JP2014006505A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚さ0.5mm以下のガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側に設けたバックライトからなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側に設けた偏光板の偏光子が、
偏光子の弾性率、偏光子の厚み、及び下記条件(A)での経時前後における偏光子の寸法変化率から算出される偏光子の吸収軸方向の収縮力が400〜4000N/mである、液晶表示装置。
[条件(A):40℃相対湿度95%の環境に24時間放置した後、25℃相対湿度10%の環境に48時間放置]
【選択図】図1
Description
一方で、近年、偏光板保護フィルムとしてアクリル樹脂の使用が増加しつつある。接着技術が向上し、ポリビニルアルコールとの密着性を確保出来るようになってきたことがその背景にある。
ここで、特定の高湿環境下で保存後に乾燥した偏光子の収縮力とは、偏光板を40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した後に測定した弾性率と寸法変化率とから算定したものである。この検討の中で、偏光子の収縮力が400N/m〜4000N/mの範囲において光漏れ低減が良好であることを見出した。これは、高湿環境下で偏光子が膨潤した後に乾燥することで偏光子が収縮し、その偏光子の収縮力が基板のガラスに伝わることで、光弾性に起因してガラスに複屈折が発生し、結果として偏光板から光が漏れるためと考えられる。特に、ガラス基板の厚みが0.5mm以下の薄膜であると前記収縮の抑制が弱くなることから光漏れの傾向が強いことを見出している。そのため収縮力は小さい方が好ましいと考えられるが、予想に反して偏光板の収縮力が小さすぎても光漏れが発生することが分かった。
本発明は上記知見に基づきなされるに至ったものである。
[1]
厚さ0.5mm以下のガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトからなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板の偏光子は、
偏光子の弾性率、偏光子の厚み、及び下記条件(A)での経時前後における偏光子の寸法変化率から算出される偏光子の吸収軸方向の収縮力が400〜4000N/mである、液晶表示装置。
[条件(A):40℃相対湿度95%の環境に24時間放置した後、25℃相対湿度10%の環境に48時間放置]
[2]
前記偏光板に使用される保護フィルムが、(メタ)アクリル系樹脂フィルムである、[1]に記載の液晶表示装置。
[3]
前記偏光板に使用される保護フィルムが、セルロースアシレートフィルムである、[1]に記載の液晶表示装置。
[4]
フロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方の厚みが30μm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[5]
厚みが30μm以下の上記保護フィルムが、上記液晶セルに近い側の保護フィルムである、[4]に記載の液晶表示装置。
[6]
前記液晶セルに近い側の保護フィルムの厚みが5〜20μmである、[5]に記載の液晶表示装置。
[7]
フロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方のMD方向湿度寸法変化率が0.3%以下である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
[8]
MD方向湿度寸法変化率が0.3%以下の上記保護フィルムが、上記液晶セルから遠い側の保護フィルムである、[7]に記載の液晶表示装置。
[9]
前記液晶セルから遠い側の保護フィルムのMD方向湿度寸法変化率が0〜0.2%である、[8]に記載の液晶表示装置。
本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(例えば、λ=550nm)での値である。
本発明において、「MD方向」とは、偏光板の形態における偏光子の吸収軸に平行な方向を指し、また、偏光板保護フィルムの製膜工程においては搬送方向(長手方向)を指し、流延する場合には、流延方向も含む。
また、本明細書において、光学フィルム及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
本発明の液晶表示装置は、
厚さ0.5mm以下のガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトからなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板の偏光子は、
偏光子の弾性率、偏光子の厚み、及び下記条件(A)での経時前後における偏光子の寸法変化率から算出される偏光子の吸収軸方向の収縮力が400〜4000N/mである。
[条件(A):40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置]
本発明における前記条件(A)での経時前後における偏光子の寸法から算出される偏光子の吸収軸方向の収縮力は、下記の方法で算出するものである。
(1)偏光子及び偏光子両側に貼り合わされているフィルム(フィルム1、フィルム2)からなる偏光板と、(2)フィルム1と、(3)フィルム2とを、それぞれ、40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した直後に、25℃相対湿度10%環境下でMD方向の弾性率とMD方向の寸法変化率とを測定する。
フィルム1、フィルム2及び偏光板のMD方向の弾性率は、長手方向(MD方向)の長さが200mm、幅が10mmの試料を用意し、東洋精機製のストログラフV10−Cを用い、長手方向のチャック間隔が10cmとなるように設置し、
延伸速度10mm/分でチャック間隔が広がるように加重を加えて、その時の力を測定することができる。
予めマイクロメーターで測定していた偏光板の厚み、力、伸び量からMD方向の弾性率を算出することができる。
また、フィルム1、フィルム2及び偏光板の寸法変化率は、以下のように測定する。長さ12cm(測定方向)、幅3cmの試料を用意し、該試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL0とする)。次いで試料を40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した直後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL1とする)。これらの測定値を用いて下記式により寸法変化率を算出する。
寸法変化率[%]={(L0[cm]−L1[cm])/L0[cm]}×100
次いで、下記式から偏光子の弾性率と収縮率(寸法変化率)とを算出する。
偏光子弾性率(GPa)=(偏光板のMD方向の弾性率×偏光板厚み−フィルム1のMD方向の弾性率×フィルム1厚み−フィルム2のMD方向の弾性率×フィルム2厚み)/偏光子厚み
偏光子寸法変化率(%)=(フィルム1のMD方向の弾性率×フィルム1厚み×(偏光板のMD方向の寸法変化率−フィルム1のMD方向の寸法変化率)+フィルム2のMD方向の弾性率×フィルム2厚み×(偏光板のMD方向の寸法変化率−フィルム2のMD方向の寸法変化率))/偏光子弾性率/偏光子厚み+偏光板のMD方向の寸法変化率
上記式から算出した偏光子弾性率(GPa)と偏光子寸法変化率(%)とから下記式に従い偏光子収縮力(N/m)を算出する。
偏光子収縮力(N/m)=偏光子弾性率(GPa)×|偏光子寸法変化率(%)|×偏光子厚み(μm)×10
例えば、特許文献1、2等に記載の高温下(例えば、80℃)における偏光子の収縮力は、偏光子単独層でも測定し得るものであり、本発明における高湿環境下での偏光子の収縮力とは全く異なるものである。
偏光子の40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した後の収縮力を上記範囲に達成する手段としては、例えば、後述のように、偏光子の膜厚の調整、偏光子の硬膜工程における硬膜条件の調整(硬膜時間の調整など)、偏光子の延伸工程における延伸倍率の調整などにより達成することができる。
本発明の液晶表示装置に使用される偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、二色性色素とを含有することが好ましい。
