JP2006022311A - セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも1つのレターデーション上昇剤を含有し、面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが下記式(A)の関係を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム、その製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置。
(A) 30<Rth(590)/Re(590)
(ここでRe(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λnmにおけるRe及びRthを表す。)
Description
これに伴い、液晶表示装置に用いられる光学補償フィルム及び偏光板に対しても一段と高い性能が要求され始めている。とりわけ、温度及び湿度の変化に対して安定して光学補償機能を発揮することが強く求められている。
しかし、前者では偏光子とポリマーフィルムとの密着が損なわれる、あるいは湿式延伸で作製される偏光板の場合、偏光板貼り合わせ後の乾燥工程における水分の蒸発が不十分となり、偏光度の低下をもたらす等の弊害があった。
また、後者の方法では比較的マイルドな条件では一定の改良効果を有するものの、高温高湿での表示ムラの発生を十分抑えることはできなかった。
本発明の別の目的は、視野角補償能に優れた偏光板を液晶表示装置に用いることで、光漏れなどの問題を生じることなく、広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、視角による色味変化の小さい液晶表示装置を提供することである。
すなわち、少なくとも1つのレターデーション上昇剤を含有し、面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが下記式(A)の関係を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置である。
(A) 30<Rth(590)/Re(590)
(ここでRe(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λnmにおけるRe及びRthを表す。)
(A) 30<Rth(590)/Re(590)
ここでRe(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λnmにおけるRe及びRthを表す。
なお、Re及びRthの測定方法は、実施例に記載したとおりである。
また、Rth(590)は100nm以上400nm以下が好ましく、110nm以上300nm以下がさらに好ましい。
また、Rth(590)/Re(590)比は30より大きいことが好ましく、50より大きいことがさらに好ましい。
上記範囲にRe(590)及びRth(590)を調節することにより、熱・湿度によるコントラスト及び色味の視野角変化の小さいフィルムが得られる。特に、他の位相差フィルムあるいは光学異方性層との積層体として使用するとさらに効果が大きい。
さらにRthの波長分散は下記式(B)及び(C)の関係を満たすことが好ましい。
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (B)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (C)
上記範囲にRthの波長分散を調節したセルロースアシレートフィルムを液晶セル側保護フィルムとした偏光板を用いることにより、視角により色味変化の小さい液晶表示装置が得られる。
まず、本発明に使用するセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度は、セルロースの構成単位重量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM−D817−91に準じて実施する。
本発明のセルロースアシレートはアシル化度が2.5以上2.95以下のものが好ましい。アシル基の炭素数は2以上10以下が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基を用いることが特に好ましい。アシル基としてアセチル基のみを有するセルロースアシレートの場合、アセチル化度は2.0以上2.95以下が好ましく、2.5以上2.9以下がさらに好ましい。
(D) 2.0≦A+B≦3.0
(E) 0≦B≦1.5
アセチル基の置換度は1以上2.5以下が好ましく、1.5以上2.0以下がさらに好ましい。アセチル基以外のアシル基としてはプロピオニル基およびブチリル基が好ましい。
エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きいと、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱する。そのため、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下することがある。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。しかし、反応停止剤の添加速度が大きいと、触媒が解離するために充分な反応時間がなく、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残る。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4乃至30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。反応停止剤の添加時間が上記範囲であると、工業的な生産性が低下しない。反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、重量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
次に、本発明に使用するレターデーション上昇剤について説明する。
本発明のレターデーション上昇剤としては、分子の分極率異方性の大きい化合物が好ましい。
下記式(I)または(II)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。R1、R3またはR5のうちの1つが電子供与性基であることが好ましく、R3が電子供与性基であることがより好ましい。
電子供与性基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。
R8として好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アリールオキシ基であり、より好ましくは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
式(II−B)中、R11は式(II−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
R1、R2、R4、R5がすべて水素原子の場合にはXとして好ましくはアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、メトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
R22は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
R13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
3,4,5−トリメトキシ安息香酸24.6g(0.116モル)、トルエン100mL、N−N−ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.2g(0.127モル)をゆっくりと滴下し、2時間60℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.1g(0.127モル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、60℃で3時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物に、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。アセトニトリル溶液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.0g(収率11%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
