JP2005037809A - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶セルを完全に光学的に補償し、高コントラストかつ広視野角な画像を実現する。
【解決手段】 透明支持体、第1光学異方性層、および第2光学異方性層を有する光学補償シートにおいて、第1光学異方性層を円盤状液晶性化合物から形成し、第2光学異方性層を選択反射範囲が可視光よりも短い波長となるに充分に短い螺旋ピッチを有するコレステリック液晶性化合物から形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明支持体、円盤状液晶性化合物から形成した第1光学異方性層、およびコレステリック液晶性化合物から形成した第2光学異方性層を有する光学補償シートに関する。さらに本発明は、光学補償シートを用いた偏光板および液晶表示装置にも関する。
液晶表示装置は、液晶セルと偏光板から構成されている。
透過型液晶表示装置では、液晶セルの両側に二枚の偏光板が配置されている。反射型または半透過型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、そして偏光板の順序で配置されている。
液晶セルは、電圧のオンおよびオフに対応して、液晶性化合物の配向状態に違いが生じ、画像部と非画像部とを表示する。配向状態の種類に応じて、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、ベンド(Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
ベンド配向モードの液晶セルでは、棒状液晶性化合物を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させる(例えば、特許文献1参照)。棒状液晶性化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、ベンド配向モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶セルは、一般的な表示モード(TNモード、STNモード)の液晶セルと比較して、視野角が広く、応答速度が速いとの特徴がある。
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素にて染色し、延伸を行うことにより得られる。
液晶セルと偏光板に加えて、表示画像の着色を解消したり、視野角を拡大するために光学補償シートを用いる場合が多い。光学補償シートは、液晶セルと偏光板との間に配置される。
延伸複屈折ポリマーフイルムからなる光学補償シートが、従来から使用されている。延伸複屈折フイルムに代えて、液晶性化合物から形成した光学異方性層と透明支持体とを有する光学補償シートを使用することが提案されている。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物には多様な配向形態がある。液晶性化合物を用いることで、液晶セルの様々な表示モードに対応する光学的性質を実現することが可能になった。従来の延伸複屈折ポリマーフイルムでは、液晶セルの様々な表示モードに対応することが困難であった。
一般的な表示モード(TNモード、STNモード)の液晶セルについて、液晶性化合物から形成した光学異方性層とを有する光学補償シートが実際に使用されている。
ベンド配向モードの液晶セルについても、一般的な表示モードの液晶セルと同様に、光学補償シートを用いて、表示画像をさらに改善することが考えられる。しかし、従来の延伸複屈折フイルムからなる光学補償シートは、ベンド配向モードの液晶セルに対する光学補償機能が不充分であった。延伸複屈折フイルムに代えて、円盤状液晶性化合物から形成された光学異方性層と透明支持体とを有する光学補償シートを、ベンド配向モードの液晶セルに使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。円盤状液晶性化合物を含む光学補償シートを使用することで、ベンド配向モードの液晶表示装置の視野角は著しく改善される。
ベンド配向モードの液晶表示装置において、円盤状液晶性化合物の円盤面の法線の透明支持体面への正射影の平均方向と偏光膜の面内透過軸との角度が実質的に45゜になるように光学異方性層と偏光膜とを配置することで、ベンド配向モードの液晶セルに対する最大の光学補償効果を得られることも報告されている(例えば、特許文献3参照)。
米国特許第4583825号明細書 特開平9−197397号公報 特開平11−316378号公報
ベンド配向モードの液晶表示装置において、円盤状液晶性化合物を用いた光学補償シートを適切に配置しても、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。また、ベンド配向モードの液晶表示装置には、高いコントラストを実現することが難しいとの問題がある。そして、正面コントラストが高くなるように設定した液晶セルを光学補償するように、円盤状液晶性化合物を用いた光学補償シートを作製することは容易ではない。
本発明の目的は、液晶セルを完全に光学的に補償し、高コントラストかつ広視野角な画像を実現することである。
本発明の目的は、光学補償シートにおけるレターデーションの波長分散を最適とすることにより、液晶表示装置の色表示特性を改善することでもある。
本発明の目的は、液晶表示装置を斜めから見た場合の正面に対する色変化を抑制することでもある。
本発明は、下記の光学補償シート、偏光板および液晶表示装置を提供する。
(1)透明支持体、円盤状液晶性化合物から形成した第1光学異方性層、および選択反射範囲が可視光よりも短い波長となるに充分に短い螺旋ピッチを有するコレステリック液晶性化合物から形成した第2光学異方性層を有する光学補償シート。
本明細書において、可視光の波長は380乃至780nmを意味する。
(2)透明支持体が10乃至200nmの範囲に正面レターデーション値を有する(1)に記載の光学補償シート。
