく、使用できない部分のハードコート層も無
駄にすることになり、結果として廃棄物が増えると言う
課題があった。
【0006】この問題を解決するため、フィルムの長手
方向に対しポリマーの配向軸を所望の角度傾斜させる方
法がいくつか提案されている。特開2000−9912
号公報では、プラスチックフィルムを横または縦に一軸
延伸しつつ、その延伸方向の左右を異なる速度で前記延
伸方向とは相違する縦または横方向に引っ張り延伸し
て、配向軸を前記一軸延伸方向に対し傾斜させることが
提案されている。しかしながらこの方法では例えばテン
ター方式を用いた場合、左右で搬送速度差をつけねばな
らず、これに起因するツレシワ、フィルム寄りが発生
し、望ましい傾斜角度(偏光板においては45゜)を得
ることが困難である。左右速度差を小さくしようとすれ
ば、延伸工程を長くせざるを得ず、設備コストが非常に
大きなものとなる。
【0007】また、特開平3−182701号公報で
は、連続フィルムの左右両耳端に走行方向とθの角度を
なす左右対のフィルム保持ポイントを複数対有し、フィ
ルムの走行につれて、各々の対ポイントがθの方向に延
伸できる機構により、フィルムの走行方向に対し任意の
角度θの延伸軸を有するフィルムを製造する方法が提案
されている。但し、この手法においてもフィルム進行速
度がフィルムの左右で変わるためフィルムにツレ、シワ
が生じ、これを緩和するためには延伸工程を非常に長く
する必要があり、設備コストが大きくなる欠点があっ
た。
【0008】更に、特開平2−113920号公報にお
いて、フィルムの両端部を、所定走行区間内におけるチ
ャックの走行距離が異なるようにように配置されたテン
ターレール上を走行する2列のチャック間に把持して走
行させることによりフィルムの長さ方向と斜交する方向
に延伸する製造方法が提案されている。ただし,この手
法においても斜交させた際に、ツレ、シワが生じ、光学
用フィルムには不都合であった。
【0009】また、韓国公開公報P2001−0051
84号では、ラビング処理により透過軸を傾けた偏光板
の提案がなされている。しかしながら、ラビングによる
配向規制はフィルム表面から最大でナノオーダーの部分
までしか効果が無いことは一般的に知られており、ヨウ
素・二色性色素などの偏光子を十分配向させることがで
きないため、結果として偏光性能が低いという欠点があ
った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題に鑑み、偏光板打ち抜き工程における得率を向上す
ることができ、しかも耐擦傷性、表面硬度に優れ、膜剥
がれやヒビ割れ、カールの生じにくいハードコート層を
備えた高性能な長尺な偏光板を提供することを目的とす
る。また、本発明の更なる目的は、寸度安定性、特に経
時安定性に優れ、かつ耐擦傷性にも優れた偏光板を提供
することにある。さらに、本発明の他の目的は、該偏光
板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、長尺の偏光板
に、吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない偏光膜
と、エチレン性不飽和基を含む化合物と同一分子内に3
個以上の開環重合性基を含む化合物とを含有する硬化性
組成物から形成されるハードコート層とを設けることに
より、上記課題を解決することを見出し本発明に到達し
た。
【0012】即ち、前記課題を解決するための手段は、
以下の通りである。 (1)吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない偏光膜
とハードコート層とを有する長尺の偏光板であって、該
ハードコート層の少なくとも1層がエチレン性不飽和基
を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重合性基を
含む化合物とを含有する硬化性組成物から形成されるこ
とを特徴とする偏光板。 (2)偏光膜の少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、
ハードコート層を有する偏光板であって、保護膜の遅相
軸と偏光膜の吸収軸との角度が10°以上90°未満で
あり、ハードコート層の少なくとも1層がエチレン性不
飽和基を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重合
性基を含む化合物とを含有する硬化性組成物から形成さ
れることを特徴とする偏光板。 (3)ハードコート層が単層である上記(1)または
(2)に記載の偏光板。 (4)同一分子内に3個以上の開環重合性基を含む化合
物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む
架橋性ポリマーである上記(1)〜(3)のいずれかに
記載の偏光板。
【0013】
【化2】
【0014】式中、R1は水素原子又はアルキル基を表
し、X1は開環重合性基を含む一価の基を表し、L1は単
結合又は二価の連結基を表す。 (5)開環重合性基がカチオン性重合性基である上記
(1)〜(4)のいずれかに記載の偏光板。 (6)硬化性組成物を活性エネルギー線で硬化させるこ
とでハードコート層を形成する上記(1)〜(5)のい
ずれかに記載の偏光板。 (7)硬化性組成物に架橋微粒子を含有させる上記
(1)〜(6)のいずれかに記載の偏光板。 (8)表面の鉛筆硬度が3H〜9Hである上記(1)〜
(7)のいずれかに記載の偏光板。 (9)ハードコート層の基材がプラスチックフィルムで
ある上記(1)〜(8)のいずれかに記載の偏光板。 (10)硬化後のハードコート層の層厚が1〜200μ
mである上記(1)〜(9)のいずれかに記載の偏光
板。 (11)硬化後のハードコート層の層厚が20〜200
μmである上記(10)に記載の偏光板。
【0015】(12)連続的に供給される偏光膜用のポ
リマーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持
手段をフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与し
て偏光膜を製造するに際して、偏光膜用のポリマーフィ
ルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解
除点までの保持手段の軌跡L1、偏光膜用のポリマーフ
ィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保
持解除点までの保持手段の軌跡L2及び二つの実質的な
保持解除点の距離Wが下記式(1)を満たし、かつ左右
のフィルム把持手段の長手方向の搬送速度差1%未満で
ある延伸方法によって該ポリマーフィルムを延伸して偏
光膜とし、その偏光膜を上記(1)〜(11)のいずれ
かに記載の偏光板の構成部材とすることを特徴とする偏
光板の製造方法。 式(1)|L2−L1|>0.4W
【0016】(13)液晶セルに配置された偏光板のう
ち、少なくとも1枚が上記(1)〜(11)のいずれか
に記載の偏光板から切り出された偏光板であることを特
徴とする液晶表示装置。
【0017】本発明の偏光板は、長尺の偏光板におい
て、上記の通り、吸収軸が長手方向に平行でも垂直でも
ない偏光膜とハードコート層を含有し、ハードコート層
の少なくとも1層がエチレン性不飽和基を含む化合物と
同一分子内に3個以上の開環重合性基を含む化合物とを
含有する硬化性組成物から形成されることを特徴とす
る。吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない偏光膜を
有する本発明の長尺の偏光板(かかる長尺の偏光板を以
下単に「斜め配向した」偏光板と称することもある)に
おいて、偏光膜の長手方向と吸収軸方向との傾斜角は、
10°以上90°未満であり、好ましくは20°以上7
0゜以下、より好ましくは40°以上50゜以下、更に
好ましくは44°以上46゜以下である。これにより、
長尺の偏光板からの打ち抜き工程において、得率よく単
板の偏光板を得ることができ、偏光膜上に設けられたハ
ードコート層も無駄にすることがない。
【0018】また、通常、長尺の偏光板(通常ロール形
態)を製造し、それを用途に合わせて打ち抜くことによ
り、実用上の偏光板が得られるものである。本発明にお
ける「偏光板」は、特に断らない限り、長尺の偏光板及
び該打ち抜いた偏光板の両者を含む意味で用いられる。
【0019】通常、偏光膜の少なくとも片面に延伸され
た保護膜(保護フィルム)が接着剤層を介して貼り合わ
される。本発明では、偏光膜の吸収軸と保護膜の遅相軸
との角度が10°以上90°未満とすることにより、寸
度安定性が格段と向上し、経時安定性にも優れた偏光板
を得ている。具体的には、図1において、吸収軸81を
有する偏光膜80の少なくとも片面に、遅相軸71を有
する保護膜70を、必要に応じて接着層75を介して張
り合わせた偏光板85において、偏光膜の吸収軸81と
保護膜の遅相軸71(即ち、点線の71’)との角度θ
が、10°以上90°未満であることを特徴とする。本
発明の偏光板は、この範囲内において優れた寸度安定性
を得ることができる。
【0020】ここで、偏光膜の吸収軸と保護膜の遅相軸
との角度については、偏光板の保護膜と偏光膜とを引き
離して、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸とを測定する
ことにより、なす角度を見積もることができる。
【0021】また、偏光膜の吸収軸は、該偏光板を吸収
軸既知の偏光板とクロスニコル状態で重ねたときに最大
の透過濃度を与える軸方向とする。一方、保護膜の遅相
軸は、保護膜面内の屈折率を測定し、最大屈折率を与え
る軸方向とする。保護膜の延伸軸と偏光膜の延伸軸との
角度とは、該軸方向のなす角度を言い、10°以上90
°未満である。偏光膜の透過濃度は、透過濃度計(例え
ばステータスMフィルターを装着したX Rite.
