JP2006285136A - 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、複合偏光板及び偏光板 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、複合偏光板及び偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示装置に用いられたときにコントラストを向上し、かつ視野角を拡げることを可能とする位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板を提供する。
【解決手段】 非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムが自由端縦一軸延伸されて延伸方向に遅相軸が形成されており、フィルム面について延伸方向の屈折率をnx、延伸方向と直交する水平方向の屈折率をny、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率をnxとしたときに、nx>ny>nzの関係の屈折率異方性を示す位相差フィルムの製造方法であって、フィルムを、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度にて延伸する工程と、延伸されたフィルムを、自由端縦一軸延伸する工程における延伸温度から冷却する工程とを備える、位相差フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば液晶表示装置においてコントラストを向上し、かつ視野角を拡大するために用いられる位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板に関する。
現在、液晶表示装置はノート型パソコンや携帯電話等に広く用いられている。液晶表示装置では、従来より視野角が狭いという問題があった。視野角を拡げるために、液晶表示装置においては、二軸性の位相差フィルムが用いられている。
下記特許文献1には、ノルボルネン系ポリマーからなるフィルムを一方向に横一軸延伸する位相差フィルムの製造方法が示されている。この製造方法では、面内の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnzとしたときに、nx≧ny>nzであり、その任意な二方向の屈折率差とフィルム厚との積が80nm以下であると共に、式:(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNzが1〜4である位相差フィルムを得ることができるとされている。
他方、下記特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルムを、縦方向、横方向の順で逐次二軸延伸する光学補償フィルムの製造方法が示されている。この製造方法では、フィルムのネックインが発生せず、フィルム面内の均一性に優れた光学補償フィルムを得ることができるとされている。
他方、下記特許文献3には、環状オレフィン系樹脂フィルムを延伸する位相差補償フィルムの製造方法が示されている。特許文献3では、面内のリターデーション及び厚み方向のリターデーションが所定の範囲内かつ所定の関係であり、透湿度が5〜200g/m2/dayである位相差フィルムが得られている。
特開2001−215332号公報 特開2002−148438号公報 特開2005−17435号公報
特許文献1に記載の位相差フィルムの製造方法では、得られる位相差フィルムにおいて、ボーイングが生じたり、幅収率が低下したりしがちであった。
他方、特許文献2に記載の逐次二軸延伸する光学補償フィルムの製造方法では、延伸工程を二度以上行う必要があり、作業が煩雑であり生産効率が悪かった。
一方、位相差フィルムの製造方法として、近接縦延伸法も知られているが、この方法においてはフィルムの幅方向の位相差のばらつきや、配向角のばらつき等が生じがちであった。
ところで、特許文献1,2に記載の横一軸延伸法や逐次二軸延伸法、若しくは近接縦延伸法により位相差フィルムを構成すると、位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたときに、nx>ny>nzの屈折率異方性を示す位相差フィルムを得ることができる。しかしながら、特許文献1,2に記載の横一軸延伸法や逐次二軸延伸法、若しくは近接縦延伸法では、上記のような問題点があった。
他方、位相差フィルムの製造方法としては、位相差のばらつきや配向のばらつきを小さくし得るので、自由間縦一軸延伸法が理想的な方法である。しかしながら、自由間縦一軸延伸法では、屈折率異方性を制御することは困難であり、位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたときに、nx>ny=nz、若しくはnx>nz>nyの関係となり易く、nx>ny>nzの屈折率異方性を示す位相差フィルムを得ることは困難であった。
また、近年、特許文献3に記載のように、位相差フィルムを構成する材料として、透明性、耐熱性等に優れているため、環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられてきている。環状オレフィン系樹脂からなるフィルムを自由間縦一軸延伸し、位相差フィルムを構成した場合には、nx>ny>nzの屈折率異方性を示す位相差フィルムを得ることはより一層困難であった。
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、3次元方向の屈折率異方性が制御されており、例えば液晶表示装置に用いられたときにコントラストを向上し、かつ視野角を拡大することを可能とする位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板を提供することを目的とする。
本発明は、非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムが自由端縦一軸延伸されて延伸方向に遅相軸が形成されており、フィルム面について延伸方向の屈折率をnx、延伸方向と直交する水平方向の屈折率をny、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率をnzとしたときに、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性が制御された位相差フィルムの製造方法であって、非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度にて自由端縦一軸延伸する工程と、延伸された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、自由端縦一軸延伸する工程における延伸温度から冷却する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の位相差フィルムは、本発明の位相差フィルムの製造方法に従って製造されたものである。
