JP5796989B2 - 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 - Google Patents
偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5796989B2 JP5796989B2 JP2011087145A JP2011087145A JP5796989B2 JP 5796989 B2 JP5796989 B2 JP 5796989B2 JP 2011087145 A JP2011087145 A JP 2011087145A JP 2011087145 A JP2011087145 A JP 2011087145A JP 5796989 B2 JP5796989 B2 JP 5796989B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- polarizing plate
- acid
- polarizer
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Polarising Elements (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
Description
さらに高温高湿下の偏光子耐久性に加えて乾熱耐久性を検討した例として、特許文献4には、ヨウ素、ヨウ化物、架橋剤および/または耐水化剤(ホウ酸など)を含有したポリビニル系樹脂フィルムを延伸処理した後に、pHが2.4≦pH<6.0の酸処理溶液(ホウ酸を除く)で処理することで、65℃、相対湿度93%での湿熱耐久性に優れ、好ましくは90℃雰囲気中における乾熱耐久性にも優れる偏光子を製造できることが開示されている。
しかしながら、特許文献2〜4のいずれの文献においても、偏光板に組み込まれた後の偏光子層のpHについては着目していなかった。
また、本発明者らが上記特許文献4に記載の方法で得られた偏光子を一般的な偏光板保護フィルムと組み合わせた偏光板を製造してその性能を検討したところ、使用する弱酸の濃度を同文献実施例13に記載の程度まで顕著に高くしたとしても、80℃経時条件下での直交透過率変化は依然として大きく、物としても偏光板の性能に不満が残るものであることがわかった。さらに、製造方法の観点からも、弱酸の濃度を顕著に高める必要があるため、製造コストの観点を含め、さらなる改善が求められる方法であることがわかった。
また、本発明者らが上記特許文献5に記載の方法で得られた偏光子を一般的な偏光板保護フィルムと組み合わせた偏光板を製造してその性能を検討したところ、偏光子の高温低湿下での直交透過率変化量には不満が残り、依然として大きく物としても偏光板の性能に不満が残るものであることがわかった。
すなわち、高温高湿下での偏光子耐久性と、高温低湿下での偏光子耐久性を共に改善された偏光板はこれまで知られておらず、改良が求められていた。
一方、高温低湿下については、偏光子自体によるpH変化が小さく、かつ偏光板保護フィルムからの酸の移動も起きないため、偏光子のpHは変化せず、クロス透過率も変化が小さいことを見出すに至った。
[1] 偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、前記偏光子の水溶液の下記方法(1)で測定したpHが4〜7であり、60℃、相対湿度95%、500時間経時前後において、下記方法(1)で測定した前記偏光子の水溶液のpH変化が0.4未満であることを特徴とする偏光板。
方法(1):偏光子40mgを純水15mlに浸漬し100℃で2時間加熱処理した後の水溶液のpHを測定する。
[2] 前記偏光板保護フィルムの少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含むことを特徴とする[1]に記載の偏光板。
[3] 前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする[2]に記載の偏光板。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
[4] 前記一般式(1)におけるXが、少なくとも一つのカルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基を有することを特徴とする[3]に記載の偏光板。
[5] 前記一般式(1)におけるLが単結合、あるいは、下記ユニット群から選択される2価以上の連結基または下記ユニット群から選択される2以上のユニットを組み合わせて得られる2価以上の連結基であることを特徴とする[3]または[4]に記載の偏光板。
ユニット:−O−、−CO−、−N−(R2)−(但し、前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH(OH)−、−CH2−、−CH=CH−、−SO2−、
[7] 前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする[3]〜[6]のいずれか一項の樹脂フィルム。
一般式(2)
(式中、sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。)
[8] 前記偏光板保護フィルムがセルロースアシレートを含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板。
[9] 前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.0〜2.97であることを特徴とする[8]に記載の偏光板。
[10] 偏光子の両側に2枚の偏光板保護フィルムを積層する工程を含み、前記偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部を含む組成物を用いて製膜されたことを特徴とする偏光板の製造方法。
[11] 前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする[10]に記載の偏光板の製造方法。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
[12] 前記一般式(1)におけるXが、少なくとも一つのカルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基を有することを特徴とする[11]に記載の偏光板の製造方法。
[13] 前記一般式(1)におけるLが単結合、あるいは、下記ユニット群から選択される2価以上の連結基または下記ユニット群から選択される2以上のユニットを組み合わせて得られる2価以上の連結基であることを特徴とする[11]または[12]に記載の偏光板の製造方法。
ユニット:−O−、−CO−、−N−(R2)−(但し、前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH(OH)−、−CH2−、−CH=CH−、−SO2−、
[15] 前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする[11]〜[14]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
一般式(2)
(式中sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。)
[16] 前記樹脂がセルロースアシレートを含むことを特徴とする[10]〜[15]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
[17] 前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.0〜2.97であることを特徴とする[16]に記載の偏光板の製造方法。
[18] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の偏光板は、偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、前記偏光子の水溶液の下記方法(1)で測定したpHが4〜7であり、60℃、相対湿度95%、500時間経時前後において、下記方法(1)で測定した前記偏光子の水溶液のpH変化が0.4未満であることを特徴とする。