正面レターデーション値(Re)は、下記式(I)により定義される。
(I)Re=(nx−ny)×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さ(単位:nm)である]。
本明細書において、「遅相軸(slow axis)」は屈折率が最大となる方向を意味し、「進相軸(fast axis)」は屈折率が最小となる方向を意味する。屈折率は、特別に規定する場合を除き、波長550nmの可視光で測定した値である。
(3)透明支持体が10乃至400nmの範囲に厚み方向のレターデーション値を有する(1)に記載の光学補償シート。
厚み方向のレターデーション値(Rth)は、下記式(II)により定義される。
(II)Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そして、dは、フイルムの厚さ(単位:nm)である]。
(4)第1光学異方性層において円盤状構造単位の円盤面と透明支持体面との角度が円盤状構造単位と透明支持体面との距離に伴って変化しており、該角度の平均が5゜以上である(1)に記載の光学補償シート。
(5)偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一方が、(1)に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
(6)液晶セル、偏光板、液晶セルとの偏光板との間に配置された光学補償シートからなる液晶表示装置であって、光学補償シートが、透明支持体、円盤状液晶性化合物から形成した第1光学異方性層、および選択反射範囲が可視光よりも短い波長となるに充分に短い螺旋ピッチを有するコレステリック液晶性化合物から形成した第2光学異方性層を有することを特徴とする液晶表示装置。
(7)液晶セル、およびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置であって、液晶セルと偏光膜の間に配置された透明保護膜のうちの少なくとも一方が、(1)に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
(8)液晶セルがベンド配向モードの液晶セルである(7)に記載の液晶表示装置。
本発明に従う光学補償シートを用いることで、液晶セルを適切に光学的に補償し、高いコントラストの画像を、広い視野角で表示することができる。
[液晶表示装置の基本構成]
図1は、液晶表示装置の断面模式図である。
図1に示す液晶表示装置は、液晶セル(6〜8)および液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板(1〜5、9〜13)からなる。
正面側偏光板(1〜5)は、偏光膜(2)および偏光膜の両側に配置された二枚の透明保護膜(1、3〜5)からなる。偏光膜(2)と液晶セル(6〜8)との間に配置された透明保護膜(3〜5)は、透明支持体(3)、第2光学異方性層(4)および第1光学異方性層(5)からなる。
背面側偏光板(9〜13)も、偏光膜(12)および偏光膜の両側に配置された二枚の透明保護膜(9〜11、13)からなる。偏光膜(12)と液晶セル(6〜8)との間に配置された透明保護膜(9〜11)は、透明支持体(11)、第2光学異方性層(10)および第1光学異方性層(9)からなる。
図1に示す第1光学異方性層(5、9)は、円盤状液晶性化合物から形成し、第2光学異方性層(4、10)は、棒状液晶性化合物または高分子液晶性化合物から形成する。
図1に示す二枚の光学補償シートは、液晶セルを中心として、それぞれ対称的位置に配置されている。すなわち、液晶セル(6〜8)の側から、第1光学異方性層(5、9)、第2光学異方性層(4、10)、そして透明支持体(3、11)の順序になっている。
光学補償シートの透明支持体(3、11)は、隣接する偏光膜(2、12)の保護膜としても機能している。これにより、正面側偏光板(1〜5)は、構成要素が一体的に積層された楕円偏光板として、液晶表示装置に組み込まれている。また、背面側偏光板(9〜13)も、構成要素が一体的に積層された楕円偏光板として、液晶表示装置に組み込まれている。
光学補償シートの構成要素は、図1に示す(偏光膜)→透明支持体→第2光学異方性層→第1光学異方性層→(液晶セル)の積層順序以外にも、(偏光膜)→第1光学異方性層→透明支持体→第2光学異方性層→(液晶セル)、(偏光膜)→第2光学異方性層→透明支持体→第1光学異方性層→(液晶セル)あるいは(偏光膜)→透明支持体→第1光学異方性層→第2光学異方性層→(液晶セル)のような積層順序も可能である。なお、第1および第2光学異方性層に加えて、さらに別の(第3、第4の)光学異方性層を設けてもよい。
図1に示す液晶表示装置は、ベンド配向モードの液晶セル(6〜8)を有する。液晶セル(6〜8)は、棒状液晶性化合物から形成される液晶層(7)および液晶層の両側に配置される二枚の基板(6、8)からなる。ベンド配向モードの液晶セルに用いられる棒状液晶性化合物は、一般に正の誘電率異方性を有する。液晶セルの二枚の基板(6、8)は、それぞれ、配向膜(図示せず)と電極層(図示せず)を有する。配向膜は、棒状液晶性化合物を配向させる機能を有する。電極層は、画像に対応して棒状液晶性化合物に電圧を印加する機能を有する。
ベンド配向液晶セルの印加電圧が低い(offの)時、液晶セルの正面基板(6)側の棒状液晶性化合物と背面基板(8)側の棒状液晶性化合物とは、逆向きに(上下対称に)に配向する。一方、液晶層(7)中央部の棒状液晶性化合物は、ほぼ垂直方向に配向する。
印加電圧を高く(onに)しても、基板(6、8)近傍の棒状液晶性化合物は、ほぼ水平に配向したままであり、液晶層(7)中央部の棒状液晶性化合物は、ほぼ垂直に配向したままである。電圧の増加(on)により配向が変化するのは、基板と液晶セル中央部との中間に位置する棒状液晶性化合物であり、これらはoffの状態よりも垂直に配向する。しかし、onの状態においても、液晶セルの正面基板(6)側の棒状液晶性化合物と背面基板(8)側の棒状液晶性化合物とが、逆向きに(上下対称に)に配向することは、offの状態と同様である。
