JP2006301572A - 偏光板及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板の少なくとも片面に、多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基を含有する特定の(メタ)アクリル系共重合体(A)、及び多官能性化合物(B)からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物を含有して形成され、且つ特定のゲル分率を有する粘着層が塗設された偏光板。
【選択図】なし
Description
そのため、このような温湿度変化や連続点灯による画面周辺部における光漏れの改善が要望されている。
本発明者らは、また、鋭意検討した結果、液晶セル表裏の偏光板の吸収軸が互いに直交しており、かつ吸収軸が液晶セルの長辺または短辺に平行な液晶表示装置においては、液晶セル表裏の偏光板の吸収軸が互いに直交しており、かつ吸収軸が液晶セルの長辺または短辺と45度をなす液晶表示装置とは異なり、偏光子の収縮応力に起因する画面周辺部の光漏れは、偏光板を液晶セルのガラス板に貼り付ける粘着層を硬くすることにより改善できることを見出した。
さらに、本発明者らは、液晶表示装置のバックライト表面の温度が液晶表示装置の連続点灯時の画面周辺部の光漏れに関連していることを突き止め、表面温度が40℃以下のバックライトを用いることで、連続点灯時の画面周辺部の光漏れを改善できることを見出した。
(A)(a1)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a2)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a3)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a1)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a2)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a3)が、該モノマー(a1)と化合物(a2)の和100質量部に対して10質量部以下である共重合体100質量部、並びに
(B)官能基含有モノマー(a3)の官能基と反応して、架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物0.005〜5質量部、
からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物を含有する粘着剤が塗設されて形成されており、さらに該粘着剤のゲル分率が40質量%以上90質量%以下であることを特徴とする偏光板。
<2> 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、該偏光板が少なくとも片面に粘着層を有し、該粘着層が少なくとも、下記(A1)、(A2)並びに(B)、
(A1)(a11)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a12)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a13)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a11)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a12)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a13)が、該モノマー(a11)と化合物(a12)の和100質量部に対して10質量部以下で、質量平均分子量が100万以上である共重合体100質量部、
(A2)(a21)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a22)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a23)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a21)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a22)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a23)が、該モノマー(a21)と化合物(a22)の和100質量部に対して10質量部以下で、質量平均分子量が10万以下である共重合体20〜200質量部、並びに
(B)官能基含有モノマー(a13)及び(a23)の官能基と反応して架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物0.005〜5質量部、
からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物を含有する粘着剤が塗設されて形成されており、さらに該粘着剤のゲル分率が40質量%以上90質量%以下であり、
さらに(メタ)アクリル系共重合体(A1)及び(A2)における官能基含有モノマー(a13)及び(a23)から誘導される繰返し単位の導入量が、下記数式(1)で定義される官能基分配率0〜15質量%を満足することを特徴とする偏光板。
数式(1):官能基分配率=[(メタ)アクリル系共重合体(A2)中の官能基含有モノマー(a23)から誘導される繰返し単位の質量/(メタ)アクリル系共重合体(A1)中の官能基含有モノマー(a13)から誘導される繰返し単位の質量]×100。
<3> 前記粘着層が(A)(a1)(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(a2)ビニル基を有する化合物、及び、(a3)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、からなる(メタ)アクリル系共重合体、並びに、(B)官能基含有モノマー(a3)の官能基と反応して、架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物からなり、該(メタ)アクリル系共重合体Aのガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の偏光板。
<4> 前記粘着層を無アルカリガラス板に幅10mm、長さ10mmの面積を貼り付け、50℃の雰囲気下で200gの荷重を1時間掛けた後のクリープ量が70μm未満であることを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の偏光板。
<5> 前記粘着層を無アルカリガラス板に幅10mm、長さ10mmの面積を貼り付け、25℃の雰囲気下で200gの荷重を1時間掛けた後のクリープ量が40μm未満であることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の偏光板。
<6> 前記粘着層の無アルカリガラス板に対する25℃の雰囲気下における90°剥離接着力が10N/25mm幅以上であることを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載の偏光板。
<7> 前記粘着層の無アルカリガラス板に対する70℃の雰囲気下で5時間処理した後の90°剥離接着力が0〜90℃のいずれの測定温度においても10N/25mm幅以上であることを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の偏光板。
<8> 前記粘着層の弾性率が0.08MPa以上であることを特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載の偏光板。
<9> 前記粘着層の90℃における弾性率が0.06MPa以上であることを特徴とする<1>から<8>のいずれかに記載の偏光板。
<10> 前記粘着層の剪断弾性率が0.1GPa〜100GPaであることを特徴とする<1>から<9>のいずれかに記載の偏光板。
<11> 前記粘着剤のゲル分率が60質量%以上90質量%以下である<1>から<10>のいずれかに記載の偏光板。
<12> 前記粘着層の厚みが5〜30μmである<1>から<11>のいずれかに記載の偏光板。
<13>
前記粘着剤の表面張力γA、極性成分γA p、および少なくとも一方の保護膜の表面張力γF、極性成分γF pがそれぞれ下記数式(20)〜(23)を満たす<1>から<12>のいずれかに記載の偏光板。
数式(20):30≦γA≦45
数式(21):5≦γA p≦15
数式(22):50≦γF≦75
数式(23):20≦γF p≦45
[式中、γA、γA p、γF、γF pの単位はmN/mである。]
<14> 偏光板の、少なくとも一方の保護膜の正面レターデーション値Reλ及び膜厚方向のレターデーション値Rthλが、下記数式(2)及び(3)を満たす<1>から<13>のいずれかに記載の偏光板。
数式(2):0nm≦Re590≦200nm
数式(3):0nm≦Rth590≦400nm
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。]
<15> 保護膜が、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(4)、(5)を満たす<1>から<14>のいずれかに記載の偏光板。
数式(4):2.0≦A+B≦3.0
数式(5):0<B
<16> 炭素原子数が3以上のアシル基がプロピオニル基又はブタノイル基である<15>に記載の偏光板。
<17> セルロースの6位の水酸基の置換度が0.75以上である<15>又は<16>に記載の偏光板。
<18> 保護膜の少なくとも一方が、セルロースを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートからなるフィルムであって、セルロースを構成するグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記数式(6)及び(7)を満たすセルロースアシレートフィルムである<1>から<17>のいずれかに記載の偏光板。
数式(6):2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(7):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
<19> アシル基がアセチル基である<18>に記載の偏光板。
<20> 保護膜が、棒状化合物又は円盤状化合物のレターデーション発現剤を1種以上含有している<1>から<19>のいずれかに記載の偏光板。
<21> 保護膜がシクロオレフィン系ポリマーである<1>から<20>のいずれかに記載の偏光板。
<22> 偏光板の、少なくとも一方の保護膜の正面レターデーション値Reλ及び膜厚方向のレターデーション値Rthλが、下記数式(8)〜(11)を満たす<1>から<21>のいずれかに記載の偏光板。
数式(8):0≦|Re590|≦10
数式(9):|Rth590|≦25
数式(10):|Re400−Re700|≦10
数式(11):|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)である。]
<23> 保護膜が、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートフィルムからなり、且つ該フィルム中にReλ及びRthλを低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含む<22>に記載の偏光板。
<24> 少なくとも一方の保護膜の上に光学異方性層が設けられた<1>から<23>のいずれかに記載の偏光板。
<25> 保護膜が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、及びマット剤のうち1種以上を含有していることを特徴とする<1>から<24>のいずれかに記載の偏光板。<26> 少なくとも一方の保護膜の表面に、ハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層が設けられた<1>から<25>のいずれかに記載の偏光板。
<27> 液晶セルと偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一が<1>から<26>のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
<28> 液晶セルと偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の該液晶セルと反対側の保護膜が<26>に記載の表面にハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層が設けられた保護膜になるように、<26>に記載の偏光板を配置したことを特徴とする液晶表示装置。
<29> 液晶セルを一対の偏光板で挟んだ液晶表示装置であって、該一対の偏光板の透過軸が互いに直交に配置されており、かつ該透過軸は該偏光板の辺に対して直交または平行であることを特徴とする<27>又は<28>に記載の液晶表示装置。
<30> 液晶セルがVAモードであることを特徴とする<27>から<29>のいずれかに記載の液晶表示装置。
<31> 表面の温度が40℃以下であるバックライトを使用したことを特徴とする<27>から<30>のいずれかに記載の液晶表示装置。
<32> バックライトの光源が発光ダイオード、二次元積層蛍光ランプから選ばれるものの内1つを使用したことを特徴とする<31>に記載の液晶表示装置。
なお本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
まず、本発明に関する粘着層について説明する。
液晶表示装置を高温下に放置した場合、高温高湿から低温低湿へ環境を変化させた場合、連続してバックライトを表示させた場合などには、偏光板の寸法変化が生じ、この寸法変化に伴い、粘着層の発泡や、液晶セルなどの被着体からのハガレが生じやすくなる。従来の粘着層は、粘着剤の分子量を上げたり、架橋度を上げたりして、粘着層を上記のような過酷な条件下における使用に耐えるように改良されている。
(a1)(a11)(a21)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー
内部応力を緩和させるためには、ホモポリマーとした場合のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを使用する。好ましくは−40℃未満であり、更に好ましくは−50℃未満のものを使用することである。Tgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ウンデカシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−ドリデシルメタクリレート等が挙げられる。
ホモポリマーとした場合のTgが−30℃以上のビニル化合物としては、メチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−ウンデカシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−ペンタデシルアクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、n−ペンタデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート等の(メタ)アクリレートが挙げられる。その他のビニル化合物として、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド及びN−メチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
ホモポリマーとした場合のTgの測定は、示差熱走査熱量計(DSC2910、TA Instruments社製)を用いて行った。アルミニウム製のパンにポリマーを入れ、−160℃から+100℃まで10℃/minで昇温し、その後+100℃から−160℃まで10℃/minで降温し、降温過程のデータからTgを求めた。
さらには、RUS85質量部以上でRUH15質量部以下であることが好ましく、RUS95質量部以上でRUH5質量部以下であることが最も好ましい。
多官能性化合物に対して反応性を有する官能基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びマレイン酸ブチルなどのカルボキシル基を含有するモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びアリルアリコールなどの水酸基を含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びビニルピリジンなどのアミノ基を含有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を含有するモノマー及びアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセチル基を含有するモノマーなどを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、カルボキシル基を含有するモノマー及び水酸基を含有するモノマーが好ましい。
本発明の偏光板用粘着層は、反応性官能基を有する多官能性化合物(B)を含有する。
この化合物の有する官能基は、上記(メタ)アクリル系重合体(A){及び(A1)、(A2)}の反応性を有する官能基と反応するものであり、一分子内に官能基を少なくとも2個、好ましくは2〜4個有している。
本発明の偏光板用粘着層を構成する(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造には、公知の任意の方法を採用することができる。
本発明の偏光板用粘着剤は、上記のようにして製造した(メタ)アクリル系共重合体(A)及び多官能性化合物(B)を混合することにより製造することができる。(A)としては(A1)、(A2)のどちらを用いてもよい。
また、本発明の偏光板用粘着剤は、上記のようにして製造した高分子量(メタ)アクリル系共重合体(A1)、低分子量(メタ)アクリル系(共)重合体(A2)及び多官能性化合物(B)を混合することにより製造することができる。すなわち、(A)として、(A1)および(A2)の両方を用いてもよい。
この際、低分子量(メタ)アクリル系(共)重合体(A2)は、上記高分子量(メタ)アクリル系共重合体(A1)100質量部に対して、20〜200質量部、好ましくは30〜150質量部;多官能性化合物(B)は、上記高分子量(メタ)アクリル系共重合体(A1)100質量部に対して、0.005〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部の量で含有する。
数式(1):官能基分配率=[(メタ)アクリル系共重合体(A2)中の官能基含有モノマー(a23)から誘導される繰返し単位の質量/(メタ)アクリル系共重合体(A1)中の官能基含有モノマー(a13)から誘導される繰返し単位の質量]×100。
上記の範囲内とすることで、接着性能と緩和のバランスをより有意に調整することが可能となり好ましい。三次元架橋の程度は、多官能性化合物に対する反応性を有する重合性モノマーの量や多官能性化合物の量により調整できる。
本発明の偏光板は、偏光子の両側に保護膜を有する。保護膜としては、偏光板に保護膜として通常用いられる保護膜のいずれも使用できる。本発明においては、セルロースアシレートフィルムまたはシクロオレフィン系ポリマーを用いることが好ましい。偏光子の両側の保護膜は同じであっても異なっていてもよい。例えば、偏光子の両側の保護膜のうち、片側を前述のセルロースアシレートフィルム、もう片側をシクロオレフィン系ポリマーを用いることもできる。また、お互いに異なる組成や異なる光学特性のフィルムを用いることも出来る。さらに、セルロースアシレートフィルムやシクロオレフィン系ポリマーフィルムなどの上にポリマー層を設けて保護膜としてもよい。例えば、セルロースアシレートフィルムの上にポリイミド層を設けて保護膜とすることができる。そして、本発明の偏光板は、少なくとも片面(偏光子の片側)の保護膜の上または保護膜との間に他の機能層を介して粘着層が設けられる。
次に、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムについて説明する。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、特定のセルロースアシレートを原料として用いて形成されている。光学異方性の発現性を大きくする場合と、小さくする場合で使用するセルロースアシレートを使い分ける。
まず、本発明において用いられる光学異方性の発現性を大きくする場合のセルロースアシレートについて詳細に記載する。
本発明においては異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いてもよい。
数式(4):2.0≦A+B≦3.0
数式(5):0<B
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3以上のアシル基の置換度である。
数式(6):2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(7):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
上記数式(6)及び(7)を満たすことにより、セルロースアシレートフィルムの溶媒への溶解性が向上し、また光学異方性の湿度依存性が小さくなるので好ましい。
さらに、上記のアシル基はアセチル基であることが、鹸化が進行しやすい、弾性率が高い、寸度変化が小さい、耐久性が高い、コストが安いという点で好ましい。
また、プロピオニル基の場合には置換度Bは1.3以上であるのが好ましい。
光学異方性を小さくする場合、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが望ましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることが望ましい、2.85〜3.00であることがより望ましい。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。
ここで『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。
本発明において前記セルロースアシレート溶液に用いることができる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、レターデーション(光学異方性)発現剤、レターデーション(光学異方性)低下剤、波長分散調整剤、染料、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤などを挙げることができる。本発明においては、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。また、可塑剤、紫外線吸収剤及び剥離促進剤の少なくとも1種以上を用いるのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物がある。
可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等;カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げることができ、本発明に用いられる可塑剤はこれら例示の可塑剤から選ばれたものであることがより好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
さらに赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に、添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
本発明では光学異方性を大きく発現させる場合には、好ましいレターデーション値を実現するために、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも2つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
以下、円盤状化合物について説明する。
円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が円盤状化合物として好ましく用いられる。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
本発明では前述の円盤状化合物の他に、直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。
一般式(1):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(1)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
一般式(2):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(2)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基の炭素原子数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。
L2及びL3は、−O−CO−又は−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(3):
文献としては、“Mol.Cryst.Liq.Cryst.”,53巻、p229(1979年)、同89巻、p93(1982年)、同145巻、p111(1987年)、同170巻、p43(1989年)、“J.Am.Chem.Soc.”,113巻、p1349(1991年)、同118巻、p5346(1996年)、同92巻、p1582ページ(1970年)、“J.Org.Chem.”,40巻、p420(1975年)、“Tetrahedron”,48巻16号、p3437(1992年)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる場合に使用するレターデーション低下剤について説明する。
フィルム中のセルロースアシレートが、面内及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて、光学的異方性を十分に低下させ、Re及びRthをゼロ又はゼロに近くにすることができる。このためには、光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
光学的異方性の低いセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のように、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。化合物のlogP値が7以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好で、フィルムの白濁や粉吹きなどの不具合を生じにくいので好ましい。
また化合物のlogP値が0以上であれば、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させることがないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
次ぎに、セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物について説明する。200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことが好ましい。波長分散調整剤の含有により、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整することができる。ここで、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)を表す。このような化合物の添加量としては、0.1〜30質量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整できる。
上記の本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの固形分に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
また本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
