JP2008233689A - 液晶表示装置 - Google Patents

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JP2008233689A JP2007075488A JP2007075488A JP2008233689A JP 2008233689 A JP2008233689 A JP 2008233689A JP 2007075488 A JP2007075488 A JP 2007075488A JP 2007075488 A JP2007075488 A JP 2007075488A JP 2008233689 A JP2008233689 A JP 2008233689A
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伸隆 深川
Hajime Nakayama
元 中山
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Abstract

【課題】視角および使用環境湿度による色味変化が小さく、表示ムラが発生しにくい液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、Rthが特定の関係を満たし、60℃95%RH24時間における透湿度が200g/m2以上1200g/m2以下である少なくとも1枚の光学補償フィルムA及びReが特定の関係を満たす少なくとも1枚の光学補償フィルムBを含む液晶表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に視野角特性に優れたVAモード液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であった。しかし、近年では高視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
VAモード液晶表示装置は他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有していた。
この問題を解決するために様々な光学特性を有する光学補償フィルム及びその組み合わせ方法が提案されている。例えば特許文献1には長波長ほど面内レターデーションが大きい特性を有するポリカーボネートフィルムと短波長ほど厚み方向位相差が大きい特性を有する位相差フィルムを組み合わせて用いることにより、黒表示を鮮明かつ無彩色にする方法が開示されている。しかし、この方法では位相差フィルムと偏光子の間の密着性を確保することが難しく、偏光板保護フィルム上に位相差フィルムを貼りあわせる必要がある。このため、偏光板保護フィルムの有する位相差が障害となり十分な改良効果が得られないという問題を有していた。
これに対して、特許文献2には長波長ほど面内レターデーションが大きい特性を有するポリビニルアルコール系ポリマーフィルムを直接偏光子と貼り合わせた偏光板およびトリアセチルセルロースフィルム上にポリイミド層を塗布した光学補償フィルムを直接偏光子と貼り合わせた偏光板を組み合わせることにより、斜め方向のコントラストが高く、視角による色味変化の小さい液晶表示装置を得る方法が開示されている。
しかし、この方法は使用環境湿度による色味変化が大きいという問題を有しており、さらなる改良が求められていた。
国際公開第2003/032060号パンフレット 特開2006−220726号公報
本発明の目的は、視角および使用環境湿度による色味変化が小さく、表示ムラが発生しにくい液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題は以下の手段によって解決されることを見出し、本発明を完結するに至った。
〔1〕
液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たし、60℃95%RH24時間における透湿度が200g/m2以上1200g/m2以下である少なくとも1枚の光学補償フィルムA及びReが下記式(4)〜(6)の関係を満たす少なくとも1枚の光学補償フィルムBを含む液晶表示装置。
50nm≦Rth(548)<400nm ・・・式(1)
1<Rth(446)/Rth(548) ・・・式(2)
Rth(628)/Rth(548)<1 ・・・式(3)
(式(1)〜(3)中、Rth(446)、Rth(548)、Rth(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における膜厚方向のレターデーション値(単位nm)を表す。)
20nm<Re(548)<300nm ・・・式(4)
Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(5)
1<Re(628)/Re(548) ・・・式(6)
(式(4)〜(6)中、Re(446)、Re(548)、Re(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における面内レターデーション値(単位nm(単位nm)を表す。)
〔2〕
前記光学補償フィルムBが、下記一般式(A)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、〔1〕に記載の液晶表示装置。
Figure 2008233689
(一般式(A)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。)
〔3〕
前記光学補償フィルムBが、下記一般式(B)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、〔1〕または〔2〕に記載の液晶表示装置。
Figure 2008233689
(一般式(A)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。lは1以上の整数を表す。)
〔4〕
前記光学補償フィルムBが、下記一般式(C)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
Figure 2008233689
(一般式(C)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を示す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。Rは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、ベンジル基、シリル基、リン酸基、アシル基、ベンゾイル基、またはスルホニル基を示す。l、m、およびnは1以上の整数を表す。)
〔5〕
前記液晶表示装置の一方の偏光板が前記光学補償フィルムAを含み、もう一方の偏光板が前記光学補償フィルムBを含む〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
〔6〕
光学補償フィルムAを含む偏光板が視認者側、光学補償フィルムBを含む偏光板がバックライト側に配置されている、〔1〕〜〔5〕に記載の液晶表示装置。
〔7〕
光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBのうちの少なくとも1枚が偏光板保護フィルムを兼ねる、〔1〕から〔6〕に記載の液晶表示装置。
〔8〕
前記液晶セルがVAモードである〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明によれば、視角および使用環境湿度による色味変化が小さく表示ムラが発生しにくい液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の液晶表示装置は、透湿度が特定の範囲にあり短波長ほどRthが大きい特性を有する光学補償フィルムAと、長波長ほどReが大きい特性を有する光学補償フィルムBを有し、光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBがいずれも偏光子として使用されるポリビニルアルコールと十分な密着性が得られる程度に親水的であることに特長がある。
従来、上記のように一定の親水性を有するフィルムは使用環境湿度により光学補償性能が大きく変化することが問題であったが、本発明においては、光学補償フィルムAの透湿度を特定の範囲に制御することにより、光学補償フィルムAの環境湿度による光学補償性能変化と光学補償フィルムBの環境湿度による光学補償能変化を相殺させ、上記のような親水性を有する光学補償フィルムを用いながらも、使用環境湿度による表示性能変化が小さくかつ表示ムラが発生しにくい液晶表示装置を提供するものである。
以下に、光学補償フィルムAおよびこれを用いた偏光板(以下偏光板Aと称す)、光学補償フィルムBおよびこれを用いた偏光板(以下偏光板Bと称す)、液晶表示装置の構成、の順に、本発明の液晶表示装置について詳しく説明する。
<光学補償フィルムA>
[フィルムのレターデーション]
本発明に用いられる光学補償フィルムAのレターデーションは下記式(1)〜(3)の関係を満たす。
50nm≦Rth(548)<400nm ・・・式(1)
1<Rth(446)/Rth(548) ・・・式(2)
Rth(628)/Rth(548)<1 ・・・式(3)
(式(1)〜(3)中、Rth(446)、Rth(548)、Rth(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における膜厚方向のレターデーション値(単位nm)を表す。)
式(1)においてRth(548)は70nm〜350nmが好ましく、90nm〜300nmがより好ましい。
また、式(2)は1.03<Rth(446)/Rth(548)が好ましく、1.05<Rth(446)/Rth(548)がより好ましい。
また、式(3)はRth(628)/Rth(548)<0.99が好ましく、Rth(628)/Rth(548)<0.98がより好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)及び数式(2)よりRthを算出することもできる。
数式(1)
Figure 2008233689
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
数式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
数式(2)
Figure 2008233689
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[フィルムの透湿度]
本発明の光学補償フィルムAの60℃95%RH24時間における透湿度は200g/m以上1,200g/m以下である。好ましくは、400g/m以上1,100g/m以下であり、より好ましくは600g/m以上1,100g/m以下である。
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に則り、各試料の透湿度を測定し、面積1mあたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出することができる。
光学補償フィルムAの透湿度が1,200g/mより大きいと使用環境湿度による光学補償フィルムBの光学補償性能変化が支配的となる。一方、200g/mより小さいと光学補償フィルムAの使用環境湿度による光学補償性能変化が支配的となり、いずれの場合も、使用環境湿度による液晶表示装置の色味変化が大きくなり好ましくない。
光学補償フィルムAの透湿度を上記範囲に制御することにより、光学補償フィルムAの性能変化と光学補償フィルムBの性能変化を相殺させ、使用環境湿度による色味変化が小さい液晶表示装置が得られる。さらに、透湿度を上記範囲に制御することにより、連続点灯時に液晶パネルの反りに起因する表示ムラを抑制できる効果もある。透湿度は後述する透湿度低減剤を用いることにより上記範囲に制御することができる。
[光学補償フィルムAに使用されるポリマーフィルム]
本発明の光学補償フィルムAに使用されるポリマーフィルムとしては、偏光子に使用されるポリビニルアルコールと一定の親和性を有するポリマーであれば様々なポリマーフィルムが使用できるが、原材料が安価であることおよび偏光板加工適性の点からセルロースアシレートを主として含むセルロースアシレートフィルムが特に好ましい。
セルロースアシレートを「主として含む」とはフィルム総重量に対してセルロースアシレートが、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上含まれていることを示す。本明細書において以下「主として含む」とは同様の意味を表すものとする。
[セルロースアシレート]
次に、本発明に用いることのできるセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
