JP2006154803A - セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006154803A
JP2006154803A JP2005319670A JP2005319670A JP2006154803A JP 2006154803 A JP2006154803 A JP 2006154803A JP 2005319670 A JP2005319670 A JP 2005319670A JP 2005319670 A JP2005319670 A JP 2005319670A JP 2006154803 A JP2006154803 A JP 2006154803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cellulose acylate
film
carbon atoms
retardation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005319670A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006154803A5 (ja
JP4759365B2 (ja
Inventor
Nobutaka Fukagawa
伸隆 深川
Katsumi Shinoda
克己 篠田
Mitsuo Yoshikane
光雄 吉兼
Naoki Hayashi
直毅 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2005319670A priority Critical patent/JP4759365B2/ja
Publication of JP2006154803A publication Critical patent/JP2006154803A/ja
Publication of JP2006154803A5 publication Critical patent/JP2006154803A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4759365B2 publication Critical patent/JP4759365B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】レターデーションが高く、かつヘイズの低いセルロースアシレートフィルム及びこれを用いた光学補償フィルムを提供すること。正面コントラストが高く、かつコントラストの視野角依存性も小さく、長時間点灯しても高画質を維持できる液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】波長590nmにおける面内レターションReと厚み方向レターデーションRthが下記式(I)〜(III)の範囲を満たし、熱膨張係数が20ppm/℃以上100ppm/℃以下であり、ヘイズが0.01以上0.8以下であるセルロースアシレートフィルム並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示板。ここに、式(I):20≦Re≦500、式(II):70≦Rth≦200、式(III):1.0≦Rth/Re≦3.0であり、Re及びRthは、25℃,60%RHにおける値であり、単位は、nmである。
【選択図】なし

Description

本発明はセルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びに該セルロースアシレートフィルムを用いた偏光板及び表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイは大型化が進むとともにテレビなどの新たな用途でも使用され始めており、画質向上の要求が一段と高まっている。なかでもコントラスト及び色味の視野角依存性は液晶表示装置特有の問題であり、改良の必要性の特に高い性能である。
このため、従来のTN型のみならずIPS、VA、OCB等の新たな液晶モードが提案されている。しかし、これらいずれの液晶モードにおいても、液晶セル単独で十分なコントラスト及び視野角依存性を得ることは難しく、なんらかの位相差膜で液晶セルが有する複屈折を補償して上記特性の向上を図ることが一般的である。
セルロースアシレートフィルムは従来偏光板保護フィルムとして使用されてきたが、近年、このセルロースアシレートフィルムに積極的に位相差を付与し、光学補償フィルムとして使用する方法が提案されている。例えば、特許文献1にはテンター延伸したセルロースアシレートフィルムをVA型液晶モードの位相差膜として使用する方法が開示されている。
しかし、従来のセルロースアシレートフィルムはレターデーションが大きくなるに伴いヘイズが増加傾向にあり、これにより液晶表示装置のコントラスト低下が低下してしまうという問題を有しており、改善が求められていた。
これに対しては、特許文献2には平均粒径が0.001以上0.1μm未満の1次微粒子を含む平均粒径が0.1μ〜1.5μmの2次粒子を有する延伸セルロースアシレートフィルムにおいてフィルム中の添加剤の平均含有量より、2次微粒子近傍の添加剤の含有量を多くすることにより、微粒子の凝集を抑制し、ヘイズを低減させる方法が開示されている。しかしこの方法によっても、ヘイズの低減は不十分であり、改善が求められていた。
特開2003-170492号 特開2003-301049号
本発明の目的は、レターデーションが高く、かつヘイズの低いセルロースアシレートフィルム及びこれを用いた光学補償フィルムを提供することである。
さらに本発明のもう一つの目的は、正面コントラストが高く、かつコントラストの視野角依存性も小さく、長時間点灯しても高画質を維持できる液晶表示装置を提供することである。
ポリマーフィルムのレターデーションを大きくするには、(1)ポリマーの固有複屈折を大きくする、及び(2)ポリマーの配向度を向上させる、という二つの方法が一般的である。本発明者らは、セルロースアシレートフィルムの場合、前記二つの方法がともにヘイズ上昇の要因となることを突き止めた。
セルロースアシレートの固有複屈折を大きくするには、アシル化度を低下させる、及び分極率異方性の大きい化合物(以下レターデーション発現剤)をフィルム中にドープすることにより見かけの固有複屈折を増幅する、という2つの方法が従来とられてきた。しかし、第1のアシル化度を低下させる方法はマット剤として添加される二酸化珪素等の無機化合物分散物の凝集を促進してしまいヘイズ上昇を引き起こす。また、第2のレターデーション発現剤を添加する方法も、マット剤上でレターデーション発現剤が凝集してしまい、ヘイズを上昇させてしまう問題のあることを突き止めた。
また、ポリマーの配向度を向上させるために高倍率で延伸する方法においては、残留溶剤が少ない状態で延伸するとフィルム中に発生するクレーズによりヘイズが上昇、一方残留溶剤が多い状態で延伸すると結晶化がおこりヘイズが上昇してしまうという問題がある。
これに対し本発明者らは、以下の方法によりヘイズを上昇させることなく、高レターデーションを付与できることを見出し、本発明を完結させるに至った。すなわち、マット剤分散液あるいは添加剤溶液の少なくとも一方に低濃度のセルロースアシレートを添加しておき、流延直前にマット剤液と添加剤液を混合後さらにドープ液と混合し、流延直後から急速に乾燥させ、マット剤及び添加剤の凝集を抑制するものである。また、添加剤の凝集については、(a)マット剤粒子のフィルム表面近傍での存在比率を高めてマット剤を効率的に機能させこれによりマット剤の添加量を低減する、及び(b)マット剤と他の添加剤との溶液状態での接触時間を低減させる。また、延伸によるクレーズ発生については、高発現性のレターデーション発現剤により固有複屈折を実質的に向上させ、低延伸倍率でレターデーションを発現させるものである。
(1) 波長590nmにおける面内レターションReと厚み方向レターデーションRthが下記式(I)〜(III)の範囲を満たし、ヘイズが0.01以上0.8以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 20≦Re≦50
式(II) 70≦Rth≦200
式(III) 1.0≦Rth/Re≦3.0
Re及びRthは、25℃,60%RHにおける値であり、その単位は、nmである。
(2)波長590nmにおける面内レターションReと厚み方向レターデーションRthが下記式(IV)及び(V)の範囲を満たし、面内と厚み方向のレターデーションの関係が下記式 (VI)を満たし、かつヘイズが0.01以上0.8以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(IV) 50<Re≦200
式(V) 150≦Rth≦400
式(VI) 2.0≦Rth/Re≦10.0
Re及びRthは、25℃,60%RHにおける値であり、その単位は、nmである。
(3)熱膨張係数が20ppm/℃以上100ppm/℃以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4)添加剤と一次平均粒子径が1nm以上20nm以下のマット剤を含有し、マット剤の2次平均粒子径が0.05μm以上1.05μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(5)共焦点レーザー顕微鏡により観察される0.2μ以上3μ以下の微粒子の1mm2あたりの個数が20個以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6)添加剤とマット剤溶液をセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で混合した後、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下のドープと混合した液を支持体上に流延し、支持体上で乾燥、剥ぎ取り後、フィルムを搬送方向および/あるいは幅方向に1%以上100%以下延伸して得られたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(7)前記マット剤と事前混合される添加剤が紫外線吸収剤、可塑剤、レターデーション発現剤、レターデーション低減剤、劣化防止剤のうちの少なくとも1つでることを特徴とする(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(8)下式(A)で表される結晶化指数が0.80以上1.10以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(A) 結晶化指数=(2θが27°のX線回折強度)/(2θが25°のX線回折強度)
(9)固形分濃度が17質量%以上25質量%以下であるドープ液を支持体に流延し、流延直後から風速1m/min以上の風をあてて乾燥することにより製造されたことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10)支持体上の乾燥温度と風量が下記関係を満たす工程を経て製造されたことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
支持体前半部での{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}>支持体後半の乾燥における{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}
(11)(溶剤含量が0.5%未満におけるフィルムのガラス転移点−30℃)以上(溶剤含量が0.5%未満におけるフィルムのガラス転移点+10℃)以下の温度かつ下記式で表される残留溶剤含量が1質量%以上30質量%以下の状態で延伸されたことを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(残留溶剤含量)=(フィルム中に含まれる溶剤の質量)/(フィルム全体の質量)
(12) X線回折から求めた面内配向度が0.20以上0.50以下であることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の記載のセルロースアシレートフィルム。
(13) レターデーション発現剤が下記一般式(B)で表される棒状のレターデーション発現剤であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(B)
Ar−L−X−L−Ar
(式中、Ar、Arはアリール基または芳香族ヘテロ環を表す。L、Lは−C(=O)O−、−C(=O)NR−を表す(Rは水素原子またアルキル基を表す。)。Xは下記一般式(2)または一般式(3)を表す。)
一般式(2)
Figure 2006154803
(R、R、R、R、R、R、RおよびRは水素原子または置換基を表す。)
一般式(3)
Figure 2006154803
(R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は水素原子または置換基を表す。)
(14) レターデーション発現剤が下記一般式(4)で表される棒状のレターデーション発現剤であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(4)
Figure 2006154803
(一般式(4)中、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子または置換基を表し、R11およびR13は、それぞれ、水素原子またはアルキル基を表し、LおよびLは、それぞれ、単結合または2価の連結基を表す。Arはアリーレン基または2価の芳香族へテロ環基を表し、Arはアリール基または1価の芳香族へテロ環基を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに同じでも異なっていてもよい。おり、R13で表されるアルキル基はヘテロ原子を含まない。)
(15) セルロースアシレートがアセチル化度2.5以上2.95以下のセルロースアセテートであることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(16) セルロースアシレートがアシル基としてアセチル基と炭素数3以上22以下のアシル基とを有しており、かつアセチル基の置換度Aと炭素数3〜22のアシル基の置換度Bが下記式(VII)及び(VIII)を満たすことを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(VII) 2.0≦A+B≦3.0
(VIII) 0.1≦A≦2.5
(17) レターデーション発現剤を含有し、レターデーション発現剤溶液とマット剤溶液をセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で混合した後、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下のドープと混合した液を流延し、フィルムを搬送方向および/あるいは幅方向に1%以上100%以下延伸して(1)〜(16)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを得ることを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(18) 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が(1)〜(16)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
(19) 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、少なくとも1つの偏光板が(18)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
(20) 液晶セルがVAモードであることを特徴とする(19)に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、正面コントラストが高く、かつコントラストの視野角依存性も小さく、長時間点灯しても高画質を維持できる液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(セルロースアシレート)
まず、本発明のセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース基)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM-D817-91に準じて実施する。
本発明のセルロースアシレートはアセチル化度が2.5以上2.95以下のセルロースアセテートが好ましい。アセチル化度は2.6以上2.85以下がさらに好ましい。
また、式(A)で表される6位の置換比率が0.31以上であり、全置換度が2.85以下であるセルロースアセテートを使用することがより好ましい。
式(A)
6位の置換比率=6位の置換度/(2位の置換度+3位の置換度+6位の置換度)
さらに、本発明の別の好ましいセルロースアシレートはアシル基としてアセチル基と炭素数3以上22以下のアシル基とを有しており、かつアセチル基の置換度Aと炭素数3〜22のアシル基の置換度Bが下記式(II)及び(III)を満たすものである。
(II) 2.0≦A+B≦3.0
(III) 0.1≦A≦2.5
(A+B)はさらに好ましくは2.2以上2.95以下である。また、Aはさらに好ましくは1.0以上2.2以下である。炭素数3以上22以下のアシル基としては、好ましくはプロピオニル基、ブチリル基である。
本発明のセルロースアシレートは、250乃至800の重量平均重合度を有することが好ましく、300乃至600の重量平均重合度を有することがさらに好ましい。本発明のセルロースアシレートは、70000乃至230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000乃至230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000乃至120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例、酢酸)や塩化メチレンが使用される。触媒としては、硫酸のようなプロトン性触媒が用いられる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物が用いられる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(例;酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(例;無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。この方法において、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖β1→4グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフイルムの物性が低下する。そのため、反応温度などの反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースエステルを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35乃至50℃、さらに好ましくは37乃至47℃に調節する。反応温度が35℃未満では、エステル化反応が円滑に進行しない場合がある。反応温度が50℃を越えると、セルロースエステルの重合度が低下しやすい。エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きいと、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱する。そのため、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下する。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。しかし、反応停止剤の添加速度が大きいと、触媒が解離するために充分な反応時間がなく、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残る。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4乃至30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間が30分を越えると、工業的な生産性が低下する。反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、重量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロースアシレートの粒子形状のものがが好ましい。使用される粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤溶液とマット剤分散液をセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で混合したのち、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下の溶液と混合した液を用いて流延することが好ましい。
