JP2006308917A - 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、複合偏光板、液晶表示装置、及び偏光板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅を広くし得る位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板、および複合偏光板又は偏光板を用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 幅方向に遅相軸が形成されている位相差フィルムの製造方法であって、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、Nz係数を1.4〜1.7の範囲にする工程と、幅方向に延伸する工程の後、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸することにより、面内のリターデーションRe値を5nm以下とし、かつ厚み方向のリターデーションRth値を90nm≦Rth≦300nmの範囲とする工程とを備える、位相差フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 幅方向に遅相軸が形成されている位相差フィルムの製造方法であって、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、Nz係数を1.4〜1.7の範囲にする工程と、幅方向に延伸する工程の後、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸することにより、面内のリターデーションRe値を5nm以下とし、かつ厚み方向のリターデーションRth値を90nm≦Rth≦300nmの範囲とする工程とを備える、位相差フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、例えば液晶表示装置においてコントラストを向上し、かつ視野角を拡大するために用いられる位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板、および複合偏光板又は偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
現在、パーソナルコンピュータ等に液晶表示装置が広く用いられている。液晶表示装置の一つとして、旋光効果を利用したTNモードの液晶表示装置が挙げられる。TNモードの液晶表示装置では、従来より視野角が狭く、応答速度が遅いという問題があった。この問題を解決するため、複屈折効果を利用したVAモードの液晶表示装置が提案されている。
VAモードの液晶表示装置では、液晶セルを通過する光の屈折率が液晶セルの厚み方向に大きい。よって、VAモードの液晶表示装置では、視野角を拡大するために、厚み方向の屈折率の小さい位相差フィルムが用いられている。このような位相差フィルムとしては、面内のリターデーションRe値が0に近い、すなわち面方向の屈折率をnx,ny、厚さ方向の屈折率をnzとしたときに、nx=ny>nzの関係を有する一般的にCプレートと呼ばれるものが単独で用いられることが多い。さらに、位相差フィルムとして、Cプレートと呼ばれるものと、nx>ny=nzの関係を有するAプレートと呼ばれるものとが組み合わされて用いられることも多い。
上記Aプレートと呼ばれる位相差フィルムは、フィルムを通常1回、ロール間縦一軸延伸することにより得られる。
他方、上記Cプレートと呼ばれる位相差フィルムの製造方法の一例が、下記特許文献1に示されている。特許文献1では、熱可塑性高分子フィルムを一軸延伸し、所定の平面複屈折率とした後、そのフィルムの実質的直交方向に一軸延伸し、平面内の屈折率を実質的に長手方向の屈折率≒幅方向の屈折率の関係となるように、延伸温度及び延伸率を制御する位相差膜の製造方法が示されている。
特開平6−337313号公報
しかしながら、特許文献1に記載の位相差膜の製造方法では、フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸している。よって、得られる位相差膜の面内のリターデーションRe値を0に近い値とし、かつ厚み方向のリターデーションRth値を高くするためには、幅方向に延伸する際の延伸倍率を高くできなかった。また、位相差膜として有効に機能する有効幅、すなわち位相差膜を取出し得る幅が狭く、生産効率が悪かった。さらに、特許文献1の製造方法では、幅方向に延伸する際の延伸倍率を高くできないため、得られる位相差膜では、幅方向の屈折率のばらつきが大きくなり、面内のリターデーションRe値が一定となり難かった。
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に高い延伸倍率で延伸することができる位相差フィルムの製造方法であって、位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅を広くし得る位相差フィルムの製造方法、該製造方法により得られる位相差フィルム、位相差フィルムを用いた複合偏光板及び偏光板、および複合偏光板又は偏光板を用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、幅方向と長さ方向とを有する位相差フィルムの製造方法であって、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、下記式(1)で示されるNz係数を1.4〜1.7の範囲にする工程と、幅方向に延伸する工程の後、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向と略直交する方向である長さ方向に延伸することにより、下記式(2)で示される面内のリターデーションRe値を5nm以下とし、かつ下記式(3)で示される厚み方向のリターデーションRth値を90nm≦Rth≦300nmの範囲とする工程とを備えることを特徴とする。
Nz=|nx−nz|/|nx−ny|=Rth/Re+0.5・・・(1)
Re=|nx−ny|×d・・・(2)
Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d・・・(3)
上述した式(1)〜(3)中、nxは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の屈折率を示し、nyは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの長さ方向の屈折率を示し、nzは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の屈折率を示し、dは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚さを示す。
Re=|nx−ny|×d・・・(2)
Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d・・・(3)
上述した式(1)〜(3)中、nxは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の屈折率を示し、nyは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの長さ方向の屈折率を示し、nzは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の屈折率を示し、dは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚さを示す。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法のある特定の局面では、幅方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度が、長さ方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度よりも高く、かつその延伸温度の差が、1〜10℃の範囲にある。
本発明に係る位相差フィルムは、本発明の位相差フィルムの製造方法に従って製造されたものである。
本発明に係る複合偏光板では、偏光板の一方面に、本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている。
本発明に係る液晶表示装置では、液晶セルを構成している一対の基板の外表面の少なくとも一方に、本発明の複合偏光板が積層されている。
本発明に係る偏光板では、偏光子の一方面に、接着剤を介して本発明の位相差フィルムが積層されており、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている。
本発明に係る液晶表示装置では、液晶セルを構成している一対の基板の外表面の少なくとも一方に、本発明の偏光板が積層されている。
本発明は、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、上述した式(1)で示されるNz係数を1.4〜1.7の範囲にする工程と、幅方向に延伸する工程の後、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向と略直交する方向である長さ方向に延伸することにより、上述した式(2)で示される面内のリターデーションRe値を5nm以下とし、かつ上述した式(3)で示される厚み方向のリターデーションRth値を90nm≦Rth≦300nmの範囲とする工程とを備えている。 よって、非晶性熱可塑性樹脂フィルムは、長さ方向に延伸される前に、Nz係数が上記範囲となるように幅方向に延伸されるため、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に高い延伸倍率で延伸することができる。さらに、非晶性熱可塑性樹脂フィルムは、幅方向に延伸された後に、面内のリターデーションRe値および厚み方向のリターデーションRth値が上記範囲となるように長さ方向に延伸されるため、位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅を広くすることができる。
幅方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度が、長さ方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度よりも高く、かつその延伸温度の差が、1〜10℃の範囲にある場合には、3次元方向の屈折率のばらつきが小さくなり、位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅をより一層広くすることができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法に従って製造された位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられるとコントラストを効果的に高め、かつ視野角を効果的に拡大することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
(非晶性熱可塑性樹脂)
非晶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ノルボルネン等の環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂などが挙げられる。なかでも、フィルムに成膜された際に、透明性や耐熱性に優れるため、環状オレフィン系樹脂が好適である。
非晶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ノルボルネン等の環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂などが挙げられる。なかでも、フィルムに成膜された際に、透明性や耐熱性に優れるため、環状オレフィン系樹脂が好適である。
上記環状オレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加共重合体及びこれらの誘導体等のノルボルネン系樹脂が挙げられる。これらの環状オレフィン系樹脂は、単独で用いられても併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであれば特に限定されるものではない。このようなノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;テトラシクロペンタジエン等の七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール等の置換体;さらにこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基等の炭素、水素以外の元素を含有する基、いわゆる極性基を有する置換体等が挙げられる。入手が容易であり、反応性に優れ、得られる位相差フィルムの耐熱性を向上し得ることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、三環体、四環体及び五環体のノルボルネン系モノマーがより好ましい。