JP2005138375A - セルロースアシレートフィルム、およびその製造方法 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学異方性の小さい、また、熱、湿度による光学特性の変化が小さいセルロースアシレートフィルムを提供する。
【解決手段】セルロースアシレートと添加剤を溶解してドープ液を調製する工程、得られたドープ液を流延する工程、形成されたフィルムを剥離する工程、及び、剥離したフィルムを乾燥する工程を有し、前記乾燥工程における乾燥温度がセルロースアシレートのガラス転移温度以上とした製造方法により製造したセルロースアシレートフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースセルロースアシレートフィルム、およびその製造方法、並びに、偏光板および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であったが、近年、VAモード、IPSモード等の高視野角液晶モードが実用化されており、これによりテレビ等の高視野角が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
液晶表示装置に用いられる光学補償フィルムに対してもコントラストの向上、色味変化の低減に対する要求がさらに厳しくなっている。
液晶表示装置用の光学補償フィルムは偏光板保護フィルム上に光学異方性層を塗布する、あるいは偏光板保護フィルムに他の位相差フィルムを貼りあわせて使用することが一般的である。偏光板保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルムが広く用いられている。しかし、セルロースアシレートフィルムが有するレターデーションが、光学補償の妨げとなる場合があることが知られている。特に、セルロースアシレートフィルムのレターデーションが大きな湿度依存性を有するため、使用環境により液晶表示装置のコントラスト、色味が大きく変化してしまうという問題があった。
これに対して、ある種のポリマーや低分子化合物をセルロースアシレートフィルム中に添加することにより、レターデーションを低下させる方法が開示されているが、これらの方法では改良効果が不十分であり、かつ偏光板加工時に保護フィルムの表面が白濁する等の問題を有していた(特許文献1〜2参照)。
特開2002−22956号公報 特開2001−163995号公報
本発明の目的は、光学異方性の小さいセルロースアシレートフィルムを提供することである。
また、別の本発明の目的は熱、湿度による光学特性の変化が小さいセルロースアシレートフィルムを提供することにある。
また、別の本発明の目的は偏光板作成時の面状故障、性能変化がなく、加工適性に優れた偏光板保護フィルムを提供することにある。
別の本発明の目的は、光学異方性が小さく且つ熱や湿度による光学特性の変化の小さい保護フィルムを用いた偏光板を液晶表示装置に用いることで、光漏れなどの問題を生じることなく、広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、添加剤を含有するセルロースアシレートフィルムをガラス転移温度以上で乾燥させることにより、セルロースアシレート単独に比べて著しくレターデーションを低下さしめることが可能で、かつ湿度によるレターデーション変化も大幅に低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、
1)セルロースアシレートと添加剤を溶解してドープ液を調製する工程、得られたドープ液を流延する工程、形成されたフィルムを剥離する工程、及び、剥離したフィルムを乾燥する工程を有するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記乾燥工程における乾燥温度がセルロースアシレートのガラス転移温度以上であることを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
2)乾燥温度がセルロースアシレートのガラス転移温度よりも20℃以上高い温度であることを特徴とする1)に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
3)前記添加剤のオクタノール-水分配係数が5以下である1)または2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
4)1)〜3)のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルム。
5)添加剤の140℃、1hr処理後の残存率が99%以上である4)に記載のセルロースアシレートフィルム。
6)25℃60%RHにおける下記(I)式及び(II)式で表されるReとRthが0nm≦Re≦10nm、−25nm≦Rth≦25nmであることを特徴とする4)または5)に記載のセルロースアシレートフィルム
(I)式 Re=(nx−ny)×d
(II)式 Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、光学異方性層面内面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、光学異方性層の厚み方向の屈折率であり;そして、dは、光学異方性層面内の厚さ(nm)である]。
7)25℃10%RHにおける前記(I)式で表されるReと25℃80%RHにおける前記(I)式で表されるReの差が10nm以下であることを特徴とする6)に記載のセルロースアシレートフィルム。
8)25℃10%RHにおける前記(II)式で表されるRthと25℃80%RHにおける前記(II)式で表されるRthの差が40nm以下であることを特徴とする6)または7)に記載のセルロースアシレートフィルム。
9)保留性が0.0〜2.0%であることを特徴とする4)〜8)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
10)偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が4)〜9)のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
11)10)に記載の偏光板に粘着層を設けたことを特徴とする偏光板。
12)空気側保護フィルム上に反射防止層を設けたことを特徴とする10)に記載の偏光板。
13)反射層または半透過反射層を有することを特徴とする10)に記載の偏光板。
14)位相差層またはλ/4層を有することを特徴とする10)に記載の偏光板。
15)視野角補償層を有することを特徴とする10)に記載の偏光板。
16)輝度向上層を有することを特徴とする10)に記載の偏光板。
17)液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が10)〜16)のいずれか1項に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
18)液晶セルがIPSモードである(17)に記載の液晶表示装置。
19)液晶セルがVAモードである(17)に記載の液晶表示装置、
を提供するものである。
本発明により、光学補償能が高く、且つ耐久性に優れたセルロースアシレートフィルム及び偏光板を作製することができる。
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)型、OCB(optically compensated bend)型、ECB(electrically controlled birefringence)型、VA(vertically aligned)型、IPS(in-phase switching)型の液晶表示装置に有利に用いることができる。
[セルロースアシレート]
本発明に用いられるセルロースアシレートのアシル基は特に制限は無いがアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基を用いることが好ましい。全アシル基の置換度は1.5〜3.0が好ましく、2.0〜2.95がさらに好ましい。全アシル基がアセチル基であるセルロースアシレートを用いる場合にはアセチル置換度が2.7〜2.95が好ましく、2.8〜2.95がさらに好ましく、2.84〜2.95が最も好ましい。また、特開平13-356214号公報に記載されている2.50以上2.86以下や、特開平13-226495号公報に記載されている2.75以上2.86以下のアセチル置換度も好ましく使用することができる。
2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートは、厚み方向と面内方向のレターデーションを独立に制御することできが、特に好ましい。全アシル基の置換度が低すぎると、レターデーションの面内ばらつきが発生しやすい問題がある。また、6位のアシル基の置換度は0.5以上が好ましく用いられる。0.5以下の置換度の場合、Re、Rthのばらつきが発生しやすい。なお、本発明におけるアシル基の置換度はASTM D817に従って算出した値を採用する。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値は、1.0〜1.7の範囲にあることが好ましく、1.3〜1.65の範囲にあることがさらに好ましく、1.4〜1.6の範囲にあることが最も好ましい。
本発明に用いられるセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載されている合成例1、段落番号0048〜0049に記載されている合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載されている合成例3の合成方法により得られたセルロースアシレートを用いることができる。
[低分子化合物]
次に本発明に用いられる添加剤について説明する。
本発明に用いられる添加剤としてはセルロースアシレートとの相溶性が高く可塑化効果のあるものが好ましい。