レターデーション発現剤としては、分子量が200以上2000以下でlogPが2以上の化合物がマット剤分散液の凝集を抑制する効果が大きく好ましい(Pはオクタノールー水分配係数)。分子量は250以上1500以下がさらに好ましい。logPは4以上がさらに好ましい。
前記添加剤としては、レターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤、レターデーション低減剤、劣化防止剤等の機能を有する化合物を用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤を用いることが好ましい。レターデーション発現剤を添加してフィルムの固有複屈折を実質的に向上させることにより、低延伸倍率で高Reを発現させることができ、ヘイズ低減と高レターデーション発現を両立させることが可能となる。
以下に本発明で使用するレターデーション発現剤について詳しく説明する。
(レターデーション発現剤)
本発明のレターデーション発現剤の好ましい例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。以下にこれらの化合物に関して詳細に説明する。
一般式(1)
Figure 2006154803
一般式(1)中、R1〜R7、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表し、R8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有してもよい。R1〜R10が有してもよい置換基は後述の置換基Tが適用できる。
1〜R5のうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。R1、R3またはR5のうちの1つが電子供与性基であることが好ましく、R3が電子供与性基であることがより好ましい。
電子供与性基とはHammetのσp値がO又は負の値のものを表し、Chem.Rev.,91,165(1991).記載のHammetのσp値がO又は負の値のものが好ましく適用でき、より好ましくは−0.85〜0のものが用いられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。
電子供与性基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)である。
1として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくはメトキシ基である。
2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
3として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn−プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である。
4として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
5として好ましい基は、R2で挙げた基と同じである。
6、R7、R9およびR10として好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
Rとして好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、更に好ましくは、炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、n−プロポキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(1)のうちより好ましくは下記一般式(1−A)である。
一般式(1−A)
Figure 2006154803
一般式(1―A)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ一般式(1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(1−A)中、R31はアルキル基を表し、R31で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよい。好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)を表す。
一般式(1)のうちより好ましくは下記一般式(1−B)である。
一般式(1−B)
Figure 2006154803
一般式(1−B)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、R10は一般式(1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(1−B)中、R31は一般式(1−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(1−B)中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、カルボニル基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。
1、R2、R4、R5がすべて水素原子の場合にはXとして好ましくはアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、メトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
1、R2、R4、R5のうち少なくとも1つが置換基の場合にはXとして好ましくは炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、更に好ましくは、炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、n−プロポキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(1)のうち更に好ましくは下記一般式(1−C)である。
一般式(1−C)
Figure 2006154803
一般式(1−C)中、R1、R2、R4、R5、R31およびXは一般式(1−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(1)で表される化合物の中で好ましいのは下記一般式(1−D)で表される化合物である。
一般式(1−D)
Figure 2006154803
一般式(1−D)中、R2、R4およびR5は一般式(1−C)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R41、R42はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。X1は炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、又はシアノ基を表す。
41は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基である。
42は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
は炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基を表し、好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、n−プロポキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(1)のうち最も好ましくは下記一般式(1−E)である。
一般式(1−E)
Figure 2006154803
一般式(1−E)中、R2、R4およびR5は一般式(1−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基であり(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)、R41、R42、X1は一般式(1−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
好ましくはR4、R5が−OR13で表される基であり、より好ましくはR4が−OR13で表される基である。
13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどの各基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどの各基が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各環基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(1)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
本発明の一般式(1)で表される化合物は置換安息香酸とフェノール誘導体の一般的なエステル反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体を脱水縮合する方法などがあげられる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
反応溶媒として炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
以下に本発明の化合物の合成法に関して具体的に記載するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
[合成例1:例示化合物A−1の合成]
3,4,5−トリメトキシ安息香酸24.6g(0.116モル)、トルエン100mL、N−N−ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.2g(0.127モル)をゆっくりと滴下し、2時間60℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.1g(0.127モル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、60℃で3時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物に、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。アセトニトリル溶液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.0g(収率11%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトル解析で行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例2:例示化合物A−2の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸106.1g(0.5モル)、トルエン340mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル65.4g(0.55モル)をゆっくりと滴下し、2時間65〜70℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール71.5g(0.6モル)をアセトニトリル150mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(1L)、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸マグネシウムで水分を除去した後、約500mLの溶媒を減圧留去し、メタノール1Lを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を125.4g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析で行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.98(s,3H),6.59(s,1H),7.35(d,2H),7.58(s,1H),7.74(d,2H)。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は116℃であった。
[合成例3:例示化合物A−3の合成]
2,3,4−トリメトキシ安息香酸10.1g(47.5ミリモル)、トルエン40mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを80℃に加熱した後、塩化チオニル6.22g(52.3ミリモル)をゆっくりと滴下し、80℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール6.2g(52.3ミリモル)をアセトニトリル20mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール50mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.9g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析で行った。
1H−NMR(CDCl3):δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例4:例示化合物A−4の合成]
2,4,6−トリメトキシ安息香酸25.0g(118ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.4g(129ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.4g(129ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で4.5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール500mL、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を10.0g(収率27%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトル解析で行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例5:例示化合物A−5の合成]
2,3−ジメトキシ安息香酸15.0g(82.3ミリモル)、トルエン60mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル10.7(90.5ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール10.8g(90.5ミリモル)をアセトニトリル30mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、イソプロピルアルコール90mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を12.3g(収率53%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトル解析で行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は104℃であった。
[合成例6:例示化合物A−6の合成]
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,4−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトル解析で行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は134〜136℃であった。
[合成例7:例示化合物A−7の合成]
2,5−ジメトキシ安息香酸25.0g(137ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1.0mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル18.0(151ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール18.0g(151ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7.5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、飽和食塩水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(9/1、V/V))で精製操作を行い、白色の結晶として目的化合物を18.8g(収率48%)得た。また化合物の同定はマススペクトル解析で行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は79〜80℃であった。
[合成例8:例示化合物A−8の合成]
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,6−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトル解析で行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は130〜131℃であった。
[合成例9:例示化合物A−11の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−クロロフェノール76.9gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトル解析で行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.90(s,3H),3.94(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.15(d,2H),7.37(d,2H),7.56(s,1H)。
マススペクトル:m/z 323(M+H)+
得られた化合物の融点は127〜129℃であった。
[合成例10:例示化合物A−12の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸45.0g(212ミリモル)、トルエン180mL、ジメチルホルムアミド1.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル27.8g(233ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−ヒドロキシ安息香酸メチル35.4g(233ミリモル)をジメチルホルムアミド27mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール270mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を64.5g(収率88%)得た。また化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.95(m,9H),3.99(s,3H),6.57(s,1H),7.28(d,2H),7.57(s,1H)8.11(d,2H)。
マススペクトル:m/z 347(M+H)+
得られた化合物の融点は121〜123℃であった。