ベンド配向モードの液晶表示装置では、配向膜のラビング方向(6r、8r)は、同一方向(平行)である。
偏光膜(2、12)の面内透過軸(2t、12t)、透明支持体(3、11)の面内遅相軸(3s、11s)、第2光学異方性層(4、10)の配向膜(図示せず)のラビング方向(4r、10r)、第1光学異方性層(5、9)の配向膜(図示せず)のラビング方向(5r、9r)は、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造に応じて最適な方向に調整する。高コントラストを得るため、一般に、偏光膜(2、12)の透過軸(2t、12t)が、互いに実質的に直交しているよう(クロスニコル)に配置する。
ベンド配向モードの液晶表示装置では、第1光学異方性層(5、9)の配向膜のラビング方向(5r、9r)は、対面する液晶セルのラビング方向(6r、8r)とは反平行の関係にある。第2光学異方性層(4、10)の配向膜(図示せず)のラビング方向(4r、10r)は、特に限定されない。偏光膜(2、12)の面内透過軸(2t、12t)および透明支持体(3、11)の面内の遅相軸(3s、11s)は、一般に、液晶セルの配向膜(図示せず)のラビング方向(6r、8r)と実質的に45゜の角度になる。
[第1光学異方性層]
第1光学異方性層は、円盤状液晶性化合物から形成する。第1光学異方性層において、円盤状液晶性化合物は配向していることが好ましい。
円盤状液晶性化合物の配向状態には、水平配向、垂直配向、傾斜配向、ハイブリッド配向(傾斜角が徐々に変化する配向)およびねじれ配向が含まれる。
円盤状液晶性化合物は、平面分子である。円盤状液晶性化合物は、分子中にはただ一個の平面、すなわち円盤面を持つ。円盤面は、透明支持体の面に対して傾斜していることが好ましい。傾斜角の平均は、5゜以上であることが好ましく、15乃至50°の範囲であることがさらに好ましい。
円盤状液晶性化合物の円盤面と透明支持体面との角度(傾斜角)は、円盤状液晶性化合物と透明支持体面との距離に伴って変化(ハイブリッド配向)していることが好ましく、傾斜角は円盤状液晶性化合物と透明支持体面との距離が増加するに伴って増加していることがさらに好ましい。
傾斜角の変化には、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少とを含む変化、並びに増加および減少を含む間欠的変化が含まれる。間欠的変化では、厚さ方向の途中に傾斜角が変化しない領域を含む。傾斜角は、傾斜角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。傾斜角は連続的に変化することがさらに好ましい。
傾斜角を変化させると、光学補償シートの視野角拡大機能が著しく向上する。また、傾斜角を変化させた光学補償シートには、表示画像の反転、階調変化あるいは着色の発生を防止する機能もある。
円盤状液晶性化合物の円盤面の法線を透明支持体へ正射影した方向の平均と、偏光板の面内透過軸との角度は、実質的に45゜であることが好ましい。円盤状液晶性化合物の円盤面の法線の透明支持体への正射影の平均方向は、配向膜のラビング方向と反平行の関係になる。
円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew.Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985) ;J.Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994) )に記載されている。
円盤状液晶性化合物は、第1光学異方性層内において配向状態が固定されていることが好ましい。重合により、円盤状液晶性化合物の配向状態が固定されていることがさらに好ましい。
円盤状液晶性化合物は、重合性基を有していることが好ましい。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させることができる。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基が介在する構造が好ましい。すなわち、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(III) で表される化合物であることが好ましい。
(III) D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の例は、特開2001−4837号公報に記載(D1〜D15、L1〜L25、P1〜P18)がある。
透明支持体側の円盤面傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは配向膜を構成する材料の種類を選択することにより、または配向膜のラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤面傾斜角は、一般に、円盤状液晶性化合物あるいは円盤状液晶性化合物と併用する他の化合物の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性化合物と併用する化合物の例には、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーが含まれる。
傾斜角の変化は、上記のように透明支持体側の円盤面傾斜角と表面側(空気側)の円盤面傾斜角との双方を調節することにより実現できる。
円盤状液晶性化合物から光学異方性層を二層以上形成する場合、少なくとも一層が上記第1光学異方性層の定義を満足すれば良い。
第1光学異方性層の正面で測定したレターデーション値(Re0)は、0乃至250nmであることが好ましい。また、第1光学異方性層の法線から−40°の方向で測定したレターデーション値(Re40)も、0乃至250nmであることが好ましい。さらに、第1光学異方性層の法線から40°の方向で測定したレターデーション値(Re−40)も、0乃至250nmであることが好ましい。