本発明において好ましく用いられるセルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し、流延・製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、その塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合ジクロロメタンは、有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが好ましい。
すなわち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール=75/8/5/5/7(質量部)
ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール=80/7/5/8(質量部)、
ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール=80/10/10(質量部)、
ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン=70/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=50/20/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール=70/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール=60/20/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=70/10/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール=65/20/10/5(質量部)、
ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)。
次に、本発明において好ましく用いられるセルロースアシレートの溶液を作製するに際して、好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し、流延・製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ペンチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン及びアセチル酢酸メチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。
すなわち、非塩素系溶媒としては、上記非塩素系有機溶媒を主溶媒とする混合溶媒が好ましく、互いに異なる3種類以上の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも1種又はそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数4〜7のケトン類又はアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒が炭素数1〜10のアルコール又は炭化水素、より好ましくは炭素数1〜8のアルコールから選ばれる混合溶媒である。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル又はこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合溶媒であってもよい。
酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=81/8/7/4(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=82/10/4/4(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=80/10/4/6(質量部)、
酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール=75/8/5/5/7(質量部)、
酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール=80/7/5/8(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/ブタノール=85/10/5(質量部)、
酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール=60/15/14/5/6(質量部)、
酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン=70/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=50/20/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/1、3−ジオキソラン/メタノール/エタノール=70/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール=60/20/10/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール=65/20/10/5(質量
部)、
アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)、
アセトン/1,3−ジオキソラン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)、
1、3−ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=55/20/10/5/5/5(質量部)
などをあげることができる。
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=81/8/7/4(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加する方法、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=84/10/4/2(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加する方法、
酢酸メチル/アセトン/エタノール=84/10/6(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加する方法、
セルロースアシレートの溶液は、前記有機溶媒にセルロースアシレートを溶解させた溶液であり、その濃度は10〜30質量%の範囲であることが、製膜流延適性の点で好ましく、より好ましくは13〜27質量%であり、特に好ましくは15〜25質量%である。
セルロースアシレート溶液をこのような濃度範囲にする方法は、溶解する段階で所定の濃度になるようにしてもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に、後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法でも本発明において好ましく用いられるセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
次に、セルロースアシレートの流延・製膜用の溶液(ドープ)の調製について述べる。
セルロースアシレートの溶解方法は、特に限定されず、室温溶解法でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解法、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、さらに特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法として記載されている。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、前記セルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて製膜を行うことにより得ることができる。製膜方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して、巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
セルロースアシレート溶液は、金属支持体としての平滑なバンド上又はドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口から、セルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて、積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってフィルム化することもでき、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。さらに、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高粘度及び低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す、セルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭61−94724号及び特開昭61−94725号の各公報に記載の、外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。あるいはまた2個の流延口を用い、第一の流延口により金属支持体上に形成したフィルムを剥離した後、そのフィルムの金属支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、複数の層のフィルムを作製することもでき、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法を挙げることができる。流延するセルロースアシレート溶液は、同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく、特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるためには、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、粘着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
セルロースアシレートフィルムの製造に係わる、金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラム又はベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム又はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム又はベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
本明細書において、Reλ、Rthλは、それぞれ波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。Reλは“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}において、波長λnmの光をフィルムの法線方向に入射させて測定される。Rthλは、前記Reλ、面内の遅相軸(“KOBRA 21ADH”により判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の、合計3つの方向で測定したレターデーション値を基に“KOBRA 21ADH”が算出する。
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)。
また、これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHによりnx(遅相軸方向の屈折率)、ny(進相軸方向の屈折率)、nz(厚み方向の屈折率)を算出する。また“KOBRA 21ADH”は、面内の遅相軸を傾斜軸とした場合の、フィルム内部を伝播する光に対してレターデーション値が最小となるフィルム法線方向に対する角度βも算出する。
数式(2):0nm≦Re590≦200nm
数式(3):0nm≦Rth590≦400nm
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。]
数式(8):0≦Re590≦10
数式(9):|Rth590|≦25
数式(10):|Re400−Re700|≦10
数式(11):|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)である。]
2枚型の場合、Re590は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth590については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re590は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth590については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
含水率の測定法は、セルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを、水分測定器、試料乾燥装置{“CA−03”、“VA−05”、共に三菱化学(株)}を用いてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
数式(13):80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm。
数式(14):(L80%−L10%)/(80%RH−10%RH)×106
ヘイズの測定は、セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}でJIS K−6714に従って測定する。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料10mm×100mmの、長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター“M150”{日本分光(株)}で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