方法(1):偏光子40mgを純水15mlに浸漬し100℃で2時間加熱処理した後の水溶液のpHを測定する。
従来の偏光板は高温高湿経時下に偏光子の水溶液のpHが上昇する場合が多く、これが偏光性能劣化の原因であった。これに対し、本発明の偏光板は、偏光板保護フィルム中に添加した有機酸が高温高湿経時下に偏光子へ移動することにより、偏光子の水溶液のpH上昇を抑制するものである。
以下に本発明の偏光板について詳しく説明する。
(偏光子の水溶液のpH)
本発明の偏光板は、高温環境下で経時させる前における、前記偏光子の水溶液の前記方法(1)で測定したpHが4〜7である。このような構成とすることで、80℃、Dry環境下に500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)を小さくすることができる。
前記偏光子の水溶液のpHは4.0〜6.5であることが好ましく、4.0〜6.0であることがより好ましい
前記偏光子の水溶液のpH変化は0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
また、偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%に500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.65%以下であり、且つ、80℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.15%以下である。
60℃、相対湿度95%に500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は、0.30%以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましい。一方、80℃、Dry環境下に500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は、0.10%以下であることがより好ましい。
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下および高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
ここで、偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。(1)の偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に前記有機酸を含む偏光板保護フィルムが挟まれるように組み合わせて、互いの吸収軸が直交させたものを2つ用意する。(2)の偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態での測定は、ガラスの上に偏光板を、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。本発明の実施例では、上記(1)および(2)の試験方法のうち、(2)の試験方法を採用した。
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明の偏光板に用いることができる偏光子と2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる前記偏光子としては、本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。このような二色性染料の具体例としては、特開2007−086748号公報に記載のものを挙げることができる。
さらに、前記偏光子は本発明の趣旨に反しない限りにおいて、後述する偏光板保護フィルムに含まれている有機酸を、含んでいてもよい。
その場合、前記有機酸の含有量は、偏光子の基材フィルムに用いられる樹脂に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。0.01質量部以上であれば、偏光子耐久性改良効果が得られやすく、また10質量部以下であれば、偏光子中での相分離による白濁をおこしにくい。前記有機酸の含有量は0.1〜8質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、後述する偏光板保護フィルムに前記有機酸が含まれているため、偏光子に有機酸が含まれていなくても、十分に本発明の偏光板の効果を得ることができる。
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
次に、本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムについて説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚は、樹脂と、オクタノール/水分配係数(以下logP)が3以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含有することを特徴とする。このような有機酸を用いることで、前記偏光板保護フィルムは、高温低湿下での偏光子耐久性を悪化させることなく高温高湿下での偏光子耐久性を改善することができる。
以下、前記偏光板保護フィルムに用いられる有機酸、フィルム基材、前記偏光板保護フィルムの好ましい特性について説明する。
(オクタノール/水分配係数)
本発明の偏光板は、前記偏光板保護フィルムの少なくとも1枚が、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を含むことが好ましい。
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルムに含まれる有機酸のlogPは、3〜7が好ましく、3.5〜6がさらに好ましい。logP値を3以上にすることにより、有機酸の偏光子へ移動を高温高湿経時下のみに制御でき、高温低湿下の偏光板耐久性を悪化させることなく、高温高湿下の偏光子耐久性を改良できる。一方、logP値を7以下にすることにより、有機酸添加による偏光板保護フィルムのヘイズ上昇を抑制することができる。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、本発明ではCambridge Soft社のシステム:ChemDraw Proに組み込まれたCLOGPプログラムを用いた。
また、ある化合物のlogPの値が、測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することとなる。
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルムに含まれる有機酸は、25℃における酸解離定数は6以下であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
本発明における前記酸解離定数の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ適定法を採用した。
前記有機酸としては下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(式中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
前記一般式(1)で表される有機酸において、酸性基である前記X部分により溶液製膜設備(ドープを流涎するときの金属支持体)からの剥離性を改善することができる。剥離性が低下する機構として、流延するときの金属支持体の金属表面(例えば、ステンレスなど)と、ドープに含まれるセルロース中の極性部位(例えばOH基など)とが、直接もしくはドープ中に存在している成分(例えば、酸性基を有する化合物または不純物)を介して間接的に、水素結合の様な何らかの相互作用を生じさせて金属支持体とドープとの界面の密着力が増大する機構が想定される。この相互作用による剥離性低下機構を想定した場合、前記一般式(1)で表される有機酸はこの相互作用を低減または切断する作用を発現できると考えられる。