本発明に係る複合偏光板では、偏光板の一方面に、本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている。
本発明に係る偏光板では、偏光子の一方面に、接着剤を介して本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている。
位相差フィルムにおいては、自由端縦一軸延伸により延伸方向に遅相軸を形成し、フィルム面について延伸方向の屈折率をnx、延伸方向と直交する水平方向の屈折率をny、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率をnzとしたときに、nx>ny>nzの関係を満たすように3次元方向の屈折率異方性が制御されると、液晶表示装置に用いられたときにコントラストを高め、かつ視野角を拡大することを可能とする位相差フィルムとなる。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法では、非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度にて自由端縦一軸延伸する工程と、自由端縦一軸延伸された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、自由端縦一軸延伸する工程における延伸温度から冷却する工程とを備えているため、延伸方向に遅相軸が形成され、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御することができる。よって、液晶表示装置においてコントラストを高め、かつ視野角を拡大することを可能とする位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法に従って製造された位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられるとコントラストを高め、かつ視野角を拡大することができる。
偏光板の一方面に、本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている複合偏光板は、液晶表示装置に用いられるとコントラストを高め、かつ視野角を拡げることができる。
偏光子の一方面に、接着剤を介して本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている偏光板は、透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置の何れの種類の液晶表示装置にも用いられ、液晶表示装置のコントラストを高め、かつ視野角を拡げることができる。
以下本発明の詳細を説明する。
(非晶性熱可塑性樹脂)
非晶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ノルボルネン等の環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂などが挙げられる。なかでも、フィルムに成膜された際に、透明性や耐熱性に優れるため、環状オレフィン系樹脂が好適である。
上記環状オレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加共重合体及びこれらの誘導体等のノルボルネン系樹脂が挙げられる。これらの環状オレフィン系樹脂は、単独で用いられても併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであれば特に限定されるものではない。このようなノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;テトラシクロペンタジエン等の七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール等の置換体;さらにこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の炭素、水素以外の元素を含有する基、いわゆる極性基を有する置換体等が挙げられる。入手が容易であり、反応性に優れ、得られる位相差フィルムの耐熱性を向上し得ることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、三環体、四環体及び五環体のノルボルネン系モノマーがより好ましい。なお、ノルボルネン系モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、例えば、ノルボルネン系モノマーを、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属のハロゲン化物、硝酸塩もしくはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、又は、チタン、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物もしくはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系等を用いて、溶媒中又は無溶媒で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で開環(共)重合させて得ることができる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物としては、上記ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合させた後、残留している二重結合に水素が添加されたものが挙げられ、ノルボルネン系モノマーの単独重合体の水素添加物であってもよいし、異なる二種以上のノルボルネン系モノマーの共重合体の水素添加物であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体、またはノルボルネン系モノマーと環状オレフィン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記α−オレフィンとしては、炭素数が2〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数が2〜10のα−オレフィンがより好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセンまたは1−ヘキサデセン等が挙げられる。なかでも、共重合性が高いことから、エチレンが好ましく用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンを存在させると共重合性を高めることができる。
