JP2007119717A - セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Shusuke Hayashi
秀典 林
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Abstract

【課題】弾性率の高いセルロースアシレートフィルムを提供すること、および、温度や湿度変化によって端部の光り抜けが発生せず、また視野角特性変化が少なく環境湿度変化によって光学特性の変化と色味変化の少ない液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】フィルム製造時の搬送方向、または搬送方向と直交する方向の少なくともいずれか一方の弾性率が4800MPa以上10000MPa以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は液晶セル内の液晶の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は、液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許第2587398号公報ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In-Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
セルロースアシレートフィルムは、他のポリマーフィルムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)との特徴がある。従って、光学的等方性が要求される用途、例えば偏光板には、セルロースアセテートフィルムを用いることが普通である。特許文献1には、セルロースアセテートの粘度平均重合度とこれを溶剤に溶解したドープの粘度との関係を規定して、不溶解物が少なく透明度の高いセルロースアセテートフィルムの製法が示されている。また特許文献2では、ダイスジと呼ばれる面状故障を解消するために、セルロースアセテートフィルムの厚さd、セルロースアセテート製膜溶液の固形分濃度y(%)及び該溶液粘度ρの好ましい関係が開示されている。
一方、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルム)には、逆に光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される。特にVA用の光学補償シートでは30乃至200nmの面内レターデーション(Re)、70乃至400nmの厚さ方向レターデーション(Rth)が必要とされる。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフィルムやポリスルホンフィルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフィルムを用いることが普通であった。
以上のように光学材料の技術分野では、ポリマーフィルムに光学的異方性(高いレターデーション値(Re、Rth))が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースアセテートフィルムを使用することが一般的な原則であった。
特許文献3には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフィルムが開示されている。該特許ではセルローストリアセテートで高いレターデーション値を実現するために、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物、中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加し、延伸処理を行っている。
一般にセルローストリアセテートは延伸しにくい高分子素材であり、複屈折率を大きくすることは困難であることが知られているが、添加剤を延伸処理で同時に配向させることにより複屈折率を大きくすることを可能にし、高いレターデーション値(Re、Rth)を実現している。このフィルムは偏光板の保護膜を兼ねることができるため、安価で薄い液晶表示装置を提供することができる利点がある。
上記特許文献に記載の方法は、安価でかつ薄い液晶表示装置が得られる点で有効である。
一方、温度、湿度の変化に液晶表示装置が晒されると、偏光板の寸度変化が誘発され、ガラスセルが反る。ガラスセルが反ると端部がフレーム部分に接触し、接触部分で光りぬけが発生してしまう。反りの原因は主に偏光子の収縮による偏光板の寸度変化であるが、反りを抑制する方策として、偏光子の保護フィルムの剛性を高めることがあげられ、膜厚を厚くする、フィルムの弾性率を上げる等が挙げられる。ここで、剛性とは、膜厚と弾性率を掛け合わせたものである。現在偏光板の薄膜化が求められており、膜厚を極端に大きくすることができない。従って、弾性率の高いフィルムが求められていた。しかしながら、フィルムの物性制御は、視野角コントラスト、色味などの表示品位に関係する正面レターデーションや厚み方向レターデーションが最優先で行われ、弾性率は制御手法すら開発されておらず制御困難であった。
また上記光りぬけの問題はフィルムの搬送方向の弾性率とそれに直交する方向の弾性率との差が大きい場合、さらに顕著に観測される。
これは温度や湿度に対する寸度変化の大きさに異方性が生じることに由来するものであり、この点についても改良が求められていた。
特開2000−131524号公報 特開2001−129838号公報 欧州特許出願公開第911656号明細書
本発明の目的は、弾性率の高いセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明の第二の目的は、温度や湿度変化によって端部の光り抜けが発生せず、また視野角特性変化が少なく環境湿度変化によって光学特性の変化と色味変化の少ない液晶表示装置を提供することである。
セルロースアシレートフィルムは、ドープ調整・流延・延伸という流れで製造されるが、本発明者らが鋭意検討した結果、延伸条件を調整することで上記目的を達成することが出来ることを見いだし、本発見を完成するに至った。
特に、延伸条件の中でも延伸工程開始時の溶剤の含有率を特定の範囲とすることが弾性率を高めるのに有効である。または添加剤として水素結合性基二つ以上有する化合物、好ましくは水素結合性基と芳香族環をそれぞれ二つ以上有する化合物を添加し、さらに特定の延伸条件において延伸をおこなうことで膜厚を厚くしなくても、弾性率が高いためにフィルムの剛性を上げることができ、反りに伴う光りぬけが発生しない液晶表示装置を作製できる。
これらの目的は以下の手段によって達成された。
(1) フィルム製造時の搬送方向(MD)、または搬送方向(TD)と直交する方向の少なくともいずれか一方の弾性率が4800MPa以上10000MPa以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(2) 延伸工程開始時に溶剤を0〜20質量%含んでいることを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(3) 1.01〜3倍の倍率で延伸されていることを特徴とする(1)または(2)いずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(4) 70〜250℃で延伸されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(5) フィルム製造時の搬送方向(MD)の弾性率S(MD)と搬送方向と直交する方向(TD)の弾性率S(TD)の比が下記式を満たすことを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
0.95<S(MD)/S(TD)<1.05
(6) 水素結合性基を少なくとも二つ含む化合物を含有することを特徴とする(5)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(7) 1.01〜2倍の倍率で二軸延伸されていることを特徴とする(5)または(6)いずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(8) 少なくとも以下の工程、
セルロースアシレート溶液をドラム状金属支持体に流延する工程、
前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が60質量%以上のときにMDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が80質量%未満のときにTDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
を含む製造方法により製造されることを特徴とする(5)〜(7)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(9) 少なくとも以下の工程、
セルロースアシレート溶液をバンド状金属支持体に流延する工程、
前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が25質量%以上のときにMDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が25質量%未満のときにTDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
を含む製造方法により製造されることを特徴とする(5)〜(7)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(10) 正面レターデーションRe(λ)が20nm≦Re(590)≦200nm、膜厚方向のレターデーションRth(λ)が、70nm≦Rth(590)≦350nmであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(11) フィルムの膜厚が40〜150μmであることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(12) セルロースの水酸基をアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換して得られたセルロースの混合脂肪酸エステルからなるセルロースアシレートフィルムであって、アセチル基の置換度Aおよび炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bが下記式(I)および(II)をみたす(1)〜(11)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(I):2.0≦A+B≦3.0
式(II):0≦B
(13) 前記アシル基がブタノイル基であることを特徴とする(12)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(14) 前記アシル基がプロピオニル基であり、置換度Bが0.6以上であることを特徴とする(12)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(15) セルロースアシレートフィルムを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートからなるフィルムであって、グルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記式(III)および(IV)を満たすことを特徴とする(12)に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(III):2.0≦DS2+DS3+DS6≦2.85
式(IV) :DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
(16) セルロースアシレートフィルムがレターデーション発現剤を少なくとも1種含むことを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(17) セルロースアシレート100質量部に対し、レターデーション発現剤を0〜10質量部含有していることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(18) 可塑剤、紫外線吸収剤、及び剥離促進剤のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(19) (1)〜(18)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの上に、光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
(20) 液晶セルと偏光板を含む構成において、(1)〜(18)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは(19)の光学補償フィルムが液晶セル側の面に設置されていることを特徴とする偏光板。
(21) 液晶セルと偏光板を含む構成において、(1)〜(18)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは(19)の光学補償フィルムが空気側の面に設置されていることを特徴とする偏光板。
(22) 偏光板の液晶セルと反対側の面に配置される保護膜の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする(20)または(21)のいずれかに記載の偏光板。
(23) (1)〜(18)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは(19)の光学補償フィルム、及び(20)〜(22)のいずれかに記載の偏光板のうち少なくとも1枚を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(24) 液晶モードがVA方式であることを特徴とする(23)に記載の液晶表示装置。
本発明により、弾性率の高いセルロースアシレートフィルムを提供することができる。
また、本発明により、温度や湿度変化によって端部の光り抜けが発生せず、また視野角特性変化が少なく環境湿度変化によって光学特性の変化と色味変化の少ない液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[セルロースアシレートフィルム]
(弾性率)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムの製造時の搬送方向、または搬送方向と直交する方向の少なくともいずれか一方の弾性率が4800MPa以上10000MPa以下である。更に好ましくは5000MPa以上9000MPa以下であり、特に好ましくは5300MPa以上8500MPa以下である。偏光板の寸度変化が小さく、ガラスセルの反りに伴う光抜けが発生しない点で、フィルムの弾性率が4800MPa以上が好ましい。なお、フィルムの搬送方向、または搬送方向と直交する方向のどちらかの弾性率が4800MPa以上10000MPa以下であればよいが、搬送方向と直交する方向の両方の弾性率が4800MPa以上10000MPa以下であることが好ましく、搬送方向とそれに直交する方向の両方の弾性率が5300MPa以上8500MPa以下であることが更に好ましい。
また、光弾性効果による光ぬけを発生しない点で、搬送方向の弾性率(S(MD))とそれに直交する方向の弾性率(S(TD))が下記式に従うことが特に望ましい。
0.95<S(MD)/S(TD)<1.05
弾性率は、試料10mm×200mmを、25℃、60%RH、2時間調湿し、引張試験機(ストログラフーR2(東洋精機製))にて、初期試料長100mm、引張速度10mm/分で、引張初期の応力と伸びより算出することができる。
