JP4596940B2 - セルロースアシレートフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルムとそれを用いた位相差フィルム、偏光板などの光学材料および液晶表示装置に関するものである。
セルロースアシレートフィルムは光学的に透明性が高いこと、光学的に等方性が高いこと、偏光板加工が容易なことから偏光を取り扱う液晶表示装置用の光学部材として優れており、偏光板の保護フィルムや、斜め方向から見た表示画面の視認性(視野角補償)を向上できる位相差フィルムの支持体として用いられてきた。
しかしながら、従来のセルロースアシレートフィルムはフィルム面内では光学的に等方であっても、厚み方向にはレターデーションを有しており、例えば市販のセルローストリアセテートフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)では40〜50nmのレターデーションであることが知られていた。そのため、斜め方向の最適な表示品位を実現するためには、このレターデーションを考慮して光学設計する必要があった。例えば、斜め方向の位相差を小さくする必要があった場合、液晶セルの光学補償用の光学異方性層の他にセルロースアシレートフィルムの厚み方向のレターデーションを補償するための光学異方性層が必要になる場合がある等の制約があった。そのため、厚み方向のレターデーションについても光学的に等方であるフィルムが望まれていた(例えば特許文献1)。
セルローストリアセテートフィルムの複屈折率は可視光領域の長波長側の方が大きい波長分散特性を有している。一方、液晶セル内に用いられる液晶の複屈折率の波長分散は一般に短波長側の方が大きいことが知られている。そのため、特定の波長では光学補償上最適な光学設計であっても、他の波長では光学特性のずれが発生し、着色などの問題が発生する問題があった。
最近、液晶表示装置がPC用モニターや携帯機器だけではなく、テレビ用途としても広く用いられるようになり、コントラストや色味の視野角特性が以前にも増して良好であることを強く要求されるようになってきている。また、テレビ用途では大型化、低価格化のニーズが強く、より広い面積で均質な性能であり、かつ低コストである保護フィルムや位相差フィルムが必要になってきている。このような要求を満足するために、前記のようなレターデーションの制約や問題を解消し、さらに表示品位を損なう「ムラ」をより一層低減したフィルムが必要となってきている。
特開2001−249599
本発明の第1の課題は、レターデーションが可視域の全域で小さく、かつ軸ばらつき(遅相軸、進相軸の場所による変動)の小さいセルロースアシレートフィルム、液晶表示装置に組み込んだときに視野角特性が優れている位相差フィルム、およびこれを用いた偏光板を提供することである。
また、本発明の第2の課題は、視野角特性に優れた液晶表示装置を提供することである。
本発明の発明者らが鋭意検討した結果、課題を解決するためにはセルロースアシレートフィルムの面内および厚み方向のレターデーションが可視光領域全てで限りなくゼロに近いことが必要であることが判り、さらにそのような特性を有するセルロースアシレートフィルムを製造処方と製造条件の面から追求した。
その結果、本発明の発明者らは、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、Re及びRthをゼロに近づけることに成功した。また、セルロースアシレートのアシル置換度が2.80〜3.00と高いものを用いることによっても、前記課題の解決に寄与できることを見出した。
さらに本発明の発明者らは、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つことによりフィルムの着色を防止し、フィルムのRe(λ)およびRth(λ)の波長分散を制御できる化合物を用いることによって波長400nmと700nmとでのReおよびRthの差、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を小さくすることに成功した。
さらに本発明の発明者らは、セルロースアシレートフィルムを製造中に、一般に知られているセルローストリアセテートフィルムを製造する場合よりも強いテンションを幅方向に加え、面内の遅相軸方向がフィルムの長さ方向に対して、略平行または略垂直となるように製造することが発明目的に効果的であることを見出した。即ち、通常のセルロースアシレートフィルムと同程度のテンションでは遅相軸方向がばらついてしまい、液晶表示装置に用いた時にムラとして検知されやすい。通常のセルローストリアセテートフィルムでは本発明のようなテンションを加えると位相差が発生し、本発明の課題である光学性能を満足できないが、本発明ではアシル置換度の高いセルロースアシレートとレターデーション低下剤を用いることでテンションを加えても位相差が発現しにくくなることが判明したため、上記のような手段で課題を達成するに至った。
具体的は、上記の新知見を組合わせた以下に記載するセルロースアシレートフィルムの製造方法により、本発明の課題を達成することができる。
[1]
溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記セルロースアシレートフィルムにおけるセルロースアシレートのアシル置換度が2.80〜3.00であり、該フィルム中にRe(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物である下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有し、セルロースアシレートフィルムの製造工程において少なくとも45%以上の溶媒を含有するフィルムの幅方向にテンションをかけながらフィルムを搬送して乾燥させる工程を含み、フィルムの幅方向に10乃至50kgf/m(98〜490N/m)のテンションを加えることにより、面内の遅相軸方向をフィルムの長さ方向に対して0°±10°もしくは90°±10°とし、かつ該セルロースアシレートフィルムのRe(λ)およびRth(λ)が、下記式(I)および(II)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
Figure 0004596940

一般式(1)において、R 11 はアルキル基またはアリール基を表し、R 12 およびR 13 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
一般式(2)
Figure 0004596940

一般式(2)において、R 31 はアルキル基またはアリール基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
式(I):0≦Re(590)≦10、かつ|Rth(590)|≦25
式(II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
[2]
フィルムの両端を保持して、フィルムの幅方向にテンションを加えながらフィルムを搬送して残留溶媒量が40%以下になるまで乾燥させる工程、次に両端の保持からフィルムを離脱させて2乃至20kgf/m(19.6〜196N/m)の搬送テンションで搬送し乾燥させることにより製造することを特徴とする[1]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[3]
フィルム両端の保持を解放後、100〜150℃で乾燥させることを特徴とする[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
なお、本発明は上記[1]〜[3]に関するものであるが、参考のためその他の事項、例えば下記(1)〜(12)などについても記載した。
(1)Re(λ)およびRth(λ)が、下記式(I)および(II)を満足し、かつ面内の遅相軸方向がフィルムの長さ方向に対して0°±10°もしくは90°±10°であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I):0≦Re(590)≦10かつ|Rth(590)|≦25 式(II):|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(2)前記セルロースアシレートフィルムのアシル置換度が2.80〜3.00であり、該フィルム中にRe(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする上記(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(3)フィルムの膜厚が10μm〜120μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4)フィルムが600mm以上の幅で、100m以上の長さで製造されたフィルムであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(5)セルロースアシレートフィルムの製造工程においてフィルムの幅方向に10乃至50kgf/m(98〜490N/m)のテンションを加えることにより、面内の遅相軸方向をフィルムの長さ方向に対して0°±10°もしくは90°±10°とし、かつ該セルロースアシレートフィルムのRe(λ)およびRth(λ)が、下記式(I)および(II)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
式(I):0≦Re(590)≦10、かつ|Rth(590)|≦25
式(II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(6)溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、少なくとも10%以上の溶媒を含有するフィルムの幅方向にテンションをかけながらフィルムを搬送して乾燥させる工程を経ることにより製造することを特徴とする上記(5)に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(7)溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、フィルムの両端を保持して、フィルムの幅方向にテンションを加えながらフィルムを搬送して残留溶媒量が40%以下になるまで乾燥させる工程、次に両端の保持からフィルムを離脱させて2乃至20kgf/m(19.6〜196N/m)の搬送テンションで搬送し乾燥させることにより製造することを特徴とする上記(5)または(6)に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(8)フィルム両端の保持を解放後、100乃至〜150℃で乾燥させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(9)上記(1)から(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に少なくとも1層の光学異方性層を設けたことを特徴とする位相差フィルム。
(10)偏光板の少なくとも一方の保護フィルムが上記(1)から(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
(11)上記(10)に記載の偏光板を含む少なくとも1枚の偏光板と液晶セルとを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