第1光学異方性層のRe0、Re40およびRe−40の値は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、観察角度を変えて測定できる。
第1光学異方性層は、円盤状液晶性化合物、重合開始剤(後述)や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
配向させた円盤状液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。配向状態の固定は、円盤状液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至〜50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
第1光学異方性層の厚さは、0.1nm乃至20μmであることが好ましく、0.1乃至10μmであることがより好ましく、0.5乃至10μmであることがさらに好ましく、0.5乃至5μmであることが最も好ましい。
[第2光学異方性層]
第2光学異方性層は、棒状液晶性化合物または高分子液晶性化合物から形成する。第1光学異方性層において、棒状液晶性化合物または高分子液晶性化合物はコレステリック配向しており、これにより第2光学異方性層は、可視光の波長よりも短い波長を含む選択反射波長領域を有する。
コレステリック配向の螺旋軸は、第2光学異方性層の面に対し実質的に垂直(法線方向)であることが好ましい。
棒状液晶性化合物をコレステリック配向させるためには、光学的に活性な棒状液晶性化合物を用いるか、あるいは、棒状液晶性化合物と光学活性化合物との混合物を用いる。棒状液晶性化合物と光学活性化合物との混合物を用いる方が、コレステリック配向の螺旋ピッチの調節に都合がよい。
棒状液晶性化合物は、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。
棒状液晶性化合物は、第2光学異方性層内において配向状態が固定されていることが好ましい。重合により、棒状液晶性化合物の配向状態が固定されていることがさらに好ましい。棒状液晶性化合物は、重合性基を有していることが好ましい。
高分子液晶性化合物は、ネマチック液晶性を有することが好ましい。高分子液晶性化合物をコレステリック配向させるためには、光学的に活性な高分子液晶性化合物を用いるか、あるいは、高分子液晶性化合物と光学活性化合物との混合物を用いる。高分子液晶性化合物と光学活性化合物との混合物を用いる方が、コレステリック配向の螺旋ピッチの調節に都合がよい。
コレステリック配向の螺旋軸に平行に光が入射すると、液晶性化合物の平均屈折率(nc)と、コレステリック配向の螺旋ピッチ(P)との積(nc・P)の値に等しい光波長を中心として選択反射が生じる。選択反射が可視光の波長よりも短い波長を含むように、すなわち、nc・Pの値が可視光域から外れるように、材料もしくはピッチを選定する。ピッチの制御は、液晶性化合物と併用されている光学活性化合物の量、あるいは液晶性化合物の分子内に存在する光学活性部位の数をコントロールすることにより容易に行うことができる。
コレステリック液晶の螺旋ピッチ(P)は、10乃至300nmであることが好ましく、50乃至200nmであることがさらに好ましい。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチ(P)は、nc・Pの値が可視光域から外れるのであれば、ばらついていても構わない。
第2光学異方性層の正面で測定したレターデーション値(Re0)は、0乃至250nmであることが好ましい。また、第2光学異方性層の法線から−40°の方向で測定したレターデーション値(Re40)も、0乃至250nmであることが好ましい。さらに、第2光学異方性層の法線から40°の方向で測定したレターデーション値(Re−40)も、0乃至250nmであることが好ましい。
第2光学異方性層は、棒状液晶性化合物または高分子液晶性化合物、重合開始剤(第1光学異方性層について前述)や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベンゼン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)およびスルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)が含まれる。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。上記有機溶媒と他の有機溶媒(例、フェノール)とを併用してもよい。
塗布液の濃度は、5乃至50質量%が好ましく、10乃至35質量%がさらに好ましい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、カーテンコート法、浸漬引き上げ法)により実施できる。
塗布後、乾燥により溶媒を除去する。その後、熱処理によりモノドメインなコレステリック配向を完成させることが好ましい。熱処理温度は、界面効果により配向を補助するため一定の温度以上で、コストの増大と作業性の悪化を招かない温度以下に設定する。
高分子液晶性化合物には、液晶相より高温部に等方相を有する場合がある。そのような高分子液晶性化合物を用いる場合、熱処理温度を配向が得られる温度以下に設定する。
また、最終的に得られるコレステリック配向のピッチが、若干の熱処理温度依存性を示す液晶性化合物もある。そのような液晶性化合物を、ピッチ長に厳密さを要求する用途に用いる場合、熱処理条件の設定に留意する必要がある。ただし、液晶性化合物の種類や組成を変更することなく、熱処理条件の変更だけで、ピッチ長の異なる第2光学異方性層を形成することができる。熱処理条件によってピッチ長を制御する具体的な方法としては、単に熱処理温度を変える方法と、熱処理温度後の冷却温度で制御する方法とがある。後者の方法では高分子液晶性化合物を用い、配向に充分な温度で熱処理した後、高分子液晶性化合物のガラス転移点以上の適当な温度まで下げることによって、下げた温度に応じたらせん構造の変化を得る。