2,4,5−トリメトキシ安息香酸106.1g(0.5モル)、トルエン340mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル65.4g(0.55モル)をゆっくりと滴下し、2時間65〜70℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール71.5g(0.6モル)をアセトニトリル150mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(1L)、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸マグネシウムで水分を除去した後、約500mLの溶媒を減圧留去し、メタノール1Lを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を125.4g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は116℃であった。
2,3,4−トリメトキシ安息香酸10.1g(47.5ミリモル)、トルエン40mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを80℃に加熱した後、塩化チオニル6.22g(52.3ミリモル)をゆっくりと滴下し、80℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール6.2g(52.3ミリモル)をアセトニトリル20mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール50mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.9g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
2,4,6−トリメトキシ安息香酸25.0g(118ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.4g(129ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.4g(129ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で4.5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール500mL、アセトニトリル100mLを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を10.0g(収率27%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 314(M+H)+
得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
2,3−ジメトキシ安息香酸15.0g(82.3ミリモル)、トルエン60mL、ジメチルホルムアミド0.5mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル10.7(90.5ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール10.8g(90.5ミリモル)をアセトニトリル30mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、イソプロピルアルコール90mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を12.3g(収率53%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。
得られた化合物の融点は104℃であった。
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,4−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は134〜136℃であった。
2,5−ジメトキシ安息香酸25.0g(137ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1.0mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル18.0(151ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール18.0g(151ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7.5時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、飽和食塩水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(9/1、V/V))で精製操作を行い、白色の結晶として目的化合物を18.8g(収率48%)得た。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
得られた化合物の融点は79〜80℃であった。
A−5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,6−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 284(M+H)+
得られた化合物の融点は130〜131℃であった。
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−クロロフェノール76.9gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
マススペクトル:m/z 323(M+H)+
得られた化合物の融点は127〜129℃であった。
2,4,5−トリメトキシ安息香酸45.0g(212ミリモル)、トルエン180mL、ジメチルホルムアミド1.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル27.8g(233ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−ヒドロキシ安息香酸メチル35.4g(233ミリモル)をジメチルホルムアミド27mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール270mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を64.5g(収率88%)得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 347(M+H)+
得られた化合物の融点は121〜123℃であった。
2,4,5−トリメトキシ安息香酸20.0g(94.3ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル12.3g(104ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をトルエン150mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール250mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.2g(収率62%)得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 365(M+H)+
得られた化合物の融点は131−132℃であった。
2,4,5−トリメトキシ安息香酸12.9g(61ミリモル)、トルエン50mL、ジメチルホルムアミド0.6mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル8.0g(67ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をアセトニトリル25mLに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.6g(収率93%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 381(M+H)+
得られた化合物の融点は91〜92℃であった。
A−2における4−シアノフェノール71.5gをフェノール56.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 365(M+H)+
得られた化合物の融点は105〜108℃であった。
マススペクトル:m/z 289(M+H)+