一般に、フィルムの弾性率は、セルロースアシレート鎖同士の結節点の数が多いと高くなる。これは結節点が多い状態で延伸を行う場合、延伸の力がセルロースアシレート鎖に効率良く伝わり、これによってセルロースアシレート鎖が効率良く配向、配向結晶化が促進されるためである。結節点とは、セルロースアシレート鎖同士が寄り集まって形成している微結晶部分のことである。
フィルム中の結節点の数を増やすための方法としては残留溶剤量が比較的少ない状態で延伸を行う方法、ポリマー鎖中へ結晶生成しやすい部位を導入する方法、あるいは非常に疎水的な溶剤組成にする方法などが挙げられる。それらの中では、現行の製造処方からの変更が少なくて済む点で、残留溶剤量が比較的少ない領域での延伸を行う方法が好ましい。延伸方法については、後で説明する。
また、フィルムの弾性率を高める別の手法として、添加剤の利用が挙げられる。高分子鎖との相互作用の小さい添加剤はフィルムの弾性率を低下させるが、相互作用の大きい化合物、特に相互作用点が複数ある化合物を添加した場合は、その化合物が高分子鎖同士を結びつける擬似架橋点となり、フィルムの弾性率が増大する。セルロースアシレートフィルムの場合、例えば水素結合性基が相互作用点として有効である。よって、本発明のフィルムを作製する上ではこのような弾性率向上剤として水素結合性基を二つ以上有する化合物を添加することが望ましく、水素結合性基と芳香族環をそれぞれ二つ以上有する化合物を添加することが特に望ましい。
前記弾性率向上剤がフィルム中でどちらかの表面に偏在した場合、カールの原因となる場合がある。また、偏在することにより弾性率向上剤濃度が局所的に大きくなりすぎてブリードアウトや結晶化、凝集によるヘイズの増加などの原因ともなる場合がある。このため、弾性率向上剤はフィルム中に均一に存在することが望ましい。本発明のフィルムは後述するように通常溶液流延法によって製膜される。製膜初期、フィルムは溶液流延用の支持体上で乾燥されるが、このとき空気側表面から乾燥が進むため、乾燥が進みすぎると、弾性率向上剤が支持体側に偏在してしまうことがある。これを防ぐために、残留溶媒量が多いときにフィルムを支持体から剥離することが望ましい。
(延伸)
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法については、後で詳述するが、セルロースアシレートフィルムを延伸する場合には、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理しても良いが、製膜工程の途中で延伸を行うことが好ましい。製膜工程の途中で延伸を行う場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行っても良い。残留溶剤量は、流延直後から延伸処理直前までの工程条件である乾燥温度、乾燥風量を調節することで制御が可能である。前述のように、残留溶剤量が比較的少ない領域での延伸を行う方法を採用することができる。その場合、延伸工程開始時の残留溶剤量が0乃至20質量%で好ましく延伸することができ、より好ましくは0乃至15質量%であり、特に好ましくは0乃至10質量%である。
延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく、同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。本発明のセルロースアシレートフィルムは、特定の弾性率であるため、1.01〜3倍の延伸が好ましく行われ、特定の好ましいレターデーションを発現させるためには、より好ましくは1.15〜2.8倍の延伸が、特に好ましくは1.30〜2.6倍延伸が行われる。フィルム破断の危険性が低い点で、3倍以下の延伸が好ましい。さらに、偏光板加工がロール・トゥー・ロールで行える点から、フィルムを幅方向により多く延伸することが好ましい。
前記の、残留溶剤量が少ない状態でも上記の倍率で延伸を行うためには、フィルムの温度が70〜250℃で延伸することが好ましく、より好ましくは80〜200℃であり、特に好ましくは100〜150℃である。破断伸度が大きく、高倍率の延伸ができる点で、70℃以上が好ましい。また、セルロースアシレート、添加剤等の分解を防止できる点で、250℃以下が好ましい。
前記弾性率向上剤を使用する場合は、先に弾性率の項で説明したように、溶液流延用の支持体上での乾燥時に空気側表面から乾燥が進むため、乾燥が進みすぎると弾性率向上剤が溶液流延用の支持体側に偏在してしまう場合があり、それによってカールやブリードアウト、ヘイズの増加などの問題が発生することを防ぐために、残留溶媒量が多いときにフィルムを支持体から剥離して、延伸に供することが望ましい。
また、弾性率の増大および弾性率異方性の制御のために二軸延伸を行うことが望ましい。二軸延伸は同時でも逐次二時延伸でもよいが、生産性の観点から連続生産を行える逐次二時延伸が好ましい。通常、MDへの延伸は搬送ローラーの回転速度の差で行い、TDへの延伸はテンターを用いて行う。搬送ローラーによる延伸は大応力を与えることが難しいため、MDへの延伸は小さな応力で大きな延伸を行えるように、残留溶媒量の多いときに延伸することが望ましい。また、テンターによる延伸は大きな応力を与えられるため、小さな延伸比でも弾性率の向上度が大きくなるように残留溶媒量が少ないときに延伸することが望ましい。
以上の理由から、セルロースアシレート溶液に貧溶媒としてアルコール系溶媒を15%以上含むドープを用いた製造法のときは残留溶媒量が40質量%以上のときにMDへの延伸を開始することが望ましく、60〜80質量%のときが特に望ましい。また残留溶媒量が80質量%未満のときにTDへの延伸を開始することが望ましく、5〜70質量%のときが特に望ましい。アルコール系溶媒を15%以上含むドープは、例えば、ドラム状金属支持体を用いる後述の製造法に好ましく用いることができる。
セルロースアシレート溶液に貧溶媒としてアルコール系溶媒を15%未満含むドープを用いた製造法のときは残留溶媒量が25質量%以上のときにMDへの延伸を開始することが望ましく、25〜50質量%のときが特に望ましい。また残留溶媒量が25質量%未満のときにTDへの延伸を開始することが望ましく、1〜20質量%のときが特に望ましい。アルコール系溶媒を15%未満含むドープは、例えば、バンド状金属支持体を用いる後述の製造法に好ましく用いることができる。
また、前記弾性率向上剤を使用する場合は、1.01〜2倍の延伸が好ましく行われ、より好ましくは1.01〜1.6倍、さらに好ましくは1.01〜1.4倍である。
(弾性率向上剤)
次に、本発明に係る弾性率向上剤について説明する。
弾性率向上剤としてはセルロースアシレート鎖間に擬似架橋点を形成するように水素結合性基を二つ以上有し可塑化効果の小さい構造の化合物が望ましい。しかし、水素結合性基が多くあるために親水的になりすぎると、フィルムの透水性が大きくなり偏光板の質熱耐久性が低下するとともに鹸化処理などの水系処理を行う際に弾性率向上剤が溶出してしまう問題が発生する。そのため、水素結合性基を2〜4個有し、かつ疎水性を高めるために芳香族環を二つ以上有することが特に望ましく、水素結合性基を2〜4個有し、芳香族環を3〜7個有することがもっとも好ましい。
本発明において、水素結合性基とは、水素原子を有し、該水素原子と他の電気陰度性度の高い官能基との間で水素結合を形成できる官能基であり、本発明における水素結合性基としてはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基が好ましく、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基等の官能基が特に好ましい。
本発明において該弾性率向上剤はセルロースアシレートフィルム中に1〜30%含まれることが望ましく、5〜20%がより好ましく、7〜16%が特に好ましい。
前記弾性率向上剤は水素結合性基を複数有し、セルロースアシレート鎖間に擬似架橋点を形成するため、弾性率向上の他に線熱膨張率を低減する効果がある。
前記弾性率向上剤は芳香族環によって適度な疎水性を有し、さらに水素結合性基が複数あることによってセルロースアシレート鎖同士を結び付けるので、水素結合性基を含まない化合物に比べて主鎖間隔を広げにくいので、フィルム中の自由体積部分が大きくなりにくく、フィルムの透水性を下げる効果がある。偏光板保護フィルムとして使用する場合、透水性は低い方が偏光子の耐久性が高まるため好ましいが、低すぎるのは製造時に偏光子が吸収した水分が抜けないため好ましくない。膜厚80μmで製膜したセルロースアシレートフィルムの場合、60℃95%RHにおいて透水度が100〜1300g/m・24時間であることが望ましく、150〜1200g/m・24時間であることが特に望ましく、200〜1000g/m・24時間であることがさらに望ましい。
一方、一般に可塑剤として用いられるりん酸エステル系化合物は前記低可塑性の点で不利であり、その含量は低いことが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルム中における、りん酸系化合物のセルロースアシレートに対する比率は5wt%以下が好ましく,2wt%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
上記りん酸系化合物としては、りん酸エステル系化合物が挙げられ、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)等の化合物が挙げられる。
本発明に係る弾性率向上剤の分子量は250以上2000以下が好ましい。またその沸点は260℃以上であることが好ましい。沸点は市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製))を用いて測定できる。
本発明の弾性率向上剤としてはさまざまな化合物が使用可能であるが、下記一般式(A)または(B)で表される化合物は特に好ましく使用できる。
一般式(A)
Figure 2007119717
一般式(A)中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基である。
一般式(B)
Figure 2007119717
一般式(B)中、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、ないしR36は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
まず、一般式(A)で表される化合物について詳しく説明する。
1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基を表すが、芳香族環または複素環がより好ましい。R1、R2、R3がそれぞれ表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R1、R2、R3は芳香環または複素環に置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基があげられる。
1、R2、R3が複素環基を表す場合、複素環は芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環とは、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記に挙げた置換基の例と同様である。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていても良い。
以下に本発明の一般式(A)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007119717
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Figure 2007119717
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次に一般式(B)の化合物について詳しく説明する。
式中、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、ないしR36は水素原子または置換基を表し、置換基としては以下の置換基Tが適用できる。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換基Tで置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R23、R24、R25、R32、R33、R34、R35、ないしR36のうち少なくとも二つは置換又は未置換のアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基であり、より好ましくはアミノ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。またその際、置換基は同じでも異なっても良い。
以下に本発明の一般式(B)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
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(セルロースアシレートフィルムの光学特性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学特性Reレターデーション値、Rthレターデーション値がそれぞれ、以下の式(V)及び(VI)を満たすことが好ましい。
(V):20nm≦Re(590)≦200nm
(VI):70nm≦Rth(590)≦350nm
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
レターデーション値Re(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定することができる。また、Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、KOBRA 21ADHが算出する。平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し、Re(λ)、Rth(λ)を算出した。
さらに好ましくは、下記式(VII)及び(VIII)を満たすことである。
(VII) :50nm≦Re(590)≦100nm
(VIII) :160nm≦Rth(590)≦300nm
上記のRe(590)Rth(590)を持ったフィルムとすることで、液晶表示装置用光学補償シートとして好ましく用いることができる。
全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
(膜厚)
本発明では、出来上がり(乾燥後)のセルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、40〜150μmの範囲が好ましく、より好ましくは70〜140μmであり、80〜130μmが最も好ましい。フィルムが薄すぎず、剛性が保たれるため、40μm以上が好ましい。また、フィルム部材を少しでも薄くしたいというパネルメーカーからの要求があり、150μm以下が好ましい。
(セルロースアシレート)
本発明において用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。本発明においては異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いても良い。
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基をアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換して得られたセルロースの混合脂肪酸エステルであって、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(I)及び(II)を満たすセルロースアシレートであることが好ましい。
数式(I):2.0≦A+B≦3.0
数式(II):0≦B