本発明におけるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.50〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.70〜2.97がさらに好ましい。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70,000〜230,000の数平均分子量を有することが好ましく、75,000〜230,000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78,000〜120,000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
この方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖((β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースエステルを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは37〜47℃に調節する。反応温度が35℃以上であれば、エステル化反応が円滑に進行するので好ましい。また、反応温度が50℃以下であれば、セルロースエステルの重合度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。
エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例えば、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きすぎることがなければ、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱して、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下するなどの問題が生じることはない。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。このとき反応停止剤の添加速度が大きすぎなければ、触媒が解離するために充分な反応時間が確保され、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残るなどの問題は生じにくい。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4〜30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間が30分以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題が生じないので好ましい。
反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、質量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
[波長分散制御剤]
本発明におけるセルロースアシレート等のポリマーフィルムは波長分散制御剤を含有することが好ましい。ここで、「波長分散制御剤」とはフィルムのレターデーションの波長分散を調節する化合物である。
本発明における波長分散制御剤は、250nm〜400nmの波長範囲に吸収極大を有するものであることが好ましい。さらに好ましくは、260nm〜390nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
本発明において波長分散調節剤の吸収極大は、メチレンクロライド、メタノールまたはテトラヒドロフランに0.01g/L〜0.1g/Lの濃度で溶解し、(株)島津製作所製の分光光度計UV-3500等を用いて吸収スペクトルを測定することにより求めることができる。
本発明に好ましく用いられる波長分散制御剤の具体例としては、一般式(III)〜(VI)で示される化合物が好ましく、一般式(III)で示される化合物がより好ましい。
Figure 2008233689
(一般式(III)中、Q1およびQ2はそれぞれ芳香族環を表す。Xは置換基を表し、Yは酸素原子、硫黄原子または窒素原子を表す。XYは水素原子であっても良い。)
1およびQ2の表す芳香族環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等を挙げることができ、ベンゼン環が好ましい。
1およびQ2はそれぞれ、上記「XY」以外の置換基を有していてもよい。
1およびQ2はそれぞれ単環であっても、縮合環であってもよいが、単環が好ましい。Xが表す置換基としてはヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基を挙げることができ、ヒドロキシル基が好ましい。
一般式(III)で示される化合物は、ベンゾフェノン系化合物であることが好ましい。
Figure 2008233689
(一般式(IV)中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ一価の有機基であり、R1、R2およびR3の少なくとも1つは総炭素原子数10〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基である。)
Figure 2008233689
(一般式(V)中、R1、R2、R4およびR5はそれぞれ一価の有機基であり、R6は分岐のアルキル基である。)
一般式(VI)及び(V)のR4およびR5における一価の有機基としてはアルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基を挙げることができ、ハロゲン基が好ましい。
また、特開2003−315549号公報に記載されている、一般式(VI)で表される化合物も好ましく使用することができる。
Figure 2008233689
(一般式(VI)中、R0およびR1はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜25のアルキル基、炭素原子数7〜9のフェニルアルキル基、無置換または炭素原子数1〜4のアルキル基置換のフェニル基、置換または無置換のオキシカルボニル基、もしくは置換または無置換のアミノカルボニル基を表す。R2〜R5およびR19〜R23はそれぞれ水素原子、もしくは炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルキル基を表す。)
一般式(III)で示される化合物としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物が挙げられる、例えば住友化学社製Sumisorbシリーズ等を好ましく用いることができる。
以下に一般式(IV)〜(VI)で表される化合物の好ましい具体例を記載するが、本発明に用いることができる化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール
また、その他にも旭電化、プラスチック用添加剤概要、「アデカスタブ」のカタログにある光安定剤も使用できる。チバ・スペシャル・ケミカルズのチヌビン製品案内にある光安定剤、紫外線吸収剤も使用できる。SHIPROKASEI KAISYAのカタログにあSEESORB、SEENOX、SEETECなども使用できる。城北化学工業のUV吸収剤、酸化防止剤も使用できる。共同薬品のVIOSORB、吉富製薬の紫外線吸収剤も使用できる。
一般式(IV)〜(VI)で表される化合物は公知の方法により製造できる。例えば特公昭44-29620号記載の方法あるいはこれに準じた方法によって得ることができる。
次に下記一般式(VII)で表される波長分散制御剤について詳しく説明する。
一般式(VII) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は1,3,5−トリアジン環、Q2は芳香族環を表す。)
一般式(VII)としてさらに好ましくは下記一般式(VII−A)で表される化合物である。
一般式(VII−A):
Figure 2008233689
一般式(VII−A)中、R1 は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4、−O−CO−R5、−O−CO−O−R6、−CO−NH2、−CO−NHR7、−CO−N(R7)(R8)、CN、NH2、NHR7、−N(R7)(R8)、−NH−CO−R5、フェノキシ基、炭素原子数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基、または炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;OH、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基または−O−CO−R5 で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9 または−SO2 −R10を表すか;あるいはR1 は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基を表すか;あるいはR1は−A;−CH2−CH(XA)−CH2−O−R12;−CR13R'13−(CH2m−X−A;−CH2−CH(OA)−R14;−CH2−CH(OH)−CH2−XA;
Figure 2008233689
−CR15R'15−C(=CH2)−R"15;−CR13R'13−(CH2m−CO−X−A;−CR13R'13−(CH2m−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15または−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;基R2は、互いに独立して、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;COOR4;CN;−NH−CO−R5;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R3を表し;R3はR1に対して与えられた定義を表し;R4は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表すか;あるいはR4は1以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;R5はH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し;R6はH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;R7およびR8は互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7およびR8は一緒になって炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表し;R9は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し;R10は炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表し;基R11は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1〜18のアルコキシ基を表し;R12は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R5を表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;R13およびR’13は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表し;R14は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルキル基を表し;R15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3を表し;R16はH;−CH2−COO−R4;炭素原子数1〜4のアルキル基;またはCNを表し;R17はH;−COOR4;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表し;Xは−NH−;−NR7−;−O−;−NH−(CH2p−NH−;または−O−(CH2q−NH−を表し;および指数mは数0〜19の整数を表し;nは1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2、3または4を表す;但し一般式(VII−A)中、R1、R2およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む、である。
さらに一般式(VII−A)の化合物を説明する。
アルキル基としての基R1〜R10、R12〜R14、R16およびR17は、それぞれ、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
炭素原子数5〜12のシクロアルキル基としてのR1、R3〜R9およびR12は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基およびシクロドデシル基である。