(12)液晶セルがVAモードまたはIPSモードであることを特徴とする上記(11)に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、さらには光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さく、軸角度のばらつきもないセルロースアシレートフィルムが得られる。セルロースアシレートフィルムを用いた上記特性を具備した位相差フィルムや偏光板が得られる。さらにこれらを用いることにより、視野角特性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔セルロースアシレートフィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムはRe(λ)およびRth(λ)が、下記式(I)および(II)を満足する。
式(I):0≦Re(590)≦10かつ|Rth(590)|≦25
式(II):|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
実際にはRe(λ)は測定機器(例えば自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製))を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射して測定することにより求めることができる。Rth(λ)は前記Re(λ)および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から光を入射し測定したレターデーション値、−40°傾斜した方向から光を入射させて測定したレターデーション値を用い、平均屈折率を1.48と仮定することで測定機器に付随した計算ソフトにより算出することができる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは遅相軸方向がフィルムの長さ方向に対して0°±10°または90°±10°である。好ましくは0°±7°または90°±7°、さらに好ましくは0°±5°または90°±5°である。遅相軸の方向は測定機器(例えばKOBRA 21DH(王子計測機器(株)製))を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射して測定することにより求めることができる。
[セルロースアシレート原料]
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムのセルロース原料としては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れのセルロース原料から得られるセルロースアシレートでも使用できる。また、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明の位相差フィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレートの置換度]
セルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明に用いられるセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されない。また、本発明におけるセルロースアシレートの置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、該測定値に基づく計算によって得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。セルロースの水酸基が100%置換されたときの置換度は3である。
上述のように本発明に用いるセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.80〜3.00であることが好ましく、置換度が2.80〜2.97であることが更に好ましく、2.80〜2.95であることが特に好ましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく、特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。前記炭素数2〜22のアシル基としては、例えば、アルキルカルボニルエステル基、アルケニルカルボニルエステル基あるいは芳香族カルボニルエステル基、芳香族アルキルカルボニルエステル基などが挙げられ、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基を挙げることができ、これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる場合がある。また、重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう場合がある。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。また、特開平9−95538号後方にも詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースアシレート中の低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、例えば、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。前記低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明におけるセルロースアシレートフィルムの製造時に使用される際には、セルロースアシレートの含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、0.7質量%以下の含水率を有することが特に好ましい。
一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており、その含水量は2.5〜5質量%であることが知られている。本発明において、セルロースアシレートの含水率を上述の範囲にするためには、セルロースアシレートを乾燥することが必要であり、その乾燥方法は目的とする含水率を得ることができれば特に限定されない。本発明に用いられるセルロースアシレートについて、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートフィルムへの添加剤]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムを作製するためのセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができる。またその添加時期はドープ調製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
以下に添加剤の詳細について示す。
(セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、後述のRe(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物(レターデーション低下化合物)を少なくとも1種含有することが好ましい。レターデーション低下化合物はセルロースアシレートに相溶し、かつ化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが好ましい。具体的にはレターデーション低下化合物が芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
セルロースアシレートへの溶解性の観点から、本発明に使用するレターデーション低下剤はオクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。前記logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、前記logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸透法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29巻,163頁(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19巻,71頁(1984).)などに記載の方法が好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻,21頁(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
前記レターデーション低下化合物は、芳香族基を含有していてもよい。またレターデーション低下化合物の分子量としては、150〜3000であることが好ましく、170〜2000であることが好ましく、200〜1000であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
前記レターデーション低下化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また前記レターデーション低下化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
前記レターデーション低下化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
前記レターデーション低下化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
セルロースアシレートフィルムの少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分におけるレターデーション低下化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの厚み方向における中央部(全膜厚の50%の部分)における該化合物の平均含有率の80〜99%であることが好ましい。レターデーション低下化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムのレターデーション低下化合物の具体例(一般式(1)または(2)で表される化合物)を示すが、本発明はこれら化合物に限定されるものではない。
Figure 0004596940
前記一般式(1)において、R11はアルキル基またはアリール基を表し、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R11、R12およびR13の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。
前記R11〜R13は、置換基を有していてもよく、該置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。
一般式(1)中、前記R11〜R13で表されるアルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。該アルキルの炭素原子数は、1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシルなどの各基が挙げられる。