なお、ノルボルネン系モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、例えば、ノルボルネン系モノマーを、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属のハロゲン化物、硝酸塩もしくはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、又は、チタン、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物もしくはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系等を用いて、溶媒中又は無溶媒で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で開環(共)重合させて得ることができる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物としては、上記ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合させた後、残留している二重結合に水素が添加されたものが挙げられ、ノルボルネン系モノマーの単独重合体の水素添加物であってもよいし、異なる二種以上のノルボルネン系モノマーの共重合体の水素添加物であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体、またはノルボルネン系モノマーと環状オレフィン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記α−オレフィンとしては、炭素数が2〜20のα−オレフィンが好ましく、炭素数が2〜10のα−オレフィンがより好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセンまたは1−ヘキサデセン等が挙げられる。なかでも、共重合性が高いことから、エチレンが好ましく用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンを存在させると共重合性を高めることができる。
上記環状オレフィン系モノマーとしては、例えば、シクロオクタジエン、シクロオクテン、シクロヘキセン、シクロドデセンまたはシクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中又は無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物、好ましくはバナジウム化合物とハロゲン含有有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重合圧力で共重合させて得ることができる。
商業的に入手できるノルボルネン系樹脂の具体例としては、例えば、開環(共)重合体としてJSR社製の商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」シリーズ等が挙げられ、付加(共)重合体として三井化学社製の商品名「アペル」シリーズ等が挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂の数平均分子量が小さすぎると、得られる位相差フィルムの機械的強度が低下することがあり、大きすぎると、粘度が高くなって成膜の際に支障を来すことがある。よって、数平均分子量は、5000〜50000の範囲であることが好ましく、8000〜30000の範囲であることがより好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定される。
上記環状オレフィン系樹脂には、位相差フィルムの機能を阻害しない範囲内において、成形中の環状オレフィン系樹脂の劣化防止や位相差フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上させるために、フェノール系、リン系等の酸化防止剤;ラクトン系等の熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系、部分エーテル系等の滑剤;アミン系等の帯電防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルム)
上記非晶性熱可塑性樹脂は、幅方向と長さ方向とを有する長尺状のフィルムに成膜される。成膜方法としては、従来から汎用されている方法が挙げられ、具体的には、非晶性熱可塑性樹脂を押出機に供給し、溶融、混練し、押出機の先端に取付けられた金型からフィルム状に押出して、長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶融押出法が挙げられる。さらに、非晶性熱可塑性樹脂を有機溶媒中に溶解させた溶液を、ドラム又はバンド上に流延させた後、有機溶媒を蒸発させて長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶液流延法等が挙げられる。なお、非晶性熱可塑性樹脂フィルムは長尺状の形状を有すれば、その大きさは特に限定されるものではない。
上記非晶性熱可塑性樹脂は、幅方向と長さ方向とを有する長尺状のフィルムに成膜される。成膜方法としては、従来から汎用されている方法が挙げられ、具体的には、非晶性熱可塑性樹脂を押出機に供給し、溶融、混練し、押出機の先端に取付けられた金型からフィルム状に押出して、長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶融押出法が挙げられる。さらに、非晶性熱可塑性樹脂を有機溶媒中に溶解させた溶液を、ドラム又はバンド上に流延させた後、有機溶媒を蒸発させて長尺状のフィルムに成膜する方法、いわゆる溶液流延法等が挙げられる。なお、非晶性熱可塑性樹脂フィルムは長尺状の形状を有すれば、その大きさは特に限定されるものではない。
本発明に用いられる非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚みが薄すぎると、所望とするリターデーションを得ることが困難なことがあり、厚すぎると、液晶表示装置の薄型化の要求に十分に対応できないことがある。よって、フィルムの厚みは、50〜200μmの範囲が好ましく、70〜150μmの範囲がより好ましい。
フィルムの厚みを80μm以上とする場合には、上記溶液流延法では、有機溶媒を十分に蒸発、除去させることが困難なことがあるため、上記溶融押出法によりフィルムを成膜することが好ましい。