アルケニル基としてのR6、R9、R11およびR12には、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基およびn−オクタデセ−4−エニル基がより好ましい例として含まれる。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基の置換基の数は1または2以上であることが好ましく、結合している炭素原子において(α−位において)または他の炭素原子において置換基を持つことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、その置換基の結合位置は好ましくはα−位以外であり、また、置換されたアルキル基の炭素原子数は好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
−O−、−NH−、−NR7−、−S−により中断されたアルキル基はこれらの基の1以上で中断されていてもよく、それぞれの場合一般に一つの結合中に1つの基が挿入されており、およびヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基がさらに置換されている場合、置換基は一般にヘテロ原子に対してα位にない。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらは一般に同一である。
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基またはナフチル基であり、好ましくはフェニル基およびビフェニルイル基である。アルアルキルは一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素原子数7〜20のアルアルキルは、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基を含み;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基およびα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基およびアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基またはフェノキシ基である。
ハロゲン置換基となるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子または塩素原子であり特に塩素原子であることが好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
炭素原子数4〜12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、または2−シクロオクテニ−1−イル基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基およびノルボルニル基、特にボルニル基およびノルボルニ−2−イル基が好ましい。
炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基またはノルボルニ−2−イルオキシ基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル−アルキル基または−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基またはアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基およびノルボルニル−2−メトキシ基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり;例えばノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基である。
炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3〜12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニルまたはキノリニル基である。
一般式(VII−A)で表される化合物はさらに好ましくは、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4、−O−CO−R5、−O−CO−O−R6、−CO−NH2、−CO−NHR7、−CO−N(R7)(R8)、CN、NH2、NHR7、−N(R7)(R8)、−NH−CO−R5、フェノキシ基、炭素原子数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;OH、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基および/または−O−CO−R5で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9または−SO2−R10を表すか;あるいはR1は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基を表すか;あるいはR1は−A;−CH2−CH(XA)−CH2−O−R12;−CR13R'13−(CH2m−X−A;−CH2−CH(OA)−R14;−CH2−CH(OH)−CH2−XA;
Figure 2008233689
−CR15R'15−C(=CH2)−R"15;−CR13R'13−(CH2m−CO−X−A;−CR13R'13−(CH2m−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15または−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;基R2は炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;−O−R3または−NH−CO−R5を表し;ならびに基R3は互いに独立してR1に対して与えられた定義を表し;R4は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表すか;あるいはR4は1以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−で中断されおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;R5はH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;R6はH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;R7およびR8は互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7およびR8は一緒になって炭素原子数3〜9のアルキレン基;炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表し;R9は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;R10は炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表し;基R11は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;または炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基を表し;R12は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R5を表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;R13およびR'13は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表し;R14は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルキル基を表し;R15、R'15およびR"15は互いに独立してHまたはCH3を表し;R16はH;−CH2−COO−R4;炭素原子数1〜4のアルキル基;またはCNを表し;R17はH;−COOR4;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表し;Xは−NH−;−NR7−;−O−;−NH−(CH2p−NH−;または−O−(CH2q−NH−を表し;および指数mは0〜19の整数を表し;nは数1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2、3または4を表す、である。
一般式(VII)および(VII−A)で表される化合物は公知の方法により製造できる。例えば欧州特許第434608号公報またはH.BrunettiおよびC.E.Luthi, Helv. Chim.Acta55, 1566(1972) による刊行物に示される方法に従ってまたはそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
次に、一般式(VII)および(VII−A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008233689
Figure 2008233689
また、その他にも旭電化、プラスチック用添加剤概要、「アデカスタブ」のカタログにある光安定剤も使用できる。チバ・スペシャル・ケミカルズのチヌビン製品案内にある光安定剤、紫外線吸収剤も使用できる。SHIPROKASEI KAISYAのカタログにあるSEESORB、SEENOX、SEETECなども使用できる。城北化学工業のUV吸収剤、酸化防止剤も使用することができる。共同薬品のVIOSORB、吉富製薬の紫外線吸収剤も使用することができる。
さらに、本発明における波長分散制御剤としては、特開2001−166144号公報および特開2003−3446556号公報に記載の円盤状化合物も好ましく用いることができる。
本発明の波長分散制御剤の添加は予めセルロースアシレートの混合溶液を作製するときに添加してもよいが、セルロースアシレートのドープを予め作製し、流延までのいずれかの時点で添加されてもよい。後者の場合、セルロースアシレートを溶剤に溶解させたドープ液と、紫外線吸収剤と少量のセルロースアシレートとを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi-Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。後添加する波長分散制御剤には、同時にマット剤を混合しても良いし、そのレターデーション制御剤、可塑剤、劣化防止剤、剥離促進剤等の添加物を混合しても良い。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、撹拌ができればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば30〜150℃の範囲に設定するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
また、本発明における波長分散制御剤は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明における波長分散制御剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、1.0〜20質量%が好ましく、1.5〜15質量%がさらに好ましく、2.0〜10質量%が最も好ましい。
本発明における波長分散制御剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に波長分散制御剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
[透湿度低減剤]
本発明の光学補償フィルムAとして好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは透湿度低減剤を含有することが好ましい。以下に本発明の光学補償フィルムAで用いられる透湿度低減剤について詳しく説明する。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤としては、公知のものを用いることができるが、分子内にヒドロキシル基と親和性の高い官能基と疎水性の高い部分構造を併せ持つものが好ましい。
ヒドロキシル基と親和性の高い官能基としては置換又は未置換のアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基が好ましく、より好ましくはアミノ基、ヒドロキシ基である。
また、疎水性の高い部分構造はアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)などを官能基を有することが好ましい。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤としては下記(XI)〜(XIV)で表される化合物が特に好ましい。