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−メトキシフェノール74.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得ることができる。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 319(M+H)+
得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
A−2における4−シアノフェノール71.5gを4−エチルフェノール73.3gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 317(M+H)+
得られた化合物の融点は70〜71℃であった。
4−エトキシ安息香酸27.3g(164ミリモル)、トルエン108mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.5g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−エトキシフェノール25.0g(181ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を30.6g(収率65%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 287(M+H)+
得られた化合物の融点は113〜114℃であった。
4−エトキシ安息香酸24.7g(149ミリモル)、トルエン100mL、ジメチルホルムアミド1mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル19.5g(164ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−プロポキシフェノール25.0g(165ミリモル)をアセトニトリル50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、得られた固体にメタノール100mLを加え再結晶操作を行い、得られた結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を33.9g(収率76%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 301(M+H)+
得られた化合物の融点は107℃であった。
A−24の合成法における4−エトキシ安息香酸27.3gを4−プロポキシ安息香酸29.5gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 301(M+H)+
得られた化合物の融点は88〜89℃であった。
A−25の合成法における4−エトキシ安息香酸24.7gを4−プロポキシ安息香酸26.8gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 315(M+H)+
得られた化合物の融点は92℃であった。
2,4−ジメトキシ安息香酸20.0g(109ミリモル)、トルエン80mL、ジメチルホルムアミド0.8mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル14.4g(121ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール20.5g(121ミリモル)をジメチルホルムアミド50mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を31.7g(収率86%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。
マススペクトル:m/z 335(M+H)+
得られた化合物の融点は161〜162℃であった。
2,4−ジメトキシ安息香酸30.0g(165ミリモル)、トルエン120mL、ジメチルホルムアミド1.2mLを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.6g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱撹拌した。その後、あらかじめ4−フヒドロキシ安息香酸メチル27.6g(181ミリモル)をジメチルホルムアミド40mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール140mLを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を24.4g(収率47%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(m,9H),6.56(m,2H),7.27(m,2H),8.09(m,3H)
得られた化合物の融点は122〜123℃であった。
式(III)中、Ar1またはAr3で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基T’が適用できる。Ar1又はAr3で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜14であり、例えばフェニル基、2,4−ジアルコキシフェニル基、2,4,5−トリアルコキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
式(III)中、Ar2で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
式(III)中、Ar2で表される二価芳香族ヘテロ環基は、上記Ar1またはAr3で示した一価芳香族ヘテロ環基の水素原子を一個取り去った二価の基であることが好ましい。
二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を表す)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基およびこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、および、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、より好ましくは水素原子である。
R11、R12で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、または環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1から30のアルキル基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
R12として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐または環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
式(III−A)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
R13は水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R12の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。また好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR13は同じであっても異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
置換基T’として好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
R11がメチル基であり、
R21、R22がいずれも水素原子であり、
R12が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、
L3が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、−OCO−、及び、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくはメチル基又は水素原子であり、より好ましくは水素原子である。)であり、
L4が−O−または−NR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、
Ar4がアリーレン基であり、
nが3以上6以下である化合物を挙げることができる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