また、保護膜としては、セルロースアシレートの代わりにシクロオレフィン系ポリマーを用いることもできる。シクロオレフィン系ポリマーとしては特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開昭63−218726号公報、特開平2−133413号公報、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭60−115912号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭60−252407号公報、国際公開第2004/049011A1号パンフレット、国際公開第2004/068226A1号パンフレット、国際公開第2004/070463A1号パンフレットに記載のものを使用することができる。また、上市されているシクロオレフィン系ポリマーとしては、ARTON(JSR(株)製)、ZEONOR(日本ゼオン(株)製)、ZEONEX(日本ゼオン(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)を使用することができる。
該シクロオレフィン系ポリマーフィルムは、その光学異方性の影響を小さくしたい場合は、液晶セル側に配置される保護膜(シクロオレフィン系ポリマーフィルム)のReλ及びRthλが、前述の数式(8)〜(11)を満たすことが好ましい。
次に、本発明に関する偏光板について説明する。
本発明に関する偏光板は、液晶セル側に配置される保護膜の厚みd1と、液晶セルと反対側に配置される保護膜の厚みd2が、下記数式(15)を満たすことが好ましい。
数式(15):0.3×d1≦d2≦1.3×d1
上記数式(15)を満たすことにより、弾性率、吸湿膨張係数がほぼ同じ保護膜を組み合わせる場合に、偏光板のカールが−30mm〜+15mmの範囲となり、好ましい結果が得られる。
数式(16):0.3×E1≦E2≦1.3×E1
数式(17):0.3×E1×d1≦E2×d2≦1.3×E1×d1
数式(17)を満たすことにより、厚み、弾性率が異なる保護膜を組み合わせる場合にも偏光板のカールが−30mm〜+15mmの範囲となる。
数式(18):0.3×C1≦C2≦1.3×C1
上記数式を満たすことにより、偏光板作製時に対して偏光板を液晶セルに貼り合せる時の湿度が高くなった場合の偏光板カールを−30mm〜+15mmの範囲がとなり、好ましい結果が得られる。
シクロオレフィン系ポリマーフィルムを偏光板保護膜として用いる場合には、接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックスに加えて、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、変成オレフィン系ポリマー、スチレンブタジエン系ポリマー、特殊合成ゴム等の接着剤を用いることができる。
接着性を高めるために表面処理を行っても良い。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてポリマーフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下とすることが好ましい。
粘着層は(メタ)アクリル系共重合体(A){又は高分子量(メタ)アクリル系共重合体(A1)と低分子量(メタ)アクリル系(共)重合体(A2)}及び多官能性化合物(B)からなる(メタ)アクリル系共重合体を含む組成物の溶液をダイコーター等のコーターでセパレートフィルム上に塗布し、乾燥させた後、偏光板保護フィルムにセパレートフィルムごと転写することにより形成される。上記組成物の溶液を偏光板保護フィルム上に塗布し、乾燥させた後、セパレートフィルムで粘着層を覆っても良い。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が前記公技番号2001−1745号p.30−32に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法、又は鹸化液をセルロースアシレートフィルムに塗布する方法により実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液をセルロースアシレートフィルムに対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によってセルロースアシレートフィルム表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
光学異方性層は、液晶性化合物、非液晶性化合物、無機化合物、有機/無機複合化合物等、材料は限定されない。液晶性化合物としては、重合性基を有する低分子化合物を配向させた後に光または熱による重合により配向を固定化するものや、液晶性高分子を加熱し配向させた後に冷却しガラス状態で配向固定化するものを使うことができる。液晶性化合物としては円盤状構造を有するもの、棒状構造を有するもの、光学的二軸性を示す構造を有するものを使うことができる。非液晶性化合物としては、ポリイミド、ポリエステル等の芳香族環を有する高分子を使うことができる。
光学異方性層の形成方法は、塗布、蒸着、スパッタリング等種々の手法を使用することができる。
偏光板の保護膜の上に光学異方性層を設ける場合、粘着層は偏光子側からさらに該光学異方性層の外側に設けられる。
本発明では、偏光板の保護膜上に、少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層されてなる反射防止層、又は保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に設けられる。以下にそれらの好ましい例を記載する。なお前者の構成では、一般的に鏡面反射率は1%以上となり、Low Reflection(LR)フィルムと呼ばれる。後者の構成では、鏡面反射率0.5%以下を実現するものが可能となり、Anti Reflection(AR)フィルムと呼ばれる。
偏光板の保護膜上に、光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層(LRフィルム)の好ましい例について述べる。
光散乱層には、マット粒子が分散されているのが好ましく、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明において光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、一層でもよいし、複数層、例えば二層〜四層で構成されていてもよい。
以下であることが最も好ましい。ヘイズ20%〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値の比が0.3〜1、光散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低下が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20%〜50%、垂直透過光/垂直から2゜傾斜方向の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成されるので好ましい。
本発明で用いることができる低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.20〜1.49であり、更に好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式(19)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(19):(m/4)λ×0.7<nLdL<(m/4)λ×1.3
式中、mは正の奇数であり、nLは低屈折率層の屈折率であり、そして、dLは低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
低屈折率層は、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。
フッ素ポリマーとしては、動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90〜120゜、純水の滑落角が70゜以下の、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明に関する偏光板を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープと
の剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、引張試験機で測定した場合、該剥離力が500gf以下であることが好ましく、300gf以下であることがより好ましく、100gf以下であることが最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど傷がつき難く、該表面硬度は0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
光散乱層は、表面散乱及び内部散乱の少なくともいずれかによる光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、及び必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。また、このような光散乱層を設けることにより、該光散乱層が防眩層としても機能し、偏光板が防眩層を有することになる。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
次に保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層された反射防止層(ARフィルム)について述べる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>保護膜の屈折率>低屈折率層の屈折率
さらに各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化膜からなる。
更に好ましい材料としては、ラジカル重合性及びカチオン重合性の少なくともいずれかの重合性基を2個以上有する多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有する有機金属化合物を含有する組成物、及びその部分縮合体を含有する組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が挙げられ、例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50である。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ(ペルフルオロアルキルエーテル)基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護膜に物理強度を付与するために、保護膜の表面に設ける。特に、保護膜と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性化合物における硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましい。また加水分解性官能基含有の有機金属化合物や有機アルコキシシリル化合物も好ましい。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
好ましい。
さらに、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
帯電防止層を設ける場合には、体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属として、Zn、Ti、Sn、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W又はVをあげることができ、これらを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも有するものである。好ましくは、一対の偏光板を液晶セルの上下に1枚ずつ用いた液晶表示装置であり、特に好ましくは本発明の一対の偏光板をVAモード液晶セルの上下に1枚ずつ用いた液晶表示装置である。また、該偏光板の少なくとも一方の保護膜が前記の保護膜、すなわち、前記のセルロースアシレートフィルムまたはシクロオレフィン系ポリマーフィルムであることが好ましい。さらにまた、液晶表示装置の偏光板の液晶セル側に配置される保護膜が、前記数式(6)および(7)を満たす保護膜であることが好ましい。また、保護膜の上に光学異方性層を設けた態様、及び/または保護膜の上に反射防止層を設けた態様も好ましい。このような構成とすることで、軽くて薄い液晶表示装置を得ることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードを突起によりマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97、Digest of tech. Papers”(予稿集)28集(1997)p.845記載}、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード、CPAモード)の液晶セル{日本液晶討論会の予稿集p.58〜59(1998)、シャープ技報第80号11頁記載}及び、(4)斜め電界によりマルチドメイン配向させるSURVAIVALモードの液晶セル{月刊ディスプレイ5月号14頁(1999年)}、PVAモードの液晶セル{“18th,IDRC Proceedings”, p.383(1998年)}が含まれる。
いが、特に光源の形式は限定しない。例としては発光ダイオード(参考文献1、2、3)、二次元積層蛍光ランプ(参考文献4)、その他参考文献5〜8に記載の光源を使用することができる。光源としての発熱があっても、液晶パネルへ熱が伝わらない構造とすることが好ましい。
参考文献1 W.Folkerts,SID 04 DIGEST,p.1226(2004)
参考文献2 S.Sakai et.al,SID 04 DIGEST,p.1218(2004)
参考文献3 M.J.Zwanenburg et.al,SID 04 DIGEST,p.1222(2004)
