JP2005062672A - 光学異方性層、それを用いた位相差板、楕円偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶表示装置の視野角拡大に寄与する光学異方性層、位相差板及び楕円偏光板を提供する。
【解決手段】 層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶性化合物から構成された組成物からなる光学異方性層であって、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層;好ましくは、層平面に対して平均チルト角35〜85°でハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層;該光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が200〜350nmで、Nzファクター(=(nx−nz)/(nx−ny))が0.5〜2.0である第2の光学異方性層とを有する位相差板;及び該位相差板と偏光子とを有する楕円偏光板である。
【選択図】 なし
【解決手段】 層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶性化合物から構成された組成物からなる光学異方性層であって、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層;好ましくは、層平面に対して平均チルト角35〜85°でハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層;該光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が200〜350nmで、Nzファクター(=(nx−nz)/(nx−ny))が0.5〜2.0である第2の光学異方性層とを有する位相差板;及び該位相差板と偏光子とを有する楕円偏光板である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種ディスプレイ(例えば、OA機器、携帯端末に利用される反射型、半透過型液晶表示装置)、光ディスク用ピックアップに利用される、光学異方性層、位相差板、楕円偏光板及び反射型、半透過型等の液晶表示装置に関する。
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に反射型LCD、光ディスク用ピックアップやPS変換素子に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4を達成しているものが大部分である。より広い波長域でλ/4を達成するために光学異方性を有する2枚のポリマーフィルムを積層する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、位相差がλ/4であるポリマーフィルムと位相差がλ/2であるポリマーフィルムとを遅相軸が交差した状態で貼り合わせてなる位相差板が提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、レターデーション値が160〜320nmである位相差板を少なくとも2枚、その遅相軸が互いに平行でも直交でもない角度になるように積層してなる位相差板が提案されている(例えば、特許文献4参照)。これらの位相差板は、二枚のポリマーフィルムを使用して、広い波長領域でλ/4を達成している。一方、液晶性分子により形成された複数の光学異方性層を積層することにより、薄膜化した広帯域λ/4板についても開示されている。(例えば、特許文献5及び6参照)
特開平10−68816号公報
特開平10−90521号公報
特開平10−68816号公報
特開平10−90521号公報
特開2001−4837号公報
特開2000−321576号公報
しかしながら、これらの位相差板の例では、正面方向のレターデーションを適切な大きさにすることでλ/4板としての働きを持っているものの、斜め方向からでは液晶セル、光学異方性層ともにレターデーションが視野角依存性を持っているためにズレが生じ、結果としてコントラストの低下が生じる。すなわちこれまでのλ/4板を形成する光学異方性層には液晶セルを視野角補償する機能は盛り込まれておらず、より広い視野角範囲を持つλ/4板技術が望まれている。本発明ではこの視野角補償機能をλ/4板に持たせるためには、液晶性分子を高チルト角で配向固定した光学異方性層を用いることが有効であることを見出した。
ところで、反射型液晶表示装置では、室内光あるいは室外光といった外光を利用しているが、これらの光は、垂直に入射するのみならず、斜めから入射する。上記複数の光学異方性層より形成されたλ/4板を反射型液晶表示装置に組み込む場合、充分な暗表示を得るために、通常、垂直入射時に4分の1波長程度を持つように設計されるので、斜め入射の光に対しては4分の1波長からずれが生じることがしばしばである。したがって視野角によりコントラストが低下するという課題が残されている。視野角依存性を改良するために、ネマチックハイブリッド配向を固定化した液晶性フィルムを含む補償素子を2枚備えた液晶表示素子が開示されている(例えば特許文献6)が、未だ不充分である。
したがって、本発明の目的は、液晶表示装置に用いたときに、表示品位及び視野角特性の改善に寄与する光学異方性層、位相差板及び楕円偏光板、ならびに表示品位及び視野角特性に優れる液晶表示装置、特に、反射型、半透過型液晶表示装置を提供することである。
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1) 層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶性化合物から構成された組成物からなる光学異方性層であって、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層。
(2) ディスコティック液晶性分子が層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向してなる(1)に記載の光学異方性層。
(3) 二層以上の光学異方性層を有し、少なくとも一層が(1)又は(2)に記載の光学異方性層である光学異方性層。
(4) 単層からなる(1)又は(2)に記載の光学異方性層。
(1) 層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶性化合物から構成された組成物からなる光学異方性層であって、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層。
(2) ディスコティック液晶性分子が層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向してなる(1)に記載の光学異方性層。
(3) 二層以上の光学異方性層を有し、少なくとも一層が(1)又は(2)に記載の光学異方性層である光学異方性層。
(4) 単層からなる(1)又は(2)に記載の光学異方性層。
(5) (1)又は(2)のいずれかに記載の光学異方性層である光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が200〜350nmで、且つNzファクター(下記式)が0.5〜2.0である第2の光学異方性層とを有する位相差板。
Nzファクター=(nx−nz)/(nx−ny)
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率である。]
(6) 前記第2の光学異方性層が、正の光学異方性を持つ液晶性分子が水平配向してなる(5)に記載の位相差板。
(7) 前記第2の光学異方性層が、延伸したポリマーフィルムからなる(5)に記載の位相差板。
(8) 波長589.3nmにおける厚み方向のレターデーションRth(下記式)が0〜300nmである第3の光学異方性層をさらに有する(5)〜(7)のいずれかに記載の位相差板。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率であり、dは厚み(nm)である。]
(9) 前記第3の光学異方性層が、液晶性分子、トリアセチルセルロース及び/又は環状ポリオレフィンから選ばれる素材から形成された層である(8)に記載の位相差板。
Nzファクター=(nx−nz)/(nx−ny)
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率である。]
(6) 前記第2の光学異方性層が、正の光学異方性を持つ液晶性分子が水平配向してなる(5)に記載の位相差板。
(7) 前記第2の光学異方性層が、延伸したポリマーフィルムからなる(5)に記載の位相差板。
(8) 波長589.3nmにおける厚み方向のレターデーションRth(下記式)が0〜300nmである第3の光学異方性層をさらに有する(5)〜(7)のいずれかに記載の位相差板。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率であり、dは厚み(nm)である。]
(9) 前記第3の光学異方性層が、液晶性分子、トリアセチルセルロース及び/又は環状ポリオレフィンから選ばれる素材から形成された層である(8)に記載の位相差板。
(10) 偏光子と、(5)〜(9)のいずれかに記載の位相差板とを有する楕円偏光板。
(11) (10)に記載の楕円偏光板を有するTN型又はECB型液晶表示装置。
(12) 黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中の配向した液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる(11)に記載の液晶表示装置。
(13) 黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中のハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる(11)に記載の液晶表示装置。
(11) (10)に記載の楕円偏光板を有するTN型又はECB型液晶表示装置。
(12) 黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中の配向した液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる(11)に記載の液晶表示装置。