ここで、式中、A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子数3以上のアシル基の置換度である。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、水酸基のAとBとの置換度の総和(A+B)は、上記式(I)に示すように、2.0〜3.0であり、好ましくは2.2〜2.9であり、特に好ましくは2.40〜2.85である。また、Bの置換度は上記式(II)に示すように、0以上の値であり、0.6以上が好ましい。
A+Bが2.0未満であると親水性が強くなり、レターデーション値が環境湿度の影響を受けやすくなってしまい、様々な環境で使われる可能性がある液晶表示装置用の部材としては不適当である。
B>0のとき、セルロースアシレートの6位水酸基のAとBの置換度の総和が0.6以上であるのが好ましく、さらには0.75以上が、特には0.85以上が好ましい。さらに、Bはその28%以上が6位水酸基の置換度であるのが好ましいが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換度であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換度であることが好ましい。
上記炭素原子数3以上のアシル基としては、脂肪族アシル基でもアリールアシル基でもよく特に限定されない。本発明に用いられるセルロースアシレートは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。アシル基の好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
また、プロピオニル基の場合には置換度Bは0.6以上であるのが好ましく、さらには0.7以上が、特には0.75以上が好ましい。これらのセルロースアシレートは置換度が低いほど高弾性率となるが、所望のレターデーションを発現させることができなくなる。上記の置換度にすることで、弾性率とレターデーション値が両立した光学補償シートを作成できる。
また、B=0のとき、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.315以上が好ましく、特に好ましくは0.320以上である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。さらに、DS2+DS3+DS6は2.00〜2.85が好ましく、より好ましくは2.22〜2.82であり、特に好ましくは2.40〜2.80である。
(セルロースアシレートの合成方法)
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他,「木材化学」,共立出版,1968年,180〜190頁に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部を中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを凝集沈殿して分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。このようにしてできた粒子の嵩比重(見かけの密度)は0.3から0.8kg/Lが好ましい。嵩比重が小さいとサイロから溶解タンクに投入する際ブリッジをおこしやすく、また逆に嵩比重が大きいと溶解性が劣る。従って更に好ましい嵩比重は0.4から0.6である。粒子径や嵩比重の調整は凝集沈殿させるときの攪拌速度や凝集速度を調整することにより行う。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度265〜380である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。粘度平均重合度は、オストワルド粘度計にて測定したセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式により求める。
粘度平均重合度DP=[η]/Km
式中[η]はセルロースアシレートの固有粘度であり、Kmは定数で6×10-4である。
また本技術に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)で示される分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては0.8から2であることが好ましく、1から1.8であることが更に好ましい。低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明に用いるセルロースアシレートは、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
(添加剤)
本発明に係るセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開平2001−151901号公報などに記載されている。剥離促進剤としてはクエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程中の何れの段階で添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層に形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。その例は、特開平2001−151902号公報などにも記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これら添加剤の種類や添加量の選択によって、セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgを80〜180℃に調整することが好ましい。
さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁以降に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
(可塑剤)
本発明のフィルム中には可塑剤を含むことができる。用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のセルロースアシレートよりも疎水的なものを単独あるいは併用するのが好ましい。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。可塑剤を用いることでセルロールアシレートフィルムを高倍率で延伸することができる。また、セルロースアシレートよりも疎水的な化合物を用いることで、湿度変化に伴うRe、Rthの変動を抑制することができる。
(レターデーション発現剤)
本発明では高いレターデーション値を発現するため、レターデーション発現剤を好ましく用いることができる。レターデーション発現剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。レターデーション発現剤は、ポリマー100質量部に対して、0乃至10質量部の範囲で使用することが好ましく、0乃至7質量部の範囲で使用することがより好ましく、0乃至5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.1乃至4質量部の範囲で使用することが最も好ましい。本発明を用いれば、レターデ
ーション発現剤の使用量を削減することができるので、コスト低減につながる。製膜時のレターデーション発現剤の析出防止の点で、セルロースアシレートへのレターデーション発現剤添加量は10質量部以下とすることが好ましい。二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。 レターデーション発現剤は、250乃至400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の炭素数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルの各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基およびブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基およびオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
本発明では1,3,5−トリアジン環を用いた化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(1)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノの各基)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイルの各基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイルの各基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N'−トリメチルウレイドの各基)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチルの各基)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニルの各基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリルの各基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシの各基)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシの各基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニルの各基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオの各基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニルの各基)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミドの各基)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
なかでも、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が挙げられる。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、ウレイド基、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、より好ましくは1乃至15であり、さらに好ましくは1乃至10であり、さらに好ましくは1乃至8であり、最も好ましくは1乃至6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2乃至10であり、より好ましくは2乃至8であり、さらに好ましくは2乃至6であり、さらに好ましくは2乃至4であり、最も好ましくは2(ビニレン基またはエチニレン基)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6乃至20であることが好ましく、より好ましくは6乃至16であり、さらに好ましくは6乃至12である。
一般式(1)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(2)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(2):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(2)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(I)のAr1およびAr2と同様である。
一般式(2)において、L2およびL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、より好ましくは1乃至8であり、さらに好ましくは1乃至6であり、さらに好ましくは1乃至4であり、1または2(メチレン基またはエチレン基)であることが最も好ましい。
2およびL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2007119717
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
また下記一般式(3)で表される化合物もレターデーション発現剤として好ましく用いられる。
Figure 2007119717
(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。)
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
Figure 2007119717
また、溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem.,40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
次に、セルロースアシレートが溶解される有機溶媒について記述する。
(塩素系溶媒)
セルロースアシレートの溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶剤と併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組合せとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/5/5/7、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/7/5/8、質量部)、
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(70/10/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
(非塩素系溶媒)
次に、セルロースアシレートの溶液を作製するに際して好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
以上のセルロースアシレートに用いられる非塩素系有機溶媒については、前述のいろいろな観点から選定されるが、好ましくは以下のとおりである。すなわち、本発明のセルロースアシレートの好ましい溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるいは或いはそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、より好ましくは炭素数1〜8のアルコールである。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合液であってもよい。
第3の溶媒であるアルコールは、直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。以上の本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。本発明の好ましい非塩素系有機溶媒の組合せは以下挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/5/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/7/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/10/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/14/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/20/10/5/5/5、質量部)、