なお、同一条件で熱処理を行う限り、コレステリック配向のピッチは再現性がよく、同一の光学異方性層を形成することができる。
高分子液晶性化合物を用いる場合、ガラス転移点以上で等方性への転移点以下の温度で熱処理することが好ましい。
熱処理温度は、50乃至300℃が好ましく、100乃至250℃がさらに好ましい。熱処理時間は、30秒乃至100分が好ましく、60秒乃至60分がさらに好ましい。
第2光学異方性層は、均一なコレステリック配向であることが好ましい。ただし、10μm程度の微小欠陥が100個/mm2 未満であるならば、特に問題はない。
液晶性分子のコレステリック配向状態を固定することが好ましい。
棒状液晶性化合物を用いる場合、重合反応によりコレステリック配向状態を固定することが好ましい。棒状液晶性分子の重合反応は、第1光学異方性層の円盤状液晶性化合物について説明した重合反応と同様である。
高分子液晶性化合物を用いる場合、高分子液晶性化合物のガラス転移点以下の温度に冷却することによってコレステリック配向を固定化することが好ましい。液晶相より低温部に結晶相を持っている高分子液晶性化合物を用いた場合、液晶状態における配向は冷却することによって壊れる。液晶相の下にガラス相を有する高分子液晶性化合物を使用すれば、そのような現象が生ずることなく、完全にコレステリック配向を固定化することができる。
高分子液晶性化合物を、加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化することもできる。生産効率を高めるために、強制冷却(空冷、水冷)を行ってもよい。ただし、冷却速度によって、得られるコレステリック配向の螺旋ピッチは多少異なる。再現よく同一ピッチのコレステリック構造を得るためには、冷却条件を統一することが望ましい。
第2光学異方性層の厚さは、0.1nm乃至20μmであることが好ましく、0.1乃至10μmであることがより好ましく、0.5乃至10μmであることがさらに好ましく、0.5乃至5μmであることが最も好ましい。
[配向膜]
配向膜を用いて、第1または第2光学異方性層の液晶性化合物を配向させることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の作製、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により作製する配向膜がとくに好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平(円盤状液晶性化合物はホメオトロピック、棒状液晶性化合物はホモジニアス)に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。
配向膜のポリマーは、配向膜と光学異方性層との密着性を改善する目的で、重合性基を有することができる。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましい。重合性ポリマーを用いた配向膜は、特開平9−152509号公報に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至2μmであることがさらに好ましい。
[透明支持体]
支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。液晶セルの光学的異方性に対応する(光学的に補償する)ため、第1および第2光学異方性層に加えて、透明支持体も光学異方性にすることができる。
光学異方性透明支持体は、光学的一軸性または光学的二軸性であることが好ましく、光学的二軸性であることがさらに好ましい。光学的一軸性支持体は、光学的に正(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも大)であっても、負(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも小)であってもよい。
光学的二軸性支持体の場合、透明支持体の屈折率nx、nyおよびnzは、全て異なる値(nx≠ny≠nz)になる。
光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体の面内レターデーション(Re)は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがさらに好ましく、20nm以上であることが最も好ましい。また、面内レターデーション(Re)は、1000nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることが最も好ましい。光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがさらに好ましく、20nm以上であることが最も好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、1000nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることが最も好ましい。
光学異方性を有する透明支持体は、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレンあるいはポリエステルから製造できる。市販のポリマーを用いてもよい。ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)やゼオノア(日本ゼオン製)を用いることができる。透明支持体として用いるポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