参考文献4 J.H.Kim,IMID’04 DIGEST,p.795(2004)参考文献5 T.Shiga et.al,J.of SID,p.151(1999)参考文献6 M.Anandan,“LCD backlighting”,Seminar Lecture Notes(Seminar F−2) of SID’01.参考文献7 M.Anandan et.al,Proc. of SID,p.137,Vol.32(1991)
参考文献8 L.Hitsche,SID’04 DIGEST,p.1322(2004)
γ=γd+γp
分散力成分は分子の無極性部分に起因する分子同士の長距離レンジに及ぶ引力であり、極性力成分は分子の極性部分に起因する比較的ショートレンジの引力である。有機物質の多くは総体としては電気的に中性であるが、微視的には原子の電気陰性度の違いに起因して、分子中に電荷の偏りを生じる極性部分(永久双極子)を有するものがある。永久双極子同士は相互作用(Keesom相互作用)を持ち、これが前記極性力成分を引き起こす。また、無極性分子の集団中に永久双極子が存在する場合には、これが無極性分子を誘起して誘起双極子を生じさせる。これらの間には、永久双極子−誘起双極子相互作用(Debye相互作用)が働く。したがって、極性力成分はカルボニル基やヒドロキシル基などの極性の強い基を有する分子で大きく、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂などが大きな値を示す。さらに、無極性分子でも分子内電子の移動が瞬間的な双極子を発生させ、他の分子を分極させて分散力(London相互作用)を起こす。したがって、分散力は電子移動性に富む共役結合を多く含む分子ほど大きくなり、ポリアセチレンやポリブタジエンなどが大きな値を示す。分散力成分、極性力成分共にフッ素原子を含む分子では小さく、アクリル樹脂やメタクリル樹脂で水素原子をフッ素原子に置換したものが例として挙げられる。ポリマーフィルムのような基材と粘着材のような流動性のあるものとを接触させ接着させるためには、基材の表面張力に対して粘着材の表面張力が小さいことが好ましい。
本件では、粘着剤の表面張力γA、極性成分γA p、基材すなわち保護膜の表面張力γF、極性成分γF pがそれぞれ下記数式(20)〜(23)を満たすことが好ましい。
数式(20):30≦γA≦45
数式(21):5≦γA p≦15
数式(22):50≦γF≦75
数式(23):20≦γF p≦45
[なお、粘着剤の分散力成分γA d、保護膜の分散力成分γF dとすると、それぞれ、γA=γA d+γA p、γF=γF d+γF pの関係となる。また、各式中、γA、γA d、γA p、γF、γF d、γF pの単位はmN/mである。]
基材および粘着材の表面張力を上記数式(20)〜(23)の関係とすることで、高温下あるいは高温高湿下における基材と粘着層との剥れを防止することができる。
表面張力の分散力成分と極性力成分の見積もりは、分散力成分と極性力成分が既知の複数の液体の測定対象固体上における接触角の測定によって行うことができる。その一例は、水(H2O)と塩化メチレン(CH2Cl2)の接触角から下記2式の連立方程式を解くことにより求めるOwensらの方法(D.K.Owens and R.C.Wendt:J.Appl.Polym.Sci,13,1941(1969))が提案されている。
1+cosθH2O=2×(γs d)0.5×(γH2O d)0.5/γH2O+2×(γs p)0.5×(γH2O p)0.5/γH2O
1+cosθCH2Cl2=2×(γs d)0.5×(γCH2Cl2 d)0.5/γCH2Cl2+2×(γs p)0.5×(γCH2Cl2 p)0.5/γCH2Cl2
ここで、θH2OおよびθCH2Cl2はそれぞれ固体S上の水と塩化メチレンの接触角、γs d、γH2O d、γCH2Cl2 dはそれぞれ固体S、水、塩化メチレンの分散力成分、γs p、γH2O p、γCH2Cl2 pはそれぞれ固体S、水、塩化メチレンの極性力成分である。γH2O d、γCH2Cl2 d、γH2O p、γCH2Cl2 pは既知の値であり、それぞれ21.8mN/m、49.5mN/m、51.0mN/m、1.3mN/mである。
(1)セルロースアシレート
表1に記載のように、アシル基の種類、置換度の異なるセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、硫酸触媒量、水分量及び熟成時間を調整することでアシル基の種類、全置換度と6位置換度を調整した。熟成温度は40℃で行った。またアシル化後40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
[1−1.セルロースアシレート溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。
表1記載のセルロースアシレート 100.0質量部
トリフェニルホスフェート 8.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.0質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記セルロースアシレート溶液 10.3質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Aを調製した。なお下記組成物中、レターデーション発現剤(RP1)は後記[化19]に示す化合物である。
レターデーション発現剤(RP1) 20.0質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
更に上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む、下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Bを調製した。なお下記組成物中、レターデーション発現剤(RP1)は後記[化19]に示す化合物であり、レターデーション発現剤(30)は前記[化5](30)に示す化合物である。
レターデーション発現剤(RP1) 7.8質量部
レターデーション発現剤(30) 12.2質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
更に上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション低下剤溶液及び波長分散調整剤用液を調製した。なお下記組成物中、レターデーション低下剤(119)は前記[化10](119)に示す化合物である。また下記組成物中、波長分散調整剤HOBPは2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンを意味する。
レターデーション低下剤(119) 20.0質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
波長分散調整剤HOBP 20.0質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
表2おいて、紫外線吸収剤UV1は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール]、UV2は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−アミルフェニル]−5−クロルベンゾトリアゾール]を意味する。
上記のドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量が25〜35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸温度がセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度に対し約5℃低い温度から約5℃高い温度までの範囲(以下、約Tg−5〜Tg+5℃の範囲と表記することがある)の条件で、テンターを用いて0%〜30%の延伸倍率(表2参照)で幅方向に延伸して、セルロースアシレートフィルムを製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。表2に、テンターの延伸倍率を示してある。作製したセルロースアシレートフィルムについて、複屈折測定装置“KOBRA 21ADH”{王子計測器(株)製}を用い、25℃、60%RHで波長590nmにおけるRe590値及びRth590値を測定した。Rth590値の計算には平均屈折率として1.48を入力した。また前記に従って、弾性率及び吸湿膨張係数を求めた。結果を表2に示した。さらにフィルム17については波長400nmおよび700nmにおいて、Re400値、Re700値、Rth400値およびRth700値を測定した。Rth400値およびRth700値の計算には平均屈折率として1.48を入力した。その結果はそれぞれ、Re400は−1nm、Re700値は3nm、Rth400値は−3nmおよびRth700値は6nmであった。
(1)溶解
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(質量部) 内層 外層
セルロースアセテート(酢化度60.9%) 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロリド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子 0 0.8
“AEROSIL R972”{日本アエロジル(株)製}
レターデーション発現剤(RP2) 1.4 0
上記セルロースアセテートの置換度は次の通りであった。
置換度A 2.87、置換度B 0、全置換度A+B 2.87、6位置換度0.907、6位置換度/全置換度 0.316
1.48を入力した。また前記に従って、弾性率及び吸湿膨張係数を求めた。この結果、Re590=8nm、Rth590=80nm、弾性率2950MPa、吸湿膨張係数55ppm/%RHであった。
「ゼオノア1420R」{日本ゼオン(株)製、厚み100μm}を、縦一軸延伸機において、給気温度140℃、フィルム膜面温度130℃で、延伸倍率20%で縦延伸した。その後、テンター延伸機において、給気温度140℃、フィルム膜面温度130℃で延伸倍率10%で横延伸し、巻取り部前で両端部を切り落とし幅1500mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。二軸延伸したフィルム19を作製した。得られたフィルムの厚みは75μmであった。作製したフィルムについて、複屈折測定装置“KOBRA 21ADH”{王子計測器(株)製}を用いて、25℃、60%RHで波長590nmにおけるRe590値及びRth590値を測定した。Rth590値の計算には平均屈折率として1.51を入力した。また前記に従って、弾性率及び吸湿膨張係数を求めた。この結果、Re590=47nm、Rth590=128nm、弾性率1600MPa、吸湿膨張係数1ppm/%RHであった。
(1)鹸化処理
基体フィルムとして、製造例2で作製したフィルム15を用い、これを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて14mL/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター{(株)ノリタケカンパニー製}の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3mL/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
C16H33O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
上記(1)にて表面処理を施したセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒
、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、時計方向の135°方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
下記の変性ポリビニルアルコール 40質量部
水 728質量部
メタノール 228質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)) 0.69質量部
配向膜上に、下記のディスコティック液晶化合物41.01kg、エチレンオキシド変成トリメチロールプロパントリアクリレート“V#360”{大阪有機化学(株)製}4.06kg、セルロースアセテートブチレート“CAB531-1”(イーストマンケミカル社製)0.29kg、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}1.35kg、増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}0.45kg、クエン酸エステル“AS3”{三協化学(株)製}0.45kgを、102kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体「メガファックF780」{大日本インキ(株)製}を0.1kg加え、#2.7のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているフィルム18の配向膜面に連続的に塗布した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/秒となるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状の、光学異方性層を有する光学補償シートフィルム20を作製した。
2,2'−ビス(3,4−ジスカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミドをシクロヘキサノン中に溶解させ、15質量%の溶液を調製した。このポリイミド溶液を、製造例1で作製したフィルム17を基体フィルムとして、その上に乾燥後の膜厚で6μm分塗布し、150℃で5分間乾燥させた後、150℃の雰囲気下で、テンター延伸機で幅方向に15%延伸し、巻取り部前で両端部を切り落とし幅1800mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取り、フィルム21を得た。フィルム21の膜厚は75μmであった。作製したフィルムについて、複屈折測定装置“KOBRA 21ADH”{王子計測器(株)製}を用いて、25℃、60%RHで波長590nmにおけるRe590値及びRth590値を測定した。Rth590値の計算には平均屈折率として1.58を入力した。また前記に従って、弾性率及び吸湿膨張係数を求めた。この結果、Re590=60nm、Rth590=230nm、弾性率2930MPa、吸湿膨張係数45ppm/%RHであった。