などをあげることができる。
更に下記の方法でセルロースアシレート溶液を用いることもできる。
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(84/10/4/2、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製しろ過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加。
(セルロースアシレート溶液特性)
本発明においてセルロースアシレート溶液は、有機溶媒に10〜30質量%溶解していることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解していることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるようにしてもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として調製した後に後述する濃縮工程により所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法であっても、本発明のセルロースアシレートは上記溶液濃度範囲になるように調製されていれば特に問題ない。
次に、本発明ではセルロースアシレート溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜5質量%にした希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分子量が15万〜1500万であることが好ましい。さらに好ましくは、会合体分子量が18万〜900万である。この会合体分子量は静的光散乱法で求めることができる。その際に同時に求められる慣性自乗半径は10〜200nmになるように溶解することが好ましい。さらに好ましい慣性自乗半径は20〜200nmである。更にまた、第2ビリアル係数が−2×10-4〜4×10-4となるように溶解することが好ましく、より好ましくは第2ビリアル係数が−2×10-4〜2×10-4である。
ここで、上記会合体分子量、さらに慣性自乗半径および第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは下記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。測定は装置の都合上希薄領域で測定したが、これらの測定値は本発明の高濃度域でのドープの挙動を反映するものである。まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の溶液を調製した。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施した。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した。そして、ろ過した溶液を静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定した。得られたデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
(ドープ調製)
次に本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号公報、特開昭61−106628号公報、特開昭58−127737号公報、特開平9−95544号公報、特開平10−95854号公報、特開平10−45950、特開2000−53784、特開平11−322946、さらに特開平11−322947、特開平2−276830、特開2000−273239、特開平11−71463号公報、特開平04−259511号公報、特開2000−273184号公報、特開平11−323017号公報、特開平11−302388号公報などにセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明の範囲であればこれらの技術を本発明に適宜適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で行うことができる。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
セルロースアシレート溶液の濃度は前述のごとく、高濃度のドープが得られるのが特徴であり、濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れたセルロースアシレート溶液が得られる。更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液との間に温度差を与えて溶媒を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶媒をフラッシュ蒸発させるとともに、溶媒蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法(例えば、米国特許第2,541,012号、米国特許第2,858,229号、米国特許第4,414,341号、米国特許第4,504,355号各明細書等などに記載の方法)等を用いることができる。
溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。セルロースアシレート溶液の濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.5〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.6MPa以下、より好ましくは1.2MPa以下、更には1.0MPa以下、特に好ましくは0.2MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。
本発明においてセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度がある特定の範囲に調整されえていることが好ましい。粘度は、例えば試料溶液約1mLをBohlin Instruments社製ストレスレオメーター(CVO 120)を用いて測定する。ドープ温度33℃、周波数1ヘルツで1%の変位を負荷する条件で粘度(単位:Pas)を測定する。
好ましい粘度は10〜70Pas(測定温度33℃)であり、この範囲よりも粘度が高いと流動性が乏しくろ過や流延が困難になり、この範囲よりも粘度が低いと流延ダイの内圧が低くなって幅方向に均一に流延することが出来なくなり幅方向の厚さ変動が大きくなりやすい。ドープの粘度は15〜45Pasが更に好ましく、20〜35Pasが最も好ましい。
前述の範囲に溶液粘度があるとろ過の負担も少なくなり、そのため従来よりも小孔径・高精度のろ材の使用が可能になる。その結果、本発明のセルロースアシレートフィルムは異物が少なく、特に液晶表示装置に組込んで黒表示した際に、光が漏れて輝くいわゆる輝点異物を従来よりも少なくすることが可能となった。
(製膜)
セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、例えば、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。また、製膜工程の途中や、製膜して巻き取った後等に、前述の延伸を行ってもよい。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
まず、調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)は、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製される際に、ドープはドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が5〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく用いられ、特には−10〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載の技術を本発明では応用できる。
(重層流延)
セルロースアシレート溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースアシレート溶液を共流延して、積層構造のセルロースアシレートフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースアシレートフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時のセルロースアシレートを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるセルロースアシレート溶液の温度は、−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一温度でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
(乾燥)
セルロースアシレートフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10度低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られたセルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは1ロールあたり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5mm〜30mm、高さは1〜50μmであり、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。
透明感を保つためヘイズは0.01〜2%が好ましい。ヘイズを小さくするためには、添加する微粒子マット剤の分散を十分に行い凝集粒子の数を少なくしたり、添加量を少なくするためにスキン層だけにマット剤を使用したりする。
湿度変化や高温経時による質量変化や寸法変化に伴いRe及びRthの光学特性値が変化する。Re及びRthの値が変化は少ないほど好ましい。湿度による光学特性変化を少なくするために6位アシル置換度の大きなセルロースアシレートを使用するほかに、疎水性の各種添加剤(可塑剤、レターデーション発現剤、紫外線吸収剤など)を用いることによって、フィルムの透湿度や平衡含水率を小さくする。好ましい透湿度は60℃、95%RH24時間で1平方メートル当たり400gから2300gである。好ましい平衡含水率は25℃、80%RHにおける測定値が3.4%以下である。好ましい疎水性添加剤の量はセルロースアシレートに対して10から30%であり、12から25%がより好ましく、14.5%から20%が特に好ましい。添加剤に揮発性や分解性があってフィルムの質量変化や寸法変化が発生すると光学特性変化が起こる。従って80℃90%RHで48時間経時した後のフィルムの質量変化量は5%以下であることが好ましい。同様に60℃90%RHで24時間経時後あるいは90℃3%RHで24時間経時後の寸法変化量は±2%以内であることが好ましい。また寸法変化や質量変化が少々あっても、フィルムの光弾性係数が小さいと光学特性の変化量は少なくなる。従ってフィルムの光弾性係数が50×10-13cm2/dyne以下であることが好ましい。
(偏光板)
偏光板は、一般に、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜を有する。少なくとも一方の保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板の評価を行ったところ、本発明のセルロースアシレートフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じることがわかった。この場合、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られないことになる。したがって、本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはUV3100PC(島津製作所社製)を用いた。測定では、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いた。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行った。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償膜が挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定した。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を光学補償膜がガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの順でそれぞれ、40.0≦TT≦45、0、30.0≦PT≦40.0、CT≦2.0であり、より好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3(単位はいずれも%)である。また偏光板耐久性試験ではその変化量はより小さいほうが好ましい。
また、本発明の偏光板は、60℃95%RHに500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量ΔCT(%)、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たしていることが好ましい。
(j)−6.0≦ΔCT≦6.0
(k)−10.0≦ΔP≦0.0
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
この要件を満たすことによって偏光板の使用中あるいは保管中の安定性が確保される。
(防湿処理された袋)
本発明において「防湿処理された袋」はカップ法(JIS-Z208)に基づいて測定した透湿度によって規定する。一般にセルロースアシレートフィルムは、湿度変化に伴いレターデーション値が変化するので、フィルムへの湿度変化の影響を極力排除する必要がある。作製した偏光板を入れた袋の外側の環境湿度の影響を防止するため、透湿度は40℃90%R.H.での透湿度が30g/(m2・Day)以下である材料を用いることが好ましい。30g/(m2・Day)以上になると袋外の環境湿度の影響を防止することができなくなる。10g/(m2・Day)以下であることが更に好ましく、5g/(m2・Day)以下であることが最も好ましい。
防湿処理された袋の材料は、前記記載の透湿度を満足する材料であれば特に制限は無く、公知の材料を用いることができる〔(「包装材料便覧」、日本包装技術協会(1995年);「包装材料の基礎知識」、(社)日本包装技術協会(2001年11月);「機能性包装入門」、21世紀包装研究境界(2002年2月28日 初版第1刷)等参照)。本発明では、透湿度が低く、軽量で扱いやすい材料が望ましく、プラスチックフィルム上にシリカやアルミナ、セラミックス材料等を蒸着したフィルムやプラスチックフィルムとアルミ箔の積層フィルム等の複合材料を特に好ましく用いることができる。アルミ箔の厚さとしては、環境湿度に袋内の湿度が変化しない厚さであれば特に制限はないが、数μm〜数100μmの厚さであることが好ましく、10μm〜500μmであることが更に好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムは、高レターデーション値であるため、湿度変化に伴うレターデーション値の変動量が大きい。偏光板の調湿状態と貼り付け時の温湿度の差が大きいと、貼り付け後にレターデーション値が大きく変動してしまうため、その差が小さい好ましい。本発明に用いる防湿処理を施した袋内の湿度は、以下のいずれかを満たすことが好ましい。
偏光板を包装した状態で25℃において43%RH〜70%RHであること、より好ましくは45%〜65%、さらに好ましくは45%〜63%であること。