(13) 黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中のハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる(11)に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、液晶表示装置に用いたときに、表示品位及び視野角特性の改善に寄与する光学異方性層、位相差板及び楕円偏光板、ならびに表示品位及び視野角特性に優れる液晶表示装置、特に、反射型、半透過型液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学異方性層は、層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmであることを特徴とする。なお、本発明の光学異方性層は、液晶性化合物の分子をネマチック配向させることによって作製するが、液晶性分子は層内において重合等によって固定化されもはや液晶性を失っていてもよい。以下、本発明の光学異方性層を、「第1の光学異方性層」という場合がある。
本発明の光学異方性層は、層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmであることを特徴とする。なお、本発明の光学異方性層は、液晶性化合物の分子をネマチック配向させることによって作製するが、液晶性分子は層内において重合等によって固定化されもはや液晶性を失っていてもよい。以下、本発明の光学異方性層を、「第1の光学異方性層」という場合がある。
本発明において、「チルト角」とは、傾斜したネマチック液晶が層平面となす角度を意味し、液晶性分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度を意味する。従って、正の光学的異方性を持つ棒状液晶性分子では、チルト角は棒状液晶性分子の長軸方向すなわちダイレクター方向と層平面とのなす角度を意味し、負の光学的異方性を持ち円盤状の分子形状であるディスコティック液晶性分子では、チルト角は分子の円盤面の層平面からの傾きを意味する。また、本発明において、「平均チルト角」とは、光学異方性層の上界面での前記チルト角及び下界面での前記チルト角の平均値を意味する。従って、均一傾斜配向では層内の平均チルト角は上界面のチルト角及び下界面のチルト角と一致しており、ハイブリッド配向では上界面のチルト角と下界面のチルト角の中間の値となる。第1の光学異方性層において、液晶性分子の平均チルト角は、絶対値として35゜〜85゜であり、好ましくは37゜〜70゜、さらに好ましくは40゜〜60゜である。平均チルト角が5゜〜85゜の範囲から外れた場合、液晶表示装置に用いた場合に、表示のコントラストの低下等を招く。なお平均チルト角は、クリスタルローテーション法を応用して求めることができる。
第1の光学異方性層は、均一傾斜ネマチック配向(以下、単に「均一傾斜配向」という場合がある)を固定化したものであってもよい。本発明において、「均一傾斜ネマチック配向」とは、液晶性分子が層平面に対して傾斜してネマチック配向しているとともに、層の一方の界面におけるチルト角と、他方の界面におけるチルト角とかが実質的に等しい配向形態をいう。実質的に等しいとは、上面界面近傍と下面界面近傍とでチルト角の差が5°未満であることを意味し、好ましくは3°未満、さらに好ましくは1°未満である。
第1の光学異方性層が均一傾斜ネマチック配向を固定化してなる場合、第1の光学異方性層は、液晶表示素子が使用される条件下において、その配向を保持し、その光学的特性を失わないものであるのが好ましい。均一傾斜ネマチック配向を固定化してなる光学異方性層において、液晶性分子のダイレクターは層の膜厚方向のすべての場所においてほぼ等しい角度を向いている。したがって当該光学異方性層は、構造体として見た場合、斜め方向に一軸の光軸を持っている。
均一傾斜ネマチック配向を固定してなる光学異方性層は、液晶性分子を均一傾斜ネマチック配向させ、その配向状態に固定することによって作製することができる。上記条件を満たす限り、いかなる材料からなっていてもよいし、固定の態様についても限定されない。例えば低分子液晶を液晶状態において均一傾斜ネマチック配向させた後、光架橋や熱架橋によって固定化して作製することができる。また、高分子液晶を液晶状態において均一傾斜ネマチック配向させた後、冷却することによって固定化して作製することができる。
第1の光学異方性層は、ネマチックハイブリッド配向(以下、単に「ハイブリッド配向」という場合がある)を固定してなる層であってもよい。本発明において、「ネマチックハイブリッド配向」とは、液晶性分子がネマチック配向しているとともに、液晶性分子のチルト角が層上面と下面とで異なった配向形態をいう。したがって、第1の光学異方性層では、液晶性分子のチルト角が上面界面近傍と下面界面近傍とで異なり、具体的には、上面界面近傍と下面界面近傍とでチルト角の差が5°以上である。前記チルト角は、上面界面から下面界面方向に連続的に変化しているのが好ましい。
第1の光学異方性層がネマチックハイブリッド配向を固定してなる場合、第1の光学異方性層は、液晶表示素子が使用される条件下において、その配向を保持し、その光学的特性を失わないものであるのが好ましい。第1の光学異方性層においては、液晶性分子のダイレクターが層の厚み方向のすべての場所において異なる角度を向いている。従って、第1の光学異方性層は、構造体として見た場合、光軸が存在しない。
ハイブリッド配向した液晶性分子からなる光学異方性層は、液晶性分子を前記平均チルト角の範囲となるようにハイブリッド配向させ、その配向状態に固定することによって作製することができる。上記条件を満たす限り、いかなる材料からなっていてもよいし、固定の態様についても限定されない。例えば低分子液晶を液晶状態においてハイブリッド配向させた後、光架橋や熱架橋によって固定化することによって作製することができる。また、高分子液晶を液晶状態においてハイブリッド配向させた後、冷却して固定化することによって作製することができる。
本発明の光学異方性層の一態様は、平面に対して平均チルト角35〜85°で、且つ層内の一方の界面側のチルト角と他方の界面側のチルト角とが実質的に等しい均一傾斜ネマチック配向した棒状液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°で、且つ層内の一方の界面側のチルト角と他方の界面側のチルト角とが実質的に等しい均一傾斜ネマチック配向したディスコティック液晶性分子からなり、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向した棒状液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°で、且つ層内の一方の界面側のチルト角と他方の界面側のチルト角とが実質的に等しい均一傾斜ネマチック配向したディスコティック液晶性分子からなり、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向した棒状液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層の他の態様は、層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子からなり、且つ波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層である。
本発明の光学異方性層は、単独で、本発明の光学異方性層を2層以上積層することによって、又は他の光学異方性層と組み合わせることによって、種々の光学特性を示し、液晶表示装置に用いた場合に、視野角特性の改善、コントラストの向上等に寄与し得る。
[位相差板の光学的性質]
本発明の位相差板の一態様は、本発明の第1の光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有する。第1の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπであり、具体的には、位相差が80〜200nmであり、好ましくは100〜180nmであり、より好ましくは120〜160nmである。前記第2の光学異方性層の波長550nmにおけるレターデーション値は、1/2波長であり、具体的には、波長550nmにおけるレターデーション値が200〜350nmであり、好ましくは、220〜330nm、より好ましくは240〜300nmである。また、第2の光学異方性層の下記式で導かれるNzファクターが0.5〜2.0の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.5の範囲内であるこのがより好ましい。
Nzファクター=(nx−nz)/(nx−ny)
式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率である。この積層体からなる位相差板は、波長450nm、550nm及び650nmで測定したレターデーション値/波長の値が、いずれも0.2〜0.3の範囲内であることが好ましい。
本発明の位相差板の一態様は、本発明の第1の光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有する。第1の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπであり、具体的には、位相差が80〜200nmであり、好ましくは100〜180nmであり、より好ましくは120〜160nmである。前記第2の光学異方性層の波長550nmにおけるレターデーション値は、1/2波長であり、具体的には、波長550nmにおけるレターデーション値が200〜350nmであり、好ましくは、220〜330nm、より好ましくは240〜300nmである。また、第2の光学異方性層の下記式で導かれるNzファクターが0.5〜2.0の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.5の範囲内であるこのがより好ましい。
Nzファクター=(nx−nz)/(nx−ny)
式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率である。この積層体からなる位相差板は、波長450nm、550nm及び650nmで測定したレターデーション値/波長の値が、いずれも0.2〜0.3の範囲内であることが好ましい。
本発明の位相差板の他の態様は、前記第1及び第2の光学異方性層、さらに、波長589.3nmにおける厚み方向のレターデーション(Rth)が0〜300nmの第3の光学異方性層を有する。Rthは、下記数式(2)で定義される。前記第3の光学異方性層のRthは、10〜300nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。また、第3の光学異方性層は負の光学異方性であるのが好ましく、即ち、下記数式(1)を満たしているのが好ましい。さらに、前記第3の光学異方性層のnxとnyは実質的に等しいのが好ましい。
数式(1) nx≧ny>nz
