JP2006117909A - 高分子フィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

高分子フィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学的異方性が小さく、さらには光学的異方性の波長分散が小さいことから、偏光板の保護層として液晶表示装置に使用したときに、視野角特性に優れ、表示色味が変化しにくい高分子フィルムであって、更に液晶表示装置等の画像表示装置に好適に使用できるよう貼合性を制御した高分子フィルムを提供すること。
【解決手段】 正面レターデーション値Re(λ)および膜厚方向のレターデーション値Rth(λ)が、下記式(i)および(ii)を満たす高分子フィルムの少なくとも片側の面の表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下とする。また、該高分子フィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板などの光学材料および液晶表示装置とする。
(i)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(ii)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[式中、Re(λ)、Rth(λ)は波長λnmにおける測定値(単位:nm)である。]
【選択図】 なし

Description

本発明は液晶表示装置に有用な高分子フィルムに関し、さらにそのような高分子フィルムを用いた光学補償フィルム、偏光板などの光学材料および液晶表示装置に関するものである。
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板には偏光子の少なくとも片側に偏光子の保護フィルムが貼合によって形成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光子の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。偏光子の保護フィルムを偏光子に貼り合わせるため、偏光子との接着性を良化させる目的で保護フィルムの貼り合せ面に対し親水化処理等の表面処理が用いられる。親水化処理としては、アルカリケン化処理や、プラズマ処理、コロナ処理(例えば特許文献1、特許文献2)等が適宜用いられる。この偏光子の保護フィルムは、光学的等方性に優れることが重要であり、偏光子の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことが重要である。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムはあったが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。そこでセルロースアシレートフィルムの代わりにポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィルムを用いて、Reの角度変化の小さい光学透明フィルムの提案がされている(例えば、特許文献3,4、製品としてはZEONOR(日本ゼオン社製)や、ARTON(JSR社製)など)。しかし、これらの光学透明フィルムは、偏光子の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題がある。またフィルム面内全体の光学特性が不均一である問題も残っている。
そこで、この解決法として、より光学異方性を低下させて改良した、具体的には、セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムに対し、更にPVAへの貼合適正を付与することが強く望まれている。
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に製膜性能を良化するため可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステル類などが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる効果を有するものが知られており、例えば、特定の脂肪酸エステル類が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、従来知られているこれらの化合物を用いたセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる効果は十分とはいえない。
また、最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
特開2002−328224号公報 特開2000−356714号公報 特開2001−318233号公報 特開2002−328233号公報 特開2001−247717号公報 プラスチック材料講座、第17巻、日刊工業新聞社、「繊維素系樹脂」、121頁(昭和45年)
本発明の第1の課題は、光学異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、さらには光学異方性(Re、Rth)の波長分散が小さい高分子フィルムであって、更に液晶表示装置等の画像表示装置に好適に使用できるように表面エネルギーを制御して貼合適性を付与した高分子フィルムを提供することである。
本発明の第2の課題は、光学異方性が小さく、波長分散が小さい高分子フィルムにより作製した光学補償フィルム、偏光板などの光学材料が視野角特性に優れるものであることを示すこと、およびこれらを用いた液晶表示装置等の画像表示装置を提供することにある。
光学異方性が小さく、波長分散が小さい高分子フィルムを偏光板の保護フィルムに用いることによって、偏光板の光学特性を良化できる。また光学補償フィルムの支持体として用いると、光学補償フィルムそのものの光学性能を引き出すことができる。これらの偏光板や光学補償フィルムを液晶表示装置に用いることによってコントラストの良化、色味を改良することができる。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、高分子フィルム中での面内および膜厚方向の配向を抑制する化合物を用いて光学異方性を十分に低下させて、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるように制御し、更にこれらの化合物を用いることによってフィルムの表面エネルギーがより低下することに対しては、アルカリケン化処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を行い、表面エネルギーを適切に制御することで、偏光子への貼り合せ性を付与することができ、偏光板の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の耐久性を向上させることができた。
また、特にアルカリケン化処理においては、フィルムの光学性能を維持する目的と、アルカリケン化処理液への添加剤の溶出や溶出後の分解、析出等による処理能力の劣化を抑制する目的で、添加剤としてpKaが大きいかアルカリケン化液への溶解性を抑制した化合物を使用することにより、処理前後の光学性能の変化やムラのない偏光板用の保護フィルムを提供することができ、更に処理液への汚染を抑制し、処理時のランニングコストを抑制できることを見出した。
以下に記載する高分子フィルムにより、本発明の課題が達成された。
(1)
正面レターデーション値Re(λ)および膜厚方向のレターデーション値Rth(λ)(λは波長(nm)を示す。)が、下記式(i)および(ii)を満たし、更に少なくとも片側の面の表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下であることを特徴とする高分子フィルム。
(i) 0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(ii) |Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(2)
前記表面エネルギーの面内バラツキ値ΔEが10以下であることを特徴とする(1)に記載の高分子フィルム。
(3)
フィルムの少なくとも片側の面が表面処理された面であり、該表面処理された面の、表面処理前の表面エネルギーが30mN/m以上50mN/m以下であって、かつ表面処理後の表面エネルギーが前記50mN/m以上80mN/m以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の高分子フィルム。
(4)
Re(λ)およびRth(λ)の面内バラツキ値ΔRe(λ)およびΔRth(λ)が、下記式(iii)および(iv)を満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(iii) ΔRe(λ)≦5
(iv) ΔRth(λ)≦10
(5)
前記表面処理した前後におけるRe、Rth値の変化が、下記式(v)および(vi)を満たすことを特徴とする(3)または(4)に記載の高分子フィルム。
(v) |Re−Re’|≦10
(vi) |Rth−Rth’|≦20
ここで、
Re:表面処理前のフィルム面内のレターデーション値(nm)
Re’:表面処理後のフィルム面内のレターデーション値(nm)
Rth:表面処理前のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
Rth’:表面処理後のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
である。
(6)
光学異方性を低下させる化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(7)
下記式(vii)を満たす前記光学異方性を低下させる化合物を、下記式(viii)を満たす範囲で含有することを特徴とする(6)に記載の高分子フィルム。
(vii) (RthA−Rth0)/A≦−1.0
(viii) 0.01≦A≦30
ここで、
RthAは上記化合物をA質量%含有したフィルムのRth(nm)、
Rth0は上記化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、
Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの上記化合物の質量(%)
を表す。
(8)
前記光学異方性を低下させる化合物として、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である化合物を含有することを特徴とする(6)または(7)に記載の高分子フィルム。
(9)
|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(10)
前記表面処理がアルカリケン化処理であることを特徴とする(3)〜(9)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(11)
フィルム表面をアルカリケン化処理した際の、前記光学異方性を低下させる化合物のアルカリ溶液への溶出度が、20質量%以下であることを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(12)
フィルム表面をアルカリケン化処理した後の、アルカリ溶液の450nmにおける吸光度が0.1以下であることを特徴とする(10)または(11)に記載の高分子フィルム。
(13)
未表面処理のフィルム表面を1.5NのNaOH水溶液を用いて55℃の温度条件にてアルカリケン化処理する際に、表面エネルギーが50mN/m以上となるのに要する時間が1分以内であることを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(14)
前記光学異方性を低下させる化合物のpKaが、14以上であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(15)
前記表面処理がプラズマ処理であることを特徴とする(3)〜(9)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(16)
前記表面処理がコロナ処理であることを特徴とする(3)〜(9)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(17)
フィルムを形成するポリマー原料としてセルロースアシレートを含有する(1)〜(16)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(18)
前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00のであることを特徴とする(17)に記載の高分子フィルム。
(19)
前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.80〜2.99であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする(17)に記載の高分子フィルム。
(20)
前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、アシル置換度が2.50〜3.00のセルロースアシレートからなることを特徴とする(17)に記載の高分子フィルム。
(21)
フィルムの面内方向の遅相軸がフィルムの機械搬送方向(MD方向)、またはフィルムの機械搬送方向に対して垂直方向(TD方向)であることを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(22)
フィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする(1)〜(21)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(23)
フィルムの幅が1350mm以上であることを特徴とする(1)〜(22)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(24)
フィルムが長さ1500m以上の長尺フィルムであることを特徴とする(1)〜(23)のいずれかに記載の高分子フィルム。
(25)
(1)〜(24)のいずれかに記載の高分子フィルムの表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下である面のうちの少なくとも片側の面上に更に接着剤層が形成されていることを特徴とする接着剤層付き高分子フィルム。
(26)
(1)〜(25)のいずれかに記載の高分子フィルムに、下記式(ix)をみたす光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
(ix)Re=0〜200(nm)かつ|Rth|=0〜400(nm)
(27)
前記光学異方性層がディスコティック液晶性化合物を含有することを特徴とする(26)に記載の光学補償フィルム。
(28)
前記光学異方性層が棒状液晶性化合物を含有することを特徴とする(26)または(27)に記載の光学補償フィルム。
(29)
前記光学異方性層が複屈折を持つポリマーフィルムから形成されることを特徴とする(26)〜(28)のいずれかに記載の光学補償フィルム。
(30)
前記光学異方性層を形成する前記ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする(29)に記載の光学補償フィルム。
(31)
(1)〜(25)のいずれかに記載の高分子フィルム、または(26)〜(30)のいずれかに記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚用いて偏光子の保護フィルムとしたことを特徴とする偏光板。
(32)
表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする(31)に記載の偏光板。
(33)
(1)〜(25)のいずれかに記載の高分子フィルム、(26)〜(30)のいずれかに記載の光学補償フィルム、(31)または(32)に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(34)
(1)〜(25)のいずれかに記載の高分子フィルム、(26)〜(30)のいずれかに記載の光学補償フィルム、(31)または(32)に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とするVAまたはIPS液晶表示装置。
本発明により、光学異方性が小さく、Re、Rthの波長分散が小さい高分子フィルムを作製することができ、偏光板等として液晶表示装置等の画像表示装置に使用する際の表示画像の角度依存性、コントラスト、色味等の視認性を良好にすることができた。また、表面エネルギーを適切に制御することで、偏光子への貼り合せ適性を付与することができ、作製した高分子フィルムの偏光板加工性と偏光板耐久性を良好にすることができた。
更に、本発明の高分子フィルムを用いることにより、視野角特性に優れる、光学補償フィルム、偏光板などの光学材料、およびこれらを用いた液晶表示装置を提供することが可能になった。
以下に本発明の高分子フィルムの詳細を説明する。
[高分子フィルムの材質]