310TR)で測定でき、また、保護膜の屈折率は、偏
光解析計(例えば(株)島津製作所製偏光解析計AEP−
10)で測定できる。
【0022】更に、上記保護膜70の遅相軸71は、偏
光板の長手方向82又は横手方向83に平行であり、偏
光膜80の吸収軸81は、偏光板の長手方向82又は横
手方向83に対して45°の角度を有することが好まし
い。
【0023】本発明における延伸された保護膜の作成に
は、延伸工程を設けて延伸する他に、かかる独立した延
伸工程を設けないで、保護膜用のフィルム乾燥後の後加
熱工程で長手方向に付加的にかかる張力により延伸する
場合も含む。
【0024】上記偏光板は、それぞれ吸収軸を有する偏
光膜及び遅相軸を有する保護膜を、上記延伸軸の角度を
形成するように設計し、張り合わせることで容易に得る
ことができ、より好ましくは、図2に記載するような、
吸収軸81が長手方向82に平行でも垂直でもない偏光
膜(即ち、斜め配向した偏光膜)の少なくとも片面に、
遅相軸71が長手方向82に平行な保護膜を貼り合わせ
てなる長尺の偏光板を用いることである。これにより、
図2に示すようにして偏光板を打ち抜くことにより、偏
光板打ち抜き工程における得率を向上させることができ
る。
【0025】図2に示すような斜め配向した偏光膜は、
連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段
により保持し、該保持手段を該フィルムの長手方向に進
行させつつ張力を付与して延伸する方法であって、ポリ
マーフィルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的
な保持解除点までの保持手段の軌跡L1及びポリマーフ
ィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保
持解除点までの保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な
保持解除点の距離Wが上記式(1)を満たし、かつ左右
のフィルム把持手段の長手方向の搬送速度が1%未満で
ある延伸方法により製造することができる(以下、この
方法を特に、斜め延伸法と称する)。このようにして得
られる斜め延伸した偏光膜の少なくとも片面に、長手方
向に吸収軸を有する保護膜フィルムを連続的に貼り合わ
せることにより、長尺の偏光板を更に効率的に製造する
ことができる。
【0026】ハードコート層は、少なくとも1層がエチ
レン性不飽和基を含む化合物と同一分子内に3個以上の
開環重合性基を含む化合物とを含有する硬化性組成物を
塗布、硬化して形成されることを特徴とする。ハードコ
ート層は単層であっても複数層から構成されていてもよ
いが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。こ
の場合の単層とは同一組成物で形成されるハードコート
層であって、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のもので
あれば、複数回の塗布で形成されていてもよい。一方、
複数層とは組成の異なる複数の組成物で形成されること
を表す。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 <ハードコート層>本発明の偏光板は、少なくとも1層
がエチレン性不飽和基を含む化合物と同一分子内に3個
以上の開環重合性基を含む化合物とを含有する硬化性組
成物から形成されるハードコート層を有する。まず、本
発明で用いることのできる開環重合性基を含む化合物に
ついて説明する。開環重合性基を含む化合物とはカチオ
ン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進
行する環構造を有する化合物であり、この中でもヘテロ
環状化合物のカチオン開環重合が好ましい。このような
化合物としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テト
ラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カー
ボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノ
エーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキ
セタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
【0028】本発明で言う同一分子内に3個以上の開環
重合性基を有する化合物とは、上記のような環状構造を
3個以上同一分子内に有する化合物であれば得に制限が
ない。このような化合物の好ましい例としては、例えば
3官能グリシジルエーテル類(トリメチロールエタント
リグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグ
リシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテ
ル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌ
レートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソ
ルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリ
トールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック
樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック
樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、3官能以上の脂
環式エポキシ類(エポリードGT-301、エポリードGT-40
1、EHPE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノー
ルノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチル
エーテルなど)、3官能以上のオキセタン類(OX-SQ、P
NOX-1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げら
れるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】一方、同一分子内に1個もしくは2個の開
環重合性基を有する化合物も必要に応じて併用すること
ができ、好ましい化合物としては単官能または、2官能
のグリシジルエーテル類、単官能または2官能の脂環式
エポキシ類、単官能または2官能のオキセタン類が挙げ
られ、種々の市販もしくは公知の化合物を使用すること
ができる。
【0030】本発明では、同一分子内に3個以上の開環
重合性基を有する化合物として、一般式(1)で表され
る繰り返し単位を含む架橋性ポリマーを含有しているこ
とが特に好ましい。以下にこれら本発明の架橋性ポリマ
ーについて詳細に説明する。一般式(1)の式中、R1
は水素原子もしくは炭素原子数1以上4以下のアルキル
基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル着、t−ブチル基、s
ec−ブチル基など)を表し、好ましくは水素原子もし
くはメチル基である。L1は単結合もしくは二価の連結
基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、
アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO
−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−で
ある。X 1は開環重合性基を含む一価の基であり、好ま
しいX1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラ
ヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサ
ゾリン環などのイミノエーテル環などを含む一価の基が
挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキ
セタン環、オキサゾリン環を含む一価の基である。
【0031】本発明の一般式(1)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合
させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合
反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
【0032】以下に一般式(1)で表される繰り返し単
位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】本発明の一般式(1)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(1)で表
される繰り返し単位で構成されたコポリマーであっても
よく、また、一般式(1)以外の繰り返し単位(例えば
開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリ
マーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性を
コントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合
性基の含有量をコントロールする等の目的で、一般式
(1)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとする手
法は好適である。一般式(1)以外の繰り返し単位の導
入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手
法が好ましい。
【0037】一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応
するビニルモノマーを重合することによって導入する場
合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸
またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸な
ど)類から誘導されるエステル類、もしくはアミド類
(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−
ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタ
クリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリ
ン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルア
クリレート、i−プロピルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロ
ピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチ
ルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチ
ルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2
−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシ
エチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル
アクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、
3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトール
アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペ
ンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オク
タフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチル
アクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアク
リレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n
−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テト
ラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプ
ロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec
−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシ
エチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデ
シルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレー
ト、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニ
ルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イル
メチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニル
メチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリ
レートなど)、
【0038】アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸
(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニ
ルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸または
フマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチ
ル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マ
レイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン
酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム
塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類
(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレ
ン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロ
ルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロ
リドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシ
ンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−
メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾー
ル、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルス
ルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メ
タリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、
ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテ
ル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン
等が挙げられる。これらのビニルモノマーは2種類以上
組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノ
マーはリサーチディスクロージャーNo.1955(19
80年、7月)に記載されているものを使用することが
できる。本発明ではアクリル酸またはメタクリル酸から
誘導されるエステル類、およびアミド類、および芳香族
ビニル化合物が特に好ましく用いられるビニルモノマー
である。
【0039】一般式(1)以外の繰り返し単位として、
開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も架
橋性ポリマー中に導入することができる。特に、ハード
コート層の硬度を高めたい場合や、基材もしくはハード
コート層上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を
改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコ
ポリマーとする手法は好適である。開環重合性基以外の
反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビ
ニルモノマー(以下、反応性モノマーと称する)を共重
合する手法が簡便で好ましい。
【0040】以下に反応性モノマーの好ましい具体例を
以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0041】ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例え
ば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートな
ど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、
イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチル
メタクリレートなど)、N-メチロール基含有ビニルモ
ノマー(例えば、N-メチロールアクリルアミド、N-メ
チロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有
ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビ
ニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えば
クロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプ
ロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー
(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモ
ノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スル
フィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフ
ィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー
(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、酸
クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー
(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノ
マー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン)などが挙げられる。
【0042】本発明の一般式(1)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される
繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量
%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に
好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
【0043】一般式(1)で表される繰り返し単位を含
む架橋性ポリマーの好ましい分子量範囲は数平均分子量
で1000以上100万以下、さらに好ましくは300
0以上20万以下である。最も好ましくは5000以上
10万以下である。
【0044】以下に、一般式(1)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表1に示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
前記で具体例を挙げた一般式(1)で表される繰り返し
単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能な
モノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を
記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
【0045】
【表1】
【0046】以下、本発明に用いることのできるエチレ
ン性不飽和基を含む化合物について説明する。好ましい
エチレン性不飽和基の種類は、アクリロイル基、メタク
リロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特
に好ましくはアクリロイル基である。エチレン性不飽和
基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に1個以
上有していればよいが、好ましくは2個以上、より好ま
しくは3個以上である。そのなかでもアクリル基を有す
る化合物が好ましく、分子内に2〜6個のアクリル酸エ
ステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称され