本発明には、添加剤としてリン酸エステルまたはカルボン酸エステルを好ましく用いることができる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、エチルフタリルエチルグリコレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、O-アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO-アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
また、下記一般式(I)で表される化合物も好ましくもちいることができる。
Figure 2005138375
上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、イソアミル)であることが好ましく、R、RおよびRの少なくとも1つ以上が炭素原子数1〜3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)であることが特に好ましい。Xは、単結合、−O−、−CO−、アルキレン基(好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは1〜3のもの、例えばメチレン、エチレン、プロピレン)またはアリーレン基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜12のもの。例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン)から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが好ましく、−O−、アルキレン基またはアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが特に好ましい。Yは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数2〜25、より好ましくは2〜20のもの。例えば、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ドデシル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜18のもの。例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル)またはアラルキル基(好ましくは炭素原子数7〜30、より好ましくは7〜20のもの。例えば、ベンジル、クレジル、t-ブチルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル)であることが好ましく、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であることが特に好ましい。−X−Yの組み合わせとしては、−X−Yの総炭素数が0〜40であることが好ましく、1〜30であることがさらに好ましく、1〜25であることが最も好ましい。これら一般式(I)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005138375
Figure 2005138375
また、下記一般式(II)及び(III)で表される化合物も好ましく用いることができる。
Figure 2005138375
上記一般式(II)において、Rはアルキル基またはアリール基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R、RおよびRの炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。また、本発明において、改質剤の添加量は、セルロースアシレートに対し、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが特に好ましい。一般式(II)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005138375
Figure 2005138375
Figure 2005138375
本発明で用いられる一般式(III)の化合物について詳しく説明する。
Figure 2005138375
(式中、XはB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、またはP=Oを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表す。)
はB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、または、P=Oを表し、Xとして好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、N、P=Oであり、更に好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Rが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に前述の置換基Rについて説明する。置換基Rとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、
置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、
リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(III)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2005138375
Figure 2005138375
Figure 2005138375
また、PEG、特開2002-22956号公報に開示のポリエステル、ポリエステルエーテル、特開2001-122979号公報に開示のポリウレタンも本発明の添加剤として好ましく用いることができる。
本発明において、添加剤の添加量は、セルロースアシレートに対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがさらに好ましく、2〜20質量%であることが最も好ましい。
本発明において、添加剤のオクタノール-水分配係数(以下、「logP値」とする)は、5以下であることが好ましく、4以下がさらに好ましい。logP値が大きすぎるとRthが大きくなってしまう。代表的な添加剤のlogPは、上記のC−7が3.9、A−4が2.6、A−6が3.1、C−10が3.9である。
[添加剤の保留性]
ここで保留性とは、高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質をいい、具体的には、サンプルを、25℃60%RH1日放置後の質量を測定した後、80℃90%RHの条件下で2週間放置し、さらに2週間放置後のサンプルを25℃60%RHで一日放置後の質量を測定し、以下の式で保留性を計算する。
保留性=(処理前のサンプル質量-処理後のサンプル質量)/処理前のサンプル質量×100(%)
保留性は0〜2.0%であることが好ましく、0〜1.0%であることがより好ましく、0〜0.5%であることがさらに好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの製造]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートと添加剤を溶解してドープ液を流延する工程、形成されたフイルムを剥離する工程、及び、剥離したフイルムを乾燥する工程を有する製造方法により製造される。本発明のセルロースアシレートフイルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2-エトキシエチルアセテート、2-メトキシエタノールおよび2-ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で、セルロースアシレート溶液を調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)とアルコール(特にメタノール、エタノール、n−ブタノール)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には前述した任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアシレートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45-4554号、同49-5614号、特開昭60-176834号、同60-203430号、同62-115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、剥離したフィルムを乾燥する乾燥工程のどこかで、セルロースアシレートのガラス転移温度以上の乾燥温度で乾燥するものである。乾燥温度は、セルロースアシレートのガラス転移温度よりも20℃以上高い温度であることが好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。乾燥温度が低すぎると、Rth、Reの値が大きく、かつそれらの湿度依存性が大きくなってしまう。