一般式(1)中、前記R11〜R13で表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のものが特に好ましい。該アリール基としては、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニルなどの各基が挙げられる。以下に、一般式(1)で表される化合物の好ましい例(化合物(101)〜(164))を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0004596940
Figure 0004596940
Figure 0004596940
Figure 0004596940
一般式(2)
Figure 0004596940
前記一般式(2)において、R31はアルキル基またはアリール基を表し、R32およびR33はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。また、環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。前記アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
前記一般式(2)中、R31〜R33で表されるアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素など)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、およびアシルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基がさらに好ましく、アルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基が特に好ましい。
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例(化合物301〜393)を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0004596940
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Figure 0004596940
(波長分散調整剤)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムには、波長分散を調整させる化合物を含有することができる。前記波長分散を調整させる化合物について説明する。本発明に用いるセルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を可視光の全域でゼロに近づけるためには、Rthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物(以下、「波長分散調整剤」と称する場合がある。)を、少なくとも一種含有することが好ましい。
前記の波長分散調整剤は、200nm〜400nmの紫外領域に吸収を有することが好ましい。
一般に、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は短波長側よりも長波長側が大きい分散特性を有する。一方、200nm〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。そのため、セルロースアシレートフィルムの短波長側のRe、Rthを適当な紫外吸収を有する化合物によって大きくすることによって波長分散を平滑にすることができる。
波長分散の面内ばらつきは、光学性能のばらつき、特に色味の視野角特性に影響を与える。そのため、波長分散調整剤はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような波長分散調整剤の紫外領域の吸収帯範囲は200nm〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れている要求される。本発明におけるセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%〜95%であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましく、より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
前記波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの固形分に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
前記波長分散調整剤として用いられる前記ベンゾトリアゾール系化合物としては下記一般式(3)で表される化合物が本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(3):Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環を表し、Q2は芳香族環を表す。)
前記Q1は含窒素芳香族へテロ環を表し、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環である。前記含窒素芳香族ヘテロ環としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデンなどの各環が挙げられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールの各環が好ましく、特に好ましくはベンゾトリアゾール環である。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、該置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
前記Q2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
前記芳香族炭化水素環としては、炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
前記芳香族ヘテロ環としては、窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環が好ましい。前記ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられ、好ましくはピリジン、トリアジン、キノリンの各環である。
2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、該置換基としては以下に述べる置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。);アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。);アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどの各基が挙げられる。);アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。);置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどの各基が挙げられる。);アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。);アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどの各基が挙げられる。);
アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどの各基が挙げられる。);アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの各基が挙げられる。);アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。);アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。);アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。);アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。);アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。);スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。);
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。);カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。);アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどの各基が挙げられる。);アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。);スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。);スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどの各基が挙げられる。);ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。);リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどの各基が挙げられる。);ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);シアノ基;スルホ基;カルボキシル基;ニトロ基;ヒドロキサム酸基;スルフィノ基;ヒドラジノ基;イミノ基;ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各基が挙げられる。);シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基Tは更に置換基によって置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(3−A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004596940
(一般式(3−A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
一般式(3−A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
一般式(3−A)中、R2およびR4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(3−A)中、R5およびR8として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(3−A)中、R6およびR7として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(3)で表される化合物としてより好ましくは下記一般式(3−B)で表される化合物である。
Figure 0004596940
(一般式(3−B)中、R1、R3、R6およびR7は一般式(3−A)におけるものと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(3−B)で表される化合物の具体例(化合物UV1〜UV23)を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0004596940