基体フィルムをフィルム17から「フジタックTD80UL」{富士写真フイルム(株)製}に変え、乾燥後の膜厚で5.5μmとなるようにポリイミド溶液を塗布した以外は製造例5と同様にしてフィルム22を作製した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅1450mmとし、長さ3800mのロールフィルムとして巻き取った。フィルム22の膜厚は75μmであった。作製したフィルム22について、複屈折測定装置“KOBRA 21ADH”{王子計測器(株)製}を用いて、また前記に従って、弾性率及び吸湿膨張係数を求めた。この結果、Re590=59nm、Rth590=234nm、弾性率3045MPa、吸湿膨張係数47ppm/%RHであった。
製造例2で作製したフィルム18を使用し、製造例4と同様に鹸化処理及び配向膜作製を行った。次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、時計方向の180°方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
[光散乱層用塗布液の調製]
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
まず始めに、次のようにしてゾル液aを調製した。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
基体フィルムである80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム「フジタックTD80UL」{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する、直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの機能層を形成し、巻き取った。
[ハードコート層用塗布液の調製]
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA){日本化薬(株)製}750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0g、シクロヘキサノン500.0g及び光重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}50.0gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、且つ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子“MPT−129”{石原産業(株)製}を使用した。
上記の二酸化チタン分散液88.9gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”58.4g、光重合開始剤「イルガキュア907」3.1g、光増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}1.1g、メチルエチルケトン482.4g及びシクロヘキサノン1869.8gを添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液586.8gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}47.9g、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}4.0g、光増感剤「カヤキュアー−DETX」{日本化薬(株)製}1.3g、メチルエチルケトン455.8g、及びシクロヘキサノン1427.8gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
下記共重合体(P−1)を、メチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂“X−22−164C”{信越化学(株)製}を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤「イルガキュア907」(商品名)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
基体フィルムである膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム「フジタックTD80U」{富士写真フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
(1)(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液の調製
表4に示す組成比で、ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステル(a1)、ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物(a2)、多官能性化合物に対して反応性を有する官能基含有モノマー(a3)及び重合開始剤を反応容器に入れ、この反応容器を窒素ガスで置換した後、攪拌しつつ窒素雰囲気化で、表4に示す反応温度及び時間で反応させた。(メタ)アクリル系共重合体No.1、2、3、5、6については反応後に酢酸エチルで希釈し、固形分濃度20質量%としポリマー溶液を得た。(メタ)アクリル系共重合体No.4、7については反応後にトルエンで希釈し、固形分濃度20質量%とし、(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。
上記(メタ)アクリル系共重合体溶液における各共重合体の、スチレン換算の質量平均分子量(Mw)をゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)により求めた。測定条件を下記に示す。また得られた結果を表4に示す。
カラム:“G7000HXL”7.8mmID×30cm 1本{東ソー(株)製}
“GMHXL”7.8mmID×30cm 2本{東ソー(株)製}
“G2500HXL”7.8mmID×30cm 1本{東ソー(株)製}
サンプル濃度:1.5mL/mLになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
合成例1で調製した(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液を、表5に示す固形分比となるように混合し、表5に示す多官能性化合物(架橋剤)(B)を添加し、十分に攪拌して粘着剤溶液を得た。
ゲル分率の測定は下記のように行った。粘着剤溶液を25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。乾燥後の厚みが25μmになるように粘着剤溶液の塗布量を調整した。乾燥した粘着層約20mLをクロロホルム約10mLに浸漬し、不溶成分を0.45μmのフィルターで濾過し、フィルターに残ったものを乾燥し、質量を測りゲル分(架橋成分)の質量Mgとした。さらに、濾液を乾燥して残渣の質量を測り、ゾル分(未架橋成分)の質量Msとし、下記式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=Mg/(Mg+Ms)×100
ゲル分率は粘着層を塗工後直後、塗工後1ケ月後のもの、および塗工後1ケ月後にさらに80℃で500時間加熱したものの3条件を測定した。
アクリル酸ブチル100質量部、アクリル酸5質量部、2、2’−アゾビスブチロニトリル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してポリマー1の溶液を得た。ポリマー1の固形分100質量部に対して、1質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液13を作製した。
アクリル酸ブチル100質量部、アクリル酸5質量部、過酸化ベンゾイル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してポリマー2の溶液を得た。ポリマー2の固形分100質量部に対して、1質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液14を作製した。
アクリル酸ブチル100質量部、アクリル酸5質量部、2、2’−アゾビスブチロニトリル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してポリマー3の溶液を得た。ポリマー3の固形分100質量部に対して、0.2質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液15を作製した。
アクリル酸ブチル70質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸5質量部、2、2’−アゾビスブチロニトリル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してポリマー4の溶液を得た。ポリマー4の固形分100質量部に対して、1質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液16を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
粘着剤溶液1〜16の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を偏光板に転写し、25℃、60%RHで7日間熟成させた。粘着剤溶液1〜16を塗設して粘着剤層1〜16を形成した。粘着剤17としてはゴム系の粘着剤を用いた。
水洗・乾燥を行った無アリカリガラス板(品番1737、コーニング製)70に粘着層80を形成した偏光板90を図4に示すように貼り付けた。貼り付け面積は横aが10mm、縦bが10mmとした。初期接着圧力は5kg/cm2とした。その後、接着圧力を除き、50℃の雰囲気下で200gの荷重Wを1時間掛け、室温雰囲気下に取り出し荷重を取り除き粘着剤のクリープ量を測定した。粘着層を形成した偏光板を未試験のものに取り替えて、雰囲気の温度を25℃、70℃、90℃として、50℃の場合と同様にクリープ量を測定した。
JIS Z 0237「粘着テープ、粘着シート試験方法」に基づいて、粘着層の接着力を測定する。具体的には、長さ100mm×幅25mmの粘着層を形成した偏光板を作製し、これを水洗・乾燥を行った無アリカリガラス板(品番1737、コーニング製)に貼り付ける。次いで2kgローラーを1往復させた後に、25℃で20分間放置した。前記ガラス板と偏光板を25℃、剥離速度300mm/min、90°ピールの条件で、前記JIS規定に基づき、引っ張り試験機(TMC−1kNB、ミネベア(株)製)を用いて、前記偏光板をガラス板から剥離する際の力を測定することにより、前記粘着層の接着力を測定する。
偏光板をガラス板に貼り付けた後の熱処理なしの場合と、50℃、5気圧のオートクレーブ中に15分間放置して接着状態を熟成した後、70℃で5時間加熱した場合の2通りについて接着力を測定した。
粘着剤溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、粘着層上にPETフィルムをかぶせて、25℃、60%RHで7日間熟成させた。前記の粘着層を厚さが1mmとなるように積層し、長さ20mm×幅5mmのサイズに切り出し、前記の引っ張り試験機を用いて引っ張り速度300mm/min、チャック間距離10mmの条件で応力−歪曲線を求め、弾性率を求めた。測定時の雰囲気温度は25℃と90℃の2条件とした。
JIS K 6850の接着剤の引っ張り剪断接着強さ試験方法に従い、引っ張り速度1mm/minで引っ張り、引っ張り応力−歪曲線を求めた。JIS K 6850には弾性率の計算方法が示されていないので、JIS K 7127のプラスチックフィルムおよびシートの引っ張り試験方法の8項の(3)に示された計算方法により導き出された値を粘着層の剪断弾性率とした。
実施例1−1〜1−51及び比較例1−1〜1−18
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
製造例1、4〜9で作製した保護膜及び以下に挙げる市販のセルロースアシレートフィルムを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムを、表7、8に示す組合せで前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
粘着剤溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に表7、8の組合せで転写し、25℃、60%RHで7日間熟成させた。
上記のようにして作製した偏光板の粘着層側にはPETのセパレーターを取り付け、粘着層と逆側にはPET製のプロテクトフィルムを取り付けた。
実施例1と同様に作製した偏光子の片面に、実施例1と同様に鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、他方の面に製造例3で作製したフィルム19をアクリル系接着剤“DD624”{ノガワケミカル(株)製}を用いて貼り合わせ偏光板を作製し、以下実施例1と同様にして粘着層の塗設を行った。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を機能性膜側から測定し、450〜650nmの積分球平均反射率を求めたところ、反射防止層を有する保護膜であるフィルム24を使用した偏光板では2.3%、反射防止層を有する保護膜であるフィルム25を使用した偏光板では0.4%であった。ここで反射防止層を有する保護膜上のプロテクトフィルムは剥がして反射率測定を行った。
(1)VAパネルへの実装
実施例1、比較例1及び実施例2で作製した偏光板を、視認側偏光板は26"ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。VAモードの液晶TV“KDL−L26RX2”{ソニー(株)製}の、表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例1、比較例1及び実施例2で作製した偏光板を表8に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置VA−1〜VA−27及びVA−R1〜VA−R6を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
実施例3で作製した液晶表示装置を下記の2条件で耐久試験を行った。
(1)60℃90%RHの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し24時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表8に示す。
(2)80℃dryの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し1時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。
光漏れ発生状況 実用上の問題 光漏れ度
発生無し なし 1
非常に弱い なし 2
弱い なし 3
強い あり 4
非常に強い あり 5
(2)OCBパネルへの実装
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物“ZLI1132”(メルク社製)を注入し、セルを作製した。
(3)TNパネルへの実装
実施例1及び比較例1で作製した偏光板を、視認側偏光板、バックライト側偏光板共に、17"のサイズで打抜き後の偏光板の長辺に対して吸収軸が45゜長辺となるように、長方形に打抜いた。TNモードの液晶モニター“SyncMaster 172X”(サムソン社製)の表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に、実施例1及び比較例1で作製した偏光板を表11に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置TN−1及びTN−R1を作製した。偏光板貼り付け後、50℃、5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
(4)IPSパネルへの実装
実施例1及び比較例1で作製した偏光板を、視認側偏光板は32"ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。IPSモードの液晶TV“W32−L5000”{日立製作所(株)製}の表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例1及び比較例1で作製した偏光板を、表12に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置IPS−1及びIPS−R1を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着層表面が液晶セル側となるように配置した。
[偏光板の作製]
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
製造例1、3〜9で作製した保護膜及び以下に挙げる市販のセルロースアシレートフィルムを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。表面張力を測定した。結果を表16の鹸化後の欄に示した。
上記のように鹸化処理を行った保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムを、表5に示す組合せで前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
粘着剤13の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に表13の組合せで転写し、25℃、60%RHで7日間熟成させた。また粘着剤14に関しては、25℃、60%RHで7日間熟成させた後、さらに25℃、60%RHで21日間(合計1ヶ月間)熟成させたもの、前記1ヶ月の熟成の後にさらに80℃で500時間熱処理した偏光板サンプルも作製した。
上記のようにして作製した偏光板の粘着層側にはPETのセパレーターを取り付け、粘着層と逆側にはPET製のプロテクトフィルムを取り付けた。
実施例7と同様に作製した偏光子の片面に、実施例7と同様に鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、他方の面に製造例3で作製したフィルム19をアクリル系接着剤“DD624”{ノガワケミカル(株)製}を用いて貼り合わせ偏光板を作製し、以下実施例7と同様にして粘着剤13の溶液の塗設を行った。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を機能性膜側から測定し、450〜650nmの積分球平均反射率を求めたところ、反射防止層を有する保護膜であるフィルム24を使用した偏光板では2.3%、反射防止層を有する保護膜であるフィルム25を使用した偏光板では0.4%であった。ここで反射防止層を有する保護膜上のプロテクトフィルムは剥がして反射率測定を行った。
(1)VAパネルへの実装
実施例7、実施例8及び比較例7で作製した偏光板を、視認側偏光板は26”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。VAモードの液晶TV“KDL−L26HVX”{ソニー(株)製}の、表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例7、実施例8及び比較例7で作製した偏光板を表13に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置1〜33を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。
この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
実施例9及び比較例9で作製した液晶表示装置を下記の2条件で耐久試験を行った。
(1)60℃90%RHの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し24時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表13に示す。
(2)80℃dryの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し1時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表13に示す。
光漏れ発生状況 実用上の問題 光漏れ度
発生無し なし 1
非常に弱い なし 2
弱い なし 3
強い あり 4
非常に強い あり 5
(2)OCBパネルへの実装
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物“ZLI1132”(メルク社製)を注入し、セルを作製した。ここで、セルのラビング方向はセル基板の画面水平方向に対して45度方向とした。
(3)TNパネルへの実装
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板をラビング方向が90度となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.9μmに設定した。セルギャップにΔnが0.075で正の誘電率異方性を有する液晶性化合物およびカイラル剤を注入し、セルを作製した。ここで、セルのラビング方向はバックライト側は画面の上から下方向に、視認側のラビング方向は画面の右から左方向とした。
(4)IPSパネルへの実装
実施例8及び比較例8で作製した偏光板を、視認側偏光板は32”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。IPSモードの液晶TV“W32−L5000”{日立製作所(株)製}の表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例1及び比較例1で作製した偏光板を、表13に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置38及び39を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着層表面が液晶セル側となるように配置した。
[偏光板の作製]
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
製造例8で作製した保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムフジタックTD80ULを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムを、表13に示す組合せで前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
粘着剤13の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に転写した。
上記のようにして作製した偏光板の粘着層側にはPETのセパレーターを取り付け、粘着層と逆側にはPET製のプロテクトフィルムを取り付けた。
実施例13で作製した偏光板を、視認側偏光板は26”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。VAモードの液晶TV“KDL−L26HVX”{ソニー(株)製}の、表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例13で作製した偏光板を表13に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置40を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
実施例13で作製した液晶表示装置を下記の2条件で耐久試験を行った。
(1)60℃90%RHの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し24時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表13に示す。
(2)80℃dryの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し1時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表13に示す。
(1)VAパネルへの実装
実施例9で作製した液晶表示装置17に使用したのと同じ偏光板を、視認側偏光板は46”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。液晶TV“LT46G15W”{SAMSUNG製、バックライトの光源が冷陰極菅[CCFL]}の液晶パネルから表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に上記偏光板を表14に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置41を作製した。
上記液晶TV“LT46G15W”{SAMSUNG製}の液晶パネルから表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に上記偏光板を表14に示す組合せで貼り付けた液晶パネルをもう一台作製し、QUALIA005 KDX−46Q005{ソニー(株)製、バックライトの光源がLED}液晶表示装置42を作製した。
なお、液晶パネルを取り外した状態におけるバックライトの表面温度は、液晶表示装置41で45℃、液晶表示装置42で35℃であった。
上記2台の液晶表示装置41および42を偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
実施例14で作製した液晶表示装置を下記の2条件で耐久試験を行った。
(1)60℃90%RHの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し24時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表14に示す。
(2)80℃dryの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し1時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表14に示す。
[偏光板の作製]
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
製造例8で作製した保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムフジタックを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
また、製造例1および2で作製した保護膜の表面に保護フィルムSAT−106T((株)サンエー化研製)を全面に貼り合わせた後に、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。乾燥終了後に保護フィルムSAT−106Tを剥離した。上記操作において保護フィルムSAT−106Tが貼られていた側は、水酸化ナトリウム水溶液の影響を受けず、鹸化されていない。表面張力を測定した。結果を表16の鹸化前の欄に示した。
鹸化されたフィルム表面と鹸化されていないフィルム表面の表面張力の違いを調べるべく、実施例で用いた他のフィルムの鹸化前後の表面張力もそれぞれ測定した。結果を表16の鹸化前、鹸化後の欄に示す。
上記のように鹸化処理を行った保護膜及び市販のセルロースアシレートフィルムを、表15に示す組合せで前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。この時、製造例1および2で作製した保護膜は、鹸化時に保護フィルムSAT−106Tを貼り合わせなかった面を偏光子側にして偏光板を作製した。すなわちこのようにして作成された偏光板は偏光板の両面が鹸化されていない保護膜表面を有することとなる。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
粘着剤13または14の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に転写した。粘着層を転写後に、PETフィルムを剥離し、粘着層の表面張力を測定した。結果を表16に示した。
実施例15で作製した偏光板を、視認側偏光板は26”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように、バックライト側偏光板は偏光子の吸収軸が短辺となるように長方形に打抜いた。VAモードの液晶TV“KDL−L26HVX”{ソニー(株)製}の、表裏の偏光板及び位相差板を剥し、表と裏側に実施例15で作製した偏光板を表15に示す組合せで貼り付け、液晶表示装置40を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。この際、視認側の偏光板の吸収軸をパネル水平方向に、バックライト側の偏光板の吸収軸をパネル鉛直方向となり、粘着材面が液晶セル側となるように配置した。
実施例15で作製した液晶表示装置を下記の2条件で耐久試験を行った。
(1)60℃90%RHの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し24時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表15に示す。
(2)80℃dryの環境に200時間保持し、25℃60%RH環境に取り出し1時間後に液晶表示装置を黒表示させ、光漏れ強度及び偏光板の液晶パネルからの剥がれの有無を評価した。結果を表15に示す。
2:透過軸
3:TAC1:保護膜(本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルム)
4:遅相軸
11:偏光子
12:TAC1又はTAC3:(液晶セル側)保護膜(本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルム
13:TAC2:(液晶セルとは反対側の)保護膜
14:機能性膜(ハードコート層、防眩層、反射防止層)
(22−21−23:視認側偏光板)
21:偏光子
22:TAC1:液晶セル側保護膜
23:TAC2:液晶セルとは反対側の保護膜
(32−31−33:バックライト側偏光板)
31:偏光子
32:TAC3:液晶セル側保護膜
33:TAC2:液晶セルとは反対側の保護膜
40:VAモード液晶セル
50:視認側
60:バックライト側
70:ガラス板
80:粘着層
90:偏光板
Claims (32)
- 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、該偏光板が少なくとも片面に粘着層を有し、該粘着層が少なくとも、下記(A)並びに(B)、
(A)(a1)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a2)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a3)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a1)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a2)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a3)が、該モノマー(a1)と化合物(a2)の和100質量部に対して10質量部以下である共重合体100質量部、並びに
(B)官能基含有モノマー(a3)の官能基と反応して、架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物0.005〜5質量部、からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物を含有する粘着剤が塗設されて形成されており、さらに該粘着剤のゲル分率が40質量%以上90質量%以下であることを特徴とする偏光板。 - 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板であって、該偏光板が少なくとも片面に粘着層を有し、該粘着層が少なくとも、下記(A1)、(A2)並びに(B)、
(A1)(a11)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a12)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a13)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a11)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a12)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a13)が、該モノマー(a11)と化合物(a12)の和100質量部に対して10質量部以下で、質量平均分子量が100万以上である共重合体100質量部、
(A2)(a21)ホモポリマーとした時のTgが−30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、
(a22)ホモポリマーとした時のTgが−30℃以上のビニル基を有する化合物、及び、
(a23)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、
からなる(メタ)アクリル系共重合体であって、モノマー単位の質量比で(メタ)アクリル酸エステル(a21)が75質量部以上で、ビニル基を有する化合物(a22)が25質量部以下であって、且つ官能基含有モノマー(a23)が、該モノマー(a21)と化合物(a22)の和100質量部に対して10質量部以下で、質量平均分子量が10万以下である共重合体20〜200質量部、並びに
(B)官能基含有モノマー(a13)及び(a23)の官能基と反応して架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物0.005〜5質量部、
からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物を含有する粘着剤が塗設されて形成されており、さらに該粘着剤のゲル分率が40質量%以上90質量%以下であり、
さらに(メタ)アクリル系共重合体(A1)及び(A2)における官能基含有モノマー(a13)及び(a23)から誘導される繰返し単位の導入量が、下記数式(1)で定義される官能基分配率0〜15質量%を満足することを特徴とする偏光板。
数式(1):官能基分配率=[(メタ)アクリル系共重合体(A2)中の官能基含有モノマー(a23)から誘導される繰返し単位の質量/(メタ)アクリル系共重合体(A1)中の官能基含有モノマー(a13)から誘導される繰返し単位の質量]×100。 - 前記粘着層が(A)(a1)(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(a2)ビニル基を有する化合物、及び、(a3)多官能性化合物(B)に対して反応性を有する官能基含有モノマー、からなる(メタ)アクリル系共重合体、並びに、(B)官能基含有モノマー(a3)の官能基と反応して、架橋構造を形成可能な官能基を分子内中に少なくとも2個有する多官能性化合物からなる(メタ)アクリル系共重合体の組成物からなり、該(メタ)アクリル系共重合体Aのガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記粘着層を無アルカリガラス板に幅10mm、長さ10mmの面積を貼り付け、50℃の雰囲気下で200gの荷重を1時間掛けた後のクリープ量が70μm未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層を無アルカリガラス板に幅10mm、長さ10mmの面積を貼り付け、25℃の雰囲気下で200gの荷重を1時間掛けた後のクリープ量が40μm未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の無アルカリガラス板に対する25℃の雰囲気下における90°剥離接着力が10N/25mm幅以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の無アルカリガラス板に対する70℃の雰囲気下で5時間処理した後の90°剥離接着力が0〜90℃のいずれの測定温度においても10N/25mm幅以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の弾性率が0.08MPa以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の90℃における弾性率が0.06MPa以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の剪断弾性率が0.1GPa〜100GPaであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着剤のゲル分率が60質量%以上90質量%以下である請求項1から10のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着層の厚みが5〜30μmである請求項1から11のいずれかに記載の偏光板。
- 前記粘着剤の表面張力γA、極性成分γA p、および少なくとも一方の保護膜の表面張力γF、極性成分γF pがそれぞれ下記数式(20)〜(23)を満たす請求項1から12のいずれかに記載の偏光板。
数式(20):30≦γA≦45
数式(21):5≦γA p≦15
数式(22):50≦γF≦75
数式(23):20≦γF p≦45
[式中、γA、γA p、γF、γF pの単位はmN/mである。] - 偏光板の、少なくとも一方の保護膜の正面レターデーション値Reλ及び膜厚方向のレターデーション値Rthλが、下記数式(2)及び(3)を満たす請求項1から13のいずれかに記載の偏光板。
数式(2):0nm≦Re590≦200nm
数式(3):0nm≦Rth590≦400nm
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。] - 保護膜が、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(4)、(5)を満たす請求項1から14のいずれかに記載の偏光板。
数式(4):2.0≦A+B≦3.0
数式(5):0<B - 炭素原子数が3以上のアシル基がプロピオニル基又はブタノイル基である請求項15に記載の偏光板。
- セルロースの6位の水酸基の置換度が0.75以上である請求項15又は16に記載の偏光板。
- 保護膜の少なくとも一方が、セルロースを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートからなるフィルムであって、セルロースを構成するグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記数式(6)及び(7)を満たすセルロースアシレートフィルムである請求項1から17のいずれかに記載の偏光板。
数式(6):2.0≦DS2+DS3+DS6≦3.0
数式(7):DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315 - アシル基がアセチル基である請求項18に記載の偏光板。
- 保護膜が、棒状化合物又は円盤状化合物のレターデーション発現剤を1種以上含有している請求項1から19のいずれかに記載の偏光板。
- 保護膜がシクロオレフィン系ポリマーである請求項1から20のいずれかに記載の偏光板。
- 偏光板の、少なくとも一方の保護膜の正面レターデーション値Reλ及び膜厚方向のレターデーション値Rthλが、下記数式(8)〜(11)を満たす請求項1から21のいずれかに記載の偏光板。
数式(8):0≦|Re590|≦10
数式(9):|Rth590|≦25
数式(10):|Re400−Re700|≦10
数式(11):|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)である。] - 保護膜が、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートフィルムからなり、且つ該フィルム中にReλ及びRthλを低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含む請求項22に記載の偏光板。
- 少なくとも一方の保護膜の上に光学異方性層が設けられた請求項1から23のいずれかに記載の偏光板。
- 保護膜が、可塑剤、紫外線吸収剤、剥離促進剤、染料、及びマット剤のうち1種以上を含有していることを特徴とする請求項1から24のいずれかに記載の偏光板。
- 少なくとも一方の保護膜の表面に、ハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層が設けられた請求項1から25のいずれかに記載の偏光板。
- 液晶セルと偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の少なくとも一が請求項1から26のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶セルと偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板の該液晶セルと反対側の保護膜が請求項26に記載の表面にハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層が設けられた保護膜になるように、請求項26に記載の偏光板を配置したことを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶セルを一対の偏光板で挟んだ液晶表示装置であって、該一対の偏光板の透過軸が互いに直交に配置されており、かつ該透過軸は該偏光板の辺に対して直交または平行であることを特徴とする請求項27又は28に記載の液晶表示装置。
- 液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項27から29のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 表面の温度が40℃以下であるバックライトを使用したことを特徴とする請求項27から30のいずれかに記載の液晶表示装置。
- バックライトの光源が発光ダイオード、二次元積層蛍光ランプから選ばれるものの内1つを使用したことを特徴とする請求項31に記載の液晶表示装置。
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