以下、一般式(XI)〜(XIV)で表されるそれぞれの化合物について詳細に説明する。
Figure 2008233689
一般式(XI)中、Rはオルト位および/またはメタ位に置換基を有する芳香族環または複素環を表し、Rは置換基を有する芳香族環または複素環を表すが、Rがオルト位および/またはメタ位に置換基を有する芳香族環を表し、Rが置換基を有する芳香族環を表すとき、双方が同一となることはない。Xは単結合または−NR−を表し、Xは単結合または−NR−を表し、Xは単結合または−NR−を表す。R、RおよびRは各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
更に詳しく説明すると、Rはオルト位および/またはメタ位に置換基を有する芳香族環または複素環を表し、Rは置換基を有する芳香族環または複素環を表す。RおよびRがそれぞれ表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。Rが表す芳香族環はオルト位および/またはメタ位に置換基を少なくとも有し、他の位置にも置換基を有していてもよい。Rが表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有する。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
なお、Rがオルト位および/またはメタ位に置換基を有する芳香族環を表し、Rが置換基を有する芳香族環を表すとき、双方が同一となることはない。「同一でない」とは、置換基を含めて同一でないことを意味し、例えば、同一の芳香族環であっても置換基が異なる場合、さらに置換基が同一であっても置換位置が異なる場合は、「同一でない」場合に含まれる。
およびRがそれぞれ表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
、XおよびXがそれぞれ単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
Figure 2008233689
一般式(XI)中、Xは単結合または−NR−を表し、Xは単結合または−NR4−を表し、X3は単結合または−NR−を表す。R、RおよびRは各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R3、RおよびRがそれぞれ表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基を表すのがより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
、RおよびRがそれぞれ表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
、RおよびRがそれぞれ表す芳香族環基および複素環基は、RおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはRおよびRの芳香族環および複素環の置換基と同様である。
Figure 2008233689
次に、前記一般式(XII)の化合物について詳しく説明する。
一般式(XII)中、Rはパラ位に置換基を有する芳香族環または複素環を表し、Rは置換基を有する芳香族環または複素環を表すが、Rがパラ位に置換基を有する芳香族環を表し、R7は置換基を有する芳香族環を表すとき、双方が同一となることはない。Xは単結合または−NR13−を表し、Xは単結合または−NR14−を表し、Xは単結合または−NR15−を表す。R13、R14およびR15は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
およびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環については、前記式(XI)中のRおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、置換基についても、RおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環有する置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rが表す芳香族環はパラ位に置換基を少なくとも有し、他の位置にも置換基を有していてもよい。Rは任意の位置に置換基を少なくとも一つ有する。なお、Rがパラ位に置換基を有する芳香族環を表し、Rは置換基を有する芳香族環を表すとき、双方が同一となることはない。「同一でない」とは、置換基を含めて同一でないことを意味し、例えば、同一の芳香族環であっても置換基が異なる場合、さらに置換基が同一であっても置換位置が異なる場合は、「同一でない」場合に含まれる。
は単結合または−NR13−を表し、Xは単結合または−NR14−を表し、Xは単結合または−NR15−を表す。R13、R14およびR15は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R13、R14およびR15がそれぞれ表す置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基については、前記式(XI)中のR、RおよびRがそれぞれ表す各基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2008233689
次に前記一般式(XIII)の化合物について詳しく説明する。式中、Rはオルト位および/またはメタ位に置換基を有する芳香族環または複素環を表す。Xは単結合または−NR23−を表し、Xは単結合または−NR24−を表し、Xは単結合または−NR25−を表す。R23、R24およびR25は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
が表す芳香族環および複素環については、前記式(XI)中のRおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、置換基についても、RおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環有する置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rが表す芳香族環はオルト位および/またはメタ位に少なくとも置換基を有し、他の位置にも置換基を有していてもよい。
は単結合または−NR23−を表し、Xは単結合または−NR24−を表し、Xは単結合または−NR25−を表す。R23、R24およびR25は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R23、R24およびR25がそれぞれ表す置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基については、前記一般式(XI)中のR、RおよびRがそれぞれ表す各基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2008233689
次に前記一般式(XIV)の化合物について詳しく説明する。
式中、R、R10およびR11はそれぞれ異なる芳香族環または複素環を表す。X10は単結合または−NR33−を表し、X11は単結合または−NR34−を表し、X12は単結合または−NR35−を表す。R33、R34およびR35は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
、R10およびR11がそれぞれ表す芳香族環または複素環については、前記式(XI)中のRおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環と同義であり、好ましい範囲も同様である。置換基についても、RおよびRがそれぞれ表す芳香族環および複素環有する置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、「異なる芳香族環または複素環」とは、置換基を含めて芳香族環および複素環が同一でないことを意味し、例えば、同一の芳香族環または複素環であっても置換基が異なる場合、さらに置換基が同一であっても置換位置が異なる場合は、「異なる芳香族環または複素環」に含まれる。
10は単結合または−NR33−を表し、X11は単結合または−NR34−を表し、X12は単結合または−NR35−を表す。R33、R34およびR35は各々独立して、水素原子、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R33、R34およびR35がそれぞれ表す置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基については、前記式(XI)中のR、RおよびRがそれぞれ表す各基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下に本発明に用いることのできる1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
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Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
Figure 2008233689
上記一般式(XI)〜(XIV)で表される透湿度低減剤は波長分散調節剤としての機能も併せ持つことができる。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤の分子量は、200以上1,000以下であることが好ましく、300以上850以下が好ましい。この範囲であれば、溶剤への溶解性と製膜時の保留性を両立することができる。本発明の化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
式(XI)〜(XIV)で表される化合物は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明においては、式(XI)〜(XIV)で表される化合物の併用も好ましい。本発明に用いることのできる透湿度低減剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、2〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がさらに好ましい。この範囲で前記化合物を用いることにより、ブリードアウトを生じることなく透水度を低下させることができる。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤はレターデーション調節剤、可塑剤等の他の機能を併せ持つことができる。
本発明に用いることのできる透湿度低減剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
[光学補償フィルムAとして用いられるフィルムの製造]
本発明におけるセルロースアシレート等のポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレート等のポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−およびCOO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレート等のポリマー溶液(ドープ)は、例えば、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート等のポリマー溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレート等のポリマー溶液中におけるセルロースアシレート等のポリマーの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレート等のポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースアシレート等のポリマー溶液は、例えば、常温(0〜40℃)でセルロースアシレート等のポリマーと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレート等のポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、セルロースアシレート等のポリマー溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法ではセルロースアシレート等のポリマーを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレート等のポリマーを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレート等のポリマーを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレート等のポリマーを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレート等のポリマーの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレート等のポリマーの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を、例えば、−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがより好ましく、12℃/分以上であることがさらに好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、冷却した混合物を、例えば、0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレート等のポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一なセルロースアシレート等のポリマー溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート等のポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレート等のポリマーフィルムを製造する。