JP7217723B2 - 光学積層体およびその製造方法、ならびに該光学積層体を用いた画像表示装置 - Google Patents

光学積層体およびその製造方法、ならびに該光学積層体を用いた画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学積層体およびその製造方法、ならびに該光学積層体を用いた画像表示装置に関する。
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、カーナビゲーションシステム、デジタルサイネージ、ウィンドウディスプレイなどのように、画像表示装置が強い外光の下使用される機会が増加している。このように屋外で画像表示装置が使用される場合、視認者が偏光サングラスをかけて当該画像表示装置を見る際に、視認者が見る角度によっては偏光サングラスの透過軸方向と画像表示装置の出射側の透過軸方向とがクロスニコル状態となり、その結果、画面が黒くなり、表示画像が視認されない場合がある。このような問題を解決するために、画像表示装置の視認側表面に円偏光板(偏光サングラス対応偏光板)を配置する技術が提案されている。
ところで、画像表示装置の薄型化に対する要望が強まっており、これに伴い、画像表示装置に用いられる光学部材についても薄型化の要望が強まっている。しかし、上記のような偏光サングラス対応偏光板の薄型化を試みると、カール(特に偏光板の対角線方向のカール)が著しいという問題がある。
特開2014-16425号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、薄型で、かつ、カールが抑制された、円偏光機能または楕円偏光機能を有する光学積層体を提供することにある。
本発明の光学積層体は、位相差層と偏光子と保護層と粘着剤層とをこの順に備える。該位相差層は、セルロースエステル樹脂フィルムで構成され、ならびに、直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する機能を有する。該偏光子と該位相差層および該保護層とは、水系接着剤を含む接着剤層を介して貼り合わせられている。この光学積層体は、該位相差層の遅相軸方向または進相軸方向における加熱寸法変化率と該位相差層の進相軸方向または遅相軸方向における加熱寸法変化率との差が1.0%以下である。
1つの実施形態においては、上記水系接着剤は、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は1モル%~7モル%である。
1つの実施形態においては、上記接着剤層の厚みは0.01μm~1μmである。
本発明の実施形態によれば、偏光子と円偏光機能または楕円偏光機能を有する位相差層と保護層とを有する光学積層体において、第1の方向における加熱寸法変化率と該第1の方向と実質的に直交する第2の方向における加熱寸法変化率との差を制御することにより、非常に薄型でありながらカールが抑制された光学積層体を実現することができる。特に、対角線方向のカールの抑制が顕著である。
本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。 実施例1における温度に対する遅相軸方向および進相軸方向の寸法変化率のプロファイルを示すグラフである。 比較例1における温度に対する遅相軸方向および進相軸方向の寸法変化率のプロファイルを示すグラフである。 比較例2における温度に対する遅相軸方向および進相軸方向の寸法変化率のプロファイルを示すグラフである。 実施例1の光学積層体のカールの状態を示す写真である。 比較例1の光学積層体のカールの状態を示す写真である。 比較例2の光学積層体のカールの状態を示す写真である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)実質的に直交または平行
「実質的に直交」および「略直交」という表現は、2つの方向のなす角度が90°±10°である場合を包含し、好ましくは90°±7°であり、さらに好ましくは90°±5°である。「実質的に平行」および「略平行」という表現は、2つの方向のなす角度が0°±10°である場合を包含し、好ましくは0°±7°であり、さらに好ましくは0°±5°である。さらに、本明細書において単に「直交」または「平行」というときは、実質的に直交または実質的に平行な状態を含み得るものとする。
(6)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
(7)長尺状
「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。
A.光学積層体の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体100は、偏光子10と、偏光子10の一方の側に配置された位相差層20と、偏光子10のもう一方の側に配置された保護層30と、を備える。位相差層20は、直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する機能を有する。したがって、光学積層体100は、代表的には円偏光板または楕円偏光板であり得る。光学積層体100は、代表的には画像表示装置の視認側に配置される。この場合、位相差層20が視認側となるように配置される。上記のような構成であれば、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、光学積層体100は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