さらに、酸性基である前記X部分が支持体の金属表面に付着し、特定の構造の疎水性基である前記R1部分が支持体の金属表面を酸素等の酸化剤からブロックすることにより、前記R1の範囲から外れる疎水性基を有する有機酸に比べて、金属の腐食を防止することができる。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
R1はさらに好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、環員数6〜24の複素環基、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のアリール基、環員数6〜20の複素環基、炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
nが2以上のとき、n個のR1は同一であっても、異なっていてもよい。
ユニット:
−O−、−CO−、−N(−R2)−(前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH2−、−SO2−、
また、前記R2はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でもカルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基またはイミノジ酢酸(−N(CH2COOH)(CH2COOH))由来の基を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
L2: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−;
L3: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R3))−(CH2)r−O−;
L4: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−CO−;
L4’: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R3))−(CH2)r−O−CO−;
L5:−(CH2)p−N(CH2COOH)−;
L6: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−;
L7: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−O−;
L8: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−;
L9: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−(CH2)r−;
L10: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−;
L11: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−CH(CH2COOH)−;
L12: −(CH2)p−N(CH2COOH)−SO2−。
前記Lと前記Xはエステル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記Xにはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記R1はエステル結合、エーテル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合またはアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記R1にはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルシクロコハク酸。
前記一般式(1)で表される有機酸は、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることが好ましい。
一般式(2)
R4が表す基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。R4が表す基の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
R4が表す基の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基の好ましい範囲は前記R4が表す基の置換基の好ましい範囲と同様である。
また、R4として最も好ましいのは、アリール基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基、または、カルバモイル基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基であり、該カルバモイル基はアリール基で置換されていることが好ましい。さらに該アリール基は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸は、多価有機酸の一部誘導体であることが好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(1)で表される有機酸は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
その中でも、有機酸モノグリセリドまたは有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個が無置換の水酸基であり、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合している水酸基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合している水酸基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換の水酸基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後においえて90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン社製ポエムB−30、同ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
添加量が0.1%以上であれば偏光子耐久性改良効果および剥離性改良効果が十分となる。また、20質量%以下の添加量であれば、高温高湿経時において有機酸がブリードアウトし難く、偏光板の直交透過率が上昇しにくく、好ましい。
前記偏光板保護フィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の濃度は、フィルム100gあたり0.2〜40mmolであることが好ましく、0.5〜5mmolであることがより好ましく、0.6〜4.5mmolであることが特に好ましく、0.8〜4.0mmolであることがより特に好ましい。
次に前記偏光板保護フィルムで使用するフィルム基材である樹脂について説明する。
前記偏光板保護フィルムに用いられるフィルム基材としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。前記フィルム基材としてはセルロースアシレート、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げることができ、その中でもセルロースアシレート樹脂が好ましい。すなわち前記偏光板保護フィルムはセルロースアシレートを含むことが好ましい。
以下、本発明に用いることができるセルロースアシレートについて、詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res., 273(1995)83-91)に記載がある。
本発明に用いることができるセルロースアシレートのアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましく、アセチル基がより特に好ましい。
本発明においては、置換基および/または置換度の異なる2種のセルロースアシレートを併用、混合して用いてもよいし、後述の共流延法などにより、異なるセルロースアシレートからなる複数層からなるフィルムを形成してもよい。