(非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する工程)
本発明では、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸される前に幅方向に延伸される。
本発明では、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸される前に幅方向に延伸される。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを連続的に巻き出し搬送しながら、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の両端部分をテンタークリップ等の任意の把持手段によって把持する。非晶性熱可塑性樹脂フィルムの搬送速度と同一速度にて、把持手段をフィルムの搬送方向に移動させながら、互いに離間する方向に徐々に変位させ、フィルムを幅方向に延伸して拡幅させる。このときの延伸温度は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg付近の温度領域であることが好ましい。延伸された後、非晶性熱可塑性樹脂の分子の配向を固定するために、フィルムを非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満の温度に冷却することが好ましい。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する際の延伸温度は、得られる位相差フィルムに要求される3次元方向の屈折率等によって適宜調整され得る。延伸温度が低すぎると、延伸する際にフィルムの破断が生じ易くなり、高すぎると、所望のリターデーションを得ることが困難となることがある。よって、延伸温度としては、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+2℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+20℃の範囲がより好ましく、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+2℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+10℃の範囲がさらに好ましい。
なお、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計によって測定される。
上記フィルムを幅方向に延伸する際の延伸倍率が低すぎると、配向軸の方向が均一に揃わないことがあり、高すぎると、幅方向に延伸した後に厚み方向のリターデーションRth値が低くなり、Nz係数が低くなる傾向がある。よって、延伸倍率としては、1.2〜3の範囲が好ましく、1.5〜2.5の範囲がより好ましい。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸した後フィルムを冷却する直前に、非晶性熱可塑性樹脂分子の配向を揃える目的で、フィルムを熱緩和させることが好ましい。
上記のようにして、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、幅方向の屈折率が大きくされた延伸フィルムを得ることができる。また、フィルムを非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg付近で延伸し、しかる後、フィルムを非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満の温度に冷却すると、延伸方向に非晶性熱可塑性樹脂分子が配列されたフィルムを得ることができる。
上記幅方向に延伸されたフィルムの面内のリターデーションRe値が低すぎると、後にフィルムを長さ方向に延伸したときに、厚み方向のリターデーションRth値が低くなる傾向にある。一方、面内のリターデーションRe値が高すぎると、後にフィルムを長さ方向に延伸したときに、厚み方向のリターデーションRth値にばらつきが生じ易くなる。よって、上記幅方向に延伸されたフィルムの面内のリターデーションRe値は、50〜300nmの範囲が好ましく、80〜200nmの範囲がより好ましい。
また、上記幅方向に延伸されたフィルムの上述した式(1)で示されるNz係数が低いと、上記幅方向に延伸されたフィルムにおいて、面内のリターデーションRe値よりも厚み方向のリターデーションRth値が小さくなる傾向がある。よって、後にフィルムを長さ方向に延伸したときに、厚み方向のリターデーションRth値を高くすることが困難となる。一方、Nz係数が高い場合にも、後にフィルムを長さ方向に延伸したときに、厚み方向のリターデーションRth値が小さくなる傾向にある。よって、後にフィルムを長さ方向に延伸したときに、厚み方向のリターデーションRth値を高くするためには、Nz係数は、1.4〜1.7の範囲とする必要がある。Nz係数の好ましい範囲は、1.45〜1.65である。
上記フィルムを幅方向に延伸した後のフィルムの厚みが厚すぎると、得られる位相差フィルムが厚くなり、液晶表示装置の薄型化の要求に十分に対応できないことがあり、薄すぎると、後にフィルムを長さ方向に延伸するときに、フィルムが破断し易くなる。よって、上記フィルムを幅方向に延伸した後のフィルムの厚みは、30〜100μmの範囲が好ましく、40〜80μmの範囲がより好ましい。
本発明では、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸される前に幅方向に延伸されるため、例えば非晶性熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の両端部分をクリップなどの把持手段で把持した後に幅方向に延伸することで、把持されていた部分が狭い範囲となり、把持されていた部分の影響が小さくなり、位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅を広くすることができる。
(非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する工程)
本発明では、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが幅方向に延伸された後に、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸される。