ドープにはレターデーション発現剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアシレート等のポリマー溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート等のポリマー液を流延する場合、複数のセルロースアシレート等のポリマー溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレート等のポリマーを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート等のポリマー溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート等のポリマー溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート等のポリマー溶液を同時に押し出すセルロースアシレート等のポリマーフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート等のポリマー溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート等のポリマー溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート等のポリマー層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート等のポリマー溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート等のポリマー溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート等のポリマー溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート等のポリマー溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート等のポリマー溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート等のポリマー溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレート等のポリマーフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明におけるセルロースアシレート等のポリマーフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
[光学補償フィルムAの厚み]
本発明の光学補償フィルムAの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがより好ましく、30μm〜100μmがさらに好ましい。
[鹸化処理]
本発明の光学補償フィルムAに好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板の保護フィルムとして用いることができる。
本発明におけるポリマーフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
<偏光板>
本発明に用いられる偏光板は、偏光膜と該偏光膜を狭持する一対の保護膜とからなる偏光板であって、前記保護膜の少なくとも一枚が前記光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBの少なくとも一枚を含むことが好ましい。
少なくとも一枚の前記光学補償フィルムAを含む偏光板を以下「偏光板A」、少なくとも一枚の前記光学補償フィルムBを含む偏光板を以下「偏光板B」と称する場合がある。
[偏光板Aの作製]
まず、本発明における偏光板Aは例えば、特開2006-220726号や特開2007−17958号に開示の方法により作製することができる。
[偏光板Aの機能化]
本発明における偏光板Aは、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
(反射防止フィルム)
本発明における偏光板Aは反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがより好ましい。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等に記載のもの)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
(輝度向上フィルム)
本発明における偏光板Aは、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF−E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
(他の機能性光学フィルム)
本発明における偏光板Aは、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
[ハードコート層]
本発明における偏光板Aは耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒子サイズは、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
[前方散乱層]
前方散乱層は、本発明における偏光板Aを液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
[アンチグレア層]
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
<光学補償フィルムB>
次に本発明に用いられる光学補償フィルムBについて詳しく説明する。
[フィルムのレターデーション]
本発明に用いられる光学補償フィルムBのレターデーションは下記式(4)〜(6)の関係を満たす。
20nm<Re(548)<300nm ・・・式(4)
Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(5)
1<Re(628)/Re(548) ・・・式(6)
(式(4)〜(6)中、Re(446)、Re(548)、Re(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における面内レターデーション値(単位nm(単位nm)を表す。)
式(4)においてRe(548)は30nm〜280nmが好ましく、40nm〜270nmがより好ましい。
式(5)はRe(446)/Re(548)<0.95が好ましく、Re(446)/Re(548)<0.90より好ましい。
式(6)は1.02<Re(628)/Re(548)が好ましく、1.05<Re(628)/Re(548)より好ましい。
[光学補償フィルムBで使用されるポリマーフィルム]
本発明の光学補償フィルムBに使用されるポリマーフィルムとしては、前記式(4)〜(6)を満たす限りにおいて、その材料の選択に制限はないが、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性が確保できるものであればより好ましい。更に好ましくは、下記一般式(A)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである。特に好ましくは、下記一般式(A)で表される構造を含む樹脂(以下ポリアセタール系樹脂と称する場合がある)を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムである。ここで「主成分とする」とはフィルム総重量に対してポリアセタール系樹脂が、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上含まれていることを示す。本明細書において以下「主成分とする」とは同様の意味を表すものとする。
上記ポリアセタール系樹脂は、例えば、主鎖又は側鎖に水酸基を有する高分子樹脂と、アルデヒドとの縮合反応(アセタール化ともいう)によって得ることができる。なお、本明細書においては、アルデヒドと同じカルボニル化合物のケトンを用いて、アセタール化して得られる反応生成物(ケタールともいう)も、上記ポリアセタール系樹脂に包含する。
Figure 2008233689
(一般式(A)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。)。
上記一般式(A)中、R、RおよびRの置換基は、当該置換基が結合しているベンゼン環の立体配座を制御するために用いられる。より具体的には、上記一般式(A)で表される構造を含むポリビニルアセタール系樹脂を主成分とする高分子フィルムを延伸した際、該置換基は、立体障害により、上記一般式(A)中、2つの酸素原子の間に配座しやすくなると推定される。その結果、上記のベンゼン環の平面構造を、該2つの酸素原子を結ぶ仮想線に対して、略直交に配向させ得る。本発明に用いる光学補償フィルムの波長分散特性は、この該2つの酸素原子を結ぶ仮想線に略直交する方向に配向したベンゼン環の波長分散特性と、主鎖構造の波長分散特性との相互作用によって得られるものと考えられる。
上記一般式(A)のR、R、RおよびRは、例えば、上記ポリアセタール系樹脂を得る際に、アルコールと反応させるアルデヒド(代表的には、ベンズアルデヒド類)またはケトン(代表的には、アセトフェノン類やベンゾフェノン類)の種類によって適宜、選択され得る。Rに水素原子を置換する場合は、アルデヒドを用いればよく、水素原子以外の置換基を導入する場合は、ケトンを用いればよい。
ベンズアルデヒド類の具体例としては、2−メチルベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、2−エトキシベンズアルデヒド、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジスルフォベンザルデヒドナトリウム、o−スルフォベンザルデヒド2ナトリウム、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジメトキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド)、2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒドなどが挙げられる。アセトフェノン類の具体例としては、2−メチルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、2−ニトロアセトフェノン、2−ヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジメチルアセトフェノン、4´−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン2−ブロモ−4´−クロロアセトフェノンなどが挙げられる。ベンゾフェノン類としては、2−メチルベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ニトロベンゾフェノン、2,4´−ジクロロベンゾフェノン、2,4´−ジクロロベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロ−4´−ジクロロベンゾフェノンなどが挙げられる。その他、1−ナフトアルデヒド、置換基を有する2−ナフトアルデヒド、9−アントラアルデヒド、置換基を有する9−アントラアルデヒド、アセトナフトン、フルオレン−9−アルデヒド、2,4,7−トリニトロフルオレン−9−オンなどが挙げられる。これらのアルデヒドまたはケトンは、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることもできる。また、上記アルデヒドまたはケトンは、任意の適切な変性を行ってから用いることもできる。
