JP5544877B2 - 光学補償フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、低ヘーズで位相差の発現性、安定性に優れた光学補償フィルム、特にIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため液晶ディスプレイのモードにあわせ多くの光学フィルムが用いられている。棒状の液晶分子を基板に対して水平に配向させた、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶ディスプレイは、比較的視野角特性は良好であるが、偏光板の視野角特性に基づくコントラストの低下が課題である。IPSモードの液晶ディスプレイの視野角補償には、面内位相差(Re)が、0〜300nm程度、配向パラメータ(Nz係数)[(ny−nx)/(ny−nz):ここでnyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nxはnyと直交する軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率を示す]が、負、0付近、あるいは0.5付近のフィルムが用いられる。
近年、液晶ディスプレイの価格低下が著しく、より低価格の光学補償フィルムが提案されている。(例えば、特許文献1〜5参照。)。特許文献1〜5には、吸湿が小さいポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを用いることが記載されている。ポリプロピレンは格段に安価な材料でありコストメリットが非常に大きい材料である。
特表2006−514325号公報 特開2007−316604号公報 特開2008−216416号公報 特開2009−210728号公報 特開2008−146023号公報
しかしながらポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムは位相差がほぼゼロであり、延伸フィルムのNz係数は通常1あるいは1以上である。このため、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、IPSモードの液晶ディスプレイ視野角補償に必要な位相差を発現することは困難である。また、ポリプロピレン系樹脂は結晶性樹脂でありポリプロピレン系樹脂からなるフィルムはヘーズが高く、光散乱によるコントラストの低下といった課題もある。
そこで、本発明は、ポリプロピレン系樹脂をベースとした低ヘーズで位相差安定性に優れたIPS液晶ディスプレイに適した光学補償フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂フィルムにフマル酸エステル系樹脂フィルムを含む光学補償フィルムが上記課題を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面にフマル酸エステル系樹脂フィルムを含むフィルムであって、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの厚みが10〜200μm、フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みの総計が1〜40μmであることを特徴とする光学補償フィルムに関するものである。
以下、本発明の光学補償フィルムについて詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムで用いるポリプロピレン系樹脂は、主にプロピレンのユニットからなる樹脂であって、一般に結晶性のものであり、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって製造することができる。ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよく、特に耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、例えば20重量%程度まで、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンンなど炭素原子数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。共重合体はランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。ポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、種々の添加物が配合されていてもよい。添加物としては例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の如き紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤としては、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、例えば、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムは、例えば溶融させた前記ポリプロピレン系樹脂を押出成形によって作製することができる。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中で溶融混練され、Tダイからフィルム状に押出される。押出される際の温度は、180〜300℃が好ましい。
押出機は、単軸押出機であっても2軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが20〜40が好ましく、フルフライトタイプ、ニーディングタイプなどの混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、ベント部を設けることも好ましい。押出に使用されるTダイは、ポリプロピレン系樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、ポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっき又はコーティングされたものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れるポリプロピレン系樹脂フィルムが得られる。Tダイから押出された溶融状フィルムは、金属製冷却ロールと、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間にポリエステルフィルムなどを介在させて挟圧することもできる。ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムを、上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状フィルムを急冷させてやる必要がある。具体的には、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂フィルムが得られることから、溶融温度から時間1分以内に両ロールの表面温度が0〜30℃で急冷することが好ましい。使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、10〜200μm、好ましくは20〜160μmである。