光学積層体100は、必要に応じて、位相差層20の偏光子10と反対側にハードコート層40をさらに備えてもよい。さらに、光学積層体100は、別の位相差層(図示せず)を備えてもよい。別の位相差層の数、配置位置、光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向位相差、波長分散特性)、機械的特性等は目的に応じて適切に設定され得る。
光学積層体100は、第1の方向における加熱寸法変化率と該第1の方向と実質的に直交する第2の方向における加熱寸法変化率との差が1.0%以下であり、好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.6%以下であり、さらに好ましくは0.4%以下である。本発明の実施形態によれば、実質的に直交する2つの方向の加熱寸法変化率を制御することにより、非常に薄型でありながらカールが抑制された光学積層体を実現することができる。代表的には、第1の方向は位相差層20の遅相軸方向または進相軸方向であり、第2の方向は当該位相差層の進相軸方向または遅相軸方向である。このような特定の2つの方向の加熱寸法変化率を制御することにより、非常に薄型の光学積層体においてカールをさらに抑制することができる。
偏光子10と位相差層20とは、偏光子10の吸収軸と位相差層20の遅相軸とが所定の角度をなすように積層されている。偏光子10の吸収軸と位相差層20の遅相軸とのなす角度は、好ましくは35°~55°であり、より好ましくは38°~52°、さらに好ましくは40°~50°であり、特に好ましくは42°~48°であり、とりわけ好ましくは45°近傍である。位相差層20をこのような軸関係で偏光子10よりも視認側に配置することにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、屋外で用いられ得る画像表示装置にも本発明の実施形態による光学積層体を好適に適用することができる。
光学積層体100は、枚葉状であってもよく長尺状(例えば、ロール状)であってもよい。光学積層体100が長尺状である場合、長尺状の偏光子の吸収軸方向は長尺方向であってもよく、幅方向であってもよい。好ましくは、偏光子の吸収軸方向は長尺方向である。偏光子の製造が容易であるので、結果として、光学積層体の製造効率に優れるからである。光学積層体が長尺状である場合、位相差層20の遅相軸と長尺方向とのなす角度θは、好ましくは35°~55°であり、より好ましくは38°~52°、さらに好ましくは40°~50°であり、特に好ましくは42°~48°であり、とりわけ好ましくは45°近傍である。後述するように位相差層を構成する位相差フィルムを斜め延伸により形成することにより、斜め方向に遅相軸を有する長尺状の位相差フィルム(位相差層)を形成することができ、結果として、長尺状の光学積層体を実現することができる。このような長尺状の光学積層体は、ロールトゥロールにより作製することができるので、生産性が格段に優れたものとなる。
光学積層体の全体厚みは、代表的には40μm~300μmであり、好ましくは60μm~160μmであり、より好ましくは80μm~140μmであり、さらに好ましくは100μm~120μmである。本発明の実施形態によれば、このように非常に薄い厚みでありながら、カールが良好に抑制された光学積層体が得られ得る。なお、光学積層体の全体厚みとは、偏光子、位相差層、保護層、存在する場合にはハードコート層、およびこれらを積層するための接着層の合計厚みをいう。
以下、本発明の実施形態による光学積層体を構成する各層について説明する。
A-1.偏光子
偏光子10としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム、部分ホルマール化PVA系樹脂フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系樹脂フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系樹脂フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系樹脂フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系樹脂フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは13μm以下であり、さらに好ましくは10μmであり、特に好ましくは8μm以下である。偏光子の厚みの下限は、1つの実施形態においては2μmであり、別の実施形態においては3μmである。本発明の実施形態によれば、偏光子の厚みがこのように非常に薄いにもかかわらず、光学積層体を加熱した際のカールを良好に抑制することができる。