上記一般式(A)のRとして好ましくは、水素原子またはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。上記一般式(A)のRおよびRとして好ましくは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、およびハロゲン化アルキル基から選ばれる少なくとも1種の置換基であり、最も好ましくはメチル基である。上記一般式(A)のRとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、およびハロゲン化アルキル基から選ばれる少なくとも1種の置換基であり、最も好ましくはメチル基である。このような置換基を導入することにより、光学特性に優れた光学補償フィルムが得られ得る。
さらに好ましくは、本発明における光学補償フィルムBは、下記一般式(B)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである。特に好ましくは、下記一般式(B)で表される構造を含む樹脂(以下ポリビニルアセタール系樹脂と称する場合がある)を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムである。当該ポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒドまたはケトンとの縮合反応(アセタール化ともいう)によって得ることができる。下記一般式(B)で表される構造を含むポリビニルアセタール系樹脂を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムであれば、逆波長分散特性を示し、且つ、成形加工性、延伸性に優れる光学補償フィルムBを得ることができる。
Figure 2008233689
(一般式(B)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。lは1以上の整数を表す。)。
上記アセタール化は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒドまたはケトンを、強無機酸触媒または強有機酸触媒の存在下で反応させる方法である。酸触媒の具体例としては、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。アセタール化の反応温度は、通常、0℃を超え、用いられる溶剤の沸点以下であり、好ましくは10℃〜100℃であり、最も好ましくは20℃〜80℃である。上記の反応温度であれば、高収率が得られ得る。アセタール化に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、4−ジオキサンなどの環式エーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶剤等が好ましく用いられる。これらの溶剤は、1種類又は2種類以上を混合して用いられる。また、水と上記溶剤を混合して用いてもよい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂の原料となるポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系重合体をケン化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等が挙げられる。これらのなかでも好ましくは、酢酸ビニルである。
上記ポリビニルアセタール系樹脂の原料となるポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度としては、任意の適切な平均重合度が採用され得る。平均重合度は、好ましくは800〜3600であり、さらに好ましくは1000〜3200であり、最も好ましくは1500〜3000である。なお、ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(:1994)に準じた方法によって測定することができる。
本発明の光学補償フィルムBに用いられる、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、好ましくは40モル%〜99モル%であり、さらに好ましくは50モル%〜95モル%であり、最も好ましくは60モル%〜90モル%である。上記の範囲とすることによって、光学特性、成形加工性、延伸性、および位相差値の安定性に優れる光学補償フィルムBを得ることができる。
上記アセタール化度とは、アセタール化によりアセタール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にアセタール化されている単位の割合を示したものである。なお、ポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化度は、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)によって求めることができる。
更に好ましくは、本発明の光学補償フィルムBは、下記一般式(C)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである。特に好ましくは、下記一般式(C)で表される構造を含む樹脂(以下ポリビニルアセタール系樹脂と称する場合がある)を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムである。当該ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂と、2種類以上のアルデヒド、2種類以上のケトン、または少なくとも1種のアルデヒドと少なくとも1種のケトンを用い、縮合反応(アセタール化ともいう)によって得ることができる。下記一般式(C)で表される構造を含むポリビニルアセタール系樹脂を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムであれば、逆波長分散特性を示し、成形加工性、延伸性、位相差値の安定性に優れる光学補償フィルムBを得ることができる。また、延伸配向性にも優れるため、光学補償フィルムBの厚みを薄くすることができる。
Figure 2008233689
(一般式(C)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を示す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。Rは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、ベンジル基、シリル基、リン酸基、アシル基、ベンゾイル基、またはスルホニル基を示す。l、m、およびnは1以上の整数を表す。)
上記一般式(C)中、RおよびR置換基は、上記一般式(C)で表される構造を含むポリアセタール系樹脂を主成分とする高分子フィルムを延伸して得られる光学補償フィルムBの波長分散特性をより緻密に制御するために用いられる。より具体的には、RおよびRに置換基を導入することによって、当該高分子フィルムを延伸した際に、当該置換基を延伸方向に対して略平行に配向させ得る。本発明における光学補償フィルムBの波長分散特性は、前述した2つの酸素原子を結ぶ仮想線に略直交する方向に配向したベンゼン環の波長分散特性と、主鎖構造の波長分散特性と、ここで述べたRおよびRに導入される置換基の波長分散特性との相互作用によって得られるものと考えられる。また、該高分子フィルムの成形加工性、延伸性、位相差値の安定性、および延伸配向性をより一層向上させることもできる。
上記RおよびRは、例えば、上記ポリビニルアセタール系樹脂を得る際に、アルコールと反応させるアルデヒド(代表的には、ベンズアルデヒド類)またはケトン(代表的には、アセトフェノン類やベンゾフェノン類)の種類によって適宜、選択され得る。アルデヒドおよびケトンの具体例としては、前述のとおりである。
上記Rとして好ましくは、水素原子またはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。上記Rとして好ましくは、メチル基またはエチル基であり、最も好ましくはエチル基である。このような置換基を導入することにより、成形加工性、延伸性、位相差値の安定性、および延伸配向性に極めて優れた光学補償フィルムBが得られる。
上記一般式(C)中、Rの置換基は、残存する水酸基を保護(エンドキャップ処理ともいう)することにより吸水率を適切な値に調整し、溶剤に対する樹脂の溶解性、成形加工性、および位相差値の安定性を高めるために用いられる。したがって、得られた位相差フィルムの吸水率や光学特性、また、光学補償フィルムBが用いられる用途によっては、Rはエンドキャップ処理されていなくてもよく、水素原子のままでもよい。
上記Rは、例えば、水酸基の残存するポリビニルアセタール系樹脂を得た後に、従来公知の、水酸基と反応して置換基を形成するもの(代表的には、保護基)を用いて、エンドキャップ処理することによって得ることができる。上記保護基の具体例としては、ベンジル基、4−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基、メタンスルホニル基、ビス−4−ニトロフェニルフォスファイトなどが挙げられる。エンドキャップ処理の反応条件としては、水酸基と反応させる置換基の種類によって、適宜、適切な反応条件が採用され得る。例えば、アルキル化、ベンジル基、シリル化、リン酸化、スルホニル化などの反応は、水酸基の残存するポリビニルアセタール系樹脂と目的とする置換基の塩化物とを、4(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンなどの触媒の存在下、25℃〜100℃で1時間〜20時間攪拌して行うことができる。上記Rとして好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、およびt−ブチルジメチルシリル基から選ばれる1種のシリル基である。これらの置換基を用いることによって、高温多湿下などの環境においても、高い透明性を保ち、位相差値の安定性に優れた光学補償フィルムBを得ることができる。
上記一般式(C)中、l、m、およびnの比率は、置換基の種類や目的に応じて、適宜選択され得る。好ましくは、l、m、およびnの合計を100(モル%)とした場合に、lは5〜30(モル%)、mは20〜80(モル%)、nは1〜70(モル%)であり、特に好ましくは、lは10〜28(モル%)、mは30〜75(モル%)、nは1〜50(モル%)であり、最も好ましくは、lは15〜25(モル%)、mは40〜70(モル%)、nは10〜40(モル%)である。上記の範囲とすることによって、逆波長分散特性を示し、成形加工性、延伸性、位相差値の安定性、および延伸配向性に極めて優れた光学補償フィルムBを得ることができる。
[光学補償フィルムBの製造方法]
上記熱可塑性樹脂を主成分とする光学補償フィルムBを得る方法としては、任意の適切な成形加工法が用いられ得る。例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、およびソルベントキャスティング法等から適宜、適切なものが選択され得る。これらの成形加工法のなかでも、特に好ましくは、押出成形法またはソルベントキャスティング法である。得られる高分子フィルムの平滑性を高め、良好な光学均一性(例えば、位相差値が面内にも厚み方向にも均一なフィルム)が得られ得るからである。上記押出成形法は、具体的には、主成分となる樹脂、可塑剤、添加剤等を含む樹脂組成物を加熱溶融し、これを、Tダイ等を用いてキャスティングロール等の基材(支持体ともいう)の表面に、薄膜状に押出して、冷却させてフィルムを製造する方法である。上記ソルベントキャスティング法は、具体的には、主成分となる樹脂、可塑剤、添加剤等を含む樹脂組成物を溶剤に溶解した濃厚溶液(ドープ)を脱法し、エンドレスステンレスベルト、回転ドラム表面、高分子フィルム(例えばPETフィルム)などの基材(支持体ともいう)の表面に均一に薄膜状に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを製造する方法である。
