JP4686247B2 - ポリマーフィルム並びにそれを用いた光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
従来は、基材の表面エネルギーを調節することは難しく、溶液の表面張力を調節することが行われてきた。例えば、溶液に使用される溶媒として基材との濡れ性がよいものを選択する、あるいは基材上に塗布された溶液膜に乾燥中に生じた厚みムラをレベリングさせるためにレベリング剤を溶液に添加することが行われてきた(特許文献1および2)。
また、溶剤を選択する際には基材との濡れ性だけでなく、塗布溶液中に含まれる無機微粒子の分散性も考慮する必要があり、濡れ性を向上させるために無機微粒子に表面処理を施す必要が生じる等、材料設計が複雑になる(特許文献3)。
また、ポリマーフィルムの厚みムラを小さくすることにより光学フィルムの厚みムラ起因のムラを改善することを目的とする。
さらに、本発明は前記の厚みムラの改善された光学フィルムをディスプレイに適用し、優れた表示性能を実現することを目的とする。
この発見に基いて、ポリマーフィルム上に表面エネルギーを小さくする層を設け、さらに前記層の表面エネルギーと光学機能層を形成するための塗布液の溶剤の表面張力を適切な関係に調整する密着性改良方法、前記層の表面エネルギーと塗膜の表面エネルギーを適切な関係に調整する密着性改良方法、及びこれらを利用して前記光学機能性層とポリマーフィルム(ポリマー層A)との密着性を改善できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。また、ポリマーフィルム上に表面エネルギーの小さな材料と表面張力の小さな溶媒からなる層を設けることによりポリマーフィルム表面のレベリングが生じポリマーフィルムの厚みムラが小さくなることを見出し、平面性向上の面からも本発明の密着性向上の目的が達せられることを見出すに至った。さらに、ポリマーフィルムを溶液流延する際の支持体からの剥離時の残留溶剤量を適切な範囲とすること、および延伸処理を行うことによりポリマーフィルムの厚みムラを改善し、結果として光学フィルムにおけるムラを改善できることを見出した。
すなわち、本発明は、これらの関連するあらたなに見出された現象に基いてなされたものであって、下記(1)〜(19)のポリマーフィルム、(20)の偏光板、(21)の液晶表示板から構成される。
該層Bが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(11)、(12)を満たすことを特徴とするポリマーフィルム。
数式(11):2.95≦A+B<3.0
数式(12):0≦B≦0.5
(ただし、式(12)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。)
(2)表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層A上に、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されているポリマーフィルムであって、
該層Bが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(13)、(14)を満たすことを特徴とするポリマーフィルム。
数式(13):2.5≦A+B<3.0
数式(14):0.5<B
(3)表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bの厚みが5μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリマーフィルム。
(4)表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層A上に、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されているポリマーフィルムであって、表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層Aの表面エネルギーの分散力成分γAd、極性力成分γAp、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bの表面エネルギーの分散力成分γBd、極性力成分γBpがそれぞれ下記式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
式(1)γAd≧30mN/m
式(2)γAp≧10mN/m
式(3)γBd<35mN/m
式(4)γBp<15mN/m
(5)上記ポリマー層Aの表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(7)表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層Cの表面エネルギーの分散力成分γCd、極性力成分γCpがそれぞれ下記式(5)、(6)を満たすことを特徴とする(6)に記載のポリマーフィルム。
式(5)γCd≧30mN/m
式(6)γCp≧20mN/m
(8)上記層B上に光学機能層を塗布により形成したポリマーフィルムであって、層Bが有する表面エネルギーγBと該光学機能層の塗布液の溶剤の表面張力γLが下記式(7)を満足することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
式(7)γL≦γB≦γL+10
(9)上記層B上に光学機能層を塗布により形成したポリマーフィルムであって、層Bが有する表面エネルギーγBと該光学機能層を形成するポリマー成分の表面エネルギーγPが下記式(8)を満足することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
式(8)γP−10≦γB≦γP+10
(11)上記ポリマー層Aが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(9)、(10)を満たすことを特徴とする(1)〜(10)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
数式(9):2.5≦A+B<2.95
数式(10):0≦B
(ただし、式(10)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。)
(13)上記層Cが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(15)、(16)を満たすことを特徴とする(6)〜(12)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
数式(15):0.5≦A+B<2.2
数式(16):0≦B
(ただし、式(16)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。)
(14)ポリマーフィルムの厚みムラがピッチ5mm以上、高さ3μm以下であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(15)ポリマーフィルムの厚みムラの傾斜が0.3μm/mm以下であることを特徴とする(1)〜(14)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(16)ポリマーフィルムが延伸フィルムであることを特徴とする(1)〜(15)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(17)ポリマーフィルムが溶液流延により製膜されたものであり、支持体から剥離されるときの残留溶剤量が100質量%以下であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれか一つに記載の光学フィルム。
(18)光学機能層とポリマーフィルムの密着がJIS K5600−5−6に定められたクロスカットセロテープ(登録商標)剥離試験で2点以下であることを特徴とする(1)〜(17)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(19)光学機能層が反射防止層、防眩層、ハードコート層、光学異方層のうちのいずれか、または前記のこれらの複数層が積層された層であることを特徴とする(1)〜(18)のいずれか一つに記載のポリマーフィルム。
(21)液晶セルの少なくとも一方に偏光板を配置してなる液晶表示装置であって、偏光板のうち少なくとも一枚が(20)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明は、上記(1)〜(21)に関するものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
さらに、本発明は前記の厚みムラの改善された光学フィルムをディスプレイに適用し、優れた表示性能を実現することができる。
表面エネルギーが45mN/m以上のポリマーフィルムとしては、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基によって置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(9)、(10)を満たすものを用いることが、透明性、偏光板作製プロセスにおける適度な透湿性及びコストの点で好ましい。置換度Bが0、すなわちセルロースアセテートは耐久性や寸度安定性に優れる。
数式(9):2.5≦A+B<2.95
数式(10):0≦B
反射防止フィルム等のように表示装置の表面に用いる光学フィルムの用途では光学異方性の値は特に限定しないが、液晶表示装置に用いる偏光板の場合、液晶セル側に用いる光学フィルムの用途ではRe値およびRth値が下記式を満たすことが好ましい。
数式(2):0nm≦Re590≦200nm
数式(3):0nm≦Rth590≦400nm
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける正面レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthの値(単位:nm)である。]