(1−1)ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAとも言う)
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
この他、本発明における偏光子には、特許第3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量%混合した溶液や、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
これらの中でも、本発明における偏光子に用いる前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルをけん化したものが製造コストの観点から好ましい。なお、前記ポリ酢酸ビニルのけん化度については特に制限はないが、例えば、けん化度90%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましく、99%以上とすることが特に好ましい。
本発明における偏光子は、二色性色素を含有することが好ましい。ここで、二色性色素とは、本明細書中、方向により吸光度の異なる色素のことを言い、ヨウ素イオン、ジアゾ系色素、キノン系色素、その他公知の二色性染料などが含まれる。前記二色性色素としては、I3 −やI5 −などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
本発明では偏光子の前記収縮力を所定の値にする手段の一つとして、偏光子の膜厚設定により行うことができる。本発明における偏光子の膜厚は、この観点から、1.5〜20μmであることが好ましく、3〜16μmであることがより好ましく、4〜10μmであることが最も好ましい。偏光子の膜厚が20μmより厚いと光漏れが大きくなり、また偏光子の膜厚が1.5μmより薄くても光漏れが大きくなる。
本発明における偏光子の製造方法における、ポリビニルアルコールと、ヨウ素とを含有する本発明における偏光子の製造方法としては、特に制限はない。例えば、前記PVAをフィルム化した後、ヨウ素を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、水に対して攪拌しながらPVA系樹脂を添加し、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。また、得られたスリラーを脱水し、含水率40%程度のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを一度調製してもよい。さらにその後添加剤を加える場合は、例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流延して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。その中でも、前記キャストドラムの直径(R1)は2000〜5000mmであることが好ましく、2500〜4500mmであることが特に好ましく、3000〜3500mmであることが特に好ましい。
前記キャストドラムの幅は2〜6mであることが好ましく、3〜5mであることが特に好ましく、4〜5mであることが特に好ましい。
前記キャストドラムの回転速度は2〜20m/分であることが好ましく、4〜12m/分であることが特に好ましく、5〜10m/分であることが特に好ましい。
前記キャストドラムのキャストドラム表面温度は40〜140℃であることが好ましく、60〜120℃であることが特に好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。
前記T型スリットダイ出口の樹脂温度は40〜140℃であることが好ましく、60〜120℃であることが特に好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。前記乾燥ロールの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。その中でも、前記キャストドラムの直径(R1)は200〜450mmであることが好ましく、250〜400mmであることが特に好ましく、300〜350mmであることが特に好ましい。
また、得られたフィルムの長さについても特に制限はなく、2000m以上、好ましくは4000m以上の長尺のフィルムとすることができる。フィルムの幅についても、特に制限はないが、2〜6mであることが好ましく、3〜5mであることが好ましい。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.05倍〜1.5倍に延伸する態様が好ましく、1.3倍程度に延伸する態様がより好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
前記二色性色素として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明において、偏光子の40℃相対湿度95%で24時間処理し、更に25℃相対湿度10%で48時間処理した後の収縮力を上記所定の値にする手段の一つとして、偏光子の硬膜条件(硬膜時間の調整など)を適宜調整して行うことが出来る。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
本発明において、偏光子の40℃相対湿度95%で24時間処理し、更に25℃相対湿度10%で48時間処理した後の収縮力を上記所定の値にする手段の一つとして、延伸倍率を適宜調整して行うことが出来る。
また、PVAを用いる場合、偏光子の吸収軸を、延伸方向と平行な方向とすることができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
また膜厚が薄い偏光子は、特許第4691205号公報や特許第4751481号公報に記載の塗布法を用いた製造方法により形成することができる。
なお、膜厚の制御は、公知の方法で制御することができ、例えば前記流延工程におけるダイスリット幅や、延伸条件を適切な値に設定することで制御できる。
本発明の液晶表示装置に使用される偏光板は、前述の偏光子を含み得る。
(直交透過率CT)
本発明における偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
また、偏光板耐久性試験では直交透過率の変化量はより小さいほうが好ましい。
60℃、相対湿度95%に500時間静置させたときの波長410nmにおける直交透過率の変化量(%)は、0.40%以下であることが好ましく、0.30%以下であることがより好ましく、0.25以下であることが特に好ましい。
一方、80℃、Dry環境下に500時間静置させたときの波長680nmにおける直交透過率の変化量(%)は、0.06%以下であることがより好ましい。
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下および高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
本発明における偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
本発明における偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明における偏光板に用いることができる2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
なお、偏光板に用いられる偏光子については、前述の通りである。
以下、前記偏光板保護フィルムに用いられるフィルム基材樹脂、添加剤、前記偏光板保護フィルムの好ましい特性について説明する。
次に前記偏光板保護フィルムで使用するフィルム基材である樹脂について説明する。