Figure 0004596940
上述のベンゾトリアゾール系化合物(波長分散調整剤)の中でも、分子量が320以下のものを含まずにセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で好ましい。
また、本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物を好ましく用いることもできる。
Figure 0004596940
(一般式(4)中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に芳香族環を表す。Xは、NR(R:水素原子または置換基)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
一般式(4)中、Q1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
前記芳香族炭化水素環としては、炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
前記芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。前記ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンの各環である。
一般式(4)におけるQ1およびQ2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
一般式(4)におけるQ1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸基やスルホン酸基、又は4級アンモニウム基を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
一般式(4)中、XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。該置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表す。Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、またはOであり、特に好ましくはOである。
前記置換基Tとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる。);アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる。);アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。);アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる。);置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノの各基などが挙げられる。);アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる。);アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。);アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどの各基が挙げられる。);
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。);アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。);アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。);アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。);アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。);アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。);スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。);スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる。);
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる。);アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどの各基が挙げられる。);アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。);スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。);スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。);
ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる。);リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。);ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);シアノ基;スルホ基;カルボキシル基;ニトロ基;ヒドロキサム酸基;スルフィノ基;ヒドラジノ基;イミノ基;ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどの各基が挙げられる。);シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどの各基が挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記一般式(4)で表される化合物としては、下記一般式(4−A)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004596940
(一般式(4−A)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基T1が適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(4)で表される化合物としてより好ましくは、下記一般式(4−B)で表される化合物である。
Figure 0004596940
(一般式(4−B)中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、或いは、置換または無置換のアリール基を表す。)
一般式(4−B)中R10は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(4)で表される化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(4)で表される化合物の具体例(化合物UV−101〜UV−121)を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0004596940
Figure 0004596940
Figure 0004596940
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては、一般式(5)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(5):
Figure 0004596940
(一般式(5)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、または、芳香族ヘテロ環を表す。)
一般式(5)におけるQ1およびQ2で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
(微粒子)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。前記二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5nm〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができるためより好ましい。前記二酸化珪素の見かけ比重は90〜200g/リットル以上が更に好ましく、100〜200g/リットル以上が特に好ましい。見かけ比重は大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1nm〜3.0μmの2次粒子を形成する。これらの微粒子はフィルム中で、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させることができる。2次平均粒子径は0.2μm〜1.5μm以下が好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。前記微粒子の1次および2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
前記二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vは、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましく用いることができる。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子とを撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法も挙げられる。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は、低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒は特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
(可塑剤、劣化防止剤、剥離剤)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムには、上述のレターデーション低下化合物、波長分散調整剤の他に、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、これらの添加剤は、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上との紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては、例えば特開2001−194522号公報に記載されている。また添加剤を添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層で形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの添加剤については、例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