調整したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフイルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフイルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製してもよい。例えば、特開昭61-158414号、特開平1-122419号、および、特開平11-198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフイルム化することもできる。例えば、特公昭60-27562号、特開昭61-94724号、特開昭61-947245号、特開昭61-104813号、特開昭61-158413号、および、特開平6-134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56-162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフイルムの流延方法を用いることもできる。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフイルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フイルムを作製することもできる。例えば、特公昭44-20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフイルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフイルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フイルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3-199201号、同5-1907073号、同5-194789号、同5-271471号、同6-107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が少なすぎると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が多すぎると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
本発明に用いるセルロースアシレートフイルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
[セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度]
セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度の測定はJIS規格K7121記載の方法によりおこなうことができる。なお、本発明においてセルロースアシレートのガラス転移温度とは、添加剤入りのセルロースアシレートのガラス転移温度である。
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度は60℃以上160℃以下が好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度は可塑剤、溶剤等の低分子化合物を含有させることにより低下させることが可能である。
[フイルムのレターデーション]
フイルムのReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記(I)式および(II)式で定義される。
(I)式 Re=(nx-ny)×d
(II)式 Rth={(nx+ny)/2-nz}×d
(I)式および(II)式において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。
(I)式および(II)式において、nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。
(II)式において、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。
(I)式および(II)式において、dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。
本発明のセルロースアシレートフィルムは様々な液晶モードに対応した位相差フィルムとして好ましく用いることができる。
セルロースアシレートフィルムの好ましい光学特性は液晶モードによって異なる。
OCBモード用としてはReは10〜100nmのものが好ましく、20〜70nmのものがさらに好ましい。Rthは50〜300nmのものが好ましく100〜250nmのものがさらに好ましい。
VAモード用としてはReは20〜100nmのものが好ましく、30〜70nmのものがさらに好ましい。Rthは50〜250nmのものが好ましく80〜180nmのものがさらに好ましい。
また、TN用としてはReは0〜50nmのものが好ましく、2〜30nmのものがさらに好ましい。Rthは10〜200nmのものが好ましく30〜150nmのものがさらに好ましい。
OCB用モード及びTN用モードでは前記レターデーション値を有するセルロースアシレートフィルム上に光学異方性層を塗布して光学補償フィルムとして使用できる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは他の光学異方性層あるいは位相差膜と組み合わせてIPS用あるいはVA用の補償膜として好ましく使用することができる。
この場合、上記(I)式及び(II)式において、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、光学異方性層の厚み方向の屈折率であり;そして、dは光学異方性層面内の厚さとなる。
dをnmとしたとき、セルロースアシレートフィルムのReは0〜20nmが好ましく0〜10nmがさらに好ましく、0〜5nmがより好ましい。また、Rthは−25nm〜25nmが好ましく、-20nm〜20nmがさらに好ましく、−10nm〜10nmがより好ましい。
また、セルロースアシレートフィルムの厚み(乾燥膜厚)は、120μm以下であり、20〜110μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
Re,Rthとも小さければ小さいほどコントラストの向上、および視野角依存性の低下のため好ましい。
25℃10%RHのReと25℃80%RHのReの差は、10nm以下であることが好ましく、0〜5nmがさらに好ましい。このReの差が大きすぎると使用環境による色み、コントラストの変化が大きくなるという問題がある。
25℃10%RHのRthと25℃80%RHのRthの差が40nm以下であることが好ましく、0〜15nmがさらに好ましい。このRthの差が大きすぎると使用環境による視野角依存性が大きくなってしまう。
[セルロースアシレートフイルムの表面処理]
セルロースアシレートフイルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7-333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。
偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光子との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
セルロースアシレートフイルムのアルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフイルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフイルムに滴下し、液滴の表面とフイルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフイルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフイルムの表面エネルギーを算出できる。
[透湿度]
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に則り、各試料の透湿度を測定し、面積1m2あたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出する。
セルロースアシレートフィルムの透湿度は様々な方法により調節可能である。
セルロースアシレートフィルムに疎水性化合物を添加し、セルロースアシレートフィルムの吸水率を低下させることにより透湿度を低下させることができる。
前記一般式(I)〜(III)で表される化合物は疎水化剤として好ましく用いることができる。
セルロースアシレートフィルムの吸水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。セルロースアシレートフィルムの25℃80%における平衡含水率は5重量%以下が好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。平衡含水率は前記温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出したものである。
また、透湿度は製膜時に搬送方向及び/あるいは幅方向に延伸し、セルロースアシレートの分子鎖の配向を密にすることによっても低下させることが可能である。
延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフイルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62-115035号、特開平4-152125号、同4-284211号、同4-298310号、同11-48271号などの各公報に記載されている。フイルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フイルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フイルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フイルムの搬送ローラーの速度を調節して、フイルムの剥ぎ取り速度よりもフイルムの巻き取り速度の方を速くするとフイルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フイルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフイルムを延伸できる。フイルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フイルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、5〜50%の範囲にあることが好ましく、10〜40%の範囲にあることがさらに好ましく、15〜35%の範囲にあることが最も好ましい。