[合成例11:例示化合物A−13の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸20.0g(94.3ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル12.3g(104ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をトルエン150mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール250mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.2g(収率62%)得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.93(s,3H),3.96(s,3H),3.99(s,3H),6.59(s,1H),7.26−7.75(m,10H)。
マススペクトル:m/z 365(M+H)+
得られた化合物の融点は131−132℃であった。
[合成例12:例示化合物A−14の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸12.9g(61ミリモル)、トルエン50mL、ジメチルホルムアミド0.6mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル8.0g(67ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をアセトニトリル25mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.6g(収率93%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトル解析により行った。
マススペクトル:m/z 381(M+H)+
得られた化合物の融点は91〜92℃であった。
[合成例13:例示化合物A−15の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gをフェノール56.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.19−7.27(m,3H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)。
マススペクトル:m/z 289(M+H)+
得られた化合物の融点は105〜108℃であった。
[合成例14:例示化合物A−16の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−メトキシフェノール74.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得ることができる。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.84(s,3H),3.92(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),6.92(d,2H),7.12(d,2H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)。
マススペクトル:m/z 319(M+H)+
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例15:例示化合物A−17の合成]
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−エチルフェノール73.3gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
マススペクトル:m/z 317(M+H)+
得られた化合物の融点は70〜71℃であった。
[合成例16:例示化合物A−24の合成]
4―エトキシ安息香酸27.3g(164ミリモル)、トルエン108mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.5g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−エトキシフェノール25.0g(181ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を30.6g(収率65%)得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ1.48−1.59(m,6H),4.05(q,2H),4.10(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)。
マススペクトル:m/z 287(M+H)+
得られた化合物の融点は113〜114℃であった。
[合成例17:例示化合物A−25の合成]
4―エトキシ安息香酸24.7g(149ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル19.5g(164ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−プロポキシフェノール25.0g(165ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、得られた固体にメタノール100mLを加え再結晶操作を行い、得られた結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を33.9g(収率76%)得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ1.04(t,3H),1.45(t,3H),1.82(q,2H),3.93(q,2H),4.04(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)。
マススペクトル:m/z 301(M+H)+
得られた化合物の融点は107℃であった。
[合成例18:例示化合物A−27の合成]
A−24の合成法における4―エトキシ安息香酸27.3gを4―プロポキシ安息香酸29.5gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトル解析により行った。
マススペクトル:m/z 301(M+H)+
得られた化合物の融点は88〜89℃であった。
[合成例19:例示化合物A−28の合成]
A−25の合成法における4―エトキシ安息香酸24.7gを4―プロポキシ安息香酸26.8gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトル解析により行った。
マススペクトル:m/z 315(M+H)+
得られた化合物の融点は92℃であった。
[合成例20:例示化合物A−40の合成]
2,4−ジメトキシ安息香酸20.0g(109ミリモル)、トルエン80mL、ジメチルホルムアミド0.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル14.4g(121ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール20.5g(121ミリモル)をジメチルホルムアミド50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を31.7g(収率86%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトル解析により行った。
マススペクトル:m/z 335(M+H)+
得られた化合物の融点は161〜162℃であった。
[合成例21:例示化合物A−42の合成]
2,4―ジメトキシ安息香酸30.0g(165ミリモル)、トルエン120mL、ジメチルホルムアミド1.2mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.6g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フヒドロキシ安息香酸メチル27.6g(181ミリモル)をジメチルホルムアミド40mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール140mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を24.4g(収率47%)得た。なお、化合物の同定は1H―NMR(400MHz)およびマススペクトル解析により行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(m,9H),6.56(m,2H),7.27(m,2H),8.09(m,3H)。
マススペクトル:m/z 317(M+H)+
得られた化合物の融点は122〜123℃であった。
本発明のレターデーション発現剤としては、下記一般式(B)及び一般式(C)で表される化合物がマット剤の凝集抑制効果が大きく特に好ましい。
以下に、一般式(B)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(B)
Ar−L−X−L−Ar
(式中、Ar、Arはアリール基または芳香族ヘテロ環を表す。L、Lは−C(=O)O−、−C(=O)NR−を表す(Rは水素原子またアルキル基を表す。)。Xは下記一般式(2)または一般式(3)を表す。)
一般式(2)
Figure 2006154803
(R、R、R、R、R、R、RおよびRは水素原子または置換基を表す。)
一般式(3)
Figure 2006154803
(R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は水素原子または置換基を表す。)
一般式(B)中、Ar、Arはアリール基または芳香族ヘテロ環を表し、Ar、Arで表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(B)中、Ar、Arで表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(B)中、Ar、Arで表される芳香族ヘテロ環としては酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であれば何でもよいが、好ましくは5ないし6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合には更に置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(B)中、Ar、Arで表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどの環基が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環である。
一般式(B)中、L、Lは−C(=O)O−、−C(=O)NR−を表し(Rは水素原子またはアルキル基を表す)、どちらも同様に好ましい。
Rは水素原子またはアルキル基を表し、Rとして好ましくは水素原子または、炭素数1〜6アルキル基であり、より好ましくは水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
、R、R、R、R、R、RおよびRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子であり、最も好ましくは水素原子である。
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18として好ましくは、水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(B1)
Figure 2006154803
一般式(B1)中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR30はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L、LおよびXは上記一般式(1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
21、R26はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R21、R26として好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、更に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくはメトキシ基である。
22、R27はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R22、R27として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
23、R28はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R23、R28として好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn-プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である
24、R29はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R24、R29として好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
25、R30はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R25、R30として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
一般式(B)のうちより好ましくは一般式(B2)である。
一般式(B2)
Figure 2006154803
一般式(B2)中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、L、LおよびXは上記一般式(B1)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R31は炭素数1〜12のアルキル基を表す。
一般式(B2)中、R31は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R31で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよいが、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6アルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる)を表す。
一般式(B)のうち更に好ましくは一般式(B3)である。
一般式(B3)
Figure 2006154803
一般式(B3)中、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、L、LおよびXは一般式(B2)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R32は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
R32は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基であり、更に好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
一般式(B)のうち特に好ましくは一般式(B4)である。
一般式(B4)
Figure 2006154803
一般式(B4)中、R22、R23、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、L、LおよびXは一式(B3)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R33は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
R33は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどの各基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどの各基が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの各基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各環基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
本発明一般式(B)ないし(B4)で表される化合物は置換安息香酸とフェノール、あるいはアニリン誘導体の一般的なエステル化反応、アミド化反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール、あるいはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール、あるいはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などがあげられる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール、あるいはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
反応溶媒として炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
以下に本発明の化合物の合成法に関して具体的に記載するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
[合成例1:例示化合物B−1の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸40.1g(189ミリモル)、4、4‘−ジヒドロキシビフェニル16.75g(90ミリモル)、トルエン200mL、ジメチルホルムアミド2mLを70℃に加熱した後、塩化チオニル23.6g(198ミリモル)をゆっくりと滴下し、70℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を48.4g(収率94%)得た。また化合物の同定はH―NMR(400MHz)により行った。
1H−NMR(CDCl)δ3.93(s,6H),3.95(s,6H),3.99(s,6H),6.58(s,2H),7.28(d,4H),7.62(m,6H)。
得られた化合物の融点は227〜229℃であった。
[合成例2:例示化合物B−2の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸34g(160ミリモル)、4、4‘−ジヒドロキシー3−フルオロビフェニル15g(73ミリモル)、トルエン110mL、ジメチルホルムアミド1.6mLを70℃に加熱した後、塩化チオニル20.9g(176ミリモル)をゆっくりと滴下し、70℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を37g(収率86%)得た。また化合物の同定はH―NMR(400MHz)により行った。
1H−NMR(CDCl)δ3.93(s,6H),3.95(s,6H),4.00(s,6H),6.59(s,2H),7.26−7.45(m,5H),7.63(m,4H)。
得られた化合物の融点は197〜199℃であった。
[合成例3:例示化合物B−3の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸23.3g(110ミリモル)、4、4‘−ジヒドロキシ−3−クロロビフェニル15g(50ミリモル)、トルエン75mL、ジメチルホルムアミド1.1mLを70℃に加熱した後、塩化チオニル14.4g(121ミリモル)をゆっくりと滴下し、80℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール250mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を26g(収率85%)得た。また化合物の同定はH―NMR(400MHz)により行った。
1H−NMR(CDCl)δ3.90−4.00(m,18H),6.59(s,2H),7.26−7.70(m,9H)。
得られた化合物の融点は168〜170℃であった。
[合成例4:例示化合物B−4の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸30.3g(143ミリモル)、4、4‘−ジヒドロキシー3−メチルビフェニル15g(65ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1.4mLを70℃に加熱した後、塩化チオニル18.7g(157ミリモル)をゆっくりと滴下し、70℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール300mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を27.4g(収率72%)得た。また化合物の同定はH―NMR(400MHz)により行った。
1H−NMR(CDCl)δ2.31(s,3H),3.95(s,6H),4.00(s,6H),6.60(s,2H),7.10(m,2H),7.27(m,3H),7.40(m,2H),7.63(d,2H)。
マススペクトル:m/z 589(M+H)
得られた化合物の融点は188〜189℃であった。
[合成例5:例示化合物B−6の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸5.72g(26.9ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン3.5g(27ミリモル)、テトラヒドロフラン20mLを氷水で冷却した後、メタンスルホニルクロリド3.1g(27ミリモル)をゆっくりと滴下し、滴下後2時間室温で攪拌した。その後、氷水に冷却し、あらかじめビス(4−ヒドロキシフェニル)アセチレン2.9g(13.7ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン3.5g(27ミリモル)をテトラヒドロフラン40mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、滴下後、室温で3時間、50℃1時間攪拌した。その後水160mLを添加し、得られた結晶をろ過回収し、メタノール100mLを加え、再結晶操作を行い、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を3.0g(収率19%)得た。
1H−NMR(CDCl)δ3.93(s,6H),3.95(s,6H),3.99(s,6H),6.57(s,2H),7.24(m,4H),7.58(m,6H)。
マススペクトル:m/z 599(M+H)
得られた化合物の融点は201〜203℃であった。
[合成例6:例示化合物A−7の合成]
6−1 2,4,5−トリメトキシ安息香酸-4−エチニルアニリドの合成
2,4,5−トリメトキシ安息香酸21.2g(100ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン12.9g(100ミリモル)、テトラヒドロフラン126mLを氷水で冷却した後、メタンスルホニルクロリド11.4g(100ミリモル)をゆっくりと滴下し、滴下後2時間室温で攪拌した。その後、氷水に冷却し、あらかじめ4−エチルアニリン11.7g(100ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン12.9g(100ミリモル)をテトラヒドロフラン42mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、滴下後、室温で6時間攪拌した。その後酢酸エチル200mLを添加し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、0.5mol/L塩酸水、飽和食塩水の順で有機相を洗浄した。有機相に硫酸ナトリウムを添加し、脱水操作を行い、濾過により硫酸ナトリウムを濾別し、有機溶媒を減圧留去した。
メタノール350mLを加え、再結晶操作を行い、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を15.0g(収率48%)得た。
6−2 例示化合物B−7の合成
2,4,5−トリメトキシ安息香酸-4−エチニルアニリド3.1g(10ミリモル)、2,4,5−トリメトキシ安息香酸 4−ヨードフェニル4.1g(10ミリモル)、トリエチルアミン5.56mL(40ミルモル)、テトラヒドロフラン15mLを窒素雰囲気下、室温で攪拌し、塩化第一銅 22.8mg(0.12ミリモル)、トリフェニルホスフィン131mg(0.5ミリモル)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド70mg(0.1ミリモル)を添加し、60℃で3時間加熱攪拌した。その後反応液を室温まで冷却し、水200mLを添加した。得られた結晶を濾過し、メタノール100mLで再結晶操作を行い、黄白色の結晶として目的化合物を5.6g(収率94%)得た。
なお、化合物の同定はH―NMR(400MHz)およびにより行った。
1H−NMR(DMSO-d)δ3.92(s,3H),3.93(s,3H),4.05(m,9H)4.15(s,3H)6.96(br,2H),7.46(d,2H),7.55(s,1H), 7.62(s,1H),7.69(d,2H),7.76(d,2H),7.98(d,2H),10.30(s,1H)。
得られた化合物の融点は216〜218℃であった。
一般式(4)
Figure 2006154803
(一般式(4)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、L、Lはそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Arはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Arはアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
一般式(4)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し表す。前記、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(4)におけるRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(4)におけるRとして好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(4)におけるRとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(4)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、または環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1から〜30のアルキル基、炭素数3から〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5から〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5から〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐または環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)をあげて挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 2006154803
上記例中、#は酸素原子側を意味する。
一般式(4)におけるArはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のArは、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Arはアリール基または芳香族へテロ環を表す。
一般式(4)中、Arで表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Arで表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(4))中、Arで表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Arで表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(4)中、Ar、Arで表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5ないし〜6員環の酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(4)中、Ar、Arで表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(4)中、L、Lはそれぞれ独立に単結合、または2価の連結基を表す。L、Lは、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のLは、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基をあらわす)、−CO−、−SO−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基およびこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SONR−、−NRSO−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明のにおける一般式(4)で表される化合物において、ArはLおよびLと結合するが、Arがフェニレン基である場合、L1−Ar−L、およびL2−Ar−Lは互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが最も好ましい。
一般式(4)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(4)ので表される化合物の中では、、下記一般式(5)および一般式(6)で表される化合物はを特に好ましく用いることができる。
一般式(5)
Figure 2006154803
(一般式(5)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L、Lは、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Arはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Arはアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
一般式(5)中、R、R、R11、R13は一般式(4)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L、L、Ar、Arはについても一般式(4)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(6)
Figure 2006154803
(一般式(6)式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、L、Lはそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Arはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Arはアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
一般式(6)中、R、R、R11、R13は一般式(4)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L、L、Ar、Arは一般式(4)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(6)において、R14は水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14としてまた好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表しであり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14はとは同じ同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(6)で表される化合物としては、一般式(6―A)もしくは一般式(6−B)で表される化合物も好ましい。
一般式(6―A)
Figure 2006154803
(一般式(6―A)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L、Lは、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Arはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
一般式(6―A)中、R、R、R11、R13、L、L、Ar、nは一般式(4)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(6−B)
Figure 2006154803
(一般式(6−B)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L、Lは、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Arはアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
一般式(6−B)中、R、R、R11、R13、R14、L、L、Ar、nは一般式(4)および一般式(6)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていても良いよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としてはれ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(6−A)及び一般式(6−B)で表される化合物のとして好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R、Rがいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、Lが、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Lが−O−または−NR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Arがアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(6−A)、および一般式(6−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
Figure 2006154803
一般式(4)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成したのち後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などがあげられるなどが挙げられる。
一般式(4)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(4)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましく、い。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(6−A)及び一般式(6−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(6−A)及び一般式(6−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
構造体A
Figure 2006154803
(式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R、R13、およびRは先に記載した通りであり、Rは水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。)
水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応に付して得られた中間体:
中間体B
Figure 2006154803
(式中、A’’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R、R13、R、R、Ar、およびLは先に記載した通りである。)
化合物C
Figure 2006154803
(式中、BおよびB’’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、ArおよびLは先に記載したAr、Lと同義である。)
本発明のレターデーション発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がさらに好ましい。この範囲で前記化合物を用いることにより、ブリードアウトを生じることなくレターデーションを上昇させることができる。
本発明のレターデーション発現剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒にセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で溶解してから、マット剤分散液と混合したのち、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下のセルロースアシレート溶液(ドープ)に添加することが好ましい。レターデーション発現剤溶液のセルロースアシレート濃度は0.1質量%以上3質量%未満がさらに好ましい。
また、セルロースアシレート溶液の中のセルロアシレート濃度は10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。このような添加方法をとることにより、所望のレターデーションでかつヘイズの低いセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
(マット剤微粒子)
本発明のセルロースアシレートフイルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。これらの微粒子の中ではケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が1nm以上20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができて、より好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.05〜2.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.05〜2.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.05μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.7μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上0.4μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明のマット剤は以下の方法により調製することが好ましい。すなわち、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意したセルロースアシレート濃度が5質量%未満で分子量200以上2000以下でlogPが2以上の添加剤を1〜40質量%含む溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法が好ましい。この方法により流延されたフィルムを延伸することにより、ヘイズが低く、所望のレターデーションの位相差フィルムが得られる。
マット剤分散剤と添加剤溶液の混合、及びセルロースアシレート液との混合にはインラインミキサーを使用することが好ましい。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が同量の添加量に対する濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は0.001〜1.0質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.1質量%が最も好ましい。