本発明では、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが幅方向に延伸された後に、非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸される。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する方法としては、ロール間ネックイン延伸法、近接ロール延伸法等が挙げられるが、位相差を制御し易く、非晶性熱可塑性樹脂フィルムに傷や皺等が生じ難いため、ロール間ネックイン延伸法が好適である。
上記ロール間ネックイン延伸法とは、フィルム幅よりも広い延伸領域の両側に位置する一対のニップロール又はS字ラップロールで搬送中のフィルムを挟持するとともに、搬送方向の上流側のニップロール又はS字ラップロールの周速に対して、搬送方向の下流側のニップロール又はS字ラップロールの周速を大きくすることによって、所望の延伸倍率を得る方法である。なお、フィルムの幅方向の両端部分は拘束を受けない自由端とされており、長さ方向の延伸に伴って幅方向にネックイン現象が呈される。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する際の延伸温度が低すぎると、フィルムが破断することがあり、高すぎると、高いRth値が得られないことがある。よって、延伸温度は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg+5℃の範囲であることが好ましい。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する際の延伸倍率は、面内のリターデーションRe値が5nm以下になるように制御される。延伸倍率が小さすぎると、低い延伸温度で強引に延伸する必要があり、延伸された後にフィルムの耐久性に劣ることがある。延伸倍率が大きすぎると、高い延伸温度で延伸する必要があり、面内のリターデーションRth値を高くすることが困難なことがある。よって、延伸倍率は、1.1〜1.5の範囲が好ましく、1.15〜1.3の範囲がより好ましい。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する際には、フィルムの幅方向の両端部分が支持されないため、幅方向に延伸された際の残留応力が緩和されることによって、得られる位相差フィルムの3次元方向の屈折率がばらつき、位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムを取出し得る幅が狭くなることがある。
よって、位相差フィルムの3次元方向の屈折率のばらつきを低減し、位相差フィルムを取出し得る幅を広くするためには、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する際の延伸温度が、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する際の延伸温度よりも高く、かつその延伸温度の差が、1〜10℃の範囲にあることが好ましく、2〜8の範囲にあることがより好ましい。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸された後には、フィルムの上述した式(2)で示される面内のリターデーションRe値は、5nm以下である。面内のリターデーションRe値が5nmを超えると、実質的にCプレートとは呼べず、液晶表示装置のコントラストの低下を招くこととなる。
上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムが長さ方向に延伸された後には、フィルムの上述した式(3)で示される厚み方向のリターデーションRth値は、90nm≦Rth≦300nmである。厚み方向のリターデーションRth値が90nmより小さいと、値が小さくて一般的な液晶セルの複屈折の補償を行えず、厚み方向のリターデーションRth値が300nmより大きいと、値が大きすぎて一般的な液晶セルの補償値として最適ではなく、画面が赤っぽくなる。
基本的には液晶セルに応じた最適なRth値の設計が求められる。
上記フィルムが長さ方向に延伸された後には、熱緩和により面内及び厚み方向のリターデーションRe 、Rth値が低下するのを防止するために、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満の温度に直ちに冷却されることが好ましい。
(位相差フィルム)
上記のようにして得られた位相差フィルムでは、面内のリターデーションRe値が5nm以下であり、かつ厚み方向のリターデーションRth値が90nm≦Rth≦300nmの範囲である。よって、位相差フィルムが液晶表示装置に用いられるとコントラストを高め、かつ視野角を拡大することができる。
上記のようにして得られた位相差フィルムでは、面内のリターデーションRe値が5nm以下であり、かつ厚み方向のリターデーションRth値が90nm≦Rth≦300nmの範囲である。よって、位相差フィルムが液晶表示装置に用いられるとコントラストを高め、かつ視野角を拡大することができる。
(複合偏光板)
本発明に係る複合偏光板では、上記位相差フィルムが、偏光板の一方面に積層されて、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている。
本発明に係る複合偏光板では、上記位相差フィルムが、偏光板の一方面に積層されて、偏光板と位相差フィルムとが一体化されている。
上記偏光板としては、特に限定されず、従来から汎用されているものが用いられ、偏光子の両面に保護フィルムが積層されて一体化されたものを挙げることができる。
上記偏光子としては、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を吸着させた後、このフィルムをホウ酸中で一軸延伸してなるポリビニルアルコール・ヨウ素偏光子;ポリビニルアルコールからなるフィルムに二色性の高い直接染料を吸着、拡散させた後、このフィルムを一軸延伸してなるポリビニルアルコール・染料系偏光子;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物のようなポリエン配向偏光子等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールとしては、酢酸ビニルモノマーを単独重合させて得られたポリ酢酸ビニルをケン化させたものや、酢酸ビニルモノマーに少量のオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩又は不飽和カルボン酸若しくはこの塩、エステル、アミド、ニトリル等のモノマーを共重合させたものが挙げられる。
