JP2007293266A - ポリマーフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供するためのポリマーフィルム等を提供する。
【解決手段】Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たすポリマーフィルム。式(1);20nm≦Rth(548)<100nm式(2);1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0式(3);0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0式(1)〜(3)中、Rth(λ)は波長λnmで測定したRthの値を表す。
【選択図】なし
【解決手段】Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たすポリマーフィルム。式(1);20nm≦Rth(548)<100nm式(2);1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0式(3);0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0式(1)〜(3)中、Rth(λ)は波長λnmで測定したRthの値を表す。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示装置に関し、特に視野角特性に優れたVAモード液晶表示装置およびこれに用いるポリマーフィルム等に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であった。しかし、近年では高視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
VAモード液晶表示装置は、他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有していた。
この問題を解決するために様々な光学特性を有する光学補償フィルム及びその組み合わせ方法が提案されており、例えば特許文献1には2枚の2軸フィルムを液晶セルの両側に配置する方法が開示されている。さらに、特許文献2には液晶セルの片側のみにレターデーションの大きい2軸フィルムを配置する方法が開示されている。
しかし、これらの方法は一定の改良効果を有するものの、視角によるコントラストおよび色味変化は依然として大きく、さらなる改良が求められていた。
VAモード液晶表示装置は、他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有していた。
この問題を解決するために様々な光学特性を有する光学補償フィルム及びその組み合わせ方法が提案されており、例えば特許文献1には2枚の2軸フィルムを液晶セルの両側に配置する方法が開示されている。さらに、特許文献2には液晶セルの片側のみにレターデーションの大きい2軸フィルムを配置する方法が開示されている。
しかし、これらの方法は一定の改良効果を有するものの、視角によるコントラストおよび色味変化は依然として大きく、さらなる改良が求められていた。
本発明の目的は、色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供するためのポリマーフィルム等を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、短波長ほどRthが大きくなる下記特性(以下、「順波長分散」ということがある)を有する偏光板保護フィルムを使用すると液晶表示装置の視角による色味変化を大幅に低減できることを見出し、本発明を完結するに至った。
すなわち上記課題は、以下の手段によって解決された。
(1)Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たすポリマーフィルム。
20nm≦Rth(548)<100nm ・・・式(1)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0 ・・・式(2)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(3)
式(1)〜(3)中、Rth(λ)は波長λnmで測定したRthの値を表す。
(2)セルロースアシレートを主として含む(1)に記載のポリマーフィルム。
(3)250nm〜400nmの波長領域に吸収極大を有する波長分散制御剤を1質量%〜30質量%含有する(1)または(2)に記載のポリマーフィルム。
(4)下記式(B)で表される化合物を少なくとも1種含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
式(B)
(式(B)中、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基またはアリール基を表す。)
(5)アセチル置換度が2.90〜3.00のセルロースアシレートを主として含む(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
(6)総アシル置換度が2.70〜3.00の混合脂肪酸エステルを主として含む(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のポリマーフィルムを含む偏光板保護フィルム。
(8)偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有し、該保護フィルムが、(7)に記載の偏光板保護フィルムである偏光板。
(9)液晶セルと、(8)に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
(10)液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間の少なくとも一方に配置された光学補償フィルムとを有し、
前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、前記保護フィルムのうち、液晶セルに近い側の少なくとも1枚が(1)〜(6)のいずれかに記載の保護フィルムであり、前記光学補償フィルムが下記式(4)および(5)の関係を満たす、液晶表示装置。
20nm≦Re(548)≦150nm ・・・式(4)
100nm≦Rth(548)≦400nm ・・・式(5)
(11)前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムが下記式(6)および(7)を満たす、(10)の液晶表示装置。
0.5<Re(446)/Re(548)<1.0 ・・・式(6)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(7)
(12)前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムがセルロースアシレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂のうちの少なくともひとつを含む、(10)または(11)の液晶表示装置。
(13)前記液晶セルがVAモードである(9)〜(12)のいずれかに記載の液晶表示装置。
すなわち上記課題は、以下の手段によって解決された。
(1)Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たすポリマーフィルム。
20nm≦Rth(548)<100nm ・・・式(1)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0 ・・・式(2)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(3)
式(1)〜(3)中、Rth(λ)は波長λnmで測定したRthの値を表す。
(2)セルロースアシレートを主として含む(1)に記載のポリマーフィルム。
(3)250nm〜400nmの波長領域に吸収極大を有する波長分散制御剤を1質量%〜30質量%含有する(1)または(2)に記載のポリマーフィルム。
(4)下記式(B)で表される化合物を少なくとも1種含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
式(B)
(5)アセチル置換度が2.90〜3.00のセルロースアシレートを主として含む(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
(6)総アシル置換度が2.70〜3.00の混合脂肪酸エステルを主として含む(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマーフィルム。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のポリマーフィルムを含む偏光板保護フィルム。
(8)偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有し、該保護フィルムが、(7)に記載の偏光板保護フィルムである偏光板。
(9)液晶セルと、(8)に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
(10)液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間の少なくとも一方に配置された光学補償フィルムとを有し、
前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、前記保護フィルムのうち、液晶セルに近い側の少なくとも1枚が(1)〜(6)のいずれかに記載の保護フィルムであり、前記光学補償フィルムが下記式(4)および(5)の関係を満たす、液晶表示装置。
20nm≦Re(548)≦150nm ・・・式(4)
100nm≦Rth(548)≦400nm ・・・式(5)
(11)前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムが下記式(6)および(7)を満たす、(10)の液晶表示装置。
0.5<Re(446)/Re(548)<1.0 ・・・式(6)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(7)
(12)前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムがセルロースアシレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂のうちの少なくともひとつを含む、(10)または(11)の液晶表示装置。
(13)前記液晶セルがVAモードである(9)〜(12)のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明によれば、色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリマーフィルムは、波長548nmにおけるRthが特定の範囲にあり、かつ順波長分散性を有する。まず、本発明のポリマーフィルムについて詳しく説明する。
《ポリマーフィルム》
[フィルムのレターデーション]
本発明のポリマーフィルムは下記式(1)〜(3)の関係を満たす。
20nm≦Rth(548)<100nm ・・・式(1)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0 ・・・式(2)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(3)
式(1)においてRth(548)は25nm〜100nmが好ましく、30nm〜100nmがより好ましい。
また、式(2)においてRth(446)/Rth(548)は1.1〜3.0が好ましく、1.2〜2.0がより好ましい。
また、式(3)においてRth(628)/Rth(548)は0.7〜0.98が好ましく0.8〜0.95がより好ましい。
《ポリマーフィルム》
[フィルムのレターデーション]
本発明のポリマーフィルムは下記式(1)〜(3)の関係を満たす。
20nm≦Rth(548)<100nm ・・・式(1)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0 ・・・式(2)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(3)
式(1)においてRth(548)は25nm〜100nmが好ましく、30nm〜100nmがより好ましい。
また、式(2)においてRth(446)/Rth(548)は1.1〜3.0が好ましく、1.2〜2.0がより好ましい。
また、式(3)においてRth(628)/Rth(548)は0.7〜0.98が好ましく0.8〜0.95がより好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向を持つフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(1)および式(2)よりRthを算出することもできる。
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 − nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向を持つフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(1)および式(2)よりRthを算出することもできる。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2 − nz) x d --- 式(2)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
本発明の順波長分散ポリマーフィルムとしては様々なポリマーフィルムが使用できるが、原材料が安価であることおよび偏光板加工適性の点からセルロースアシレートを主として含むセルロースアシレートフィルムが特に好ましい。
セルロースアシレートを「主として含む」とはフィルム総重量に対してセルロースアシレートが、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上含まれていることを示す。本明細書において以下「主として含む」とは同様の意味を表すものとする。
セルロースアシレートを「主として含む」とはフィルム総重量に対してセルロースアシレートが、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上含まれていることを示す。本明細書において以下「主として含む」とは同様の意味を表すものとする。
〔セルロースアシレート〕
次に、本発明に用いることのできるセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
次に、本発明に用いることのできるセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
本発明におけるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.90〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.93〜2.97がさらに好ましい。