本発明の高分子フィルムを形成する材料としては、光学性能透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましく、上述のRe、Rthが、上述した式(i)(ii)を満たす範囲であればどのような材料を用いても良い。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の透明フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、本発明の高分子フィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、本発明の高分子フィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。以下にセルロースアシレートについて詳細を説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
また、セルロースの水酸基に置換するアシル置換基がアセチル基のみからなる場合には、フィルムの光学異方性が低下できる事に加え、更に添加剤との相溶性、使用する有機溶剤への溶解性の観点で全置換度が2.80〜2.99であることが好ましく、2.85〜2.95であることがより好ましい。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアシレートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
[光学異方性を低下させる化合物]
まず最初にセルロースアシレートフィルム等、本発明の高分子フィルムの光学異方性を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中の高分子例えばセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学異方性を低下させる化合物は高分子例えばセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。また、芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
本発明においては、光学異方性を低下させる化合物としては下記式(vii)を満たす化合物であることが好ましく、該化合物を下記式(viii)を満たす範囲で、少なくとも一種含有させることが望ましい。
(vii)(RthA−Rth0)/A≦−1.0
(viii)0.01≦A≦30
より望ましくは(RthA−Rth0)/A≦−2.0で、且つ0.05≦A≦25であり、さらに望ましくは(RthA−Rth0)/A≦−3.0で、且つ0.1≦A≦20である。
ここで、RthAは上記化合物をA質量%含有したフィルムのRth(nm)、Rth0は上記化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの上記化合物の質量(%)を表す。
上記の範囲内であれば、レターデーションを特定の範囲内にすることができ、また、低分子化合物のアルカリ液への溶出も問題のない範囲内に抑えることができ、好ましい。
(logP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0ないし7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1乃至6であり、特に好ましい範囲は1.5乃至5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
(pKaおよびNaOH水溶液への溶解性の規定)
さらに、セルロースアシレートフィルムを偏光板用の保護フィルムとして用いるためには、フィルムの面内での光学性能や表面エネルギー等の諸性能のバラツキを小さくする必要があり、フィルムの流延製膜工程、表面処理工程、接着剤塗布工程、貼り合せ工程、の各工程においてフィルムの諸性能を所望の範囲内に安定的にムラなく維持することが必要である。特に表面処理工程においては、一般的にアルカリケン化処理が生産性の観点で用いられるが、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートとの相溶性を十分にするために親水性が高く、そのためアルカリケン化処理工程での、ケン化液の浸透や上記化合物の溶出がより容易に進行することが考えられ、これらの要因による諸性能の不安定化、特にフィルム面内でのムラ等の面状の不均一性を防止する必要がある。本発明者らがこれらの観点で更に鋭意検討した結果、このセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の物性として、更にアルカリ液中での解離性や、アルカリ液への溶解性を制御することで、フィルム面内での諸性能の均一性を維持することができる。
上述のようなアルカリケン化に対する安定性の理由から、本発明において使用するセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物のpKaの好適な範囲としては、14以上が好ましく、15以上がより好ましく、16以上が更に好ましい。アルカリケン化液のpHが一般的に13乃至14付近であることから、pKaが14以下の場合はアルカリケン化処理による光学性能や表面エネルギーにムラが出来易くなり、またpKaが低いほどフィルム面内での光学性能の均一性は低下する。pKaは、一般的に滴定法により求めることができる。本発明においては、DMSO/水=7/3の溶媒系50mlに対し、測定対象の化合物を5×10-5mol/lの濃度で溶解し、更に0.25NのHClを0.5ml添加してpHを酸性にした後、25℃にて0.5NのNaOHを用いて電位差滴定法により得られる滴定曲線に対し、酸解離平衡の理論式との最小二乗法を用いたカーブフィッティングによりpKaを求めることができる。
また、同様にアルカリケン化に対する安定性の理由から、上記のpKaとは別の観点で、本発明において使用できるセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物のアルカリ水溶液への溶解性の好適な範囲としては、55℃での1.5mol/LのNaOH水溶液への溶解性が1.0%以下であることが好ましく、0.1%以下がより好ましく、0.01%以下が更に好ましい。アルカリケン化液への溶解性が1%以上の場合にはアルカリケン化処理による光学性能や表面エネルギーにムラができ易くなる傾向にあり、また溶解性が高いほどフィルム面内での光学性能の均一性は低下する。溶解性は目視により判断できる。
[光学異方性を低下させる化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が3000以下であることが好ましく、分子量が150以上3000以下であることがより好ましく、170以上2000以下であることがさらに好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01ないし30質量%であることが好ましく、1ないし25質量%であることがより好ましく、5ないし20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の例として、まず一般式(1)〜(19)を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
Figure 2006117909
式中、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数が1ないし20の脂肪族基を表す。R11〜R13は互いに連結して環を形成してもよい。
Figure 2006117909
一般式(2)および(3)において、Zは炭素原子、酸素原子、硫黄原子または−NR25−を表し、R25は水素原子またはアルキル基を表す。Zを含んで構成される5または6員環は置換基を有していても良い。Y21、Y22はそれぞれ独立に、炭素数が1ないし20の、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基またはカルバモイル基を表し、Y21、Y22は互いに連結して環を形成してもよい。mは1〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す。
Figure 2006117909
一般式(4)〜(12)において、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、炭素数が1ないし2
0のエステル基、炭素数が1ないし20のアルコキシカルボニル基、炭素数が1ないし20のアミド基、炭素数が1ないし20のカルバモイル基またはヒドロキシ基を表し、V31〜V43はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1ないし20の脂肪族基を表す。L31〜L80はそれぞれ独立に、原子数0ないし40かつ、炭素数0ないし20の2価の飽和の連結基を表す。ここで、L31〜L80の原子数が0であるということは、連結基の両端にある基が直接に単結合を形成していることを意味する。V31〜V43およびL31〜L80は、さらに置換基を有していてもよい。
Figure 2006117909
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
Figure 2006117909
[式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
Figure 2006117909
[式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Xは下記の連結基群1から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。Yは水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
(連結基群1)単結合、−O−、−CO−、−NR4−、アルキレン基またはアリーレン基を表す。R4は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。]
Figure 2006117909
(式中、Q1、Q2およびQ3はそれぞれ独立に5ないし6員環を表す。XはB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、P=Oを表す。)
Figure 2006117909
(式中、X2はB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、Nを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表す。)
Figure 2006117909
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
一般式(18)として好ましくは下記一般式(19)で表される化合物である。
Figure 2006117909
上記一般式(19)において、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1乃至20のものが好ましく、1乃至15のものがさらに好ましく、1乃至12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6乃至36のものが好ましく、6乃至24のものがより好ましい。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を上記一般式(1)〜(19)で表される化合物について示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
一般式(1)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
一般式(1)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数が1ないし20の脂肪族基を表す。R11〜R13は互いに連結して環を形成してもよい。
11〜R13について詳しく説明する。R11〜R13は好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12である脂肪族基である。ここで、脂肪族基とは、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、アルキル基(鎖状、分岐状および環状のアルキル基を含む。)、アルケニル基又はアルキニル基である。例として、アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどが挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパルギルなどが挙げられる。
11〜R13で表される脂肪族基は置換されていてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの基はさらに組み合わされて複合置換基を形成してもよく、このような置換基の例としては、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、エトキシカルボニルエチル基などを挙げることができる。また、R11〜R13は置換基としてリン酸エステル基を含有することもでき、一般式(1)の化合物は同一分子中に複数のリン酸エステル基を有することも可能である。
以下に一般式(1)で表される化合物の例(C-1〜C-76)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めたものである。
Figure 2006117909
(式中、R1〜R3は前記一般式(1)のR11〜R13と同義であり、下記のC-1〜C-76で具体例を例示する。)
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
一般式(2)および(3)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
一般式(2)および(3)において、Zは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、−NR25−を表し、R25は水素原子またはアルキル基を表す。Zを含んで構成される5または6員環は置換基を有していても良く、複数の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。Zを含んで構成される5または6員環の例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピロリジン、ピペリジン、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン、テトラヒドロ−2−フラノン、テトラヒドロ−2−ピロン、4−ブタンラクタム、6−ヘキサノラクタムなどを挙げることができる。
また、Zを含んで構成される5または6員環は、ラクトン構造またはラクタム構造、すなわち、Zの隣接炭素にオキソ基を有する環状エステルまたは環状アミド構造を含む。このような環状エステルまたは環状アミド構造の例としては、2−ピロリドン、2−ピペリドン、5−ペンタノリド、6−ヘキサノリドを挙げることができる。
25は水素原子または、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であるアルキル基(鎖状、分岐状および環状のアルキル基を含む。)を表す。R25で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。R25で表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
21、Y22はそれぞれ独立に、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基またはカルバモイル基を表す。エステル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、iso−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、1−エチルペンチルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、1−アダマンタンカルボニルオキシなどが例示できる。アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、iso−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、1−エチルプロピルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、1−アダマンタンオキシカルボニル、2−アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、n−テトラデシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニルなどが例示できる。アミド基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、アセタミド、エチルカルボキサミド、n−プロピルカルボキサミド、イソプロピルカルボキサミド、n−ブチルカルボキサミド、t−ブチルカルボキサミド、iso−ブチルカルボキサミド、sec−ブチルカルボキサミド、n−ペンチルカルボキサミド、t−アミルカルボキサミド、n−ヘキシルカルボキサミド、シクロヘキシルカルボキサミド、1−エチルペンチルカルボキサミド、1−エチルプロピルカルボキサミド、n−ヘプチルカルボキサミド、n−オクチルカルボキサミド、1−アダマンタンカルボキサミド、2−アダマンタンカルボキサミド、n−ノニルカルボキサミド、n−ドデシルカルボキサミド、n−ペンタカルボキサミド、n−ヘキサデシルカルボキサミドなどが例示できる。カルバモイル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、iso−ブチルカルバモイル、sec−ブチルカルバモイル、n−ペンチルカルバモイル、t−アミルカルバモイル、n−ヘキシルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル、2−エチルヘキシルカルバモイル、2−エチルブチルカルバモイル、t−オクチルカルバモイル、n−ヘプチルカルバモイル、n−オクチルカルバモイル、1−アダマンタンカルバモイル、2−アダマンタンカルバモイル、n−デシルカルバモイル、n−ドデシルカルバモイル、n−テトラデシルカルバモイル、n−ヘキサデシルカルバモイルなどが例示できる。Y21、Y22は互いに連結して環を形成してもよい。Y21、Y22はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