数式(2) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nx及びnyは光学異方性層の面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率であり、dは光学異方性層の厚み(nm)である。
数式(1) nx≧ny>nz
数式(2) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nx及びnyは光学異方性層の面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率であり、dは光学異方性層の厚み(nm)である。
以下、本発明の光学異方性層(第1の光学異方性層)、及び本発明の光学異方性層と好ましく組み合わせられる前記第2及び第3の光学異方性層についてそれぞれ詳細に説明する。
[第1の光学異方性層]
本発明において、第1の光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成することができる。前記液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物が好ましい。
(棒状液晶性化合物)
本発明に使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
本発明において、第1の光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成することができる。前記液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物が好ましい。
(棒状液晶性化合物)
本発明に使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
第1の光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、及び特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
第1の光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(液晶性分子のチルト角)
第1の光学異方性層が、均一傾斜ネマチック配向した液晶性分子からなる態様では、液晶性分子の上界面と下界面でのチルト角が実質的に等しいため、層平面に対して上下対称である。また、第1の光学異方性層が、ハイブリッド配向した液晶性分子からなる態様では、液晶性分子の上界面と下界面でのチルト角が異なるため、層平面に対して上下非対称である。本発明では、平均チルト角を前記範囲とすることで、液晶表示装置に用いた際の視野角改善に寄与する光学異方性層としている。液晶セルの光学パラメーターや要求される光学性能等を考慮して、均一傾斜配向を有する光学異方性層を用いるか、ハイブリッド配向を有する光学異方性層を用いるか、また、それらの平均チルト角、上下の界面のチルト角、面内の配向方向、各層の面内レターデーション、Rthなどを最適化することができる。
第1の光学異方性層が、均一傾斜ネマチック配向した液晶性分子からなる態様では、液晶性分子の上界面と下界面でのチルト角が実質的に等しいため、層平面に対して上下対称である。また、第1の光学異方性層が、ハイブリッド配向した液晶性分子からなる態様では、液晶性分子の上界面と下界面でのチルト角が異なるため、層平面に対して上下非対称である。本発明では、平均チルト角を前記範囲とすることで、液晶表示装置に用いた際の視野角改善に寄与する光学異方性層としている。液晶セルの光学パラメーターや要求される光学性能等を考慮して、均一傾斜配向を有する光学異方性層を用いるか、ハイブリッド配向を有する光学異方性層を用いるか、また、それらの平均チルト角、上下の界面のチルト角、面内の配向方向、各層の面内レターデーション、Rthなどを最適化することができる。
第1の光学異方性層の、下側界面すなわち支持体側のチルト角及び上側界面すなわち空気界面側のチルト角は、配向膜や液晶層に添加する空気界面配向剤の選択によって制御できる。下側界面側のチルト角と空気界面側のチルト角を同一にすることによって層内を均一に傾斜配向させることができ、下側界面側のチルト角よりも空気界面側のチルト角を大きくすることによって層内をハイブリッド配向させることができる。
第1の光学異方性層は、液晶性化合物、及び所望により下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
配向させた液晶性分子は、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、液晶性分子に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の光学異方性層を形成するにあたり、所望の添加剤を用いることによって、光学異方性層中に光学特性のムラが生じるのを軽減することができる。この添加剤によって塗布液の表面張力を下げ、塗布安定性を高めることができる。この際の塗布液の表面張力は25〜20dyn/cmであることが好ましく、23〜21dyn/cmであることがより好ましい。添加剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.02〜0.5質量%であることがさらに好ましい。この添加剤の化合物として特に制限はなく、低分子化合物であっても良いし高分子化合物であっても良い。好ましいものとして含フッ素の界面活性剤やシリコン系化合物を用いることができる。この添加剤を用いた結果、液晶表示装置に用いた場合に、表示特性のムラの改善に寄与する。
[第2の光学異方性層]
本発明において、上記第2の光学異方性層は、上記光学特性を満たす限り、いずれの材料からなっていてもよい。そのような光学異方性層は、液晶性化合物を含む組成物からなる層であっても、延伸したポリマーフィルムの層であってもよい。前記第2の光学異方性層の光軸は層平面と平行であることが好ましい。かかる光学異方性層を液晶性化合物から形成する場合は、層中において、液晶性分子が実質的に水平(ホモジニアス)配向しているのが好ましい。液晶分子の実質的な水平(ホモジニアス)配向とは、液晶分子のダイレクター方向と層平面との平均角度が0〜40°の範囲内であり、上面界面近傍と下面界面近傍とで該ダイレクターと層平面との成す角度が5°より小さいことを意味する。
本発明において、上記第2の光学異方性層は、上記光学特性を満たす限り、いずれの材料からなっていてもよい。そのような光学異方性層は、液晶性化合物を含む組成物からなる層であっても、延伸したポリマーフィルムの層であってもよい。前記第2の光学異方性層の光軸は層平面と平行であることが好ましい。かかる光学異方性層を液晶性化合物から形成する場合は、層中において、液晶性分子が実質的に水平(ホモジニアス)配向しているのが好ましい。液晶分子の実質的な水平(ホモジニアス)配向とは、液晶分子のダイレクター方向と層平面との平均角度が0〜40°の範囲内であり、上面界面近傍と下面界面近傍とで該ダイレクターと層平面との成す角度が5°より小さいことを意味する。
上記した様に、第2の光学異方性層は液晶性化合物を含有する組成物から形成されていてもよい。前記液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物が好ましい。第2の光学異方性層に使用可能な棒状液晶性化合物の例は、第1の光学異方性層に使用可能な棒状液晶性化合物と同様である。
第2の光学異方性層における液晶性分子の塗布方法及び配向状態の固定化方法は第1の光学異方性層におけるそれと同一である。
上記した様に、前記第2の光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、又はポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
[第3の光学異方性層]
本発明において、第3の光学異方性層は、上記条件を満たす限り、いかなる材料からなっていてもよい。例えば、第3の光学異方性層は、光学異方性を発現させたポリマーフィルムの層であってもよいし、液晶性分子を配向させることによって光学異方性を発現させた層であってもよい。また、単層から形成されていてもよく、多層から形成されていてもよい。
本発明において、第3の光学異方性層は、上記条件を満たす限り、いかなる材料からなっていてもよい。例えば、第3の光学異方性層は、光学異方性を発現させたポリマーフィルムの層であってもよいし、液晶性分子を配向させることによって光学異方性を発現させた層であってもよい。また、単層から形成されていてもよく、多層から形成されていてもよい。
第3の光学異方性層がポリマーフィルムである場合、該ポリマーフィルムの材質については、トリアセチルセルロース、環状ポリオレフィン、ポリイミド、変性ポリカーボネートなどが挙げられるが、これらが負の光学異方性を発現するときのポリマー分子鎖の配向状態と同様な分子鎖の配向状態を取れるものであれば、ポリマーフィルムの材質は前記材料に限定されない。中でもトリアセチルセルロースや環状ポリオレフィンからなるポリマーフィルムが好ましい。また、ポリマーフィルムを2軸延伸することより所望のRthを発現させてもよい。また、添加剤をポリマーに加えてRthを調整してもよく、トリアセチルセルロースのRthを調整する方法としては特開2000−111914号、特開2001−166144号の各公報に記載の方法が知られている。
上記した様に、第3の光学異方性層を、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよい。前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又はコレステリック液晶性化合物が好ましく、ディスコティック液晶性化合物がより好ましい。ディスコティック液晶性分子を基板に対して実質的に水平に配向させることにより、負の光学異方性を示す層を形成できる。かかる技術については特開平11−352328号公報に開示されている。実質的に水平とは、ディスコティック液晶性分子のチルト角が0±10°の範囲を意味する。すなわちディスコティック液晶分子の光軸と基板法線方向のなす角度が0±10°の範囲を意味する。ディスコティック液晶性分子のチルト角が0°ではない(具体的には0±10°の範囲)斜め配向をさせてもよいし、チルト角が徐々に変化するハイブリット配向をさせてもよい。また、キラル剤を添加したり、ずり応力を与えることによって、上記配向状態にねじれ変形を加えたものであってもよい。
第3の光学異方性層を形成する好ましいディスコティック液晶の例については、第1の光学異方性層に使用可能なディスコティック液晶の例と同様であり、その好ましい範囲も同一である。コレステリック液晶性化合物の分子は、螺旋状のねじれ配向により負の光学異方性を示す。コレステリック液晶性分子をらせん状に配列させるとともに配列のねじれ角やレターデーション値などを制御することによって所望の光学特性を得ることができる。コレステリック液晶性分子のねじれ配向は公知の方法を用いることで達成可能である。液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合によって固定化されているのがより好ましい。