(セルロースアシレートフィルムの製造)
本発明のセルロースアシレートフイルムは、ソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2-エトキシエチルアセテート、2-メトキシエタノールおよび2-ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
本発明の有機溶媒はメチレンクロライドとアルコールを混合して用いることが好ましく、メチレンクロライドに対するアルコールの比率は1質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下が好ましく、12質量%以上30質量%以下が最も好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n-フ゛タノールが好ましく、2種類以上のアルコールを混合して使用してもよい。
0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で、セルロースアシレート溶液を調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは固形分濃度が17質量%以上25質量%以下のドープを用いて製膜されることが好ましい。さらに好ましくは、18質量%以上24質量%以下であり、最も好ましくは19質量%以上22質量%以下である。
上記範囲の固形分濃度のドープを用いて製膜することにより、製膜過程でのセルロースアシレートの結晶化を抑制でき、かつ不溶解物に起因する面状故障を防止することができる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープにはレターデーション発現剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムはドープを支持体に流延した直後から風速1m/min以上の風をあてて乾燥することが好ましい。乾燥風の風速は3m/min以上がさらにこの好ましく、より好ましくは5m/min以上であり、10m/min以上が最も好ましい。
また本発明のセルロースアシレートフィルムは支持体上の平均乾燥温度と平均風量が下記関係を満たす工程を経て製造されることが好ましい。
支持体前半部において:
{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}>支持体
後半の乾燥において:
{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}
より好ましくは、支持体前半部において:
{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}>支持体
後半の乾燥において:
{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}+4000
である。
ここで乾燥風の平均温度とは、所定の期間における乾燥風の10秒ごとに記録した乾燥温度の平均値であり、平均風速とは所定の期間における乾燥風の10秒ごとに記録した風速の平均値を表す。
上記の如く、流延初期から急激に乾燥させることにより、フィルム中におけるマット剤微粒子、及び添加剤の拡散速度が低下し、マット剤微粒子の凝集及び添加剤の凝集を抑制することができる。さらに、前記の如くマット剤微粒子を最上層のドープ液にのみ添加した場合、流延後のマット剤微粒子の最上層から下層への拡散混合を抑制でき、より少ない添加量でマット剤微粒子のスベリ効果を発現させられる。いずれの場合もマット剤起因のヘイズの上昇を抑制でき好ましい。
得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調整したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および、特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することもできる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は、同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
[延伸処理]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、延伸処理されることが好ましい。延伸処理によりセルロースアシレートフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。
セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは延伸時の残留溶剤含量は1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下が最も好ましい。
また、延伸温度は残留溶剤含量が0.5%未満におけるフィルムのガラス転移点(Tg)に対して下記範囲であることが好ましい。
(Tg-30)℃≦延伸温度≦(Tg+10)℃
さらに好ましくは
(Tg-25)℃≦延伸温度≦(Tg)℃
であり、最も好ましくは
(Tg-20)℃≦延伸温度≦(Tg-5)℃
である。
ガラス転移温度は下記の方法により測定できる。
フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定した。縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いた。
この直線1と直線2の交点は、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度すなわち、ガラス転移領域に移行し始める温度であり、これをガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
上記温度範囲で延伸を行うことにより、クレージングによるヘイズ上昇及び結晶化によるヘイズ上昇の双方を抑制することができる。
残留溶剤を含んだ状態で一定の時間で延伸することが好ましい。延伸開始時の残留溶剤含量は流延前の溶剤含量の5%以上100%以下が好ましく、10%以上50%以下がさらに好ましい。延伸終了時の残留溶剤含量は0.1%以上50%以下が好ましく、1%以上30%以下がさらに好ましい。
延伸時間は10秒以上120秒以下が好ましく、20秒以上90秒以下がさらに好ましい。
延伸時の雰囲気温度は100℃以上160℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がさらに好ましい。
フィルムの延伸倍率は、1%〜100%が好ましく、5%〜90%がさらに好ましい。なお、本発明において、フィルムの延伸倍率とは、(延伸後の寸法/延伸前の寸法)−1}×100(%)を指すものとする。
[添加剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤の他に紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を含有することが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明のセルロースアシレートフィルムは紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、特開平8−337574号記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326、チヌビン(TINUVIN)328(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用出来る。
<可塑剤>
セルロースアシレートフィルムには機械的物性を改良するために、以下の可塑剤を用いることができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアセテートの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
<劣化防止剤>
また、セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
[フィルムの物性]
<フィルムのヘイズ>
本発明のセルロースアシレートフイルムのヘイズは0.01〜0.8%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.7%である。ヘイズが0.8%以上になると液晶表示装置のコントラストの低下が著しい。ヘイズが低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理も考慮すると上記範囲が好ましい。
フィルムのヘイズは大きく2つの要因によって上昇する。第1はマット剤粒子の凝集による2次粒径の増大、第2は延伸処理によるフィルム中の空隙の増大である。セルロースアシレートのアシル化度及びアシル基の種類を適度に調節すること、及び/あるいは本発明の分極率異方性の高いレターデーション発現剤を用いることにより、前記2つのヘイズ上昇要因の全てを効果的に抑制できる。
ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフイルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
<フィルムの熱膨張係数>
セルロースアシレートフィルムの熱膨張係数は熱機械測定装置で一定荷重で昇温させた場合の温度あたりの寸度変化として測定することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの熱膨張係数は20ppm/℃以上100ppm/℃以下が好ましく、25ppm/℃以上80ppm/℃以下がさらに好ましく、30ppm/℃以上70ppm/℃以下が最も好ましい。熱膨張係数が前記範囲となることにより、高温で使用された場合のレターデーション変化を低減することができる。
<セルロースアシレートフィルムの厚み>
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚みは10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上150μm以下がさらに好ましく、30μm以上100μm以下が最も好ましい。
<セルロースアシレートフィルムの面内配向度>
セルロースアシレートフィルムの面内配向度(配向オーダーパラメーター)Pは透過2次元X線測定における2θ=6〜11°のピーク強度の平均値から下記式を用いて求めることができる。
P0 = <3 cos2 β−1> /2
ここで
Figure 2006154803
本発明のセルロースアシレートフィルムの配向度Pは0.20以上0.50以下が好ましく、0.30以上0.45以下がさらに好ましい。セルロースアシレートフィルムの配向度を適度にコントロールすることにより、ヘイズが小さく、かつ所望のRth/Reを有するセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
<結晶化指数>
本発明のセルロースアシレートフィルムの結晶化指数はフィルムのX線回折強度測定により下記式(A)で定義するものとする。
(A) 結晶化指数=(2θが27°のX線回折強度)/(2θが25°のX線回折強度)
ここでの、2θが27°のX線回折強度、2θが25°のX線回折強度は、それぞれ、結晶部に基づくX線回折強度、(非晶部+結晶部)に基づくX線回折強度を意味しており、したがって、(2θが27°のX線回折強度)/(2θが25°のX線回折強度)の値は、微結晶の含有率に比例する値、すなわち結晶化指数を表すと考えることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの結晶化指数は0.80以上1.1以下であり、好ましくは0.85以上0.1.0以下であり、さらに好ましくは0.85以上0.95以下である。
セルロースアシレートフィルムの結晶化指数を上記範囲に制御することにより、ヘイズを低減することができる。
<フィルム中の微粒子の個数>
本発明のセルロースアシレートフィルムは共焦点レーザー顕微鏡により観察される0.2μm以上3μm以下の微粒子の100μm2あたりの個数が20個以下であることが好ましい。さらに好ましくは10個以下であり、最も好ましくは5個以下である。前記共焦点レーザー顕微鏡で観察される微粒子はセルロースアシレートフィルム中に添加された可塑剤等の添加剤がマット剤表面に集まり凝集体を形成したものである。マット剤、添加剤、セルロースアシレートの添加方法を前記の如く工夫することにより、該凝集体の形成を抑制できヘイズの低いセルロースアシレートフィルムが得られる。
<カール>
本発明のセルロースアシレートフィルムは湿度によるカール変化が小さいことが好ましい。
カール度の測定は該フイルムを幅手方向50mm、長手方向2mmに切断し、所定の湿度で24時間調湿し、曲率スケールを用いて該フイルムのカール値を測定することにより求めることができる。カール値は1/Rで表され、Rは曲率半径で単位はmを用いる(JIS K7619参照)。
本発明のセルロースアシレートフィルムの相対湿度1%あたりのカール値変化は0.02以下が好ましく、0.015以下がさらに好ましい。
相対湿度1%あたりのカール値変化を上記範囲にすることにより偏光板加工後に使用環境湿度変化による変形が小さくなり、液晶表示装置の使用環境の変化に伴う光漏れが防止することができる。
<高温高湿下での寸度変化>
本発明のセルロースアシレートフィルムは高温恒湿下での寸度変化が小さいことが好ましい。40℃95%24hr処理前後での寸度変化率は0.20%以下が好ましく、0.15%以下がさらに好ましい。
高温恒湿下での寸度変化を上記範囲にすることにより偏光板加工後に使用環境湿度変化による変形が小さくなり、液晶表示装置の使用環境の変化に伴う光漏れが防止することができる。
<透湿度>
透湿度はJIS Z0208に記載の方法に則り、各試料の透湿度を測定し、面積1m2あたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出する。透湿度は偏光板の耐久性と密接に関係したフィルム物性であり、透湿度を下げることにより偏光板耐久性を向上させることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃、95%RH、24hrにおける透湿度が200g/m以上1700g/m以下であることが好ましい。より好ましくは、500g/m以上1400g/m以下である。
<セルロースアシレートフィルムの含水率>
セルロースアシレートフィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は前記温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃、80%RHにおける含水率は4.5質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがさらに好ましく、3.5質量%以下であることが最も好ましい。
<鹸化処理>
本発明のセルロースアシレートフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールとの密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1乃至5.0規定の範囲にあることが好ましく、0.5乃至4.0規定の範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲にあることが好ましく、40乃至70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
<フィルムのレターデーション>
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)及びRth(λ)は複屈折計を用いて各規定の方向から光を入射させて当該方向の屈折率を測定してその値から求める。例えば、Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
本発明のセルロースアシレートフィルムのRe(590)は20〜200nmが好ましく、40〜150nmがさらに好ましく、60〜120nmが最も好ましい。Rth(590)は70〜400nmが好ましく、100〜300nmがさらに好ましく、150〜250nmが最も好ましい。
また、Rth(590)/Re(590)比は1.0以上3.0以下が好ましく、1.2以上2.9
以下がさらに好ましい。
<光弾性>
本発明のセルロースアシレートの光弾性係数は60×10−8cm/N以下が好ましく、20×10−8cm2がさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。
<ガラス転移温度>
本発明のセルロースアシレートのガラス転移温度は120℃以上が好ましく、更に140℃以上が好ましい。ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めたものである。
次に本発明の偏光板について詳しく説明する。
(偏光板の構成)
まず、本発明の偏光板を構成する保護フィルム、偏光子について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子や保護フィルム以外にも、粘着剤層、セパレートフィルム、保護フィルムを構成要素として有していても構わない。
(1)保護フィルム
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有し、少なくとも1枚は本発明のセルロースアシレートフィルムである。また、2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一枚は位相差フィルムとしての機能を合わせてもつことが好ましい。液晶表示装置に本発明の偏光板を用いる場合、液晶セルの両側に配置される二枚の偏光板の少なくとも一方が、本発明の偏光板であることが好ましい。
本発明において用いられる保護フィルムはノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、セルロースアシレートなどから製造されたポリマーフィルムであることが好ましく、セルロースアシレートフィルムであることが最も好ましい。
(2)偏光子
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開2001−302817号、特開2002−144401号を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002以上0.01以下としてもよいし、特開2002−060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフィルムのレターデーション(面内)は0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。偏光子の厚さと後述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
[偏光板の製造工程]
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストno偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2、454、515などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号や特開平07−325218号に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426及び特開2002−86554に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護フィルムの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けても良い。特開2002−267839号に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m、ホウ素0.1〜5.0g/m、カリウム0.1〜2.00g/m、亜鉛0〜2.00g/mであることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
特許第3323255号に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