を有する原料化合物を、水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応に付して得られた中間体:
2分子を、
1分子により連結することによって得ることができる。ただし、本発明の化合物の合成法はこの例に限定されない。
本発明のレターデーション上昇剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは前記レターデーション上昇剤の他にUV吸収剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、特開平8−337574号記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に使用する有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が上記範囲であると、劣化防止剤の効果が得られやすく、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が起こりにくい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子が添加されることが好ましい。
微粒子の種類としては、無機化合物が好ましく、無機化合物の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、珪素原子を含有する化合物であることが好ましく、フィルムのヘイズ(もや、霞み)を小さくすることができる二酸化珪素微粒子が特に好ましい。
フィルム中での微粒子の平均粒径は断面写真を撮影し観察することで確認できる。粒径が、上記範囲であるとヘイズ(もや、霞み)の劣化等が起こりにくく、異物による巻状態での故障発生が起こりにくく、巻き取り性の改善効果も充分となる。
そして、該混合液を支持体上に流延し、乾燥して、製膜することによりセルロースアシレートフィルムを得る。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて撹拌することが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には上記の任意の添加剤を添加しておいてもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10,000℃/秒が理論的な上限であり、1,000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸は幅方向のみの一軸延伸、あるいは幅方向及び搬送方向の二軸延伸が好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
(F) 0.01<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.1
さらに好ましくは0.02<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.08である。
これらの範囲に調節することにより、搬送時に発生するセルロースアシレート分子鎖の配向を打ち消すことによりフィルムのReを好ましい範囲に調節することができ、かつ面状を大幅に改良することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚みは10μm以上90μm以下が好ましく、20μm以上80μm以下がさらに好ましい。
セルロースアシレートフィルムの弾性率はフィルム中のセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度と相関があり、弾性率が大きいものほどセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度が小さく、したがって、フィルム中の、水等の低分子化合物の拡散速度も小さくなる。セルロースアシレートフィルムの弾性率は結晶化度を高くすることにより大きくすることが可能である。逆にセルロースと相溶性の高い化合物を添加すると弾性率は小さくなる。セルロースアシレートフィルムの弾性率は引っ張り試験により求めることができる。
具体的にはサンプルを25℃60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K7127に記載の方法に従って弾性率を測定する。引っ張り試験機は(株)エー・アンド・デイ製テンシロンなどを用いることができる。
フィルムの結晶化度は様々な方法により増大させうるが、残留溶剤量の高い状態で高温で処理すると効果的に結晶化を進行させられる。したがって、セルロースアシレートフィルムの製造においては、フィルムをバンドあるいはドラム上から剥ぎ取った直後に高温で乾燥させることが好ましい。乾燥温度は80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上180℃以下がさらに好ましく、120℃以上160℃以下が最も好ましい。
結晶化増大に効果的な残留溶剤量は溶剤種の組み合わせにより異なる。例えば、メチレンクロライド/メタノール混合溶剤系の場合、セルロースアシレートフィルムに対する該混合溶媒の質量比は1%以上70%以下が好ましく、5%以上60%以下がさらに好ましく、10%以上50%以下が最も好ましい。また、メチレンクロライド/メタノール/n−ブタノール混合溶剤系では20%以上90%以下が好ましく、30%以上80%以下がさらに好ましく、30%以上70%以下が最も好ましい。
本発明で定義する結晶化度はX線回折測定で検出された回折ピーク強度からブラッグ角2θ=14°の回折強度を引いた値の和である。
本発明のアシレートフィルムの結晶化度は3,000以上15,000以下が好ましく、4,000以上12,000以下がさらに好ましく、5,000以上9,000以下が最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は前記温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃80%RHにおける含水率は3.5質量%以下であることが好ましく、3.2質量%以下であることがさらに好ましい。
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に則り、各試料の透湿度を測定し、面積1m2あたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出する。透湿度は偏光板の耐久性と密接に関係したフィルム物性であり、透湿度を下げることにより偏光板耐久性を向上させることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムでは、25℃90%RH24hrでの透湿度が80g/m2以上250g/m2以下であることが好ましい。より好ましくは、100g/m2以上200g/m2以下である。
また、フィルム1μあたりの透湿度は1g/m2以上3g/m2以下が好ましく、1.5g/m2以上2.8g/m2以下がさらに好ましい。
透湿度が上記範囲であると、偏光板作成時の乾燥が適度となり、外界からの水の浸入も少なくなるので、偏光板耐久性が良好となる。
さらに、透湿度は製膜時に搬送方向及び/あるいは幅方向に延伸し、セルロースアシレートの分子鎖の配向を密にすることによっても低下させることが可能である。延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
偏光板耐久試験における額縁状の透過率上昇を防止するために、セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることが更に好ましく、10×10-5/%RH以下とすることが最も好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。セルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下式により算出する。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用する。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
残留溶剤を減らすための一般的手法は、高温かつ長時間で乾燥することであるが、あまり長時間であると、当然のことながら生産性が落ちる。従ってセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤の量は、0.01〜1質量%の範囲にあることが好ましく、0.02〜0.07質量%の範囲にあることがさらに好ましく、0.03〜0.05質量%の範囲にあることが最も好ましい。
上記残留溶剤量を制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することができる。
残留溶剤量は、一定量の試料をクロロフォルムに溶解し、ガスクロマトグラフ(GC18A、島津製作所(株)製)を用いて測定する。
これらの疎水基を有する化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜30質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートの光弾性係数は60×10-8cm2/N以下が好ましく、20×10-8cm2/Nがさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。
[ガラス転移温度]
本発明のセルロースアシレートのガラス転移温度は120℃以上180℃以下が好ましく、更に130℃以上160℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めたものである。
セルロースアシレートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして使用する場合、偏光子との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の両側に保護フィルムが貼りあわされてなる偏光板であって、保護フィルムの少なくとも1枚が上述のセルロースアシレートフィルムである偏光板である。
まず、本発明の偏光板を構成する保護フィルム、偏光子について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子や保護フィルム以外にも、粘着剤層、セパレートフィルム、保護フィルムを構成要素として有していても構わない。
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有し、少なくとも1枚は本発明のセルロースアシレートフィルムである。また、2枚の保護フィルムのうち、少なくとも一枚は位相差フィルムとしての機能を合わせてもつことが好ましい。また、偏光子の両側の保護フィルムの弾性率比が下記式(G)を満たすことが好ましい。
(G)
0.75<(液晶セル側の保護フィルムの弾性率)/(空気界面側の保護フィルムの弾性率)<1.33
さらに好ましくは、
85<(液晶セル側の保護フィルムの弾性率)/(空気界面側の保護フィルムの弾性率)<1.2
である。この範囲に弾性率比を調節することにより、温度及び湿度にともなう偏光板の透過率変化を小さくすることができる。
液晶表示装置に本発明の偏光板を用いる場合、液晶セルの両側に配置される二枚の偏光板の少なくとも一方が、本発明の偏光板であることが好ましい。
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。偏光子の厚さと後述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を撹拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
(1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。透過率は式3で定義される。式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上、1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
上述の透過率はJISZ8701に基づいて定義される。
平行透過率は、特開2001−083328号や特開2002−022950号に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002−174728号に記載されている範囲内であってもよい。
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*については、例えば東京電気大学出版局刊、色彩工学等に記載されている。
L*、a*、b*は、上述のX、Y、Zを用い使って式6で定義される。
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号や特開2001−166137号に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4−1)湿熱耐久性
特開2001−116922号に記載されているように60℃、90%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
さらに、特開平06−167611号に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値が特開平10−068818号に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号や特開平09−197127号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数が0.65〜0.85としたり、I3 -やI5 -の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
特開2002−006133号に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力が4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さが中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率n0を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
本発明の偏光板は、LCDの視野角拡大フィルム、反射型LCDに適用するためのλ/4板等の位相差フィルム、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
(1)光学補償フィルム
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている光学補償フィルムと組み合わせて使用することができる。
第1にセル側の保護フィルムに粘着剤等を介して位相差フィルムを貼り合せたものであり、第2はセル側の保護フィルム上に光学異方性層を設けるものである。
さらに、第1のタイプと第2のタイプをさらに積層したものを好ましく用いることができる。
位相差フィルムとしては、ポリマーフィルムを延伸したものを用いることができる。ポリマーフィルムとしては、ポリカーボネート、ポリイミド、さらにノルボルネン系樹脂(JSR社製アートン、日本ゼオン社製ゼオノア等)を好ましく用いることができる。
延伸は目標のレターデーションに応じて1軸延伸、2軸延伸のどちらも用いることができる。
(H)
液晶セル側の保護フィルムのRe/Rth比>位相差フィルムのRe/Rth比
さらに好ましくは
液晶セル側の保護フィルムのRe/Rth比>位相差フィルムのRe/Rth比+10
である。
(J)
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透湿度>位相差フィルムの単位厚みあたりの透湿度
さらに好ましくは、
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透湿度>位相差フィルムの単位厚みあたりの透湿度+0.5
である。なお、単位厚みあたりの透湿度はJIS Z 0208に記載の方法により25℃90%24hrの温湿度条件で測定した透湿度(g/m2)をフィルムの厚み(μm)で序したものである。
レターデーションと透湿度を上記関係に調節することにより、温度湿度による視野角補償効果の変化の小さい光学補償フィルムを得られる。
光学異方性層は液晶セル側の偏光板保護フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム、その上に設けられた配向層、および該配向層上に形成された液晶性化合物からなる光学異方性層から構成され、かつ光学異方性層がUV光照射により架橋されている。
(VII) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基であり;L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基であり;L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり;Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基であり;そして、nは、0、1または2である。
Q1およびQ2の重合性基は、付加重合反応、開環重合反応または縮重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に、重合性基の例を示す。
L−2:−CO−NH−
L−3:−O−CO−O−
L−4:−二価の鎖状基−O−
L−5:−二価の鎖状基−CO−
L−6:−二価の鎖状基−O−CO−
L−7:−二価の鎖状基−CO−O−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−9:−O−二価の鎖状基−O−
L−10:−O−二価の鎖状基−CO−
L−11:−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−12:−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−13:−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−14:−CO−二価の鎖状基−CO−
L−15:−CO−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−二価の鎖状基−CO−O−
L−17:−CO−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−21:−O−CO−二価の鎖状基−CO−O−
L−22:−O−CO−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−23:−O−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−25:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−
L−26:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−27:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−30:−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−
L−31:−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−32:−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−33:−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−34:−CO−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−
L−35:−CO−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−36:−CO−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−CO−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−38:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−39:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−40:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−42:−O−CO−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−43:−O−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−45:−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−
L−46:−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−
L−47:−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−O−
L−48:−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−50:−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−
L−51:−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−
L−52:−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−O−
L−53:−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−54:−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−
L−55:−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−
L−56:−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−O−
L−57:−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−59:−CO−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−O−
L−60:−CO−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−61:−O−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−CO−O−
L−62:−O−CO−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−63:−O−CO−O−二価の鎖状基−S−二価の鎖状基−O−CO−O−
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることが最も好ましい。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることが最も好ましい。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることが最も好ましい。
二価の鎖状基の例には、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、1−メチルテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、1−メチルトリメチレンおよび2−メチルトリメチレンが含まれる。
環状基が有する環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環の方が好ましい。
以下に、式(VII)で表される重合性棒状液晶性分子の例を示す。
光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい
(I)
液晶セル側の保護フィルムのRe/Rth比>光学異方性層のRe/Rth比
さらに好ましくは
液晶セル側の保護フィルムのRe/Rth比>光学異方性層のRe/Rth比+10
である。
(K)
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透湿度>光学異方性層の単位厚みあたりの透湿度
さらに好ましくは、
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透湿度>光学異方性層の単位厚みあたりの透湿度+0.5
である。なお、単位厚みあたりの透湿度はJIS Z 0208に記載の方法により25℃90%24hrの温湿度条件で測定した透湿度(g/m2)をフィルムの厚み(μm)で序したものである。
レターデーションと透湿度を上記関係に調節することにより、温度湿度による視野角補償効果の変化の小さい光学補償フィルムを得られる。
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 26頁〜28頁や特開2002−301783号などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
本発明の偏光板と輝度向上フィルムは、粘着剤を介して貼合された形態、もしくは偏光板の保護フィルムの一方を輝度向上フィルムとした一体型として使用することが好ましい。
本発明の偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは視野角補償フィルムにおける光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面の設けて使用できる。
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
次に、本発明で好ましく用いられる粘着剤について説明する。
粘着剤としては、アクリル酸系、メタクリル酸系、ブチルゴム系、シリコーン系などのベースポリマーを用いた粘着剤が使用できる。特に限定されるものでないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを二種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。粘着剤では通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板8のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子17が上下基板に垂直に配向する。
上側偏光板11の吸収軸12と下側偏光板22の吸収軸23の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板11の吸収軸12と上側基板15のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
アセチル化度2.80のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
(レターデーション上昇剤溶液組成)
レターデーション上昇剤(I−2) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
セルロースアシレートの種類、レターデーション上昇剤の種類、添加量、UV剤の種類、添加量並びに搬送方向及び幅方向の延伸倍率を表1の内容に変更した以外はセルロースアシレートフィルム1と同様にしてセルロースアシレートフィルム2〜11を作製した。
JIS Z 0208に記載の方法に従い、各サンプルの透湿度を測定した。試験を行った温湿度条件は25℃90%RHである。
また、下記方法により25℃60%におけるRe及びRthを測定した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い、25℃60%における波長590nmのRe及びRthを測定した。
(鹸化処理)
セルロースアシレートフィルム1〜11を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム1を偏光子の両側に貼り付けた。偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。このようにして偏光板(A)を作製した。
実施例3と同様にして表3に示すセルロースアシレートフィルムの組み合わせで偏光板(A)〜(M)を作製した。
偏光板(A)〜(M)の保護フィルムの平均弾性率を以下の方法で測定した。結果を表3に示す。
サンプルを25℃60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K7127に記載の方法に従って弾性率を測定した。引っ張り試験機は(株)エー・アンド・デイ製テンシロンを用いた。
実施例4で作製した偏光板(A)のセルロースアシレートフィルム1側にJSR(株)製のアートンフィルムを2軸延伸処理した位相差膜を粘着剤で貼りあわせた。使用した位相差フィルムのReは62nm、Rthは25nmであった。このようにして位相差フィルムつき偏光板(A)を作製した
[実施例6]
偏光板(B)〜(M)についても実施例5と同様にして実施例5と同じ位相差フィルムを貼りあわせ、位相差つき偏光板(B)〜(M)を作製した。
〔VA液晶表示装置の作製と評価〕
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)からセルロースアシレートフィルム33及び偏光子34からなる上側偏光板30、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)31、セルロースアシレートフィルム33及び偏光子34からなる下側偏光板32を積層し、さらにバックライト光源(図示せず)を配置した。以下の例では、上側偏光板に実施例4で作製した位相差フィルムつき偏光板(A)を、下側偏光板に本発明の比較例の偏光板(K)を使用している。
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
さらに、上側偏光板を位相差フィルムつき偏光板(B)〜(M)に変更した以外は同様にして、液晶表示装置(B)〜(M)を作製した。
作製した液晶表示装置の耐久性を以下の方法で評価した。結果を表4に示す。
液晶表示装置を40℃90%RHの湿度で200時間連続点灯した後の、周辺部に発生する光漏れ部の面積、及び中央部のコントラストを評価した。
(光漏れ)
光漏れの程度を下記の基準で評価した。
A:全体の5%以下の面積で光漏れ
B:全体の5%以上10%以下の面積で光漏れ
C:全体の10%以上20%以下の面積で光漏れ
D:全体の20%以上40%以下の面積で光漏れ
E:全体の40%以上面積で光漏れ
(コントラスト)
TOPCON社製BM−5で中央部を左30°から観察し、コントラストを測定した。
<鹸化処理>
実施例1で作製したセルロースアセテートフィルム1上に下記組成の液を5.2ml/m2塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
(鹸化液組成)
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
水酸化カリウム 68質量部
界面活性剤 n−C16H33O(C2H4)10H 12質量部
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアシレートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
配向膜上に、棒状液晶性化合物(IV−6)41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート(D−1)を作製した。
波長546nmで測定した光学異方性層のReが43nm、Rthは67nmであった。
また、単位あたりの透湿度は15g/m2/μmであった。なお、光学異方性層の透湿度は光学異方性塗布前後でのフィルムの透湿度変化を測定することにより求めることができる。
さらに市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
TN型液晶セルを使用した20インチの液晶表示装置(LC−20V1、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
本発明の光学補償シートを用いた液晶表示装置は高湿下で長時間使用しても表示ムラが発生せず良好な画像が得られることがわかった。
(セルロースアシレートフィルム201の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液201を調製した。
アセチル化度2.80のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 5.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液201 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
(レターデーション上昇剤溶液組成)
レターデーション上昇剤(B−121) 10.0質量部
レターデーション上昇剤(B−122) 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液201 12.8質量部
セルロースアシレートフィルム201においてレターデーション上昇剤の種類及び添加量を表5の内容に変更した以外は同様にして本発明のセルロースアシレートフィルム202〜204を作製した。
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液211を調製した。
アセチル化度2.0、プロピオニル化度0.8のセルロースアセテートプロピオネート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
エタノール(第2溶媒) 60.0質量部
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液211 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
(レターデーション上昇剤溶液組成)
UV剤A 10.0質量部
UV剤B 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
エタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)により25℃60%におけるRe及びRthを測定した。結果を表6に示す。