上記式の範囲にRe値、Rth値を調節するために、ポリマーフィルムが、棒状化合物又は円盤状化合物のレターデーション発現剤を1種以上含有していてもよい。また、幅方向、長手方向に延伸を行ってもよい。
表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層を形成する材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも用いることが出来る。また無機材料、有機材料のいずれも用いることができる。溶剤を塗布することや、膜の強度、膜の形成のしやすさの点で有機高分子材料を用いることも好ましい。
数式(11):2.95≦A+B<3.0
数式(12):0≦B≦0.5
数式(13):2.5≦A+B<3.0
数式(14):0.5<B
表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層を形成する材料としては、セルロースの水酸基がアセチル基及び好ましくは更に炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(15)、(16)を満たすものを使うことができる。
数式(15):0.5≦A+B<2.2
数式(16):0≦B
その他にも、表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層は表面エネルギーが50mN/m未満の材料に、アルカリ処理、酸処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射等の表面処理を施すことによっても得られる。表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層を設けることにより、表面エネルギーの大きな(親水性の高い)材料との密着性が向上する。
ポリマーフィルム作製後あるいはポリマーフィルム上に光学機能層を形成した後に上記の表面処理を行うことによりポリマーフィルムおよび光学機能層の性能が劣化する場合があるが、このような場合には上記数式(15)および(16)を満足する層を形成することにより表面処理を行わなくても表面エネルギーの大きな(親水性の高い)材料との密着性を確保することができる。
上記のような厚みムラ、特に長手方向に発生するスジ状の厚みムラは、塗布液の流延のさいに支持体上で十分に乾燥しないうちにウェブを支持体から剥離すると、幅方向にウェブが収縮するために生じる。したがって、上記のようなポリマーフィルムの厚みムラは、幅方向に延伸することにより小さくすることができる。また、支持体上で十分に乾燥させる、つまり残留溶剤量を100質量%以下とすることによっても上記のようなポリマーフィルムの厚みムラを小さくすることができる。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。
ここで『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。
本発明において前記セルロースアシレート溶液に用いることができる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、レターデーション(光学異方性)発現剤、レターデーション(光学異方性)低下剤、波長分散調整剤、染料、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤などを挙げることができる。本発明においては、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。また、可塑剤、紫外線吸収剤及び剥離促進剤の少なくとも1種以上を用いるのが好ましい。
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物がある。
可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等;カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、o−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、o−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げることができ、本発明に用いられる可塑剤はこれら例示の可塑剤から選ばれたものであることがより好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
さらに赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に、添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
本発明では、光学補償フィルムとして使用するために、光学異方性を大きく発現させる場合には、好ましいレターデーション値を実現するために、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも2つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
以下、円盤状化合物について説明する。
円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が円盤状化合物として好ましく用いられる。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
本発明では前述の円盤状化合物の他に、直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。
一般式(1):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(1)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
一般式(2):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(2)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基の炭素原子数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。
L2及びL3は、−O−CO−又は−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(3):
文献としては、“Mol.Cryst.Liq.Cryst.”,53巻、p229(1979年)、同89巻、p93(1982年)、同145巻、p111(1987年)、同170巻、p43(1989年)、“J.Am.Chem.Soc.”,113巻、p1349(1991年)、同118巻、p5346(1996年)、同92巻、p1582ページ(1970年)、“J.Org.Chem.”,40巻、p420(1975年)、“Tetrahedron”,48巻16号、p3437(1992年)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる場合に使用するレターデーション低下剤について説明する。
フィルム中のセルロースアシレートが、面内及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて、光学的異方性を十分に低下させ、Re及びRthをゼロ又はゼロに近くにすることができる。このためには、光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
光学的異方性の低いセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のように、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。化合物のlogP値が7以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好で、フィルムの白濁や粉吹きなどの不具合を生じにくいので好ましい。
また化合物のlogP値が0以上であれば、親水性が高くなりすぎることがなく、セルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させることがないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
次ぎに、セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物について説明する。200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことが好ましい。波長分散調整剤の含有により、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整することができる。ここで、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)を表す。このような化合物の添加量としては、0.1〜30質量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整できる。
上記の本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの固形分に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
また本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
本発明において好ましく用いられるセルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し、流延・製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、その塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合ジクロロメタンは、有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが好ましい。