前記偏光板保護フィルムに用いられるフィルム基材としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。前記フィルム基材としてはセルロースアシレート、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げることができ、その中でも(メタ)アクリル樹脂又はセルロースアシレート樹脂が好ましい。すなわち前記偏光板保護フィルムは(メタ)アクリル樹脂又はセルロースアシレートを含むことが好ましい。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を含む。(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、例えば、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分を含有する成型材料を、押出し成型にて成型して得られる。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、Tg(ガラス転移温度)が115℃以上である(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことにより、耐久性に優れたものとなり得る。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜6のアルキルエステルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
本発明においては、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、上記(メタ)アクリル系樹脂として、グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2006−283013号公報、特開2006−335902号公報、特開2006−274118号公報などに記載の、グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報、特開2007−009182号公報などに記載の、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムを成型する際に用いる成型材料中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは60〜98質量%、特に好ましくは70〜97質量%である。(メタ)アクリル系樹脂フィルムを成型する際に用いる成型材料中の上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量が50質量%未満の場合には、(メタ)アクリル系樹脂が本来有する高耐熱性、高透明性が十分に反映できないおそれがある。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、上記(メタ)アクリル系樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;位相差低減剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムにおける添加剤の含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂と、その他の重合体や添加剤等を、任意の適切な混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルム成形することができる。あるいは、(メタ)アクリル系樹脂と、その他の重合体や添加剤等を、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルム成形してもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサー等、任意の適切な混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いられる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、任意の適切な混合機を用いることができる。
上記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。 上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないおそれがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えないおそれがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないおそれがある。延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないおそれがある。
延伸速度は、一方向で、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましく100〜10,000%/minである。延伸速度が10%/min未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるおそれがある。延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)等を行うことができる。熱処理の条件は、任意の適切な条件を採用し得る。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満であると、強度が低下するだけでなく、偏光板の耐久性試験を行うと捲縮が大きくなるおそれがある。厚さが200μmを超えると、透明性が低下するだけでなく、透湿性が小さくなり、水系接着剤を用いた場合、その溶剤である水の乾燥速度が遅くなるおそれがある。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面の濡れ張力は、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が少なくとも40mN/m以上であると、(メタ)アクリル系樹脂フィルムと偏光子との接着強度がさらに向上する。表面の濡れ張力を調整するために、任意の適切な表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、コロナ放電処理、プラズマ処理である。
以下、本発明に用いることができるセルロースアシレートについて、詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res.,273(1995)83−91)に記載がある。
本発明に用いることができるセルロースアシレートのアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましく、アセチル基がより特に好ましい。
本発明においては、置換基および/または置換度の異なる2種のセルロースアシレートを併用、混合して用いてもよいし、後述の共流延法などにより、異なるセルロースアシレートからなる複数層からなるフィルムを形成してもよい。
前記偏光板保護フィルムは、有機酸やその他の偏光板保護フィルムに用いられる公知の添加剤を、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、含んでいてもよい。
前記偏光板保護フィルムは、以下の特性を満たすことが好ましい。
ここで、本発明における偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムは、ともに同じ偏光板保護フィルムであっても、異なる偏光板保護フィルムであってもよい。
前記偏光板保護フィルムとしては、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD60、富士フイルム(株)製)、特開2006−58322号公報に記載の脂環式構造含有重合体樹脂フィルム、特開2009−122644号公報に記載のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。
前記偏光板保護フィルムの厚みは5μm〜70μmであることが好ましく、10μm〜65μmであることがより好ましく、15μm〜60μmであることが特に好ましい。
偏光子の40℃相対湿度95%で24時間処理し、更に25℃相対湿度10%で48時間処理した後の収縮力を好適な値に調整する観点から、液晶セルのフロント側(視認側)偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方の厚みが30μm以下であることが好ましく、液晶セルのフロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、前記液晶セルに近い側の保護フィルムの厚みが30μm以下であることがより好ましく、5〜20μmであることが更に好ましい。