(偏光板201〜204及び211の作製)
実施例9で作製したセルロースアシレートフィルム201〜204及び211を用いて実施例2および3と同様の処理により偏光板201〜204及び偏光板211を作製した。
(偏光板201−Aの作製)
実施例10で作製した偏光板201の本発明のセルロースアシレートフィルム201側に粘着剤を用いて延伸アートンフィルム(Re(590)=100、Rth(590)=117nm)を貼り付け偏光板201−Aを作製した。なお、偏光板の透過軸と延伸アートンフィルムの遅相軸が平行となるように貼りあわせた。
偏光板201−Aと同様にして偏光板202〜204及び211についても延伸アートンフィルムを貼りあわせ、偏光板202−A〜204−A及び211−Aを作製した。
(液晶表示装置の作製)
実施例7の液晶表示装置(図3)の上側偏光板には実施例11で作製した延伸アートンフィルムつき偏光板(201−A)を延伸アートンフィルムが液晶セル側となるように、下側偏光板には市販の偏光板(サンリッツ社製HLC2−5618)を、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置401を作製した。
さらに、上側偏光板を延伸アートンフィルムつき偏光板(202−A)〜(204−A)及び(211−A)に変更した以外は同様にして、液晶表示装置402〜405を作製した。
(色味視野角の変化)
実施例12で作製した液晶表示装置401〜405について極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。
結果を表7に示す。
2 偏光子
3 機能性光学フィルム
4 粘着層
5 偏光板
11 上偏光板
12 上偏光板吸収軸
13 上視野角拡大フィルム
14 上視野角拡大フィルム配向制御方向
15 液晶セル上電極基板
16 上基板配向制御方向
17 液晶層
18 液晶セル下電極基板
19 下基板配向制御方向
20 下視野角拡大フィルム
21 下視野角拡大フィルム配向制御方向
22 下偏光板
23 下偏光板吸収軸
30 上側偏光板
31 VAモード液晶セル
32 下側偏光板
33 セルロースアシレートフィルム
34 偏光子
Claims (22)
- 少なくとも1つのレターデーション上昇剤を含有し、
面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが下記式(A)の関係を満たすことを特徴とする
セルロースアシレートフィルム。
(A) 30<Rth(590)/Re(590)
(ここでRe(λ)及びRth(λ)は、それぞれ波長λnmにおけるRe及びRthを表す。) - Re(590)が0nm以上5nm以下である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
- Rth(590)が100nm以上400nm以下である請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- Rthが下記式(B)及び(C)の関係を満たす請求項1〜3のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルム。
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (B)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (C) - 膜厚が90μm以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルム。
- アセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記式(D)及び(E)を満たす請求項1〜5のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルム。
(D) 2.0≦A+B≦3.0
(E) 0≦B≦1.5 - 下記式(II)で表されるレターデーション上昇剤の少なくとも1種を含有する請求項1〜6のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルム。
- セルロースアシレート及び溶媒を含む溶液を調製する工程、前記溶液を支持体上に流延する工程、及び前記溶媒を除去乾燥してフィルムを形成する工程を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
フィルム製膜時の搬送方向に対して垂直な方向(以下幅方向)に1.0以上1.1以下の倍率で延伸する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。 - セルロースアシレート及び溶媒を含む溶液を調製する工程、前記溶液を支持体上に流延する工程、及び前記溶媒を除去乾燥してフィルムを形成する工程を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
フィルム製膜時の搬送方向に対して、平行及び垂直の2方向に同時あるいは逐次に延伸する工程をさらに含み、搬送方向の延伸倍率と垂直方向の延伸倍率が下記式(F)の関係を満たす請求項1〜10のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
式(F)
0.01<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.1 - 請求項11又は12に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルム。
- 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板であって、
該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜10、13のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする
偏光板。 - 偏光子の両側の保護フィルムの弾性率比が下記式(G)を満たす請求項14に記載の偏光板。
式(G)
0.75<(液晶セル側の保護フィルムの弾性率)/(空気界面側の保護フィルムの弾性率)<1.33 - 液晶セル側の保護フィルム上にさらに1枚以上の位相差フィルムが貼りあわされた請求項14又は15に記載の偏光板。
- 液晶セル側の保護フィルム上に光学異方性層を設けた請求項14〜16のいずれか1つに記載の偏光板。
- 液晶セル側の保護フィルムが請求項1〜10、13のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムであり、液晶セル側の保護フィルム上の位相差フィルムのRth(590)/Re(590)比が下記式(H)の関係を満たす請求項16に記載の偏光板。
式(H)
液晶セル側の保護フィルムのRth(590)/Re(590)比>位相差フィルムのRth(590)/Re(590)比 - 液晶セル側の保護フィルムが請求項1〜10、13のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムであり、液晶セル側の保護フィルム上の光学異方性層のRth(590)/Re(590)比が下記式(I)の関係を満たす請求項17に記載の偏光板。
式(I)
液晶セル側の保護フィルムのRth(590)/Re(590)比>光学異方性層のRth(590)/Re(590)比 - 液晶セル側の保護フィルムが請求項1〜10、13のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムであり、液晶セル側の保護フィルム上の位相差フィルムの単位厚みあたりの透水度が下記式(J)の関係を満たす請求項16又は18に記載の偏光板。
式(J)
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透水度>位相差フィルムの単位厚みあたりの透水度 - 液晶セル側の保護フィルムが請求項1〜10、13のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムであり、液晶セル側保護フィルム上の光学異方性層の単位厚みあたりの透水度が下記式(K)の関係を満たす請求項17又は19の偏光板。
式(K)
液晶セル側の保護フィルムの単位厚みあたりの透水度>光学異方性層の単位厚みあたりの透水度 - 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、
少なくとも1枚の偏光板が請求項14〜21のいずれか1つに記載の偏光板であることを特徴とする
液晶表示装置。
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