光学的一軸性または光学的二軸性を得るためには、ポリマーフイルムに延伸処理を実施することが好ましい。光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフイルムをある方向に一定倍率(例えば3乃至100%、好ましくは5乃至30%)延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6乃至200%、好ましくは10乃至90%)延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバランス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフイルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。延伸方向と遅相軸との角度は、10゜未満であることが好ましく、5゜未満であることがさらに好ましく、3゜未満であることが最も好ましい。
透明支持体の面内遅相軸は、原則として透明支持体の延伸方向に相当する。
光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体と、光学等方性を有する透明支持体(例、セルロースアセテートフイルム)とを積層してもよい。
透明支持体の厚さは、10乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、ケン化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体に紫外線吸収剤を添加してもよい。
透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。接着層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。本発明に従う光学補償シートは、少なくとも一方の透明保護膜の外側に積層するか、あるいは、少なくとも一方の透明保護膜に代えて使用する。
本発明に従う光学補償シートとは異なる透明保護膜は、ポリマーフイルムを用いることができる。ポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびポリエステルが含まれる。市販のポリマーを用いてもよい。ノルボルネン系の市販ポリマーには、アートン(JSR製)およびゼオノア(日本ゼオン製)が含まれる。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
光学補償シートを偏光板の透明保護膜としても機能させる場合、光学補償シートは100乃至1000(g/m2 )/24hrsの透湿性を有することが好ましく、300乃至700(g/m2 )/24hrsの透湿性を有ることがさらに好ましい。
偏光膜の面内透過軸は、原則として偏光膜の延伸方向に垂直な方向に相当する。
[液晶セル]
液晶セルの表示モードは、TNモード、ベンド配向(OCB)モード、ECBモード、VAモード、ECBモード、IPSモード、STNモードが好ましく、TNモード、ベンド配向(OCB)モード、ECBモードがさらに好ましく、ベンド配向(OCB)モードが最も好ましい。
液晶層の厚さ(dμm)と屈折率異方性(Δn)との積(Δn・d)は、0.2乃至1.2μmが好ましい。より具体的なΔn・dの最適値は、表示モードにより異なる。TNモードの最適値は、0.2乃至0.5μmである。ベンド配向(OCB)モードの最適値は、0.4乃至1.2μmである。ECBモードの最適地は、0.2乃至0.5μmである。TNモードにおける液晶層のツイスト角(ねじれ角)は、90°近傍(85乃至95°)が最適値である。以上のような最適値に調節することで、白表示輝度が高く、黒表示輝度が低い、明るくコントラストの高い画像が表示できる。
なお、以上の最適値は透過モードの値である。反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δndの値は、透過モードの1/2程度になる。また、TNモードにおける液晶層のツイスト角は、30乃至70°が最適値となる。
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、以上述べた以外の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、バックライトを背面に配置できる。バックライトは、冷陰極蛍光管、熱陰極蛍光管、発光ダイオード、フィールドエミッション素子あるいはエレクトロルミネッセント素子を光源とすることができる。
液晶表示装置は、反射型であってもよい。反射型液晶表示装置では、偏光板は観察側に1枚のみ配置できる。反射型液晶表示装置は、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。フロントライトを液晶セルの観察側に設けることもできる。フロントライトの光源は、バックライトの光源と同様である。
表示装置の1画素の中で反射部と透過部とを設けた半透過型に、液晶表示装置を構成することもできる。
液晶表示装置には、画像直視型に加えて、画像投影型や光変調型も含まれる。液晶表示装置は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置であることが特に好ましい。STN型液晶表示装置に代表される時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置も有効である。
[第1例]
(透明支持体の作製)
厚さ80μmのセルロースアセテートフイルム(フジタックTD−80U、富士写真フイルム(株)製)を、25℃の2.0N水酸化カリウム水溶液に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、乾燥した。
このようにケン化処理したセルロースアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
(第1配向膜の形成)
水360質量部およびメタノール120質量部からなる混合溶媒に、下記の変性ポリビニルアルコール20質量部およびグルタルアルデヒド(架橋剤)質量部を溶解し、塗布液を調製した。