本発明に用いるセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、レターデーション低下化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が5質量%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある場合がある。また、これら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる場合がある。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造することが好ましい。セルロースアシレートを溶解する有機溶媒の主溶媒として好ましくは、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、前記主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明におけるセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく、本発明におけるセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明に用いられるセルロースアシレート溶液およびフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の文献に開示されており、好ましい態様も同様である。それらは、例えば、特開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの文献によると本発明におけるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
(溶解工程)
本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(流延工程)
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明におけるセルロースアシレートフィルムを製造する方法および設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置を用いることができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。
支持体上に流延する工程は一定のスペースで覆い、窒素雰囲気であることが好ましい。雰囲気内の温度は製膜方法によって最適な方法を選択することができる。下記式(III)で定義される剥ぎ取り時にウェブ内に含まれる残留溶剤量は流延方法によって異なり、ドープ表面温度を常温近傍にして流延する一般的な方法であれば、40%乃至80%が好ましく、45%乃至75%であることが更に好ましく、50%乃至70%であることが最も好ましい。ドープ表面温度を10℃以下にして流延する冷却流延方法では100%乃至300%であることが好ましく、130%乃至270%であることが更に好ましく、150%乃至250%であることが最も好ましい。冷却流延は例えば特開昭62−115035公報に開示の方法により行うことができる。
式(III): 剥取り時の残留溶剤量=(剥取り時のフィルム重量−残留溶剤量ゼロ時のフィルム重量)/残留溶剤量ゼロ時のフィルム重量×100
(乾燥工程)
本発明では流延工程で得られたウェブの両端を保持し、テンションを加えられるようにテンターの拡縮幅と温度を調整して搬送し乾燥させる。テンター形状は本発明の請求を満たす範囲内であれば特に制限はなく、フィルムの両端をクリップで挟んでテンションをかける方法、フィルム両端をピンで固定する方法等を用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムでは課題を達成するためにテンターテンションを10乃至50kgf/m(98乃至490N/m)に調整する。10乃至40kgf/m(98乃至392N/m)であることが更に好ましく、15乃至40kgf(147乃至392N/m)であることが最も好ましい。50kgf/m(490N/m)を超えると本発明の処方であっても位相差が発生し、課題の光学性能を達成できなくなる。
一般に、乾燥初期の工程では溶媒が揮発するために収縮が発生する。したがって、テンションがかかっている状態であればテンター幅はテンター入り口の幅より狭めても良い。テンターの拡縮幅は、テンター入り口の幅を100%としたときに90%乃至110%であることが好ましく、95%乃至107%であることが更に好ましく、97%乃至105%であることが最も好ましい。テンター部の乾燥温度は流延方法により異なるため、適宜最適な温度を選択する。通常の流延方法の場合には70℃乃至130℃であることが好ましく、80℃ないし120℃であることが更に好ましく、80℃乃至110℃であることが最も好ましい。冷却流延方法を用いた場合には、40℃乃至120℃であることが好ましく、40℃乃至110℃であることが更に好ましく、50℃乃至105℃であることが最も好ましい。温度はテンター部の長さ方向に勾配を設けて設定しても良い。加熱方法に特に制限はないが、所定の温度に設定した風をテンター部に導入する方法が好ましくも強いられる。また、面内の遅相軸方向のばらつきを低減させるために、風調板を設けても良いし、裏面ヒータを併用するなど、既知の方法を用いるこができる。
テンターでテンションを加える時の残留溶剤量は10%以上であることが好ましい。12%以上であることが更に好ましく、15%以上であることが最も好ましい。10%以下の残留溶剤量でテンションを加えた場合には軸方向のばらつきを低減できない場合がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは残留溶媒量が限りなくゼロになるまでテンターに保持しても良いが、生産性の観点から、乾燥途中でテンターからフィルムを離脱させ、テンタークリップで保持していた両端を切り落とした後、複数のロール群からなる乾燥部で機械的に搬送しながら乾燥を終了させることが望ましい。「乾燥を終了させる」とは残留溶剤量が1%以下であればよい。テンターから離脱するする時のフィルム内の残留溶剤量は15%以上40%以下が好ましく、17%以上37%以下が更に好ましく、17%以上35%以下であることが最も好ましい。40%以上の残留溶剤量を保持したままテンターから剥離すると、その後の乾燥工程を経るために必要な搬送テンションでフィルム長さ方向に延伸されやくすなり所望の光学性能を実現するための調整が困難になる。また15%以下まで下げるためには搬送速度を遅くするかテンター部を長くする必要があるが、そのいずれも生産性の点で望ましくない。
乾燥部までの搬送テンションはフィルム幅あたり2kgf/m乃至20kgf/m(19.6N/m乃至196N/m)が好ましく、2kgf/m乃至18kgf/m(19.6N/m乃至176N/m)が更に好ましく、2kgf/m乃至16kgf/m(19.6N/m乃至167N/m)であることが最も好ましい。2kgf/m(19.6N/m)以下にするとフィルムのたるみやシワ、ロール状での擦れ等が発生しやすくなり面状が悪化する。20kgf/m(196N/m)以上にすると、特に残留溶剤量が多い場合には搬送方向に延伸されて目標の光学性能を達成することが難しくなる。
フィルム両端の保持を解放後の乾燥温度は、100乃至〜150℃であることが好ましく、100℃以上140℃以下であることがより好ましく、110℃以上140℃以下であることが最も好ましい。100℃より低いと乾燥が進みにくくなると同時に、Rthを低下させることが難しくなる。一方150℃以上の場合にはフィルムのガラス転移温度を超える場合が多く、フィルムが長さ方向に延伸され位相差が発生する可能性がある。また、添加剤の種類によっては乾燥の系内に若干揮散する可能性もある。ここで乾燥温度は乾燥中のフィルムに熱電対などのセンサーを取り付けて測定したときの温度であるが、加熱した風を導入して乾燥させる方法を用いる場合には給気口の温度および排気口の温度によって管理を行う。一般に給気温度は膜面温度より高く、排気温度は膜面温度と同等もしくはやや低い温度であるため、上記の膜面温度を満足させる温度範囲内で管理する。輻射熱を利用して加熱する方法を用いる場合には膜面に近いところに固定式のセンサーを用いて測定する。
乾燥後のフィルムは巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。巻き取りの直前に蒸気によるカール改善部等を設けても良い。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やに用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の25頁〜30頁に詳細に記載されており、本発明において適宜好ましく用いることができる。
上述のようにして作製したセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。またフィルムの残留溶剤量は3%以下が望ましく、2%以下が更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは以下の方法により評価した。
(面内のレターデーションRe(λ)及び膜厚方向のレターデーションRth(λ))
試料30mm×40mmを、25℃、相対湿度60%で2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計「KOBRA 21ADH」(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向とを0°として試験試料を10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値に基づき、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
(Re(λ)、Rth(λ)の波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、相対湿度60%で2時間調湿し、エリプソメーター「M−150」(日本分光(株)製)において波長780nm〜380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのRe(λ)をもとめ、Re(λ)の波長分散を測定した。また、Rth(λ)の波長分散については、前記Re(λ)、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780nm〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出した。
(セルロースアシレートフィルムの遅相軸方向の測定)
試料70mm×110mmを切り出し、相対湿度60%で2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA 21DH、王子計測機器(株)製)で遅相軸方向を測定した。試料は全幅を均等に分割して13箇所から切り出してばらつきを求めた。
[セルロースアシレートフィルムの表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を施し、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着性を向上させることができる。前記表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいう「グロー放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。