偏光板を包装した状態での袋内の湿度が液晶パネルに偏光板を貼り合せる際の湿度に対して15%RH以内の差であること。
(光学異方性層)
さらに、保護フィルムは、高分子フィルム上に光学異方性層を設けたものであっても良い。光学異方性層は、透明なポリマーフィルム上に配向層と光学異方性層をこの順に有したものが好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向層も知られているが、ポリマーのラビング処理により形成する配向層が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより好ましく実施される。偏光子の吸収軸方向とラビング方向は実質的に平行であることが好ましい。配向層に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等を好ましく使用することができる。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は液晶性化合物を含有していることが好ましい。本発明に使用される液晶性化合物はディスコティック化合物(ディスコティック液晶)を有していることが特に好ましい。ディスコティック液晶分子は、D−1のトリフェニレン誘導体ように円盤状のコア部を有し、そこから放射状に側鎖が伸びた構造を有している。また、経時安定性を付与するため、熱、光等で反応する基をさらに導入することも好ましく行われる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
Figure 2007119717
ディスコティック液晶分子は、配向層付近ではラビング方向にプレチルト角を持ってほぼフィルム平面に平行に配向しており、反対の空気面側ではディスコティック液晶分子が面に垂直に近い形で立って配向している。ディスコティック液晶層全体としては、ハイブリッド配向を取っており、この層構造によってTNモードのTFT−LCDの視野角拡大を実現することができる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向層上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
また、上記光学異方性層に添加するディスコティック化合物以外の化合物としては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に好ましい傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)、含フッ素トリアジン化合物等の空気界面側の配向制御用添加剤が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレート等のポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%の添加量にて使用される。
光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
また、光学異方性層はポリマーフイルムから形成してもよい。ポリマーフイルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド又はポリエステルイミドが含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。具体的には、特開2004−4474号公報、特開昭61-162512号公報、特開昭64-38472号公報等のポリアミド、ポリエステルイミドが挙げられる。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
さらには、光学異方性層は、選択反射の波長域が350nm以下であるコレステリック液晶の配向固化層であっても良い。コレステリック液晶としては、例えば特開平3−67219号公報や特開平3−140921号公報、特開平5−61039号公報や特開平6−186534号公報、特開平9−133810号公報などに記載された、前記の選択反射特性を示す適宜なものを用いうる。配向固化層の安定性等の点より好ましく用いうるものは、例えばコレステリック液晶ポリマーやカイラル剤配合のネマチック液晶ポリマー、光や熱等による重合処理で斯かる液晶ポリマーを形成する化合物などからなるコレステリック液晶層を形成しうるものである。
この場合の光学異方性層は、例えば支持基材上にコレステリック液晶をコーティングする方法などにより形成することができる。その場合、位相差の制御等を目的に必要に応じて、同種又は異種のコレステリック液晶を重ね塗りする方式なども採ることができる。コーティング処理には、例えばグラビア方式やダイ方式、ディッピング方式などの適宜な方式を採ることができる。前記の支持基材にはTACフイルム、又はその他のポリマーフィルムなどの適宜なものを用いうる。
前記において光学異方性層の形成に際しては、液晶を配向させるための手段が採られる。その配向手段については特に限定はなく、液晶化合物を配向させうる適宜な手段を採ることができる。ちなみにその例としては、配向膜上に液晶をコーティングして配向させる方式があげられる。またその配向膜としては、ポリマー等の有機化合物からなるラビング処理膜や無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、あるいはω−トリコサン酸やジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチルの如き有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB膜を累積させた膜などがあげられる。さらに光の照射で配向機能が生じる配向膜などもあげられる。一方、延伸フィルム上に液晶をコーティングして配向させる方式(特開平3−9325号公報)、電場や磁場等の印加下に液晶を配向させる方式などもなどもあげられる。なお液晶の配向状態は、可及的に均一であることが好ましく、またその配向状態で固定された固化層であることが好ましい。
(表面処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000kev下で20〜500kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500kev下で20〜300kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法または鹸化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。
塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。以下にそれらの好ましい例を記載する。
透明保護膜上に光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層の好ましい例について述べる。
本発明に係る光散乱層にはマット粒子が分散しており、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は1.35〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明においては光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.40μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成され、好ましい。
また、C光源下での反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなり、好ましい。またC光源下での透過光のb*値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、面光源上と本発明の反射防止フィルムの間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
本発明に係る反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上、60度光沢度70%以下とすると、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。特に鏡面反射率は1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。ヘイズ20%〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値(比)が0.3〜1、光散乱層まで設けたときのヘイズ値から低屈折率層をも形成させた後のヘイズ値の低下が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20%〜50%、反射防止層面に対し垂直の透過光と垂直から2度傾斜方向の透過光の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成され、好ましい。
(低屈折率層)
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であり、好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式(IX)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(XI):(m/4)×0.7<n1d1<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
本発明の低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含む。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、5N以下が好ましく、3N以下がより好ましく、1N以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
(光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。
光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生及び脆性の悪化の抑制の観点から、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
散乱層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むものを選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、またはそれに加えて架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
光散乱層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された光散乱層のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるように光散乱層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
光散乱層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
光散乱層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
光散乱層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有する。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
次に透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層について述べる。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい(例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等参照)。また、各層に他の機能を付与させてもよく、そのような例としては防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−1661042001−310432号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6210858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等が挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個有する多官能性化合物含有組成物と、加水分解性基を有する有機金属化合物及びその部分縮合体を含有する組成物とから選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の組成物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。また、厚さは5nm〜10mμであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は通常1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素及び/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル変換による硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた透明保護膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W、またはVをあげることができ、これを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2、及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、TA等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10-8(Ωcm-3)以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね10-10(Ω/□)以下の表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10-8(Ω/□)である。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、本特許に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
(液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルム、該フィルムからなる光学補償シート、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、好ましくはOCBモードまたはVAモードであり、最も好ましくはVAモードに用いることができる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の液晶表示装置の一つの態様では、光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。光学補償シートは本発明のセルロースアシレートフィルムであってもよい。