本発明において、もう一つの好ましいセルロースアシレートは、総アシル置換度が2.70〜3.00の混合脂肪酸エステルである。さらに好ましくは総アシル置換度が2.80〜3.00であり、かつ炭素原子数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。前記混合脂肪酸エステルのアシル置換度は2.85〜2.97がさらに好ましい。また炭素原子数が3〜4のアシル基の置換度は0.1〜2.0が好ましく、0.3〜1.5がさらに好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、300〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、300〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70,000〜230,000の数平均分子量を有することが好ましく、75,000〜230,000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78,000〜120,000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
この方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖((β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースエステルを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは37〜47℃に調節する。反応温度が35℃以上であれば、エステル化反応が円滑に進行するので好ましい。また、反応温度が50℃以下であれば、セルロースエステルの重合度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。
エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例えば、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きすぎることがなければ、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱して、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下するなどの問題が生じることはない。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。このとき反応停止剤の添加速度が大きすぎなければ、触媒が解離するために充分な反応時間が確保され、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残るなどの問題は生じにくい。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4〜30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間が30分以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題が生じないので好ましい。
反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、質量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
〔波長分散制御剤〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは波長分散制御剤を含有することが好ましい。ここで、「波長分散制御剤」とはフィルムのレターデーションの波長分散を調節する化合物である。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは波長分散制御剤を含有することが好ましい。ここで、「波長分散制御剤」とはフィルムのレターデーションの波長分散を調節する化合物である。
本発明における波長分散制御剤は、250nm〜400nmの波長範囲に吸収極大を有するものであることが好ましい。さらに好ましくは、270nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
本発明において波長分散調節剤の吸収極大は、メチレンクロライド、メタノールまたはテトラヒドロフランに0.01g/L〜0.1g/Lの濃度で溶解し、(株)島津製作所製の分光光度計UV-3500等を用いて吸収スペクトルを測定したときの値で示している。
本発明において波長分散調節剤の吸収極大は、メチレンクロライド、メタノールまたはテトラヒドロフランに0.01g/L〜0.1g/Lの濃度で溶解し、(株)島津製作所製の分光光度計UV-3500等を用いて吸収スペクトルを測定したときの値で示している。
本発明に好ましく用いられる波長分散制御剤の具体例としては、一般式(III)〜(VI)で示される化合物が好ましく、一般式(III)で示される化合物がより好ましい。
Q1およびQ2はそれぞれ、上記「XY」以外の置換基を有していてもよい。Q1およびQ2はそれぞれ単環であっても、縮合環であってもよいが、単環が好ましい。一般式(III)で示される化合物は、ベンゾフェノン系化合物であることが好ましい。
また、特開2003−315549号公報に記載されているように、一般式(VI)で示される化合物も好ましく使用することができる。
さらには、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが好ましい例として挙げられる。
ベンゾトリアゾール系波長分散制御剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−(3'',4'',5'',6''−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
また例えば、N,N'−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
また例えば、N,N'−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
次に下記一般式(VII)で表される波長分散制御剤について詳しく説明する。
一般式(VII) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は1,3,5−トリアジン環、Q2は芳香族環を表す。)
一般式(VII)としてさらに好ましくは下記一般式(VII−A)で表される化合物である。
一般式(VII) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は1,3,5−トリアジン環、Q2は芳香族環を表す。)
一般式(VII)としてさらに好ましくは下記一般式(VII−A)で表される化合物である。
一般式(VII−A)中、R11は、それぞれ、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、−OH、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4、−O−CO−R5、−O−CO−O−R6、−CO−NH2、−CO−NHR7、−CO−N(R7)(R8)、−CN、−NH2、−NHR7、−N(R7)(R8)、−NH−CO−R5、フェノキシ基および炭素原子数1〜18のアルキル基からなる置換基群から選択される置換基で置換された、フェノキシ基、フェニル基で置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基、または炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;−OH、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基および−O−CO−R5 からなる置換基群から選択される置換基で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9;−SO2 −R10;1以上の酸素原子で中断された、および/または、−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換された、炭素原子数3〜50のアルキル基;−A(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。);−CH2−CH(XA)−CH2−O−R12;−CR13R'13−(CH2)m−X−A;−CH2−CH(OA)−R14;−CH2−CH(OH)−CH2−XA;
−CR15R'15−C(=CH2)−R"15;−CR13R'13−(CH2)m−CO−X−A;−CR13R'13−(CH2)m−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15;または−CO−O−CR15R'15−C(=CH2)−R"15を表す。
R2は、それぞれ、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;−COOR4;−CN;−NH−CO−R5;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R3(R3は上記R1と同義である)を表す。
R4は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;−O−、−NH−、−NR7−および−S−の1以上で中断された−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表す。
R5は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。
R6は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表す。
R7およびR8は、それぞれ、炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表すか、R7およびR8は一緒になって炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表す。
R9は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。
R10は、炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表す。
R2は、それぞれ、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;−COOR4;−CN;−NH−CO−R5;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R3(R3は上記R1と同義である)を表す。
R4は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;−O−、−NH−、−NR7−および−S−の1以上で中断された−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表す。
R5は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。
R6は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表す。
R7およびR8は、それぞれ、炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表すか、R7およびR8は一緒になって炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表す。
R9は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表す。
R10は、炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表す。
R12は、それぞれ、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基からなる置換基群から選択される置換基で置換されたフェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R5;−O−、−NH−、−NR7−および−S−のいずれか1以上で中断されたおよび−OH、フェノキシ基または炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい炭素原子数3〜50のアルキル基を表す。
R13およびR’13は、それぞれ、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表す。
R14は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
R15、R’15およびR”15は、それぞれ、水素原子または−CH3を表す。
R16は、水素原子;−CH2−COO−R4;炭素原子数1〜4のアルキル基;または−CNを表す。
R17は、水素原子;−COOR4;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表す。
Xは、−NH−;−NR7−;−O−;−NH−(CH2)p−NH−;または−O−(CH2)q−NH−を表す。
mは、0〜19の整数を表し;nは1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2、3または4を表す。但し一般式(VII−A)中、R1、R2およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。
R13およびR’13は、それぞれ、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表す。
R14は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
R15、R’15およびR”15は、それぞれ、水素原子または−CH3を表す。
R16は、水素原子;−CH2−COO−R4;炭素原子数1〜4のアルキル基;または−CNを表す。
R17は、水素原子;−COOR4;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表す。
Xは、−NH−;−NR7−;−O−;−NH−(CH2)p−NH−;または−O−(CH2)q−NH−を表す。
mは、0〜19の整数を表し;nは1〜8の整数を表し;pは0〜4の整数を表し;qは2、3または4を表す。但し一般式(VII−A)中、R1、R2およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。
さらに一般式(VII−A)の化合物を説明する。
アルキル基としての基R11、R2〜R10、R12〜R14、R16およびR17は、それぞれ、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
アルキル基としての基R11、R2〜R10、R12〜R14、R16およびR17は、それぞれ、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