すなわち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール=75/8/5/5/7(質量部)
ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール=80/7/5/8(質量部)
ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール=80/10/10(質量部)、
ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン=70/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=50/20/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール=70/20/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール=60/20/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=70/10/10/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール=65/20/10/5(質量部)、
ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)。
次に、本発明において好ましく用いられるセルロースアシレートの溶液を作製するに際して、好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し、流延・製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ペンチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン及びアセチル酢酸メチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。
すなわち、非塩素系溶媒としては、上記非塩素系有機溶媒を主溶媒とする混合溶媒が好ましく、互いに異なる3種類以上の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも1種又はそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数4〜7のケトン類又はアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒が炭素数1〜10のアルコール又は炭化水素、より好ましくは炭素数1〜8のアルコールから選ばれる混合溶媒である。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチル又はこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合溶媒であってもよい。
酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=75/10/5/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=81/8/7/4(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=82/10/4/4(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=80/10/4/6(質量部)、
酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール=75/8/5/5/7(質量部)、
酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール=80/7/5/8(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/ブタノール=85/10/5(質量部)、
酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール=60/15/14/5/6(質量部)、
酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン=70/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール=50/20/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/1、3−ジオキソラン/メタノール/エタノール=70/20/5/5(質量部)、
酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール=60/20/10/5/5(質量部)、
酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン=65/10/10/5/5/5(質量部)、
アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール=65/20/10/5(質量部)、
アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)、
アセトン/1,3−ジオキソラン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5(質量部)、
1、3−ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=55/20/10/5/5/5(質量部)
などをあげることができる。
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=81/8/7/4(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加する方法、
酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール=84/10/4/2(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加する方法、
酢酸メチル/アセトン/エタノール=84/10/6(質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、濾過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加する方法、
セルロースアシレートの溶液は、前記有機溶媒にセルロースアシレートを溶解させた溶液であり、その濃度は10〜30質量%の範囲であることが、製膜流延適性の点で好ましく、より好ましくは13〜27質量%であり、特に好ましくは15〜25質量%である。
セルロースアシレート溶液をこのような濃度範囲にする方法は、溶解する段階で所定の濃度になるようにしてもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に、後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法でも本発明において好ましく用いられるセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
次に、セルロースアシレートの流延・製膜用の溶液(ドープ)の調製について述べる。
セルロースアシレートの溶解方法は、特に限定されず、室温溶解法でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解法、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、さらに特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法として記載されている。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、前記セルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて製膜を行うことにより得ることができる。製膜方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して、巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
セルロースアシレート溶液は、金属支持体としての平滑なバンド上又はドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口から、セルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて、積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってフィルム化することもでき、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。さらに、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高粘度及び低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す、セルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭61−94724号及び特開昭61−94725号の各公報に記載の、外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。あるいはまた2個の流延口を用い、第一の流延口により金属支持体上に形成したフィルムを剥離した後、そのフィルムの金属支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、複数の層のフィルムを作製することもでき、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法を挙げることができる。流延するセルロースアシレート溶液は、同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく、特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるためには、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、粘着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
