JP5373548B2 - セルロースアシレート組成物、セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献5には、クエン酸のカルボキシル基が、アリールアルキル基で置換されたオキシアルキレン基で置換されていてもよいことが記載されているが、実際にクエン酸をアリールアルキル基で置換されたオキシアルキレン基で置換した例は検討されておらず、セルロースアシレートフィルムへの応用についても記載がなかった。
一般式(I)
一般式(A)
[2] 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(I)中の前記R1〜R3がアルコキシ基を置換基として有する炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする[1]に記載のセルロースアシレート組成物。
[3] 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(I)中の前記R1〜R3のうち少なくとも2つが下記一般式(A)で表される置換基であるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースアシレート組成物。
一般式(A)
[4] 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(I)中の前記R1〜R3がいずれも下記一般式(A)で表される置換基であるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースアシレート組成物。
一般式(A)
[5] 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(A)中の前記Yがフェニル基、ベンジル基またはフェネチル基であるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート組成物。
[6] 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(A)中の前記Yで表されるフェニル基、ベンジル基またはフェネチル基が、メチル基、エチル基およびメトキシ基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有するクエン酸誘導体を含むことを特徴とする[5]に記載のセルロースアシレート組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート組成物からなるセルロースアシレートフィルム。
[8] [7]に記載のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする位相差フィルム。
[9] [7]に記載のセルロースアシレートフィルムまたは[8]に記載の位相差フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
[10] [7]に記載のセルロースアシレートフィルム、[8]に記載の位相差フィルムまたは[9]に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明のセルロースアシレート組成物は、セルロースアシレートと、下記一般式(I)で表されるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする。
一般式(I)
一般式(A)
(クエン酸誘導体の構造)
前記クエン酸誘導体は前記一般式(I)で表されることを特徴とする。本発明に用いられるクエン酸誘導体の構造の詳細について、説明する。
前記R1〜R3は炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基であることが好ましく、
炭素数1〜4の置換または無置換のアルキル基であることがより好ましい。
前記R1〜R3は、直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることが好ましい。
前記R1〜R3が無置換のアルキル基である場合、前記R1〜R3は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
前記R1〜R3が置換基を有するアルキル基の場合、前記R1〜R3はアルコキシ基を置換基として有する炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましい。
前記R1〜R3が環状の基を有さない置換基を有するアルキル基の場合、該環状の基を有さない置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基を挙げることができる。
前記R1〜R3が環状の基を有する置換基を有するアルキル基の場合、前記R1〜R3は前記一般式(A)で表されることが好ましい。
Yは置換または無置換の環状の基を含む炭素数6〜12の置換基を表す。前記Yは無置換または総炭素数が1〜6の基で置換された環状の基を含む炭素数6〜12の置換基であることが好ましい。
前記Yが含む環状の基としては、ヘテロ原子を含まない芳香環基、ヘテロ芳香環基、脂肪族環基、脂肪族ヘテロ環基などを挙げることができ、ヘテロ原子を含まない芳香環基であることが偏光板に貼り合せて高温高湿下で経時させた場合の偏光子劣化の抑制の観点から好ましい。
また、前記環状の基はさらに別の基(官能基)で置換されていることが好ましく、該基としては炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基またはメトキシ基がより好ましい。前記環状の基が、ヘテロ原子を含まず、且つ別の基で置換されている芳香環基である場合、該芳香環基のいずれの位置が別の基で置換されていてもよいが、メタ位またはパラ位が置換されていることが好ましく、パラ位が置換されていることがより好ましい。
一般式(A)において前記Yが連結する酸素原子と、前記Yが含む環状の基の間に連結基を有していてもよく、該連結基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基またはエチレン基が好ましい。
前記Yは、合計の炭素数、すなわち連結基、環状の基およびその環状の基にさらに置換している基の合計炭素数が、合計6〜24であることが好ましく、6〜18であることがより好ましく、6〜8であることが特に好ましい。
前記Yとしては、フェニル基、ベンジル基またはフェネチル基のいずれか1つであることが好ましい。さらに、前記Yで表されるフェニル基、ベンジル基またはフェネチル基が、メチル基、エチル基およびメトキシ基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有することがより好ましい。
前記一般式(A)において、前記mは1または2を表し、1であることが好ましい。
前記クエン酸誘導体の好ましい例としては、以下のものを挙げることができる。ただし、本発明で用いることができるクエン酸誘導体は、これらに限定されるものではない。なお、R2およびR3が一般式(A)で表される場合や、R1〜R3がすべて一般式(A)で表される場合については、便宜上R3が一般式(A)である構造の例として、下記一般式(I’)に挙げてある。すなわち、下記一般式(I’)および一般式(I”)は一部重複する範囲があり、完全に独立した別個の構造を表しているわけではない。
(クエン酸誘導体の親疎水性)