炭素原子数5〜12のシクロアルキル基としてのR11、R3〜R9およびR12は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基およびシクロドデシル基である。
アルケニル基としてのR6、R9、R11およびR12には、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基およびn−オクタデセ−4−エニル基がより好ましい例として含まれる。
置換されたアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基の置換基の数は1以上であることが好ましく、結合している炭素原子において(α−位において)または他の炭素原子において置換基を持つことができ、置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、その置換基の結合位置は好ましくはα−位以外であり、また、置換されたアルキル基の炭素原子数は好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
−O−、−NH−、−NR7−および−S−の1以上により中断されたアルキル基はこれらの基の2以上で中断されていてもよい。2以上で中断されている場合、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合、例えば、O−O、S−S、NH−NH等は生じない場合が例示される。また、中断されたアルキル基が置換されている場合、置換基が、ヘテロ原子に対してα位にない態様が例示される。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR7−、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらが同一である態様が例示される。
アリール基は、好ましくは、芳香族炭化水素基であり、例えば、フェニル基、ビフェニルイル基またはナフチル基であり、より好ましくはフェニル基およびビフェニルイル基である。アルアルキル基は、好ましくは、アリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり、炭素原子数7〜20のアルアルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基を含み、炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基およびα,α−ジメチルベンジル基である。
アルキルフェニル基およびアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基またはフェノキシ基である。
ハロゲン置換基となるハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、より好ましいものはフッ素原子または塩素原子であり特に塩素原子であることが好ましい。
炭素原子数1〜20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
炭素原子数4〜12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、または2−シクロオクテニ−1−イル基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基およびノルボルニル基、特にボルニル基およびノルボルニ−2−イル基が好ましい。
炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基またはノルボルニ−2−イルオキシ基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルキル−アルキル基または−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基またはアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であるものであり、ノルボルナン−2−メチル基およびノルボルニル−2−メトキシ基が好ましい。
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特に、ノルボルネ−5−エン基である。
炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6〜15であり、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基が好ましい。
炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基である。
炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3〜12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニルまたはキノリニル基である。
一般式(VII−A)で表される化合物はさらに好ましくは、以下の場合である。
R11は、それぞれ、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、−OH、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4、−O−CO−R5、−O−CO−O−R6、−CO−NH2、−CO−NHR7、−CO−N(R7)(R8)、−CN、―NH2、−NHR7、−N(R7)(R8)、−NH−CO−R5、フェノキシ基、炭素原子数1〜18のアルキル基からなる置換基群から選択される置換基で置換された、フェノキシ基、フェニル基で置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;−OH、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基および−O−CO−R5からなる置換基群からなる置換基で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9または−SO2−R10;1以上の酸素原子で中断された、および/または−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基;−A;−CH2−CH(XA)−CH2−O−R12;−CR13R'13−(CH2)m−X−A;−CH2−CH(OA)−R14;−CH2−CH(OH)−CH2−XA;
R11は、それぞれ、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、−OH、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4、−O−CO−R5、−O−CO−O−R6、−CO−NH2、−CO−NHR7、−CO−N(R7)(R8)、−CN、―NH2、−NHR7、−N(R7)(R8)、−NH−CO−R5、フェノキシ基、炭素原子数1〜18のアルキル基からなる置換基群から選択される置換基で置換された、フェノキシ基、フェニル基で置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;−OH、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基および−O−CO−R5からなる置換基群からなる置換基で置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9または−SO2−R10;1以上の酸素原子で中断された、および/または−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基;−A;−CH2−CH(XA)−CH2−O−R12;−CR13R'13−(CH2)m−X−A;−CH2−CH(OA)−R14;−CH2−CH(OH)−CH2−XA;
R2は、それぞれ、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;−O−R3または−NH−CO−R5を表す。
R4は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;−O−、−NH−、−NR7−および−S−の1以上で中断され、および、−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表す。
R5は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
R6は、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表す。
R7およびR8は、それぞれ、炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;R7およびR8が結合して、炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表す。
R9は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表す。
R10は、炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表す。
R11は、それぞれ、水素原子;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基を表す。
R12は、炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル基からなる置換基群から選択される置換基で置換されたフェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R5;−O−、−NH−、−NR7−および−S−の1以上で中断され、−OH、フェノキシ基および炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基からなる置換基群から選択される置換基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表す。
R17は、水素原子;−COOR4;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表す。
一般式(VII)および(VII−A)で表される化合物は公知の方法により製造できる。例えば欧州特許第434608号公報またはH.BrunettiおよびC.E.Luthi, Helv. Chim.Acta 55, 1566(1972) による刊行物に示される方法に従ってまたはそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。
次に、一般式(VII)および(VII−A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
また、その他にも旭電化、プラスチック用添加剤概要、「アデカスタブ」のカタログにある光安定剤も使用できる。チバ・スペシャル・ケミカルズのチヌビン製品案内にある光安定剤、紫外線吸収剤も使用できる。SHIPROKASEI KAISYAのカタログにあるSEESORB、SEENOX、SEETECなども使用できる。城北化学工業のUV吸収剤、酸化防止剤も使用することができる。共同薬品のVIOSORB、吉富製薬の紫外線吸収剤も使用することができる。
さらに、本発明における波長分散制御剤としては、特開2001−166144号公報および特開2003−3446556号公報に記載の円盤状化合物も好ましく用いることができる。
本発明の波長分散制御剤の添加は予めセルロースアシレートの混合溶液を作製するときに添加してもよいが、セルロースアシレートのドープを予め作製し、流延までのいずれかの時点で添加されてもよい。後者の場合、セルロースアシレートを溶剤に溶解させたドープ液と、波長分散制御剤と少量のセルロースアシレートとを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi-Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。後添加する波長分散制御剤には、同時にマット剤を混合しても良いし、そのレターデーション制御剤、可塑剤、劣化防止剤、剥離促進剤等の添加物を混合しても良い。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、撹拌ができればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば30〜150℃の範囲に設定するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
また、本発明における波長分散制御剤は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明における波長分散制御剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、1.0〜20質量%が好ましく、1.5〜15質量%がさらに好ましく、2.0〜10質量%が最も好ましい。
本発明における波長分散制御剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に波長分散制御剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
本発明における波長分散制御剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に波長分散制御剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
(レターデーション低減剤)
本発明で採用するポリマーフィルムが、低レターデーションセルロースアシレートフィルムである場合、レターデーション低減剤として、セルロースアシレートフィルムとの親和性が高い化合物を含むことが好ましい。
本発明におけるレターデーション低減剤としては、下記式(A)または式(B)で表される化合物が、レターデーション低減効果が大きく好ましい。
本発明で採用するポリマーフィルムが、低レターデーションセルロースアシレートフィルムである場合、レターデーション低減剤として、セルロースアシレートフィルムとの親和性が高い化合物を含むことが好ましい。
本発明におけるレターデーション低減剤としては、下記式(A)または式(B)で表される化合物が、レターデーション低減効果が大きく好ましい。
上記式(A)において、R4、R5およびR6は、それぞれ、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基は炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがより好ましく、1〜12のものがさらに好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
上記式(A)におけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
次に、式(A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