[吸湿膨張係数]
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
額縁状の透過率上昇を防止するために、セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10-5/%RH(相対湿度)以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることが更に好ましく、10×10-5/%RH以下とすることが最も好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したポリマーフイルム(位相差板)から幅5mm。長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1 )にして、長さ(L1 )を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1 -L0 )/L0 }/(R1 -R0 )
上記吸湿による寸度変化を小さくするには、製膜時の残留溶剤量を低くしポリマーフイルム中の自由体積を小さくすることが好ましい。
残留溶剤を減らすための一般的手法は、高温かつ長時間で乾燥することであるが、あまり長時間であると、当然のことながら生産性が落ちる。従ってセルロースアシレートフイルムに対する残留溶剤の量は、0.01〜1質量%の範囲にあることが好ましく、0.02〜0.07質量%の範囲にあることがさらに好ましく、0.03〜0.05質量%の範囲にあることが最も好ましい。
上記残留溶剤量を制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することができる。
残留溶剤量は、一定量の試料をクロロフォルムに溶解し、ガスクロマトグラフ(GC18A、島津製作所(株)製)を用いて測定した。
溶液流延法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。溶液流延法での乾燥は、後述するように、ドラム(またはバンド)面での乾燥と、フイルム搬送時の乾燥に大きく分かれる。ドラム(またはバンド)面での乾燥時には、使用している溶剤の沸点を越えない温度(沸点を越えると泡となる)でゆっくりと乾燥させることが好ましい。また、フイルム搬送時の乾燥は、ポリマー材料のガラス転移点±30℃、更に好ましくは±20℃で行うことが好ましい。
また、上記吸湿による寸度変化を小さくする別な方法として、疎水基を有する化合物を添加することが好ましい。疎水基を有する素材としては、分子中にアルキル基やフェニル基のような疎水基を有する素材であれば特に制限はないが、前記のセルロースアシレートフイルムに添加する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これら好ましい素材の例としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリベンジルアミン(TBA)などを挙げることができる。
これらの疎水基を有する化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01〜30質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[光弾性]
本発明の保護フィルムの光弾性係数は60×10-8cm2/N以下が好ましく、20×10-8cm2/N以下がさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。
1.偏光板の構成
まず、本発明の偏光板を構成する保護フィルム、偏光子について説明する。
本発明の偏光板は、偏光子や保護フィルム以外にも、粘着剤層、セパレートフィルム、保護フィルムを構成要素として有していても構わない。
(1)保護フィルム
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有するが、このうち少なくとも一枚は上記のセルロースアシレートフィルムである。
本発明の保護フィルムには、上記のセルロースアシレートフィルム以外に、一方の側にに、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォンなどから製造されたポリマーフィルムを用いることができる
(2)偏光子
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号公報に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号公報に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09-328593号、特開平13-302817号、特開平14-144401号の各公報の記載を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号公報に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75重量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開平14-236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開平14-228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開平14-060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフィルムのレターデーション(面内)は0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開平13-316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開平14-030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100重量部したり、特開平6-289225号に公報記載されている可塑剤を15重量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開平14-236212号公報に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI -やI -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p39〜p45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開平14-082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%〜5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。偏光子の厚さと後述する保護膜の厚さの比を、特開平14-174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護膜膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
保護膜の遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
2.偏光板の製造工程
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号公報に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開平13-290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストな偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/L、ヨウ化カリウムは3〜200g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/L、ヨウ化カリウムは30〜120g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号公報に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号公報に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/L、ヨウ化カリウムは1〜120g/L、塩化亜鉛は0.01〜10g/L、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/L、ヨウ化カリウムは5〜100g/L、塩化亜鉛は0.02〜8g/L、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開平14-040256号公報に記載されている(保護膜貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護膜貼合時の偏光子幅の関係は特開平14-040247号公報に記載されている0.80≦(保護膜貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号公報に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07-325215号公報や特開平07-325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護膜貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護膜で貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護膜を重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報及び特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護膜の接着力を向上させるために、保護膜を表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けても良い。特開平14-267839号公報に記載されているように保護膜表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07-325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m、ホウ素0.1〜5.0g/m、カリウム0.1〜2.0g/m、亜鉛0〜2.0g/mであることが好ましい。また、カリウム含有量は特開平13-166143号公報に記載されているように0.2重量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開平12-035512号公報に記載されている0.04重量%〜0.5重量%としてもよい。