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは44.0%~45.5%であり、より好ましくは44.5%~45.0%である。本発明によれば、非常に薄く、かつカールが抑制された光学積層体を実現し、さらに、このような光学積層体において上記のような優れた単体透過率を実現することができる
偏光子の偏光度は、上記のとおり98%以上であり、好ましくは98.5%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。本発明によれば、非常に薄く、かつカールが抑制された光学積層体を実現し、さらに、このような光学積層体において上記のような優れた偏光度を実現することができる。
A-2.位相差層
位相差層20は、上記のとおり、直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する機能を有する。すなわち、位相差層20は、代表的には屈折率特性がnx>nyの関係を示す。位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは80nm~160nm、より好ましくは90nm~120nmである。面内位相差がこのような範囲であれば、適切な楕円偏光性能を有する位相差フィルムを、優れた生産性および妥当なコストで得ることができる。結果として、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも良好な視認性を確保し得る光学積層体を、優れた生産性および妥当なコストで得ることができる。
位相差層20は、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率楕円体を示す。好ましくは、位相差層の屈折率楕円体は、nx>ny≧nzの関係を示す。位相差層のNz係数は、好ましくは1~2であり、より好ましくは1~1.5であり、さらに好ましくは1~1.3である。
位相差層20は、上記のような光学特性を満足させ得る、任意の適切な位相差フィルムで構成される。位相差フィルムを形成する樹脂としては、代表的にはセルロースエステル樹脂(以下、単にセルロースエステルとも称する)が挙げられる。
セルロースエステルの具体例としては、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースフタレートが挙げられる。好ましくは、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートである。セルロースエステルは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
セルロースエステルは、β-1,4-グリコシド結合でセルロースを構成するグルコース単位における2位、3位および6位の遊離ヒドロキシル基(水酸基)の一部または全部をアセチル基、プロピオニル基等のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。ここで、「アシル基置換度」とは、繰り返し単位のグルコースの2位、3位及び6位について、ヒドロキシル基がエステル化されている割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシル基が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位のすべてが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。また、「平均アシル基置換度」とは、セルロースエステル樹脂を構成する複数のグルコース単位のアシル基置換度を、一単位当たりの平均値として表現したアシル基置換度をいう。アシル基置換度は、ASTM-D817-96に準じて測定することができる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert-ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が挙げられる。
1つの実施形態においては、セルロースエステル樹脂のアセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとしたとき、XおよびYは、下記式(1)および式(2)を満たすことが好ましい。
式(1):2.0≦(X+Y)≦2.8
式(2):0≦Y≦1.0
より好ましくは、上記式(1)および式(2)を満たすセルロースエステル樹脂は、下記式(1a)と上記式(2)を満たすセルロースエステル樹脂と、下記式(1b)を満たすセルロースエステル樹脂と、を含有する。
式(1a):2.0≦(X+Y)<2.5
式(1b):2.5≦(X+Y)≦2.8
なお、「アセチル基置換度」および「プロピオニル基置換度」は、上記のアシル基置換度のより具体的な指標であり、「アセチル基置換度」とは繰り返し単位のグルコースの2位、3位及び6位について、ヒドロキシル基がアセチル基によりエステル化されている割合の合計を表し、「プロピオニル基置換度」とは、繰り返し単位のグルコースの2位、3位及び6位について、ヒドロキシル基がアセチル基によりエステル化されている割合の合計を表す。
セルロースエステル樹脂は、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が好ましくは1.5~5.5であり、より好ましくは2.0~5.0であり、さらに好ましくは2.5~5.0であり、特に好ましくは3.0~5.0である。
セルロースエステル樹脂の原料のセルロースとしては、任意の適切なセルロースを用いることができる。具体例としては、綿花リンター、木材パルプ、ケナフが挙げられる。異なる原料から得られたセルロースエステル樹脂を組み合わせて用いてもよい。
セルロースエステル樹脂は、任意の適切な方法により製造することができる。代表例としては以下の手順を含む方法が挙げられる:原料のセルロース、所定の有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸)、酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸)、および触媒(例えば、硫酸)を混合して、セルロースをエステル化し、セルローストリエステルが得られるまで反応を進める。セルローストリエステルにおいては、グルコース単位の三個のヒドロキシル基(水酸基)は、有機酸のアシル酸で置換されている。同時に二種類の有機酸を使用すると、混合エステル型のセルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)を作成することができる。次いで、セルローストリエステルを加水分解することにより、所望のアシル基置換度を有するセルロースエステルを合成する。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥などの工程を経て、セルロースエステル樹脂が得られ得る。
位相差層20(位相差フィルム)は、代表的には、上記のような樹脂から形成された樹脂フィルムを少なくとも一方向に延伸することにより作製される。
樹脂フィルムの形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、溶融押出し法(例えば、Tダイ成形法)、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法、共押出し法、共溶融法、多層押出し、インフレーション成形法等が挙げられる。好ましくは、Tダイ成形法、流延法およびインフレーション成形法が用いられる。
樹脂フィルムの厚み(未延伸フィルム)の厚みは、所望の光学特性、後述の延伸条件などに応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは50μm~300μmであり、より好ましくは80μm~250μmである。
上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸・自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、水平方向、垂直方向、厚さ方向、対角方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。延伸の温度は、好ましくは、樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)±20℃の範囲である。
上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、Nz係数)を有する位相差フィルム(結果として、位相差層)を得ることができる。
1つの実施形態においては、位相差層20は、樹脂フィルムを一軸延伸もしくは固定端一軸延伸することにより作製される。一軸延伸の具体例としては、樹脂フィルムを長尺方向に走行させながら、長手方向(縦方向)に延伸する方法が挙げられる。一軸延伸の別の具体例としては、テンターを用いて横方向に延伸する方法が挙げられる。延伸倍率は、好ましくは10%~500%である。
別の実施形態においては、位相差層20は、長尺状の樹脂フィルムを長尺方向に対して角度θの方向に連続的に斜め延伸することにより作製される。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長尺方向に対して角度θの配向角を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、偏光子との積層に際してロールトゥロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。角度θは上記のとおりである。
斜め延伸に用いる延伸機としては、例えば、横および/または縦方向に、左右異なる速度の送り力もしくは引張り力または引き取り力を付加し得るテンター式延伸機が挙げられる。テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機等があるが、長尺状の樹脂フィルムを連続的に斜め延伸し得る限り、任意の適切な延伸機が用いられ得る。
斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50-83482号公報、特開平2-113920号公報、特開平3-182701号公報、特開2000-9912号公報、特開2002-86554号公報、特開2002-22944号公報等に記載の方法が挙げられる。
延伸フィルム(結果として、位相差層)の厚みは、好ましくは20μm~80μm、より好ましくは30μm~60μmである。
位相差層20を構成する位相差フィルムとして、市販のフィルムをそのまま用いてもよく、市販のフィルムを目的に応じて2次加工(例えば、延伸処理、表面処理)して用いてもよい。
位相差層20の偏光子10側の表面には、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、プライマー塗布処理、ケン化処理が挙げられる。コロナ処理としては、例えば、コロナ処理機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。プラズマ処理は、例えば、プラズマ放電機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。フレーム処理は、例えば、フィルム表面に直接火炎を接触させる方式が挙げられる。プライマー塗布処理は、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤等を溶媒で希釈し、当該希釈液を薄く塗布する方式が挙げられる。ケン化処理は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させる方式が挙げられる。好ましくは、コロナ処理、プラズマ処理である。
A-3.保護層
保護層30は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50~100重量%、好ましくは70~100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004-70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000~2000000、より好ましくは5000~1000000、さらに好ましくは10000~500000、特に好ましくは50000~500000である。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃、最も好ましくは140℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系および/またはメタクリル系をいう。
保護層30は、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。
内側保護フィルムの厚みは、好ましくは20μm~80μm、より好ましくは30μm~60μmである。
A-4.ハードコート層
ハードコート層40は、光学積層体に耐薬品性、耐擦傷性および表面平滑性を付与するとともに、高温高湿下での寸法安定性を向上させる機能を有する。ハードコート層40としては、任意の適切な構成が採用され得る。ハードコート層は、例えば、任意の適切な紫外線硬化樹脂の硬化層である。紫外線硬化樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層を構成する樹脂のガラス転移温度は、好ましくは120℃~300℃であり、より好ましくは130℃~250℃である。このような範囲であれば、高温下での寸法安定性に優れる光学積層体を得ることができる。ハードコート層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤の代表例としては、無機系微粒子および/または有機系微粒子が挙げられる。
ハードコート層40の厚みは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは1μm~8μmであり、さらに好ましくは3μm~7μmである。
ハードコート層の詳細は、例えば、特開2007-171943号公報に記載されており、その記載は参考として本明細書に援用される。
A-5.接着層
本発明の実施形態による光学積層体を構成する各層の貼り合わせには、任意の適切な接着層(図示せず)が用いられる。接着層は、粘着剤層であってもよく接着剤層であってもよい。代表的には、偏光子10と位相差層20および保護層30とは、水系接着剤で貼り合わせられている。水系接着剤としては、任意の適切な水系接着剤が採用され得る。好ましくは、PVA系樹脂を含む水系接着剤が用いられる。水系接着剤に含まれるPVA系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100~5500程度、さらに好ましくは1000~4500である。平均ケン化度は、接着性の点から、好ましくは85モル%~100モル%程度、さらに好ましくは90モル%~100モル%である。
水系接着剤に含まれるPVA系樹脂は、好ましくは、アセトアセチル基を含有する。偏光子と位相差層および保護層との密着性に優れ、耐久性に優れ得るからである。アセトアセチル基含有PVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。アセトアセチル基含有PVA系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1モル%~40モル%程度、さらに好ましくは1モル%~20モル%、特に好ましくは1モル%~7モル%である。なお、アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
水系接着剤の固形分濃度は、好ましくは6重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%~6重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%~6重量%である。固形分濃度がこのような範囲であれば、偏光板の寸法制御率を制御しやすいという利点がある。固形分濃度が低すぎると、得られる光学積層体の水分含有量が多くなり、乾燥条件によっては寸法変化が大きくなる場合がある。固形分濃度が高すぎると、接着剤の粘度が高くなり、光学積層体の生産性が不十分となる場合がある。
接着層の厚みは、好ましくは0.01μm~7μm、より好ましくは0.01μm~5μm、さらに好ましくは0.01μm~2μm、特に好ましくは0.01μm~1μmである。接着層の厚みが薄すぎると、接着剤自体の凝集力が得られず、接着強度が得られないおそれがある。接着層の厚みが厚すぎると、光学積層体が耐久性を満足できない場合がある。
A-6.その他
1つの実施形態においては、位相差層20の偏光子10側の表面に易接着層(図示せず)が設けられてもよい。易接着層を設ける場合、位相差層20は、上述の表面処理が施されていてもよく、施されていなくてもよい。好ましくは、位相差層20には表面処理が施されている。易接着層と表面処理とを組み合わせることにより、偏光子10と位相差層20との間の所望の接着力の実現が促進され得る。易接着層は、好ましくは、反応性官能基を有するシランを含む。このような易接着層を設けることにより、偏光子10と位相差層20との間の所望の接着力の実現が促進され得る。易接着層の詳細は、例えば、特開2006-171707号公報に記載されている。
実用的には、光学積層体の保護層30側には粘着剤層(図示せず)が設けられていてもよい。粘着剤層が予め設けられていることにより、他の光学部材(例えば、液晶セル、有機ELパネル)へ容易に貼り合わせることができる。なお、この粘着剤層の表面には、使用に供されるまで、剥離フィルムが貼り合わされていることが好ましい。
B.光学積層体の製造方法
本発明の実施形態による光学積層体の製造方法の一例について、特徴的な部分のみを簡単に説明する。この製造方法は、偏光子10と偏光子10の一方の側に配置された位相差層20と偏光子10のもう一方の側に配置された保護層30とを有する積層体を作製すること、および、当該積層体を例えば85℃以上の温度で加熱すること(以下、高温加熱と称する場合もある)を含む。高温加熱の加熱温度は、好ましくは86℃以上である。高温加熱の加熱温度の上限は、例えば100℃である。高温加熱の加熱時間は、好ましくは3分~10分であり、より好ましくは3分~6分である。高温加熱の前および/または後に、積層体を85℃未満の温度で加熱(低温加熱)してもよい。低音加熱の加熱温度および加熱時間は、目的および得られる光学積層体の所望の特性に応じて適切に設定され得る。高温加熱および/または低温加熱は、偏光子、位相差層(位相差フィルム)および保護層(保護フィルム)の積層における接着剤の乾燥処理を兼ねてもよい。なお、偏光子、位相差層(位相差フィルム)および保護層(保護フィルム)の形成方法は、上記のとおり、または、任意の適切な方法が採用され得る。偏光子、位相差層(位相差フィルム)および保護層(保護フィルム)の積層方法もまた、任意の適切な方法が採用され得る。
C.画像表示装置
本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に光学積層体を備える。光学積層体は、上記A項およびB項で説明した本発明の実施形態による光学積層体である。光学積層体は、位相差層が視認側となるように配置されている。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置が挙げられる。このような画像表示装置は、上記の光学積層体を視認側に備えることにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、このような画像表示装置は、屋外においても好適に用いられ得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における評価項目は以下のとおりである。
(1)加熱寸法変化率差
実施例および比較例で得られた光学積層体を、遅相軸方向および進相軸方向に沿ってそれぞれ4mm×50mmに切り出し、測定試料セットとした。それぞれの測定試料について、測定部の長さが20mmとなるように金属治具でチャッキングし、その状態で加熱炉に投入し、温度変化に対する寸法変化率を測定した。具体的には、熱分析システム(日立ハイテクサイエンス社製、TMA7100)を用いて、1.5℃/minの昇温速度で30℃から90℃まで温度を変化させ、それぞれの測定試料の寸法変化率を測定した。測定温度(30℃から90℃)の範囲内で、遅相軸方向に沿って切り出した測定試料と進相軸方向に沿って切り出した測定試料の寸法変化率の差が最も大きくなる温度での差を加熱寸法変化率差とした。なお、実施例1ならびに比較例1および2における温度に対する遅相軸方向および進相軸方向の寸法変化率のプロファイルを、それぞれ図2~図4に示す。
(2)カール方向長さ
実施例および比較例で得られた光学積層体を、偏光子の吸収軸方向が長辺となるように112mm×65mm(5インチサイズ)に切り出した。切り出した光学積層体はカールするところ、当該カール方向における光学積層体の長さを測定した。測定した長さが大きいほどカール量が小さく、ハンドリング性に優れることを示す。
[実施例1]
(偏光子の作製)
重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚さ30μmのPVA系樹脂フィルムを、30℃の温水中に浸漬し、膨潤させながらPVA系樹脂フィルムの長さが元長の2.0倍となるように一軸延伸を行った。次いで、ヨウ素とヨウ化カリウムの混合物(重量比0.5:8)の濃度が0.3重量%の水溶液(染色浴)に浸漬し、PVA系樹脂ィルムの長さが元長の3.0倍となるように一軸延伸しながら染色した。その後、ホウ酸5重量%、ヨウ化カリウム3重量%の水溶液(架橋浴1)中に浸漬しながら、PVA系樹脂フィルムの長さが元長の3.7倍となるように延伸した後、60℃のホウ酸4重量%、ヨウ化カリウム5重量%の水溶液(架橋浴2)中で、PVA系樹脂フィルムの長さが元長の6倍となるように延伸した。さらに、ヨウ化カリウム3重量%の水溶液(ヨウ素含浸浴)でヨウ素イオン含浸処理を行った後、60℃のオーブンで4分間乾燥し、長尺状(ロール状)の偏光子を得た。得られた偏光子の厚みは12μmであった。偏光子の吸収軸は、長尺方向と平行であった。
(位相差フィルム)
斜め延伸され、さらにハードコート層が形成された長尺状のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いた。TACフィルムの厚みは40μmであり、ハードコート層の厚みは5μmであった。また、TACフィルムの面内位相差Re(550)は105nmであり、その遅相軸と長尺方向とのなす角度は45°であった。
(保護フィルム)
長尺状のラクトン化ポリメチルメタクリレートフィルム(厚み30μm)を用いた。
(光学積層体の作製)
上記の偏光子と保護フィルムおよび位相差フィルムとを、ポリビニルアルコール系接着剤(固形分濃度5.6重量%、乾燥後の厚み0.08μm)を介してロールトゥロールにより貼り合わせ、ハードコート層/位相差層/偏光子/保護層の構成を有する積層体を作製した。その後、作製した積層体を66℃で4分、86℃で4分乾燥して光学積層体を得た。得られた光学積層体は、偏光子の吸収軸方向が長尺方向に平行であり、位相差層の遅相軸と長尺方向とのなす角度が45°であった。また、得られた光学積層体の総厚みは97μmであった。さらに、得られた光学積層体を上記(1)および(2)の評価に供したところ、加熱寸法変化率差は0.32%であり、カール方向長さは102mmであった。カールの状態を図5に示す。
[比較例1]
積層体の乾燥条件を、66℃で4分、70℃で2分、80℃で2分に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体の加熱寸法変化率差は1.03%であり、カール方向長さは42mmであった。カールの状態を図6に示す。
[比較例2]
積層体の乾燥条件を、66℃で4分、70℃で17秒、80℃で17秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体の加熱寸法変化率差は1.10%であり、カール方向長さは38mmであった。カールの状態を図7に示す。
[評価]
図5~図7から明らかなように、本発明の実施例の光学積層体は、遅相軸方向と進相軸方向の加熱寸法変化率の差を制御することにより、総厚み97μmという非常に薄い厚みでありながら、カールを良好に抑制できることがわかる。
本発明の実施形態による光学積層体は、画像表示装置に好適に用いられ、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認する画像表示装置に特に好適に用いられ得る。
10 偏光子
20 位相差層
30 保護層
40 ハードコート層
100 光学積層体

Claims (3)

  1. それぞれが長尺状である位相差層と偏光子と保護層と粘着剤層とをこの順に備える、長尺状の光学積層体であって、
    該位相差層が、セルロースエステル樹脂フィルムで構成され、ならびに、直線偏光を円偏光または楕円偏光に変換する機能を有し、
    該偏光子と該位相差層および該保護層とが、水系接着剤を含む接着剤層を介して貼り合わせられており、
    該接着剤層の厚みが0.08μm~1μmであり、
    該偏光子が長尺方向に吸収軸を有し、該位相差層が長尺方向に対して35°~55°の方向に遅相軸を有し、
    該位相差層の遅相軸方向における該光学積層体の加熱寸法変化率と該位相差層の進相軸方向における該光学積層体の加熱寸法変化率との差が1.0%以下である、
    光学積層体。
  2. 前記水系接着剤が、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度が1モル%~7モル%である、請求項2に記載の光学積層体。
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