上述の化合物はいずれも既知の方法により製造することができる。すなわち、式(A)で表される化合物は、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いたカルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、またはカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
次に、下記式(B)で表される化合物について説明する。
(式(B)中、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基またはアリール基を表す。)
また、R1およびR2の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビシクロオクチル基、ノニル基、アダマンチル基、デシル基、tert−オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ジデシル基)が特に好ましい。
アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基)が特に好ましい。
式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。ここで、Priは、イソプロピル基を表す。
また、R1およびR2の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビシクロオクチル基、ノニル基、アダマンチル基、デシル基、tert−オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ジデシル基)が特に好ましい。
アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基)が特に好ましい。
式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。ここで、Priは、イソプロピル基を表す。
また、本発明において、レターデーション低減剤の添加量は、セルロースアシレートに対し、1〜30質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜25質量%がさらに好ましく、5%〜20質量%が最も好ましい。
本発明で採用するレターデーション低減剤は、例えば、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアセテート溶液(ドープ)に添加したり、直接ドープ組成中に添加したりして用いることができる。
〔順波長分散セルロースアシレートフィルムの製造〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレート溶液(ドープ)は、例えば、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレート溶液中におけるセルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースアシレート溶液は、例えば、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、セルロースアシレート溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法ではセルロースアシレートを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を、例えば、−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがより好ましく、12℃/分以上であることがさらに好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、冷却した混合物を、例えば、0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一なセルロースアシレート溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明におけるセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
[ポリマーフィルムの厚み]
本発明のポリマーフィルムの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがより好ましく、30μm〜100μmがさらに好ましい。
本発明のポリマーフィルムの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがより好ましく、30μm〜100μmがさらに好ましい。
〔鹸化処理〕
本発明のポリマーフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板の保護フィルムとして用いることができる。
本発明のポリマーフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板の保護フィルムとして用いることができる。
本発明におけるポリマーフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
<偏光板の作製>
(偏光子)
次に本発明における偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
(偏光子)
次に本発明における偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%がより好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは、特許第2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されているように45〜52.5%であることも好ましく用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%がより好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは、特許第2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されているように45〜52.5%であることも好ましく用いることができる。
PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号明細書に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号明細書に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002〜0.01としてもよいし、特開2002−060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003〜0.01としてもよい。PVAフィルムのRe(1090)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(1090)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
この他、本発明における偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号公報に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01〜5質量%の範囲に調整される。
前記偏光子の好ましい膜厚としては、5〜40μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。また、偏光子の厚さと上述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
さらに、保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
前記偏光子の好ましい膜厚としては、5〜40μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。また、偏光子の厚さと上述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
さらに、保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
<偏光板の製造工程>
次に、本発明における偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
次に、本発明における偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ化カリウムは3〜200g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000の範囲であることが好ましい。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ化カリウムは30〜120g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120の範囲であることが好ましく、染色時間は30〜600秒が好ましく、液温度は20〜50℃が好ましい。
また、特許第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
また、特許第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ化カリウムは1〜120g/lの範囲であることが好ましく、塩化亜鉛は0.01〜10g/lの範囲であることが好ましく、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/lの範囲であることが好ましく、ヨウ化カリウムは5〜100g/lの範囲であることが好ましく、塩化亜鉛は0.02〜8g/lの範囲であることが好ましく、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムとを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報および特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護フィルムとの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、上述のようにアルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けてもよい。特開2002−267839号公報に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素が0.1〜3.0g/m2の範囲であることが好ましく、ホウ素が0.1〜5.0g/m2の範囲であることが好ましく、カリウムが0.1〜2.00g/m2の範囲であることが好ましく、亜鉛が0〜2.00g/m2であることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号公報に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号公報に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
偏光板の寸法安定性を上げるために、例えば、特許第3323255号明細書に記載されているように、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加してもよい。
<偏光板の特性>
(1)透過率および偏光度
本発明における偏光板の好ましい単板透過率は42.5%〜49.5%であるが、さらに好ましくは42.8%〜49.0%である。下記(式4)で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%〜99.999%であり、さらに好ましくは99.940%〜99.995%である。平行透過率の好ましい範囲は36%〜42%であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%〜0.05%である。
(1)透過率および偏光度
本発明における偏光板の好ましい単板透過率は42.5%〜49.5%であるが、さらに好ましくは42.8%〜49.0%である。下記(式4)で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%〜99.999%であり、さらに好ましくは99.940%〜99.995%である。平行透過率の好ましい範囲は36%〜42%であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%〜0.05%である。
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
また、下記(式5)で定義される二色性比の好ましい範囲は48〜1215であるが、さらに好ましくは53〜525である。
ヨウ素濃度と単板透過率とは特開2002−258051号公報の段落番号0017に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報の段落番号0007に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率との関係は、特開2002−174728号公報の段落番号0006に記載されている範囲内であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報の段落番号0007に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率との関係は、特開2002−174728号公報の段落番号0006に記載されている範囲内であってもよい。
また、特開2002−221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報の段落番号0012や特開2002−258043号公報の段落番号0012に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報の段落番号0012や特開2002−258043号公報の段落番号0012に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明における偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*の定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。
本発明における偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*の定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は−2.5〜0.2であり、さらに好ましくは−2.0〜0である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5〜5.0であり、さらに好ましくは2〜4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は−4.0〜0であり、さらに好ましくは−3.5〜−0.5である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0〜8.0であり、さらに好ましくは2.5〜7.0である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は−0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0〜2.0である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は−2.0〜2.0であり、さらに好ましくは−1.5〜0.5である。