200μmを超える厚みの場合には、ロールによる冷却効率が悪くなり、得られるシートの透明性に劣り、10μm未満の厚みの場合にはフィルムを製造する際の取扱いが困難になる。このようにして得られたフィルムは、透明性に優れるフィルムである。具体的にその透明性は、JIS K7105に従って測定されるヘーズ値が3%以下が好ましく、特に好ましくは1%以下である。またフィルムは成膜工程で延伸することも可能であり必要な位相差を調整することができる。すなわちポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの面内位相差(Re)は、光学補償フィルムのNz係数が負の場合0〜25nmが好ましく、Nz係数が−0.1〜0.1の場合(0付近)の場合には80〜200nmが好ましく、特に好ましくは100〜160nm、Nz係数が0.4〜0.6(0.5付近)の場合には200〜300nmが好ましく、特に好ましくは220〜280nmである。得られたフィルムは特性を安定させるために室温〜100℃、好ましくは30℃〜50℃でエージングすることも可能である。また、得られたポリプロピレン系樹脂フィルムの表面を、コロナ処理、オゾン処理などで表面処理することが好ましい。また、表面にエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着層を設けることも可能である。
本発明の光学補償フィルムを構成するフマル酸エステル系樹脂フィルムに用いるフマル酸エステル系樹脂としては、フマル酸エステルの重合体が挙げられ、その中でも下記一般式(a)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなるフマル酸ジエステル系樹脂が好ましい。
Figure 0005544877
(ここで、R、Rはそれぞれ独立して炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は炭素数3〜12の環状アルキル基を示す。)
ここで、フマル酸ジエステル残基単位のエステル置換基であるR、Rは、それぞれ独立して、炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は炭素数3〜12の環状アルキル基であり、フッ素,塩素などのハロゲン基;エーテル基;エステル基若しくはアミノ基で置換されていても良く、炭素数3〜12の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数3〜12の環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、特に耐熱性、機械特性に優れた光学補償フィルムとなることからイソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であることが好ましく、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れた光学補償フィルムとなることからイソプロピル基が好ましい。
一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位としては、具体的にはフマル酸ジイソプロピル残基単位、フマル酸ジ−s−ブチル残基単位、フマル酸ジ−t−ブチル残基単位、フマル酸ジ−s−ペンチル残基単位、フマル酸ジ−t−ペンチル残基単位、フマル酸ジ−s−ヘキシル残基単位、フマル酸ジ−t−ヘキシル残基単位、フマル酸ジシクロプロピル残基単位、フマル酸ジシクロペンチル残基単位、フマル酸ジシクロヘキシル残基単位等が挙げられ、その中でもフマル酸ジイソプロピル残基単位、フマル酸ジ−s−ブチル残基単位、フマル酸ジ−t−ブチル残基単位、フマル酸ジシクロペンチル残基単位、フマル酸ジシクロヘキシル残基単位等が好ましく、特にフマル酸ジイソプロピル残基単位が好ましい。
フマル酸エステル系樹脂として好ましく用いられる、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上から成るフマル酸エステル系樹脂としては、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上とフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位50モル%以下からなる樹脂であり、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;アクリル酸残基単位;アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位、アクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位等のアクリル酸エステル類残基単位;メタクリル酸残基単位;メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル残基単位等のメタクリル酸エステル類残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位;エチレン残基単位、プロピレン残基単位等のオレフィン類残基単位;等の1種又は2種以上を挙げることができ、その中でもアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位が好ましく、特にアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位が好ましい。これらの中でも、一般式(a)により示されるフマル酸ジエステル残基単位が70モル%以上であることが好ましく、さらに耐熱性及び機械特性に優れた光学補償フィルムとなることからフマル酸ジエステル残基単位が80モル%以上であることが好ましく、特に90モル%以上であることが好ましい。
本発明を構成するフマル酸エステル系樹脂フィルムで用いるフマル酸エステル系樹脂としては、これらの中でも、フマル酸ジイソプロピル重合体、フマル酸ジイソプロピル/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体、フマル酸ジシクロヘキシル/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体等が好ましい。
本発明を構成するフマル酸エステル系樹脂フィルムで用いるフマル酸エステル系樹脂としては、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10以上のものであることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償フィルムとなることから2×10以上2×10以下であることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムを構成するフマル酸エステル系樹脂フィルムに用いるフマル酸エステル系樹脂の製造方法としては、該フマル酸エステル系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばフマル酸ジエステル類、場合によってはフマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合あるいはラジカル共重合を行うことにより製造することができる。この際のフマル酸ジエステル類としては、例えばフマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−s−ブチル、フマル酸ジ−t−ブチル、フマル酸ジ−s−ペンチル、フマル酸ジ−t−ペンチル、フマル酸ジ−s−ヘキシル、フマル酸ジ−t−ヘキシル、フマル酸ジシクロプロピル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル等が挙げられ、フマル酸ジエステルと共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;等の1種又は2種以上を挙げることができ、その中でもアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましく、特にアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルが好ましい。
また、用いるラジカル重合法としては、公知の重合方法で行うことが可能であり、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン(THF);アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含む光学補償フィルムの製造方法としては、前記フマル酸エステル系樹脂を溶媒に溶解した溶液をポリプロピレン系樹脂フィルム上に塗工後、加熱等により溶媒を除去する方法が好ましく用いられる。なお、フマル酸エステル系樹脂からなる塗工膜は塗工のみで膜の厚み方向の位相差が発現するという特異な挙動を示すことを見出している。
使用する溶剤については特に制限はなく、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。
塗工方法としては、例えばドクターブレード法、バーコーター法、グラビアコーター法、スロットダイコーター法、リップコーター法、コンマコーター法等が用いられる。工業的には薄膜塗工はグラビアコーター法、厚膜塗工はコンマコーター法が一般的である。
溶液塗工においては、より容易に高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れた光学補償フィルムが得られることから、溶液粘度10〜10000cpsとすることが好ましく、特に100〜5000cpsとすることが好ましい。この際の該フマル酸エステル系樹脂の塗工厚は、塗工膜の厚み方向の位相差量により決められ、その中でも優れた表面平滑性、視野角改良効果を有する光学補償フィルムが得られることから、乾燥後1〜40μmが好ましく、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。これらの塗工は片面でも、両面に施すことも可能である。また塗工前に、ポリプロピレン系樹脂フィルムをコロナ処理、オゾン処理等で表面処理することが好ましい。エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂で表面処理することも可能である。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムにフマル酸エステル系樹脂フィルム含む光学補償フィルムは、下記式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が、0〜300nmが好ましく、Nz係数(下記式(3))[(ny−nx)/(ny−nz):ここでnxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはnxと直交する軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率を示す]が、負、0付近、あるいは0.5付近のフィルムが好ましい。
Nz係数は、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの面内位相差(Re)とフマル酸エステル系樹脂からなるフィルムの面外位相差(Rth)(下記式(2))により制御することができる。Nz係数が負の場合には、ポリプロピレン系樹脂よりなるフィルムの面内位相差(Re)は、0〜25nm、Nz係数が−0.1〜0.1の場合(0付近)は、面内位相差(Re)は80〜200nm、好ましくは100〜160nm、Nz係数が0.4〜0.6(0.5付近)の場合は、200〜300nm、好ましくは220〜280nmである。フマル酸エステル系樹脂フィルムの面外位相差(Rth)は、−80〜−180nmが好ましく、特に好ましくは−100〜−150nmである。
Re=(ny−nx)×d (1)
(ここで、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nxは遅相軸と直交するフィルム面内の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す。)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
(ここで、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nxは遅相軸と直交するフィルム面内の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す。)
Nz=(ny−nx)/(ny−nz) (3)
(ここで、nyはフィルム面内の遅相軸方向の平均屈折率、nxは遅相軸と直交するフィルム面内の平均屈折率、nzはフィルム厚み方向の平均屈折率を示す。)
本発明の光学補償フィルムは、IPSディスプレイ用の光学補償フィルムとなることから、下記a)、b)、c)のいずれかの条件を満たす光学補償フィルムである。
a)式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が0〜25nmであって、式(2)により示される波長550nmで測定した面外位相差(Rth)が、−80〜−180nmであること。
b)式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が80〜200nmであって、式(3)により示されるNz係数が−0.1〜0.1であること。
c)式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が200〜300nmであって、式(3)により示されるNz係数が0.4〜0.6であること。
本発明の光学補償フィルムは、熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていても良い。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、本発明の光学補償フィルムを構成するフマル酸エステル系樹脂フィルムにおけるフマル酸エステル系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部の範囲であることが好ましい。さらに、紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよい。
本発明の光学補償フィルムは、偏光板と積層して円あるいは楕円偏光板として用いることもできるし、さらに、ポリビニルアルコール/沃素等からなる偏光子と積層し偏光板とすることもできる。また、本発明の光学補償フィルム同士又は他の光学補償フィルムと積層することもできる。
本発明によると、液晶ディスプレイ、特にIPSモードの液晶ディスプレイのコントラストや視角特性の補償フィルムとして有用な、低ヘーズで位相差特性に優れた光学補償フィルムを提供することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。なお、断りのない限り用いた試薬は市販品を用いた。
〜フマル酸ジエステル系樹脂の組成〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
〜数平均分子量の測定〜
カラム(東ソー株式会社製、商品名TSK−GEL GMHHR−H)を装着したゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−8020)を用い、カラム温度40℃、流量1.0ml/分の条件下で、THFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜光線透過率の測定〜
JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
JIS K 7136(2000年版)に準拠して測定を行った。
〜面内位相差(Re)、面外位相差(Rth)、配向パラメータ(Nz係数)〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて測定波長550nmで3次元屈折率を測定し、その3次元屈折率より面外位相差(Rth)、面内位相差(Re)、配向パラメータ(Nz係数)を計算した。
〜位相差の安定性の評価〜
90℃で24時間熱処理を実施した後、下記式(4)により示される熱処理前後のフィルムの厚み方向の位相差の比(保持率)により、位相差の安定性を評価した。
保持率(%)=(Rth2/Rth1)×100 (4)
(ここで、Rth1は熱処理前の面外位相差、Rth2は熱処理後の面外位相差を示す。)
製造例1 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンランダム共重合体(住友化学製)を二軸押出機(日本製鋼所製TEX:L/D=30)で溶融混錬し、Tダイより押出し溶融状フィルムを金属製冷却ロール(設定温度10℃)と、その金属製冷却ロール(設定温度10℃)の周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて急冷固化(10秒)することで、透明性に優れるポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。なお、ヘーズは0.8%であった。
製造例2 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
メタロセンポリプロピレン(日本ポリプロ製)を二軸押出機(日本製鋼所製TEX:L/D=30)で溶融混錬し、Tダイより押出し溶融状フィルムを金属製冷却ロール(設定温度20℃)と、その金属製冷却ロール(設定温度20℃)の周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて急冷固化(5秒)することで、透明性に優れるポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。なお、ヘーズは0.6%であった。
製造例3 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
メタロセンポリプロピレン(日本ポリプロ製)を二軸押出機(日本製鋼所製TEX:L/D=30)で溶融混錬し、Tダイより押出し溶融状フィルムを金属製冷却ロール(設定温度10℃)と、その金属製冷却ロール(設定温度10℃)の周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて急冷固化(20秒)することで、透明性に優れるポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。なお、ヘーズは0.6%であった。
製造例4 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
製造例2で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムを160℃で1.5倍に延伸した。
製造例5 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
製造例2で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムを160℃で2.0倍に延伸した。
製造例6 ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造
製造例1に記載のポリプロピレン系樹脂を二軸押出機(日本製鋼所製TEX:L/D=30)で溶融混錬し、Tダイより押出し溶融状フィルムを金属製冷却ロール(設定温度50℃)と、その金属製冷却ロール(設定温度50℃)の周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて急冷固化(1.5分)することで、ポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。なお、ヘーズは6.7%であった。
合成例1 フマル酸ジイソプロピル重合体(フマル酸エステル系樹脂)の合成
30リットルオートクレーブ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール0.2重量%を含む蒸留水18kg、フマル酸ジイソプロピル3kg、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート7gを仕込み、重合温度50℃、重合時間24時間の条件にて懸濁ラジカル重合反応を行なった。得られた粒子を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥しフマル酸ジイソプロピル重合体を得た。得られたフマル酸ジイソプロピル重合体の数平均分子量は160,000であった。
合成例2 フマル酸ジイソプロピル共重合体(フマル酸ジイソプロピル/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体)の合成
75mLのガラスアンプル管に、フマル酸ジイソプロピル69.89g、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル0.91gおよび重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.39gを入れ、窒素置換を行なった後、減圧し封管した。50℃で24時間保持することによりラジカル重合を行なった。室温まで冷却した後、生成したポリマーをテトラヒドロフランに溶解した。得られたポリマー溶液を過剰のメタノールに添加することにより白色粉体のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノールで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:84%)。
得られたポリマーの数平均分子量は171,000であった。H−NMR測定により、ポリマーはフマル酸ジイソプロピル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=98/2(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル共重合体であることを確認した。