る化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリ
レート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個
のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千
のオリゴマーを好ましく使用できる。
【0047】これら分子内に2個以上のアクリル基を有
する化合物の具体例としては、エチレングリコールジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート等のポリオールポリアクリレート類、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキ
サンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等
のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒド
ロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート
の反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げ
ることができる。
【0048】また、本発明では分子内に複数のエチレン
性不飽和基を有する化合物として一般式(2)で表され
る繰り返し単位を含む架橋性ポリマーも好ましく使用で
きる。以下、一般式(2)で表される繰り返し単位を含
む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
【0049】一般式(2)
【化6】 一般式(2)の式中、R2は水素原子もしくは炭素原子
数1以上4以下のアルキル基(メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブ
チル着、t−ブチル基、sec−ブチル基など)を表
し、好ましくは水素原子もしくはメチル基である。X2
はエチレン性不飽和基を含む一価の基であり、L2は単
結合もしくは二価の連結基であり、好ましくは単結合、
−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖
に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO
−、*−NHCO−である。X2はエチレン性不飽和基
を含む一価の基である。好ましいX2としては、アクリ
ロイル基、メタクリロイル基、スチリル基を含む一価の
基であり、最も好ましくはアクリロイル基を含む一価の
基である。
【0050】一般式(2)で表される繰り返し単位を含
む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて
直接エチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよ
く、任意の官能基を有するモノマーを重合して得られ
るポリマーに高分子反応によりエチレン性不飽和基を導
入する手法で合成してもよい。また、およびの手法
を組み合わせて合成することもできる。重合反応として
はラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙
げられる。前記、の方法を用いる場合、重合反応によ
り消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に
残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用するこ
とが必要である。例えば、一般式(2)の好ましいX2
のなかで、アクリロイル基、メタクリロイル基を含む一
価の基を用いる場合、架橋性ポリマーを生成させる重合
反応をカチオン重合とすることで前記の手法によって
本発明の架橋性ポリマーを得る事ができる。一方、X2
をスチリル基を含む一価の基とする場合、ラジカル重
合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとっ
てもゲル化が進行しやすいため通常前記の手法によっ
て本発明の架橋性ポリマーを合成する。
【0051】このように前記に記述した高分子反応を
利用する手法は一般式(2)中に導入されるエチレン性
不飽和基の種類によらず、架橋性ポリマーを得ることが
可能であり、有用である。ここで高分子反応は、例えば
2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなI)エ
チレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポ
リマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化
反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導
する方法と、II)任意の官能基を含むポリマーを生成
させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が
進行し、共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽
和基の両方を有する化合物(以降、反応性モノマーと称
する)を反応させる方法が挙げられる。また、これら
I)、II)の方法は組み合わせて行ってもよい。ここ
で言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いら
れる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であ
れば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマー
に含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲ
ル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ま
しくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が
進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる
目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重
合禁止剤を用いてもよい。
【0052】以下に、好ましい高分子結合形成反応が進
行する官能基の組み合わせの例を挙げるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0053】加熱もしくは室温で反応が進行する官能基
の組み合わせとしては、(イ)ヒドロキシル基に対し
て、エポキシ基、イソシアネート基、N-メチロール
基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸
クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
ホルミル基、アセタール基、(ロ)イソシアネート基に
対してヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カル
ボキシル基、N-メチロール基、(ハ)カルボキシル基
に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、
N-メチロール基、(ニ)N-メチロール基に対して、イ
ソシアネート基、N-メチロール基、カルボキシル基、
アミノ基、ヒドロキシル基、(ホ)エポキシ基に対し
て、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボ
キシル基、N-メチロール基、(ヘ)ビニルスルホン基
に対してスルフィン酸基、アミノ基、(ト)ホルミル基
に対してヒドロキシル基、メルカプト基、活性メチレン
基、(チ)メルカプト基に対して、ホルミル基、ビニル
基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシ
アネート基、 N-メチロール基、カルボキシル基、アル
キルハライド、酸無水物酸クロライド、活性エステル基
(例えば硫酸エステル)、(リ)アミノ基に対して、ホ
ルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エ
ポキシ基、イソシアネート基、 N-メチロール基、カル
ボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライ
ド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、などの組
み合わせが挙げられる。
【0054】以下に、反応性モノマーの好ましい具体例
を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0055】ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例え
ば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートな
ど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、
イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチル
メタクリレートなど)、N-メチロール基含有ビニルモ
ノマー(例えば、 N-メチロールアクリルアミド、N-
メチロールメタクリルアミドなど)、エポキシ基含有ビ
ニルモノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、C
YCLOMER−M100、A200(ダイセル化学工
業(株)製)など)、カルボキシル基含有ビニルモノマー
(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カル
ボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキ
ルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルス
チレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリ
レート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイ
ン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えば
アクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有
ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウ
ム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセト
アセトキシエチルメタクリレート)、ビニル基含有ビニ
ルモノマー(例えばアリルメタクリレート、アリルアク
リレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリ
ル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基
含有モノマー(例えばアリルアミン)、が挙げられる。
【0056】前記II)に記載した任意の官能基を含む
ポリマーは、反応性官能基とエチレン性不飽和基の両方
を有する反応性モノマーの重合を行うことで得ることが
できる。また、ポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリ
ビニルアルコールのように反応性の低い前駆体モノマー
の重合後、官能基変換を行うことで得ることもできる。
これらの場合の重合方法としては、ラジカル重合が最も
簡便で好ましい。
【0057】以下に、一般式(2)で表される繰り返し
単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0058】
【化7】
【0059】
【化8】
【0060】
【化9】
【0061】
【化10】
【0062】
【化11】
【0063】本発明の一般式(2)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(2)で表
される繰り返し単位で構成されたコポリマーであっても
よく、また、一般式(2)以外の繰り返し単位(例えば
エチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位)を含んだ
コポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎
水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーのエ
チレン性不飽和基の含有量をコントロールする等の目的
で、一般式(2)以外の繰り返し単位を含んだコポリマ
ーとする手法は好適である。一般式(2)以外の繰り返
し単位の導入方法は、a)対応するモノマーを共重合さ
せて直接導入する手法を用いてもよく、b)官能基変換
可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導
入する手法を用いてもよい。また、a)およびb)の手
法を組み合わせて導入することもできる。
【0064】a)の手法によって一般式(2)以外の繰
り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合すること
によって導入する場合、好ましく用いられるモノマーと
しては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例
えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類、
もしくはアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリル
アミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチ
ルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリ
ルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリ
ロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル
−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブチルアクリ
レート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレ
ート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチル
アクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−
メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−ト
リフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチ
ルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エ
チルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアク
リレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルア
クリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n
−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレー
ト、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2
−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロ
デシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、
メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチ
ルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレ
ート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、 n−ブチルメタクリレート、i−ブチ
ルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n
−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エ
トキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n−オ
クタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリ
レート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−
ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メ
チル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートなど)、
【0065】アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸
(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニ
ルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸または
フマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチ
ル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マ
レイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン
酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム
塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類
(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレ
ン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロ
ルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロ
リドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシ
ンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−
メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾー
ル、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルス
ルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メ
タリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、
ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテ
ル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン
等が挙げられる。これらのビニルモノマーは2種類以上
組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノ
マーはリサーチディスクロージャーNo.1955(19
80年、7月)に記載されているものを使用することが
できる。本発明ではアクリル酸またはメタクリル酸から
誘導されるエステル類、およびアミド類、および芳香族
ビニル化合物が特に好ましく用いられるビニルモノマー
である。
【0066】また、一般式(2)で表される繰り返し単
位を前記のように高分子反応で導入し、反応を完結さ
せない場合、エチレン性不飽和基をプレカーサー化した
官能基や反応性官能基を含む繰り返し単位を有する共重
合体となるが、本発明では特に制限なく用いることがで
きる。
【0067】上記で挙げたビニルモノマーから誘導され
るエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位の大部分
は、前述したb)官能基変換可能な前駆体モノマーを重
合させ、高分子反応により導入することも可能である。
一方で、本発明の一般式(2)で表される繰り返し単位
を含む架橋性ポリマーは、高分子反応によってのみでし
か、導入できない一般式(2)以外の繰り返し単位を含
んでいてもよい。典型的な例としてポリ酢酸ビニルを変
性して得られるポリビニルアルコールやポリビニルアル
コールのアセタール化反応によって得られるポリビニル
ブチラール等を挙げることができる。これらの繰り返し
単位の具体的な例を以下に示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0068】
【化12】
【0069】本発明の一般式(2)で表される繰り返し
単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(2)で表される
繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量
%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に
好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