色相は、前述のX、Y、Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)は、特開2002−214436号公報の段落番号0017、特開2001−166136号公報の段落番号0007や特開2002−169024号の各公報の段落番号0005〜0008に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度との関係を特開2001−311827号公報の段落番号0005〜0006に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40°の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号公報や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80°までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40°の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号公報や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80°までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、相対湿度90%、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−1)湿熱耐久性
60℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、相対湿度90%、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、さらには0.1%以下であることが好ましい。
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、さらには0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値およびy値を特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、相対湿度90%の雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1および157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値およびy値を特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、相対湿度90%の雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1および157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
偏光子(PVA等)の配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I3 -やI5―の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
偏光子(PVA等)の配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I3 -やI5―の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃で30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率および偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率n0を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報の段落番号0004に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃で30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率および偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率n0を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報の段落番号0004に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
<偏光板の機能化>
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
(反射防止フィルム)
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがより好ましい。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等に記載のもの)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等に記載のもの)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
(輝度向上フィルム)
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF−E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
(他の機能性光学フィルム)
本発明における偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
本発明における偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
〔ハードコート層〕
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒子サイズは、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
〔前方散乱層〕
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
〔アンチグレア層〕
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
<液晶表示装置>
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層7とこの上下に配置された液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板12からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板12は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、一方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(1)〜(3)の特性を満たす。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
尚、図1中、2は、上側偏光板吸収軸の方向を、6は上基板の配向制御方向を、9は下基板の配向制御方向を、13は下側偏光板吸収軸の方向をそれぞれ示している。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
尚、図1中、2は、上側偏光板吸収軸の方向を、6は上基板の配向制御方向を、9は下基板の配向制御方向を、13は下側偏光板吸収軸の方向をそれぞれ示している。
さらに、本発明の液晶表示装置10は、上記の式(1)〜(3)の特性を有する保護フィルムに対して液晶セルと反対側に下記式(4)〜(5)の関係を満たす光学補償フィルムを有することが好ましい。
20nm≦Re(548)≦150nm ・・・式(4)
100nm≦Rth(548)≦400nm ・・・式(5)
式(4)においてRe(548)は30nm〜150nmがさらに好ましく、40nm〜150nmが最も好ましい。また、式(5)においてRth(548)は100nm〜300nmがさらに好ましく、100nm〜250nmが最も好ましい。
20nm≦Re(548)≦150nm ・・・式(4)
100nm≦Rth(548)≦400nm ・・・式(5)
式(4)においてRe(548)は30nm〜150nmがさらに好ましく、40nm〜150nmが最も好ましい。また、式(5)においてRth(548)は100nm〜300nmがさらに好ましく、100nm〜250nmが最も好ましい。
[光学補償フィルム]
以下に上記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムについて詳しく説明する。本発明の光学補償フィルムとしては、セルロースアシレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂のうちの少なくともひとつを含むものであることが好ましく、具体的には、特開2003−344856号公報に記載の基板上にポリイミド、ポリアリールエーテルケトン等の非液晶性ポリマーを含有するもの、延伸セルロースアシレートフィルム、シクロオレフィン系ポリマーの延伸フィルム等を好ましく用いることができる。シクロオレフィン系ポリマーフィルムとしは、日本ゼオン社製ゼオノア、JSR社製アートン、PROMERUS社製APPEAR3000等を使用したポリマーフィルムを好ましく用いることができる。このなかでも延伸セルロースアシレートフィルムは偏光板加工適性に優れ、安価であることから特に好ましい。以下に本発明の液晶表示装置で好ましく用いられる延伸セルロースアシレートフィルムについて詳しく説明する。
以下に上記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムについて詳しく説明する。本発明の光学補償フィルムとしては、セルロースアシレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂のうちの少なくともひとつを含むものであることが好ましく、具体的には、特開2003−344856号公報に記載の基板上にポリイミド、ポリアリールエーテルケトン等の非液晶性ポリマーを含有するもの、延伸セルロースアシレートフィルム、シクロオレフィン系ポリマーの延伸フィルム等を好ましく用いることができる。シクロオレフィン系ポリマーフィルムとしは、日本ゼオン社製ゼオノア、JSR社製アートン、PROMERUS社製APPEAR3000等を使用したポリマーフィルムを好ましく用いることができる。このなかでも延伸セルロースアシレートフィルムは偏光板加工適性に優れ、安価であることから特に好ましい。以下に本発明の液晶表示装置で好ましく用いられる延伸セルロースアシレートフィルムについて詳しく説明する。
[セルロースアシレート]
延伸セルロースアシレートフィルムに主として含まれるセルロースアシレートは、アセチル置換度が、2.50〜3.00であることが好ましく、2.70〜2.95であることがより好ましい。
延伸セルロースアシレートフィルムに主として含まれるセルロースアシレートは、アセチル置換度が、2.50〜3.00であることが好ましく、2.70〜2.95であることがより好ましい。
本発明において、もう一つの好ましいセルロースアシレートは、総アシル置換度が2.00〜2.90であり、アセチル基の炭素原子数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。また炭素原子数が3〜4のアシル基の置換度は0.1〜2.0が好ましく、0.3〜1.5がさらに好ましい。
本発明のポリマーフィルムに用いることができるセルロースアシレートは、250〜800の平均重合度を有することが好ましく、280〜600の平均重合度を有することがさらに好ましい。本発明のポリマーフィルムに用いることができるセルロースアシレートは、70,000〜230,000の数平均分子量を有することが好ましく、75,000〜230,000の数平均分子量を有することがより好ましく、78,000〜120,000の数平均分子量を有することがさらに好ましい。
本発明のポリマーフィルムに用いることができるセルロースアシレートは、250〜800の平均重合度を有することが好ましく、280〜600の平均重合度を有することがさらに好ましい。本発明のポリマーフィルムに用いることができるセルロースアシレートは、70,000〜230,000の数平均分子量を有することが好ましく、75,000〜230,000の数平均分子量を有することがより好ましく、78,000〜120,000の数平均分子量を有することがさらに好ましい。
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムに用いられるセルロースアシレートは、前記順波長分散セルロースアシレートフィルムに用いられるセルロースアシレートと同様の方法により合成できる。
[レターデーション発現剤]
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤を含有することが好ましい。以下にレターデーション発現剤について説明する。
本発明のレターデーション発現剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有するものが好ましく、前記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。以下、一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤を含有することが好ましい。以下にレターデーション発現剤について説明する。
本発明のレターデーション発現剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有するものが好ましく、前記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。以下、一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
(式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2およびR3は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;R4、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。)
式(I)において、R1、R2、およびR3は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基を表すが、芳香族環または複素環がより好ましい。R1、R2、およびR3がそれぞれ表す芳香族環は、フェニル環またはナフチル環であることが好ましく、フェニル環であることが特に好ましい。