前記偏光板保護フィルムは、以下の特性を満たすことが好ましい。
ここで、本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムは、ともに同じ偏光板保護フィルムであっても、異なる偏光板保護フィルムであってもよい。
前記その他の偏光板保護フィルムとしては、60℃、相対湿度90%、24時間経時後の透湿度が、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムとバランスの取れた量であるフィルムを用いることができる。
また、その他、含水率、弾性率などを考慮して、前記その他の偏光板保護フィルムを選択することが好ましい。
前記その他の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)、特開2006−58322号公報に記載の脂環式構造含有重合体樹脂フィルム、特開2009−122644号公報に記載のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。
前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの厚みは30μm〜100μmが好ましく、30μm〜80μmより好ましく、35μm〜65μmが特に好ましい。
一方、有機酸を含まない前記その他の偏光板保護フィルムの膜厚は、30μm〜100μmであることが好ましく、35〜80μmであることがより好ましく、35〜65μmであることが特に好ましい。
前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの透湿度は、10〜500g/m2・dayであることが好ましく、100〜500g/m2・dayであることがより好ましく、200〜450g/m2・dayであることが特に好ましい。
一方、有機酸を含まない前記その他の偏光板保護フィルムの透湿度は、10〜500g/m2・dayであることが好ましく、100〜500g/m2・dayであることがより好ましく、200〜450g/m2・dayであることが特に好ましい。
本明細書中における透湿度の値は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度40℃、相対湿度92%の雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量(g)を測定した値である。
本発明の偏光板の製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、偏光子の両側に2枚の偏光板保護フィルムを積層する工程を含み、前記偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含む組成物を用いて製膜されたことを特徴とする。
以下、本発明の偏光板の製造方法について、偏光板保護フィルムの製造方法、偏光子の製造方法、偏光板保護フィルムと偏光子の積層方法、偏光板の機能化の順に説明する。
前記有機酸を含む偏光板保護フィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。以下、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの製造方法について、基材としてセルロースアシレートを用いた態様を例に挙げて説明するが、その他の樹脂を用いた場合も同様に前記有機酸を含む偏光板保護フィルムを製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
本発明の製造方法は、前記偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含む組成物を用いて製膜する工程を含む。偏光板保護フィルムの樹脂原料であるセルロースアシレート溶液に対し、前記有機酸を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時セルロースアシレートと混合してもよい。
偏光板保護フィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
前記偏光板保護フィルムには、延伸処理を行うこともできる。延伸処理により偏光板保護フィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載される方法を用いることができる。
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、必要に応じて可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
また、前記偏光子中に酸を添加しなくてもよく、添加してもよいが、添加する場合はこの工程で加えることが好ましい。なお、偏光子中に酸を添加する場合は、前記偏光板保護フィルムに含まれる前記有機酸と同じものを用いてもよい。
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.3倍程度に延伸する態様が好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許登録第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する。なお、上述のとおり、本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムの内、1枚は前記有機酸を含んでおり、もう1枚は前記有機酸を含まないことが好ましい。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
ここで、実質的に平行であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、または薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、または、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
〔偏光板保護フィルムの作製〕
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.40、重合度400のセルロースアセテート
100.0質量部
重量平均分子量1000の重縮合ポリエステルA 17.0質量部
有機酸A 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
前記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
作製した実施例101の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例101の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて、特開2005−62548号公報に記載の方法で偏光子を作製した。なお、このとき、偏光子はpH4.3程度のホウ酸溶液で架橋処理をしたのみであり、その他に酸性溶液で処理する工程は行わなかった。
鹸化処理した実施例101の偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて製造した偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例101の偏光板保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。なお、有機酸を含まない市販のセルローストリアセテートフィルムは膜厚80μm、透湿度400g/m2・dayである。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例1の偏光板保護フィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
〔実施例102〜110および比較例201〜207の偏光板保護フィルムの作製〕