前記グロー放電処理は、10−3〜20Torr(0.13〜2700Pa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマ処理を含む。また、大気圧下でのプラズマ処理も好ましいグロー放電処理である。前記プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる際の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることがさらに好ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
〔光学異方性層〕
本発明に用いる位相差フィルムは、上記のポリマーフィルム上に少なくとも1層の光学異方性層を設けても良い。設ける光学異方性層は特に制限はなく、他のポリマーフィルムであっても良いし、液晶化合物を配向させた後に配向状態を固定化させた層であっても良い。光学異方性層を設ける方法についても特に制限がなく、塗布法、蒸着法、転写法など一般的に既知の方法によって設けることができる。転写法を用いる場合にはポリマーフィルムと位相差フィルムの間に接着層を設けても良い。
液晶化合物を塗布して光学異方性層を設ける場合、配向状態を制御するために光学異方性層とポリマーフィルムの間に配向膜層を設けてもよい。配向膜素材、制御方法は本発明のポリマーフィルムの課題を達成できる範囲で特に制限はなく、既知の素材および方法を用いることができる。特にポリマーフィルムとしてセルロースアシレートフィルムを用いる場合にはポリビニルアルコールの配向膜層を設けて表面をラビング処理することで配向制御する「ラビング法」や、光配向膜を設けてUV光処理をすることで配向制御する「光配向法」などを好ましく用いることができる。
液晶化合物の配向固定は、液晶パネルが使用されうる温度範囲で光学性能の変化がない状態であれば特に制限はないが、液晶化合物の末端に結合基を設けた液晶化合物を配向させた後、UV照射等の方法で結合させて固定することが望ましい。
光学異方性層の膜厚は100μm以下が好ましく、80μm以下が更に好ましく、50μm以下が最も好ましい。
[偏光板]
本発明のセルロースアシレートフィルムおよび位相差フィルムは特に偏光板の透明保護フィルム用として有用である。偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。即ち、得られたセルロースアシレートフィルムあるいは光学異方性層を設けたセルロースアシレートフィルムからなる位相差フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
セルロースアシレートフィルム処理面と偏光子とを貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子およびその両面を保護する透明保護フィルム(少なくとも1方は本発明のセルロースアシレートフィルムまたは位相差フィルム)で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムまたは位相差フィルムを適用した偏光板は液晶セルの片側だけに設けても良いし、両側に設けても良い。
液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには(透明)ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層および防汚層の少なくとも1層が設けられることが好ましく、必要とする表示品位、表面特性に応じて適宜選択し設けることができる。
(液晶表示装置の構成)
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の位相差フィルムを配置した構成を有している。本発明では位相差フィルムの部分に本発明のセルロースアシレートフィルムを含む。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレとフィルムおよび位相差フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムおよび位相差フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムまたは位相差フィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートとして用いることができる。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys.36巻(1997)143頁や、Jpn. J. Appl. Phys. 36巻(1997)1068頁)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムまたは位相差フィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートとして用いることができる。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムまたは位相差フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体もしくはシートそのものとして用いることができる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートとしてはReレターデーション値を0〜150nmとし、Rthレターデーション値を70〜400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明におけるセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明におけるセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
〔セルロースアシレート溶液A組成〕
・酢化度2.94のセルロースアシレート 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液Aの調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)20質量部と、メタノール80質量部とを30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
〔マット剤溶液Aの組成〕
・平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
・メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
・セルロースアシレート溶液A 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤は下記の化合物を用いた。
(添加剤溶液組成)
・下記レターデーション低下化合物 49.3質量部
・下記波長分散調整剤 7.6質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
・メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
・セルロースアシレート溶液A 12.8質量部
Figure 0004596940
Figure 0004596940
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
前記セルロースアシレート溶液Aを94.6質量部と、マット剤溶液を1.3質量部と、添加剤溶液4.1質量部とをそれぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。前記組成でレターデーション低下化合物および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ11.7%、1.2%であった。
残留溶剤量55%でフィルムをバンドから剥離し、フィルム両端をクリップで保持したテンターゾーンで18kgf/m(176N/m)のテンションを加えながら95℃で乾燥させた。この時、テンター入り口に対する最大拡縮率は103%であった。残留溶剤量が20乃至22%の段階でテンタークリップからフィルムを離脱し、端部をカッター刃で切り落とした。次いで、複数のロール群からなる乾燥ゾーンに11kgf/m(108N/m)の搬送テンションで搬送しながら乾燥させた。乾燥温度は100℃〜135℃で行った。得られたフィルムの両端をカッター刃で切り1340mm幅とした後、巻きずれ防止用のローレットを両端に設けて、2600m長をロール状に巻き取り、セルロースアシレートフィルム1を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.3%であった。また、膜厚は80μmであった。
得られたフィルムから3cm×4cmの大きさのサンプルを切り出し、Re(590)、Rth(590)をおよびそれらの波長分散、遅相軸の方向を前記の項(セルロースアシレートの評価方法)に記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
(セルロースアシレートフィルム2の作製)
製造例1で作製したドープを用いて、バンド流延機で流延した。残留溶剤量70%でフィルムを剥ぎ取った後、フィルム両端をクリップで保持したテンターゾーンで16kgf/m(157N/m)のテンションを加えながら95℃で乾燥させた。残留溶媒量が25%の段階でテンターから離脱し、搬送テンションを8kgf/m(78N/m)にしたこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム2を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.4%であった。また、膜厚は80μmであった。
得られたフィルムについて、製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
(セルロースアシレートフィルム3の作製)
製造例1で使用したドープの流量を調整し、得られたフィルムの膜厚を65μmになるようにして流延をおこなった。残留溶剤量60%でフィルムを剥ぎ取った後、フィルム両端をクリップで保持したテンターゾーンで15kgf/m(147N/m)のテンションを加えながら90℃で乾燥させた。残留溶媒量が20%の段階でテンターから離脱し、搬送テンションを9kgf/m(88N/m)にし、巻き取り長を3900mにしたこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム3を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.2%であった。
得られたフィルムについて、製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
(セルロースアシレートフィルム4の作製)
製造例1で使用したドープの流量を調整し、得られたフィルムの膜厚を40μmになるようにして流延をおこなった。残留溶剤量55%でフィルムを剥ぎ取った後、フィルム両端をクリップで保持したテンターゾーンで15kgf/m(147N/m)のテンションを加えながら90℃で乾燥させた。残留溶媒量が20%の段階でテンターから離脱し、搬送テンションを10kgf/m(98N/m)にし、巻き取り長を3900mにしたこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム4を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.1%であった。