上記偏光子の両面に積層される保護フィルムとしては、偏光子の光学特性を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ処理等が施されたトリアセチルセルロースからなるフィルムが挙げられる。
上記位相差フィルムは、偏光板の一方面に接着剤または粘着剤を介して積層されていてもよい。上記接着剤又は粘着剤としては、光学特性を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば透明性の高いアクリル系接着剤又はアクリル系粘着剤などが用いられる。
(偏光板)
本発明の偏光板では、上記偏光子の一方面に、接着剤を介して位相差フィルムが積層されて、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている。
本発明の偏光板では、上記偏光子の一方面に、接着剤を介して位相差フィルムが積層されて、偏光子と位相差フィルムとが一体化されている。
上記接着剤としては、偏光子及び位相差フィルムの光学特性を阻害しないものであれば特に限定されないが、従来の偏光板製造工程では水系接着剤が汎用されていることから、水系の接着剤であることが好ましく、特に、水性ウレタン系接着剤が好適に用いられる。
偏光子と位相差フィルムとを対向させて積層させる際には、偏光子または位相差フィルムの何れかの一方の対向面の全体に、好ましくは位相差フィルムの対向面の全体に上記接着剤を塗布する。しかる後、偏光子と位相差フィルムを重ね合わせて積層し、偏光子と位相差フィルムとが一体化されて、本発明の偏光板が得られる。
上記接着剤の塗布量が少なすぎると、偏光子と位相差フィルムとの接着強度が低下したり、若しくは偏光子と位相差フィルムとの間に隙間が生じて光学特性が阻害されることがある。接着剤の塗布量が多すぎると、接着剤の乾燥が不十分となり、偏光子が湾曲したり、若しくは偏光度が低下することがある。偏光子または位相差フィルムに塗布した直後の上記接着剤の塗布量は、0.05〜10g/m2であることが好ましい。
偏光子の一方面とは反対側の他方面には、接着剤、好ましくは上記水系接着剤を介して、保護フィルムが積層されて一体化されていてもよい。保護フィルムとしては、偏光板が湾曲するのを防ぐため、保護フィルムの透湿度が、位相差フィルムの透湿度の±50%以内であるものが好適に用いられる。
上記保護フィルムを構成する材料としては、特に限定されないが、位相差フィルムを構成している非晶性熱可塑性樹脂が好ましく、環状オレフィン系樹脂がより好ましく、ノルボルネン系樹脂がさらに好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の複合偏光板および偏光板は、透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置の何れの種類の液晶表示装置にも用いられ得る。
本発明の複合偏光板および偏光板は、透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置の何れの種類の液晶表示装置にも用いられ得る。
液晶表示装置において、液晶セルを構成している一対の基板の外表面の少なくとも一方に、本発明の複合偏光板または偏光板が積層される。
透過型液晶表示装置に本発明の偏光板を使用した液晶表示装置としては、例えば以下のものを挙げることができる。
液晶セルを構成している一対の基板の各外表面に一対の偏光板を配設し、液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型或いはサイドライト型の公知の照明システムを配設し、更に、駆動回路を組込んで透過型液晶表示装置が構成される。この透過型液晶表示装置においては、一対の偏光板の内の一方或いは双方の偏光板として、本発明の複合偏光板または偏光板が用いられ、偏光板は位相差フィルムが基板に対向するように配設される。
反射型液晶表示装置に本発明の偏光板を使用した液晶表示装置としては、例えば以下のものを挙げることができる。
液晶セルを構成している一対の基板において、液晶表示面とされる側の基板上に、位相差フィルムが基板に対向するように本発明の複合偏光板または偏光板が配設される。他方、液晶表示面とされる側とは反対側の基板上に反射層が配設されて、反射型液晶表示装置が構成される。
上記液晶セルとしては、従来より用いられている液晶セルであれば特に限定されない。OCBモード、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードなどの各種液晶表示装置に、本発明の位相差フィルム、複合偏光板および偏光板を用いることができる。
上記VAモードの液晶表示装置では、電圧オフの状態で液晶分子は、その長さ方向が液晶セルの基板に対して垂直方向に向けられた状態となるように配置され、黒表示される。このとき、液晶セルを通過する光における液晶セルの厚み方向の屈折率が大きくなり、屈折率異方性が発現し、見る角度によっては光漏れが生じる。本発明の位相差フィルムでは、その厚み方向のリターデーションRth値が高く、液晶セルの厚み方向の屈折率を効果的に緩和することができる。よって、液晶表示装置のコントラストを高め、見込み角度によるコントラストの変化、視野角依存性を大幅に改善することができる。よって、本発明の位相差フィルムは、特にVAモードの液晶表示装置に好適に用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1,実施例2]
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの調製)
環状オレフィン系樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1600」、数平均分子量:20000)を用いた。この熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を一軸押出機に供給して溶融、混練し、一軸押出機の先端に取り付けられたTダイから、樹脂温度230℃にて溶融押出を行って、幅500mmで且つ平均厚みが150μmである長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを得た。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの調製)