【0070】一般式(2)で表される繰り返し単位を含
む架橋性ポリマーの好ましい分子量範囲は数平均分子量
で1000以上100万以下、さらに好ましくは300
0以上20万以下である。最も好ましくは5000以上
10万以下である。
【0071】以下に一般式(2)で表される繰り返し単
位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表2に示すが、
本発明はこれに限定されるものではない。なお、前記で
具体例を挙げた一般式(2)で表される繰り返し単位と
ポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げ
た具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導
される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組
成比を質量%で付記した。
【0072】
【表2】
【0073】本発明に用いることのできる開環重合性基
を有する化合物として、一般式(1)および(2)で表
される両方の繰り返し単位を含むポリマーも挙げること
ができる。この場合の一般式(1)および(2)の好ま
しい繰り返し単位としては、前記したものと同じであ
る。また、一般式(1)および(2)以外の繰り返し単
位を含んだコポリマーであってもエチレン性不飽和基お
よび開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位
を含んだコポリマーであってもよい。
【0074】一般式(1)および(2)で表される両方
の繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)
で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以
上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以
下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、
一般式(2)で表される繰り返し単位が含まれる割合
は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以
上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%
以下である。
【0075】一般式(1)および(2)で表される両方
の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい分子量
範囲は数平均分子量で1000以上100万以下、さら
に好ましくは3000以上20万以下である。最も好ま
しくは5000以上10万以下である。
【0076】一般式(1)および(2)で表される両方
の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表
3に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、前記で具体例を挙げた一般式(1)および
(2)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコール
などの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表
し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位
は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記
した。
【0077】
【表3】
【0078】以下に、本発明のポリマーの合成例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (合成例1)例示化合物K−1の合成 メチルエチルケトン(MEK)275mlを窒素気流
下、60℃で1時間攪拌後、これに2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業
(株)製。商品名;V−65。以下、V−65)0.5g
をMEK8.3mlに溶解した溶液を全量添加し、次い
で、グリシジルメタクリレート(50g)を2時間かけ
て滴下した。滴下終了後、V−65(0.5g)のME
K(8.3ml)溶液を添加し、2時間反応させた。そ
の後、反応温度を80℃として2時間反応させた。反応
終了後、室温まで冷却した。得られた反応溶液をヘキサ
ン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時
間減圧乾燥し、K−1を45g得た。
【0079】(合成例2)例示化合物P−1の合成 下記反応経路に従って、例示化合物P−1の合成を行っ
た。
【0080】
【化13】
【0081】(1)反応器で1b(3.0mol)をテ
トラヒドロフラン(THF)1400mlに溶解し、反
応器を5℃に冷却した。そこに1a(3.15mol)
を1時間かけて滴下し、6時間反応させた。得られた反
応溶液を30℃で減圧濃縮後、減圧蒸留を行った。13
3Pa減圧下で118〜121℃の留分を採取し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:アセトン/
ヘキサン=5/95(体積比))にて精製し、1cを3
62g得た。
【0082】(2)MEK275mlを窒素気流下、6
0℃で1時間攪拌後、このMEKに0.5gのV−65
をMEK8.3mlに溶解した溶液を全量添加した。そ
の後、1c(50g)を2時間かけて滴下した。滴下終
了後、V−65(0.5g)のMEK(8.3ml)溶
液を添加し、2時間反応させた。その後、反応温度を8
0℃として2時間反応させた。反応終了後、室温まで冷
却した。得られた反応溶液をヘキサン10Lに1時間か
けて滴下し、沈殿物を35℃、8時間減圧乾燥し、1d
を43g得た。
【0083】(3)1d(43g)をアセトン(390
ml)に溶解し、5℃に冷却した。そこにトリエチルア
ミン(390mmol)を1時間かけて滴下した。滴下
終了後、室温で24時間反応させた。その後、反応容器
を5℃に冷却し、6規定の塩酸水溶液29.3mlを1
時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。得
られた反応溶液に酢酸エチル(1L)と10質量%の塩
化ナトリウム水溶液(1L)を加えて攪拌後、水層を分
離した。更に有機層を10質量%の塩化ナトリウム水溶
液(1L)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムを100g添
加して1時間乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾別した。
得られた溶液を500mlまで濃縮後、ヘキサン10L
に1時間かけて滴下し、沈殿物を20℃、8時間減圧乾
燥し、例示化合物P−1を33g得た。
【0084】(合成例3) 例示化合物P−19の合成 ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−10
5:鹸化度98.5%)30gをジメチルスルホキシド
(DMSO)1000mlに溶解後、ピリジン(200
ml)とニトロベンゼン10mlとをそれぞれ添加し、
10℃まで冷却した。その後、無水アクリル酸100m
lを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で24時
間反応させた。得られた反応溶液を水20Lに1時間か
けて滴下し、沈殿物を1Lの酢酸エチルに溶解し、2規
定の塩酸水溶液(1L)で2回洗浄した。さらに10質
量%の塩化ナトリウム水溶液(1L)で2回洗浄し、硫
酸ナトリウムを100g添加して1時間乾燥した後、硫
酸ナトリウムを濾別した。得られた溶液を500mlま
で濃縮後、ヘキサン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿
物を20℃、8時間減圧乾燥し、例示化合物P−19を
28g得た。
【0085】(合成例4)例示化合物C−1の合成 下記反応経路に従って、例示化合物C−1の合成を行っ
た。
【0086】
【化14】
【0087】(1)反応器で1b(3.0mol)をT
HF1400mlに溶解し、反応器を5℃に冷却した。
そこに1a(3.15mol)を1時間かけて滴下し、
その後6時間反応させた。得られた反応溶液を30℃で
減圧濃縮後、減圧蒸留を行った。133Pa減圧下で1
18〜121℃の留分を採取し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出液:アセトン/ヘキサン=5/9
5(体積比))にて精製し、1cを362g得た。
【0088】(2)MEK(275ml)を窒素気流
下、60℃で1時間攪拌後、このMEKにV−65
(0.5g)をMEK(8.3ml)に溶解した溶液を
全量添加した。その後、1c(41.9g)とグリシジ
ルメタクリレート(15.0g)との混合物を2時間か
けて滴下し、滴下終了後、V−65(0.5g)のME
K(8.3ml)溶液を添加し、2時間反応させた。そ
の後、反応温度を80℃として2時間反応させた。反応
終了後、室温まで冷却した。得られた反応溶液をヘキサ
ン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時
間減圧乾燥し、1dを49g得た。
【0089】(2)1d(49g)をアセトン(390
ml)に溶解し、5℃に冷却した。そこにトリエチルア
ミン(390mmol)を1時間かけて滴下させ、滴下
終了後、室温で24時間反応させた。その後、反応容器
を5℃に冷却し、6規定の塩酸水溶液29.3mlを1
時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間攪拌させた。得
られた反応溶液に酢酸エチル(1L)と10質量%の塩
化ナトリウム水溶液(1L)を加えて攪拌後、水層を分
離した。更に有機層を10質量%の塩化ナトリウム水溶
液(1L)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムを100g添
加して1時間乾燥した後、硫酸ナトリウムを濾別した。
得られた溶液を500mlまで濃縮後、ヘキサン10L
に1時間かけて滴下し、沈殿物を20℃、8時間減圧乾
燥し、例示化合物C−1(x/y=70/30質量%)
を36g得た。
【0090】本発明の偏光板において、ハードコート層
は、上記エチレン性不飽和基を含む化合物と上記同一分
子内に3個以上の開環重合性基を含む化合物とを含有す
る硬化性組成物を所望の基材上に塗布し、硬化反応させ
ることにより形成することができる。エチレン性不飽和
基を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重合性基
を含む化合物との混合比は、用いる化合物の種類によっ
ても異なるため特に制限はないが、両者の合計を100
質量%として、エチレン性不飽和基を含む化合物の割合
が30質量%以上90質量%以下、好ましくは50質量
%以上80質量%以下である。
【0091】本発明において、硬化性組成物を所望の基
材上に塗布し、硬化反応させる際、エチレン性不飽和基
を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重合性基を
含む化合物とがそれぞれ架橋反応が進行することが好ま
しい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカ
ル重合反応であり、また、開環重合性基の好ましい架橋
反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も熱及び
/又は光の作用により、重合反応を進行させることがで
きる。該重合反応は、通常、重合開始剤と称される少量
のラジカル発生剤又はカチオン発生剤(もしくは酸発生
剤)を添加し、熱及び/又は光によりこれらを分解し、
ラジカルもしくはカチオンを発生させて重合反応を進行
させる方法が一般的である。ラジカル重合とカチオン重
合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好
ましい。該重合反応は、ラジカル発生剤を添加せずに架
橋反応を進行させる方法として単に加熱する方法もある
が、電子線などの活性エネルギー線を照射する方法が好
ましく用いられる。
【0092】上記硬化反応において、硬化性組成物を塗
布する基材としてプラスチックフイルムを用い、加熱に
より硬化反応を行う場合には、プラスチックフイルム自
身の耐熱性が低いため、できるだけ低温で硬化反応を行
うことが好ましい。その場合の硬化反応の温度は、14
0℃以下、好ましくは100℃以下である。また、光の
作用により硬化反応を行う場合には、低温で架橋反応が
進行する場合が多く、好ましく用いられる。更に、硬化
反応を行う方法として、放射線、ガンマー線、アルファ
ー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を利用する
方法が好ましく、その中でも紫外線によりラジカル又は
カチオンを発生させるラジカル発生剤又はカチオン発生
剤(もしくは酸発生剤)を添加し、紫外線により硬化さ
せる方法が特に好ましい。また、紫外線を照射した後、
加熱することにより、さらに硬化を進行させることがで
きる場合があり好ましく用いることができる。この場合
の好ましい加熱温度は140℃以下である。
【0093】紫外線によってカチオンを発生させる光酸
発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリ
ールヨードニウム塩などのイオン性の化合物やスルホン
酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物
が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、“イ
メージング用有機材料”ぶんしん出版社刊(1997)
などに記載されている化合物等種々の公知の光酸発生剤
が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩
もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF
6 -、SbF6 -,AsF6 -,B(C654 -などが好まし
い。ラジカル発生剤としてはアセトフェノン類、ベンゾ
フェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエー
ト、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラ
メチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン
等が含まれる。また、上記酸発生剤として用いられるス
ルホニウム塩やヨードニウム塩等も紫外線照射によりラ
ジカル発生剤として作用する。また、感度を高める目的
で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤
としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ
−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が挙
げられる。重合開始剤は、それぞれ組み合わせて用いて
もよいし、単独でラジカルとカチオンの両方を発生させ
るような化合物の場合など単独で用いることができる。
【0094】硬化性組成物中の重合開始剤の添加量は、
硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基を含む化
合物と同一分子内に3個以上の開環重合性基を含む化合
物との総質量に対し、0.1乃至15質量%、好ましく
は1乃至10質量%の範囲から適宜選択される。
【0095】エチレン性不飽和基を含む化合物及び同一
分子内に3個以上の開環重合性基を含む化合物は、通
常、固体もしくは高粘度液体であるため、両者を含有す
る硬化性組成物の塗布は、両者が水溶性の場合や水分散
物とした場合は水溶液で塗布することもできるが、両者
を有機溶媒に溶解して塗布することが好ましい。有機溶
媒としては、エチレン性不飽和基を含む化合物と同一分
子内に3個以上の開環重合性基を含む化合物とが可溶な
ものであれば特に制限なく使用できる。有機溶媒の具体
例としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプ
ロパノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル
類等が挙げられる。これら有機溶媒はそれぞれ単独で用
いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。また、
上記同一分子内に1個もしくは2個の開環重合性基を含
む化合物を硬化性組成物中に含有させる場合には、該化
合物が低分子量の化合物を用いれば、硬化性組成物の粘
度を調節することが可能であり、有機溶媒を用いなくて
も塗布可能とすることもできる。
【0096】本発明で用いられる硬化性組成物には、必
要に応じて架橋微粒子を添加することができる。架橋微
粒子を添加すると、ハードコート層の硬化収縮量を低減
できるため基材との密着性が向上し、更に基材がプラス
チックフイルムである場合には、カールを低減できる。
架橋微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−
無機複合微粒子のいずれも特に制限なく使用できる。
【0097】無機微粒子としては、例えば二酸化ケイ素
粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化
アルミニウム粒子等が挙げられる。無機微粒子は一般に
硬質であり、ハードコート層に充填させることで硬化時
の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高める
ことができる。
【0098】一般に無機微粒子は本発明のポリマーや多
官能ビニルモノマーなどの有機成分との親和性が低いた
め、これらと単に混合するだけでは凝集体を形成した
り、硬化後のハードコート層がひび割れやすくなる場合
がある。そのため、本発明においては、無機微粒子と有
機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セ
グメントを含む表面修飾剤で処理することができる。該
表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒
子に吸着しうる官能基を有する化合物、有機成分と高い
親和性を有する官能基を有する化合物が挙げられる。無
機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官
能基を有する化合物としては、シラン、アルミニウム、
チタニウム、ジルコニウム等の金属の金属アルコキシド
や、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基等のアニ
オン性基を有する化合物が好ましい。有機成分と高い親
和性を有する官能基を有する化合物の該官能基として
は、単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでも
よいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好まし
く、特にエチレン性不飽和基、開環重合性基が好まし
い。該表面修飾剤は、中でも無機微粒子と結合を形成す
るか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い
親和性を有する官能基とを同一分子内に有する化合物が
好ましく、より好ましくは金属アルコキシドもしくはア
ニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基
とを同一分子内に有する化合物である。
【0099】上記表面修飾剤の好ましい例として、以下
の不飽和二重結合を有するカップリング剤やリン酸、ス
ルホン酸、カルボン酸化合物等が挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。 S−1 H2C=C(X)COOC36Si(OC
33 S−2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC2
53 S−3 H2C=C(X)COOC24OCOC510
OPO(OH)2 S−4 (H2C=C(X)COOC24OCOC5
10O)2POOH S−5 H2C=C(X)COOC36OSO3K S−6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
H S−7 H2C=C(X)COOC510COOH (X=H、あるいはCH3をあらわす)
【0100】これらの無機微粒子の表面修飾処理は、溶
液中で行うことが好ましい。表面修飾処理は、無機微粒
子を機械的に微細分散する時に表面修飾剤を共存させる
方法、無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添
加して攪拌する方法、無機微粒子を微細分散する前に、
必要に応じて加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更
を行う等を行って表面修飾剤により表面修飾する方法等
が挙げられる。表面修飾処理に用いられる溶媒として
は、極性の高い有機溶剤が好ましい。有機溶剤の具体例
としては、アルコール類、ケトン類、エステル類等の公
知の有機溶剤が挙げられる。また、微細分散するのに用
いられる分散機としては、超音波分散機、ディスパー、
ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイント
シェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガー
ミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ま
しい。
【0101】有機微粒子としては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナ
イロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、