偏光子の40℃相対湿度95%で24時間処理し、更に25℃相対湿度10%で48時間処理した後の収縮力を好適な値に調整する観点から、液晶セルのフロント側(視認側)偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方の保護フィルムのMD方向の湿度寸法変化率が0.3%以下であることが好ましく、液晶セルのフロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、前記液晶セルから遠い側の保護フィルムのMD方向の湿度寸法変化率が0.3%以下であることがより好ましく、0〜0.2%であることが更に好ましい。
本発明において、MD方向の湿度寸法変化率(%)は以下のように測定することができる。
長さ12cm(測定方向)、幅3cmの試料を用意し、該試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL0とする)。次いで試料を25℃相対湿度10%環境に24時間放置し、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL1とする)。さらに試料を25℃相対湿度80%環境に24時間放置し、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL2とする)。これらの測定値を用いて下記式により湿度寸法変化率を算出する。
湿度寸法変化率(%)=(L2−L1)/L0×100
前記偏光板保護フィルムの透湿度は、偏光板製造時の乾燥速度の観点から、前記保護フィルムのうち少なくとも一方が透湿度10g/m2/day以上であることが好ましい。
前記保護フィルムの透湿度は、10〜2000g/m2/dayであることがより好ましく、50〜1500g/m2/dayであることが特に好ましく、100〜1000g/m2/dayであることがより特に好ましい。
本明細書中における透湿度の値は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度40℃、相対湿度92%の雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量(g)を測定した値である。
本発明における偏光板の製造方法は、本発明における偏光子を製造する工程を含む以外は、特に制限はなく、公知のその他の工程を採用することができる。
以下、本発明における偏光板の製造方法について、偏光板保護フィルムの製造方法、偏光板保護フィルムと偏光子の積層方法、偏光板の機能化の順に説明する。
前記偏光板保護フィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。以下、偏光板保護フィルムの製造方法について、基材としてセルロースアシレートを用いた態様を例に挙げて説明するが、その他の樹脂を用いた場合も同様に前記偏光板保護フィルムを製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
前記偏光板保護フィルムには、延伸処理を行うこともできる。延伸処理により偏光板保護フィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。例えば、セルロースアシレートフィルムを用いる場合、偏光板保護フィルムの遅相軸を、延伸方向と平行な方向とすることができる。
セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載される方法を用いることができる。
本発明における偏光板の製造方法は、上記にて得られた偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する工程を含むことが好ましい。
また、後述の貼り合わせ後の接着剤の乾燥工程を要しないことから、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化性組成物(以下、単に「エポキシ系接着剤組成物」ということもある。)を好ましく使用することができる。脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化性組成物を用いることにより、過酷な環境下における偏光板の耐久性を向上させることが可能になるとともに、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため、生産性を向上させることができる。
このような脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物、及びそのオリゴマー等は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「エピコート」(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、「エピクロン」(DIC株式会社製)、「エポトート」(東都化成株式会社製)、「アデカレジン」(株式会社ADEKA製)、「デナコール」(ナガセケムテックス株式会社製)、「ダウエポキシ」(ダウケミカル社製)及び「テピック」(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層有する光学部材には、液晶セルとの貼合のため粘着剤層を設けていてもよい。液晶セル以外の他部材と貼合するためにも粘着剤層を設けることもできる。粘着剤層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また、偏光板の固定と貼合の作業性(リワーク性)の観点から、粘着剤層の粘着力は1N/25mm以上が好ましく、5N/25mm以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されない。
ここで、実質的に平行であるとは、前記偏光板保護フィルムのMD方向と偏光子の吸収軸の方向とのずれが5°以内であることをいい、1°以内であることが好ましく、0.5°以内であることがより好ましい。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、または薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、または、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
本発明の液晶表示装置は、フロント側に前述の偏光板を配置したものである。
本発明の液晶表示装置は、液晶表示装置をスリム化するために薄型化したバックライトを用いる場合に特に好適であり、高湿環境下での保存後に発生する光漏れを低減することができる。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはIPSモード又はFFSモードであることが好ましい。
IPSモードは、基板に対して液晶分子が常に水平であるようにスイッチングするモードであり、基板に対して水平方向の横電界を用いて液晶分子をスイッチングさせる。電極の形状についても、線状、網目状、スパイラル状、点状等、ジグザグ状等、いずれであってもよい。望ましいΔndは300nm程度である。
FFSモードは、IPSと同様に基板に対して液晶分子が常に水平であるようにスイッチングするモードであり、基板に対して水平方向の横電界を用いて液晶分子をスイッチングさせる。一般的に、FFSモードはベタ電極と層間絶縁膜とくし歯電極を有しており、電界方向がIPSとは異なる特徴を有している。望ましいΔndは350nm程度である。
これらのモードについては、種々の文献に記載があり、いずれの構成も本発明に採用することができる。表示装置のいずれにおいても得られる。IPS型液晶表示装置は、例えば特開2003−15160号、特開2003−75850号、特開2003−295171号、特開2004−12730号、特開2004−12731号、特開2005−106967号、特開2005−134914号、特開2005−241923号、特開2005−284304号、特開2006−189758号、特開2006−194918号、特開2006−220680号、特開2007−140353号、特開2007−178904号、特開2007−293290号、特開2007−328350号、特開2008−3251号、特開2008−39806号、特開2008−40291号、特開2008−65196号、特開2008−76849号、特開2008−96815号等の各公報に記載のものも使用できる。
図1は、IPS又はFFS型液晶表示装置の一実施形態の断面模式図である。