R1、R2、およびR3は芳香族環または複素環に置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が挙げられる。
R1、R2、およびR3が複素環基を表す場合、複素環は芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環とは、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記に挙げた置換基の例と同様である。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
式(I)中、X1は単結合、−NR4−、−O−または−S−を表し、X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−を表し、X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−を表す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
R4、R5およびR6がそれぞれ表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
R4、R5およびR6がそれぞれ表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
R4、R5およびR6がそれぞれ表す芳香族環基(アリール基)および複素環基は、R1、R2およびR3がそれぞれ表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR1、R2およびR3の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
以下に本発明の式(I)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
また、本発明において、一般式(I)で表される化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜12質量%がさらに好ましく、3〜10質量%が最も好ましい。
本発明の前記式(4)〜(5)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムとするためには下記一般式(V)で表される化合物および/または下記一般式(VI)で表される化合物を添加することが好ましく、下記一般式(VI)を添加することがさらに好ましい。
一般式(V)
(式(V)中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す(ただし、Xは水素原子又は置換基が結合した第14〜16族の非金属原子であってもよい。)。nは0から2までの整数を表す。)
一般式(VI)
(一般式(VI)中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。)
一般式(V)又は(VI)において、L1およびL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(V)又は(VI)において、R1は置換基であり、R1が複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる;
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、
アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素原子数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、
アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは、5員環または6員環の、置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物またはこれらの組み合わせ(縮環したものを含む)から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素原子数3〜30の、5員環または6員環の芳香族のヘテロ環化合物またはこれらの組み合わせ(縮環したものを含む)から一個の水素原子を取り除いた一価の基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、
シリルオキシ基(好ましくは、炭素原子数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30の、置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルスルホニルアミノ基/アリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルスルフィニル基/アリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基/アリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、
アシル基(好ましくは、ホルミル基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、
アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
R1は、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
R2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基であり、より好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。さらに好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、よりさらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。特に好ましくは4位に置換基を有するベンゾイルオキシ基を4位に有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキシル基を4位に有するベンゼン環、4位に置換基を有するベンゼン環を4位に有するシクロヘキサン環、4位に置換基を有するシクロヘキシル基を4位に有するシクロへキサン環である。ここで、置換基として好ましくは、アルキル基である。
また、4位に置換基を有するシクロヘキサン環にはシス体およびトランス体の立体異性体が存在するが、本発明においては限定されず、両者の混合物でも良い。好ましくはトランス−シクロヘキサン環である。
R4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、(カルボキシル基、ハロゲン原子、アリールオキシ基、ヘテロ環基、シアノ基)であり、より好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であり、さらに好ましくはσp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基である。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる。)または−S−であり、A1およびA2の少なくとも一方が、−S−であることが好ましく、両方が−S−であることがより好ましい。
Xは、O、S、NR、C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる。)。
nは、好ましくは0又は1である。
nは、好ましくは0又は1である。
以下に、一般式(V)又は(VI)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
また、本発明において、一般式(V)または(VI)で表される化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜12質量%がさらに好ましく、3〜10質量%が最も好ましい。
一般式(V)又は(VI)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography"(1997);27(9);p.515-526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
一般式(V)又は(VI)で表される化合物は、光学フィルム用のレターデーション制御剤(特に、レターデーション上昇および波長分散制御剤)としての役割を果たす。特に延伸によるRe発現性および波長分散に優れたフィルムを得るためのレターデーション制御剤として好適な役割を果たす。
本発明のレターデーション発現剤の分子量は、200〜1,000であることが好ましく、300〜850が好ましい。この範囲であれば、溶剤への溶解性と製膜時の保留性を両立することができる。本発明の化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
一般式(I)〜(VI)で表される化合物は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明においては、一般式(I)〜(VI)で表される化合物の併用も好ましい。本発明のレターデーション発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、2〜30質量%であり、3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。 本発明のレターデーション発現剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
一般式(I)〜(VI)で表される化合物は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明においては、一般式(I)〜(VI)で表される化合物の併用も好ましい。本発明のレターデーション発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、2〜30質量%であり、3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。 本発明のレターデーション発現剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
[延伸セルロースアシレートフィルムの製造]
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは前記順波長分散セルロースアシレートフィルムと同様の方法により、製膜することができる。
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは前記順波長分散セルロースアシレートフィルムと同様の方法により、製膜することができる。
〔延伸処理〕
セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。特に、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%である。延伸速度は1%/分〜100%/分が好ましく、5%/分〜80%/分がさらに好ましく、10%/分〜60%/分が最も好ましい。
また、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下緩和工程)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
また、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下緩和工程)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
緩和工程の延伸倍率、時間を上記範囲にすることにより、レターデーション発現剤の配向度が高まり、高レターデーションで且つ正面および膜厚方向のレターデーションの変動が小さいセルロースアシレートフィルムが得られる。
[鹸化処理]
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは前記順波長分散セルロースアシレートフィルムと同様の方法により鹸化処理を行い偏光板保護フィルムとして使用することが好ましい。
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムは前記順波長分散セルロースアシレートフィルムと同様の方法により鹸化処理を行い偏光板保護フィルムとして使用することが好ましい。
本発明の液晶表示装置に好ましく使用される前記式(4)〜(5)の関係を満たす光学補償フィルムは下記式(6)〜(7)の関係を満たすことが好ましい。
0.5<Re(446)/Re(548)<1.0 ・・・式(6)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(7)
式(6)においてRe(446)/Re(548)は0.55以上0.95以下がさらに好ましく、0.6〜0.90が最も好ましい。
また、式(7)においてRe(628)/Re(548)は1.01〜1.5がさらに好ましく、1.02〜1.3が最も好ましい。
0.5<Re(446)/Re(548)<1.0 ・・・式(6)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(7)
式(6)においてRe(446)/Re(548)は0.55以上0.95以下がさらに好ましく、0.6〜0.90が最も好ましい。
また、式(7)においてRe(628)/Re(548)は1.01〜1.5がさらに好ましく、1.02〜1.3が最も好ましい。
前記式(4)〜(7)の関係を満たす光学補償フィルムとしては、国際公開WO2003/232060号パンフレットに記載のポリカーボネート樹脂の延伸フィルム、特開2006−188671号公報に記載のシクロオレフィン系樹脂の延伸フィルム、特開2006−234878号公報に記載のポリビニルアセタール系樹脂の延伸フィルム、特開2006−3715号公報に記載のポリイミドフィルム、セルロースアシレートの延伸フィルム等を好ましく用いることができる。
前記一般式(II)で表されるレターデーション発現剤を含有するセルロースアシレートフィルムは、偏光板加工適性に優れ、前記式(4)〜(7)の関係満たす光学補償フィルムとして特に好ましく用いることができる。
前記一般式(II)で表されるレターデーション発現剤を含有するセルロースアシレートフィルムは、偏光板加工適性に優れ、前記式(4)〜(7)の関係満たす光学補償フィルムとして特に好ましく用いることができる。
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。以下図1を用いてVAモード液晶表示装置について説明する。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。以下図1を用いてVAモード液晶表示装置について説明する。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板12の吸収軸13は略直交に積層する。液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層7中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号6および9は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