ポリ(メタ)アクリル酸エステル類およびアミド類、ポ
リ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロー
ス、ポリジメチルシロキサン等の汎用樹脂を架橋させた
ものやSBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子が挙げられ
る。有機微粒子は、軟質なゴム粒子から硬質粒子まで任
意に選択できる。例えば、上記したような硬度の高い無
機微粒子は、ハードコート層に対する添加量を上げてい
くと硬化収縮量や硬度は向上するが、該層がもろく割れ
やすくなる場合がある。このような場合、硬度を任意に
調節した有機微粒子を同時に添加することで該層を割れ
にくくすることができるため好ましい。また、硬度の高
いコアと硬度の低いシェルまたは硬度の低いコアと硬度
の高いシェルのようなコア−シェル粒子とすることもで
きる。更に、ハードコート層中もしくは塗布溶媒、即ち
硬化性組成物中での分散安定性を確保する目的で親疎水
性を変えたコア−シェル粒子とすることも好ましい。更
にまた、コアに無機微粒子を用いた有機−無機複合微粒
子とすることもできる。これら架橋微粒子をコア−シェ
ル粒子とする場合、コア部とシェル部の両方が架橋され
ていてもよいし、いずれか一方が架橋されていてもよ
い。
【0102】本発明で用いられる架橋微粒子の平均粒子
径は、1〜20000nmであり、好ましくは2〜10
00nm、より好ましくは5〜500nm、更に好まし
くは10〜200nmである。なお、該平均粒子径は、
個々の粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径の平均
値である。架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板
状など特に制限なく使用できる。
【0103】架橋微粒子を硬化性組成物に添加する場合
の添加量は、硬化反応後のハードコート層中の架橋微粒
子の含有量が、1乃至60体積%、好ましくは3乃至4
0体積%の範囲となることが好ましい。
【0104】本発明において、硬化性組成物から形成さ
れるハードコート層の膜厚は、塗布する基材の硬度によ
っても異なり、ハードコート層の膜厚を厚くすることに
より硬度が高く、ひび割れた膜剥がれが生じにくいとい
う効果が顕著に現れる。このましい膜厚としては、1〜
200μm、好ましくは20〜200μm、より好まし
くは30〜200μm、更に好ましくは40〜200μ
m、最も好ましくは50〜200μmである。
【0105】本発明で用いられる硬化性組成物を塗布す
る基材は、透明支持体が用いられる。透明支持体として
は、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プ
ラスチックフイルムを形成するポリマーとしては、例え
ば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等
のセルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィ
ン等が挙げられ、中でもトリアセチルセルロースが好ま
しい。トリアセチルセルロースは、偏光板の偏光膜を保
護する保護膜として好ましく用いられるため、この保護
膜を基材として、ハードコート層をそのまま保護膜上に
設けることがコストの上では好ましい。
【0106】透明支持体の厚さは、薄すぎると膜強度が
弱く、厚すぎるとスティフネスが大きくなり過ぎるた
め、好ましくは20〜500μm、より好ましくは80
〜200μmの範囲から適宜選択される。偏光板の保護
膜をハードコート層の基材とした場合、ハードコート層
と基材(保護膜)の総厚は20〜600μmが好まし
く、80〜300μmがより好ましい。
【0107】本発明で用いられる硬化性組成物から形成
されるハードコート層の表面の硬度は、該硬化性組成物
を塗布する基材の種類によっても異なるが、高いことが
好ましい。本発明で言う表面の硬度は、JIS K54
00で定義される鉛筆硬度で表すことができ、ハードコ
ート層の表面を直接鉛筆で引っかくことにより、硬度を
評価することができる。ハードコート層の表面の硬度
は、鉛筆硬度で、3H〜9H、好ましくは4H〜9H、
より好ましくは5H〜9Hである。
【0108】ハードコート層は、エチレン性不飽和基を
含む化合物、同一分子内に3個以上の開環重合性基を含
む化合物、重合開始剤、架橋微粒子、及び溶媒等を含有
する硬化性組成物を基材上に塗布した後、硬化反応させ
ることにより形成される。該硬化性組成物には、必要に
応じて、更に紫外線吸収剤、塗布性改良のための界面活
性剤、帯電防止剤等、従来から用いられる公知の添加剤
を添加してもよい。
【0109】硬化性組成物の基材への塗布方法として
は、カーテンコーティング、ディップコーティング、ス
ピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーテ
ィング、ロールコーティング、スライドコーテティン
グ、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワ
イヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
【0110】さらに、基材とハードコート層の接着性を
向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法
や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記
表面処理法としては、例えば薬品処理、機械的処理、コ
ロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿
式)、火焔処理、高周波処理、熱風処理、オゾン処理、
紫外線照射処理、活性プラズマ処理、混酸処理等が挙げ
られる。更に、一層以上の下塗り層を設けることが出来
る。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、スチレ
ン、ビニルエステル等の共重合体またこれらのラテック
ス、ポリエステル、ポリウレタン、およびゼラチン等の
水溶性ポリマー等が挙げられる。
【0111】本発明のハードコート処理物品はハードコ
ート層上に、反射防止層、紫外線・赤外線吸収層、選択
波長吸収性層、電磁波シールド層や防汚性層等の各種機
能を有する機能性層を設けることができる。これらの機
能性層は、従来公知の技術で作製することができる。ま
た、これら機能性層と本発明のハードコート処理物品の
ハードコート層の接着性を向上させる目的で、ハードコ
ート層上に表面処理を施したり、接着層を設けたりする
ことができる。表面処理法としては、前記、基材の表面
処理方法として挙げた方法が好ましく使用できる。ま
た、接着層としては前記、基材上に施される下塗り層で
挙げた素材が好ましく使用できる。
【0112】<偏光膜>次いで、偏光膜について詳述す
る。本発明において、延伸される偏光膜に用いられるポ
リマーフィルムに関しては特に制限はなく、熱可塑性
で、揮発性溶剤に可溶の適宜なポリマーからなるフィル
ムを用いることができる。ポリマーの例としては、PV
A、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリス
ルホン等が挙げられる。
【0113】延伸前のフィルムの厚味は特に限定されな
いが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点か
ら、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特
に好ましい。
【0114】特に、偏光膜用に用いられるポリマーとし
ては、PVAが好ましく用いられる。PVAは通常、ポ
リ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和
カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニル
エーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含
有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン
酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有す
る変性PVAも用いることができる。
【0115】PVAのケン化度は特に限定されないが、
溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、
90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重
合度は特に限定されないが、1000〜10000が好
ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0116】<染色処方・方法>PVAを染色して偏光
膜が得られるが、染色工程は気相または液相吸着により
行われる。液相で行う場合の例として、ヨウ素を用いる
場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィ
ルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/
L、ヨウ化カリウムは1〜200g/L、ヨウ素とヨウ
化カリウムの重量比は1〜200が好ましい。染色時間
は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が
好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あ
るいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可
能である。染色工程は、本発明の延伸工程の前後いずれ
に置いても良いが、適度に膜が膨潤され延伸が容易にな
ることから、延伸工程前に液相で染色することが特に好
ましい。
【0117】<偏光子>ヨウ素の他に二色性色素で染色
することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例
えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色
素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキ
サジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素
等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のもの
が好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性
分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置
換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具
体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロ
ー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シ
ー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダ
イレクト.レッド 39、シー.アイ.ダイレクト.レ
ッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド 81、シ
ー.アイ.ダイレクト.レッド 83、シー.アイ.ダ
イレクト.レッド 89 、シー.アイ.ダイレクト.バ
イオレット 48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 6
7、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.ア
イ.ダイレクト.グリーン 59、シー.アイ.アシッ
ド.レッド 37等が挙げられ、さらに特開昭62−7
0802号、特開平1−161202号、特開平1−1
72906号、特開平1−172907号、特開平1−
183602号、特開平1−248105号、特開平1
−265205号、特開平7−261024号等の各公
報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊
離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種
以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子
を製造することができる。偏光素子または偏光板として
偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や
黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが
単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
【0118】<硬膜剤・金属塩添加>PVAを延伸して
偏光膜を製造する過程では、PVAに架橋させる添加物
を用いることが好ましい。特に本発明の斜め延伸法を用
いる場合、延伸工程出口でPVAが十分に硬膜されてい
ないと、工程のテンションでPVAの配向方向がずれて
しまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で
架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ま
せるのが好ましい。架橋剤をPVAフィルムに付与する
手段は、特に限定されるものではなく、フィルムの液へ
の浸漬、塗布、噴霧等任意の方法を用いることができる
が、特に浸漬法、塗布法が好ましい。塗布手段としては
ロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコー
タ、カーテンコータ等、通常知られている任意の手段を
とることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多
孔質素材等をフィルムに接触する方式も好ましい。架橋
剤としては、米国再発行特許第232897号明細書に
記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に
好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニ
ウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属の塩も併せて用
いることができる。また、架橋剤を添加した後に、洗浄
・水洗工程を設けてもよい。架橋剤の付与は、延伸機に
噛み込む前に行ってもよいし、噛み込んだ後に行っても
良く、幅方向延伸が実質的に終了する図3及び図4の例
の(b)工程の終端までのいずれかの工程で行えばよ
い。
【0119】また、PVA,ポリ塩化ビニルを脱水、脱
塩素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結
合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製
造にも、本発明の延伸方法は好ましく用いることができ
る。
【0120】<保護膜>本発明で製造された偏光膜は、
両面あるいは片面に保護膜を貼り付けて偏光板として用
いられる。保護膜の種類は特に限定されず、セルロース
アセテート、セルロースアセテートブチレート等のセル
ロースアシレート類、ポリカーボネート、ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができ
る。偏光板の保護膜には、透明性、適度な透湿度、低複
屈折性、適度な剛性といった物性が求められ、総合的に
みるとセルロースアシレート類が好ましく、特にセルロ
ースアセテートが好ましい。
【0121】保護膜の物性は、用途に応じ任意の値が可
能であるが、通常の透過型LCDに用いる場合の代表的
な好ましい値を以下に示す。膜厚は取り扱い性や耐久性
の観点から5〜500μmが好ましく、20〜200μ
mがより好ましく、20〜100μmが特に好ましい。
レターデーション値は632.8nmにおいて0〜15
0nmが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜
5nmが特に好ましい。保護膜の遅相軸は、偏光膜の吸
収軸と実質的に平行または直交させることが、直線偏光
の楕円化を避ける観点から好ましい。但し、保護膜に位
相差板等、偏光性を変化させる機能を持たせる場合に
は、この限りではなく、偏光板の吸収軸と保護膜の遅相
軸は任意の角度をとることができる。可視光線透過率は
60%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。9
0℃120時間処理後の寸度減少は、0.3〜0.01
%であることが好ましく、0.15〜0.01%である
ことが特に好ましい。フィルムの引っ張り試験による抗
張力値は、50〜1000MPaが好ましく、100〜
300MPaが特に好ましい。フィルムの透湿度は、1
00〜800g/m2・dayが好ましく、300〜6
00g/m2・day が特に好ましい。無論、本発明の
適用は、以上の値に限定されるものではない。
【0122】保護膜として好ましいセルロースアシレー
トの詳細について、以下に示す。好ましいセルロースア
シレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式
(i)〜(iv)の全てを満足するものである。
【0123】(i) 2.6≦A+B≦3.0 (ii) 2.0≦A≦3.0 (iii) 0≦B≦0.8 (iv) 1.9<A−B ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換され
ているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換
度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度であ
る。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基が
あり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を
表すもので、最大の置換度が3.0である。セルロース
トリアセテートは一般にAの置換度が2.6以上3.0
以下であり(この場合、置換されなかった水酸基が最大
0.4もある)、B=0の場合がセルローストリアセテ
ートである。偏光板保護膜として用いるセルロースアシ
レートは、アシル基が全部アセチル基のセルローストリ
アセテート、及びアセチル基が2.0以上で、炭素原子
数が3〜5のアシル基が0.8以下、置換されなかった
水酸基が0.4以下のものが好ましい。炭素原子数3〜
5のアシル基の場合、0.3以下が物性の点から特に好
ましい。なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換す
る酢酸及び炭素原子数3〜5の脂肪酸の結合度を測定
し、計算によって得られる。測定方法としては、AST
MのD−817−91に準じて実施することができる。
【0124】アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシ
ル基はプロピオニル基(C25CO−)、ブチリル基
(C37CO−)(n−、iso−)、バレリル基(C
49CO−)(n−、iso−、sec−、tert
−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムにした
時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特にn−
プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置換度
が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原子数
3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶媒への溶解性
は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であれば
良好な物性を示す。
【0125】セルロースアシレートの重合度(粘度平
均)は200〜700が好ましく、特に250〜550
のものが好ましい。粘度平均重合度はオストワルド粘度
計で測定することができ、測定されたセルロースアシレ
ートの固有粘度[η]から下記式により求められる。 DP=[η]/Km (式中DPは粘度平均重合度、K
mは定数6×10-4
【0126】セルロースアシレート原料のセルロースと
しては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、いず
れの原料セルロースから得られるセルロースアシレート
でも使用できるし、混合して使用してもよい。
【0127】上記セルロースアシレートは、通常ソルベ
ントキャスト法により製造される。ソルベントキャスト
法は、セルロースアシレートおよび各種添加剤を溶媒に
溶解して濃厚溶液(以下、ドープと称する)を調製し、
これをドラムまたはバンドのような無端支持体上に流延
し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成するものである。
ドープは、固形分量が10〜40重量%となるように濃
度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表
面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベ
ントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
同2492078号、同2492977号、同2492
978号、同2607704号、同2739069号、
同2739070号、英国特許640731号、同73
6892号の各明細書、特公昭45−4554号、同4
9−5614号、特開昭60−176834号、同60
−203430号、同62−115035号の各公報に
記載がある。
【0128】2層以上のドープを流延する方法も好まし
く用いられる。複数のドープを流延する場合、支持体の
進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からドープ
を含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィル
ムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414
号、特開平1−122419号、特開平11−1982
85号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの
流延口からセルロースアシレート溶液を流延することに
よってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭6
0−27562号、特開昭61−94724号、特開昭
61−947245号、特開昭61−104813号、
特開昭61−158413号、特開平6−134933
号等に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−1
62617号に記載の高粘度ドープの流れを低粘度のド
ープで包み込み、その高,低粘度のドープを同時に押出
す流延方法も好ましく用いられる。
【0129】セルロースアシレートを溶解する有機溶媒
の例には、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン)、ハロ
ゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロベン
ゼン)、アルコール(例、メタノール、エタノール、ジ
エチレングリコール)、ケトン(例、アセトン)、エス
テル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル)およびエーテル
(例、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ)などが
あげられる。炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が
好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく
用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体か
らの剥取り性、フィルムの機械強度等、光学特性等の物
性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1
〜5のアルコールを一種、ないし数種類混合することが
好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2〜
25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好まし
い。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール等があげられるが、メタノール、エタノール、n
−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用い
られる。
【0130】セルロースアシレートの他に、乾燥後固形
分となる成分としては、可塑剤をはじめ、紫外線吸収
剤、無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、滑剤、油剤、支持体からの剥離促進剤、セルロース
アシレートの加水分解防止剤等を任意に含むことができ
る。
【0131】好ましく添加される可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート
(TPP)およびトリクレジルフォスフェート(TC
P)、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジ
フェニルフォスフェート、ジフェニルビフェニルフォス
フェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフ
ォスフェート等があげられる。カルボン酸エステルとし
ては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表
的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレ
ート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブ
チルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(D
OP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチ
ルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン
酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル
(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル
(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン
酸アセチルトリブチル、が含まれる。その他のカルボン
酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸
メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリメチルトリ
メリテート等のトリメリット酸エステルが含まれる。グ
リコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリ
ブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチル
フタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグ
リコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどが
ある。
【0132】以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェ
ニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェ
ート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニ
ルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレー
ト、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレー
ト、トリメチルトリメリテートらを用いることがが好ま
しい。特にトリフェニルホスフェート、ビフェニルジフ
ェニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフ
タリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテート
が好ましい。これらの可塑剤は1種でもよいし2種以上
併用してもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレー
トに対して5〜30重量%が好ましく、特に8〜16重
量%以下が好ましい。これらの化合物は、セルロースア
シレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶
媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加
してもよい。
【0133】紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種類の
ものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート
系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤
を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベンゾト
リアゾール系、サリチル酸エステル系が好ましい。ベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’
−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2
−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾ
フェノン等をあげることができる。ベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’
−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−ク
ロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’
−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5
−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−
5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等をあげることができる。サリチル酸エステル系とし
ては、フェニルサリシレート、 p−オクチルフェニル
サリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレ
ート等をあげることができる。これら例示した紫外線吸
収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メ
トキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−
tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−
tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5
−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。吸収波長
の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波
長範囲で高い遮断効果を得ることができ、特に好まし
い。紫外線吸収剤の量はセルロースアシレートに対し
0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%が特
に好ましい。紫外線吸収剤はセルロースアシレート溶解
時に同時に添加しても良いし、溶解後のドープに添加し
ても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前
にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が好まし
い。
【0134】セルロースアシレートに添加する無機微粒
子としては、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、
石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ア
ルミナなどを目的に応じ、任意に用いることができる。
これら微粒子はドープに添加する前に、高速ミキサー、
ボールミル、アトライター、超音波分散機等、任意の手
段でバインダー溶液中に分散を行うことが好ましい。バ
インダーとしてはセルロースアシレートが好ましい。紫
外線吸収剤等、他の添加物と共に分散を行うことも好ま
しい。分散溶媒は任意であるが、ドープ溶剤と近い組成
であることが好ましい。分散粒子の数平均粒径は0.0
1〜100μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好
ましい。上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程
に同時に添加しても良いし、任意の工程でドープに添加
できるが、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用
い、流延直前に添加する形態が好ましい。
【0135】支持体からの剥離促進剤としては、界面活
性剤が有効でありリン酸系、スルフォン酸系、カルボン
酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。
これらは、例えば特開昭61−243837号などに記
載されている。
【0136】上記のセルロースアシレートフィルムを保
護膜に用いる場合、PVA系樹脂との密着性を高めるた
め、フィルム表面にケン化、コロナ処理、火炎処理、グ
ロー放電処理等の手段により、親水性を付与することが
好ましい。また、親水性樹脂をセルロースアシレートと
親和性のある溶媒に分散し、薄層塗布しても良い。以上
の手段の中では、フィルムの平面性、物性が損なわれな
いため、ケン化処理が特に好ましい。ケン化処理は、例
えば苛性ソーダのようなアルカリ水溶液にフィルムを浸
漬することで行われる。処理後は過剰のアルカリを除く
ため、低濃度の酸で中和し、水洗を十分行うことが好ま
しい。
【0137】本発明の偏光板の保護膜表面には、特開平
4−229828号、特開平6−75115号、特開平
8−50206号等に記載のLCDの視野角補償のため
の光学異方層や、ディスプレイの視認性向上のための防
眩層や反射防止層、あるいはLCD輝度向上のための異
方性散乱や異方性光学干渉によるPS波分離機能を有す
る層(高分子分散液晶層、コレステリック液晶層等)、
偏光板の耐傷性を高めるためのハードコート層、水分や
酸素の拡散を抑えるガスバリア層、偏光膜あるいは接着
剤、粘着剤との密着力を高める易接着層、スベリ性を付
与する層等、任意の機能層を設けることができる。機能
層は偏光膜側に設けてもよいし、偏光膜と反対面に設け
てもよく、目的に応じ適宜に選択できる。
【0138】本発明の偏光膜には、各種機能膜を保護膜
として直接片面または両面に貼合することができる。機
能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差
膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラス
チックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ
輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげ
られる。
【0139】偏光板保護膜としては、上に述べた好まし
い保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることがで
きる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合してもよいし、
両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合し
てもよい。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対
面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接
設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合
粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設
けることが好ましい。
【0140】<接着剤>偏光膜と保護層との接着剤は特
に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、
スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等
の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げら
れ、中でもPVA系樹脂が好ましい。PVA樹脂にホウ
素化合物、ヨウ化カリウム水溶液等を添加してもよい。
接着剤層の厚みは乾燥後に0.01乃至10μmが好ま
しく、0.05乃至5μmが特に好ましい。
【0141】<延伸方法>吸収軸が長手方向に対して平
行でも垂直でもない偏光膜は、上記の通り、特定の斜め
延伸法により製造することが好ましい。図3及び図4
は、ポリマーフィルムを斜め延伸法の例を、概略平面図
として示したものである。斜め延伸法は、(a)で示さ
れる原反フィルムを矢印(イ)方向に導入する工程、
(b)で示される幅方向延伸工程、及び(c)で示され
る延伸フィルムを次工程、即ち(ロ)方向に送る工程を
含む。以下「延伸工程」と称するときは、これらの
(a)〜(c)工程を含んで、本発明の延伸方法を行う
ための工程全体を指す。
【0142】フィルムは(イ)の方向から連続的に導入
され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて
保持される。この時点ではいま一方のフィルム端は保持
されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B
1点は本発明の実質的な保持開始点(以下、「実質保持
開始点」という)には相当しない。実質保持開始点は、
フィルム両端が初めて保持される点で定義される。実質
保持開始点は、より下流側の保持開始点A1と、A1か
ら導入側フィルムの中心線11(図3)または21(図
4)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡
13(図3)または23(図4)と交わる点C1の2点
で示される。この点を起点とし、両端の保持手段を実質
的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,
A3・・・Anと移動し、C1は同様にC2,C3・・
・Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段
が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延
伸方向となる。
【0143】上記斜め延伸法では、図3、図4のように
AnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、
搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。本発明の実質的
な保持解除点(以下、「実質保持解除点」という)は、
より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次
工程へ送られるフィルムの中心線12(図3)または2
2(図4)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段
の軌跡14(図3)または24(図4)と交わる点Ay
の2点で定義される。最終的なフィルムの延伸方向の角
度は、実質的な延伸工程の終点(実質保持解除点)での
左右保持手段の行程差Ay−Ax(すなわち|L1−L
2|)と、実質保持解除点の距離W(CxとAyの距
離)との比率で決まる。従って、延伸方向が次工程への
搬送方向に対しなす傾斜角θはtanθ=W/( Ay
−Ax)、即ち、tanθ=W/|L1−L2|を満た
す角度である。図3及び図4の上側のフィルム端は、A
y点の後も18(図3)または28(図4)まで保持さ
れるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向
延伸は発生せず、18および28は実質保持解除点では
ない。
【0144】以上のように、フィルムの両端にある実質
保持開始点は、左右各々の保持手段への単純な噛み込み
点ではない。本発明の二つの実質保持開始点は、上記で
定義したことをより厳密に記述すれば、左右いずれかの
保持点と他の保持点とを結ぶ直線がフィルムを保持する
工程に導入されるフィルムの中心線と略直交している点
であり、かつこれらの二つの保持点が最も上流に位置す
るものとして定義される。同様に、二つの実質保持解除
点は、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線
が、次工程に送りだされるフィルムの中心線と略直交し
ている点であり、しかもこれら二つの保持点が最も下流
に位置するものとして定義される。ここで、略直交と
は、フィルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるい
は実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜である
ことを意味する。
【0145】テンター方式の延伸機を用いて左右の行程
差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約に
より、しばしば保持手段への噛み込み点と実質保持開始
点に大きなずれが生じたり、保持手段からの離脱点と実
質保持解除点に大きなずれが生ずることがあるが、上記
定義する実質保持開始点と実質保持解除点間の工程が式
(1)|L2−L1|>0.4Wの関係を満たしていれ
ば、斜め延伸を有効に行うことができる。
【0146】上記において、得られる延伸フィルムにお
ける配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、左
右の二つの実質的保持手段の行程差|L1−L2|の比
率で制御、調整することができる。偏光板、位相差膜で
は、しばしば長手方向に対し45゜配向したフィルムが
求められる。この場合、45゜に近い配向角を得るため
に、下記式(2)を満たすことが好ましく、 式(2) 0.9W<|L1−L2|<1.1W さらに好ましくは、下記式(3)を満たすことが好まし
い。 式(3) 0.97W<|L1−L2|<1.03W
【0147】具体的な延伸工程の構造は、式(1)を満
たしてポリマーフィルムを斜め延伸する図3〜8に例示
されており、設備コスト、生産性を考慮して任意に設計
できる。
【0148】延伸工程へのフィルム導入方向(イ)と、
次工程へのフィルム搬送方向(ロ)のなす角度は、任意
の数値が可能であるが、延伸前後の工程を含めた設備の
総設置面積を最小にする観点からは、この角度は小さい
方がよく、3゜以内が好ましく、0.5゜以内がさらに
好ましい。例えば図3、図8に例示するような構造で、
この値を達成することができる。このようにフィルム進
行方向が実質的に変わらない方法では、保持手段の幅を
拡大するのみでは、偏光板、位相差膜として好ましい長
手方向に対して45゜の配向角を得るのは困難である。
そこで、図4の如く、一旦延伸した後、収縮させる工程
を設けることで、|L1−L2|を大きくすることがで
きる。延伸率は1.1〜10.0倍が望ましく、より望
ましくは2〜10倍であり、その後の収縮率は10%以
上が望ましい。また、図8に示すように、延伸−収縮を
複数回繰り返すことも、|L1−L2|を大きくできる
ため好ましい。
【0149】また、延伸工程の設備コストを最小に抑え
る観点からは、保持手段の軌跡の屈曲回数、屈曲角度は
小さい程良い。この観点からは、図4、図5、図7に例
示する如くフィルム両端を保持する工程の出口における
フィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす
角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を
フィルム両端を保持させた状態で屈曲させることが好ま
しい。
【0150】両端を保持しつつ張力を付与しフィルムを
延伸する装置としては、いわゆる図3〜図7のようなテ
ンター装置が好ましい。また、従来型の2次元的なテン
ターの他に、図8のように螺旋状に両端の把持手段に行
路差を付ける延伸工程を用いることもできる。
【0151】テンター型の延伸機の場合、クリップが固
定されたチェーンがレールに沿って進む構造が多いが、
本発明のように左右不均等な延伸方法をとると、結果的
に図3及び4に例示される如く、工程入口、出口でレー
ルの終端がずれ、左右同時に噛み込み、離脱をしなくな
ることがある。この場合、実質工程長L1,L2は、上
に述べたように単純な噛み込み−離脱間の距離ではな
く、既に述べたように、あくまでフィルムの両端を保持
手段が保持している部分の行程長である。
【0152】延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度
差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生す
るため、左右のフィルム把持手段の搬送速度差は、実質
的に同速度であることが求められる。速度差は好ましく
は1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であ
り、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べ
る速度とは、毎分当たりに左右各々の保持手段が進む軌
跡の長さのことである。一般的なテンター延伸機等で
は、チェーンを駆動するスプロケット歯の周期、駆動モ
ータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速
度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これら
は本発明で述べる速度差には該当しない。
【0153】<収縮>延伸ポリマーフィルムの収縮は、
延伸時・延伸後のいずれの工程でも行って良い。収縮
は、斜め方向に配向する際の発生するポリマーフィルム
のシワが解消すればよく、フィルムを収縮させる手段と
しては、温度を掛けることにより、揮発分を除去する方
法などが挙げられるが、フィルムを収縮させればいかな
る手段を用いても良い。好ましいフィルムの収縮率とし
ては、長手方向に対する配向角θを用いて、1/sin
θ倍以上収縮することで、値としては10%以上収縮す
ることが好ましい
【0154】<揮発分率>また、左右の行程差が生じる
に従って、フィルムにシワ、寄りが発生する。この問題
を解決するために、本発明では、ポリマーフィルムの支
持性を保ち、揮発分率が5%以上の状態を存在させて延
伸、その後収縮させ揮発分率を低下させることが好まし
い。本発明における揮発分率とは,フィルムの単位体積
あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積
をフィルム体積で割った値である。揮発分を含有させる
方法としては、フィルムをキャストし溶剤・水を含有さ
せる、延伸前に溶剤・水などに浸漬・塗布・噴霧する、
延伸中に溶剤・水を塗布することなどが上げられる。ポ
リビニルアルコールなどの親水性ポリマーフィルムは、
高温高湿雰囲気下で水を含有するので、高湿雰囲気下で
調湿後延伸、もしくは高湿条件下で延伸することにより
揮発分を含有させることができる。これらの方法以外で
も、ポリマーフィルムの揮発分を5%以上にさせること
ができれば、いかなる手段を用いても良い。
【0155】好ましい揮発分率は、ポリマーフィルムの
種類によって異なる。揮発分率の最大は、ポリマーフィ
ルムの支持性を保つ限り可能である。ポリビニルアルコ
ールでは揮発分率として10%〜100%が好ましい。
セルロースアシレートでは、10%〜200%が好まし
い。
【0156】<弾性率>延伸前のポリマーフィルムの物
性としては、弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮
率が低くなり、シワが消えにくくなる。また、高すぎる
と延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルム両端を保
持する部分の強度を高くする必要が生じ、機械に対する
負荷が大きくなる。従って、延伸前のポリマーフィルム
の弾性率は、ヤング率で表すと0.01MPa以上50
0MPa以下であり、好ましくは0.1MPa以上50
0MPa以下である。
【0157】<シワ発生から消失までの距離>斜め方向
に配向する際に発生するポリマーフィルムのシワは、実
質保持解除点までに消失していればよい。しかしなが
ら、シワの発生から消失までに時間がかかると、延伸方
向のばらつきが生じることがあるため、好ましくは、シ
ワが発生した地点からできるだけ短い移行距離でシワが
消失することが良い。このためには、揮発分量の揮発速
度を高くするなどの方法がある。
【0158】<乾燥>発生したシワが消失する条件であ
れば、乾燥条件はいかようでもかまわない。ただし、好
ましくは、所望の配向角度が得られた後、できるだけ短
い移動距離で乾燥点が来るように調節するのがよい。乾
燥点とは、フィルムの表面膜温度が環境雰囲気温度と同
じになる場所を意味する。このことから、乾燥速度もで
きるだけ速いほうが好ましい。
【0159】乾燥温度は、発生したシワが消失する条件
であれば、乾燥条件はいかようでもかまわないが、延伸
するフィルムによって異なる。ポリビニルアルコールフ
ィルムを用いて偏光板を作成する場合には、20℃以上
100℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上9
0℃以下である。工程終了後の最終的なポリマーフィル
ムの乾燥後の揮発分量は、3%以下が好ましく、2%以
下がより好ましく、1.5%以下が更に好ましい。
【0160】このように、 1)少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に
延伸し、 2)フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差を1
%以下とし、 3)フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィル
ムの進行方向とフィルムの実質的延伸方向とのなす角
が、20〜70°傾斜するようにフィルム進行方向をフ
ィルム両端を保持させて状態で屈曲させ、 4)ポリマーフィルムの支持性を保ち、揮発分率が5%
以上の状態を存在させて延伸した後、収縮させながら揮
発分率を低下させる、ことからなる延伸方法は、本発明
の好ましい態様である。
【0161】<硬膜率>ポリマーフィルムがポリビニル
アルコールで、硬膜剤を使用した場合、斜め方向に延伸
した状態を緩和せずに保つために、延伸前後で水に対す
る膨潤率が異なることが好ましい。具体的には、延伸前
の膨潤率が高く、延伸・乾燥後の膨潤率が低くなること
が好ましい。更に好ましくは、延伸する前の水に対する
膨潤率が3%以上で、乾燥後の膨潤率が3%以下である
ことが好ましい。
【0162】<屈折部の規定>保持手段の軌跡を規制す
るレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急
激な屈曲によるフィルム把持手段同士の干渉、あるいは
局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持手
段の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0163】<延伸速度>フィルムを延伸する速度は、
単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、
好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。ま
た、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好まし
くは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て
好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフィルム
及び延伸機により異なる。
【0164】<長手方向の張力>フィルムの両端を保持
手段により保持する際、保持しやすいようにフィルムが
張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、長
手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げ
られる。張力としては、延伸前のフィルム状態により異
なるが,弛まない程度にすることが好ましい。
【0165】<延伸時温度>フィルム延伸時の環境温度
は、少なくともフィルムに含まれる揮発分の凝固点以上
であればよい。フィルムがポリビニルアルコールである
場合には、25℃以上が好ましい。また、偏光膜を作製
するためのヨウ素・ホウ酸を浸漬したポリビニルアルコ
ールを延伸する場合には、25℃以上90℃以下が好ま
しい。
【0166】<延伸時湿度>揮発分が水であるフィル
ム、例えばポリビニルアルコール、セルロースアシレー
トなどを延伸する場合は、調湿雰囲気下で延伸しても良
い。ポリビニルアルコールである場合は、50%以上が
好ましく、好ましくは80%以上、更に好ましくは90
%以上である。
【0167】<一貫工程>フィルムを延伸後、収縮させ
揮発分率を低下させる乾燥工程を有し、乾燥後もしくは
乾燥中に少なくとも片面に保護膜を貼り合わせた後、後
加熱工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方
法として、乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を
用いてフィルムに保護膜を貼り付け、その後両端を耳き
りする、もしくは乾燥後、両端保持部からフィルムを解
除し、フィルム両端を耳きりした後、保護膜を貼り付け
るなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物など
のカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一
般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、
接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させる
ために、加熱することが好ましい。加熱の条件として
は、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上
が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以
下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。こ
れらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上
及び生産効率上更に好ましい。
【0168】<偏光板の構成>上記の如くして斜め延伸
により製造された偏光膜に保護膜を貼り付けるには、偏
光膜の上記乾燥工程中に、両端を保持した状態で接着剤
を用いてフィルムに保護膜を貼りつけ、その後、両端を
耳切りする方法、あるいは、乾燥後、両端保持部からフ
ィルムを除去し、フィルム両端を耳切りした後、保護膜
を貼りつける方法等がある。
【0169】本発明の偏光板は、前記したハードコート
層を有し、偏光膜、保護膜、ハードコート層が、保護膜
/偏光膜/保護膜/ハードコート層と積層する構成(構
成、図9(a))、または、保護膜/偏光膜/保護膜
/ハードコート層基材/ハードコート層と積層する構成
(構成、図9(b))からなることが好ましい。構成
の偏光板は、上記の通り斜め延伸法により作成した偏
光膜の片面に保護膜を貼り合わせたものと、保護膜を基
材として、その上にハードコート層を形成したものを貼
り合わせて作製する。または、最初に偏光膜の両面に保
護膜を貼り合わせ、片側の保護膜上に塗布によりハード
コート層を形成して作製することができる。構成の偏
光板は、偏光板の両面に保護膜を貼り合わせたものと、
ハードコート層基材上に塗布によりハードコート層を形
成して作製したものを貼り合わせることで作製できる。
【0170】図2に斜め延伸して得られた偏光板を打ち
抜きする例を示す(45°傾斜の例)。図2に示される
ように、偏光膜の吸収軸81すなわち吸収軸が長手方向
82に対して45゜傾斜しており、保護膜の遅相軸71
が長手方向に平行であるため、両者の傾斜角は45°と
なる。しかも、偏光の吸収軸81の角度がLCDにおけ
る液晶セルに貼り合わせる際の偏光板の吸収軸と、液晶
セル自身の縦または横方向とのなす角度に一致している
ため、打ち抜き工程において斜めの打ち抜きは不要とな
る。また図2からわかるように、斜め延伸された偏光板
は切断が長手方向に沿って一直線であるため、打ち抜か
ず長手方向に沿ってスリットすることによっても製造可
能であるため、生産性も格段に優れている。
【0171】本発明の偏光版は、液晶表示装置のコント
ラストを高める観点から、透過率は高いほうが好まし
い。透過率は、波長550nmで30%以上が好まし
く、40%以上がより好ましい。また、偏光度は高いほ
うが好ましい。偏光度は、波長550nmで95.0%
以上が好ましく、99以上がより好ましく、更に好まし
くは99.9%以上である。
【0172】<粘着層>本発明の粘着層は、光学的に透
明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示
すものである。本発明における粘着層としては、例えば
アクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、
シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、
合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用
いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬
化法等により膜形成させ、硬化せしめることができる。
なかでも、アクリル系共重合体は、最も粘着物性を制御
しやすく、かつ透明性や耐候性、耐久性などに優れてい
て好ましく用いることができる。
【0173】本発明の偏光板は、液晶表示装置に好まし
く用いられる。液晶表示装置は、一般に液晶表示素子と
偏光板とを有する。液晶表示素子は、液晶層、それを保
持するための基板及び液晶に電圧を加えるための電極層
からなる。基板及び電極層は、いずれも表示のために透
明な材料を用いて製造される。透明な基板としては、ガ
ラス薄板又は樹脂フィルムが使用される。多少の屈曲性
が要求される液晶表示装置の場合は、樹脂フィルムを使
用する必要がある。液晶基板には、高い透明性に加え
て、低複屈折率及び耐熱性が要求される。液晶表示装置
に位相差板を設ける場合もある。位相差板は、液晶画面
の着色を取り除き、白黒化を実現するための複屈折フィ
ルムである。位相差板も、樹脂フィルムを用いて製造す
る。位相差板には、高い複屈折率が要求される。偏光板
は、保護膜と偏光膜からなる。偏光膜は、ヨウ素又は二
色性染料を偏向素子として用いた樹脂フィルムである。
保護膜は、偏光膜を保護する目的で、偏光膜の片面又は
両面に設けられる。なお、偏光膜の片面のみに保護膜を
設ける場合は、一般に上記の液晶基板が他の面の保護膜
として機能する。偏光板の保護膜には、透明性と低複屈
折率(低レターデーション値)が要求されるため、本発
明においては、セルロースアセテートフィルムが特に有
利に用いられる。
【0174】偏光板の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系
フィルムを用いて製造する。偏光板保護膜は、25乃至
350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至2
00μmの厚さを有することがより好ましい。保護膜に
は、紫外線吸収剤、滑り剤、劣化防止剤、及び可塑剤等
を添加してもよい。偏光板の保護膜上の反射防止膜以外
に、さらに表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機
能には、ハードコート、防曇処理が含まれる。偏光板及
びその保護膜については、特開平4−219703号公
報、同5−212828号公報及び同6−51117号
公報等に記載がある。
【0175】本発明の偏光板は、また、各種用途に用い
うるが、長手方向に対し配向軸が傾いている特性より、
特に、配向軸の傾斜角度が長手方向に対し40〜50゜
である偏光膜は、LCD用偏光板、有機ELディスプレ
イの反射防止用円偏光板等に好ましく用いられる。
【0176】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、文中で特に断りのない限り「部」は「質量部」を意
味する。
【0177】[実施例1]PVAフィルムの両面を水流
2l/分で、イオン交換水にて洗浄し、エアーブロー
して表面水分を飛ばし表面に付着している異物を0.5
%以下にした後、該PVAフィルムをヨウ素1.0g/
l、ヨウ化カリウム60.0g/lの水溶液に25℃に
て90秒浸漬し、さらにホウ酸40g/l、ヨウ化カリ
ウム30g/lの水溶液に25℃にて120秒浸漬後、
図3の形態のテンター延伸機に導入し、40℃95%雰
囲気下で7.0倍に一旦延伸した後5.3倍まで収縮さ
せ、以降幅を一定に保ち、60℃で乾燥した後テンター
より離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は
30%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。左右の
テンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であ
り、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフ
ィルムの中心線のなす角は、0゜であった。ここで|L
1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−
L2|=Wの関係にあった。テンター出口におけるシ
ワ、フィルム変形は観察されなかった。得られた偏光膜
Aの吸収軸は長手方向に45°傾斜していた。
【0178】これとは別に、富士写真フィルム(株)製
フジタック(セルローストリアセテート、レターデーシ
ョン値3.0nm)上にグロー放電処理した後、下記で
作成したハードコート層用硬化性組成物をワイヤーバー
で塗布、120℃で2分乾燥し、750mj/cm2
紫外線照射後、120℃、10分加熱して、ハードコー
トフィルムBを作製した。
【0179】[ハードコート層用硬化性組成物] <無機微粒子分散液の調製>セラミックコートのベッセ
ルに各試薬を以下の量計量した。 メチルイソブチルケトン 234g アニオン性官能基含有表面処理剤 S−6(X=H) 36g アルミナ微粒子(平均粒径:15nm) 180g 上記混合液をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて
1600rpm、10時間微細分散した。メディアは1
mmΦのジルコニアビーズを1400g用いた。分散
後、ビーズを分離し、表面修飾した無機架橋微粒子分散
液を得た。
【0180】<硬化性組成物の調製> エチレン性不飽和基含有化合物(DPHA(:ジペン
タエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)
製))80質量%とUV−6300(:ウレタンアクリ
レート(日本合成化学工業(株)製))20質量%の混
合物)と開環重合性基含有化合物(GT−301(:
3官能エポキシ化合物(ダイセル化学工業(株)
製)))とラジカル重合開始剤(イルガキュア184
(チバガイギー社製))とカチオン重合開始剤(UV
I−6990(ユニオンカーバイド日本(株)製)をメ
チルイソブチルケトン/メチルエチルケトン混合溶液
(1/1)に溶解後、有機架橋微粒子(コア/シェル
比が70/30質量%のラテックス(平均粒子径:11
0nm)をスプレードライ法により乾燥したもの。コ
ア:ブチルアクリレート/エチレングリコールジメタク
リレート(90/10質量比)の共重合体、シェル:メ
チルメタクリレート/アクリル酸/エチレングリコール
ジメタクリレート(90/3/7質量比)の共重合体)
を添加し、30分攪拌し、上記無機架橋微粒子分散液
の混合液を添加し、30分間攪拌し、硬化性組成物を得
た。なお、、の硬化性化合物と有機架橋微粒子と
の混合比は9:1である。重合開始剤は、エチレン性不
飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物の総質量に
対し、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤を2.