以下に一般式(2)ないし(3)で表される化合物の例(C-201〜C-231)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内に記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めたものである。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
一般式(4)〜(12)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
一般式(4)〜(12)において、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、カルバモイル基またはヒドロキシ基を表す。エステル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、iso−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、1−エチルペンチルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、1−アダマンタンカルボニルオキシなどが挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、iso−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルなど、1−エチルプロピルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、1−アダマンタンオキシカルボニル、2−アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、n−テトラデシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。アミド基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、アセタミド、エチルカルボキサミド、n−プロピルカルボキサミド、イソプロピルカルボキサミド、n−ブチルカルボキサミド、t−ブチルカルボキサミド、iso−ブチルカルボキサミド、sec−ブチルカルボキサミド、n−ペンチルカルボキサミド、t−アミルカルボキサミド、n−ヘキシルカルボキサミド、シクロヘキシルカルボキサミド、1−エチルペンチルカルボキサミド、1−エチルプロピルカルボキサミド、n−ヘプチルカルボキサミド、n−オクチルカルボキサミド、1−アダマンタンカルボキサミド、2−アダマンタンカルボキサミド、n−ノニルカルボキサミド、n−ドデシルカルボキサミド、n−ペンタカルボキサミド、n−ヘキサデシルカルボキサミドなどが挙げられる。カルバモイル基としては、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12であり、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、iso−ブチルカルバモイル、sec−ブチルカルバモイル、n−ペンチルカルバモイル、t−アミルカルバモイル、n−ヘキシルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル、2−エチルヘキシルカルバモイル、2−エチルブチルカルバモイル、t−オクチルカルバモイル、n−ヘプチルカルバモイル、n−オクチルカルバモイル、1−アダマンタンカルバモイル、2−アダマンタンカルバモイル、n−デシルカルバモイル、n−ドデシルカルバモイル、n−テトラデシルカルバモイル、n−ヘキサデシルカルバモイルなどが挙げられる。Y31〜Y70はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
31〜V43はそれぞれ独立に水素原子または、好ましくは炭素数が1ないし20、さらに好ましくは炭素数が1ないし16、特に好ましくは、炭素数が1ないし12である脂肪族基を表す。ここで、脂肪族基とは、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、アルキル基(鎖状、分岐状および環状のアルキル基を含む。)、アルケニル基またはアルキニル基である。アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどが挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパルギルなどを挙げることができる。V31〜V43はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
31〜L80はそれぞれ独立に、原子数0ないし40かつ、炭素数0ないし20の2価の飽和の連結基を表す。ここで、L31〜L80の原子数が0であるということは、連結基の両端にある基が直接に単結合を形成していることを意味する。L31〜L77の好ましい例としては、アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、メチルエチレン、エチルエチレンなど)、環式の2価の基(例えば、cis−1,4−シクロヘキシレン、trans−1,4−シクロヘキシレン、1,3−シクロペンチリデンなど)、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、スルフィド、スルホンアミド、ウレイレン、チオウレイレンなどを挙げることができる。これらの2価の基は互いに結合して二価の複合基を形成してもよく、複合置換基の例としては、−(CH2)2O(CH2)2−、−(CH2)2O(CH2)2O(CH2)−、−(CH2)2S(CH2)2−、−(CH2)22C(CH2)2−などを挙げることができる。L31〜L80は、さらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては、前記のR11〜R13に置換していても良い基を挙げることができる。
一般式(4)〜(12)においてY31〜Y70、V31〜V43およびL31〜L80の組み合わせにより形成される化合物の好ましい例としては、クエン酸エステル(例えば、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、O−アセチルクエン酸トリ(エチルオキシカルボニルメチレン)エステルなど)、オレイン酸エステル(例えば、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸フェニル、オレイン酸シクロヘキシル、オレイン酸オクチルなど)、リシノール酸エステル(例えばリシノール酸メチルアセチルなど)、セバシン酸エステル(例えばセバシン酸ジブチルなど)、グリセリンのカルボン酸エステル(例えば、トリアセチン、トリブチリンなど)、グリコール酸エステル(例えば、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなど)、ペンタエリスリトールのカルボン酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラアセテート、ペンタエリスリトールテトラブチレートなど)、ジペンタエリスリトールのカルボン酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサブチレート、ジペンタエリスリトールテトラアセテートなど)、トリメチロールプロパンのカルボン酸エステル類(トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパンジアセテートモノプロピオネート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、トリメチロールプロパントリブチレート、トリメチロールプロパントリピバロエート、トリメチロールプロパントリ(t−ブチルアセテート)、トリメチロールプロパンジ2−エチルヘキサネート、トリメチロールプロパンテトラ2−エチルヘキサネート、トリメチロールプロパンジアセテートモノオクタネート、トリメチロールプロパントリオクタネート、トリメチロールプロパントリ(シクロヘキサンカルボキシレート)など)、特開平11−246704号公報に記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号公報に記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号公報に記載のクエン酸エステル類、ピロリドンカルボン酸エステル類(2−ピロリドン−5−カルボン酸メチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸ブチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸2−エチルヘキシル)、シクロヘキサンジカルボン酸エステル(cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、cis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルなど)、キシリトールカルボン酸エステル(キシリトールペンタアセテート、キシリトールテトラアセテート、キシリトールペンタプロピオネートなど)などが挙げられる。
以下に一般式(4)ないし(12)で表される化合物の例(C-401〜C-448)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内に記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めたものである。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
一般式(13)および(14)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
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上記一般式(13)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。また、一般式(14)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。また、R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、6乃至25のものがより好ましく、6乃至20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6乃至30のものが好ましく、6乃至24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。
一般式(13)または一般式(14)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006117909
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Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
一般式(15)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
上記一般式(15)において、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、イソアミル)であることが好ましく、R1、R2およびR3の少なくとも1つ以上が炭素原子数1乃至3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)であることが特に好ましい。Xは、単結合、−O−、−CO−、アルキレン基(好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは1〜3のもの、例えばメチレン、エチレン、プロピレン)またはアリーレン基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜12のもの。例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン)から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが好ましく、−O−、アルキレン基またはアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが特に好ましい。Yは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数2〜25、より好ましくは2〜20のもの。例えば、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ドデシル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜18のもの。例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル)またはアラルキル基(好ましくは炭素原子数7〜30、より好ましくは7〜20のもの。例えば、ベンジル、クレジル、t−ブチルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル)であることが好ましく、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であることが特に好ましい。−X−Yの組み合わせとしては、−X−Yの総炭素数が0乃至40であることが好ましく、1乃至30であることがさらに好ましく、1乃至25であることが最も好ましい。
これら一般式(15)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
一般式(16)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
上記一般式(16)において、Q1、Q2およびQ3はそれぞれ独立に5ないし6員環を表し、炭化水素環でもへテロ環でもよく、また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。炭化水素環として好ましくは、置換または無置換のシクロヘキサン環、置換または無置換のシクロペンタン環、芳香族炭化水素環であり、より好ましくは芳香族炭化水素環である。へテロ環として好ましくは5ないし6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む環である。へテロ環としてより好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。
1、Q2およびQ3として好ましくは芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環である。芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。Q1、Q2およびQ3としてより好ましくは好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。またQ1、Q2およびQ3は置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
XはB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、P=Oを表し、Xとして好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、Nであり、Xとしてより好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
一般式(16)として好ましくは下記一般式(17)で表される化合物である。
Figure 2006117909