本発明の液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムからなる光学補償シートが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)透明保護膜のみに上記の光学補償シートを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の透明保護膜に、上記の光学補償シートを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償シートを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用するのが特に好ましい。これは、光学補償シートと機能性膜(防眩シート等)を張り合わせる場合、偏光板加工時にエラーが発生すると、高価な光学補償シート、機能性膜が一度に廃棄の対象となってしまうため、液晶セルへの張り合わせは、本発明のセルロースアシレートフィルムはVAセル側にすることが好ましい。保護膜は通常のセルロースアシレートフィルムでも良く、本発明のセルロースアシレートフィルムより薄いことが好ましい。たとえば、40〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト株式会社製40μm)、KC5UX(コニカオプト株式会社製60μm)、TD80(富士写真フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[測定法]
以下、セルロースアシレートフィルムの諸特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション値 Re、Rth)
本明細書で説明した方法で算出した。
(含水率)
試料7mm×35mmを25℃80%RHで2時間調湿し、カールフィッシャー法微量水分測定器LE−20S(平沼産業(株)製)にて測定。試料中の水分量(g)を試料質量(g)で除して含水率を算出した。
(延伸温度)
延伸工程において、フィルムの膜面温度を放射温度計(薄膜用)を用いて測定した。
(熱収縮率)
試料30mm×120mmを25℃、60%RHで2時間経時させ、両端に6mmφの穴を100mm間隔に開けて、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、パンチ間隔の原寸(L1)を最小目盛り1/1000mmまで測定した。さらに60℃、90%RHあるいは90℃、3%RHにて24時間静置し、再度25℃60%RHで2時間経時させ、パンチ間隔の寸法(L2)を測定した。そして、熱収縮率を{(L1−L2)/L1}×100により求めた。
(ガラス転移温度Tg)
フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とした。
(弾性率)
試料10mm×200mmを、25℃、60%RH、2時間調湿し、引張試験機(ストログラフーR2(東洋精機製))にて、初期試料長100mm、引張速度10mm/分で弾性率を引張初期の応力と伸びより算出した。
(質量変化)
試料を100mm×100mmに切り出し、80℃90%RHのサーモ条件下に48時間静置した時の質量変化を測定した。サーモ前後について、25℃60%RHで2時間調湿して測定した。
(光弾性係数)
フィルム試料10mm×100mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のReレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
(ヘイズ)
試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K6714に従って測定した。
[実施例1]
セルロースアシレートフィルムの製膜
(1)セルロースアシレート
表1に記載のアシル置換度の異なるセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、カルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。その後、硫酸触媒量、水分量及び熟成時間を調整することで全置換度と6位置換度を調整した。熟成温度は40℃で行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
(2)ドープ調製
<1−1> セルロースアシレート溶液
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液
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表1記載のセルロースアシレート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェイト 8.0質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェイト 4.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−2> マット剤分散液
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液
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平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−3> レターデーション発現剤溶液A
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Aを調製した。
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レターデーション発現剤溶液A
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤A 20.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
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上記セルロースアシレート溶液を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部、更にレターデーション発現剤溶液Aを表2に示す割合になるように混合し、製膜用ドープを調製した。本ドープをF1からF5まで及びF8からF14までのフィルム作成に供した。
レターデーション発現剤A
Figure 2007119717
<1−4> レターデーション発現剤溶液B
更に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液B
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤A 8.0質量部
レターデーション発現剤B 12.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部、更にレターデーション発現剤溶液Bを表2に示す割合になるように混合し、製膜用ドープを調製した。本ドープをF6及びF7のフィルム作成に供した。
レターデーション発現剤の添加割合はセルロースアシレート量を100質量部とした時の質量部で表2に示した。
レターデーション発現剤B
Figure 2007119717
(流延)
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。F1〜F5、F7〜F9、F11〜F14では、バンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸開始時の残留溶剤量が0から20質量%でテンターを用いて幅方向に延伸することで、弾性率が4800MPa以上と高いフィルムを作製できた。一方、F6、F10では延伸開始時の揮発分率が20質量%より多く、弾性率が4800MPa未満と低かった。
テンターでは熱風を当てて乾燥をしながら、幅方向に延伸した後、約5%収縮させ、その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に乾燥し、ナーリングを施し幅1500mmで巻き取った。延伸率はテンター入口のフィルム幅とテンター出口のフィルム幅から算出した値を表2に示した。作製したセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)について、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、25℃60%RHで波長590nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。
Figure 2007119717
Figure 2007119717
作成したフィルムのガラス転移温度(Tg)は138℃から147℃の間であった。25℃80%RH調湿後の含水率は2.9%から3.4%の間であった。また60℃95%RHで24時間の水分透過率は800から2000g/m2/日であった。またこれらのフィルムのヘイズは全て0.1〜0.9、マット剤の2次平均粒子径が1.0μm以下であった。引っ張り弾性率はMDもしくはTDを記載した。比較例については、いずれも4800MPa未満であった。80℃90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化は0〜3%であった。また、60℃90%RH及び90℃3%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化は−1.2〜0.2%であった。さらに、どのサンプルも光弾性係数は50×10-13cm2/dyn(5×10-11/N)以下であった。
[実施例2]
<2−1−1>
(偏光板の作製−1)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム(F1からF14:図1〜3のTAC1に相当)をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。なお、ケン化処理は以下のような条件で行った。
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01Nの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製したセルロースアシレートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製:図2の機能性膜TAC2、図3のTAC2−1あるいは2−2に相当)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した。
偏光子の透過軸と実施例1で作製したセルロースアシレートフィルムの幅方向と平行になるように配置した(図1)。偏光子の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの幅方向と平行になるように配置した。
分光光度計(UV3100PC)を用いて、偏光子の内側に実施例1で作成したセルロースアシレートフィルムがくるように組み合わせて、380nm〜780nmの偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTを測定し、400〜700nmの平均値を求めたところ、TTは40.8〜44.7、PTは34〜38.8、CTは1.0以下であった。また60℃95%RH500時間の偏光板耐久性試験では−0.1≦ΔCT≦0.2、−2.0≦ΔP≦0の範囲にいずれも入り、60℃90%RHでは−0.05≦ΔCT≦0.15、−1.5≦ΔP≦0であった。
このようにして作製した偏光板A1からA14(図2で機能性膜が無い形の光学補償膜一体型偏光板)を、その一部はそのまま防湿袋に入れて保管し、もう一部は25度C60%RHで2時間調湿後に防湿袋に入れて保管した。防湿袋はポリエチレンテレフタレート/アルミ/ポリエチレンの積層構造からなる包装材であり、透湿度は0.01mg/m2(24時間)以下であった。
<2−2−1>
(光散乱層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA、日本化薬(株)製)50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を13.3g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−1)0.75g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10gを加え、完成液とした。
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層の塗布液を調製した。
<2−2−2>
(低屈折率層用塗布液の調製)
まず初めに、次のようにしてゾル液aを調製した。攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、上記ゾル液a 0.6gおよびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノ0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
<2−2−3>
(光散乱層付き透明保護膜01の作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの機能層を形成し、巻き取った。
該機能層(光散乱層)を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出してその光散乱層側に、該調製した低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った(図2の機能性膜TAC2あるいは図3のTAC2−1に相当)。
<2−3−1>
(偏光板の作製−2)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
作製した光散乱層付き透明保護膜01に<2−1−1>記載と同様のケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、機能性膜の無い側と偏光子の片側を貼り付けた。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム(F1からF14:図1のTAC1に相当)に同様のケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した(図2の構成が完成)。
偏光子の透過軸と実施例1で作製したセルロースアシレートフィルムの幅方向と平行になるように配置した(図1)。偏光子の透過軸と光散乱層付き透明保護膜01の幅方向と平行になるように配置した。このようにして偏光板(B1からB14:機能性膜、光学補償膜一体型偏光板(図2))を作製した。偏光板の作製<2−1−1>と同様に、25℃60%RHで2時間調湿後防湿袋に入れたものと、調湿せずに防湿袋に入れたものを作成した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。<2−2−3>で作成した光散乱層付き透明保護膜01及び機能性層を塗布していない80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前述と同様のケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前述と同様に偏光子に貼りあわせた。このようにして偏光板(B0:機能性膜、光学補償膜一体型偏光板(図2))を作成した。偏光板の作製<2−1−1>と同様に、調湿後防湿袋に入れたものと、調湿せずに防湿袋に入れたものを作成した。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を機能性膜側から測定し、450〜650nmの積分球平均反射率を求めたところ、2.3%であった。
<2−4−1>
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0g、シクロヘキサノン500.0g及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