上記環状オレフィン系モノマーとしては、例えば、シクロオクタジエン、シクロオクテン、シクロヘキセン、シクロドデセンまたはシクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中又は無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物、好ましくはバナジウム化合物とハロゲン含有有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で共重合させて得ることができる。
商業的に入手できるノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、開環(共)重合体としてJSR社製の商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ等が挙げられ、付加(共)重合体として三井化学社製の商品名「アペル」シリーズ等が挙げられる。
上記非晶性熱可塑性樹脂の数平均分子量は、小さいと、得られる位相差フィルムの機械的強度が低下することがあり、大きいと、粘度が高くなって成膜の際に支障を来すことがある。よって、数平均分子量は、5000〜50000の範囲であることが好ましく、8000〜30000の範囲であることがより好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ法によって測定される。
上記非晶性熱可塑性樹脂には、位相差フィルムの機能を阻害しない範囲内において、成形中の環状オレフィン系樹脂の劣化防止や位相差フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上させるために、フェノール系、リン系等の酸化防止剤;ラクトン系等の熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系、部分エーテル系等の滑剤;アミン系等の帯電防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルム)
上記非晶性熱可塑性樹脂はフィルム状に成膜される。成膜方法としては、従来から汎用されている方法が挙げられ、具体的には、非晶性熱可塑性樹脂を押出機に供給し、溶融、混練し、押出機の先端に取付けられた金型からフィルム状に押出して、長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶融押出法が挙げられる。さらに、非晶性熱可塑性樹脂を有機溶媒中に溶解させた溶液を、ドラム又はバンド上に流延させた後、有機溶媒を蒸発させて長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶液流延法等が挙げられる。なお、フィルムの大きさやその形状は特に限定されるものではない。
本発明に用いられる非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムの厚みは、薄いと、所望とするリターデーションを得ることが困難なことがあり、厚いと、液晶表示装置の薄型化の要求に十分に対応できないことがある。フィルムの厚みは、50〜200μmの範囲が好ましく、80〜150μmの範囲がより好ましい。
フィルムの厚みを80μm以上とする場合には、上記溶液流延法では、有機溶媒を十分に蒸発、除去させることが困難なことがあるため、上記溶融押出法によりフィルムを成膜することが好ましい。
(非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸する工程)
上記非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムは、自由端縦一軸延伸されて延伸方向に遅相軸が形成される。自由端縦一軸延伸方法としては、フィルムの幅方向の両端部分が拘束されない自由端とされており、縦方向の延伸に伴って幅方向にネックイン現象を呈すれば、特に限定されない。自由間縦一軸延伸方法としては、短尺状のフィルムを用いてバッチ延伸する方法であってもよいし、長尺状のフィルムを用いて連続延伸する方法であってもよい。フィルムの延伸手段としては、ロール間にてロールの周速差を利用してフィルムを延伸させる方法や、クリップなどの任意の把持具を用いてフィルムを延伸させる方法等が挙げられる。
非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸し、位相差フィルムを得る方法としては、位相差ばらつきや配向のばらつきを小さくし得るので、自由間縦一軸延伸法が優れた方法である。しかしながら、自由間縦一軸延伸法では、フィルム面について延伸方向の屈折率をnx、延伸方向と直交する水平方向の屈折率をny、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率をnzとしたときに、3次元方向の屈折率は、nx>ny=nz、またはnx>nz>nyの関係となり易く、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御することは困難であった。特に、フィルムが環状オレフィン系樹脂からなる場合には、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御することはより一層困難であった。
本発明では、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御するため、自由端縦一軸延伸する際の延伸温度を非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより低い温度とする。延伸温度がガラス転移温度Tg以上であると、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御することはできない。また、フィルムの延伸温度を非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより低い温度とすることで、フィルムが環状オレフィン系樹脂からなる場合でも、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性を制御することができる。