9%ずつ添加した。なお、開環重合性基含有化合物を含
まない場合はラジカル重合開始剤のみを5.8%添加し
た。
【0181】上記の偏光板AとハードコートフィルムB
を長尺方向に進行させつつ、PVA((株)クラレ製P
VA−117H)3%、ヨウ化カリウム4%からなる水
溶液を接着剤として貼り合わせ、さらに80℃乾燥して
ハードコート層を有する有効幅650mmの偏光板を得
た。さらに図2の如く310×233mmに裁断したと
ころ、91.5%の面積効率で辺に対し45°吸収軸が
傾斜した偏光板を得ることができた。
【0182】作製した偏光板の鉛筆硬度は5Hであり、
膜剥がれやヒビ割れも生じにくく、カールも小さかっ
た。なお、評価は下記の方法で行った。 (鉛筆硬度)作製した偏光板を温度25℃、相対湿度6
0%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が
規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規
定する鉛筆硬度評価方法に従い、1Kgのおもりを用い
て各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、傷が全く認
められなかった硬度を求めた。なお、JIS K540
0で定義される傷は塗膜の破れ、塗膜のすり傷であ
り、塗膜のへこみは対象としないと記載されている
が、ここでは、塗膜のへこみも含めて傷と判断してい
る。
【0183】(ハードコート層の膜剥がれ)ハードコー
ト層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハ
ッチ(升目)を100個入れ、温度25℃、相対湿度6
0%の条件で2時間放置した後、その上にセロテープ
(ニチバン社製)を貼り付け、該セロテープを剥がした
ときに硬化被膜が剥がれた升目の数を計測することで評
価し、実際、作製した偏光板では0個であった。
【0184】(カール)偏光板を35mm×140mm
に切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件でハード
コート層側を上にして水平面に2時間放置した後、水平
面からの4角の浮いた高さの平均値を測定することで評
価し、作製した偏光板では2mmであった。
【0185】(ひび割れ)偏光板を35mm×140m
mに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時
間放置した後、筒状に丸めたときのひび割れが発生し始
める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価し、作製
した偏光板では30mm以下であった。また、エッジ部
のひび割れを目視で評価したところ、作製した偏光板で
は、全くヒビ割れはなかった。
【0186】[実施例2]PVAフィルムの両面を水流
2l/分で、イオン交換水にて洗浄し、エアーブロー
して表面水分を飛ばし表面に付着している異物を0.5
%以下にした後、該PVAフィルムをヨウ素1.0g/
l、ヨウ化カリウム120.0g/lの水溶液に40℃
にて90秒浸漬し、さらにホウ酸40g/l、ヨウ化カ
リウム30g/lの水溶液に40℃にて60秒浸漬後、
図4の形態のテンター延伸機に導入し、4.5倍に延伸
し、テンターを延伸方向に対し図4の如く屈曲させ、以
降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥
させた後テンターから離脱し、幅方向から3cm、カッ
ターにて耳きりをした。次に、長手方向に進行させつ
つ、一方の面にPVA((株)クラレ製PVA−117
H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真
フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテー
ト、レターデーション値3.0nm、遅相軸は長手方向
に平行)を貼り合わせ、もう一方の面に実施例1で作製
したハードコート層Bを同じく上記のPVA3%水溶液
を接着剤として貼り合わせ、60℃で30分間加熱して
有効幅650mmの偏光板を得た。表面が平滑なため、
貼り合わせは良好であった。
【0187】ここで、延伸開始前のPVAフィルムの含
水率は32%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未
満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送ら
れるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。こ
こで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、
|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口にお
ける実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィ
ルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター
出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
【0188】得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向
に対して45°傾斜しており、富士タックの遅相軸とも
45°傾斜していた。この偏光板の550nmにおける
透過率は41.3%、偏光度は99.60%であった。
さらに図2の如く310×233mmに裁断したとこ
ろ、91.5%の面積効率で辺に対し45°吸収軸が傾
斜した偏光板を得ることができた。
【0189】得られた偏光板をヤマト科学社製Dry恒
湿機(D63)にて40℃相対湿度30%で100時間
処理した後、収縮率を測定したところ収縮率は2%以下
であり、平面上に静置し偏光板の反り返りの有無を目視
にて観察したところ、反り返りは殆ど見られず、経時後
の寸度安定性も良好であった。鉛筆硬度などのハードコ
ートの性能は実施例1と同様に優れたものであった。
【0190】[実施例3]次に図10のように、実施例
2で作成したハードコート層を有する偏光板(ハードコ
ート層91、偏光膜94)と偏光膜94’とをLCDの
液晶セル97を挟持する2枚の偏光板として、接着剤を
介して液晶セル97に貼合してLCDを作製した。な
お、ハードコート層を有する偏光膜94を表示側に配置
した。こうして作成したLCDは優れた輝度、視野角特
性、外光の映り込みがないために優れたコントラストが
得られ、40℃、30%RHで1ヶ月間の使用によって
も、表面に物理的損傷は見られず、表示品位の劣化も見
られなかった。
【0191】(550nm透過率、偏光度の測定)島津
自記分光光度計UV2100にて透過率を測定した。さ
らに2枚の偏光板を吸収軸を一致させて重ねた場合の透
過率をH0(%)、吸収軸を直交させて重ねた場合の透
過率をH1(%)として、次式により偏光度P(%)を
求めた。 P = ((H0−H1)/(H0+H1))1/2 ×
100
【0192】(レターデーションの測定)王子計測
(株)製KOBRA21DHで632.8nmで行っ
た。
【0193】
【発明の効果】本発明によれば、偏光板打ち抜き工程に
おける得率を向上することができるポリマーフィルムの
斜め延伸方法により得られる、斜め延伸したポリマーフ
ィルムからなる平滑性に優れ、簡便かつ安価で、十分に
優れた耐擦傷性と表面硬度を有した高性能で寸度安定性
に優れた偏光板を提供できる。また、本発明の偏光板は
十分に優れた耐擦傷性と表面硬度を有し、偏光板の搬送
・打ち抜き時にも表面に傷つきにくい。また、これによ
り、傷付きが抑制され優れた表示品位の液晶表示装置が
安価に提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光板を示す概略平面図である。
【図2】本発明の偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面
図である。
【図3】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図4】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図5】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図6】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図7】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図8】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法
の一例を示す概略平面図である。
【図9】本発明に係る偏光板の層構成の好ましい態様を
示す概略断面図である。
【図10】液晶表示装置の層構成を示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】 (イ) フィルム導入方向 (ロ) 次工程へのフィルム搬送方向 (a) フィルムを導入する工程 (b) フィルムを延伸する工程 (c) 延伸フィルムを次工程へ送る工程 A1 フィルムの保持手段への噛み込み位置とフィルム
延伸の起点位置(実質保持開始点:右) B1 フィルムの保持手段への噛み込み位置(左) C1 フィルム延伸の起点位置(実質保持開始点:左) Cx フィルム離脱位置とフィルム延伸の終点基準位置
(実質保持解除点:左) Ay フィルム延伸の終点基準位置(実質保持解除点:
右) |L1−L2| 左右のフィルム保持手段の行程差 W フィルムの延伸工程終端における実質幅 θ 延伸方向とフィルム進行方向のなす角 11 導入側フィルムの中央線 12 次工程に送られるフィルムの中央線 13 フィルム保持手段の軌跡(左) 14 フィルム保持手段の軌跡(右) 15 導入側フィルム 16 次工程に送られるフィルム 17、17′左右のフィルム保持開始(噛み込み)点 18、18′左右のフィルム保持手段からの離脱点 21 導入側フィルムの中央線 22 次工程に送られるフィルムの中央線 23 フィルム保持手段の軌跡(左) 24 フィルム保持手段の軌跡(右) 25 導入側フィルム 26 次工程に送られるフィルム 27、27′左右のフィルム保持開始(噛み込み)点 28、28′左右のフィルム保持手段からの離脱点 33、43、53、63 フィルム保持手段の軌跡
(左) 34、44、54、64 フィルム保持手段の軌跡
(右) 35、45、55、65 導入側フィルム 36、46、56、66 次工程に送られるフィルム 70 保護膜 71、71’ 遅相軸(延伸軸) 72 長手方向 74 接着剤層 76 ハードコート層 80 偏光膜 81 吸収軸(延伸軸) 82 長手方向 83 横手方向 90 偏光板 91 ハードコート層 94、94’ 偏光膜(保護膜付き) 97 液晶セル 98 バックライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 510 B29L 7:00 4J036 // B29L 7:00 C08L 101:00 C08L 101:00 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB22 BB28 BB33 BB43 BB62 BC03 BC09 BC13 BC22 2H091 FA08X FA08Z FB02 GA16 GA17 LA02 LA30 2K009 AA15 BB11 BB28 CC01 CC09 CC24 DD02 DD05 DD06 4F006 AA19 AB34 AB42 BA02 CA05 DA04 EA03 4F210 AA19 AB12 AE10 AG01 AH73 AM32 AR07 AR08 AR12 QA02 QC03 QD01 QD13 QD19 QG01 QG18 QL02 QL04 QW17 4J036 AB02 AB03 AB07 AB17 AF06 AF07 AF08 AJ08 AK08 AK10 AK11 AK15 EA01 EA02 EA04 EA09 FA01 FB01 FB02 FB03 FB11 FB13 FB16 HA01 JA01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもな
    い偏光膜とハードコート層とを有する長尺の偏光板であ
    って、該ハードコート層の少なくとも1層がエチレン性
    不飽和基を含む化合物と同一分子内に3個以上の開環重
    合性基を含む化合物とを含有する硬化性組成物から形成
    されることを特徴とする偏光板。
  2. 【請求項2】 偏光膜の少なくとも片面に保護膜を貼り
    合わせ、ハードコート層を有する偏光板であって、保護
    膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸との角度が10°以上90
    °未満であり、ハードコート層の少なくとも1層がエチ
    レン性不飽和基を含む化合物と同一分子内に3個以上の
    開環重合性基を含む化合物とを含有する硬化性組成物か
    ら形成されることを特徴とする偏光板。
  3. 【請求項3】 ハードコート層が単層である請求項1ま
    たは2に記載の偏光板。
  4. 【請求項4】 同一分子内に3個以上の開環重合性基を
    含む化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単
    位を含む架橋性ポリマーである請求項1〜3のいずれか
    に記載の偏光板。 【化1】 式中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、X1は開環
    重合性基を含む一価の基を表し、L1は単結合又は二価
    の連結基を表す。
  5. 【請求項5】 開環重合性基がカチオン性重合性基であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 【請求項6】 硬化性組成物を活性エネルギー線で硬化
    させることでハードコート層を形成する請求項1〜5の
    いずれかに記載の偏光板。
  7. 【請求項7】 硬化性組成物に架橋微粒子を含有させる
    請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 【請求項8】 表面の鉛筆硬度が3H〜9Hである請求
    項1〜7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 【請求項9】 ハードコート層の基材がプラスチックフ
    ィルムである請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板。
  10. 【請求項10】 硬化後のハードコート層の層厚が1〜
    200μmである請求項1〜9のいずれかに記載の偏光
    板。
  11. 【請求項11】 硬化後のハードコート層の層厚が20
    〜200μmである請求項10に記載の偏光板。
  12. 【請求項12】 連続的に供給される偏光膜用のポリマ
    ーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持手段
    をフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与して偏
    光膜を製造するに際して、偏光膜用のポリマーフィルム
    の一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点
    までの保持手段の軌跡L1、偏光膜用のポリマーフィル
    ムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解
    除点までの保持手段の軌跡L2及び二つの実質的な保持
    解除点の距離Wが下記式(1)を満たし、かつ左右のフ
    ィルム把持手段の長手方向の搬送速度差1%未満である
    延伸方法によって該ポリマーフィルムを延伸して偏光膜
    とし、その偏光膜を請求項1〜11のいずれかに記載の
    偏光板の構成部材とすることを特徴とする偏光板の製造
    方法。 式(1)|L2−L1|>0.4W
  13. 【請求項13】 液晶セルに配置された偏光板のうち、
    少なくとも1枚が請求項1〜11のいずれかに記載の偏
    光板から切り出された偏光板であることを特徴とする液
    晶表示装置。
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