<2−4−2>
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129、石原産業(株)製)を使用した。
この粒子257.1gに、下記分散剤38.6g、およびシクロヘキサノン704.3gを添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2007119717
<2−4−3>
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液88.9gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)58.4g、光重合開始剤(イルガキュア907)3.1g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1g、メチルエチルケトン482.4gおよびシクロヘキサノン1869.8gを添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
<2−4−4>
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液586.8gに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)47.9g、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)4.0g、光増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)1.3g、メチルエチルケトン455.8g、およびシクロヘキサノン1427.8gを添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
<2−4−5>
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記構造の共重合体をメチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2007119717
<2−4−6>
(反射防止層付透明保護膜02の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は100℃、2分間とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層および低屈折率層の乾燥条件はいずれも90℃、1分の後、100℃、1分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nm、低屈折率層は屈折率1.440、膜厚85nmであった。このようにして、反射防止層付き透明保護膜02を作製した(図2の機能性膜TAC2あるいは図3のTAC2−1に相当)。
<2−5−1>
(偏光板の作製−3)
光散乱層付き透明保護膜01の代わりに反射防止層付き透明保護膜02を用いた以外は<2−3−1>と同様にして偏光板(C1からC14:機能性膜、光学補償膜一体型偏光板(図2))を作製した。また同様の方法で、反射防止層付き透明保護膜02、偏光子及び機能性層を塗布していない80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)よりなる偏光板(C0)を作製した。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を機能性膜側から測定し、450〜650nmの積分球平均反射率を求めたところ、0.4%であった。
<2−6>
(光学補償シートの作製−1)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキジフェニル)ヘキサフルオロプロパン)および2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド(質量平均分子量59,000)をシクロヘキサノンに溶解し、15質量%のポリイミド溶液を調製した。調製したポリイミド溶液を、セルロースアシレートフィルムF−1上に塗工し、温度180℃で幅方向に7%延伸し乾燥した。このようにしてできた光学補償シートL1のフィルム全体厚さは85μm、Reは60nm、Rthは210nmであった。
[実施例3]
(パネルへの実装)
[実施例3−1]
(VAパネルへの実装)(1枚型)
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(TAC2−1(機能性膜有り/なし)、偏光子、TAC1−1)、VAモード液晶セル、下側偏光板(TAC1−2、偏光子、TAC2−2)を積層し、さらにバックライト光源を配置した。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板(観察者側)には、市販品のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を用いた。下側偏光板(バックライト側)には実施例1で作製したF1〜F5、F7〜F9、F11〜F12のセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)を使用した実施例2の<2−1−1>で作製した偏光板(A1〜A5、A7〜A9、A11〜A12)を、実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム(図3のTAC1−2に相当)が液晶セル側となるように設置した。上側偏光板及び下側偏光板は粘着剤を介して液晶セルに貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。使用する偏光板はあらかじめ25℃60%RHの温湿度条件で2時間調湿後に防湿袋に封入して保管してあったものと、調湿しないで袋に封入し保管したものの両方を用いて液晶表示装置を作成した。
なお、ここでは、上側偏光板に市販品を、下側偏光板に本発明の一体型偏光板を用いているが、作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲)を測定した。
次に液晶表示画面の横方向を基準に方位角45°、画面表面の法線方向を基準に極角60°の方位の黒表示時の色味を測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて測定し、これを初期値とした。次にこのパネルを、常温常湿(25℃60%RH程度で湿度制御無し)の部屋で1週間放置し、再度、黒表示時の色味を測定した。
下記表3に視野角と色味変化の測定を示す。本実施例はいずれも広い視野角を有し、色味変化も少なかった。液晶表示装置組み立て前に偏光板を調湿したものは、特に色味変化が少なかった。
さらに、液晶表示装置を60℃90%RHの環境に24時間放置し、取り出し後の光り抜けを観察した。表4に光りぬけの結果を示す。ガラスセルの反りによる光りぬけは観察されなかった。
[実施例3−2]
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の下側偏光板として、実施例1で作製したF1〜F5、F7〜F9、F11〜F12のセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)を使用した実施例2の<2−1−1>で作製した偏光板(A1〜A5、A7〜A9、A11〜A12)を、上側偏光板として実施例2の<2−3−1>で作製した偏光板(B0)を、粘着剤を介して液晶セルに貼り付けた。その際、実施例1で作成したセルロースアシレートフィルムが液晶セル側となるように設置した。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このとき、作業場の温度は20〜25℃に、湿度は50〜70%RHになるように空調されていた。使用する偏光板はあらかじめ25℃60%RHの温湿度条件で2時間調湿後に防湿袋に封入して保管してあったものと、調湿しないで袋に封入し保管したものの両方を用いて液晶表示装置を作成した。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。実施例3−1と同じように、視野角と色味変化の測定を行い、その結果を表3に示した。
また、実施例3−1と同じように光りぬけの測定を行い、その結果を表4に示した。
[実施例3−3]
セルギャップを4.3μmとし、Δn・dの値を360nmとしたほかは実施例3−1と同じ垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の下側偏光板として、実施例1で作製したF13からF14のセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)を使用した実施例2の<2−1−1>で作製した偏光板(A13からA14)を、上側偏光板として実施例2の<2−5−1>で作製した偏光板(C0)を粘着剤を介して液晶セルに貼り付けた。その際、実施例1で作成したセルロースアシレートフィルムが液晶セル側となるように設置した。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このとき、作業場の温度は20〜25℃に、湿度は50〜70%RHになるように空調されていた。使用する偏光板はあらかじめ25℃、60%RHの温湿度条件で2時間調湿後に防湿袋に封入して保管してあったものと、調湿しないで袋に封入し保管したものの両方を用いて液晶表示装置を作成した。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また実施例3−1と同じように、視野角と色味変化の測定を行い、その結果を表3に示した。
また、実施例3−1と同じように光りぬけの測定を行い、その結果を表4に示した。
[比較例3−1]
実施例3−1の下側偏光板をA6、B6、A10及びB10とすること以外は実施例3−1とまったく同様に行った。なおここで使用した偏光板は調湿しないで防湿袋に封入し保管したものである。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また実施例3−1と同じように、視野角と色味変化の測定を行い、その結果を表3に示した。
また、実施例3−1と同じように光りぬけの測定を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2007119717
表3では、本発明の実施例3−1〜実施例3−3の各試料は、いずれも十分に広い視野角と色味の経時安定性を有しており、この点で比較例に対して顕著に優れていることが示されている。
Figure 2007119717
表4では、本発明の実施例3−1〜実施例3−3の各試料は、いずれもガラスセルの反りによる光ぬけは観察されなかった。この点で比較例に対して顕著に優れていることが示される。
OCBモード液晶表示装置でVAモード液晶表示装置と同様の検討を行ったところ、本発明のセルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置は、視野角、色味変化、光り抜けに顕著な効果がみられた。
[実施例4]
<4−1>
<セルロースアシレートフィルムの作製>
<セルロースアシレート溶液Aの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
明細書記載の化合物I−(7) 12.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<4−2> マット剤分散液
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Aを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープAを調製した。本ドープをF15からF18までのフィルム作製に供した。
<4−3>
<セルロースアシレート溶液Bの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液B組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.92のセルロースアセテート 100.0質量部
明細書記載の化合物IV−1 12.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Bを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープBを調製した。本ドープをF19からF22までのフィルム作製に供した。
<4−4>
<セルロースアシレート溶液Cの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液C組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.75のセルロースアセテート 100.0質量部
下記化合物C−1 12.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Cを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープCを調製した。本ドープをF23からF26までのフィルム作製に供した。
化合物C−1
Figure 2007119717
<セルロースアシレート溶液Dの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Dを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液D組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.81のセルロースアセテート 100.0質量部
下記化合物D−1 12.0質量部
メチレンクロライド 300.0質量部
メタノール 54.0質量部
1−ブタノール 11.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Dを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープDを調製した。本ドープをF27とF28のフィルム作製に供した。
化合物D−1
Figure 2007119717
[比較例4]
<4−5>
<セルロースアシレート溶液Eの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Eを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液E組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェイト 8.0質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェイト 4.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Eを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープEを調製した。本ドープをF29からF31までのフィルム作製に供した。
<4−6>
<セルロースアシレート溶液Fの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Fを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液F組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.81のセルロースアセテート 100.0質量部
下記化合物F−1 12.0質量部
メチレンクロライド 300.0質量部
メタノール 54.0質量部
1−ブタノール 11.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液Fを100質量部、マット剤分散液を1.35質量部混合し、製膜用ドープFを調製した。本ドープをF32とF33のフィルム作製に供した。