合成例3 フマル酸ジシクロヘキシル共重合体(フマル酸ジシクロヘキシル/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル共重合体)の合成
75mLのガラスアンプル管に、フマル酸ジシクロヘキシル90g、アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル3gおよび重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート0.4gを入れ、窒素置換を行なった後、減圧し封管した。50℃で24時間保持することによりラジカル重合を行なった。室温まで冷却した後、生成したポリマーをテトラヒドロフランに溶解した。得られたポリマー溶液を過剰のメタノールに添加することにより白色粉体のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノールで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:72%)。
得られたポリマーの数平均分子量は150,000であった。H−NMR測定により、ポリマーはフマル酸ジシクロヘキシル残基単位/アクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル残基単位=96/4(モル%)であるフマル酸ジシクロヘキシル共重合体であることを確認した。
実施例1
合成例1で得られたフマル酸ジイソプロピル重合体をトルエンおよびメチルエチルケトンの1:1の混合溶剤に溶解し20%溶液とし、コーターにより製造例1で作成し、塗工前にコロナ処理した厚み68μmのポリプロピレン系樹脂フィルム上に塗工し80℃で5分、120℃で5分乾燥しポリプロピレン系樹脂フィルムの片面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは29μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は93%、ヘーズ0,6%、面内位相差(Re)は2nm、面外位相差(Rth)は−120nmであった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ位相差変化は見られず保持率は100%であった。
よって、得られたフィルムは、低ヘーズで、位相差の発現性、安定性に優れることから光学補償フィルムに適したものである。また、Reが2nm、Rthが−120nmであることから(条件a)を満たす)IPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに好適に用いることができる。
実施例2
合成例2で得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体をトルエンおよびメチルエチルケトンの1:1の混合溶剤に溶解し20%溶液とし、コーターにより製造例2で作成し、塗工前に両面をコロナ処理した厚み62μmのポリプロピレン系樹脂フィルムの両面に塗工し80℃で5分、120℃で5分乾燥しポリプロピレン系樹脂フィルムの両面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは片面16μmであり両面で32μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は93%、ヘーズ0,5%、面内位相差(Re)は20nm、面外位相差(Rth)は−140nmであった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ保持率は100%であった。
よって、得られたフィルムは、低ヘーズで、位相差の発現性、安定性に優れることから光学補償フィルムに適したものである。また、Reが20nm、Rthが−140nmであることから(条件a)を満たす)IPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに好適に用いることができる。
実施例3
合成例2で得られたフマル酸ジイソプロピル共重合体をトルエンおよびメチルエチルケトンの1:1の混合溶剤に溶解し22%溶液とし、コーターにより製造例3で作成し、塗工前に両面をコロナ処理した厚み152μmのポリプロピレン系樹脂フィルムの両面に塗工し80℃で5分、120℃で5分乾燥しポリプロピレン系樹脂フィルムの両面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは片面12μmであり両面で24μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ0,6%、面内位相差(Re)は10nm、面外位相差(Rth)は−120nmであった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ保持率は100%であった。
よって、得られたフィルムは、低ヘーズで、位相差の発現性、安定性に優れることから光学補償フィルムに適したものである。また、Reが10nm、Rthが−120nmであることから(条件a)を満たす)IPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに好適に用いることができる。
実施例4
合成例3で得られたフマル酸ジシクロヘキシル共重合体をメチルエチルケトン溶剤に溶解し21%溶液とし、コーターにより製造例4で作成し、塗工前にコロナ処理した厚み51μmのポリプロピレン系樹脂フィルム上に塗工し70℃で5分、100℃で10分乾燥しポリプロピレン系樹脂フィルムの片面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは27μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ0,7%、面内位相差(Re)は143nm、Nz係数は0.02であった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ保持率は99%であった。
よって、得られたフィルムは、低ヘーズで、位相差の発現性、安定性に優れることから光学補償フィルムに適したものである。また、Reが143nm、Nz係数が0.02(0付近)であることから(条件b)を満たす)IPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに好適に用いることができる。
実施例5
合成例1で得られたフマル酸ジイソプロピル重合体をトルエンおよびメチルエチルケトンの1:1混合溶剤に溶解し18%溶液とし、コーターにより製造例5で作成し、塗工前にコロナ処理したポリプロピレン系樹脂フィルム上に塗工し90℃で3分、120℃で5分乾燥しポリプロピレン系樹脂フィルムの片面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは31μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は93%、ヘーズ0,6%、面内位相差(Re)は248nm、Nz係数は0.51であった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ保持率は99%であった。