[偏光板の特性]
(1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。次に示す式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上、1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
Figure 2006154803
ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 2006154803
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
Figure 2006154803
ヨウ素濃度と単板透過率は特開2002−258051号に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号や特開2002−022950号に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002−174728号に記載されている範囲内であってもよい。
特開2002−221618号に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号や特開2002−258043号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*は、上述のX、 Y、 Zを用いて式6で定義される。
Figure 2006154803
ここでX、 Y、 Zは照明光源の三刺激値を表し、標準光Cの場合、X=98.072、Y=100、 Z=118.225であり、標準光D65の場合、X=95.045、Y=100、 Z=108.892である。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は−2.5以上0.2以下であり、さらに好ましくは−2.0以上0以下である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は−4.0以上0以下であり、さらに好ましくは−3.5以上−0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0以上8以下であり、さらに好ましくは2.5以上7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は−0.5以上1.0以下であり、さらに好ましくは0以上2以下である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は−2.0以上2以下であり、さらに好ましくは−1.5以上0.5以下である。
色相は、前述のX、 Y、 Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(x、y)と直交透過光の色度(x、y)は、特開2002−214436号、特開2001−166136号や特開2002−169024に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度の関係を特開2001−311827号に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号や特開2001−166137号に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T)を10000以下としたり、特開2002−139625号に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、95%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値を特開平10−068818号に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm−1及び157cm−1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号や特開平09−197127号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I やI5 の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開2002−006133号に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率n を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
[偏光板の機能化]
本発明の偏光板は、LCDの視野角拡大フィルム、反射型LCDに適用するためのλ/4板等の位相差フィルム、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
本発明の偏光板と上述の機能性光学フィルムを複合した構成例を図1に示した。偏光板5の片側の保護フィルムとして機能性光学フィルム3と偏光子2を粘着層を介して接着しても良いし(図1(A))、偏光子2の両面に保護フィルム1a、1bを設けた偏光板5に粘着層4を介して機能性光学フィルム3を接着しても良い(図1(B))。前者の場合、もう一方の保護フィルム1には任意の透明保護フィルムを使用してもよい。また、本発明の偏光板においては、保護フィルムに光学機能層を粘着層を介して貼り合わせ、機能性光学フィルム3として、図1(A)の構成とすることも好ましい。機能層や保護フィルム等の各層間の剥離強度は特開2002−311238号に記載されている4.0N/25mm以上とすることも好ましい。機能性光学フィルムは、目的とする機能に応じて液晶モジュール側に配置したり、液晶モジュールとは反対側、すなわち表示側もしくはバックライト側に配置することが好ましい。
(機能性光学フィルム)
以下に本発明の偏光板と複合して使用される機能性光学フィルムについて説明する。
(1)視野角拡大フィルム
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている視野角拡大フィルムと組み合わせて使用することができる。
TNモード用の視野角拡大フィルムとしては、日本印刷学会誌第36巻第3号(1999)p.40〜44、月刊ディスプレイ8月号(2002)p.20〜24、特開平4−229828、特開平6−75115、特開平6−214116号、特開平8−50206等に記載されたWVフィルム(富士写真フイルム(株)製)を好ましく組み合わせて使用される。
TNモード用の視野角拡大フィルムの好ましい構成は、前述の透明なポリマーフィルム上に配向層と光学異方性層をこの順に有したものである。視野角拡大フィルムは粘着剤を介して偏光板と貼合され、用いられてよいが、SID’00 Dig.、p.551(2000)に記載されているように、前記偏光子の保護フィルムの一方も兼ねて使用されることが薄手化の観点から特に好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向層も知られているが、ポリマーのラビング処理により形成する配向層が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより好ましく実施される。偏光子の吸収軸方向とラビング方向は実質的に平行であることが好ましい。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は液晶性化合物を含有していることが好ましい。本発明に使用される液晶性化合物はディスコティック化合物(ディスコティック液晶)であることが特に好ましい。ディスコティック液晶分子は、円盤状のコア部を有し、そこから放射状に側鎖が伸びた構造を有している。また、経時安定性を付与するため、熱、光等で反応する基をさらに導入することも好ましく行われる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
ディスコティック液晶分子は、配向層付近ではラビング方向にプレチルト角を持ってほぼフィルム平面に平行に配向しており、反対の空気面側ではディスコティック液晶分子が面に垂直に近い形で立って配向している。ディスコティック液晶層全体としては、ハイブリッド配向を取っており、この層構造によってTNモードのTFT−LCDの視野角拡大を実現することができる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向層上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
また、上記光学異方性層に添加するディスコティック化合物以外の化合物としては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に好ましい傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)、含フッ素トリアジン化合物等の空気界面側の配向制御用添加剤が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレート等のポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の添加量にて使用される。
光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい
視野角拡大フィルムの好ましい態様は、透明基材フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム、その上に設けられた配向層、および該配向層上に形成されたディスコティック液晶からなる光学異方性層から構成され、かつ光学異方性層がUV光照射により架橋されている。
また、上記以外にも視野角拡大フィルムと本発明の偏光板を組み合わせる場合、例えば、特開平07−198942号に記載されているように板面に対し交差する方向に光軸を有して複屈折に異方性を示す位相差板と積層したり、特開2002−258052号に記載されているように保護フィルムと光学異方性層の寸法変化率が実質的に同等とすることも好ましく行うことができる。また、特開平12−258632号に記載されているように視野角拡大フィルムと貼合される偏光板の水分率を2.4%以下としたり、特開2002−267839号に記載されているように視野角拡大フィルム表面の水との接触角を70°以下とすることも好ましく行うことができる。
IPSモード液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶分子の光学補償および偏光板の直交透過率の視野角特性向上に用いる。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。しかし斜めから観察した場合は、透過軸の交差角が90°ではなくなり、漏れ光が生じてコントラストが低下する。本発明の偏光板をIPSモード液晶セルに用いる場合は、漏れ光を低下するため特開平10−54982号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有する視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
OCBモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善するために使用される。本発明の偏光板をOCBモード液晶セルに用いる場合は、米国特許5805253号に記載されたような円盤状の液晶性化合物をハイブリット配向させた視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
VAモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印加状態で液晶分子が基板面に対して垂直配向した状態の黒表示の視野角特性を改善する。このような視野角拡大フィルムしては特許番号第2866372号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有するフィルムや、円盤状の化合物が基板に平行に配列したフィルムや、同じ面内レターデーション値を有する延伸フィルムを遅相軸が直交になるように積層配置したフィルムや、偏光板の斜め方向の直交透過率悪化防止のために液晶分子のような棒状化合物からなるフィルムを積層したものと好ましく組み合わせて用いられる。
(2)位相差フィルム
本発明の偏光板は、位相差層を有することが好ましい。本発明における位相差層としてはλ/4板が好ましく、本発明の偏光板とλ/4板とを積層させることで、円偏光板として使用することができる。円偏光板は入射した光を円偏光に変換する機能を有しており、反射型液晶表示装置やECBモードなどの半透過型液晶表示装置、あるいは有機EL素子等に好ましく利用されている。
本発明に用いるλ/4板は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4のレターデーション(Re)を有する位相差フィルムであることが好ましい。「可視光の波長の範囲において概ね1/4のレターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどレターデーションが大きく、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が80〜125nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が120〜160nmである関係を満足する範囲を示す。Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが特に好ましい。
本発明で用いるλ/4板は上記の条件を満たしていれば特に制限はないが、例えば、特開平5−27118号公報、特開平10−68816号公報、特開平10−90521号公報に記載された複数のポリマーフィルムを積層したλ/4板、WO00/65384号公報、WO00/26705号公報に記載された1枚のポリマーフィルムを延伸したλ/4板、特開2000−284126号公報、特開2002−31717号公報に記載されたポリマーフィルム上に少なくとも1層以上の光学異方性層を設けたλ/4板など公知のλ/4板を用いることができる。また、ポリマーフィルムの遅相軸の方向や光学異方性層の配向方向は液晶セルに合わせて任意の方向に配置することができる。
円偏光板において、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は、任意の角度で交差できるが、45゜±20°の範囲で交差されることが好ましい。但し、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は上記以外の範囲で交差されても構わない。
λ/4板をλ/4板およびλ/2板を積層して構成する場合は、特許番号第3236304号公報や特開平10−68816号公報に記載されているように、λ/4板およびλ/2板の面内の遅相軸と偏光板の透過軸とがなす角度が実質的に75°および15゜となるように貼り合わせることが好ましい。
(3)反射防止フィルム
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,38巻, 1号(5月),26頁〜28頁(2000)や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率 反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であり、好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(4)輝度向上フィルム
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号の各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報, 38巻, 1号(5月),19頁〜21頁(2000)などを参考にすることができる。
また、本発明ではWO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。 本発明の偏光板と輝度向上フィルムは、粘着剤を介して貼合された形態、もしくは偏光板の保護フィルムの一方を輝度向上フィルムとした一体型として使用することが好ましい。
(5)他の機能性光学フィルム
本発明の偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは視野角補償フィルムにおける光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面の設けて使用できる。
(5−1)ハードコート層
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明のハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
(5−2)前方散乱層
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
(5−3)アンチグレア層
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
(偏光板を使用する液晶表示装置)
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(10〜14)、および液晶セル(10〜14)を挟持して配置された上側偏光板6と下側偏光板17とを有する。偏光板は偏光子および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。液晶セルは、上側基板10および下側基板13と、これらに挟持される液晶分子12から形成される液晶層からなる。液晶セルは、ON・OFF表示を行う液晶分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに分類されるが、本発明の偏光板は透過および反射型によらず、いずれの表示モードにも使用できる。
基板10および13の液晶分子12に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電界無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子12の配向が制御されている。また、基板10および13の内面には、液晶分子12からなる液晶層に電界を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
TNモードのラビング方向は上下基板で互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のねじれ角(ツイスト角)の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加する。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板13のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子12が上下基板に垂直に配向する。
ここで液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさは白表示時の明るさを変化させる。このため最大の明るさを得るために表示モード毎にその範囲を設定する。
上側偏光板6の吸収軸7と下側偏光板17の吸収軸18の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板6の吸収軸7と上側基板10のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。
本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、図2の構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光子との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途、前述した視野角拡大フィルム8、15を配置することもできる。偏光板6,17と視野角拡大フィルム8,15は粘着剤で貼合した積層形態で配置されてもよいし、液晶セル側保護フィルムの一方を視野角拡大に使用した、いわゆる一体型楕円偏光板として配置されてもよい。
また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置できる。また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けてもよい。