延伸温度が、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgよりも低くなるほど、延伸する際にフィルムの破断が生じ易くなる。延伸温度としては、ガラス転移温度Tgより低く、ガラス転移温度Tg−30℃以上の範囲であることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度Tgより低く、ガラス転移温度Tg−20℃以上の範囲である。
なお、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計によって測定される。
自由端縦一軸延伸する際の延伸倍率としては、延伸が非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより低い温度で行われるため、高すぎるとフィルムの破断が生じることがある。好ましい延伸倍率は、3以下である。
なお、自由端縦一軸延伸する際の延伸間距離は、位相差のばらつきや配向角のばらつき等を低減するためには、延伸間距離をL、フィルムの幅をWとしたときに、L/Wが0.5以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。
(延伸された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを冷却する工程)
延伸された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムは、自由端縦一軸延伸する工程における延伸温度から冷却される。すなわち、延伸された非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムが、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上の温度に晒されないようにする。非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムが延伸された後に、フィルムが非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上の温度に晒されると、フィルムの表層における熱伝導率差により、厚み方向に屈折率が変化し、屈折率がnx>ny=nz、またはnx>nz>nyの関係となり、所望とする屈折率異方性を得ることができない。
(位相差フィルム)
上記工程により得られた位相差フィルムは、nx>ny>nzの関係である屈折率異方性を示す。よって、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性が制御されているため、位相差フィルムが液晶表示装置に用いられるとコントラストを高め、かつ視野角を拡大することができる。
(複合偏光板)
本発明に係る複合偏光板では、上記位相差フィルムが、偏光板の一方面に積層されて、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている。
上記偏光板としては、特に限定されず、従来から汎用されているものが用いられ、偏光子の両面に保護フィルムが積層されて一体化されたものを挙げることができる。
上記偏光子としては、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を吸着させた後、このフィルムをホウ酸中で一軸延伸してなるポリビニルアルコール・ヨウ素偏光子;ポリビニルアルコールからなるフィルムに二色性の高い直接染料を吸着、拡散させた後、このフィルムを一軸延伸してなるポリビニルアルコール・染料系偏光子;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物のようなポリエン配向偏光子等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールとしては、酢酸ビニルモノマーを単独重合させて得られたポリ酢酸ビニルをケン化させたものや、酢酸ビニルモノマーに少量のオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩又は不飽和カルボン酸若しくはこの塩、エステル、アミド、ニトリル等のモノマーを共重合させたものが挙げられる。
上記偏光子の両面に積層される保護フィルムとしては、偏光子の光学特性を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ処理等が施されたトリアセチルセルロースからなるフィルムが挙げられる。
上記位相差フィルムは、偏光板の一方面に接着剤または粘着剤を介して積層されていてもよい。上記接着剤又は粘着剤としては、光学特性を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば透明性の高いアクリル系接着剤又はアクリル系粘着剤などが用いられる。
複合偏光板では、位相差フィルムの遅相軸と、この位相差フィルムに隣接する偏光板の吸収軸とが互いに直交するように調整される。
(偏光板)
本発明の偏光板では、上記偏光子の一方面に、接着剤を介して位相差フィルムが積層されて、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている。
上記接着剤としては、偏光子及び位相差フィルムの光学特性を阻害しないものであれば特に限定されないが、従来の偏光板製造工程では水系接着剤が汎用されていることから、水系の接着剤であることが好ましく、特に、水性ウレタン系接着剤が好適に用いられる。
偏光子と位相差フィルムとを対向させて積層させる際には、偏光子または位相差フィルムの何れかの一方の対向面の全体に、好ましくは位相差フィルムの対向面の全体に上記接着剤を塗布する。しかる後、偏光子と位相差フィルムを重ね合わせて積層し、偏光子と位相差フィルムとが一体化されて、本発明の偏光板が得られる。
上記接着剤の塗布量は、少ないと、偏光子と位相差フィルムとの接着強度が低下したり、若しくは偏光子と位相差フィルムとの間に隙間が生じて光学特性が阻害されることがある。接着剤の塗布量が多いと、接着剤の乾燥が不十分となり、偏光子が湾曲したり、若しくは偏光度が低下することがある。偏光子または位相差フィルムに塗布した直後の上記接着剤の塗布量は、0.05〜10g/m2であることが好ましい。
偏光子の一方面とは反対側の他方面には、接着剤、好ましくは上記水系接着剤を介して、保護フィルムが積層されて一体化されていてもよい。保護フィルムとしては、偏光板が湾曲するのを防ぐため、保護フィルムの透湿度が、位相差フィルムの透湿度の±50%以内であるものが好適に用いられる。
上記保護フィルムを構成する材料としては、特に限定されないが、位相差フィルムを構成している環状オレフィン系樹脂が好ましく、ノルボルネン系樹脂がより好ましい。
偏光板では、位相差フィルムの遅相軸と、この位相差フィルムに隣接する偏光子の吸収軸とが互いに直交するように調整される。
本発明の偏光板は、透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置の何れの種類の液晶表示装置にも用いられ得る。
透過型液晶表示装置に本発明の偏光板を使用した液晶表示装置としては、例えば以下のものを挙げることができる。
液晶セルを構成している一対の基板の各外表面に一対の偏光板を配設し、液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型或いはサイドライト型の公知の照明システムを配設し、更に、駆動回路を組込んで透過型液晶表示装置が構成される。この透過型液晶表示装置においては、一対の偏光板の内の一方或いは双方の偏光板として、本発明の偏光板が用いられ、偏光板は位相差フィルムが基板に対向するように配設される。
反射型液晶表示装置に本発明の偏光板を使用した液晶表示装置としては、例えば以下のものを挙げることができる。
液晶セルを構成している一対の基板において、液晶表示面とされる側の基板上に、位相差フィルムが基板に対向するように本発明の偏光板が配設される。他方、液晶表示面とされる側とは反対側の基板上に反射層が配設されて、反射型液晶表示装置が構成される。
上記液晶セルとしては、従来より用いられている液晶セルであれば特に限定されない。OCBモード、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードなどの各種液晶表示デバイスに、本発明の位相差フィルム、複合偏光板および偏光板を用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
非晶性熱可塑性樹脂として、環状オレフィン系樹脂である熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1420R」)を用いた。この熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を一軸押出機に供給して溶融、混練し、一軸押出機の先端に取付けられたTダイから、樹脂温度230℃にて溶融押出を行って、幅500mmであり、かつ平均厚みが100μmである長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを得た。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「DSC220C」)を用いて測定された熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgは、139.3℃であった。
次に、得られた長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを20mm幅にカットした。しかる後、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製、商品名「RTC−1310A」)を用いて、延伸間距離が100mm、延伸倍率が1.4倍、延伸速度が50mm/分、延伸温度がガラス転移温度よりも低い温度である132℃の各条件で自由間縦一軸延伸を行った。その後、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを延伸温度である132℃から23℃まで冷却し、位相差フィルムを得た。
自動複屈折測定装置(王子計測機器社製、商品名「KOBRA−21ADH」)を用いて、得られた位相差フィルムのネックイン部分の屈折率を測定したところ、フィルム面について延伸方向の屈折率nx=1.5337、延伸方向と直交する水平方向の屈折率ny=1.5282、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率nz=1.5281であった。得られた位相差フィルムでは、nx>ny>nzの屈折率異方性を示した。
(比較例1)
上記実施例1で得られた長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを20mm幅にカットした。しかる後、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製、商品名「RTC−1310A」)を用いて、延伸間距離が100mm、延伸倍率が1.4倍、延伸速度が50mm/分、延伸温度がガラス転移温度以上である145℃の各条件で自由間縦一軸延伸を行った。その後、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを延伸温度である145℃から23℃まで冷却し、位相差フィルムを得た。
自動複屈折測定装置(王子計測機器社製、商品名「KOBRA−21ADH」)を用いて、得られた位相差フィルムのネックイン部分の屈折率を測定したところ、フィルム面について延伸方向の屈折率nx=1.5315、延伸方向と直交する水平方向の屈折率ny=1.5292、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率nz=1.5293であった。得られた位相差フィルムでは、nx>ny>nzの屈折率異方性を示さず、nx>nz>nyの屈折率異方性を示した。

Claims (4)

  1. 非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムが自由端縦一軸延伸されて延伸方向に遅相軸が形成されており、フィルム面について延伸方向の屈折率をnx、延伸方向と直交する水平方向の屈折率をny、延伸方向と直交する垂直方向の屈折率をnzとしたときに、nx>ny>nzの関係となるように屈折率異方性が制御された位相差フィルムの製造方法であって、
    前記非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度にて自由端縦一軸延伸する工程と、
    延伸された前記非晶性熱可塑性樹脂からなるフィルムを、前記自由端縦一軸延伸する工程における延伸温度から冷却する工程とを備えることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られた位相差フィルム。
  3. 偏光板の一方面に、請求項2に記載の位相差フィルムが積層されており、前記偏光板と前記位相差フィルムとが一体化されている、複合偏光板。
  4. 偏光子の一方面に、接着剤を介して請求項2に記載の位相差フィルムが積層されており、前記偏光子と前記位相差フィルムとが一体化されている、偏光板。
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