光学補償フィルムBの成形時に採用される条件は、樹脂の組成や種類、成形加工法によって適宜選択され得る。良好な光学均一性を得るための、成形条件の具体例としては、押出成形法が採用される場合、例えば、樹脂温度は170℃〜250℃で、引き取りロール(冷却ドラム)の温度は50℃〜100℃とし、高温から徐々に冷却させることが好ましい。ソルベントキャスティング法が採用される場合、例えば、用いる溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホシキド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンを用いることが好ましく、上記溶剤の乾燥温度としては、50℃〜180℃であり(さらに好ましくは80℃〜150℃であり)、低温から徐々に昇温して乾燥させることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂を主成分とする光学補償フィルムBには、任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤の具体例としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤、および位相差調整剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類および量は、目的に応じて適宜選択され得る。例えば、上記添加剤の含有量は、高分子フィルムの全固形分100に対して、好ましくは0.01(重量比)〜10(重量比)であり、さらに好ましくは0.05(重量比)〜8(重量比)であり、最も好ましくは0.1(重量比)〜5(重量比)である。
本発明の光学補償フィルムBは、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする高分子フィルムの両面に収縮性フィルムを貼り合せて、ロール延伸機にて縦一軸延伸法で、加熱延伸して得ることができる。当該収縮性フィルムは、加熱延伸時に延伸方向と直交する方向の収縮力を付与し、厚み方向の屈折率(nz)を高めるために用いられる。上記高分子フィルムの両面に収縮性フィルムを貼り合せる方法としては、特に制限はないが、上記高分子フィルムと上記収縮性フィルムとの間に、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤層を設けて接着する方法が、作業性、経済性に優れる点から好ましい。
[光学補償フィルムBの厚み]
上記光学補償フィルムBの厚みは、目的に応じて、適宜選択され得る。上記光学補償フィルムの厚みの範囲として好ましくは20μm〜200μmであり、さらに好ましくは30μm〜180μmである。λ/4板として用いられる場合は、好ましくは40μm〜140μmであり、特に好ましくは60μm〜120μmである。λ/2板として用いられる場合は、好ましくは130μm〜230μmであり、特に好ましくは150μm〜210μmである。
[光学補償フィルムBのガラス転移温度]
上記熱可塑性樹脂を主成分とする光学補償フィルムBのガラス転移温度(Tg)として好ましくは90℃〜185℃であり、さらに好ましくは90℃〜150℃であり、特に好ましくは100℃〜140℃であり、最も好ましくは110℃〜130℃である。上記ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121(:1987)に準じたDSC法によって求めることができる。
<偏光板Bの作製>
本発明に用いられる偏光板Bは、光学補償フィルムの鹸化処理を行わないことを除いて本発明の偏光板Aと同様の方法により作製することができるが、偏光子と光学補償フィルムBの間に接着剤層を設けることが特に好ましい。上記接着剤層を形成する接着剤としては、任意の適切な接着剤が採用され得る。好ましくは、透明性、熱安定性、低複屈折性などに優れる材料である。具体例としては、水溶性接着剤、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤などが挙げられる。好ましくは、光学透明性に優れ、耐候性や耐熱性に優れるという点で、脂肪族系イソシアネートを主成分とするモノマー反応型接着剤[三井武田ケミカル(株)製 商品名「タケネート631」]、または、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールを主成分とする水溶性接着剤[日本合成化学(株)製 商品名「ゴーゼファイマーZシリーズ」]である。上記接着剤層の厚みは、被着体となる樹脂の種類や、接着力、使用される環境等に応じて、適宜、適切な範囲に決定できる。上記接着剤層の好適な厚みの範囲は、好ましくは0.01μm〜50μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜20μmであり、最も好ましくは0.1μm〜10μmである。
上記接着層を形成する方法としては、任意の適切なコータを用いた塗工方式を用いることができる。上記コータの具体例としては、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータ等が挙げられる。これらのなかでも、本発明にはリバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、スピンコータが好ましく用いられる。上記のコータを用いた塗工方式であれば、薄く、且つ、表面均一性に優れた接着層を形成することができる。
上記接着層を各構成部材(例えば、偏光子、保護層および位相差フィルム)の表面に積層する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、ホットメルトラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーション、ドライラミネーション等が挙げられる。本発明において、接着層として接着剤層またはアンカーコート層が採用される場合は、ウエットラミネーションが好ましく、接着層として粘着剤層が採用される場合は、ドライラミネーションが好ましい。
<液晶表示装置>
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、Rthが前記式(1)〜(3)の関係を満たし、60℃95%RH24時間における透湿度が200g/m2以上1200g/m2以下である少なくとも1枚の光学補償フィルムA及びReが前記式(4)〜(6)の関係を満たす少なくとも1枚の光学補償フィルムBを含む。
本発明の液晶表示装置の一方の偏光板が前記光学補償フィルムAを含み、もう一方の偏光板が前記光学補償フィルムBを含むことが好ましい。このような配置をとることにより、光学補償フィルムAが感じる温湿度環境と光学補償フィルムBが感じる温湿度環境を別々に制御でき、両者の光学補償性能変化を相殺させやすくなり、好ましい。
また、光学補償フィルムAを含む偏光板が視認者側、光学補償フィルムBを含む偏光板がバックライト側に配置されていることがより好ましい。このような配置とすることで、光学補償フィルムAの環境湿度による光学補償性能変化と光学補償フィルムBの環境湿度による光学補償能変化を相殺させ、上記のような親水性を有する光学補償フィルムを用いながらも、使用環境湿度による表示性能変化が小さくかつ表示ムラが発生しにくい液晶表示装置を提供でき、好ましい。
更に、本発明の液晶表示装置は、光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBのうちの少なくとも1枚を用いた偏光板保護フィルムを有することが好ましい。光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBは偏光板保護フィルムを兼ねることもでき、偏光板保護フィルムとして用いることでこれにより偏光板保護フィルムと光学補償フィルムの貼り合わせ工程の省略により生産性が向上し、かつ液晶表示装置を薄型化でき好ましい。
更に本発明の液晶表示装置について図を用いて説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層7とこの上下に配置された液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板12からなる。ここでは、視認者側に近い側を上側偏光板とする。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板12は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有している。本発明の液晶表示装置10は、一方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(1)〜(3)の特性を満たす光学補償フィルムAであり、もう一方の偏光板の液晶セル側保護フィルムが上記の式(4)〜(6)の特性を満たす光学補償フィルムBであることが好ましい。光学補償フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねることにより、偏光板保護フィルムに起因する不要なレターデーションの影響を取り除くことができる。
また、本発明の液晶表示装置においては、視認者に近い上側偏光板1の液晶セル側保護フィルムが、光学補償フィルムA、下側偏光板12の液晶セル側保護フィルムが光学補償フィルムBとなることが環境湿度による表示性能変化を小さくする点から特に好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
尚、図1中、2は、上側偏光板吸収軸の方向を、6は上基板の配向制御方向を、9は下基板の配向制御方向を、13は下側偏光板吸収軸の方向をそれぞれ示している。
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。以下図1を用いてVAモード液晶表示装置について説明する。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板12の吸収軸13は略直交に積層する。液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層7中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号6および9は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
[マルチドメイン]
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(光学補償フィルムA−1の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液A−1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A−1組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.95、平均重合度330のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート 5.0質量部
ビフェニルフォスフェート 2.5質量部
透湿度低減剤(I−2) 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
バンド流延機を用いて、上記セルロースアシレート溶液A−1を流延した。残留溶剤含量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、さらに130℃の温度雰囲気下30分間乾燥させて、膜厚は97μmであった。
(光学補償フィルムA−2の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液A−2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A−2組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.85、平均重合度310のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート 5.0質量部
ビフェニルフォスフェート 2.5質量部
透湿度低減剤(I−2) 7.0質量部
波長分散調節剤(A) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
バンド流延機を用いて、上記セルロースアシレート溶液A−2を流延した。残留溶剤含量35質量%でフィルムをバンドから剥離し、さらに135℃の温度雰囲気下30分間乾燥させて、膜厚は81μmであった。
波長分散調節剤(A):
Figure 2008233689

(光学補償フィルムA−3の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液A−3を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A−3組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.81、平均重合度320のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート 7.0質量部
ビフェニルフォスフェート 3.5質量部
透湿度低減剤(I−2) 7.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
バンド流延機を用いて、上記セルロースアシレート溶液A−3を流延した。残留溶剤含量35質量%でフィルムをバンドから剥離し、さらに135℃の温度雰囲気下30分間乾燥させて、膜厚は75μmであった。