得られたフィルムについて、製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
(セルロースアシレートフィルム5の作製)
フィルムの完成幅が1475mmになるように調整したこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム5を作製した。得られたフィルムについて、製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
(セルロースアシレートフィルム6の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Bを調製した。
〔セルロースアシレート溶液B組成〕
・酢化度2.96のセルロースアシレート 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液Bの調製)
製造例1におけるマット剤溶液Aの調製において、セルロースアシレート溶液Aをセルロースアシレート溶液Bに変更した以外は同様にしてマット剤溶液Bを調製した。
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。レターデーション低下化合物および波長分散調整剤は製造例1と同様の化合物を用いた。
〔添加剤溶液組成〕
・前記レターデーション低下化合物 54.0質量部
・前記波長分散調整剤 7.6質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
・メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
・セルロースアセテート溶液B 12.8質量部
前記セルロースアセテート溶液Bを94.6質量部と、マット剤溶液を1.3質量部と、添加剤溶液4.1質量部とを、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。前記組成でレターデーション低下化合物および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ16.0%、1.2%であった。
作製したドープを用いて、バンド流延機で流延した。残留溶剤量45%でフィルムを剥ぎ取った後、フィルム両端をクリップで保持したテンターゾーンで35kgf/m(343N/m)のテンションを加えながら95℃で乾燥させた。残留溶媒量が27%の段階でテンターから離脱し、搬送テンションを10kgf/m(10N/m)にしたこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム6を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.3%であった。また、膜厚は80μmであった。
得られたフィルムについて、製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
(セルロースアシレートフィルム7の作製)
搬送速度を遅くして、残留溶剤量が6%のところでフィルムをテンターで保持してテンションを加えたこと以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム7を作製した。製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
なお、実施例7は実施例とあるのを参考例と読み替えるものとする。
[実施例8]
(セルロースアシレートフィルム8の作製)
テンター離脱時の残留溶剤量を50%としたこと以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム8を作製した。製造例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
(セルロースアシレートフィルム9の作製)
テンターの幅方向のテンションを60kgf/m(588N/m)にしたこと以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム9を作製した。得られたフィルムについて、実施例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
(セルロースアシレートフィルム10の作製)
テンターの幅方向テンションを2kgf/m(19.6N/m)としたこと以外は製造例1と同様にしてセルロースアシレートフィルム10を作製した。得られたフィルムについて、実施例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
(セルロースアシレートフィルム11の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
〔セルロースアシレート溶液 組成〕
・酢化度2.87のセルロースアシレート 100.0質量部
・トリフェニルホスフェート 7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
前記セルロースアシレート溶液を98.6質量部と、マット剤溶液を1.4質量部とをそれぞれ濾過後に混合し、実施例1と同様にしてバンド流延機を用いて流延し、セルロースアシレートフィルム11を作製した。得られたフィルムについて、実施例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
(セルロースアシレートフィルム12の作製)
テンターゾーンのテンションを3kgf/m(29.4N/m)としたこと以外は比較例3と同様にしてセルロースアシレートフィルム12を作製した。得られたフィルムについて、実施例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
(セルロースアシレートフィルム13の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Cを調製した。この際、セルロースアシレートは全置換度2.85(アセチル置換度2.06+プロピニル置換度0.79)のものを用いた。
〔セルロースアシレート溶液C組成〕
・セルロースアシレート 100質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
・メタノール(第2溶媒) 54質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
(添加剤溶液の調製)
別のミキシングタンクに、下記の組成の化合物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。レターデーション低下化合物および波長分散調整剤は実施例6と同様の化合物を用いた。
〔添加剤溶液組成〕
・前記レターデーション低下化合物 40質量部
・前記波長分散調整剤 4質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 82質量部
・メタノール(第2溶媒) 15質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
・セルロースアセテート溶液C 12質量部
セルロースアシレート溶液Cの465質量部に、添加剤溶液を40質量部添加して実施例4と同様にして膜厚40μmのセルロースアシレートフィルム13を作製した。得られたフィルムについて、実施例1と同様にして光学性能を評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
(セルロースアシレートフィルム14の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Dを調製した。
〔セルロースアシレート溶液D組成〕
置換度2.94のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
(マット剤溶液Dの調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)20質量部と、メタノール80質量部とを30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
〔マット剤溶液Dの組成〕
・平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
・メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 0.7質量部
・セルロースアシレート溶液D 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤は実施例6の化合物を用いた。
(添加剤溶液組成)
・実施例6のレターデーション低下化合物 49.3質量部
・実施例6の波長分散調整剤 7.6質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
・メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 1.8質量部
・セルロースアシレート溶液D 12.8質量部
前記セルロースアシレート溶液Aを94.6質量部と、マット剤溶液を1.3質量部と、添加剤溶液4.1質量部をろ過後に充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から−10℃に冷却したドラム上に流延した。
残留溶剤量が200%の状態でドラムから剥離し、フィルム両端を複数のピンで保持したテンターゾーンで5kgf/m(49N/m)のテンションを加えながら45〜110℃で順次温度を上げながら乾燥させた。この時、テンター入り口に対する最大拡縮率は98%であった。残留溶剤量が30%の段階でピンテンターからフィルムを離脱し、端部をカッター刃で切り落とした。次いで、複数のロール群からなる乾燥ゾーンに10kgf/m(98N/m)の搬送テンションで搬送しながら乾燥させた。乾燥温度は120℃〜145℃で行った。得られたフィルムの両端をカッター刃で切り1340mm幅とした後、巻きずれ防止用のローレットを両端に設けて、2600m長をロール状に巻き取り、セルロースアシレートフィルム14を作製した。得られたフィルムの残留溶剤量を調べた結果、0.7%であった。また、膜厚は80μmであった。
Figure 0004596940
表1に示されるように、本発明例であるフィルム1〜8及び13、と14は、光学異方性の波長分散がフィルム面内方向、厚み方向とも小さく、軸角度のばらつきもすくない。一方比較例であるフィルム9〜12はこれらの特性のいくつかは満たしても、すべてを満たしていない。
なお、実施例7は実施例とあるのを参考例と読み替えるものとする。
[実施例11]
〔位相差フィルム1の作製〕
2,2’−ビス(3,4−ジスカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドをシクロヘキサノン中に溶解させ、15質量%の溶液を調製した。このポリイミド溶液を、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム1上に乾燥後の膜厚で6μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させた後、150℃の雰囲気下で、テンター延伸機で幅方向に15%延伸し位相差フィルム1を得た。位相差フィルム1の膜厚は75μmであった。作製したフィルムについて、複屈折測定装置“KOBRA 21ADH”(王子計測器(株)製)を用いて、25℃、60%RHで波長590nmにおけるRe値及びRth値を測定した。Rth(590)値の計算には平均屈折率として1.58を入力した。この結果、Re(590)は60nm、Rth(590)は230nmであった。