化合物F−1
Figure 2007119717
(流延)
上述のドープA〜C、Eをバンド流延機を用いて流延した。これらのフィルムはバンドからの剥ぎ取り時にフィルム搬送方向に5%延伸した。さらにF15、F18、F19、F22、F23、F26、F29では、バンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて幅方向に10%延伸し、フィルムを作製した。一方、F16、F20、F24、F30ではテンターを用いて幅方向に30%延伸し、フィルムを作製した。F17、F21、F25、F31ではバンドから剥ぎ取ったフィルムを幅方向に延伸せずに乾燥した。
テンターでは熱風を当てて乾燥をしながら、幅方向に延伸した後、約5%収縮させ、その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に乾燥し、ナーリングを施し幅1500mmで巻き取った。延伸率はテンター入口のフィルム幅とテンター出口のフィルム幅から算出した値を表5に示した。
上述のドープD、Fをドラム流延機を用いて流延した。これらのフィルムはドラムからの剥ぎ取り時およびピンテンターでの搬送時にフィルム搬送方向に10%延伸した。ピンテンターでの搬送時に熱風を当てて乾燥をしながら幅方向に約5%収縮させ、巻き取った。さらにF27とF32では、巻き取ったフィルムを、幅方向に15%延伸し、フィルムを作製した。一方、F28とF33ではバンドから剥ぎ取ったフィルムを幅方向に延伸せずに乾燥した。その後ピンテンター搬送からロール搬送に移行し、更に乾燥し、ナーリングを施し幅1500mmで巻き取った。延伸率はピンテンター入口のフィルム幅とテンター出口のフィルム幅から算出した値を表5に示した。
Figure 2007119717
作成したフィルムのガラス転移温度(Tg)は138℃から147℃の間であった。25℃80%RH調湿後の含水率は2.7%から3.4%の間であった。また60℃95%RHで24時間の水分透過率は800から1500g/m2/日であった。またこれらのフィルムのヘイズは全て0.1〜0.9、マット剤の2次平均粒子径が1.0μm以下、実施例の引っ張り弾性率は4800MPa以上であり、80℃90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化は0〜3%であった。また、60℃90%RH及び90℃3%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化は−1.2〜0.2%であった。さらに、どのサンプルも光弾性係数は50×10-13cm2/dyn(5×10-11/N)以下であった。
<4−7>
(光学補償シートの作製−2)
2,2'−ビス(3,4−ジカルボキジフェニル)ヘキサフルオロプロパン)および2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド(質量平均分子量59,000)をシクロヘキサノンに溶解し、15質量%のポリイミド溶液を調製した。調製したポリイミド溶液を、セルロースアシレートフィルムF−15上に塗工し、温度180℃で幅方向に7%延伸し乾燥した。このようにしてできた光学補償シートL15のフィルム全体厚さは77μm、Reは55nm、Rthは190nmであった。
[実施例5]
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例4で作製したセルロースアシレートフィルム(F15からF33:図2の機能性膜TAC2、図3のTAC2−1あるいは2−2に相当)をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。なお、ケン化処理は以下のような条件で行った。
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01Nの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製したセルロースアシレートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルムF5にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した。
偏光子の透過軸と実施例4で作製したセルロースアシレートフィルムの幅方向と平行になるように配置した(図1)。
分光光度計(UV3100PC)を用いて、偏光子の外側に実施例4で作成したセルロースアシレートフィルムがくるように組み合わせて、380nm〜780nmの偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTを測定し、400〜700nmの平均値を求めたところ、TTは40.8〜44.7、PTは34〜38.8、CTは1.0以下であった。また60℃95%RH500時間の偏光板耐久性試験では−0.1≦ΔCT≦0.2、−2.0≦ΔP≦0の範囲にいずれも入り、60℃90%RHでは−0.05≦ΔCT≦0.15、−1.5≦ΔP≦0であった。
[実施例6]
(VAパネルへの実装)(1枚型)
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(TAC2−1(機能性膜有り/なし)、偏光子、TAC1−1)、VAモード液晶セル、下側偏光板(TAC1−2、偏光子、TAC2−2)を積層し、さらにバックライト光源を配置した。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板及び下側偏光板に実施例4で作製したF15、F17、F19、F21、F23、F25、F27のセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)を使用した実施例5で作製した偏光板(A15、A17、A19、A21、A23、A25、A27)を、実施例4で作製したセルロースアシレートフィルム(図3のTAC2−1、2−2に相当)が下側偏光板では光源側および上側偏光板では観察者側となるように設置した。上側偏光板及び下側偏光板は粘着剤を介して液晶セルに貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
さらに、液晶表示装置を60℃90%RHの環境に24時間放置し、取り出し後の光り抜けを観察した。表6に光りぬけの結果を示す。光弾性効果による光りぬけは観察されなかった。
[比較例6−1]
実施例6の偏光板をA16、A18、A20、A22、A24、A26、A28〜33とすること以外は実施例6とまったく同様に行った。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また実施例6と同じように、光りぬけの測定を行い、その結果を表6に示した。
[比較例6−2]
実施例6の偏光板をA6、B6、A10、B10とすること以外は実施例6とまったく同様に行った。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。また実施例6と同じように、光りぬけの測定を行い、その結果を表6に示した。
Figure 2007119717
表6では、本発明の実施例6の各試料は、いずれも光弾性効果による光ぬけは小さく、比較例に対して顕著に優れていた。このように、本発明のフィルムを空気側保護フィルムとしても使用することで、液晶セル側のみに用いた場合よりもさらに光ぬけを低減することができた。
[実勢例7]
<光学補償シートのVAパネルへの実装>
光学補償シートL1、L15をVAモード液晶表示装置に実装して評価した。
下側偏光板の液晶セル側フィルム(図3のTAC1−2に相当)を光学補償シートL1、L15とする以外は実施例3−1とまったく同様に行ったところ、本発明の光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置は、視野角、色味変化、光り抜けに顕著な効果がみられた。
OCBモード液晶表示装置でVAモード液晶表示装置と同様の検討を行ったところ、本発明のセルロースアシレートフィルム、光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置は、視野角、色味変化、光り抜けに顕著な効果がみられた。
本発明の偏光板の製造時におけるセルロースアシレートフィルムの貼り合わせ方法の一例を示す模式図である。 本発明の偏光板の断面構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の液晶表示装置の断面構造の一例を模式的に示す断面図である。

Claims (24)

  1. フィルム製造時の搬送方向(MD)、または搬送方向(TD)と直交する方向の少なくともいずれか一方の弾性率が4800MPa以上10000MPa以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
  2. 延伸工程開始時に溶剤を0〜20質量%含んでいることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 1.01〜3倍の倍率で延伸されていることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 70〜250℃で延伸されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. フィルム製造時の搬送方向(MD)の弾性率S(MD)と搬送方向と直交する方向(TD)の弾性率S(TD)の比が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
    0.95<S(MD)/S(TD)<1.05
  6. 水素結合性基を少なくとも二つ含む化合物を含有することを特徴とする請求項5に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 1.01〜2倍の倍率で二軸延伸されていることを特徴とする請求項5または6いずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 少なくとも以下の工程、
    セルロースアシレート溶液をドラム状金属支持体に流延する工程、
    前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が60質量%以上のときにMDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
    前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が80質量%未満のときにTDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
    を含む製造方法により製造されることを特徴とする請求項5〜7に記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. 少なくとも以下の工程、
    セルロースアシレート溶液をバンド状金属支持体に流延する工程、
    前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が25質量%以上のときにMDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
    前記流延により生成するフィルムの残留溶媒量が25質量%未満のときにTDに延伸を開始し、引き続き延伸する工程、
    を含む製造方法により製造されることを特徴とする請求項5〜7に記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 正面レターデーションRe(λ)が20nm≦Re(590)≦200nm、膜厚方向のレターデーションRth(λ)が、70nm≦Rth(590)≦350nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  11. フィルムの膜厚が40〜150μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. セルロースの水酸基をアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換して得られたセルロースの混合脂肪酸エステルからなるセルロースアシレートフィルムであって、アセチル基の置換度Aおよび炭素原子数が3以上のアシル基の置換度Bが下記式(I)および(II)をみたす請求項1〜11のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(I) :2.0≦A+B≦3.0
    式(II):0≦B
  13. 前記アシル基がブタノイル基であることを特徴とする請求項12に記載のセルロースアシレートフィルム。
  14. 前記アシル基がプロピオニル基であり、置換度Bが0.6以上であることを特徴とする請求項12に記載のセルロースアシレートフィルム。
  15. セルロースアシレートフィルムを構成するグルコース単位の水酸基を炭素原子数が2以上のアシル基で置換して得られたセルロースアシレートからなるフィルムであって、グルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度をDS2、3位の水酸基のアシル基による置換度をDS3、6位の水酸基のアシル基による置換度をDS6としたときに、下記式(III)および(IV)を満たすことを特徴とする請求項12に記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(III):2.0≦DS2+DS3+DS6≦2.85
    式(IV) :DS6/(DS2+DS3+DS6)≧0.315
  16. セルロースアシレートフィルムがレターデーション発現剤を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  17. セルロースアシレート100質量部に対し、レターデーション発現剤を0〜10質量部含有していることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  18. 可塑剤、紫外線吸収剤、及び剥離促進剤のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの上に、光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
  20. 液晶セルと偏光板を含む構成において、請求項1〜18のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムおよび請求項19の光学補償フィルムのいずれかが液晶セル側の面に設置されていることを特徴とする偏光板。
  21. 液晶セルと偏光板を含む構成において、請求項1〜18のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項19記載の光学補償フィルムが空気側の面に設置されていることを特徴とする偏光板。
  22. 偏光板の液晶セルと反対側の面に配置される保護膜の表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けたことを特徴とする請求項20または21のいずれかに記載の偏光板。
  23. 請求項1〜18のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項19の光学補償フィルム、及び請求項20〜22のいずれかに記載の偏光板のうち少なくとも1枚を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  24. 液晶モードがVA方式であることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
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