(式中、X2はB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、Nを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表す。)
XはB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、P=Oを表しXとして好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、N、P=Oであり、更に好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に前述の置換基Tについて説明する。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(16)ないし(17)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されるものではない。
Figure 2006117909
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一般式(18)の化合物について説明する。
Figure 2006117909
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。]
一般式(18)として好ましくは下記一般式(19)で表される化合物である。
Figure 2006117909
上記一般式(19)において、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1乃至20のものが好ましく、1乃至15のものがさらに好ましく、1乃至12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6乃至36のものが好ましく、6乃至24のものがより好ましい。
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
以下に、一般式(18)または一般式(19)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
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本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である、多価アルコールエステル化合物、カルボン酸エステル化合物、多環カルボン酸化合物、ビスフェノール誘導体をセルロースアシレートに添加することによっても、光学異方性を低下させることを見出した。すなわち、これらの化合物も、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物である。
オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である、多価アルコールエステル化合物、カルボン酸エステル化合物、多環カルボン酸化合物、ビスフェノール誘導体の具体例を以下に示す。
(多価アルコールエステル化合物)
本発明の多価アルコールエステルは、2価以上の多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。多価アルコールエステル化合物としては以下のものが例としてあげられるが、本発明はこれらに限定されない。
(多価アルコール)
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
(モノカルボン酸)
本発明の多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いるとセルロースアシレートフィルムの透湿度、含水率、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有しても良い。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
本発明の多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
多価アルコールエステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006117909
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(カルボン酸エステル化合物)
カルボン酸エステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。具体的には、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
カルボン酸エステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006117909
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(多環カルボン酸化合物)
本発明において用いる多環カルボン酸化合物は分子量が3000以下の化合物であることが好ましく、特に250〜2000以下の化合物であることが好ましい。環状構造に関して、環の大きさについて特に制限はないが、3〜8個の原子から構成されていることが好ましく、特に6員環及び/又は5員環であることが好ましい。これらが炭素、酸素、窒素、珪素あるいは他の原子を含んでいてもよく、環の結合の一部が不飽和結合であってもよく、例えば6員環がベンゼン環、シクロヘキサン環でもよい。本発明の化合物は、このような環状構造が複数含まれているものであり、例えば、ベンゼン環とシクロヘキサン環をどちらも分子内に有していたり、2個のシクロヘキサン環を有していたり、ナフタレンの誘導体あるいはアントラセン等の誘導体であってもよい。より好ましくはこのような環状構造を分子内に3個以上含んでいる化合物であることが好ましい。また、少なくとも環状構造の1つの結合が不飽和結合を含まないものであることが好ましい。具体的には、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸などのアビエチン酸誘導体が代表的であり、以下にこれら化合物の化学式を示すが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2006117909
(ビスフェノール誘導体)
本発明において用いるビスフェノール誘導体は分子量が10000以下であることが好ましく、この範囲であれば単量体でも良いし、オリゴマー、ポリマーでも良い。また他のポリマーとの共重合体でも良いし、末端に反応性置換基が修飾されていても良い。以下にこれら化合物の化学式を示すが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2006117909
なお、ビスフェノール誘導体の上記具体例中で、R1〜R4は水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基を表す。l、m、nは繰り返し単位を表し、特に限定はしないが、1〜100の整数が好ましく、1〜20の整数がさらに好ましい。
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物について説明する。本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物(以下、「波長分散調整剤」ともいう。)を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整した。添加量としては0.1〜30質量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整した。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れている要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01ないし30質量%であることが好ましく、0.1ないし20質量%であることがより好ましく、0.2ないし10質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環Q2は芳香族環を表す。)
1は含窒素方向芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5乃至7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2006117909
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2006117909
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2006117909
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、またはOであり、特に好ましくはOである。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2006117909
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2006117909
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2006117909
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。)
1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2で表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103−A)で表される化合物である。
一般式(103−A)
Figure 2006117909
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子
または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103−B)で表される化合物である。
一般式(103−B)
Figure 2006117909
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103−C)で表される化合物である。
一般式(103−C)
Figure 2006117909
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103−C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの特許によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
また、セルロースアシレートフィルムの幅は1350mm未満であっても良いが、1350mm以上であることが好ましく、2000mm以上であることがより好ましく、3000mmであることががさらに好ましい。セルロースアシレートフィルムの幅が1350mm以上であると、偏光板用の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の幅を大きくすることができ、液晶表示装置用の偏光板の切りぬき工程において、35インチパネル等のより大サイズのパネル用の切りぬきが幅方向に二つ以上可能となるなど、生産性を向上することができる。
また、セルロースアシレートフィルムの長さは1500m未満であっても良いが、1500m以上であることが好ましく、2000mm以上であることがより好ましく、3000mmであることががさらに好ましい。長さは長ければ長い程よく、1500m以上であれば、偏光板をより長く製造することができ、切り替えによるロスの頻度を低減することにより偏光板の製造コストを低減することができる。
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。
よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[本発明のセルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
[透明支持体のレターデーション]
本明細書において、セルロースアシレートフィルム(透明支持体)のReレターデーション値およびRthレターデーション値は、以下に基づき算出するものとする。Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rth(λ)は前記Re(λ)、遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。さらに、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nz、及びRthを算出する。また、直接測定不可能な波長のレターデーションについては、Cauthyの式を用い、周辺の波長のレターデーション値よりフィッティングで求めた。
本発明において、光学異方性(Re、Rth)が小さい高分子フィルムとしては、波長630nmにおける面内のレターデーションRe(630)が10nm以下(0≦Re(630)≦10)でかつ、膜厚方向のレターデーションRth(630)の絶対値が25nm以下(|Rth(630)|≦25nm)であることがのぞましい(式(i))。さらにのぞましくは、0≦Re(630)≦5かつ|Rth(630)|≦20nmであり、0≦Re(630)≦2かつ|Rth(630)|≦15nmであることが特にのぞましい。
また本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つことによりフィルムの着色を防止し、フィルムのRe(λ)およびRth(λ)の波長分散を制御できる化合物を用いることによって波長400nmと700nmでのRe、Rthの差、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を小さくした。
本発明において、波長分散が小さい高分子フィルムとしては、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35であることがのぞましい(式(ii))。さらにのぞましくは、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25であり、|Re(400)−Re(700)|≦3かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦15であることが特にのぞましい。
(フィルム面内のレターデーションバラツキ(ΔRe(λ),ΔRth(λ)))
本発明においては、試料より幅方向に30mm間隔で15枚、流延方向に50mm間隔で50枚、30mm×40mmの大きさでサンプリングし、上記の方法でRe(λ)、Rth(λ)をそれぞれ求め、得られた値の最大値と最小値との差の絶対値を、それぞれフィルム面内のレターデーションバラツキ(面内バラツキ値)ΔRe(λ)、ΔRth(λ)として、フィルム面内の光学性能のバラツキの指標とした。
本発明者らによる鋭意検討の結果、フィルム面内の上記Re(λ)、Rth(λ)のバラツキ値として、最大値と最小値の差ΔRe(λ)およびΔRth(λ)を指標とした場合、ΔRe(λ)≦5nm(式(iii))、かつΔRth(λ)≦10nm(式(iv))、であることが望ましく、ΔRe(λ)≦3nm、ΔRth(λ)≦6nmであることがより望ましく、ΔRe(λ)≦2nm、ΔRth(λ)≦4nmであることが更に望ましい。バラツキがこの範囲内であれば、たとえば偏光板用保護フィルムとして使用した場合にクロスニコル偏光板での遮光時の光漏れのムラが目視で容易に確認できるレベル以下であり、液晶パネルで使用する偏光板用の保護フィルムとして使用した場合に液晶パネルでの光漏れのムラとして目視では容易に確認されない。
[遅相軸の検出]
遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。
[遅相軸を有する方向]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD方向(機械搬送方向に対して垂直方向)近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA 21ADH、王子計測機器(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA 21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nmおよび350nmの透過率を評価した。
[フィルム表面の性状]
(表面形状)
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
(表面エネルギー)
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは以下の方法により測定した。すなわち、試料を水平な台の上に水平にのせ、試料表面に一定量の水、およびヨウ化メチレンをのせてから一定時間後の試料表面での水、およびヨウ化メチレンの接触角を求めた。更に測定した接触角から、Owensの方法により表面エネルギーを求めた。
(表面エネルギーのバラツキ)