実施例101においてセルロースアシレートの置換度、有機酸の種類および添加量、フィルム厚みを下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜110および比較例201〜207の偏光板保護フィルムを製造した。
また、比較例201で用いたクエン酸は特許4136054号に記載の例示化合物であり、同文献に記載の化合物の効果を追試したものである。また、比較例207は特開2005−62458号公報の実施例5の効果を追試したものである。
実施例102〜110の偏光板保護フィルムおよび比較例201〜207の偏光板保護フィルムについても、それぞれ実施例101と同様にしてけん化処理および偏光板作製を行い、各実施例および比較例の偏光板を作製した。
(偏光板耐久性の評価)
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率を本明細書に記載した方法で測定した。
その後、60℃、相対湿度95%の環境下で500時間保存した後と、80℃、調湿なしで500時間保存した後のそれぞれについて同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として下記表1にその結果を記載した。なお、調湿なしの環境下での相対湿度は、0%〜20%の範囲であった。
偏光子の水溶液のpHは以下の方法により測定した。
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板を4cm×4cmに切り出し、メチレンクロライド100ccに3時間浸漬、ついでアセトン100ccに3時間浸漬し、偏光板保護フィルムを溶解して取り除いた。残った偏光子(PVA)を取り出し、イオン交換水15ccの入ったねじ口瓶に入れた。ねじ口瓶のふたを閉め、煮沸状態の湯浴に浸け、2時間加熱して偏光子(PVA)を溶解した。新電元工業株式会社製のISFET pH計pHBOYKS501を使用して、溶解後のPVA水溶液のpHを測定した。
また、60℃、相対湿度95%で500時間保存した後においても同様にして偏光子の水溶液のpHを測定した。これらの結果と、両者のpHの差をpH変化として下記表1に記載した。
一方、経時前の水溶液のpHが高温環境下での経時前において4未満であり、かつ、60℃、相対湿度95%、500時間経時後前後のpH変化が0.4以上である比較例201の偏光板は、高温低湿経時後の偏光子の劣化が大きいことがわかった。また、60℃、相対湿度95%、500時間経時後前後のpH変化が0.4以上である比較例202〜204の偏光板は、高温高湿経時後の偏光子の劣化が大きいことがわかった。
セルロースアセテートプロピオネートを用いたときに、経時前の水溶液のpHが高温環境下での経時前において4未満であり、かつ、60℃、相対湿度95%、500時間経時後前後のpH変化が0.4以上である比較例205の偏光板は、高温高湿経時後および高温低湿経時後ともに偏光子の劣化が大きいことが分かった。同様に、セルロースアセテートプロピオネートを用いたときに、60℃、相対湿度95%、500時間経時後前後のpH変化が0.4以上である比較例205の偏光板は、高温高湿経時後および高温低湿経時後ともに偏光子の劣化が大きいことが分かった。
〔液晶表示装置の作製〕
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に本発明の偏光板として、実施例101の偏光板保護フィルムを用いた本発明の偏光板を、実施例101の偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして作製した本発明の液晶表示装置は市販の液晶テレビに対して、環境湿度を変えても斜めから観察した場合のコントラスト変化および色味変化が小さく、かつ高温高湿下、および高温低湿下の双方において、長時間使用してもコントラストの低下が小さく好ましかった。
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (13)
- 偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
前記偏光子の水溶液の下記方法(1)で測定したpHが4〜7であり、
60℃、相対湿度95%、500時間経時前後において、下記方法(1)で測定した前記偏光子の水溶液のpH変化が0.4未満であり、
前記偏光板保護フィルムの少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含み、
前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記一般式(1)で表される有機酸が、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子が結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することを特徴とする偏光板。
方法(1):偏光子40mgを純水15mlに浸漬し100℃で2時間加熱処理した後の水溶液のpHを測定する。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。) - 偏光子、および該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、
前記偏光子の水溶液の下記方法(1)で測定したpHが4〜7であり、
60℃、相対湿度95%、500時間経時前後において、下記方法(1)で測定した前記偏光子の水溶液のpH変化が0.4未満であり、
前記偏光板保護フィルムの少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含み、
前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする偏光板。
方法(1):偏光子40mgを純水15mlに浸漬し100℃で2時間加熱処理した後の水溶液のpHを測定する。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
(式中、sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。) - 前記一般式(1)におけるXが、少なくとも一つのカルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
- 前記偏光板保護フィルムがセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.0〜2.97であることを特徴とする請求項5に記載の偏光板。
- 偏光子の両側に2枚の偏光板保護フィルムを積層する工程を含み、
前記偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部を含む組成物を用いて製膜され、
前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記一般式(1)で表される有機酸が、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子が結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することを特徴とする偏光板の製造方法。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。) - 偏光子の両側に2枚の偏光板保護フィルムを積層する工程を含み、
前記偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚が、樹脂と、オクタノール/水分配係数が3.0以上の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部を含む組成物を用いて製膜され、
前記有機酸が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする偏光板の製造方法。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
(式中sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。) - 前記一般式(1)におけるXが、少なくとも一つのカルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基を有することを特徴とする請求項7または8に記載の偏光板の製造方法。
- 前記樹脂がセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
- 前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.0〜2.97であることを特徴とする請求項11に記載の偏光板の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011087145A JP5796989B2 (ja) | 2010-04-26 | 2011-04-11 | 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010101413 | 2010-04-26 | ||
JP2010101413 | 2010-04-26 | ||
JP2011087145A JP5796989B2 (ja) | 2010-04-26 | 2011-04-11 | 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011248337A JP2011248337A (ja) | 2011-12-08 |
JP5796989B2 true JP5796989B2 (ja) | 2015-10-21 |
Family
ID=45413606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011087145A Active JP5796989B2 (ja) | 2010-04-26 | 2011-04-11 | 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5796989B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7012891B2 (ja) * | 2020-02-07 | 2022-01-28 | 住友化学株式会社 | 偏光フィルムの製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002146043A (ja) * | 2000-11-09 | 2002-05-22 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートフイルム |
JP2005062458A (ja) * | 2003-08-12 | 2005-03-10 | Fuji Photo Film Co Ltd | 偏光板及び液晶表示装置 |
-
2011
- 2011-04-11 JP JP2011087145A patent/JP5796989B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011248337A (ja) | 2011-12-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5437780B2 (ja) | 偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP5373582B2 (ja) | セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP5827204B2 (ja) | 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 | |
JP6062430B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
JP5473766B2 (ja) | 偏光子およびその製造方法、偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 | |
JP5677627B2 (ja) | 偏光板及び液晶表示装置 | |
JP5745456B2 (ja) | 偏光板および液晶表示装置 | |
JP2014006505A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP5543309B2 (ja) | セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2007126603A (ja) | ポリマーフィルム、ポリマーフィルムの製造方法、び偏光板及び液晶表示装置 | |
JP4740534B2 (ja) | セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP2009161761A (ja) | セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP5606110B2 (ja) | セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP5898443B2 (ja) | セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2005138375A (ja) | セルロースアシレートフィルム、およびその製造方法 | |
JP2005307055A (ja) | セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレートフイルム、それを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置 | |
JP2006206826A (ja) | セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP2009151015A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP5796989B2 (ja) | 偏光板およびその製造方法、並びに液晶表示装置 | |
JP2005272800A (ja) | セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置 | |
JP2013151618A (ja) | セルロースアシレートフィルム、偏光板、及び液晶表示装置 | |
JP2012007015A (ja) | 光学フィルム、偏光板、表示素子および液晶表示装置 | |
JP4530144B2 (ja) | セルロースアセテートフィルム、偏光板及び液晶表示装置 | |
JP5373548B2 (ja) | セルロースアシレート組成物、セルロースアシレートフィルム、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2005307142A (ja) | セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板および液晶表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140109 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140924 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140930 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150421 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150604 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150804 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150818 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5796989 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |