JP2009258606A - 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コントラストを維持すると共に視野角黒色味を向上することができる偏光板及びそれを用いた液晶表示装置の提供。
【解決手段】本発明の偏光板は、偏光膜と、第1のポジティブAプレートと、第2のポジティブAプレートとをこの順に備える偏光板であって、前記第1のポジティブAプレートの面内の遅相軸が、前記第2のポジティブAプレートの面内の遅相軸と直交し、波長550nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長550nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶セルと、偏光膜(偏光子)又は光学補償フィルム(位相差フィルム)を有する偏光板とを備える。透過型液晶表示装置では、二枚の偏光膜(偏光子)を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償フィルムを液晶セルと偏光膜(偏光子)との間に配置する。液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような様々な表示モードが提案されている。
光学補償フィルムは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償フィルムとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償フィルムに代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムを使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
光学補償フィルムの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償フィルムを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償フィルムでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている(例えば、特許文献1)。
また、液晶セルの片側に複数枚の光学補償フィルム(位相差フィルム)を配置して、表示色が見る角度によって異なる現象(カラーシフト)を改善する方法が開示され(例えば、特許文献2)、さらに、カラーシフトのみならず、斜め方向のコントラスト比も改善する方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、従来の液晶表示装置に入射した光の偏光状態を示すポアンカレ球上の動き(図6)からも判るように、従来の液晶表示装置においては、入射したR、G、B光を同じ偏光状態に保つことができず、表示色における黒色が赤み乃至青みがかったりすることを防止すること(視野角黒色味の改善)について、十分でなかった。なお、図6では、平面的に示されているので、偏光状態の変化前と変化後の点の変位は、図中直線の矢印で示されているが、実際は、液晶セルや光学補償フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、それぞれの光学特性に応じて決定される特定の軸の回りに、特定の角度回転させることで表される。以下、後述する図2〜5についても同様である。
特開2000−304930号公報 特開2006−215221号公報 特開平11−133408号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、コントラストを維持すると共に視野角黒色味を向上することができる偏光板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 偏光膜と、第1のポジティブAプレートと、第2のポジティブAプレートとをこの順に備える偏光板であって、前記第1のポジティブAプレートの面内の遅相軸が、前記第2のポジティブAプレートの面内の遅相軸と直交し、波長550nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長550nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)よりも大きいことを特徴とする偏光板である。
<2> 波長550nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、170nm〜205nmであり、波長550nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、60nm〜83nmである前記<1>に記載の偏光板である。
<3> 第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)よりも波長分散が大きい前記<1>から<2>のいずれかに記載の偏光板である。
<4> 波長450nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長450nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)の1.0倍〜1.3倍であり、波長630nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長630nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)の0.8倍〜1.0倍である前記<3>に記載の偏光板である。
<5> 第1のポジティブAプレート及び第2のポジティブAプレートの少なくともいずれかは、棒状液晶性分子を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の偏光板である。
<6> 偏光膜と、第1のポジティブAプレートとの間に、二軸性位相差フィルムを備える前記<1>から<5>のいずれかに記載の偏光板である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によると、コントラストを維持すると共に視野角黒色味を向上することができる偏光板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る偏光板及びそれを用いた液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は、「偏光膜」を含む積層体のことを意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。
Re(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。
ここで、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。
主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光膜(偏光子)と、第1のポジティブAプレートと、第2のポジティブAプレートとを少なくとも備え、さらに、必要に応じて、その他の光学素子を備える。
図1は、本発明の偏光板を備える液晶表示装置を示す概略説明図である。
図1において、液晶表示装置100は、2枚の偏光板10a,10bと、2枚の偏光板10a,10b間に介装された液晶セル4とを備える。偏光板10a,10bは、偏光膜1a,1bと、光学補償フィルム20a,20bとを有する。光学補償フィルム20a,20bは、偏光膜1a,1b側に配置された第1のポジティブAプレート2a,2b(光学補償フィルム20a,20bにおける第1光学異方性層)と、偏光膜1a,1bの反対側(液晶セル4側)に配置された第2のポジティブAプレート3a,3b(光学補償フィルム20a,20bにおける第2光学異方性層)とを有する。
ここで、第1のポジティブAプレート2a,2bの面内の遅相軸が、第2のポジティブAプレート3a,3bの面内の遅相軸と直交するように配置されている。また、第1のポジティブAプレート2a,2bの面内の遅相軸が、偏光膜1a,1bの吸収軸と直交していることが好ましい。
なお、偏光膜1a、1bにおける矢印等は吸収軸の向きを示し、ポジティブAプレート2a、2b、3a、3bにおける矢印等は遅相軸の向きを示す。
<偏光膜>
前記偏光膜(偏光子)としては、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得るフィルムであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものが好ましい。
前記偏光膜としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光膜が、偏光度が高く特に好ましい。
また、前記偏光膜としては、上述した偏光膜の他に、例えば、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を含む高分子フィルムの延伸フィルム、二色性物質と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を一定方向に配向させたゲスト・ホストタイプのO型偏光膜(米国特許5,523,863号)、およびリオトロピック液晶を一定方向に配向させたE型偏光膜(米国特許6,049,428号)等も用いることができる。
<ポジティブAプレート>
前記ポジティブAプレートとは、面内の主屈折率をnx(遅相軸方向の屈折率)、ny(進相軸方向の屈折率)とし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性を示す光学素子(理想的には、正の一軸性を示す光学素子は、面内の一方向に光学軸を有する)のことである。ここで、屈折率の測定波長は、可視光域(λ=550nm)である。
なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、nyとnzとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、「nyとnzとが実質的に同一である場合」とは、例えば、面内の位相差値(Re(550))と、厚み方向の位相差値(Rth(550))との差の絶対値:|Rth(550)−Re(550)|が10nm以下であるものを包含する。
また、前記第1のポジティブAプレートの両側に接着剤層または粘着剤層(図示せず)を設け、前記第1のポジティブAプレートに接着される他の光学素子の表面に貼着されるのが好ましい。各光学素子の隙間をこのように接着剤層または粘着剤層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光学軸の関係がずれるのを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防ぐことができる。また、各光学素子の層間の界面反射を少なくし、液晶表示装置に用いた際にコントラストを高くすることもできる。
前記接着剤層または粘着剤の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、接着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、0.1μm〜50μmであり、0.1μm〜20μmであるのが好ましく、0.1μm〜10μmであるのがより好ましい。粘着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、1μm〜100μmであり、5μm〜80μmであるのが好ましく、10μm〜50μmであるのがより好ましい。
前記接着剤層または粘着剤層を形成する接着剤または粘着剤としては、目的に応じて、任意の適切な接着剤または粘着剤が採用され得る。接着剤としては、例えば、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤などが挙げられる。粘着剤としては、例えば、溶剤型粘着剤、非水系エマルジョン型粘着剤、水系型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、液状硬化型粘着剤、硬化型粘着剤、カレンダー法による粘着剤などが挙げられる。特に好ましくは、光学透明性に優れ、適度なぬれ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性に優れるという点で、アクリル系重合体をベースポリマーとする溶剤型粘着剤(アクリル系粘着剤ともいう)が好ましく用いられる。具体例としては、アクリル系粘着剤を粘着剤層として備える光学用両面テープ(綜研化学(株)製 商品名「SK−2057」)が挙げられる。
前記第1のポジティブAプレートのRe(550)としては、第2のポジティブAプレートのRe(550)よりも大きいものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、170nm〜205nmが好ましく、180nm〜200nmがより好ましく、185nm〜195nmが特に好ましい。
前記第2のポジティブAプレートのRe(550)としては、第1のポジティブAプレートのRe(550)よりも小さいものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60nm〜83nmが好ましく、68nm〜78nmがより好ましく、70nm〜76nmが特に好ましい。
ポジティブAプレートの構成(積層構造)は、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含み、上述した光学特性を満足するものであれば特に制限はない。具体的には、ポジティブAプレートは、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルム単独であってもよく、当該位相差フィルムと任意の他の位相差フィルムとを含む2枚以上で構成される積層体であってもよい。好ましくは、ポジティブAプレートは、単独のホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムである。偏光子の収縮応力やバックライトの熱による位相差値のズレやムラを低減し、かつ、液晶パネルを薄くすることができるからである。ポジティブAプレートが積層体である場合には、接着剤層や粘着剤層を含んでもよい。積層体が2枚以上の位相差フィルムを含む場合には、これらの位相差フィルムは同一であっても異なっていてもよい。
ポジティブAプレートに用いられる位相差フィルムのRe(550)は、用いられる位相差フィルムの枚数によって、適宜選択することができる。例えば、ポジティブAプレートがホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルム単独で構成される場合には、当該位相差フィルムのRe(550)は、ポジティブAプレートのRe(550)と等しくすることが好ましい。従って、偏光子や他の光学素子に前記ポジティブAプレートを積層する際に用いられる接着剤層や粘着剤層の位相差値は、できる限り小さいことが好ましい。また、例えば、ポジティブAプレートが2枚以上の位相差フィルムを含む積層体である場合には、それぞれの位相差フィルムのRe(550)の合計が、ポジティブAプレートのRe(550)と等しくなるように設計することが好ましい。具体的には、2枚の位相差フィルムをそれぞれの遅相軸が平行となるように積層して、Re(550)が180nmのポジティブAプレートを作製する場合には、それぞれの位相差フィルムのRe(550)を90nmとすることができる。なお、ここでは簡単のため、位相差フィルムが2枚以下の場合についてのみ示したが、3枚以上の位相差フィルムを含む積層体についても本発明が適用可能であることはいうまでもない。
前記ポジティブAプレートの厚みは、1μm〜20μmであることが好ましく、1.2μm〜10μmであることがより好ましく、1.5μm〜5μmであることが特に好ましい。
また、第1のポジティブAプレート及び第2のポジティブAプレートの少なくともいずれかが、前記液晶性組成物として棒状液晶性分子を含むことが好ましい。
ここで、棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994年)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7であることが好ましい。棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。以下に、棒状液晶性分子の例を示す。
なお、前記ポジティブAプレートは、下記のように製造されるフィルム形態のポジティブAプレート型の位相差フィルムであってもよい。
前記ポジティブAプレート型の位相差フィルムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられる。フィルムの膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。具体的には、高分子材料としてポリカーボネートを用いた場合、該ポリカーボネートをメチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶剤に溶解し、溶液キャスト法を用いて未延伸フィルムを形成させる。形成された未延伸フィルムを下記方法により延伸し、所望の位相差を有するポジティブAプレート型の位相差フィルムを得る。
前記ポジティブAプレート型の位相差フィルムを製造する場合の延伸方法としては、ロール速度差を利用するロール縦1軸延伸方法、フィルム幅方向をピンあるいはクリップにより把持し、把持した部分いわゆるテンターのフィルム流れ方向速度差を利用するテンター縦1軸延伸方法、テンターを幅方向に広げるテンター横1軸延伸法等の連続延伸方法が挙げられるが、フィルム特性の均一性等の観点からロール縦1軸延伸法がより好ましく用いられる。
<その他の光学素子>
前記その他の光学素子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二軸性位相差フィルム、透明支持体、配向膜、透明保護膜等が挙げられる。
<二軸性位相差フィルム>
前記二軸性位相差フィルムは、その屈折率楕円体の断面が円となる方向(光軸)が二つあるものであり、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムから作製することができる。この二軸性位相差フィルムは、偏光膜と、第1のポジティブAプレートとの間に設けられることが好ましい。
<透明支持体>
光学補償フィルムの透明支持体として、ガラス板またはポリマーフィルム、好ましくはポリマーフィルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明支持体として、一般には、光学等方性のポリマーフィルムが用いられている。光学等方性とは、具体的には、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがさらに好ましい。また、光学等方性透明支持体では、波長550nmの光に対する厚み方向のレターデーション(Rth)も、10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがさらに好ましい。
液晶表示モードの種類によっては、透明支持体として光学異方性のポリマーフィルムが用いられる場合もある。すなわち、透明支持体の光学異方性により、液晶セルの光学異方性に対応する(光学的に補償する)場合もある。そのような場合、透明支持体は、光学的一軸性または光学的二軸性を有することが好ましい。光学的一軸性支持体の場合、光学的に正(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも大)であっても負(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも小)であってもよい。光学的二軸性支持体の場合、前記の屈折率(nx(透明支持体の面内屈折率)、ny(透明支持体の面内屈折率)およびnz(透明支持体の厚さ方向の屈折率))は、全て異なる値(nx≠ny≠nz)になる。光学異方性透明支持体の波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)は、10乃至1000nmであることが好ましく、15乃至300nmであることがより好ましく、20乃至200nmであることが特に好ましい。光学異方性透明支持体の波長550nmの光に対する厚み方向のレターデーション(Rth)は、10乃至1000nmであることが好ましく、15乃至300nmであることがより好ましく、20乃至200nmであることが特に好ましい。
透明支持体を形成する材料は、光学等方性支持体とするか、光学異方性支持体とするかに応じて決定する。光学等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。ただし、欧州特許0911656A2号明細書に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフィルムの製造により、光学異方性の(レターデーションが高い)セルロースエステルフィルムを製造することもできる。ポリマーフィルムからなる透明支持体は、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
光学異方性透明支持体を得るためには、ポリマーフィルムに延伸処理を実施することが好ましい。光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率(例えば3乃至100%、好ましくは5乃至30%)延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6乃至200%、好ましくは10乃至90%)延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバランス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフィルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。延伸方向と遅相軸との角度は、10゜未満であることが好ましく、5゜未満であることがさらに好ましく、3゜未満であることが最も好ましい。
透明支持体の厚さは、10乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体に紫外線吸収剤を添加してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。接着層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
<配向膜>
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性分子の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定する。液晶性分子を比較的水平(平均傾斜角:0乃至50゜)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。液晶性分子を比較的垂直(平均傾斜角:50乃至90゜)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を導入することが好ましい。
具体的なポリマーの種類については、前述した様々な表示モードに対応する液晶性分子を用いた光学補償フィルムについての文献に記載がある。配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。また、平均傾斜角が5゜未満の配向の場合は、ラビング処理をする必要はなく、配向膜も不要である。ただし、液晶性分子と透明支持体との密着性を改善する目的で、界面で液晶性分子と化学結合を形成する配向膜(特開平9−152509号公報記載)を用いてもよい。密着性改善の目的で配向膜を使用する場合は、ラビング処理を実施しなくてもよい。二種類の光学異方性層を透明支持体の同じ側に設ける場合、透明支持体上に形成した光学異方性層を、その上に設ける光学異方性層の配向膜として機能させることも可能である。
<透明保護膜>
透明保護膜としては、透明なポリマーフィルムが用いられる。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
(液晶表示装置)
第1及び第2のポジティブAプレートを有する光学補償フィルムと偏光膜とを貼り合わせて得られた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セル、及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。
また、前記液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
前記光学補償フィルムは、前記液晶セルと一方の前記偏光膜との間に配置するか、あるいは前記液晶セルと双方の偏光膜との間に配置する。
本発明の偏光板は、前記液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板のうちの少なくとも一方として用いればよい。この際には、前記第2の光学補償フィルムが液晶セル側となるように本発明の偏光板を配置する。
液晶セルは、VAモードであることが好ましい。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報に記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)、及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層の作製>
透明支持体として富士フイルム社製Zタックを用いた。透明支持体の両面に、ゼラチンを塗布して第1、第2下塗り層を形成した。
<配向膜/第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層/配向膜の作製>
第1、第2下塗り層の上に、ポリビニルアルコール(ポバールMP203、クラレ(株)製)の2重量%水溶液を塗布、乾燥し、さらにラビング処理を実施して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。ラビング方向は、第1下塗り層及び第2下塗り層とは互いに直交方向とした。
<第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)/配向膜/第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層/配向膜/第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)からなる光学補償フィルムの作製>
棒状液晶性分子(N26)90重量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)10重量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.0重量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0重量部を、メチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が38重量%の塗布液を調製した。該調製された塗布液を配向膜の上に塗布、乾燥し、130℃で2分間加熱して、棒状液晶性分子を配向させ、直ちに室温に冷却し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。
また、形成した第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)の厚さは、1.9μmであった。形成した第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)の厚さは、0.7μmであった。
このようにして、光学補償フィルムを作製した。第1光学異方性層/配向膜/第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層の層構成で、第1光学異方性層の波長550nmの光に対する面内レターデーションの角度依存性を、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。その結果、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が190nmであり、棒状液晶性分子は水平(ホモジニアス)配向していた。
さらに、第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層/配向膜/第2光学異方性層の層構成で、波長550nmの光に対する面内レターデーションの角度依存性を、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で測定した。その結果、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が73nmであり、棒状液晶性分子は水平(ホモジニアス)配向していた。
なお、形成した第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)の面内の遅相軸は、形成した第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)の面内の遅相軸と直交した状態となっている。
<透明保護膜/偏光膜/第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)/配向膜/第1下塗り層/透明支持体/第2下塗り層/配向膜/第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)からなる楕円偏光板の作製>
光学補償フィルムに透明保護膜と偏光膜とを積層して、楕円偏光板を作製した。第2光学異方性層の光学軸(棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向)と偏光膜の吸収軸とは平行になるように配置した。即ち、第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)の面内の遅相軸が、偏光膜の吸収軸と直交している。
<液晶表示装置の作製>
市販のVA液晶表示装置(SONY製 KDL−40J5000)から楕円偏光板を削除した。この楕円偏光板を削除したVA液晶表示装置(VA液晶セル)のRthを測定したところ、Rth=303nmであった。削除した楕円偏光板の代わりに、前記作製した楕円偏光板をVA液晶セルの両面(バックライト側面及びフロント側面)に、それぞれ第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)が液晶セル側となるように貼り付けた。偏光板の吸収軸方向と、それに隣接する液晶セルの液晶の倒れこむ方向とは、45°で交わるように配置した。更に、バックライト側の偏光板の吸収軸とフロント側の偏光板の吸収軸とが垂直に交わるように配置した。この液晶パネルを、元の液晶表示装置に組み込み、バックライトを点灯させて1時間後に方位角45°極角60°のCR(コントラスト)と方位角45°方向の黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。また、作製された液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化(ポアンカレ球上の動き)を図2に示す。図2において、
偏光膜を通過したG光の偏光状態I1は、第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)を通過してI2、第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)を通過してI3、液晶セルを通過してI4、第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)を通過してI5、第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)を通過してI6の偏光状態になり、理想的な黒を表示する。
(実施例2)
厚さが1.9μm、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が190nmとなるように第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)を形成し、厚さが0.6μm、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が60nmとなるように第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)を形成したこと以外は、実施例1と同様に、光学補償フィルム、楕円偏光板、及び液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
厚さが0.7μm、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が73nmとなるように第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)を形成し、厚さが1.9μm、波長550nmの光に対する面内レターデーション(Re)が190nmとなるように第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)を形成したこと以外は、実施例1と同様に、光学補償フィルム、楕円偏光板、及び液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。
(実施例3)
市販のVA液晶表示装置(SONY製 KDL−40J5000)から楕円偏光板を削除した。この楕円偏光板を削除したVA液晶表示装置のRthを測定したところ、Rth=303nmであった。削除した楕円偏光板の代わりに、実施例1で作製した楕円偏光板をVA液晶セルのバックライト側面のみに貼り付け、VA液晶セルのフロント側面には、2軸性位相差フィルムAを有する偏光板を貼り付け、更に、バックライト側の偏光板(実施例1で作製した楕円偏光板)の吸収軸とフロント側の偏光板(2軸性位相差フィルムAを有する偏光板)の吸収軸とが直交するように配置して、液晶表示装置を作製したこと以外は、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。
なお、実施例3で用いた2軸性位相差フィルムAの作製方法は以下の通りである。
<実施例3で用いた2軸性位相差フィルムAの作製方法>
下記表1に記載の割合になるように各成分を混合してセルロースプロピオネート溶液を調製した。得られたセルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃の条件下、TD方向に30%延伸した後、乾燥して、75μmのセルロースエステルフィルムを作製し、2軸性位相差フィルムAとして用いた。
また、実施例3で用いたフロント側偏光板の作製方法は以下の通りである。
<フロント側偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販の透明フィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。2軸性位相差フィルムAにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の面に貼り付けた。この時、2軸性位相差フィルムAの作製時の搬送方向と偏光膜の吸収軸方向が一致するように貼り付けた。このようにして、2軸性位相差フィルムAを有する偏光板を形成した。
さらに、作製したフロント側偏光板の添付方法は以下の通りである。
<フロント側偏光板の添付>
この偏光板を液晶セルのフロント側面に粘着剤(光学フィルム用SKダイン(綜研化学社製))を用いて添付した。偏光膜の吸収軸方向は、長方形をしているVA液晶セルの長辺と水平になるようにした。
(実施例4)
第2光学異方性層のRe(450nm)を第1光学異方性層のRe(450nm)の1.15倍とし、第2光学異方性層のRe(630nm)を第1光学異方性層のRe(630nm)の0.9倍として、第2光学異方性層の波長分散を第1光学異方性層の波長分散よりも大きくした光学補償フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様に光学補償フィルム、楕円偏光板、及び液晶表示装置を作製した場合をシミュレーションし、更に、仮想的にLCDマスターでCR(コントラスト)及び黒色味シフト量を計算した。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
(液晶表示装置の作製)
市販のVA液晶表示装置(SONY製 KDL−40J5000)から楕円偏光板を削除した。この楕円偏光板を削除したVA液晶表示装置のRthを測定したところ、Rth=303nmであった。削除した楕円偏光板の代わりに、市販の偏光板(HLC2−5618HC、サンリッツ社製)をVA液晶セルの両面に貼り付けて、液晶表示装置を作製したこと以外は、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例3)
(液晶表示装置の作製)
実施例1で使用したVA液晶セルの両面に、市販の偏光板(HLC2−5618HC、サンリッツ社製)と、VA液晶セル(SONY製 KDL−40J5000)から剥がした楕円偏光板における2軸性位相差フィルムとの積層体を、2軸性位相差フィルムとVA液晶セルとが接するように貼り付けて、液晶表示装置を作製したこと以外は、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表2に示す。また、作製された液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化(ポアンカレ球上の動き)を図3に示す。
なお、比較例3で用いた2軸性位相差フィルムは、実施例3で作製した2軸性位相差フィルムAと同様のものである。
表2において、Re1及びRth1は、液晶セルのバックライト側に配置されたフィルム(バックライト側フィルム)の中で、よりバックライト側に配置されたフィルムの波長550nmの光に対する面内レターデーション及び厚さ方向のレターデーションをそれぞれ示し、Re2及びRth2は、バックライト側フィルムの中で、よりフロント側に配置されたフィルムの波長550nmの光に対する面内レターデーション及び厚さ方向のレターデーションをそれぞれ示し、Re3及びRth3は、液晶セルのフロント側に配置されたフィルム(フロント側フィルム)の中で、よりバックライト側に配置されたフィルムの波長550nmの光に対する面内レターデーション及び厚さ方向のレターデーションをそれぞれ示し、Re4及びRth4は、フロント側フィルムの中で、よりフロント側に配置されたフィルムの波長550nmの光に対する面内レターデーション及び厚さ方向のレターデーションをそれぞれ示す。
また、表2において、CR(コントラスト)は大きいほど好ましく、黒色味シフト量は小さいほど好ましい。
表2の結果より、偏光膜と、第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)と、第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)とをこの順に備え、第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)の面内の遅相軸及び第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)の面内の遅相軸が直交し、波長550nmの光に対する第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)の面内レターデーション値(Re)が、波長550nmの光に対する第2光学異方性層(第2のポジティブAプレート)の面内レターデーション値(Re)よりも大きい偏光板を有する液晶表示装置(実施例1〜4)では、CR(コントラスト)を大きいまま維持することができると共に、黒色味シフト量を小さくすることができることが判った。
(実施例5)
実施例1で作製した楕円偏光板の代わりに、実施例1で作製した楕円偏光板における偏光膜と第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)との間に2軸性位相差フィルムBを設けた楕円偏光板をVA液晶セルの両面に貼り付けて、液晶表示装置を作製したこと以外は、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表5に示す。また、作製された液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化(ポアンカレ球上の動き)を図4に示す。
なお、実施例5で用いた2軸性位相差フィルムBの作製方法は以下の通りである。
<実施例5で用いた2軸性位相差フィルムBの作製方法>
下記表3に示す組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
得られた内層用ドープ、及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を115%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、155℃の温度で20分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。これを2軸性位相差フィルムB(トリアセチルセルロース(TAC)フィルム)として用いた。
(実施例6)
実施例1で作製した楕円偏光板の代わりに、実施例1で作製した楕円偏光板における偏光膜と第1光学異方性層(第1のポジティブAプレート)との間に2軸性位相差フィルムCを設けた楕円偏光板をVA液晶セルの両面に貼り付けて、液晶表示装置を作製したこと以外は、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、CR(コントラスト)及び黒色味シフト量を測定した。得られた結果を表5に示す。また、作製された液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化(ポアンカレ球上の動き)を図5に示す。
なお、実施例6で用いた2軸性位相差フィルムCの作製方法は以下の通りである。
<実施例6で用いた2軸性位相差フィルムCの作製方法>
下記表4に記載の割合になるように各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。得られたセルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後140℃の条件下、TD方向に20%延伸した後、乾燥して、40μmのセルロースアシレートフィルムを作製し、2軸性位相差フィルムCとして用いた。
2軸性位相差フィルムを偏光膜と光学異方性層(第1のポジティブAプレート)との間に配設した偏光板を用いることにより、黒色味シフト量を維持したままCR(コントラスト)が向上する。これにより、偏光板(液晶表示装置)の設計の自由度が上がる。
本発明の偏光板は、特にVA方式の黒状態の視角補償をほぼ全ての波長において可能にし、特に、黒表示時の光抜けが軽減され、視野角コントラストが改善された液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルを光学的に補償し、コントラストの改善、及び視角方向に依存したカラーシフトを軽減でき、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用することができる。
図1は、本発明の偏光板を備える液晶表示装置を示す概略説明図である。 図2は、実施例1の液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化を示した図である。 図3は、比較例3の液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化を示した図である。 図4は、実施例5の液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化を示した図である。 図5は、実施例6の液晶表示装置に入射したG光の偏光状態の変化を示した図である。 図6は、従来の液晶表示装置に入射したR、G、B光の偏光状態の変化を示した図である。
符号の説明
1a 偏光膜(偏光子)
1b 偏光膜(偏光子)
2a 第1のポジティブAプレート(第1の光学異方性層)
2b 第1のポジティブAプレート(第1の光学異方性層)
3a 第2のポジティブAプレート(第2の光学異方性層)
3b 第2のポジティブAプレート(第2の光学異方性層)
4 液晶セル
10a 偏光板
10b 偏光板
20a 光学補償フィルム
20b 光学補償フィルム
100 液晶表示装置

Claims (7)

  1. 偏光膜と、第1のポジティブAプレートと、第2のポジティブAプレートとをこの順に備える偏光板であって、前記第1のポジティブAプレートの面内の遅相軸が、前記第2のポジティブAプレートの面内の遅相軸と直交し、波長550nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長550nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)よりも大きいことを特徴とする偏光板。
  2. 波長550nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、170nm〜205nmであり、波長550nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、60nm〜83nmである請求項1に記載の偏光板。
  3. 第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)よりも波長分散が大きい請求項1から2のいずれかに記載の偏光板。
  4. 波長450nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長450nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)の1.0倍〜1.3倍であり、波長630nmの光に対する第2のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)が、波長630nmの光に対する第1のポジティブAプレートの面内レターデーション値(Re)の0.8倍〜1.0倍である請求項3に記載の偏光板。
  5. 第1のポジティブAプレート及び第2のポジティブAプレートの少なくともいずれかは、棒状液晶性分子を含む請求項1から4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 偏光膜と、第1のポジティブAプレートとの間に、二軸性位相差フィルムを備える請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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