特許第3323255号公報に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
3.偏光板の特性
(1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
上述の透過率(T)はJISZ8701に基づいて、
Figure 2005138375
で定義される。ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 2005138375
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
λ:波長係数[nm]
Figure 2005138375
Figure 2005138375
ヨウ素濃度と単板透過率は特開平14-258051号公報に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開平13-083328号公報や特開平14-022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開平13-091736号公報に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開平14-174728号公報に記載されている範囲内であってもよい。
特開平14-221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開平14-258042号公報や特開平14-258043号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*は、上述のX、 Y、 Zを用い使って式6で定義される。
Figure 2005138375
ここでX、 Y、 Zは照明光源の三刺激値を表し、標準光Cの場合、X=98.072、 Y=100、 Z=118.225であり、標準光D65の場合、X=95.045、 Y=100、 Z=108.892である。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は-2.5以上0.2以下であり、さらに好ましくは-2.0以上0以下である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は-4.0以上0以下であり、さらに好ましくは-3.5以上-0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0以上8以下であり、さらに好ましくは2.5以上7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は-0.5以上1.0以下であり、さらに好ましくは0以上2以下である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は-2.0以上2以下であり、さらに好ましくは-1.5以上0.5以下である。
色相は、前述のX、 Y、 Zから算出される色度座標(x、y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(x、y)と直交透過光の色度(x、y)は、特開平14-214436号、特開平13-166136号や特開平14-169024号の各公報に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度の関係を特開平13-311827号公報に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開平13-166135号公報や特開平13-166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10-068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T)を10000以下としたり、特開平14-139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平8-248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
特開平13-116922号公報に記載されているように60℃、90%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。また、特開平7-07768号公報に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06-167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値が特開平10-068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm−1及び157cm−1のスペクトル強度比の変化を、特開平8-094834号公報や特開平9-197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59-133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差が少なくとも0.15としたり、特開平4-204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数が0.65〜0.85としたり、IやI5の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開平14-6133号公報に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力が4.0N/cm以下としたり、特開平14-236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開平14-90546号公報に記載されているように3重量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開平12-249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さが中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10-268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率nを1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10-111411号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
4.偏光板の機能化
本発明の偏光板は、LCDの視野角拡大フィルム、反射型LCDに適用するためのλ/4板、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、反射層、半透明反射層、位相差相、λ/4層、視野角補償層、輝度向上層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
本発明の偏光板と上述の機能性光学フィルムを複合した構成例を図1に示した。偏光板の片側の保護膜1として機能性光学フィルム3と偏光子2を、接着剤を介して接着しても良いし(図1(A))、偏光子2の両面に保護膜1a、1bを設けた偏光板に粘着層4を介して機能性光学フィルム3を接着しても良い(図1(B))。前者の場合、もう一方の保護膜には任意の透明保護膜が使用できる。機能層や保護膜等の各層間の剥離強度は特開平14-311238号に記載されている4.0N/25mm以上とすることも好ましい。機能性光学フィルムは、目的とする機能に応じて液晶モジュール側に配置したり、液晶モジュールとは反対側、すなわち表示側もしくはバックライト側に配置することが好ましい。
粘着層は、例えば、アクリル樹脂層等を用いて形成することができる。
以下に本発明の偏光板と複合して使用される機能性光学フィルムについて説明する。
(1)視野角拡大フィルム
視野角補償層を有する偏光板の一例として、視野角拡大フィルムと組み合わせた偏光板について記載する。
本発明の偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに提案されている視野角拡大フィルムと組み合わせて使用することができる。
TNモード用の視野角拡大フィルムとしては、日本印刷学会誌第36巻第3号(1999)p40〜44、月刊ディスプレイ8月号(2002)p20〜24、特開平4−229828号公報、特開平6−75115号公報、特開平6−214116号公報、特開平8−50206号公報等に記載されたWVフィルム(富士写真フィルム(株)製)を好ましく組み合わせて使用される。
TNモード用の視野角拡大フィルムの好ましい構成は、前述の透明なポリマーフィルム上に配向層と光学異方性層をこの順に有したものである。視野角拡大フィルムは粘着剤を介して偏光板と貼合され、用いられてよいが、SID’00 Dig.、 p551(2000)に記載されているように、前記偏光子の保護膜の一方も兼ねて使用されることが薄手化の観点から特に好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向層も知られているが、ポリマーのラビング処理により形成する配向層が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより好ましく実施される。偏光子の吸収軸方向とラビング方向は実質的に平行であることが好ましい。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は液晶性化合物を含有していることが好ましい。本発明に使用される液晶性化合物はディスコティック化合物(ディスコティック液晶)を有していることが特に好ましい。ディスコティック液晶分子は、D-1のトリフェニレン誘導体ように円盤状のコア部を有し、そこから放射状に側鎖が伸びた構造を有している。また、経時安定性を付与するため、熱、光等で反応する基をさらに導入することも好ましく行われる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
Figure 2005138375
ディスコティック液晶分子は、配向層付近ではラビング方向にプレチルト角を持ってほぼフィルム平面に平行に配向しており、反対の空気面側ではディスコティック液晶分子が面に垂直に近い形で立って配向している。ディスコティック液晶層全体としては、ハイブリッド配向を取っており、この層構造によってTNモードのTFT-LCDの視野角拡大を実現することができる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向層上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
また、上記光学異方性層に添加するディスコティック化合物以外の化合物としては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に好ましい傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)、含フッ素トリアジン化合物等の空気界面側の配向制御用添加剤が、セルロースアシレート、セルロースアシレートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアシレートブチレート等のポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の添加量にて使用される。
光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい
視野角拡大フィルムの好ましい態様は、透明基材フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム、その上に設けられた配向層、および該配向層上に形成されたディスコティック液晶からなる光学異方性層から構成され、かつ光学異方性層がUV光照射により架橋されている。
また、上記以外にも視野角拡大フィルムと本発明の偏光板を組み合わせる場合、例えば、特開平7-198942号公報に記載されているように板面に対し交差する方向に光軸を有して複屈折に異方性を示す位相差板と積層したり、特開平14-258052号公報に記載されているように保護膜と光学異方性層の寸法変化率が実質的に同等とすることも好ましく行うことができる。また、特開平12-258632号公報に記載されているように視野角拡大フィルムと貼合される偏光板の水分率を2.4%以下としたり、特開平14-267839号公報に記載されているように視野角拡大フィルム表面の水との接触角を70°以下とすることも好ましく行うことができる。
IPSモード液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶分子の光学補償および偏光板の直交透過率の視野角特性向上に用いる。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。しかし斜めから観察した場合は、透過軸の交差角が90°ではなくなり、漏れ光が生じてコントラストが低下する。本発明の偏光板をIPSモード液晶セルに用いる場合は、漏れ光を低下するため特開平10−54982号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有する視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
OCBモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善するために使用される。本発明の偏光板をOCBモード液晶セルに用いる場合は、米国特許5805253号明細書に記載されたような円盤状の液晶性化合物をハイブリット配向させた視野角拡大フィルムと好ましく組み合わせて用いられる。
VAモードの液晶セル用視野角拡大フィルムは、電界無印加状態で液晶分子が基板面に対して垂直配向した状態の黒表示の視野角特性を改善する。このような視野角拡大フィルムしては特許番号第2866372号公報に記載されているような面内の位相差が0に近く、かつ厚さ方向に位相差を有するフィルムや、円盤状の化合物が基板に平行に配列したフィルムや、同じ面内リターデーション値を有する延伸フィルムを遅相軸が直交になるように積層配置したフィルムや、偏光板の斜め方向の直交透過率悪化防止のために液晶分子のような棒状化合物からなるフィルムを積層したものと好ましく組み合わせて用いられる。
(2)λ/4板
本発明の偏光板はλ/4層または位相差層を有してもよい。
本発明の偏光板は、λ/4板と積層した円偏光板として使用することができる。円偏光板は入射した光を円偏光に変換する機能を有しており、反射型液晶表示装置やECBモードなどの半透過型液晶表示装置、あるいは有機EL素子等に好ましく利用されている。
本発明に用いるλ/4板は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4のレターデーション(Re)を有する位相差フィルム(位相差層)であることが好ましい。「可視光の波長の範囲において概ね1/4のレターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどレターデーションが大きく、波長450nmで測定したレターデーション値(Re450)が80乃至125nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値(Re590)が120乃至160nmである関係を満足する範囲を示す。Re590−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、Re590−Re450≧10nmであることが特に好ましい。
本発明で用いるλ/4板は上記の条件を満たしていれば特に制限はないが、例えば、特開平5−27118号公報、特開平10−68816号公報、特開平10−90521号公報に記載された複数のポリマーフィルムを積層したλ/4板、WO00/65384号公報、WO00/26705号公報に記載された1枚のポリマーフィルムを延伸したλ/4板、特開2000−284126号公報、特開2002−31717号公報に記載されたポリマーフィルム上に少なくとも1層以上の光学異方性層を設けたλ/4板など公知のλ/4板を用いることができる。また、ポリマーフィルムの遅相軸の方向や光学異方性層の配向方向は液晶セルに合わせて任意の方向に配置することができる。
円偏光板において、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は、任意の角度で交差できるが、45゜±20°の範囲で交差されることが好ましい。但し、λ/4板の遅相軸と上記偏光子の透過軸は上記以外の範囲で交差されても構わない。
λ/4板をλ/4板およびλ/2板を積層して構成する場合は、特許番号第3236304号公報や特開平10−68816号公報に記載されているように、λ/4板およびλ/2板の面内の遅相軸と偏光板の透過軸とがなす角度が実質的に75°および15゜となるように貼り合わせることが好ましい。
(3)反射防止フィルム
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 26頁〜28頁や特開2002-301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光層の保護膜に使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であり、好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(4)輝度向上フィルム
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号の各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明ではWO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドし一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
本発明の偏光板と輝度向上フィルムは、粘着剤を介して貼合された形態、もしくは偏光板の保護膜の一方を輝度向上フィルムとした一体型として使用することが好ましい。
(5)他の機能性光学フィルム
本発明の偏光板には、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層、保護層、反射層、半透明反射層、位相差相、λ/4層、視野角補償層、輝度向上層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は相互に、また前述の反射防止層や光学異方性層等と同一層内で複合して使用することも好ましい。
(5−1)ハードコート層
本発明の偏光板は、耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を、透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。 また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明のハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
(5−2)前方散乱層
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
(5−3)アンチグレア層
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア層は偏光板の空気側保護フィルム上に設けることが好ましい。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
5.偏光板を使用する液晶表示装置
次に本発明の偏光板が使用される液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例である。
図2に示す液晶表示装置は、液晶セル(15〜19)、および液晶セル(15〜19)を挟持して配置された上側偏光板11と下側偏光板22とを有する。偏光板は偏光子および一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図2中では一体化された偏光板として示し、詳細構造は省略する。液晶セルは、上側基板15および下側基板18と、これらに挟持される液晶分子17から形成される液晶層からなる。液晶セルは、ON・OFF表示を行う液晶分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードに分類されるが、本発明の偏光板は透過および反射型によらず、いずれの表示モードにも使用できる。
基板15および18の液晶分子17に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電界無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子17の配向が制御されている。また、基板15および18の内面には、液晶分子17からなる液晶層に電界を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
TNモードのラビング方向は上下基板で互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のねじれ角(ツイスト角)の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90°になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加した。
なお、ツイスト角は、ノートパソコンやパソコンモニタ、テレビ用の液晶表示装置の場合は90°近傍(85から95°)に、携帯電話などの反射型表示装置として使用する場合は0から70°に設定する。またIPSモードやECBモードでは、ツイスト角が0°となる。IPSモードでは電極が下側基板18のみに配置され、基板面に平行な電界が印加される。また、OCBモードでは、ツイスト角がなく、チルト角を大きくされ、VAモードでは液晶分子17が上下基板に垂直に配向する。
ここで液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさは白表示時の明るさを変化させる。このため最大の明るさを得るために表示モード毎にその範囲を設定する。
上側偏光板11の吸収軸12と下側偏光板22の吸収軸23の交差角は一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。液晶セルの上側偏光板11の吸収軸12と上側基板15のラビング方向の交差角は液晶表示モードによってことなるが、TN、IPSモードでは一般に平行か垂直に設定する。OCB、ECBモードでは45°に設定することが多い。ただし、表示色の色調や視野角の調整のために各表示モードで最適値が異なり、この範囲に限定されるわけではない。また、図2中、13は上光学異方性層、14は上光学異方性層配向制御方向、16は上側基板配向制御方向、19は下側基板配向制御方向、20は下光学異方性層、21は下光学異方性層配向制御方向を示す。
本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、図2の構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光子との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途、前述した視野角拡大フィルムを配置することもできる。偏光板と視野角拡大フィルムは粘着剤で貼合した積層形態で配置されてもよいし、液晶セル側保護膜の一方を視野角拡大に使用した、いわゆる一体型楕円偏光板として配置されてもよい。
また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置できる。また、本発明の偏光板が使用される液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けてもよい。
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
実施例1
(セルロースアシレートフイルム(1)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
<セルロースアシレート溶液A組成>
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
添加剤(1);トリフェニルホスフェート 7.8質量部
添加剤(2);ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液Bを調製した。
<添加剤溶液B組成>
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
紫外吸収剤(A) 2質量部
紫外線吸収剤(B) 4質量部
Figure 2005138375
<セルロースアシレートフィルム(1)の作製>
セルロースアシレート溶液Aを474質量部に、添加剤溶液B−1を40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フイルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ140℃で10分間乾燥した(乾燥(1))。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに150℃で20分乾燥(乾燥(2))し、厚み80μmのセルロースアシレートフイルム(1)を作製した。
<セルロースアシレートフィルム(2)〜(14)の作製>
セルロースアシレートフィルム(1)の作製において、セルロースアシレート、添加剤、乾燥温度を表1のものに変更した以外はセルロースアシレートフィルム(1)と同様にしてセルロースアシレートフィルム(2)〜(14)を作製した。
また、下記方法により25℃10%、25℃60%、25℃80%のそれぞれの環境下でRe及びRthを測定した。
自動複屈折率計(KOBRA-21ADH、王子計測機器(株)製)を用い、面内レターデーションRe(0)を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーションRe(40)およびRe(−40)を測った。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(0)、Re(40)、Re(‐40)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。測定波長は590nmとした。
<疎水化剤の揮散性の測定>
上記セルロースアシレートフィルム(1)〜(14)を25℃10%RHで24hr調湿した後、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製))を用いて、140℃、1hrで4時間保持し、重量減量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005138375
Figure 2005138375
表2の結果から本発明のセルロースアシレートフィルムは厚み方向レターデーション及び面内レターデーションが小さく、かつ湿度依存性も小さく好ましいことがわかる。
ここで、湿度依存性とは、25℃10%RHと25℃80%RHにおける、ReおよびRthのそれぞれの差のことであり、表2の25℃10%RHと25℃80%RHにおける、ReおよびRthのそれぞれの差を比較することにより、本発明の試料が、温度依存性が小さいことがわかる。
実施例2
(鹸化処理)
セルロースアシレートフイルム(1)を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフイルムの表面をけん化した。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償シートの透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸および偏光膜の透過軸が平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を上記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。
このようにして、偏光板(1)を作製した。
(位相差フィルムつき偏光板の作製)
厚さ100μmのノルボルネン系樹脂フィルム(JSR社製、アートン)をテンター延伸機にて175℃延伸処理して、nx>ny>nzの屈折率特性を有して、Reが40nm、Rthが30nmの位相差フィルムを作製し、粘着剤を用いて前記偏光板(1)のセルロースアシレートフィルム(1)側に貼り付けた。
実施例3
VA型液晶セルを使用した22インチの液晶表示装置(シャープ(株)製)に設けられている観察者側の偏光板を剥がし、代わりに実施例2で作製した偏光板を、ノルボルネン系樹脂フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側に貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
本発明の偏光板はコントラスト及び色み視野角が広くかつ使用環境の湿度による視野角の変化が小さく好ましいことがわかった。
実施例4
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
セルロースアシレート溶液C組成
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
マット剤溶液組成
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアシレート溶液C 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
UV吸収剤溶液組成
UV吸収剤C 20質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液C 12.8質量部
Figure 2005138375
(セルロースアシレートフイルム(15)の作製)
上記セルロースアシレート溶液Cを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、UV吸収剤溶液2.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量30%でフイルムをバンドから剥離し、130℃の条件で、残留溶剤量が13質量%のフイルムをテンターを用いて4%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま140℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して140℃で40分間乾燥させ(乾燥(1))、セルロースアシレートフイルム(15)を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は80μmであった。
添加剤の種類及び乾燥(1)の温度を表3の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム(16)〜(19)を作製した。
添加剤の種類及び乾燥(1)の温度を表3の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム(16)〜(19)を作製した。
[光学特性の測定]
作製したセルロースアシレートフイルムについて、、下記方法により25℃10%、25℃60%、25℃80%のそれぞれの環境下でRe及びRthを測定した。
自動複屈折率計(KOBRA-21ADH、王子計測機器(株)製)を用い、面内レターデーションRe(0)を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーションRe(40)およびRe(−40)を測った。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(0)、Re(40)、Re(‐40)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。測定波長は590nmとした。
[保留性の測定]
サンプルを10cm×10cmのサイズに裁断し、25℃60%RHで一日放置後の質量を測定した後、80℃、90%RHの条件下で2週間放置した。さらに、2週間放置後のサンプルを25℃60%RHで放置後の質量を測定し、以下の式で保留性を測定した。
保留性=(処理前のサンプル質量-処理後のサンプル質量)/処理前のサンプル質量×100(%)
結果を表4に示す
Figure 2005138375
Figure 2005138375
本発明のセルロースアシレートフィルムはReおよびRthが小さく、かつ湿度依存性も小さく、保留性に優れこのましいことがわかる。
実施例5
(IPS液晶表示装置への実装評価)
実施例4で作製した本発明のセルロースアシレートフイルムで実施例2と同様にして作製した偏光板に対して、一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フイルムの面内リタデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
上記のようにして作製した本発明のセルロースアシレートフイルム(15)を用いた偏光板と光学補償フイルムの積層体、IPS型の液晶セル、本発明のセルロースアシレートフイルム(15)を用いた偏光板、の順番に上から重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、本発明の光学的等方性を付与したセルロースアシレートフイルムにより作製した光学補償フイルムおよび偏光板は、視野角特性に優れていることがわかった。
本発明の偏光板と上述の機能性光学フィルムを複合した構成例を示した説明図である。 本発明の偏光板が使用される液晶表示装置の一例を示した説明図である。
符号の説明
1、1a、1b 保護膜
2 偏光子
3 機能性光学フィルム
4 粘着層
11 上側偏光板
12 上側偏光板吸収軸
13 上光学異方性層
14 上光学異方性層配向制御方向
15 液晶セル上側基板
16 上側基板配向制御方向
17 液晶分子
18 液晶セル下側基板
19 下基板配向制御方向
20 下光学異方性層
21 下光学異方性層配向制御方向
22 下側側偏光板
23 下側偏光板吸収軸

Claims (18)

  1. セルロースアシレートと添加剤を溶解してドープ液を調製する工程、得られたドープ液を流延する工程、形成されたフィルムを剥離する工程、及び、剥離したフィルムを乾燥する工程を有するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記乾燥工程における乾燥温度がセルロースアシレートのガラス転移温度以上であることを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  2. 乾燥温度がセルロースアシレートのガラス転移温度よりも20℃以上高い温度であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  3. 前記添加剤のオクタノール-水分配係数が5以下である請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたセルロースアシレートフィルム。
  5. 25℃60%RHにおける下記(I)式及び(II)式で表されるReとRthが0nm≦Re≦10nm、−25nm≦Rth≦25nmであることを特徴とする請求項4に記載のセルロースアシレートフィルム
    (I)式 Re=(nx−ny)×d
    (II)式 Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    [式中、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、光学異方性層の厚み方向の屈折率であり;そして、dは光学異方性層面内の厚さ(nm)である]。
  6. 25℃10%RHにおける前記(I)式で表されるReと25℃80%RHにおける前記(I)式で表されるReの差が10nm以下であることを特徴とする請求項5に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 25℃10%RHにおける前記(II)式で表されるRthと25℃80%RHにおける前記(II)式で表されるRthの差が40nm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 保留性が0.0〜2.0%であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項4〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板に粘着層を設けたことを特徴とする偏光板。
  11. 空気側保護フィルム上に反射防止層を設けたことを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
  12. 反射層または半透過反射層を有することを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
  13. 位相差層またはλ/4層を有することを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
  14. 視野角補償層を有することを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
  15. 輝度向上層を有することを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
  16. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が請求項9〜15のいずれか1項に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 液晶セルがIPSモードである請求項16に記載の液晶表示装置。
  18. 液晶セルがVAモードである請求項16に記載の液晶表示装置。
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