本発明の高分子フィルムの表面エネルギーの面内バラツキ値ΔEを以下のようにして求めた。すなわち、試料より幅方向に30mm間隔で15枚、流延方向に50mm間隔で50枚、30mm×40mmの大きさでサンプリングし、上記の方法で水およびヨウ化メチレンの接触角より算出して求めた。更に、得られた値の最大値と最小値との差の絶対値をΔEとして、フィルム面内の表面エネルギーのバラツキの指標とした。フィルム面内における表面エネルギーのムラが大きいと、例えば後述する浸漬法によるアルカリケン化時のケン化液や洗浄用または中和用の処理液の濡れや、処理後の乾燥における乾きに差ができて汚れ状となったり、諸性能、特に偏光板加工適正にムラができることで、たとえば偏光板耐久性にムラができてしまい、偏光板の品質が低下してしまう。表面エネルギーのバラツキとしては、ΔE≦10であることが好ましく、ΔE≦5であることがより好ましく、ΔE≦3であることが更に好ましい。
[フィルムの保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明の光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
本発明の偏光板を作製するにあたり、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いるために、偏光膜と貼り合わせる側の表面とポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を良好にすることが必要である。接着性が不充分の場合は、偏光板を作製した後に液晶表示装置等のパネルに適宜用いるための加工性が不良であったり、または耐久性が不足して、長期の使用での剥れ等が問題となる。接着には、接着剤を使用することもでき、接着剤の成分としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。接着性を考慮するには表面エネルギーを指標に考えれば良く、偏光膜の主成分であるポリビニルアルコールか、もしくはポリビニルアルコールかビニル系ラテックスを主成分とする接着剤からなる接着剤層の表面エネルギーと貼り合せる保護フィルムの表面エネルギーがより近ければ貼合性と貼合した偏光板の加工性と耐久性がより向上される。これらのことから、偏光膜または接着剤と貼り合わせる側の表面エネルギーを親水化処理等の表面処理により所望の範囲内にすることで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を充分に付与することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム中に含有するフィルム面内方向とフィルム厚み方向レターデーションとそれぞれのレターデーションの波長分散を制御するための添加剤により、フィルムの表面はより疎水的となっている。そのため上記の親水化処理による貼合性を向上させることが、偏光板の加工性と耐久性を付与する上でより必要となる。
親水化処理等の表面処理等を行う前の、製膜後のフィルムの表面エネルギーは、前記レターデーションを制御する添加剤を使用するため疎水化されており、フィルムの光学特性や力学特性の湿度依存性や、前記偏光板貼合性を向上するための処理の容易性の観点から、30mN/m以上50mN/m以下が好ましく、40mN/m以上48mN/m以下がより好ましい。処理前の表面エネルギーが30mN/m以下では後述の親水化処理により貼合性を良好にするためには、大きなエネルギーが必要となり、結果的にフィルム特性を劣化させたり、または生産性との両立が困難となる。また処理前の表面エネルギーが50mN/m以上では、フィルム自身の親水性が大きすぎて、フィルムの光学性能や力学特性の湿度依存性が大きすぎて問題となってしまう。
また、ポリビニルアルコール表面の表面エネルギーは、併用する添加剤や乾燥の程度や用いる接着剤にもよるが60mN/m以上80mN/m以下の範囲にあることから、後述の親水化処理等の表面処理後の保護フィルムの偏光板と貼り合せる側の面の表面エネルギーとしては、50mN/m以上80mN/m以下が好ましく、60mN/m以上75mN/m以下がより好ましく、65mN/m以上75mN/m以下が更に好ましい。
[親水化処理等の表面処理]
透明支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[フィルム表面を表面処理した前後におけるRe、Rth値の変化]
本発明の高分子フィルムは、表面処理した前後におけるRe、Rth値の変化が下記式(v)(vi)をみたすことが好ましい。
(v)|Re−Re’|≦10
(vi)|Rth−Rth’|≦20
より好ましくは、|Re−Re’|≦8nmで、かつ|Rth−Rth’|≦15nmであり、さらに好ましくは|Re−Re’|≦5nmで、かつ|Rth−Rth’|≦10nmである。
ここで、Reは表面処理前のフィルム面内のレターデーション値(nm)、Re’は表面処理後のフィルム面内のレターデーション値(nm)、Rthは表面処理前のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)、Rth’は表面処理後のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。
上記の範囲内であれば、保護フィルムの光学性能に遜色なく、偏光板、光学補償フィルム、液晶表示装置に適用した際に、光り漏れが起こらない。
[アルカリケン化(鹸化)処理]
これらの中でも特に好ましくは、アルカリケン化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。処理方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面をケン化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
ケン化処理することにより、透明支持体の反射防止層を有する主面と反対の主面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
ケン化処理は、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に高屈折率層を有する主面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がセルローストリアシレートであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。この範囲で、反射防止フィルムの受けるダメージに実害が無く、かつ偏光膜との接着性を保持できる。
[フィルム表面をケン化処理した前後におけるRe、Rth値の変化]
本発明の高分子フィルムは、フィルム表面のアルカリケン化処理前後でのRe,Rthの変化量が上記式(v)、(vi)を満たすことが好ましい。
なお、具体的なアルカリケン化処理とは、10cm×10cmのフィルムサンプルを55℃、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、30℃で0.05mol/Lの硫酸溶液で中和し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、100℃で乾燥する手順をいう。
[化合物のアルカリケン化液への溶出度]
本発明の高分子フィルムは、光学異方性を低下させる化合物として、分子量3000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下の化合物を含有し、該透明フィルムの表面をアルカリケン化した際の、該化合物のアルカリ溶液への溶出度が20質量%以下であることが望ましい。よりのぞましくは15質量%以下であり、さらにのぞましくは10質量%以下である。
上記の範囲内であれば、アルカリ溶液の劣化(性能低下)を起こさず、好ましい。
ここで、具体的な溶出度の算出方法は、100cm×100cmのフィルムを、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液5L入りの容器内に、55℃で30分間浸漬した後、このアルカリ溶液中に溶出した低分子化合物を液体クロマトグラフィーで定量し、下記数式により求める。
数式:(アルカリ溶液への溶出度)(質量%)=(アルカリ溶液中の低分子化合物含量)/(ケン化前のフィルム中の低分子化合物含量)
[ケン化溶液の吸収スペクトル]
本発明の透明フィルムの表面をアルカリケン化した後のアルカリ溶液は、劣化が少ないことが望ましい。本発明の透明フィルムにおいては、フィルム表面をアルカリケン化した後のアルカリ溶液の、450nmにおける吸光度が0.1以下である。より望ましくは0.08以下であり、さらに望ましくは0.05以下である。アルカリケン化溶液が劣化すると、該溶液が黄色味を呈することがあり、この黄色味の度合いを450nmにおける吸収スペクトルとして測定した。
上記の範囲内であれば、アルカリ溶液の性能として充分に機能し、好ましい。
ここで、具体的な吸光度の算出方法は、上記の溶出度の際に用いたフィルムをケン化した後のアルカリ溶液を10mL採り、分光器UV3100{(株)島津製作所製}を用いて450nmにおける吸光度を求める。
[ケン化処理に要する時間]
本発明の高分子フィルムは、アルカリケン化処理により好ましい表面エネルギーとなるのに要する時間が短い方が好ましい。アルカリケン化処理に要する時間を短くすることにより、生産性を向上させることができる。具体的には、1.5NのNaOH水溶液を用いた55℃の温度条件におけるアルカリケン化処理により、表面エネルギーが50mN/m以上となるのに要する時間が1分以内であることが好ましい。より好ましくは45秒以内であり、更に好ましくは30秒以内である。
また、別の好ましい範囲としては、前記1.5NのNaOH水溶液を用いた55℃の温度条件におけるアルカリケン化処理により、表面エネルギーが60mN/m以上となるのに要する時間が前記範囲内であることがより好ましく、表面エネルギーが65mN/m以上となるのに要する時間が前記範囲内であることが更に好ましい。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止フィルムへのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止フィルムを有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。ただし、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。
[プラズマ処理]
本発明に用いられるプラズマ処理としては、真空グロー放電、大気圧グロー放電等によるものがあり、その他の方法としてフレームプラズマ処理等の方法があげられる。これらは、例えば特開平6−123062号公報、特開平11−293011号公報、同11−5857号公報等に記載された方法を用いることが出来る。
プラズマ処理によれば、プラズマ中においたプラスチックフィルムの表面を処理することで、これに強い親水性を与える事が出来る。例えば、上記のグロー放電によるプラズマ発生装置中においては相対する電極の間にこれらの親水性を付与しようとするフィルムを置き、この装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加する事により、該気体をプラズマ励起させ電極間にグロー放電を行わせることにより表面処理が行える。中でも大気圧グロー放電によるものが好ましく用いられる。
プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。
これらのガスとしては、アルゴン、ネオン等の不活性ガスに、カルボキシル基や水酸基、カルボニル基等の極性官能基をプラスチックフィルムの表面に付与できる反応性ガスを加えたものが励起性気体として用いられる。反応性ガスとしては水素、酸素、窒素の他、水蒸気やアンモニア等のガスの他、低級炭化水素、ケトン等の低沸点の有機化合物等も必要に応じ用いることが出来るが、取り扱い上は、水素、酸素、二酸化炭素、窒素、水蒸気等のガスが好ましい。水蒸気を用いる場合は、他のガスを水に通しバブリングしたガスを用いることができる。或いは水蒸気を混合してもよい。
印加する高周波電圧の周波数としては、1kHz以上100kHz以下が好ましく用いられ、より好ましくは1kHz以上10kHz以下である。
これらのグロー放電によるプラズマ処理には真空下でこれを行う方法と、大気圧下でこれを行う方法がある。
グロー放電による真空プラズマ放電処理においては、有効に放電を起こさせるために、その雰囲気を0.005〜20torrの範囲に保つ様に上記反応性ガスを導入する必要がある。処理速度を上げるにはなるべく高圧側で高出力条件を採用することが好ましいが、電界強度を上げすぎると基材にダメージを与える場合がある。
大気圧近傍でプラズマ放電を行う大気圧グロー放電による場合には、安定に放電を起こさせるためにヘリウムやアルゴン等の不活性ガスが必要であり、上記プラズマ励起性ガスのうち60%以上が不活性ガスである様にしないと安定な放電が発生しない。しかしながら余り不活性ガスが多く、反応性ガスの割合が少ないと処理速度が低下する。電界強度を上げすぎてもやはり基材にダメージを与えることがある。
又、大気圧近傍でプラズマ処理を行う場合でも、パルス化された電解でプラズマを発生させる場合には、上記不活性ガスは必ずしも必要でなく、反応ガス濃度を上げることが出来、反応速度を大きくする事が出来る。
もう一つのフレームプラズマ処理とは表面処理をしようとするフィルムの表面にバーナーにより火炎(フレーム)処理を行うことでプラズマを発生させ表面処理を行うもので、例えばパラフィン系ガス(都市ガス、天然ガス、メタンガス、プロパンガス、ブタンガス等)のような燃焼ガスとこれに混合された酸化性ガス例えば空気や酸素(又、助燃剤や酸化剤等を用いる場合もある)からなる混合ガスを燃焼させ、この火炎で表面を処理することである。
一般的に、バーナーから出る火炎には外炎と内炎とがあり、外炎部は内炎部の未反応(燃焼しきれない)ガスが加熱された、通常薄い青色をした部分でいわゆるブルーのガス炎と言われており、温度が高い部分であり、ブルーでない火炎部が内炎で酸素供給が少ない温度の比較的低い部分である。
この内炎の先端から30mm以内の火炎にはプラズマが多く発生しており、特開平11−184042号公報に詳しく記載されているように遮蔽板により炎を制限する事で内炎の先端から30mm以内のところの制限した火炎で基材表面を処理することができ、これによるプラズマ処理が可能である。
火炎をあてる時間は、処理しようとする基材と火炎が接触する時間で0.001秒〜2秒以内である。好ましくは、0.01秒〜1秒以内である。長すぎる場合には、表面が犯されすぎ、短いと酸化反応が起こりにくく接着性が向上しない。
この目的で使用されるバーナーは、プラズマ処理を行おうとする基材の表面に均一に炎をあてることが出来ればよい。又バーナーを複数配置したものでもよい。
上記火炎処理の燃焼ガスと酸化性ガスの混合比率は、ガスの種類によって異なるが、例えばプロパンガスと空気の場合にはプロパンガス/空気の好ましい混合比は、容量比で1/15〜1/22、好ましくは1/16〜1/19の範囲がよく、天然ガスと空気の場合には、1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9である。内炎と外炎の大きさの比率は燃焼ガスの種類や酸化性ガスの種類、混合比、供給速度等により異なってくる。
これらのプラズマ処理装置の例として、大気圧プラズマ処理装置を図1に、又これを真空プラズマ処理を連続的に行う装置を図2に挙げる。
図1は大気圧プラズマ処理装置の一例を示す断面図である。即ち、図1の大気圧プラズマ発生装置においては、相対する2つの電極(上下電極とも1で表す)の間にプラズマ処理しようとする試料2を位置させる。プラズマ励起時に火花放電が起こるのを防ぐためガラス、セラミック、ポリイミドフィルムのような誘電体3を上部及び/又は下部電極の表面に設けた方が好ましい。アルゴンとヘリウムの混合気体等のプラズマ励起性気体は流入口4から大気圧プラズマ発生装置に導入され、内部の空気を置換して流出口5から排出される。次いで電極間に、例えば3000Hz、4200Vの、高周波電圧を印加し、上記導入基体をプラズマ励起してグロー放電を所定時間発生させ、試料表面の改質を行う。
図2は真空プラズマ処理を連続的に行う装置の一例を示す断面図で、連続搬送される長尺状のフィルムを真空下、連続的にプラズマ処理するための処理部が、試料フィルムFの入り口12Aと出口12Bを有する間仕切りをした処理室12によって構成されている。
処理室12には、対向する平板電極13、14が設けられている。この一対の電極13、14のうち一方の電極13に高周波電源15が接続され、他方の電極はアース16により接地されており、一対の電極13、14間に電界を印加できる様に構成されている。
又、流入口6より処理ガスを導入し、流出口7より排気ポンプで処理室内を真空に排気する。
図2の例では、処理室12に隣接して、フィルムの入り口側に予備減圧室10及び11が設けられている。フィルムの出口側にも処理室12に隣接して予備減圧室17が設けられている。又これらの間仕切りはニップロール8、9により行われるが、これに限定されるものではない。又ここで15は高周波電源を表す。
予備減圧室を設ける場合、図示のように、フィルムFの入り口側に2つ、出口側に一つを設ける仕様であってもよいが、これに限定されず、フィルムFの出入り口側に一つずつつける態様、或いは両方に2つずつつける等の態様も考えられる。
又、フレーム(火炎)プラズマ処理を行う装置についても、特開平9−355097号公報に記載されたものが好ましく用いられる。
図3にフレーム(火炎)処理によるプラズマ処理装置の一例を示す。一般的に、バーナーから出る火炎には外炎と内炎とがあり、外炎部は内炎部の未反応(燃焼しきれない)ガスが加熱された、通常薄い青色をした部分でいわゆるブルーのガス炎と言われており、温度が高い部分であり、ブルーでない火炎部が内炎で酸素供給が少ない温度の比較的低い部分である。
この外炎はプラズマ処理をするには不要な炎が多く、外炎が拡がると処理がコントロールできなくなるので、図3に示すような遮蔽板(外炎規制装置)Cを設置することにより、不要な外炎E′を遮蔽板(外炎規制装置)Cの外側に出して支持体から避け、有効炎(規制された炎)Gを試料フィルムFの表面に当てることによって火炎処理をコントロールし、目的を達成する。図はバーナーB、外炎E、内炎I、遮蔽板の外側に遮蔽され広がった外炎E′、有効炎Gや有効処理孔(スリット)S等を、また有効処理孔(スリット)Sを通して有効炎Gを試料フィルムFの表面に当てる様子を示した。
[コロナ放電処理]
表面処理のうち、コロナ放電処理は、最もよく知られている方法であり、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−5043号公報、同47−51905号公報、特開昭47−28067号公報、同49−83767号公報、同51−41770号公報、同51−131576号公報等に開示された方法により達成することができる。コロナ処理に使用するコロナ処理機としては、現在プラスチックフィルム等の表面改質の手段として使用されている市販の各種コロナ処理機の適用が可能であり、中でもSOFTAL(ソフタル)社のマルチナイフ電極を有するコロナ処理機は多数本の電極で構成され、さらに電極の間に空気を送る構造となっており、フィルムの加熱防止やフィルム表面に出てくる低分子の除去等がおこなえるので、エネルギー効率が非常に高く、高コロナ処理が可能となるので、本発明には特に有用なコロナ処理機である。
コロナ処理の条件としては、使用する保護膜の種類、接着剤の種類及び用いるコロナ処理機の種類等によって異なるが、1回当たりの処理に際してのエネルギー密度としては20〜400W・min./m2程度が好ましい。高エネルギーで処理するよりはできるだ
け低エネルギーで処理する方が処理する保護膜の劣化、保護膜中の充填物の表面へのブリード等がおさえられ、接着力向上には有効である。一回処理で不充分な場合は、二回以上の多数回処理を行えばさらに接着力が向上する。
本発明の高分子フィルムを偏光板の保護フィルム等の目的で使用するためには高分子フィルムの少なくとも片面の表面エネルギーを適当な範囲内にすることが必要であり、そのため前述のような表面処理を行う。一方、本発明の高分子フィルムに表面処理を行うことにより、高分子フィルム中に含有する添加剤の揮散/溶出/分解が発生する可能性がり、高分子フィルムの光学性能やフィルム性能や耐久性が劣化する懸念がある。また揮散や溶出が発生する場合には更に処理系を汚染し処理性を低下させてしまい、連続的に処理を行うことができなくなる。そのため添加剤量の低下を抑制することが必要であり、表面処理による添加剤の添加量の変化量が処理前の添加剤の全添加量の0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明の高分子フィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明の高分子フィルムはReおよびRthが0≦Re≦10nmかつ|Rth|≦25nmと光学異方性が小さく、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35と波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
したがって本発明の高分子フィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe=0〜200nmかつ|Rth|=0〜400nm(式(ix))であることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明の透明フィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明の透明フィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
(一般的な液晶表示装置の構成)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板の保護膜として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板の保護膜として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。または偏光板の保護膜として用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のリターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth値の絶対値|Rth|は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明のセルロースアシレートフィルムが有利に用いられる。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
(写真フィルム支持体)
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該特許に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
(透明基板)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[実施例1](セルロースアシレートフィルムの作製、表面処理、偏光板貼合試験)
<セルロースアシレート溶液T−1〜T−5の調製>
表1に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液T−1〜T−5を調製した。
Figure 2006117909
<添加剤溶液U−1〜U−7の調製>
別のミキシングタンクに、表2に記載の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液U−1〜U−7を調製した。(表中の「光学異方性低化剤」は、「光学異方性を低下させる化合物」を表す。)
Figure 2006117909
<セルロースアシレートフィルム試料001の作製>
セルロースアシレート溶液T−1の477質量部に、添加剤溶液U−1の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が2%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料001を作製した。
<セルロースアシレートフィルム試料101の作製>
セルロースアシレート溶液T−2の465質量部に、添加剤溶液U−2の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。それ以外はセルロースアシレートフィルム試料001の作製と同様の方法により、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料101を作製した。
<セルロースアシレートフィルム試料102〜113の作製>
セルロースアシレート溶液T−2と添加剤溶液U−2の代わりに、表3に記載のセルロースアシレート溶液と添加剤溶液の組み合わせを使用する以外は、セルロースアシレートフィルム試料101の作製と同様の方法により、厚み約80μmのセルロースアシレートフィルム試料102〜113を作製した。
Figure 2006117909
<セルロースアシレート溶液T−6の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液T−6を調製した。
(セルロースアシレート溶液T−6組成)
酢化度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
<マット剤溶液の調製>
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液(T−6) 10.3質量部
<添加剤溶液U−8の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液U−8を調製した。
(添加剤溶液U−8組成)
光学異方性を低下させる化合物(A−19) 90.0質量部
波長分散調整剤(UV−102) 9.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(T−6) 12.8質量部
<セルロースアシレートフィルム試料114の作製>
上記セルロースアシレート溶液T−6を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液U−8を4.1質量部それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアシレートフィルム試料114を、幅1300mm、長さ100mの大きさで製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
<セルロースアシレートフィルム試料115の作製>
前記セルロースアシレートフィルム試料114の作製において、フィルムを作製する大きさを幅1850mm、長さ3000mとする以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料115を作製した。
<セルロースアセテートフィルム試料116の作製>
前記セルロースアシレートフィルム114の作製において、フィルムを作製する大きさを幅2200mm、長さ2100mとする以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料116を作製した。
[表面処理]
次に、作製したセルロースアシレートフィルム試料101に対し下記表面処理を行った。
(処理1)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101を、2.0規定の水酸化ナトリウム水溶液に、70℃で30秒間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリケン化したフィルム試料101Aを作製した。
(処理2)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101を、0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液に、35℃で5分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリケン化したフィルム試料101Bを作製した。
(処理3)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101に対し、下記プラズマ処理による表面処理を行った。すなわち、反応容器内に径50mmの真鍮製上下電極を設け誘電体として電極よりも大きなサイズの100μm厚のポリイミドを電極に貼り合わせ、下部電極上にフィルム試料150mm×150mmをおき、極板間隙を20mmにしてその容器内の空気をアルゴンガスで置換する。完全に空気がアルゴンガスで置換されたとき、周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加すると赤紫色のグロー放電が発生し、プラズマ励起される。試料101を5秒処理したフィルム試料101Cを作製した。
(処理4)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101に対し、(処理3)と同様の方法にて、処理時間を20秒としたフィルム試料101Dを作製した。
(処理5)
アルゴンガスの10%を酸素に置き換えた以外は(処理3)と同様にしてフィルム試料101Eを作製した。
(処理6)
アルゴンガスの10%を酸素に置き換えた以外は(処理4)と同様にしてフィルム試料101Fを作製した。
(処理7)
作製した本発明のセルロースアシレートフィルム試料101に対し、下記コロナ処理による表面処理を行った。すなわち、フィルム試料101の一方の面に80W/m2/分の条件で2回コロナ放電処理を施してフィルム試料101Gを作製した。コロナ放電処理は、SOFTAL社のマルチナイフ電極を有するコロナ処理機を用いた。
<フィルム試料001、102〜116の表面処理>
作製したフィルム試料001、102〜116についても、フィルム試料101と同様にして表4〜表9に記載の処理方法を行ったフィルム試料(処理方法により、それぞれフィルム試料名末尾にA〜Gを追加)を作製した。
<表面処理前後の添加剤量の定量>
作製した各フィルム試料の添加剤量を下記方法により測定した。すなわち、試料0.1gをサンプリングし、メチレンクロライド2ml中にて超音波処理30分を行い溶解させ、更にメタノールで5mlにメスアップしてサンプリング液を作製した。作製したサンプリング液をHPLCにて定量分析を行い、定量した添加剤量より処理前後の添加剤量の変化量を求め、処理前の添加量に対する比率(%)で求めた。
<表面エネルギーの測定>
作製した各フィルム試料の表面エネルギーを下記方法により測定した。すなわち、試料を水平な台の上に水平にのせ、試料表面に一定量の水、およびヨウ化メチレンをのせてから一定時間後の試料表面での水、およびヨウ化メチレンの接触角を求めた。更に測定した接触角から、Owensの方法により表面エネルギーを求めた。
<光学性能の評価>
作製したフィルム試料について、本文中に記載の方法にて、Re(630)、Rth(630)、|Re(400)−Re(700)|、|Rth(400)−Rth(700)|の光学性能の評価、及び遅相軸の方向の検出を行った。
[偏光板貼合試験]
作製した表面処理済のフィルム試料、および表面処理無しのフィルム試料に対し、下記の偏光板貼合試験を行った。すなわち、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。作製したフィルム試料101Aを2枚用意しての片方の面(表面処理済のフィルム試料では表面処理済の面)を偏光膜側にしながら偏光膜を間にしてポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルム101Aによって保護された偏光板を得た。この際両側のセルロースアシレートフィルム試料101の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。同様にして作製した表面処理済のフィルム試料、および表面処理なしのフィルム試料(いずれも、表5〜表9に記載のセルロースアシレートフィルム試料)についても偏光板を作製した。
<密着性>
作製した偏光板試料の密着性を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料の特定箇所を5回前後に90度に繰返し折り曲げ、折り曲げ後の貼合面の剥れの有無で密着性を評価した。
○:剥れ無し
×:剥れ有り
<加工性>
作製した偏光板試料の加工性を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を片刃のカッターナイフで裁断し、裁断面付近での剥れの生じ易さで加工性を評価した
○:剥れ無し
×:剥れ有り
<密着耐久性1>
作製した偏光板試料の密着耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を60℃/90%RHの条件下に200時間放置し、放置後の貼合面の剥れの有無で評価した。
○:剥れ無し
×:剥れ有り
<密着耐久性2>
作製した偏光板試料の密着耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を80℃の条件下に200時間放置し、放置後の貼合面の剥れの有無で評価した。
○:剥れ無し
×:剥れ有り
[アルカリケン化処理に要する時間]
作製したフィルム試料001、102、104、105、106、108について、1.5NのNaOHアルカリ液を用い、55℃の温度条件で10秒〜180秒まで10秒毎に設定した各処理時間で、アルカリケン化処理を行う以外は前記(処理1)と同様の方法により表面処理を行い、表面処理済みのフィルム表面の表面エネルギーを前記と同様の方法により求め、表面エネルギーが50mN/m以上、60mN/m以上、65mN/m以上となるのに要する時間をそれぞれ求め、表面処理に要する時間を評価した。
作製したフィルム試料及び偏光板の測定ないし評価結果を、表4〜表10と表11の一部に記載した。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
Figure 2006117909
以上の結果より、本発明のフィルム試料(光学性能については、表11を参照)は、表面処理を行い、表面エネルギーを制御することで、偏光板加工性を付与することができ、更に作製した偏光板の耐久性を付与することができることが分かった(フィルム試料末尾がA〜Gのもの)。
