JP2003131036A - 光学フィルム、その製造方法及び偏光板 - Google Patents
光学フィルム、その製造方法及び偏光板Info
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Abstract
コル状態での光漏れが少なく、優れた偏光特性を発現す
る偏光板を得ることができる光学フィルム、その製造方
法及び上記光学フィルムを使用した偏光板を提供する。 【解決手段】 非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形され
てなる光学フィルムであって、該光学フィルムは、厚み
が100μm未満であり、フィルムの法線方向のレター
デーションR(0)が10nm以下であり、フィルムの
法線方向から進相軸及び遅相軸方向に40度傾いた方向
から測定したレターデーションRs(40)及びRf
(40)がR(0)+6nm以下であり、光軸ズレが±
10度以下である光学フィルム、上記樹脂がノルボルネ
ン系樹脂である上記光学フィルム、シート状に押し出さ
れた上記樹脂からなるフィルムを冷却ロールに密着させ
る際に、冷却ロールとフィルムとの接点直前のフィルム
温度を上記樹脂のTg+50℃以上とする上記光学フィ
ルムの製造方法、及び、上記光学フィルムが偏光子の少
なくとも片面に積層されてなる偏光板。
Description
(LCD)の表示部材に使用される光学フィルム、その
製造方法及び上記光学フィルムを使用した偏光板に関
し、より詳細には、LCDに使用する偏光子を保護する
目的で使用される光学フィルム、その製造方法及び上記
光学フィルムを使用した偏光板に関する。
の少なくとも片面に配置されており、偏光子とその両面
に積層された偏光子を保護するための保護フィルムとか
ら構成されている。従来、上記偏光子としては、ヨウ素
または二色性染料が吸着された延伸ポリビニルアルコー
ルフィルムが使用されており、上記保護フィルムとして
は、未処理のトリアセチルセルロース(TAC)フィル
ムやアルカリ処理したTACフィルム等が使用されてき
た。
ャスト法や溶融押出法が汎用されているが、上記保護フ
ィルムをはじめとする光学フィルムにおいては、光学物
性をはじめとする種々のフィルム物性において極めて高
い精度を要求されるとともに、フィルムの均一性や外観
が格別重要視されることから、溶液キャスト法を採用す
るしかないのが実態であった。
で得られたTACフィルムを偏光子の保護フィルムとし
て作製した偏光板には、TACフィルムの複屈折及び光
軸ズレが大きいために、クロスニコルに配置したときに
光漏れが発生する等の偏光特性上の問題点がある。
試みがなされており、例えば、特開平6−51120号
公報には、偏光フィルムの片側または両側にレターデー
ション値が3nm以下の透明保護層を有する偏光板が提
案されている。
には、クロスニコル状態での正面から観測したときの光
漏れはやや改善されるものの、斜めから観測したときの
光漏れを解消することは困難であるという問題点があ
る。
問題点に鑑み、正面だけでなく斜めから観測してもクロ
スニコル状態での光漏れが少なく、優れた偏光特性を発
現する偏光板を得ることができる光学フィルム、その製
造方法及び上記光学フィルムを使用した偏光板を提供す
ることにある。
よる光学フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成
形されてなる光学フィルムであって、該光学フィルム
は、厚みが100μm未満であり、光学フィルムの法線
方向のレターデーションR(0)が10nm以下であ
り、光学フィルムの法線方向から進相軸方向及び遅相軸
方向に40度傾いた方向から測定したレターデーション
Rs(40)及びレターデーションRf(40)がR
(0)+6nm以下であり、かつ、光軸ズレが±10度
以下であることを特徴とする。
ィルムは、上記請求項1に記載の光学フィルムにおい
て、非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹脂であるこ
とを特徴とする。
フィルムは、上記請求項1または請求項2に記載の光学
フィルムが偏光子を保護するための保護フィルムとして
使用されることを特徴とする。
の製造方法は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記
載の光学フィルムの溶融押出成形による製造方法であっ
て、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとする
と、押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し
出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを冷却ロ
ールに密着させる際に、冷却ロールとフィルムとの接点
直前のフィルム温度をTg+50℃以上とすることを特
徴とする。
ィルムの製造方法は、上記請求項1〜請求項3のいずれ
かに記載の光学フィルムの溶融押出成形による製造方法
であって、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させた直後の厚みをA、前記ダイスの
リップクリアランスをBとすると、B/Aの値を、前記
フィルムの厚みが70μm以上、100μm未満の場合
には10以下とし、50μm以上、70μm未満の場合
には15以下とし、50μm未満の場合には20以下と
し、かつ、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg
とすると、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフィルムと
の接点直前のフィルム温度をTg+30℃以上とするこ
とを特徴とする。
ィルムの製造方法は、上記請求項4または請求項5に記
載の光学フィルムの製造方法において、押出機に取り付
けられたダイスからシート状に押し出された非晶性熱可
塑性樹脂からなるフィルムを冷却ロールに密着させる際
に、前記ダイス出口から冷却ロールとフィルムとの接点
の直前までのエアギャップにおいてフィルムを保温する
ことを特徴とする。
フィルムの製造方法は、上記請求項4〜請求項6のいず
れかに記載の光学フィルムの製造方法において、冷却ロ
ールとフィルムとの接点において、フィルムを冷却ロー
ルに対して押圧することにより、または、フィルムを冷
却ロール側から吸引することにより、冷却ロールに対し
てフィルムを密着させることを特徴とする。
〜請求項3のいずれかに記載の光学フィルムが偏光子の
少なくとも片面に積層されてなることを特徴とする。
熱可塑性樹脂とは、透明性を有し、かつ、殆ど結晶構造
をとりえない無定形状態を保って溶融押出成形が可能な
樹脂であり、そのガラス転移温度(Tg)は、樹脂によ
って異なるため特に限定されないが、総じて100℃以
上のものである。
ば、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂
や、オレフィンと無水マレイン酸やN−アルキルマレイ
ミド等との共重合体などのオレフィン系樹脂;メチルメ
タクリレートの(共)重合体や、ノルボルネン骨格を有
するアルコールとアクリル酸をエステル化して得られる
アクリル酸エステルの(共)重合体などのアクリル系樹
脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポ
リアミド系樹脂;ポリサルホン系樹脂;ポリイミド系樹
脂等が挙げられ、なかでもノルボルネン系樹脂が好適に
用いられる。これらの非晶性熱可塑性樹脂は、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。な
お、ここで(共)重合体とは、単独重合体または共重合
体を言う。
樹脂を用いることにより、より透明性に優れ、観測方向
の如何を問わずクロスニコル状態での光漏れが極めて少
なく、より優れた偏光特性を発現する偏光板を得るに適
する光学フィルムを得ることができる。
性飽和ノルボルネン系樹脂が好ましく、例えば、ノルボ
ルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、ノ
ルボルネン系モノマーと他のオレフィン系モノマーとの
付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加共重
合体及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらのノル
ボルネン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類
以上が併用されても良い。
ネン環を有するものであれば特に限定されないが、耐熱
性、低線膨張率等に優れた成形品が得られることから、
三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いること
が好ましい。
ては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二
環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエ
ン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シク
ロペンタジエン三量体等の五環体;テトラシクロペンタ
ジエン等の七環体;これらのメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチ
リデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル
等のアリール等の置換体;さらにこれらのエステル基、
エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカル
ボニル基、ピリジル基、水酸基、カルボン酸基、アミノ
基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メ
タクリル基等の炭素、水素以外の元素を含有する基、い
わゆる極性基を有する置換体等が挙げられ、なかでも、
入手が容易であり、反応性に優れ、得られる成形品の耐
熱性が優れることから、三環体、四環体及び五環体のノ
ルボルネン系モノマーが好適に用いられる。これらのノ
ルボルネン系モノマーは、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
重合体の水素添加物としては、上記ノルボルネン系モノ
マーを公知の方法で開環重合させた後、残留している二
重結合が水素添加されているものが広く用いられる。こ
れは、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であっても
良いし、異種のノルボルネン系モノマーの共重合体であ
っても良い。
オレフィン系モノマーとの付加共重合体としては、ノル
ボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙
げられる。上記α−オレフィンとしては、炭素数2〜2
0、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えば、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブ
テン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘ
キサデセン等が挙げられ、なかでも、共重合性が高いこ
とから、エチレンが好ましく、他のα−オレフィンをノ
ルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレ
ンが存在している方が共重合性が高められる。
り、商業的に入手できる。公知のノルボルネン系樹脂の
具体例としては、例えば、特開平1−240517号公
報に記載されているものが挙げられ、商業的に入手でき
るノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、ジェ
イエスアール社製の商品名「アートン」シリーズ、日本
ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ、三井化学社
製の商品名「アペル」シリーズ等が挙げられる。
は、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じ
て、成形中の非晶性熱可塑性樹脂の劣化防止や成形され
た光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上
させるために、フェノール系、リン系等の酸化防止剤;
ラクトン系等の熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の紫外線吸収
剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの
部分エステル系や部分エーテル系等の滑剤;アミン系等
の帯電防止剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以
上が添加されていても良い。
れてなる本発明の光学フィルムは、厚みが100μm未
満であることが必要である。光学フィルムの厚みが10
0μm以上であると、この光学フィルムを用いて作製し
た偏光板をLCDに使用した際にLCDの薄型化や小型
化を図ることが困難となる。
とは、複屈折と厚みとの積を意味し、回転検光子法によ
り、波長590nmの光で測定した値である。
したレターデーションR(0)及び光学フィルムの法線
方向から進相軸方向に40度傾いた方向から測定したレ
ターデーションRs(40)を示す斜視図である。
デーションR(0)とは、光学フィルムの法線方向から
測定したレターデーションの値であり、また、本発明に
おけるレターデーションRs(40)とは、光学フィル
ムの法線方向から進相軸方向に40度傾いた方向から測
定したレターデーションの値である。
Rf(40)とは、光学フィルムの法線方向から遅相軸
方向に40度傾いた方向から測定したレターデーション
の値である。なお、遅相軸は通常フィルム面内において
最も屈折率の大きい方向に一致し、進相軸は上記遅相軸
に直交する方向に一致する。
ションR(0)が10nm以下であることが必要であ
り、好ましくは5nm以下であり、さらに好ましくは3
nm以下である。光学フィルムの上記R(0)が10n
mを超えると、LCDを正面から見た時にコントラスト
が低下する。
ーデーションRs(40)及びレターデーションRf
(40)が上記R(0)+6nm以下であることが必要
であり、好ましくはR(0)+5nm以下であり、さら
に好ましくはR(0)+2nm以下である。光学フィル
ムの上記Rs(40)及びRf(40)のいずれか一方
または双方がR(0)+6nmを超えると、LCDを斜
めから見た時にコントラストが低下する。
レが±10度以下であることが必要である。光学フィル
ムの光軸ズレが±10度を超えると、この光学フィルム
を用いて作製した偏光板をLCDに使用した際に表示ム
ラが発生する。
る偏光子を保護するための保護フィルムとし好適に使用
される。一般に偏光子は引き裂きの力が加わると割れや
すく、また、高湿度下においては脱色や変形等を起こし
やすいために、これらから偏光子を保護する目的で保護
フィルムが積層される。しかし、保護フィルムとして前
記したようなTACフィルムを使用すると光漏れ等の偏
光特性上の不具合が発生するという問題点があるが、本
発明の光学フィルムを使用することにより、上記光漏れ
等の偏光特性上の不具合の発生を効果的に抑制すること
ができる。
は、上記本発明の光学フィルムの溶融押出成形による製
造方法であって、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度
をTgとすると、押出機に取り付けられたダイスからシ
ート状に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィ
ルムを冷却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフィ
ルムとの接点直前のフィルム温度をTg+50℃以上と
することを特徴とし、好ましくはTg+80℃以上とす
ることである。
ことが好ましい。上記Tダイの種類は、特に限定され
ず、例えば、ストレートマニホールドタイプ、ハンガー
マニホールドタイプ、コートハンガータイプ、フィッシ
ュテールタイプ等の一般的に使用される各種Tダイで良
い。
ム表面の欠陥を少なくするために、ダイ滞留部が極力少
なくなるような構造の金型を使用することが好ましく、
さらに、ダイ内部やリップにキズ等が極力ないものを使
用することが好ましい。
ム温度との関係を示す図である。図2に示すように、ダ
イスから押し出されたフィルムの冷却ロールとの接点直
前におけるフィルム温度をTg+50℃以上とすること
により、この状態で非晶性熱可塑性樹脂からフィルムが
変形されたとしても、樹脂における応力は小さくなり、
得られる光学フィルムの法線方向のレターデーションR
(0)を10nm以下とすることができる。
度が高温になればなるほど、変形した時に応力を発生し
難いためである。従って、製膜時において樹脂に変形を
与える際に、適切な温度制御を行うことにより発生する
樹脂の応力は小さくなり、得られる光学フィルムの歪み
も小さくなって、法線方向のレターデーションR(0)
が発生し難くなる。
るフィルム温度をTg+50℃以上、好ましくはTg+
80℃以上とする具体的な方法については、特に限定さ
れず、例えば金型の温度を制御する方法などが考えられ
る。この場合、金型温度を上げ過ぎると樹脂によっては
熱劣化するが、熱劣化しない程度の温度条件を採用する
ことにより、法線方向のレターデーションR(0)が1
0nm以下の光学フィルムを確実に得ることができる。
また、上記接点直前におけるフィルム温度をTg+50
℃以上、好ましくはTg+80℃以上とするために、エ
アギャップを狭める方法を用いることができる。この場
合には、ダイライン及びフィルムの厚み精度を十分に考
慮してエアギャップの大きさを設定すれば良い。
は、前記本発明の光学フィルムの溶融押出成形による製
造方法であって、押出機に取り付けられたダイスからシ
ート状に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィ
ルムを冷却ロールに密着させた直後の厚みをA、前記ダ
イスのリップクリアランスをBとすると、B/Aの値
を、前記フィルムの厚みが70μm以上、100μm未
満の場合には10以下とし、50μm以上、70μm未
満の場合には15以下とし、50μm未満の場合には2
0以下とし、かつ、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温
度をTgとすると、押出機に取り付けられたダイスから
シート状に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフ
ィルムを冷却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフ
ィルムとの接点直前のフィルム温度をTg+30℃以上
とすることを特徴とし、好ましくはTg+50℃以上、
さらに好ましくはTg+80℃以上とすることである。
における光学フィルム成形工程を示す略図的断面図であ
る。図3に示すように、上記製造方法においては、リッ
プクリアランスがBであるダイス1から非晶性熱可塑性
樹脂からなる溶融樹脂を押し出し、冷却ロール3に供給
する。冷却ロール3の外表面にフィルム2を密着させる
直前のフィルム2温度は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス
転移温度をTgとすると、Tg+30℃以上、好ましく
はTg+50℃以上、さらに好ましくはTg+80℃以
上とする。また、上記冷却ロール3に密着させた直後の
フィルム2の厚みをAとした場合、B/Aの値を、フィ
ルム2の厚みに対応して上記のように設定する。上記B
/Aの値を上記特定の値とするためには、目標とする光
学フィルム2の厚みに対して、ダイス1のリップクリア
ランスBを調整する方法を用いることができる。
樹脂を押し出す際には、ダイス1のリップに掛かる樹脂
の圧力により、リップクリアランスBを小さくすること
ができないことがある。その場合には、樹脂温度を上昇
させて溶融粘度を低くする方法や樹脂の押出量を少なく
する方法により、リップクリアランスBを小さくすれば
良い。
値よりも大きくなると、エアギャップにおいて樹脂の温
度が低くなりがちとなり、樹脂が伸長されると、得られ
る光学フィルムの法線方向のレターデーションR(0)
が10nmを超えることがある。
かつ、フィルムを冷却ロールに密着させる際に、冷却ロ
ールとフィルムとの接点直前のフィルム温度をTg+3
0℃以上、好ましくはTg+50℃以上、さらに好まし
くはTg+80℃以上とすることにより、エアギャップ
において樹脂に発生する応力が低減され、それによって
法線方向のレターデーションR(0)が10nm以下の
光学フィルムを得ることができる。
おいては、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させる際に、前記ダイス出口から冷却
ロールとフィルムとの接点の直前までのエアギャップに
おいてフィルムを保温することが好ましい。
接点の直前までのフィルム温度の制御を、エアギャップ
においてフィルムを保温することにより行う。このよう
な方法は、金型温度を変更する方法に比べ、フィルム温
度の制御を高精度に行うことが可能であり、特にノルボ
ルネン系樹脂のような温度制御を高精度に行うことが求
められる樹脂に効果的である。また、金型温度を過度に
上昇させる必要がないため、樹脂の劣化を抑制すること
ができるという利点もある。
温度は、樹脂のTg+30℃以上であり、好ましくは樹
脂のTg+50℃以上であり、さらに好ましくは樹脂の
Tg+80℃以上である。特に、上記フィルムの保温温
度を樹脂のTg+80℃以上とすることにより、光学フ
ィルムの法線方向のレターデーションR(0)を10n
m以下は勿論のこと、3nm以下に抑えることができ
る。
手段は、特に限定されず、ダイスやエアギャップ条件を
変えることなく、エアギャップの任意の位置にヒーター
や保温ボックスのような適宜の保温装置を取り付ければ
良い。また、保温するエアギャップの長さは、特に限定
されず、通常30〜150mmで良い。
においては、冷却ロールとフィルムとの接点において、
フィルムを冷却ロールに対して押圧することにより、ま
たは、フィルムを冷却ロール側から吸引することによ
り、冷却ロールに対してフィルムを密着させることが好
ましい。
において冷却ロールに対してフィルムを密着させること
により、冷却ロールに対するフィルムの接点がフィルム
全面で安定化するので、得られる光学フィルムは光軸ズ
レのばらつきがより小さいものとなる。
て、ダイスから出た溶融樹脂を引き落として、冷却ロー
ルに密着させて製膜する際の接点安定化方法は、特に限
定されず、例えば、エアチャンバー、バキュームノズ
ル、静電ピニング、タッチロール等の幅方向に均一な力
を与えることができる通常の装置を用いれば良い。
おいて、冷却ロールの温度は、用いられる非晶性熱可塑
性樹脂の種類によっても異なるため特に限定されない
が、総じて樹脂のTg〜樹脂のTg−100℃の範囲で
あることが好ましい。
の光学フィルムが偏光子の少なくとも片面に積層されて
なるものであり、好ましくは両面に積層されてなるもの
である。
み積層される場合、LCDの組立てに当たっては液晶セ
ル側に本発明の光学フィルムが配されることが好まし
い。これによって、正面及び斜めから観測したときの光
漏れが少なくなり、正面のみならず斜めから観測しても
高コントラストのLCDを得ることができる。
側の偏光子面)には、本発明の光学フィルム以外の透明
性が高い樹脂フィルムを積層しても良く、樹脂として
は、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セル
ロース系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂フィルム
は、溶融押出成形、溶液キャスト成形のどちらで製膜さ
れていても良いし、一軸延伸や二軸延伸が施されていて
も良い。
るフィルム(シートも含む)であれば特に限定されるこ
となく使用でき、例えば、ポリビニルアルコール樹脂
(PVA)フィルムにヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴
中で一軸延伸したPVA・ヨウ素系偏光子、PVAフィ
ルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸
延伸したPVA・染料系偏光子、PVAの脱水処理物や
ポリ塩化ビニル樹脂の脱塩酸処理物のようなポリエン配
向偏光子等が挙げられる。
ポリ酢酸ビニル樹脂を鹸化して製造されたものだけでな
く、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸(塩、エステ
ル、アミド、ニトリル等も含む)、オレフィン類、ビニ
ルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等の共重合可能成分
を共重合させたものが鹸化されたものでも良い。
る方法としては、特に限定されず、一般的に使用される
方法として、例えば、ウェットラミネーション法等が挙
げられる。
乾燥後の厚み、塗工の円滑性等を考慮して、例えば、接
着剤を水により適当な濃度(例えば0.01〜50重量
%)に希釈して塗工液を調製した後、公知の塗工機(例
えばグラビアコーターやマイクログラビアコーター等)
を用いてフィルム上に塗工もしくは滴下した後、対ロー
ルで余分な塗工液をしごきながらラミネートし、熱風等
で乾燥させて接着する方法が挙げられる。
す接着剤または粘着剤であれば良く、特に限定されるも
のではないが、例えば、ウレタン系接着剤やPVA系接
着剤等が高い接着性能や耐久性を有することから好まし
く用いられる。
は、フィルムの接着力をより向上させる目的で、光学フ
ィルムの接着面にコロナ放電処理や紫外線照射処理等の
一般的な表面処理を施すことが好ましい。
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではない。
ルム ノルボルネン系樹脂‥‥商品名「ゼオノア160
0」、Tg:168℃、日本ゼオン社製。 ノルボルネン系樹脂‥‥商品名「アートンG62」、
Tg:173℃、ジェイエスアール社製。 オレフィン−N−アルキルマレイミド樹脂‥‥商品名
「TI−160α」、Tg:140℃、東ソー社製。 TACキャストフィルム‥‥商品名「フジタッククリ
ア」、厚み:80μm、富士写真フィルム社製。
金型温度(押出温度)は285〜320℃で調整した。 Tダイ‥‥幅500mm、コートハンガータイプ。 エアーギャップ‥‥70〜85mmで調整した。 冷却ロール‥‥温度140℃、エアチャンバーを取り
付けたもの。
ルボルネン系樹脂「ゼオノア1600」を用い、上記溶
融押出成形装置により、金型温度:310℃、Tダイの
リップクリアランス:800μm、エアギャップ:80
mm、冷却ロールとの接点直前のフィルム温度:樹脂の
Tg+55℃、冷却ロールに密着させた直後のフィルム
厚み:50μmの条件で、Tダイから上記ノルボルネン
系樹脂の溶融押出を行い、冷却ロールで巻き取って、厚
み50μm、幅430mmの光学フィルムを作製した。
ルボルネン系樹脂「アートンG62」を用い、金型温
度:320℃、Tダイのリップクリアランス:800μ
m、エアギャップ:70mm、冷却ロールとの接点直前
のフィルム温度:樹脂のTg+60℃としたこと以外は
実施例1の場合と同様にして、厚み50μm、幅430
mmの光学フィルムを作製した。
のリップクリアランス:800μm、エアギャップ:8
0mm、エアギャップにおいてフィルムから30mm離
れた位置にヒーターを設置してフィルムを保温し、冷却
ロールとの接点直前のフィルム温度:樹脂のTg+11
0℃としたこと以外は実施例2の場合と同様にして、厚
み50μm、幅430mmの光学フィルムを作製した。
ス:500μm、冷却ロールとの接点直前のフィルム温
度:樹脂のTg+78℃としたこと以外は実施例2の場
合と同様にして、厚み50μm、幅430mmの光学フ
ィルムを作製した。
ス:500μm、冷却ロールとの接点直前のフィルム温
度:樹脂のTg+60℃、冷却ロールに密着させた直後
のフィルム厚み:40μmとしたこと以外は実施例2の
場合と同様にして、厚み40μm、幅430mmの光学
フィルムを作製した。
レフィン−N−アルキルマレイミド樹脂「TI−160
α」を用い、冷却ロールとの接点直前のフィルム温度:
樹脂のTg+88℃としたこと以外は実施例1の場合と
同様にして、厚み50μm、幅430μmの光学フィル
ムを作製した。
ジタッククリア」をそのまま用いた。
ンG62」をトルエンに溶解して樹脂分が35重量%の
ノルボルネン系樹脂溶液を調製した。次に、このノルボ
ルネン系樹脂溶液を表面が平滑なポリエチレンテレフタ
レート樹脂(PET)フィルム(厚み:125μm)上
にキャストし、80℃で5分間乾燥させた後、PETフ
ィルムから剥離した。次いで、この剥離したノルボルネ
ン系樹脂フィルムを、キャスト製膜ラインにおいて10
0℃、130℃及び160℃の3段階で各5分間乾燥し
て、乾燥後の厚み50μmのキャストフィルムを作製し
た。
ャップ:85mm、冷却ロールとの接点直前のフィルム
温度:樹脂のTg+42℃としたこと以外は実施例2の
場合と同様にして、厚み50μm、幅430mmの光学
フィルムを作製した。
ス:1000μm、冷却ロールとの接点直前のフィルム
温度:樹脂のTg+35℃としたこと以外は実施例2の
場合と同様にして、厚み50μm、幅430mmの光学
フィルムを作製した。
4で得られたフィルムのレターデーション及び光軸ズレ
を以下の方法で測定した。その結果は表1に示した。
法〕新王子計測機器社製の商品名「KOBRA−21A
DH」を用いて、波長590nmの光で、フィルムの法
線方向のレターデーションR(0)、フィルムの法線方
向から進相軸方向に40度傾いた方向のレターデーショ
ンRs(40)、フィルムの法線方向から遅相軸方向に
40度傾いた方向のレターデーションRf(40)及び
光軸を測定した。なお、上記レターデーション及び光軸
の測定は、フィルムの幅方向に対しては両端をそれぞれ
幅方向寸法の10%切除した後に50mmピッチの全点
について行い、また、フィルムの長さ方向(流れ方向)
に対しては1mピッチの3点について行い、R(0)、
Rs(40)、Rf(40)についてはこれらの測定値
の平均を求め、光軸ズレはフィルムの長さ方向を基準と
して絶対値の最も大きな値で示した。
方法で偏光板を作製した。
ル%)の未延伸フィルム(厚み:75μm)を室温の水
で洗浄した後、縦一軸方向に5倍延伸を行い、この延伸
状態を保持したままでヨウ素0.5重量%及びヨウ化カ
リウム5重量%を含有する水溶液中に浸漬した後、さら
にホウ酸10重量%及びヨウ化カリウム10重量%を含
有する50℃の水溶液中で5分間架橋処理を行って、偏
光子を作製した。
光子と積層する側の各フィルム表面にコロナ放電処理を
施した。コロナ放電処理後の各フィルム表面の水による
接触角は42〜44度であった。また、2液混合型水性
ウレタン系接着剤(商品名「EL−436A/B」、東
洋モートン社製)のA剤/B剤=10/3(重量比)の
混合物を固形分が10重量%となるように水で希釈し
て、接着剤溶液を調製した。次に、ワイヤーバー#8を
用いて、上記接着剤溶液を各フィルムのコロナ放電処理
面に塗工し、偏光子の一方の面に貼り付けた後、同様の
操作を偏光子の他方の面に対しても行って、偏光子の両
面に各フィルムを積層した。次いで、この積層体を45
℃の恒温槽中で72時間保持し、乾燥、養生を行って、
偏光板を作製した。
法で評価した。その結果も表1に示した。
ル状態に配置した2枚の偏光板の一方の吸収軸に対し、
偏光板面内で±45度回転した方向であって、法線方向
から40度傾斜した入射方向を示す斜視図である。図4
に示すように、クロスニコル状態に配置した2枚の偏光
板の一方の吸収軸に対し、偏光板面内で±45度回転し
た方向であって、法線方向から40度傾斜した入射方向
2ケ所から目視観察して、光漏れの多少を評価した。
施例1〜実施例6の光学フィルムを用いて作製した偏光
板は、いずれも正面だけでなく斜めから観測してもクロ
スニコル状態での光漏れが少なく、優れた偏光特性を発
現した。
ィルムを用いて作製した偏光板は、正面から観測したと
きの光漏れは少なかったが、斜めから観測したときの光
漏れが多く、偏光特性が劣っていた。また、キャスト法
で製膜した比較例2の光学フィルム、R(0)が10n
mを超えており、光軸ズレも±10度を超えていた比較
例3の光学フィルム及びR(0)が10nmを超えてい
た比較例4の光学フィルムを用いて作製した偏光板は、
いずれも正面及び斜めから観測したときの光漏れが多
く、偏光特性が悪かった。
ムは、非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形されてなり、
法線方向のレターデーションR(0)が10nm以下、
法線方向から進相軸方向及び遅相軸方向に40度傾いた
方向から測定したレターデーションRs(40)及びR
f(40)がR(0)+6nm以下となされているの
で、この光学フィルムを用いて作製した偏光板をクロス
ニコル状態に配置し、正面及び斜めから観測した際の光
漏れが少なく、優れた偏光特性を発現する。また、本発
明の光学フィルムは、厚みが100μm未満、光軸ズレ
が±10度以下となされているので、この光学フィルム
を用いて作製した偏光板やこの偏光板を使用したLCD
の薄型化や小型化を図ることが可能であるとともに、該
LCDは表示ムラを発生しない。すなわち、本発明の光
学フィルムは、上記優れた特性を兼備するものであり、
偏光板作製用として好適に用いられる。
よれば、押出機に取り付けられたダイスからシート状に
押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを冷
却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフィルムとの
接点直前のフィルム温度を樹脂のTg+50℃以上(特
定の局面においては、樹脂のTg+30℃以上)とする
ので、光学フィルムの上記R(0)を10nm以下とす
ることが可能であり、上記優れた特性を兼備する光学フ
ィルムを効率的かつ簡便に得ることができる。
光学フィルムが偏光子の少なくとも片面に積層されてな
るので、クロスニコル状態で正面及び斜めから観測した
ときの光漏れが少なく、優れた偏光特性を発現するとと
もに、表示ムラがなく、薄型化や小型化が図れたLCD
を得ることが可能であり、LCD作製用として好適に用
いられる。
ーションR(0)及び光学フィルムの法線方向から進相
軸方向に40度傾いた方向から測定したレターデーショ
ンRs(40)を示す斜視図である。
係を示す図である。
フィルム成形工程を示す略図的断面図である。
方の吸収軸に対し、偏光板面内で±45度回転した方向
であって、法線方向から40度傾斜した入射方向を示す
斜視図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 非晶性熱可塑性樹脂が溶融押出成形され
てなる光学フィルムであって、該光学フィルムは、厚み
が100μm未満であり、光学フィルムの法線方向のレ
ターデーションR(0)が10nm以下であり、光学フ
ィルムの法線方向から進相軸方向及び遅相軸方向に40
度傾いた方向から測定したレターデーションRs(4
0)及びレターデーションRf(40)がR(0)+6
nm以下であり、かつ、光軸ズレが±10度以下である
ことを特徴とする光学フィルム。 - 【請求項2】 非晶性熱可塑性樹脂がノルボルネン系樹
脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィル
ム。 - 【請求項3】 偏光子を保護するための保護フィルムと
して使用されることを特徴とする請求項1または請求項
2に記載の光学フィルム。 - 【請求項4】 溶融押出成形によるフィルムの製造方法
であって、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg
とすると、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフィルムと
の接点直前のフィルム温度をTg+50℃以上とするこ
とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
光学フィルムの製造方法。 - 【請求項5】 溶融押出成形によるフィルムの製造方法
であって、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させた直後の厚みをA、前記ダイスの
リップクリアランスをBとすると、B/Aの値を、前記
フィルムの厚みが70μm以上、100μm未満の場合
には10以下とし、50μm以上、70μm未満の場合
には15以下とし、50μm未満の場合には20以下と
し、かつ、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg
とすると、押出機に取り付けられたダイスからシート状
に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを
冷却ロールに密着させる際に、冷却ロールとフィルムと
の接点直前のフィルム温度をTg+30℃以上とするこ
とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
光学フィルムの製造方法。 - 【請求項6】 押出機に取り付けられたダイスからシー
ト状に押し出された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィル
ムを冷却ロールに密着させる際に、前記ダイス出口から
冷却ロールとフィルムとの接点の直前までのエアギャッ
プにおいてフィルムを保温することを特徴とする請求項
4または請求項5に記載の光学フィルムの製造方法。 - 【請求項7】 冷却ロールとフィルムとの接点におい
て、フィルムを冷却ロールに対して押圧することによ
り、または、フィルムを冷却ロール側から吸引すること
により、冷却ロールに対してフィルムを密着させること
を特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の光
学フィルムの製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
光学フィルムが偏光子の少なくとも片面に積層されてな
ることを特徴とする偏光板。
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