いかなる理論に拘泥するものでもないが、添加剤によるセルロースアシレートフィルムの含水率の低下には、添加剤がセルロースアシレートの近傍に存在し、一定の疎水場を形成することが重要である。このため添加剤の新疎水性は特定範囲に制御されていることが好ましい。すなわち、添加剤が疎水的過ぎるとセルロースアシレートとの相溶性が不足し、セルロースアシレートに近傍に存在しうる添加剤の割合が少なくなってしまう。一方、添加剤が親水的過ぎると、添加剤自体が水と相互作用しやすくなるためフィルムの含水率をかえって上昇させてしまう。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。 また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。 計算方法としては、Crippen’s fra gmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などを用いることが好ましいが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))を用いることが知られている。本発明では、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))を用いる。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、本発明ではDaylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたCLOGPプログラムを用いた。
また、ある化合物のlogPの値が、測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することとなる。
また、本発明に用いられるクエン酸誘導体の分子量は300〜1500が好ましく、350〜1200がさらに好ましく、400〜1000が最も好ましい。前記範囲の分子量を有する化合物を使用することにより、フィルム製造工程における添加剤の揮散を抑制でき、かつセルロースアシレートとの相溶性を確保しやすくなり好ましい。
本発明に用いられるクエン酸誘導体のうち、前記一般式(I)における置換基Lが水素原子であるクエン酸誘導体は、例えば、クエン酸と、求めるクエン酸誘導体の各カルボキシル基の置換基に対応するアルコール(R1OH、R2OH、R3OHおよび/またはHO−(X−O)m−Y)を、酸触媒下、有機溶媒中で脱水縮合することにより合成することができる。
前記酸触媒としては、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが好ましい例として挙げられ、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。前記酸触媒の使用量は、原料となるクエン酸1モルに対し、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.1モルの範囲である。有機溶媒としては、炭化水素溶媒が好ましく、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサンが好ましい例として挙げられ、トルエン、ベンゼン、キシレンが特に好ましい。
前記アルコールの使用量は、原料となるクエン酸1モルに対し、合計2〜10モルであることが好ましく、合計2.5〜3.5モルであることが特に好ましい。反応温度としては、室温から溶媒が還流する温度までの範囲が好ましく、還流条件であることが特に好ましい。また、副生する水をディーンスターク管やモレキュラシーブ等で除去することが好ましい。反応時間は1時間から3日間の範囲が好ましく、3時間から2日間が特に好ましい。
反応終了後、減圧留去で溶媒を除去し、置換基Lが水素原子である前記一般式(I)で表されるクエン酸誘導体を得ることができる。得られたクエン酸誘導体は、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーなどの方法を用いて精製してもよい。
本発明に用いられるクエン酸誘導体のうち、前記一般式(I)における置換基Lがアシル基であるクエン酸誘導体は、前記一般式(I)における置換基Lが水素原子であるクエン酸誘導体を用いて製造することができる。すなわち該クエン酸誘導体1モルに対し、有機溶剤中、塩基存在下において、求めるクエン酸誘導体の置換基Lのアシル基に対応するアシル化剤(例えば無水酢酸、塩化アセチル、塩化プロピオニル等)を反応させることにより合成することができる。
前記塩基としては、有機、あるいは無機の塩基を用いることができるが、有機塩基が好ましい。特に、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどを好ましい例として挙げることができる。前記塩基の使用量は、原料となるクエン酸1モルに対し、0.1モル以上が好ましく、2.5モル以上が特に好ましい。有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルヒロリドンなどの一般的な有機溶剤を用いることが出来る。また、前述の塩基(例えばピリジンなど)を有機溶剤として用いてもよい。反応温度は、室温から溶媒が還流する温度までの範囲が好ましく、20℃〜100℃の範囲が特に好ましい。反応時間は、30分から3日間の範囲が好ましく、1時間から2日間が特に好ましい。
反応後、反応混合物に水を加え、水に不溶の有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム等)で抽出することにより、前記一般式(I)における置換基Lがアシル基であるクエン酸誘導体の目的物を得ることができる。得られたクエン酸誘導体は、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーなどの方法を用いて精製してもよい。
これらのクエン酸誘導体の添加量は、セルロースアシレートに対して1〜20質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば、偏光子耐久性改良効果が得られやすく、また20質量%以下であれば、本発明のセルロースアシレート組成物を用いてセルロースアシレートフィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。さらに好ましい添加量は2〜15質量%であり、特に好ましくは、3〜12質量%である。
次に本発明で使用するセルロースアシレートについて詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res., 273(1995)83-91)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートのアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましい。
本発明においては、置換基および/または置換度の異なる2種のセルロースアシレートを併用、混合して用いてもよいし、後述の共流延法などにより、異なるセルロースアシレートからなる複数層からなるフィルムを形成してもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、少なくともひとつの本発明に用いられるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、前記クエン酸誘導体をセルロースアシレートフィルムに添加することにより、フィルムの含水率を大幅に低減できる。また、本発明の好ましい態様では、逆波長分散性を損なわずフィルムの含水率を大幅に低減できる。
さらに、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして用いることにより、高温高湿下での偏光子の性能劣化を大幅に改良できる。
以下に、セルロースアシレートフィルムの製造方法とセルロースアシレートフィルムの特性を詳しく説明する。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
では、通常の溶解方法ではセルロースアシレートを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
本発明では、セルロースアシレート溶液に前記クエン酸誘導体をセルロースアシレートフィルムに添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時セルロースアシレートと混合してもよい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、延伸処理をおこなうこともできる。延伸処理によりセルロースアシレートフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
(レターデーション)
次に本発明セルロースアシレートフィルムの特性について詳しく説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記式(1)〜(4)の関係を満たすことが好ましい。
0nm<Re<300nm ・・・式(1)
−50nm<Rth<400nm ・・・式(2)
また、式(2)においてRthは−30nm〜350nmが好ましく、−10nm〜300nmがより好ましい。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(21)および式(22)よりRthを算出することもできる。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの厚さを表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの厚みは30μm〜100μmが好ましく、30μm〜80μmがさらに好ましく、30μm〜60μmが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃、相対湿度80%における平衡含水率は、0〜5.0%であることが好ましい。前記平衡含水率は、さらに好ましくは0.1〜4.0%である。平衡含水率が5.0%以下であれば、水の可塑化効果によるセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度低下が小さく、高温高湿下の偏光子性能劣化を抑制する点から好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
(鹸化処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載され、偏光板の偏光子の作り方、偏光板の光学特性等については同公報の〔0213〕〜〔0255〕に記載されており、これらの記載を基に本発明のフィルムを保護フィルムに用いた偏光板を作製することができる。
偏光板は、一般に、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の液晶表示装置において、偏光板の透過軸と本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸が、実質的に平行であることが好ましい。ここで、実質的に平行であるとは、本発明のセルロースアシレートフィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じて好ましくない。
偏光板の直交透過率CTは、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定した。測定では、380nm〜780nmの範囲で測定し、10回測定の平均値を用いた。
偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行った。(1)の偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償膜本発明のセルロースアシレートフィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じのものを2つ用意する。(2)の偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態での測定は、ガラスの上に偏光板を光学補償膜本発明のセルロースアシレートフィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。本発明の実施例では、上記(1)および(2)の試験方法のうち、(2)の試験方法を採用した。
偏光性能の好ましい範囲としては直交透過率CTがCT≦2.0であり、より好ましい範囲としてはCT≦1.3(単位はいずれも%)である。
また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%に160時間静置させたときの直交単板透過率の変化量ΔCT160(%)が0.05%以下である。
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、または薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明における偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、または両面に設けて使用できる。
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、または、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
(化合物101の合成)
10gのクエン酸、22mLの2−ベンジルオキシエタノール、及び100mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加えたトルエン50mLの溶液を、ディーンスターク管で副成する水を除去しながら140℃にて10時間攪拌した。反応終了後、溶剤を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、目的物を無色オイルとして得た。収量は10gであり、収率は32%であった。
(化合物102の合成)
30gのクエン酸、58.8mLの2−フェノキシエタノール、及び0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加えたトルエン75mLの溶液を、ディーンスターク管で副成する水を除去しながら140℃にて9時間攪拌した。反応終了後、溶剤を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、目的物を無色オイルとして得た。収量は43gであり、収率は50%であった。
(化合物126の合成)
実施例1で得られたクエン酸エステル10gを、塩化アセチルを13g加えた溶液に、ピリジンを5mL添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、水及びトルエンを加え、有機層を抽出、水洗した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、目的物を無色オイルとして得た。収量は5.1gであり、収率は48%であった。
〔セルロースアシレートフィルムの作製〕
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.43、重合度340のセルロースアセテート
100.0質量部
クエン酸誘導体101 7.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
前記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
作製した実施例101のセルロースアシレートフィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例101のセルロースアシレートフィルムについて表面の鹸化処理を行った。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した実施例101のセルロースアシレートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例101のセルロースアシレートフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例1のセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
〔実施例102〜107および比較例201〜220のセルロースアシレートフィルムの作製〕
実施例101においてセルロースアシレートの置換度、クエン酸誘導体の種類および量、延伸温度および延伸倍率、フィルム厚みを下記表4に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜107および比較例201〜210のセルロースアシレートフィルムを製造した。
実施例102〜107のセルロースアシレートフィルムおよび比較例201〜210のセルロースアシレートフィルムについても、それぞれ実施例101と同様にしてけん化処理および偏光板作製を行い、実施例102〜107の偏光板および比較例201〜210の偏光板を作製した。
(含水率の測定)
実施例101〜107および比較例201〜210のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを25℃相対湿度80%の環境下に2時間以上を調湿した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。得られた結果をそれぞれ下記表4に記載した。
セルロースアシレートフィルムを60℃、相対湿度90%の環境下で500時間保管した後に、フィルム1cm×3.5cmにテトラヒドロフラン/メタノール=1/2(体積比)の混合溶媒5ccを添加し、24時間抽出した。
次に、以下の条件で液体クロマトグラフィ分析により抽出液中の添加剤含量を定量した。
液体クロマトグラフィ装置:(株)島津製作所製LC−6A
カラム:(株)東ソー製、TSK-gel ODS−100Z
溶離液条件:アセトニトリル/水=50/50〜100/0
検出波長:254nm
以下の式により添加剤の残存率を算出した。得られた結果をそれぞれ下記表4に記載した。
(添加剤残存率)=[(未処理フィルム中の添加剤含量)−(60℃、相対湿度90%,RH0時間経時後の添加剤残量)]/ (未処理フィルム中の添加剤含量)×100(%)
セルロースアシレートフィルムを60℃、相対湿度90%の環境下で500時間保管した後の添加剤の残存率は、93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
実施例101〜107および比較例201〜205、207、209のセルロースアシレートフィルムを3cm×12cmに切り出し、60℃、相対湿度90%の環境下で500時間保管した後、25℃、相対湿度60%の環境下で24時間調湿した後にフィルム表面への添加剤の染み出しを目視で観察し、以下の基準により評価した。得られた結果をそれぞれ下記表4に記載した。
○:全面積で染み出しなし。
△:全体の30%未満の面積で染み出しあり。
×:全体の30%以上の面積で染み出しあり。
以上のようにして製造した実施例101〜107および比較例201〜210のセルロースアシレートフィルムについて、自動複屈折率計(KOBRA−WR、王子計測機器(株)製)により25℃で、相対湿度60%における波長446nm、548nm、および629nmにおけるReおよびRthをそれぞれ測定した。さらに、波長629nmにおけるReの値から、波長446nmにおけるReの値を引いたΔRe(629−446)の値を求めた。
得られた結果のうち、Re(548)、ΔRe(629−446)およびRth(548)をそれぞれ下記表4に記載した。
上記で作製した101〜107および比較例201〜210の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率を本明細書に記載した方法で測定した。
その後、実施例101〜105、比較例201〜206の偏光板については、60℃、相対湿度95%の環境下で160時間保存した後の直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として下記表4にその結果を記載した。
一方、実施例106と比較例207および208の偏光板については、60℃、相対湿度95%の環境下で330時間保存した後の偏光子クロス直交透過率を測定し、同様に経時前後の直交透過率の変化を求め、下記表4にその結果を記載した。
さらに、実施例107と比較例209および210の偏光板については、60℃、相対湿度95%の環境下で500時間保存した後の偏光子クロス直交透過率を測定し、同様に経時前後の直交透過率の変化を求め、下記表4にその結果を記載した。
〔液晶表示装置の作製〕
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に本発明の偏光板として、実施例101のセルロースアシレートフィルムを用いた本発明の偏光板を、実施例101のセルロースアシレートフィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして作製した本発明の液晶表示装置は市販の液晶テレビに対して、環境湿度を変えても斜めから観察した場合のコントラスト変化および色味変化が小さく、かつ高温高湿下で長時間使用してもコントラストの低下が小さく好ましかった。
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (9)
- 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(I)中の前記R1〜R3がアルコキシ基を置換基として有する炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であるクエン酸誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレート組成物。
- 前記クエン酸誘導体として、前記一般式(A)中の前記Yで表されるフェニル基、ベンジル基またはフェネチル基が、メチル基、エチル基およびメトキシ基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有するクエン酸誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースアシレート組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアシレート組成物からなるセルロースアシレートフィルム。
- 請求項6に記載のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする位相差フィルム。
- 請求項6に記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項7に記載の位相差フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
- 請求項6に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項7に記載の位相差フィルムまたは請求項8に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
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