図1に示す液晶表示装置は、一対の第1偏光板16及び第2偏光板18と、IPS又はFFS型液晶セルLCとを備え、第2偏光板18のさらに外側には、バックライト26が配置されている。
なお、第1偏光板16及び第2偏光板18は、それぞれ偏光子と該偏光子の両面に偏光板保護フィルム(不図示)が積層されている。
また、バックライト26には、光の利用効率を上げるために反射板、輝度向上膜等の部材を用いることができる。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、上述の部材以外に例えば、拡散板、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板等の部品を適宜1層又は2層以上配置することができる。
本発明の液晶表示装置の液晶セルがIPSモード又はFFSモードである場合、フロント側偏光板の偏光子の両面に積層されている2枚の偏光板保護フィルム、及びリア側偏光板偏光板の偏光子の両面に積層されている2枚の偏光板保護フィルムいずれもが、(メタ)アクリル系樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。
図2は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図2における液晶層37の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。
液晶セルのフロント側偏光板31の吸収軸32とリア側偏光板42の吸収軸43は略直交に積層する。なお、これらの偏光板は、偏光子の両面に偏光板保護フィルムが液晶セル上電極基板35および液晶セル下電極基板38のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層37中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
[参考例101]
(セルロースアシレート溶液1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
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セルロースアシレート溶液1の組成
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アセチル置換度2.40、重合度400のセルロースアセテート
100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
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マット剤溶液2の組成
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
前記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記(1)〜(4)のように、ドラム製膜機にてソルベントキャスト法により、参考例102の厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルムを作成した。
(1)中間層用ドープ1の調製
下記組成の中間層用ドープ1を調製した。
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ドープ1の組成
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・セルロースアセテート 100質量部
(アセチル化度2.86、数平均分子量88000)
・メチレンクロライド(第1溶媒) 320質量部
・メタノール(第2溶媒) 83質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
・トリフェニルフォスフェート 7.6質量部
・ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.8質量部
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攪拌羽根を有する4000Lのステンレス性溶解タンクに、上記混合溶媒をよく攪拌・分散しつつ、セルロースアセテート粉体(フレーク)、トリフェニルフォスフェート及びビフェニルジフェニルフォスフェートを徐々に添加し、全体が2000kgになるように調製した。なお、溶媒は、すべてその含水率が0.5質量%以下のものを使用した。まず、セルロースアセテートの粉末は、分散タンクに粉体を投入して、攪拌剪断速度を最初は5m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルロースアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.5質量%以下であることを確認し、具体的には0.3質量%であった。
次に36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を通過させドープを得た。この際、濾過1次圧は1.5MPa、2次圧は1.2MPaとした。高温にさらされるフィルター、ハウジング、及び配管はハステロイ合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有する物を使用した。
マット剤(二酸化ケイ素(粒径20nm))と剥離促進剤(クエン酸エチルエステル(クエン酸、モノエチルエステル、ジエチルエステル、トリエチルエステル混合物))と前記中間層用ドープ1を、静止型混合器を介して混合させて支持体層用ドープ2を調製した。添加量は、全固形分濃度が20.5質量%,マット剤濃度が0.05質量%,剥離促進剤濃度が0.03質量%となるように行った。
マット剤(二酸化ケイ素(粒径20nm))を静止型混合器を介して前記中間層用ドープ1に混合させて、エアー層用ドープ3を調製した。添加量は、全固形分濃度が20.5質量%,マット剤濃度が0.1質量%となるように行った。
流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、主流のほかに両面にそれぞれ積層して3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。以下の説明において、主流から形成される層を中間層と称し、支持体面側の層を支持体層と称し、反対側の面をエアー層と称する。なお、ドープの送液流路は、中間層用、支持体層用、エアー層用の3流路を用いた。
参考例102の偏光板保護フィルムの作成において、特開2010−134439号公報に記載の方法に従い、前記セルローストリアセテートフィルムに水蒸気接触処理及び熱処理を行い、MD方向の湿度寸法変化率を低減し、厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルムを作成した。
具体的には、湿潤気体接触室にて、前記セルローストリアセテートフィルムに水蒸気接触処理を1分間施した。湿潤気体接触室内の湿潤気体の絶対湿度は490g/cm3であり、相対湿度は79%RHであった。また、湿潤気体の露点は、前記セルローストリアセテートフィルムの温度よりも10℃以上高い温度となるように調節した。湿潤気体接触室内において、前記セルローストリアセテートフィルムの温度は102℃であった。水蒸気接触処理済みの前記セルローストリアセテートフィルムに熱処理を2分間施した。熱処理中の前記セルローストリアセテートフィルムの温度は130℃であった。
作成した参考例301の偏光板保護フィルムとしてのセルローストリアセテートフィルムのMD方向(流延方向)の湿度寸法変化率は0.25%であった。
[実施例311、314、317、609、612及び615の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例357の偏光板保護フィルム]
上記参考例301の偏光板保護フィルムの作成において、水蒸気接触処理及び熱処理を条件を適宜変更して行い、MD方向の湿度寸法変化率を低減し、参考例357の偏光板保護フィルムとして、MD方向(流延方向)の湿度寸法変化率0.15%、厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルムを作成した。
実施例303、603の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例303の偏光板保護フィルム]