[実施例1]
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
<セルロースアセテート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度2.79のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 8.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(B-5) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.3質量部とレターデーション発現剤溶液2.9質量部をそれぞれを濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液Aを96.1質量部を加えて、インラインミキサー混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量33%でフィルムをバンドから剥離し、140℃の雰囲気温度ででフィルムをテンターを用いて120%まで横延伸したのち、140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は10%であった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は82μmであった。
(セルロースアシレートフィルム 2〜4の作製)
セルロースアシレートの種類、レターデーション発現剤の種類、添加量、延伸倍率を表1の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム2〜4を作製した。
[実施例2]
(セルロースアシレートフィルム5の作製)
<セルロースアセテート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液B組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.95、プロピオニル化度0.90のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液B 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(B-5) 7.5質量部
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.3質量部とレターデーション発現剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにセルロースアシレート溶液Bを92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36%でフィルムをバンドから剥離し、130℃の雰囲気温度ででフィルムをテンターを用いて130%まで横延伸したのち、140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は15%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は90μmであった。
(セルロースアシレートフィルム 6〜7の作製)
セルロースアシレートの種類、レターデーション発現剤の種類、添加量、延伸倍率を表1の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム5〜6を作製した。
[実施例3]
(セルロースアシレートフィルム8の作製)
<セルロースアセテート溶液Cの調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Dを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液C組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.80、プロピオニル化度0.90のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 442.0質量部
エタノール(第2溶媒) 20.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 83.0質量部
エタノール(第2溶媒) 4.7質量部
セルロースアシレート溶液C 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――― レターデーション発現剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 14.0質量部
紫外線吸収剤(B) 6.0質量部
レターデーション発現剤
(特開平2003-344655の例示化合物I-2) 10.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 54.4質量部
エタノール(第2溶媒) 2.3質量部
セルロースアシレート溶液C 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A)
Figure 2006154803
紫外線吸収剤(B)
Figure 2006154803
上記セルロースアシレート溶液Cを94.5質量部、マット剤溶液を1.3質量部、レターデーション発現剤溶液3.4質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量31%でフィルムをバンドから剥離し、160℃の雰囲気温度ででフィルムをテンターを用いて延伸時間5秒、延伸速度6.0%/秒の延伸速度で、130%まで横延伸したのち、125%まで緩和させて140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は15%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は83μmであった。
[実施例4]
(セルロースアシレートフィルム9の作製)
実施例1のセルロースアシレートフィルム1において、マット剤溶液とセルロースアシレート溶液Aを混合後レターデーション発現剤溶液を混合した以外は同様にして、セルロースアシレートフィルム9を作製した。
[実施例5]
(セルロースアシレートフィルム10の作製)
実施例1のセルロースアシレートフィルム2において、マット剤溶液とセルロースアシレート溶液Aを混合後レターデーション発現剤溶液を混合した以外は同様にして、セルロースアシレートフィルム10を作製した。
Figure 2006154803
(光学特性の測定)
また、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)により25℃60%におけるRe及びRthを測定した。測定波長は590nmとした。
(ヘイズの測定)
フイルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
(熱膨張率の測定)
フィルムの熱膨張係数はティー・エイ・インスツルメント社製TMA2940、荷重0.04Nで30℃より80℃まで3℃/分の昇温させ、1℃あたりの寸度変化を測定した。
(X線測定)
X線回折による配向度は以下のようにして求めた。
理学電機製 RINT RAPIDでX線源にはCu管球を用い、40kV−36mAでX線を発生した。コリメーターは0.8mmf、フィルム試料は透過試料台を用いて固定した。また、露光時間は600秒とした。
(マット剤の2次平均粒径の測定)
マット剤の2次平均粒径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒径とした。
結果を表2に示す。
Figure 2006154803
表2の結果から、本発明例のセルロースアシレートフィルム試料は、ヘイズ値及び熱膨張係数値とその方向依存性とがいずれも低く、規定した範囲内であるのに対して、比較例のセルロースアシレートフィルム試料は、それらのいずれか又は両方とも劣っていることが判る。
[実施例6]
(鹸化処理)
セルロースアシレートフィルム 1〜10を、2.3規定の水酸化ナトリウム水溶液に、60℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに110℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
さらに市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を同条件で鹸化し、実施例7の試料作製に供した。
(偏光板の作成)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例6で鹸化処理したセルロースアシレートフィルム1を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに実施例6で鹸化処理したフジタックTD80UFをポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板(1)を作製した。
実施例6でけん化処理したセルロースアシレートフィルム2〜10についてもそれぞれ偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように偏光子の片側に貼り付け、さらに反対側には鹸化処理したフジタックTD80UFをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けて、偏光板(2)〜(10)を作製した。
[実施例7]
〔VA液晶表示装置の作成と評価1〕
ポリビニルアルコール3質量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1質量%添加した。これを、ITO電極付のガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるようにした。セルギャップ(d)が5μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.08)を注入し、垂直配向液晶セルを作成した。Δnとdとの積は400nmであった。
実施例6で作製した偏光板2〜6,8、10を25℃60%の温湿度条件で事前に調湿した後、防湿処理を施した袋に包装し、3日間放置した。袋はポリエチレンテレフタレート/アルミ/ポリエチレンの積層構造からなる包装材であり、透湿度は1×10−5g/m・Day以下であった。
25℃60%の環境下で、偏光板2を取り出して、作成した垂直配向液晶セルの両面に、粘着シートを用いて貼り付けて、液晶表示装置2を作製した。
偏光板3〜6、8、10についても同様にして液晶表示装置3〜6、8、10を作製した。
このようにして作製した液晶表示装置について黒表示における正面、及び方位角45°及び−45°、極角45°及び−45°におけるコントラストを測定した。結果を表3に示す。
Figure 2006154803
表3の結果から本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた液晶表示装置は連続1000時間の点灯後でも正面のコントラストが高くかつ視野角依存性が小さく好ましいことがわかる。
[実施例8]
〔VA液晶表示装置の作成と評価2〕
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板を積層し、さらにバックライト光源を配置した。以下の例では、上側偏光板に市販品の偏光板(HLC2−5618)を用いて、下側偏光板に本発明の偏光板を使用した。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板(30)に市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を、下側偏光板(32)に実施例6で作製した偏光板(1)を、本発明のセルロースアシレートフィルム1が液晶セル(31)側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。偏光板(9)についても同様にして液晶表示装置を作製した。
このようにして作製した液晶表示装置について黒表示における正面、及び方位角45°及び−45°、極角45°及びー45°におけるコントラストを測定した結果、偏光板(1)を用いた本発明の液晶表示装置は正面コントラストが高く、かつ視野角依存性も小さく、好ましく、偏光板(9)を用いた比較例の液晶表示装置よりも顕著に優れていることがわかった。
[実施例9]
(セルロースアシレートフィルム11の作製)
<セルロースアセテート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液D組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度2.80のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 7.6質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.8質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 414.0質量部
メタノール(第2溶媒) 61.6質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 74.4質量部
メタノール(第2溶媒) 11.1質量部
セルロースアシレート溶液D 12.4質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(A-107) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 57.3質量部
メタノール(第2溶媒) 8.6質量部
セルロースアシレート溶液D 14.1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.5質量部とレターデーション発現剤溶液2.6質量部をそれぞれを濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液Dを96.0質量部を加えて、インラインミキサー混合し、バンド流延機を用いて流延した。支持体(バンド)前半部の乾燥風は平均温度140℃、平均風速180m/min、支持体後半部の乾燥風の平均温度60℃、乾燥風量は140m/minで乾燥した。残留溶剤含量27%でフィルムをバンドから剥離し、143℃の雰囲気温度でフィルムをテンターを用いて113%まで横延伸した。延伸開始時の残留溶剤含量は20%、延伸終了時の残留溶剤含量は4%であった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム11を作製した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は80μmであった。
(セルロースアシレートフィルム 12〜17の作製)
セルロースアシレートの種類、レターデーション発現剤の種類、添加量、マット剤、レターデーション発現剤及びドープ中のセルロースアシレート濃度、支持体上の乾燥条件、延伸温度、延伸時の残量溶剤含量、延伸倍率を表4の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム12〜17を作製した。
Figure 2006154803
セルロースアシレートフィルムの評価
レターデーション、面内配向度P、ヘイズ、マット剤の2次平均粒径は実施例5と同様にして測定した。
<Tg測定>
フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定した。縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いた。
この直線1と直線2の交点は、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度すなわち、ガラス転移領域に移行し始める温度であり、これをガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とした。
<共焦点レーザー顕微鏡観察>
共焦点レーザー顕微鏡観察は、Lasertec社製のVL2000Dを用いて行った。レーザー光源には波長410 nmのGaN固体ブルーレーザーを用いた。コントラストおよび空間分解能向上のために、対物レンズに水浸観察用150倍レンズ(NA=1.25)を使用し、水浸観察を行った。10μm×10μm四方3箇所について、最長方向の長さが0.2μm以上3μm以下のサイズの微粒子数を数え、3箇所の平均を算出した。
<結晶化指数>
理学電機(株)製“RAPID R−AXIS”により、X線源にはCuを回転対陰極として用い、50kV−100mAでX線を発生させた。コリメーターは0.8mmφ、フィルム試料は透過試料台を用いて固定した。また、露光時間は180秒とした。このようにして2θ=25°及び27°における回折強度を読み取り、下記式(A)により結晶化指数を求めた。
(A) 結晶化指数=(2θが27°のX線回折強度)/(2θが25°のX線回折強度)
測定結果を表5に示す。本発明のセルロースアシレートフィルム11〜14は比較例のセルロースアシレート15〜17に対してヘイズが低くかつ高レターデーションを発現でき好ましいことがわかる。
Figure 2006154803
本発明の偏光板と機能性光学フィルムとを複合した構成の一例である。 本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。 本発明の偏光板を用いて作成した垂直配向型液晶セル使用の液晶表示装置の概略構成図である。
符号の説明
1、1a、1b 保護フィルム
2 偏光子
3 機能性光学フィルム
4 粘着層
5 偏光板
6 上側偏光板
7 上側偏光板吸収軸
8 上側光学異方性層
9 上側光学異方性層配向制御方向
10 液晶セル上電極基板
11 上側基板配向制御方向
12 液晶分子
13 液晶セル下電極基板
14 下側基板配向制御方向
15 下側光学異方性層
16 下側光学異方性層配向制御方向
17 下側偏光板
18 下側偏光板吸収軸
30 上側偏光板
31 VAモード液晶セル
32 下側偏光板
33 セルロースアシレートフィルム
34 偏光子

Claims (20)

  1. 波長590nmにおける面内レターションReと厚み方向レターデーションRthが下記式(I)〜(III)の範囲を満たし、ヘイズが0.01以上0.8以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    式(I) 20≦Re≦50
    式(II) 70≦Rth≦200
    式(III) 1.0≦Rth/Re≦3.0
    Re及びRthは、25℃,60%RHにおける値であり、その単位は、nmである。
  2. 波長590nmにおける面内レターションReと厚み方向レターデーションRthが下記式(IV)及び(V)の範囲を満たし、面内と厚み方向のレターデーションの関係が下記式 (VI)を満たし、かつヘイズが0.01以上0.8以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    式(IV) 50<Re≦200
    式(V) 150≦Rth≦400
    式(VI) 2.0≦Rth/Re≦10.0
    Re及びRthは、25℃,60%RHにおける値であり、その単位は、nmである。
  3. 熱膨張係数が20ppm/℃以上100ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 添加剤と一次平均粒子径が1nm以上20nm以下のマット剤を含有し、マット剤の2次平均粒子径が0.05μm以上1.05μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 共焦点レーザー顕微鏡により観察される0.2μ以上3μ以下の微粒子の1mm2あたりの個数が20個以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 添加剤とマット剤溶液をセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で混合した後、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下のドープと混合した液を支持体上に流延し、支持体上で乾燥し、剥ぎ取った後、フィルムを搬送方向および/又は幅方向に1%以上100%以下延伸して得られたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 前記マット剤と事前混合される添加剤が紫外線吸収剤、可塑剤、レターデーション発現剤、レターデーション低減剤、劣化防止剤のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 下式(A)で表される結晶化指数が0.80以上1.10以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    (A) 結晶化指数=(2θが27°のX線回折強度)/(2θが25°のX線回折強度)