[マルチドメイン]
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
(順波長分散フィルム101の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94、平均重合度310のセルロースアセテート
100.0質量部
添加剤D−5 12.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
(順波長分散フィルム101の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94、平均重合度310のセルロースアセテート
100.0質量部
添加剤D−5 12.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<波長分散制御剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、波長分散制御剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤A 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、波長分散制御剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
波長分散制御剤A 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Aを95.7質量部、マット剤溶液を1.3質量部、紫外線吸収剤溶液3.6質量部を濾過後に混合し、バンド流延機を用いて1600mmの幅で流延した。残留溶剤含量50質量%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをテンタークリップで保持して4%の延伸倍率で横延伸し、残留溶剤含量が5質量%になるまで乾燥した(乾燥1)。さらにフィルム延伸後の幅のまま100℃で30秒間保持した。テンタークリップからフィルムを解放し、フィルムの幅方向を両端から各5%ずつを切り落とした後、さらに幅方向が自由(保持されていない)状態で135℃の乾燥ゾーンを20分間かけて通過させた後(乾燥2)、フィルムをロールに巻き取った。得られたセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は81μmであった。
(実施例2)
(順波長分散フィルム102〜105の作製)
セルロースアシレートの種類、ならびに、添加剤の種類、添加量およびフィルムの厚みを表1の内容に変更した以外は上記と同様にして順波長分散フィルム102〜105を作製した。
(順波長分散フィルム102〜105の作製)
セルロースアシレートの種類、ならびに、添加剤の種類、添加量およびフィルムの厚みを表1の内容に変更した以外は上記と同様にして順波長分散フィルム102〜105を作製した。
(比較例1)
(偏光板保護フィルム201〜202の作製)
セルロースアシレートの種類、ならびに、添加剤の種類、添加量およびフィルムの厚みを表1の内容に変更した以外は上記と同様にして偏光板保護フィルム201〜202を作製した。
(偏光板保護フィルム201〜202の作製)
セルロースアシレートの種類、ならびに、添加剤の種類、添加量およびフィルムの厚みを表1の内容に変更した以外は上記と同様にして偏光板保護フィルム201〜202を作製した。
(光学特性の測定)
“WR KOBRA”(王子計測機器(株))を用いて25℃60%相対湿度の環境下で、本発明の順波長分散フィルム101〜105、および比較例の偏光板保護フィルム201〜202の446nm、548nm、628nmにおけるReおよびRthをそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
“WR KOBRA”(王子計測機器(株))を用いて25℃60%相対湿度の環境下で、本発明の順波長分散フィルム101〜105、および比較例の偏光板保護フィルム201〜202の446nm、548nm、628nmにおけるReおよびRthをそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
(実施例3)
(光学補償フィルム301の作製)
<セルロースアシレート溶液11の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液11を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液11の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.80、重合度420のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(光学補償フィルム301の作製)
<セルロースアシレート溶液11の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液11を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液11の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.80、重合度420のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液12の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液12を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液12の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液11 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液12を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液12の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液11 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤13溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液13を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液13の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(I−(2)) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液11 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液13を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液13の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(I−(2)) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液11 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液12の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液13の6.0質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液11を92.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。140℃の雰囲気温度で残留溶媒含量15%のフィルムをテンターを用いて延伸倍率25%で横延伸したのち、140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶媒含量は10%であった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、光学補償フィルム301を製造した。作製された光学補償フィルム301の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は82μmであった。また、WR KOBRAで測定した、Re(548)は55nm、Rth(548)は198nmであった。
(実施例4)
(光学補償フィルム302の作製)
市販のゼオノアフィルム((株)日本ゼオン製)を、140℃で縦方向に15%、横方向に35%延伸し、厚み69μの光学補償フィルム302を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は62nm、Rth(548)は220nmであった。
(光学補償フィルム302の作製)
市販のゼオノアフィルム((株)日本ゼオン製)を、140℃で縦方向に15%、横方向に35%延伸し、厚み69μの光学補償フィルム302を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は62nm、Rth(548)は220nmであった。
(実施例5)
(光学補償フィルム303の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(概ね、6FDAに相当する)および2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(概ね、PFMB、TFMBに相当する)から合成されたポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い15質量%で調製した溶液を、80μm厚みのトリアセチルセルロースフィルム上に塗布した。その後100℃で10分乾燥処理することにより、残存溶剤量が7%、厚みが5μmの薄膜を得た。その後、トリアセチルセルロースフィルムに形成された薄膜を基材ごと160℃の温度で6%縦一軸延伸し、光学補償フィルム303を作製した。WR KOBRAで測定した、Re(548)は68nm、Rth(548)は250nmであった。
(光学補償フィルム303の作製)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(概ね、6FDAに相当する)および2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(概ね、PFMB、TFMBに相当する)から合成されたポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い15質量%で調製した溶液を、80μm厚みのトリアセチルセルロースフィルム上に塗布した。その後100℃で10分乾燥処理することにより、残存溶剤量が7%、厚みが5μmの薄膜を得た。その後、トリアセチルセルロースフィルムに形成された薄膜を基材ごと160℃の温度で6%縦一軸延伸し、光学補償フィルム303を作製した。WR KOBRAで測定した、Re(548)は68nm、Rth(548)は250nmであった。
(実施例6)
(光学補償フィルム304の作製)
市販のアートンフィルム((株)JSR製)を、170℃で縦方向に20%、横方向に30%延伸し、厚み81μmの光学補償フィルム304を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は59nm、Rth(548)は210nmであった。
(光学補償フィルム304の作製)
市販のアートンフィルム((株)JSR製)を、170℃で縦方向に20%、横方向に30%延伸し、厚み81μmの光学補償フィルム304を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は59nm、Rth(548)は210nmであった。
(実施例7)
(光学補償フィルム305の作製)
PROMERUS社製APPEAR3000をメチレンクロライド/メタノール(重量比で92/8)の混合溶媒に溶解させたドープを支持体上に流延した。得られたフィルムを150℃で15%横延伸し、厚み50μmの光学フィルム305を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は53nm、Rth(548)は225nmであった。
(光学補償フィルム305の作製)
PROMERUS社製APPEAR3000をメチレンクロライド/メタノール(重量比で92/8)の混合溶媒に溶解させたドープを支持体上に流延した。得られたフィルムを150℃で15%横延伸し、厚み50μmの光学フィルム305を得た。WR KOBRAで測定した、Re(548)は53nm、Rth(548)は225nmであった。
(実施例8)
(光学補償フィルム306の作製)
<セルロースアシレート溶液21の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液21を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液21の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.90、重合度390のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 8.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(光学補償フィルム306の作製)
<セルロースアシレート溶液21の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液21を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液21の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.90、重合度390のセルロースアセテート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 8.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液22の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液22を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液22の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアシレート溶液21 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液22を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液22の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアシレート溶液21 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤23溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液23を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液23の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(I−(2)) 4.0質量部