参考例102の偏光板保護フィルムの作成において、流延量を調整し、参考例302の偏光板保護フィルムとしては厚さ25μmのセルローストリアセテートフィルムを、参考例303の偏光板保護フィルムとしては厚さ35μmのセルローストリアセテートフィルムを、それぞれ、作成した。作成したセルローストリアセテートフィルムのMD方向(流延方向)の湿度寸法変化率はいずれも0.35%であった。
[実施例319、322、617、及び620の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例359の偏光板保護フィルム、並びに
実施例320、323、618及び621の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例360の偏光板保護フィルム]
上記参考例302の偏光板保護フィルムの作成において、水蒸気接触処理及び熱処理の条件を適宜変更して行い、MD方向の湿度寸法変化率を低減し、参考例359の偏光板保護フィルムとして、MD方向(流延方向)の湿度寸法変化率0.25%、厚さ25μmのセルローストリアセテートフィルムを作成した。
同様に、上記参考例302の偏光板保護フィルムの作成において、水蒸気接触処理及び熱処理の条件を適宜変更して行い、MD方向の湿度寸法変化率を低減し、参考例360の偏光板保護フィルムとして、MD方向(流延方向)の湿度寸法変化率0.15%、厚さ25μmのセルローストリアセテートフィルムを作成した。
参考例101の偏光板保護フィルムの作成において、上記と同様に、特開2010−134439号公報に記載の方法に従い、セルロースアシレートフィルムに水蒸気接触処理及び熱処理を行い、MD方向の湿度寸法変化率を低減し、厚さ50μmのセルロースアシレートフィルムを作成した。
作成したセルロースアシレートフィルムのMD方向(流延方向)の湿度寸法変化率は0.25%であった。
参考例101の偏光板保護フィルムの作成において、流延量を調整し、厚さ35μmのセルロースアシレートフィルムを作成した。作成したセルロースアシレートフィルムのMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
[実施例308、312〜314、318〜320、324及び326の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例353の偏光板保護フィルム]
参考例101の偏光板保護フィルムの作成において、流延量を調整し、厚さ25μmのセルロースアシレートフィルムを作成した。作成したセルロースアシレートフィルムのMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
[実施例315〜317及び321〜323の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例356の偏光板保護フィルム]
参考例101の偏光板保護フィルムの作成において、流延量を調整し、厚さ15μmのセルロースアシレートフィルムを作成した。作成したセルロースアシレートフィルムのMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
市販のセルロースアシレート系フィルム、商品名「フジタック TD80UL」(富士フイルム社製)を準備し、参考例354の偏光板保護フィルムとして利用した。このフィルムの厚みは、80μmであった。MD方向の湿度寸法変化率は0.34%であった。
[実施例305、310及び605の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例355の偏光板保護フィルム]
市販のノルボルネン系ポリマーフィルム「ZEONOR ZF14−060」((株)オプテス製)の表面に、ソリッドステートコロナ処理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理を行った。このフィルムを参考例355の偏光板保護フィルムとして使用した。このフィルムの厚みは、60μmであった。MD方向の湿度寸法変化率は0.05%であった。
MD方向湿度寸法変化率は以下のように測定した。
長さ12cm(測定方向)、幅3cmの試料を用意し、該試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL0とする)。次いで試料を25℃相対湿度10%環境に24時間放置し、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL1とする)。さらに試料を25℃相対湿度80%環境に24時間放置し、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL2とする)。これらの測定値を用いて下記式により湿度寸法変化率を算出した。
湿度寸法変化率(%)=(L2−L1)/L0×100
作製した各参考例の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、各参考例の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
500Lのタンクに18℃の水200kgを入れ、攪拌しながら、重量平均分子量165000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂42kgを加え、15分間攪拌した。得られたスラリーを脱水し、含水率40質量%のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを得た。
キャストドラム幅4.3m、
キャストドラム回転速度:8m/分、
キャストドラム表面温度:90℃、
T型スリットダイ出口の樹脂温度:95℃
得られた膜の表面と裏面とを下記の条件にて複数の乾燥ロールを交互に通過させながら乾燥を行った。
乾燥ロール幅:4.3m、
乾燥ロール本数(n):10本、
乾燥ロール回転速度:8m/分、
乾燥ロール表面速度:50℃
鹸化処理した上記にて製造した参考例101の偏光板保護フィルムを、インナー(液晶セルに近い側)保護フィルム1用として、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、上記にて製造した実施例101の偏光板に使用する偏光子の片側に貼り付けた。一方、参考例102の偏光板保護フィルムに同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、製造した参考例101の保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、アウター(液晶セルから遠い側)保護フィルム2用として、貼り付けた。
この際、作成した実施例101の偏光板に使用する偏光子の吸収軸と作成した参考例101の偏光板保護フィルムのMD方向とが平行になるように配置した。また、偏光子の吸収軸と参考例102の偏光板保護フィルムのMD方向とは、平行になるように配置した。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
実施例101の偏光板に使用する偏光子の作成において、ポリビニルアルコールフィルム厚み、延伸倍率、ホウ酸水溶液処理時間、偏光子膜厚を下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜106、301〜327、比較例201〜203の偏光板に使用する偏光子を製造した。
実施例102〜106、301〜327、比較例201〜203の偏光板の作製については、実施例101の偏光板に使用した偏光子、インナー保護フィルム1、及びアウター保護フィルム2を、それぞれ、下記表1のように変更する以外は実施例101の偏光板の作製と同様にして実施例102〜106、301〜327、比較例201〜203の偏光板を作製した。
本発明における偏光子の40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した後の収縮力は、以下の方法で算出した。
偏光板、及び偏光板両側に貼り合わされているフィルム(フィルム1、フィルム2)と同種のフィルムを、40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した直後に25℃相対湿度10%環境下でのMD方向の弾性率と寸法変化率を測定した。
フィルム1、フィルム2及び偏光板のMD方向の弾性率は、長手方向(MD方向)の長さが200mm、幅が10mmの試料を用意し、東洋精機製のストログラフV10−Cを用い、長手方向のチャック間隔が10cmとなるように設置し、