[配向膜]
前記第1、第2及び第3の光学異方性層を、液晶性分子から形成する場合、液晶性分子を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。例えば、前記第1、第2及び第3の光学異方性層を同一支持体上に順次形成する場合は、支持体/配向膜/第2の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層/配向膜/第3の光学異方性層、又は、支持体/配向膜/第3の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層/配向膜/第2の光学異方性層、等のように、各光学異方性層を配向膜上に形成してその配向を制御し、所望の光学特性を発現させることが出来る。
要求される光学特性、及び用いる液晶性分子の種類に応じて、配向膜の材質を選択することができる。また、各光学異方性層間に配向膜を別途設けなくとも、光学異方性層を構成する成分中に配向膜機能を有する分子を添加することにより、該光学異方性層の上に積層された光学異方性層を所望の配向状態にすることもできる。
前記第1、第2及び第3の光学異方性層を、液晶性分子から形成する場合、液晶性分子を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。例えば、前記第1、第2及び第3の光学異方性層を同一支持体上に順次形成する場合は、支持体/配向膜/第2の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層/配向膜/第3の光学異方性層、又は、支持体/配向膜/第3の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層/配向膜/第2の光学異方性層、等のように、各光学異方性層を配向膜上に形成してその配向を制御し、所望の光学特性を発現させることが出来る。
要求される光学特性、及び用いる液晶性分子の種類に応じて、配向膜の材質を選択することができる。また、各光学異方性層間に配向膜を別途設けなくとも、光学異方性層を構成する成分中に配向膜機能を有する分子を添加することにより、該光学異方性層の上に積層された光学異方性層を所望の配向状態にすることもできる。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法による有機化合物(たとえば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリン酸メチル)の累積(LB膜)のような手段で設けることが出来る。さらに、電場や磁場の付与あるいは光照射によって配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶化合物の配向(特に平均チルト角)に応じて決定する。発現しようとする平均チルト角に応じて表面エネルギーを調整することが好ましい。また、本発明において、第3の光学異方性層を液晶性分子で形成する場合には、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマーを用いることが好ましい。また、第3の光学異方性層をディスコティック液晶性分子を用いて形成する場合は、ラビング処理をしなくてもよく、配向膜が無くても良い。ただし、液晶性分子と透明支持体との密着を改善する目的で、界面で液晶性分子と化学結合を形成する配向膜(特開平9−152509号公報記載)を用いてもよい。密着性改善の目的で配向膜を使用する場合は、ラビング処理を実施しなくても良い。
第1又は第2の光学異方性層において、正の光学的異方性を持つ液晶性分子のダイレクターを透明支持体の長軸方向に対して45°よりも大きい角度で配向させる場合にはラビング方向に対して直交方向に棒状液晶性分子のダイレクターが並ぶような配向膜(以下直交配向膜という)を用いることが好ましい。直交配向膜に関しては特開2002−62427号公報及び特開2002−268068号公報に記載されている。
配向膜の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。なお、いずれの配向膜を用いた場合も、液晶性分子を配向状態に固定した後は、他の支持体上等に転写可能である。配向状態で固定化された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。したがって本発明の位相差板は、各光学異方性層を同一の支持体上で順次形成して作製する方法以外に、仮支持体上などで形成した各光学異方性層を、必要があれば接着剤などを用いて、貼り合せる方法によっても作製することが出来る。
いずれの配向膜においても、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。
[光学異方性層の積層]
積層する光学異方性層がいずれも液晶化合物よりなる場合、3層を同一支持体上に逐次積層してもよいし、それぞれを仮支持体上に形成した後、それらを貼り合せてもよいし、2層を支持体上に積層したものに仮支持体上に形成した1層を転写してもよい。
積層する光学異方性層がいずれも液晶化合物よりなる場合、3層を同一支持体上に逐次積層してもよいし、それぞれを仮支持体上に形成した後、それらを貼り合せてもよいし、2層を支持体上に積層したものに仮支持体上に形成した1層を転写してもよい。
積層する光学異方性層が、いずれかが液晶化合物よりなる層で、いずれかがポリマーフィルムからなる層である場合、ポリマーフィルムからなる層を液晶化合物からなる層を形成するための支持体として用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース等の負の光学異方性を有すポリマーフィルムは、第3の光学異方性層として利用でき、且つ液晶性化合物よりなる第1の光学異方性層の支持体としても利用できる。さらに、その上に、液晶性化合物を塗布して第2の光学異方性層を形成してもよいし、ポリマーフィルムを貼り合せて第2の光学異方異性層を形成してもよい。また、延伸したポリマーフィルムを第2の光学異方性層として用いた場合、該フィルムの一方の面に、液晶性化合物からなる本発明の光学異方性を形成し、さらにその上にもしくはフィルムの他の面に、第3の光液晶化合物を積層塗布して、仮支持体上に形成した液晶層を転写して、又はポリマーフィルムを貼り合わせることによって、第3の光学異方性層を形成してもよい。
液晶化合物を塗布する支持体として用いられるポリマーフィルムは、前記第2及び第3の光学異方性層のいずれかの層としても利用できるし、偏光子の保護フィルムとしても利用できるし、そのどちらの機能も兼ね備えたフィルムとしても利用できる。なお、後述する本発明の楕円偏光板の好ましい形態は、偏光子、第2、第1、及び第3の光学異方性層がこの順で積層されたものであるが、最終的にこの順になれば、積層していく順序は問われない。
[支持体]
本発明の位相差板及び楕円偏光板は、支持体を有していてもよく、該支持体としては透明支持体が好ましい。透明支持体としてはガラス板又はポリマーフィルム、好ましくはポリマーフィルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。支持体の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、30〜200μmであることがさらに好ましい。
本発明の位相差板及び楕円偏光板は、支持体を有していてもよく、該支持体としては透明支持体が好ましい。透明支持体としてはガラス板又はポリマーフィルム、好ましくはポリマーフィルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。支持体の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、30〜200μmであることがさらに好ましい。
支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するために、透明支持体に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理など)を実施してもよい。支持体に紫外線吸収剤を添加してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。接着層の厚さは、0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1μmであることが好ましい。
支持体としては、波長分散が小さいポリマーフィルムを用いることが好ましい。支持体は、光学異方性が小さいことも好ましい。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び環状ポリオレフィンが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。環状ポリオレフィンとしては、特公平2−9619号記載のテトラシクロドデセン類の開環重合体又はテトラシクロドデセン類とノルボルネン類の開環共重合体を水素添加反応させて得られた重合体を構成成分とするポリマー、商品名としてはアートン(JSR製)や、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン製)のシリーズから使用することができる。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
[楕円偏光板]
本発明の位相差板は、液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップ、GH−LCDやPS変換素子に使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いられる。なお、λ/4板は、一般に偏光膜と組み合わせて使用される。よって、位相差板と偏光膜とを組み合わせた楕円偏光板として構成しておくと、容易に反射型及び半透過型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。
本発明の位相差板は、液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップ、GH−LCDやPS変換素子に使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いられる。なお、λ/4板は、一般に偏光膜と組み合わせて使用される。よって、位相差板と偏光膜とを組み合わせた楕円偏光板として構成しておくと、容易に反射型及び半透過型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。