また、表面処理前後の添加剤の変化量より、プラズマ処理やコロナ処理等(フィルム試料末尾がC〜Gのもの)のドライ処理方式による表面処理方法の方は添加剤量の減少が検出限界以下であり、添加剤量の変動による性能や耐久性の劣化の懸念がほぼ無く、また工程上はアルカリケン化(フィルム試料末尾がA,Bのもの)等のウェット処理方式では減少した添加剤はそのままかもしくは分解されてアルカリケン化液中に溶出してしまい工程汚染する懸念がある。上記の観点では、表面処理としてはプラズマ処理やコロナ処理等のドライ処理の方が好ましい。
[実施例2](IPS型液晶表示装置への実装評価)
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料を用いて、液晶表示装置へ実装評価してその光学性能が十分であるか確認した。なお本実施例ではIPS型液晶セル、他の実施例ではVA型、OCB型液晶セルを用いるが、本発明の高分子フィルムを用いた偏光板または光学補償フィルムの用途はこれらの液晶表示装置の動作モードに限定されることはない。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料101Aから実施例1と同様の方法にて作製した偏光板101Aに対し、アートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内レターデーションの遅相軸を偏光板101Aの透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
作製した上記の偏光板101Aと光学補償フィルムの積層体を2組用意し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板101Aと光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+光学補償フィルムと偏光板101Aの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板101Aの透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
同様にして、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料001A、101B〜101G、102A〜116A、102F〜114Fについても、偏光板101Aと同様にして、実施例1と同様の方法により偏光板を作製後、光学補償フィルムを貼合した積層体を2組用意して、IPS液晶セルと組み込んだ表示装置を作製した。
Figure 2006117909
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定した結果を表11に記載した。この値が小さいほど斜め45度方向での光漏れが少なく、表示装置のコントラストが良いことを示し、液晶表示装置の視野角特性を評価できる。光漏れ率が1/50から1/4といずれも小さくなった。また、表示装置の色味変化が小さくなった。これは本発明のセルロースアシレートフィルム試料のRe、Rthの波長分散性が優れている(波長依存性が小さい)ために、どの波長においても同様の光学補償性能を持つことを示している。また、表面処理の方法を変更しても、表面エネルギーが所定の範囲内に入り、偏光板加工適性と偏光板耐久性がある試料であれば、いずれも良好な表示性能を得られることが分かった。以上のように本発明の高分子フィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板が、視野角特性に優れ、表示色味を変化しにくいことがわかった。
[実施例3](VA型、OCB型液晶表示装置への実装評価)
実施例1で得た本発明のセルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶性分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、いずれの場合においてもコントラスト視野角が良好な性能が得られた。
[実施例4](光学補償フィルム性能)
実施例1で得た本発明のセルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平7−333433号公報の実施例1に記載の方法により光学補償フィルム試料を作製した。得られた光学補償フィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明のセルロースアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
[実施例5](セルロースアシレートフィルムの作製、表面処理、偏光板貼合試験)
<セルロースアシレート溶液T−11〜T−13の調製>
表12に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液T−11〜T−13を調製した。
Figure 2006117909
<光学異方性を低下させる化合物のpKaおよびNaOH水溶液への溶解性の評価>
光学異方性を低下させる化合物(以下、「光学異方性低化剤」ともいう。)について、pKa、および55℃、1.5mol/LのNaOHへの溶解性について、本文中に記載の方法により求めた。なお、pKaについては、>14(14以上)であるかを評価した。また溶解性については、1%溶解するかどうかを目視にて評価した。評価の結果を表13に示す。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
<添加剤溶液U−11〜U−35の調製>
ミキシングタンクに、表14に記載の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液U−11〜U−35を調製した。
Figure 2006117909
<セルロースアシレートフィルム試料002の作製>
セルロースアシレート溶液T−11を477質量部に、添加剤溶液U−11の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が2%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料002を、長さ(流延方向)100m、幅(流延方向に対してフィルム面内で直交する方向)1mの大きさで作製した。
<セルロースアシレートフィルム試料201の作製>
セルロースアシレート溶液T−12を455質量部に、添加剤溶液U−12の44質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。それ以外はセルロースアシレートフィルム試料002の作製と同様の方法により、厚み80μmのセルロースアシレートフィルム試料201を作製した。
<セルロースアシレートフィルム試料202〜227の作製>
セルロースアシレート溶液T−12と添加剤溶液U−12の代わりに、表15に記載のセルロースアシレート溶液と添加剤溶液の組み合わせを使用する以外は、セルロースアシレートフィルム試料201の作製と同様の方法により、厚み約80μmのセルロースアシレートフィルム試料202〜227を作製した。
Figure 2006117909
<セルロースアシレート溶液T−14の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液T−14を調製した。
(セルロースアシレート溶液T−14組成)
酢化度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
<マット剤溶液の調製>
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液(T−14) 10.3質量部
<添加剤溶液U−36の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液U−36を調製した。
(添加剤溶液U−36組成)
光学異方性を低下させる化合物(FB−2) 90.0質量部
波長分散調整剤(UV−102) 9.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(T−14) 12.8質量部
<セルロースアシレートフィルム試料228の作製>
上記セルロースアシレート溶液T−14を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液U−36を4.1質量部それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアシレートフィルム試料228を製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
[表面処理]
次に、作製したセルロースアシレートフィルム試料002に対し下記表面処理を行った。
(処理1)
作製したセルロースアシレートフィルム試料002を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリケン化したフィルム試料002Aを作製した。
(処理2)
作製したセルロースアシレートフィルム試料002を、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液に、20℃で10分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をアルカリケン化したフィルム試料002Bを作製した。
(フィルム試料201〜228の表面処理)
作製したフィルム試料201〜228についても、試料002と同様にして表17に記載の処理方法を行ったフィルム試料(処理方法により、それぞれフィルム試料名末尾にAないしBを追加)を作製した。
<表面エネルギーの測定>
作製した各フィルム試料の表面エネルギーを下記方法により測定した。すなわち、試料中央部より30mm×40mmの大きさにサンプリングしたのち、25℃60%RHで2時間調湿し、水平な台の上に水平にのせて試料表面に一定量(20μl)の水、およびヨウ化メチレンをのせてから一定時間(30秒)後の試料表面での水、およびヨウ化メチレンの接触角を求めた。更に測定した接触角から、Owensの方法により表面エネルギーを求めた。
また、試料より幅方向に30mm間隔で15枚、流延方向に50mmの間隔で50枚を、30mm×40mmの大きさにサンプリングし、上記と同様の方法により表面エネルギーを測定し、その最大値と最小値の差の絶対値ΔEをバラツキの指標とした。
<光学性能の評価>
作製したフィルム試料について、本文中に記載の方法にて、Re(630)、Rth(630)、|Re(400)−Re(700)|、|Rth(400)−Rth(700)|、およびRe(630)、Rth(630)のバラツキΔRe(630)、ΔRth(630)、の光学性能の評価、及び遅相軸の方向の検出を行った。
<クロスニコルムラの評価>
作製したフィルム試料を、偏光板のクロスニコル時の偏光板と偏光板の間に挟み込み、垂直方向、およびナナメ視野から目視にてムラの観察を行い、面状の評価を行った。
○:ムラ無し
△:ムラ有るが目立たない
×:ムラ有り
[偏光板貼合試験]
作製した表面処理済のフィルム試料、および表面処理無しのフィルム試料に対し、下記の偏光板貼合試験を行った。
すなわち、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。作製したフィルム試料201Aを2枚用意しての片方の面(表面処理済のフィルム試料では表面処理済の面)を偏光膜側にしながら偏光膜を間にしてポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルム201Aによって保護された偏光板を得た。この際両側のセルロースアシレートフィルム試料201の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。同様にして作製した表面処理済のフィルム試料、および表面処理なしのフィルム試料(いずれも、表16〜表17に記載のセルロースアシレートフィルム試料)についても偏光板を作製した。
<密着性>
作製した偏光板試料の密着性を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料の特定箇所を5回前後に90度に繰返し折り曲げ、折り曲げ後の貼合面の剥れの有無で密着性を評価した。
○:剥れ無し
×:剥れ有り
<加工性>
作製した偏光板試料の加工性を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を片刃のカッターナイフで裁断し、裁断面付近での剥れの生じ易さで加工性を評価した
○:剥れ無し
×:剥れ有り
<密着耐久性1>
作製した偏光板試料の密着耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を60℃/90%RHの条件下に200時間放置し、放置後の貼合面の剥れ、およびクロスニコル時のムラの有無で評価した。
1)剥れ
○:剥れ無し
×:剥れ有り
2)ムラ
○:ムラ無し
×:ムラ有り
<密着耐久性2>
作製した偏光板試料の密着耐久性試験を以下の方法で試験した。すなわち、偏光板試料を80℃の条件下に200時間放置し、放置後の貼合面の剥れ、およびクロスニコル時のムラの有無で評価した。
1)剥れ
○:剥れ無し
×:剥れ有り
2)ムラ
○:ムラ無し
×:ムラ有り
以上の作製したフィルム試料及び偏光板の測定ないし評価結果を、表16〜表17に示す。
Figure 2006117909
Figure 2006117909
以上の結果より、本発明に記載の化合物を用いて作製した本発明のフィルム試料は、光学異方性を低くできることがわかった。また、更にpKaが14以上であるか、またはアルカリケン化液への溶解度が小さい化合物を使用することで、光学性能をフィルム面内でムラが無く安定に維持することができ、かつ、表面エネルギーを所望の範囲内とすることで偏光板加工性を付与でき、更に作製した偏光板の耐久性を付与することができることが分かった。
[実施例6:IPS型液晶表示装置への実装評価]
実施例5で作製したセルロースアシレートフィルム試料を用いて、液晶表示装置へ実装評価してその光学性能が十分であるか確認した。なお本実施例ではIPS型液晶セル、他の実施例ではVA型、OCB型液晶セルを用いるが、本発明の高分子フィルムを用いた偏光板または光学補償フィルムの用途は、これらの液晶表示装置の動作モードに限定されることはない。
実施例5でセルロースアシレートフィルム試料201Aから作製した偏光板201Aに対し、アートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内レターデーションの遅相軸を偏光板201Aの透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
作製した上記の偏光板201Aと光学補償フィルムの積層体を2組用意し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板201Aと光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+光学補償フィルムと偏光板201Aの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板201Aの透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
同様にして、他のセルロースアシレートフィルム試料についても、偏光板201Aと同様にして、実施例5と同様の方法により偏光板を作製後、光学補償フィルムを貼合した積層体を2組用意して、IPS液晶セルと組み込んだ表示装置を作製した。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定した結果を表18に記載した。この値が小さいほど斜め45度方向での光漏れが少なく、表示装置のコントラストが良いことを示し、液晶表示装置の視野角特性を評価できる。光漏れ率が1/50から1/4といずれも小さくなった。また、表示装置の色味変化が小さくなった。これは本発明に係るセルロースアシレートフィルム試料のRe、Rthの波長分散性が優れている(波長依存性が小さい)ために、どの波長においても同様の光学補償性能を持つことを示している。また、表面処理の方法を変更しても、表面エネルギーが所定の範囲内に入り、偏光板加工適性と偏光板耐久性がある試料であれば、いずれも良好な表示性能を得られることが分かった。以上のように本発明の高分子フィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板が、視野角特性に優れ、表示色味を変化しにくいことがわかった。
Figure 2006117909
[実施例7:VA型、OCB型液晶表示装置への実装評価]
実施例5で得たセルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶性分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、いずれの場合においてもコントラスト視野角が良好な性能が得られた。
[実施例8:光学補償フィルム性能]
実施例5で得たセルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平7−333433号公報の実施例1に記載の方法により光学補償フィルム試料を作製した。得られたフィルターフィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明のセルローストリアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さく、かつ波長によるReやRthの変化が小さいセルロースアシレートフィルムにおいて、更に表面エネルギー状態を制御して、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体等への加工適性と加工後の耐久性を付与することにより、波長依存性の小さい、すなわち表示色味の改善された画像表示装置の分野に応用することができる。
[実施例9](光学補償フィルム性能)
本発明の高分子フィルム試料を用いて、特開2003−315541号公報の実施例1に記載の方法に準じて以下のように光学補償フィルム試料を作製した。
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、質量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い25wt%に調製した溶液を、実施例1で作製した本発明の高分子フィルム試料114(厚さ80μm)に塗布した。その後100℃で10分熱処理後、160℃で15%縦一軸延伸することにより厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明の高分子フィルム試料114に塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=72nm、Rth=220nm、配向軸のズレ角度は±0.3度以内で、nx>ny>nzの複屈折層を持つ光学補償フィルムであった。
(比較例)
上記の高分子フィルム試料114の代わりに、フィルム試料001(厚さ80μm)に塗布した以外は同様の操作により、厚さ6μmのポリイミドフィルムがフィルム試料001の高分子フィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、Re=75nm、Rth=280nmであった。
(VA型液晶表示装置への実装評価)
上記実施例9および比較例で得られた光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない側をアルカリケン化処理しポリビニルアルコール系接着剤で偏光子と接着することにより、直接偏光子と貼り合せた。この際光学補償フィルムのnx方向と偏光板の吸収軸が直交するように貼り合せた。これら光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤でVA液晶パネルに張り合わせた。なお、液晶セルの反対側には偏光板の吸収軸同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せた。以上のようにして得られた液晶表示装置の視野角特性を測定したところ、実施例1で得られた本発明の高分子フィルム試料114より得られた光学補償フィルムはフィルム試料001から得た光学補償フィルムよりも左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明の高分子フィルムが、VA用の位相差フィルムとして用いる際にも優れたものであることが判った。
[実施例10]
(高分子フィルムの作製)
本発明の高分子フィルムの素材としてセルロースアシレートを用いた。
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。なお、セルロースアシレートとしてはアシル化度が異なる三種類(Ac:OH=2.86:0.14)、(Ac:OH=2.92:0.08)、(Ac:Pro:OH=1.9:0.8:0.3)を用いた(カッコ内Acはアセチル置換基、Proはプロピオニル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率を表す)。
(セルロースアシレート溶液組成)
セルロースアシレート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
<マット剤溶液の調製>
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
上記セルロースアシレート溶液 10.3質量部
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。光学異方性(Re、Rth)を低下させる化合物および波長分散調整剤については下記表19に示すものを用いた。
(添加剤溶液組成)
光学異方性を低下させる化合物 49.3質量部
波長分散調整剤 7.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
<セルロースアシレートフィルム試料301〜305の作製>
上記セルロースアシレート溶液を94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液を4.1質量部それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、130℃で20分間乾燥させセルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1%未満であり、膜厚は80μmであった。
(比較例)
上記実施例10で用いた光学異方性を低下させる化合物および波長分散調整剤を用いずに、それ以外は実施例10と同様にして比較フィルム試料003Aを作製した。
同様にして、光学異方性を低下させる化合物の代わりにセルロースアシレートに用いられる可塑剤であるTPP(トリフェニルフォスフェート)を用いる以外は実施例10と同様にして比較フィルム試料003Bを作製した。
上記実施例10にて作製した本発明の試料および比較試料の評価結果を表19に示した。本発明においてのぞましく用いられる化合物を用いた高分子フィルムサンプルは、比較例のサンプルよりもRe、Rthが小さい。一般に低分子化合物はセルロースアシレートフィルムに疎水性を付与しているが、比較試料003Aでは低分子化合物を全く用いないためにフィルム表面が親水的でアルカリ溶液によって浸漬されやすい。また比較試料003Bではセルロースアシレートと親和性が高くない化合物を用いているために化合物が比較的容易にアルカリ溶液に溶出しやすく、フィルムがアルカリ溶液で浸漬されやすいためにRe、Rthが変化しやすい。
一方、本発明においてはセルロースアシレートと親和性の高い低分子化合物を用いているためアルカリケン化溶液への溶出度が小さく、ケン化液の450nmにおける吸光度も小さい。すなわち低分子化合物がケン化処理前後でフィルムから溶出せず、フィルム中にとどまるようにすることにより、ケン化前後におけるRe、Rthの変化を小さくすることができた。
ここで、具体的なアルカリケン化処理は、10cm×10cmのフィルムサンプルを55℃、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、30℃で0.1規定の硫酸溶液で中和し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、100℃で乾燥するサイクルで行った。
Figure 2006117909
波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さく、かつ波長によるReやRthの変化が小さいセルロースアシレートフィルムにおいて、更に表面エネルギー状態を制御して、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体等への加工適性と加工後の耐久性を付与することにより、波長依存性の小さい、すなわち表示色味の改善された画像表示装置の分野に応用することができる。
本発明のプラズマ処理に使用することができる、大気圧プラズマ処理装置の一例を示す断面図である。 同じく、真空プラズマ処理を連続的に行う装置の一例を示す断面図である。 同じく、フレーム(火炎)処理によるプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 電極
2 試料
4 流入口
5 流出口
F 試料フィルム
12 処理室
13、14 電極
15 高周波電源
6 流入口
7 流出口
B バーナー
C 遮蔽板(外炎規制装置)
E、E′ 外炎
G 有効炎
I 内炎
S 有効処理孔(スリット)

Claims (34)

  1. 正面レターデーション値Re(λ)および膜厚方向のレターデーション値Rth(λ)(λは波長(nm)を示す。)が、下記式(i)および(ii)を満たし、更に少なくとも片側の面の表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下であることを特徴とする高分子フィルム。
    (i) 0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
    (ii) |Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
  2. 前記表面エネルギーの面内バラツキ値ΔEが10以下であることを特徴とする請求項1に記載の高分子フィルム。
  3. フィルムの少なくとも片側の面が表面処理された面であり、該表面処理された面の、表面処理前の表面エネルギーが30mN/m以上50mN/m以下であって、かつ表面処理後の表面エネルギーが前記50mN/m以上80mN/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子フィルム。
  4. Re(λ)およびRth(λ)の面内バラツキ値ΔRe(λ)およびΔRth(λ)が、下記式(iii)および(iv)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子フィルム。
    (iii) ΔRe(λ)≦5
    (iv) ΔRth(λ)≦10
  5. 前記表面処理した前後におけるRe、Rth値の変化が、下記式(v)および(vi)を満たすことを特徴とする請求項3または4に記載の高分子フィルム。
    (v) |Re−Re’|≦10
    (vi) |Rth−Rth’|≦20
    ここで、
    Re:表面処理前のフィルム面内のレターデーション値(nm)
    Re’:表面処理後のフィルム面内のレターデーション値(nm)
    Rth:表面処理前のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
    Rth’:表面処理後のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
    である。
  6. 光学異方性を低下させる化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子フィルム。
  7. 下記式(vii)を満たす前記光学異方性を低下させる化合物を、下記式(viii)を満たす範囲で含有することを特徴とする請求項6に記載の高分子フィルム。
    (vii) (RthA−Rth0)/A≦−1.0
    (viii) 0.01≦A≦30
    ここで、
    RthAは上記化合物をA質量%含有したフィルムのRth(nm)、
    Rth0は上記化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、
    Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの上記化合物の質量(%)
    を表す。
  8. 前記光学異方性を低下させる化合物として、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である化合物を含有することを特徴とする請求項6または7に記載の高分子フィルム。
  9. |Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高分子フィルム。
  10. 前記表面処理がアルカリケン化処理であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の高分子フィルム。
  11. フィルム表面をアルカリケン化処理した際の、前記光学異方性を低下させる化合物のアルカリ溶液への溶出度が、20質量%以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の高分子フィルム。
  12. フィルム表面をアルカリケン化処理した後の、アルカリ溶液の450nmにおける吸光度が0.1以下であることを特徴とする請求項10または11に記載の高分子フィルム。
  13. 未表面処理のフィルム表面を1.5NのNaOH水溶液を用いて55℃の温度条件にてアルカリケン化処理する際に、表面エネルギーが50mN/m以上となるのに要する時間が1分以内であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の高分子フィルム。
  14. 前記光学異方性を低下させる化合物のpKaが、14以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の高分子フィルム。
  15. 前記表面処理がプラズマ処理であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の高分子フィルム。
  16. 前記表面処理がコロナ処理であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の高分子フィルム。
  17. フィルムを形成するポリマー原料としてセルロースアシレートを含有する請求項1〜16のいずれかに記載の高分子フィルム。
  18. 前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00のであることを特徴とする請求項17に記載の高分子フィルム。
  19. 前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.80〜2.99であり、その平均重合度が180〜550であることを特徴とする請求項17に記載の高分子フィルム。
  20. 前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、アシル置換度が2.50〜3.00のセルロースアシレートからなることを特徴とする請求項17に記載の高分子フィルム。
  21. フィルムの面内方向の遅相軸がフィルムの機械搬送方向(MD方向)、またはフィルムの機械搬送方向に対して垂直方向(TD方向)であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の高分子フィルム。
  22. フィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の高分子フィルム。
  23. フィルムの幅が1350mm以上であることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の高分子フィルム。
  24. フィルムが長さ1500m以上の長尺フィルムであることを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の高分子フィルム。
  25. 請求項1〜24のいずれかに記載の高分子フィルムの表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下である面のうちの少なくとも片側の面上に更に接着剤層が形成されていることを特徴とする接着剤層付き高分子フィルム。
  26. 請求項1〜25のいずれかに記載の高分子フィルムに、下記式(ix)をみたす光学異方性層を設けたことを特徴とする光学補償フィルム。
    (ix)Re=0〜200(nm)かつ|Rth|=0〜400(nm)
  27. 前記光学異方性層がディスコティック液晶性化合物を含有することを特徴とする請求項26に記載の光学補償フィルム。
  28. 前記光学異方性層が棒状液晶性化合物を含有することを特徴とする請求項25または27に記載の光学補償フィルム。
  29. 前記光学異方性層が複屈折を持つポリマーフィルムから形成されることを特徴とする請求項26〜28のいずれかに記載の光学補償フィルム。
  30. 前記光学異方性層を形成する前記ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを特徴とする請求項29に記載の光学補償フィルム。
  31. 請求項1〜25のいずれかに記載の高分子フィルム、または請求項26〜30のいずれかに記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚用いて偏光子の保護フィルムとしたことを特徴とする偏光板。
  32. 表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする請求項31に記載の偏光板。
  33. 請求項1〜25のいずれかに記載の高分子フィルム、請求項26〜30のいずれかに記載の光学補償フィルム、請求項31または32に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  34. 請求項1〜25のいずれかに記載の高分子フィルム、請求項26〜30のいずれかに記載の光学補償フィルム、請求項31または32に記載の偏光板、のいずれかを用いたことを特徴とするVAまたはIPS液晶表示装置。
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