セルロースアシレートフィルムの製造に係わる、金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラム又はベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム又はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム又はベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
本明細書において、Reλ、Rthλは、それぞれ波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。これらの値はポリマーフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合に重量な値となる。Reλは“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}において、波長λnmの光をフィルムの法線方向に入射させて測定される。Rthλは、前記Reλ、面内の遅相軸(“KOBRA 21ADH”により判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して+50°から−50°まで10°おきにリターデーション値を測定し、測定したレターデーション値を基に“KOBRA 21ADH”が算出する。
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)。
また、これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHによりnx(遅相軸方向の屈折率)、ny(進相軸方向の屈折率)、nz(厚み方向の屈折率)を算出する。また“KOBRA 21ADH”は、面内の遅相軸を傾斜軸とした場合の、フィルム内部を伝播する光に対してレターデーション値が最小となるフィルム法線方向に対する角度βも算出する。
数式(2):0nm≦Re590≦200nm
数式(3):0nm≦Rth590≦400nm
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。]
数式(8):0≦Re590≦10
数式(9):|Rth590|≦25
数式(10):|Re400−Re700|≦10
数式(11):|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Re590、Rth590は、波長λ=590nmにおける値、Re400、Rth400は、波長λ=400nmにおける値、Re700、Rth700は、波長λ=700nmにおける値(いずれも単位:nm)である。]
2枚型の場合、Re590は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth590については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re590は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth590については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
含水率の測定法は、セルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを、水分測定器、試料乾燥装置{“CA−03”、“VA−05”、共に三菱化学(株)}を用いてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
数式(13):80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm。
の寸法をピンゲージで測定した値L10%とから、次の数式(14)により求めた。
数式(14):(L80%−L10%)/(80%RH−10%RH)×106
ヘイズの測定は、セルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}でJIS K−6714に従って測定する。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料10mm×100mmの、長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター“M150”{日本分光(株)}で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
図1は、偏光板と光学補償機能(位相差)を有するポリマーフィルムTAC1のセルロースアシレート層の貼り合わせを模式的に示した図であって偏光子1は、配向層を有しており直線偏光が発生するように作成作製されている。偏光子1の透過軸2の方向にあわせて光学補償機能を有するポリマーフィルムTAC1のセルロースアシレート層の遅相軸が合わせられ、その形で重ねあわされる。光学補償機能を有するポリマーフィルムは保護膜3を兼ねていることが好ましい。
図2は、本発明に関する偏光板の断面構造を模式的に示す図である。偏光板は、光学補償機能(位相差)を有するポリマーフィルムTAC1から構成されていて液晶セル側の保護膜をかねており、偏光子11が積層されている。偏光子11の上に液晶セルとは反対側の保護膜13としてポリマーフィルムTAC2を設けてあり、その上に光学機能性膜層14(例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層など)が設けられとた構成となっている。
図3は、本発明の液晶表示装置の断面構造を模式的に示す図である。矢印50は視認側を、矢印60はバックライト側を示しており、VAモード液晶セル40の視認側には偏光子21、光学補償機能を有する液晶セル側保護膜22、液晶セルとは反対側の保護膜23からなる視認側偏光板が設けられ、VAモード液晶セル40のバックライト側には、偏光子31、光学補償機能を有する液晶セル側保護膜32、液晶セルとは反対側の保護膜33からなるバックライト側偏光板が設けられている。上記の光学補償機能を有する液晶セル側保護膜22と23は同じものでもよいし、異なるものでもよい。
式(1) γA d≧30mN/m
式(2) γA p≧10mN/m
式(3) γB d<35mN/m
式(4) γB p<15mN/m
γ=γd+γp
分散力成分は分子の無極性部分に起因する分子同士の長距離レンジに及ぶ引力であり、極性力成分は分子の極性部分に起因する比較的ショートレンジの引力である。有機物質の多くは総体としては電気的に中性であるが、微視的には原子の電気陰性度の違いに起因して、分子中に電荷の偏りを生じる極性部分(永久双極子)を有するものがある。永久双極子同士は相互作用(Keesom相互作用)を持ち、これが前記極性力成分を引き起こす。また、無極性分子の集団中に永久双極子が存在する場合には、これが無極性分子を誘起して誘起双極子を生じさせる。これらの間には、永久双極子−誘起双極子(Debye)相互作用が働く。したがって、極性力成分はカルボニル基やヒドロキシル基などの極性の強い基を有する分子で大きく、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂などが大きな値を示す。さらに、無極性分子でも分子内電子の移動が瞬間的な双極子を発生させ、他の分子を分極させて分散力(London)相互作用を起こす。したがって、分散力は電子移動性に富む共役結合を多く含む分子ほど大きくなり、ポリアセチレンやポリブタジエンなどが大きな値を示す。分散力成分、極性力成分共にフッ素原子を含む分子では小さく、アクリル樹脂やメタクリル樹脂で水素原子をフッ素原子に置換したものが例として挙げられる。2つの層の表面同士を接触させ接着させるためには、2つの表面の表面エネルギーを等しくすることによって接触面の界面の過剰エネルギーを実質的に消去させてしまうことが好ましい。接着力を高めるためには2つの表面の分散力成分、極性力成分がそれぞれ等しいことがさらに好ましい。
表面エネルギーの分散力成分と極性力成分の見積もりは、分散力成分と極性力成分が既知の複数の液体の測定対象固体上における接触角の測定によって行うことができる。その一例は、水(H2O)と塩化メチレン(CH2Cl2)の接触角から下記2式の連立方程式を解くことにより求めるOwensらの方法(D.K.Owens and R.C.Wendt:J.Appl.Polym.Sci,13,1941(1969))が提案されている。
1+cosθH2O=2×(γs d)0.5×(γH2O d)0.5/γH2O+2×(γs p)0.5×(γH2O p)0.5/γH2O
1+cosθCH2Cl2=2×(γs d)0.5×(γCH2Cl2 d)0.5/γCH2Cl2+2×(γs p)0.5×(γCH2Cl2 p)0.5/γCH2Cl2
ここで、θH2OおよびθCH2Cl2はそれぞれ固体S上の水と塩化メチレンの接触角、γs d、γH2O d、γCH2Cl2 dはそれぞれ固体S、水、塩化メチレンの分散力成分、γs p、γH2O p、γCH2Cl2 pはそれぞれ固体S、水、塩化メチレンの極性力成分である。γH2O d、γCH2Cl2 d、γH2O p、γCH2Cl2 pは既知の値であり、それぞれ21.8mN/m、49.5mN/m、51.0mN/m、1.3mN/mである。
本発明では、ポリマーフィルム上に、少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層されてなる反射防止層、又は保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に設けられる。以下にそれらの好ましい例を記載する。なお前者の構成では、一般的に鏡面反射率は1%以上となり、Low Reflection(LR)フィルムと呼ばれる。後者の構成では、鏡面反射率0.5%以下を実現するものが可能となり、Anti―Reflection(AR)フィルムと呼ばれる。
ポリマ−フィルム上に、光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層(LRフィルム)の好ましい例について述べる。
光散乱層には、マット粒子が分散されているのが好ましく、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明において光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、一層でもよいし、複数層、例えば二層〜四層で構成されていてもよい。
本発明で用いることができる低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.20〜1.49であり、更に好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式(19)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(19):(m/4)λ×0.7<nLdL<(m/4)λ×1.3
式中、mは正の奇数であり、nLは低屈折率層の屈折率であり、そして、dLは低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
低屈折率層は、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。
フッ素ポリマーとしては、動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90〜120゜、純水の滑落角が70゜以下の、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明に関する偏光板を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、引張試験機で測定した場合、該剥離力が500gf以下であることが好ましく、300gf以下であることがより好ましく、100gf以下であることが最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど傷がつき難く、該表面硬度は0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
光散乱層は、表面散乱及び内部散乱の少なくともいずれかによる光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、及び必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。また、このような光散乱層を設けることにより、該光散乱層が防眩層としても機能し、偏光板が防眩層を有することになる。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
次にポリマーフィルム上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層された反射防止層(ARフィルム)について述べる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>保護膜の屈折率>低屈折率層の屈折率
さらに各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化膜からなる。
更に好ましい材料としては、ラジカル重合性及びカチオン重合性の少なくともいずれかの重合性基を2個以上有する多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有する有機金属化合物を含有する組成物、及びその部分縮合体を含有する組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が挙げられ、例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましい。より好ましくは1.30〜1.50である。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ(ペルフルオロアルキルエーテル)基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
ハードコート層は、反射防止層を設けたポリマーフィルムに物理強度を付与するために、ポリマーフィルムの表面に設ける。特に、ポリマーフィルムと前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性化合物における硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましい。また加水分解性官能基含有の有機金属化合物や有機アルコキシシリル化合物も好ましい。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
さらに、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
帯電防止層を設ける場合には、体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属として、Zn、Ti、Sn、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W又はVをあげることができ、これらを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。
光学異方性層は、液晶性化合物、非液晶性化合物、無機化合物、有機/無機複合化合物等、材料は限定されない。液晶性化合物としては、重合性基を有する低分子化合物を配向させた後に光または熱による重合により配向を固定化するものや、液晶性高分子を加熱し配向させた後に冷却しガラス状態で配向固定化するものを使うことができる。液晶性化合物としては円盤状構造を有するもの、棒状構造を有するもの、光学的二軸性を示す構造を有するものを使うことができる。非液晶性化合物としては、ポリイミド、ポリエステル等の芳香族環を有する高分子を使うことができる。
光学異方性層の形成方法は、塗布、蒸着、スパッタリング等種々の手法を使用することができる。
偏光板の保護膜の上に光学異方性層を設ける場合、粘着層は偏光子側からさらに該光学異方性層の外側に設けられる。
また、ポリマーフィルム2、9、10及び11は「参考例」と読み替えるものとする。
はじめに、本実施例に用いた物性試験方法や性能評価方法について記す。
(残留溶剤量の測定)
ウェブの質量をM、ウェブを140℃で2時間乾燥させた後の質量をNとする、下記式から残留溶剤量を算出した。
[残留溶剤量]=(M−N)/N×100 (質量%)
ポリマー材料の表面張力、表面張力の分散力成分γd、表面張力の極性力成分γpは水と塩化メチレンの接触角からOwensらの方法(D.K.Owens and R.C.Wendt:J.Appl.Polym.Sci,13,1941(1969))により算出した。
JIS K5600-5-6に従いクロスカット法によりポリマーフィルムと光学機能層の密着試験を行った。剥離しにくいもの:分類0〜剥離しやすいもの:5の6段階で評価した。
黒い布を被せた台の上に光学機能層を上面にして光学フィルムを広げ、蛍光灯下で観察し、光学フィルムに映り込んだ蛍光灯の明かりの蛍光管の形の乱れ方の程度を目視観察し、評価基準見本と比較して1点(悪い)〜5点(良い)の5段階の点数を付けた。
ポリマーフィルムの幅方向に関して厚みムラを触針式の連続厚み測定器(アンリツ(株)製)で測定した。幅方向1.3m内の山部分の間隔の平均をピッチ、隣りあった山の高さと谷の深さの差の平均を高さとした。さらに、高さをピッチで除したものを厚みムラの傾斜とした。
(実施例1)ポリマーフィルム1の製膜
(1)表面張力が45mN/m以上のポリマー層Aのドープの調製
[1−1.セルロースアシレート溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA1は表1に記載のものを使用した。また本発明でポリマーフィルム作製に用いる材料の表面エネルギーを表2に示した。
セルロースアシレートCA1 100.0質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記セルロースアシレート溶液 10.3質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。下記の紫外線吸収剤UV1は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチ ルフェニル]ベンゾトリアゾール]、UV2は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ− アミルフェニル]−5−クロルベンゾトリアゾール]を意味する。
UV1 14.0質量部
UV2 6.0質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
[2−1.ポリマー溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA6は表1に記載のものを使用した。
セルロースアシレートCA6 92.0質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したポリマー溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記ポリマー溶液 10.3質量部
上記のドープを、二層共流延ダイを用いてバンド流延機で流延した。巻き取り時のポリマーフィルムにおいて、表面張力が45mN/m以上のポリマー層Aの厚みは平均77μm、表面張力が20mN/m以上45mN/m未満の層Bの厚みは平均3μmとなるように調整した。残留溶媒量が60質量%でバンドから剥ぎ取った共流延ポリマーフィルムを、120℃の雰囲気下で、テンターを用いて5%延伸倍率で幅方向に延伸して、テンター離脱後に130℃で20分間乾燥させポリマーフィルム1を製膜した。巻取り部前で両端部を切り落として幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。ポリマーフィルム1の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例1のセルロースアシレートCA1の代りにセルロースアシレートCA2を用い、セルロースアシレートCA6の代りにポリエチルアクリレート(数平均分子量=32000)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリマーフィルム2を作製した。セルロースアシレートCA2およびポリエチルアクリレートの表面エネルギーを表2に示した。ポリマーフィルム2の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例1のセルロースアシレートCA1の代りにセルロースアシレートCA3を用い、セルロースアシレートCA6の代りにCAB1を用いた以外は実施例1と同様にしてポリマーフィルム3を作製した。ポリマーフィルム3の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例1のセルロースアシレートCA6の代りにCA3を用いた以外は実施例1と同様にしてポリマーフィルム4を作製した。ポリマーフィルム4の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例1で表面張力が20mN/m以上45mN/m未満の層Bを設けなかった以外は実施例1と同様にしてポリマーフィルム5を作製した。ポリマーフィルム5の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例2で表面張力が20mN/m以上45mN/m未満の層Bを設けなかった以外は実施例2と同様にしてポリマーフィルム6を作製した。ポリマーフィルム6の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例3で表面張力が20mN/m以上45mN/m未満の層Bを設けなかった以外は実施例2と同様にしてポリマーフィルム7を作製した。ポリマーフィルム7の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
(1)表面張力が45mN/m以上のポリマー層Aのドープの調製
[1−1.セルロースアシレート溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA1は表1に記載のものを使用した。また本発明でポリマーフィルム作製に用いる材料の表面エネルギーを表2に示した。
セルロースアシレートCA1 100.0質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記セルロースアシレート溶液 10.3質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。下記の紫外線吸収剤UV1は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチ ルフェニル]ベンゾトリアゾール]、UV2は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ− アミルフェニル]−5−クロルベンゾトリアゾール]を意味する。
UV1 14.0質量部
UV2 6.0質量部
メチレンクロリド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
[2−1.ポリマー溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA6は表1に記載のものを使用した。
セルロースアシレートCA6 92.0質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したポリマー溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記ポリマー溶液 10.3質量部
(3)表面張力が50mN/m以上75mN/m以下の層Cのドープの調整
[3−1.ポリマー溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA3は表1に記載のものを使用した。
セルロースアシレートCA3 92.0質量部
メチレンクロリド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
次に、上記方法で作製したポリマー溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
上記ポリマー溶液 10.3質量部
上記のドープを、三層共流延ダイを用いてバンド流延機で流延した。巻き取り時のポリマーフィルムにおいて、表面張力が45mN/m以上のポリマー層Aの厚みは平均74μm、表面張力が20mN/m以上45mN/m未満の層Bの厚みは平均3μm、表面張力が50mN/m以上75mN/m以下の層Cの厚みは平均3μmとなるように調整した。残留溶媒量が60質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、120℃の雰囲気下で、テンターを用いて20%延伸倍率で幅方向に延伸して、テンター離脱後に130℃で20分間乾燥させポリマーフィルム8を製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。ポリマーフィルム8の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
(実施例5)ポリマーフィルム9の製膜
(1)ポリマー層Aのドープの調製
[1−1.セルロースアシレート溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。 セルロースアシレートCA4は表1に記載のものを使用した。
セルロースアシレートCA4 100.0質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロリド 303.4質量部
メタノール 58.5質量部
1−ブタノール 2.2質量部
次に、上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。下記の紫外線吸収剤UV1は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチ ルフェニル]ベンゾトリアゾール]、UV2は2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ− アミルフェニル]−5−クロルベンゾトリアゾール]を意味する。
UV1 14.0質量部
UV2 6.0質量部
メチレンクロリド 55.6質量部
メタノール 10.7質量部
1−ブタノール 0.4質量部
上記セルロースアシレート溶液 12.8質量部
[2−1.ポリマー溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。
エチルセルロース 92.0質量部
メチレンクロリド 303.4質量部
メタノール 58.5質量部
1−ブタノール 2.2質量部
次に、上記方法で作製したポリマー溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 69.1質量部
メタノール 13.3質量部
1−ブタノール 0.5質量部
上記ポリマー溶液 10.3質量部
[3−1.ポリマー溶液]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。
セルロースアシレートCA3 92.0質量部
メチレンクロリド 303.4質量部
メタノール 58.5質量部
1−ブタノール 2.2質量部
次に、上記方法で作製したポリマー溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm) 2.0質量部
“aerosil R972”{日本アエロジル(株)製}
メチレンクロリド 69.1質量部
メタノール 13.3質量部
1−ブタノール 0.5質量部
上記ポリマー溶液 10.3質量部
上記のドープを、三層共流延ダイを用いてドラム流延機で流延した。巻き取り時のポリマーフィルムにおいて、表面張力が45mN/m以上のポリマー層Aの厚みは平均74μm、表面張力が45mN/m未満の層Bの厚みは平均3μm、表面張力が55mN/m以上の層Cの厚みは平均3μmとなるように調整した。残留溶媒量が150質量%でドラムから剥ぎ取ったフィルムを、50℃〜140℃まで連続的に温度を変化させたゾーン内でウェブをテンターで保持し、テンター離脱後に140℃で20分間乾燥させポリマーフィルム9を製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。ポリマーフィルム9の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例5のセルロースアシレートCA4の代りにセルロースアシレートCA5を用い、エチルセルロースの代りにポリ(n−ヘキシルメタクリレート)を用いた以外は実施例5と同様にしてポリマーフィルム10を作製した。ポリマーフィルム10の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例5のエチルセルロースの代りにポリビニルブチレートを用いた以外は実施例5と同様にしてポリマーフィルム11を作製した。ポリマーフィルム11の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例5のエチルセルロースの代りにセルロースアシレートCA4を用い、セルロースアシレートCA3の代りにセルロースアシレートCA4を用いた以外は実施例5と同様にしてポリマーフィルム12を作製した。ポリマーフィルム12の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
実施例6のポリ(n−ヘキシルメタクリ-レート)の代りにセルロースアシレートCA5を用い、セルロースアシレートCA3の代りにセルロースアシレートCA5を用いた以外は実施例6と同様にしてポリマーフィルム13を作製した。ポリマーフィルム13の厚みムラのピッチ、高さ、傾斜、表面エネルギーを測定した。結果を表3に示す。
(実施例8)反射防止層を有する保護膜(保護膜1)の作製
[光散乱層用塗布液の調製]
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}50gをシクロヘキサノン(表面張力34.5mN/m)38.5gで希釈した。更に、重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51、表面エネルギーは35.1mN/mであった。
フッ素系表面改質剤(FP−1)
まず始めに、次のようにしてゾル液aを調製した。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
実施例1で作製したポリマーフィルム1をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する、直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60μで150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの機能層を形成し、巻き取った。
実施例8の光散乱層用塗布液に用いたシクロヘキサノンを全てトルエン(表面張力29mN/m)に変え、またポリマーフィルム1をポリマーフィルム2に変え、その他は実施例8と同様にして反射防止層を有する保護膜2を作製した。保護膜2のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム3に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜3を作製した。保護膜3のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム4に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜4を作製した。保護膜4のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム5に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜5を作製した。保護膜5のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム6に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜6を作製した。保護膜6のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム7に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜7を作製した。保護膜7のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例9のポリマーフィルム2をポリマーフィルム8に変え、その他は実施例9と同様にして反射防止層を有する保護膜8を作製した。保護膜8のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
[ハードコート層用塗布液の調製]
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA){日本化薬(株)製}750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)(PGA)270.0質量部、シクロヘキサノン1230.0g及び光重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}50.0gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、且つ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子“MPT−129”{石原産業(株)製}を使用した。
上記の二酸化チタン分散液88.9gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”58.4g、光重合開始剤「イルガキュア907」3.1g、光増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}1.1g、メチルエチルケトン482.4g及びシクロヘキサノン1869.8gを添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液586.8gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}47.9g、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}4.0g、光増感剤「カヤキュアー−DETX」{日本化薬(株)製}1.3g、メチルエチルケトン455.8g、及びシクロヘキサノン1427.8gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
下記共重合体(P−1)を、メチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂“X−22−164C”{信越化学(株)製}を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤「イルガキュア907」(商品名)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
実施例4で作製したポリマーフィルム9上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。前記ハードコート層の表面エネルギーは35.1mN/mであった。
実施例11のハードコート層用塗布液に用いたシクロヘキサノンを全てトルエン(表面張力29mN/m)に変え、またポリマーフィルム9をポリマーフィルム10に変え、その他は実施例11と同様にして反射防止層を有する保護膜10を作製した。保護膜10のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例12のポリマーフィルム10をポリマーフィルム11に変え、その他は実施例12と同様にして反射防止層を有する保護膜11を作製した。保護膜11のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例12のポリマーフィルム10をポリマーフィルム12に変え、その他は実施例12と同様にして反射防止層を有する保護膜12を作製した。保護膜12のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
実施例12のポリマーフィルム10をポリマーフィルム13に変え、その他は実施例12と同様にして反射防止層を有する保護膜13を作製した。保護膜13のポリマーフィルムと光学機能層間の密着および光学フィルムのムラを評価した。結果を表3に示す。
(実施例14)偏光板の作製(偏光板1〜13)
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
上記実施例および比較例で作製した保護膜1〜13及び市販のセルロースアシレートフィルムフジタックTDY80ULを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った保護膜と市販のセルロースアシレートフィルム一対として前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。
アクリル酸ブチル100質量部、アクリル酸5質量部、2、2’−アゾビスブチロニトリル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してアクリル系共重合体溶液を得た。前記アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、1質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
上記粘着剤の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に転写した。このようにして、保護膜1〜13を用いた偏光板1〜13を作製した。
実施例14で作製した偏光板を、32”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように長方形に打抜いた。VAモードの液晶TV“LC―32GD3”{シャープ(株)製}の、表の偏光板を剥し、表側に実施例14で作製した偏光板を貼り付け、LCD1〜13を作製した。偏光板貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。
(偏光子の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
市販のセルロースアシレートフィルムフジタックTDY80ULを、濃度1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、濃度0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
上記のように鹸化処理を行った市販のセルロースアシレートフィルムと上記実施例および比較例で作製した鹸化処理を行っていない保護膜1〜13を一対として前記の偏光子を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を作製した。
アクリル酸ブチル100質量部、アクリル酸5質量部、2、2’−アゾビスブチロニトリル0.5質量部をモノマー濃度60質量%となるように酢酸エチルに溶解した後、60℃で8時間重合してアクリル系共重合体溶液を得た。前記アクリル系共重合体の固形分100質量部に対して、1質量部のイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を加えて十分に攪拌し粘着剤溶液を作製した。
偏光板への粘着層の塗設は次のように行った。
上記粘着剤の溶液を、25μm厚のPETフィルム上にダイコーターを用いて塗布した後、乾燥させた。ここで、乾燥後の粘着層の厚さが25μmとなるように調整した。さらに、PETフィルム上に塗設された粘着層を上記で作製した偏光板に転写した。このようにして、保護膜1〜13を用いた偏光板14〜26を作製した。
実施例14及び実施例16で作製した偏光板1〜26を32”ワイドのサイズで偏光子の吸収軸が長辺となるように長方形に打抜いた。前記偏光板を無アルカリガラス板(#1737、コーニング製)に貼り付け、貼り付け後、50℃5kg/cm2で20分間保持し、接着させた。ガラス板に貼り付けた偏光板を60℃90%RHおよび80℃で湿度成行き条件に1000時間保管し、1000時間後に常温常湿環境に取り出し、偏光子と保護膜との間の剥離の有無を観察した。その結果を表4に示した。
2:透過軸
3:TAC1:光学補償機能を有するポリマーフィルム
4:遅相軸
11:偏光子
12:光学補償機能を有するポリマーフィルム(液晶セル側保護膜)
13:液晶セルとは反対側の保護膜
14:機能性膜(ハードコート層、防眩層、反射防止層)
(22−21−23:視認側偏光板)
21:偏光子
22:TAC1:液晶セル側保護膜
23:TAC2:液晶セルとは反対側の保護膜
(32−31−33:バックライト側偏光板)
31:偏光子
32:TAC3:液晶セル側保護膜
33:TAC2:液晶セルとは反対側の保護膜
40:VAモード液晶セル
50:視認側
60:バックライト側
Claims (21)
- 表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層A上に、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されているポリマーフィルムであって、
該層Bが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(11)、(12)を満たすことを特徴とするポリマーフィルム。
数式(11):2.95≦A+B<3.0
数式(12):0≦B≦0.5
(ただし、式(12)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。) - 表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層A上に、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されているポリマーフィルムであって、
該層Bが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(13)、(14)を満たすことを特徴とするポリマーフィルム。
数式(13):2.5≦A+B<3.0
数式(14):0.5<B - 表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bの厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
- 表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層A上に、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されているポリマーフィルムであって、表面エネルギーが45mN/m以上のポリマー層Aの表面エネルギーの分散力成分γAd、極性力成分γAp、表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bの表面エネルギーの分散力成分γBd、極性力成分γBpがそれぞれ下記式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
式(1)γAd≧30mN/m
式(2)γAp≧10mN/m
式(3)γBd<35mN/m
式(4)γBp<15mN/m - 上記ポリマー層Aの表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 表面エネルギーが20mN/m以上45mN/m未満の層Bが形成されている面と反対の面にさらに表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層Cが形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 表面エネルギーが50mN/m以上75mN/m以下の層Cの表面エネルギーの分散力成分γCd、極性力成分γCpがそれぞれ下記式(5)、(6)を満たすことを特徴とする請求項6に記載のポリマーフィルム。
式(5)γCd≧30mN/m
式(6)γCp≧20mN/m - 上記層B上に光学機能層を塗布により形成したポリマーフィルムであって、層Bが有する表面エネルギーγBと該光学機能層の塗布液の溶剤の表面張力γLが下記式(7)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
式(7)γL≦γB≦γL+10 - 上記層B上に光学機能層を塗布により形成したポリマーフィルムであって、層Bが有する表面エネルギーγBと該光学機能層を形成するポリマー成分の表面エネルギーγPが下記式(8)を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
式(8)γP−10≦γB≦γP+10 - 上記層Bおよび層Cが共流延で形成されたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 上記ポリマー層Aが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(9)、(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
数式(9):2.5≦A+B<2.95
数式(10):0≦B
(ただし、式(10)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。) - 上記層Bが、(メタ)アクリル酸エステルポリマーまたはビニルエステルポリマーの炭素原子数が2以上の置換基を有するポリマーからなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 上記層Cが、セルロースの水酸基がアセチル基及び炭素原子数3以上のアシル基で置換された、セルロースの混合脂肪酸エステルであるセルロースアシレートを主たるポリマー成分とするセルロースアシレートフィルムであって、該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aと、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bとが下記数式(15)、(16)を満たすことを特徴とする請求項6〜12のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
数式(15):0.5≦A+B<2.2
数式(16):0≦B
(ただし、式(16)においてB=0の場合、前記混合脂肪酸エステルは前記セルロースの水酸基がアセチル基のみで置換された脂肪酸エステルである。) - ポリマーフィルムの厚みムラがピッチ5mm以上、高さ3μm以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- ポリマーフィルムの厚みムラの傾斜が0.3μm/mm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のポリマーフィルム。
- ポリマーフィルムが延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- ポリマーフィルムが溶液流延により製膜されたものであり、支持体から剥離されるときの残留溶剤量が100質量%以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 光学機能層とポリマーフィルムの密着がJIS K5600−5−6に定められたクロスカットセロテープ(登録商標)剥離試験で2点以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 光学機能層が反射防止層、防眩層、ハードコート層、光学異方層のうちのいずれか、または前記のこれらの複数層が積層された層であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
- 偏光子を保護フィルムで狭持してなる偏光板であって、保護フィルムの少なくとも一方が請求項19に記載のポリマーフィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セルの少なくとも一方に偏光板を配置してなる液晶表示装置であって、偏光板のうち少なくとも一枚が請求項20に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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