よって、得られたフィルムは、低ヘーズで、位相差の発現性、安定性に優れることから光学補償フィルムに適したものである。また、Reが248nm、Nz係数が0.51(0.5付近)であることから(条件c)を満たす)IPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルムに好適に用いることができる。
比較例1
製造例1で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率92%、ヘーズは0.8%と透明性に優れていたが、面内位相差(Re)は3nm、面外位相差(Rth)は2nm、Nz係数は1.00であった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例2
製造例2で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率93%、ヘーズは0.6%と透明性に優れていたが、面内位相差(Re)は20nm、面外位相差(Rth)は10nm、Nz係数は1.0であった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例3
製造例3で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率92%、ヘーズは0.6%と透明性に優れていたが、面内位相差(Re)は10nm、面外位相差(Rth)は4nm、Nz係数は1.03であった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例4
製造例4で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率91%、ヘーズは6.7%であり光散乱の大きなフィルムであった。面内位相差(Re)142nm、面外位相差(Rth)は112nm、Nz係数は1.01であった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例5
製造例5で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率91%、ヘーズは0.9%であり面内位相差(Re)は248nm、面外位相差(Rth)は128nm、Nz係数は1.03であった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例6
製造例6で製造したポリプロピレン系樹脂フィルムの光学特性を評価した。全光線透過率91%、ヘーズは6.7%であり光散乱の大きなフィルムであった。面内位相差(Re)は5nm、面外位相差(Rth)は5nmであった。
よって、フマル酸エステル系樹脂フィルムを用いなかったことから、条件a)、b)、c)のいずれも満たさず光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。
比較例7
合成例1で得られたフマル酸ジイソプロピル重合体をトルエンおよびメチルエチルケトンの1:1の混合溶剤に溶解し20%溶液とし、コーターによりトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム製:厚み80μm)上に塗工し80℃で5分、120℃で5分乾燥しトリアセチルセルロースの片面にフマル酸エステル系樹脂フィルム含むフィルムを得た。フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みは32μmであった。得られたフィルムの全光線透過率は91%、ヘーズ0,6%、面内位相差(Re)は2nm、面外位相差(Rth)は−112nmであった。得られたフィルムを90℃に設定したオーブンに24時間セットし位相差の安定性を測定したところ位相差の保持率は79%であった。
よって、ポリプロピレン系樹脂フィルムを用いなかったことから、位相差の変動が大きく光学補償フィルムとして十分な特性を有していなかった。

Claims (6)

  1. 延伸したポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に、下記一般式(a)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなるフマル酸エステル系樹脂フィルムを含む光学補償フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの厚みが10〜200μm、フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みの総計が1〜40μmであり、該光学補償フィルムの下記式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が80〜200nmであって、下記式(3)により示されるNz係数が−0.1〜0.1であることを特徴とするIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
    Re=(ny−nx)×d (1)
    Nz=(ny−nx)/(ny−nz) (3)
    (ここで、nyはフィルム面内の遅相軸方向の平均屈折率、nxは遅相軸と直交するフィルム面内の平均屈折率、nzはフィルム厚み方向の平均屈折率、dはフィルムの厚みを示す。)
    Figure 0005544877
    (ここで、R 、R はそれぞれ独立して炭素数3〜12の分岐状アルキル基又は炭素数3〜12の環状アルキル基を示す。)
  2. 延伸したポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に、上記一般式(a)で示されるフマル酸ジエステル残基単位50モル%以上からなるフマル酸エステル系樹脂フィルムを含む光学補償フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの厚みが10〜200μm、フマル酸エステル系樹脂フィルムの厚みの総計が1〜40μmであり、該光学補償フィルムの上記式(1)により示される波長550nmで測定した面内位相差(Re)が200〜300nmであって、上記式(3)により示されるNz係数が0.4〜0.6であることを特徴とするIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
  3. ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面にフマル酸エステル系樹脂を塗工したフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
  4. ポリプロピレン系樹脂フィルムが、ポリプロピレン系樹脂からフィルムを製造する工程で溶融状フィルムを0〜30℃の冷却ロールで急冷され製造されたポリプロピレン系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
  5. ポリプロピレン系樹脂フィルムが表面処理されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
  6. ポリプロピレン系樹脂フィルムがコロナ処理にて表面処理されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のIPS液晶ディスプレイ用の光学補償フィルム。
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