JP5076302B2 - 液晶表示装置及びそれに有用な偏光板のセット - Google Patents

液晶表示装置及びそれに有用な偏光板のセット Download PDF

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Description

本発明は、横電界(In-Plane Switching:IPS)モードであって広視野角を可能とした液晶表示装置に関するものである。本発明はまた、その液晶表示装置に有用な偏光板のセットにも関係している。
近年、低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型などのさまざまな利点から、液晶表示装置(LCD)は、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、パーソナルコンピュータやテレビなど、情報用表示デバイスとしての用途が急速に増加してきている。LCD技術の発展に伴い、さまざまなモードのLCDが提案されて、応答速度やコントラスト、狭視野角といったLCDの問題点が解消されつつある。また、位相差板を偏光板とガラス基板との間に狭持することで、より一層の視野角改善がなされてきた。
これらの液晶表示装置の中で、IPSモードの液晶表示装置は、液晶を挟持する一対の透明基板を有する液晶セルとそのセルを挟んで両側に配置される一対の偏光板とを有し、液晶が基板面に平行でほぼ同じ向きに配向しており、そして、一対の透明基板のうち少なくとも一方の基板の内側(液晶層側)に平行な櫛歯状の電極を配置し、その電極間に印加される電圧の変化によって、液晶の分子長軸の向きを基板に平行な面内で変化させ、前面側偏光板を通る光を制御して表示を行うように構成されたものである。
かかるIPSモードの液晶表示装置の複屈折を補償して視野角を改善するためには、例えば、SID 00 DIGEST, p.1094-1097(非特許文献1)に記載されるように、厚み配向した位相差板が有効であることが知られている。厚み配向した位相差板の製造方法の一つとして、特開平 7-230007 号公報(特許文献1)には、一軸延伸されたポリカーボネートなどからなる熱可塑性樹脂フィルムに、所定の形態で熱収縮を起こさせる方法が開示されている。このような厚み方向に配向した位相差板を、液晶セルを挟んで配置される2枚の偏光板のうちいずれか一方と液晶セル基板との間に、隣接する偏光板の透過軸と位相差板の遅相軸が平行になるよう配置することが、液晶セルの複屈折を補償して視野角を拡大するのに有効である。
特開平 10-54982 号公報(特許文献2)には、IPSモードの液晶表示装置において、セル基板と少なくとも一方の偏光板との間に、負の一軸性を有する位相差板(光学補償シート)を配置することで、視野角特性を改善することが記載されている。また特開 2002-258041号公報(特許文献3)には、吸収型偏光子の両側に透明保護層が設けられた偏光板の片側又は両側に、遅相軸方向の屈折率nxと厚み方向の屈折率nzがほぼ等しい位相差板(光学補償フィルム)を積層することが記載されている。
前記特許文献3の実施例では、正の固有複屈折を有するポリカーボネートの二軸延伸によって、nxとnzがほぼ等しい位相差板を得ているが、かかるnxとnzがほぼ等しい位相差板は、負の固有複屈折を有する高分子フィルムの一軸延伸によって製造するほうが有利である。負の固有複屈折を有する位相差板の材料についても各種の提案がなされており、例えば、特開 2003-207640号公報(特許文献4)には、非環状オレフィンモノマーと環状オレフィンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの三元共重合体を位相差板とすることが記載されている。また、特開 2004-214325号公報(特許文献5)には、α−オレフィン単位とN−フェニルマレイミド単位とからなり、負の固有複屈折を有する共重合体を光学補償板や位相差板とすることが記載されている。
上記特許文献2や特許文献3に記載される構成を採用しても、依然として等コントラストを示す視野角の拡大に限界があったり、視野角による色シフトが大きかったりする問題が発生しており、さらなる改良が望まれている。
本発明者は、特開 2005-221532号公報(特許文献6、特願 2004-26444 号)において、負の一軸性を有する位相差板を1枚用い、この位相差板の遅相軸を隣接する偏光板の透過軸及び隣接するセル基板側の液晶分子の長軸方向と平行に配置することで、視野角特性の改良を図ることを提案している。このような負の一軸性を有する位相差板は、厚み方向に配向した位相差板に比べて生産が容易で、またポリマーの種類を選択すれば高い耐熱性が得られる。さらに、特願 2004-126387号においては、負の一軸性を有する位相差板を2枚用いることで、より一層の視野角特性の改良を図ることを提案している。
特開平7−230007号公報(請求項1) 特開平10−54982号公報(請求項1、図3) 特開2002−258041号公報(請求項1) 特開2003−207640号公報(請求項1) 特開2004−214325号公報(請求項1、5、6) 特開2005−221532号公報(請求項1) T. Ishinabe et al.,‘Novel Wide Viewing Angle Polarizer with High Achromaticity’, SID 00 DIGEST, p.1094-1097(2000年)(表1)
本発明者は、IPSモードの液晶表示装置について、さらなる視野角改良を図るために研究を続けた結果、本発明に至った。そこで本発明の目的は、等コントラストを示す視野角が広く、また視野角による色シフトが少ないIPSモードの液晶表示装置を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、かかるIPSモードの液晶表示装置の液晶セル両側に配置することで視野角を拡大するのに有効な偏光板のセットを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、互いに平行な一対の透明基板の間に液晶が封入され、その液晶が基板に平行に、かつほぼ同じ向きに配向している液晶セルと、その液晶セルを挟んで配置された第一の偏光板及び第二の偏光板とを備え、液晶セルに印加される電圧の変化により、液晶の分子長軸の向きが基板に平行な面内で変化して表示を行うように構成されている液晶表示装置であって、
第一の偏光板と液晶セルの間には少なくとも1枚の位相差板が配置され、第一の偏光板を構成する偏光子から前記位相差板までに存在するその位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつそれらの平面位相差R0 の和が100nmから200nmの範囲にあり、そして
第二の偏光板は、偏光子の両側に透明保護層が設けられたものであり、その偏光子の液晶セル側に位置する透明保護層の厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある液晶表示装置が提供される。
この液晶表示装置において、位相差板の配置されていない第二の偏光板の液晶セル側に位置する透明保護層は、熱可塑性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムで構成するのが有利である。かかる熱可塑性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムで透明保護層を形成すれば、その厚み方向位相差Rthを、−10nmから+10nmの範囲とすることができる。
また、第一の偏光板と液晶セルの間に配置される位相差板は、平面位相差R0 が100nmから200nmの範囲にあるのが好ましく、さらには、後で定義するNz係数が −0.5から+0.5 の範囲にあるのが好ましい。
ここで、透明保護層や位相差板の平面位相差R0 、厚み方向位相差Rth、及びNz係数は、各々のフィルムにおいて、面内の遅相軸方向の屈折率をnx 、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして膜厚をdとしたときに、それぞれ次の式(1)〜(3)で定義されるものである。
0 = (nx−ny)×d (1)
Rth= [(nx+ny)/2−nz]×d (2)
Nz= (nx−nz)/(nx−ny) (3)
換言すれば、平面位相差R0 は、面内の屈折率差に膜厚を乗じた値であり、厚み方向位相差Rthは、面内の平均屈折率と厚み方向屈折率との差に膜厚を乗じた値であり、そしてNz係数は、面内屈折率差に対する面内最大屈折率(遅相軸方向屈折率)と厚み方向屈折率との差の比であって、厚み方向への配向の度合を表す指標である。例えば、正の一軸性で光軸が面内にあるフィルム(nx>ny≒nz )であれば、Nz≒1となり、負の一軸性で光軸が面内にあるフィルム(nx≒nz>ny )であれば、Nz≒0となる。
前記した第一の偏光板を構成する偏光子から位相差板までに存在する複屈折層が位相差板だけの場合は、その位相差板が、前記した厚み方向位相差Rth及び平面位相差R0 を満たすようにすればよい。一方、当該複屈折層が偏光板の透明保護層と位相差板である場合は、位相差板側にある透明保護層の各値に添え字1を付し、位相差板の各値に添え字2を付して表すと、透明保護層と位相差板の厚み方向位相差の和は、次の式(4)で表される範囲となるようにする。
−40nm≦Rth1+Rth2≦+40nm (4)
ただし、
Rth1 = [(nx1+ny1)/2−nz1]×d1
Rth2 = [(nx2+ny2)/2−nz2]×d2
さらにこの液晶表示装置において、第一の偏光板と液晶セルの間に配置される位相差板は、その遅相軸が第一の偏光板の吸収軸とほぼ直交するように配置するのが好ましい。さらにまた、この位相差板は、その遅相軸が隣接する透明基板面に位置する液晶分子の電圧無印加時の長軸方向とほぼ平行になるよう配置するのが好ましい。
本発明によれば、以下のような組合せからなる液晶表示装置用の偏光板のセットも提供される。
第一の偏光板とその片面に配置された少なくとも1枚の位相差板とからなり、第一の偏光板を構成する偏光子から前記位相差板までに存在するその位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつ、それらの平面位相差R0 の和が100nmから200nmの範囲にある複合偏光板、及び
偏光子の両側に透明保護層が設けられ、該透明保護層の少なくとも一方の厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある第二の偏光板の組合せ。
IPSモード液晶セルの一方の側に、上記偏光板のセットのうち、複合偏光板をその位相差板側が液晶セルに面するように配置し、液晶セルの他方の側には、第二の偏光板をその厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある透明保護層が液晶セルに面するように配置すれば、視野角特性の改善されたIPSモードの液晶表示装置とすることができる。
本発明に係る液晶表示装置は、従来構成の液晶表示装置に比べて、液晶層及び偏光板による位相差を高度に補償できるので、視野角による光もれが抑制されてコントラスト視野角が広くなり、また視野角による色シフトも抑えられる。
以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係る液晶表示装置の一例を示すものであって、(A)は層構成を示す縦断面模式図であり、(B)は軸関係を説明するための斜視図である。この液晶表示装置は、IPSモードの液晶セル50を中心に構成される。IPSモードの液晶セルは、先にも述べたように、液晶層53を挟持する一対の透明基板51,52を有し、液晶が基板面に平行でほぼ同じ向きに配向しており、そして、一対の透明基板51,52のうち少なくとも一方の基板の内側(液晶層側)に平行な櫛歯状の電極(図示せず)が配置され、その電極間に印加される電圧の変化によって、液晶の分子長軸の向きを基板に平行な面内で変化させるものである。
一方の基板51の外側には第一の偏光板10が配置され、他方の基板52の外側には第二の偏光板20が配置される。第一の偏光板10の吸収軸15と第二の偏光板20の吸収軸25は、一般にはほぼ直交の関係で配置し、ノーマリーブラックとされるが、両者の吸収軸がほぼ平行になるように配置し、ノーマリーホワイトとすることもできる。また、電圧無印加時における液晶セル50中の液晶分子の長軸方向55に対し、いずれか一方の偏光板の吸収軸はほぼ直交するように、他方の偏光板の吸収軸はほぼ平行になるように配置されている。図1(B)において、液晶分子の長軸方向55は、白抜き実線の矢印と、それに直交する白抜き破線の矢印で示されているが、それらいずれかの向きに配置されることを意味する。
本発明では、第一の偏光板10と液晶セル50の間に位相差板30を配置する。第一の偏光板10に位相差板30が貼合された状態で、複合偏光板40を構成している。第一の偏光板10と位相差板30の貼合には、通常の接着剤や感圧接着剤(粘着剤)を用いることができる。
第一の偏光板10及び第二の偏光板20はそれぞれ、フィルム面内で直交する一方の向きに振動する直線偏光を透過し、他方の向きに振動する直線偏光を吸収するものでよい。第一の偏光板10は、偏光子11の両側に透明保護層12,13が設けられている。第二の偏光板20も、偏光子21の両側に透明保護層22,23が設けられたもので構成されている。
偏光子11,21は具体的には、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向したヨウ素系偏光フィルムや、ポリビニルアルコールフィルムに二色性有機染料が吸着配向した染料系偏光フィルムでありうる。透明保護層12,13,22,23は、一般に高分子材料で構成され、例えば、表面をけん化処理したトリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースプロピオネートなど、公知のセルロース系フィルムを用いることができる。このような高分子保護フィルムは、一般に平面位相差がほとんどなく(nx≒ny)、厚み方向の屈折率nz が面内の主屈折率nx及びnyよりもやや小さい負の一軸性を有し、その光軸がほぼ法線方向に現れるものとなる。すなわち、この透明保護層12,13,22,23は、いわゆるC−プレートの状態になっている。かかる高分子保護フィルムの厚み方向位相差Rthは、通常10〜500nm程度の範囲にあるが、特に、位相差板30が配置される側の透明保護層12の厚み方向位相差Rthを50〜120nmの範囲とすれば、IPSモードの液晶表示装置に適用したときに視野角による色シフトが抑制できることから、有利である。
第一の偏光板10と液晶セル50の間には、位相差板30が配置されており、第一の偏光板10を構成する偏光子11から位相差板30までに存在するその位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲となるようにし、また、それらの平面位相差R0 の和が100nmから200nmの範囲となるようにする。これらの複屈折層が位相差板30だけの場合、すなわち、第一の偏光板10のセル側透明保護層12を省略し、位相差板30を直接偏光子11に貼り付ける場合は、その位相差板30が、上記の位相差値を満足すればよい。しかし、一般には第一の偏光板10にセル側透明保護層12を配置するのが有利なので、その場合には、位相差板30と隣接する透明保護層12の厚み方向位相差Rthの和及び平面位相差R 0 の和が、それぞれ上記の値を満足するようにする。Rthの和は、−20nmから+20nmの範囲となるようにするのがより好ましく、一方R0 の和は、130nm以上、また180nm以下となるようにするのがより好ましい。Rthの和が±40nmを超えると、視野角による色シフトが大きくなるので好ましくなく、また、R0 の和が上記範囲を超えると、視野角による輝度及び色シフトともに悪化するので好ましくない。
IPSモードの液晶セル50の視野角補償にとって好ましいフィルム構成は、第一の偏光板10のセル側透明保護層12をRthがほぼ50〜110nmのもので構成し、その透明保護層に隣接して配置される位相差板30を、負の一軸性を示し、R0 が130〜150nmでNz係数が−0.3〜+0.3のもので構成し、その位相差板30の遅相軸35が、隣接する第一の偏光板10の吸収軸15とほぼ直交し、かつ電圧無印加状態における液晶分子の長軸方向55とほぼ平行になるように配置するものである。第二の偏光板20の液晶セル側に位置する透明保護層22には、実質的に無配向のフィルム(Rth≒0)又は薄肉のセルロース系フィルム(Rth=20〜40nm)を用いるのが好ましい。このような構成は、コスト的にも光学特性的にも有利なものとなる。
実質的に無配向のフィルムとは、厚み方向の屈折率nz が面内の主屈折率nx及びnyとほぼ等しいものであり、例えば、厚み方向位相差Rthが10nm以下程度であれば、実質的に無配向といえる。このような実質的に無配向の透明保護フィルムは、例えば、ノルボルネンなどの環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン系樹脂で作製することができる。セルロース系フィルムであれば、その膜厚を比較的薄くすることにより、厚み方向位相差Rthを小さくすることができる。
通常、偏光板の透明保護層は、その平面位相差R0 が小さい値なので、位相差板30について、先の式(1)で表される平面位相差R0 が、100nmから200nmの範囲となるようにすればよい。さらには120nm以上、また180nm以下であるのがより好ましい。先の式(3)で表されるNz係数は、−0.5から+0.5の範囲にあるのが好ましく、さらには−0.3から+0.3の範囲にあるのがより好ましい。
位相差板30は、その遅相軸35が偏光板10の吸収軸15とほぼ直交するように配置するのが、IPSモードの液晶セルにおける光学補償の面から好ましい。図1の(B)には、偏光板10の吸収軸15と位相差板30の遅相軸35とがほぼ直交するように配置された状態が示されている。また、位相差板30と液晶セル50との関係は、前者の遅相軸35が、隣接する透明基板面に位置する液晶分子の電圧無印加状態における長軸方向55とほぼ平行又はほぼ直交の関係になっていればよいが、好ましくは、両者がほぼ平行になるように配置される。なお、本明細書において「ほぼ平行」とか「ほぼ直交」とか言うときの「ほぼ」は、そこに記載の配置(平行又は直交)を中心に±10°程度までは許容されることを意味する。
位相差板30の好ましい形態として、負の固有複屈折を有するポリマーが一軸延伸されたフィルムや、負の一軸性を示す液晶性ディスコティック化合物の層を形成させたフィルムが挙げられる。いずれも、Nz係数がほぼ0となる負の一軸性位相差板である。なかでも、Nz係数を制御しやすいことから、負の固有複屈折を有するポリマーが一軸延伸されたフィルムが好ましい。
負の一軸性を有し、その光軸が面内方向にある位相差板30を屈折率楕円体で表した状態が、図2に示されている。図2の(A)は、この屈折率楕円体における遅相軸35を横方向にとった状態であり、同(B)は、遅相軸35と面内で直交する軸(進相軸)を横方向にとった状態である。負の一軸性を有し、その光軸が面内方向にある位相差板とは、図2に示すように、その屈折率構造が、nz≒nx>ny の関係になるものであり、屈折率が最も小さいny 方向(進相軸方向)が光軸となる。
負の固有複屈折を有するポリマーを一軸延伸して上記位相差板とする場合に用いるポリマーとしては、スチレン系重合体、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、アクリロニトリル系重合体、メタクリロニトリル系重合体、ビニルナフタレン系重合体、ビニルピリジン系重合体、ビニルカルバゾール系重合体、フェニルアクリルアミド系重合体、ビニルビフェニル系重合体、ビニルアントラセン系重合体、アセナフチレン系重合体、フェニルカルボニルオキシノルボルネン系重合体、ビフェニルカルボニルオキシノルボルネン系重合体、ナフチルカルボニルオキシノルボルネン系重合体、アントラセニルカルボニルオキシノルボルネン系重合体、フェニルカルボニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン系重合体、 ビフェニルカルボニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン系重合体、 ナフチルカルボニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン系重合体、 アントラセニルカルボニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン系重合体、α−オレフィン/N−フェニルマレイミド系共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンは、下式の構造を有し、ジメタノオクタヒドロナフタレンとも呼ばれるものである。
Figure 0005076302
また、負の固有複屈折性が損なわれない程度に、上記の各重合体を別の重合体と混合したり、他のモノマーとの共重合体としたりして、高ガラス転移温度や低光弾性などの機能を付加してもよい。
前記位相差板を作製するために用いられるポリマーは、使用環境を考慮すると、ガラス転移温度が通常120℃以上で、耐熱性を有する共重合体により構成されているのが好ましい。この共重合体のガラス転移温度は、130℃以上であるのが特に好ましい。また、このポリマーは、その光弾性係数が10×10-5mm2kg-1 以下であるのが好ましい。光弾性とは、等方性の物質に外力を加えて内部に応力を起こさせると、光学的異方性を呈し、複屈折を示すようになる現象をいう。物質に作用する応力(単位面積あたりの力)をσとし、複屈折をΔnとした場合に、応力σと複屈折Δnは、理論的には比例関係にあって、Δn=Cσと表すことができ、このCが光弾性係数である。換言すれば、物質に作用する応力σを横軸にとり、その応力が作用したときの複屈折Δnを縦軸にとると、理論的には両者の関係は直線となり、この直線の勾配が光弾性係数である。
ガラス転移温度が高いこと及び光弾性が低いことを考慮すると、負の固有複屈折を有する好ましいポリマーとして、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィン化合物から選ばれる非環状オレフィンモノマーと、環状オレフィン化合物から選ばれる環状オレフィンモノマーと、芳香族炭化水素環を有するビニル化合物から選ばれる芳香族ビニルモノマーとをそれぞれ少なくとも1種用いた、三元共重合体が挙げられる。
次に、かかる三元共重合体を構成する各モノマー成分について説明する。非環状オレフィンモノマーは、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィン化合物から選ばれる。ここで、炭素数3〜20のα−オレフィン化合物としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンのような炭素原子数3〜20の直鎖状α−オレフィンや、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンのような炭素原子数4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。これらの中では、炭素原子数が2のエチレンや、炭素原子数が3又は4の直鎖状α−オレフィンであるプロピレン又は1−ブテンが、得られる共重合体をフィルム状に成形した際の柔軟性の点で好ましく、特にエチレンが同様の理由で好ましい。上記のエチレン及びα−オレフィンは、それぞれ単独で用いても、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィンモノマーは、炭素環内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物であって、共重合した際、共重合体の主鎖中にシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、それらが2つ以上結合した環のような脂環式の環を導入できる単量体である。具体的には、通常ノルボルネンと呼ばれているビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンや、6−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジアルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのような、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が導入されたノルボンネン誘導体、またジメタノオクタヒドロナフタレンとも呼ばれている テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンや、 8−アルキルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、 8,9−ジアルキルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンのような、ジメタノオクタヒドロナフタレンの8位及び/又は9位に炭素数3以上のアルキル基が導入されたジメタノオクタヒドロナフタレン誘導体、さらには、1分子内に1個又は複数個のハロゲンが導入されたノルボルネンの誘導体、8位及び/又は9位にハロゲンが導入されたジメタノオクタヒドロナフタレンの誘導体などが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独で用いても、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニルモノマーには、スチレン及びその誘導体が包含される。スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレンや、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンジルアセテート、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンのような、スチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、ハロゲンなどが導入された置換スチレン、また4−ビニルビフェニル、4−ヒドロキシ−4′−ビニルビフェニルのようなビニルビフェニル系化合物、さらには1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンのようなビニルナフタレン系化合物などが挙げられる。
それぞれのモノマーの量について述べると、芳香族ビニルモノマーの量があまり少ない場合には、正の固有複屈折を有するようになるので好ましくなく、逆にその量があまり多い場合には、光弾性係数が大きくなるので好ましくない。また、環状オレフィンモノマーの量があまり少ない場合には、ガラス転移温度が低くなるので好ましくなく、逆にその量があまり多い場合には、共重合体が脆くなるのでやはり好ましくない。そこで、芳香族ビニルモノマーが5〜50モル%程度、非環状オレフィンモノマーと環状オレフィンモノマーの合計が50〜95モル%程度となる割合で共重合させたものが適当である。このような共重合比の三元共重合体は、特に位相差板の耐熱性の面から有利である。
より具体的には、例えば、非環状オレフィンモノマーがエチレン、芳香族ビニルモノマーがスチレン、環状オレフィンモノマーが テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンで構成される三元共重合体においては、スチレンを15〜25モル%、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを 25〜35モル%とすることにより、負の複屈折性を示し、ガラス転移温度が高く、光弾性の低い樹脂となるので、特に好ましい。
この他に、ガラス転移温度が高いこと及び光弾性が低いことを考慮すると、負の固有複屈折を有する別の好ましいポリマーとして、α−オレフィン単位及びN−フェニルマレイミド単位を含む共重合体が挙げられる。この共重合体は、具体的には、下記式(I)及び(II)の各単位を有するものであることができる。
Figure 0005076302
式(I)中、R1、R2及びR3 はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し;
式(II)中、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、カルボキシル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
式(I)はα−オレフィンの単位を表し、そこに現れるR1、R2及びR3 はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。R1〜R3のいずれかがアルキル基である場合、このアルキル基は直鎖状であってもよいし、炭素数3以上の場合は、イソプロピル、イソブチル、 sec−ブチル、tert−ブチルなど、分岐状であってもよい。式(I)の単位を与えるα−オレフィンのなかでは、炭素数4以上で、R2及びR3がアルキル基であるものが好ましい。
式(II)はN−フェニルマレイミド単位を表し、そのベンゼン環上に現れるR4、R5、R6、R7及びR8 は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH )又は炭素数1〜8のアルキル基である。これらのいずれかがハロゲンである場合、かかるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。R4〜R8のいずれかがアルキル基である場合、その炭素数は1〜8であり、直鎖状であってもよいし、炭素数3以上の場合は、イソプロピル、イソブチル、 sec−ブチル、tert−ブチルなど、分岐状であってもよい。ベンゼン環上の基R4、R5、R6、R7及びR8 については、そのうちの少なくとも一つが水素以外の基であるのが好ましく、とりわけ、一つ又は二つがアルキル基であり、残りが水素であるのが好ましい。特に、2−位に位置するR4 及び/又は6−位に位置するR8 がアルキル基である場合が好ましい。
式(II)において、マレイミドの炭素原子上に現れるR9 及びR10もそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、カルボキシル基(-COOH )又は炭素数1〜8のアルキル基である。この場合のハロゲン及びアルキル基についても、上で述べたのと同様の説明があてはまる。マレイミドの炭素原子上に現れるこれらR9 及びR10は、一般には水素であるのが有利であるが、一方で、極性基であるハロゲンやカルボキシル基とするのも有効である。
式(I)のα−オレフィン単位を与える化合物としては、例えば、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて重合に用いることができる。
式(II)のN−フェニルマレイミド単位を与える化合物としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(3−メチルフェニル)マレイミド、N−(3−エチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−エチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、 N−(2−,3−又は4−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミドなどが挙げられる。これらも、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて重合に用いることができる。
以上説明したような、式(I)のα−オレフィン単位を与える化合物、及び式(II)のN−フェニルマレイミド単位を与える化合物を、公知の方法で重合することにより、負の一軸性で光軸が面内方向にある位相差板に用いられるα−オレフィン/N−フェニルマレイミド共重合体を製造することができる。この際、所望により、負の一軸性、耐熱性及び光弾性を損なわない範囲で、他のビニル単量体を少量共重合させることもできる。他のビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを挙げることができる。
α−オレフィン/N−フェニルマレイミド共重合体におけるそれぞれのモノマーの量について述べると、N−フェニルマレイミドの量があまり少ない場合には、正の固有複屈折を示すようになり、ガラス転移温度も低くなるので好ましくなく、逆にその量があまり多い場合には、光弾性係数が大きくなり、共重合体が脆くなるのでやはり好ましくない。そこで、α−オレフィン単位が50〜95モル%程度、N−フェニルマレイミド単位が5〜50モル%程度となる割合で共重合させたものが適当である。また、ガラス転移温度の低下を防止するため、ポリマーの光学特性を損なわない程度に、N−アルキルマレイミドをモノマーとして併用してもよい。
以上説明したようなポリマーをフィルム化し、適当な方法で延伸することにより、位相差板を得ることができる。位相差のバラツキが小さい位相差板を得るためには、光学的に均一なフィルムを延伸に供することが重要である。フィルム化には、種々の公知の方法、例えば、溶融押出法、溶剤キャスト法、インフレーション法などがあるが、フィルム厚みのバラツキが小さく、位相差も小さく、光学的に等方性のフィルムが得られれば、いずれの方法も適用可能である。
こうして得られるフィルムに、公知の延伸方法により配向処理を施して、均一な位相差を付与することができる。延伸方法としては、一軸や二軸の熱延伸法を採用することができる。光学的な一軸性が重要となる場合には、自由端縦一軸延伸が、好ましい延伸方法として挙げられる。
こうして得られる位相差板は、負の一軸性を示すものであって、IPSの液晶動作モードを用いる液晶表示装置の視野角特性の補償に好ましく用いることができる。
光軸が面内方向にあって負の一軸性を示す位相差板を製造する際に、負の固有複屈折を有するポリマーを自由端縦一軸延伸する方法を採用すれば、得られる延伸フィルム(位相差板)は、延伸方向が進相軸となり、それと直交する方向が遅相軸となる。一方、偏光板は、延伸方向が吸収軸、それと直交する方向が透過軸となる。そこで、このようにして得られる位相差板と偏光板をロールツウロールで貼合すれば、位相差板の遅相軸と偏光板の吸収軸が直交した複合偏光板が得られる。これによって、製造工程数が少なくなり、目的とする複合偏光板を効率よく製造することができる。
次に、負の一軸性を示す液晶性ディスコティック化合物の層を形成して、負の一軸性を有し、その光軸が面内にある位相差板とする形態について説明する。液晶性ディスコティック化合物とは、液晶性を示し、分子構造が円盤状を呈する化合物である。このような化合物を溶融状態で、又は適当な溶媒に溶かした溶液状態で、透明プラスチックフィルム上に塗布し、円盤面がフィルム面と平行な所定の向きとなるように、換言すれば、円盤がフィルム面上で直立して円盤面が所定の向きとなるように配向させ、その配向を保ったまま固化させるか、又は溶媒を除去することにより、得られる液晶性ディスコティック化合物の層は負の一軸性を示し、光軸(進相軸)が面内にある状態となる。このような方法によっても、図2に示すような屈折率楕円体構造を有する位相差板を製造することができる。液晶性ディスコティック化合物を配向させるには、配向膜の使用、ラビング、カイラルドーパントの添加、光照射など、一般的な方法を用いることができる。また、液晶性ディスコティック化合物を配向させた後、配向を固定するためにその液晶性化合物を硬化させることも可能である。
以上のように、負の固有複屈折を有するポリマーの一軸延伸や、負の一軸性を示す液晶性ディスコティック化合物の円盤が基板フィルム上で直立するように配向させることで、先の式(3)で表されるNz係数が概ねゼロの位相差板を作製することができるが、延伸時に、例えば、固定端縦一軸延伸やテンター横一軸延伸を採用して若干の二軸性を持たせることで、nz>nx>nyとなり、その場合にはNz係数が負の位相差板(Nz=−0.5〜0)が得られる。すなわち、Nz係数が −0.5〜0の範囲にある負の一軸性位相差板は、例えば、負の固有複屈折を有するポリマーを一軸延伸することにより作製することができる。負の固有複屈折を有するポリマーとしては、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィン化合物から選ばれる非環状オレフィンモノマー、環状オレフィン化合物から選ばれる環状オレフィンモノマー、並びに、芳香族炭化水素環を有するビニル化合物から選ばれる芳香族ビニルモノマーを、芳香族ビニルモノマーが5〜50モル%、非環状オレフィンモノマーと環状オレフィンモノマーの合計が50〜95モル%となる割合で重合させた共重合体であるのが、位相差板の耐熱性の観点から好ましい。
一方、正の固有複屈折を有するポリマーを前記特許文献1に記載の方法に準じて加工することで、nx>nz>nyとなり、その場合にはNz係数が0〜+0.9の厚み配向位相差板が得られる。そのうち、本発明において採用しうる位相差板を得るには、Nz係数が0〜+0.5となるようにすればよい。すなわち、Nz係数が0〜+0.5の範囲にある厚み配向した位相差板は、前述の特許文献1に記載される方法に準じて、正の固有複屈折を有するポリマーを一軸延伸した後、所定の形態で熱収縮させることにより、作製することができる。
本発明による偏光板のセットは、図1に示したような、第一の偏光板10とその片面に配置された位相差板30とからなる複合偏光板40、及び第二の偏光板20を組み合わせて、液晶セルの表裏に貼り合わされる状態としたものである。それぞれの光学特性については、今までの説明があてはまる。IPSモード液晶セルの一方の側に、複合偏光板40をその位相差板30側が液晶セルに面するように配置し、液晶セルの他方の側には、第二の偏光板20をその厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある透明保護層22が液晶セルに面するように配置すれば、視野角特性の改善されたIPSモードの液晶表示装置とすることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
比較例1
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルムが貼合された直線偏光板“SRW842A ”〔住友化学(株)製〕を用意した。この直線偏光板において、透明保護層片面のRthは55nm、R0 は1nmで、透明保護層の遅相軸がポリビニルアルコール−ヨウ素系偏光子の吸収軸と平行に配置されている。IPSモードの液晶セル〔(株)日立製作所製の“WOOO 3000 ”〕の両面に、上記の直線偏光板“SRW842A ”のみを配置し、位相差板が配置されていない構成の液晶表示装置を作製した。この際、前面(視認側)では、直線偏光板の吸収軸が電圧無印加時の液晶分子の長軸方向(配向方向)と直交するように配置し、また前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係は、図3に示すとおりである。図3における符号の意味は図1と同様であって、図3は、位相差板30が配置されていない点及び液晶分子の長軸方向55が白抜き矢印方向に固定されている点で、図1と異なるだけである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角による色シフト及び輝度変化を目視で観察したところ、視野角による輝度変化が大きく、視野角依存性が高いものであった。
実施例1
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは65nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、負の固有複屈折を有するポリスチレンの自由端縦一軸延伸フィルムであって、R0が140nmでNz係数が0.0の位相差板を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
比較例1で用いたのと同じIPSモード液晶セル“WOOO 3000 ”の前面(視認側)に、上記(a)で作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるようにアクリル系感圧接着剤を介して積層し、背面(バックライト側)には、ヨウ素系直線偏光板のみを、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。背面側に用いた直線偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の片面にノルボルネン系樹脂からなる無配向の保護フィルム〔(株)オプテス製の“ゼオノア”、Rthは4nm〕が貼合され、もう一方の面にはトリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合されたものであり、そのノルボルネン系樹脂からなる保護フィルム側で、アクリル系感圧接着剤を介してセル基板に貼り合わせた。この際、前面側では、位相差板の遅相軸が電圧無印加時の液晶分子の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係は、図4に示すとおりである。図4における符号の意味は図1と同様であって、図4は、液晶分子の長軸方向55が白抜き実線矢印方向に固定されている点で図1と異なるだけである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角による色シフト及び輝度変化を目視観察したところ、比較例1に比べて、色シフト及び輝度変化とも少ないことが確認された。
実施例2
位相差板を、R0が130nmでNz係数が0.0の自由端縦一軸延伸ポリスチレンフィルムに変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果、視野角による色シフト及び輝度変化とも少なく、実施例1とほぼ同レベルであることが確認された。
実施例3
背面側の偏光板を住友化学(株)製の“SRW042A”(透明保護層片面の Rthは34nm)に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果、視野角による色シフト及び輝度変化とも少ないことが確認された。
実施例4
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは110nm、R0 は7nm)が貼合された住友化学(株)製の直線偏光板“SR2042A ”の一方の保護フィルム側に、負の固有複屈折を有するポリスチレンの自由端縦一軸延伸フィルムであって、R0 が160nmの位相差板を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。液晶セル前面側に配置する複合偏光板をここで作製したものに変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果、視野角による色シフト及び輝度変化とも少ないことが確認された。
実施例5
エチレンとスチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン とのモル比50:20:30の共重合体(ESDと略す)を、プレス成形で厚さ100μm のフィルムにした。このフィルムをオートグラフで一軸延伸して、負の複屈折を示し、平面位相差R0が140nmでNz係数が0.0の位相差板を作製した。この位相差板を一軸延伸ポリスチレンフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして複合偏光板を作製し、さらに液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置について、実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同様の結果が得られ、正面方向も斜め方向も輝度変化及び色シフトは少ないことが確認された。
比較例2
住友化学(株)製の位相差板“SEZ270135 ”は、ポリカーボネートからなり、厚み配向していて、R0が135nm、Rthが−41nmであり、Nz係数が0.2のものである。比較例1で用いたのと同じ直線偏光板“SRW842A”(透明保護層片面のRthは55nm、R0は1nm)の一方の保護フィルム側に、上の厚み配向した位相差板“SEZ270135 ”を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、アクリル系の感圧接着剤を介して貼合し、複合偏光板を作製した。この複合偏光板を液晶セルの前面(視認側)に配置し、液晶セルの背面には、比較例1で用いたのと同じ直線偏光板“SRW842A” (透明保護層片面のRthは55nm)を配置した以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置について、実施例1と同様の方法で評価したところ、視野角による輝度変化は少なかったが、色シフトは比較例1に比べても著しかった。
以上の比較例1、実施例1〜5及び比較例2における主な条件と得られた結果を、表1にまとめた。
Figure 0005076302
比較例3
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは52nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、ポリカーボネート製の厚み配向位相差板であって、R0が135nm、Rthが−27nmでNz係数が0.3のものを、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、アクリル系感圧接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
IPSモード液晶セル〔(株)日立製作所製の“WOOO 5000 ”〕の前面(視認側)に、上記(a)で作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるようにアクリル系粘着剤を介して積層し、背面(バックライト側)には、上記(a)で位相差板を貼合する前の直線偏光板(Rthが52nmでR0 が1nmの透明保護フィルムが両面に付いたもの)のみを、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。前面側では、位相差板の遅相軸が液晶セル内液晶分子の電圧無印加時の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係は、図4のとおりである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角によるコントラスト変化と色シフトを、ELDIM 社製の液晶視野角・色度特性測定装置“EZ Contrast ”で測定した。
図5に、このときの等コントラスト曲線を示す。この等コントラスト曲線においては、画面右方向を0°とし、半時計回りを正にして方位角を表示しており(0°から315°まで45°おきに数字を表示)、また横軸に「10」、「20」……、「70」とあるのは、それぞれの方位角における法線からの傾斜角度を意味する。例えば、円の右端は、方位角が0°(画面の右側)で傾斜角度が80°の方向のコントラストを意味し、円の中心は、画面の法線方向のコントラストを意味する。コントラストが200の曲線に「CR=200」の表示を付しており、それより内側へ行くにつれて、順次、コントラスト400、600、800のそれぞれ等コントラスト曲線となっている。以下に出てくる等コントラスト曲線を示す図も同様の意味なので、以下で等コントラスト曲線の図が出てくるときは、詳しい説明を省略する。なお、ここでいうコントラストは、黒表示(液晶セルへの電圧無印加)時の輝度に対する白表示(液晶セルへの電圧印加)時の輝度の比である。
図6は、この例で測定された視野角によるx,y色度図である。外側の閉曲線は単色光の刺激値を表す単色光軌跡であって、右端でxの最も大きい点が波長780nm、上でyの最も大きい点が波長520nm付近、そして左下でyの最も小さい点が波長380nmに相当する。(x=0.33,y=0.33)の付近が白色に相当し、外側閉曲線内の概ね右下側が赤、上側が緑、左下側が青に相当する。内側の閉曲線が実際の測定データであって、法線からの傾斜角を60°に固定し、黒表示(液晶セルへの電圧無印加)時に方位角を0°から360°まで順次回転させたときの色度の軌跡を表しており、この閉曲線の面積が小さいほど、視野角による色シフトが小さいことを意味する。以下に出てくるx,y色度図も同様の意味なので、以下でx,y色度図が出てくるときは、詳しい説明を省略する。
図5及び図6より、比較例3の液晶表示装置は、特に視野角による色シフトが大きいものであった。
実施例6
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは65nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、負の固有複屈折を有するポリスチレンの自由端縦一軸延伸フィルムであって、R0が140nmでNz係数が0.0の位相差板を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
比較例3で用いたのと同じIPSモード液晶セル“WOOO 5000 ”の前面(視認側)に、上記(a)で作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるようにアクリル系感圧接着剤を介して積層し、背面(バックライト側)には、ヨウ素系直線偏光板のみを、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。背面側に用いた直線偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の片面にノルボルネン系樹脂からなる無配向の保護フィルム〔(株)オプテス製の“ゼオノア”、Rthは4nm〕が貼合され、もう一方の面には、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合されたものであって、そのノルボルネン系樹脂からなる保護フィルム側でセル基板に貼り合わせた。前面側では、位相差板の遅相軸が液晶セル内液晶分子の電圧無印加時の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係も図4と同じである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角によるコントラスト変化と色シフトを比較例3と同様にELDIM 社製“EZ Contrast ”で測定した。等コントラスト曲線を図7に、またx,y色度図を図8に、それぞれ示す。この例で作製した液晶表示装置は、比較例3に比べ、等コントラスト曲線が広視野角側に広がり、また視野角による色シフトが少なくなっていた。
実施例7
背面側の偏光板を住友化学(株)製の“SRW042A”(透明保護層片面のRth は34nm)に変えた以外は、実施例6と同様にして評価を行った。等コントラスト曲線を図9に、またx,y色度図を図10に、それぞれ示す。この例で作製した液晶表示装置も、コントラスト視野角及び視野角による色シフトとも良好であった。
以上の比較例3並びに実施例6及び7につき、等コントラスト曲線から、コントラスト200が得られる傾斜角度を方位角45°毎に読み取り、結果を表2に示した。実施例のものは比較例に比べ、方位角45°−225°方向、及び135°−315°方向の視野角が総じて広がっていることがわかる。
Figure 0005076302
以上の比較例3並びに実施例6及び7における主な条件と得られた結果を、表3にまとめた。





Figure 0005076302
比較例4
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは65nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、負の固有複屈折を有するポリスチレンの自由端縦一軸延伸フィルムであって、R0が140nmでNz係数が0.0の位相差板を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、ポリビニルアルコール系接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
IPSモード液晶セル〔(株)日立製作所製の“WOOO 7000 ”〕の前面(視認側)に直線偏光板のみを、アクリル系感圧接着剤を介して積層し、背面(バックライト)側には、上記(a)で作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるように、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。前面側に用いた直線偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルム(1枚のRthは51nm)が貼合されたものである。背面側の位相差板は、その遅相軸が電圧無印加時の液晶分子の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係は、図11に示すとおりである。図11における符号の意味は図1と同様であって、図11は、上下が反転しており、かつ液晶分子の長軸方向55が白抜き実線矢印方向に固定されている点が、図1と異なるだけである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角によるコントラスト変化と色シフトを、前記比較例3と同様、ELDIM 社製の液晶視野角・色度特性測定装置“EZ Contrast ”で測定した。等コントラスト曲線を図12に、また視野角によるx,y色度図を図13に、それぞれ示す。視野角によるコントラスト変化及び色シフトとも、十分でなかった。
比較例5
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは51nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、ポリカーボネート製の厚み配向位相差板であって、R0が180nm、Rthが−36nmでNz係数が0.3のものを、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、アクリル系感圧接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
比較例4で用いたのと同じIPSモード液晶セル“WOOO 7000 ”の前面(視認側)に直線偏光板のみを、アクリル系感圧接着剤を介して積層し、背面(バックライト側)には、上記(a)で作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるように、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。前面側に用いた直線偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルム(1枚のRthは51nm)が貼合されたものである。背面側の位相差板は、その遅相軸が電圧無印加時の液晶分子の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係も、図11に示すとおりである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角によるコントラスト変化及び色シフトを、比較例4と同様、ELDIM 社製の“EZ Contrast ”で測定した。等コントラスト曲線を図14に、また視野角によるx,y色度図を図15に、それぞれ示す。図15に示す色シフトは良好な結果であったが、図14に示す視野角によるコントラスト変化は十分でなかった。
実施例8
比較例4で用いたのと同じIPSモード液晶セル“WOOO 7000 ”の前面(視認側)に直線偏光板のみを、アクリル系感圧接着剤を介して積層し、背面(バックライト側)には、比較例4の(a)と同様にして作製した複合偏光板を、セル基板側から位相差板及び直線偏光板の順となるように、やはりアクリル系感圧接着剤を介して積層した。前面側に用いた直線偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の片面に、ノルボルネン系樹脂からなる無配向の保護フィルム〔(株)オプテス製の“ゼオノア”、
Rthは4nm〕が貼合され、もう一方の面には、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムが貼合されたものであり、そのノルボルネン系樹脂からなる保護フィルム側でセル基板に貼り合わせた。背面側の位相差板は、その遅相軸が電圧無印加時の液晶分子の長軸方向(配向方向)と平行になるように配置した。また、前面側直線偏光板と背面側直線偏光板は、それぞれの吸収軸が直交するように配置した。ここで作製した液晶表示装置の層構成及び軸関係も、図11に示すとおりである。この液晶表示装置の背面からバックライトを点灯し、視野角によるコントラスト変化及び色シフトを比較例4と同様、ELDIM 社製の“EZ Contrast ”で測定した。等コントラスト曲線を図16に、また視野角によるx,y色度図を図17に、それぞれ示す。比較例4に比べ、コントラスト200の等コントラスト曲線が広がっており、また色シフトも少なかった。
実施例9
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは96nm、R0 は7nm)が貼合された住友化学(株)製の直線偏光板“SR2042A ”を用意した。その一方の保護フィルム側に、負の固有複屈折を有するポリスチレンの固定端横一軸延伸フィルムであって、R0 が140nm、Rthが−92nmでNz係数が −0.2の位相差板を、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、アクリル系感圧接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
背面側の複合偏光板を、上記(a)で作製したものに変えた以外は、実施例8と同様にして評価を行った。等コントラスト曲線を図18に、また視野角によるx,y色度図を図19に、それぞれ示す。この例でも、視野角によるコントラスト変化及び色シフトとも良好であった。
実施例10
(a)複合偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム(1枚のRthは51nm、R0 は1nm)が貼合された直線偏光板を用意した。その一方の保護フィルム側に、ポリカーボネート製の厚み配向位相差板であって、R0が180nm、Rthが−36nmでNz係数が0.3のものを、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸が直交するように、アクリル系感圧接着剤を介して貼合し、複合偏光板とした。
(b)液晶表示装置の作製及び評価
背面側の複合偏光板を、上記(a)で作製したものに変えた以外は、実施例8と同様にして評価を行った。等コントラスト曲線を図20に、また視野角によるx,y色度図を図21に、それぞれ示す。比較例5に比べ、コントラスト200の等コントラスト曲線が大きく広がっていた。
以上の比較例4及び5並びに実施例8〜10につき、等コントラスト曲線からコントラスト200が得られる傾斜角度を方位角45°毎に読み取り、結果を表4に示した。実施例のものは比較例に比べ、方位角45°−225°方向、及び135°−315°方向の視野角が総じて広がっていることがわかる。
Figure 0005076302
以上の比較例4及び5並びに実施例8〜10における主な条件と得られた結果を、表5にまとめた。
Figure 0005076302
本発明に係る液晶表示装置の例を示すもので、(A)は層構成を概略的に示す縦断面模式図、(B)は軸関係を説明するための斜視図である。 z≒nx>ny なる関係を満たす負の一軸性位相差板を屈折率楕円体で表した斜視図であって、(A)は屈折率楕円体の遅相軸を横方向にとった状態、(B)は遅相軸と面内で直交する軸(進相軸)を横方向にとった状態である。 比較例1で作製した液晶表示装置であって、(A)は層構成を概略的に示す縦断面模式図、(B)は軸関係を説明するための斜視図である。 実施例1〜5、比較例2、比較例3並びに実施例6及び7で作製した液晶表示装置であって、(A)は層構成を概略的に示す縦断面模式図、(B)は軸関係を説明するための斜視図である。 比較例3で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 比較例3で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 実施例6で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 実施例6で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 実施例7で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 実施例7で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 比較例4及び5並びに実施例8〜10で作製した液晶表示装置であって、(A)は層構成を概略的に示す縦断面模式図、(B)は軸関係を説明するための斜視図である。 比較例4で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 比較例4で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 比較例5で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 比較例5で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 実施例8で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 実施例8で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 実施例9で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 実施例9で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。 実施例10で作製した液晶表示装置の等コントラスト曲線を示す図である。 実施例10で作製した液晶表示装置につき、黒表示時に傾斜角60°で方位角を変化させたときのx,y色度図である。
符号の説明
10……第一の偏光板、
11……偏光子、
12,13……透明保護層、
15……第一の偏光板の吸収軸、
20……第二の偏光板、
21……偏光子、
22,23……透明保護層、
25……第二の偏光板の吸収軸、
30……位相差板、
35……位相差板の遅相軸、
40……複合偏光板、
50……IPSモード液晶セル、
51,52……液晶セル基板、
53……液晶層、
55……液晶分子の長軸方向。

Claims (9)

  1. 互いに平行な一対の透明基板の間に液晶が封入され、該液晶が基板に平行に、かつほぼ同じ向きに配向している液晶セルと、該液晶セルを挟んで配置された第一の偏光板及び第二の偏光板とを備え、液晶セルに印加される電圧の変化により、液晶の分子長軸の向きが基板に平行な面内で変化して表示を行うように構成されている液晶表示装置であって、
    第一の偏光板と液晶セルの間には少なくとも1枚の位相差板が配置され、第一の偏光板を構成する偏光子から前記液晶セルまでの間に存在する該位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつそれらの平面位相差R0 の和が100nmから200nmの範囲にあり、そして
    第二の偏光板は、偏光子の両側に透明保護層が設けられたものであり、その偏光子の液晶セル側に位置する透明保護層は熱可塑性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムからなり、その厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にあることを特徴とする
    液晶表示装置。
  2. 第二の偏光板の液晶セル側に位置する透明保護層は、厚み方向位相差Rthが−10nmから+10nmの範囲にある請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 位相差板は、平面位相差R0 が100nmから200nmの範囲にあり、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をny、そして厚み方向の屈折率をnz としたときに、 (nx−nz)/(nx−ny) で表されるNz係数が−0.5から+0.5の範囲にある請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 互いに平行な一対の透明基板の間に液晶が封入され、該液晶が基板に平行に、かつほぼ同じ向きに配向している液晶セルと、該液晶セルを挟んで配置された第一の偏光板及び第二の偏光板とを備え、液晶セルに印加される電圧の変化により、液晶の分子長軸の向きが基板に平行な面内で変化して表示を行うように構成されている液晶表示装置であって、
    第一の偏光板と液晶セルの間には、面内の遅相軸方向の屈折率をn x 、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn y 、そして厚み方向の屈折率をn z としたときに、(n x −n z )/(n x −n y ) で表されるNz係数が−0.5から0の範囲にある位相差板が1枚配置され、第一の偏光板を構成する偏光子から前記位相差板までに存在する該位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつそれらの平面位相差R 0 の和が100nmから200nmの範囲にあり、そして
    第二の偏光板は、偏光子の両側に透明保護層が設けられたものであり、その偏光子の液晶セル側に位置する透明保護層の厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にあることを特徴とする
    液晶表示装置。
  5. 第二の偏光板の液晶セル側に位置する透明保護層は、熱可塑性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムからなり、その厚み方向位相差Rthが−10nmから+10nmの範囲にある請求項に記載の液晶表示装置。
  6. 位相差板は、その遅相軸が第一の偏光板の吸収軸とほぼ直交するように配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置
  7. 位相差板は、その遅相軸が隣接する透明基板面に位置する液晶分子の電圧無印加時の長軸方向とほぼ平行に配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置。
  8. 第一の偏光板とその片面に配置された少なくとも1枚の位相差板とからなり、第一の偏光板を構成する偏光子からそれより最も離れて位置する位相差板までに存在する該最も離れて位置する位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつそれらの平面位相差R 0 の和が100nmから200nmの範囲にある複合偏光板、及び
    偏光子の両側に透明保護層が設けられ、該透明保護層の少なくとも一方は熱可塑性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムからなり、その厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある第二の偏光板
    からなることを特徴とする横電界モード液晶表示装置用の偏光板のセット。
  9. 第一の偏光板とその片面に配置された1枚の位相差板とからなり、該位相差板は、面内の遅相軸方向の屈折率をn x 、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率をn y 、そして厚み方向の屈折率をn z としたときに、(n x −n z )/(n x −n y )で表されるNz係数が−0.5から0の範囲にあり、第一の偏光板を構成する偏光子から前記位相差板までに存在する該位相差板を含む複屈折層の厚み方向位相差Rthの和が−40nmから+40nmの範囲にあり、かつそれらの平面位相差R 0 の和が100nmから200nmの範囲にある複合偏光板、及び
    偏光子の両側に透明保護層が設けられ、該透明保護層の少なくとも一方の厚み方向位相差Rthが−10nmから+40nmの範囲にある第二の偏光板
    からなることを特徴とする横電界モード液晶表示装置用の偏光板のセット。
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