延伸速度10mm/分でチャック間隔が広がるように加重を加えて、その時の力を測定した。予めマイクロメーターで測定していた偏光板の厚み、力、伸び量から弾性率を算出した。
また、フィルム1、フィルム2及び偏光板の寸法変化率は以下のように測定した。長さ12cm(測定方向)、幅3cmの試料を用意し、該試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL0とする)。次いで試料を40℃相対湿度95%で24時間放置した後、25℃相対湿度10%で48時間放置した直後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL1とする)。これらの測定値を用いて下記式により寸法変化率を算出した。
寸法変化率[%]={(L0[cm]−L1[cm])/L0[cm]}×100
次いで、下記式から偏光子の吸収軸方向の弾性率と収縮率(寸法変化率)を算出した。
偏光子弾性率(GPa)=(偏光板のMD方向の弾性率×偏光板厚み−フィルム1のMD方向の弾性率×フィルム1厚み−フィルム2のMD方向の弾性率×フィルム2厚み)/偏光子厚み
偏光子寸法変化率(%)=(フィルム1のMD方向の弾性率×フィルム1厚み×(偏光板のMD方向の寸法変化率−フィルム1のMD方向の寸法変化率)+フィルム2のMD方向の弾性率×フィルム2厚み×(偏光板のMD方向の寸法変化率−フィルム2のMD方向の寸法変化率))/偏光子弾性率(GPa)/偏光子厚み+偏光板のMD方向の寸法変化率
上記式から算出した偏光子弾性率(GPa)と偏光子寸法変化率(%)から下記式に従い偏光子収縮力(N/m)を算出した。
偏光子収縮力(N/m)=偏光子弾性率(GPa)×|偏光子寸法変化率(%)|×偏光子厚み(μm)×10
市販のVA型液晶テレビ(Skyworth製39E61HR)の2枚の偏光板をはがし、フロント側に本発明の偏光板として、実施例101の偏光板を、リア側に実施例101の偏光板を、参考例101の偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように(インナー保護フィルム1になるように)、粘着剤を介して、フロント側およびリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、リア側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、実施例101の液晶表示装置を得た。
実施例101の液晶表示装置の作製において、フロント側に使用した実施例101の偏光板を、実施例102〜106、301〜327、比較例201〜203の偏光板に、それぞれ、変更した以外は同様にして、実施例102〜106、301〜327、比較例201〜203の液晶表示装置を製造した。
[光漏れ評価]
(画面平均輝度)
このようにして作製した実施例及び比較例の液晶表示装置を、40℃相対湿度95%の環境に24時間放置した後、25℃相対湿度60%環境にて5時間連続点灯した。連続点灯後に全面黒表示の状態にし、輝度計測用カメラ「ProMetric」(Radiant Imaging社製)で画面正面から黒表示画面を撮影し、全画面の平均輝度を算出した。
(コーナー部光漏れ)
コーナー部光漏れについて画面四隅に生じる光漏れのレベルを目視で7段階評価した。数値が大きいほど光漏れが大きい。
また、表中の数値の肩書きの「良い」は同点数内でやや良いと感じるものを表し、数値の肩書きの「悪い」は同点数内でやや悪いと感じるものを表す。
(中央部黒締まり)
中央部黒締りは、上記コーナー部光漏れのない画面中央部の黒締りのレベルを目視で3段階評価した。数値が大きいほど黒締りが悪い。
また、表中の数値の肩書きの「良い」は同点数内でやや良いと感じるものを表し、数値の肩書きの「悪い」は同点数内でやや悪いと感じるものを表す。
実施例301〜305は、インナー保護フィルム1及び偏光子は一定とし、アウター保護フィルム2の膜厚(実施例302〜304)、湿度寸法変化率(実施例301、305)、材料(実施例304、305)等を変更した液晶表示装置である。
実施例306〜310は、アウター保護フィルム2及び偏光子は一定とし、インナー保護フィルム1の膜厚(実施例307〜310)、湿度寸法変化率(実施例306、310)、材料(実施例309、310)等を変更した液晶表示装置である。
実施例311〜323は、偏光子は一定とし、各種膜厚のインナー保護フィルム1に対して、アウター保護フィルム2の膜厚、湿度寸法変化率等を変更した液晶表示装置である。
実施例324〜327は、偏光子の収縮力を4000又は504N/mとし、各種膜厚のインナー保護フィルム1に対して、アウター保護フィルム2の湿度寸法変化率を変更した液晶表示装置である。
表1に示した結果から明らかなように、偏光子の収縮力4000N/mを超える比較例201、203は初期画面平均輝度0.08cd/m2(表1中に示さず)であり、高湿環境下で画面平均輝度が、それぞれ、0.26cd/m2、0.25cd/m2に増加し、光漏れ、特にコーナー部光漏れが生じていることがわかる。
また、偏光子の収縮力400N/m未満の比較例202は初期画面平均輝度0.24cd/m2(表1中に示さず)であり、高湿環境下でも画面平均輝度が0.24cd/m2であり、光漏れが生じていることがわかり、また、中央部黒締まりが悪いことがわかる。
一方、実施例101〜106、301〜327はいずれも高湿環境下での画面平均輝度が小さく、光漏れ、特にコーナー部光漏れが低減していることがわかり、また、中央部黒締まりも良いことがわかる。
また、実施例101〜106、301〜327の偏光板をIPS型液晶テレビに使用した場合においても同様に、高湿環境下での画面平均輝度が小さく、光漏れ、特にコーナー部光漏れが低減し、中央部黒締まりも良い結果が得られた。
[参考例401]
[下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂{共重合モノマー質量比=メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、重量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、10kgf)、Tg131℃}90質量部と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10質量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、厚さ80μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂シートを得た。この未延伸シートを、160℃の温度条件下、縦1.5倍、横1.8倍に延伸して(メタ)アクリル系樹脂フィルム−1(厚さ:40μm、面内位相差Δnd:0.8nm、厚み方向位相差Rth:1.5nm)を得た。作成した(メタ)アクリル系樹脂フィルム−1のMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
[実施例606の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例601の偏光板保護フィルム]
参考例401の作成において、延伸条件を調整し、(メタ)アクリル系樹脂フィルム−2を作成した。作成した(メタ)アクリル系樹脂フィルム−2のMD方向の湿度寸法変化率は0.25%であった。
[実施例607、610〜612、616〜618、622及び624の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例602の偏光板保護フィルム]
参考例401の作成において、溶融押し出し条件及び延伸条件を調整し、厚さ25μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム−3を作成した。作成した(メタ)アクリル系樹脂フィルム−3のMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
[実施例613〜615及び619〜621の偏光板ないし液晶表示装置に使用する参考例603の偏光板保護フィルム]
参考例401の作成において、溶融押し出し条件及び延伸条件を調整し、厚さ15μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム−4を作成した。作成した(メタ)アクリル系樹脂フィルム−4のMD方向の湿度寸法変化率は0.35%であった。
MD方向湿度寸法変化率の測定については前述の通りである。
実施例401の偏光板に使用する偏光子は実施例101の偏光板に使用した偏光子と同じものを使用した。
下記エポキシ系接着剤組成物を用いて、インナー(液晶セルに近い側)保護フィルム1用として、上記偏光子の片側に参考例401のフィルムを貼合ロールによって貼り付け、その後、メタルハライドランプを320〜400nmの波長における積算光量が600mJ/cm2となるように照射して前記接着剤組成物を硬化させた。
(エポキシ系接着剤組成物)
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 40質量部
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 60質量部
ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤) 4.0質量部
ベンゾインメチルエーテル(光増感剤) 1.0質量部
一方、参考例102の偏光板保護フィルムに上述したように鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール接着剤を用いて、製造した参考例401の保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、アウター(液晶セルから遠い側)保護フィルム2用として、貼り付けた。
この際、上記偏光子の吸収軸と作成した参考例401の偏光板保護フィルムのMD方向とが平行になるように配置した。また、偏光子の吸収軸と参考例102の偏光板保護フィルムのMD方向とは、平行になるように配置した。
このようにして実施例401の偏光板を作製した。
上記実施例101の偏光板に使用する偏光子(実施例401の偏光板に使用した偏光子と同一)の作成において、ポリビニルアルコールフィルム厚み、延伸倍率、ホウ酸水溶液処理時間、偏光子膜厚を下記表2に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例402〜406、601〜626、比較例501〜503の偏光板に使用する偏光子を製造した。
実施例402〜406、601〜625、比較例501〜503の偏光板の作製については、実施例401の偏光板に使用した偏光子、インナー保護フィルム1、及びアウター保護フィルム2を、それぞれ、下記表2のように変更する以外は実施例401の偏光板の作製と同様にして実施例402〜406、601〜626、比較例501〜503の偏光板を作製した。
〔実施例626の偏光板の作製〕
前述のエポキシ系接着剤組成物を用いて、上記偏光子601の両側に参考例401のフィルムを貼合ロールによって貼り付け、その後、メタルハライドランプを320〜400nmの波長における積算光量が600mJ/cm2となるように照射して前記接着剤組成物を硬化させ、実施例626の偏光板を得た。
市販のIPS型液晶テレビ(LG電子製42LS5600)の2枚の偏光板をはがし、フロント側に本発明の偏光板として、実施例401の偏光板を、リア側に実施例401の偏光板を、粘着剤を介して、フロント側およびリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、リア側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、実施例401の液晶表示装置を得た。
実施例401の液晶表示装置の作製において、フロント側に使用した実施例401の偏光板を、実施例402〜406、601〜626、比較例501〜503の偏光板に、それぞれ、変更した以外は同様にして、実施例402〜406、601〜626、比較例501〜503の液晶表示装置を製造した。
[光漏れ評価]
前記と同様の方法により(画面平均輝度)、(コーナー部光漏れ)及び(中央部黒締まり)を評価し光漏れ評価をおこなった。
実施例601〜605は、インナー保護フィルム1及び偏光子は一定とし、アウター保護フィルム2の膜厚(実施例602〜604)、湿度寸法変化率(実施例601、605)、材料(実施例604、605)等を変更した液晶表示装置である。
実施例606〜608は、アウター保護フィルム2及び偏光子は一定とし、インナー保護フィルム1の膜厚(実施例607、608)、湿度寸法変化率(実施例606、608)、材料(実施例608)等を変更した液晶表示装置である。
実施例609〜621は、偏光子は一定とし、各種膜厚のインナー保護フィルム1に対して、アウター保護フィルム2の膜厚、湿度寸法変化率等を変更した液晶表示装置である。
実施例622〜625は、偏光子の収縮力を4000又は504N/mとし、各種膜厚のインナー保護フィルム1に対して、アウター保護フィルム2の湿度寸法変化率を変更した液晶表示装置である。
実施例626は、インナー保護フィルム1及びアウター保護フィルム2を同一の(メタ)アクリル系樹脂フィルムにした液晶表示装置である。
表2に示した結果から明らかなように、偏光子の収縮力4000N/mを超える比較例501、503は初期画面平均輝度0.15cd/m2(表2中に示さず)であり、高湿環境下で画面平均輝度が、それぞれ、0.32cd/m2、0.31cd/m2に増加し、光漏れ、特にコーナー部光漏れが生じていることがわかる。
また、偏光子の収縮力400N/m未満の比較例502は初期画面平均輝度0.30cd/m2(表2中に示さず)であり、高湿環境下でも画面平均輝度が0.30cd/m2であり、光漏れが生じていることがわかり、また、中央部黒締まりが悪いことがわかる。
一方、実施例401〜406、601〜626はいずれも高湿環境下での画面平均輝度が小さく、光漏れ、特にコーナー部光漏れが低減していることがわかり、また、中央部黒締まりも良いことがわかる。
また、実施例401〜406、601〜626の偏光板をVA型液晶テレビに使用した場合においても同様に、高湿環境下での画面平均輝度が小さく、光漏れ、特にコーナー部光漏れが低減し、中央部黒締まりも良い結果が得られた。
12、14 基板
16 第1偏光板
18 第2偏光板
26 バックライト
32 フロント側偏光板吸収軸
35 液晶セル上電極基板
37 液晶層
38 液晶セル下電極基板
40 液晶表示装置
42 リア側偏光板
43 リア側偏光板吸収軸
Claims (9)
- 厚さ0.5mm以下のガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側に設けたバックライトからなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側に設けた偏光板の偏光子は、
偏光子の弾性率、偏光子の厚み、及び下記条件(A)での経時前後における偏光子の寸法変化率から算出される偏光子の吸収軸方向の収縮力が400〜4000N/mである、液晶表示装置。
[条件(A):40℃相対湿度95%の環境に24時間放置した後、25℃相対湿度10%の環境に48時間放置] - 前記偏光板に使用される保護フィルムが、(メタ)アクリル系樹脂フィルムである、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光板に使用される保護フィルムが、セルロースアシレートフィルムである、請求項1に記載の液晶表示装置。
- フロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方の厚みが30μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 厚みが30μm以下の前記保護フィルムが、前記液晶セルに近い側の保護フィルムである、請求項4に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルに近い側の保護フィルムの厚みが5〜20μmである、請求項5に記載の液晶表示装置。
- フロント側偏光板に使用される保護フィルムのうち、少なくとも一方のMD方向湿度寸法変化率が0.3%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- MD方向湿度寸法変化率が0.3%以下の前記保護フィルムが、前記液晶セルから遠い側の保護フィルムである、請求項7に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルから遠い側の保護フィルムのMD方向湿度寸法変化率が0〜0.2%である、請求項8に記載の液晶表示装置。
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