本発明の楕円偏光板は、本発明の位相差板と直線偏光子とを有する。本発明の楕円偏光板において、前記第1及び第2の光学異方性層及び直線偏光膜の光学的向きは、全体がほぼ完全な円偏光になるように積層する。このように光学的な向きを設定することで、広い波長領域でλ/4を達成する広帯域λ/4板を提供することができる。例えば、第1の光学異方性層の遅相軸と第2の光学異方性層の遅相軸との角度を60°、第1の光学異方性層の遅相軸と偏光膜の偏光軸(透過率が面内で最大になる方向)との角度を75°、そして第2の光学異方性層の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を15°に設定することで可視領域全体で円偏光、すなわち広帯域λ/4が達成できる。また、前記第1の光学異方性層の遅相軸と前記第2の光学異方性層の遅相軸との角度を60゜、前記第1の光学異方性層の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を15゜、そして、前記第2の光学異方性層の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を75゜に設定してもよい。以上の角度の許容範囲は、±10゜以内であり、±8゜以内であることが好ましく、±6゜以内であることがより好ましく、±5゜以内であることがさらに好ましく、±4゜以内であることが最も好ましい。
本発明の楕円偏光板の好ましい形態は、直線偏光膜、第2、第1及び第3の光学異方性層はこの順に積層された楕円偏光板である。
本明細書において、広域帯λ/4板とは、具体的には、波長450nm、550nm及び650nmで測定したレターデーション値/波長の値が、いずれも0.2〜0.3の範囲内であることを意味する。レターデーション値/波長の値は、0.21〜0.29の範囲内であることが好ましく、0.22〜0.28の範囲内であることがより好ましく、0.23〜0.27の範囲内であることが最も好ましい。
図1は、楕円偏光板の代表的な態様を示す断面模式図である。図1に示す楕円偏光板は、両面を保護フィルム(T1、T2)により挟まれた直線偏光膜(P)、第2の光学異方性層(A)、第1の光学異方性層(B)、及び第3の光学異方性層(C)を、この順に積層した構成を有する。図2は、光学異方性層の遅相軸の方向と直線偏光膜の偏光透過軸又は偏光吸収軸の方向とを示す平面図である。図2中、第2の光学異方性層(A)の遅相軸(a)と第1の光学異方性層(B)の遅相軸(b)との同一面内での角度(α)は、50〜70゜であることが好ましい。また、図2中、第2の光学異方性層(A)の遅相軸(a)と直線偏光膜の偏光透過軸又は偏光吸収軸(p1)との角度(β)は、10〜20゜であるのが好ましい。
本発明の楕円偏光板は、本発明の位相差板と直線偏光膜から構成される。直線偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸(透過軸)は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。偏光膜は、一般に保護膜を有する。透明支持体をポリマーフィルムからなる光学異方性層として機能させることもできるし、偏光膜の片側の保護膜として機能させることもできる。透明支持体とは別に保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフィルム、特にトリアセチルセルロースフィルムや環状ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましい。
本発明による楕円偏光板においては、該保護フィルムのRthが前記第3の光学異方性層のRthよりも30nm以上小さい。該保護フィルムのRthは0〜50nmであることが好ましく、0〜30nmであることがより好ましく、0〜20nmであることが最も好ましい。
本発明による楕円偏光板の異なる形態においては、片面にしか保護膜を有さない偏光膜を用いてもよい。すなわち、偏光膜と前記第1の光学異方性層の間には保護膜が無く、実質的に光学的等方性の粘着材層又は接着剤層のみが介在する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前記楕円偏光板を少なくとも有し、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等が含まれる。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、及び必要に応じて位相差板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては前記楕円偏光板を使用することを必須とする点を除いて特に制限は無い。また、前記楕円偏光板の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でも良い。液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
本発明の液晶表示装置は、前記楕円偏光板を少なくとも有し、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等が含まれる。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、及び必要に応じて位相差板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては前記楕円偏光板を使用することを必須とする点を除いて特に制限は無い。また、前記楕円偏光板の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でも良い。液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板及び液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(SuperTwisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、MVA(Multidomain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。カラーフィルターを使用しないフィールドシーケンシャル方式であってもよい。
本発明における楕円偏光板は、反射型及び半透過型液晶表示装置に好ましく用いられる。反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セル及び偏光板を、この順に積層した構成を有する。位相差板は、反射板と偏光膜との間(反射板と液晶セルとの間又は液晶セルと偏光膜との間)に配置される。反射板は、液晶セルと基板を共有していてもよい。半透過反射型液晶表示装置は、電液晶セルと、該液晶セルより観察者側に配置された偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間に配置される少なくとも1枚の位相差板と、観察者から見て前記液晶層よりも後方に設置された半透過反射層を少なくとも備え、さらに観察者から見て前記半透過反射層よりも後方に少なくとも1枚の位相差板と偏光板とを有す。このタイプの液晶表示装置では、バックライトを設置することで反射モードと透過モード両方の使用が可能となる。
前記液晶表示装置において、少なくとも1枚の位相差板と偏光板は楕円偏光板として機能する。本発明における液晶表示装置は、本発明の楕円偏光板を少なくとも1ヶ所に用いたものである。なお、本発明において、必ずしも偏光子と本発明の位相差板と一体化して楕円偏光板とした後に、液晶表示装置に組み込むことは必要でなく、第1の光学異方性層、偏光子をそれぞれ組み込み、最終的に液晶表示装置内部で本発明の楕円偏光板となっていれば、本発明の液晶表示装置の範囲に含まれる。本発明の液晶表示装置の好ましい態様は、黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中の配向した液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる態様である。ここで本発明において「実質的に平行」とは、上記二つの方向の角度の差が−5度から5度未満、好ましくは−2度から2度未満、より好ましくは−1度から1度以内となることをいう。液晶セル中の液晶性分子のダイレクターは、基板の対向面に設けられた配向膜のラビング方向によって所望の向きに調整することができる。
本発明の液晶表示装置において、前記液晶セルの反対側には、セルを透過した楕円偏光を効率よく直線偏光に変える目的で、広帯域のλ/4板を用いることができる。広帯域性を達成するために一枚の位相差板を用いてもよいし、二枚以上の位相差板をレターデーションの大きさや遅相軸角度を適宜組み合わせてもよい。また、広帯域化のためには、波長分散性の小さい光学フィルムが位相差板としてのぞましい。この位相差板の素材として具体的には、液晶性フィルムを用いてもよいし、高分子延伸フィルムを用いてもよい。高分子延伸フィルムとしては、一軸性あるいは二軸性を示す高分子物質、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ノルボルネン系ポリマー等の延伸フィルムを使用することができる。例えば波長分散が小さい点において、一軸延伸したアートン(JSR社製)フィルムがのぞましい。
本発明の位相差板及び楕円偏光板は前記用途に限らず、その他の種々の用途に供することが出来る。たとえば、ホスト−ゲスト型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの反射防止膜、反射型偏光板などに用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することが出来る。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。なお、トリアセチルセルロースフィルムの面内、及び厚み方向のレターデーション値は複屈折計(王子計測機器(株)製KOBRA−21ADH)で測定できる。
[実施例1]
(位相差板の作製)
厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。複屈折計(王子計測機器(株)製KOBRA−21ADH)で測定した589.3nmにおけるトリアセチルセルロースフィルムのRth値は80nmであった。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。該膜の表面に、ラビング処理(1500rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施して配向膜とした。この配向膜のラビング処理面上に、下記の組成の塗布液をスピンコート塗布、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ4.9μmの光学異方性層B1を形成した。この光学異方性層B1を、あらかじめ同一の方法でガラス上に作製し、その光学性能を確かめたところ、この光学異方性層B1は、ラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角0°、上側空気界面側のチルト角90°、平均チルト角45°で、ディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
────────────────────────────────
光学異方性層B1の塗布液組成
────────────────────────────────
下記のディスコティック液晶性化合物 32.6質量%
セルロースアセチレートブチレート 0.7質量%
下記のフッ素系界面活性剤 0.03質量%
変性トリメチロールプロパントリアクリレート 3.2質量%
下記の増感剤 0.4質量%
下記の光重合開始剤 1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
下記の含フッ素化合物 0.03質量%
────────────────────────────────
[実施例1]
(位相差板の作製)
厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。複屈折計(王子計測機器(株)製KOBRA−21ADH)で測定した589.3nmにおけるトリアセチルセルロースフィルムのRth値は80nmであった。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。該膜の表面に、ラビング処理(1500rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施して配向膜とした。この配向膜のラビング処理面上に、下記の組成の塗布液をスピンコート塗布、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ4.9μmの光学異方性層B1を形成した。この光学異方性層B1を、あらかじめ同一の方法でガラス上に作製し、その光学性能を確かめたところ、この光学異方性層B1は、ラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角0°、上側空気界面側のチルト角90°、平均チルト角45°で、ディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
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光学異方性層B1の塗布液組成
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下記のディスコティック液晶性化合物 32.6質量%
セルロースアセチレートブチレート 0.7質量%
下記のフッ素系界面活性剤 0.03質量%
変性トリメチロールプロパントリアクリレート 3.2質量%
下記の増感剤 0.4質量%
下記の光重合開始剤 1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
下記の含フッ素化合物 0.03質量%
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一軸延伸したアートンフィルム(JSR製)を光学異方性層A1として用いた。光軸はフィルム平面と平行であり、550nmで測定したレターデーション値は260nmであり、Nzファクターは1.0であった。
上記作製した光学異方性層B1と光学異方性層C1の積層体とアートンフィルムを粘着剤で貼り合せた。このとき、光学異方性層A1、光学異方性層B1、光学異方性層C1の順になるようにし、光学異方性層A1と光学異方性層B1の遅相軸は60°交差するように貼合した。
上記作製した光学異方性層B1と光学異方性層C1の積層体とアートンフィルムを粘着剤で貼り合せた。このとき、光学異方性層A1、光学異方性層B1、光学異方性層C1の順になるようにし、光学異方性層A1と光学異方性層B1の遅相軸は60°交差するように貼合した。
(楕円偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムと貼り合わせ、両面がトリアセチルセルロースによって保護された偏光板を得た。ここで用いたトリアセチルセルロースフィルムのRth値は30nmであった。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムと貼り合わせ、両面がトリアセチルセルロースによって保護された偏光板を得た。ここで用いたトリアセチルセルロースフィルムのRth値は30nmであった。
次いで、上記作製した位相差板(光学異方性層A1、光学異方性層B1及び光学異方性層C1の積層体)と偏光板を粘着剤で貼り合せ楕円偏光板を作製した。このとき、光学異方性層A1と偏光板が接するように貼り合わせ、偏光板の透過軸と光学異方性層A1、光学異方性層B1の遅相軸とのなす角はそれぞれ75°、15°であった。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示す層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板であった。
[実施例2]
(位相差板の作製)
実施例1と同様に、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。複屈折計(王子計測機器(株)製KOBRA−21ADH)で測定した589.3nmにおけるトリアセチルセルロースフィルムのRth値は80nmであった。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。該膜の表面に、実施例1と同様にラビング処理(但し、2000rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施して配向膜とした。次に、実施例1で光学異方性層B1の作製に用いたのと同一組成の塗布液を用いて、厚さ3.47μmの光学異方性層B2(第1の光学異方性層)を形成した。この光学異方性層B2を、あらかじめ同一の方法でガラス基板上に形成し、光学的特性を確認したところ、光学異方性層B2はラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角30°、上側空気界面側のチルト角90°、平均チルト角60°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
(位相差板の作製)
実施例1と同様に、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。複屈折計(王子計測機器(株)製KOBRA−21ADH)で測定した589.3nmにおけるトリアセチルセルロースフィルムのRth値は80nmであった。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。該膜の表面に、実施例1と同様にラビング処理(但し、2000rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施して配向膜とした。次に、実施例1で光学異方性層B1の作製に用いたのと同一組成の塗布液を用いて、厚さ3.47μmの光学異方性層B2(第1の光学異方性層)を形成した。この光学異方性層B2を、あらかじめ同一の方法でガラス基板上に形成し、光学的特性を確認したところ、光学異方性層B2はラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角30°、上側空気界面側のチルト角90°、平均チルト角60°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
上記作製した光学異方性層B2を光学異方性層B1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示すのと同様の層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板を作製した。
[実施例3]
(位相差板の作製)
Rthが40nmであるトリアセチルセルロースフィルムの両面をけん化処理し、その片面にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布し、膜を形成した。この膜をラビング処理し、配向膜とした後、この配向膜のラビング面上に、下記の組成のディスコティック液晶を含む塗布液を、スピンコート塗布し、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1μmの液晶固定化層を形成した。このトリアセチルセルロースとディスコティック液晶層との積層体は全体として、波長589.3nmにおいてRthが100nmである負の光学異方性を有し、第3の光学異方性層C2として機能することがわかった。
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ディスコティック液晶層(C2)の塗布液組成
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上記ディスコティック液晶(1) 32.6質量%
セルロースアセチレートブチレート 0.7質量%
上記変性トリメチロールプロパントリアクリレート 3.2質量%
上記増感剤 0.4質量%
上記光重合開始剤 1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
上記含フッ素化合物 0.03質量%
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(位相差板の作製)
Rthが40nmであるトリアセチルセルロースフィルムの両面をけん化処理し、その片面にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布し、膜を形成した。この膜をラビング処理し、配向膜とした後、この配向膜のラビング面上に、下記の組成のディスコティック液晶を含む塗布液を、スピンコート塗布し、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1μmの液晶固定化層を形成した。このトリアセチルセルロースとディスコティック液晶層との積層体は全体として、波長589.3nmにおいてRthが100nmである負の光学異方性を有し、第3の光学異方性層C2として機能することがわかった。