環状オレフィン系樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア#1600」、数平均分子量:20000)を用いた。この熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を一軸押出機に供給して溶融、混練し、一軸押出機の先端に取り付けられたTダイから、樹脂温度230℃にて溶融押出を行って、幅500mmで且つ平均厚みが150μmである長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを得た。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製 商品名「DSC220C」)を用いて測定された熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgは、161℃であった。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する工程)
次に、得られた長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを連続的に巻き出し搬送させた後、予熱ゾーン内に供給し通過させて、フィルムを155℃に予熱した。
次に、得られた長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを連続的に巻き出し搬送させた後、予熱ゾーン内に供給し通過させて、フィルムを155℃に予熱した。
しかる後、予熱された熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを連続的に延伸ゾーン内に供給し通過させて、フィルムを下記表1に示す延伸温度に徐々に加熱した。フィルムが下記表1に示す延伸温度に達した後、その延伸温度で保持した。
次に、この延伸ゾーンにて延伸温度に保持された熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを搬送させつつ、幅方向の両端部分をテンタークリップによって順次、把持した。テンタークリップを熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの搬送速度と同一速度でフィルムの搬送方向に移動させながら互いに離間する幅方向に変位させて、下記表1に示す延伸倍率でフィルムを幅方向に延伸させた。
次に、テンタークリップで把持したまま150℃雰囲気下で熱緩和を行い、樹脂の分子の配向方向をフィルムの幅方向に揃えた。しかる後、そのまま120℃の雰囲気下で樹脂の分子の配向を固定し、幅方向に遅相軸が形成された非晶性熱可塑性樹脂フィルムを得、このフィルムをロール状に連続的に巻き取った。
テンタークリップで把持された影響を取除くために、フィルムの幅方向の両端250mm部分を除去し、全幅を500mmとした。
自動複屈折測定装置(王子計測機器社製 商品名「KOBRA−21ADH」)を用いて、得られた幅方向に延伸されたフィルムの屈折率を測定した。3次元方向の屈折率nx,ny,nzを幅方向に10mm間隔で測定し、平均値を算出した。この平均値から、面内および厚み方向のリターデーションRe,Rth値を算出した。結果を表1に示した。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する工程)
次に、上記幅方向に延伸されたフィルムを搬送の上流側のニップロールから連続的に10m/minの一定巻き出し速度で巻き出すと共に、巻き出されたフィルムを搬送の下流側のニップロールに搬送の上流側のニップロールの周速度よりも速い巻き取り速度で巻き取った。巻き出し軸と巻き取り軸との間の空間を巻き出し軸側から順次、予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーンの三つのゾーンに区画し、このゾーン内に横延伸フィルムを順次、連続的に通過させた。
次に、上記幅方向に延伸されたフィルムを搬送の上流側のニップロールから連続的に10m/minの一定巻き出し速度で巻き出すと共に、巻き出されたフィルムを搬送の下流側のニップロールに搬送の上流側のニップロールの周速度よりも速い巻き取り速度で巻き取った。巻き出し軸と巻き取り軸との間の空間を巻き出し軸側から順次、予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーンの三つのゾーンに区画し、このゾーン内に横延伸フィルムを順次、連続的に通過させた。
具体的には、上記予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーン内の温度を、それぞれフィルムの温度が順次、155℃、161℃、110℃となるように調整し、延伸ゾーンにて表2に示す延伸倍率でフィルムを長さ方向に延伸し、位相差フィルムを得た。
以下の判定基準で位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムとして取出し得る領域を選定した。3次元方向の屈折率nx,ny,nzを、有効幅内側の領域において幅方向に10mm間隔で測定し、平均値を算出した。この平均値から、面内および厚み方向のリターデーションRe,Rth値を算出した。結果を表2に示した。
(有効幅の判断基準)
Re値が5nm以下の領域を有効幅とした。
Re値が5nm以下の領域を有効幅とした。
[比較例1,比較例2]
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの調製)
上記実施例1,2と同様の長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを用意した。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの調製)
上記実施例1,2と同様の長尺状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを用意した。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを長さ方向に延伸する工程)
フィルムを搬送の上流側のニップロールから連続的に10m/minの一定巻き出し速度で巻き出すと共に、巻き出されたフィルムを搬送方向の下流側のニップロールに搬送方向の上流側のニップロールの周速度よりも速い巻き取り速度で巻き取った。巻き出し軸と巻き取り軸との間の空間を巻き出し軸側から順次、予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーンの三つのゾーンに区画し、このゾーン内に横延伸フィルムを順次、連続的に通過させた。
フィルムを搬送の上流側のニップロールから連続的に10m/minの一定巻き出し速度で巻き出すと共に、巻き出されたフィルムを搬送方向の下流側のニップロールに搬送方向の上流側のニップロールの周速度よりも速い巻き取り速度で巻き取った。巻き出し軸と巻き取り軸との間の空間を巻き出し軸側から順次、予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーンの三つのゾーンに区画し、このゾーン内に横延伸フィルムを順次、連続的に通過させた。
具体的には、上記予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーン内の温度を、それぞれフィルムの温度が順次、155℃、161℃、110℃となるように調整し、延伸ゾーンにて表3に示す延伸倍率でフィルムを長さ方向に延伸し、長さ方向に延伸されたフィルムを得た。
上記装置を用いて、3次元方向の屈折率nx,ny,nzを幅方向に10mm間隔で測定し、平均値を算出した。この平均値から、面内および厚み方向のリターデーションRe,Rth値を算出した。結果を表3に示した。
(長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する工程)
次に、長さ方向に延伸されたフィルムを連続的に巻き出し、フィルムを予熱ゾーン内に供給し通過させて、フィルムを155℃に予熱した。
次に、長さ方向に延伸されたフィルムを連続的に巻き出し、フィルムを予熱ゾーン内に供給し通過させて、フィルムを155℃に予熱した。
しかる後、この予熱ゾーンにて予熱されたフィルムを連続的に延伸ゾーン内に供給し通過させて、表4に示す延伸温度に徐々に加熱した。フィルムが下記表4に示す延伸温度に達した後、その延伸温度で保持した。
次に、この延伸ゾーンにて横延伸温度に保持された熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムにおける幅方向の両端部分をテンタークリップによって順次、把持した。テンタークリップを熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの搬送速度と同一速度でフィルムの搬送方向に移動させながら、互いに離間する横方向に変位させて、面内のリターデーションRe値が5nm以下になるように延伸倍率を調整し、フィルムの長さ方向に略直交する方向である幅方向にフィルムを延伸した。
次に、テンタークリップで把持したまま150℃雰囲気下で熱緩和を行い、樹脂の分子の配向方向をフィルム幅方向に揃えた。しかる後、そのまま120℃の雰囲気下で樹脂の分子の配向を固定し、幅方向に遅相軸が形成されたフィルムを得、このフィルムをロール状に連続的に巻き取った。
上記判定基準で位相差フィルムとして有効に機能する有効幅、すなわち位相差フィルムとして取出し得る領域を選定した。3次元方向の屈折率nx,ny,nzを、有効幅内側の領域において幅方向に10mm間隔で測定し、平均値を算出した。この平均値から、面内および厚み方向のリターデーションRe,Rth値を算出した。結果を下記表4に示した。
上記比較例1,2により得られた位相差フィルムでは、フィルム両端部分がクリップ把持の影響により、厚みが厚かった。その結果、フィルム両端部分における面内のリターデーションRe値が大きく、その部分に関しては位相差フィルムとして有効に機能し得ない。すなわちフィルムの有効幅は極端に狭かった。
Claims (7)
- 幅方向と長さ方向とを有する位相差フィルムの製造方法であって、
長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸することにより、下記式(1)で示されるNz係数を1.4〜1.7の範囲にする工程と、
前記幅方向に延伸する工程の後、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを幅方向と略直交する方向である長さ方向に延伸することにより、下記式(2)で示される面内のリターデーションRe値を5nm以下とし、かつ下記式(3)で示される厚み方向のリターデーションRth値を90nm≦Rth≦300nmの範囲とする工程とを備えることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
Nz=|nx−nz|/|nx−ny|=Rth/Re+0.5・・・(1)
Re=|nx−ny|×d・・・(2)
Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d・・・(3)
上記式(1)〜(3)中、nxは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の屈折率を示し、nyは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの長さ方向の屈折率を示し、nzは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の屈折率を示し、dは非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚さを示す。 - 前記幅方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度が、前記長さ方向に延伸する工程における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの延伸温度よりも高く、かつその延伸温度の差が、1〜10℃の範囲にある、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られた位相差フィルム。
- 偏光板の一方面に、請求項3に記載の位相差フィルムが積層されており、前記偏光板と前記位相差フィルムとが一体化されている、複合偏光板。
- 液晶セルを構成している一対の基板の外表面の少なくとも一方に、請求項4に記載の複合偏光板が積層されている、液晶表示装置。
- 偏光子の一方面に、接着剤を介して請求項3に記載の位相差フィルムが積層されており、前記偏光子と前記位相差フィルムとが一体化されている、偏光板。
- 液晶セルを構成している一対の基板の外表面の少なくとも一方に、請求項6に記載の偏光板が積層されている、液晶表示装置。
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- 2005-04-28 JP JP2005132340A patent/JP2006308917A/ja active Pending
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