Figure 2005037809
透明支持体の上に、塗布液を#16のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフイルムの面内遅相軸(流延方向と平行方向)に対して45°の方向にラビング処理を実施した。
このようにして、第1配向膜を形成した。
(第1光学異方性層の形成)
下記の円盤状液晶性化合物90質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)10質量部、メラミンホルムアルデヒド/アクリル酸コポリマー(アルドリッチ試薬)0.6質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.0質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0質量部を、メチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が38質量%の塗布液を調製した。
Figure 2005037809
第1配向膜の上に、塗布液を#3のワイヤーバーで塗布した。これを120℃の恒温槽中で3分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。さらに、紫外線を照射し、円盤状液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。
形成した第1光学異方性層の厚さは、1.5μmであった。エリプソメータ−によりレターデーションの角度依存性を測定したところ、Re−40は10nm、Re0は40nm、Re40は80nmであった。
(第2配向膜の形成)
透明支持体の反対側の面に、第1配向膜と同様に、塗布膜を形成した。形成した膜に、透明支持体の流延方向に対して平行な方向にラビング処理を実施した。
このようにして、第2配向膜を形成した。
(第2光学異方性層の作製)
重合性棒状液晶性化合物(Policolor LC242 、BASF社製)88質量部、光学活性化合物(Policolor LC756 、BASF社製)12質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.0質量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0質量部を、メチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が30質量%の塗布液を調製した。
第2配向膜の上に、塗布液を#3.6のワイヤーバーで塗布し、室温で乾燥した。130℃で1分間加熱して、棒状液晶性化合物を配向させ、紫外線を照射して、棒状液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。作製した第2光学異方性層の厚さは、2.0μmで、螺旋ピッチは120nmであった。エリプソメータ−によりレターデーションの角度依存性を測定したところ、Re−40は30nm、Re0は0nm、Re40は30nmであった。
以上のようにして、本発明に従う光学補償シートを作製した。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて、偏光膜を作製した。
偏光膜の片面と、作製した光学補償シートの第2光学異方性層面とを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。偏光膜の透過軸と第1配向膜のラビング方向が45゜となるように配置した。
偏光膜の反対側の面に、厚さ80μmのセルロースアセテートフイルム(フジタックTD−80U、富士写真フイルム(株)製)を透明保護膜として、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。
以上のようにして、偏光板を作製した。
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
(液晶表示装置の作製)
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の第1光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する第1光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
(液晶表示装置の評価)
作製した液晶表示装置の液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示6Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、正面コントラスト比および上下左右のコントラスト比10が得られる視野角を測定した。結果を第1表に示す。
[第2例]
(光学的二軸性透明支持体の作製)
塩化メチレン232.75質量部、メタノール42.57質量部およびn−ブタノール8.50質量部からなる混合溶媒に、酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート100質量部、下記のレターデーション上昇剤2.35質量部、リン酸トリフェニル2.75質量部およびリン酸ビフェニルジフェニル2.20質量部を溶解した。得られた溶液をドラム流延機を用いて流延し、乾燥後の厚さが80μmのセルロースアセテートフイルムを作製した。
Figure 2005037809
セルロースアセテートフイルムを実質延伸倍率20%で延伸して、光学的二軸性透明支持体を作製した。
透明支持体のレターデーションを、エリプソメーター(M150、日本分光(株)製)で測定した。その結果、厚み方向のレターデーション(Rth)は85nm、面内レターデーション(Re)は40nmであった。
作製したセルロースアセテートフイルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、乾燥した。
(第2光学異方性層の形成)
透明支持体上に、第1例と同様に、第2配向膜および第2光学異方性層を形成した。
(第1光学異方性層の形成)
第2光学異方性層の上に、第1例と同様に、第1配向膜および第1光学異方性層を形成した。
以上のように、本発明に従う光学補償シートを作製した。
(偏光板の作製)
作製した光学補償シートをアルカリ浴槽中でケン化処理した。
ヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールフイルムからなる偏光膜と、光学補償シートの透明支持体面とを接着剤を介して貼り合わせた。偏光膜の透過軸は、透明支持体の遅相軸と平行にした。
(液晶表示装置の作製)
第1例で作製したベンド配向セルを挟むように、作製した偏光板を二枚貼り付けた。偏光板の第1光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する第1光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
(液晶表示装置の評価)
液晶表示装置の液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示6Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、正面コントラスト比および上下左右のコントラスト比10が得られる視野角を測定した。結果を第1表に示す。
[第3例]
(光学的二軸性透明支持体の作製)
塩化メチレン70質量部に、ノルボルネン樹脂(アートン、JSR(株)製)30質量部を溶解した。得られた溶液をバンド流延機を用いて流延し、乾燥後の厚さが100μmのノルボルネンフイルムを作製した。
ノルボルネンフイルムを長手方向に実質延伸倍率15%で延伸し、さらに幅方向に実質延伸倍率7%で延伸し、光学的二軸性透明支持体を作製した。
透明支持体のレターデーションを、エリプソメーター(M150、日本分光(株)製)で測定した。その結果、厚み方向のレターデーション(Rth)は45nm、面内レターデーション(Re)は40nmであった。
作製した透明支持体を用いた以外は、第2例と同様にして、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置を作製した。
液晶表示装置の液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、正面コントラスト比および上下左右のコントラスト比10が得られる視野角を測定した。結果を第1表に示す。
[比較第1例]
第1例の光学補償シートの作製において、第2光学異方性層を設けなかった以外は、第1例と同様にして液晶表示装置を作製して評価した。結果を第1表に示す。
第1表
────────────────────────────────────
視野角
液晶表示装置 正面コントラスト 上 下 左 右
────────────────────────────────────
第1例 400 80 60 63 60
第2例 450 80 70 73 71
第3例 420 80 65 62 60
比較第1例 350 80 58 56 55
────────────────────────────────────
液晶表示装置の断面模式図である。
符号の説明
1、13 透明保護膜
2、12 偏光膜
3、11 透明支持体
4、10 第2光学異方性層
5、9 第1光学異方性層
6、8 基板
7 液晶層
2t、12t 偏光膜の面内透過軸
3s、11s 透明支持体の面内遅相軸
4r、10r 第2光学異方性層の配向膜のラビング方向
5r、9r 第1光学異方性層の配向膜のラビング方向
6r、8r 液晶セルの配向膜のラビング方向

Claims (8)

  1. 透明支持体、円盤状液晶性化合物から形成した第1光学異方性層、および選択反射範囲が可視光よりも短い波長となるに充分に短い螺旋ピッチを有するコレステリック液晶性化合物から形成した第2光学異方性層を有する光学補償シート。
  2. 透明支持体が10乃至200nmの範囲に正面レターデーション値を有する請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 透明支持体が10乃至400nmの範囲に厚み方向のレターデーション値を有する請求項1に記載の光学補償シート。
  4. 第1光学異方性層において円盤状構造単位の円盤面と透明支持体面との角度が円盤状構造単位と透明支持体面との距離に伴って変化しており、該角度の平均が5゜以上である請求項1に記載の光学補償シート。
  5. 偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一方が、請求項1に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
  6. 液晶セル、偏光板、液晶セルとの偏光板との間に配置された光学補償シートからなる液晶表示装置であって、光学補償シートが、透明支持体、円盤状液晶性化合物から形成した第1光学異方性層、および選択反射範囲が可視光よりも短い波長となるに充分に短い螺旋ピッチを有するコレステリック液晶性化合物から形成した第2光学異方性層を有することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 液晶セル、およびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置であって、液晶セルと偏光膜の間に配置された透明保護膜のうちの少なくとも一方が、請求項1に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 液晶セルがベンド配向モードの液晶セルである請求項7に記載の液晶表示装置。
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