[実施例12]
〔位相差フィルム2の作製〕
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム1の片側の面に、1.5mol/Lの水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m2 塗布し、25℃で5秒間乾燥した。流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの一方の表面のみをケン化した。
セルロースアシレートフィルムのケン化処理面に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアシレートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
〔配向膜塗布液組成〕
・下記変性ポリビニルアルコール 10質量部
・水 371質量部
・メタノール 119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 0004596940
(光学異方性層の形成)
配向膜にラビング処理を施した後、下記の円盤状(液晶性)化合物1.8g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを、8.43gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#2.5のワイヤーバーで塗布した。130℃で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を架橋し配向状態を固定した。その後、室温まで放冷し、位相差フィルム2を作製した。
Figure 0004596940
[実施例13]
〔偏光板1の作製〕
実施例1で得た位相差フィルム1を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
次に厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理したセルロースアシレートフィルム1を1枚用意して偏光子と貼り合わせた。偏光子の他方の面にはケン化処理した市販のセルロースアセテートフィルムを同様に貼りあわせ偏光板1を作製した。
[実施例14]
〔偏光板2の作製〕
実施例11で作製した偏光板1のセルロースアシレートフィルム1側の面にアートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して偏光板2を作製した。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
[実施例15]
〔偏光板3の作製〕
セルロースアシレートフィルム1の代わりに市販のセルロースアシレートフィルム(TFY80U、富士写真フイルム(株)製)を用いたこと以外は実施例14と同様にして偏光板3を作製した。
[実施例16]
(偏光板4の作製)
デソライトKZ−7869(紫外線硬化性ハードコート組成物、72質量%、JSR(株)製)250gを62gのメチルエチルケトンと88gのシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解し、ハードコート層塗布液を調製した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、デソライトKZ−7115、KZ−7161(ZrO2微粒子分散液、JSR(株)製)199gを52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46質量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。さらにこの溶液に平均粒径2.0μmの架橋ポリスチレン粒子(SX−200H、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46質量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散した分散液29gを添加、攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層の塗布液を調製した。
市販のセルロースアセテートフィルム(富士写真フイルム(株)製)に、前記のハードコート層塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射エネルギー量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4μmのハードコート層を形成した。その上に、前記防眩層塗布液をバーコーターを用いて塗布し、窒素パージによって0.01%以下の酸素濃度雰囲気下において、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射エネルギー量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ1.4μmの防眩性ハードコート層を形成した。
偏光子の片側に製造例1のセルロースアシレートフィルム1、他方の側にハードコート層および防眩層を設けた上記のセルロースアセテートフィルムを貼りあわせて偏光板を作製した。さらにセルロースアシレートフィルム1の偏光子とは反対側に粘着シートを貼り、実施例12で使用したアートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合した。このようにして偏光板4を作製した。
[実施例17]
(液晶表示装置の作製)
垂直配向型液晶セルを使用した市販の液晶表示装置(富士通(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、液晶セルを取り出した。
液晶セルの片側に偏光板1をセルロースアシレートフィルム1が液晶セル側になるように配置し、液晶セルの偏光板1とは他方に偏光板3を配置して液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の電源を点灯し、黒表示およびしろ表示時のコントラストや色みの視野角依存性を目視観察したところ、全方位に渡り優れた視野角特性を有していた。
[実施例18]
(液晶表示装置の作製)
IPS型液晶セルを使用した市販の液晶表示装置(日立(株)製)に設けられている一対の偏光板および一対の光学補償シートを剥がし、液晶セルを取り出した。
液晶セルの片側に偏光板2をセルロースアシレートフィルム1が液晶セル側になるように配置し、液晶セルの偏光板2とは他方に偏光板3を配置して液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の電源を点灯し、黒表示およびしろ表示時のコントラストや色みの視野角依存性を目視観察したところ、全方位に渡り優れた視野角特性を有していた。
[実施例19]
(液晶表示装置の作製)
実施例18で取り出した液晶セルの片側に偏光板4をセルロースアシレートフィルム1が液晶セル側になるように配置し、液晶セルの偏光板2とは他方に偏光板3を配置して液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の電源を点灯し、黒表示およびしろ表示時のコントラストや色みの視野角依存性を目視観察したところ、全方位に渡り優れた視野角特性を有しており、正面の表示品位も優れていた。
[比較例5]
セルロースアシレートフィルム1の代わりにセルロースアシレートフィルム9を用いたこと以外は実施例14と同様にして偏光板5を作製した。偏光板4の代わりに偏光板5を使用したこと以外は実施例17と同様にして液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の電源を点灯し、黒表示および白表示時のコントラストや色みの視野角依存性を目視観察したところ、斜め方向での色み変化が大きく表示品位が劣っていた。
[比較例6]
セルロースアシレートフィルム1の代わりにセルロースアシレートフィルム10を用いたこと以外は実施例14と同様にして偏光板6を作製した。偏光板4の代わりに偏光板6を使用したこと以外は実施例17と同様にして液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の電源を点灯し、黒表示時の画質を目視観察したところ、顕著な光漏れが発生し、表示品位が劣っていた。

Claims (3)

  1. 溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記セルロースアシレートフィルムにおけるセルロースアシレートのアシル置換度が2.80〜3.00であり、該フィルム中にRe(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物である下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有し、セルロースアシレートフィルムの製造工程において少なくとも45%以上の溶媒を含有するフィルムの幅方向にテンションをかけながらフィルムを搬送して乾燥させる工程を含み、フィルムの幅方向に10乃至50kgf/m(98〜490N/m)のテンションを加えることにより、面内の遅相軸方向をフィルムの長さ方向に対して0°±10°もしくは90°±10°とし、かつ該セルロースアシレートフィルムのRe(λ)およびRth(λ)が、下記式(I)および(II)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
    Figure 0004596940

    一般式(1)において、R 11 はアルキル基またはアリール基を表し、R 12 およびR 13 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
    一般式(2)
    Figure 0004596940

    一般式(2)において、R 31 はアルキル基またはアリール基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
    式(I):0≦Re(590)≦10、かつ|Rth(590)|≦25
    式(II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    [Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. フィルムの両端を保持して、フィルムの幅方向にテンションを加えながらフィルムを搬送して残留溶媒量が40%以下になるまで乾燥させる工程、次に両端の保持からフィルムを離脱させて2乃至20kgf/m(19.6〜196N/m)の搬送テンションで搬送し乾燥させることにより製造することを特徴とする請求項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  3. フィルム両端の保持を解放後、100〜150℃で乾燥させることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
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