(比較用光学補償フィルムA−4の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い15質量%で調製した溶液を、80μm厚みのトリアセチルセルロースフィルム上に塗布した。その後100℃で20分乾燥処理して光学補償フィルムA−4を作製した。
(比較用光学補償フィルムA−5の作製)
特許公報3648240号記載の方法により、ビスフェノールAタイプのポリカーボネートフィルムを作製した。
(光学特性の測定)
“WR KOBRA”(王子計測機器(株))を用いて25℃60%相対湿度の環境下で、本発明の光学補償フィルムの446nm、548nm、628nmにおけるRthをそれぞれ測定した。
(透湿度の測定)
JIS Z−0208にしたがって、60℃95%24hrの透湿度を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2008233689
(光学補償フィルムB−1の作製)
<樹脂の合成>
5.0gのポリビニルアルコール系樹脂[日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度;1800、ケン化度;99.0%)]を105℃で2時間乾燥させた後、95mlのジメチルスルホシキド(DMSO)に溶解した。ここに、2.02gの2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド)、および0.44gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で2時間攪拌した。これに、13.41gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)を加え、さらに40℃で2時間攪拌した。その後、1.18gのトリエチルアミンを加え、反応を終了した。得られた反応生成物(ポリマー)を、メタノール溶液に滴下し、再沈殿を行った。このポリマーを沈降させ、上澄み液をデカンテーションで除去した後、さらに、メタノール/水=1/1(体積/体積)を加えて、該ポリマーを洗浄した。これをろ過して得られたポリマーを乾燥させて、7.50gの白色ポリマーを得た。上記白色ポリマーは、 1 H−NMRにより測定したところ、下記式(V)に示す構造(l:m:n=21:58:21)のポリビニルアセタール系樹脂であった。
Figure 2008233689
<高分子フィルムの作製>
上記式(V)に示す構造(l:m:n=21:58:21)のポリビニルアセタール系樹脂(17.7重量部)をトルエン(100重量部)に溶解し、厚み75μmのポリエチレンテレフタレート[東レ(株)製 商品名「ルミラーS27−E」]の表面に、コンマコーターにて均一に塗工し、多室型の空気循環式乾燥オーブン中(誤差±1℃)で、80℃で20分間、120℃で20分間、140℃で30分間と低温から徐々に昇温しながら乾燥させて、乾燥後の厚みが90μmであり、残留揮発成分量が2%の高分子フィルを作製した。この高分子フィルムの透過率は90%、吸水率は3%であった。
<延伸フィルムの作製>
上記で得られた高分子フィルムの両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム[東レ(株)製 商品名「トレファンE60−高収縮タイプ」(厚み60μm)]をアクリル系粘着剤(厚み15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、140℃の空気循環式乾燥オーブン内(フィルム裏面から3cmの距離の温度を測定)で、1.6倍に延伸し、位相差フィルムB−1を作製した。
なお、本例で用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、140℃における収縮率が、MD方向に6.4%、TD方向に12.8%であった。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして、溶液重合により合成されたイソノニルアクリレート(重量平均分子量=550,000)を用い、該ポリマー100重量部に対して、ポリイソシアネート化合物の架橋剤[日本ポリウレタン(株)製 商品名「コロネートL」]3重量部、触媒[東京ファインケミカル(株)製 商品名「OL−1」]10重量部を混合したものを用いた。
本発明の光学補償フィルムB−1の25℃60%RHにおけるレターデーションをWR KOBRAで測定したところ、Re(446)が112nm、Re(548)が135nm、Re(628)は144nm、Re(446)/Re(548)は0.83、Re(628)/Re(548)は1.07であった。
(光学補償フィルムA−1の鹸化処理)
作製した光学補償フィルムA−1を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、光学補償フィルムA−1表面の鹸化処理を行った。
(光学補償フィルムA−2〜A−4の鹸化処理)
前記光学補償フィルムA−1と同様にして光学補償フィルムA−2〜A−4のセルロースアシレート表面をそれぞれ鹸化した。
<偏光板A−1の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(偏光子の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で鹸化処理した光学補償フィルムA−1を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の吸収軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板A−1を作製した。
<偏光板A−2〜A−4の作製>
光学補償フィルムA−2〜A−4についても光学補償フィルムA−1の場合と同様にして偏光板A−2〜A−4を作製した。
<比較用偏光板A−5の作製>
(光学補償フィルムA−5の表面処理)
光学補償フィルムA−5の表面に12W・分/m2の条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル(株)製、タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
上記で表面処理した光学補償フィルムA−5に上記接着剤溶液を塗布した後、実施例7で作製した鹸化処理済みの市販のセルローストリアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板A−5を作製した。
<偏光板B−1の作製>
(偏光子の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールを主成分とする接着剤層(厚み1μm)[日本合成化学(株)製 商品名「ゴーセファイマーZ200」]を介し光学補償フィルムB−1を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸と光学補償フィルムB−2の遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板B−1を作製した。
〔実施例〕
(液晶表示装置の作製)
図1において、VAモードの液晶セルに、図1における上側偏光板1として偏光板A−1を、本発明における光学補償フィルムA−1が液晶セル側となるように、また、下側偏光板12には偏光板B−1を、光学補償フィルムB−1が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置(イ)を作製した。
さらに、上側偏光板、下側偏光板を下記表2の内容に変更して本発明の液晶表示装置(ロ)〜(ハ)、(ヘ)および比較例の液晶表示装置(ニ)〜(ホ)を作製した。
(色味視野角の変化)
上記で作製した液晶表示装置(イ)〜(ヘ)について、25℃10%RHの環境で24hr調湿した液晶表示装置を、25℃80%RHの環境に2時間放置する前後の色味変化を目視で評価した。
(表示ムラの変化)
上記で作製した液晶表示装置(イ)〜(ヘ)を90℃の環境下に連続500hr時間点灯し、ムラの発生の有無を観察し、以下の基準により評価した。
ムラ発生面積が画面全体の10%未満:小
ムラ発生面積が画面全体の10%以上:大
結果を表2に示す。
Figure 2008233689
表2の結果から本発明の液晶表示装置(イ)〜(ハ)、(へ)は比較例の液晶表示装置(ニ)および液晶表示装置(ホ)に比較して使用環境湿度による色味変化が小さくかつ長時間連続しても表示ムラが発生しにくく好ましいことが認められた。
本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
符号の説明
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板の配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
12 下側偏光板
13 下側偏光板吸収軸の方向

Claims (8)

  1. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たし、60℃95%RH24時間における透湿度が200g/m2以上1200g/m2以下である少なくとも1枚の光学補償フィルムA及びReが下記式(4)〜(6)の関係を満たす少なくとも1枚の光学補償フィルムBを含む液晶表示装置。
    50nm≦Rth(548)<400nm ・・・式(1)
    1<Rth(446)/Rth(548) ・・・式(2)
    Rth(628)/Rth(548)<1 ・・・式(3)
    (式(1)〜(3)中、Rth(446)、Rth(548)、Rth(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における膜厚方向のレターデーション値(単位nm)を表す。)
    20nm<Re(548)<300nm ・・・式(4)
    Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(5)
    1<Re(628)/Re(548) ・・・式(6)
    (式(4)〜(6)中、Re(446)、Re(548)、Re(628)はそれぞれ波長446nm、548nm、628nmの光における面内レターデーション値(単位nm(単位nm)を表す。)
  2. 前記光学補償フィルムBが、下記一般式(A)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、請求項1に記載の液晶表示装置。
    Figure 2008233689
    (一般式(A)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。)
  3. 前記光学補償フィルムBが、下記一般式(B)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
    Figure 2008233689
    (一般式(A)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を表す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。lは1以上の整数を表す。)
  4. 前記光学補償フィルムBが、下記一般式(C)で表される構造を含む樹脂を含有する高分子フィルムである、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
    Figure 2008233689
    (一般式(C)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいアントラニル基、又は置換基を有していてもよいフェナントレニル基を表す。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分鎖状のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、シアノ基又はチオール基を示す。ただし、RおよびRは、同時に水素原子ではない。Rは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分鎖状若しくは環状のアルキル基、ベンジル基、シリル基、リン酸基、アシル基、ベンゾイル基、またはスルホニル基を示す。l、m、およびnは1以上の整数を表す。)
  5. 前記液晶表示装置の一方の偏光板が前記光学補償フィルムAを含み、もう一方の偏光板が前記光学補償フィルムBを含む請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
  6. 光学補償フィルムAを含む偏光板が視認者側、光学補償フィルムBを含む偏光板がバックライト側に配置されている、請求項1〜5に記載の液晶表示装置。
  7. 光学補償フィルムAおよび光学補償フィルムBのうちの少なくとも1枚が偏光板保護フィルムを兼ねる、請求項1から6に記載の液晶表示装置。
  8. 前記液晶セルがVAモードである請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示装置。
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