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ディスコティック液晶層(C2)の塗布液組成
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上記ディスコティック液晶(1) 32.6質量%
セルロースアセチレートブチレート 0.7質量%
上記変性トリメチロールプロパントリアクリレート 3.2質量%
上記増感剤 0.4質量%
上記光重合開始剤 1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
上記含フッ素化合物 0.03質量%
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上記作製した第3の光学異方性層C1を塗布した裏面に再び、実施例1で用いたのと同一のポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布し、膜を形成し、実施例1と同一に該膜の表面をラビング処理して配向膜を形成した。この配向膜のラビング処理面上に、実施例1で用いたのと同一組成の塗布液を用いて、厚さ4.9μmの第1の光学異方性層B1(下側界面チルト角0°、上側チルト角界面90°、平均チルト角45°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向した光学異方性層;550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nm)を形成した。
上記作製した光学異方性層B1と光学異方性層C2の積層体と、光学異方性層A1とを粘着剤で貼り合せた。このとき、光学異方性層A1、光学異方性層B1、光学異方性層C2の順になるようにし、光学異方性層A1と光学異方性層B1の遅相軸は60°交差するように貼合した。この様にして、位相差板を作製した。この位相差板を用いて、実施例1と同様にして楕円偏光板を作製した。
即ち、図1に示すのと同様の層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板を作製した。
即ち、図1に示すのと同様の層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板を作製した。
[実施例4]
実施例1で用いたのと同じ厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の上に、実施例1と同様にして(但し塗布量は異なる)、厚さ2.44μmの光学異方性層B1(下側界面のチルト角0°、上側界面のチルト角90°、平均チルト角45°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向;550nmにおけるレターデーションは75nm)を作製した。
同様にして、ガラス基板上にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の上に、同様にして、厚さ2.44μmの光学異方性層B1(下側界面のチルト角0°、上側界面のチルト角90°、平均チルト角45°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向;550nmにおけるレターデーションは75nm)を作製した。
以上のようにして作製したC1とB1の積層体とガラス上のB1を遅相軸が一致するように積層した(全体としてレターデーションは150nm)。この、C1,B1(75nm),B1(75nm)の積層体を、光学異方性層B1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして位相差板、及び楕円偏光板を作製した。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示すのと同様の層構成を有し(但し、第1の光学異方性層は2層からなる)、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板であった。
実施例1で用いたのと同じ厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用いた。このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の上に、実施例1と同様にして(但し塗布量は異なる)、厚さ2.44μmの光学異方性層B1(下側界面のチルト角0°、上側界面のチルト角90°、平均チルト角45°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向;550nmにおけるレターデーションは75nm)を作製した。
同様にして、ガラス基板上にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の上に、同様にして、厚さ2.44μmの光学異方性層B1(下側界面のチルト角0°、上側界面のチルト角90°、平均チルト角45°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向;550nmにおけるレターデーションは75nm)を作製した。
以上のようにして作製したC1とB1の積層体とガラス上のB1を遅相軸が一致するように積層した(全体としてレターデーションは150nm)。この、C1,B1(75nm),B1(75nm)の積層体を、光学異方性層B1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして位相差板、及び楕円偏光板を作製した。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示すのと同様の層構成を有し(但し、第1の光学異方性層は2層からなる)、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板であった。
[実施例5]
Rthが40nmであるトリアセチルセルロースフィルムの表面をけん化処理し、その上にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布し、膜を形成し、膜表面にラビング処理を施して配向膜とした。この配向膜のラビング処理面上に、下記の組成の塗布液をスピンコート塗布、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.73μmの第2の光学異方性層A2を形成した。光学異方性層A2はラビング方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は260nmであり、Nzファクターは1.0であった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、膜内の平均チルト角が実質0°の水平配向していることが判った。
────────────────────────────
光学異方性層A2の塗布液組成
────────────────────────────
下記棒状液晶性化合物 14.5 質量%
上記増感剤 0.15質量%
上記光重合開始剤 0.29質量%
メチルエチルケトン 85.06質量%
上記含フッ素化合物 0.03質量%
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Rthが40nmであるトリアセチルセルロースフィルムの表面をけん化処理し、その上にポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布し、膜を形成し、膜表面にラビング処理を施して配向膜とした。この配向膜のラビング処理面上に、下記の組成の塗布液をスピンコート塗布、乾燥、及び加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.73μmの第2の光学異方性層A2を形成した。光学異方性層A2はラビング方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は260nmであり、Nzファクターは1.0であった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、膜内の平均チルト角が実質0°の水平配向していることが判った。
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光学異方性層A2の塗布液組成
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下記棒状液晶性化合物 14.5 質量%
上記増感剤 0.15質量%
上記光重合開始剤 0.29質量%
メチルエチルケトン 85.06質量%
上記含フッ素化合物 0.03質量%
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実施例1と同一にして作製した光学異方性層B1と光学異方性層C1の積層体と光学異方性層A2を粘着剤で貼り合せた。このとき、光学異方性層A2、光学異方性層B1、光学異方性層C1の順になるようにし、光学異方性層A2と光学異方性層B1の遅相軸は60°交差するように貼合した。
(楕円偏光板の作製)
偏光板は片面だけがトリアセチルセルロースで保護されたものを用いて、該偏光板の保護されていない面(延伸したポリビニルアルコールよりなる偏光膜)と光学異方性層A2(トリアセチルセルロースフィルム面)を光学的に等方性の粘着剤によって貼り合わせ、楕円偏光板を作製した。このとき、偏光板の透過軸と光学異方性層A2、光学異方性層B1の遅相軸とのなす角はそれぞれ75°、15°であった。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示すのと同様の層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板であった。
偏光板は片面だけがトリアセチルセルロースで保護されたものを用いて、該偏光板の保護されていない面(延伸したポリビニルアルコールよりなる偏光膜)と光学異方性層A2(トリアセチルセルロースフィルム面)を光学的に等方性の粘着剤によって貼り合わせ、楕円偏光板を作製した。このとき、偏光板の透過軸と光学異方性層A2、光学異方性層B1の遅相軸とのなす角はそれぞれ75°、15°であった。即ち、作製した楕円偏光板は、図1に示すのと同様の層構成を有し、図2中のβが15°、αが60°の楕円偏光板であった。
[比較例1]
実施例1において、光学異方性層B1の代わりに、平均チルト角24°(上側界面チルト角3°/下側界面チルト角44°)で高分子液晶がハイブリッド配向してなる日石三菱製のNHフィルムを用いた以外は同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。
実施例1において、光学異方性層B1の代わりに、平均チルト角24°(上側界面チルト角3°/下側界面チルト角44°)で高分子液晶がハイブリッド配向してなる日石三菱製のNHフィルムを用いた以外は同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。
[比較例2]
実施例1と同様に、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用い、このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の表面にラビング処理(500rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施し、配向膜とした。次に、実施例1で光学異方性層B1の作製に用いたのと同一組成の塗布液を用いて、実施例1と同様に厚さ27μmの光学異方性層B3を形成した。光学異方性層B3はラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角が0°、上側空気界面側のチルト角30°、平均チルト角15°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
実施例1と同様に、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムを光学異方性層C1として機能する透明支持体として用い、このトリアセチルセルロースフィルムの片面をけん化処理し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 MP−203)の希釈液を塗布した。この膜の表面にラビング処理(500rpmで回転しているラビング布によるラビング処理)を施し、配向膜とした。次に、実施例1で光学異方性層B1の作製に用いたのと同一組成の塗布液を用いて、実施例1と同様に厚さ27μmの光学異方性層B3を形成した。光学異方性層B3はラビング方向と直交する方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値(Re550)は150nmであった。クリスタルローテーション法を応用して平均チルト角を測定したところ、下側配向膜界面のチルト角が0°、上側空気界面側のチルト角30°、平均チルト角15°でディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向していることがわかった。
上記作製した光学異方性層B3を光学異方性層B1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。
[比較例3]
実施例5において、光学異方性層B1の代わりに、レターデーションが150nmのアートンフィルムを用いた以外は同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。
実施例5において、光学異方性層B1の代わりに、レターデーションが150nmのアートンフィルムを用いた以外は同様にして、位相差板及び楕円偏光板を作製した。
[評価]
(視野角測定)
上記作製した楕円偏光板をそれぞれ組み込んだECB半透過型の表示装置を作製した。まず、一対の0.7mmの厚みのガラス基板をギャップ4μmで対向配置した。観察者側のガラス基板には、ITO電極、他方のガラス基板にはITO電極の対向電極として凹凸をつけたアルミ反射電極を形成した。上下基板の対向面に、ポリイミド膜の表面をラビング処理した配向膜を形成した。上下基板のそれぞれの配向膜のラビング角度は平行(ねじれ角度0度)にした。ガラス基板のギャップに、Δn=0.086、誘電率異方性が+10.0のネマチック液晶を注入し、液晶セル(LC)を作製した。
(視野角測定)
上記作製した楕円偏光板をそれぞれ組み込んだECB半透過型の表示装置を作製した。まず、一対の0.7mmの厚みのガラス基板をギャップ4μmで対向配置した。観察者側のガラス基板には、ITO電極、他方のガラス基板にはITO電極の対向電極として凹凸をつけたアルミ反射電極を形成した。上下基板の対向面に、ポリイミド膜の表面をラビング処理した配向膜を形成した。上下基板のそれぞれの配向膜のラビング角度は平行(ねじれ角度0度)にした。ガラス基板のギャップに、Δn=0.086、誘電率異方性が+10.0のネマチック液晶を注入し、液晶セル(LC)を作製した。
この液晶セルを用いて、図3に示す層構成の液晶表示装置を作製した。液晶セルLCの下側に、実施例1〜5で作製した楕円偏光板(図中、第1の光学異方性をB、第2の光学異方性層をA、第3の光学異方性層をC、直線偏光板をP1で示した)を、第1の光学異方性層B1又はB2のダイレクター方向(遅相軸と直交方向)が、液晶セルLCの上下基板のラビング方向と平行になるように配置した。即ち、黒表示時の液晶セルLC中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、前記第1の光学異方性層中のハイブリッド配向したディスコティック液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる様に貼り合わせた。同様にして比較例1〜3でそれぞれ作製した楕円偏光板を配置して、液晶表示装置を作製した。
また、実施例で用いたアートンフィルムと同様のものでレターデーションがそれぞれ150nmの光学異方性層D、260nmの光学異方性層Eの2枚をDとEの遅相軸が60°で交差するように積層し、さらに直線偏光板P2を、その透過軸と光学異方性層Eの遅相軸が15°で交差するようにして貼り合わせた積層体を作製し、この積層体を、光学異方性層Dの遅相軸が液晶セルLCの上下基板のラビング方向と平行になるように配置した。図3に、液晶セル上側の光学異方性層Dの遅相軸d、光学異方性層Eの遅相軸e、及び偏光板P2の透過軸p2の関係を示した。作製した液晶表示装置では、光学異方性層Eの遅相軸eと、直線偏光板P2の透過軸p2との交差角度βが15°であり、光学異方性層Eの遅相軸eと光学異方性層Dの遅相軸dとの交差角αは60°であった。
続いて、通常の室内蛍光灯照明下で、分光放射輝度計を用いて、液晶表示装置の下側からの透過輝度の測定を行った。このときの観察角度は液晶表示装置を水平に置いたまま、法線から0〜80°の方向に極角を10°毎で固定し、それぞれの角度で液晶表示装置の方位角を10°毎に変えながら輝度を液晶表示装置のON時とOFF時のそれぞれ測定し、ON時とOFF時の輝度の比であるコントラスト比を算出した。全ての極角、方位角でのコントラスト比を全方位について足し合わせた値を点数評価して、表1に記載した。この値が大きいほど広い視野角で大きなコントラスト比を持っていることになり、広い視野角での表示装置の視野角特性を評価できる。
表1に示す結果から、本発明の光学異方性層を有する実施例1〜5の楕円偏光板を有する液晶表示装置は、それぞれ対応する構成の比較例1〜3の楕円偏光板を有する液晶表示装置よりもコントラスト比が高く、視野角特性が改善されていることがわかる。
A 第2の光学異方性層
B 第1の光学異方性層
C 第3の光学異方性層
P 直線偏光膜
P1 下側直線偏光膜
P2 上側直線偏光膜
T1 直線偏光膜の保護フィルム
T2 直線偏光膜の保護フィルム
LC 液晶セル
D アートンフィルム(150nm)からなる上側光学異方性層
E アートンフィルム(260nm)からなる上側光学異方性層
a 第2の光学異方性層の遅相軸
b 第1の光学異方性層の遅相軸
d アートンフィルム(150nm)からなる上側光学異方性層の遅相軸
e アートンフィルム(260nm)からなる上側光学異方性層の遅相軸
p1、p2 偏光透過軸
B 第1の光学異方性層
C 第3の光学異方性層
P 直線偏光膜
P1 下側直線偏光膜
P2 上側直線偏光膜
T1 直線偏光膜の保護フィルム
T2 直線偏光膜の保護フィルム
LC 液晶セル
D アートンフィルム(150nm)からなる上側光学異方性層
E アートンフィルム(260nm)からなる上側光学異方性層
a 第2の光学異方性層の遅相軸
b 第1の光学異方性層の遅相軸
d アートンフィルム(150nm)からなる上側光学異方性層の遅相軸
e アートンフィルム(260nm)からなる上側光学異方性層の遅相軸
p1、p2 偏光透過軸
Claims (11)
- 層平面に対して平均チルト角35〜85°で傾斜したネマチック液晶性化合物から構成された組成物からなる光学異方性層であって、波長550nmにおける位相差が80〜200nmである光学異方性層。
- ディスコティック液晶性分子が層平面に対して平均チルト角35〜85°でネマチックハイブリッド配向してなる請求項1に記載の光学異方性層。
- 二層以上の光学異方性層を有し、少なくとも一層が請求項1又は2記載の光学異方性層である光学異方性層。
- 請求項1又は2に記載の光学異方性層である第1の光学異方性層と、波長550nmにおける位相差が200〜350nmで、且つNzファクター(下記式)が0.5〜2.0である第2の光学異方性層とを有する位相差板。
Nzファクター=(nx−nz)/(nx−ny)
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率である。] - 前記第2の光学異方性層が、正の光学異方性を持つ液晶性分子が水平配向してなる請求項4に記載の位相差板。
- 前記第2の光学異方性層が、延伸したポリマーフィルムからなる請求項4に記載の位相差板。
- 波長589.3nmにおける厚み方向のレターデーションRth(下記式)が0〜300nmである第3の光学異方性層をさらに有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の位相差板。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
[式中、nx及びnyは面内の主屈折率であり、nzは厚さ方向の主屈折率であり、dは厚み(nm)である。] - 前記第3の光学異方性層が、液晶性分子、トリアセチルセルロース及び/又は環状ポリオレフィンから選ばれる素材から形成された層である請求項7に記載の位相差板。
- 偏光子と、請求項4〜8のいずれか1項に記載の位相差板とを有する楕円偏光板。
- 請求項9に記載の楕円偏光板を有するTN型又はECB型液晶表示装置。
- 黒表示時の液晶セル中の液晶分子のダイレクターを層平行面に投影した軸の平均方向と、第1の光学異方性層中の配向した液晶性分子のダイレクターを層平行面に投影した方向とが実質的に平行となる請求項10に記載の液晶表示装置。
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- 2003-08-19 JP JP2003295211A patent/JP2005062672A/ja active Pending
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