レターデーション発現剤(124) 16.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液21 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液23を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液23の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(I−(2)) 4.0質量部
レターデーション発現剤(124) 16.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液21 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液22の1.3質量部とレターデーション発現剤溶液23の8.1質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液11を90.6質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量35%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。150℃の雰囲気温度でテンターを用いて延伸倍率25%で横延伸したのち、150℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は10%であった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、光学補償フィルム306を製造した。作製された光学補償フィルム306の残留溶媒量は0.1%であり、膜厚は80μmであった。また、WR KOBRAで測定した。Re(548)は100nm、Rth(548)は120nmであった。
表3に光学補償フィルム301〜306の波長446nm、548nm、628nmで測定したRe、Reを示す。
(実施例6)
(順波長分散フィルム101の鹸化処理)
作製した順波長分散フィルム101を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、順波長分散フィルム101表面の鹸化処理を行った。
(順波長分散フィルム101の鹸化処理)
作製した順波長分散フィルム101を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、順波長分散フィルム101表面の鹸化処理を行った。
(順波長分散フィルム102〜105、光学補償フィルム301、303、306の鹸化処理)
前記順波長分散フィルム101と同様にして順波長分散フィルム102〜105、光学補償フィルム301および光学補償フィルム303、光学補償フィルム306のセルロースアシレート表面をそれぞれ鹸化した。
前記順波長分散フィルム101と同様にして順波長分散フィルム102〜105、光学補償フィルム301および光学補償フィルム303、光学補償フィルム306のセルロースアシレート表面をそれぞれ鹸化した。
(実施例7)
<偏光板101の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
<偏光板101の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(偏光子の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で鹸化処理した順波長分散フィルム101を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の吸収軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板101を作製した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で鹸化処理した順波長分散フィルム101を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の吸収軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板101を作製した。
(実施例8)
<偏光板102〜105の作製>
順波長分散フィルム102〜105についても実施例7と同様にして偏光板102〜105を作製した。
<偏光板301および303、306の作製>
光学補償フィルム301、303、および306についても、光学補償フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸が平行になるように配置した以外は実施例7と同様にして偏光板301、偏光板303および偏光板306を作製した。なお、偏光板303については光学補償フィルム303のセルロースアセテートフィルム側が偏光子と向かい合うように貼りあわせた。
<偏光板102〜105の作製>
順波長分散フィルム102〜105についても実施例7と同様にして偏光板102〜105を作製した。
<偏光板301および303、306の作製>
光学補償フィルム301、303、および306についても、光学補償フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸が平行になるように配置した以外は実施例7と同様にして偏光板301、偏光板303および偏光板306を作製した。なお、偏光板303については光学補償フィルム303のセルロースアセテートフィルム側が偏光子と向かい合うように貼りあわせた。
(実施例9)
(光学補償フィルム302の表面処理)
光学補償フィルム302の表面に12W・分/m2の条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。光学補償フィルム304および305についても光学補償フィルム302と同様の処理をおこない親水性を付与した。
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル(株)製、タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
(光学補償フィルム302の表面処理)
光学補償フィルム302の表面に12W・分/m2の条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。光学補償フィルム304および305についても光学補償フィルム302と同様の処理をおこない親水性を付与した。
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル(株)製、タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
上記で表面処理した光学補償フィルム302に上記接着剤溶液を塗布した後、実施例7で作製した鹸化処理済みの市販のセルローストリアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製、富士タックTD80)とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板302を作製した。
光学補償フィルム304および305についても同様の処理を行い、偏光板304および305を作製した。
光学補償フィルム304および305についても同様の処理を行い、偏光板304および305を作製した。
(比較例2)
(偏光板201および202の作製)
比較例1で作製した偏光板保護フィルム201および202についても、実施例7と同様にして偏光板201および偏光板202を作製した。
(偏光板201および202の作製)
比較例1で作製した偏光板保護フィルム201および202についても、実施例7と同様にして偏光板201および偏光板202を作製した。
(液晶表示装置の作製)
図1において、VAモードの液晶セルに、図1における上側偏光板1として偏光板101を、本発明における順波長分散フィルム101が液晶セル側となるように、また、下側偏光板12には偏光板301を、光学補償フィルム301が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置(A)を作製した。
さらに、上側偏光板、下側偏光板を下記表4の内容に変更して本発明の液晶表示装置(A)〜(G)、(J)〜(O)および比較例の液晶表示装置(H)〜(I)を作製した。
図1において、VAモードの液晶セルに、図1における上側偏光板1として偏光板101を、本発明における順波長分散フィルム101が液晶セル側となるように、また、下側偏光板12には偏光板301を、光学補償フィルム301が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置(A)を作製した。
さらに、上側偏光板、下側偏光板を下記表4の内容に変更して本発明の液晶表示装置(A)〜(G)、(J)〜(O)および比較例の液晶表示装置(H)〜(I)を作製した。
(色味視野角の変化)
上記で作製した液晶表示装置(A)〜(O)について極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx、Δyを求め、以下の表に評価した。
◎:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.015未満
○:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.020未満
△:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.025未満
×:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'の少なくともひとつが0.025以上
結果を表4に示す。
上記で作製した液晶表示装置(A)〜(O)について極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx、Δyを求め、以下の表に評価した。
◎:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.015未満
○:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.020未満
△:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'ともに0.025未満
×:方位角0°と方位角80°の差がu'、v'の少なくともひとつが0.025以上
結果を表4に示す。
表4の結果から本発明の液晶表示装置(A)〜(G)、(J)〜(O)は比較例の液晶表示装置(H)および液晶表示装置(I)に対して視角による色味変化が小さく好ましいことが認められた。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板の配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
12 下側偏光板
13 下側偏光板吸収軸の方向
2 上側偏光板吸収軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板の配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
12 下側偏光板
13 下側偏光板吸収軸の方向
Claims (13)
- Rthが下記式(1)〜(3)の関係を満たすポリマーフィルム。
20nm≦Rth(548)<100nm ・・・式(1)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<4.0 ・・・式(2)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(3)
式(1)〜(3)中、Rth(λ)は波長λnmで測定したRthの値を表す。 - セルロースアシレートを主として含む請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 250nm〜400nmの波長領域に吸収極大を有する波長分散制御剤を1質量%〜30質量%含有する請求項1または2に記載のポリマーフィルム。
- アセチル置換度が2.90〜3.00のセルロースアシレートを主として含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 総アシル置換度が2.70〜3.00の混合脂肪酸エステルを主として含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマーフィルムを含む偏光板保護フィルム。
- 偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に配置された保護フィルムとを有し、該保護フィルムが、請求項7に記載の偏光板保護フィルムである偏光板。
- 液晶セルと、請求項8に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
- 液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間の少なくとも一方に配置された光学補償フィルムとを有し、
前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、前記保護フィルムのうち、液晶セルに近い側の少なくとも1枚が請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護フィルムであり、前記光学補償フィルムが下記式(4)および(5)の関係を満たす、液晶表示装置。
20nm≦Re(548)≦150nm ・・・式(4)
100nm≦Rth(548)≦400nm ・・・式(5) - 前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムが下記式(6)および(7)を満たす、請求項10の液晶表示装置。
0.5<Re(446)/Re(548)<1.0 ・・・式(6)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(7) - 前記式(4)および(5)を満たす光学補償フィルムがセルロースアシレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂およびポリビニルアセタール系樹脂のうちの少なくともひとつを含む、請求項10または11の液晶表示装置。
- 前記液晶セルがVAモードである請求項9〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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- 2007-03-29 EP EP07741041A patent/EP1999499A1/en not_active Withdrawn
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