  9. 固形分濃度が17質量%以上25質量%以下であるドープ液を支持体に流延し、流延直後から風速1m/min以上の風をあてて乾燥することにより製造されたことを特徴とする請求項1〜8に記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 支持体上の乾燥温度と風量が下記関係を満たす工程を経て製造されたことを特徴とする請求項1〜9に記載のセルロースアシレートフィルム。
    支持体前半部での{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}>支持体後半の乾燥における{乾燥風の平均温度(℃)×乾燥風の平均風速(m/min)}
  11. (溶剤含量が0.5%未満におけるフィルムのガラス転移点−30℃)以上(溶剤含量が0.5%未満におけるフィルムのガラス転移点+10℃)以下の温度かつ下記式で表される残留溶剤含量が1質量%以上30質量%以下の状態で延伸されたことを特徴とする請求項1〜10に記載のセルロースアシレートフィルム。
    (残留溶剤含量)=(フィルム中に含まれる溶剤の質量)/(フィルム全体の質量)
  12. X線回折から求めた面内配向度が0.20以上0.50以下であることを特徴とする請求項1〜11に記載のセルロースアシレートフィルム。
  13. レターデーション発現剤が下記一般式(B)で表される棒状のレターデーション発現剤であることを特徴とする請求項1〜12に記載のセルロースアシレートフィルム。
    一般式(B)
    Ar−L−X−L−Ar
    (式中、Ar、Arはアリール基または芳香族ヘテロ環を表す。L、Lは−C(=O)O−、−C(=O)NR−を表す(Rは水素原子またアルキル基を表す。)。Xは下記一般式(2)または一般式(3)を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2006154803
    (R、R、R、R、R、R、RおよびRは水素原子または置換基を表す。)
    一般式(3)
    Figure 2006154803
    (R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は水素原子または置換基を表す。)
  14. レターデーション発現剤が下記一般式(4)で表される棒状のレターデーション発現剤であることを特徴とする請求項1〜12に記載のセルロースアシレートフィルム。
    一般式(4)
    Figure 2006154803
    (一般式(4)中、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子または置換基を表し、R11およびR13は、それぞれ、水素原子またはアルキル基を表し、LおよびLは、それぞれ、単結合または2価の連結基を表す。Arはアリーレン基または2価の芳香族へテロ環基を表し、Arはアリール基または1価の芳香族へテロ環基を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL、Arはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに同じでも異なっていてもよい。おり、R13で表されるアルキル基はヘテロ原子を含まない。)
  15. セルロースアシレートがアセチル化度2.5以上2.95以下のセルロースアセテートであることを特徴とする請求項1〜14に記載のセルロースアシレートフィルム。
  16. セルロースアシレートがアシル基としてアセチル基と炭素数3以上22以下のアシル基とを有しており、かつアセチル基の置換度Aと炭素数3〜22のアシル基の置換度Bが下記式(VII)及び(VIII)を満たすことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    (VII) 2.0≦A+B≦3.0
    (VIII) 0.1≦A≦2.5
    レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤レターデーション発現剤
  17. レターデーション発現剤レターデーション発現剤を含有し、レターデーション発現剤レターデーション発現剤溶液とマット剤溶液をセルロースアシレート濃度が0.01質量%以上5質量%未満の状態で混合した後、セルロースアシレート濃度が5質量%以上35質量%以下のドープと混合した液を流延し、フィルムを搬送方向および/あるいは幅方向に1%以上100%以下延伸して請求項1〜16のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを得ることを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  18. 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜16のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
  19. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、少なくとも1つの偏光板が請求項18に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  20. 液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
JP2005319670A 2004-11-04 2005-11-02 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Expired - Fee Related JP4759365B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005319670A JP4759365B2 (ja) 2004-11-04 2005-11-02 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004320683 2004-11-04
JP2004320683 2004-11-04
JP2005319670A JP4759365B2 (ja) 2004-11-04 2005-11-02 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006154803A true JP2006154803A (ja) 2006-06-15
JP2006154803A5 JP2006154803A5 (ja) 2007-05-31
JP4759365B2 JP4759365B2 (ja) 2011-08-31

Family

ID=36633106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005319670A Expired - Fee Related JP4759365B2 (ja) 2004-11-04 2005-11-02 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4759365B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006193724A (ja) * 2004-12-15 2006-07-27 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2008052267A (ja) * 2006-07-24 2008-03-06 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置
JP2011128250A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Fujifilm Corp 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
US8017199B2 (en) 2004-12-15 2011-09-13 Fujifilm Corporation Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2012067218A (ja) * 2010-09-24 2012-04-05 Fujifilm Corp 高分子フィルム用湿度依存性改良剤、高分子フィルム、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2013076872A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
KR101332981B1 (ko) 2006-07-24 2013-11-25 후지필름 가부시키가이샤 광학 보상 필름, 및 그 제조 방법, 편광판, 그리고액정표시장치
KR20140042715A (ko) * 2012-09-28 2014-04-07 후지필름 가부시키가이샤 셀룰로오스아실레이트 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
JP2015004905A (ja) * 2013-06-24 2015-01-08 富士フイルム株式会社 セルロースアセテートフィルム、偏光板および液晶表示装置
KR20170062389A (ko) * 2015-11-27 2017-06-07 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름 및 그 제조 방법, 편광판 및 액정 표시 장치
CN108351461A (zh) * 2015-11-13 2018-07-31 住友化学株式会社 偏振板、液晶显示装置和有机电致发光显示装置
CN112375010A (zh) * 2020-09-27 2021-02-19 浙江中科玖源新材料有限公司 一种新型二胺、聚酰亚胺及聚酰亚胺薄膜

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003170492A (ja) * 2001-05-30 2003-06-17 Konica Corp セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、位相差フィルム、光学補償シート、楕円偏光板及び表示装置
JP2004189957A (ja) * 2002-12-13 2004-07-08 Konica Minolta Holdings Inc セルロースエステルフィルム、偏光板、及び液晶表示装置、並びにセルロースエステルフィルム、及び偏光板の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003170492A (ja) * 2001-05-30 2003-06-17 Konica Corp セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、位相差フィルム、光学補償シート、楕円偏光板及び表示装置
JP2004189957A (ja) * 2002-12-13 2004-07-08 Konica Minolta Holdings Inc セルロースエステルフィルム、偏光板、及び液晶表示装置、並びにセルロースエステルフィルム、及び偏光板の製造方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8017199B2 (en) 2004-12-15 2011-09-13 Fujifilm Corporation Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2006193724A (ja) * 2004-12-15 2006-07-27 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP4686351B2 (ja) * 2004-12-15 2011-05-25 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
TWI420159B (zh) * 2006-07-24 2013-12-21 Fujifilm Corp 光學補償膜、及其製法、偏光板與液晶顯示裝置
KR101332981B1 (ko) 2006-07-24 2013-11-25 후지필름 가부시키가이샤 광학 보상 필름, 및 그 제조 방법, 편광판, 그리고액정표시장치
JP2008052267A (ja) * 2006-07-24 2008-03-06 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置
JP2011128250A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Fujifilm Corp 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2012067218A (ja) * 2010-09-24 2012-04-05 Fujifilm Corp 高分子フィルム用湿度依存性改良剤、高分子フィルム、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2013076872A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
KR102165632B1 (ko) * 2012-09-28 2020-10-14 후지필름 가부시키가이샤 셀룰로오스아실레이트 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
KR20140042715A (ko) * 2012-09-28 2014-04-07 후지필름 가부시키가이샤 셀룰로오스아실레이트 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
JP2015004905A (ja) * 2013-06-24 2015-01-08 富士フイルム株式会社 セルロースアセテートフィルム、偏光板および液晶表示装置
CN108351461A (zh) * 2015-11-13 2018-07-31 住友化学株式会社 偏振板、液晶显示装置和有机电致发光显示装置
CN108351461B (zh) * 2015-11-13 2021-07-30 住友化学株式会社 偏振板、液晶显示装置和有机电致发光显示装置
KR101870533B1 (ko) 2015-11-27 2018-06-22 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름 및 그 제조 방법, 편광판 및 액정 표시 장치
KR20170062389A (ko) * 2015-11-27 2017-06-07 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름 및 그 제조 방법, 편광판 및 액정 표시 장치
CN112375010A (zh) * 2020-09-27 2021-02-19 浙江中科玖源新材料有限公司 一种新型二胺、聚酰亚胺及聚酰亚胺薄膜
CN112375010B (zh) * 2020-09-27 2023-03-10 浙江中科玖源新材料有限公司 一种新型二胺、聚酰亚胺及聚酰亚胺薄膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP4759365B2 (ja) 2011-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7462306B2 (en) Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP4759365B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
US8017199B2 (en) Cellulose acylate film, process for producing cellulose acylate film, polarizing plate and liquid crystal display device
KR101247843B1 (ko) 액정 표시장치
JP5016788B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5061066B2 (ja) ポリマーフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US7667801B2 (en) Liquid crystal display device
JP4856995B2 (ja) 光学樹脂フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US20070290168A1 (en) Resin film, production method thereof, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2006241306A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2007017958A (ja) 液晶表示装置
JP2006096023A (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2007009181A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4383435B2 (ja) 液晶表示装置
JP5319966B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007264480A (ja) 液晶表示装置
JP4686351B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2008233814A (ja) 光学フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2007293266A (ja) ポリマーフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2005272800A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006235483A (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、それを用いた偏光板、並びにその偏光板を用いた液晶表示装置
JP2005307142A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2007119737A (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP4530144B2 (ja) セルロースアセテートフィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008233655A (ja) 光学フィルム、位相差板、偏光板およびそれを用いた液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060328

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070411

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110606

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4759365

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140610

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees